JP2017146147A - 時計用モジュール - Google Patents

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Hiroyuki Takahashi
裕之 高橋
小林 和弘
Kazuhiro Kobayashi
和弘 小林
恭兵 宮嶋
Kyohei Miyajima
恭兵 宮嶋
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Abstract

【課題】時計用モジュールにおいて、基板に固定するためだけのねじ孔を設けることなく、かつ接続ばねを設けることなく電子回路の基板と電気的な接続を得ることができる時計用モジュールを提供する。【解決手段】ギヤボックス1(時計用モジュールの一例)は、ステップモータ13,16と、歯車輪列17,18と、ステップモータ13,16及び歯車輪列17,18を間に挟む地板2及び受け部材8(輪列受け板5及び接続基板6,7)を有する外装部材9と、受け部材8を地板2に固定する、受け部材8の側から通されるべき7つのねじのうち3つのねじ21,22,23と、を備え、受け部材8の一部である接続基板6,7は、外方を向いた面までステップモータ13,16と電気的に接続され、他の4つのねじは、受け部材8の外側から接触する外部の基板を受け部材8とともに地板2に共締めするために、予め除去されている。【選択図】図3

Description

本発明は、時計用モジュールに関する。
クォーツ時計のような電子時計は、歯車輪列や、指針、文字板などに加えて、歯車輪列を駆動するモータや、モータを駆動する電源としての電池や、様々な機能を表現するためのプログラムが記憶された電子回路などを備えている。
従来、モータ、歯車輪列及び電子回路を備えた完成したムーブメントは、その完成したムーブメント単位で取引きされ、その完成したムーブメントの供給を受けた側で、ムーブメントに独自の文字板や指針、ケースを組み合わせて時計を製造することが行われている。
近年、これに対して、モータ及び少なくとも1つの歯車部材だけを、地板と受け部材との間に組み付けてモジュール化した、ギヤボックスとも称される時計用モジュールが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この時計用モジュールは、その時計用モジュール単位で供給が行われることが想定されている。そして、時計用モジュールの供給を受けた側で、その時計用モジュールの動作を規定する電子回路を組み合わせるが、電子回路の選択の自由度が広がることで、完成したムーブメントを用いる場合よりも、時計の構造や動作の設計自由度を高めることができる。
特表2012−516996号公報
先行技術文献に記載の時計用モジュールは、モータ及び歯車部材を挟んでいる地板と受け部材とがねじで固定されているが、地板又は受け部材には、電子回路の基板に固定するためのねじ孔が必要であり、地板と受け部材とを締結するねじ孔とは別に、外装に、基板への固定用のねじ孔を設ける必要がある。
また、時計用モジュールに組み込まれたモータを駆動するために、時計用モジュールと電子回路との間で電気的な接続を行う必要がある。そして、先行技術文献に記載された時計用モジュールは、その電気的な接続のために、モータと導通する、外装から突出したコイルスプリング(接続ばね)が設けられている。そして、時計用モジュールを電子回路の基板にねじで固定した状態(明細書段落[0086]及び図面[図25])で、接続ばねが電子回路の基板に接触するようになっている(明細書段落[0063]及び図面[図21])。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、外装に、電子回路の基板に固定するためだけのねじ孔を設ける必要がなく、しかも、接続ばねを設けることなく電子回路の基板と電気的な接続を得ることができる時計用モジュールを提供することを目的とする。
