JP2017150865A - ガス検知方法及びガス検知装置 - Google Patents

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【課題】本発明の課題は、測定時の温度変化による誤差を排除し、2つのコア・シェル粒子間での表面プラズモン共鳴による光吸収ピーク波長の差分から、検知対象物の有無を検知するガス検知方法及びガス検知装置を提供することである。【解決手段】本発明のガス検知方法は、検知対象に対する相互作用で応答スペクトルが変化する局在型表面プラズモンセンサーを用い、局在型表面プラズモンセンサーは2種のコア・シェル粒子の集合体から構成され、コア・シェル粒子の一方が、金属又は酸化物半導体を含有するコア部とシェル部より構成され、第1のコア・シェル粒子が検知対象の標的ガスに作用し屈折率が変化し、第2のコア・シェル粒子が検知対象の標的ガスに作用せず、第1のコア・シェル粒子と第2のコア・シェル粒子の表面プラズモン共鳴による光吸収ピーク波長の差分から、検知対象物の有無を検知することを特徴とする。【選択図】図4

Description

本発明は、ガス検知方法及びガス検知装置に関する。更に詳しくは、局在型表面プラズモンセンサーを用いたガス検知方法及びガス検知装置に関する。
近年、化学物質、化学反応、生体又は遺伝子情報等を検出可能なセンサーとして、光によって表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance)を起こす光学系を用いたセンサー(以下、表面プラズモン共鳴センサーと称す。)が開発されてきた。
この表面プラズモン共鳴センサーは、金属中の伝導電子と光との相互作用により起こるプラズモン共鳴現象を利用するものである。具体的には、化学物質、化学反応、生体、又は遺伝子情報によって生じる金属構造体の表面近傍における数nm〜数十nmの微小な領域における屈折率等の状態変化をプラズモン現象による光の共鳴波長の応答で検知するというものである。この技術は、特に、不可視で検出が困難であるガス等の気体の検出用途に期待されている。
プラズモンとは、光によって励起された金属ナノ粒子における電子の粗密波(=縦波)である。この現象は、全波長域の光で生じるわけではなく、光の周波数が金属等における表面電子の自然周波数と一致したときにプラズモン共鳴が発生する。プラズモン共鳴が発生すると、その周波数における光のエネルギーは電子振動の励起によって消費されるため、プラズモン共鳴周波数(波長)において光の吸収が生じる。このとき、プラズモン共鳴周波数は、金属等の表面電子を有する物質と、他方の物質との界面における境界条件として、屈折率(広義には誘電率)の差で決まる。このとき、他方の物質の屈折率が変化すると共鳴周波数も変化することになる。
プラズモン共鳴現象には、金属表面の自由電子の振動が光と結合して金属表面を伝播する伝播型表面プラズモンと、金属等のナノ粒子全体が入射光電場によって電子の分極を誘発されそれが振動することによって生じる局在型表面プラズモンの2つに大別できる。伝播型表面プラズモンは、素子のサイズが大きくてもその金属の表面上に微細構造を設けることでその特性を制御できるため、波長フィルターやバイオセンサーへの応用が考えられているが、素子単位での特性を変えることが難しいため、多チャンネル化が難しく、またセンサーとして利用する場合は、プラズモン励起光の検出のため、高感度な検出装置が必要となるためにシステムが複雑・大型化しやすいといったデメリットが挙げられる。一方、局在型表面プラズモンは、素子の最小単位がナノ粒子1つに相当するので、小型化が容易であり、マルチチャンネルでのバイオセンサーや検疫システムに向いている方法である。
例えば、特許文献1には、分光光度計による光透過率が実質的に0である担体に、検知対象ガスとの接触により変色する変色物質を担持させた検知剤を用い、その変色をカラーマークセンサーにより検出する技術が開示されている。特許文献1に記載されている方法では、対象ガスと化学的に反応して呈色を起こす検知材料(カラーマークセンサー)の色変化を分光器で測定する方法である。
特許文献1に開示されている方法では、化学反応による呈色を利用する方法であり、化学反応が起こらない物質の検知に対して、検出効果が全く得ることができない。このように、化学反応を起こしにくい物質に対する検知が困難であるため、その問題を解決する方法として、プラズモン現象の利用が期待されている。
当該プラズモン現象を利用したセンサーの具体的な方法としては、例えば、特許文献2に開示されている。特許文献2に記載されている方法は、金属層上に光透過性絶縁性薄膜を介して局在型表面プラズモンが励起される寸法の金属微粒子を固定化し、金属微粒子に入射された光との相互作用に起因して生じる第2高調波の変化を検出することで、金属微粒子近傍の屈折率変化を検知する技術である。
このように金属微粒子を用いたプラズモンを利用する場合、一般的には可視光領域に存在するプラズモンによる吸収波長のピークシフトを検知するため、分光器などの装置を用いてその微小なピークシフトを検出している。金属微粒子の近傍の実効屈折率によってピークシフト量が決まってくるため、ガス濃度とピークシフト量との相関をあらかじめ把握しておくことにより、微粒子周囲のガス成分の定量化も可能となる。
このように、局在型表面プラズモン共鳴センサーは、従来では測定が困難であった気体・液体の成分定量化や検出に対して将来的に期待されている技術である。このように金属微粒子を用いたプラズモンを利用する場合、一般的には可視光領域に存在するプラズモン共鳴による吸収波長のピークシフトを検知するため、分光器などの装置を用いてその微小なピークシフトを検出している。金属微粒子の近傍の実効屈折率によってピークシフト量が決まってくるため、ガス濃度とピークシフト量との相関をあらかじめ把握しておくことで微粒子周囲のガス成分の定量化も可能となる。
このように、局在型表面プラズモン共鳴センサーは従来では測定が困難であった気体・液体の成分定量化や検出に対して将来的に期待されている技術である。
上記特許文献2に開示されている局在型表面プラズモン共鳴センサーは、分光器などの装置を用いて金属構造体の周辺における光学定数変化に伴う共鳴波長ピークの変化を検出することでセンサーとしての機能を実現するものである。しかし、一般的にプラズモン共鳴で発生する共鳴波長ピークの変化は、数nm〜数十nm程度と非常に小さいため、その微小な波長変化を捉えるためには、分光器などの、高額でかつ複雑なシステムを有する装置が必須となってくる。そのため、現状は研究機関や製造現場における定点測定としての用途が主流になるとされている。
一方で、今後、このような表面プラズモン共鳴センサーが必要とされてくる代表的な領域としては、無色無臭の可燃性ガスプラントなどが挙げられる。具体的には、将来におけるCOフリーエネルギーといわれる水素ガスは、通常のセンサーでは検知が難しいため、リークチェック用途でプラズモンセンサーの活用が期待されている。
このような分野でプラズモン共鳴センサーが使われる状況を考慮した場合、使用する環境(例えば、室内温度等)によっては、配管パイプなどが急激に温度上昇、あるいは温度下降することがある。しかも配管の位置によっても温度差が大きい場合がある。一般的に、物質の屈折率は温度依存性を持つため、この時間や場所の違いによって発生する温度差は、プラズモンセンサー周囲の屈折率も変化させてしまうことになる。その結果、温度変化によってプラズモンの最大光吸収ピーク波長もシフトしてしまうことから、環境による温度変化が、正確に検知対象物の有無を判断する際のノイズとなってしまうことになる。
