JP2017155861A - シール部材及びシール付軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】シール付軸受の低トルク化に好適なシール部材としつつ、シール部材の早期破損を防止する。【解決手段】シール部材40は、周方向一箇所に合口をもった円環状に形成された芯金41を有する。芯金41の合口は、周方向に空隙をもって向き合う一対の端部41a、41bによって形成する。一方の端部41aは芯金41の径方向中程で周方向に凹んだ中凹状に形成し、他方の端部41bは芯金41の径方向中程で周方向に突き出た中凸状に形成する。これにより、軸受運転時、一対の端部41a、41bが互いに周方向に所定距離内に接近して向き合い、かつ径方向にも対向する状態とし、これら端部41a、41b間での径方向ガタつきを端部41a、41b同士の突き合いで抑制することが可能となる。【選択図】図2
Description
この発明は、軸受内部と外部を区切るシール部材と、そのシール部材を備えるシール付軸受に関する。
例えば、自動車、各種建設用機械等の車両に搭載されたトランスミッション内にはギアの摩耗粉等の異物が混在する。このため、トランスミッションに備わる回転部を支持する転がり軸受として、シール部材を備えるシール付軸受が採用されている。
シール部材は、一般に、円環状の芯金と、芯金に加硫成形されたゴム部とからなる。シール部材は、外輪のシール溝に嵌合されることによって、所定の位置、姿勢に保持される。ゴム部に形成されたシールリップは、内輪に形成されたシール摺動面と協働して密封作用を奏する。このため、シール付軸受は、外輪及び内輪間に形成された軸受内部空間への異物侵入を防ぎ、軸受の早期破損を防止することができる。(例えば、特許文献1)。
シール付軸受における回転トルクの大半は、シール部材とシール摺動面との間の摺動抵抗によるトルクで占められている。また、その摺動抵抗によって軸受温度が上昇し、シールリップの吸着作用が生じる。トランスミッション用途のシール付軸受には、低トルク化が要求されている。
特許文献1に開示されたシール付軸受は、シールリップの緊迫力を弱めて摺動抵抗を低減するため、シールリップの首部の長さを軸方向厚さよりも十分に大きくし、かつシールリップが軸受内側へ傾斜するような形状を採用している。
一方、前述の芯金としては、周方向に一連の円環状に形成されたものと、周方向一箇所に合口をもった円環状に形成されたものとがある。合口は、周方向に空隙をもって向き合う一対の端部によって形成されている(例えば、特許文献2)。
しかしながら、合口をもった円環状の芯金を採用する場合、シール部材の組込み不良やシール部材と外輪の嵌め合い部の精度不良があると、軸受運転時にシール部材の姿勢崩れが生じて、芯金の一対の端部間で径方向又は周方向にガタつきを生じる可能性がある。
特許文献2の図23〜26のような芯金は、一対の端部を径方向に真っ直ぐな形状にしているので、軸受運転時に一対の端部間で径方向に大きなガタつきが生じると、芯金を周方向全周に亘って覆うゴム部が破断し、シール部材の早期破損に繋がる問題がある。
上述の背景に鑑み、この発明が解決しようとする課題は、シール付軸受の低トルク化に好適なシール部材としつつ、シール部材の早期破損を防止することにある。
上記の課題を達成するため、この発明は、周方向一箇所に合口をもった円環状に形成された芯金と、前記芯金を周方向全周に亘って覆うように当該芯金に付着しているゴム部とを有し、前記合口が、周方向に空隙をもって向き合う一対の端部によって形成されているシール部材において、前記一対の端部が、互いに周方向に所定距離内に接近したときに径方向にも対向するように形成されている、という構成を採用した。
上記構成によれば、芯金の一対の端部を互いに周方向に所定距離内まで接近させてシール部材の径を全体的に縮めた状態でシール部材を外輪に装着することが可能となる。この装着状態では、芯金が拡径しようとする弾性反発力が、シール部材の径を全体的に拡げるように働く。このため、シールリップの緊迫力が低減することが可能となる。その緊迫力を低減すれば、シールリップ及びシール摺動面間の摺動抵抗を低減することになり、結果的に軸受の温度上昇やシールリップの吸着作用を抑えることにもなる。したがって、シール付軸受の低トルク化に好適なシール部材となる。
