JP2017163375A - アンテナ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】誘電体基板端部からの放射を抑制し、アンテナの指向性の歪みを抑制すること。
【解決手段】アンテナ装置は、誘電体基板10と、アンテナ11と、グランド板12と、帯状導体13と、ビア14と、によって構成されている。帯状導体13は、誘電体基板10表面であって、誘電体基板10の2つの側辺10bの近傍にそれぞれ設けられている。帯状導体13のアンテナ11側の側辺は、周期的な凹凸形状13aが設けられている。凹凸13aは、帯の長さ方向(y軸方向)に、三角形の凸部130、131が交互に周期的に配列されたノコギリ歯状である。ビア14は、誘電体基板10を貫通する円筒状の孔を導電性材料で埋めた構造体である。複数のビア14が誘電体基板10の側辺10bに沿って直線状に等間隔で配列されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、誘電体基板上に導体パターンからなるアンテナを有したアンテナ装置に関する。
誘電体基板の表面に導体パターンのアンテナが設けられたアンテナ装置では、電磁波の一部が誘電体基板内部を伝搬し、誘電体基板の端部から放射される。この端部からの放射は、アンテナ素子からの放射と干渉し、アンテナの指向性に周期的な歪みを生じさせる。その歪みは、アンテナ装置をレーダーなどに利用する場合に測定誤差の要因となる。
誘電体基板の端部からの不要放射を抑制する方法として、特許文献1、非特許文献1に記載の方法がある。
特許文献1には、正方形の導体パターンを正方格子状に配列し、各正方形をビアで誘電体基板裏面のグランド板と接続した構造(EBG構造)を誘電体基板の端部に設けたアンテナ装置が示されている。このようなEBG構造を設けることで、所定周波数の電磁波の伝搬を阻止するバンドギャップが誘電体基板端部に形成される。そして、このバンドギャップによって、誘電体基板端部への電磁波の伝搬が抑制されるため、端部からの不要放射が抑制される。
非特許文献1には、誘電体基板の裏面に設けられたグランド板の端部に凹凸を設け、指向性の歪みを除去することが記載されている。
特開2014−179680号公報
1999年電子情報通信学会通信ソサイエティ大会、B−1−115
しかし、特許文献1のアンテナ装置の場合、アンテナの周波数が高いほど正方形の導体の間隔を短くする必要があり、その間隔がずれると動作周波数が大きく変化してしまう。そのため、周波数が高いとアンテナ装置の作製にあたって高い加工精度が必要となり、製造が容易でないという問題や歩留りが悪いという問題があった。また、EBG構造の面積が広く、アンテナ装置の小型化が難しいという問題もある。
また、非特許文献1のようにグランド板の端部に凹凸を設ける方法は、ミリ波レーダアンテナ装置の実際の使用上、誘電体基板端部からの不要放射抑制の効果を得るのは難しい。実際のミリ波レーダアンテナ装置は、配線パターンが内部に形成された多層基板を用いていたり、ミリ波レーダアンテナ装置の固定のためにグランド板の下にアルミ板などをさらに設けたりするためである。
そこで本発明の目的は、誘電体基板上に導体パターンであるアンテナ素子が設けられたアンテナ装置において、誘電体基板の端部からの放射を低減することである。
本発明は、誘電体基板と、誘電体基板の表面に設けられた導体パターンからなるアンテナ素子と、誘電体基板の裏面に設けられたグランド板と、を有したアンテナ装置において、誘電体基板表面にアンテナ素子から離間して設けられた帯状の導体パターンである帯状導体と、帯状導体とグランド板とを接続し、帯状導体の長手方向に配列された複数のビアと、を有し、帯状導体のアンテナ素子側の側辺のパターンと、ビアの配列パターンの少なくとも一方を、アンテナ素子方向に高さの異なる凹凸パターンとした、ことを特徴とするアンテナ装置である。
