通常、有機EL素子の発光層が発する光は、外部へ放射されるまでに損失する。光の損失の主要な原因は、1)透光性基板と空気との界面での全反射、2)透明電極と透光性基板との界面での全反射、および3)陰極での表面プラズモン吸収を含む。
透光性基板の空気側の表面に光を散乱させる構造を設けることで、1)透光性基板と空気との界面での全反射を抑制することができる。また、透光性基板の透明電極側の面に光を散乱させる構造を設けることで、2)透明電極と透光性基板との界面での全反射を抑制することができる。3)陰極での表面プラズモン吸収については、陰極に凹凸構造を設けることにより、表面プラズモン吸収による光の損失を抑制することが知られている。
本発明の第1の実施形態の有機EL素子の構成例を、図2に示す。図2の構成例では、透光性基板10の上に、透明電極20、凹凸構造層30、発光層40、および陰極50がこの順に積層されている。
透光性基板10は、高い透明性および発光層40の劣化を防ぐための高いバリア性が要求される。そのため、一般的には、透光性基板10はガラス基板であるが、これに限定されない。透光性基板10を形成するための材料は、ガラス、各種プラスチック、およびシリコンを含む。透光性基板10は、単一層であってもよいし、複数の層を含む積層構造であってもよい。透光性基板10は、0.1mm〜1mmの厚さを有することが望ましい。
透明電極20は、高い透明性および導電性を備えた材料が用いて形成される。本実施形態の有機EL素子において、透明電極20は陽極として用いられる。透明電極20は、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、ZnO、CuI、SnO2などの無機導電膜、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸との混合物(PEDOT/PSS)などの有機導電膜、または、高分子材料に銀ナノワイヤーを分散させた銀ナノワイヤインクなどの複合導電膜であってもよいが、これらに限定されない。透明電極20は、用いる材料の特性に依存して、蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、印刷法などの当該技術において知られている任意の方法で形成することができる。
発光層40は、当該技術において知られている任意の低分子材料および/または高分子材料を用いて形成される。発光層40は、発光機能を有する少なくとも1つの層(狭義の「発光層」)を含むことを条件として、単一層であっても、複数種の層の積層構造であってもよい。発光層40は、狭義の発光層に加えて、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、および/または電子注入層を含んでもよい。発光層40は、用いる材料の特性に依存して、蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、印刷法などの当該技術において知られている任意の方法で形成することができる。
陰極50は、反射性を有する金属材料を用いて形成される。用いることができる反射性を有する金属材料は、アルミニウム、銀などを含む。
凹凸構造層30は、その上に形成される発光層40を介して、陰極50の発光層40側の表面に凹凸構造を付与するための層である。凹凸構造層30の陰極50側の表面は、式(I)
(式中、ε1は発光層40の比誘電率であり、ε2は陰極50の比誘電率であり、Re()は複素数の実部を取り出す関数であり、λは発光層40の発光スペクトルの中心波長である)
で求められる空間周波数νを有する凹凸構造を有する。陰極50の発光層40側の表面は、凹凸構造層30にならった凹凸構造を有する。具体的には、陰極50の発光層40側の表面は、凹凸構造層30の陰極50側の表面の凸部に相当する位置に凹部を有し、凹凸構造層30の陰極50側の表面の凹部に相当する位置に凸部を有する。したがって、陰極50の発光層40側の表面の凹凸構造は、凹凸構造層30の陰極50側の表面の凹凸構造と同じ空間周波数νを有する。
凹凸構造は、フーリエ変換により求められる二次元空間周波数スペクトルにより、特徴づけられる。具体的には、座標(x,y)における凸部の高さz=f(x,y)について、x軸方向の空間周波数成分uおよびy軸方向の空間周波数成分vを変数とするF(u,v)を以下の式で求める。空間周波数νは、ν=(u2+v2)1/2の式で求められる。以下の式において、x方向の標本数Mおよびy方向の標本数Nは、大きくなるほど構造を正確に表すことができる。構造の凸部および凹部を一組とした単位周波数の幅に対して標本化定理により、それぞれ、x方向およびy方向の両方において、標本点の間隔を単位周波数の幅の半分以下となるように決定される。