また、軸受運転時に一対の端部間で周方向にガタつきが生じたとしても、一対の端部同士が所定距離内で周方向に突き合って当該ガタつきを抑制する。また、軸受運転時に一対の端部間で径方向にガタつきが生じたとしても、一対の端部が径方向にも対向しているので、径方向に突き合って当該ガタつきを抑制する。この抑制により、ゴム部の破断を防止し、ひいてはシール部材の早期破損を防止することが可能となる。
また、軸受運転時に一対の端部間で周方向にガタつきが生じたとしても、一対の端部同士が所定距離内で周方向に突き合って当該ガタつきを抑制する。また、軸受運転時に一対の端部間で径方向にガタつきが生じたとしても、一対の端部が径方向にも対向しているので、径方向に突き合って当該ガタつきを抑制する。この抑制により、ゴム部の破断を防止し、ひいてはシール部材の早期破損を防止することが可能となる。
このように、この発明は、上記構成の採用により、シール付軸受の低トルク化に好適なシール部材としつつ、シール部材の早期破損を防止することができる。
以下、この発明の好ましい実施形態を説明する。
第1の実施形態では、前記一対の端部のうち、一方の端部が、前記芯金の径方向中程で周方向に凹んだ中凹状に形成され、他方の端部が、前記芯金の径方向中程で前記中凹状に沿うように周方向に突き出た中凸状に形成されている。第1の実施形態によれば、一対の端部が互いに周方向に所定距離内に接近したとき又は周方向に突き合ったときに中凹状と中凸状で径方向に対向する。このため、一対の端部のいずれがシール部材の内外径のどちら側に動いても、径方向ガタつきを抑制することができる。
第1の実施形態では、前記一対の端部のうち、一方の端部が、前記芯金の径方向中程で周方向に凹んだ中凹状に形成され、他方の端部が、前記芯金の径方向中程で前記中凹状に沿うように周方向に突き出た中凸状に形成されている。第1の実施形態によれば、一対の端部が互いに周方向に所定距離内に接近したとき又は周方向に突き合ったときに中凹状と中凸状で径方向に対向する。このため、一対の端部のいずれがシール部材の内外径のどちら側に動いても、径方向ガタつきを抑制することができる。
この発明の第1の実施例を図1〜図5に基づいて説明する。図1に、第1の実施例に係るシール付軸受を示す。図2に、第1の実施例に係るシール部材の自然状態を軸受外部側から軸方向に視たときの外観を示す。ここで、自然状態とは、単独の状態にあるシール部材が外力を受けておらず、当該シール部材が外力によって変形していない状態のことをいう(以下、この状態を単に「自然状態」と呼ぶ。)。
図1に示すように、第1の実施例に係るシール付軸受は、外周に軌道面11が形成された内輪10と、内周に軌道面21が形成された外輪20と、内輪10と外輪20の軌道面11、21間に介在する複数の転動体30と、二つのシール部材40とを備える。以下、「軸方向」とは、内輪10、外輪20及びシール部材40の中心軸に沿った方向のことをいう。また、「径方向」とは、その中心軸に直角な方向のことをいう。また、「周方向」とは、その中心軸周りの円周方向のことをいう。
内輪10は、回転部Sに取り付けられる回転輪となっている。外輪20は、ハウジングHに取り付けられる静止輪となっている。
転動体30は、玉からなる。内輪10の軌道面11、外輪20の軌道面21は、深溝玉軸受に相当の軌道面となっている。
内輪10の外周両端部には、それぞれ周方向全周に亘ってシール溝12が形成されている。外輪20の内周両端部には、それぞれ周方向全周に亘ってシール溝22が形成されている。
図2に示すように、シール部材40は、周方向一箇所に合口をもった円環状に形成された芯金41と、芯金41を周方向全周に亘って覆うように芯金41に付着しているゴム部42とからなる。芯金41の合口は、周方向に空隙をもって向き合う一対の端部41a、41bによって形成されている。
芯金41は、鋼板をプレス加工することによって形成されている。その鋼板の種類は特に問わないが、例えば、SPCC(JIS 3141:2011 「冷間圧延鋼板及び鋼帯」に規定された一般用のもの)が挙げられる。
ゴム部42は、芯金41を型に入れてゴム材料を加硫成形することによって芯金41に付着させられている。そのゴム材料の種類は、特に問わないが、例えば、ニトリルゴム、水素添加ニトリルゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、ふっ素ゴムが挙げられる。
ゴム部42は、芯金41の外部側の側面、外径面及び内径面を覆い隠しており、シール部材40の外径部及び内径部を形成する。
図1に示すように、シール部材40の外径部と外輪20のシール溝22の嵌合により、シール部材40が外輪20に装着される。