本発明は、ステップモータと、前記ステップモータによって駆動される少なくとも1つの歯車部材と、前記ステップモータ及び前記歯車部材を間に挟む地板及び受け部材を有する外装部材と、前記受け部材を前記地板に固定する、前記受け部材の側から通されるべき複数のねじのうち少なくとも1つと、を備え、前記受け部材の一部は、前記外装部材として外方を向いた面まで、前記ステップモータと電気的に接続され、前記複数のねじのうち前記少なくとも1つのねじを除いた他の少なくとも1つのねじは、前記受け部材の外側から接触する外部の基板を前記受け部材とともに前記地板に共締めするために、予め除去されている時計用モジュールである。
本発明に係る時計用モジュールによれば、外装に、電子回路の基板に固定するためだけのねじ孔を設ける必要がなく、しかも、接続ばねを設けることなく電子回路の基板と電気的な接続を得ることができる。
本発明に係る時計用モジュールの一実施形態であるギヤボックスを文字板側から見た斜視図である。 図1のギヤボックスの平面図である。 図1のギヤボックスの底面図である。 ギヤボックスが固定される、電子回路が形成された外部の基板を示す斜視図である。 図3におけるI−I線に沿った、コイルを切断した断面を表す断面図である。 地板に外側から重ね合わされた耐磁板を示す平面図である。 図3におけるII−II線に沿った、孔を切断した断面を表す断面図である。 接続基板の表(おもて)面(電子回路の基板を向いた面/外装部材として外方を向いた面)を示す平面図である。 接続基板の裏面(ステータを向いた面)を示す平面図である。 図3におけるIII−III線に沿った、孔を切断した断面を表す断面図である。 主に、ギヤボックスにおける地板、輪列受け板、歯車輪列をそれぞれ地板、輪列受け板、歯車輪列に代えたギヤボックスを示す図であり、基板に固定される底面から見た底面図である。 主に、ギヤボックスにおける地板、輪列受け板、歯車輪列をそれぞれ地板、輪列受け板、歯車輪列に代えたギヤボックスを示す図であり、文字板に向いた天面から見た平面図である。
以下、本発明に係る時計用モジュールの実施形態について、図面を用いて説明する。
<ギヤボックスの構成>
図1は本発明に係る時計用モジュールの一実施形態であるギヤボックス1を文字板側から見た斜視図、図2は図1のギヤボックス1の平面図、図3は図1のギヤボックス1の底面図である。図4は、ギヤボックス1が固定される、電子回路が形成された外部の基板20を示す斜視図である。
図示のギヤボックス1は、図2に示す地板2及び図3に示す受け部材8を有する外装部材9と、図1に示す2つのステップモータ13,16と、ステップモータ13によって駆動される歯車輪列17(歯車部材の一例)及びステップモータ16によって駆動される歯車輪列18(歯車部材の一例)と、を備えた時計用モジュールである。
ギヤボックス1は、受け部材8が設けられた底面1B(図3参照)が、図4に示した電子回路の基板20に4つのねじ26,27,28,29で固定されて、基板20の図示における下面20Bに形成された電子回路を通じた制御により駆動される。
図5は図3におけるI−I線に沿った、コイル11を切断した断面を表す断面図である。なお、他のコイル12,14,15を切断した断面も図5と同様である。ステップモータ13は、2つのコイル11,12と、各コイル11,12のコイル芯11a,12aに接して磁気回路を形成するステータ13aと、ロータ13bと、コイル端子シート11b,12bとを備えている。コイル端子シート11bには、コイル11の巻き線の両端がそれぞれ電気的に接続された配線パターンが形成されている。コイル11の巻き線と配線パターンとの接続部は接着剤11dで固められている。同様に、コイル端子シート12bには、コイル12の巻き線の両端がそれぞれ電気的に接続された配線パターンが形成されている。
そして、ステップモータ13は、各コイル端子シート11b,12bを通じたコイル11,12への通電によってコイル芯11a,12aからステータ13aに発生した磁界により、ロータ13bを回転させる。ロータ13bに噛み合わされた歯車輪列17が、ロータ13bの回転にしたがって回転する。
ステップモータ16もステップモータ13と同様であり、2つのコイル14,15と、各コイル14,15のコイル芯に接して磁気回路を形成するステータ16aと、ロータ16bと、コイル端子シート14b,125とを備えている。コイル端子シート14bには、コイル14の巻き線の両端がそれぞれ電気的に接続された配線パターンが形成され、コイル端子シート15bには、コイル15の巻き線の両端がそれぞれ電気的に接続された配線パターンが形成されている。