上記のような問題を解決する方法として、全反射減衰を利用した表面プラズモンセンサーにおいて、検出部の金属薄膜の裏面に温度センサーを設けて補正する方法が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。特許文献3に記載の方法では、検出部そのものに温度センサーが設けられてはおらず、例えば、局在型表面プラズモンセンサーを構成するナノ粒子の温度変化を検出するにはセンサー自身が大きすぎるため、適用することができない。
また、単一金属薄膜の素子上に対象物の検出部と屈折率一定の保護層の2つのエリアを設け、それぞれに光線を当ててその共鳴角度の変化で温度変化分を算出して温度変化による影響を補償する方法が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。しかしながら、本発明が対象としているナノ粒子による局在型表面プラズモンセンサーにおいては、共鳴角度が存在しないため、適用することができない。
また、表面プラズモンセンサーにおいて、金属薄膜部に電極を設けて電気抵抗の変化から温度変化を算出する方法が開示されている(例えば、特許文献5参照。)。しかしながら、本発明が対象としているナノ粒子による局在型表面プラズモンセンサーにおいては、ナノ粒子を介して電極を設けることは、物理的に不可能である。
このように、ナノ粒子による局在型表面プラズモンセンサーにおいて、測定する環境の温度変化に対する吸収波長のピークシフト量を正確に把握することが困難な状況にあり、より高い検出精度を確立するための方法の開発が切望されている。
特開平10−2894号公報 特開2007−255947号公報 特開2003−090793号公報 特開平09−257699号公報 特開2003−065947号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、局在型表面プラズモン粒子がガス等の標的を検知する際に、測定環境の温度変化によるピークシフトを補償し、高い検出精度を有する局在型表面プラズモンセンサーを用いたガス検知方法及び局在型表面プラズモンセンサーを具備したガス検知装置を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、ガス検知手段について鋭意検討を進めた結果、検知対象の標的ガスに対する相互作用で照射された電磁波の応答スペクトルに変化が生じる局在型表面プラズモンセンサーを用い、当該局在型表面プラズモンセンサーが、2種のコア・シェル粒子より構成し、一方のコア・シェル粒子が、検知対象の標的ガスに作用することにより屈折率が変化し、他方のコア・シェル粒子が、前記検知対象の標的ガスに作用せず、2種のコア・シェル粒子の表面プラズモン共鳴による最大光吸収ピーク波長の差分から、検知対象物の有無を判定することを特徴とするガス検知方法により、局在型表面プラズモン粒子がガス等の標的ガスを検知する際に、温度変化によるピークシフトの影響をキャンセルすることが可能となり、測定環境の温度変化による影響を補償し、高い検知精度を可能とすることができることを見いだし、本発明に至った。
すなわち、上記課題は、以下の手段により解決される。
1.照射された電磁波に対して透過、反射又は散乱が可能であり、検知対象の標的ガスに対する相互作用で照射された電磁波の応答スペクトルに変化が生じる局在型表面プラズモンセンサーを用いるガス検知方法であって、
前記局在型表面プラズモンセンサーが、少なくとも第1のコア・シェル粒子と第2のコア・シェル粒子の集合体から構成され、
前記コア・シェル粒子の少なくとも一方が、金属又は酸化物半導体を含有するコア部と、当該コア部を覆うシェル部とにより構成されるコア・シェル構造の粒子であり、
前記第1のコア・シェル粒子は、前記検知対象の標的ガスとの相互作用により屈折率が変化するのに対し、他方の第2のコア・シェル粒子が、前記検知対象の標的ガスとの相互作用が無い又は少ないため、屈折率の変化が無い又は少ないという特性の差異を利用して、
前記第1のコア・シェル粒子と第2のコア・シェル粒子の表面プラズモン共鳴による最大光吸収ピーク波長の差分から、検知対象物の有無を判定することを特徴とするガス検知方法。
2.前記第1のコア・シェル粒子のシェル部が、前記検知対象の標的ガスに対し化学吸着若しくは物理吸着又はそれら以外の化学反応により屈折率が変化し、
一方、前記第2のコア・シェル粒子のシェル部は、前記検知対象の標的ガスを化学吸着若しくは物理吸着が無い又は少ない、又は当該標的ガスと化学吸着以外の化学反応が無い又は少ないことを特徴とする第1項に記載のガス検知方法。
3.前記第1のコア・シェル粒子が、前記検知対象の標的ガスに対し物理的に接触可能であり、
前記第2のコア・シェル粒子が、前記検知対象の標的ガスに対し物理的に接触不可能な状態であることを特徴とする第1項に記載のガス検知方法。
4.前記第1のコア・シェル粒子のシェル部と第2のコア・シェル粒子のシェル部が、それぞれ温度変化に対する屈折率変化の傾きが等しいことを特徴とする第1項又は第2項に記載のガス検知方法。
5.前記第1のコア・シェル粒子のコア部と第2のコア・シェル粒子のコア部が、それぞれ同一材料で形成されていることを特徴とする第4項に記載のガス検知方法。
6.前記第1のコア・シェル粒子及び第2のコア・シェル粒子のいずれか一方のコア部が金属で構成され、前記第1のコア・シェル粒子及び第2のコア・シェル粒子の他方のコア部が酸化物半導体で構成されていることを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載のガス検知方法。
7.前記第1のコア・シェル粒子のみが存在する第1の領域と、前記第2のコア・シェル粒子のみが存在する第2の領域を有し、
前記第1の領域の周辺部に、前記第2の領域が存在することを特徴とする第1項から第6項までのいずれか一項に記載のガス検知方法。
8.前記第1のコア・シェル粒子のシェル部と第2のコア・シェル粒子のシェル部の少なくとも一方が、標的ガスの構成分子と選択的に結合する生体触媒又は有機高分子で構成されていることを特徴とする第1項から第7項までのいずれか一項に記載のガス検知方法。
9.照射された電磁波に対して透過、反射又は散乱が可能であり、検知対象の標的ガスに対する相互作用で照射された電磁波の応答スペクトルに変化が生じる局在型表面プラズモンセンサーを具備したガス検知装置であって、
前記局在型表面プラズモンセンサーが、少なくとも第1のコア・シェル粒子と第2のコア・シェル粒子の集合体から構成され、
前記コア・シェル粒子の少なくとも一方が、金属又は酸化物半導体を含有するコア部と、当該コア部を覆うシェル部とにより構成されるコア・シェル構造の粒子であり、
前記第1のコア・シェル粒子は、前記検知対象の標的ガスとの相互作用により屈折率が変化するのに対し、他方の第2のコア・シェル粒子が、前記検知対象の標的ガスとの相互作用が無い又は少ないため、屈折率の変化が無い又は少ないという特性の差異を利用して、
前記第1のコア・シェル粒子と第2のコア・シェル粒子の表面プラズモン共鳴による最大光吸収ピーク波長の差分から、検知対象物の有無を判定する機能を有することを特徴とするガス検知装置。
10.前記第1のコア・シェル粒子のシェル部が、前記検知対象の標的ガスに対し化学吸着若しくは物理吸着又はそれら以外の化学反応により屈折率が変化し、
