JP2017155594A - 火花点火式内燃機関 - Google Patents
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Abstract
【課題】ノッキングの発生を予測してノッキングを未然に防止する装置を提供する。【解決手段】空気量センサ12は、吸気行程における吸入空気量を測定してECU14に送信する。ECU14は、現在のエンジン回転数及びアクセル開度に対応する吸入空気量及び点火時期を規定するマップを記憶する。ECU14は、空気量センサ12で得られた吸入空気量とマップで規定された吸入空気量との差分に応じ、吸入空気量がマップで規定された吸入空気量よりも閾値を超えて減少した場合に、マップで規定された点火時期を遅角調整することでノッキングの発生を未然防止する。【選択図】図1
Description
本発明は火花点火式内燃機関に関し、特にノッキングの防止に関する。
従来から、ノッキングを抑制するための各種技術が提案されている。
特許文献1には、可変圧縮比機構を持つ点火火花式内燃機関において、現在の圧縮比から残留ガス量を推定して今回の点火時期を決定する技術が記載されている。
特許文献2には、燃焼室筒内の残留ガスを効率的に掃気することでノッキングを抑制する技術が記載されている。
特許文献3には、燃焼室筒内の一部の部材を燃焼ガスを冷却できる金属材料に変更することによりノッキングを抑制する技術が記載されている。
特許文献4には、現在の油温を検出することにより点火時期制御マップを切り替えてノッキングを抑制する技術が記載されている。
特許文献5には、現在のエンジン回転を検出し、ノッキング等の不正燃焼が生じた場合の回転変動を利用して、ノッキングが以後発生しないように点火時期を制御する技術が記載されている。
しかしながら、特許文献1では、実際の残留ガス量は例えばアクセル開度一定(スロットル開度一定)で定常走行していてもサイクル毎にばらつきがあり、そのばらつきの中で残留ガスが筒内に多く溜まったサイクルの次のサイクルではノッキングが生じるおそれがある。すなわち、あくまで現在の圧縮比情報から残留ガス量を推定するものであるから、このようなサイクル毎の変動には対応できない。
特許文献2では、残留ガスが今回のサイクルでどれほど残留しているか知るすべがなく、仮に残留ガスが滞留していた場合にはノッキングが生じる可能性がある。
特許文献3では、どれほど未燃ガスが冷却されたか知るのは困難であり、また、残留ガスがどれほど残っているかを知ることができないため、ノッキングの発生を予測することができない。
特許文献4、5では、一時的にでもノッキングが生じてしまうので、ノッキングの未然防止はできない。
すなわち、上記従来技術では、いずれもノッキングの発生の可能性を高精度に予測し、これに基づいてノッキングの発生を未然に防止するとの観点からは十分でない。
本発明は、かかる従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ノッキングの発生を高精度に予測し、ノッキングの発生を未然に防止し得る装置を提供することにある。
本発明は、点火時期前の吸気行程における吸入空気量と吸気管内圧力と筒内圧力のいずれかを測定する測定手段と、現在のエンジン回転数及びアクセル開度に対応する吸入空気量と吸気管内圧力と筒内圧力のいずれか、及び点火時期を規定するマップを記憶する記憶手段と、測定手段で得られた吸入空気量と吸気管内圧力と筒内圧力のいずれかと、マップで規定された吸入空気量と吸気管内圧力と筒内圧力のいずれかとの差分に応じてマップで規定された点火時期を調整する制御手段とを備えることを特徴とする火花点火式内燃機関である。
本発明の1つの実施形態では、制御手段は、測定手段で得られた吸入空気量が、マップで規定された吸入空気量よりも閾値を超えて減少した場合に、マップで規定された点火時期を遅角調整する。
本発明の他の実施形態では、制御手段は、測定手段で得られた吸気管内圧力が、マップで規定された吸気管内圧力よりも閾値を超えて増加した場合に、マップで規定された点火時期を遅角調整する。