そして、ステップモータ16は、各コイル端子シート14b,15bを通じたコイル14,15への通電によってコイル芯からステータ16aに発生した磁界により、ロータ16bを回転させる。ロータ16bに噛み合わされた歯車輪列18が、ロータ16bの回転にしたがって回転する。歯車輪列17の動作と歯車輪列18の動作とが中心Cに設けられた出力軸1J(図2参照)において合成される。なお、歯車輪列17,18は、それぞれ1つの歯車を備えていてもよいし、2つ以上の歯車を備えていてもよい。
地板2は樹脂材料で形成されていて、図2に示すように、時計の文字板側に向いた天面1Aの側に配置されている。受け部材8も樹脂材料で形成されているが、受け部材8は、文字板側とは反対側で、ギヤボックス1が取り付けられる相手方である電子回路の基板20に取り付けられる底面1Bの側に配置されている。そして、地板2と受け部材8とは、各ステップモータ13,16及び各歯車輪列17,18を間に挟んで保持している。具体的には、歯車輪列17を構成する歯車の軸心17a,17b及び歯車輪列18を構成する歯車の軸心18a,18bがそれぞれ、図2に示す地板2と図3に示す受け部材8とで両端を回転自在に支持されている。
図6は地板2に外側から重ね合わされた耐磁板3,4を示す平面図である。地板2には、例えばSUS材などの磁性材料で形成された図5に示す耐磁板3,4が外側から重ね合わされている。耐磁板3は、図2の平面視で、ステップモータ13の少なくとも一部(例えば、ステータ13aやコイル11,12)と重なるように配置され、耐磁板4は、図2の平面視で、ステップモータ16の少なくとも一部(例えば、ステータ16aやコイル14,15)と重なるように配置されている。耐磁板3と耐磁板4とは同一であるため、いずれか一方の耐磁板3(又は耐磁板4)を他方の耐磁板4(又は耐磁板3)として利用することができる。
耐磁板3,4は、中心線C1に対する一方の側にのみ、凹んだ輪郭形状3d,4dを有する非対称に形成されている。この凹んだ輪郭形状3d,4dは、地板2に重ね合わされた状態で、図2に示すように、地板2に形成された凸状の輪郭形状2m,2nにそれぞれ組み合わされる。したがって、例えば、耐磁板3,4を誤って裏返しの状態で地板2に重ね合わせようとしても、耐磁板3,4の凹んだ輪郭形状3d,4dと地板2の凸状の輪郭形状2m,2nとが嵌め合わされずに耐磁板3,4が浮いてしまうため、地板2に対する耐磁板3,4の誤組み立てを防止することができる。
図7は図3におけるII−II線に沿った、孔5eを切断した断面を表す断面図である。なお、他の孔5d,5f,5gを切断した断面も図6と同様である。耐磁板3(4)は、周囲に3つの孔3a(4a),3b(4b),3c(4c)が形成されている。そして、図1,2に示すように、これら3つの孔3a(4a)〜3c(4c)のうち1つの孔3b(4b)には、図7に示すように、地板2から受け部材8まで貫通したBS材(真鍮(黄銅))や樹脂等の非磁性材料で形成されたねじ用スリーブ38が配置されている。
ねじ用スリーブ38には、孔3b(4b)に通されるべきねじ24(25)と締結される雌ねじが形成されている。そして、耐磁板3(4)の外側から孔3b(4b)のみに通された1本のねじ24(25)がねじ用スリーブ38に噛み合って締結され、耐磁板3(4)は地板2などに固定されている。
受け部材8は、歯車輪列17,18を覆う輪列受け板5と、2つの接続基板6,7(受け部材の一部に相当)とにより構成されている。輪列受け板5は樹脂製で、ギヤボックス1の平面視(図2,3参照)での中心Cの周囲に配置された歯車輪列17,18を覆う領域に配置されていて、地板2との間で、歯車輪列17,18を回転自在に支持している。輪列受け板5には、地板2に固定するねじが通される5つの孔5c,5d,5e,5f,5gが形成されている。なお、輪列受け板5の一部はステップモータ13,16の側に張り出していて、それら張り出した張り出し部5a、5bは、ステップモータ13のロータ13b及びステップモータ16のロータ16bをそれぞれ回転自在に支持している。
