図1は、流量、圧力等のセンサ計測値に基づいて、水道配水プロセス(水道管網)を監視して、漏水発生等の異常を検知する異常検知システム100の構成図である。異常検知システム100は、異常検知装置101、流量や圧力等の計測値を得るセンサ191、計測値収集装置102、および警報表示装置103を有する。
異常検知装置101は、影響データ選定部111、判定統合部112、予測判定部131、予測判定部132、計測値収集部151、および出力部152の各処理部、並びに、計測値記憶部121、補助データ記憶部122、および予測判定方式データ記憶部123の各記憶部を有する。
影響データ選定部111は、予測判定部131、132(以下、予測判定部131、132を個別に説明する必要がない場合は予測判定部131を代表させる。)から異常判定結果を入力し、異常判定結果が異常との判定であれば、この異常が影響を及ぼす計測値のデータ範囲を選定し、選定したデータ範囲を影響データ範囲(後述)として判定統合部112に出力する。影響データ選定部111の処理の詳細は後述する。
判定統合部112は、予測判定部131から異常判定結果を入力し、影響データ選定部111から影響データ範囲を入力し、入力した影響データ範囲に基づき、異常判定結果の信頼度(後述)を下げて異常判定結果を統合し、統合した異常判定結果を出力部152に出力する。判定統合部112の処理の詳細は後述する。
予測判定部131は、計測値記憶部121から計測値を読み出し、必要に応じて補助データ記憶部122から補助データを読み出し、予測判定方式データ記憶部123から予測判定方式データを読み出す。予測判定部131は、所定の予測判定方式を用いて、予測判定方式データで定められるデータ範囲のセンサの計測値からセンサの予測値(予測時刻にセンサが計測値として出力するだろう値)を予測し、予測値と予測時刻の計測値との差(詳細は後述するが、予測値は予測値そのものと予測値の上下限値を有するので、差だけでなく上下限値の範囲の内外を含む。)から監視対象の水道管網の異常を判定し、異常判定結果を求め、影響データ選定部111および判定統合部112に異常判定結果を出力する。予測判定部132も、予測判定部131と異なる予測判定方式に基づいた異常判定結果を出力する。
また、予測判定部131は、計測値を含む各入力データに基づいて、予測判定方式の学習、すなわち、予測判定方式のパラメータ(予測判定方式データ)を調整し、調整した予測判定方式のパラメータを予測判定方式データ記憶部123に格納する。
予測判定部131は、予測判定方式の学習し、センサの予測値の予測、予測値と計測値の差から監視対象の水道管網の異常の判定の処理を実行する。
予測判定部131は、予測および異常の判定には、例えば非特許文献1に記載のサポートベクター回帰やニューラルネットワークを使用した方式などの既知の技術を利用する。予測判定部131の処理の詳細は後述する。
異常検知装置101は、異なる予測判定方式によって異常判定を行うために、複数の予測判定部131、132を備えてもよい。又は、予測判定部131が、予測判定方式の論理を同じくして、予測判定方式のパラメータを異なる値に調整することによって、異なる予測判定方式を実現してもよい。
計測値記憶部121は、計測値収集部151からの、監視対象の水道管網に設置されたセンサの計測値を格納する。予測判定部131が計測値記憶部121から計測値を読み出す。
補助データ記憶部122は、予測判定部131の処理に用いられる補助データを格納する。予測判定部131が補助データ記憶部122から補助データを読み出す。補助データ記憶部122は、予測判定部131による予測判定の補助データとして、例えば、季節、月日、曜日などを特定するためのカレンダー、天気、社会的なイベント等の、監視対象の水道管網の状態に影響を与える情報を予め格納しておく。異常検知装置101が、異常検知システム100外の他の装置からこれらの情報を収集し、補助データ記憶部122に格納するようにしてもよい。
予測判定方式データ記憶部123は、予測判定部131が用いる複数の予測判定方式について、各予測判定方式を定めるパラメータなどの情報を格納する。予測判定部131が予測判定方式データ記憶部123から各予測判定方式の情報を読み出す。また、予測判定方式データ記憶部123は、予測判定部131が学習によって調整した各予測判定方式のパラメータを入力して格納する。
