JP2017148696A - ガス分離膜、ガス分離モジュール及びガス分離装置 - Google Patents

ガス分離膜、ガス分離モジュール及びガス分離装置 Download PDF

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Abstract

【課題】所定のガスの分離選択性に優れるとともに、極めて高い耐熱性及び熱安定性を有するガス分離膜を提供すること。また、このようなガス分離膜を備えるガス分離モジュール及びガス分離装置を提供すること。【解決手段】シロキサン化合物を含むガス分離層を有するガス分離膜であって、該シロキサン化合物は、シロキサン結合と、第1級アミノ基及び/又は第2級アミノ基とを含む特定構造を有する、ガス分離膜。【選択図】なし

Description

本発明は、ガス分離膜、ガス分離モジュール及びガス分離装置に関する。
電力供給の安定性を確保するためには多様なエネルギー源の確保によるベストミックスが課題であり、中でも、火力発電に用いる天然ガス・石油・石炭等の化石資源のより廉価で安定的な確保とその高効率利用が極めて重要である。特に天然ガスに関しては、炭酸ガス濃度が高いために開発が進んでいない天然ガス田が世界中に点在しており、炭酸ガスの効率的な分離技術及び回収した炭酸ガスの貯留技術等の開発が求められている。また、天然ガスやLPG等からの改質による水素生成において炭酸ガスを効率的に分離することができれば、燃料電池自動車や水素インフラ等の実現に向けた水素エネルギーの安定かつ安価な供給に資する。更に、石炭・石油残渣をガス化し炭酸ガスを効率的に分離できれば、IGCC(ガス化複合発電)の発電効率向上ともに炭酸ガスの大気放出抑制を達成でき、環境負荷のない水素エネルギーとして利用することが可能になる。これらの観点からも、炭酸ガスの効率的な分離技術が切望されている。
従来のガス混合物からの炭酸ガス分離技術としては、湿式化学吸収法、湿式物理吸収法、吸着法、膜分離法、深冷分離法等の多様な技術が20世紀に開発されており、使用条件の制約を受けながらも多くの採用例がある。中でも、膜分離法は、根本的に化学反応を伴わないためにランニングコストが非常に低く、膜分離性能が向上すれば1段階の分離膜処理で炭酸ガス濃度を実用レベルにまで低減できる点で、設備コストの低減が期待される。そのため、膜分離法は近年注目されている。
膜分離法では、従来、酢酸セルロース膜やポリイミド膜等の高分子分離膜の他、ゼオライト膜が採用されてきたが、高分子分離膜では選択率(分離選択性)が不充分であり、ゼオライト膜では膜作製方法が確立されておらず工業化が難しい。このような観点から新たな膜技術が求められており、特許文献1〜5に記載の技術が既に提案されている。
特開2012−187452号公報 特開2013−188742号公報 特開2005−46668号公報 特表2009−523592号公報 国際公開第2013/111732号パンフレット
上述のとおり炭酸ガス分離技術として新たな膜技術が求められている。
ところで、IGCC等にガス分離膜を適用する場合、通常は、ガス分離膜の熱劣化を防止すべく、分離モジュール等に送る前にガス混合物の降温処理が行われている。耐熱性が高く熱安定性に優れる材料でガス分離膜を構成できればこの降温処理を省略又は簡略化でき、設備のコンパクト化や設備コストの低減に資するものの、特許文献1〜5等に記載されているような従来の膜材料では耐熱性や熱安定性が充分でないため、この点で課題があった。
また、特許文献1に記載のガス分離膜は製膜性が不充分なため、スパイラル状等の種々の形状に変形してモジュールを作製することが難しく、原料の入手の観点から工業的に生産することも困難である。特許文献2には、比較用のガス分離複合膜として、オリゴマーシルセスキオキサンを側鎖に有する6FDポリイミド複合膜c17が開示されているが、炭酸ガスの分離選択性が不充分である他、フッ素原子を含むために高コストで、しかも廃棄時に産廃となり得ることから、コスト面や環境面でも課題がある。特許文献3〜5に記載の膜材料についても、炭酸ガスの分離選択性や生産の容易性、分離の効率性等の点でも課題があった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、炭酸ガス等の所定のガスの分離選択性に優れるとともに、極めて高い耐熱性及び熱安定性を有するガス分離膜を提供することを目的とする。また、このようなガス分離膜を備えるガス分離モジュール及びガス分離装置を提供することも目的とする。
本発明者は、炭酸ガス等の分離選択性に優れる膜材料について検討するうち、シロキサン結合と、第1級アミノ基及び/又は第2級アミノ基とを含む特定構造を有するシロキサン化合物が、炭酸ガス等の所定のガスの分離選択性に優れると同時に、高強度で製膜性が良好で、しかも耐熱性及び熱安定性が非常に高いことも見いだした。このようなシロキサン化合物では、シロキサン結合を中心とする主骨格により分子篩効果が発揮されるとともに、第1級アミノ基や第2級アミノ基により炭酸ガス等の酸性ガスの拡散速度が低下し、これらの相乗効果によって炭酸ガス等の酸性ガスのガス分離性能に優れるとともに、高レベルの耐熱性及び熱安定性を発揮できるものと考えられる。また、このシロキサン化合物を用いたガス分離膜は、工業的に容易に生産可能であるうえ、ガス分離膜の長寿命化を達成できるとともに、高温下でも長時間連続的に安定してガス分離を行うことが可能になるため、近年のガス分離技術に非常に有用なものであることも見いだした。このようにして上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、シロキサン化合物を含むガス分離層を有するガス分離膜であって、