また、ゴム部42には、シールリップ43と、シールリップ43よりも外部側に位置する外側リップ44とが形成されている。シールリップ43は、シール部材40の内周側で舌片状に突き出ている。シールリップ43は、内輪10のシール溝12の溝底から軌道面11側に向かって拡径するシール摺動面との間に締め代をもっており、このシール摺動面と協働して密封作用を奏する。外側リップ44は、シールリップ43から外部側へ分岐しており、シール溝12の外部側の溝壁部との間にラビリンスすきまを形成する。
周方向一箇所で分割した円環状の芯金41を備えるシール部材40を外輪20に装着すると、軸受運転時に内輪10のシール摺動面とシール部材40との摺動部にアンバランスが生じ、当該シール摺動面に対するシールリップ43の追従性が低下する可能性がある。これを防止するため、内輪10のシール摺動面とシール部材40の芯金41の内径との間に十分な距離を設け、かつ、ゴム部42のうち、舌片状のシールリップ43の根元と芯金41の内径間に亘る首部分をこの軸方向厚さよりも十分に大きい径方向長さとし、かつシールリップ43が軸受内部側へ傾斜する形状にすることが好ましい。
図2の芯金41の一対の端部41a、41b付近を図3に拡大して示す。一対の端部41a、41bのうち、一方の端部41aは、芯金41の径方向中程で周方向に凹んだ中凹状に形成されている。中凹状の端部41aは、芯金41の内径面から径方向に真っ直ぐ連なる内側直辺域と、芯金41の外径面から径方向に真っ直ぐ連なる外側直辺域と、これら内側直辺域及び外側直辺域から周方向に凹の仮想円弧面に沿った凹曲辺域とで構成されている。
中凹状の端部41aに対して周方向に空隙をもって向き合う他方の端部41bは、芯金41の径方向中程で前記中凹状に沿うように周方向に突き出た中凸状に形成されている。中凸状の端部41bは、中凹状の端部41aの内側直辺域と周方向に対向する範囲で芯金41の内径面から径方向に真っ直ぐ連なる内側直辺域と、中凹状の端部41aの外側直辺域と周方向に対向する範囲で芯金41の外径面から径方向に真っ直ぐ連なる外側直辺域と、中凹状の端部41aの凹曲辺域と周方向に対向する範囲で端部41bの内側直辺域及び外側直辺域から周方向に凸の仮想円弧面に沿った凸曲辺域とで構成されている。なお、第1の実施例では、芯金41の内径面、外径面と端部41a、41b間にそれぞれ角部をもっているが、その角部でゴム部42の損傷が懸念される場合は、その角部をR形状に変更すればよい。また、端部41a、41bの内側直辺域、外側直辺域と、凹曲辺域又は凸曲辺域とを繋ぐ隅部をR形状に変更してもよい。
中凹状の端部41aと中凸状の端部41bは、自然状態のとき、周方向に空隙をもって向き合っているので、互いに周方向に所定距離内まで接近させてシール部材40の径を全体的に縮めた状態でシール部材40を外輪20のシール溝22に装着することが可能である。図2、図3の芯金41の径を図1のシール部材40の状態に相当するまで縮めたときの様子を図4に示す。図1のようにシール部材40の外径部が外輪20のシール溝22に嵌合された装着状態になると、図4に示すように、中凹状の端部41aと中凸状の端部41bが、互いに周方向に所定距離まで接近し、芯金41の径が縮まった状態になる。この縮径状態では、芯金41が拡径しようとする弾性反発力が、シール部材40の径を全体的に拡げるように働く。このため、図1に示すシール部材40の外径部がシール溝22に深く入り込むように押し付けられて、シールリップ43の緊迫力が低減される。シールリップ43の緊迫力が低減されることにより、シールリップ43及び内輪10のシール摺動面間の摺動抵抗が低減されることになり、結果的に軸受の温度上昇やシールリップ43の吸着作用が抑えられる。
また、図1のようにシール部材40が外輪20に装着された状態になると、図4に示すように、周方向に所定距離内に接近した中凹状の端部41aと中凸状の端部41bが、互いに径方向に規定距離内で対向した状態となる。その所定距離と規定距離は、中凹状の端部41aの凹曲辺域と、中凸状の端部41bの凸曲辺域との間で設定されている。
軸受運転時、一対の端部41a、41b間でガタつきが周方向又は径方向に生じると、図4の状態から端部41a、41b同士が周方向又は径方向に接近する。そのガタつきが周方向又は径方向に所定距離又は規定距離を超えて生じようとしても、中凹状の端部41aと中凸状の端部41bが周方向又は径方向に突き合って当該ガタつきを抑制する。このため、図4の状態での一対の端部41a、41b間の所定距離又は規定距離を超えるような周方向ガタつき又は径方向ガタつきは、軸受運転時に発生しない。