帯状導体のアンテナ素子側の側辺のパターンのみを、アンテナ素子方向に高さの異なる凹凸パターンとしてもよいし、ビアの配列パターンのみを、アンテナ素子方向に高さの異なる凹凸パターンとしてもよい。よりアンテナ装置の構成が簡素となり、作製が容易となる。
凹凸パターンは、その高さ(帯状導体の短手方向(幅方向))が、2段階以上変化するようなパターンであればよく、必ずしも周期的な配列でなくともよい。ただし、より誘電体基板端部からの不要放射を低減するために、凹凸パターンは以下のようにすることが望ましい。
凹凸パターンの高さの差は、管内波長の1/2の奇数倍の0.8〜1.2倍とするのが望ましい。凹凸パターンの高さの差に起因して生ずる電磁波の位相差がπないしその近傍となるため、誘電体基板端部からの不要放射をより低減することができる。より望ましくは0.9〜1.1倍、さらに望ましくは0.95〜1.05倍である。
凹凸パターンは、帯状導体の長手方向に周期的なパターンであり、その周期は空間波長以下であることが望ましい。誘電体基板端部からの不要放射をより低減することができる。
凹凸パターンは、高さの異なる三角形の凸部が交互に配列されたパターンとすることができる。また、矩形または円形の凸部が交互に配列されたパターンとすることもできる。これによって簡易に凹凸パターンを設定することができ、アンテナ装置の構成の簡素化、低コスト化を図ることができる。
ビアの間隔は、管内波長以下とするのがよい。ビアによって反射されずに透過してしまう電磁波が減少するので、誘電体基板端部からの不要放射をより低減することができる。
ビアの直径は、任意の値でよいが、管内波長の0.2倍以下とするのがよい。誘電体基板10端部からの不要放射をより抑制するためである。また、0.2倍より大きいと、不要なモードが発生するため望ましくない。
本発明は、アンテナ素子がミリ波帯の電磁波を送受信するものに特に有効である。本発明のアンテナ装置は、微細な構造を必要としないため作製が容易であり、装置の低コスト化や歩留り向上に有利である。
本発明のアンテナ装置では、誘電体基板の端部へと向かう電磁波は、誘電体基板の端部においてビアによって反射され、帯状導体のアンテナ側の側辺から放射される。ここで、ビアが凹凸パターンに配列されているか、あるいは、帯状導体の側辺に凹凸パターンが設けられている。そのため、帯状導体の側辺から放射される電磁波は、放射位置に応じて位相が異なっており、その位相差で互いにキャンセルする。その結果、不要放射が抑制されてアンテナ指向性の歪みを低減することができる。本発明における帯状導体やビアは、微細な加工を必要としないため、製造が容易であり歩留りもよく、アンテナ装置のコストを低減することができる。また、帯状導体の占める面積が小さくて済むので、アンテナ装置全体の大きさも小型とすることができる。
実施例1のアンテナ装置の構成を示した平面図。 実施例1のアンテナ装置の構成を示した断面図。 帯状導体13の凹凸形状13aを拡大して示した図。 端部からの放射が低減される原理を説明する図。 実施例1のアンテナ装置の指向性を示したグラフ。 実施例2のアンテナ装置の構成を示した平面図。 凹凸形状13aの変形例を示した図。
以下、本発明の具体的な実施例について図を参照に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
図1は、実施例1のアンテナ装置の構成を示した平面図である。また、図2は、図1におけるA−Aでの断面図である。図1、2のように、実施例1のアンテナ装置は、誘電体基板10と、アンテナ11と、グランド板12と、帯状導体13と、ビア14と、によって構成されている。この実施例1のアンテナ装置は、76.5GHz帯の電磁波を送受信するものである。
以下、説明の簡便のため、図1のように座標系を取ることとする。すなわち、x軸を水平方向、y軸を鉛直方向、z軸を水平方向であってx軸に直交する方向(図1において紙面垂直方向)に取る。
