JP2017161426A - ガスセンサ - Google Patents
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Abstract
【課題】水素結合を形成しない揮発性有機ガスに対し、選択反射波長の短波長側へのシフトが視認できるガスセンサを提供する。【解決手段】ガスセンサは、ジフェニルアセチレン誘導体系液晶を含むネマチック液晶とカイラル材とを主成分とするコレステリック液晶からなり、コレステリック液晶の選択反射波長の変化により揮発性有機ガスを検知する。【選択図】図1
Description
本発明は、揮発性有機ガスを検知するガスセンサに関する。
近年、ネマチック液晶にカイラル材を添加してなるコレステリック液晶を使ったセンサの研究開発が進んでいる(例えば、特許文献1、非特許文献1参照)。
特許文献1に記載のバイオセンサは、被検物質に特異的に結合するレセプタ成分と、コレステリル基を有するコレステリック液晶とからなる。このバイオセンサでは、被検物質がレセプタ成分へ結合することによりコレステリック液晶の選択反射波長、すなわち、色調が変化するため、視覚的に被検物質を検出することができる。
また、非特許文献1では、コレステリック液晶をガスセンサに応用する技術について開示されている。このガスセンサは、水素結合を形成しない揮発性有機化合物(VOC:Volatile Organic Compounds)のガス(揮発性有機ガス:VOCガス)により、選択反射波長が長波長側、すなわち色調が赤色側へと変化する。例えば、VOCガスの検知前に緑色であったガスセンサは、VOCガスに触れることにより赤色に変化する。したがって、選択反射波長の変化を観察することによりVOCガスの有無を検出することができる。
Chin-Kai Chang et al, Optical detection of organic vapors using cholesteric liquid crystals ,Applied Physics Letters 99,073504(2011).
しかし、上述したガスセンサでは、VOCガスに対して選択反射波長は長波長側のみに変化するため、複数種類のVOCガスが混在する場合に、特定の種類のVOCガスの有無を検出することは難しい。
そこで、本発明は、複数のVOCガスが混在する場合に、特定の種類のVOCガスの有無を検出することができるガスセンサを提供することを目的とする。
本発明の一態様に係るガスセンサは、ジフェニルアセチレン誘導体系液晶を含むネマチック液晶とカイラル材とを主成分とするコレステリック液晶からなり、前記コレステリック液晶の選択反射波長の変化により揮発性有機ガスを検知する。
本発明は、複数のVOCガスが混在する場合に、特定の種類のVOCガスの有無を検出することができるガスセンサを提供することができる。
本実施の形態に係るガスセンサは、コレステリック液晶の選択反射波長が雰囲気ガスによって変化する現象を利用して、特定のVOCガスを選択的に検出するものである。
具体的には、本発明の一態様に係るガスセンサは、ジフェニルアセチレン誘導体系液晶を含むネマチック液晶とカイラル材とを主成分とするコレステリック液晶からなり、前記コレステリック液晶の選択反射波長の変化により揮発性有機ガスを検知する。
多くの液晶組成物では赤方向シフトする中で、ジフェニルアセチレン誘導体系液晶を含むネマチック液晶とカイラル材を主成分とするコレステリック液晶は、水素結合を形成しないVOCガスと接触したときに選択反射波長が短波長側へ変化する。この変化は、視認することができるものである。したがって、ジフェニルアセチレン誘導体系液晶を含むネマチック液晶とカイラル材を主成分とするコレステリック液晶をガスセンサとして用いることにより、当該ガスセンサの選択反射波長の変化を視認することで、VOCガスの有無を検出することができる。
また、VOCガスと接触したときに選択反射波長が長波長側に変化する他の液晶材料によるガスセンサと組み合わせることにより、選択反射波長の変化の違いを検出することで、VOCガスの種類を識別することができる。
また、前記ネマチック液晶に対する前記ジフェニルアセチレン誘導体系液晶の重量比は、5%以上であってもよい。
これによれば、ネマチック液晶に対するジフェニルアセチレン誘導体系液晶の重量比が5%以上であれば、VOCガスに接触したガスセンサの選択反射波長は短波長側に変化する。したがって、VOCガスの有無を検出することができる。
また、前記ネマチック液晶に対する前記ジフェニルアセチレン誘導体系液晶の重量比は、20%以上であってもよい。
これによれば、ネマチック液晶に対するジフェニルアセチレン誘導体系液晶の重量比が20%以上であれば、VOCガスに接触したガスセンサの選択反射波長は、確実に短波長側に変化する。したがって、VOCガスの有無を確実に検出することができる。
また、前記揮発性有機ガスは、ケトン、アルコール、ベンゼン誘導体からなる群から選ばれる一つを含んでもよい。
これによれば、ケトン、アルコール、ベンゼン誘導体からなる群から選ばれる揮発性有機化合物ガスを検出することができる。
また、前記ジフェニルアセチレン誘導体系液晶は、後に示す化学式(1)で表されてもよい。
これによれば、化学式(1)で示されるジフェニルアセチレン誘導体系液晶を含むネマチック液晶とカイラル材を主成分とするコレステリック液晶をガスセンサとして用いることにより、当該ガスセンサの選択反射波長の変化を視認することで、VOCガスの有無を検出することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
なお、以下の実施の形態において「選択反射波長の変化」とは色調の変化のことをいう。「選択反射波長が長波長側に変化する」とは、色調が赤色側に変化することをいう。「選択反射波長が短波長側に変化する」とは、色調が青色側に変化することをいう。「色調が赤色側に変化する」とは、例えば、青色だったものは緑色、黄色または赤色に変化し、緑色だったものは黄色または赤色に変化することをいう。また、「色調が青色側に変化する」とは、赤色だったものは黄色、緑色または青色に変化し、黄色だったものは緑色または青色に変化することをいう。しかしながら、以下の実施の形態において色調の変化によってガスセンサの動作を記述することは、選択反射波長を可視光の波長帯域に限定するものではない。例えば赤色だった選択反射波長が、さらに長波長側に変化することによって赤外領域に移動し、反射色が観察されなくなる、といった変化を利用することも可能である。短波長側への変化も同様である。
(実施の形態)
[1−1.ガスセンサの構成および材料]
はじめに、本実施の形態に係るガスセンサについて説明する。図1は、本実施の形態に係るガスセンサ1の構成を示す概略図である。図2は、選択反射波長の変化を生じる液晶分子構造を示す図である。