一方、前記第2のコア・シェル粒子のシェル部は、前記検知対象の標的ガスを化学吸着若しくは物理吸着が無い又は少ない、又は当該標的ガスと化学吸着以外の化学反応が無い又は少ないことを特徴とする第9項に記載のガス検知装置。
11.前記第1のコア・シェル粒子が、前記検知対象の標的ガスに対し物理的に接触可能であり、
前記第2のコア・シェル粒子が、前記検知対象の標的ガスに対し物理的に接触不可能な状態であることを特徴とする第9項に記載のガス検知装置。
12.前記第1のコア・シェル粒子のシェル部と第2のコア・シェル粒子のシェル部が、それぞれ温度変化に対する屈折率変化の傾きが等しいことを特徴とする第9項又は第10項に記載のガス検知装置。
13.前記第1のコア・シェル粒子のコア部と第2のコア・シェル粒子のコア部が、それぞれ同一材料で形成されていることを特徴とする第12項に記載のガス検知装置。
14.前記第1のコア・シェル粒子のコア部が金属で構成され、第2のコア・シェル粒子のコア部が酸化物半導体で構成されていることを特徴とする第9項から第12項までのいずれか一項に記載のガス検知装置。
15.前記第1のコア・シェル粒子のみが存在する第1の領域と、前記第2のコア・シェル粒子のみが存在する第2の領域を有し、
前記第1の領域の周辺部に、前記第2の領域が存在することを特徴とする第9項から第14項までのいずれか一項に記載のガス検知装置。
16.前記第1のコア・シェル粒子のシェル部と第2のコア・シェル粒子のシェル部の少なくとも一方が、標的ガスの構成分子と選択的に結合する生体触媒又は有機高分子で構成されていることを特徴とする第9項から第15項までのいずれか一項に記載のガス検知装置。
本発明の構成を採用することにより、局在型表面プラズモン粒子がガス等の標的を検知する際に、測定環境の温度変化によるピークシフトを補償し、高い検知精度を有する局在型表面プラズモンセンサーを用いたガス検知方法及び局在型表面プラズモンセンサーを具備したガス検知装置を提供することができる。
局在型表面プラズモンセンサーによるガスの検知方法の一例を示す概略図 基材上にコア・シェル型粒子を配置している局在型表面プラズモンセンサーの構成の一例を示す概略断面図 コア・シェル粒子のシェル部における屈折率とピーク波長の関係の一例を示すグラフ 2種のコア・シェル粒子における温度変化の補償と検知方法の一例を示す模式図 2種のコア・シェル粒子における温度変化の補償と検知方法の他の一例を示す模式図 2種のコア・シェル粒子における温度変化の補償と検知方法の他の一例を示す模式図 2種のコア・シェル粒子における温度変化の補償と検知方法の他の一例を示す模式図
本実施形態のガス検知方法は、照射された電磁波に対して透過、反射又は散乱が可能であり、検知対象の標的ガスに対する相互作用で照射された電磁波の応答スペクトルに変化が生じる局在型表面プラズモンセンサーを用いるガス検知方法であって、前記局在型表面プラズモンセンサーが、少なくとも第1のコア・シェル粒子と第2のコア・シェル粒子の集合体から構成され、前記コア・シェル粒子の少なくとも一方が、金属又は酸化物半導体を含有するコア部と、当該コア部を覆うシェル部とにより構成されるコア・シェル構造の粒子であり、前記第1のコア・シェル粒子は、前記検知対象の標的ガスとの相互作用により屈折率が変化するのに対し、他方の第2のコア・シェル粒子が、前記検知対象の標的ガスとの相互作用が無い又は少ないため、屈折率の変化が無い又は少ないという特性の差異を利用して、前記第1のコア・シェル粒子と第2のコア・シェル粒子の表面プラズモン共鳴による最大光吸収ピーク波長の差分から、検知対象物の有無を判定することを特徴とする。この特徴は、各請求項に共通する又は対応する技術的特徴である。
本発明でいう検知対象の標的ガスとの相互作用が無い又は少ないとは、検知対象の標的ガスと接した際に、最大光吸収ピーク波長のシフト幅Δλが、測定精度に影響しない測定誤差の範囲内であることをいう。
本発明においては、本発明の目的とする効果をより発現できる観点から、局在型表面プラズモンセンサーとして、第1のコア・シェル粒子のシェル部が、前記検知対象の標的ガスに対し化学吸着若しくは物理吸着又はそれら以外の化学反応により屈折率が変化し、一方、前記第2のコア・シェル粒子のシェル部は、前記検知対象の標的ガスを化学吸着若しくは物理吸着が無い又は少ない、又は当該標的ガスと化学吸着以外の化学反応が無い又は少ない構成とすることにより、プラズモンセンサーの構造的な誤差を排除しつつ、知対象物の有無を検知することが可能となる観点から、好ましい形態である。
本発明でいう検知対象の標的ガスを化学吸着若しくは物理吸着が無い又は少ないとは、検知対象の標的ガスと接した際に、屈折率の変化巾が測定に影響を及ぼさない誤差範囲であることをいう。
また、第1のコア・シェル粒子を検知対象の標的ガスに対し物理的に接触可能な状態とし、第2のコア・シェル粒子を検知対象の標的ガスに対し物理的に接触不可能な状態とすることにより、1種類のコア・シェル粒子で、ガス検知が可能となるため、コスト削減及び装置の簡略化が可能となる観点から、好ましい形態である。
また、第1のコア・シェル粒子のシェル部と第2のコア・シェル粒子のシェル部とが、それぞれ温度変化に対する屈折率変化の傾きを等しい設定とすることにより、第1のコア・シェル粒子と第2のコア・シェル粒子との温度変化に対するピークシフト感度を揃えることが可能となり、測定環境における温度変化に対する屈折率変化の影響を排除することができ、高い検知感度を得ることができる。
また、第1のコア・シェル粒子のコア部と第2のコア・シェル粒子のコア部を、それぞれ同一材料で形成する構成とすることが、それぞれのコア・シェル粒子の初期状態における吸収波長ピークが同一となるため、検出するピークの数を減らすことが可能となる点で、好ましい形態である。
また、第1のコア・シェル粒子及び第2のコア・シェル粒子のいずれか一方のコア部が金属で構成され、前記第1のコア・シェル粒子及び第2のコア・シェル粒子の他方のコア部が酸化物半導体で構成されていることが、コアを金属で形成したコア・シェル粒子のピーク波長は可視光領域に出現し、コアを酸化物半導体で形成したコア・シェル粒子のピーク波長は赤外領域に出現するため、どのようなシェル材料を選択しても、これらのピーク波長が重なることがなく、高い検知精度を得ることができる。
また、第1のコア・シェル粒子のみが存在する第1の領域と、前記第2のコア・シェル粒子のみが存在する第2の領域を有し、第1の領域の周辺部に第2の領域が存在する配置とすることにより、人の肉眼でも検知対象物の有無を判別しやすくなる点で好ましい。
一方、本発明のガス検知装置は、上記説明した本発明のガス検知方法を具現化した装置であることを特徴とする。
以下、本発明の実施形態について説明する。ただし、以下で説明する実施形態は、本実施形態の一例を示すものであり、これらに限定されることはない。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
以下、本発明のガス検知方法及びガス検知装置の技術的な特徴点について、一部図を交えてその詳細を説明する。
〔ガス検知方法の概要〕
はじめに、本発明のガス検知方法の概要について、図を交えて説明する。ただし、本発明のガス検知方法は、ここで例示する方法にのみ限定されるものではない。
図1は、実施形態1における局在型表面プラズモンセンサーによるガスの検知方法の一例を示す概略図である。
