JP2017146424A - ヘッドアップディスプレイ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】視認し易い虚像を実現可能なHUD装置を提供する。【解決手段】HUD装置100は、車両に搭載され、車両のウインドシールド3に表示光を反射させることにより、乗員により視認可能な虚像VIを表示する。HUD装置100は、表示光を投射する投射部20と、投射部20からウインドシールド3に至る光路OP上に配置され、透光性を有する板状の透光板50と、を備える。透光板50は、板厚方向VDの屈折率と、板厚方向VDに対して垂直な第1延設方向MDの屈折率と、板厚方向VD及び第1延設方向MDに対して垂直な第2延設方向TDの屈折率とを互いに異ならせていると共に、光軸OAに対して板厚方向VDを傾斜させて配置されている。【選択図】図2

Description

本発明は、移動体に搭載され、画像を乗員により視認可能に虚像表示するヘッドアップディスプレイ装置(以下、HUD装置を略称とする)に関する。
従来、移動体に搭載され、画像を乗員により視認可能に虚像表示するHUD装置が知られている。特許文献1に開示の装置は、表示光を投射する投射部と、投射部から投影部材に至る光路上に配置され、表示光を透過させる板状の透光板と、を備えている。
この透光板は、製造過程において圧延加工が加えられて形成されており、圧延方向の屈折率と、圧延方向に直交する方向の屈折率とを、互いに異ならせている。
特開2015−31924号公報
特許文献1では、板厚方向を光軸に沿わせて配置し、光軸まわりに透光板を回転させて回転角度を調整することで、虚像の輝度を調整していると考えられる。
しかしながら、こうした透光板を上述のように回転させても、回転角度に応じて偏光の方位角を調整することはできるものの、表示光に作用させる位相差を調整することができないため、輝度の調整範囲に限界があった。このため、移動体に搭載される制約の下、十分に視認し易い虚像を実現できない場合があった。
本発明は、以上説明した問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、視認し易い虚像を実現可能なHUD装置を提供することにある。
本発明は、移動体(1)に搭載され、移動体の投影部材(3)に表示光を反射させることにより、乗員により視認可能な虚像(VI)を表示するヘッドアップディスプレイ装置であって、
表示光を投射する投射部(20)と、
投射部から投影部材に至る光路(OP)上に配置され、透光性を有する板状の透光板(50,250,350,450)と、を備え、
透光板は、板厚方向(VD)の屈折率と、板厚方向に対して垂直な第1延設方向(MD)の屈折率と、板厚方向及び第1延設方向に対して垂直な第2延設方向(TD)の屈折率とを互いに異ならせていると共に、光軸(OA)に対して板厚方向を傾斜させて配置されている。
このような発明によると、投射部から投影部材に至る光路上には、透光性を有する板状の透光板が配置されている。透光板は、板厚方向の屈折率と、第1延設方向の屈折率と、第2延設方向の屈折率とを、互いに異ならせているから、投射部に投射された表示光は、投影部材に至るまでに、位相差を生じ得る。さらに、透光板は、光軸に対して板厚方向を傾斜させて配置されているから、板厚方向の屈折率の違いを利用して、傾斜に応じた位相差を実現し得る。このような透光板の傾斜配置により、例えば設計段階で、表示光における偏光の方位角及び偏光の楕円率の両方を調整可能となったことで、HUD装置は、移動体に搭載される制約下においても、投影部材での反射の具合を改善させて、視認し易い虚像を提供することができるのである。
なお、括弧内の符号は、記載内容の理解を容易にすべく、後述する実施形態において対応する構成を例示するものに留まり、発明の内容を限定することを意図したものではない。