本発明のさらに他の実施形態では、制御手段は、測定手段で得られた筒内圧力が、マップで規定された筒内圧力よりも閾値を超えて増加した場合に、マップで規定された点火時期を遅角調整する。
本発明のさらに他の実施形態では、制御手段は、測定手段で得られた吸入空気量が、マップで規定された吸入空気量よりも増加した場合に、マップで規定された点火時期を所定のノックリミット点火時期を上限として進角調整する。
本発明のさらに他の実施形態では、制御手段は、測定手段で得られた吸気管内圧力が、マップで規定された吸気管内圧力よりも減少した場合に、マップで規定された点火時期を所定のノックリミット点火時期を上限として進角調整する。
本発明のさらに他の実施形態では、制御手段は、測定手段で得られた筒内圧力が、マップで規定された筒内圧力よりも減少した場合に、マップで規定された点火時期を所定のノックリミット点火時期を上限として進角調整する。
本発明のさらに他の実施形態では、制御手段は、エンジンの負荷に応じ、相対的に低負荷の場合に差分に応じてマップで規定された点火時期を所定のノックリミット点火時期を上限として進角調整し、相対的に中負荷の場合に差分に応じてマップで規定された点火時期を所定のノックリミット点火時期を上限として進角調整するとともに差分に応じてマップで規定された点火時期を遅角調整し、相対的に高負荷の場合に差分に応じてマップで規定された点火時期を遅角調整する。
本発明において、制御手段は、サイクル毎に点火時期を調整してもよい。
本発明によれば、ノッキングの発生を予測して点火時期を調整することでノッキングの発生を未然に防止することができる。また、本発明によれば、点火時期を必要に応じて所定のノックリミットを上限として進角調整することで、ノッキングの発生を未然に防止しつつ燃焼活発化を図ることができる。
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
まず、本実施形態の基本原理について説明する。
火花点火式内燃機関では、通常、点火後に筒内で混合気が燃焼後、排気行程で排気弁が開き、燃焼ガスが排出される。但し、この燃焼ガスは完全に排出されることはなく、一部分は筒内に残留ガスとしてとどまる。連続サイクルで見た場合、何らかの原因でこの残留ガスが多く溜まったサイクルでは、ノッキングし易くなる。例えば、予め点火前に残留ガスをモニタして残留ガス量を検知し、残留ガスが多く筒内に溜まったサイクルの点火時期を遅角すれば、未然にノッキングの発生を防止し得る。しかし、実際に残留ガス量をリアルタイムで高精度に検知することは実際の車両では困難である。
他方、本願発明者等は、あるエンジン運転条件で、アクセル開度を変化させず、点火時期を現在の進角値からある値だけ進角した直後の次サイクルの筒内の残留ガス量を測定したところ、ある値だけ点火時期を進角すると、進角前の残留ガスに比べて残留ガス量は進角値に応じて増加し、そのままさらに進角させていくと、さらに残留ガス量が増加して最後はノッキングに至ることを見出した。また、残留ガス量の増加に伴い、逆に、吸入空気量は減少していくことを見出した。
そこで、本実施形態では、この事実に着目し、残留ガス量をリアルタイムで高精度に検知することは困難であるものの、吸入空気量は空気量センサによってリアルタイムで高精度に検知可能であることに鑑み、点火前に検知した吸入空気量が所定の閾値を超えて減少した場合に点火前にノッキングの発生を予測し、点火時期を調整することで未然にノッキングの発生を防止するものである。
すなわち、予め現在の運転状況に対応する吸入空気量と点火時期をマップで規定しておき、点火前の吸気行程において吸入空気量を測定し、測定した吸入空気量とマップで規定される吸入空気量との差分に応じ、測定された吸入空気量がマップで規定される吸入空気量よりも閾値を超えて減少した場合に、マップで規定される点火時期ではノッキングが発生するものとみなして、マップで規定される点火時期を事前に調整することでノッキングの発生を未然に防ぐものである。
本実施形態において、
差分=測定した吸入空気量−マップで規定された吸入空気量