該シロキサン化合物は、シロキサン結合を有し、かつ下記平均組成式(1):
SiO (1)
(式中、Xは、同一又は異なって、第1級アミノ基及び/又は第2級アミノ基を含む有機基を表す。Yは、同一又は異なって、水素原子、水酸基、ハロゲン原子及びOR基からなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。Rは、同一又は異なって、アルキル基、アシル基、アリール基及び不飽和脂肪族残基からなる群より選択される少なくとも1種の基を表し、置換基を有していてもよい。aは0でない3以下の数であり、bは0又は3未満の数であり、cは0でない2未満の数であり、a+b+2c=4である。)で表される、ガス分離膜である。
上記ガス分離膜は、更に、ガス透過性支持体を有することが好ましい。これにより、強度が更に向上し、膜表面積拡大のためにスパイラル状等の形状に変形してモジュールを作製することがより容易となる。
上記ガス分離層は、更に、有機樹脂を含むことが好ましい。これにより、ガス分離膜をより容易に作製することが可能になる。
本発明はまた、上記ガス分離膜を備えるガス分離モジュール、及び、上記ガス分離膜を備えるガス分離装置でもある。
本発明のガス分離膜は、炭酸ガス等の酸性ガスの分離選択性に優れるとともに、高強度で製膜性が良好で、工業的に容易に生産可能なものである。しかも極めて高い耐熱性及び熱安定性を有するため、このガス分離膜を用いれば、高温下でも長時間連続的に安定してガス分離を行うことができる。それゆえ、本発明のガス分離膜を備えるガス分離モジュール及びガス分離装置は、長寿命で、天然ガスからの炭酸ガスの効率的な分離技術及び回収した炭酸ガスの貯留技術に極めて有用である他、燃料電池自動車や水素インフラ、環境負荷のない水素エネルギー等の実現に多大な貢献をもたらすものである。
以下に本発明の好ましい形態について具体的に説明するが、本発明は以下の記載のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下に記載される本発明の個々の好ましい形態を2又は3以上組み合わせた形態も、本発明の好ましい形態に該当する。
〔ガス分離膜〕
本発明のガス分離膜は、シロキサン化合物を含むガス分離層を有するが、必要に応じて更に他の層を有していてもよい。各層はそれぞれ1層であってもよいし、2層以上有してもよい。
<ガス分離層>
ガス分離層はシロキサン化合物を含むが、必要に応じてその他の成分を更に含んでいてもよい。各含有成分は、それぞれ1種又は2種以上であってもよい。
ガス分離層の厚みは特に限定されないが、例えば製膜性をより良好にする観点から、0.01〜10μmであることが好ましい。より好ましくは0.1〜5μmである。ガス分離層を2層以上有する場合は、その1層につき厚みが上記範囲内にあることが好適である。
1)シロキサン化合物
シロキサン化合物は、シロキサン結合(Si−O結合)を有し、かつ上記平均組成式(1)で表されるものである。このようなシロキサン化合物が有するシロキサン骨格(シロキサン結合を必須とする主鎖骨格)は、(SiOと表すこともできる。シロキサン化合物における(SiO以外の構造は、X及びYであり、これらは主鎖骨格のケイ素原子に結合することとなる。
上記シロキサン化合物はまた、ポリシルセスキオキサンであることが好ましい。
上記シロキサン骨格は、例えば、鎖状(直鎖状又は分岐状)、ラダー状、網状、環状、籠状、キュービック状等であることが好ましい。中でも、シロキサン化合物が少量であっても効果が発揮されやすい観点から、ラダー状、網状又は籠状であることが好ましい。より好ましくは、ラダー状又は籠状である。なお、本明細書中、籠状構造とは、不完全型籠状構造も含むものとする。
X及びYは、「鎖」の形態となった繰り返し単位に含まれてもよく、含まれていなくてもよい。例えば、Xは、側鎖として1分子に1つ以上含まれていればよい。
なお、シロキサン化合物の構造は、例えば、H−NMR、13C−NMR、MALDI−TOF−MS、FT−IRを測定して同定することができる。
上記(SiOにおいて、nは重合度を表す。重合度は、主鎖骨格の重合度を表すが、有機基Xは、必ずしもn個存在していなくてもよい。言い換えれば、(SiOの1つの単位に必ず1つのアミド結合を有する有機基Xが存在していなくてもよい。また、アミド結合を有する有機基Xは、1分子中に1つ以上含まれていればよいが、複数含まれる場合、1つのケイ素原子に2以上のアミド結合を有する有機基が結合していてもよい。
上記nは、1〜5000であることが好ましい。より好ましくは1〜2000、更に好ましくは1〜1000、特に好ましくは1〜200であり、中でも2以上であることが好適である。mは、1以上、2未満の数であることが好ましい。より好ましくは1.5〜1.8である。