図1において、1は、ガス(G)によって吸収波長に変化を起こす局在型表面プラズモンセンサーであり、この局在型表面プラズモンセンサー(1)には、第1のコア・シェル粒子と第2のコア・シェル粒子が備わっており、この第1のコア・シェル粒子と第2のコア・シェル粒子間の表面プラズモン共鳴による最大光吸収ピーク波長の差分から、検知対象物(例えば、標的とするガス(G))の有無を判別するものである。
図1に記載のガス検知方法あるいはガス検知装置においては、高い正確性を確保するため、基本構成である局在型表面プラズモンセンサー(1)に加えて、当該局在型表面プラズモンセンサー(1)に、電磁波を照射するための光源(2)と、局在型表面プラズモンセンサーからの透過、反射又は散乱する光の分光情報を検出する検出装置(3)と、検出装置から得られた分光情報から最大光吸収ピーク波長の差分Δλを算出する信号処理部(4)を備えており、信号処理部(4)で最大光吸収ピーク波長の差分Δλを算出し、そのΔλが閾値以上か以下かを解析してガスの発生の有無を判定している。
本発明に係る局在型表面プラズモンセンサーに適用するコア・シェル型の金属ナノ粒子は、金属や酸化物半導体に代表されるプラズモン吸収を起こす材料で構成されたコア部と、コア部の一部又は全面を別の物質でシェル状に被覆してシェル部を形成しているコア・シェル構造のナノ粒子である。コア部の平均粒径としては、特に制限はないが、概ね0.60〜1.50μmの範囲内であることが好ましく、コア・シェル粒子の平均粒径としては、コア部の平均粒径の1.5倍以上であることが好ましい。
本発明においては、このコア部とシェル部との間の屈折率差で発生するプラズモンを利用し、これら2種のコア・シェル型のナノ粒子の集合体を検知対象の標的ガスと反応するマーカー部として用いている。
一般的に、ガス等の特定の気体分子を吸着するシェル部には、タンパク質等の有機高分子等のバイオセンサーが使われる。しかし、このようなバイオセンサーは温度変化によって屈折率が変化するため、2種のコア・シェル粒子間の屈折率差が変化してしまい、検知対象物の標的ガスが吸着/反応していないにも関わらずプラズモンのピークシフトを発生させてしまっている。本発明では、この温度変化によるピークシフトに対し、本発明で規定する以下に記載の各構成を適用することにより、解決するものである。
(実施形態1)
本発明のガス検知方法又はガス検知装置(以下、総称して「ガス検知方法」として説明する。)においては、前述のとおり、照射された電磁波に対して透過、反射又は散乱が可能であり、検知対象の標的ガスに対する相互作用で照射された電磁波の応答スペクトルに変化が生じる局在型表面プラズモンセンサーを用いるガス検知方法であって、前記局在型表面プラズモンセンサーが、少なくとも第1のコア・シェル粒子と第2のコア・シェル粒子の集合体から構成され、記コア・シェル粒子の少なくとも一方が、金属又は酸化物半導体を含有するコア部と、当該コア部を覆うシェル部とにより構成されるコア・シェル構造の粒子であり、前記第1のコア・シェル粒子は、前記検知対象の標的ガスとの相互作用により屈折率が変化するのに対し、他方の第2のコア・シェル粒子が、前記検知対象の標的ガスとの相互作用が無い又は少ないため、屈折率の変化が無い又は少ないという特性の差異を利用して、前記第1のコア・シェル粒子と第2のコア・シェル粒子の表面プラズモン共鳴による最大光吸収ピーク波長の差分から、検知対象物の有無を判定することを特徴とする。
実施形態1で規定する構成を採ることにより、温度変化によるピークシフトの影響をキャンセルすることが可能となる。以下に、詳細な作用について説明する。
検知対象物の標的ガスに対して屈折率が変化する状態のシェルを有する第1のコア・シェル粒子と、屈折率が変化しない状態のシェルを有する第2のコア・シェル粒子を用意する。ここでいう変化しない状態というのは、検知対象物に対して吸着や反応する特性を有していない構成でも良く、検知対象物に対して吸着や反応する特性を有しているが物理的に標的ガスに対して接触できない状態に置かれている構成でも良い。これらの特性を備えた2種のコア・シェル粒子を用意することで、第1のコア・シェル粒子と第2のコア・シェル粒子は、温度変化に対しては共に吸収波長のピークシフトが発生する。一方、検知対象物の標的ガスが存在する場合には、第1のコア・シェル粒子のみがピークシフトを発生し、第2のコア・シェル粒子ではピークシフトが生じない。
このような構成において、初期状態における第1のコア・シェル粒子と第2のコア・シェル粒子との吸収ピークの相対差をΔλとすると、Δλは検知対象物が局在型表面プラズモンセンサーに吸着した場合にはΔλが変動するが、温度変化が起きた場合においてはΔλの変動は発生しない。こうすることで、Δλが時間的に変化したかどうかを検出するだけで検知対象物の有無を判断することができるようになる。すなわち、温度変化の影響をキャンセルした信号情報を得ることが可能となる。
(実施形態2)
本発明のガス検知方法においては、局在型表面プラズモンセンサーを構成する第1のコア・シェル粒子のシェル部が、検知対象の標的ガスに対し化学吸着若しくは物理吸着又はそれら以外の化学反応により屈折率が変化する特性を有する。一方、第2のコア・シェル粒子のシェル部は、前記検知対象の標的ガスを化学吸着若しくは物理吸着しない、又は当該標的ガスと化学吸着以外の化学反応をしない特性を有している構成が好ましい形態(実施形態2)である。
実施形態2で規定する構成をとることにより、局在型表面プラズモンセンサーにおける構造的な誤差を排除するとともに、検知対象物の有無を効率的に検知することが可能となる。
第2のコア・シェル粒子は検知対象物を吸着あるいは反応しないため、例えば、後述の図2の(b)で示すような同じ空間に第1のコア・シェル粒子(P1)と第2のコア・シェル粒子(P2)を配置することが可能となる。そのため、同一光源、同一光路、同一センサーで吸収ピークを観測できるため、前記光源等の個体差の影響を低減することができ、ガス検知精度を高めることができる。
(実施形態3)
本発明のガス検知方法においては、局在型表面プラズモンセンサーを構成する第1のコア・シェル粒子が検知対象の標的ガスに対し物理的に接触可能であり、第2のコア・シェル粒子が検知対象の標的ガスに対し物理的に接触不可能な状態である構成が好ましい形態(実施形態3)である。
実施形態3で規定する構成をとることにより、1種類のコア・シェル粒子で対応できるようになるため、コスト削減が可能となる。第1のコア・シェル粒子と第2のコア・シェル粒子が同一の材料で構成されていたとしても、検知対象物と物理的に接触できるのが第1のコア・シェル粒子のみとなるため、第1のコア・シェル粒子と第2のコア・シェル粒子の表面プラズモン共鳴による最大光吸収ピーク波長の差分から、検知対象物の有無を判定することが可能となる。
(実施形態4)
本発明のガス検知方法においては、局在型表面プラズモンセンサーを構成する第1のコア・シェル粒子のシェル部と第2のコア・シェル粒子のシェル部の温度変化に対する屈折率変化の傾きを等しい設計とすることが好ましい形態(実施形態4)である。
実施形態4で規定する構成をとることにより、第1のコア・シェル粒子と第2のコア・シェル粒子の温度変化に対するピークシフト感度を揃えることが可能となる。
プラズモンによる吸収ピーク波長のシフト量は、屈折率差Δnに対して1次の相関関係にある。すなわち、第1のコア・シェル粒子と第2のコア・シェル粒子のシェル部に関して、温度変化に対する屈折率変化の感度を揃えることにより、温度変化に対する吸収ピーク波長シフトの感度も同値にすることができ、その結果、温度変化による影響を完全に排除することが可能となる。