と定義した場合、差分値=0の場合、差分値<0の場合、差分値>0の場合が存在し得る。差分値=0の場合、測定した吸入空気量はマップで規定された吸入空気量と等しく、マップで規定した点火時期が適切であると判定し得る。差分値<0の場合、測定した吸入空気量がマップで規定した吸入空気量よりも減少しており、マップで規定した点火時期は必ずしも適切でなく、閾値を超えて減少した場合にはノッキング発生の可能性有りと予測して点火時期を遅角調整する。なお、差分>0の場合には、測定した吸入空気量がマップで規定した吸入空気量よりも増加しており、マップで規定した点火時期は必ずしも適切でなく、燃焼不活発の可能性ありと予測し、点火時期を進角調整する。但し、この場合においても、過度に進角とするとノッキングが発生することになるから、所定の上限値を限度に進角調整することでノッキングの発生を未然に防止できる。
差分=測定した吸入空気量−マップで規定された吸入空気量
と定義した場合、差分値=0の場合、差分値<0の場合、差分値>0の場合が存在し得る。差分値=0の場合、測定した吸入空気量はマップで規定された吸入空気量と等しく、マップで規定した点火時期が適切であると判定し得る。差分値<0の場合、測定した吸入空気量がマップで規定した吸入空気量よりも減少しており、マップで規定した点火時期は必ずしも適切でなく、閾値を超えて減少した場合にはノッキング発生の可能性有りと予測して点火時期を遅角調整する。なお、差分>0の場合には、測定した吸入空気量がマップで規定した吸入空気量よりも増加しており、マップで規定した点火時期は必ずしも適切でなく、燃焼不活発の可能性ありと予測し、点火時期を進角調整する。但し、この場合においても、過度に進角とするとノッキングが発生することになるから、所定の上限値を限度に進角調整することでノッキングの発生を未然に防止できる。
本実施形態では、吸入空気量の減少によりノッキングを予測するものであるため、サイクル毎に吸入空気量を検知することでサイクル毎のばらつきにも対応可能である。さらに、気筒毎に吸入空気量を検知することで気筒毎のノッキング防止も可能である。
以下、本実施形態の具体的構成について説明する。
図1は、本実施形態の内燃機関の構成を示す。基本制御は以下の通りである。すなわち、運転者がアクセルを踏むことにより吸気管に取り付けられたスロットルの開閉がなされ、燃焼室内の吸入される空気量Aが変化する。この吸入空気量Aに応じて燃料インジェクタ10から供給される燃料噴射量Yを調節し、適切な濃度の混合気が燃焼室内に流れ込むようになっている。吸入空気量Aは、吸気管に取り付けられた空気量センサ12で測定されて電子制御装置ECU14に送信され、ECU14によって吸入空気量Aに応じて予めメモリに記憶されたマップにより設定された燃料噴射量Yが自動的に設定される。また、触媒による排気ガスの浄化のため、高い精度で混合気濃度を調節する必要があるため、O2センサ16が設けられている。このO2センサ16で空気過剰率λを測定した結果から、ECU14によってλ=1となるように燃料噴射量Yと空気過剰率λとの間でフィードバック制御し、燃料噴射量Yを決定する。
他方、図2は、あるエンジン運転条件で、アクセル開度を変化させず、点火時期を現在の進角値から進角した直後の次のサイクルの筒内の残留ガス量と吸入ガス量の変化の様子を示す。点火時期を進角すると、残留ガス量は増加し、吸入空気量は減少していく。さらに進角すると、ノッキングが発生し、残留ガス量が急峻に(不連続的に)増加し、吸入空気量は急峻に減少する(図における「ノック」領域)。
また、図3は、あるエンジン運転条件での、点火時期に対するトルクとそのときの筒内の残留ガス量との関係を示す。横軸は点火時期(進角)を示し、トルクが最大となる点火時期をMBTで示す。点火時期がMBTよりも遅角の場合、及び進角の場合のいずれもトルクは減少してしまうので、各運転条件において、可能な限り点火時期をMBTとするのが理想である。但し、火花点火式内燃機関の多くの運転条件では、MBTまで進角する以前の点火時期でノッキングが発生してしまう。この現象は、特に低速回転で高いトルクを発生するような運転条件で顕著に現れる。
