JP2017161751A - 調光装置およびパターン表示用調光パネル - Google Patents

調光装置およびパターン表示用調光パネル Download PDF

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Wataru Furihata
渉 降旗
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雅博 立沢
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千明 小幡
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勇樹 熊谷
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Abstract

【課題】本発明は、意匠性の付与が容易な調光装置を提供することを主目的とする。【解決手段】本発明は、第1調光パネルと、上記第1調光パネルに対して相対移動が可能な第2調光パネルと、意匠形状の第3位相差層を含む意匠表示部と、を備え、上記第1調光パネルが、位相変調を透過光に生じさせる第1a位相差領域および第2a位相差領域が一定の形状を有して一定の間隔をおいて交互に繰り返し配列された第1パターン位相差層と第1偏光層とを上記第2調光パネルに近接する側からこの順番で有し、上記第2調光パネルが、位相変調を透過光に生じさせる第1b位相差領域および第2b位相差領域が一定の形状を有して一定の間隔をおいて交互に繰り返し配列された第2パターン位相差層と第2偏光層とを上記第1調光パネルに近接する側からこの順番で有し、上記意匠表示部は、上記第1偏光層および上記第2偏光層の間に配置されることを特徴とする調光装置を提供することにより、上記課題を解決する。【選択図】図1

Description

本発明は、意匠性の付与が容易な調光装置に関するものである。
従来より、電圧等の外力を加えることで光透過率を変化させ、入射光量の調整を行う調
光装置が知られている。
このような調光装置としては、例えば、電圧に対して応答可能な配向粒子を分散した光調整懸濁液を樹脂マトリックス中に分散した調光層を透明導電性基材で挟持した調光シートを、透明基板の表面に備えるものがある(特許文献1参照)。これは、調光シートに電圧を印加し、電圧に対する配向粒子の応答により光の透過量を調整することで、表示の切替を行うものである。
詳しくは、上記調光シートに電圧を印加すると、調光層内の配向粒子が配向するため、入射光が調光シートを透過することができ、調光装置は外部を明瞭に視認可能な透明な状態(以下、明状態と称する。)となる。
一方、上記調光シートに電圧が印加されない状態では、配向粒子は配向しないため、入射光は上記配向粒子のブラウン運動により吸収、散乱または反射されてしまう。そのため、光が調光シートを透過できず、調光装置は遮光により外部が視認できない状態(以下、暗状態と称する。)となる。
しかし、上記調光シートは、電圧の印加により配向粒子を配向状態に移行させ、または、電圧の印加を止めて配向粒子を無配向の状態に移行させるまでの時間が長く、調光装置の暗状態および明状態の切替を瞬時に行うことが困難であるという問題があった。
また、電圧を印加するために配線等を備える電極層と併用する必要があり、さらに、電圧を印加するための電力も必要であることから、調光装置の設置及び使用にかかるコストが高くなり、容易に使用することが困難であった。
これに対し、電圧の印加を必要とせず、容易に入射光量の調整を行うことが可能な調光パネルの開発が進められている。
例えば特許文献2では、調光装置として、透明基板上に、偏光板および位相変調を透過光に生じさせる第1位相差領域および第2位相差領域が一定の間隔をおいてストライプ状に形成されたパターン位相差層を有する2つの調光パネルを、各調光パネルのパターン位相差層が向かい合うようにして配置されてなる調光ガラスが開示されている。この場合、調光パネルは、上記偏光板およびパターン位相差層を合せた積層体をいう。
上記調光ガラスでは、2つの調光パネルのうち一方をスライド移動させ、双方のパターン位相差層における位相差領域のパターンの対応関係を変化させることで表示の切替を行うものである。以下、このようなスライド機構を利用した調光ガラスを「スライド式調光ガラス」と称する場合がある。
図13は、スライド式調光ガラスにおける調光機能について説明する説明図である。ここで、図13中のパターン位相差層40A、40Bは、第1位相差領域O1、O1’および第2位相差領域O2、O2’がストライプ状に交互に形成されたパターンを有するものであり、第1位相差領域O1、O1’および第2位相差領域O2、O2’の面内遅相軸aが直交するものである。また、第1位相差領域O1、O1’および第2位相差領域O2、O2’の面内レターデーションが、λ/4を示すものである。さらに、2枚の偏光板50A、50Bは偏光軸が直交関係を有するものとする。なお、ガラスについては図示を省略する。
図13(a)で示すように、光が調光パネル60Aから調光パネル60Bへ透過する場合において、偏光板50Aでは、入射する光L1の中から偏光板50Aの偏光軸方向Yと同一方向に振動する直線偏光L2のみを透過させる。直線偏光L2は、パターン位相差層40Aの第1位相差領域O1および第2位相差領域O2において、互いに逆向きにλ/4の位相差分回転され、円偏光L3に変換される。円偏光L3は調光パネル60Bに入射し、パターン位相差層40Bの第1位相差領域O1’および第2位相差領域O2’において、さらに互いに逆向きにλ/4の位相差分回転され、直線偏光L4に変換される。
このとき、パターン位相差層40Aおよび40Bは、例えば、対応関係にある第1位相差領域O1およびO1’は同一の面内遅相軸の方向、すなわち同一の配向方向を有することから、直線偏光の回転方向が同じになる。つまり、直線偏光L4は直線偏光L2の振動方向を90°回転させたものとなる。
このため、直線偏光L4の振動方向は、偏光板50Bの偏光軸方向Xと同一となることから、偏光板50Bを透過することができ、出射された光L5によりスライド式調光ガラス100は明状態となる。
一方、図13(b)は、図13(a)の調光パネル60Bを、位相差領域のパターンと直交する方向へスライド移動させた例を示すものである。この場合、パターン位相差層40Aおよび40Bにおいて、例えば、対応関係にある第1位相差領域O1および第2位相差領域O2’は面内遅相軸の方向が直交関係となることから、直線偏光の回転方向が逆になる。つまり、第1位相差領域O1においてλ/4の位相差分回転された円偏光は、第2位相差領域O2’において逆方向にλ/4の位相差分回転されることとなり、直線偏光L4は直線偏光L2の振動方向と同一となる。
このため、直線偏光L4の振動方向は、偏光板50Bの偏光軸方向Xと直交することとなり、偏光板50Bを透過することができず、スライド式調光ガラス100は暗状態となる。
特開2013−210670号公報 国際公開第2012/092443号
このようなスライド式調光ガラスは、明状態および暗状態の2つの状態を瞬時に切り替え可能であるが、画像を表示する等の意匠性の付与が困難であるといった問題がある。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、意匠性の付与が容易な調光装置を提供することを主目的とするものである。
上記課題を解決するために、本発明は、第1調光パネルと、上記第1調光パネルに対して相対移動が可能な第2調光パネルと、意匠形状の第3位相差層を含む意匠表示部と、を備え、上記第1調光パネルが、位相変調を透過光に生じさせる第1a位相差領域および第2a位相差領域が一定の形状を有して一定の間隔をおいて交互に繰り返し配列された第1パターン位相差層と第1偏光層とを上記第2調光パネルに近接する側からこの順番で有し、上記第2調光パネルが、位相変調を透過光に生じさせる第1b位相差領域および第2b位相差領域が一定の形状を有して一定の間隔をおいて交互に繰り返し配列された第2パターン位相差層と第2偏光層とを上記第1調光パネルに近接する側からこの順番で有し、上記意匠表示部は、上記第1偏光層および上記第2偏光層の間に配置されることを特徴とする調光装置を提供する。
本発明によれば、意匠表示部が位相差性を有する第3位相差層を含むものであることにより、第3位相差層が配置された箇所を透過する光の透過率をそれ以外の箇所を透過する光に対して変化させることができる。このため、本発明の調光装置は、例えば、第1調光パネルおよび第2調光パネルを暗状態または明状態となるように配置したときに、第3位相差層の意匠形状に応じた画像を明状態または暗状態で表示可能となる。
また、本発明の調光装置は、第1調光パネルおよび第2調光パネルの相対位置を変化させることで、第1調光パネルおよび第2調光パネルの両方を透過する光の透過率を変化させて明状態および暗状態を切り替えると同時に、意匠表示部を透過する光の透過率も変化させることができる。これにより、本発明の調光装置は、第3位相差層の意匠形状に応じた画像を、明状態および暗状態を切り替えて表示可能となる。
このため、本発明の調光装置は、意匠性の付与が容易なものとなる。
本発明においては、上記意匠表示部に含まれる上記3位相差層が、位相変調を透過光に生じさせる第1c位相差領域および第2c位相差領域が一定の形状を有して一定の間隔をおいて交互に繰り返し配列され、上記第3位相差層の上記第1c位相差領域および上記第2c位相差領域のパターンが、上記第1パターン位相差層の上記第1a位相差領域および上記第2a位相差領域のパターンに対応するものであることが好ましい。第3位相差層が、このようなパターンの位相差領域を有するものであることにより、本発明の調光装置は、第1調光パネルおよび第2調光パネルを暗状態または明状態となるように配置したときに、上記画像の全体を、色味等が均一な明状態または暗状態で表示可能となるからである。
本発明においては、上記意匠表示部が、上記第1調光パネルに貼合されていることが好ましい。意匠表示部は、例えば、第3位相差層の位相差領域のパターンと、第1パターン位相差層の位相差領域のパターンとが安定的に平面視上重なって一致させることが可能となる。このため、本発明の調光装置は、第1調光パネルおよび第2調光パネルを暗状態または明状態となるように配置したときに、上記画像の全体を、色味等が均一な明状態または暗状態で表示可能となるからである。
本発明は、第1偏光層と、上記第1偏光層の一方の表面に配置され、位相変調を透過光に生じさせる第1a位相差領域および第2a位相差領域が一定の形状を有して一定の間隔をおいて交互に繰り返し配列された第1パターン位相差層と、を有する第1調光パネルと、意匠形状の第3位相差層を含む意匠表示部と、を有し、上記意匠表示部が上記第1偏光層および上記第1パターン位相差層の間または上記第1パターン位相差層の上記第1偏光層とは反対側の表面に配置されるように、上記第1調光パネルに貼合されていることを特徴とするパターン表示用調光パネルを提供する。