(実施形態5)
本発明のガス検知方法においては、局在型表面プラズモンセンサーを構成する第1のコア・シェル粒子のコア部と第2のコア・シェル粒子のコア部が、それぞれ同一材料で形成することが、それぞれのコア・シェル粒子の初期状態における吸収波長ピークを同一にすることができ、検出するピークの数を減らすことが可能になる点で、好ましい形態(実施形態5)である。
実施形態5で規定する構成をとることにより、第1のコア・シェル粒子と第2のコア・シェル粒子のそれぞれのコア部を構成する材料を同一にし、かつシェル部の屈折率を揃えることにより、プラズモンの吸収ピーク波長が同一になる。この状態で温度変化を与えると、第1のコア・シェル粒子と第2のコア・シェル粒子の吸収ピークが重なったままピークがシフトする。そして、検知対象物を検知した場合、第1のコア・シェル粒子のピークのみがシフトするためにピークが増える。この増えたピークを検知することで検知対象物の有無を判別することができる。
(実施形態6)
本発明のガス検知方法においては、局在型表面プラズモンセンサーを構成する第1のコア・シェル粒子及び第2のコア・シェル粒子のいずれか一方のコア部が金属で構成され、前記第1のコア・シェル粒子及び第2のコア・シェル粒子の他方のコア部が酸化物半導体とする構成とすることにより、コア部に金属を有するコア・シェル粒子のピーク波長1は可視光領域に発現し、コア部に酸化物半導体有するコア・シェル粒子のピーク波長2は赤外領域に発現する、それぞれの粒子でどのようなシェル材料を選択してもこれらのピーク波長が重なることがなくなる。その結果、シェル部の材料選択性が増え、設計の自由度が向上する点で好ましい。
各コア部の具体的な構成材料の詳細については、後述する。
(実施形態7)
本発明のガス検知方法においては、第1のコア・シェル粒子のみが存在する第1の領域と、第2のコア・シェル粒子のみが存在する第2の領域をそれぞれ独立して設け、第1の領域の周辺部に、第2の領域を配置する構成とすることにより、人の肉眼でも検知対象物の有無を判別しやすくなり、好ましい形態(実施形態7)である。
従来、人間の肉眼による検知手段としては、検知対象物が第1のコア・シェル粒子に反応、吸着、付着あるいは物理的に接触した際の色の変化(色差)を利用する方法がある。例えば、通常のセンサー構成を例に挙げると、検知対象物が無い場合、ナノ粒子が存在する領域とその周辺部との色差はほぼ0である。一方、検知対象物がある場合は、ナノ粒子が存在する領域の吸収スペクトルが変化するため、ナノ粒子が存在する領域と周辺部との間で色差が生じる。この色差の有無を検知することにより、人間は検知対象物の有無を認識することが可能となる。しかし、温度変化が起きてしまうと、その温度変化によりナノ粒子が存在する領域のスペクトルが変化してしまう。その結果、検知対象物がないのにナノ粒子が存在する領域と周辺部との間で色差が生じてしまうことになる。
実施形態7で規定する方法では、そのような人の肉眼で検知対象物の有無を検出するための課題を解決するための構成となっている。すなわち、第1のコア・シェル粒子のみを具備した第1の領域の周辺部に、第2のコア・シェル粒子のみを具備した第2の領域を配置することで、温度変化が生じても第1の領域と第2の領域との間で色差が発生しないような仕組みになっている。このような構成を取ることで、検知対象物が付着した場合のみ、色差が生じるようになり、結果として誤認識を抑制することが可能となる。
次いで、本発明のガスの検知方法に適用する局在型表面プラズモンセンサーの基本的な構成について、一部、図を交えて説明する。
〔局在型表面プラズモンセンサーの基本構成〕
図2は、本発明のガス検知方法で適用する、基材上にコア・シェル型粒子を配置している局在型表面プラズモンセンサーの構成の一例を示す概略断面図である。
図2の(a)に示す局在型表面プラズモンセンサーの構成は、第1のコア・シェル粒子と第2のコア・シェル粒子をそれぞれ独立した形態で配置した例を示してある。
a−1では、例えば、第1のコア・シェル粒子(P1)のみを基材(13A)上に配置してある。第1のコア・シェル粒子(P1)は、コア部(11A)と、コア部(11A)の一部又は全面を被覆する形態でシェル部(12A)が形成されている。この第1のコア・シェル粒子(P1)は、検知対象の標的ガスに作用することにより屈折率が変化する特性を備えている。
一方、a−2には、例えば、第2のコア・シェル粒子(P2)のみを基材(13B)上に配置してある。第2のコア・シェル粒子(P2)は、コア部(11B)と、コア部(11B)の一部又は全面を被覆する形態でシェル部(12B)が形成されている。この第2のコア・シェル粒子(P2)は、検知対象の標的ガスに作用しない特性を備えている。
このような第1のコア・シェル粒子と第2のコア・シェル粒子をそれぞれ独立した形態で配置した局在型表面プラズモンセンサーは、後述の図7に示すような第1のコア・シェル粒子のみが存在する第1の領域と、第2のコア・シェル粒子のみが存在する第2の領域を有する構成に適用することができる。
これに対し、図2の(b)に示す構成の局在型表面プラズモンセンサーの構成では、単一の基材(13)の同一平面上に、第1のコア・シェル粒子(P1)と第2のコア・シェル粒子(P2)が共存している構成を示してある。
(基材)
平面状の基材(13)としては、可視光から赤外領域に透明で高屈折率であることが好ましい。基材の屈折率は、1.30〜4の範囲内であることが好ましい。より好ましくは1.40〜3である。例えば、ガラス、樹脂が好ましく用いられる。
樹脂基材としては、従来公知の種々の樹脂フィルムを用いることができる。例えば、セルロースエステル系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリアリレート系フィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)系フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、セルロースジアセテートフィルム、セルローストリアセテートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム、ポリカーボネートフィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、アクリルフィルム等を挙げることができる。そのほかには、シリコンでもよいし、光ファイバーの先端のように、基材(13)側から光を照射する構成としてもよい。
(コア部)
本発明に係るコア・シェル粒子のコア部を構成する材料としては、コア・シェル粒子の少なくとも一つが、金属又は酸化物半導体より構成されていることを特徴とする。更に、好ましくは、第1のコア・シェル粒子のコア部が金属で構成され、第2のコア・シェル粒子のコア部が酸化物半導体で構成されている構成が好ましい。
〈金属〉
本発明のガス検知方法においては、コア部を構成する材料として金属を適用することが、プラズモン共鳴周波数のピークを可視光領域に発現させることができる観点から好ましい。
本発明に係るプラズモンの共鳴周波数ωは、下式(1)により求めることができる。
式(1)
ω=(ne/εm)1/2
式(1)において、nは電子密度、eは電子の電荷、εは誘電率、mは有効質量を表す。