凹凸構造の空間周波数νを、所与の発光層40および陰極50について式(I)で求められる値に一致されることによって、発生した表面プラズモンを光に再変換し、表面プラズモン吸収を抑制できることが知られている。所与の発光層40および陰極50について式(I)で求められる空間周波数νは、図3に示すような円環状の二次元空間周波数スペクトル200で表される。図4に、図3の二次元空間周波数スペクトル200を逆フーリエ変換して得られる凹凸構造を示す。図4に示す凹凸構造を有する陰極50は、全方位において高い光取り出し効果(表面プラズモン吸収を抑制する効果)を示す。
図3に示すような二次元空間周波数スペクトルを逆フーリエ変換することにより、凹凸構造層30の表面の凹凸構造が得られる。本発明における逆フーリエ変換は、x軸方向の空間周波数成分uおよびy軸方向の空間周波数成分vにおけるF(u,v)について、座標(x,y)を変数とする凹部の深さf(x,y)を以下の式で求める。
逆フーリエ変換により得られる凹凸構造は、たとえば0〜255の範囲で離散的に変化する高さf(x,y)を有する。本実施形態においては、透明電極20を露出させて、発光区域100を形成することが必要である。そこで、二値化処理を実施して、凹凸構造層30を複数の別個の部分からなる不連続層とする。たとえば、0〜255の範囲で離散的に変化する高さf(x,y)を有する凹凸構造に対して、特定の閾値T未満の高さを有する部分について、高さを0とし、それ以外の部分を高さを255とすることができる。高さが0の部分は、凹凸構造層30が存在せず、透明電極20が発光層40と接触する発光区域100となる。一方、高さが255の部分は、凹凸構造層30の存在により透明電極20が発光層40と接触しない、非発光区域150となる。閾値Tは、たとえば中央値である127に設定してもよいし、発光区域100と非発光区域150との面積比率の調整などを目的として他の数値に設定してもよい。閾値Tによる二値化に代えて、大津の二値化などを実施してもよい。あるいはまた、凹凸構造層30の高さf(x,y)が0となる発光区域100を設けることを条件として、凹凸構造層30の高さf(x,y)を三値化、四値化して、表面プラズモン吸収を抑制する効果を向上させてもよい。
本発明において、「空間周波数νを有する凹凸構造」とは、当該構造の凸部の高さをフーリエ変換することによって得られた二次元空間周波数スペクトルF(u,v)において、空間周波数νに相当する座標(u,v)の5%以上、好ましくは30%以上において、F(u,v)の値が閾値Th以上であることを意味する。閾値Thは、フーリエ変換像全体におけるF(u,v)の最大値の10%以上であってもよく、好ましくは50%以上であってもよい。ここで、フーリエ変換によって得られた二次元空間周波数スペクトルF(u,v)から、直流成分を除外することが望ましい。ここで、「直流成分」とは、1/L(mm−1)以下の空間周波数を有する成分を意味する(式中、Lは、フーリエ変換前の画像の横方向の長さである)。
凹凸構造層30は、熱硬化性樹脂、酸化重合性樹脂、反応性硬化型樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などの絶縁性材料を用いて形成することができる。用いることができる熱硬化性樹脂は、フェノール樹脂、ウレア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂(不飽和ポリエステル樹脂を含む)などを含む。用いることができる紫外線硬化性樹脂および電子線硬化性樹脂は、ウレタン系モノマー、アクリル系モノマー、エポキシ系モノマーなどと、紫外線重合開始剤または電子線重合開始剤などとを含む。用いることができる熱可塑性樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルなどのビニル系ポリマー、および、ポリエステル、ポリアミドなどの縮合系ポリマーを含む。凹凸構造の形成を容易にするために、紫外線硬化性樹脂または電子線硬化性樹脂を用いることが望ましい。あるいはまた、紫外線などの化学線を照射した部位の現像液に対する溶解性が向上する、いわゆる「ポジ型」フォトレジストを用いて、凹凸構造層30を形成してもよい。
逆フーリエ変換および二値化により得られた凹凸構造用の画像データを、たとえば電子線描画装置を用いてレジスト上に描画し、現像処理をすることで、レジスト上へ凹凸構造を作製することができる。透明電極20上に形成したレジストに描画および現像処理を行うことによって、凹凸構造層30を形成してもよい。しかしながら、凹凸構造から電鋳版を作製し、さらにその電鋳版の凹凸構造を樹脂膜に転写することで、量産性を向上させることができる。電鋳版からの樹脂膜への転写は、電鋳版をロールに巻き付け、たとえばPETなどのロールフィルム上の樹脂膜に電鋳版を押圧することでロール−トゥ−ロール・プロセスでの成形も可能となる。ここで、熱硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂からなる樹脂膜を用いて、加熱または紫外線照射による樹脂膜の硬化を行ってもよい。