このため、ECU14は、通常、各運転条件で、できるだけMBTに近く、かつ、ノッキングが発生しない点火時期をマップとして設定してメモリに記憶しておくとともに、その点火時期はノッキングが発生する点火時期まである程度余裕を持たせて設定している。これは、サイクル毎や気筒毎に筒内の残留ガス量にばらつきが生じるため、マップで設定された点火時期でもノッキングが生じる可能性があることを考慮したものである。図において、ノッキングが発生する点火時期をKL(ノックリミット)とし、これよりも一定の余裕だけ持たせた点火時期を点火時期21として示す。しかし、MBTに至らないかなり遅角した点火時期をマップとして設定してしまうと、図3に示すようにトルクの発生を阻害する原因となってしまう。
そこで、本実施形態では、ある回転数でアクセル開度が変化していない場合に、残留ガス量が前サイクルで多く筒内にとどまると次サイクルでの吸入空気量が減少することを利用してノッキングの発生を未然に防止するように制御する。具体的には、ECU14は、(1)エンジン回転数のアクセル開度に応じた吸入空気量、MBT、燃料量、KL(ノックリミットの点火時期)のマップ
(2)エンジン回転数のアクセル開度に応じた吸入空気量の変化量(差分値)と点火時期との関係を規定するマップ
をメモリに記憶しておき、現在の吸入空気量とマップで規定された吸入空気量とを比較し、その差分値を閾値と比較してノッキングが発生する可能性があるか否かを点火時期までに判定し、ノッキングが発生する可能性があると判定した場合に点火時期をマップに基づき変化させる(遅角させる)ことでノッキングの発生を未然に防止するため本実施形態では、所謂ノッキングセンサは不要である。
(2)エンジン回転数のアクセル開度に応じた吸入空気量の変化量(差分値)と点火時期との関係を規定するマップ
をメモリに記憶しておき、現在の吸入空気量とマップで規定された吸入空気量とを比較し、その差分値を閾値と比較してノッキングが発生する可能性があるか否かを点火時期までに判定し、ノッキングが発生する可能性があると判定した場合に点火時期をマップに基づき変化させる(遅角させる)ことでノッキングの発生を未然に防止するため本実施形態では、所謂ノッキングセンサは不要である。
図4は、本実施形態の処理フローチャートを示す。まず、アクセル開度が変化したか否かを判定する(S101)。アクセル開度が変化していない場合には本実施形態の処理には移行せず、アクセル開度がある開度から別の開度に変化した場合に、これをトリガとして本実施形態の処理に移行する。
ECU14は、現在のエンジン回転数及びアクセル開度に対応する、吸入空気量、MBT、燃料量、KLをマップを参照することで読み出す(S102)。そして、読み出したMBTをマップ点火時期として設定する。
次に、吸入空気量を空気量センサ12で測定し(S103)、ECU14に供給する。ECU14は、S102でマップから読み出した吸入空気量と、S103で得られた測定空気量とを比較し、両者の差分を算出する(S104)。アクセル開度が一定で、かつノッキング等の異常燃焼が生じていなければ、マップから読み出した吸入空気量と測定した空気量はほぼ一致し、そうでなければ両者は相違し、差分値として現れる。ECU14は、マップを参照し、算出した差分値に対応する点火時期をマップから読み出す。これにより、読み出したマップ点火時期に対する変化量が決定され、S102で設定した点火時期を変化させる(S105)。点火時期の変化方法についてはさらに詳述する。
次に、S105で変化させた点火時期が、S102でマップから読み出したKLより進角側であるか否かを判定する(S106)。もし、S105で変化させた点火時期がKLよりも進角側であればノッキングが発生してしまうので、点火時期をKLまで遅角させる(S107)。他方、S105で変化させた点火時期がKLよりも進角側でなければノッキングは発生しないのでそのまま点火時期として設定する。
以上のようにしてマップで規定された吸入空気量と測定空気量との差分に応じて点火時期を決定し、この点火時期で点火して燃焼させる(S108)。S103〜S108の処理は、アクセル開度に変化がない限り1サイクル毎に繰り返し実行する。すなわち、S108で燃焼した後、次のサイクルでは再びS103移行の処理を繰り返す。アクセル開度が変化した場合には、最初に戻る。