第1実施形態におけるHUD装置の車両への搭載状態を示す図である。 第1実施形態におけるHUD装置の概略構成を示す図である。 第1実施形態における投射部を示す模式図である。 第1実施形態における液晶パネルの画面の長手方向及び短手方向を説明するための図である。 光軸に対する板厚方向の傾斜角と、表示光に及ぼす位相差との関係を示すグラフである。 第1実施形態における透光板の配置の一例を説明するための図である。 第1実施形態において、図6(a)により透光板を回転させた状態で、図6(b)により透光板を回転させた場合の回転角と、虚像の相対輝度との関係を示すグラフである。 比較例において、回転角と虚像の相対輝度との関係を示すグラフである。 比較例において、透光板の作用を説明するための図である。 第1実施形態における透光板の配置の一例を説明するための図である。 第1実施形態において、図9(a)及び(b)により透光板を回転させた状態で、図9(c)により透光板を回転させた場合の回転角と、虚像の相対輝度との関係を示すグラフである。 第1実施形態における屈折率楕円体を説明するための図である。 第2実施形態における図2に対応する図である。 第3実施形態における図2に対応する図である。 第4実施形態における図2に対応する図である。 変形例1における図2に対応する図である。
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合せることができる。
(第1実施形態)
図1に示すように、本発明の第1実施形態によるHUD装置100は、移動体の一種である車両1に搭載され、インストルメントパネル2の収容部2aに収容されている。HUD装置100は、車両1の投影部材としてのウインドシールド3に画像を投影する。画像の表示光がウインドシールド3に反射されることで、HUD装置100は、車両1において座席4に着座した乗員により視認可能な虚像VIを表示する。すなわち、ウインドシールド3に反射される表示光が、車両1の室内において乗員の眼に到達し、乗員が表示光を虚像VIとして知覚する。そして、乗員は、虚像VIにより各種情報を認識することができる。虚像VIとして表示される各種情報としては、例えば、車速、燃料残量等の車両状態値、又は、道路情報、視界補助情報等のナビゲーション情報が挙げられる。
車両1のウインドシールド3は、ガラスないしは合成樹脂等により透光性の板状に形成されている。ウインドシールド3において、室内側の面は、画像が投影される反射面3aを凹面状又は平坦な平面状に形成している。
このようなウインドシールド3の形状、ウインドシールド3に対するインストルメントパネル2の収容部2a及び座席4の相対位置は、一般的に、車両1の用途あるいはデザイン等に基づいて車両メーカにより設定されている。ここで、ウインドシールド3に反射された表示光が座席4に着座した乗員の眼の存在可能性が高い領域であるアイリプス(詳細は、JISD0021:1998参照)と重なって設定される視認領域EBに到達するように、HUD装置100は光学設計される。ここで視認領域EBとは、HUD装置により表示される虚像VIが視認可能となる空間領域である。
したがって、ウインドシールド3への表示光の入射角等の搭載条件は、搭載される車両1の車種によって異なり、制約を受ける。
このようなHUD装置100の具体的構成を、図2〜12に基づいて、以下に説明する。図2に示すように、HUD装置100は、収容部材10、投射部20、平面鏡30、凹面鏡40、及び透光板50を備えている。
収容部材10は、例えば合成樹脂により遮光性を有する箱状に形成され、投射部20、平面鏡30、凹面鏡40、及び透光板50を収容する部材である。収容部材10は、ウインドシールド3と対向する箇所に、窓状の窓部12を有している。
投射部20は、図3にも詳細を示すように、光源22、集光レンズ24、投射レンズ26、及び液晶パネル28を有し、例えば箱状のケーシング20aにこれらを収容して形成されている。
光源22は、例えば複数の発光ダイオード素子であり、光源用回路基板22a上に配置されている。光源22は、光源用回路基板22a上の配線パターンを通じて、電源と電気的に接続されている。光源22は、通電により電流量に応じた発光量にて光源光を発する。これにより、光源22は、光源光を集光レンズ24へ向けて投射する。より詳細には、光源22は、例えば青色発光ダイオードを蛍光体で覆うことにより、疑似白色での発光が実現されている。
集光レンズ24は、光源22と投射レンズ26との間に配置され、合成樹脂ないしはガラス等からなる透光性の凸レンズ素子が発光ダイオードの数に合わせて配列されたレンズアレイである。集光レンズ24は、光源からの光源光を集光して投射レンズ26へ向けて射出する。
投射レンズ26は、集光レンズ24と液晶パネル28との間に配置され、合成樹脂ないしはガラス等からなる透光性のフレネルレンズとなっている。投射レンズ26は、集光レンズ24からの光源光を集光して液晶パネル28に向けて射出する。