なお、凹凸構造層30の高さを大きくするほど、光学的特性は良好となる。しかしながら、凹凸構造層30の高さの増大は、有機EL素子中の透明電極20と陰極50とのショートの危険性を高める。素子構造にも依存するが、凹凸構造層30の最大高さを、約20nm〜約100nmの範囲内とすることが好ましい。
上記の構成を採用することにより、凹凸構造層30が存在しない発光区域100において、発光層40は、透明電極20の平坦な表面上に形成される。このため、凹凸構造によって製膜が阻害されず、均一な膜厚の発光層40を形成することが可能となる。特に、積層構造の発光層40を形成する場合、各構成層の膜厚もまた均一となり、安定した発光を得ることができる。さらに、発光区域100内の発光層40の直下に凹凸構造層30が存在しないことにより、凹凸構造層30を形成する樹脂材料からの水分および/またはアウトガスの影響が排除され、発光層40の特性劣化を防止することができる。加えて、発光区域100および非発光区域150を形成する凹凸構造層30の周期構造を反映させて陰極50の表面に凹凸構造を形成することによって、陰極50表面におけるプラズモン吸収を抑制して、外部取り出し効率を向上させることができる。
また、発光層40が発する光は、完全にランダムな方向へ放射される。発光区域100に凹凸構造層30が存在しないため、発光層40から垂直に近い方向に放射される光は、凹凸構造層30を経由せずに外部に放射される。このような光については、凹凸構造層30の材料の光吸収による損失を防止することができる。一方、発光層40から水平に近い方向に放射される光は、凹凸構造層30を経由して外部へ放射される可能性がある。凹凸構造層30を経由する外部への放射の可能性を高めるために、発光層40と凹凸構造層30との界面における全反射を防止することが望ましい。この目的のために、凹凸構造層30は、発光層40よりも大きな屈折率を有することが望ましい。
透光性基板10の上に、50nmの膜厚を有する酸化インジウムスズ(ITO)からなる透明電極20を形成した。1/282nm−1の空間周波数を含む図3の二次元空間周波数スペクトルの逆フーリエ変換および二値化処理により、凹凸構造を計算した。ここで、凹凸構造の最大高さ(凹凸面の最低点と最高点との間のz方向の距離)を50nmとした。ZrO2の微粒子を添加して屈折率を1.50〜1.80の範囲で調整した材料を用いて、透明電極20上に、上記の計算で得られた凹凸構造を有する凹凸構造層30を形成した。さらに、凹凸構造層30の上に、70nmの膜厚を有する4,4’−ビス(N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ)ビフェニル(α−NPD)膜および60nmの膜厚を有するトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)膜からなる発光層40、および100nmの膜厚を有するアルミニウムからなる陰極50を積層して、図2に示す有機EL素子を作製した。
凹凸構造層30を形成せずに作製した有機EL素子から外部に取り出される全光束を1.0として、上記の有機EL素子の光取り出し倍率を測定した。結果を図5に示す。図5から、凹凸構造層30の屈折率を1.7以上とすることによって、光取り出し効率が向上することが分かった。
凹凸構造層30の屈折率の調整には、ZrO2またはTiO2の微粒子を用いることができる。この場合のZrO2微粒子およびTiO2微粒子は、屈折率を調整する機能のみを有し、光を散乱する機能をほとんど持たない。また、これら微粒子は、ナノメートルのオーダーの粒径を有し、光散乱性微粒子と区別することが可能である。
さらに、可視範囲の波長λに対応する空間周波数νは、肉眼の解像度よりも充分に小さい。したがって、逆フーリエ変換におけるxおよびy方向の標本数MおよびNを充分に大きくすることにより、凹凸構造の凹部および凸部の寸法が肉眼の解像度よりも小さくなり、発光区域100と非発光区域150とを肉眼で認識することができなくなる。このような構造を採ることにより、発光区域100と非発光区域150とが混在していても、肉眼では、本実施形態の有機EL素子は、全面にわたって実質的に均一な発光強度を有する面発光光源として認識される。
本実施形態の変形例として、発光層40の発光スペクトルのピーク波長をλpとし、波長λにおける強度をS(λ)とし、S(λ)>S(λp)/100が成立する最小波長をλminとし、S(λ)>S(λp)/100が成立する最大波長をλmaxとし、kを0.8より大きい実数とし、式(II)
λ1=k×λmin (II)
で得られるλ1を式(I)のλに代入して求められる空間周波数ν1とし、
式(III)
λ2=(1/k)×λmax (III)
で得られるλ2(ただし、λ1<λ2であることを条件とする)を式(I)のλに代入して求められる空間周波数ν2とした時に、