図5は、ECU14のメモリに記憶される、差分値と点火時期との関係を規定するマップの一例を示す。図において横軸は差分であり、右にいくほど吸入空気量が減少して両者の差分値が増大していくことを示す。Aは測定された吸入空気量であり、A’はマップから読み出された吸入空気量である。図における「0」は、AとA’が等しい点を示す。A<A’であれば0より右側に位置し、A>A’であれば0より左側に位置する。
図5において、差分値「0」に相当する点火時期は、マップで規定される点火時期そのものである。測定された吸入空気量Aがマップ値A’よりも減少し、差分値がΔ1である場合には、これに対応する点火時期が図5のマップを参照することで決定され、このようにして決定された点火時期とマップで規定される点火時期の相違が変化分100として決定され、マップで規定される点火時期を変化分100だけ遅角させた点火時期を最終的な点火時期として設定する。ここで、Δ1は相対的に小さく、差分値Δ1に対応する点火時期はノッキングが生じるノック領域ではなく、この点火時期で点火してもノッキングは発生しないから、必ずしも点火時期を制御する必要はなく、マップで規定された点火時期をそのまま点火時期として最終決定してもよい。
他方、測定された吸入空気量Aがマップ値A’よりも大幅に減少し、差分値がΔ2である場合には、これに対応する点火時期が図5のマップを参照することで決定されるが、この点火時期はノッキングが発生するノック領域内であるため、このままではノッキングが生じると予測し、同様にマップで規定される点火時期との変化分を算出し、マップで規定される点火時期を変化分だけ遅角させた点火時期を最終的な点火時期として設定する。このことは、差分値Δを閾値と大小比較し、差分値が閾値を超える場合にノッキングが発生すると予測してマップで規定される点火時期を差分値に応じて遅角させることを意味する。従って、図4の処理において、S104とS105の間に、S104で算出した差分値を閾値と大小比較する処理を挿入し、差分値が閾値を超える場合にS105の処理に移行し、差分値が閾値を超えない場合にS102で設定したマップの点火時期で燃焼する処理としてもよい。
以上の処理により、吸入空気量がマップにより規定される吸入空気量よりも閾値を超えて減少した場合に、これに応じて点火時期を制御することでノッキングの発生を防止できる。
なお、本実施形態において、A>A’であれば、図5から分かるように、点火時期を相対的に進角側に制御することになるが、係る制御は、燃焼を活発化させてトルクを増大させるように点火時期を進角側に制御するものである。この場合においても、本実施形態では、S106及びS107で点火時期がKLより進角側に変化しないように制御しているため、ノッキングの発生を確実に防止できる。ノッキング発生防止と燃焼の活発化については、さらに後述する。
本実施形態では、空気量センサ12を用いて吸入空気量を測定しているが、空気量センサ12の代わりに吸気管内圧力センサを用いて吸気管内圧力を測定し、この吸気管内圧力を用いて点火時期を制御してもよい。残留ガス量が増大するほど吸気管内圧力は増大する関係にあるからである。
図6は、この場合の構成図である。図1と異なる点は、空気量センサ12ではなく、吸気管内圧力を測定する吸気管内圧力センサ18が設けられる点である。また、ECU14は、
(1)エンジン回転数のアクセル開度に応じた吸気管内圧力、MBT、燃料量、KL(ノックリミットの点火時期)のマップ
(2)エンジン回転数のアクセル開度に応じた吸気管内圧力の変化量(差分値)と点火時期との関係を規定するマップ
をメモリに記憶しておく。
(1)エンジン回転数のアクセル開度に応じた吸気管内圧力、MBT、燃料量、KL(ノックリミットの点火時期)のマップ
(2)エンジン回転数のアクセル開度に応じた吸気管内圧力の変化量(差分値)と点火時期との関係を規定するマップ
をメモリに記憶しておく。
