JP2017158808A - 手指病態評価装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】被写体までの距離データが各画素の画素値に含まれる距離画像を撮影する距離画像撮影手段10と、被験者の運動する手指を被写体として撮影した距離画像の各フレームから各指の指骨位置を求めて、その指骨位置のデータを画素値に含む仮想指骨の画像を生成する仮想指骨画像生成手段32と、仮想指骨間の関節角度、仮想指骨の運動状態を表す加速度、及び、仮想指骨の運動に伴う移動量の少なくとも1つを算出する仮想指骨演算手段33と、手指の基準となる病態での基準データ23と、仮想指骨演算手段33が算出した値とを比較し、被験者の手指の病態レベルを判定する手指病態判定手段34とを備える。この手指病態評価装置では、手指の病態レベルを基準レベルと比較することで定量的に評価できる。
【選択図】図1
Description
リハビリテーション分野では、脳卒中患者の運動麻痺の回復過程での重症度を運動観察により評価する方法が広く用いられている。
例えば、下記非特許文献1に記載されたブルンストローム・ステージでは、回復過程での手指の運動麻痺の重症度を以下の6段階に分けている。
ステージ1:随意的に動かすことができない弛緩性麻痺状態。
ステージ2:指の屈折が不能、または僅かに可能。
ステージ3:指の集団屈曲が可能、鉤型握りをするが離すことはできない。指伸展は随意的にはできない(反射的に可能な場合がある)。
ステージ4:横摘まみが可能で、母指の外転により離すことも可能。半ば随意的な指の伸展が可能だが、不十分。
ステージ5:対向摘まみができる。円筒握り、球握り等が可能。指の集団伸展が可能。
ステージ6:全ての握り方、摘み方が可能。随意的な指伸展が全可動域で可能。指の分離運動も可能。しかし、麻痺の無い人に比べて多少拙劣。
片麻痺患者のリハビリテーションの治療プログラムは、患者の運動麻痺の回復過程での重症度に基づいて組まれる。
科学的根拠に基づくリハビリテーション医療を進めるには、患者の病態を客観的に評価することが必要である。
この手指病態評価装置では、手指の病態レベルを基準レベルと比較することで定量的に評価することができる。
手指の病態を映像で表すことができる。
TOF方式の距離画像センサは、高い精度の距離画像を得ることができる。
それにより、各指の仮想指骨間の関節角度等を代数計算処理で求めることができる。
手指の病態レベルが既知の患者の手指の運動を距離画像撮影手段で撮影することで基準データが得られる。
そのため、被験者の手指の病態が運動麻痺のどの重症度に該当するかを的確に判断することができる。
この装置は、距離画像の撮影を実行する距離画像撮影装置10と、距離画像撮影装置10で撮影された手指の動画像から病態を評価するための演算を行う演算部30と、距離画像撮影装置10で撮影された映像や演算部30で算出された演算結果を記録する情報記録装置20と、演算結果等を表示する表示部40とを備えている。
距離画像撮影装置10により撮影される画像(距離画像)の各画素のデータには、被写体までの距離のデータが含まれる。
距離画像を撮影する方式としては、“TOF(Time of Flight)方式”や“パターン投光方式”等が知られている。TOF方式では、赤外線発光素子から発光された赤外光が被写体に反射して戻るまでの時間を距離に置き換えて各画像データに含める。一方、パターン投光方式では、被写体に赤外線でパターン(例えばドットパターン)を投光し、被写体に反射して戻って来たパターンの歪から被写体までの距離を算出し、その距離データを各画素データに含める。
この実施形態では、TOF方式の距離画像撮影装置10を使用している。なお、TOF方式の距離画像撮影装置には、例えば、Leap Motion社から市販されているLEAP MOTION
(登録商標)などの機種がある。
各指の指骨や関節の位置は、手指の外形や手指の屈曲位置等から推定可能である。
また、情報記録装置20及び表示部40は、コンピュータに付属するメモリやディスプレイを用いて構成しても良い。
距離画像撮影装置10は、被験者の手指の運動動作を撮像し、フレーム画像を順次送出する。送られたフレーム画像は、情報記録装置20の第1フレームメモリ211に格納される(ステップ1)。
仮想指骨画像生成部31は、第1フレームメモリ211に距離画像撮影装置10からのフレーム画像が格納されると、それを読出して手指の外形や手指の屈曲位置等から各指骨位置を推定し、画素データに指骨位置データを含む仮想指骨画像を生成する(ステップ2)。
なお、距離画像撮像装置10としてLEAP MOTION(登録商標)を使用する場合は、Leap Motion Developer SDKを利用して作成するアプリケーションによりLEAP MOTIONのフレーム画像から指の種類、指先の位置、指の動作速度、指の関節情報、指骨の場所等の情報を取得することが可能であり、それらの取得情報を指骨位置の特定に利用することができる。
仮想指骨画像再生部32は、第2フレームメモリ212から仮想指骨のフレーム画像を読出し、表示部40に表示する(ステップ4)。
ステップ1〜ステップ4の手順は、距離画像撮影装置10からのフレーム画像の受信が終了するまで繰り返される(ステップ5)。
図5は、距離画像撮影装置10で撮像された手の仮想指骨画像が表示部40に表示されている様子を模式的に示している。
仮想指骨演算部33は、各仮想指骨を時間的に大きさが変わらないベクトルと見做して、仮想指骨間の関節角度や仮想指骨の加速度、仮想指骨の移動量を算出する(ステップ7)。
cosθ1=AV・BV/|AV||BV|