液晶パネル28は、例えば薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、TFT)を用いた液晶パネルであって、2次元方向に配列された複数の液晶画素から形成されるアクティブマトリクス型の液晶パネルである。液晶パネル28では、一対の偏光板及び当該一対の偏光板に挟まれた液晶層等が積層されている。偏光板は、所定方向に沿って偏光する光を透過させ、所定方向に垂直な方向に沿って偏光する光を遮光する性質を有し、一対の偏光板は当該所定方向を互いに実質直交して配置される。液晶層は、液晶画素毎の電圧印加により、印加電圧に応じて液晶層に入射する光の偏光方向を回転させることが可能となっている。
したがって、液晶パネル28が液晶画素毎の光源光の透過率を制御することで、投射部20は、画像の表示光を投射することが可能となっている。ここで、表示光は、射出側の偏光板の所定方向としての偏光軸の方向PADに直線偏光する光として、投射部20から投射される。なお、本実施形態では、液晶パネル28の画面は、長手方向LD及び短手方向SDを有する矩形状に形成され、偏光軸方向PADは、長手方向LDに対して135度をなす方向に設定されている。投射部20に投射された表示光は、平面鏡30に入射する。
平面鏡30は、合成樹脂ないしはガラス等からなる基材の表面に、反射面32としてアルミニウムを蒸着させること等により形成されている。反射面32は、滑らかな平面状に形成されている。そして、平面鏡30は、投射部20からの表示光を凹面鏡40へ向けて反射する。
凹面鏡40は、合成樹脂ないしはガラス等からなる基材の表面に、反射面42としてアルミニウムを蒸着させること等により形成されている。反射面42は、凹面鏡40の中心が凹む凹面として、滑らかな曲面状に形成されている。そして、凹面鏡40は、平面鏡30からの表示光を反射する。凹面鏡40により反射された表示光は、透光板50を介して、ウインドシールド3へ向かう。
こうして投射部20からウインドシールド3に至る光路OPが構成されている。透光板50は、当該光路OP上に配置され、透光性を有する平板状に形成されている。特に本実施形態の透光板50は、凹面鏡40とウインドシールド3との間の光路上において、収容部材10の窓部12を塞ぐように配置されている。
このような透光板50において、その表面の法線方向に沿った方向として、板厚方向VDが定義できる。そして板厚方向VDに対して垂直な第1延設方向MDが定義できる。さらに板厚方向VD及び第1延設方向MDに対して垂直な第2延設方向TDが定義できる。
透光板50は、例えばポリカーボネイト樹脂ないしはアクリル樹脂等の合成樹脂により形成されている。本実施形態の透光板50は、板厚方向VDに沿った寸法である板厚を例えば0.5mmとし、全体を実質同じ板厚としている。そして透光板50は、板厚方向VDの屈折率NVD、第1延設方向MDの屈折率NMD、及び第2延設方向TDの屈折率NTDとを、互いに異ならせている。具体的に本実施形態では、板厚方向VDの屈折率NVD=1.5845であり、第1延設方向MDの屈折率NMD=1.5853、第2延設方向TDの屈折率NTD=1.5851である。これらの屈折率NVD,NMD,NTDは、580nmの波長の光に対する屈折率である。
これと共に、透光板50は、光軸OAに対して板厚方向VDを傾斜させて配置されている。特に本実施形態では、透光板50は、光軸OAに対して板厚方向VDを傾斜させた状態で固定配置されている。ここで本実施形態における光軸OAとは、液晶パネル28において2次元方向に配列された液晶画素のうち、画面の中心となる画素から、視認領域EBの中心まで光線追跡して得られる光線の経路である。特に本実施形態について言えば、光軸OAは、画面の中心となる画素から、画面と垂直に射出した主光線の経路である。
また、図4に示すように、光軸OAに垂直な仮想平面IP上において、画面の長手方向LDに対応する長手対応方向RLDと、画面の短手方向SDに対応する短手対応方向RSDと、を定義する。長手対応方向RLDは、画面上の長手方向LDをベクトルとして光軸OAに沿って仮想平面IP上に射影することで得られる方向である。短手対応方向RSDは、画面上の短手方向SDをベクトルとして光軸OAに沿って仮想平面IP上に射影することで得られる方向である。すなわち、平面鏡30及び凹面鏡40での反射等により光軸OAの向きが変わると、長手対応方向RLD及び短手対応方向RSDもこれに合わせて向きが変わることとなる。