本発明によれば、意匠表示部が第1調光パネルに貼合されていることにより、本発明のパターン表示用調光パネルは、第1調光パネルおよび第2調光パネルを暗状態または明状態となるように配置したときに、第3位相差層の意匠形状に応じた画像の全体を、色味等が均一な明状態または暗状態で表示可能な調光装置を容易に得ることができる。
本発明は、意匠性の付与が容易な調光装置を提供できるという効果を奏する。
本発明の調光装置の一例を示す上面図および図1(a)のA−A線断面図である。 本発明の調光装置を説明する説明図である。 本発明の調光装置を説明する説明図である。 本発明の調光装置を説明する説明図である。 本発明の調光装置を説明する説明図である。 本発明における意匠表示部の一例を示す概略平面図である。 図6の意匠表示部を用いた本発明の調光装置を説明する説明図である。 本発明における第3位相差層の一例および他の例を示す概略断面図である。 本発明の調光装置の他の例を示す概略図である。 図9の意匠表示部を用いた本発明の調光装置を説明する説明図である。 本発明の調光装置の他の例を示す概略平面図である。 本発明のパターン表示用調光パネルの一例および他の例を示す概略断面図である。 スライド式調光ガラスにおける調光機能について説明する説明図である。 実施例で作製された調光装置を撮影した画像である。 実施例で作製された調光装置を撮影した画像である。 実施例で作製された調光装置を撮影した画像である。 実施例で作製された調光装置を撮影した画像である。
本発明は、調光装置、その製造に用いることができるパターン表示用調光パネルに関するものである。
以下、本発明の調光装置およびパターン表示用調光パネルについて詳細に説明する。
A.調光装置
本発明の調光装置は、第1調光パネルと、上記第1調光パネルに対して相対移動が可能な第2調光パネルと、意匠形状の第3位相差層を含む意匠表示部と、を備え、上記第1調光パネルが、位相変調を透過光に生じさせる第1a位相差領域および第2a位相差領域が一定の形状を有して一定の間隔をおいて交互に繰り返し配列された第1パターン位相差層と第1偏光層とを上記第2調光パネルに近接する側からこの順番で有し、上記第2調光パネルが、位相変調を透過光に生じさせる第1b位相差領域および第2b位相差領域が一定の形状を有して一定の間隔をおいて交互に繰り返し配列された第2パターン位相差層と第2偏光層とを上記第1調光パネルに近接する側からこの順番で有し、上記意匠表示部は、上記第1偏光層および上記第2偏光層の間に配置されることを特徴とするものである。
このような本発明の調光装置について図を参照しながら説明する。図1(a)は、本発明の調光装置の一例を示す上面図であり、図1(b)は、図1(a)のA−A線断面図であり、調光装置の概略平面図である。
図1に例示するように、本発明の調光装置20は、第1調光パネル10aと、上記第1調光パネル10aに対して相対移動が可能な第2調光パネル10bと、意匠形状の第3位相差層1cを含む意匠表示部10cと、を備え、上記第1調光パネル10aが、位相変調を透過光に生じさせる第1a位相差領域P1aおよび第2a位相差領域P2aが一定の形状を有して一定の間隔をおいて交互に繰り返し配列された第1パターン位相差層1aと第1偏光層2aとを上記第2調光パネル10bに近接する側からこの順番で有し、上記第2調光パネル10bが、位相変調を透過光に生じさせる第1b位相差領域P1bおよび第2b位相差領域P2bが一定の形状を有して一定の間隔をおいて交互に繰り返し配列された第2パターン位相差層1bと第2偏光層2bとを上記第1調光パネル10aに近接する側からこの順番で有し、上記意匠表示部10cは、上記第1偏光層2aおよび上記第2偏光層2bの間に配置されるものである。
なお、この例では、意匠表示部10cは、第3位相差層1cが、位相変調を透過光に生じさせる第1c位相差領域P1cおよび第2c位相差領域P2cが一定の形状を有して一定の間隔をおいて交互に繰り返し配列されたパターン位相差層であり、第3位相差層1cの意匠形状が星型であるものである。また、第3位相差層1cであるパターン位相差層の位相差領域のパターンが、第1パターン位相差層1aおよび第2パターン位相差層1bの位相差領域のパターンに対応するものである。
また、この例では、第1調光パネル10aは、透明支持基板3aを第1偏光層2aの第1パターン位相差層1aとは反対側の面に有するものであり、第2調光パネル10bは、透明支持基板3bを第2偏光層2bの第2パターン位相差層1bとは反対側の面に有するものである。
本発明によれば、意匠表示部が位相差性を有する第3位相差層を含むものであることにより、第3位相差層が配置された箇所を透過する光の透過率を第1調光パネルおよび第2調光パネルのみを透過する光と比較して変化させることができる。このため、本発明の調光装置は、例えば、第1調光パネルおよび第2調光パネルを暗状態または明状態となるように配置したときに、第3位相差層の意匠形状に応じた画像を明状態または暗状態で表示可能となる。
また、本発明の調光装置は、第1調光パネルおよび第2調光パネルの相対位置を変化させることで、第1調光パネルおよび第2調光パネルの両方を透過する光の透過率を変化させて明状態および暗状態を切り替えると同時に、意匠表示部を透過する光の透過率も変化させることができる。これにより、本発明の調光装置は、第3位相差層の意匠形状に応じた画像を、明状態および暗状態を切り替えて表示可能となる。
このようなことから、本発明の調光装置は、意匠性の付与が容易なものとなる。
ここで、意匠表示部を有することにより、本発明の調光装置が、第3位相差層の意匠形状に応じた画像を表示可能となることについて図を参照して説明する。
図2および図3は、本発明の調光装置20を説明する説明図である。
ここで、図2中の第1パターン位相差層1a、第2パターン位相差層1bおよび第3位相差層1cは、それぞれ、第1a位相差領域P1aおよび第2a位相差領域P2a、第1b位相差領域P1bおよび第2b位相差領域P2b、第1c位相差領域P1cおよび第2c位相差領域P2cがライン状に交互に形成されたパターンを有するものであり、P1a、P1bおよびP1cの面内遅相軸の方向は、互いに平行であり、それぞれP2a、P2bおよびP2cの面内遅相軸の方向と直交するものである。また、P1a、P2a、P1b、P2bの面内レターデーションが、λ/4を示し、P1cおよびP2cの面内レターデーションがλ/2を示すものである。さらに、第1偏光層2aおよび第2偏光層2bは偏光軸が直交関係となるように配置されるものとする。またさらに、第1偏光層2aおよび第2偏光層2bは、その偏光軸がP1a、P2a、P1b、P2bの面内遅相軸の方向と±45°の角度となるように配置されるものとする。また、第1a位相差領域P1aでの直線偏光の振動方向の回転方向を順方向とする。
なお、以下、各位相差領域について図中の記号を用いて記載される場合がある。例えば、第2a位相差領域P2aは、P2aと記載される場合がある。
このような場合には、図2(a)で示すように、光が第1調光パネル10aから第2調光パネル10bへ透過する場合において、L1−1の光は、第1偏光層2a、P2a、P2bを透過する。この場合L1−1は、第1偏光層2aで直線偏光に変換された後、その光の振動方向がP2aおよびP2bでそれぞれ、逆方向にλ/4および逆方向にλ/4の位相差分回転され、合計で、−λ/2の位相差分回転(全体のReの絶対値=λ/2)され、振動方向が第2偏光層2bの偏光軸方向と同一の直線偏光に変換される。この変換後の直線偏光は、第2偏光層2bを透過することができ、明状態aとなる。同様に、L1−2の光も第2偏光層2bを透過することができ、明状態aとなる。
一方、L2−1の光は、第1偏光層2a、P2a、P1c、P2bを透過する。この場合L2−1は、その振動方向が、合計で、±0の位相差分回転(全体のReの絶対値=0)され、振動方向が第2偏光層2bの偏光軸方向と直交する直線偏光に変換される。この変換後の直線偏光は、第2偏光層を透過することができず、暗状態bとすることができる。同様に、L2−2の光も、その振動方向が、合計で、±0の位相差分回転(全体のReの絶対値=0)され、第2偏光層を透過することができず、暗状態bとすることができる。
したがって、意匠表示部に含まれる第3位相差層の意匠形状が既に説明した図1(c)に示すような星型形状である場合には、図3(a)に示すように暗状態bの星型形状の画像を視認することが可能となる。また、L2−1およびL2−2の光は、その振動方向がいずれも±0の位相差分回転された状態、すなわち、透過したそれぞれの位相領域による波長分散の影響の程度が同程度である状態となり、上記画像は、全体を透過率および色味が均一な暗状態とすることができる。
図2(b)は、図2(a)の第2調光パネル10bを、位相差領域のパターンと直交する方向へスライド移動させた例を示すものである。
この場合、L1−1の光は、第1偏光層2a、P2aおよびP1bを透過する。この場合L1−1は、その振動方向が、合計で、±0の位相差分回転(全体のReの絶対値=0)され、振動方向が第2偏光層2bの偏光軸方向に直交する直線偏光に変換される。この変換後の直線偏光は、第2偏光層を透過することができず、暗状態bとなる。
一方、L2−1の光は、第1偏光層2a、P2a、P1cおよびP1bを透過する。この場合L2−1は、その振動方向が、合計で、+λ/2の位相差分回転(全体のReの絶対値=λ/2)され、振動方向が第2偏光層2bの偏光軸方向と同一の直線偏光に変換される。この変換後の直線偏光は、第2偏光層を透過することができ、明状態aとすることができる。同様に、L2−2の光も、その振動方向が、−λ/2の位相差分回転(全体のReの絶対値=λ/2)され、第2偏光層2bを透過することができ、明状態aとなる。
したがって、意匠表示部に含まれる第3位相差層の意匠形状が既に説明した図1(c)に示すような星型形状である場合には、図3(b)に示すように明状態aの星型形状の画像を視認することが可能となる。また、L2−1およびL2−2の光は、その振動方向が、いずれも±λ/2の位相差分回転された状態、すなわち、透過したそれぞれの位相領域による波長分散の影響の程度が同程度の状態となり、上記画像は、全体を透過率および色味が均一な明状態aとすることができる。
このように、図2および図3の例では、第1調光パネルおよび第2調光パネルを暗状態または明状態となるように配置したときに、上記画像の全体を、色味等が均一な明状態または暗状態で表示可能となる。
また、図4は、図2中の第3位相差層1cが、面内遅相軸の方向がP1aの面内遅相軸の方向と平行であり、かつ、面内レターデーションがλ/2を示す単一位相差領域Pcを有する場合を示すものである。
この場合、図4(a)に示すように、L2−1の光は、第1偏光層2aで直線偏光に変換された後、その振動方向が、P2a、PcおよびP2bでそれぞれ、逆方向にλ/4、順方向にλ/2および逆方向にλ/4の位相差分回転され、合計で、±0の位相差分回転(全体のReの絶対値=0)され、第2偏光層を透過することができず、暗状態b−1とすることができる。