誘電体基板10はフッ素樹脂からなり、平面視で70mm角の正方形である。誘電体基板10の一方の表面には、導体パターンからなるアンテナ11と、同じく導体パターンからなる帯状導体13が設けられ、他方の表面(裏面)には、全面にグランド板12が設けられている。また、図1のように、誘電体基板10は、その主面がxy平面と平行で主面に垂直な方向がz軸方向となるように配置され、誘電体基板10の各辺がx軸、y軸と平行となるように配置されている。以下、誘電体基板10の側辺のうち、x軸に平行な辺を10a、y軸に平行な辺を10bとする。
アンテナ11は、マイクロストリップアレーアンテナであり、給電線路15と、給電線路15に接続する複数の放射素子16とを有している。給電線路15は、図1のように、誘電体基板10の水平方向に平行な辺10aのうち下側の辺に位置する給電点から、y軸方向に沿って直線状に伸びた線状導体である。放射素子16は、給電線路15に接続する矩形の導体である。放射素子16の矩形の1つの角において給電線路15の一方の側辺側と接合しており、放射素子16は給電線路15に対して45°の角度を成している。また、各放射素子16は、給電線路15の延伸方向に所定の間隔で離間している。アンテナ11は、放射素子16が上記のように配列されているため、y軸方向(鉛直方向)については狭い指向性を有し、x軸方向(水平方向)については広い指向性を有する。
なお、実施例1は1つの給電線路15を有するものであるが、複数の給電線路15を平行に間隔を空けて設け、それぞれの給電線路15にアンテナ素子16が接続された構成としてもよい。複数の給電線路15を設ける場合、一部を送信専用、他を受信専用として分けてもよいし、送受兼用としてもよい。また、マイクロストリップアレーアンテナの構成は、実施例1に示す構成に限らず、従来知られている任意の構成を採用できる。
グランド板12は、誘電体基板10の裏面(アンテナ11が設けられている側とは反対側の表面)の全面に設けられた導体である。
帯状導体13は、誘電体基板10表面であって、誘電体基板10の2つの側辺10bの近傍にそれぞれ設けられている。図1のように、帯状導体13は、誘電体基板10の側辺10bに沿って(アンテナ11の給電線路15に沿って)延伸する帯状(細長い長方形状)のパターンである。帯状導体13のアンテナ11側の側辺は、周期的な凹凸形状13aが設けられている。
帯状導体13の幅(誘電体基板10側の側辺13bから下記三角形の凸部130、131の底辺までの距離)は、任意の値としてよい。ただし、帯状導体13の占める面積を低減してアンテナ装置全体を小型とする観点から、および作製の容易さの点から、帯状導体13の幅は、管内波長の1/2倍以上管内波長の5倍以下の長さとするのがよい。また、帯状導体13の側辺13bから誘電体基板10の側辺10bまでの距離も、任意の値としてよい。帯状導体13の側辺13bと誘電体基板10の側辺10bを一致させてもよい。また、帯状導体13の凹凸形状13aからアンテナ11までの距離も任意の値としてよい。
図3は、帯状導体13の凹凸形状13aを拡大して示した図である。図3のように、凹凸形状13aは、帯の長さ方向(y軸方向)に、三角形の凸部130、131が交互に周期的に配列されたノコギリ歯状である。その周期は1mmである。三角形の凸部130、131は高さ(帯の幅方向(x軸方向))が異なっている。三角形の凸部130は、高さD1が1mm、底辺W1が1mmの二等辺三角形であり、三角形の凸部131は、高さD2が2mm、底辺W2が1mmの二等辺三角形である。高さD1と高さD2の差は1mmであり、およそ管内波長の1/2に設定されている。また、底辺W1、W2は1mmでおよそ管内波長の1/2に設定されている。
凹凸形状13aは、上記形状に限るものではない。たとえば、図7(a)のように、矩形の凸部132を周期的に配列した形状や、図7(b)のように、円形の凸部133を周期的に配列した形状であってもよい。また、図3や図7に示した凹凸形状13aは、高さを2段階に変化させるものであるが、3段階以上に変化させるものであってもよい。要するに、帯状導体13の幅が、帯状導体13の長さ方向において2段階以上変化するように形成されていればよく、必ずしも周期的な配列でなくともよい。ただし、誘電体基板10端部からの不要放射低減の観点から、凹凸形状13aは、以下のようにすることが望ましい。