ここで、図4の状態での一対の端部41a、41b間の規定距離は、径方向ガタつきによってゴム部42の破断(特に芯金41の外部側の側面を覆う膜部分)に至ることのない僅かな大きさに設定することが可能である。
中凹状の端部41aが径方向の矢線A側へ動くガタつきを生じた場合、又は、中凸状の端部41bが径方向の矢線B側へ動くガタつきを生じた場合に、中凹状の端部41aと中凸状の端部41bが互いに芯金41の内径側で径方向に突き合った状態を図5に示す。図示のように、中凹状の端部41aと中凸状の端部41bが径方向に突き合って径方向に僅かにずれるだけなので、一対の端部41a、41b付近のゴム部42の変形は殆ど生じず、ゴム部42の破断に至ることはない。なお、図5中では、ゴム部42の変形を誇張して描いている。図5とは逆に図4の状態から中凹状の端部41aが矢線B側へ動いた場合、又は中凸状の端部41bが矢線A側へ動いた場合、端部41a、41b同士が芯金41の外径側で突き合う点で異なるだけなので、図示を省略する。
このように、第1の実施例に係るシール部材40は、芯金41の一対の端部41a、41bが互いに周方向に所定距離内に接近したときに径方向にも対向するように形成されているので、図1に示すようにシール部材40を外輪20のシール溝22に装着すれば、図4に示すように一対の端部41a、41bを周方向に所定距離内に接近させ、かつ径方向に規定距離内に対向させた装着状態にすることができる。この装着状態では、芯金41の弾性反発力によって図1に示すシールリップ43の緊迫力が低減されるので、軸受運転時、シールリップ43及び内輪10のシール摺動面間の摺動抵抗が低減され、結果的に軸受の温度上昇やシールリップの吸着作用が抑えられる。したがって、第1の実施例に係るシール部材40は、シール付軸受の低トルク化に好適である。また、その装着状態では、軸受運転時、芯金41の一対の端部41a、41bが周方向に所定距離内で突き合い可能かつ径方向に規定距離内で突き合い可能な状態になるため、軸受運転時、一対の端部41a、41b間でのガタつきが端部41a、41bの突き合いによって周方向及び径方向のいずれにも僅かな量に抑制され、ゴム部42の破断が防止される。したがって、第1の実施例に係るシール部材40は、シール部材40の早期破損を防止することもできる。
また、第1の実施例に係るシール部材40は、芯金41の径方向中程で周方向に凹んだ中凹状の端部41aと、芯金41の径方向中程で前記中凹状に沿うように周方向に突き出た中凸状の端部41bとを採用しているので、一対の端部41a、41bのいずれがシール部材40の内径側又は外径側(図中矢線B側又は矢線A側)のどちらに動いても、径方向ガタつきを抑制することができる。
芯金の一対の端部は、第1の実施例のような形状に限定されず、要するに、一対の端部間で起こり得る周方向及び径方向のガタつきを一対の端部同士の突き合いによって所望に抑制可能であればよい。以下、一対の端部の形状を変更した各実施例を説明するが、その説明では第1の実施例との相違点を述べるに留める。
図6は、第2の実施例に係るシール部材の自然状態において、芯金51の合口付近を示すものである。図示のように、芯金51の一対の端部51a、51bのうち、一方の端部51aは、芯金51の内径面及び外径面から径方向全幅に亘って周方向に凹の仮想円弧面に沿っている。他方の端部51bは、芯金51の内径面及び外径面から径方向全幅に亘って周方向に凸の仮想円弧面に沿っている。なお、第2の実施例では、芯金51の内径面、外径面と端部51a、51b間にそれぞれ角部をもっているが、その角部でゴム部42の損傷が懸念される場合は、その角部をR形状に変更すればよい。
図7に示すように、軸受運転時、一対の端部51a、51b間でガタつきが生じていない状態では、自然状態から周方向に所定距離まで接近した一対の端部51a、51bが、芯金51の径方向全幅に亘って周方向に略一定間隔の空隙を形成している。このとき、中凹状の端部51aと中凸状の端部51bは、芯金51の内径面付近と外径面付近において径方向に規定距離内で対向した状態となる。
軸受運転時、一対の端部51a、51b間で径方向ガタつきが生じると、中凹状の端部51aと中凸状の端部51bが、芯金51の内径付近(図8参照)又は芯金51の外径付近で径方向に突き合い、径方向ガタつきを僅かな量に抑制する。
