JP2017157783A - プリント配線基板 - Google Patents
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Abstract
Description
信号伝達遅延時間(T)∝√Dk/C
ここで、Dkは材料の誘電率を示し、Cは光の速度を示す。
以下、本発明に係るプリント配線基板について詳細に説明する。但し、本発明のプリント配線基板は、以下に示す実施形態及び実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。
図1は、本発明の一実施形態に係るプリント配線基板100の断面図を示す。プリント配線基板100は、少なくとも1対の隣接する配線151と配線153との間の絶縁層が、複数のプリプレグ110からなる。図1においては、一例として、プリプレグ110が2層で構成される絶縁層111及び113を示すが、配線151と配線153との間の絶縁層111及び113を構成するプリプレグ110の層数は適宜設定可能である。
本発明の実施形態1に係るプリプレグは、樹脂組成物として誘電率(Dk)及び誘電正接(Df)が低い樹脂組成物、例えば、ポリフェニレンエーテル樹脂組成物を含み、ポリフェニレンエーテル架橋型硬化剤を含む。
本発明の実施形態1に係るプリプレグに用いる樹脂組成物に含まれるポリフェニレンエーテルは下記の一般式(1)で表され、数平均分子量が1000以上7000以下のものを用いることができる。
一般式(1)におけるアリール基としては、芳香族炭化水素基を用いることができる。具体的には、アリール基として、フェニル基、ビフェニル基、インデニル基、及びナフチル基を用いることができ、好ましくはアリール基を用いるとよい。ここで、アリール基は、上記のアリール基が酸素原子で結合されているジフェニルエーテル基等や、カルボニル基で結合されたベンゾフェノン基等、アルキレン基により結合された2,2−ジフェニルプロパン基等を含んでもよい。また、アリール基は、アルキル基(好適にはC1−C6アルキル基、特にメチル基)、アルケニル基、アルキニル基やハロゲン原子など、一般的な置換基によって置換されていてもよい。但し、当該「アリール基」は、酸素原子を介してポリフェニレンエーテル部分に置換されているので、一般的置換基の数の限界は、ポリフェニレンエーテル部分の数に依存する。
一般式(1)におけるポリフェニレンエーテル部分は以下の一般式(2)で表され、フェニルオキシ繰返し単位からなる。ここで、フェニル基は、一般的な置換基によって置換されていてもよい。
一般式(1)及び一般式(2)におけるアルキル基としては、飽和炭化水素基を用いることができる。上記のアルキル基としては、C1−C10アルキル基を用いるとよい。好ましくは、上記のアルキル基としてC1−C6アルキル基を用いるとよい。さらに好ましくは、上記のアルキル基としてC1−C4アルキル基を用いるとよい。さらに好ましくは、上記のアルキル基としてC1−C2アルキル基を用いるとよい。具体的には、アルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基を用いることができる。
一般式(1)及び一般式(2)におけるアルケニル基としては、構造中に少なくとも一つの炭素−炭素二重結合を有する不飽和炭化水素基を用いることができる。上記のアルケニル基としては、C2−C10アルケニル基を用いるとよい。好ましくは、上記のアルケニル基としてC2−C6アルケニル基を用いるとよい。さらに好ましくは、上記のアルケニル基としてC2−C4アルケニル基を用いるとよい。具体的には、アルケニル基として、エチレン基、1−プロピレン基、2−プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基を用いることができる。
一般式(1)及び一般式(2)におけるアルキニル基としては、構造中に少なくとも一つの炭素−炭素三重結合を有する不飽和炭化水素基を用いることができる。上記のアルキニル基としては、C2−C10アルキニル基を用いるとよい。好ましくは、上記のアルキニル基としてC2−C6アルキニル基を用いるとよい。さらに好ましくは、上記のアルキニル基としてC2−C4アルキニル基を用いるとよい。具体的には、アルキニル基として、エチン基、1−プロピン基、2−プロピン基、イソプロピン基、ブチン基、イソブチン基、ペンチン基、ヘキシン基を用いることができる。