=(axbx+ayby+azbz)/(ax2+ay2+az2)1/2(bx2+by2+bz2)1/2 (数1)
cosθ2=BV・CV/|BV||CV|
=(bxcx+bycy+bzcz)/(bx2+by2+bz2)1/2(cx2+cy2+cz2)1/2 (数2)
cosθ3=CV・DV/|CV||DV|
=(cxdx+cydy+czdz)/(cx2+cy2+cz2)1/2(dx2+dy2+dz2)1/2 (数3)
(数1)(数2)(数3)の分母は時間によって変化しない。
また、仮想指骨の運動状態を表す加速度は、例えば、θ1、θ2、θ3の2階微分(d2θ1/dt2、d2θ2/dt2、d2θ3/dt2)を計算して求めることができる。
E1V=AV+BV+CV+DV
e1x=ax+bx+cx+dx
e1y=ay+by+cy+dy
e1z=az+bz+cz+dz
となる。CVがC’Vに変化したことによりE1VがE2Vに移動した場合、その移動量E3Vは、
E3V=E1V−E2V
e3x=e1x−e2x
e3y=e1y−e2y
e3z=e1z−e2z
の代数計算により求めることができる。
手指病態判定部34は、仮想指骨演算結果格納領域22に格納された関節角度、加速度及び移動量を読出して、基準データ格納領域23に格納されている運動麻痺の重症度に準じた関節角度、加速度及び移動量と比較する(ステップ8)。そして、それらの値の比較によって各運動の可否を判定し、被験者の麻痺の重症度を判定する(ステップ9)。
手指病態判定部34が判定した被験者の麻痺の重症度は、ブルンストローム・ステージに則して、表示部40に表示される(ステップ10)。
ステップ6〜ステップ10の手順は、第2フレームメモリ212に格納された仮想指骨のフレーム画像の全てについての処理が終了するまで繰り返される(ステップ11)。
このように、この手指病態評価装置では、被験者の手指の関節角度、加速度及び移動量と基準データとを比較して手指の病態を判定しているため、客観的な判定が可能である。
また、ここでは、ブルンストローム・ステージの各ステージにおける手指の病態を運動麻痺状態の基準として基準データを設定したが、それとは異なるものを基準データとしても良い。
また、手指の病態の判断は、手指の関節角度、加速度及び移動量の一部だけを用いて行っても良い。
20 情報記録装置
22 仮想指骨演算結果格納領域
23 基準データ格納領域
30 演算部
31 仮想指骨画像生成部
32 仮想指骨画像再生部
33 仮想指骨演算部
34 手指病態判定部
40 表示部
51 中手骨
52 基節骨
53 中節骨
54 末節骨
55 MP関節
56 PIP関節
57 DIP関節
58 IP関節
211 第1フレームメモリ
212 第2フレームメモリ
Claims (6)
- 手指の運動麻痺状態を評価する手指病態評価装置であって、
被写体までの距離データが各画素の画素値に含まれる距離画像を撮影する距離画像撮影手段と、
前記距離画像撮影手段が被験者の運動する手指を被写体として撮影した前記距離画像の各フレームから各指の指骨を構成する中手骨、基節骨、中節骨及び末節骨の指骨位置を求めて、該指骨位置のデータが画素値に含まれる仮想指骨の画像を生成する仮想指骨画像生成手段と、
前記仮想指骨画像生成手段により生成された前記仮想指骨の画像を前記被験者の特定が可能な識別情報に対応付けて記録する記録手段と、
前記記録手段から前記仮想指骨の画像を読出し、仮想指骨間の関節角度、前記仮想指骨の運動状態を表す加速度、及び、前記仮想指骨の運動に伴う移動量の少なくとも1つを算出する仮想指骨演算手段と、
前記手指の基準となる病態での仮想指骨間の関節角度、仮想指骨の前記加速度、又は、仮想指骨の前記移動量を基準データとして、該基準データと、前記仮想指骨演算手段が算出した値とを比較し、前記被験者の手指の病態レベルを判定する手指病態判定手段と、
を備えることを特徴とする手指病態評価装置。 - 請求項1に記載の手指病態評価装置であって、さらに、前記記録手段に記録された前記仮想指骨の画像を表示画面に表示する仮想指骨画像再生手段を備えることを特徴とする手指病態評価装置。
- 請求項1に記載の手指病態評価装置であって、前記距離画像撮影手段は、赤外線発光素子を具備し、発光された赤外光が前記被写体で反射して戻るまでの時間に基づいて各画素に含める前記距離データを設定するTime of Flight(TOF)方式の距離画像センサであることを特徴とする手指病態評価装置。
- 請求項1に記載の手指病態評価装置であって、前記仮想指骨演算手段は、前記仮想指骨の各々を時間的に大きさが変化しないベクトルと見做して前記仮想指骨間の関節角度を算出することを特徴とする手指病態評価装置。
- 請求項1に記載の手指病態評価装置であって、前記基準データは、手指の病態レベルが既知の患者の手指を被写体として前記距離画像撮影手段が撮影した前記距離画像から、前記仮想指骨画像生成手段による仮想指骨画像の生成、及び、前記仮想指骨演算手段による仮想指骨間の関節角度、仮想指骨の前記加速度、又は、仮想指骨の前記移動量の算出の処理を経て生成されたものであり、前記記録手段の基準データ格納領域に記録されていることを特徴とする手指病態評価装置。
- 請求項5に記載の手指病態評価装置であって、前記記録手段の前記基準データ格納領域には、運動麻痺の各重症度に該当する患者の手指を前記被写体として前記距離画像撮影手段が撮影した前記距離画像から得られた前記基準データが記録されていることを特徴とする手指病態評価装置。
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