また、L2−2の光は、その振動方向が、合計で、+λの位相差分回転(全体のReの絶対値=λ)され、第2偏光層を透過することができず、暗状態b−2とすることができる。
したがって、第3位相差層がパターン位相差層である場合と同様に、意匠表示部に含まれる第3位相差層の意匠形状が既に説明した図1(c)に示すような星型形状である場合には、図5(a)に示すように暗状態の星型形状の画像を視認することが可能となる。また、L2−1およびL2−2の光は、その振動方向が、それぞれ±0および+λの位相差分回転された状態、すなわち、透過したそれぞれの位相差領域による波長分散の影響の程度が異なる状態となり、星型形状の画像は、異なる色味の暗状態b−1およびb−2を含むものとすることができる。
また、図4(b)は、図4(a)の第2調光パネル10bを、位相差領域のパターンと直交する方向へスライド移動させた例を示すものである。
この場合、図4(b)に示すように、L2−1の光は、その振動方向が、合計で、+λ/2の位相差分回転(全体のReの絶対値=λ/2)され、第2偏光層を透過することができ、明状態aとすることができる。
また、L2−2の光も、その振動方向が、合計で、+λ/2の位相差分回転(全体のReの絶対値=λ/2)され、第2偏光層を透過することができ、明状態aとすることができる。
したがって、第3位相差層がパターン位相差層である場合と同様に、意匠表示部に含まれる第3位相差層の意匠形状が既に説明した図1(c)に示すような星型形状である場合には、図4(b)に示すように明状態bの星型形状の画像を視認することが可能となる。また、L2−1およびL2−2の光は、その振動方向が、いずれも±λ/2の位相差分回転された状態、すなわち、透過したそれぞれの位相領域による波長分散の影響の程度が同程度である状態となり、上記画像は、全体を透過率および色味が均一な明状態aとすることができる。
本発明の調光装置は、第1調光パネル、第2調光パネルおよび意匠表示部を含むものである。
以下、本発明の調光パネルの各構成について詳細に説明する。
I.意匠表示部
本発明における意匠表示部は、意匠形状の第3位相差層を含むものである。
上記意匠表示部は、上記第1偏光層および上記第2偏光層の間に配置されるものである。
1.第3位相差層
第3位相差層は、意匠形状を有するものである。
ここで、第3位相差層が意匠形状を有するとは、第3位相差層の外形形状が所定の意匠を表わす形状であることをいうものである。そして、意匠表示部がこのような意匠形状の第3位相差層を含むことにより、本発明の調光装置は、第3位相差層の意匠形状に応じた画像を表示可能となる。
このような意匠形状としては、本発明の調光装置の種類等に応じて適宜設定されるものであり、文字、図形等を表示する形状とすることができる。
また、上記意匠形状は、キャラクター等の画像を表示する形状であってもよい。
具体的には、上記意匠形状としては、既に説明した図1(c)に示すように星型、図6(a)に例示するハート型、および図6(b)に例示する「DNP」等の文字列とすることができる。
なお、図6に示す意匠形状の第3位相差層1cを含む意匠表示部10cを、第3位相差層1cの位相差領域のパターンに対応するパターンの位相差領域を有する第1パターン位相差層および第2パターン位相差層と共に用いた場合、それぞれ、図7に例示するように、第1調光パネルおよび第2調光パネルが明状態a(図7(a)および図7(c))となるように配置したときに、ハート型および文字列の意匠形状の画像が、暗状態bで表示され、第1調光パネルおよび第2調光パネルが暗状態b(図7(b)および図7(d)))となるように配置したときに、上記画像が明状態aで表示されるものとすることができる。
なお、図6は、第3位相差層の外形形状が所定の意匠を表わす形状であり、かつ、第3位相差層が第1c位相差領域P1cおよび第2c位相差領域P2cの2つの短冊形状の位相差領域が交互にストライプ状に配列しているものである例を示すものである。
上記第3位相差層のサイズについては、第1パターン位相差層および第2パターン位相差層のサイズより小さいものであれば特に限定されるものではなく、本発明の調光装置において表示される上記画像等に応じて適宜設定されるものである。
上記意匠形状の形成方法としては、まず、第3位相差層を所望の形状とすることができる方法であればよく、例えば、シート状の第3位相差層を準備し、この第3位相差層に対して抜き加工、レーザー加工、切削加工等の加工方法により加工する方法を挙げることができる。
上記第3位相差層は、位相差性を有するものであればよく、例えば、位相変調を透過光に生じさせる複数の位相差領域を有するパターン位相差層である態様(第1態様)と、1種類の位相差領域のみを有する単一位相差層である態様(第2態様)と、に分けることができる。
以下、第3位相差層を、第1態様および第2態様に分けて説明する。
(1)第1態様
本発明における第3位相差層の第1態様は、位相変調を透過光に生じさせる複数の位相差領域を有するパターン位相差層である態様である。
したがって、本態様の第3位相差層は、位相差領域を2種類以上含むパターン位相差層を、所定の外形形状に成型したものである。
このような第3位相差層としてのパターン位相差層は、少なくとも位相差層を有するものであればよい。
(a)位相差層
本態様における位相差層は、位相変調を透過光に生じさせる複数の位相差領域を有するものである。
ここで、位相差領域とは、透過光の位相状態を変化させる領域であり、特定の振動方向の直線偏光を位相差に応じて振動方向を回転させる領域であり、例えば、右円偏光または左円偏光に変換させる領域である。
また、位相変調を透過光に生じさせるとは、複数の位相差領域における透過光の位相状態の変化が異なることをいうものである。
このような位相差層の位相差領域としては、例えば、位相変調を透過光に生じさせる第1c位相差領域および第2c位相差領域が一定の形状を有して一定の間隔をおいて交互に繰り返し配列されたものとすることができる。
第3位相差層が、位相変調を透過光に生じさせる第1c位相差領域および第2c位相差領域が一定の形状を有して一定の間隔をおいて交互に繰り返し配列されたものであることにより、第1パターン位相差層および第2パターン位相差層と共に用いることで、本発明の調光装置は、第1調光パネルおよび第2調光パネルを暗状態または明状態となるように配置したときに、上記画像の全体を、色味等が均一な明状態または暗状態で表示可能となるからである。
以下、位相差領域として、上述のような第1c位相差領域および第2c位相差領域を含む場合について説明する。
(i)位相変調の方法
位相差領域による透過光の位相変調は、第1c位相差領域および第2c位相差領域のそれぞれの面内遅相軸の方向および面内レターデーション値の少なくとも一方を変化させることにより発揮可能とすることができる。
位相差層に配列される第1c位相差領域および第2c相差領域の面内遅相軸の方向がそれぞれ異なる場合、それぞれの位相差領域の面内遅相軸の方向については、例えば、図8(a)で例示するように、隣り合う第1c位相差領域P1cおよび第2c位相差領域P2cの面内遅相軸の方向(位相差層11c内の矢印方向)が直交関係にあるものとすることができる。上記面内遅相軸の方向が直交関係であることにより、本発明の調光装置は、第1調光パネルおよび第2調光パネルを暗状態または明状態となるように配置したときに、上記画像の全体を、色味等が均一な明状態または暗状態で表示可能となるからである。
なお、図8(a)は、第3位相差層の一例を示す概略断面図であり、第3位相差層1cが、透明フィルム基材13c、配向層12cおよび位相差層11cを有する例を示すものである。
また、この例では、第1c位相差領域P1cおよび第2c位相差領域P2cは、一定の形状で一定の間隔をおいて交互に形成され、それぞれ同一の面内レターデーション値である例を示すものである。
位相差層に配列される第1c位相差領域および第2c位相差領域の面内レターデーション値がそれぞれ異なる場合、第1c位相差領域の面内レターデーション値と、第2c位相差領域の面内レターデーション値との差としては、例えば、λ/2分に相当するものとすることができ、なかでも、第1パターン位相差層の位相差層に含まれる位相差領域と同一の波長λにおいてλ/2分に相当するものであることが好ましい。第1c位相差領域および第2c位相差領域がこのような面内レターデーション値の差を有することにより、上記第1c位相差領域および第2c位相差領域のパターンを、第1パターン位相差層および第2パターン位相差層の位相差領域のパターンに対応するものとすることが容易だからである。
なお、同一の波長λにおけるλ/2分とは、第1パターン位相差層に含まれる第1a位相差領域のReが、500nmの4分の1である125nmである場合、第1c位相差領域および第2c位相差領域の面内レターデーション値の差が、250nmであることをいうものである。
なお、面内レターデーション値は、屈折率異方体の面内方向における複屈折性の程度を示す指標であり、面内方向において屈折率が最も大きい遅相軸方向の屈折率をNx、遅相軸方向に直交する進相軸方向の屈折率をNy、屈折率異方体の面内方向に垂直な方向の厚みをdとした場合に、
Re[nm]=(Nx−Ny)×d[nm]
で表わされる値である。面内レターデーション値(Re値)は、例えば、王子計測機器株式会社製 KOBRA−WRを用い、平行ニコル回転法により測定することができ、微小領域の面内レターデーション値はAXOMETRICS社(米国)製のAxoScanでミューラーマトリクスを使って測定することもできる。
なお、本明細書におけるRe値は、特段の記載がない限り波長500nmにおける値を意味するものとする。
第1c位相差領域および第2c位相差領域の面内レターデーション値がそれぞれ異なる位相差層としては、例えば、図8(b)で例示するように、同一の面内遅相軸の方向(位相差層11c内の矢印方向)を示す第1c位相差領域P1cおよび第2c位相差領域P2cが一定の間隔をおいて一定の形状に形成され、第1c位相差領域P1cおよび第2c位相差領域P2cが異なる膜厚を有することにより、第1c位相差領域P1cおよび第2c位相差領域P2cがそれぞれ膜厚差に相当する分の面内レターデーション値の差を示すものとすることができる。
なお、第1c位相差領域および第2c位相差領域のうち、膜厚の小さい位相差領域が薄膜領域、膜厚の大きい位相差領域が厚膜領域となる。
また、図8(b)は、第3位相差層の一例を示す概略断面図であり、第3位相差層1cが、透明フィルム基材13c、配向層12cおよび位相差層11cを有する例を示すものである。
さらに、この例では、第1c位相差領域P1cおよび第2c位相差領域P2cは、一定の形状で一定の間隔をおいて交互に形成され、それぞれの面内遅相軸の方向が同一である例を示すものである。
(ii)位相差領域のパターン