予測判定方式データ記憶部123が格納するパラメータなどの情報は、各予測判定方式について、予測判定方式のID、予測判定方式の調整済みのパラメータ、およびこのパラメータの調整に使用した計測値に係るデータ範囲(後述)である。
計測値収集部151は、計測値収集装置102から監視対象の水道管網に設置された圧力や流量等のセンサ191の計測値を受信し、計測値記憶部121に格納する。
出力部152は、判定統合部112から統合した異常判定結果を入力し、異常判定結果を異常検知システム100の操作者に提示する。また、出力部152は、警報表示装置103に異常判定結果を出力する。
例えば、出力部152は、操作者向けのディスプレイに異常判定結果を表示する。または、操作者の持つスマートフォンやタブレット等のスマートデバイスを警報表示装置103として用い、このようなスマートデバイスからの要求に応じて、異常判定結果を送信する。出力部152は、異常判定結果が予め設定された条件を満たす場合、例えば、所定規模以上の漏水発生と判定された場合、警報表示装置103に、メールやアラーム等のプッシュ型で通知してもよい。
計測値収集装置102は、監視対象の水道管網の状態を計測するセンサ191から計測値を収集し、収集したセンサ191の計測値を異常検知装置101に送信する。
警報表示装置103は、出力部152から異常判定結果を受信し、受信した異常判定結果を表示する。また、警報表示装置103は、出力部152からの異常判定結果の通知を受信し、異常判定結果を表示してもよい。
なお、異常検知装置101は、センサ191や計測値収集装置102が配置される監視対象の水道管網から遠隔地に配置されてもよい。
図2は、異常検知装置101のハードウェア構成例である。異常検知装置101は、CPU201、メモリ202、メディア入出力部203、入力部205、ネットワークと接続する通信制御部204、ディスプレイ等の表示部206、および周辺機器IF部207をバス210によって接続する、いわゆるコンピュータである。
したがって、CPU201が各処理部の処理を実行し、メモリ202が各処理部のプログラムおよび各記憶部のデータを格納する。
なお、異常検知装置101、計測値収集装置102、および警報表示装置103を同じコンピュータ上で、異なるプログラムとして実装してもよい。
図3は、異常検知装置101が監視対象とする水道管網の構成例である。水道管網は、複数のDMA(District Metered Area)によって構成される。DMAは、水道管網の区域であり、隣接する管網との間で水が流入出する管(流入出管)が少数、多くの場合は1つであり、また各流入出管で流量が計測される。
図3は、配水池301から給水される水道管網の構成例であり、DMA340、341を含んでいる。この水道管網は、配水池301や配水管351等の管を含み、流量センサ310(図中、矩形)や圧力センサ320(図中、○)等のセンサ、バルブ361等の付帯設備で構成されている。
DMA340は、流量センサ311が設置された1つの流入出管を有し、隣接区域(DMA341)と接続する管のバルブ361が閉止されている。また、DMA340には、圧力センサ320−322が設置されている。DMA341は、流量センサ312および流量センサ313が設置された流入出管を有する。
計測値収集装置102が計測値を収集するセンサ191は、図3の水道管網の例では流量センサ310−313および圧力センサ320−324である。
図4は、流量センサ311の計測値と異なる二つの予測判定方式による予測および異常判定を示す図である。図4を参照して、予測判定部131および影響データ選定部111の処理を説明する。
