JP2017156821A - 動揺認知量推定装置及び動揺認知量推定プログラム - Google Patents
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図1に示すように、本発明の実施形態に係る不快度推定システムAは、動揺認知量推定装置1と、不快度推定装置2と、を備える。不快度推定装置2は、動揺認知量推定装置1を用いることで、不快度推定誤差を抑制することを可能にしたものであり、機能部として、特徴量抽出部3と、不快度推定部4と、を備える。ただし、不快度推定装置2の構成は、本発明の実施形態に係る動揺認知量推定装置1の利用例を示したものなので、本発明の実施形態に不可欠な要素ではない。
本発明の実施形態に係る動揺認知量推定装置1は、図2に示すように、映像における動きベクトルに基づいて画面動揺に対する動揺認知量を推定するものであり、機能部として、領域別動きベクトル検出部10と、第一のフィルタ部20と、動き領域判定部30と、動き領域番号付与部40と、回転中心・回転角算出部50と、回転ベクトル算出部60と、回転残差ベクトル算出部70と、第二のフィルタ部80と、領域別空間周波数感度補正部90と、空間周波数エネルギー算出部100と、動き領域間相関値算出部110と、動き領域内部境界間相関値算出部120と、総動揺エネルギー算出部130と、を備える。かかる機能部のうち、領域別動きベクトル検出部10、第一のフィルタ部20、動き領域判定部30、回転ベクトル算出部60、回転残差ベクトル算出部70、第二のフィルタ部80及び領域別空間周波数感度補正部90の組み合わせに関しては、画面を分割した複数(1〜N)の領域に対応して複数(N)セットが設けられている。
領域別動きベクトル検出部10は、当該検出部10に対応する領域の映像信号を取得し、取得された映像信号に基づいて、映像の時間的に隣接する画像(連続するフレーム)間における動きベクトル(フレーム間の差分)を時系列に検出する。また、領域別動きベクトル検出部10は、検出結果を第一のフィルタ部20へ出力する。本実施形態において、領域別動きベクトル検出部10は、動きベクトルとして、動き量の上下方向成分、及び、左右方向成分をそれぞれ検出する。
第一のフィルタ部20は、領域別動きベクトル検出部10によって検出された動きベクトルを取得し、取得された動きベクトルに上下方向及び左右方向で異なる周波数感度補正を施すことによって補正済み動きベクトルを得る。また、第一のフィルタ部20は、得られた補正済み動きベクトルを動き領域判定部30、動き領域番号付与部40、回転中心・回転角算出部50及び回転残差ベクトル算出部70へ出力する。本実施形態において、第一のフィルタ部20は、第一のデジタルフィルタ21と、第二のデジタルフィルタ22と、を並列に備える。
動き領域判定部30は、第一のフィルタ部20から出力された補正済み動きベクトルを取得し、動きベクトルの大きさが予め定められた閾値以上である場合に該当する領域において「動きあり」と判定する。本実施形態において、動き領域判定部20は、計算の簡略化のため、上下方向動き量(すなわち、補正済み動きベクトルの上下方向成分の大きさ)の二乗と左右方向動き量(すなわち、補正済み動きベクトルの左右方向成分の大きさ)の二乗との和が閾値(前記した閾値の二乗)以上である場合に「動きあり」と判定することができる。動き領域判定部30は、「動きあり」の場合と「動きなし」の場合とで異なる値、例えば、「動きあり」の場合は「0」、「動きなし」の場合は「−1」に設定し、設定結果を動きの有無の判定結果として動き領域番号付与部40へ出力する。
動き領域番号付与部40は、動きありと判定された領域に対して同じ動き領域に属する領域ごとに動き領域番号を付与する。動き領域番号付与部40は、一の領域の補正済み動きベクトルと、隣接する領域の補正済み動きベクトルと、の差分ベクトルの大きさが所定値以下である場合に、一の領域と隣接する領域とが「同じ動き領域」であるとし、これらに同じ「動き領域仮番号」を付与する。かかる所定値は、画面の全体あるいはある程度まとまった領域の動きと主観評価実験で得られた動揺認知量との関係を用いて設定することができる。
回転中心・回転角算出部50は、第一のフィルタ部20から出力された補正済み動きベクトルと、動き領域番号付与部40から出力された動き領域番号とを取得し、動き領域番号が前記の「0」と「−1」のいずれでもない画面内の全ての領域において、補正済み動きベクトルを用い、回転角による動きベクトルの大きさの二乗の総和が最大になるとともに、回転角による動きベクトルと実際の補正済み動きベクトルとの二乗誤差(平均二乗誤差)の総和が最小となるときの回転中心及び回転角を算出する。また、回転中心・回転角算出部50は、算出された回転中心及び回転角を回転残差ベクトル算出部60へ出力する。