本樹脂組成物に含まれる架橋型硬化剤は、ポリフェニレンエーテルを3次元架橋する硬化剤を用いることができる。具体的には、架橋型硬化剤として、多官能ビニル化合物、ビニルベンジルエーテル系化合物、アリルエーテル系化合物、又はトリアルケニルイソシアヌレートを用いることができる。多官能ビニル化合物は、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルビフェニルを含む。ビニルベンジルエーテル系化合物は、フェノール及びビニルベンジルクロライドの反応によって合成される。アリルエーテル系化合物は、スチレンモノマー、フェノール、及びアリルクロライドの反応によって合成される。トリアルケニルイソシアヌレートは相溶性が良好であり、トリアリルイソシアヌレート(以下TAIC)又はトリアリルシアヌレート(以下TAC)を用いることができる。
本発明の一実施形態に係るプリント配線基板100に用いるプリプレグに含まれる繊維基材として、誘電率が7.0以下のガラス繊維基材を用いることが好ましい。このような低誘電率のガラスとして、Eガラス、Dガラス、Sガラス、Tガラス、NEガラス、クォーツ等のクロスを用いることができる。また、ガラスクロスの厚みは特に限定されないが、0.01〜0.2mmの範囲の積層板用途に使用されるもので、特に超開繊処理や目詰め処理を施したガラス織布が、寸法安定性の面から好適である。またエポキシシラン処理、アミノシラン処理などのシランカップリング剤などで表面処理したガラスクロスは吸湿耐熱性の面から好適に使用される。また、繊維基材として、誘電率が7.0以下の有機繊維基材も使用可能である。このような有機繊維基材として、液晶ポリエステル繊維基材、アラミド繊維基材等が挙げられる。
本発明に係るプリント配線基板100に用いるプリプレグに含まれる無機充填材としては、例えばシリカを含むことができるが、これに限定されるものではない。シリカとしては、例えば、球状合成シリカを用いることができ、平均粒径が10μm以下の微粒子を用いることができる。ここでいう平均粒径とは、添加する充填材のカタログ等の資料に記載された値であってもよく、ランダムに抽出された複数の充填材の平均値又は中央値であってもよい。充填材の平均粒径を上記の条件とすることで、平滑性及び信頼性が高いプリプレグを得ることができる。本発明のプリプレグにおいては、シリカをプリプレグに添加することにより、プリプレグの熱膨張係数の増大を効果的に抑制することができる。
本樹脂組成物は、必要に応じて、未修飾のポリフェニレンエーテル、難燃剤、及び反応開始剤から選択される1以上の添加剤を添加することができる。また、さらにプリント配線基板などの電子機器の製造に用いられる樹脂組成物の一般的な添加成分を添加してもよい。
本樹脂組成物は、上記のポリフェニレンエーテルに加え、数平均分子量が9000以上18000以下の未修飾のポリフェニレンエーテルを添加することができる。未修飾のポリフェニレンエーテルを添加することで、樹脂組成物の流動性の制御や耐熱性の向上を実現することができる。また、樹脂組成物中において、充填材などの添加成分の沈殿を抑制することができる。ここで、未修飾のポリフェニレンエーテルとは、分子中に炭素−炭素の不飽和基を有さないポリフェニレンエーテルのことであり、その添加量は、ポリフェニレンエーテルと架橋型硬化剤の合計質量100質量部に対して3質量部以上70質量部以下が好ましい。
本樹脂組成物に難燃剤を添加することで、本樹脂組成物を用いたプリプレグの耐水性、耐湿性、吸湿耐熱性、及びガラス転移点を向上させることができる。難燃剤としては、臭素化有機化合物、例えば芳香族臭素化合物を用いることができる。具体的には、デカブロモジフェニルエタン、4,4−ジブロモビフェニル、エチレンビステトラブロモフタルイミド等を用いることができる。好ましくは、臭素の含有量が樹脂組成物全量に対して8質量%以上20質量%以下となる量の臭素化有機化合物を含有するとよい。
本樹脂組成物に反応開始剤を添加することで、架橋型硬化剤のより顕著な効果を得ることができる。反応開始剤としては、適度な温度及び時間で樹脂組成物の硬化を促進することによって、樹脂組成物の耐熱性等の特性を向上できるものであれば一般的な材料を用いることができる。具体的には、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3−ヘキシン、過酸化ベンゾイル、3,3’,5,5’−テトラメチル−1,4−ジフェノキノン、クロラニル、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノキシル、t−ブチルペルオキシイソプロピルモノカーボネート、アゾビスイソブチロニトリル等の酸化剤を用いることができる。ここで、必要に応じてカルボン酸金属塩などを添加して、硬化反応をさらに促進させてもよい。