凹凸形状13aは、帯状導体13の幅の差が、管内波長の1/2の奇数倍の0.8〜1.2倍となるような形状とすることが望ましい。これにより誘電体基板10端部からの不要放射をより低減することができる。より望ましくは管内波長の1/2の奇数倍の0.9〜1.1倍であり、さらに望ましくは管内波長の1/2の奇数倍の0.95〜1.05倍である。同様の理由により、凹凸形状13aは、y軸方向に周期的な形状とすることが望ましく、その周期は空間波長以下とすることが望ましい。
y軸方向において凹凸形状13aが設けられる範囲は、少なくとも、複数のアンテナ素子16全体を含む範囲に設けるとよい。誘電体基板10端部からの不要放射をより低減することができる。
ビア14は、誘電体基板10を貫通する円筒状の孔を導電性材料で埋めた構造体である。複数のビア14が誘電体基板10の側辺10bに沿って直線状に等間隔で配列されている。その間隔は管内波長以下である。このビア14によって、誘電体基板10裏面にグランド板12と帯状導体13とが電気的に接続されている。
ビア14は、たとえば次のようにして作製する。まず、レーザー加工によって誘電体基板10の端部にその誘電体基板10を貫通する溝を形成する。その後めっきによって溝を導電性材料で埋める。以上によってビア14を作製する。
ビア14の円の直径は任意の値でよいが、管内波長の0.2倍以下とするのがよい。誘電体基板10端部からの不要放射をより抑制するためである。また、0.2倍より大きいと、不要なモードが発生するため望ましくない。また、ビア14の円の直径の下限は特に限定されるものではないが、作製の容易さや機械的強度などの点から0.01mm以上が好ましい。
隣接するビア14間の距離は、必ずしも管内波長以下でなくともよいが、管内波長よりも大きいと、ビア14によって反射されずにビア14とビア14の間を通り抜けて透過してしまう電磁波が増大し、指向性の歪みに影響するため望ましくない。一方、管内波長以下とすれば、ビア14が連続しているのと等価とみなせるので、電磁波がビア14とビア14の間を通り抜けてしまうことがない。また、隣接するビア14同士が重なって連続的になっていてもかまわないが、誘電体基板10の反りなどの要因となるため、ビア14は重ならずに個々に独立していることが望ましい。
ビア14の形状は円柱状に限るものではなく、角柱、楕円柱、円錐台、角錐台など、任意の形状でよい。ただし、作製の容易さの点から円柱状ないし楕円柱状が望ましい。また、ビア14は必ずしも誘電体基板10を貫通していなくともよい。しかし、貫通していないとビア14によって反射されずに透過してしまう電磁波が発生し、指向性の歪みに影響するため、貫通していることが望ましい。なお、ビア14を円柱以外の形状とする場合、上記のビア14の直径とは、ビア14を内包する外接円の直径とする。
実施例1のアンテナ装置では、誘電体基板10の端部に帯状導体13とビア14が設けられているため、誘電体基板10端部からの電磁波の放射が低減される。その原理について図4を参照に説明する。
まず、誘電体基板10端部に帯状導体13とビア14が設けられていない従来のアンテナ装置を考える。この場合、図4(a)のように、アンテナ11から発生した電磁波の一部は誘電体基板10内部を伝搬し、誘電体基板10の端部に達すると、端部から空間に電磁波が放射される。この端部から放射される電磁波は、アンテナ11から放射される電磁波に干渉し、アンテナ11の指向性に周期的な歪みが生じる。