回転ベクトル算出部60は、回転中心・回転角算出部50から出力された回転中心及び回転角を取得し、この回転中心及び回転角に基づいて、当該領域の中心における回転方向(回転中心への方向と直交する方向)のベクトルを算出し、当該ベクトルの上下方向成分と左右方向成分との組を回転ベクトルとして回転残差ベクトル算出部70及び第二のフィルタ部80へ出力する。
回転残差ベクトル算出部70は、第一のフィルタ部20から出力された補正済み動きベクトルと、回転ベクトル算出部60から出力された回転ベクトルとを取得し、補正済み動きベクトルと回転ベクトルとの差ベクトルを算出し、算出された差ベクトルの上下方向成分と左右方向成分との組を回転残差ベクトルとして、動き領域間相関値算出部110、動き領域内部境界間相関値算出部120、及び、総動揺エネルギー算出部130へ出力する。
第二のフィルタ部80は、回転ベクトル算出部60から出力された回転ベクトルを取得し、回転ベクトルに周波数相対感度補正を施すことによって補正済み回転ベクトルを得て、得られた補正済み回転ベクトルを総動揺エネルギー算出部130へ出力する。本実施形態において、第二のフィルタ部80は、第三のデジタルフィルタ81を備える。
領域別空間周波数感度補正部90は、領域の見えやすさの影響度に対する補正を行うのに必要となる空間周波数感度補正済みのエネルギーを算出する前処理として、領域別動きベクトル検出部で画面を分割した領域ごとに、映像の輝度信号に対して図5に示す空間周波数感度補正を施す。また、領域別空間周波数感度補正部90は、局所的な明暗コントラストの影響度を反映するために、空間周波数感度補正が施された映像の輝度信号(明暗コントラストの影響度の反映前)を、当該領域内の映像信号の直流成分の平方根で除すことにより、空間周波数感度補正済み映像信号を得る。また、領域別空間周波数感度補正部90は、得られた空間周波数感度補正済み映像信号(明暗コントラストの影響度の反映後)を空間周波数エネルギー算出部100へ出力する。
空間周波数エネルギー算出部100は、当該領域において領域別空間周波数感度補正部90から出力された空間周波数感度補正済み映像信号を自乗した値の総和を求めることで、前記した領域の見えやすさの影響度に対する補正を行うのに必要となる空間周波数感度補正済みのエネルギーを算出する。また、空間周波数エネルギー算出部100は、算出された空間周波数感度補正済みのエネルギーを総動揺エネルギー算出部130へ出力する。
動き領域間相関値算出部110は、動き領域番号付与部40及び回転残差ベクトル算出部70からの出力を取得し、これらに基づいて動き領域間相関値を算出する。詳細には、動き領域間相関値算出部110は、動き領域境界における前景領域と背景領域との間の回転残差ベクトルの相関値を求めることで、前景と背景との動揺の相関の影響度に対する補正を行うのに必要となる動き領域間相関値を算出する。また、動き領域間相関値算出部110は、算出された動き領域間相関値を総動揺エネルギー算出部130へ出力する。
C1=Σ(VA・VB)/Σ(‖VA‖×‖VB‖)
ここで、「・」は内積を表す。
動揺映像においては、同じ面積でかつ同じ動揺の大きさであっても、領域全体が動揺している場合の方が、領域の境界は動かず内部のみが動揺している場合よりも動揺認知量が大きくなる性質がある。動き領域内部境界間相関値算出部120は、動き領域番号付与部40及び回転残差ベクトル算出部70からの出力を取得し、これらに基づいて動き領域内部境界間相関値を算出する。詳細には、動き領域内部境界間相関値算出部120は、動き領域境界自体の動きベクトルと動き領域内部との間の回転残差ベクトルの相関値を求めることで、前記した性質を反映する補正を施すのに必要になる動き領域内部境界間相関値を得て、総動揺エネルギー算出部130へ出力する。
C2=Σ(VA1・VA2)/Σ(‖VA1‖×‖VA2‖)
ここで、「・」は内積を表す。