本発明の実施形態1に係るプリプレグを作製する方法について説明する。まず、ポリフェニレンエーテル、架橋型硬化剤、及び添加剤を有機溶媒と混合し、ワニスを形成する。この有機溶媒としては、臭素化有機化合物を溶解せず、樹脂成分を溶解し、反応に悪影響を及ぼすものでなければ特に限定されない。例えば、メチルエチルケトン等のケトン類、ジブチルエーテル等のエーテル類、酢酸エチル等のエステル類、ジメチルホルムアミド等のアミド類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、トリクロロエチレン等の塩素化炭化水素等の適当な有機溶媒を一種あるいは二種以上を混合して用いられる。ワニスの樹脂固形分の濃度は、ワニスを基材に含浸する作業に応じて適当に調整すればよく、例えば40質量%以上90質量%以下とすることができる。
ここでは、上記のようにして作製したプリプレグを用いたプリント配線基板100の製造方法について説明する。まず、プリプレグを一枚又は複数枚重ね、さらにその上下の両面又は片面に銅箔等の金属箔を重ねて、その積層体を加熱加圧成形する。この成形によって、両面又は片面に金属箔を有する積層体を作製することができる。この積層体の金属箔をパターニング及びエッチング加工して回路形成することでプリント配線基板を得る。次いで、回路が形成された前記プリント配線基板を間に挟んで複数枚のプリプレグを重ねて加熱加圧成形することで、プリント配線基板100を作製することができる。
以下、本発明に係るプリント配線基板について詳細に説明する。但し、本発明のプリント配線基板は、以下に示す実施形態及び実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。
実施形態2に係るプリント配線基板の基本的な構成は実施形態1と同様である。実施形態2においては、プリント配線基板100は、少なくとも1対の隣接する配線151と配線153との間の絶縁層が、複数のプリプレグ110からなる。プリプレグ110を多層化することにより、配線151と配線153との周囲に樹脂組成物120と繊維基材130との分布を均一化させることができ、その結果、信号伝達遅延時間の面内でのばらつきを低減することができる。
本発明の実施形態2に係るプリプレグは、エポキシ化合物、ポリフェニレンエーテル、シアネートエステル化合物、硬化触媒、及び、ハロゲン系難燃剤を含有する。エポキシ化合物は、数平均分子量が1000以下で、一分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するハロゲン原子を含有しない。また、ポリフェニレンエーテルは数平均分子量が5000以下である。また、硬化触媒は、エポキシ化合物及びポリフェニレンエーテルと硬化剤であるシアン酸エステル化合物との反応を促進させる。
エポキシ化合物としては、ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、ナフタレン型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物等を用いることができる。これらは、単独で用いることもでき、複数を組み合わせて用いることもできる。上記のうち、特にジシクロペンタジエン型エポキシ化合物、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物がポリフェニレンエーテルとの相溶性が良好であるため好ましい。なお、本樹脂組成物には、ハロゲン化エポキシ化合物を含有しないことが好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲であれば、必要に応じて添加してもよい。
ポリフェニレンエーテルとしては、数平均分子量は5000以下であり、好ましくは2000以上4000以下である。
シアン酸エステル化合物としては、1分子中に2個以上のシアネート基を有する化合物を用いることができる。具体的には、2,2−ビス(4−シアナートフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジメチル−4−シアナートフェニル)メタン、2,2−ビス(4−シアナートフェニル)エタン等、又はこれらの誘導体等の芳香族系シアン酸エステル化合物等を用いることができる。これらは、単独で用いることもでき、複数を組み合わせて用いることもできる。
硬化触媒としては、オクタン酸、ステアリン酸、アセチルアセトネート、ナフテン酸、サリチル酸等の有機酸のZn,Cu,Fe等の有機金属塩、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の3級アミン、2−エチル−4−イミダゾール、4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類等を用いることができる。これらは、単独で用いることもでき、複数を組み合わせて用いることもできる。上記のうち、有機金属塩、特にオクタン酸亜鉛がより高い耐熱性が得られるため好ましい。