次に、誘電体基板10の端部に帯状導体13とビア14が設けられている実施例1のアンテナ装置を考える。この場合、誘電体基板10内部を伝搬する電磁波は、ビア14によって反射され、帯状導体13のアンテナ11側の側辺から放射される。ここで、その側辺には凹凸形状13aが設けられている。そのため、放射は主として凹凸形状13aの三角形の凸部130、131の頂点から生じる。三角形の凸部130と三角形の凸部131とでは、その高さが異なっており、三角形の凸部130の頂点130aから放射される電磁波と、三角形の凸部131の頂点131aから放射される電磁波とでは、高さの差に相当する分の位相が異なっている。ここで、三角形の凸部130と三角形の凸部131の高さの差は、管内波長の1/2となるように設定されている。そのため、三角形の凸部130、131の頂点130a、131aから放射される電磁波の位相差はπであり、キャンセルされる。すなわち、実施例1では、帯状導体13の凹凸形状13aによって電磁波の放射位置に差を設け、その差に起因する位相差によって電磁波がキャンセルするようにしているのである。以上が、実施例1のアンテナ装置において誘電体基板10の端部からの不要放射が低減される理由である。
実施例1のアンテナ装置では、帯状導体13、ビア14に微細な加工が必要なく、加工精度もそれほど高くなくてよいので、製造が容易であり歩留りもよく、アンテナ装置のコストを低減することができる。また、帯状導体13は、短手方向(幅方向)の長さに特に制限はなく、製造可能な範囲で短くすることができる。そのため、帯状導体13の占める面積が小さくて済むので、アンテナ装置全体の大きさも小型とすることができる。
図5は、実施例1のアンテナ装置の指向性を示したグラフである。指向性は、水平面におけるものであり、周波数76.5GHzの電磁波の受信特性を示している。比較のため、帯状導体13とビア14を設けていないアンテナ装置(比較例のアンテナ装置)についての指向性もグラフに示している。
図5のように、実施例1、比較例のいずれのアンテナ装置の場合にも、指向性にリップル(周期的な脈動)が見られることがわかる。これは、誘電体基板10端部からの放射がアンテナ11からの放射に干渉することに起因する。このリップルは、実施例1のアンテナ装置の方が、比較例のアンテナ装置に比べて低減されており、指向性の歪みが低減されていることがわかる。たとえば、−20°から−30°付近のリップルの山と谷の差は、比較例の場合はおよそ0.7dBであるのに対し、実施例1では0.4dBとなっている。このように、凹凸形状13aを有した帯状導体13とビア14を設けたことで、誘電体基板10端部からの放射が抑制され、指向性の歪みが低減されていることがわかる。
図6は、実施例2のアンテナ装置の構成を示した図である。実施例2のアンテナ装置は、実施例1のアンテナ装置の帯状導体13、ビア14を、以下に説明する帯状導体23、ビア24に替えたものである。他の構成は実施例1のアンテナ装置と同様である。
帯状導体23は、図6のように、帯状導体13のアンテナ11側の側辺に凹凸形状13aを設けず、直線状のパターンとしていることである。それ以外は帯状導体13と同様の構成である。
ビア24は、実施例1のビア14と同様に、誘電体基板10を貫通する円柱状の孔を導電性材料で埋めた構造体であるが、その配列パターンが異なっている。ビア24の直径、形状、配列間隔などはビア14と同様である。
ビア24は、図6に示すように、全体としてはy軸方向(帯状導体23の長手方向)に沿った配列パターンであるが、矩形のノコギリ歯状に蛇行した周期的な配列パターン(凹凸パターン)となっている。より詳細には、誘電体基板10の短辺10bに近い側にy軸方向に沿って配列された複数のビア24a、x軸方向に沿って配列された複数のビア24b、よりアンテナ11に近い側にy軸方向に沿って配列された複数のビア24c、複数のビア24a、・・・の順に繰り返し配列されている。ビア24bは必ずしも必要ではないが、ビア24によって反射されずに透過してしまう電磁波を低減して不要放射を低減するためには設けるのがよい。
このビア24の配列パターンにおける凹凸パターンの高さの差、すなわち、x軸方向におけるビア24aとビア24cの距離は、管内波長の1/2に設定している。つまり、ビア24bのx軸方向の配列の長さが管内波長の1/2である。また、ビア24a、24cのy軸方向の配列の長さは、管内波長の1/2に設定している。そのため、ビア24の配列パターンは、周期が管内波長となっている。