第1c位相差領域および第2c位相差領域のそれぞれの形状としては、特に限定されないが、例えば、短冊形状、三角形、正方形、ひし形、六角形等の多角形が挙げられる。
また、上記2つの位相差領域の配列のパターンとしては、ストライプ状、千鳥状等が挙げられる。
本態様においては、第1c位相差領域および第2c位相差領域が、上記2つの位相差領域の形状がそれぞれ短冊形状であり、かつ、上記2つの位相差領域が交互に配列されたストライプ状であることが好ましい。
このような形状および配列のパターンであることにより第1c位相差領域および第2c位相差領域は、形成容易なものとなるからである。
また、上記形状および配列のパターンは、第1c位相差領域および第2c位相差領域のパターンを、第1パターン位相差層および第2パターン位相差層の位相差領域のパターンに対応させることが容易だからである。
第1c位相差領域および第2c位相差領域のそれぞれの幅としては、透過光の位相状態を異なる状態に制御が可能な大きさであれば特に限定されないが、例えば0.5cm〜5.0cmの範囲内、中でも0.8cm〜3.0cmの範囲内、特に1.0cm〜1.5cmの範囲内が好ましい。各位相差領域の幅がそれぞれ上記範囲であることにより、意匠表示部は形成容易なものとなるからである。また、上記幅は、上記第1c位相差領域および第2c位相差領域のパターンを、第1パターン位相差層および第2パターン位相差層の位相差領域のパターンに対応させることが容易だからである。
なお、位相差領域の幅とは、第1c位相差領域および第2c位相差領域が交互に配列される方向の幅のうち最大の幅をいうものである。例えば、位相差領域が短冊形状であり、ストライプ状に配列されている場合は、位相差領域の幅は、通常、短尺方向の長さである。
上記第3位相差層の第1c位相差領域および第2c位相差領域のパターンは、上記第1パターン位相差層の上記第1a位相差領域および上記第2a位相差領域のパターンに対応するものであることが好ましい。第3位相差層が、このようなパターンの位相差領域を有するものであることにより、本発明の調光装置は、第1調光パネルおよび第2調光パネルを暗状態または明状態となるように配置したときに、上記画像の全体を、色味等が均一な明状態または暗状態で表示可能となるからである。
ここで、パターンが対応するとは、第3位相差層の位相差領域のパターンと、第1パターン位相差層の位相差領域のパターンとが、平面視上重なって一致できるものであることをいう。
既に説明した図1(b)は、第3位相差層の第1c位相差領域および第2c位相差領域と、第1パターン位相差層の第1a位相差領域および第2a位相差領域との全ての位相差領域が、同一幅の短冊形状で、同一方向にストライプ状に配列されていることにより、第3位相差層の位相差領域のパターンと、第1パターン位相差層の位相差領域のパターンとが、平面視上重なって一致できる例を示すものである。
(iii)位相差領域の面内レターデーション値
本態様における第1c位相差領域および第2c位相差領域のそれぞれの面内レターデーション値(Re)については、位相差層を構成する材料、意匠表示部により表示される色等に応じて適宜設定することができる。
各位相差領域の面内レターデーション値(Re)としては、例えば、λ/4分のn倍(nλ/4)分に相当するものとすることができる。
また、波長λについては、いずれの波長で設定することもできるが、意匠表示部により表示される画像に色味を付けることが容易となる観点からは、可視光領域の範囲内で設定することが好ましく、例えば、400nm〜800nmの範囲内から適宜設定できる。
第1c位相差領域および第2c位相差領域のそれぞれの位相差領域の面内レターデーション値(Re)は、第1パターン位相差層が、λ/4分、λ/4+λ/2分等のλ/4の整数倍のReの位相差領域を有する場合には、第1偏光層で直線偏光に変換された光が、第3位相差層、第1パターン位相差層および第2パターン位相差層を透過した際に、第1偏光層の偏光軸方向に平行または直交する直線偏光に変換することで、画像を明状態または暗状態で表示可能となる観点から、第1パターン位相差層の位相差領域と同一の波長λにおいてmλ+λ/2分に相当することが好ましく、透明または黒色の画像が表示可能となるという観点からは、λ/2分に相当することが好ましい。
なお、同一の波長λにおけるmλ+λ/2分とは、第1パターン位相差層に含まれる位相差領域のReが、500nmの4分の1である125nmである場合、第1c位相差領域および第2c位相差領域のReが、m×500nm+250nmであることをいうものである。
なお、mは0以上の整数である。
第1c位相差領域および第2c位相差領域のそれぞれの位相差領域の位相差性は、本発明の調光装置に入射した光が透過する第1パターン位相差層、第3位相差層および第2パターン位相差層の各位相差領域の全体のReの絶対値を0とすることができるものであってもよいが、0より大きくするものであってもよい。
ここで、位相差領域を透過する光は、位相差領域による波長分散の影響を受ける。そして、位相差領域による位相差の変化の度合いが大きいほど、その影響は大きくなり、この波長分散の影響は、位相差領域を透過した光の色味として現れる。
その結果、全体のReの絶対値が0より大きい場合、本発明の調光装置を透過する光は、第2パターン位相差層の位相差領域を透過した時点で第2偏光層の偏光軸に平行(明状態)または直交(暗状態)する直線偏光となっている場合においても、透明または黒色以外の着色光として観察されるものとすることができる。
このようなことから、第1c位相差領域および第2c位相差領域のそれぞれの位相差領域の位相差性が、上記全体のReの絶対値を0とする場合、本発明の調光装置は、意匠表示部の第3位相差層の意匠形状に応じて表示される画像を、透明または黒色で表示可能となる。
一方、第1c位相差領域および第2c位相差領域のそれぞれの位相差領域の位相差性が、全体のReの絶対値を0より大きいものとする場合、本発明の調光装置は、意匠表示部の第3位相差層の意匠形状に応じて表示される画像を、明状態または暗状態においても、色味を有するものとすることができる。
なお、全体のReは、光が透過する第1パターン位相差層、第2パターン位相差層および第3位相差層のそれぞれの位相差層に含まれる位相差領域の位相差性をRe(1)、Re(2)およびRe(3)とし、第1パターン位相差層の位相差領域の直線偏光の回転方向が同じ順方向であるものを正のReとして計算し、これとは回転方向が逆方向であるものを負のReとし、Re(1)、Re(2)およびRe(3)の合計を計算することで得ることができる。
例えば、Re(1)およびRe(2)の両者のReがλ/4であり、かつ、上記回転方向が順方向であり、Re(3)のReがλ/2であり、かつ、上記回転方向が逆方向である場合には、全体のReは、Re(1)+Re(2)+R3(3)=λ/4+λ/4−λ/2=0と計算される。
また、全体のReの絶対値が0であるとは、全体のReの絶対値が±0nm〜10nmの範囲内であるものとすることができる。
第1c位相差領域および第2c位相差領域のそれぞれの位相差領域の位相差性が、第1パターン位相差層、第3位相差層および第2パターン位相差層の各位相差領域の全体のReの絶対値を0より大きくするものである場合、全体のReの絶対値の0からのずれの程度により、本発明の調光装置を透過した光の色味等を調整することができる。
このような全体のReの絶対値と本発明の調光装置を透過した光の色味等との関係は、第1パターン位相差層、第3位相差層および第2パターン位相差層の各位相差領域の波長分散特性等の影響を受けるものである。
例えば、第1パターン位相差層および第2パターン位相差層として、位相差領域の面内レターデーション値がλ/4=125nmのものを使用した場合には、クロスニコル配置の時、全体のReが0、λ/4、λ/2、3λ/4、λ、5λ/4、3λ/2、2λ、5λ/2としたときに、順に、黒、青、透明、黄、赤、青、緑、赤、緑とすることができる。
また、同様に、パラレルニコル配置の時、全体のReが0、λ/4、λ/2、3λ/4、λ、5λ/4、3λ/2、2λ、5λ/2とした時に、順に、透明、黄、赤紫、青、緑、黄、赤、緑、赤とすることができる。
(iv)構成材料
上記位相差層の構成材料としては、屈折率異方性を有する棒状化合物が好ましい。規則的に配向させることができ、パターン位相差層が所望の位相差性を有するからである。
なかでも、上記棒状化合物は、液晶性を示す液晶性材料であることが好ましい。液晶性材料は屈折率異方性が大きいため、パターン位相差層が所望の位相差性を有しやすくなるからである。
上記液晶性材料としては、例えば、ネマチック相、スメクチック相等の液晶相を示す材料を挙げることができる。中でもネマチック相を示す液晶性材料を用いることが好ましい。ネマチック相を示す液晶性材料は、他の液晶相を示す液晶性材料と比較して規則的に配向させることが容易であるからである。
また、ネマチック相を示す液晶性材料として、メソゲン両端にスペーサを有する材料が好ましい。メソゲン両端にスペーサを有する液晶性材料は柔軟性に優れ、高い透明性を有するからである。
さらに、棒状化合物は、分子内に重合性官能基を有するもの、中でも3次元架橋可能な重合性官能基を有するものが好ましい。上記棒状化合物が重合性官能基を有することにより、上記棒状化合物が重合して固定されるため、上記棒状化合物は、配向安定性に優れ、位相差性の経時変化が生じにくい位相差層を形成できるからである。なお、重合性官能基を有する棒状化合物を用いた場合、上記位相差層には、重合性官能基によって架橋された棒状化合物が含有されることになる。
なお、上記「3次元架橋」とは、液晶性分子を互いに3次元に重合して、網目(ネットワーク)構造の状態にすることを意味する。
重合性官能基としては、例えば、紫外線、電子線等の電離放射線の照射、あるいは加熱により重合する重合性官能基を挙げることができる。これら重合性官能基の代表例としては、ラジカル重合性官能基、カチオン重合性官能基等が挙げられる。
上記重合性官能基については、特開2012−137725号公報等の記載に示される棒状化合物における重合性官能基と同様とすることができる。
さらにまた、上記棒状化合物は、液晶性を示す液晶性材料であって、末端に上記重合性官能基を有するものが特に好ましい。位相差層内において上記棒状化合物が3次元に重合した網目(ネットワーク)構造の状態となり、配向安定性を備え、且つ光学特性の発現性に優れるからである。
なお、片末端に重合性官能基を有する液晶性材料を用いた場合であっても、他の分子と架橋して配向を安定にすることができる。
なお、上記棒状化合物についての具体例としては、例えば特開2012−137725号公報に記載される化合物を挙げることができる。
また、上記棒状化合物は、1種類のみを用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
(v)その他
上記位相差層の層構造としては、1層の位相差層のみからなる単層構造であってもよく、複数の位相差層(以下、単位位相差層と称する場合がある。)が積層した積層構造であってもよい。