図7は、この場合の処理フローチャートである。図4と異なる点は、S202で現在の回転数、アクセル開度に対応する、吸入空気量、MBT、燃料量、KLをマップを参照することで読み出し、S203で吸気管内圧力センサ18で吸気管内圧力を測定し、S205で差分値に応じて点火時期を変化させる点である。
本実施形態によっても、吸気管内圧力がマップにより規定される吸気管内圧力よりも増加した場合に、これに応じて点火時期を制御することで、ノッキングの発生を防止できる。
図8は、さらに他の実施形態の構成図である。本実施形態では、空気量センサ12あるいは吸気管内圧力センサ18の代わりに、筒内圧力センサ20を用いて筒内圧力センサを測定する。点火燃焼後、筒内の燃焼ガスは排気行程で排出されるがその一部は筒内に残留する。このため、次サイクルの始まり(吸気行程)では残留ガス量が増大するほど筒内の圧力も増大する。従って、吸気管内圧力と同様に、筒内圧力を用いることで点火時期を制御し、ノッキングの発生を未然に防止し得る。ECU14は、
(1)エンジン回転数のアクセル開度に応じた筒内圧力、MBT、燃料量、KL(ノックリミット点火時期:これよりも進角させるとノッキングが生じる臨界の点火時期)のマップ
(2)エンジン回転数のアクセル開度に応じた筒内圧力の変化量(差分値)と点火時期との関係を規定するマップ
をメモリに記憶しておく。
(1)エンジン回転数のアクセル開度に応じた筒内圧力、MBT、燃料量、KL(ノックリミット点火時期:これよりも進角させるとノッキングが生じる臨界の点火時期)のマップ
(2)エンジン回転数のアクセル開度に応じた筒内圧力の変化量(差分値)と点火時期との関係を規定するマップ
をメモリに記憶しておく。
図9は、この場合の処理フローチャートを示す。図7と異なる点は、S302で現在の回転数、アクセル開度に対応する、筒内圧力、MBT、燃料量、KLをマップを参照することで読み出し、S303で筒内圧力センサ20により吸気行程中の筒内圧力を測定し、S305で差分値に応じて点火時期を変化させる点である。
本実施形態によっても、筒内圧力がマップにより規定される筒内圧力よりも増加した場合に、これに応じて点火時期を制御することで、ノッキングの発生を防止できる。
次に、本実施形態におけるノッキング防止と燃焼活発化との関係について、吸入空気量を用いて制御する場合を例にとり説明する。
図10は、図5に示すマップを用いたノッキング防止制御の流れを示す。吸入空気量Aがマップの吸入空気量A’よりも減少した場合、つまりA<A’の場合である。
図10(a)は、マップを用いた点火時期を示す。差分値0に対応する点火時期がマップで規定される点火時期である。
図10(b)は、吸入空気量の減少を検知し、その差分値がある値となった場合である。差分値が大きいほど横軸上で右側に移動していく。
図10(c)は、差分値に応じた点火時期である。差分値が大きいため、この差分値に対応する点火時期はノック領域にある。従って、この点火時期をそのまま用いたのではノッキングが発生してしまう。
図10(d)は、点火時期を変化させるための変化分の算出である。差分値に対応する点火時期と、マップで規定される点火時期との進角差を変化分として算出し、これをマップで規定される点火時期に対する遅角分とする。
図10(e)は、図10(d)で算出された遅角分だけマップで規定される点火時期を変化させた場合である。遅角分だけ遅角させることで、ノッキングの発生を未然に防止する。
図11は、図5に示すマップを用いた燃焼活発化制御の流れを示す。吸入空気量Aがマップの吸入空気量A’よりも増加した場合、つまりA>A’の場合である。
図11(a)は、マップを用いた点火時期を示す。差分値0に対応する点火時期がマップで規定される点火時期である。
図11(b)は、吸入空気量の増加を検知し、その差分値がある値となった場合である。差分値が大きいほど横軸上で左側に移動していく。
図11(c)は、差分値に応じた点火時期である。
図11(d)は、点火時期を変化させるための変化分の算出である。差分値に対応する点火時期と、マップで規定される点火時期との進角差を変化分として算出し、これをマップで規定される点火時期に対する進角分とする。