図9は、第3の実施例に係るシール部材の自然状態において、芯金61の合口付近を示すものである。図示のように、芯金61の一対の端部61a、61bのうち、一方の端部61bは、第1の実施例と同様な内側直辺域及び外側直辺域と、内側直辺域及び外側直辺域から周方向に段差状に凹んだ角凹辺域とで構成されている。他方の端部61aは、第1の実施例と同様な内側直辺域及び外側直辺域と、内側直辺域及び外側直辺域から周方向に段差状に突き出た角凸辺域とで構成されている。なお、第3の実施例では、芯金61の内径面、外径面と端部61a、61b間、端部61aの角凸辺域、端部61bの角凹辺域にそれぞれ角部をもっているが、その角部でゴム部42の損傷が懸念される場合は、この角部をR形状に変更すればよい。
図10に示すように、軸受運転時、一対の端部61a、61b間でガタつきが生じていない状態では、自然状態から周方向に接近した一対の端部61a、61bが、中凸状の端部61aの角凸辺域と中凹状の端部61bの角凹辺域との間で周方向に所定距離で向き合い、かつ径方向に規定距離内で対向した状態となる。
軸受運転時、一対の端部61a、61b間で径方向ガタつきが生じると、中凸状の端部61aの角凸辺域と中凹状の端部61bの角凹辺域とが芯金61の外径側で突き合い(図11参照)、又は芯金61の内径側で突き合い、径方向ガタつきを僅かな量に抑制する。
第1〜第3の実施例では、中凹状と中凸状の端部同士の突き合いを採用したが、ステップカット状の端部同士の突き合いを採用してもよい。その一例として、第4の実施例を図12に示す。図12は、第4の実施例に係るシール部材の自然状態において、芯金71の合口付近を示すものである。
図示のように、芯金71の一対の端部71a、71bは、周方向に一段の段差をもった階段状になっている。芯金71の一対の端部71a、71bのうち、一方の端部71aは、芯金71の外径面から径方向に真っ直ぐ連なる外側直辺域と、この外側直辺域から周方向に延びた段付辺域と、この段付辺域と芯金71の内径面間で径方向に真っ直ぐ連なる内側直辺域とで構成されている。他方の端部71bは、芯金71の内径面から径方向に真っ直ぐ連なる内側直辺域と、この内側直辺域から周方向に延びた段付辺域と、この段付辺域と芯金71の外径面間で径方向に真っ直ぐ連なる外側直辺域とで構成されている。なお、第4の実施例では、一対の端部71a、71bを周方向に一段の階段状にしたが、複数段の階段状にしてもよい。また、第4の実施例では、芯金71の内径面と端部71a、71b間、端部71aの段付辺域と内側直辺域間、端部71bの段付辺域と外側直辺域間にそれぞれ角部をもっているが、その角部でゴム部42の損傷が懸念される場合は、その角部をR形状に変更すればよい。
図13に示すように、軸受運転時、一対の端部71a、71b間でガタつきが生じていない状態では、自然状態から周方向に接近した一対の端部71a、71bが、互いの内側直辺域と外側直辺域間で周方向に所定距離で向き合い、かつ互いの段付辺域で径方向に規定距離で対向した状態となる。
軸受運転時、一対の端部71a、71b間で径方向ガタつきが生じると、一方の端部71aの段付辺域と、他方の端部71bの段付辺域とで突き合い(図14参照)、径方向ガタつきを僅かな量に抑制する。この突き合いは、図14に示すように、一方の端部71aが径方向の矢線A側へ動くガタつきを生じた場合又は他方の端部71bが径方向の矢線B側へ動くガタつきを生じた場合に起こり得るが、その逆に、一方の端部71aが径方向の矢線B側へ動くガタつきを生じた場合又は他方の端部71bが径方向の矢線A側へ動くガタつきを生じた場合に起こらない。したがって、第4の実施例は、端部71a、71b同士を径方向に接近させる一方向の径方向ガタつきのみを抑制することができる。
図15は、自動車用のトランスミッションの一例を示す概略図である。図示例のトランスミッションは、メインシャフト101とカウンターシャフト102とを有する副軸式のオートマチックトランスミッションになっている。これら両シャフト101,102を内包するミッションハウジング103と、回転部であるメインシャフト101との間に、上述のいずれかの実施例に係るシール部材を備えるシール付軸受100が介在している。シール付軸受100の外輪は、ミッションハウジング103に形成された軸受座に嵌合されている。シール付軸受100の内輪は、メインシャフト101に取り付けられている。メインシャフト101は、一対のシール付軸受100により、ミッションハウジング103に対して回転自在に支持されている。