また、上記層構造が積層構造である場合、各単位位相差層同士は、直接接するように積層されるものであってもよく、他の層を介して積層されるものであってもよい。
上記位相差層の膜厚としては、棒状化合物の種類および面内レターデーション値に応じて適宜設計することができる。具体的には、位相差層の膜厚を面内レターデーションがλ/4分に相当するような範囲内の大きさとする場合、一般的な棒状化合物であれば、通常、0.5μm〜2μmの範囲内となるが、これに限定されない。
なお、上記膜厚は、上記層構造が積層構造である場合には、全ての単位位相差層の合計の膜厚をいうものである。
上記位相差層の形成方法としては、各位相差領域の配向が固定されたものを形成できる方法であればよく、一般的な位相差層の形成方法を用いることができる。
上記形成方法は、例えば、基材の一方の表面に形成された配向層を準備し、配向層の表面に上記構成材料を直接または溶媒等に溶解または分散させた塗工液を塗布し、必要に応じてその塗膜に対して乾燥処理、紫外線照射により硬化する処理等を施す方法を挙げることができる。
得られた位相差層は、基材および配向層と共に用いられるものであってもよく、配向層から剥離して用いるものであってもよい。なお、基材および配向層については、後述する「(b)その他の構成」の項に記載の透明フィルム基材および配向層を用いることができる。
また、上記層構造が積層構造である場合、上記形成方法は、複数の単位位相差層を形成した後、これらを接着層を介して貼り合せて積層する方法を挙げることができる。
(b)その他の構成
上記第3位相差層は、少なくとも位相差層を有するものであるが、必要に応じて、その他の構成を有するものであってもよい。
上記その他の構成としては、位相差層の一方の表面に形成される配向層および配向層の位相差層とは反対側の表面に形成される透明フィルム基材を挙げることができる。
なお、既に説明した図8(a)および(b)は、第3位相差層1cが透明フィルム基材13cおよび配向層12cを有する例を示すものである。
また、上記その他の構成としては、位相差層同士等の第3位相差層の各構成間を密着させる接着層を挙げることができる。
(i)透明フィルム基材
透明フィルム基材の材料としては、高い透過性を有する樹脂が好ましく、一般に位相差層を有する光学積層体に用いられる樹脂基材の樹脂と同様とすることができる。中でも、透明フィルム基材の面内レターデーションをゼロに近付けやすいことから、透明フィルム基材の材料は、アセチルセルロース系樹脂、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー等の樹脂、アクリル系樹脂が好ましい。
透明フィルム基材の膜厚としては、光透過性を損なわないものであれば特に限定されないが、通常、20μm〜188μmの範囲内であることが好ましい。
透明フィルム基材は位相差が低いものであることが好ましい。透明フィルム基材の位相差が低いことにより、第3位相差層の位相差領域間の位相変調への影響を抑制し、意匠表示部は、所望の画像を表示可能なものとなるからである。具体的には、透明フィルム基材の面内レターデーション値(Re値)が0nm〜10nmの範囲内であることが好ましい。
また、透明フィルム基材は高い光透過率を有することが好ましく、例えば、可視光線透過率が80%以上であることが好ましい。なお、以下、可視光線透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
なお、上記配向層が紫外性硬化性樹脂からなる場合は、透明フィルム基材と紫外線硬化性樹脂との接着性を向上させるために、透明フィルム基材は、その表面に塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系、ウレタン系のプライマ層を有していてもよい。
上記透明フィルム基材の配置箇所は、上記位相差層の構造が積層構造である場合には、各位相差層毎に配置されるものであってもよく、全ての単位位相差層に対して1層配置されるものであってもよい。
(ii)配向層
上記配向層は、通常、第3位相差層の各位相差領域に対応するように配向領域が形成されている。
すなわち、配向層において、第1配向領域は第1c位相差領域と対応し、一方、第2配向領域は第2c位相差領域と対応する。
また、配向層の各配向領域は配向規制力を有することから、各配向領域上に位置する位相差層の位相差領域内の棒状化合物を上記配向規制力に沿って配向させ、配向状態を固定させることができる。
a)材料
配向層の材料としては、各配向領域を所望の形状およびパターンで形成できるものであれば特に限定されず、例えば、紫外線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂等を挙げることができるが、中でも紫外線硬化性樹脂が用いられることが好ましい。
上記紫外線硬化性樹脂の具体例としては、例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート,ポリエーテルアクリレート、メラミンアクリレート等のアクリロイル基をもつ重合性オリゴマーまたはモノマーと、アクリル酸、アクリルアミド、アクリロニトリル、スチレン等重合性ビニル基をもつ重合性オリゴマーまたはモノマー等の単体あるいは配合したものに、光重合開始剤および任意の添加剤を加えたもの等を挙げることができる。
b)配向領域
配向層の配向領域の形状、幅、および配列パターンは、第3位相差層の位相差領域の形状、幅、および配列パターンと同一となる。
上記配向領域は、表面に微細凹凸形状を有していてもよい。各配向領域の表面に形成された微細凹凸形状により、配向層上に設けた位相差層中の棒状化合物を各位相差領域ごとに一定方向に配向させることができ、位相差層の位相差領域ごとに面内遅相軸の方向を変化させることができる。これにより、第3位相差層の各位相差領域において透過光の偏光状態を互いに異なる状態に制御することが可能となる。
なお、配向領域の表面に形成される微細凹凸形状については、例えば特開2012−137725号公報に記載される配向領域の表面の微細凹凸形状と同様とすることができる。
配向層の膜厚としては、位相差層に所望の配向規制力を発現可能な範囲であれば特に限定されず、例えば0.01μm〜1.0μmの範囲内が好ましい。
なお、配向層の配置箇所は、位相差層の構造が積層構造である場合には、各単位位相差層毎に配置されるものであってもよく、全ての単位位相差層に対して1層配置されるものであってもよい。
(iii)接着層
接着層に用いられる接着剤としては、等方性を有する接着層を形成可能なものであればよく、一般に光学積層体に用いられる光透過性を有する接着剤を用いることができる。中でも透明性、耐久性、耐熱性に優れ、低コストであることから、上記接着剤は、アクリル系接着剤が好ましい。
なお、上記接着層には任意の添加剤が含まれていてもよい。
接着層の位相差については、透明フィルム基材と同様の理由により、低いものであることが好ましい。具体的には、接着層の面内レターデーション値(Re値)は、0nm〜10nmの範囲内であることが好ましい。
上記接着層の膜厚としては、第3位相差層の各構成間を十分に貼合させることができ、意匠表示部の光透過性を損なわない大きさであれば特に限定されず、例えば10μm〜120μmの範囲内であることが好ましい。
(2)第2態様
本発明における第3位相差層の第2態様は、第3位相差層が1種類の位相差領域のみを有する単一位相差層である態様である。
したがって、本態様の第3位相差層は、位相差領域が1種類のみの単一位相差層を、所定の外形形状に成型したものである。
このような第3位相差層としては、少なくとも位相差層を有するものであればよい。
(a)位相差層
本態様における位相差層は、透過光の位相状態を変化させる領域を1種類有するものである。
このような位相差層としては、位相差領域が1種類のみであること以外は、上記「(1)第1態様」の「(a)位相差層」の項に記載の内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
(b)その他の構成
上記第3位相差層は、少なくとも位相差層を有するものであるが、必要に応じて、その他の構成を有するものであってもよい。
上記その他の構成としては、上記「(1)第1態様」の項に記載の内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
2.その他の構成
上記意匠表示部は、第3位相差層を有するものであるが、必要に応じてその他の構成を有するものであってもよい。
上記その他の構成としては、上記第3位相差層を支持する透明支持基板、透明支持基板および第3位相差層を接着する接着層等を挙げることができる。
また、上記その他の構成は、上記第3位相差層とは異なる位相状態の変化を生じさせる第4位相差層を含むことができる。
なお、上記接着層については、上記「1.第3位相差層」の項に記載の内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
(1)第4位相差層
上記意匠表示部は、上記第3位相差層とは異なる位相状態の変化を生じさせる第4位相差層を含むものであってもよい。
第3位相差層と第4位相差層を組み合わせることで、意匠表示部は、例えば、異なる色を表示する部位により構成される複雑なデザインの画像を表示可能となるからである。
例えば、図9(a)および(b)に例示するように、第3位相差層1cの第1c位相差領域P1cおよび第2c位相差領域P2cのReがλ/2であり、面内位相軸の方向が直交するものである場合に、これと共に用いられる第4位相差層1dとしては、位相差領域P1cおよびP2cと同一領域内に配置される位相差領域である第1d位相差領P1dおよび第2d位相差領域P2dのReがλ/4であり、P1dおよびP2dの面内位相軸の方向が直交するものとすることができる。また、図9(a)および(b)では、P1cおよびP2cは、それぞれP1dおよびP2dと面内位相軸の方向が平行である。
なお、図9(a)および(b)は、本発明の調光装置の他の例を示す概略図であり、第1調光パネル10aおよび第2調光パネル10bの上面図と、意匠表示部10cの概略平面図とを示すものである。また、図中の破線は、第1パターン位相差層1aの第1a位相差領域P1aおよび第2a位相差領域P2aに対応する領域を示すものである。
また、図9(a)および(b)に示すような第3位相差層および第4位相差層を有する意匠表示部を、第3位相差層1cおよび第4位相差層1dの位相差領域のパターンに対応するパターンの位相差領域を有する第1パターン位相差層および第2パターン位相差層と共に用いた場合、それぞれ、例えば、図10に例示するように、第1調光パネルおよび第2調光パネルが明状態a(図10(a)および(c))となるときに、第3位相差層1cが暗状態bであり、かつ、第4位相差層1dが着色光表示状態cであり、第1調光パネルおよび第2調光パネルが暗状態b(図10(b)および(d))となるときに、第3位相差層1cが明状態aであり、かつ、第4位相差層1dが着色光表示状態cとなるものとすることができる。