ここで、例えば、nが2である場合のシロキサン化合物としては、ケイ素原子にアミド結合を有する有機基(X)が少なくとも1個結合してなる構成単位(「構成単位(I)」とも称す)が2つ含まれる形態と、該構成単位(I)が1つしか含まれない形態が挙げられる。具体的には、下記式:
Figure 2017148696
(式中、X及びYは、各々上記と同様である。)等が好適であり、同一の構成単位(I)を2つ含むホモポリマーの形態と、異なる構成単位(I)を2つ含むホモポリマーの形態と、当該構成単位(I)を1つしか含まないコポリマーの形態(共縮合構造の形態)とがある。
上記シロキサン化合物は、例えば、下記式(2):
Figure 2017148696
(式中、X及びYは、各々上記と同様である。n及びnは、重合度を表す。nは、0でない正の整数であり、nは、0又は正の整数である。)で表すことができる。
上記式(2)中、「X1〜2−」は、Xが1個又は2個結合していることを表し、「Y1〜2−」は、Yが1個又は2個結合していることを表し、「Si−(X/Y)」は、X及びYから選ばれる任意の3個がケイ素原子に結合していることを示す。
上記式(2)において、Si−OmとSi−Omとは、Si−OmとSi−Omとの結合順序を規定するものではなく、例えば、Si−OmとSi−Omとが交互又はランダムに共縮合している形態、Si−OmのポリシロキサンとSi−Omのポリシロキサンとが結合している形態等が好適であり、縮合構造は任意である。
上記シロキサン化合物において、シロキサン骨格の占める割合は、シロキサン化合物100質量%中、10〜80質量%であることが好ましい。より好ましくは15〜70質量%、更に好ましくは20〜50質量%である。
上記平均組成式(1)において、Xは、第1級アミノ基及び/又は第2級アミノ基を含む有機基を表す。第1級アミノ基及び/又は第2級アミノ基を含むことで、炭酸ガス等の酸性ガスの拡散速度(透過速度)が上昇し、シロキサン結合を中心とする主骨格による分子篩効果との相乗効果によって、酸性ガスのガス分離性能に優れるとともに、高レベルの耐熱性及び熱安定性を発揮できるものと考えられる。中でも、少なくとも第1級アミノ基を含むことが好ましい。これにより、酸性ガスの拡散速度がより上昇するため、分離選択性が高められ、例えば、酸性ガスと非酸性ガスとを含むガス混合物から酸性ガスをより効率よく分離することが可能になる。
上記Xで表される有機基として好ましくは、分子量が1000以下の基である。具体的には、第1級アミノ基及び第2級アミノ基からなる群より選択される少なくとも1種と、有機骨格とを含む基であることが好ましい。
上記有機骨格としては特に限定されないが、例えば炭素数1〜30の炭化水素基が挙げられる他、複素環残基(複素環を有する基)も挙げられ、置換基を有していてもよい。炭化水素基としては、アルキル基、アルキレン基、アルコキシ基、芳香族残基(芳香環を含む基)等が挙げられ、中でも、アルキル基やアルキレン基が好ましい。これらの基は、直鎖状、分岐鎖又は環構造のいずれであってもよい。中でも、シロキサン化合物の熱的安定性がより高まる点で、炭素数1〜6の(ポリ)アルキレン基を含むことが好ましい。したがって、上記Xで表される有機基は、炭素数1〜6の(ポリ)アルキレン基に、第1級アミノ基及び/又は第2級アミノ基が1個以上結合した構造であることが好適である。
上記Xとして特に好ましくは、下記一般式(3):
Figure 2017148696
(式中、x及びzは、同一又は異なって、0以上5以下の整数であり、yは、0又は1である。)で表される構造(基)である。上記平均組成式(1)中のXがこのような構造であると、ガス分離膜の耐熱性や熱安定性がより向上される。
上記式(3)中、xとzとの和(x+z)は、0以上10以下の整数であるが、3〜7であることが好ましく、より好ましくは3〜5、更に好ましくは3である。また、yは0であることが好ましい。
上記平均組成式(1)において、Xで表される有機基が占める割合は特に限定されないが、例えば、シロキサン化合物に含まれるケイ素原子100モル%に対し、20〜100モル%であることが好ましい。より好ましくは50〜100モル%、更に好ましくは70〜100モル%である。
Xの係数aは、0でない3以下の数である。すなわち0<a≦3を満たす数である。このaは、Xで表される有機基が占める割合が上記の好ましい範囲になるよう設定することが好適である。例えば、aは0.2以上であることが好ましく、これにより、耐熱性や耐加水分解性等がより向上するとともに、分離選択性等により優れたものとなる。より好ましくは0.5以上、更に好ましくは0.7以上、特に好ましくは0.8以上であり、また、より好ましくは2以下、更に好ましくは1.5以下であり、最も好ましくは1である。
Yは、同一又は異なって、水素原子、水酸基、ハロゲン原子及びOR基からなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。中でも、水酸基又はOR基が好適である。より好ましくはOR基であり、更に好ましくは、Rが炭素数1〜8のアルキル基を表す場合のOR基である。