凹凸構造層30の陰極50側の表面のフーリエ変換像は、ν2以上ν1以下の空間周波数νを含んでもよい。
本発明において、「ν2以上ν1以下の空間周波数を含む凹凸構造」とは、当該構造の凸部の高さをフーリエ変換することによって得られた二次元空間周波数スペクトルF(u,v)において、ν2以上ν1以下の空間周波数νに相当する座標(u,v)の5%以上、好ましくは30%以上において、F(u,v)の値が閾値Th以上であることを意味する。閾値Thは、フーリエ変換像全体におけるF(u,v)の最大値の10%以上であってもよく、好ましくは50%以上であってもよい。この場合にも、フーリエ変換によって得られた二次元空間周波数スペクトルF(u,v)から、直流成分を除外することが望ましい。
このように、発光層の発光スペクトルS(λ)を基準として凹凸構造層30の表面の凹凸構造の空間周波数の範囲を決定することにより、陰極50表面において表面プラズモン吸収より効率的に抑制することができる。
式(II)および(III)において、kの値を0.5〜1.2までの8水準に変化させて、(ν1,ν2)の8個の組を得た。続いて、白色部の内側円周の空間周波数をν2とし、外側円周の空間周波数をν1とする、図3の二次元空間周波数スペクトルの逆フーリエ変換および二値化処理により、凹凸構造を計算した。ここで、凹凸構造の最大高さ(凹凸面の最低点と最高点との間のz方向の距離)を50nmとした。透光性基板10の上に、50nmの膜厚を有する酸化インジウムスズ(ITO)からなる透明電極20を形成した。続いて、透明電極20上に、屈折率1.5の樹脂とZrO2ナノ粒子とを混合して得られた屈折率1.7の結合剤樹脂を用いて、上記の計算で得られた凹凸構造を有する凹凸構造層30を形成した。さらに、70nmの膜厚を有する4,4’−ビス(N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ)ビフェニル(α−NPD)膜および60nmの膜厚を有するトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)膜からなる発光層40、および100nmの膜厚を有するアルミニウムからなる陰極50を積層して、図2に示す有機EL素子を作製した。
凹凸構造層30を形成せずに作製した有機EL素子から外部に取り出される全光束を1.0として、上記の有機EL素子の光取り出し倍率を測定した。結果を図6に示す。図6において、k≦0.7の範囲では光取り出し倍率が低く、kが0.8〜1.2の範囲で光取り出し倍率の向上が認められた。この結果から、kを0.8以上とすることで、光取り出し倍率が向上することが分かった。kの値の増大は、図3の白色部の幅の縮小を意味する。このことから、凹凸構造層30の表面の凹凸構造の空間周波数νの幅(すなわち、ν2−ν1)が特定の値よりも小さいことが、有機EL素子の光取り出し効率の向上に有効であることが分かる。
本実施形態の別の変形例として、発光層40の発光スペクトルが複数の発光ピーク波長λp1……λpnを有する場合、凹凸構造層30の陰極50側の表面が、λp1……λpnを式(I)のλに代入して求められる空間周波数νp1……νpnを含む凹凸構造であってもよい。たとえば、発光層が赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の各成分を含む発光スペクトルを有する白色発光有機EL素子の場合、凹凸構造層30の陰極50側の表面は、たとえば図7に示す二次元空間周波数スペクトルを有してもよい。図7の二次元空間周波数スペクトルは、赤色光に対応する二次元空間周波数スペクトル210r、緑色光に対応する二次元空間周波数スペクトル210g、および青色光に対応する二次元空間周波数スペクトル210bを含む。図7の二次元空間周波数スペクトルの逆フーリエ変換および二値化により得られる凹凸構造を凹凸構造層30の陰極50側の表面に付与することによって、赤色光、緑色光、および青色光の全てに関して、陰極50における表面プラズモン吸収を抑制することが可能となる。
あるいはまた、複数の成分を発する発光層40を用いる場合、特定の成分のピーク波長に対応する空間周波数を含む二次元空間周波数スペクトルを採用することによって、特定の成分のみにおいて表面プラズモン吸収を抑制することができる。この場合には、各成分の光取り出し効率を調整して、外部放射光の発光スペクトルの形状を変化させることができる。発光スペクトルの形状変化は、有機EL素子の演色評価指数および/または色温度の調整に有効である。
本実施形態の別の変形例として、光散乱性微粒子を含む凹凸構造層30を用いて、光の取り出し効率を更に向上させることができる。発光層40から斜め方向に放出され、凹凸構造層30に入射する光を、光散乱性微粒子によって散乱させることにより、透明電極20と透光性基板10との界面での全反射を抑制することができる。その結果として、非発光区域150から放出される光量を増大させることができる。