[1−1.ガスセンサの構成および材料]
はじめに、本実施の形態に係るガスセンサについて説明する。図1は、本実施の形態に係るガスセンサ1の構成を示す概略図である。図2は、選択反射波長の変化を生じる液晶分子構造を示す図である。
図1に示すように、ガスセンサ1は、コレステリック液晶からなり、基板1a上に塗布したポリイミドよりなる配向膜(図示しない)の上に層状に形成されている。ガスセンサ1を構成するコレステリック液晶は、ネマチック液晶とカイラル材とを主成分とする。また、当該ネマチック液晶は、ジフェニルアセチレン誘導体系液晶を含む。ジフェニルアセチレン誘導体系液晶は、以下の化学式(1)で表される。
これにより、ガスセンサ1は、コレステリック液晶の選択反射波長の変化によりVOCガスの有無を検知することができる。詳細には、コレステリック液晶は、VOCガスに接触したときに選択反射波長が変化するため、ガスセンサ1の選択反射波長の変化を観察することによりVOCガスの有無を検知することができる。ここで、VOCガスは、ケトン、アルコール、ベンゼン誘導体からなる群から選ばれる一つを含む。VOCガスは、例えば、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン(2−ブタノン)、1−ブタノール、tert−ブチルアルコール、ベンゼン、シクロヘキサン、2−ペンタノン、トルエン、シクロヘキサノン等である。
なお、VOCガスと接触する前のガスセンサ1の色調、すなわち選択反射波長は、例えばネマチック液晶に加えるカイラル材の量を調整するなどの方法で制御することができる。
VOCガスに接触させたときに選択反射波長が変化する材料としては、例えば、図2の(A)〜(H)に示す分子構造を有する液晶がある。ここで、(A)はシッフ塩基系液晶、(B)はデムスエステル系液晶、(C)はジフェニルアセチレン誘導体系液晶(トランともいう。)、(D)はフェニルシクロヘキサン(アルコキシ基)系液晶、(E)はフェニルシクロヘキサン(シアノ基)系液晶、(F)はビフェニル系液晶(上段)およびターフェニル系液晶(下段)の混合物、(G)はフェニルピリミジン系液晶、(H)はアルケニル系液晶である。このうち、(A)〜(D)、(G)については、VOCガスに接触させたときに選択反射波長が短波長側に変化する。また、(E)、(F)、(H)については、VOCガスに接触させたときに選択反射波長が長波長側に変化する。なお、(G)については、後に詳述する。
本実施の形態に係るガスセンサ1は、上述したネマチック液晶に(C)ジフェニルアセチレン誘導体系液晶を含んでいる。したがって、ガスセンサ1は、VOCガスに接触させたときに選択反射波長が短波長側に変化する。
[1−2.ガスセンサの使用方法]
次に、ガスセンサ1の使用方法について説明する。ガスセンサ1は、例えば、基板1aを壁に掛けて、ガスセンサ1が気体に接触する状態で使用する。また、ガスセンサ1を容器等に入れて容器内の気体に接触する状態で使用してもよい。VOCガスの有無を検知したい観察気体をガスセンサ1に積極的に吹きかけてもよいし、ガスセンサ1を観察気体中に放置することにより、観察気体と自然接触させてもよい。また、ガスを濃縮して導入しても良い。
次に、ガスセンサ1の使用方法について説明する。ガスセンサ1は、例えば、基板1aを壁に掛けて、ガスセンサ1が気体に接触する状態で使用する。また、ガスセンサ1を容器等に入れて容器内の気体に接触する状態で使用してもよい。VOCガスの有無を検知したい観察気体をガスセンサ1に積極的に吹きかけてもよいし、ガスセンサ1を観察気体中に放置することにより、観察気体と自然接触させてもよい。また、ガスを濃縮して導入しても良い。
[1−3.ガスセンサの選択反射波長の変化のメカニズム]
ここで、ガスセンサ1の選択反射波長の変化のメカニズムについて説明する。図3は、実施の形態1に係るガスセンサの選択反射波長の変化のメカニズムを説明するための図であり、(a)は短ピッチの液晶構造の模式図、(b)は長ピッチの液晶構造の模式図である。
ここで、ガスセンサ1の選択反射波長の変化のメカニズムについて説明する。図3は、実施の形態1に係るガスセンサの選択反射波長の変化のメカニズムを説明するための図であり、(a)は短ピッチの液晶構造の模式図、(b)は長ピッチの液晶構造の模式図である。
図3の(a)および(b)に示すように、ガスセンサ1がVOCガスと接触したとき、ガスセンサ1において液晶10の分子の一部とVOCガスを構成する原子とが結合する。これにより、液晶構造の単位体積当たりのピッチが変化する。例えば、図2に示した(B)のデムスエステル系液晶をガスセンサとして用いた場合、当該ガスセンサがVOCガスと接触したとき水素結合によって液晶構造のピッチが狭くなり、選択反射波長が短波長側に変化することが知られている。本実施の形態にかかるガスセンサ1に含まれるジフェニルアセチレン誘導体系液晶をガスセンサ1として用いた場合、ガスセンサ1がVOCガスと接触したとき分子間相互作用によって液晶構造のピッチが狭くなり、選択反射波長が短波長側に変化すると考えられる。このように、液晶構造のピッチが狭くなった場合にはガスセンサ1の選択反射波長は短波長側に変化し、液晶構造のピッチが広くなった場合にはガスセンサ1の選択反射波長は長波長側に変化する。ただし、液晶構造のピッチの大きさは、各液晶材料により異なる。また、特定のガスに接触したときに、液晶構造のピッチが広くなるか狭くなるかは、液晶材料、および液晶材料に含まれるカイラル材の種類および割合によって異なる。これについては、後の実施例で説明する。
次に、実施例について説明する。
[2−1.実施例に用いた材料の説明]
図4は、本実施例に係るガスセンサを構成する材料の一例を示す図である。図5は、本実施の形態に係るガスセンサ1を構成するジフェニルアセチレン誘導体系液晶を含有するネマチック液晶の組成の一例を示す図である。
図4は、本実施例に係るガスセンサを構成する材料の一例を示す図である。図5は、本実施の形態に係るガスセンサ1を構成するジフェニルアセチレン誘導体系液晶を含有するネマチック液晶の組成の一例を示す図である。
図4に示すように、ガスセンサ1の実験サンプルとして、サンプル1〜サンプル11を作製した。サンプル1〜サンプル11では、ネマチック液晶に添加する組成として、図4に示す組成(1)〜(13)を用いた。なお、後述するジフェニルアセチレン誘導体系液晶は組成(1)、デムスエステル系液晶は組成(2)、フェニルシクロヘキサン(シアノ基)系液晶は組成(11)に示されている。
作製したサンプル1〜サンプル11は、それぞれ異なる特徴を示した。各サンプルの特徴として、ネマチック−アイソトロピック相転移温度、粘度、異常光線屈折率、常光線屈折率、屈折率異方性、分子長軸方向の誘電率、分子短軸方向の誘電率、誘電率異方性を図4に示す。