ここで、Rは、同一又は異なって、アルキル基、アシル基、アリール基及び不飽和脂肪族残基からなる群より選択される少なくとも1種の基を表し、置換基を有していてもよい。アルキル基、アシル基及び不飽和脂肪族残基の炭素数は特に限定されないが、例えば、1〜30が好ましく、より好ましくは1〜18、更に好ましくは1〜12、特に好ましくは1〜8、一層好ましくは1〜4、最も好ましくは1〜2である。アリール基の炭素数も特に限定されないが、例えば、6〜30が好ましく、より好ましくは6〜18、更に好ましくは6〜12である。Rはアルキル基が好ましく、アルキル基は、直鎖状、分岐鎖又は環構造のいずれであってもよい。なお、置換基は特に限定されず、ハロゲン原子等が挙げられる。
Yの係数bは、0又は3未満の数である。すなわち0≦b<3を満たす数である。酸素原子Oの係数cは、0でない2未満の数である。すなわち0<c<2を満たす数である。これらの係数は、Xの係数aが上述した好ましい範囲になるように設定すればよく、特に限定されるものではないが、特に、a+bが0.5以上であることが好ましい。より好ましくは0.7以上、更に好ましくは0.7〜1、特に好ましくは1であり、また、cとして特に好ましくは1.5である。
シロキサン化合物は、第1級アミノ基又は第2級アミノ基の合計の導入率が20%以上であることが好ましい。これにより、耐熱性や耐加水分解性等がより向上するとともに、分離選択性等により優れたものとなる。より好ましくは50%以上、更に好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上であり、また、好ましくは300%以下、より好ましくは200%以下、更に好ましくは150%以下であり、最も好ましくは100%以下である。
本明細書中、第1級アミノ基又は第2級アミノ基の導入率は、ガスクロマトグラフィ(GC)を用いて反応基質の消費量を追跡することで算出することができる。
ここで、本発明のガス分離膜は、シロキサン化合物がフッ素原子を含まなくても、炭酸ガス等の酸性ガスの分離選択性、強度、製膜性、耐熱性や熱安定性等に優れる点で、コスト面や環境面にも優れている。それゆえ、コスト面や環境面でより良好なものとする観点では、上記シロキサン化合物は、フッ素原子を含まないことが好適である。すなわち、上記X、Yは、フッ素原子を含まないことが好ましい。
シロキサン化合物はまた、下記計算式(α)で求められるシラノール基量が、0.1以下であることが好ましい。
[Si−OH結合モル数]/[Si−O結合モル数] (α)
これにより、上記組成物が著しく低粘度化する他、上記組成物やそれを用いて得た硬化物が耐吸湿性(低吸湿性)に極めて優れたものとなる。計算式(α)で求められるシラノール基量は、より好ましくは0.05以下、更に好ましくは0.01以下である。特に好ましくは、上記シロキサン化合物が残存シラノール基を有さないことである。
ここで、[Si−OH結合モル数]とは、SiとOHとの結合数をモル数で表す。例えば、1モルのSi原子のそれぞれに2つのOH基が結合している場合には、[Si−OH結合モル数]は2モルとなる。Si−O結合モル数についても同様に数えるものとする。
シロキサン化合物として特に好ましくは、籠状又はラダー状のシロキサン骨格(ポリシロキサン骨格)を有することである。ラダー状のシロキサン骨格(ポリシロキサン骨格)を有する場合、耐熱性により優れたものとなる。また、籠状のシロキサン骨格(ポリシロキサン骨格)を有する場合、耐熱性や低吸湿性により優れるとともに、粘度が低減されたものとなる。
ここで、ラダー状のシロキサン骨格とは、シロキサン結合(Si−O結合)からなる直鎖状のシロキサン鎖を2つ有し、1の直鎖状のシロキサン鎖を構成するケイ素原子と他の直鎖状のシロキサン鎖を構成するケイ素原子とが1つの酸素原子を介して結合することにより、当該2つの直鎖状のシロキサン鎖が、平行に位置している骨格を意味する。籠状のシロキサン骨格とは、シロキサン結合(Si−O結合)からなるシロキサン鎖が立体的に結合された骨格を意味し、例えば、〔RSiO1.5(nは2の倍数で、かつ4以上の整数である。Rは、同一又は異なって、上記平均組成式(1)中のX又はYを表し、Rのうち少なくとも1つは、上記Xである。)で表すことができる。
シロキサン化合物の分子量は、例えば、数平均分子量が100〜10万であることが好ましい。これにより、耐熱性及び製膜性がより向上される。数平均分子量の上限値としてより好ましくは8万以下、更に好ましくは4万以下、特に好ましくは8000以下、最も好ましくは4000以下である。また、重量平均分子量は100〜15万であることが好ましい。重量平均分子量の上限値としてより好ましくは10万以下、更に好ましくは5万以下、特に好ましくは1万以下である。
本明細書中、重量平均分子量及び数平均分子量は、後述する測定条件下、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定により求めることができる。
シロキサン化合物の製造方法は特に限定されないが、例えば、アミド系溶媒中で、アミノ基含有アルコキシシラン(好ましくはアミノ基含有トリアルコキシシラン)を加水分解縮合させることで製造することが好ましい。通常、アミノ基含有アルコキシシランは、自身が有する強塩基性を触媒として加水分解縮合しやすく、反応制御することは非常に困難であるが、アミド系溶媒中では、アミノ基部位はアミド系溶媒と水素結合により強固に溶媒和し、加水分解縮合の反応制御がしやすいため、上記の製法を採用することで、より安定性が向上された上記シロキサン化合物を、高収率でかつ効率よく与えることができる。