用いることができる光散乱性微粒子は、TiO2、SiO2、Al2O3、ZrO、CaCO3、BaSO4、およびMg3Si4O10(OH)2を含む。光散乱性微粒子の粒径は、凹凸構造層30の膜厚よりも小さいことが必要である。光散乱性微粒子は、5nmから100μmまでの粒径を有してもよい。
本変形例の凹凸構造層30は、5nmから100μmまでの膜厚を有することが望ましい。光散乱性微粒子の粒径は、凹凸構造層30の膜厚よりも小さいことが必要である。凹凸構造層30の膜厚を5nm以上とすることにより、適切な粒径を有し、十分な散乱性を有する光散乱性微粒子を用いることができる。凹凸構造層30の膜厚を100nm以下とすることにより、凹凸構造層30を構成する材料に含有される水分量を少なくして発光素子へのダメージを防止すること、凹凸構造層30が十分な光透過性を有すること、ならびに、凹凸構造層30に起因するリークを防止して素子不良の発生を抑制することが可能となる。
本発明の第2の実施形態の有機EL素子の構成例を、図8に示す。図8の構成例では、透光性基板10の上に、透明電極20、第1散乱層60、凹凸構造層30、発光層40、および陰極50がこの順に積層されている。第2の実施形態の有機EL素子の垂直方向から観察した場合、第1散乱層60は、凹凸構造層30と同一の形状を有する。言い換えると、第1散乱層60または凹凸構造層30のいずれか一方のみが存在する区域はない。したがって、第1散乱層60および凹凸構造層30が積層されている区域が、非発光区域150となり、それ以外の区域が発光区域100となる。
第1散乱層60は、熱硬化性樹脂、酸化重合性樹脂、反応性硬化型樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などを用いて形成することができる。用いることができる熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、および熱可塑性樹脂は、凹凸構造層30の形成に用いることができる材料と同等である。また、第1散乱層60は、光散乱性微粒子を含む。用いることができる光散乱性微粒子は、TiO2、SiO2、Al2O3、ZrO、CaCO3、BaSO4、およびMg3Si4O10(OH)2を含む。光散乱性微粒子は、5nmから100μmまでの粒径を有してもよい。
本実施形態の第1散乱層60は、5nmから100μmまでの膜厚を有することが望ましい。光散乱性微粒子の粒径は、第1散乱層60の膜厚よりも小さいことが必要である。第1散乱層60の膜厚を5nm以上とすることにより、適切な粒径を有し、十分な散乱性を有する光散乱性微粒子を用いることができる。第1散乱層60の膜厚を100nm以下とすることにより、第1散乱層60を構成する材料に含有される水分量を少なくして発光素子へのダメージを防止すること、第1散乱層60が十分な光透過性を有すること、ならびに、第1散乱層60に起因するリークを防止して素子不良の発生を抑制することが可能となる。
本実施形態の有機EL素子は、発光層40から斜め方向に放出され、非発光区域150に入射する光を、第1散乱層60中の光散乱性微粒子によって散乱させることにより、透明電極20と透光性基板10との界面での全反射を抑制することができる。その結果として、非発光区域150から放出される光量を増大させることができる。
前述のように、凹凸構造層30の形成に転写法を用いることが有利である。しかしながら、凹凸構造層30が光散乱性微粒子を含有する場合、転写法による成形性が低下するという問題点がある。一方、第1散乱層60は、凹凸構造層30に要求される表面形状の特殊な設計を必要としない、光散乱性微粒子を含み、平坦な上表面を有する層である。従って、第1散乱層60は、転写法により形成することが可能である。そして、第1散乱層60と凹凸構造層30との位置合わせは、従来の印刷法における色合わせと同様の方法で実施することができる。前述の工程により、特殊設計の表面形状を有する凹凸構造層30と、特殊設計の表面形状を持たない第1散乱層60とを、個別に作成することが可能となる。また、別法として、一時的基板の上に所望の構造を反転した形状を有する反転凹凸層を形成する工程と、反転凹凸層の上に、凹凸構造層30となる透明材料の層、および第1散乱層60となる光散乱性微粒子含有材料の層をこの順に形成する工程と、透光性基板10の上に形成された透明電極20上に、前述の2つの層を転写する工程とを含む方法により、第1散乱層60および凹凸構造層30を同時に透明電極20上に形成することができる。ここで、反転凹凸層は、たとえば、紫外線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂などで形成される平坦な層に、所望の形状を有する電鋳版を押圧し、引き続いて、樹脂層を硬化させることによって形成することができる。また、透明電極20上に2つの層を転写する際に発光区域100となるべき領域に付着した透明材料および/または光散乱性微粒子含有材料を、エッチングなどの処理によって除去してもよい。以上のように、本実施形態では、光散乱性微粒子を含まない凹凸構造層30と、光散乱性微粒子を含む第1散乱層60とを分離することによって、転写法による成形性の低下を解消することが可能となる。