上述したサンプル1〜11のうち、サンプル2およびサンプル10は、組成(1)のジフェニルアセチレン誘導体を含むものとした。詳細には、サンプル2は、上述した組成(1)〜(4)を含み、サンプル10は、上述した組成(1)、組成(2)、組成(4)、組成(6)〜(10)を含むものとした。その他のサンプルは、サンプル2との比較のために作製したサンプルであり、ジフェニルアセチレン誘導体系液晶を含まないものとした。
図5は、図4に示したサンプル2の詳細な組成を示している。図5に示すように、サンプル2は、上述した組成(1)〜組成(4)のいずれかに分類される12種類の組成を混合したコレスティック液晶である。混合した組成は、組成(1)として、図5に示す(1)−1、(1)−2、(1)−3の3種類の組成を用いた。組成(2)として、図5に示す(2)−1、(2)−2、(2)−3の3種類の組成を用いた。組成(3)として、図5に示す(3)−1、(3)−2、(3)−3、(3)−4の4種類の組成を用いた。組成(4)として、図5に示す(4)−1、(4)−2の2種類の組成を用いた。各組成の混合割合は、図5に示す通りである。これにより、図4に示したように、ネマチック液晶に組成(1)が22%、組成(2)が44.4%、組成(3)が29.6%、組成(4)が3.8%含まれるコレステリック液晶を作製した。まず、電子天秤を用い、9ccスクリュー管瓶に必要量のネマチック液晶およびカイラル材を測り取った。続けて、測り取ったネマチック液晶およびカイラル材を、液晶相−等方相転移温度よりも20℃高い温度にて充分攪拌混合し、その後室温まで放冷してコレステリック液晶とした。なお、他のサンプルについては、使用した材料の種類、混合割合および得られた特徴について図4にまとめているため、詳細な説明を省略する。
上述したサンプルについて、VOCガスに対する選択反射波長の変化を実験により確認した。以下、実験方法について説明する。
[2−2.実験方法の説明]
図6は、本実施の形態に係るガスセンサ1の選択反射波長の変化を確認する実験手順を示す図であり、(a)はガスセンサ1の構成、(b)はVOCガスの発生方法、(c)は選択反射波長の変化の確認方法を示している。
図6は、本実施の形態に係るガスセンサ1の選択反射波長の変化を確認する実験手順を示す図であり、(a)はガスセンサ1の構成、(b)はVOCガスの発生方法、(c)は選択反射波長の変化の確認方法を示している。
図6の(a)に示すように、まず、ガスセンサ1を用意し、ガスセンサ1を容器20に配置した。
容器20は、図6の(b)に示すように、本体20aと蓋20bとで構成されている。本体部20aには、底面に布22とブラックシート24とをこの順に配置した。さらに、ブラックシート24の上に、ガスセンサ1を配置した。なお、布22は、ブラックシート24およびガスセンサ1が意図せず移動するのを抑制するため配置した。また、ブラックシート24は、ガスセンサ1の選択反射波長の変化の確認し易いように配置した。
ここで、ガスセンサ1にVOCガスを接触させるために、図6の(b)に示すように、シリンジ30から液体状のVOC40aを一滴、本体20a内のガスセンサ1が直接濡れない位置に滴下した。そして、蓋20bにより本体20aを密閉した。図6の(c)に示すように、液体状のVOC40aは時間の経過とともに気化し、気化したVOCガス40bは容器20内に充満した。これにより、気化したVOCガス40bは、ガスセンサ1と接触した。このときのガスセンサ1の選択反射波長の変化を観察した。その結果を以下に示す。
[2−3.実験結果]
[2−3−1.ジフェニルアセチレン誘導体系液晶が添加されたサンプルと添加されていないサンプルとの選択反射波長の変化の比較]
図7は、VOCガスが接触した場合のガスセンサ1の選択反射波長の変化を示す図である。図7では、図4に示したサンプル1〜サンプル5について選択反射波長の変化を観察した結果を示した。サンプル1〜サンプル5の構成は、図4に示したサンプル1〜サンプル5の構成と同様である。また、サンプル1〜サンプル5のそれぞれについて、カイラル材の種類を変更して選択反射波長の変化を観察した。ここでは、カイラル材として、図8に示す構成を有するカイラル1〜カイラル4を使用した。図8は、本実施の形態に係るガスセンサ1に含まれるカイラル材の例を示す図であり、(a)はカイラル1、(b)はカイラル2、(c)はカイラル3、(d)はカイラル4の構成を示している。これらのカイラル材を含むサンプル1〜サンプル5について、それぞれ選択反射波長の変化を観察した。なお、VOCガスとして、トルエン(Toluene)5μl、メチルエチルケトン(MEK)5μlをそれぞれ用いた。また、VOCガスに接触する前のガスセンサ1の色調は、緑色とした。
[2−3−1.ジフェニルアセチレン誘導体系液晶が添加されたサンプルと添加されていないサンプルとの選択反射波長の変化の比較]
図7は、VOCガスが接触した場合のガスセンサ1の選択反射波長の変化を示す図である。図7では、図4に示したサンプル1〜サンプル5について選択反射波長の変化を観察した結果を示した。サンプル1〜サンプル5の構成は、図4に示したサンプル1〜サンプル5の構成と同様である。また、サンプル1〜サンプル5のそれぞれについて、カイラル材の種類を変更して選択反射波長の変化を観察した。ここでは、カイラル材として、図8に示す構成を有するカイラル1〜カイラル4を使用した。図8は、本実施の形態に係るガスセンサ1に含まれるカイラル材の例を示す図であり、(a)はカイラル1、(b)はカイラル2、(c)はカイラル3、(d)はカイラル4の構成を示している。これらのカイラル材を含むサンプル1〜サンプル5について、それぞれ選択反射波長の変化を観察した。なお、VOCガスとして、トルエン(Toluene)5μl、メチルエチルケトン(MEK)5μlをそれぞれ用いた。また、VOCガスに接触する前のガスセンサ1の色調は、緑色とした。
図7に示すように、VOCガスに接触したときのガスセンサ1の選択反射波長の変化を観察すると、ネマチック液晶にジフェニルアセチレン誘導体系液晶が添加されたサンプル2のみ、選択反射波長が短波長側に変化した。また、カイラル材としてカイラル1〜カイラル4のいずれを加えた場合も、ジフェニルアセチレン誘導体系液晶が添加されたサンプル2は、選択反射波長が短波長側に変化した。また、サンプル1、3〜5については、カイラル材としてカイラル1〜カイラル4のいずれを加えた場合も、選択反射波長が長波長側に変化した。したがって、ネマチック液晶にジフェニルアセチレン誘導体系液晶を添加したガスセンサ1は、VOCガスに接触したときに選択反射波長が短波長側に変化することが確認できた。
[2−3−2.ジフェニルアセチレン誘導体系液晶の含有割合と選択反射波長の変化の傾向]