アミド系溶媒としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が好ましいが、これら以外の極性溶媒及び/又は非極性溶媒を併用してもよい。極性溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール等の低級アルコール類;テトラヒドロフラン、モノグライム、ジグライム等のエーテル類;等が挙げられる。非極性溶媒としては、炭化水素系溶媒が好ましく、中でもトルエン、キシレン等の水よりも沸点が高い溶媒が好ましく、特にトルエン等の水と共沸する溶媒は、系内から水を効率よく除去できるため好適である。
なお、溶媒の総使用量は特に制限されないが、多すぎるとコストが高くなったり、反応速度が小さくなったりすることがあり、また少なすぎると、シロキサン化合物の好ましい構造(例えば籠状構造)の割合が充分ではなくなることがあるため、アミノ基含有アルコキシシラン1モルに対して10〜100000mlとすることが好ましい。より好ましくは100〜1000mlである。
アミノ基含有アルコキシシランは、1分子中に、アミノ基とアルコキシシリル基(「−Si(Y)」で表される基)とをそれぞれ1個以上有する化合物である。
式中、Yは、上述した平均組成式(1)中のYと同様であるが、Yの少なくとも1つはアルコキシ基を表す、すなわちRがアルキル基であるOR基を表す。Rは上述したとおりである。mは1〜3の整数を表すが、好ましくは3である。Yとして好ましくは、水酸基又はOR基を表すことである。中でもOR基が好ましく、より好ましくはYの全てがOR基を表すことである。特に好ましくは、mが3であって、その3個のY全てがアルコキシ基を表す(すなわちRがアルキル基であるOR基を表す)ことである。すなわち上記アミノ基含有アルコキシシランは、アミノ基含有トリアルコキシシランであることが好ましい。
上記アミノ基含有アルコキシシランとして特に好ましくは、アルコキシシリル基に、第1級アミノ基及び/又は第2級アミノ基を含む有機基(X)が結合した構造を有する化合物である。Xは、上述した平均組成式(1)中のXと同様であり、特にXが上記一般式(3)で表される基であることが好ましい。
上記アミノ基含有アルコキシシランの加水分解縮合反応において、反応温度は0〜200℃とすることが好ましい。より好ましくは20〜200℃、更に好ましくは20〜120℃である。また、この反応は常圧下、すなわち約0.1MPaで実施することができるが、これより高い圧力又は低い圧力で実施してもよい。好ましくは圧力0.02〜0.2MPa、より好ましくは0.08〜0.15MPaである。反応雰囲気は、窒素等の不活性雰囲気であることが好ましい。
上記加水分解縮合反応の反応方法は特に限定されないが、アミノ基含有トリアルコキシシランを、水及びアミド系溶媒に溶解した溶液に触媒を添加し、熟成する方法が好ましく用いられる。触媒は特に限定されず、通常の加水分解縮合で使用されるものを用いればよい。上記加水分解反応では、加水分解と共に縮合反応が進行し、アルコキシシリル基の大部分、好ましくは殆どがシラノール基に加水分解され、更にシラノール基の大部分、好ましくは90モル%以上のシラノール基が縮合されているとよい。
2)有機樹脂
本発明のガス分離膜が有するガス分離層は、更に、有機樹脂(有機ポリマーとも称す)を含むことも好適である。上記シロキサン化合物のみを含有成分としてガス分離層を形成することも可能であるが、製膜をより容易に行う観点から、有機樹脂を含むことが好適である。
有機樹脂としては特に限定されず、要求物性等によって適宜選択すればよい。具体的には、耐久性等の観点から、溶剤可溶性樹脂を用いることが好適である。溶剤可溶性樹脂とは有機溶剤に可溶な樹脂を意味し、例えば、ジメチルアセトアミド又はN−メチルピロリドン100質量部に対して1質量部以上溶解する樹脂であることが好適である。
上記溶剤可溶性樹脂として具体的には、例えば、フッ素化芳香族ポリマー、ポリ(アミド)イミド樹脂、ポリアミド樹脂、アラミド樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂等が挙げられる。中でも、耐久性や分離選択性をより充分に発揮させる観点から、フッ素化芳香族ポリマー、ポリ(アミド)イミド樹脂、ポリアミド樹脂、またはフェノキシ樹脂と呼ばれる高分子量エポキシ樹脂が好ましい。より好ましくはポリ(アミド)イミド樹脂またはフェノキシ樹脂であり、更に好ましくはポリイミド樹脂である。
本明細書中、ポリ(アミド)イミド樹脂とは、狭義のポリイミド樹脂(イミド結合を含み、アミド結合を含まない樹脂を意味し、ここでいうアミド結合とは、アミック酸の脱水反応によりイミド結合を形成し得ないアミド結合を意味する。)、及び、ポリアミドイミド樹脂(アミック酸の脱水反応によりイミド結合を形成し得ないアミド結合とイミド結合とを含む樹脂を意味する。)のいずれをも包含する。