本発明の第3の実施形態の有機EL素子の構成例を、図9に示す。図9の構成例では、透光性基板10の上に、第2散乱層65、透明電極20、凹凸構造層30、発光層40、および陰極50がこの順に積層されている。本実施形態の第2散乱層65は、透光性基板10の一方の表面全体に設けられている。したがって、本実施形態の有機EL素子においては、第1の実施形態の有機EL素子と同様に、凹凸構造層30が積層されている区域が非発光区域150となり、それ以外の区域が発光区域100となる。
第2散乱層65に用いることができる光散乱性微粒子は、第1散乱層60と同様である。また、本実施形態においては、発光区域100を発する光の全てが第2散乱層65を通過することになるため、第2散乱層65は十分な光透過性を有することが重要である。光散乱性微粒子は、5nmから100μmまでの粒径を有してもよい。
本実施形態においては、第2散乱層65の上に透明電極20を形成するため、第2散乱層65の表面は平坦であることが好ましい。このため、第2散乱層65の膜厚は、含有する光散乱性微粒子よりも大きいことが望ましい。典型的には、本実施形態の第2散乱層65は、5nmから100μmまでの膜厚を有する。
また、必要に応じて、第2散乱層65と透明電極20との間に平坦性向上層(不図示)を設けてもよい。あるいはまた、第2散乱層65からの水分および/またはアウトガスによる発光層40の劣化を防止するために、第2散乱層65と透明電極20との間にバリア層(不図示)を設けてもよい。平坦性向上層およびバリア層の両方を積層してもよい。平坦性向上層およびバリア層は、1.7以上の屈折率を有することが望ましい。
本実施形態において、第2散乱層65は、パターニングを受けることなく、透光性基板10の全面にわたって形成される。そのため、第2散乱層65を形成するための樹脂の選択肢が広くなる。また、パターニング工程を必要としないことにより、製造方法を簡略化することが可能となる。
光散乱性微粒子の効果を確認するため、屈折率1.5の樹脂とZrO2ナノ粒子とを混合して、屈折率1.7の結合剤樹脂を形成した。結合剤樹脂の質量に基づいて10質量%のSiO2微粒子を結合剤樹脂に添加して、散乱性材料を得た。SiO2微粒子は500nmの粒径を有した。得られた散乱性材料を透光性基板10の上に塗布して、膜厚5μmの第2散乱層65を形成した。第2散乱層65の上に、50nmの膜厚を有する酸化インジウムスズ(ITO)からなる透明電極20を形成した。1/282nm−1の空間周波数を含む図3の二次元空間周波数スペクトルの逆フーリエ変換および二値化処理により、凹凸構造を計算した。ここで、凹凸構造の最大高さ(凹凸面の最低点と最高点との間のz方向の距離)を50nmとした。屈折率1.5の樹脂とZrO2ナノ粒子とを混合して得られた屈折率1.7の結合剤樹脂を用いて、透明電極20上に、上記の計算で得られた凹凸構造を有する凹凸構造層30を形成した。さらに、凹凸構造層30の上に、70nmの膜厚を有する4,4’−ビス(N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ)ビフェニル(α−NPD)膜および60nmの膜厚を有するトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)膜からなる発光層40、および100nmの膜厚を有するアルミニウムからなる陰極50を積層して、図2に示す有機EL素子を作製した。第2散乱層65および凹凸構造層30を形成せずに作製した有機EL素子から外部に取り出される全光束を1.0とすると、上記の有機EL素子の光取り出し倍率は1.85であった。この結果から、第2散乱層が光取り出し効率の向上に有効であることが分かった。
本発明の第4の実施形態の有機EL素子の構成例を、図10に示す。図10の構成例では、透光性基板10の上に、プリズム構造層70、平坦化層80、透明電極20、凹凸構造層30、発光層40、および陰極50がこの順に積層されている。本実施形態のプリズム構造層70および平坦化層80は、透光性基板10の一方の表面全体に設けられている。したがって、本実施形態の有機EL素子においては、第1の実施形態の有機EL素子と同様に、凹凸構造層30が積層されている区域が非発光区域150となり、それ以外の区域が発光区域100となる。