予測判定部131は、センサ311の計測値の収集周期、たとえば、5分間周期で起動される。予測判定部131は、データ入力処理として、計測値記憶部121からセンサ311の計測値を読み出し、補助データ記憶部122から補助データを読み出し、予測判定方式データ記憶部123から各予測判定方式データを読み出す。予測判定部131は、予測処理として、各予測判定方式を用いて、センサ311の最新の計測値に対応する予測値を求める。予測判定部131は、判定処理として、各予測判定方式を用いた予測値と最新の計測値との差に基づいて監視対象の水道管網の異常発生の有無を判定する。予測判定部131は、結果出力処理として、各予測判定方式を用いた異常判定結果を、影響データ選定部111および判定統合部112に出力する。
図4において、予測判定結果491および492は、予測判定部131が出力した予測判定方式1および予測判定方式2によるものである。各予測判定結果のグラフで、横軸は時刻、縦軸は流量センサ311の計測値(流量)を表す。図中の丸印401−404は、計測値の収集周期毎の各時刻での流量センサ311の計測値である。なお、予測判定部131が各予測判定方式で正常と判定した計測値は白丸、異常と判定した計測値は黒丸で、図中に示している。
時系列の予測値411、412は各予測判定方式による点予測結果、時系列の予測上限値421、422および予測下限値431、432は各予測判定方式による区間予測結果である。点予測結果は、各予測時刻(予測する時刻)における予測値の時系列データであり、区間予測結果は、各予測判定方式により予測値の予測精度が異なるので、予測精度により定まる予測上限値および予測下限値の時系列データである。予測上限値と予測下限値との差を区間と呼ぶ。
予測判定方式1は、非特許文献1に記載の方式のように、直近時刻までの時刻範囲(時間帯)の計測値に基づいて予測および判定を行う。予測判定部131は、予測値411、予測上限値421、および予測下限値431の算出に際して、判定時刻(前述の予測時刻と同じ)480の予測に時刻範囲470の計測値を用い、判定時刻481の予測に時刻範囲471の計測値を用いる。例えば、判定時刻より5分前(直近の計測値の収集時刻)までの時刻範囲の計測値を使用して判定時刻の計測値に対応する予測値を予測する。
予測判定方式2は、判定時刻より所定時間以前の時刻範囲の計測値にもとづいて予測および判定を行う。換言すると、時刻範囲の最後の計測値を得た時刻と判定時刻との間に所定時間を有する。予測判定部131は、予測値412、予測上限値422、および予測下限値432の算出に際して、判定時刻480の予測には時刻範囲475の計測値、判定時刻481の予測には時刻範囲476の計測値をそれぞれ使用する。例えば、判定時刻よりも75分前以前の計測値を使用して判定時刻の計測値を予測する。
予測判定方式1および予測判定方式2のいずれにおいても、判定時刻の予測値は、判定時刻に計測値として得られるだろうと予測した値であり、その予測値の予測精度(振れ幅)の上限が予測上限値であり、下限が予測下限値である。
上記のように、判定時刻よりも所定時間以前の時刻範囲の計測値に基づく予測判定方式の所定時間として異なる複数の時間を設定することで、複数の予測判定方式を用いていることになる。予測判定方式1は、所定時間を5分とする方式であり、予測判定方式2は、所定時間をたとえば75分とする方式である。また、時刻範囲を変える(予測に使用する計測値の数を変える)ことによって、予測精度が異なる予測判定方式が得られる。予測判定方式が用いる所定時間をパラメータとして、時刻範囲又は計測値の数をデータ範囲として、予測判定方式データ記憶部123に予測判定方式のIDと対応付けて格納している。
予測判定部131は、予測判定方式1および予測判定方式2において、判定時刻における計測値と予測値との差が所定の閾値以上の場合、及び、計測値が区間予測を外れた場合(上限値を超える又は下限値を下回る場合)、異常と判定する。
図4に示す例を用いて、計測値が区間予測を外れた場合について説明する。図4は、計測値401の計測時刻直前にDMA340で漏水が発生したデータ(計測値および予測値)を示している。予測判定方式1を用いた予測判定部131は、計測値401−404が予測上限値421と予測下限値431の間(区間)にあるので、正常と判定している。一方、予測判定方式2を用いた予測判定部131は、計測値402−404が予測上限値422を超えるので、異常と判定している。