図11(e)は、図11(d)で算出された進角分だけマップで規定される点火時期を変化させた場合である。進角分だけ進角させることで、燃焼を活性化しトルクを増大させることができる。但し、図3に示すように、過度に点火時期を進角させるとノッキングが発生してしまうため、KLをその上限として設定する。
図12は、図5に示すマップを用いたノッキング防止制御と燃焼活発化制御の流れを示す。図10と図11を統合した制御であり、かつ、図11において過度の進角を抑制してノッキングの発生を確実に防止する制御である。
図12(a)〜図12(d)は、図11(a)〜図11(d)と同様である。但し、図12の場合は図11と比較して差分値が大きく、このため図12(d)で算出された進角は図11(d)の場合よりも多い。
図12(e)は、図12(d)で算出された進角分だけマップで規定される点火時期を変化させた場合であるが、変化後の点火時期がKLよりも進角側にある。そこで、図4のS106及びS107で説明したように、点火時期の上限をKLとする、つまり点火時期をKLまで遅角させてノッキングの発生を防止する。図において、変化分200は、点火時期をKLまで遅角させることを示す。
図10〜図11では、吸入空気量を例示して説明したが、吸気管内圧力や筒内圧力を用いた場合も同様である。但し、吸気管内圧力の場合、測定した吸気管内圧力がマップで規定される圧力よりも増加した場合にノッキング防止制御を実行し、測定した吸気管内圧力がマップで規定される圧力よりも減少した場合に燃焼活発化制御を実行する。筒内圧力の場合、測定した筒内圧力がマップで規定される圧力よりも増加した場合にノッキング防止制御を実行し、測定した筒内圧力がマップで規定される圧力よりも減少した場合に燃焼活発化制御を実行する。
図10〜図12に示す制御の流れは、全てのエンジンの運転状態において実行してもよく、あるいはエンジンの運転状態毎、具体的にはエンジンの負荷毎に実行してもよい。例えば、エンジンの負荷が相対的に低いアイドリング状態ではノッキングの発生確率は低く、燃焼不活発の確率が高いので図11に示す燃焼活発化制御(KLを上限とする点火時期の進角制御)を実行し、エンジンが相対的に中負荷の場合には図12に示す燃焼活発化及びノッキング防止制御(KLを上限とする点火時期の進角制御と点火時期の遅角制御)を実行し、エンジンが相対的に高負荷の場合には図10に示すノッキング防止制御(点火時期の遅角制御)を実行する等である。
また、図10〜図12に示す制御の流れは、サイクル毎に実行してもよい。例えば、あるサイクルでは図11に示す燃焼活発化制御を実行し、別のサイクルでは図10に示すノッキング防止制御を実行する等である。
また、本実施形態におけるノッキングの予測は、気筒毎に実行してもよく、ある気筒において吸入空気量がマップで規定された吸入空気量よりも閾値を超えて減少してノッキングが発生すると予測された場合、他の気筒において閾値を超えていなくても全ての気筒の点火時期を遅角調整してもよい。
10 インジェクタ、12 空気量センサ、14 ECU(電子制御装置)、16 O2センサ、18 吸気管内圧力センサ、20 筒内圧力センサ。
Claims (9)
- 点火時期前の吸気行程における吸入空気量と吸気管内圧力と筒内圧力のいずれかを測定する測定手段と、
現在のエンジン回転数及びアクセル開度に対応する吸入空気量と吸気管内圧力と筒内圧力のいずれか、及び点火時期を規定するマップを記憶する記憶手段と、
測定手段で得られた吸入空気量と吸気管内圧力と筒内圧力のいずれかと、マップで規定された吸入空気量と吸気管内圧力と筒内圧力のいずれかとの差分に応じてマップで規定された点火時期を調整する制御手段と、
を備えることを特徴とする火花点火式内燃機関。 - 請求項1に記載の火花点火式内燃機関において、
制御手段は、測定手段で得られた吸入空気量が、マップで規定された吸入空気量よりも閾値を超えて減少した場合に、マップで規定された点火時期を遅角調整する
ことを特徴とする火花点火式内燃機関。 - 請求項1に記載の火花点火式内燃機関において、