本実施形態のプリズム構造層70は、発光層40から斜め方向に放射される光を、平坦化層80との界面において素子垂直方向に偏向させ、外部取り出し効率を向上させるための層である。この目的のために、プリズム構造層70は、平坦化層80よりも小さい屈折率を有することが必要である。典型的には、プリズム構造層70の屈折率は1.7未満である。プリズム構造層70は、略四角錐形状の複数の部分から構成することが望ましい。それぞれの略四角錐形状部分の斜面と透光性基板10の表面とのなす角は、45度程度であることが望ましい。プリズム構造層70の屈折率および形状は、発光層40の材料および膜厚に依存して、適宜変更することができる。
本実施形態の平坦化層80は、プリズム構造層70の略四角錐形状部分に起因する凹凸を解消して、透明電極20を形成するための平坦な表面を提供するための層である。前述のように、プリズム構造層70との界面における光偏向を行うため、平坦化層80は、プリズム構造層70よりも大きい屈折率を有する。また、平坦化層80と透明電極20との界面における全反射による外部取り出し効率の低下を防止するために、平坦化層80と透明電極20との屈折率差を小さくすることが望ましい。これらの点を考慮して、平坦化層80は、典型的には1.70以上の屈折率を有する。
本実施形態の平坦化層80は、光散乱性微粒子を含んで、第3の実施形態の第2散乱層65と同様の機能をさらに有してもよい。用いることができる光散乱性微粒子は、第3の実施形態と同様であってもよい。さらなる変形例として、本実施形態の平坦化層80は、光散乱性微粒子を含む下層と、光散乱性微粒子を含まない上層とで構成されてもよい。
さらに、本実施形態の平坦化層80と透明電極20との間に、バリア層(不図示)を設けてもよい。バリア層は、平坦化層80からの水分および/またはアウトガスによる発光層40の劣化を防止する機能を有する。バリア層は、1.7以上の屈折率を有することが望ましい。
前述の第1〜第4の実施形態において、透光性基板10上のプリズム構造層70、透明電極20、陰極50などは、ロール−トゥ−ロール・プロセスにて製造することが可能である。また、前述のように、凹凸構造層30も、ロール−トゥ−ロール・プロセスにて製造することが可能である。さらに、有機材料からなる発光層40も、発光層40にポリマー材料などを用いることで、ロール−トゥ−ロール・プロセスにて製造することが可能である。従来のガラス基板上に有機EL素子の構成層を形成する場合と比較して、光散乱性フィルムをプラスチック製の一時的な基板上に成形し、その後に、粘着剤などを介してガラス基板上へ光散乱性フィルムを転写する工程を採用することも可能となる。したがって、ロール−トゥ−ロール・プロセスによる製造は、製造工程の簡略化、リードタイムの縮小、およびコストの低減に有利となる可能性がある。
(実施例1)
発光材料として用いるAlq3は556.3nmの中心波長を有するフォトルミネセンス(PL)発光スペクトルを有する。Alq3のPL発光スペクトルは、449.4nm〜663.2nmの範囲に、スペクトル全体の95%が包含される。この波長範囲の上限および下限は、前述の式(II)および(III)において、k=1.1として求めたλ1およびλ2に相当する。
ε1をAlq3の比誘電率(3.53)とし、ε2をAlの比誘電率(−31.47+9.21i)とし、λ1およびλ2を式(I)のλに代入して、ν1およびν2を、それぞれ1/226nm−1、および1/334nm−1に設定した。図11に示す二次元空間周波数スペクトル220において、1/334nm−1〜1/226nm−1を満たす空間周波数νの範囲における設計上の範囲をF(u,v)の値を最大値1.0(画像の階調としてはグレースケールの255)とし、当該範囲の外におけるF(u,v)の値を0.0(画像の階調としてはグレースケールの0)とした。図11に示す二次元空間周波数スペクトル220を逆フーリエ変換し、0〜1.0の範囲の値域を有するf(x,y)を得た。続いて、全ての(x、y)座標点において、f(x,y)≧0.5の場合にf(x,y)=1.0とし、f(x,y)<0.5の場合にf(x,y)=0とする二値化を行い、凹凸構造を得た。逆フーリエ変換および二値化によって得られた凹凸構造の一部を図12に示した。
100μmの膜厚を有するPETフィルムの一方の面上に、50nmの膜厚を有するITOからなる透明電極20を形成した。
UV反応型の樹脂とZrO2ナノ粒子とを混合して、屈折率1.7の材料(a)を得た。透明電極20の上に、得られた材料(a)を塗布し、上記で計算した凹凸構造を形成するように紫外線を照射し、現像処理を行って、凹凸構造層30を形成した。得られた凹凸構造層30の表面のAFM写真を図13に示す。このとき、凹凸構造層30の最大高さを50nmとするように作成した。続いて、PETフィルムの他方の面に、粘着フィルムを介してガラス基板を貼り合わせた。本実施例では、透光性基板10は、ガラス基板、粘着フィルムおよびPETフィルムの積層構造を有した。