この例では、流量センサ311の計測値を対象とした予測判定方式を説明しているが、移動平均等のフィルタリング、正規化等の各種加工を加えた値を対象としてもよい。また、他のセンサの計測値との相関を考慮した予測と判定を行うこととしてもよい。
さらに予測判定部131は、異常と判定した場合に、異常の発生時刻、種別、場所、発生場所等を含む異常属性を併せて推定する。予測判定部131は、異常属性に含まれる各属性の推定が困難な場合でも、たとえば発生時刻のような少なくとも一つの属性を推定する。予測判定方式2においては、DMA340への流入量を計測する流量センサ311の計測値が、時刻480から継続的に予測値を超えており、漏水発生の特徴を示している。このため、予測判定部131は、異常の発生時刻は判定時刻480ごろ、異常の種別は漏水発生、異常の場所はDMA340、異常の発生場所は流量センサ311付近と判定する。予測判定部131は、異常属性の推定のために、上記のように予測値と計測値との差の拡大傾向をパターンマッチする等の技術を利用する。
影響データ選定部111は、予測判定部131より異常判定結果および異常属性を入力し、異常判定結果が異常であれば、この異常が影響を及ぼす影響データ範囲を選定し、選定した影響データ範囲を判定統合部112に出力する。
影響データ選定部111の選定処理は、予測判定部131から入力した異常属性に基づいて、この異常が影響を及ぼす影響データ範囲を選定する。影響データ選定部111は、異常の発生時刻後の時間帯に、異常の種別および発生場所が作用する位置およびセンサの計測値を、異常が影響を及ぼす影響データとして、その範囲を影響データ範囲として選定する。すなわち、影響データ範囲は、異常が影響を及ぼす、地域的範囲と時間的範囲(時刻範囲)によるので、影響データは、異常が地域的に影響を及ぼす地域的範囲に有って、異常が時間的に影響を及ぼす時間帯(時刻範囲)の計測値である。
図4の例では、予測判定方式2を用いる予測判定部131の予測判定結果492において、判定時刻480以降にDMA340で漏水発生と推定している。影響データ選定部111では、判定時刻480以降(時間帯)における、DMA340と水理的な接続関係のある(地域的範囲にある)センサ、すなわち、流量センサ310−311、および、圧力センサ320−322の計測値を、異常が影響を及ぼす影響データ範囲として選定する。
例えば、異常が、DMAブリーチと呼ばれる、バルブ361のようなDMA境界の閉止バルブが開放されるトラブルと推定されていれば、影響データ選定部111は、DMA340、341のいずれかと水理的な接続関係にある全てのセンサを地域的範囲としての影響データ範囲として選定する。
なお、影響データ選定部111は、水理的な接続関係があったとしても、水道管網の制御によって、予測判定部131が判定した異常の影響を受けないセンサは、影響データ範囲から除外する。例えば、配水池301にはポンプ施設があり、このポンプ施設が圧力センサ320を所定の制御目標量にするように制御されているとすれば、影響データ選定部111は、この制御の情報に基づいて、圧力センサ320は、予測判定部131が判定した異常の影響を受けていないと判断する。
図5は、判定統合部112の処理フローチャートである。判定統合部112は処理を開始すると(S501)、予測判定部131から異常判定結果を入力し、影響データ選定部111から影響データ範囲を入力する(S502)。
判定統合部112は、予測判定部131から入力した各予測判定方式による異常判定結果に対する信頼度の初期値を計算する(S503)。信頼度は、予測判定方式による異常判定結果の信頼性を定量化するものであり、例えば、判定時刻の予測における区間(予測上限値と予測下限値との差)の大きさの逆数を用いることができる。すなわち、区間が大きければ予測精度が悪いので、低い信頼度となる。なお、信頼度の初期値は予測判定方式ごとに固定値とし、予測判定方式データ記憶部123に予め格納して、判定統合部112では信頼度の初期値を読み出すことにしてもよい。
判定統合部112は、予測判定部131から入力した各予測判定方式による異常判定結果の内で、異常ありと判定した結果があるかどうかを判定する(S504)。判定統合部112は、異常ありの場合、S505へ、異常なしの場合、S506へ進む。