なお、図3に示すように、地板2には、外周部のうち各コイル11,12,14,15の側方に隣接する部分にそれぞれリブ2aが形成されている。これらのリブ2aは、受け部材8に向かって立ち上がって形成されており、コイル11,12,14,15が側方にわずかにずれたとき、リブ2aに当たって、各コイル11,12,14,15が側方に脱落するのを防止している。
接続基板6,7は、輪列受け板5と同様に樹脂製であり、接続基板6と接続基板7とは同一である。したがって、いずれか一方の接続基板6(又は接続基板7)を他方の接続基板7(又は接続基板6)として利用することができる。接続基板6は、ギヤボックス1の平面視で主にステップモータ13のステータ13aを覆う領域に配置されている。同様に、接続基板7は、ギヤボックス1の平面視で主にステップモータ16のステータ16aを覆う領域に配置されている。
図8Aは、接続基板6(7)の表(おもて)面(電子回路の基板20を向いた面/外装部材9として外方を向いた面)6A(7A)を示す平面図、図8Bは、接続基板6(7)の裏面(ステータ13a(16a)を向いた面)6B(7B)を示す平面図である。接続基板6(7)は、三つ又に分岐した形状に形成されている。接続基板6(7)は、それら3つの分岐部6k(7k),6p(7p),6q(7q)のうち、1つの分岐部6k(7k)の中心線Lに対して、他の2つの分岐部6p(7p)と分岐部6q(7q)とが略線対称に形成されている。分岐部6p(7p)と分岐部6q(7q)との間の凹形状部6r(7r)は、輪列受け板5の張り出し部5a(5b)と組み合わされるように形成されている。
各分岐部6k(7k),6p(7p),6q(7q)の先端付近にはそれぞれ孔6s(7s),6t(7t),6u(7u)が形成されている。そして、表面6A(7A)における孔6s(7s)の周囲には、銅箔等による電気的な接続のための配線パターン6a(7a),6b(7b),6c(7c),6d(7d)が形成されている。また、表面6A(7A)における他の孔6t(7t),6u(7u)の周囲にも、銅箔等によるパターン6e(7e),6f(7f)が形成されているが、このパターン6e(7e),6f(7f)は、孔6t(7t),6u(7u)の周囲の強度を向上させるために形成されたものであり、電気的な接続には寄与しない。これらの配線パターン6a(7a),6b(7b)と配線パターン6c(7c),6d(7d)は、中心線Lに対して略線対称に形成されている。
同様に、裏面6B(7B)における孔6s(7s)の周囲には、銅箔等による電気的な接続のための配線パターン6g(7g),6h(7h),6i(7i),6j(7j)が形成され、他の孔6t(7t),6u(7u)の周囲には強度向上のための銅箔等によるパターン6m(7m),6n(7n)が形成されている。配線パターン6g(7g),6h(7h)と配線パターン6i(7i),6j(7j)も、中心線Lに対して略線対称に形成されている。
接続基板6の配線パターン6g,6iは、コイル端子シート11bに形成された配線パターンと電気的に接続され、配線パターン6h,6jは、コイル端子シート12bに形成された配線パターンと電気的に接続されて、接続基板6を通じてステップモータ13(コイル11,12)への通電が可能となっている。同様に、接続基板7の配線パターン7g,7iは、コイル端子シート15bに形成された配線パターンと電気的に接続され、配線パターン7h,7jは、コイル端子シート14bに形成された配線パターンと電気的に接続されて、接続基板7を通じてステップモータ16(コイル14,15)への通電が可能となっている。
接続基板6(7)の表面6A(7A)の配線パターン6a(7a)との裏面6B(7B)の配線パターン6g(7g)とはスルーホールで導通している。配線パターン6b(7b)と配線パターン6h(7h)、配線パターン6c(7c)と配線パターン6i(7i)、配線パターン6d(7d)と配線パターン6j(7j)も同様に、それぞれスルーホールで導通している。
つまり、接続基板6(7)の表面6A(7A)の配線パターン6a(7a)〜6d(7d)は、ステップモータ13(16)と電気的に接続されている。したがって、接続基板6(7)の表面6A(7A)の配線パターン6a(7a)〜6d(7d)への通電により、ステップモータ13(16)を動作させることができる。