ハロゲン系難燃剤としては、トルエン等の溶媒により調整されるワニス中で溶解しないハロゲン系難燃剤を用いることができる。具体的には、ハロゲン系難燃剤としては、エチレンジペンタブロモベンゼン、エチレンビステトラブロモフタルイミド、デカブロモジフェニルオキサイド、テトラデカブロモジフェノキシベンゼン、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン等を用いることができる。上記のうち、特にエチレンジペンタブロモベンゼン、エチレンビステトラブロモフタルイミド、デカブロモジフェニルオキサイド、テトラデカブロモジフェノキシベンゼンは、融点が300℃以上で耐熱性が高いため、プリプレグの耐熱性を向上させることができる。融点が300℃以上の耐熱性が高いハロゲン系難燃剤を用いると、高温時におけるハロゲンの脱離を抑制することができるため、硬化物の分解による耐熱性の低下を抑制することができる。
本発明の一実施形態に係るプリント配線基板100に用いるプリプレグに含まれる繊維基材として、誘電率が7.0以下のガラス繊維基材を用いることが好ましい。このような低誘電率のガラスとして、Eガラス、Dガラス、Sガラス、Tガラス、NEガラス、クォーツ等のクロスを用いることができる。また、ガラスクロスの厚みは特に限定されないが、0.01〜0.2mmの範囲の積層板用途に使用されるもので、特に超開繊処理や目詰め処理を施したガラス織布が、寸法安定性の面から好適である。またエポキシシラン処理、アミノシラン処理などのシランカップリング剤などで表面処理したガラスクロスは吸湿耐熱性の面から好適に使用される。また、繊維基材として、誘電率が7.0以下の有機繊維基材も使用可能である。このような有機繊維基材として、液晶ポリエステル繊維基材、アラミド繊維基材等が挙げられる。
本実施形態に係るプリプレグに含まれる無機充填材としては、例えばシリカを含むことができるが、これに限定されるものではない。シリカとしては、例えば、球状合成シリカを用いることができ、平均粒径が10μm以下の微粒子を用いることができる。ここでいう平均粒径とは、添加する充填材のカタログ等の資料に記載された値であってもよく、ランダムに抽出された複数の充填材の平均値又は中央値であってもよい。充填材の平均粒径を上記の条件とすることで、平滑性及び信頼性が高いプリプレグを得ることができる。本発明のプリプレグにおいては、シリカをプリプレグに添加することにより、プリプレグの熱膨張係数の増大を効果的に抑制することができる。
本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、未修飾のポリフェニレンエーテル、及び反応開始剤から選択される1以上の添加剤を添加することができる。また、さらにプリント配線基板などの電子機器の製造に用いられる樹脂組成物の一般的な添加成分を添加してもよい。未修飾のポリフェニレンエーテル、及び反応開始剤については、実施形態1で説明したため、詳細な説明は省略する。
本発明の実施形態2に係るプリプレグの本樹脂組成物は、エポキシ化合物、ポリフェニレンエーテル、及びシアン酸エステル化合物の成分は何れも樹脂ワニス中で溶解されたものであり、無機充填材の成分は、樹脂ワニス中で溶解されず、分散されているものである。このような樹脂ワニスは、例えば、以下のようにして調製される。
攪拌装置、温度計、空気導入管、じゃま板のついた12リットルの縦長反応器にCuBr2 3.88g(17.4mmol)、N,N’−ジ−t−ブチルエチレンジアミン 0.75g(4.4mmol)、n−ブチルジメチルアミン 28.04g(277.6mmol)、トルエン 2600gを仕込み、反応温度40℃にて攪拌を行い、あらかじめ2300gのメタノールに溶解させた2,2’、3,3’、5,5’−ヘキサメチル−(1,1’−ビフェノール)−4,4’−ジオール 129.3g(0.48mol)、2,6−ジメチルフェノール233.7g(1.92mol)、2,3,6−トリメチルフェノール 64.9g(0.48mol)、N,N’−ジ−t−ブチルエチレンジアミン 0.51g(2.9mmol)、n−ブチルジメチルアミン 10.90g(108.0mmol)の混合溶液を、窒素と空気とを混合して酸素濃度8%に調整した混合ガスを5.2リットル/minの流速でバブリングを行いながら230分かけて滴下し、攪拌を行った。