なお、ビア24の配列パターンは上記に限るものではない。実施例1の凹凸形状13aのように、高さの異なる三角形状を周期的に配列したパターンとしてもよいし、図7のように矩形や円形の凸部が周期的に配列した凹凸パターンとしてもよい。実施例2では、ビア24a、24cの2段階に、x軸方向の配列位置が異なるパターンとしているが、3段階以上に配列位置を変化させるものであってもよい。要するに、ビア24の配列パターンにおけるx軸方向の配列位置が、2段階以上変化するように形成されていればよく、必ずしも周期的な配列でなくともよい。ただし、誘電体基板10端部からの不要放射低減の観点から、ビア24の配列パターンは、以下のようにすることが望ましい。
このビア24の配列パターンにおける凹凸パターンの高さの差、すなわち、x軸方向におけるビア24の配列位置の差が、管内波長の1/2の奇数倍の0.8〜1.2倍となるような形状とすることが望ましい。これにより誘電体基板10端部からの不要放射をより低減することができる。より望ましくは管内波長の1/2の奇数倍の0.9〜1.1倍であり、さらに望ましくは管内波長の1/2の奇数倍の0.95〜1.05倍である。同様の理由により、ビア24の配列パターンは、y軸方向に周期的なパターンとすることが望ましく、その周期は管内波長以下とすることが望ましい。
ビア24を凹凸パターンに配列する範囲は、y軸方向において少なくとも複数のアンテナ素子16全体を含む範囲に設けるとよい。誘電体基板10端部からの不要放射をより低減することができる。
この実施例2のアンテナ装置では、誘電体基板10の内部を伝搬し、短辺10b側に向かう電磁波は、ビア24によって反射され、帯状導体23のアンテナ11側の側辺23aから放射される。ここで、ビア24の配列パターンが上記のようにx軸方向の配列位置が周期的に異なる凹凸パターンに設定されているため、ビア24のうち、誘電体基板10の短辺10bに近い側のビア24aと、アンテナ11に近い側のビア24cとでは、反射位置に違いがある。そして、ビア24aから帯状導体23のアンテナ11側の側辺23aまでの距離と、ビア24cから側辺23aまでの距離に違いがある。この距離の違いによって、側辺23aから放射される電磁波に位相差が生じる。ここで、ビア24aとビア24cの距離が管内波長の1/2に設定されているため、位相差はπとなり、電磁波同士が互いにキャンセルする。その結果、誘電体基板10の端部からの放射が低減される。つまり、ビア24の配列パターンを凹凸パターンとすることで、ビア24による電磁波の反射位置が異なるようにし、その反射位置の差に起因する位相差によって、帯状導体23のアンテナ11側の側辺23aから放射される電磁波同士がキャンセルするようにしているのである。以上が、実施例2のアンテナ装置において誘電体基板10の端部からの不要放射が低減される理由である。
[変形例]
実施例1では、帯状導体13のアンテナ11側の側辺に凹凸形状13aを設け、帯状導体13からの電磁波の放射位置を変えることで相互に電磁波がキャンセルするようにしており、実施例2では、ビア24の配列パターンを凹凸形状にして、電磁波の反射位置を変えることで相互に電磁波がキャンセルするようにしているが、その双方の構成を備えていてもよい。
実施例1のアンテナ装置では、鉛直方向はビーム幅が狭く、誘電体基板10の端部からの不要放射が指向性に与える影響は少ないが、水平方向はビーム幅が広く、指向性の歪みの影響が大きい。そこで、実施例1、2では、アンテナ11の水平方向左右にアンテナ11を挟むように2つの帯状導体を設けている。しかし、鉛直方向に不要放射を抑制したいのであれば、鉛直方向上下にアンテナ11を挟むよう2つの帯状導体を設けてもよい。もちろん、左右、上下の4方すべてに設けてもよい。要するに、不要放射を抑制したい側に帯状導体を設ければよい。帯状導体の長手方向と誘電体基板10の側辺とを平行に揃える必要もないが、作製の容易さからは揃えるのがよい。