なお、接続基板6(7)は、その表面6A(7A)の配線パターン6a(7a)〜6d(7d)、裏面6B(7B)の配線パターン6g(7g)〜6j(7j)及び形状がいずれも中心線Lに対して略線対称で、しかも、表面6A(7A)の配線パターン6a(7a)〜6d(7d)及び裏面6B(7B)の配線パターン6g(7g)〜6j(7j)とは配線パターンとして同じである。したがって、例えば、接続基板6,7は、表面6A,7Aと裏面6B,7Bとを意識して区別することなく、表面6A,7A又は裏面6B,7Bでも任意に選択して受け部材8として組み付けることができる。
接続基板6(7)の表面6Aにおける配線パターン6a(7a)〜6d(7d)は、このギヤボックス1が外部の基板20(図4参照)に固定された状態において、後述する図9に示すように、基板20の下面20Bに形成された電子回路と接して電気的に導通する。
ここで、輪列受け板5の一部と接続基板6の一部とは、図5に示すように、ステップモータ13の側から、輪列受け板5、接続基板6の順で積層して配置されている。この積層されている部分は、接続基板6において、凹形状部6rを挟んだ2つの分岐部6p,6qであり、輪列受け板5において、張り出し部5aを挟んだ2つの部分である。輪列受け板5は、図5に示すように、裏面5Bがコイル芯11a,12aに上方から接して配置されている。
輪列受け板5と接続基板6とが積層されている部分では、輪列受け板5の厚さが、裏面5Bを基準として、他の部分よりも、接続基板6の厚さ分だけ薄く形成されている。そして、輪列受け板5の、厚さが他の部分よりも薄い部分に接続基板6が上方から接して配置されることにより、輪列受け板5の表面5Aと接続基板6の表面6Aとが同じ高さ位置になるように配置されている。なお、輪列受け板5の表面5A及び接続基板6の表面6Aは、ギヤボックス1の厚さ方向において、コイル11,12よりも、ギヤボックス1の底面1Bに固定される基板20の方に突出している。
したがって、輪列受け板5及び接続基板6の表面5A,6Aの側に、二点鎖線で示す基板20が取り付けられた場合にも、基板20はコイル11,12に干渉することがない。よって、コイル11,12との干渉を避けるために、基板20に、コイル11,12を逃げる凹状の空間を形成する必要がない。
なお、輪列受け板5の一部と接続基板7の一部とについても同様に、ステップモータ16の側から、輪列受け板5、接続基板7の順で積層して配置されている。この積層されている部分は、接続基板7において、凹形状部7rを挟んだ2つの分岐部7p,7qであり、輪列受け板5において、張り出し部5bを挟んだ2つの部分である。輪列受け板5は、裏面5Bがコイル14,15の各コイル芯に上方から接して配置されている。
輪列受け板5には、地板2と締結するねじが通される孔5c,5d,5e,5f,5gが形成されている。接続基板6,7にはそれぞれ、前述したように孔6s,6t,6u及び孔7s,7t,7uが形成されている。ここで、輪列受け板5の孔5d,5eは、接続基板6と積層される部分に形成されていて、孔5dは孔6tと重なり、孔5eは孔6uと重なる。また、輪列受け板5の孔5f,5gは、接続基板7と積層される部分に形成されていて、孔5fは孔7uと重なり、孔5gは孔7tと重なる。
輪列受け板5と接続基板6,7とからなる受け部材8は、歯車輪列17,18及びステップモータ13,16をバランスよく支持する観点で、本来は、これらの孔5c,6t,5d,6u,5e,6s,7u、5f,7t,5g,7sの全てにねじを通した締結状態として、これによって受け部材8は地板2に固定される。しかし、本実施形態のギヤボックス1は、図3に示すように、孔5c,6u,5e,7t,5gの3か所だけにねじ21,22,23が通されている。具体的には、孔5c、孔6u,5e及び孔7t,5gにはそれぞれ、図7に示した、地板2の側から受け部材8まで貫通した非磁性材料(例えば、BS材)のねじ用スリーブ38が配置されている。
そして、受け部材8の外側から孔5cに通された1本のねじ21がねじ用スリーブ38に噛み合って締結され、孔6u,5eに通された1本のねじ22がねじ用スリーブ38に噛み合って締結され、孔7t,5gに通された1本のねじ23がねじ用スリーブ38に噛み合って締結されて、受け部材8は地板2などに固定されている。なお、輪列受け板5の孔5cの周囲は、表面5Aよりも、ねじ21の頭の厚さ分よりも凹んで形成されている。したがって、ギヤボックス1に取り付けられた基板20はねじ21に干渉することがない。