総動揺エネルギー算出部130は、動き領域番号付与部40から出力された各領域の動き領域番号と、回転残差ベクトル算出部70から出力された回転残差ベクトルと、第二のフィルタ部80から出力された補正済み回転ベクトルと、空間周波数エネルギー算出部100から出力された補正済み空間周波数エネルギーと、動き領域間相関値算出部110から出力された動き領域間相関値と、動き領域内部境界間相関値算出部120から出力された動き領域間相関値と、を取得し、動き領域番号付与部40から出力された各領域の動き領域番号に基づいて、正の値を付与された同じ動き領域番号の領域について回転ベクトルの大きさの二乗と、回転残差ベクトルの大きさの二乗の和をそれぞれ算出する。また、総動揺エネルギー算出部130は、算出結果に対して、まず領域の見えやすさの影響度に対する補正として、補正済み空間周波数エネルギーをα乗した値を乗じる処理を施し(α≒0.3のときに誤差が最小になる)、次に前景と背景との動揺の相関の影響度に対する補正として、図6の特性で示される動き領域間相関値に応じた補正値を乗じる処理を施す。また、総動揺エネルギー算出部130は、動き領域間相関値に応じた補正値を乗じたものに対して、さらに、動き領域の境界自体がどの程度領域内部と同期して動揺しているのかによる補正として、図7の特性で示される動き領域内部境界間相関値に応じた補正値を乗じる処理を施すことで個別動揺エネルギーを得た上で、動き領域番号ごとに個別動揺エネルギーの総和を算出した後に、全ての動き領域番号について非線形加算することで、動揺認知量推定値に相当する総動揺エネルギーを算出する。また、総動揺エネルギー算出部130は、算出された総動揺エネルギーを動揺認知量の推定値として不快度推定装置2(図1参照)へ出力する。
(Σan γ)1/γ
を計算して行う。
また、γ>1 の場合、γの値が大きいほど、当該非線形加算により得られる総動揺エネルギーは小さくなり、動き領域番号の数が多いほど総動揺エネルギーは小さくなる。
特に、γ≒6 としたときに、複数領域が個別に異なる動揺を示す場合の動揺認知量の推定誤差が最小となることが明らかになっている。
続いて、図1に戻り、不快度推定装置2の特徴抽出部3及び不快度推定部4について説明する。
特徴量抽出部3は、映像信号を取得し、取得された映像信号に基づいて、動揺認知量以外に不快度の要因となる映像の物理的特徴量に抽出し、抽出した物理的特徴量を不快度推定部4へ出力する。動揺認知量以外の不快度の要因となる映像の物理的特徴量としては、空間周波数、時間周波数、色分布、局在率、誘目度等が挙げられる。
不快度推定部4は、動揺認知量推定装置1で推定された動揺認知量と、特徴量抽出部3によって抽出された物理的特徴量とを取得し、非線形な加算・減算・積算等を行うことによって不快度を算出し、ディスプレイ、スピーカ等の外部装置(不快度を利用者へ通知する通知部)へ出力する。
続いて、本発明の実施形態に係る動揺認知量推定装置1の動作例について、図2ないし図7を参照して説明する。図1の不快度推定装置2の動作例は、本発明の実施形態に係る動揺認知量推定装置1の利用例を示したものなので、ここでは説明の対象外とする。
また、動揺認知量推定装置1によって得られた動揺認知量推定値は、映像コンテンツ製作者が画面動揺を低減するような映像修正を施す際に、不快度の代用指標として使用することも可能である。すなわち、動揺認知量推定装置1は、映像コンテンツ制作者によって制作段階で用いられる場合には、映像の良否の判定、映像に含まれる画面動揺をどの程度まで低減すべきかの設定目標として、動揺認知量推定値を映像コンテンツ製作者に提示することができるので、制作に要する時間、労力及びコストの削減が図られるだけでなく、供給される映像コンテンツの安全性も高められる。
また、動揺認知量推定装置1が視聴者側で用いられる場合には、画面動揺に関して安全であることを保証せずに制作、流通された映像に対し、視聴前又は視聴中の表示直前に動揺認知量を推定してディスプレイ又はスピーカへ出力することで警告を発することができるので、映像酔いによる健康被害を防止することが可能になる。
1 動揺認知量推定装置
2 不快度推定装置
3 特徴量抽出部
4 不快度推定部
10 領域別動きベクトル検出部
20 第一のフィルタ部
21 第一のデジタルフィルタ
22 第二のデジタルフィルタ
30 動き領域判定部
40 動き領域番号付与部
50 回転中心・回転角算出部
60 回転ベクトル算出部
70 回転残差ベクトル算出部
80 第二のフィルタ部
81 第三のデジタルフィルタ
90 領域別空間周波数感度補正部
100 空間周波数エネルギー算出部
110 動き領域間相関値算出部
120 動き領域内部境界間相関値算出部
130 総動揺エネルギー算出部
Claims (5)
- 映像における動きベクトルに基づいて画面動揺に対する動揺認知量を推定する動揺認知量推定装置であって、
画面を複数に分割した領域ごとに、前記映像の時間的に隣接する画像間における動きベクトルを検出する領域別動きベクトル検出部と、
検出された前記動きベクトルに周波数感度補正を施すことによって補正済み動きベクトルを得る第一のフィルタ部と、
前記補正済み動きベクトルの大きさが閾値以上である場合に該当する前記領域において動きありと判定する動き領域判定部と、
動きありと判定された前記領域に対して同じ動き領域に属する領域ごとに領域間の前後関係を反映した動き領域番号を付与する動き領域番号付与部と、