次に、ネマチック液晶に含まれるジフェニルアセチレン誘導体系液晶の割合と、VOCガスに接触したときのガスセンサ1の選択反射波長の変化との関係を確認した。図9は、本実施の形態に係るガスセンサ1におけるジフェニルアセチレン誘導体系液晶の割合と選択反射波長の変化とを示す図である。図10は、本実施の形態に係るガスセンサ1を構成するジフェニルアセチレン誘導体系液晶含有ネマチック液晶の組成の他の例を示す図である。
次に、ネマチック液晶に含まれるジフェニルアセチレン誘導体系液晶の割合と、VOCガスに接触したときのガスセンサ1の選択反射波長の変化との関係を確認した。図9は、本実施の形態に係るガスセンサ1におけるジフェニルアセチレン誘導体系液晶の割合と選択反射波長の変化とを示す図である。図10は、本実施の形態に係るガスセンサ1を構成するジフェニルアセチレン誘導体系液晶含有ネマチック液晶の組成の他の例を示す図である。
図9に示すように、ネマチック液晶に含まれるジフェニルアセチレン誘導体系液晶の割合が、それぞれ0%、15%、20%、40%、60%、80%程度となるガスセンサ1を作製した。詳細には、ネマチック液晶に対するジフェニルアセチレン誘導体系液晶の重量比が、0%、16.73%、19.96%、39.72%、59.85%、80.32%であるガスセンサ1を作製した。
ネマチック液晶に含まれるジフェニルアセチレン誘導体系液晶の割合は、ジフェニルアセチレン誘導体系液晶の含有割合が異なる2種類のコレステリック液晶を混合することにより調整した。2種類のコレステリック液晶として、図9に示すようにサンプル7とサンプル12とを用いた。サンプル7は、図4および図7に示したサンプル5と同一のサンプルである。すなわち、サンプル7はジフェニルアセチレン誘導体系液晶を含まないコレステリック液晶からなるサンプルである。サンプル12は、図10に示す組成を有する3種類のコレステリック液晶を混合したサンプルである。サンプル12の混合材料には、図10に示す組成(1)−1、組成(1)−2、組成(1)−3の3種類の組成を用いた。各組成の混合割合は、図10に示す通りである。すなわち、サンプル12は、ネマチック液晶として組成(1)のジフェニルアセチレン誘導体系液晶を100%使用したコレステリック液晶である。サンプル7とサンプル12の混合割合は、図9に示す通りである。
また、カイラル材としては、図8の(a)および(d)に示したカイラル1およびカイラル2を用いた。カイラル1とカイラル4の混合割合は、図9に示す通りである。
上述したように、ネマチック液晶に含まれるジフェニルアセチレン誘導体系液晶の割合がそれぞれ0%、15%、20%、40%、60%、80%程度となるガスセンサ1について、VOCガスに接触したときの選択反射波長の変化をそれぞれ観察した。なお、VOCとして、メチルエチルケトン(MEK)10μlを用いた。また、VOCガスに接触する前のガスセンサ1の色調は、緑色とした。
VOCガスに接触したときのガスセンサ1の選択反射波長の変化を観察すると、ネマチック液晶に対するジフェニルアセチレン誘導体系液晶の重量比が20%程度以上になると、図9に示すように、ガスセンサ1の選択反射波長が確実に短波長側に変化した。また、ネマチック液晶に対するジフェニルアセチレン誘導体系液晶の重量比が20%以下の場合には、選択反射波長の変化が明確に確認できないものもあった。
そこで、ネマチック液晶に対するジフェニルアセチレン誘導体系液晶の重量比が20%程度以下の場合について詳細に確認するため、図11に示すように、ネマチック液晶に対するジフェニルアセチレン誘導体系液晶の重量比が20%程度以下の場合について、トルエンおよびメチルエチルケトンに接触したときのガスセンサ1の選択反射波長の変化を確認した。図11は、本実施の形態に係るガスセンサ1におけるジフェニルアセチレン誘導体系液晶の割合と、トルエンおよびメチルエチルケトンに対する選択反射波長の変化を示す図である。
図11に示すように、ネマチック液晶に含まれるジフェニルアセチレン誘導体系液晶の割合が、それぞれ0%、5%、10%、15%、20%程度となるガスセンサ1を作製した。詳細には、ネマチック液晶に対するジフェニルアセチレン誘導体系液晶の重量比が、0%、5%、10%、15%、22.2%であるガスセンサ1を作製した。
ネマチック液晶に含まれるジフェニルアセチレン誘導体系液晶の割合は、ジフェニルアセチレン誘導体系液晶の含有割合が異なる、図4および図7に示したサンプル1とサンプル2とを混合することにより調整した。サンプル1はジフェニルアセチレン誘導体系液晶を含まないコレステリック液晶からなるサンプルである。サンプル2は、図5に示した12種類の組成を有するコレステリック液晶からなるサンプルである。各組成の混合割合は、図11に示す通りである。すなわち、サンプル1は、ネマチック液晶に添加物として組成(1)のジフェニルアセチレン誘導体系液晶を使用したコレステリック液晶である。サンプル1とサンプル2との混合割合は、図11に示す通りである。なお、VOCとして、トルエンおよびメチルエチルケトンをそれぞれ5μl用いた。また、VOCガスに接触する前のガスセンサ1の色調は、緑色とした。カイラル材として、カイラル1を用いた。
VOCガスに接触したときのガスセンサ1の選択反射波長の変化を観察すると、ネマチック液晶に対するジフェニルアセチレン誘導体系液晶の重量比が5%のときには、メチルエチルケトンに接触したガスセンサ1の選択反射波長が短波長側に変化した。このとき、トルエンに接触したガスセンサ1の選択反射波長は短波長側には変化しなかった。ネマチック液晶に対するジフェニルアセチレン誘導体系液晶の重量比が10%および15%のときも同様に、メチルエチルケトンに接触したガスセンサ1の選択反射波長が短波長側に変化し、トルエンに接触したガスセンサ1の選択反射波長は短波長側には変化しなかった。
なお、図9においてメチルエチルケトンに接触したガスセンサ1の選択反射波長は、ジフェニルアセチレン誘導体系液晶の重量比が15%付近のときに長波長側に変化していたが、図11においてはジフェニルアセチレン誘導体系液晶の重量比が5%以上で短波長側に変化している。この違いは、ガスセンサ1に接触させたメチルエチルケトンの量の違いに起因すると考えられる。図9ではメチルエチルケトンを10μl導入したのに対し、図11では5μlである。より多くのメチルエチルケトン分子と相互作用して液晶構造の単位体積あたりのピッチを狭くするには、より多くのジフェニルアセチレン誘導体系液晶が必要になる。その結果、よりジフェニルアセチレン誘導体液晶の重量比が大きい領域で、選択反射波長が短波長側に変化したものと考えられる。