一方、孔6t,5d,6s,7u、5f,7sには、ねじが通されておらず、地板2に固定されていない。すなわち、孔6t,5d,7u、5fについては、図5に示すように、地板2の側から受け部材8(接続基板6(7))まで貫通した非磁性材料(例えば、BS材)のねじ用スリーブ39は配置されているが、受け部材8(接続基板6(7))の外側から、ねじ用スリーブ39に締結されるべきねじが設けられておらず、予め除去された状態となっている。つまり、通されるべきねじのための孔6t,5d,7u、5fが形成されてねじが通されていない状態となっている。なお、ねじ用スリーブ39には、通されるべきねじが締結される雌ねじが形成されている。
図9は、図3におけるIII−III線に沿った、孔6sを切断した断面を表す断面図である。なお、他の孔7sを切断した断面も図9と同様である。そして、孔6s,7sについては、図9に示すように、地板2の側から受け部材8(接続基板6(7))まで貫通した非磁性材料(例えば、BS材)のねじ用スリーブ40は配置されているが、受け部材8(接続基板6(7))の外側から、ねじ用スリーブ40に締結されるべきねじが設けられておらず、予め除去された状態となっている。つまり、通されるべきねじのための孔6s,7sが形成されてねじが通されていない状態となっている。なお、ねじ用スリーブ40には、通されるべきねじが締結される雌ねじが形成されている。
つまり、接続基板6,7は、それぞれ3つの孔6s,6t,6u,7s,7t,7uのうち、それぞれ1つの孔6u,7tのみがねじ22,23で固定されているだけであり、他のそれぞれ2つの孔6s,6t,7s,7uは、ねじで固定されていない状態となっている。同様に、輪列受け板5は、5つの孔5c,5d,5e,5f,5gのうち、3つの孔5c,5e,5gのみがねじ21,22,23で固定されているだけであり、他の2つの孔5d,5fは、ねじで固定されていない状態となっている。
<ギヤボックスの作用>
以上のように構成されたギヤボックス1によると、歯車輪列17,18及びステップモータ13,16を挟んで支持している外装部材9は、受け部材8から地板2に通されるべき7つのねじのうち3つのねじ21,22,23だけが通されて締結されているだけである。しかし、3つのねじ21,22,23は、輪列受け板5をバランスよく(重心を内部に含むように)、ねじ用スリーブ38を介して地板2に固定しているため、輪列受け板5を安定して固定することができる。そして、3本のねじ21,22,23は、歯車輪列17,18を周囲から取り囲む三角形の配置であるため、輪列受け板5によって歯車輪列17,18を安定して支持することができる。
また、ねじ22は、ねじ用スリーブ38を介して輪列受け板5と接続基板6とを地板2に共締めしているため、受け部材8を輪列受け板5と接続基板6,7との3部品に分割したものであっても、輪列受け板5と接続基板6とを1本のねじ22で安定して固定することができる。これにより、輪列受け板5と接続基板6とに挟まれたステップモータ13を安定して支持することができる。同様に、ねじ23は、ねじ用スリーブ38を介して輪列受け板5と接続基板7とを地板2に共締めしているため、受け部材8を輪列受け板5と接続基板6,7との3部品に分割したものであっても、輪列受け板5と接続基板7とを1本のねじ23で安定して固定することができる。これにより、輪列受け板5と接続基板7とに挟まれたステップモータ16を安定して支持することができる。
そして、ギヤボックス1は、図4に示すように、基板20の下面20Bに、ねじ26,27,28,29で固定することができる。ここで、基板20には、6個の孔20b,20c,20d,20e,20f,20gが形成されている。孔20bはねじ22(図3参照)に対応する位置においてねじ22の頭よりも大きく形成され、孔20cはねじ23に対応する位置においてねじ23の頭より大きく形成されている。
したがって、例えば図7に示すように、ギヤボックス1の表面6Aを基板20の下面20Bに密着させた状態で、ねじ22の頭がギヤボックス1の表面6Aから突出していても、孔20bがねじ22の頭を逃げるため、基板20がねじ22の頭に乗り上げるのを防止している。もう一方の孔20cについても同様である。