なお、着色光表示状態は、第2パターン位相差層の位相差領域を透過した光が直線偏光ではなく、明状態または暗状態のいずれでもない状態をいうものである。
ここで、第3位相差層とは異なる位相状態の変化を生じさせるとは、第3位相差層の位相差領域と同一領域内に配置される第4位相差層の位相差領域が、第3位相差層の位相差領域とは異なる位相状態の変化を生じさせるものであることをいうものである。
具体的には、既に説明した図9(a)および(b)に示すように、第3位相差層および第4位相差層の位相差領域が短冊形状の位相差領域がストライプ状に配置され、同一のパターンである場合、第3位相差層の位相差領域P1cが配置される箇所と同一箇所の短冊形状の領域内に配置される第4位相差領域の位相差領域P1dが、P1cとは異なる位相状態の変化を生じさせるものを挙げることができる。
また、第3位相差層が、2以上の位相差領域を含むものである場合には、第3位相差層のいずれか1つの位相差領域と同一領域内に配置される第4位相差層の位相差領域が、第3位相差層の位相差領域とは異なる位相状態の変化を生じさせるものであればよい。
なお、既に説明した図9(a)および(b)は、第4位相差層が、第3位相差層の位相差領域と同一領域内に配置される全ての位相差領域が第3位相差層の位相差領域とは異なる位相状態の変化を生じさせる例を示すものである。
第3位相差層の位相差領域と、この位相差領域と同一領域内に配置される第4位相差層の位相差領域とは、両位相差領域の面内遅相軸の方向および面内レターデーションの少なくとも一方を変化させることで異なる位相状態の変化を生じさせものとすることができる。
第3位相差層の位相差領域と、この位相差領域と同一領域内に配置される第4位相差層の位相差領域と、の面内遅相軸の方向および面内レターデーションの差については、両位相差層の間で求められる色味の違いや、第1調光パネルおよび第2調光パネルを暗状態または明状態となるように配置したときの光の透過率の違い等に応じて適宜設定することができる。
なお、第4位相差層については、第3位相差層と異なる位相状態の変化を生じさせる位相差領域を有するものとする以外は、上記「1.第3位相差層」の項に記載の内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
(2)透明支持基板
上記意匠表示部は、透明支持基板を有するものであってもよい。透明支持基板により第3位相差層等を支持することで、例えば、意匠表示部は、第1調光パネル及び第2調光パネルに対して容易に移動可能なものとなるからである。
上記透明支持基板としては、第3位相差層を支持することができ、位相差が低いものを用いることができる。
具体的には、上記透明支持基板の面内レターデーション値(Re値)は、0nm〜10nmの範囲内であることが好ましい。
このような透明支持基板の構成材料としては、上記「1.第3位相差層」の項に記載の透明フィルム基材の構成材料と同様とすることができる。
また、透明支持基板としては、例えば、同一の位相差性を有する2枚の位相差層を面内位相軸の方向が直交するように重ね合わせることで、全体の位相差を±0とした位相差層積層体等を用いてもよい。なお、このような位相差積層体の形成に用いられる位相差層としては、上記「1.第3位相差層」の項に記載の第3位相差層と同様とすることができる。
透明支持基板は高い光透過性を有することが好ましく、例えば可視光線透過率が80%以上、中でも90%以上であることが好ましい。
透明支持基板の厚さとしては、第3位相差層を支持できる強度を有し、上記の光透過性を示すことが可能な厚さであればよく、例えば0.1mm〜10mmの範囲内程度であることが好ましい。
上記透明支持基板の最大幅としては、上記第3位相差層を支持できるものであればよく、第3位相差層の最大幅と同じであってもよく、第3位相差層の最大幅より大きいものであってもよい。
本発明においては、意匠表示部が、第1調光パネルおよび第2調光パネルに対して移動可能に用いられる場合には、上記最大幅は、第3位相差層の最大幅より大きいものであることが好ましい。意匠表示部は、第1調光パネルおよび第2調光パネルに対して容易に移動可能となるからである。
上記透明支持基板の最大幅は、例えば、第1調光パネルの、第1調光パネルに対して第2調光パネルが相対移動する方向またはこれに直交する方向の幅と同じ程度とすることができる。
(3)その他
意匠表示部は、その他に耐傷層、自浄性層、光拡散層、オーバーコート層、保護フィルム等を有していてもよい。
3.配置位置
上記意匠表示部の配置位置は、上記第1偏光層および上記第2偏光層の間に配置されるものであればよい。
例えば、上記配置位置は、第1偏光層および第1パターン位相差層の間、第1パターン位相差層および第2パターン位相差層の間、第2パターン位相差層および第2偏光層の間等とすることができる。
上記意匠表示部の配置方向は、上記画像を表示可能なものであれば特に限定されるものではないが、第3位相差層の少なくとも1つの位相差領域の面内遅相軸の方向が、第1パターン位相差層の第1a位相差領域の面内遅相軸の方向と直交または平行となる配置方向であることが好ましい。上記配置方向であることにより、上記調光装置は、第1調光パネルおよび第2調光パネルを暗状態または明状態となるように配置したときに、第3位相差層の意匠形状に応じた画像を表示可能となり、さらに、上記画像の全体を、色味等が均一な明状態または暗状態で表示可能となるからである。
また、本発明においては、透明または黒色の画像が表示可能となるという観点からは、上記配置方向が、第3位相差層の少なくとも1つの位相差領域の面内遅相軸の方向が直交する向きであることが好ましい。例えば、λ/4分のReの位相差領域を有する第1a位相差領域に対して、第3位相差層のλ/2分に相当するReを有する位相差領域を面内遅相軸の方向が直交するように配置することで、上記調光装置は、全体のReを0とすることが可能となり、透明または黒色の画像が表示可能となるからである。
上記意匠表示部は、第1調光パネルに貼合されていてもよく、第1調光パネルおよび第2調光パネルに貼合されておらず、両調光パネルに対して相対的に移動可能であってもよい。
上記意匠表示部が、第1調光パネルに貼合されていていることにより、意匠表示部は、例えば、第3位相差層の位相差領域と、第3位相差層の位相差領域に対応する第1パターン位相差層の位相差領域とが安定的に平面視上重なって一致させることが容易となる。このため、本発明の調光装置は、例えば、第1調光パネルおよび第2調光パネルを暗状態または明状態となるように配置したときに、上記画像の全体を、色味等が均一な明状態または暗状態で表示可能となるからである。
ここで、意匠表示部が貼合される第1調光パネルが、本発明の調光装置内において位置が固定されるものである場合、上記調光装置は、第3位相差層の意匠形状に応じた画像を、調光装置の特定位置に表示することができる。また、上記調光装置は、第2調光パネルの移動により、上記画像の明るさや、色味を変化させることができる。
また、意匠表示部が貼合される第1調光パネルが、本発明の調光装置内において移動可能なものである場合、上記調光装置は、第1調光パネルの移動により、上記画像が調光装置内を移動するように表示することができる。また、上記調光装置は、第1調光パネルの移動により、上記画像の明るさや、色味を変化させることができる。
一方、上記意匠表示部が両調光パネルに対して相対的に移動可能である場合、上記調光装置は、上記意匠表示部を第1調光パネルおよび第2調光パネルに対して相対的に移動させることにより、上記画像が調光装置内を移動するように表示されるものとすることができる。また、上記調光装置は、上記意匠表示部の移動に伴い上記画像の明るさを変化させることができる。例えば、第3位相差層の意匠形状が鳥の画像を表示するものである場合には、上記調光装置は、意匠表示部が第1調光パネルおよび第2調光パネルに対して移動することで、鳥の画像が調光装置内を移動しつつその画像の明るさが変化するように表示することができる。
上記意匠表示部が、第1調光パネルに貼合される場合、意匠表示部の第1調光パネルに対する貼合箇所としては、第1偏光層および第1パターン位相差層の間または第1パターン位相差層の第1偏光層とは反対側の表面に配置されるように、上記第1調光パネルに貼合されるものとすることができる。
ここで、貼合されるとは、意匠表示部の第1調光パネルの構成部材と対向する表面が第1調光パネルの構成部材に密着することをいうものである。
なお、第1調光パネルの構成部材に密着するとは、構成部材と直接接するように密着する態様に限定されず、他の層を介して密着する態様も含むものである。
上記意匠表示部の配置位置が上記第1偏光層および上記第1パターン位相差層の間である場合、上記意匠表示部の密着面は、第1偏光層側の表面のみ、第1パターン位相差層側の表面のみ、および、第1偏光層側の表面および第1パターン位相差層側の表面の両面とすることができる。
II.第1調光パネル
本発明における第1調光パネルは、第1パターン位相差層と第1偏光層とを、上記第2調光パネルに近接する側からこの順番で有するものである。
1.第1パターン位相差層
上記第1パターン位相差層は、位相変調を透過光に生じさせる第1a位相差領域および第2a位相差領域が一定の形状を有して一定の間隔をおいて交互に繰り返し配列されたものである。
このような第1パターン位相差層としては、少なくとも位相差層を有するものであればよい。
(1)位相差層
位相差層の構成材料、層構造、膜厚および形成方法、ならびに、第1a位相差領域および第2a位相差領域のパターン等については、上記「I.意匠表示部」の「1.第3位相差層」の「(1)第1態様」の項に記載の内容と同様とすることができる。
第1a位相差領域および第2a位相差領域による透過光の位相変調は、第1a位相差領域および第2a位相差領域のそれぞれの面内遅相軸の方向および面内レターデーションの少なくとも一方を変化させることにより発揮可能となる。
第1a位相差領域および第2a位相差領域の面内遅相軸の方向がそれぞれ異なる場合、既に説明した図8(a)に示す第3位相差層1cと同様に、隣り合う第1a位相差領域および第2a位相差領域の面内遅相軸の方向が直交関係にあるものとすることができる。
面内遅相軸の方向が異なる場合の第1a位相差領域および第2a位相差領域のそれぞれの面内レターデーション値(Re)については、位相差層を構成する材料、パターン等に応じて適宜設定することができる。例えば、直線偏光を円偏光に変換可能である点から面内レターデーション値(Re)がλ/4分に相当することが好ましく、具体的には100nm〜200nmの範囲内であることが好ましい。