なお、ポリイミド樹脂におけるイミド結合は、通常、アミド結合とそれに隣接するカルボキシル基とを有する結合鎖(該結合鎖をアミック酸ともいう。通常は、アミド結合が結合した炭素原子に隣接する炭素原子にカルボキシル基が結合した構造である。)におけるアミド結合とカルボキシル基との脱水反応による形成される。ポリアミック酸から脱水反応によりポリイミド樹脂を生成させる際、分子内に若干量のアミック酸は残存し得る。したがって、本明細書で「ポリイミド樹脂」又は単に「ポリイミド」という場合は、イミド結合を含み、アミック酸の脱水反応によりイミド結合を形成し得ないアミド結合は含まないが、アミック酸の脱水反応によりイミド結合を形成し得るアミド結合は含まないか若干量含んでいてもよい。
上記溶剤可溶性樹脂はまた、架橋反応(硬化反応)することが可能な反応性基(例えば、エポキシ基やオキセタン環、エチレンスルフィド基等の開環重合性基;アクリル基、メタクリル基、ビニル基等のラジカル硬化性基及び/又は付加硬化性基)を有してもよい。
上記溶剤可溶性樹脂を用いてガス分離層を形成する場合、溶剤可溶性樹脂がそのまま、ガス分離層を構成する樹脂成分となっていてもよいし、溶剤可溶性樹脂が架橋反応等により変化したものが、ガス分離層を構成する樹脂成分となっていてもよい。後者の場合、架橋可能な反応性基の量や製膜時の架橋反応をどの程度進めるかは特に限定されるものではないが、樹脂の溶剤可溶性が維持できる程度であることが好ましい。
3)ガス分離層の作製方法
ガス分離層は、上記シロキサン化合物を1〜100質量%含むガス分離層形成用材料(この総量を100質量%とする)を用いて得られる層であることが好ましい。シロキサン化合物の含有量がこの範囲にあると、炭酸ガス等の酸性ガスの分離選択性がより高まる。シロキサン化合物の含有量は、より好ましくは30〜100質量%、更に好ましくは50〜100質量%である。ガス分離層が更に有機樹脂を含む場合、ガス分離層形成用材料中のシロキサン化合物と有機樹脂との質量比は10〜100/0〜90であることが好ましい。これにより製膜がより容易になる。より好ましくは30〜100/0〜70、更に好ましくは40〜100/0〜60、特に好ましくは50〜100/0〜50である。
<ガス透過性支持体>
本発明のガス分離膜は、上述したガス分離層のみからなるものであってもよいが、更にガス透過性支持体を1又は2以上更に有することが好ましい。これにより、強度が更に向上し、膜表面積拡大のためにスパイラル状等の形状に変形してモジュールを作製することがより容易になる。
ガス透過性支持体を更に有する場合、ガス透過性支持体の、分離対象となるガスが供給される側に、ガス分離層を配置することが好ましい。言い替えれば、ガス分離層の、分離されたガスが放出される側に、ガス透過性支持体を配置することが好ましい。ガス透過性支持体とガス分離層との間には他の層が介在していてもよい。
ガス透過性支持体は、多孔質性のものであることが好ましい。すなわち多孔質基材であることが好ましい。ガス透過性を高める観点から、多孔質基材の平均細孔径は0.01〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.05〜5μm、更に好ましくは0.05〜1μmである。また、空隙率は20〜90体積%であることが好ましく、より好ましくは30〜80体積%である。
上記多孔質基材の形状は特に限定されず、例えば、平板状、スパイラル状、管状、中空糸状等のいずれであってもよい。
上記多孔質基材の材料は、有機材料、無機材料のいずれであってもよいが、好ましくは有機材料である。中でも、有機樹脂(有機ポリマーとも称す)がより好ましい。有機樹脂は特に限定されないが、例えば、強度やガス透過性等の観点から、(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素化芳香族ポリマー、ポリ(アミド)イミド樹脂、ポリアミド樹脂、アラミド樹脂、シクロオレフィン樹脂等が好ましい。これらの中でも、フッ素化芳香族ポリマー、ポリ(アミド)イミド樹脂、ポリアミド樹脂、アラミド樹脂、シクロオレフィン樹脂、エポキシ樹脂及び/又はアクリル樹脂がより好ましい。更に好ましくはフッ素化芳香族ポリマーである。
上記無機材料としては特に限定されないが、例えば、アルミナ、ムライト、チタニア等の他、これらの複合物からなるセラミックス等を用いることが好ましい。
ガス透過性支持体の厚みは特に限定されないが、例えば、1μm〜3mmであることが好ましい。より好ましくは5〜500μm、更に好ましくは5〜150μmである。
<製造方法>
本発明のガス分離膜の製造方法としては特に限定されないが、例えば、上記シロキサン化合物を含むガス分離層形成用材料を、ガス透過性支持体の表面(又は、支持体とガス分離層との間に他の層を有する場合は、当該他の層の表面)に塗布し、乾燥又は硬化することにより形成する方法(塗布法又はコーティング法と称す);ガス透過性支持体に対して、ガス分離層形成用材料から形成されたフィルムを熱圧着することにより形成する方法;練込法;等が挙げられる。これらの中でも、塗布法を採用することが好ましく、これによってガス分離層と支持体等との密着性がより充分なものとなる。
なお、ガス透過性支持体を有しないガス分離膜を得る場合にも、塗布法を用いることが好ましく、例えば、仮の基材にガス分離層形成用材料を塗布した後、該基材から剥離することによりガス分離膜を得ることができる。