また、孔20dは固定されるギヤボックス1の受け部材8の孔6t,5d(図3参照)に対応する位置であり、孔20eは孔6sに対応する位置であり、孔20fは孔7u,5fに対応する位置であり、孔20gは孔7sに対応する位置である。そして、ギヤボックス1は、受け部材8と地板2とを互いに固定する上で孔6t,5d、孔6s、孔7u,5f及び孔7sに通されるべきねじが取り外されている(除去されている)。したがって、ギヤボックス1を基板20の下面1Bに接触させた状態で、孔20d,20e,20f,20gに、図4に示すように、基板20の上面20Aの側から、ねじ26,27,28,29を通すことで、基板20と受け部材8とを地板2に共締めすることができる。
具体的には、孔20dにねじ26を通して、図5に示すように、孔6t,5dに配置されたねじ用スリーブ39にねじ26を締結させることで、ねじ26によって、基板20と受け部材8(輪列受け板5及び接続基板6)とを共締めして、地板2に固定することができる。同様に、孔20fにねじ28を通して、孔7u,5fに配置されたねじ用スリーブ39にねじ28を締結させることで、ねじ28によって、基板20と受け部材8(輪列受け板5及び接続基板6)とを共締めして、地板2に固定することができる。
また、孔20eにねじ27を通して、図9に示すように、孔6sに配置されたねじ用スリーブ40にねじ27を締結させることで、ねじ27によって、基板20と受け部材8(接続基板6)とを共締めして、地板2に固定することができる。同様に、孔20gにねじ29を通して、孔7sに配置されたねじ用スリーブ40にねじ29を締結させることで、ねじ29によって、基板20と受け部材8(接続基板6)とを共締めして、地板2に固定することができる。
このように、ギヤボックス1は、基板20に固定される際に、ギヤボックス1に締結されているねじを一旦外すという操作を行う必要がない。しかも、ギヤボックス1は、基板20に固定されるためだけに用いられる孔を、受け部材8と地板2とを固定するのに本来必要とされるねじ用の孔とは別に備えていない。したがって、ギヤボックス1は、歯車輪列17,18及びステップモータ13,16を脱落させることなく、基板20に固定されるためだけに用いられる孔をさらに設けたものに比べて剛性が低下するのを防止することができる。
しかも、ギヤボックス1は、単体では除去されていたねじが通されるべき孔に、基板20への固定用に通されたねじで固定されることにより、接続基板6,7に形成された配線パターン6a(7a),6b(7b),6c(7c),6d(7d)を、基板20の下面20Bに形成された電子回路と接触させて電気的な接続を得ることができ、基板20の電子回路による制御で、ギヤボックス1を動作させることができる。
そして、ギヤボックス1は、いわゆる接続ばね(コイルスプリング)のような、外装部材9から突出した構造物を無くし、ギヤボックス1を単体で搬送する場合の占有容積を減らすとともに、そのような突出した構造物を保護するための手間や保護材を必要としない。また、接続基板6,7に形成された配線パターン6a,6b,6c,6d,7a,7b,7c,7dと基板20との接触は、接続ばねと基板20との接触よりも密着性が高く、しかも、構造も簡略化される。
なお、配線パターン6a(7a),6b(7b),6c(7c),6d(7d)が周囲に形成された孔6s(7s)が、ねじ27,29により基板20と共締めされるため、配線パターン6a(7a),6b(7b),6c(7c),6d(7d)と基板20の電子回路との密着性を一層高めることができ、ギヤボックス1と基板20との電気的な接続の信頼性を高めることができる。
また、ギヤボックス1は、ステップモータ13の少なくとも一部と平面視で重なるように配置された耐磁板3及びステップモータ16の少なくとも一部と平面視で重なるように配置された耐磁板4を備えている。したがって、ギヤボックス1の単体でステップモータ13,16への外部磁界の影響を低減することができる。そして、このギヤボックス1を用いて時計を組み立てる場合に、その時計を組み立てる側で、ギヤボックス1のステップモータ13,16を外部磁界から保護するための耐磁板を別途用意する必要がない。