攪拌装置、温度計、空気導入管、じゃま板のついた12リットルの縦長反応器にCuBr2 9.36g(42.1mmol)、N,N’−ジ−t−ブチルエチレンジアミン 1.81g(10.5mmol)、n−ブチルジメチルアミン 67.77g(671.0mmol)、トルエン 2600gを仕込み、反応温度40℃にて攪拌を行い、あらかじめ2300gのメタノールに溶解させた2,2’,3,3’,5,5’−ヘキサメチル−(1,1’−ビフェノール)−4,4’−ジオール 129.32g(0.48mol)、2,6−ジメチルフェノール 878.4g(7.2mol)、N,N’−ジ−t−ブチルエチレンジアミン 1.22g(7.2mmol)、n−ブチルジメチルアミン 26.35g(260.9mmol)の混合溶液を、窒素と空気とを混合して酸素濃度8%に調整した混合ガスを5.2リットル/minの流速でバブリングを行いながら230分かけて滴下し、攪拌を行った。
上記のポリフェニレンエーテル(1)を70質量部準備し、溶媒としてトルエンを100質量部加えて80℃にて30分混合、攪拌して完全に溶解した。このようにして得られたポリフェニレンエーテル溶液に対して、架橋型硬化剤として日本化成株式会社製「TAIC」を30質量部、難燃剤として臭素化有機化合物であるエチレンビス(ペンタブロモフェニル)(アルベマール日本株式会社製「SAYTEX8010(商品名)」)を20質量部、及び無機充填材として球状合成シリカ(株式会社アドマテックス社製「SC2050(商品名)」)を14質量部、を配合した。これらを溶媒であるトルエン中で混合、分散、溶解して、固形分65%に希釈し、樹脂組成物のワニスを得た。上記の難燃剤が、ポリフェニレンエーテル及びTAICに非反応の臭素化有機化合物であるので、樹脂組成物であるワニス中で、難燃剤はトルエンには溶解せずに分散していた。
実施例2では、上記のポリフェニレンエーテル(2)を70質量部準備し、溶媒としてトルエンを100質量部加えて80℃にて30分混合、攪拌して完全に溶解した。このようにして得られたポリフェニレンエーテル溶液に対して、架橋型硬化剤として日本化成株式会社製「TAIC」を30質量部、難燃剤として臭素化有機化合物であるエチレンビス(ペンタブロモフェニル)(アルベマール日本株式会社製「SAYTEX8010(商品名)」)を20質量部、及び無機充填材として球状合成シリカ(株式会社アドマテックス社製「SC2050(商品名)」)を14質量部、を配合した。これらを溶媒であるトルエン中で混合、分散、溶解して、固形分65%に希釈し、樹脂組成物のワニスを得た。上記の難燃剤が、ポリフェニレンエーテル及びTAICに非反応の臭素化有機化合物であるので、樹脂組成物であるワニス中で、難燃剤はトルエンには溶解せずに分散していた。
比較例1として、実施例1と同じワニスを用い、基材としてIPC No.#2116のEガラスクロスに含浸させた後、温度170℃、5分間の条件で加熱乾燥し、溶媒を除去して樹脂組成物が55質量%、厚さ130μmのプリプレグを得た。得られたプリプレグを1枚用い、その両面に厚さ35μmである銅箔(3EC−VLP、三井金属鉱業社製)を重ねた。温度210℃、圧力30kg/cm2(30kg/cm2)、150分間の成形条件で加熱加圧し、厚さ130μmの両面銅張積層板を得た。
比較例2として、実施例2で得られたワニスを使用し、基材としてIPC No.#2116のEガラスクロスに含浸させた後、温度170℃、5分間の条件で加熱乾燥し、溶媒を除去して樹脂組成物が55質量%、厚さ130μmのプリプレグを得た。以下、比較例1と同様にプリント配線板を作製し、信号伝搬遅延時間の変動幅の測定を行った。測定結果を図2に示す。
図2に実施例1及び2、比較例1及び2の構成及び評価結果を示す。図2に示すように、実施形態1及び2のプリント配線基板では、信号伝搬遅延時間(ps/m)の変動幅が100ps/m未満となり、信号伝達遅延時間のばらつきは小さかった。一方、プリプレグを1層で形成した比較例1及び2のプリント配線基板では、信号伝搬遅延時間(ps/m)の変動幅が100ps/mを超え、信号伝達遅延時間のばらつきは大きかった。
「ポリフェニレンエーテル(3)」として、ポリフェニレンエーテルの末端が水酸基であるポリフェニレンエーテル(SABICイノベーティブプラスチックス社製のSA90)を用いた。「ポリフェニレンエーテル(3)」の重量平均分子量は1700である。
エポキシ化合物としては、ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物(DIC社製「エピクロンHP7200(商品名)」)を用いた。エピクロンHP7200の数平均分子量は550である。
エポキシ化合物としては、ナフタレン骨格変性エポキシ樹脂(DIC社製「エピクロンHP4032D(商品名)」)を用いた。エピクロンHP4032Dの数平均分子量は280である。