ネマチック液晶に対するジフェニルアセチレン誘導体系液晶の重量比が20%程度になると、トルエンに接触したガスセンサ1の選択反射波長も短波長側に変化し始め、22.2%では完全に短波長側に変化した。したがって、ネマチック液晶に対するジフェニルアセチレン誘導体系液晶の重量比が20%以上になると、トルエンに接触したガスセンサ1の選択反射波長も短波長側に変化することがわかった。よって、ネマチック液晶に対するジフェニルアセチレン誘導体系液晶の重量比が20%以上であれば、VOCの種類を問わず、ほぼ確実に選択反射波長が短波長側に変化することによりVOCガスの有無を検出することができる。
また、ネマチック液晶に対するジフェニルアセチレン誘導体系液晶の重量比が5%から15%の範囲の場合には、ガスセンサ1の選択反射波長の変化方向によって、トルエンとメチルエチルケトンの判別が可能である。
[2−3−3.複数の種類のVOCガスに対する選択反射波長の変化の傾向]
次に、複数の種類のVOCガスに接触したときのガスセンサ1の選択反射波長の変化について確認した。図12は、本実施の形態に係るガスセンサ1の複数の種類のVOCガスに対する選択反射波長の変化を示す図である。
次に、複数の種類のVOCガスに接触したときのガスセンサ1の選択反射波長の変化について確認した。図12は、本実施の形態に係るガスセンサ1の複数の種類のVOCガスに対する選択反射波長の変化を示す図である。
図12に示すように、VOCとしてエタノール、アセトン、メチルエチルケトン(2−ブタノン)、1−ブタノール、tert−ブチルアルコール、ベンゼン、シクロヘキサン、2−ペンタノン、トルエンおよびシクロヘキサノンを用いた。なお、各VOCの組成、構造式、沸点[℃]、融点[℃]、蒸気圧[kPa]については、図12に示す通りである。
また、ガスセンサ1として、ジフェニルアセチレン誘導体系液晶を10%および20%含むコレスティック液晶を用いた。また、VOCガスに接触する前のガスセンサ1の色調は、緑色とした。カイラル材として、カイラル1を用いた。
各VOCガスに接触したときのガスセンサ1の選択反射波長の変化を観察すると、図12に示すように、ジフェニルアセチレン誘導体系液晶を10%含むコレスティック液晶をガスセンサ1とした場合、ガスセンサ1は、メチルエチルケトン(2−ブタノン)に接触したときに選択反射波長が短波長側に変化した。また、トルエンに接触したときには、短波長側への選択反射波長の変化は見られなかった。
また、ジフェニルアセチレン誘導体系液晶を20%含むコレスティック液晶をガスセンサ1とした場合、ガスセンサ1は、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン(2−ブタノン)、1−ブタノール、tert−ブチルアルコール、ベンゼン、2−ペンタノン、トルエンおよびシクロヘキサノンに接触したときに選択反射波長が短波長側に変化した。なお、シクロヘキサンについては、ジフェニルアセチレン誘導体系液晶を10%および20%含むコレスティック液晶をガスセンサ1とした場合のいずれにおいても、短波長側への選択反射波長の変化は見られなかった。
[2−3−4.選択反射波長の変化の温度依存性]
次に、ガスセンサ1の選択反射波長の変化が、VOCガス以外の環境変化、例えば、温度変化に依存するものでないことを確認するために、ガスセンサ1の選択反射波長の変化の温度依存性について確認した。図13は、本実施の形態に係るガスセンサ1の選択反射波長の温度依存性を示す図である。
次に、ガスセンサ1の選択反射波長の変化が、VOCガス以外の環境変化、例えば、温度変化に依存するものでないことを確認するために、ガスセンサ1の選択反射波長の変化の温度依存性について確認した。図13は、本実施の形態に係るガスセンサ1の選択反射波長の温度依存性を示す図である。
VOCガスに接触しないときのガスセンサ1の選択反射波長の変化について、室温が25℃、30℃、35℃の場合についてガスセンサ1の選択反射波長を確認した。このときのガスセンサ1は、図4および図7に示したサンプル2であり、22.2重量%のジフェニルアセチレン誘導体系液晶を含んでいる。サンプル2の選択反射波長は、図13に示すように、590nm〜570nm程度であり、温度による選択反射波長の変化はほとんどないことが分かった。
また、比較対象として、ジフェニルアセチレン誘導体系液晶を添加していない、コレステロール誘導体(CN、COC、CBの混合物)液晶についても、室温が27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33度の場合の選択反射波長の変化を確認した。ジフェニルアセチレン誘導体系液晶を添加していないコレステロール誘導体液晶については、室温が27℃のとき選択反射波長が約700nm、室温が33℃のとき選択反射波長が約400nmであり、温度変化による選択反射波長の変化が大きいことが確認できた。ジフェニルアセチレン誘導体系液晶を添加していないコレステロール誘導体液晶については、温度依存が大きく、サンプル2と同様の室温25度、33度については確認できなかった。
以上より、ジフェニルアセチレン誘導体系液晶を含むコレステリック液晶からなるガスセンサ1は、温度の影響を受けることなく、選択反射波長の変化を観察することによりVOCガスを検出することができ、温度変化の大きい環境においても安定してVOCガスを検出することができるといえる。
[2−3−5.選択反射波長の変化の時間依存性]
次に、ガスセンサ1のVOCガスに対する反応の速さ、および、安定性を確認するために、ガスセンサ1の選択反射波長の変化の時間依存性を確認した。図14は、本実施の形態に係るガスセンサ1の選択反射波長の時間変化を示す図であり、図2に示したジフェニルアセチレン誘導体(トラン)系液晶よりなるガスセンサ1に対し、VOCとして(a)はメチルエチルケトン、(b)はトルエン、(c)はシクロヘキサン、(d)tert−ブチルアルコールを用いた場合の選択反射波長の時間変化を示している。なお、ここでは、カイラル材としてカイラル1およびカイラル4を用いた。なお、図14の(a)〜(d)において、ガスセンサ1にVOCガスの接触を開始した時刻を0secとしている。
次に、ガスセンサ1のVOCガスに対する反応の速さ、および、安定性を確認するために、ガスセンサ1の選択反射波長の変化の時間依存性を確認した。図14は、本実施の形態に係るガスセンサ1の選択反射波長の時間変化を示す図であり、図2に示したジフェニルアセチレン誘導体(トラン)系液晶よりなるガスセンサ1に対し、VOCとして(a)はメチルエチルケトン、(b)はトルエン、(c)はシクロヘキサン、(d)tert−ブチルアルコールを用いた場合の選択反射波長の時間変化を示している。なお、ここでは、カイラル材としてカイラル1およびカイラル4を用いた。なお、図14の(a)〜(d)において、ガスセンサ1にVOCガスの接触を開始した時刻を0secとしている。