一般的な金属の場合、紫外〜可視光領域にかけてこの共鳴周波数を持つ。第1のコア・シェル粒子のコア部の構成材料として金属を使用したとき、この共鳴周波数よりも長波長領域において粒径を設定することで色味変化を大きくすることが可能となる。
本発明のガス検知方法においては、コアブの形成に適用可態な金属の具体的な物質として、少なくとも金又は銀を含む金属体であることが好ましい。
金及び銀は、可視光領域にプラズモン共鳴周波数を持つ代表的な物質であり、物質として安定しているため経時変化などの変質が起きにくい。また材料的にも安定供給できるため、ナノ粒子でプラズモンを起こす材料として適している。
本発明でいう少なくとも金又は銀を含む金属体とは、金単体、銀単体の他に、金と銀との合金、あるいは、金又は銀を主成分とし、他の金属との合金を挙げることができるが、好ましくは、金単体、銀単体、及び金と銀との合金である。本発明でいう「主成分」とは、金属体を構成する金又は銀の組成比率が60質量%以上であることを意味し、好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。
〈酸化物半導体〉
本発明のガス検知方法においては、コア部を構成する材料として酸化物半導体を適用することが、プラズモン共鳴周波数のピークを赤外領域に発現させることができる観点から好ましい。
上記式(1)に関連して、酸化物半導体の電子移動度は、およそ1×1018〜1×1021cm−3の範囲内であり、近赤外から赤外域にかけてのプラズモン共鳴波長制御が可能である。これは、物性の制御が不可能な金属に対して、電子移動度という制御パラメーターを余計に持つ半導体の特長といえる。赤外領域でプラズモンの共鳴波長の制御が可能な酸化物半導体を使用することにより、色味変化に対する最適設計が可能となる。
コア部の形成に適用可能な酸化物半導体としては、例えば、TiO、ITO(インジウム・スズ酸化物)、ZnO、Nb、ZrO、CeO、Ta、Ti、Ti、Ti、TiO、SnO、LaTi、(インジウム・亜鉛酸化物)、AZO(アルミニウム・亜鉛酸化物)、GZO(ガリウム・亜鉛酸化物)、ATO(アンチモン・スズ酸化物)、ICO(インジウム・セリウム酸化物)、Bi、a−GIO、Ga、GeO、SiO、Al、HfO、SiO、MgO、Y、WO、a−GIO(ガリウム・インジウム酸化物)等が挙げられる。
(シェル部)
本発明に係るコア・シェル粒子のシェル部を構成する材料としては、標的ガス構成分子と選択的に結合する生体触媒又は有機高分子で構成されていることが好ましい。更には、従来公知の生理活性物質やバイオセンサー等を挙げることができる。
標的ガス構成分子と選択的に結合する生体触媒又は有機高分子によりシェルを形成することで、有機物に対する選択反応性を持たせることができ、検知対象物以外にノイズとなる気体分子が存在する場合に、測定感度を向上させることができる。有機物の選択反応性は、生体内の酵素や細胞の受容体のように特定の分子量や結合部、構造に対して捕捉するものである。特に、人の呼気のように様々なVOCが混在し、かつその濃度が低い領域で用いる場合に効果を発揮する。
本発明に係る生体触媒(バイオセンサー)に関しては、例えば、特表2002−515980号公報、特開2009−145322号公報、特開2010−066135号公報、2010−286466号公報、特開2015−063535号公報に開示されている構成や方法を適用することができる。
また、生理活性物質としては、測定対象物と相互作用するものであれば特に限定されず、例えば、免疫蛋白質、酵素、微生物、核酸、低分子有機化合物、非免疫蛋白質、免疫グロブリン結合性蛋白質、糖結合性蛋白質、糖を認識する糖鎖、脂肪酸もしくは脂肪酸エステル、あるいはリガンド結合能を有するポリペプチドもしくはオリゴペプチドなどが挙げられる。
一例としては、検知対象の標的ガスがホルムアルデヒド(以下、FAと略記する。)では、タンパク質である酵素の中には、FAと酸化型ニコチンアミドアデニンヌクレオチド(略称:NAD)を認識して、ギ酸と還元型のNADHを生成するホルムアルデヒド脱水素酵素がある。反応生成物であるNADHは波長340nmの紫外線に対し蛍光特性を有するため、その蛍光強度を測定することでFAの定量が可能となる。
また、有機高分子としては、シグマアルドリッチジャパンよりサンプルとして提供されている分子鋳型ポリマー(SupeIMIP)も挙げることができる。分子鋳型ポリマーは、対象化合物を選択的に認識することができる分子認識ポリマーであり、高度に架橋され、その表面がターゲット化合物(標的ガス)の立体構造や類似の立体構造のグループを高い選択性で認識することができる機能を有している。
また、その他の形態として、ガスクロミック金属を含有させることもできる。
例えば、シェル部の構成材料として酸化タングステンを用いることで、水素ガスに対する選択反応性を持たせることができる上、ガスクロミック反応による透過率の変化でも明度変化が発現するため、色味の変化としては屈折率の変化による色変化だけよりも大きな変化を得ることができ、ガス検知精度を高めることができる。
ガスクロミックとは、ガス(水素ガス等)の出入りにより光学特性が可逆的に変化する特性をいう。例えば、La,Yなどの希土類金属、Mg及び他の金属との合金、Pd、Pt、又はTi、V、Zr、Ni、Al、Co、Mn、Cu、Fe、Cr、Ca、In、Sn、Si、Geなどの金属や、WO、MoO、Nbなどの遷移金属の酸化物又はその混合物、すなわち、水素ガスの出入りによって材料の光学特性が可逆的に変化を示すガスクロミック材料が使用される。
〈コア・シェル粒子の調製方法〉
本発明に係るコア・シェル粒子は、本発明で規定する構成のコア・シェル型粒子を得ることができる範囲で、従来公知の調製方法により適宜選択して調製することができる。
一例として、コア部が酸化物半導体である酸化亜鉛で構成されているコア・シェル型粒子の調製方法を示す。
1)はじめに、原料液調製工程で、コア部を形成する亜鉛水溶液と、尿素類水溶液、その他の添加剤を含む水溶液を調製する。
2)亜鉛系化合物前駆体粒子(コア粒子)を形成する工程で、上記各水溶液を混合して、一定の温度、時間で撹拌しながら、種粒子に生成、及び種粒子を成長させて、コア粒子である)亜鉛系化合物前駆体粒子を形成する。
3)シェル部の形成として、コア粒子を含む水溶液に、シェル形成用材料、例えば、標的ガス構成分子と選択的に結合する有機高分子を含む水溶液を添加して、コア粒子の表面を被覆してシェル部を形成する。
4)固液分離工程で、上記調製した亜鉛系化合物前駆体粒子(コア粒子)を水溶液から固液分離する。
5)次いで、分離した亜鉛系化合物前駆体粒子(コア粒子)を所定の温度及び時間で、焼成処理を施して、球状のコア・シェル構造を有する粒子を調製する。
《局在型表面プラズモンセンサーによる標的ガス検知方法》
次いで、本発明に係る第1のコア・シェル粒子と第2のコア・シェル粒子の集合体から構成されている局在型表面プラズモンセンサーを用いた具体的なガス検知方法について、図を交えて説明する。
〔シェル部の屈折率と共鳴波長ピークの関係〕
具体例による説明の前に、シェル部の屈折率と共鳴波長ピークの関係について説明する。
図3は、コア・シェル粒子におけるシェル材料の屈折率とプラズモン共鳴で発生する最大光吸収ピーク波長(以下、単に「吸収波長ピーク」ともいう。)の関係を示すグラフであり、シェル部構成する材料の屈折率を横軸に、コア・シェル粒子の最大光吸収ピーク波長を縦軸にプロットした図である。図3で示すように、最大光吸収ピーク波長は、シェル部を構成する材料の屈折率と一次相関関係を有していることが分かる。すなわち、この最大光吸収ピーク波長の変化量Δλを求めることにより、検知対象物の有無を求めることができる。図3に示す例では、コア・シェル粒子の条件として、コアの材料:Au、コア部の粒径:5nm、コア・シェル粒子の粒径:20nmで確認した例を示してある。