位相差層の第1a位相差領域および第2a位相差領域のそれぞれの面内レターデーションが異なるものである場合、第1a位相差領域の面内レターデーション値と、第2a位相差領域の面内レターデーション値との差としては、例えば、λ/2分に相当するものであることが好ましい。これにより、第1a位相差領域および第2a位相差領域の一方の面内レターデーション値をλ/4分に相当するものとし、かつ他方の面内レターデーション値をλ/4+λ/2分に相当するものとすることができ、各位相差領域を通過する直線偏光をそれぞれ互いに直交関係にある円偏光とすることができるからである。
第1a位相差領域および第2a位相差領域のそれぞれの面内レターデーションが異なる位相差層としては、既に説明した図8(b)に示す第3位相差層1cと同様に、第1a位相差領域および第2a位相差領域が異なる膜厚を有することにより、第1a位相差領域および第2a位相差領域がそれぞれ膜厚差に相当する分の面内レターデーションの差を示すものとすることができる。
(2)その他の構成
上記第1パターン位相差層は、少なくとも位相差層を有するものであるが、必要に応じて、その他の構成を有するものであってもよい。
上記その他の構成としては、例えば、位相差層の一方の表面に形成される配向層および配向層の位相差層とは反対側の表面に形成される透明フィルム基材を挙げることができる。
なお、このようなその他の構成については、上記「I.意匠表示部」の「1.第3位相差層」の項に記載の内容と同様とすることができる。
2.第1偏光層
本態様における第1偏光層は、第1調光パネル内において第1パターン位相差層よりも第2調光パネルに近接する側と対向する側に配置される。
第1偏光層としては、少なくとも偏光子を含むものであれば特に限定されず、例えば偏光子および上記偏光子の少なくとも片面に配置された偏光板保護フィルムからなる態様であってもよく、偏光子を第1パターン位相差層上に積層し固定してなる態様であってもよい。
偏光子としては、透過光を直線偏光とすることができるものであれば特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコールからなるフィルムにヨウ素を含浸させ、これを一軸延伸することによりポリビニルアルコールとヨウ素との錯体を形成させたものを挙げることができる。
第1偏光層における偏光軸の方向(以下、第1偏光軸方向と称する場合ある。)については特に限定されず、第1パターン位相差層における位相差領域の配向等に応じて適宜選択することができる。
例えば、上記第1偏光軸方向は、第1調光パネルおよび第2調光パネルを暗状態または明状態となるように配置したときに、第3位相差層の意匠形状に応じた画像を明状態または暗状態で表示可能とする観点からは、第1パターン位相差層における位相差領域および第3位相差層における位相差領域の面内遅相軸の方向と±45°で交わるものとすることができる。
上記第1偏光軸方向は、例えば、上記第2偏光層の偏光軸の方向(以下、第2偏光軸方向)に対して直交するもの、すなわち、第1偏光層および第2偏光層がクロスニコルの関係となるように配置されるもの、上記第2偏光軸方向に対して平行となるもの、すなわち、第1偏光層および第2偏光層がパラレルニコルの関係となるように配置されるものとすることができる。
第1偏光層の膜厚としては、所望の機能を発揮できる大きさであれば特に限定されない。
第1偏光層が偏光板保護フィルムを有する場合、偏光板保護フィルムとしては、上記偏光子を保護することが可能であり、且つ所望の透明性を有するものであれば特に限定されず、例えば、特開2009−237097号公報に開示される材料からなる偏光板保護フィルムを用いることができる。
3.その他の構成
上記第1調光パネルは、第1パターン位相差層および第1偏光層を有するものであるが、必要に応じて、その他の構成を有するものであってもよい。
上記その他の構成としては、上記「I.意匠表示部」の「2.その他の構成」の項に記載の内容と同様とすることができる。
4.第1調光パネル
本発明の第1調光パネルの光透過率としては、可視光線透過率で20%以上であることが好ましく、中でも30%以上が好ましい。
III.第2調光パネル
本発明における第2調光パネルは、上記第1調光パネルに対して相対移動が可能なものである。
また、上記第2調光パネルは、位相変調を透過光に生じさせる第1b位相差領域および第2b位相差領域が一定の形状を有して一定の間隔をおいて交互に繰り返し配列された第2パターン位相差層と第2偏光層とを上記第1調光パネルに近接する側からこの順番で有するものである。
また、上記第2パターン位相差層の第1b位相差領域および第2b位相差領域は、第1調光パネルに含まれる第1パターン位相差層の第1a位相差領域または第2a位相差領域と平面視上重なるように相対移動されることで、第1偏光層で直線偏光に変換された光を、第1偏光層の偏光軸方向に平行または直交する直線偏光に変換し、本発明の調光装置を明状態および暗状態へ、またはその逆へ変化させることが可能なものである。したがって、上記第2パターン位相差層の第1b位相差領域および第2b位相差領域のパターンは、通常、第1a位相差領域または第2a位相差領のパターンに対応するものである。
このような第2パターン位相差層および第2偏光層については、上記「II.第1調光パネル」の項に記載の内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
VI.その他
本発明の調光装置は、第1調光パネルおよび第2調光パネルの少なくとも一方を、第1パターン位相差層の第1a位相差領域および第2a位相差領域の配列方向に平行な面方向に移動させ、第1パターン位相差層の第1a位相差領域および第2a位相差領域と、第2パターン位相差領域の第1b位相差領域および第2b位相差領域とを、平面視上重なって一致させることにより、明状態から暗状態へ、またはその逆へ変化させることが可能なものである。
また、第1パターン位相差層および第2パターン位相差層の位相差領域のパターンに応じて、明状態から暗状態へ、またはその逆へ変化させる際の中間状態を有することができる。例えば、第1パターン位相差層および第2パターン位相差層の位相差領域が、上述の図1(b)で示すストライプ状のパターン領域を有する場合、本発明の調光装置は、明状態および暗状態がストライプ状に存在する中間状態を有する。
なお、第1a位相差領域および第2a位相差領域の配列方向に平行な面方向に移動するとは、第2調光パネルが、第1調光パネルに対して、第1a位相差領域および第2a位相差領域の配列方向に向かって、第1パターン位相差領域が形成された面と平行に移動することをいう。
本発明においては、第1調光パネルおよび第2調光パネル(以下、両調光パネルを合わせて一対の調光パネルと称する場合がある。)のうち、一方を固定して他方を相対移動させてもよく、両方の調光パネルを相対移動させてもよい。
本発明において、一対の調光パネルは所望の間隔を有して配置される。一対の調光パネルの配置間隔としては、一方の調光パネルを他方の調光パネルに対して相対移動させることができ、調光機能を発揮可能な大きさであれば特に限定されず、例えば、0.01mm〜5.0mmの範囲内、中でも0.01mm〜3.0mmの範囲内、特に0.01mm〜0.5mmの範囲内とすることが好ましい。一対の調光パネルの配置間隔が上記範囲よりも大きいと、調光装置を正面(光の出射面)から見た場合に対して斜めから見た場合に光漏れが生じる場合があるからである。具体的には、調光装置の表示が正面から見ると暗状態であるのに対し、斜めから見ると明状態になり、一対の調光パネルの位置合わせを正確に行っても、観察角度に応じて明状態および暗状態が変化してしまう場合がある。一方、配置間隔が上記範囲よりも小さいと、第1調光パネルと第2調光パネルとが接触してしまい相対移動が困難となる場合がある。
本発明の調光装置は、一対の調光パネルが相対移動が可能な形態であれば特に限定されない。既に図示して説明した本発明の調光装置は、一対の調光パネルが平版であり、一方の調光パネルに対する他方の調光パネルの相対移動が直線移動である形態を有しているが、これに限定されない。例えば、一対の調光パネルが円盤であり、一方の調光パネルが他方の調光パネルに対して相対回転する形態であってもよい。
本発明の調光装置は、必要に応じて、光源を有するものであってもよい。光源を有することにより、例えば、本発明の調光装置は、意匠表示部に含まれる第3位相差層の意匠形状に応じた画像を光源を用いて表示可能なものとなり、例えば、上記画像を表示するディスプレイ等として使用可能となるからである。
なお、光源については、本発明の調光装置のサイズ等に応じて適宜設定されるものである。
本発明の調光装置の用途としては、建築用の窓、天井窓、テラス等の採光窓、温室などの屋根や側壁、パーテーション、インテリア、家具、自動車等の車両のサンルーフ等に使用することができる。
また、上記用途は、第3位相差層の意匠形状に応じて表示される画像が、例えば、図11(a)に例示するように、調光装置の一部に表示されることで、第1調光パネルおよび第2調光パネルの相対移動による明状態および暗状態の間の切り替えを主たる用途としつつ、観察者の注意を引き付けるものであってもよく、図11(b)に例示するように、上記画像が調光装置の大部分の面積を占めるように配置されることで、上記画像を表示するディスプレイ用途であってもよい。
B.パターン表示用調光パネル
次に、本発明のパターン表示用調光パネルについて説明する。
本発明のパターン表示用調光パネルは、第1偏光層と、上記第1偏光層の一方の表面に配置され、位相変調を透過光に生じさせる第1a位相差領域および第2a位相差領域が一定の形状を有して一定の間隔をおいて交互に繰り返し配列された第1パターン位相差層と、を有する第1調光パネルと、意匠形状の第3位相差層を含む意匠表示部と、を有し、上記意匠表示部が上記第1偏光層および上記第1パターン位相差層の間または上記第1パターン位相差層の上記第1偏光層とは反対側の表面に配置されるように、上記第1調光パネルに貼合されていることを特徴とするものである。
本発明のパターン表示用調光パネルについて図を参照して説明する。図12(a)は本発明のパターン表示用調光パネルの一例を示す概略断面図であり、図12(b)は本発明のパターン表示用調光パネルの他の例を示す概略断面図である。
図12(a)および(b)に例示するように、本発明のパターン表示用調光パネル30は、第1偏光層2aと、上記第1偏光層2aの一方の表面に配置され、位相変調を透過光に生じさせる第1a位相差領域P1aおよび第2a位相差領域P2aが一定の形状を有して一定の間隔をおいて交互に繰り返し配列された第1パターン位相差層1aと、を有する第1調光パネル10aと、意匠形状の第3位相差層1cを含む意匠表示部10cと、を有し、上記意匠表示部10cが上記第1パターン位相差層1aの上記第1偏光層2aとは反対側の表面に配置されるように上記第1調光パネル10aに貼合されているものである。
なお、図12(a)は、意匠表示部10cが、位相差層11cのみを含む第3位相差層1cを有するものであり、意匠表示部10cである位相差層11cの第1パターン位相差層1a側の表面が、第1パターン位相差層1aと直接密着することで貼合される例を示すものである。