メインシャフト101と平行に設けられたカウンターシャフト102は、メインシャフト101の歯車104,105に噛み合う歯車106,107を有し、ミッションハウジング103に軸受を介して回転自在に支持されている。このようにシール付軸受100がトランスミッション内の回転部を支持する軸受として用いられる場合、シール付軸受100の低トルク化により、トランスミッション全体の損失低減を図ることができる。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。したがって、本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 内輪
11、21 軌道面
12、22 シール溝
20 外輪
30 転動体
40 シール部材
41、51、61、71 芯金
41a、41b、51a、51b、61a、61b、71a、71b 端部
42 ゴム部
100 シール付軸受
101 メインシャフト(回転部)
102 カウンターシャフト(回転部)
S 回転部
11、21 軌道面
12、22 シール溝
20 外輪
30 転動体
40 シール部材
41、51、61、71 芯金
41a、41b、51a、51b、61a、61b、71a、71b 端部
42 ゴム部
100 シール付軸受
101 メインシャフト(回転部)
102 カウンターシャフト(回転部)
S 回転部
Claims (4)
- 周方向一箇所に合口をもった円環状に形成された芯金と、前記芯金を周方向全周に亘って覆うように当該芯金に付着しているゴム部とを有し、前記合口が、周方向に空隙をもって向き合う一対の端部によって形成されているシール部材において、
前記一対の端部が、互いに周方向に所定距離内に接近したときに径方向にも対向するように形成されていることを特徴とするシール部材。 - 前記一対の端部のうち、一方の端部が、前記芯金の径方向中程で周方向に凹んだ中凹状に形成され、他方の端部が、前記芯金の径方向中程で前記中凹状に沿うように周方向に突き出た中凸状に形成されている請求項1に記載のシール部材。
- 請求項1又は2に記載のシール部材を備えるシール付軸受。
- トランスミッションに備わる回転部を支持する請求項3に記載のシール付軸受。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016040204A JP2017155861A (ja) | 2016-03-02 | 2016-03-02 | シール部材及びシール付軸受 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016040204A JP2017155861A (ja) | 2016-03-02 | 2016-03-02 | シール部材及びシール付軸受 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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Family
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Family Applications (1)
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Country | Link |
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JP (1) | JP2017155861A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN112145525A (zh) * | 2020-09-23 | 2020-12-29 | 重庆齿轮箱有限责任公司 | 一种剖分密封环粘接用辅助装置和粘接方法 |
-
2016
- 2016-03-02 JP JP2016040204A patent/JP2017155861A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN112145525A (zh) * | 2020-09-23 | 2020-12-29 | 重庆齿轮箱有限责任公司 | 一种剖分密封环粘接用辅助装置和粘接方法 |
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