次いで、具体的なガス検知方法について説明する。
〔ガス検知方法:事例1〕
図4は、2種のコア・シェル粒子における温度変化の補償と検知方法の一例を示す模式図で、詳しくは、図4は、局在型表面プラズモンセンサーを構成する第1のコア・シェル粒子のシェル部と第2のコア・シェル粒子のシェル部との屈折率変化の傾きを等しい設計とした実施形態4の具体的な波長シフトについて説明する図である。
図4に例示する吸収スペクトル(図4の(a)〜(c))では、検知対象の標的ガスに作用することにより屈折率が変化する第1のコア・シェル粒子による吸収波長ピークλ1、検知対象の標的ガスに作用しない第2のコア・シェル粒子による吸収波長ピークλ2の二つのピークが発生していることを示している。実施形態4の構成においては、これらの吸収波長ピークのそれぞれのピーク波長差Δxを求めることで、検知対象の有無を判別している。
図4では、各コア・シェル粒子の吸収波長ピークのシフトの様子を、ガス検知時の下記のような3パターンについて例示してある。
図4の(a)で示すパターンAは、温度変化がなく、かつ検知対象もない、初期の状態における第1のコア・シェル粒子と第2のコア・シェル粒子の各吸収波長ピークを示している。
図4の(b)で示すパターンBは、温度変化はあるが、検知対象が存在していない状態における第1のコア・シェル粒子と第2のコア・シェル粒子の各吸収波長ピークを示している。
図4の(c)で示すパターンCでは、温度変化があり、かつ検知対象が存在している状態における第1のコア・シェル粒子と第2のコア・シェル粒子の各吸収波長ピークを示している。
図4の(b)に記載のパターンBでは、温度変化のみが生じたケースであり、第1のコア・シェル粒子のシェル部と第2のコア・シェル粒子のシェル部の温度変化に対する吸収波長ピーク幅巾は同一となるように設計してあるため、2つのコア・シェル粒子の温度変化後の吸収波長ピーク(実線で表示)は、温度変化を受ける前の吸収波長ピーク(破線で表示)に対し、それぞれ第1のコア・シェル粒子の波長シフト量Δλ1Bと第2のコア・シェル粒子の波長シフト量Δλ2Bは、同じ量だけ波長シフトする。すなわち、Δλ1B=Δλ2Bの関係となる。その結果、温度変化が生じても2つのコア・シェル粒子のピーク波長差には変化が生じない。すなわち、図4の(a)で示すピーク波長差ΔxAと、図4の(b)で示すピーク波長差ΔxBは、等しい値となる。
それに対し、図4の(c)で示すパターンC(温度変化:あり、検知対象:あり)の場合には、2つのコア・シェル粒子において、吸収波長ピークの波長シフト量の違いが生じる。すなわち、検知対象の標的ガスに作用することにより屈折率が変化する特性を有する第1のコア・シェル粒子による吸収波長ピークの波長シフト量Δλ1Cは、第2のコア・シェル粒子による吸収波長ピークの波長シフト量Δλ2Cに対し大きな値となる。すなわち、ピーク波長差ΔxA=ピーク波長差ΔxB>ピーク波長差ΔxCとなる。
以上のようにして、温度変化の影響を排除することにより、検知対象である標的ガスの有無を高い精度で判定することができる。
〔ガス検知方法:事例2〕
図5に示す事例2は、2種のコア・シェル粒子における温度変化の補償と検知方法の他の一例を示す模式図で、詳しくは、第1のコア・シェル粒子のコア部と第2のコア・シェル粒子のコア部を同一の材料で2つのコア・シェル粒子を具備した局在型表面プラズモンセンサーを用いた検知方法(実施形態5)について説明する図である。
実施形態5で規定する構成による検知方法では、初期状態(図5の(a)で示すパターンA)においては、2つのコア・シェル粒子のコア部は同一の材料で形成されているため、吸収スペクトル波形は同一となり、同様にピーク波長も同一となる。
次いで、測定環境の温度のみが変化するパターンB(図5の(b))の場合でも、第1のコア・シェル粒子と第2のコア・シェル粒子は、同一の量(波長シフト巾X)だけシフトするため、吸収スペクトルパターンは同一のままである。
それに対し、パターンC(図5の(c))のように、標的ガスである検知対象物が発生した場合、検知対象の標的ガスに作用することにより屈折率が変化する特性を有する第1のコア・シェル粒子によるシフト量(波長シフト巾Z)と、検知対象の標的ガスに作用しない第2のコア・シェル粒子によるシフト量(波長シフト巾Y)とで、シフト量に差異が生じ、第1のコア・シェル粒子によるシフト量(波長シフト巾Z)が大きな値となる。その結果、ピーク波長巾の拡大を検出することにより、検知対象物の有無を判定することができる。
〔ガス検知方法:事例3〕
図6に示す事例3は、2種のコア・シェル粒子における温度変化の補償と検知方法の他の一例を示す模式図で、詳しくは、第1のコア・シェル粒子のコア部が金属で構成され、第2のコア・シェル粒子のコア部が酸化物半導体で構成されている2つのコア・シェル粒子を具備した局在型表面プラズモンセンサーを用いた検知方法(実施形態6)について説明する図である。
実施形態6で規定する構成とすることにより、2つのコア・シェル粒子による吸収波長ピークが、可視光領域と赤外領域のそれぞれ離れた2つの領域に存在させることができる。この場合、コア部に金属を適用することにより、可視光領域に吸収波長ピークを形成することができ、コア部に酸化物半導体を適用することにより、赤外領域に吸収波長ピークを形成することができる。このような構成とすることにより、2つのコア・シェル粒子のシェル部を構成する材料による吸収波形の重なりを考慮する必要がないため、コア・シェル粒子を形成する材料の自由度が高くなる。
図6で示す構成においては、検知対象の標的ガスに作用することにより屈折率が変化する特性を備えた第1のコア・シェル粒子を、いずれか一方の粒子として選択することができる。
〔ガス検知方法:事例4〕
図7に示す事例4は、2種のコア・シェル粒子における温度変化の補償と検知方法の他の一例を示す模式図で、詳しくは、第1のコア・シェル粒子のみが存在する第1の領域と、前記第2のコア・シェル粒子のみが存在する第2の領域を有し、第1の領域の周辺部に、第2の領域が存在する構成とした局在型表面プラズモンセンサーパネルを示す図である。
図7に示す局在型表面プラズモンセンサーパネル(1P)においては、第1の領域(1A)は、温度変化及び検知対象物の有無の両方の因子でスペクトルが変化する領域であり、本発明に係る検知対象の標的ガスに作用することにより屈折率が変化する特性を備えた第1のコア・シェル粒子が存在している領域(例えば、図2のa−1で示す構成)であり、第2の領域(1B)は、温度変化のみでスペクトルが変化し、検知対象物の有無によりスペクトルが変化しない領域(例えば、図2のa−2で示す構成)で、検知対象の標的ガスに作用しない第2のコア・シェル粒子が存在している領域である。この2つの領域を隣接して配置することにより、温度変化が生じても第1の領域と第2の領域との間で色差が発生しないために温度変化による誤検知の可能性は低減できる。また、第1の領域と第2の領域の他に、図7で示すように、温度変化及び検知対象物の有無のどちらの因子に対してもスペクトル変化を生じない基準部材(1C)を他の領域に設けることにより、基準部材(1C)と、検知対象の標的ガスにより屈折率が変化する第2の領域との間のスペクトルまたは色差を判別することで、温度変化量を定量化することも可能となる。