上記のポリフェニレンエーテル(3)を30質量部準備し、溶媒としてトルエンを加えて、混合、攪拌して完全に溶解した。このようにして得られたポリフェニレンエーテル溶液に対して、上記のエポキシ化合物(1)を45質量部、及びシアン酸エステル化合物として、2,2−ビス(4−シアナートフェニル)プロパン(三菱ガス化学株式会社製「CA210(商品名)」)を25質量部添加させた後、30分間撹拌して完全に溶解させた。さらに、難燃剤として上記の「SAYTEX8010」を25質量部、及び無機充填材として上記の「SC2050」を24質量部添加して、ボールミルで分散させることにより樹脂ワニスを得た。なお、上記の難燃剤は溶解せず、樹脂ワニス中で1μm以上10μm以下の平均粒子径で分散していた。
実施例4では、上記のポリフェニレンエーテル(3)を30質量部、ナフタレン骨格変性エポキシ樹脂(HP4032D、DIC社製、数平均分子量280)45質量部、2、2−ビス(4−シアネートフェニル)プロパンのプレポリマー(CA210、三菱ガス化学社製)25質量部、難燃剤として、エチレンビス(ペンタブロモフェニル)(SAYTEX8010、アルベマール日本社製)25質量部、溶融シリカ(SC2050、平均粒径0.5μm、アドマテックス社製)24質量部を混合し、メチルエチルケトンで固形分65%に希釈しワニスを得た。基材としてIPC No.#1067のEガラスクロスを用い、上記のワニスを含浸させた後、温度170℃、5分間の条件で加熱乾燥し、溶媒を除去して樹脂量72質量%、厚さ65μmのプリプレグを得た。このようにして得られたプリプレグを使用して、実施例1と同様にインピーダンスZ=50Ωのストリップライン12本を備え、隣接する回路層の間に複数のプリプレグを積層するプリント配線基板を作製し、所定周波数の信号を印加した際の伝搬遅延時間の変動幅を測定した。評価結果を図3に示す。
比較例3として、実施例3と同じワニスを用い、基材としてIPC No.#2116のEガラスクロスに含浸させた後、温度170℃、5分間の条件で加熱乾燥し、溶媒を除去して樹脂組成物が55質量%、厚さ130μmのプリプレグを得た。以下、比較例1と同様にプリント配線基板を作製し、信号伝搬遅延時間の変動幅の測定を行った。測定結果を図3に示す。
比較例4として、実施例4で得られたワニスを使用し、基材としてIPC No.#2116のEガラスクロスに含浸させた後、温度170℃、5分間の条件で加熱乾燥し、溶媒を除去して樹脂組成物が55質量%、厚さ130μmのプリプレグを得た。以下、比較例1と同様にプリント配線板を作製し、信号伝搬遅延時間の変動幅の測定を行った。測定結果を図3に示す。
図3に実施例3及び4と、比較例3及び4の構成及び評価結果を示す。図3に示すように、実施形態3及び4のプリント配線基板では、信号伝搬遅延時間(ps/m)の変動幅が100ps/m未満となり、信号伝達遅延時間のばらつきは小さかった。一方、プリプレグを1層で形成した比較例3及び4のプリント配線基板では、信号伝搬遅延時間(ps/m)の変動幅が100ps/mを超え、信号伝達遅延時間のばらつきは大きかった。
Claims (5)
- 少なくとも1対の隣接する配線間の絶縁層が、複数のプリプレグからなることを特徴とするプリント配線基板。
- 前記プリプレグに含まれる繊維基材の誘電率が7.0以下であることを特徴とする請求項1に記載のプリント配線基板。
- 前記プリプレグに含まれる樹脂組成物は、一分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するハロゲン原子を含有しない、数平均分子量が1000以下のエポキシ化合物、数平均分子量5000以下のポリフェニレンエーテル、シアネートエステル化合物、前記エポキシ化合物及び前記ポリフェニレンエーテルと硬化剤である前記シアネートエステル化合物との反応を促進させる硬化触媒、及び、ハロゲン系難燃剤を含有する樹脂ワニスを有することを特徴とする請求項1又は2に記載のプリント配線基板。
- 前記配線が銅、金、銀及びそれらの合金から選択される金属を含むことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一に記載のプリント配線基板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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KR20190081995A (ko) * | 2017-12-29 | 2019-07-09 | 삼성에스디아이 주식회사 | 반도체 소자 밀봉용 에폭시 수지 조성물 및 이를 이용하여 밀봉된 반도체 소자 |
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