図14の(a)に示すように、VOCとしてメチルエチルケトンを用いた場合、ガスセンサ1が示す選択反射波長は、0secでは608nm程度であった。そして、時間が経過するにつれて選択反射波長は短くなり、開始から90secでは576nm程度を示した。開始から90sec程度経過した場合には、選択反射波長の変化は明確に確認できるといえる。また、図示を省略したが、開始から45sec程度のときに反射率がもっとも大きくなり、75sec程度後から徐々に反射率は小さくなった。
同様に、図14の(b)に示すように、VOCとしてトルエンを用いた場合、ガスセンサ1が示す選択反射波長は、0secでは604nm程度であった。そして、時間が経過するにつれて選択反射波長は短くなり、開始から105secでは580nm程度を示した。開始から90sec程度経過した場合には、選択反射波長の変化は明確に確認できるといえる。また、開始直後の反射率がもっとも大きく、30sec程度後から徐々に反射率は小さくなった。
同様に、図14の(c)に示すように、VOCとしてシクロヘキサンを用いた場合、ガスセンサ1が示す選択反射波長は、0secでは610nm程度であった。そして、時間が経過するにつれて選択反射波長は短くなり、開始から105secでは595nm程度を示した。開始から105sec程度経過した場合には、選択反射波長の変化は明確に確認できるといえる。また、開始直後から反射率は徐々に大きくなり、105sec程度のときに最も大きくなった。
同様に、図14の(d)に示すように、VOCとしてtert−ブチルアルコールを用いた場合、ガスセンサ1が示す選択反射波長は、0secでは608nm程度であった。そして、時間が経過するにつれて選択反射波長は短くなり、開始から105secでは600nm程度を示した。よって、開始から105sec程度経過した場合には、選択反射波長の変化は明確に確認できるといえる。また、開始直後から反射率はほぼ一定であった。したがって、tert−ブチルアルコールに対しては、ガスセンサ1は、開始直後から時間が経過しても反射率はほぼ一定であるといえる。
図14の(a)から(d)より判るように、ガスセンサ1の選択反射波長の変化の大きさや時間変化は、VOCによって大きく異なる。また図9や図11から、コレステリック液晶の組成によってもVOCに対する選択反射波長の変化の仕方が異なる。これらのことから、本願において開示したようなコレステリック液晶の組成の組み合わせを用いることにより、様々な異なったVOCに対するガス検知の選択性を向上させることが可能である。
[2−4.変形例等]
次に、変形例ついて説明する。本変形例では、図2に示した(G)フェニルピリミジン系液晶をネマチック液晶に含むコレステリック液晶を用いたガスセンサについて説明する。
次に、変形例ついて説明する。本変形例では、図2に示した(G)フェニルピリミジン系液晶をネマチック液晶に含むコレステリック液晶を用いたガスセンサについて説明する。
フェニルピリミジン系液晶をネマチック液晶に含むコレステリック液晶では、ジフェニルアセチレン誘導体系液晶をネマチック液晶に含むコレステリック液晶と同様、VOCガスに接触したときに、選択反射波長が短波長側に変化する。また、他のコレステリック液晶にフェニルピリミジン系液晶を添加することにより、選択反射波長の変化の方向(長波長側または短波長側)および程度を制御することができる。例えば、VOCガスに接触したときに選択反射波長が長波長側に変化するコレステリック液晶にフェニルピリミジン系液晶を添加することにより、選択反射波長が短波長側に変化するように制御することも可能である。以下、例を挙げて説明する。
図15は、ピリミジン系液晶を用いたガスセンサを構成する材料の一例を示す図である。
図15に示すサンプル13は、図2に示したデムスエステル系液晶を含むコレステリック液晶0.31gにフェニルピリミジン系液晶0.091gを添加したガスセンサである。デムスエステル系液晶を含むコレステリック液晶は、図7のサンプル5に示したように、VOCガスに接触したときに選択反射波長が長波長側に変化する材料である。また、カイラル材として、カイラル1およびカイラル4を添加した。カイラル材の添加量は、図15に示す通りである。
また、図15に示すサンプル14は、図2に示したデムスエステル系液晶を含むコレステリック液晶0.531gにカイラル材としてカイラル1およびカイラル4を添加したサンプルである。つまり、サンプル14にはフェニルピリミジン系液晶を添加しなかった。
これらのサンプルを、それぞれVOCガスに接触させたときの選択反射波長の変化を図16に示した。図16は、ピリミジン系液晶を用いたガスセンサ1の選択反射波長の時間変化を示す図であり、(a)はメチルエチルケトン、(b)はトルエン、(c)はシクロヘキサン、(d)tert−ブチルアルコールをVOCとして用いた場合の選択反射波長の時間変化を示している。また、図16では、VOCに接触させる前の選択反射波長からの波長変化を縦軸、時間変化を横軸として示している。なお、図16の(a)〜(d)において、本変形例にかかるガスセンサにVOCガスの接触を開始した時刻を0secとしている。
図16の(a)に示すように、VOCとしてメチルエチルケトンを用いた場合、サンプル13を用いた本変形例に係るガスセンサでは、選択反射波長は短波長側に変化した。本変形例に係るガスセンサでは、VOCガスへの接触開始後から徐々に選択反射波長は短波長側へ変化し、開始から70sec程度経過したときには、選択反射波長は、VOCガスへの接触開始前の選択反射波長に比べて15nm程度短波長側へ変化した。その後、選択反射波長は長波長側に変化し、開始から90sec経過したときにはVOCガスへの接触開始前の選択反射波長に比べて9nm程度短波長側に変化した。
一方、サンプル14を用いたガスセンサでは、VOCガスへの接触を開始してから徐々に選択反射波長は短波長側へ変化し、開始から50sec程度経過したときには、選択反射波長は、VOCガスへの接触開始前の選択反射波長に比べて6nm程度短波長側へ変化した。なお、このときの選択反射波長の変化の傾きは、上述したフェニルピリミジン系液晶を添加したサンプル13とほぼ同一であった。また、開始から120sec程度経過したときには、選択反射波長は、VOCガスへの接触開始前の選択反射波長に比べて8nm程度短波長側へ変化し、その後選択反射波長は一定となった。
以上より、デムスエステル液晶を含むコレステリック液晶にフェニルピリミジン系液晶を添加したガスセンサは、メチルエチルケトンに接触したときの選択反射波長の変化が大きいといえる。したがって、当該ガスセンサを用いると、選択反射波長の変化を容易に確認することができる。
また、図16の(b)に示すように、VOCとしてトルエンを用いた場合、サンプル13を用いた本変形例に係るガスセンサでは、VOCガスへの接触開始後から徐々に選択反射波長は短波長側へ変化し、開始から45sec程度経過したときには、選択反射波長は、VOCガスへの接触開始前の選択反射波長に比べて12nm程度短波長側へ変化した。