判定統合部112は、予測判定部131から入力した各予測判定方式による異常判定結果の内で、S504で抽出した異常判定の影響データ範囲に含まれる影響データを用いた異常判定結果があるかどうかを判定し、影響データを用いた異常判定結果について、その信頼度を下げる処理を行う。信頼度を下げる処理は、例えば、影響データを使用した異常判定結果の信頼度を0とする。予測判定部131が予測判定に使用した影響データとしての計測値の数等に応じて、より精緻に信頼度を計算してもよい。また、影響データを用いたかどうかの判定は、予測に用いた計測値だけでなく、予測判定方式のパラメータの調整に用いた計測値を含める。
判定統合部112は、予測判定部131から入力した各予測判定方式による異常判定結果を、信頼度に基づいて統合する(S506)。統合方法は、例えば、信頼度の最も高い異常判定結果を採用する。また、信頼度が所定以上の異常判定結果の多数決を取る、信頼度で重みづけしたうえで異常判定結果の平均をとる等の統合方法を用いてもよい。
判定統合部112は、統合した異常判定結果を出力部152に出力し(S507)、処理を終了する(S508)。
図4の例では、判定時刻481の計測値404に対する予測判定部131の、予測判定方式1を用いる予測判定結果491では正常、予測判定方式2を用いる予測判定結果492では異常と判定している。予測判定方式1の方が、予測判定方式2に比べてより直近の計測値までを用いて判定しているので、信頼度の初期値は予測判定方式1の方が、予測判定方式2に比べて高い。
しかし、予測判定部131は、予測判定方式1による判定時刻481の判定のために、予測判定方式2が判定した異常が時間的に影響する計測値(影響データ)を用いている。このため、判定統合部112は、予測判定方式1の信頼度を0とし(信頼度を下げる)、結果として最も信頼度の高い予測判定方式2の結果を採用する。
図6は、異常検知装置101による漏水発生の検知結果の表示例である。図6を参照して、出力部152が異常の判定結果を操作者へ提示する方法について説明する。
出力部152がディスプレイ等の表示部206に表示する異常検知結果ウィンドウ601は、予測判定表示パネル602および判定統合表示パネル603を有する。出力部152は、判定統合部112から入力した異常判定結果を異常検知結果ウィンドウ601の各パネルに表示する。
出力部152は、予測判定表示パネル602に、異常判定結果を表示する。図6では、異常判定の根拠となった図4の予測判定結果492に対応する情報を表示している。特に、異常と判定され、異常が時間的に影響する影響データ範囲を、異常影響時刻範囲621として強調表示している。操作者は、センサ選択ボックス611、予測判定方式選択ボックス612を操作することで、出力部152が予測判定表示パネル602に表示するセンサ、予測判定方式を変更する。
出力部152は、判定統合表示パネル603に、各予測判定方式の判定結果と、統合に利用した情報を表示する。判定統合表示パネル603の表には、統合に利用した情報として、予測判定方式のID、その信頼度、正常または異常の判定結果、影響データの使用の有無、異常個所、異常の発生時刻、および種別を表示している。
以上の構成により、異常検知装置101は、流量、圧力等のセンサの計測値に基づいて、小規模な漏水の発生であっても検知できる。
なお、複数の予測判定方式による予測判定を行う予測判定部と、判定結果を統合する統合判定部とを備えていない異常検知装置で、異常判定の感度を上げて小規模な漏水の発生を検知すると、正常範囲内でのセンサの計測値の変化をも異常と判定する誤報が多発する。このため、実用的には大規模な漏水の発生しか検知できない。
本実施例の異常検知装置によれば、流量や圧力等の計測値に緩やかな変化を与える、小規模な漏水などの異常の発生であっても検知できる。
より具体的には、本実施例の異常検知装置は、異常が影響を及ぼした影響データの使用の有無で、予測判定方式の信頼度を評価したうえで、判定結果を統合することで、誤報の割合を低く抑えて、小規模な漏水の発生を検知できる。
また、小規模な漏水を検知できることによって、本実施例の異常検知装置は、緩やかなに増加して大規模な漏水となる事象をより早期に検知できる。