上記ガス分離層形成用材料は、上記シロキサン化合物を含むものであればよいが、必要に応じてその他の成分を更に含んでいてもよい。各含有成分は、それぞれ1種又は2種以上使用することができる。
その他の成分としては、上述のとおり有機樹脂を含むことが好ましい。その他、特に限定されないが、例えば、溶媒、表面調整剤、可塑剤等も挙げられ、塗布法を採用する場合は溶媒を少なくとも含むことが好適である。溶媒としては特に限定されず、例えば、クロロホルム、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、N,N’−ジメチルホルマミド等の非極性溶媒が挙げられる。溶媒の含有量は、塗布容易化の観点から、ガス分離層形成用材料の総量100質量%に対し、1〜99質量%とすることが好ましい。より好ましくは50〜95質量%である。
上記ガス分離層形成用材料の製造方法は特に限定されず、含有成分を適宜混合することにより得ることができる。
<用途等>
本発明のガス分離膜は、例えば、水素、ヘリウム、一酸化炭素、二酸化炭素、硫化水素、酸素、窒素、アンモニア、硫黄酸化物、窒素酸化物;メタン、エタン等の炭化水素;プロピレン等の不飽和炭化水素;テトラフルオロエタンに代表されるパーフルオロ化合物;等のガスを含有するガス混合物から、特定のガスを分離することができるものである。中でも、酸性ガスを選択的に分離する分離膜として有用であり、酸性ガスとしては、炭酸ガス、硫化水素ガス等が好適である。より好ましくは炭酸ガス(CO)である。具体的には、炭酸ガスと水素ガスとを含むガス混合物から、炭酸ガスを選択的に分離する分離膜として最も有用である。このような本発明のガス分離膜を備えるガス分離モジュール及びガス分離装置もまた、本発明に含まれるが、これらは工業的に極めて有用である。
上記ガス分離膜は、炭酸ガスの透過性を示す透過率(25℃)が、1×10−9mol/m・s・Pa以上であることが好ましい。この透過率が大きいほど、炭酸ガスを短時間で分離回収できるため炭酸ガスの分離選択性に優れることを意味する。より好ましくは2×10−9mol/m・s・Pa以上、更に好ましくは3×10−9mol/m・s・Pa以上である。
本明細書中、炭酸ガスの透過率は、JIS K7126−1(2006年)に従って測定することができる。
上記ガス分離膜はまた、炭酸ガスの分離選択性を示す透過係数(CO/H)が、5以上であることが好ましい。より好ましくは10以上、更に好ましくは15以上、特に好ましくは18以上、最も好ましくは20以上である。
本明細書中、透過係数(CO/H)は、上述のように求めた炭酸ガスの透過率を、同様に求めた水素ガスの透過率で除することにより求めることができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味するものとする。なお、NMRの分析装置、分子量の測定条件(GPC測定条件)を以下に示す。
<NMR分析装置>
H−NMR:Varian Instruments社製、Unity Plus 400 MHz NMR system
13C−NMR:Varian Instruments社製、Unity Plus 400 MHz NMR system
<GPC測定条件>
計測機器:東ソー社製「HLC−8220GPC」
カラム:Shodex GF−7MHQを2本、
展開液:10mMol/L LiBr添加N,N’−ジメチルホルムアミド
流速:0.6mL/分
温度:40℃
検量線:ポリスチレン標準サンプル(東ソー社製)を用いて作成。
<ポリシルセスキオキサンの合成>
合成例1:ポリ(3−アミノプロピル)シルセスキオキサンの合成
攪拌装置、ガス吹込管、温度センサ及び冷却管を取り付けた4つ口フラスコ中にN−メチルピロリドン77.2gと3−アミノプロピルトリエトキシシラン66.4gを仕込んで室温で均一に混合した。続いて酢酸亜鉛二水和物0.33gをイオン交換水8.11gに溶解した液体をフラスコに投入して6時間還流した。その後冷却管をディーンスタークトラップに付け替えて、フラスコ内温を更に上げたところ、140℃付近から生成エタノールがトラップに回収され始め、160℃で4時間保持して42gのエタノールが回収できたので、室温まで冷却し、反応液を濾過して140gの生成物を得た。
生成物をH−NMR、13C−NMR、FT−IRで同定し、ポリ(3−アミノプロピル)シルセスキオキサンのN−メチルピロリドン溶液であることを確認した。
不揮発分濃度は30%であり、GPCによる重量平均分子量は970、数平均分子量は880であった。
合成例2:ポリ[3−(2−アミノエチルアミノ)プロピル]シルセスキオキサンの合成
攪拌装置、ガス吹込管、温度センサ及び冷却管を取り付けた4つ口フラスコ中にN−メチルピロリドン57.2gと3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン35.5gを仕込んで室温で均一に混合した。続いて酢酸亜鉛二水和物0.18gをイオン交換水4.32gに溶解した液体をフラスコに投入して6時間還流した。その後冷却管をディーンスタークトラップに付け替えて、フラスコ内温を更に上げたところ、140℃付近から生成エタノールがトラップに回収され始め、160℃で4時間保持して15gのエタノールが回収できたので、室温まで冷却し、反応液を濾過して140gの生成物を得た。