図2に示すように表示光は、板厚方向VDが傾斜して設けられる透光板50を、例えば光軸OAに沿って、透過することとなる。この際、各方向VD,MD,TDの屈折率NVD,NMD,NTDが異なっていることで、表示光に位相差が生じ、偏光の方位角が回転したり、偏光の楕円率が変わることとなる。こうした表示光の偏光の状態を、ウインドシールド3への入射角に合わせたものとすることで、乗員が視認する虚像VIの輝度が調整される。
以下、透光板50の傾斜とその輝度調整機能の関連性について、シミュレーション結果を示す図5,7,11を用いつつ、詳細に説明する。
図5には、第1延設方向MDを回転軸として透光板50を回転させた場合(図6(a)参照)の傾斜角と、表示光に及ぼす位相差との関係がプロットされている。これによれば、透光板50の傾斜角が0度(すなわち、板厚方向VDが光軸OAに沿った状態)では、位相差が距離換算で150nm未満である。傾斜角を増加させると、20度あたりから位相差が徐々に増え始め、傾斜角45度では、距離換算で200nmより大きい位相差を得ることができる。
なお、図5の位相差は、580nmの波長の光に対する位相差であるから、傾斜角が0度の状態では、透光板50は略4分の1波長板として機能し、傾斜角を増加させるに従って、2分の1波長板の機能に近づけることができる。
次に、図7には、上述の説明の傾斜角45度の状態で、板厚方向VDを回転軸として透光板を回転させた場合(図6(b)参照)の回転角と、視認される虚像VIの相対輝度との関係がプロットされている。これによれば、透光板50の回転角を約150度としたとき、相対輝度が15685となり、最大値となる。また、透光板50の回転角を約30度としたとき、相対輝度が2629となり、最小値となる。なお、透光板50の回転角は、長手対応方向RLDを基準角としている。すなわち、第1延設方向MDが長手対応方向RLDと一致する場合、0度となる。
比較例として、図8には、傾斜角0度の状態で、板厚方向VDを回転軸として透光板を回転させた場合の回転角と、視認される虚像VIの相対輝度との関係がプロットされている。これによれば、透光板の回転角を67.5度又は157.5度としたとき、相対輝度が14950となり、最大値となる。また、透光板50の回転角を約20度又は約110度としたとき、相対輝度が5051となり、最小値となる。
より詳細に説明すると、図9に示すように、ウインドシールド3の反射断面WRPが長手対応方向RLDに対して90度をなす方向に沿って配置されている。したがって、透光板50透過後の表示光が、反射断面WRPに対して垂直な方向NDの(すなわち0度)の成分が多い偏光であれば、ウインドシールド3における表示光の反射率が高くなり、虚像VIの輝度を高めることができる。このため比較例では、投射部の偏光軸方向PADの角度と反射断面WRPに対して垂直な方向NDの角度との中間である67.5度又は157.5度に第1延設方向MDを設定すると、輝度を高めることができると考えられる。しかしながら、比較例では、表示光に十分な位相差を与えられなかったため、相対輝度の最大値は、本実施形態と比較して小さい。
こうしたシミュレーション結果の比較から、光軸OAに対して透光板50の板厚方向VDを傾斜させて配置した方が、調整範囲が広く、透光板50による輝度の調整作用が大きいことがわかる。
以上では、透光板50に基づいて定義され得る第1延設方向MDを回転軸として、当該透光板50の板厚方向VDが光軸OAに対して傾斜した状態で配置された。この他に図10のように、投射部20の画像に基づいて定義される回転軸により、板厚方向VDが光軸OAに対して傾斜した状態で配置されていてもよい。
まず、板厚方向VDが光軸OAに沿った状態、かつ、第1延設方向MDが長手対応方向RLDに沿った状態から、長手対応方向RLDを回転軸としてα度回転させる(図10(a)参照)。次に、透光板50を短手対応方向RSDを回転軸としてβ度回転させる(図10(b)参照)。こうして、透光板50の板厚方向VDが光軸OAに対して傾斜した状態となる。
αを21度とし、かつ、βを−41度とした場合の係る状態で、板厚方向VDを回転軸として透光板50を回転させた場合(図10(c)参照)の回転角と、視認される虚像VIの相対輝度との関係が図11にプロットされている。これによれば、透光板50の回転角を約150度としたとき、相対輝度が19019となり、最大値となる。