図12(b)は、意匠表示部10cが、透明フィルム基材13c、配向層12cおよび位相差層11cを含む第3位相差層1cを有するものであり、意匠表示部10cの透明フィルム基材13cの第1パターン位相差層1a側の表面が、第1パターン位相差層1aと接着層(図示せず)を介して密着することで貼合される例を示すものである。
本発明によれば、意匠表示部が第1調光パネルに貼合されていることにより、本発明のパターン表示用調光パネルは、第1調光パネルおよび第2調光パネルを暗状態または明状態となるように配置したときに、第3位相差層の意匠形状に応じた画像の全体を、色味等が均一な明状態または暗状態で表示可能な調光装置を容易に得ることができる。
本発明のパターン表示用調光パネルは、第1調光パネルおよび意匠表示部を有するものである。
以下、本発明のパターン表示用調光パネルの各構成について説明する。
なお、第1調光パネルおよび意匠表示部については上記「A.調光装置」の項に記載の内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
上記意匠表示部は、上記第1偏光層および上記第1パターン位相差層の間または上記第1パターン位相差層の上記第1偏光層とは反対側の表面に配置されるように、上記第1調光パネルに貼合されるものである。
なお、上記意匠表示部の意匠表示部の配置方向および密着面等については、上記「A.調光装置」の項に記載の内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
本発明のパターン表示用調光パネルは、第1調光パネルおよび意匠表示部を有するものであるが、必要に応じてその他の構成を有するものであってもよい。
その他の構成としては、例えば、意匠表示部を第1調光パネルに貼合させる接着層等を挙げることができる。
上記接着層については、上記「A.調光装置」の「I.意匠表示部」の項に記載の内容と同様とすることができる。
本発明のパターン表示用調光パネルの製造方法としては、上記各構成が位置精度良く積層されたパターン表示用調光パネルを得ることができる方法であれば特に限定されるものではない。
上記製造方法は、例えば、第1調光パネルおよび意匠表示部をそれぞれ製造した後、第1調光パネルに対して接着剤を用いて意匠表示部を貼合する方法を挙げることができる。
また、上記製造方法は、上記パターン表示用調光パネルを構成する意匠表示部の第3位相差層に含まれる位相差層が、第1パターン位相差層に含まれる位相差層と直接接するものである場合には、例えば、全面が両位相差層の合計の厚みの位相差層を形成した後、意匠表示部として用いない部位を、ハーフカットにより第3位相差層の位相差層の厚み分切り抜いて除去する方法を用いることができる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
[実施例1]
1.調光パネルおよび意匠表示部
(調光パネルの形成)
以下の方法により調光パネルを形成した。
透明フィルム基材として、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム(フジタック(登録商標) 富士フィルム(株)製)用い、一方の面上に配向層を形成した。上記配向層は、光配向材料により光配向材料層を作製した後、いわゆる光配向の手法によりこの光配向材料層に直線偏光による紫外線を照射し、パターン状に形成した。
次に、シクロヘキサノン溶媒に溶かした液晶性材料(licrivue(登録商標) RMS03−013C メルク(株)製)の溶液に、光重合開始剤(イルガキュア(登録商標)184 BASF社製)を5質量%加えた溶液を、上記配向層が形成されたTACフィルム基材上にスピンコーターで塗布、80℃で10分乾燥し、紫外線を照射して硬化することにより、パターン位相差フィルム(パターン位相差層)を作製した。
なお、得られたパターン位相差層は、面内位相軸の方向が直交する幅12.7mmの短冊形状の2つの位相差領域が交互に繰り返し配置され、両位相差領域の面内レターデーション(Re)値は、λ/4であり、125nmであった。また、このようなパターン位相差層の位相差層は、正の波長分散特性を有するものであった。
作製したパターン位相差層を、短冊形状の位相差領域の短尺方向と、偏光軸の方向とが、直交するように偏光板(HLC2−5618S (株)サンリツ製)と貼り合わせ第1調光パネルを得た。
また、短冊形状の位相差領域の短尺方向と、偏光軸の方向とが、平行となるように偏光板を貼り合せ第2調光パネルを得た。
また、得られた第1調光パネルおよび第2調光パネルは、それぞれの位相差領域の面内位相軸と、偏光板の偏光軸の方向と、が±45°で直交するものとした。
(意匠表示部の作製)
調光パネルに用いたパターン位相差フィルムを、面内遅相軸が同一方向のパターンが重なるよう2枚重ねて第3位相差層を作製し、「DNP」の文字に切り抜いたものを意匠表示部とした。
なお、意匠表示部の各位相差領域の面内レターデーション(Re)値は、λ/2であった。
2.調光装置
(調光装置の作製)
第1調光パネルのパターン位相差層(第1パターン位相差層)側の表面に、意匠表示部を接着剤を用いて貼合した。意匠表示部は、第1パターン位相差層の2つの位相差領域および意匠表示部の2つの位相差領域の面内遅相軸が平行となるように配置した。
また、第2調光パネルの向き合う内側の周囲に、意匠表示部より厚みの厚い滑りテープを貼った。具体的には、意匠表示部が上述のパターン位相差フィルムを2枚重ねた厚みを有する場合には、0.3mmの滑りテープを貼った。
このようにして、2枚の調光パネルを相対移動できるように配置した。これにより、本発明の調光装置を得た。
3.評価
得られた調光装置について2枚の調光パネルを明状態および暗状態とした際に、調光装置に表示される画像を目視で確認した。
その結果、2枚の調光パネルを明状態とした際には、「DNP」の文字が暗状態で表示された。この時の「DNP」の文字は、赤色に表示された。
一方、2枚の調光パネルを暗状態とした際に、「DNP」の文字が明状態で表示された。この時の「DNP」の文字は、ほぼ透明に表示された。
この時の表示状態を撮影した画像を図14および図15に示す。なお、図14は、調光パネルが暗状態での画像を示し、図15は、調光パネルが明状態での画像を示す。
[実施例2〜10]
意匠表示部の配置方向を、第1パターン位相差層の2つの位相差領域および意匠表示部の2つの位相差領域の面内遅相軸が直交する方向とした以外は実施例1と同様にして実施例2の調光装置を作製した。
また、意匠表示部の配置方向(図中の「配置方向」の欄)および重ね合わせ枚数(図中の「積層枚数」の欄)を図14に示すように変えて、実施例3〜10の調光装置を作製した。
なお、Re(1)、Re(2)およびRe(3)は、第1パターン位相差層の位相差領域のうち直線偏光を右円偏光に変換する位相差領域(第1a位相差領域)およびこれに対応する第2調光パネルの第2パターン位相差層および意匠表示部の第3位相差層の位相差領域(第1b位相差領域および第1c位相差領域)の位相差性を示すものである。位相差性は、第1a位相差領域の面内遅相軸に平行であり、直線偏光を右回転させる場合には、「+」で表わし、上記面内遅相軸に直交し、直線偏光を左回転させる場合には、「−」で表わした。
全体のReは、第1a位相差領域、第1b位相差領域および第1c位相差領域の位相差性の合計である。
次いで、得られた実施例2〜10の調光装置について、実施例1と同様の方法により評価を行った。結果を図14および図15に示す。
[実施例11〜20]
第2調光パネルとして、短冊形状の位相差領域の短尺方向と、偏光軸の方向とが、直交するように偏光板を貼り合せて作製したものを用い、第1調光パネルおよび第2調光パネルがパラレルニコルの関係となるように偏光板を配置した以外は、実施例1〜10と同様にして実施例11〜20の調光装置を得た。
次いで、得られた実施例11〜20の調光装置について、実施例1と同様の方法により評価を行った。結果を図16および図17に示す。
1a … 第1パターン位相差層
1b … 第2パターン位相差層
1c … 第3位相差層
2a … 第1偏光層
2b … 第2偏光層
3a、3b … 透明支持基板
10a … 第1調光パネル
10b … 第2調光パネル
10c … 意匠表示部
11a、11c … 位相差層
12a、12c … 配向層
13a、13c … 透明フィルム基材
20 … 調光装置
30 … パターン表示用調光パネル
P1a、P2a … 第1a位相差領域、第2a位相差領域
P1b、P2b … 第1b位相差領域、第2b位相差領域
P1c、P2c … 第1c位相差領域、第2c位相差領域

Claims (4)

  1. 第1調光パネルと、
    前記第1調光パネルに対して相対移動が可能な第2調光パネルと、
    意匠形状の第3位相差層を含む意匠表示部と、
    を備え、
    前記第1調光パネルが、位相変調を透過光に生じさせる第1a位相差領域および第2a位相差領域が一定の形状を有して一定の間隔をおいて交互に繰り返し配列された第1パターン位相差層と第1偏光層とを前記第2調光パネルに近接する側からこの順番で有し、
    前記第2調光パネルが、位相変調を透過光に生じさせる第1b位相差領域および第2b位相差領域が一定の形状を有して一定の間隔をおいて交互に繰り返し配列された第2パターン位相差層と第2偏光層とを前記第1調光パネルに近接する側からこの順番で有し、
    前記意匠表示部は、前記第1偏光層および前記第2偏光層の間に配置されることを特徴とする調光装置。
  2. 前記意匠表示部に含まれる前記3位相差層が、位相変調を透過光に生じさせる第1c位相差領域および第2c位相差領域が一定の形状を有して一定の間隔をおいて交互に繰り返し配列され、
    前記第3位相差層の前記第1c位相差領域および前記第2c位相差領域のパターンが、前記第1パターン位相差層の前記第1a位相差領域および前記第2a位相差領域のパターンに対応するものであることを特徴とする請求項1に記載の調光装置。
  3. 前記意匠表示部が、前記第1調光パネルに貼合されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の調光装置。
  4. 第1偏光層と、
    前記第1偏光層の一方の表面に配置され、位相変調を透過光に生じさせる第1a位相差領域および第2a位相差領域が一定の形状を有して一定の間隔をおいて交互に繰り返し配列された第1パターン位相差層と、
    を有する第1調光パネルと、
    意匠形状の第3位相差層を含む意匠表示部と、
    を有し、
    前記意匠表示部が前記第1偏光層および前記第1パターン位相差層の間または前記第1パターン位相差層の前記第1偏光層とは反対側の表面に配置されるように、前記第1調光パネルに貼合されていることを特徴とするパターン表示用調光パネル。
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