一方、サンプル14を用いたガスセンサでは、VOCガスへの接触を開始してから徐々に選択反射波長は短波長側へ変化し、開始から50sec程度経過したときには、選択反射波長は、VOCガスへの接触開始前の選択反射波長に比べて1nm程度短波長側へ変化した。このときの選択反射波長の変化の傾きは、上述したフェニルピリミジン系液晶を添加したサンプル13よりも小さかった。その後、開始から180sec程度まで選択反射波長は一定であり、開始から180sec程度経過したときに選択反射波長は急激に短波長側へ変化し始め、開始から240sec程度経過したときには、VOCガスへの接触開始前の選択反射波長に比べて8nm程度短波長側へ変化した。その後、選択反射波長は長波長側へと変化した。
以上より、デムスエステル系液晶を含むコレステリック液晶にフェニルピリミジン系液晶を添加したガスセンサは、トルエンに接触したときの選択反射波長が変化する時間が短いといえる。したがって、当該ガスセンサを用いると、選択反射波長の変化を素早く検出することができる。
また、図16の(c)に示すように、VOCとしてシクロヘキサンを用いた場合、サンプル13を用いた本変形例に係るガスセンサでは、VOCガスへの接触開始後から徐々に選択反射波長は短波長側へ変化し、開始から150sec程度経過したときには、選択反射波長は、VOCガスへの接触開始前の選択反射波長に比べて10nm程度短波長側へ変化した。その後、選択反射波長は一定となった。
一方、サンプル14を用いたガスセンサでは、VOCガスへの接触を開始してから徐々に選択反射波長は短波長側へ変化し、開始から15sec程度経過したときに、選択反射波長は、VOCガスへの接触開始前の選択反射波長に比べて1nm程度短波長側へ変化した。その後、選択反射波長は長波長側へ変化し、開始から30sec程度経過したときには、選択反射波長は、VOCガスへの接触開始前の選択反射波長と同等の波長まで戻り、その後選択反射波長は一定となった。
また、図16の(d)に示すように、VOCとしてtert−ブチルアルコールを用いた場合、サンプル13を用いた本変形例に係るガスセンサでは、VOCガスへの接触開始後から徐々に選択反射波長は短波長側へ変化し、開始から230sec程度経過したときには、選択反射波長は、VOCガスへの接触開始前の選択反射波長に比べて17nm程度短波長側へ変化した。
一方、サンプル14を用いたガスセンサでは、VOCガスへの接触を開始してから選択反射波長は段階的に短波長側へ変化し、開始から230sec程度経過したときには、選択反射波長は、VOCガスへの接触開始前の選択反射波長に比べて7nm程度短波長側へ変化し、その後、選択反射波長は一定となった。
また、デムスエステル系液晶以外の、図2に示した(A)シッフ塩基系液晶、(C)ジフェニルアセチレン誘導体系液晶、(D)フェニルシクロヘキサン(アルコキシ基)系液晶、(E)フェニルシクロヘキサン(シアノ基)系液晶、(F)ビフェニル系液晶およびターフェニル系液晶の混合物、(H)アルケニル系液晶を含むコレステリック液晶についても同様に、フェニルピリミジン系液晶を添加して、VOCガスに接触したときの選択反射波長の変化を確認した。
図17は、フェニルピリミジン系液晶を用いたガスセンサを構成する材料の他の例を示す図である。図17に示すように、図2に示した(A)シッフ塩基系液晶、(C)ジフェニルアセチレン誘導体系液晶、(D)フェニルシクロヘキサン(アルコキシ基)系液晶、(E)フェニルシクロヘキサン(シアノ基)系液晶、(F)ビフェニル系液晶およびターフェニル系液晶の混合物、(H)アルケニル系液晶を含むコレステリック液晶に、フェニルピリミジン系液晶を添加し、VOCガスに接触したときの選択反射波長の変化を確認した。なお、図17に示す(B)デムスエステル系液晶は、上述したサンプル13である。各材料の混合量は、図17に示す通りである。また、カイラル材として、カイラル1およびカイラル4を添加した。カイラル材の添加量は、図17に示す通りである。これらの材料を用いたガスセンサにVOCガスを接触したときの選択反射波長の変化を確認した。なお、VOCとして、メチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサン、tert−ブチルアルコールを用いた。
図18は、図17に示した材料を用いたガスセンサの選択反射波長の変化を示す図である。なお、図18において、短は短波長側への変化、長は長波長側への変化、tは透明への変化を示す。また、図18中の(D)及び(F)について、横軸をVOCガスとの接触開始からの時間、縦軸を選択反射波長の変化量としたグラフをそれぞれ図19、図20として示す。図19は、にピリミジン系液晶を添加したガスセンサの選択反射波長の時間変化を示す図である。図20は、ビフェニル系液晶およびターフェニル系液晶の混合物にピリミジン系液晶を添加したガスセンサの選択反射波長の時間変化を示す図である。なお、図19、図20において+(G)とは、それぞれのコレステリック液晶に対してフェニルピリミジン系液晶(図2に示した(G))を添加したことを示している。
図18の(A)に示すように、シッフ塩基系液晶を添加したコレステリック液晶にフェニルピリミジン系液晶を添加したガスセンサでは、メチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサン、tert−ブチルアルコールのいずれについても、選択反射波長は長波長側に変化し、その後透明に変化した。このときの選択反射波長の長波長側への変化は、フェニルピリミジン系液晶を添加しない場合に比べて、変化が早くかつ大きかった。したがって、フェニルピリミジン系液晶を添加することにより、選択反射波長は短波長側への変化を生じるように制御することができるだけでなく、材料によっては長波長側への変化を大きくするように制御することができるといえる。
また、図18の(B)に示すように、デムスエステル系液晶を添加したコレステリック液晶にフェニルピリミジン系液晶を添加したガスセンサでは、メチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサン、tert−ブチルアルコールのいずれについても、選択反射波長ははじめに短波長側に変化した。メチルエチルケトンについては15nm、トルエンについては13nm、シクロヘキサンについては17nm、tert−ブチルアルコールについては10nmの短波長側への変化が確認できた。その後、メチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサンについては、選択反射波長は長波長側に変化し、さらに、透明に変化した。