なお、図7,11において相対輝度が最大値をとるように透光板50を配置することが最適とは限らないことに留意すべきである。なぜならば、図5,7,11における相対輝度とは、虚像VIを裸眼の乗員が視認した場合の輝度であるので、偏光サングラスを装用した乗員による虚像VIの視認性を考慮する余地がある。すなわち、裸眼の乗員と偏光サングラスを装用した乗員との視認性のバランスが取れるように、最大値からずれた状態で透光板50を配置してもよいのである。
本実施形態における透光板50の配置について、より詳細に説明する。ここで図12に示すように、中心に光軸OAが通る仮想の楕円体であって、板厚方向VD、第1延設方向MD、及び第2延設方向TDに主軸をとり、各主軸の長さを対応する各方向VD,MD,TDの屈折率NVD,NMD,NTDの半値とする屈折率楕円体RIEを定義する。そして、当該屈折率楕円体RIEの中心を通ると共に、光軸OAに垂直な断面である仮想の楕円切断面SEを定義する。
本実施形態では、この楕円切断面SEにおける長軸MAAと短軸MIAとの長さの差の絶対値が第1延設方向MDの屈折率NMDと第2延設方向TDの屈折率NTDとの差の絶対値よりも大きくなるように、透光板50が配置される。この配置の条件は、上述の角度α,βを用いて書き換えできる。まず、角度α,βの回転による回転行列は、
Figure 2017146424
として表される。
この行列回転の各成分を用いると、配置の条件は、
Figure 2017146424
と表される。ただし、
Figure 2017146424
である。数2において、左辺が楕円切断面SEにおける長軸MAAと短軸MIAとの長さの差の絶対値であり、右辺が第1延設方向MDの屈折率NMDと第2延設方向TDの屈折率NTDとの差の絶対値である。
(作用効果)
以上説明した第1実施形態の作用効果を以下に説明する。
第1実施形態によると、投射部20からウインドシールド3に至る光路OP上には、透光性を有する板状の透光板50が配置されている。透光板50は、板厚方向VDの屈折率NVDと、第1延設方向MDの屈折率NMDと、第2延設方向TDの屈折率NTDとを、互いに異ならせているから、投射部20に投射された表示光は、ウインドシールド3に至るまでに、位相差を生じ得る。さらに、透光板50は、光軸OAに対して板厚方向VDを傾斜させて配置されているから、板厚方向VDの屈折率NVDの違いを利用して、傾斜に応じた位相差を実現し得る。このような透光板50の傾斜配置により、例えば設計段階で、表示光における偏光の方位角及び偏光の楕円率の両方を調整可能となったことで、HUD装置100は、車両1に搭載される制約下においても、ウインドシールド3での反射の具合を改善させて、視認し易い虚像VIを提供することができるのである。
また、第1実施形態によると、仮想の楕円切断面SEにおける長軸MAAと短軸MIAとの長さの差の絶対値は、第1延設方向MDの屈折率NMDと第2延設方向TDの屈折率NTDとの差の絶対値よりも大きくなっている。このような透光板50の配置によれば、板厚方向VDを光軸OAに沿わせて配置した場合よりも、表示光に作用する位相差を大きくできる。したがって、車両1に搭載される制約下においても、確実にウインドシールド3での反射の具合を向上させて、視認し易い虚像VIを提供することができるのである。
また、第1実施形態の平板状の透光板50によれば、同様の調整作用を表示光全体に及ぼすことが容易となるので、虚像VIの輝度ムラを抑制することができる。
また、第1実施形態によると、投射部20を収容する収容部材10をさらに備え、透光板50は、収容部材10の窓部12を塞ぐように配置される。装置100の外部から内部に異物が侵入することを、透光板50により防止することができるので、部品点数の増加を抑制しつつ、視認し易い虚像VIを長きに亘って維持することができる。
(第2実施形態)
図13に示すように、本発明の第2実施形態は第1実施形態の変形例である。第2実施形態について、第1実施形態とは異なる点を中心に説明する。
第2実施形態の透光板250は、第1実施形態と同様に、凹面鏡40とウインドシールド3との間の光路上において、収容部材10の窓部12を塞ぐように設けられている。
第2実施形態の透光板250は、湾曲板状に形成されている。具体的に透光板250は、HUD装置200の内部側に入り込むように凹状に湾曲している。当該湾曲は、例えば円筒状の湾曲であり、この湾曲における曲率半径は、例えば150cmに設定されている。透光板250は、全体を実質同じ板厚としている。