生成物をH−NMR、13C−NMR、FT−IRで同定し、ポリ[3−(2−アミノエチルアミノ)プロピル]シルセスキオキサンのN−メチルピロリドン溶液であることを確認した。
不揮発分濃度は30%であり、GPCによる重量平均分子量は1750、数平均分子量は960であった。
<ガス分離用膜試料の作製>
表1、2に記載のポリイミド樹脂、フェノキシ樹脂、シルセスキオキサン、N−メチルピロリドン、及び、硬化触媒としてのイミダゾール化合物を配合した混合液を、PTFE製多孔質メンブレン(厚さ80μm、ポアサイズ0.1μm、空隙率50%、東洋濾紙社製)上にアプリケーターを用いて塗布した。塗布厚は乾燥時の膜厚が4μmになるように設定した。塗布したのち、窒素ガスを50L/分の流速で流通させた120℃のイナートオーブン中に30分間静置してN−メチルピロリドンを揮散させ、引き続き150℃で2時間放置して乾燥硬化してガス分離用膜試料を得た。
得られた各試料を用い、以下の手法でガス透過性を評価した。結果を表1、2に示す。
<ガス透過性評価>
ガス透過性評価は、差圧法によりJIS K7126−1(2006年)に準じて行った。ガス種は二酸化炭素と水素の2種を行い、測定温度は25℃に設定した。
Figure 2017148696
Figure 2017148696
表中の各成分は以下のとおりである。
ポリイミド樹脂:KPI−MX300F(河村産業社製)
フェノキシ樹脂:ビスフェノールA型フェノキシ樹脂(製品名「jer1256」、三菱化学社製)
シルセスキオキサンA: ポリ(3−アミノプロピル)シルセスキオキサン
シルセスキオキサンB:ポリ[3−(2−アミノエチルアミノ)プロピル]シルセスキオキサン
シルセスキオキサンC:ポリフェニルシルセスキオキサン(製品名「SR−21」、小西化学工業社製)
イミダゾール:2−エチル−4−メチルイミダゾール
上記評価結果より、以下のことを確認した。
実施例で得たガス分離膜は、いずれも本発明におけるシロキサン化合物を含むガス分離層を有する、つまり本発明のガス分離膜に該当するのに対し、比較例1、3で得たガス分離膜は、当該シロキサン化合物の代わりにアミノ基を含まないシルセスキオキサン(ポリフェニルシルセスキオキサン)を用いた点において、比較例2、4で得たガス分離膜は無機成分を含まず、有機樹脂の単独膜である点において、本発明のガス分離膜とは相違する。
この相違の下、比較例2、4で得たガス分離膜、すなわちビスフェノールA型フェノキシ樹脂又はポリイミド樹脂の単独膜では、二酸化炭素と水素のガス種によらず、透過率は低く透過ガス種の選択性も殆どなかった。樹脂単独膜では膜の緻密性が高く、ガスを透過しにくいためと考えられる。また、比較例1、3で得たガス分離膜、すなわちポリフェニルシルセスキオキサンと樹脂とによる複合膜では、二酸化炭素と水素のガス種によらず、透過率は高いものの透過ガス種の選択性が殆どなかった。緻密性が低くてガス漏れが起きやすくなっていると思われる。これに対し、実施例で得たガス分離膜(より詳しくは、本発明におけるシロキサン化合物を、有機樹脂に分散させて得た分離膜)では、二酸化炭素の透過率のみを高めることができ、透過ガス種の選択性を高めることが可能となった。

Claims (5)

  1. シロキサン化合物を含むガス分離層を有するガス分離膜であって、
    該シロキサン化合物は、シロキサン結合を有し、かつ下記平均組成式(1):
    SiO (1)
    (式中、Xは、同一又は異なって、第1級アミノ基及び/又は第2級アミノ基を含む有機基を表す。Yは、同一又は異なって、水素原子、水酸基、ハロゲン原子及びOR基からなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。Rは、同一又は異なって、アルキル基、アシル基、アリール基及び不飽和脂肪族残基からなる群より選択される少なくとも1種の基を表し、置換基を有していてもよい。aは0でない3以下の数であり、bは0又は3未満の数であり、cは0でない2未満の数であり、a+b+2c=4である。)で表される
    ことを特徴とするガス分離膜。
  2. 更に、ガス透過性支持体を有する
    ことを特徴とする請求項1に記載のガス分離膜。
  3. 前記ガス分離層は、更に、有機樹脂を含む
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のガス分離膜。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のガス分離膜を備える
    ことを特徴とするガス分離モジュール。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載のガス分離膜を備える
    ことを特徴とするガス分離装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2021502239A (ja) * 2017-11-09 2021-01-28 ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア 非対称複合メンブレン及びその使用

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