前記動き領域番号が付与された全ての前記領域の前記補正済み動きベクトルを用いて、回転角による動きベクトルの大きさの二乗の総和が最大になるとともに、回転角による動きベクトルと前記補正済み動きベクトルとの二乗誤差の総和が最小となるときの回転中心及び回転角を算出する回転中心・回転角算出部と、
前記領域の前記補正済み動きベクトルと前記回転中心及び前記回転角とを用いて、当該領域の回転ベクトルを算出する回転ベクトル算出部と、
前記領域の前記補正済み動きベクトルと前記回転ベクトルとの差分を回転残差ベクトルとして算出する回転残差ベクトル算出部と、
前記回転ベクトルに周波数相対感度補正を施すことによって補正済み回転ベクトルを得る第二のフィルタ部と、
前記映像に対して空間周波数感度補正を施すことによって空間周波数感度補正済み映像信号を得る領域別空間周波数感度補正部と、
前記空間周波数感度補正済み映像信号のエネルギーを算出することで補正済み空間周波数エネルギーを得る空間周波数エネルギー算出部と、
前記動き領域番号が付与された前記領域と前記回転残差ベクトルとに基づいて、前記動き領域の境界における前景領域と背景領域との間の前記回転残差ベクトルの相関値を算出することによって動き領域間相関値を得る動き領域間相関値算出部と、
前記動き領域番号が付与された前記領域と前記回転残差ベクトルとに基づいて、前記動き領域の境界自体の動きベクトルと同じ動き領域内部との間の前記回転残差ベクトルの相関値を算出することによって動き領域内部境界間相関値を得る動き領域内部境界間相関値算出部と、
同じ前記動き領域番号が付与された前記領域ごとに、当該領域内の前記補正済み回転ベクトルの大きさの二乗と前記回転残差ベクトルの二乗の和をそれぞれ求めた個別動揺エネルギーに対し、前記補正済み空間周波数エネルギー、前記動き領域間相関値、前記動き領域内部境界間相関値、に応じて順に補正を施した後、当該動き領域内で補正が施された前記個別動揺エネルギーの総和を求め、求められた前記総和の平方根を動き領域番号ごとの動き領域別動揺エネルギーとした上で、全ての前記動き領域の前記動き領域別動揺エネルギーを非線形加算することによって動揺認知量推定値に相当する総動揺エネルギーを得る総動揺エネルギー算出部と、
を備えることを特徴とする動揺認知量推定装置。 - 前記第一のフィルタ部は、
前記動きベクトルの上下方向成分に周波数感度補正を施す第一のデジタルフィルタと、
前記動きベクトルの左右方向成分に前記第一のデジタルフィルタとは異なる周波数感度補正を施す第二のデジタルフィルタと、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の動揺認知量推定装置。 - 前記動き領域判定部は、直前の所定時間内に前記閾値以上の前記補正済み動きベクトルがある場合に動きありと判定する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の動揺認知量推定装置。 - 前記第二のフィルタ部は、前記回転ベクトルに対して、前記第一のフィルタ部によって周波数感度補正が施された他成分との相対感度の周波数特性に対応する周波数相対感度補正を施す第三のデジタルフィルタを備える
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の動揺認知量推定装置。 - コンピュータを請求項1に記載の動揺認知量推定装置として機能させることを特徴とする動揺認知量推定プログラム。
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JP2015106193A (ja) * | 2013-11-28 | 2015-06-08 | 日本放送協会 | 動揺知覚量推定装置、不快度推定装置及び動揺知覚量推定プログラム |
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蓼沼 眞 ほか1名: "一般映像の不快度の推定誤差の低減手法", 映像情報メディア学会技術報告, vol. 39, no. 11, JPN6019048273, 3 March 2015 (2015-03-03), pages 41 - 44, ISSN: 0004172916 * |
蓼沼 眞: "動揺映像に対する不快度推定装置の開発", 映像情報メディア学会 2011年年次大会講演予稿集, JPN6019002348, 1 August 2011 (2011-08-01), ISSN: 0004172917 * |
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