第2実施形態においても、光軸OAと透光板250とが交わる箇所において、光軸OAに対して板厚方向VDを傾斜させた状態で固定配置されている。このような湾曲板状の透光板250の場合、光軸OA外において、板厚方向VDが光軸OAの方向と一致する箇所が存在する可能性がある。しかしながら、光軸OAと透光板250とが交わる箇所において、板厚方向VDが傾斜していれば、透光板250は表示光に相応の作用を及ぼし得る。
こうした第2実施形態によると、湾曲面状の透光板250が光軸OAに対して傾斜して配置されることにより、装置100の外部から内部に入射し得る例えば太陽光等の外光を、乗員側に到達させないように透光板250で反射可能となるので、外光による虚像VIのコントラストの悪化を抑制しつつ、傾斜に応じた位相差を実現できる。したがって、視認し易い虚像VIを提供することができる。
(第3実施形態)
図14に示すように、本発明の第3実施形態は第2実施形態の変形例である。第3実施形態について、第2実施形態とは異なる点を中心に説明する。
第3実施形態の透光板350は、第1,2実施形態と同様に、凹面鏡40とウインドシールド3との間の光路上において、収容部材10の窓部12を塞ぐように配置されている。ここでHUD装置300は、透光板350と貼り合わされる偏光板352を、視認規制部として、さらに備えている。
偏光板352は、透光板350と貼り合わされた状態で、窓部12を透光板350と共に塞いでいる。特に本実施形態の偏光板352は、ポリビニルアルコールに二色性色素であるヨウ素を添加して形成された吸収型偏光板である。この偏光板352は、ヨウ素分子の配向方向によって透過軸と吸収軸とを互いに直交した状態で有している。そして偏光板352は、透過軸に沿って偏光する光を透過させ、吸収軸に沿って偏光する光を吸収する性質を有している。
ここで偏光板352は、例えば透光板350よりも凹面鏡側に、投射部20から投射された直線偏光の表示光における偏光方向(すなわち、偏光軸方向PAD)にその透過軸を合わせて配置されている。このような配置により、偏光板352は、表示光の多くをそのまま透光板350へ透過させる一方、収容部材10の内部が外部から視認されることを規制する。また、偏光板352は、車両1の外部から例えばウインドシールド3を介してHUD装置300に入射する太陽光等の外光の一部を遮光する。
第3実施形態によると、視認規制部が透光板350と貼り合わされた状態で、窓部12を透光板350と共に塞ぎ、収容部材10内部が外部から視認されることを規制している。これによれば、視認規制部及び透光板350を表示光がまとめて透過することにより、輝度の損失を抑制しつつ、内部を覗かれ難くすることができる。
また、第3実施形態によると、視認規制部は、偏光板352である。これによれば、直線偏光の投射光を偏光板352で透過させることで、確実に輝度の損失を抑制しつつ、装置300の内部を覗かれ難くすることができる。
(第4実施形態)
図15に示すように、本発明の第4実施形態は第2実施形態の変形例である。第4実施形態について、第2実施形態とは異なる点を中心に説明する。
第4実施形態のHUD装置400において透光板450は、第1〜3実施形態と同様に、凹面鏡40とウインドシールド3との間の光路上において、収容部材10の窓部12を塞ぐように配置されている。
第1,2実施形態の着色されていない透光板50,250に対して、第4実施形態の透光板450は、透光性を有しつつも、着色されている。本実施形態では、透光板450は、例えばスモーク調に着色される。着色における色相は、例えばインストルメントパネル2の色相と同系統であることが好ましい。
また、当該透光板450の着色方法としては、染料による透光板450基材への着色、又は透光板450表面への印刷等の方法が採用され得る。
第4実施形態によると、着色された透光板450により、部品点数の増加を抑制しつつ、装置400の内部を覗かれ難くすることができる。
(他の実施形態)
以上、本発明の複数の実施形態について説明したが、本発明は、それらの実施形態に限定して解釈されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
具体的に、変形例1としては、透光板50は、収容部材10の窓部12を塞いでいなくてもよい。この例として図16では、透光板50は、投射部20と平面鏡30の間の光路上に、光軸OAに対して板厚方向VDを傾斜させて配置されている。