次に、凹凸構造層30の上に、70nmの膜厚を有するα−NPD膜および60nmの膜厚を有するAlq3膜からなる発光層40、および100nmの膜厚を有するAl膜からなる陰極50を形成して、有機EL素子を得た。
(実施例2)
実施例1の材料(a)に、材料の質量に基づいて30%のSiO2微粒子を添加して、材料(b)を得た。SiO2微粒子は100nm〜100μmの範囲内の粒径を有した。材料(a)に代えて材料(b)を用いたことを除いて、実施例1の手順を繰り返して、光散乱性微粒子を含有する凹凸構造層30を含む有機EL素子を得た。
(比較例1)
凹凸構造層30を形成しなかったことを除いて、実施例1の手順を繰り返して、有機EL素子を得た。
(比較例2)
100μmの膜厚を有するPETフィルムの一方の面上に、実施例1の材料(a)を塗布し、実施例1で計算した凹凸構造を形成するように紫外線を照射し、現像処理を行って、凹凸構造層を形成した。続いて、PETフィルムの他方の面に、粘着フィルムを介してガラス基板を貼り合わせた。本比較例においても、透光性基板は、ガラス基板、粘着フィルムおよびPETフィルムの積層構造を有した。さらに、凹凸構造層に対するプラズマアッシング処理を行って、f(x,y)=0となる座標点において凹凸構造層を完全に除去した。
次に、透光性基板の凹凸構造層を形成した面上に、50nmの膜厚を有するITOからなる透明電極20、70nmの膜厚を有するα−NPD膜および60nmの膜厚を有するAlq3膜からなる発光層40、および100nmの膜厚を有するAl膜からなる陰極50を形成して、図1に示す構造を有する有機EL素子を得た。
(評価1)
凹凸構造層30を含まない比較例1の有機EL素子から外部に取り出される全光束を1.0として、実施例1および実施例2の有機EL素子の光取り出し倍率を測定した。図12に示す形状を有する凹凸構造層30を含む実施例1の有機EL素子は、比較例1の有機EL素子の1.83倍の光取り出し効率を示した。また、SiO2光散乱性微粒子を含有する凹凸構造層30を含む実施例2の有機EL素子は、比較例1の有機EL素子の2.01倍の光取り出し効率を示した。
次に、実施例1、比較例1、および比較例2の有機EL素子を、1mA/cm2の電流密度の電流で連続発光させ、作動初期の輝度L0、24時間経過時の輝度L24、96時間経過時の輝度L96、および168時間経過時の輝度L168を測定した。結果を、第1表に示す。
第1表から分かるように、透光性基板と透明電極との間に設けられた凹凸構造層を有する比較例2の有機EL素子は、時間経過とともに輝度が減少した。比較例2の有機EL素子において、経時とともに寸法が拡大するダークスポットが多数観察された。一方、透明電極20と発光層40との間に設けられた凹凸構造層30を有する実施例1の有機EL素子は、凹凸構造を持たない比較例1の有機EL素子とほぼ同等の耐久性を有することが分かる。以上の結果から、透明電極20と発光層40との間に設けられた凹凸構造層30は、外部取り出し効率の向上に寄与すると同時に、有機EL素子の耐久性に悪影響を与えないことが分かった。
(実施例3)
実施例1で使用した図12に示す凹凸構造では、凹凸構造層30を構成する1つの不連続部分(すなわち、非発光区域150)を示す黒色エリアが連続している部分が存在する。このような凹凸構造では、1つの不連続部分の全周長が長くなる。その結果、素子作製時の異物混入などの要因により透明電極20と陰極50とのショートが発生した場合に、該当する不連続部分に隣接する発光区域(すなわち、透明電極20と発光層40とが接触している区域)に、リークスポットが発生する恐れがある。この点に鑑みて、図11に示す二次元空間周波数スペクトル220を逆フーリエ変換して得られた凹凸構造に対してwaterShedのアルゴリズム(非特許文献1参照)を適用して、凹凸構造層30を構成する不連続部分(すなわち凸部)のそれぞれを微小単位に分割し、その後に実施例1と同様に二値化を行った図14に示す凹凸構造を得た。微小単位の面内寸法の最大値を1.0mm以下に設定した。
図12に示す凹凸構造に代えて図14に示す凹凸構造を用いたことを除いて、実施例1の手順を繰り返して有機EL素子を得た。
(評価2)
実施例1および実施例3の有機EL素子に関して、透明電極20と陰極50との間に印加する電圧を変化させて、電流密度の変化を測定した。有機EL素子におけるリーク電流の測定は、一般的に電圧をマイナスからプラスに変化させた際の電流密度を測定する。異物などの混入による欠陥が存在する場合、欠陥部分に集中的に電流が流れるため、抵抗値が低下し、電流密度が増大する。結果を図15に示す。同一の印加電圧において、実施例3の有機EL素子は、実施例1の有機EL素子よりも低い電流密度を示し、凹凸構造層30を微小単位に分割した効果が認められた。この結果は、実施例3の有機EL素子中の欠陥が、実施例1の有機EL素子よりも少ないことを意味する。また、実施例3の有機EL素子は、比較例1の有機EL素子の1.91倍の光取り出し効率を示した。