また、実施例1、2では、帯状導体の長手方向とビアの配列方向を揃えている。しかし、凹凸形状のパターンやビアの配列パターンによって帯状導体のアンテナ側の側辺から放射される電磁波同士に位相差が生じるように設定されているのであれば、帯状導体の長手方向とビアの配列方向は揃えなくともよい。ただし、設定、作製の容易さから、帯状導体の長手方向とビアの配列方向は揃えることが望ましい。
実施例1、2のアンテナ装置は、ミリ波帯の電磁波を送受信するものであるが、本発明はミリ波帯以外の波長帯の電磁波を送受信するものにも適用可能である。ただし、本発明はミリ波帯のアンテナ装置、特に、50〜100GHz帯のアンテナ装置として有効である。従来のミリ波帯のアンテナ装置では、誘電体基板端部からの不要放射を抑制するために微細な構造を必要としていたが、本発明のアンテナ装置はミリ波帯であっても微細な構造を必要としないため、作製が容易であり、装置の低コスト化や歩留り向上に有利である。
本発明は、車載レーダのアンテナ装置などに用いることができる。
10:基板
11:アンテナ
12:グランド板
13、23:帯状導体
13a:凹凸形状
14、24:ビア
15:給電線路
16:アンテナ素子
130、131:三角形の凸部
132:矩形の凸部
133:円形の凸部

Claims (10)

  1. 誘電体基板と、前記誘電体基板の表面に設けられた導体パターンからなるアンテナ素子と、前記誘電体基板の裏面に設けられたグランド板と、を有したアンテナ装置において、
    前記誘電体基板表面に、前記アンテナ素子から離間して設けられた帯状の導体パターンである帯状導体と、
    前記帯状導体と前記グランド板とを接続し、前記帯状導体の長手方向に配列された複数のビアと、
    を有し、
    前記帯状導体の前記アンテナ素子側の側辺のパターンと、前記ビアの配列パターンの少なくとも一方を、前記アンテナ素子方向に高さの異なる凹凸パターンとした、
    ことを特徴とするアンテナ装置。
  2. 前記帯状導体の前記アンテナ素子側の側辺のパターンのみを、前記アンテナ素子方向に高さの異なる凹凸パターンとしたことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
  3. 前記ビアの配列パターンのみを、前記アンテナ素子方向に高さの異なる凹凸パターンとしたことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
  4. 前記凹凸パターンの高さの差が、管内波長の1/2の奇数倍の0.8〜1.2倍となるようにした、ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
  5. 前記凹凸パターンは、前記帯状導体の長手方向に周期的なパターンであり、その周期は空間波長以下である、ことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
  6. 前記凹凸パターンは、高さの異なる三角形の凸部が交互に配列されたパターンである、ことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
  7. 前記凹凸パターンは、矩形または円形の凸部が交互に配列されたパターンである、ことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
  8. 前記ビアの間隔は、管内波長の1/2以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
  9. 前記ビアの直径は、管内波長の0.2倍以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
  10. 前記アンテナ素子は、ミリ波帯の電磁波を送受信する素子である、ことを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
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