変形例2としては、透光板50は、光軸OAに対して板厚方向VDを傾斜させた状態で、固定配置されたものに限らない。この例として、HUD装置100は、光軸OAに対する透光板50の板厚方向VDを変える可動機構を、さらに備えていてもよい。例えば製造工程において生じ得る投射部20の表示光の輝度の誤差、位置関係の誤差等に伴う虚像VIの視認性のばらつきを、可動機構によって調整することができる。
第3実施形態に関する変形例3としては、視認規制部として用いる偏光板352は、透光板350よりもウインドシールド3側に、配置されていてもよい。
第3実施形態に関する変形例4としては、視認規制部として用いる偏光板352は、反射型偏光板であってもよい。また、視認規制部として、偏光板352以外に、フィルム状のハーフミラーが採用されていてもよい。
変形例5としては、投射部20には、液晶パネル28を用いた方式以外の方式が採用されていてもよい。この例として、投射部20は、レーザ光束を走査して、スクリーン上に画像を描画することにより、当該画像の画素を構成するレーザ光束を表示光として投射する方式であってもよい。この場合、光軸OAは、画像の中心の画素を構成するレーザ光束の経路である。
変形例6としては、車両1以外の船舶ないしは飛行機等の各種移動体(輸送機器)に、本発明を適用してもよい。
100,200,300,400 HUD装置、1 車両(移動体)、3 ウインドシールド(投影部材)、10 収容部材、12 窓部、20 投射部、50,250,350,450 透光板、352 偏光板(視認規制部)、VI 虚像、OP 光路、OA 光軸

Claims (8)

  1. 移動体(1)に搭載され、前記移動体の投影部材(3)に表示光を反射させることにより、乗員により視認可能な虚像(VI)を表示するヘッドアップディスプレイ装置であって、
    前記表示光を投射する投射部(20)と、
    前記投射部から前記投影部材に至る光路(OP)上に配置され、透光性を有する板状の透光板(50,250,350,450)と、を備え、
    前記透光板は、板厚方向(VD)の屈折率と、前記板厚方向に対して垂直な第1延設方向(MD)の屈折率と、前記板厚方向及び前記第1延設方向に対して垂直な第2延設方向(TD)の屈折率とを互いに異ならせていると共に、光軸(OA)に対して前記板厚方向を傾斜させて配置されているヘッドアップディスプレイ装置。
  2. 中心に前記光軸が通る仮想の楕円体であって、前記板厚方向、前記第1延設方向、及び前記第2延設方向に主軸をとり、各前記主軸の長さを対応する各前記方向の屈折率の半値とする屈折率楕円体(RIE)を定義すると、
    前記屈折率楕円体の中心を通ると共に、前記光軸に垂直な断面である仮想の楕円切断面(SE)における長軸(MAA)と短軸(MIA)との長さの差の絶対値は、前記第1延設方向の屈折率と前記第2延設方向の屈折率との差の絶対値よりも大きい請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
  3. 前記透光板は、湾曲板状である請求項1又は2に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
  4. 前記透光板は、平板状である請求項1又は2に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
  5. 前記投射部を収容する収容部材(10)をさらに備え、
    前記収容部材は、前記投影部材と対向する箇所に、窓状の窓部(12)を有し、
    前記透光板は、前記窓部を塞ぐように配置される請求項1から4のいずれか1項に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
  6. 前記透光板と貼り合わされた状態で、前記窓部を前記透光板と共に塞ぎ、前記収容部材の内部が外部から視認されることを規制する視認規制部(352)をさらに備える請求項5に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
  7. 前記投射部は、前記表示光を直線偏光として投射し、
    前記視認規制部は、偏光板である請求項6に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
  8. 前記透光板は、着色されている請求項5に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
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