また、図18の(C)に示すように、ジフェニルアセチレン誘導体系液晶を添加したコレステリック液晶にフェニルピリミジン系液晶を添加したガスセンサでは、メチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサン、tert−ブチルアルコールのいずれについても、選択反射波長が変化する速度が早かったため、計測には至らなかった。
また、図18の(D)に示すように、フェニルシクロヘキサン(アルコキシ基)系液晶を添加したコレステリック液晶にフェニルピリミジン系液晶を添加したガスセンサでは、メチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサン、tert−ブチルアルコールのいずれについても、選択反射波長ははじめに短波長側に変化した。メチルエチルケトンについては13nm、トルエンについては7nm、シクロヘキサンについては10nm、tert−ブチルアルコールについては10nmの短波長側への変化が確認できた。その後、メチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサン、tert−ブチルアルコールのいずれについても、選択反射波長は長波長側に変化した。また、メチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサンについてはその後透明に変化した。
また、図18の(E)に示すように、フェニルシクロヘキサン(シアノ基)を添加したコレステリック液晶にフェニルピリミジン系液晶を添加したガスセンサでは、メチルエチルケトン、シクロヘキサンについては、選択反射波長は長波長側に変化し、その後透明に変化した。トルエンについては1nmの短波長側への変化が見られた後長波長側に変化し、その後透明に変化した。tert−ブチルアルコールについては、3nmの短波長側への変化が見られた後長波長側に変化し、その後透明に変化した。
また、図18の(F)に示すように、ビフェニル系液晶およびターフェニル系液晶の混合物を添加したコレステリック液晶にフェニルピリミジン系液晶を添加したガスセンサでは、メチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサン、tert−ブチルアルコールのいずれについても、選択反射波長ははじめに短波長側に変化した。メチルエチルケトンについては11nm、トルエンについては5nm、シクロヘキサンについては3nm、tert−ブチルアルコールについては9nmの短波長側への変化が確認できた。その後、メチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサン、tert−ブチルアルコールのいずれについても、選択反射波長は長波長側に変化した。また、メチルエチルケトン、トルエンについてはその後透明に変化した。
また、図18の(H)に示すように、アルケニル系液晶を添加したコレステリック液晶にフェニルピリミジン系液晶を添加したガスセンサでは、メチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサン、tert−ブチルアルコールのいずれについても、選択反射波長は短波長側に変化した。メチルエチルケトンについては23nm、トルエンについては23nm、シクロヘキサンについては30nm、tert−ブチルアルコールについては13nmの短波長側への変化が確認できた。その後、トルエンについては、選択反射波長は長波長側に変化し、さらに、透明に変化した。
また、図19の(a)〜(d)に示すように、メチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサン、tert−ブチルアルコールのいずれについても、フェニルシクロヘキサン(アルコキシ基)系液晶であるサンプル(D)にフェニルピリミジン系液晶であるサンプル(G)を添加した場合、選択反射波長はサンプル(D)だけのときよりも短波長側に変化した。
同様に、図20の(a)〜(d)に示すように、メチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサン、tert−ブチルアルコールのいずれについても、ビフェニル系液晶およびターフェニル系液晶の混合物であるサンプル(F)にフェニルピリミジン系液晶であるサンプル(G)を添加した場合、選択反射波長は、サンプル(F)だけのときよりも短波長側に変化した。
このように、コレステリック液晶にフェニルピリミジン系液晶を添加することにより、選択反射波長を短波長側に変化させるのみならず、選択反射波長の変化の方向および程度を制御することができる。
以上、本発明の実施の形態および実施例に係るガスセンサについて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。
上記実施の形態に係るガスセンサにおいて、上記で用いた数字は、全て本発明を具体的に説明するために例示するものであり、本発明は例示された数字に制限されない。
以上、一つまたは複数の態様に係るガスセンサについて、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
本発明は、揮発性有機ガスを検知するガスセンサおよび当該ガスセンサを備える車両、エアコン等に適用できる。
1 ガスセンサ
1a 基板
10 液晶
20a 本体
20b 蓋
22 布
24 ブラックシート
30 シリンジ
40a VOC
40b VOCガス
1a 基板
10 液晶
20a 本体
20b 蓋
22 布
24 ブラックシート
30 シリンジ
40a VOC
40b VOCガス
Claims (5)
- ジフェニルアセチレン誘導体系液晶を含むネマチック液晶とカイラル材とを主成分とするコレステリック液晶からなり、
前記コレステリック液晶の選択反射波長の変化により揮発性有機ガスを検知する
ガスセンサ。 - 前記ネマチック液晶に対する前記ジフェニルアセチレン誘導体系液晶の重量比は、5%以上である
請求項1に記載のガスセンサ。 - 前記ネマチック液晶に対する前記ジフェニルアセチレン誘導体系液晶の重量比は、20%以上である
請求項2に記載のガスセンサ。 - 前記揮発性有機ガスは、ケトン、アルコール、ベンゼン誘導体からなる群から選ばれる一つを含む
請求項1〜3のいずれか1項に記載のガスセンサ。
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CN109518211A (zh) * | 2019-01-08 | 2019-03-26 | 合肥工业大学 | 一种芳香偶酰类化合物的电化学合成方法 |
-
2016
- 2016-03-10 JP JP2016047676A patent/JP2017161426A/ja active Pending
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