本発明のガス検知装置においても、上記説明したガス検知方法を適用することにより、同様の効果を得ることができる。
本発明のガス検知方法及びガス検知装置は、局在型表面プラズモン粒子が検知対象の標的ガスを検知した際に、測定環境の温度変化によるピークシフトを補償し、高い検出精度を有する局在型表面プラズモンセンサーを用いたガス検知方法及びガス検知装置であり、様々な検知対象の標的ガス、例えば、水素ガスやホルマリンガス等の漏えいや高濃度雰囲気を速やかに検知し、迅速な処置を取りことができ、各種ガス等を使用している作業環境の安全性を、確保することができる。
1、1A、1B 局在型表面プラズモンセンサー
1C 基準部材
1P 局在型表面プラズモンセンサーパネル
2 光源
3 検出装置
4 信号処理部
11A、11B コア部
12A、12B シェル部
13、13A、13B 基材
G ガス
P1、P2 コア・シェル型粒子

Claims (16)

  1. 照射された電磁波に対して透過、反射又は散乱が可能であり、検知対象の標的ガスに対する相互作用で照射された電磁波の応答スペクトルに変化が生じる局在型表面プラズモンセンサーを用いるガス検知方法であって、
    前記局在型表面プラズモンセンサーが、少なくとも第1のコア・シェル粒子と第2のコア・シェル粒子の集合体から構成され、
    前記コア・シェル粒子の少なくとも一方が、金属又は酸化物半導体を含有するコア部と、当該コア部を覆うシェル部とにより構成されるコア・シェル構造の粒子であり、
    前記第1のコア・シェル粒子は、前記検知対象の標的ガスとの相互作用により屈折率が変化するのに対し、他方の第2のコア・シェル粒子が、前記検知対象の標的ガスとの相互作用が無い又は少ないため、屈折率の変化が無い又は少ないという特性の差異を利用して、
    前記第1のコア・シェル粒子と第2のコア・シェル粒子の表面プラズモン共鳴による最大光吸収ピーク波長の差分から、検知対象物の有無を判定することを特徴とするガス検知方法。
  2. 前記第1のコア・シェル粒子のシェル部が、前記検知対象の標的ガスに対し化学吸着若しくは物理吸着又はそれら以外の化学反応により屈折率が変化し、
    一方、前記第2のコア・シェル粒子のシェル部は、前記検知対象の標的ガスを化学吸着若しくは物理吸着が無い又は少ない、又は当該標的ガスと化学吸着以外の化学反応が無い又は少ないことを特徴とする請求項1に記載のガス検知方法。
  3. 前記第1のコア・シェル粒子が、前記検知対象の標的ガスに対し物理的に接触可能であり、
    前記第2のコア・シェル粒子が、前記検知対象の標的ガスに対し物理的に接触不可能な状態であることを特徴とする請求項1に記載のガス検知方法。
  4. 前記第1のコア・シェル粒子のシェル部と第2のコア・シェル粒子のシェル部が、それぞれ温度変化に対する屈折率変化の傾きが等しいことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のガス検知方法。
  5. 前記第1のコア・シェル粒子のコア部と第2のコア・シェル粒子のコア部が、それぞれ同一材料で形成されていることを特徴とする請求項4に記載のガス検知方法。
  6. 前記第1のコア・シェル粒子及び第2のコア・シェル粒子のいずれか一方のコア部が金属で構成され、前記第1のコア・シェル粒子及び第2のコア・シェル粒子の他方のコア部が酸化物半導体で構成されていることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のガス検知方法。
  7. 前記第1のコア・シェル粒子のみが存在する第1の領域と、前記第2のコア・シェル粒子のみが存在する第2の領域を有し、
    前記第1の領域の周辺部に、前記第2の領域が存在することを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載のガス検知方法。
  8. 前記第1のコア・シェル粒子のシェル部と第2のコア・シェル粒子のシェル部の少なくとも一方が、標的ガスの構成分子と選択的に結合する生体触媒又は有機高分子で構成されていることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載のガス検知方法。
  9. 照射された電磁波に対して透過、反射又は散乱が可能であり、検知対象の標的ガスに対する相互作用で照射された電磁波の応答スペクトルに変化が生じる局在型表面プラズモンセンサーを具備したガス検知装置であって、
    前記局在型表面プラズモンセンサーが、少なくとも第1のコア・シェル粒子と第2のコア・シェル粒子の集合体から構成され、
    前記コア・シェル粒子の少なくとも一方が、金属又は酸化物半導体を含有するコア部と、当該コア部を覆うシェル部とにより構成されるコア・シェル構造の粒子であり、
    前記第1のコア・シェル粒子は、前記検知対象の標的ガスとの相互作用により屈折率が変化するのに対し、他方の第2のコア・シェル粒子が、前記検知対象の標的ガスとの相互作用が無い又は少ないため、屈折率の変化が無い又は少ないという特性の差異を利用して、
    前記第1のコア・シェル粒子と第2のコア・シェル粒子の表面プラズモン共鳴による最大光吸収ピーク波長の差分から、検知対象物の有無を判定する機能を有することを特徴とするガス検知装置。
  10. 前記第1のコア・シェル粒子のシェル部が、前記検知対象の標的ガスに対し化学吸着若しくは物理吸着又はそれら以外の化学反応により屈折率が変化し、
    一方、前記第2のコア・シェル粒子のシェル部は、前記検知対象の標的ガスを化学吸着若しくは物理吸着が無い又は少ない、又は当該標的ガスと化学吸着以外の化学反応が無い又は少ないことを特徴とする請求項9に記載のガス検知装置。
  11. 前記第1のコア・シェル粒子が、前記検知対象の標的ガスに対し物理的に接触可能であり、
    前記第2のコア・シェル粒子が、前記検知対象の標的ガスに対し物理的に接触不可能な状態であることを特徴とする請求項9に記載のガス検知装置。
  12. 前記第1のコア・シェル粒子のシェル部と第2のコア・シェル粒子のシェル部が、それぞれ温度変化に対する屈折率変化の傾きが等しいことを特徴とする請求項9又は請求項10に記載のガス検知装置。
  13. 前記第1のコア・シェル粒子のコア部と第2のコア・シェル粒子のコア部が、それぞれ同一材料で形成されていることを特徴とする請求項12に記載のガス検知装置。
  14. 前記第1のコア・シェル粒子のコア部が金属で構成され、第2のコア・シェル粒子のコア部が酸化物半導体で構成されていることを特徴とする請求項9から請求項12までのいずれか一項に記載のガス検知装置。
  15. 前記第1のコア・シェル粒子のみが存在する第1の領域と、前記第2のコア・シェル粒子のみが存在する第2の領域を有し、
    前記第1の領域の周辺部に、前記第2の領域が存在することを特徴とする請求項9から請求項14までのいずれか一項に記載のガス検知装置。
  16. 前記第1のコア・シェル粒子のシェル部と第2のコア・シェル粒子のシェル部の少なくとも一方が、標的ガスの構成分子と選択的に結合する生体触媒又は有機高分子で構成されていることを特徴とする請求項9から請求項15までのいずれか一項に記載のガス検知装置。
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