制御手段は、測定手段で得られた吸気管内圧力が、マップで規定された吸気管内圧力よりも閾値を超えて増加した場合に、マップで規定された点火時期を遅角調整する
ことを特徴とする火花点火式内燃機関。 - 請求項1に記載の火花点火式内燃機関において、
制御手段は、測定手段で得られた筒内圧力が、マップで規定された筒内圧力よりも閾値を超えて増加した場合に、マップで規定された点火時期を遅角調整する
ことを特徴とする火花点火式内燃機関。 - 請求項1に記載の火花点火式内燃機関において、
制御手段は、測定手段で得られた吸入空気量が、マップで規定された吸入空気量よりも増加した場合に、マップで規定された点火時期を所定のノックリミット点火時期を上限として進角調整する
ことを特徴とする火花点火式内燃機関。 - 請求項1に記載の火花点火式内燃機関において、
制御手段は、測定手段で得られた吸気管内圧力が、マップで規定された吸気管内圧力よりも減少した場合に、マップで規定された点火時期を所定のノックリミット点火時期を上限として進角調整する
ことを特徴とする火花点火式内燃機関。 - 請求項1に記載の火花点火式内燃機関において、
制御手段は、測定手段で得られた筒内圧力が、マップで規定された筒内圧力よりも減少した場合に、マップで規定された点火時期を所定のノックリミット点火時期を上限として進角調整する
ことを特徴とする火花点火式内燃機関。 - 請求項1に記載の火花点火式内燃機関において、
制御手段は、エンジンの負荷に応じ、相対的に低負荷の場合に差分に応じてマップで規定された点火時期を所定のノックリミット点火時期を上限として進角調整し、相対的に中負荷の場合に差分に応じてマップで規定された点火時期を所定のノックリミット点火時期を上限として進角調整するとともに差分に応じてマップで規定された点火時期を遅角調整し、相対的に高負荷の場合に差分に応じてマップで規定された点火時期を遅角調整する
ことを特徴とする火花点火式内燃機関。 - 請求項1〜8のいずれかに記載の火花点火式内燃機関において、
制御手段は、サイクル毎に点火時期を調整する
ことを特徴とする火花点火式内燃機関。
Priority Applications (1)
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JP2016036856A JP2017155594A (ja) | 2016-02-29 | 2016-02-29 | 火花点火式内燃機関 |
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JP2016036856A JP2017155594A (ja) | 2016-02-29 | 2016-02-29 | 火花点火式内燃機関 |
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Cited By (1)
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CN110080919A (zh) * | 2019-06-10 | 2019-08-02 | 中国第一汽车股份有限公司 | 一种点火控制方法、装置、车辆及存储介质 |
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2016
- 2016-02-29 JP JP2016036856A patent/JP2017155594A/ja active Pending
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CN110080919A (zh) * | 2019-06-10 | 2019-08-02 | 中国第一汽车股份有限公司 | 一种点火控制方法、装置、车辆及存储介质 |
CN110080919B (zh) * | 2019-06-10 | 2021-05-04 | 中国第一汽车股份有限公司 | 一种点火控制方法、装置、车辆及存储介质 |
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