また、ギヤボックス1は、図7に示すように、耐磁板3,4を固定するねじ24,25を、ねじ用スリーブ38に締結している。このねじ用スリーブ38は非磁性材料であるため磁性を有しない。ここで、ねじ24,25は、ステータ13a,16aも固定している。したがって、ねじ24,25が磁性材料である場合、仮に、ねじ24,25を、非磁性材料のねじ用スリーブ38を用いずに、ねじ24,25を耐磁板3,4及びステータ13a,16aに接触させたり、又は磁性材料のねじ用スリーブを用いたりすると、耐磁板3(4)、ねじ24(25)、ステータ13a(16a)又は耐磁板3(4)、磁性材料のねじ用スリーブ、ステータ13a(16a)という磁性材料の繋がりができて、耐磁板3,4による一般的なモータの性能(駆動力、ロータの保持力等)が低下するおそれがある。
しかし、本実施形態のギヤボックス1は、耐磁板3,4とステータ13a,16aとの間に、非磁性材料で形成されたねじ用スリーブ38が介在するため、耐磁板3,4とステータ13a,16aとの間で磁性材料の繋がりができない。したがって、耐磁板3,4による一般的なモータの性能(駆動力、ロータの保持力等)が低下するのを防止することができる。
なお、磁性材料のねじ24,25に代えてBS材等の非磁性材料のねじで耐磁板3,4を固定する場合は、非磁性材料のねじ用スリーブ38を用いなくても、本実施形態のギヤボックス1と同様の効果を得ることができる。また、耐磁板3,4が、ねじではなく、カシメ、接着又は両面テープなどで地板2に固定されている場合も、本実施形態のギヤボックス1と同様に、耐磁板3,4による一般的なモータの性能(駆動力、ロータの保持力等)が低下するのを防止することができる。
なお、耐磁板4を固定するねじ25とギヤボックス1を基板20に固定するねじ28とが両方とも磁性材料(例えば、SUS材など)であるときは、これらのねじ25,28を取り付けた状態で、ねじ25,28の先端同士が接触しないように空気のギャップを形成することが好ましい。仮に、これらねじ25,28の先端同士が接触すると、耐磁板4、ねじ25、ねじ28という磁性材料の繋がりがギヤボックス1と基板20との間で形成され、一般的なモータの性能(駆動力、ロータの保持力等)が低下するおそれがある。しかし、空気ギャップが形成されていることにより、空気抵抗によって磁性材料の繋がりを遮断し、モータの性能(駆動力、ロータの保持力等)が低下するおそれを回避することができる。
<変形例>
上述した実施形態のギヤボックス1は、4つコイル11,12,14,15で構成された2つのステップモータ13,16及び2つの歯車輪列17,18を備えたものであるが、本発明に係る時計用モジュールは、この形態に限定されるものではない。すなわち、本発明に係る時計用モジュールは、1つのステップモータ及び1つの歯車部材を備えていてもよいし、3つ以上のステップモータを備えていてもよい。
図10,11は、主に、ギヤボックス1における地板2、輪列受け板5、歯車輪列17をそれぞれ地板102、輪列受け板105、歯車輪列117に代えたギヤボックス101を示す図であり、図10は基板20に固定される底面101Bから見た底面図、図11は文字板に向いた天面101Aから見た平面図である。
ギヤボックス101は、1つのステップモータ13及び1つの歯車輪列117を、1つの接続基板6及び1つの輪列受け板105で構成される受け部材108と1つの耐磁板3が設けられた地板102とからなる外装部材109で挟んで支持したものであり、本発明に係る時計用モジュールの他の一実施形態である。このギヤボックス101は、地板102、輪列受け板105及び歯車輪列117が異なる以外は、基本的にギヤボックス1と同じ構成である。
なお、ギヤボックス101の輪列受け板105は、固定用のねじが通されるべき3つの孔のうち、孔105dはねじが予め除去されており、他の2つの孔にはねじ21,22が通されて、ねじ21,22により輪列受け板105は地板102に固定されている。ねじ22は、輪列受け板105と接続基板6とが積層されている部分に形成された孔に通されていて、このねじ22により、積層された輪列受け板105と接続基板6とが共締めされている。
接続基板6は、孔6t,6sにねじが通されず、ねじは予め除去されている。そして、ギヤボックス101が、電子回路が形成された外部の基板(実施形態における基板20に相当)に固定されるねじにより、孔6t、105dと孔6sとがそれぞれ通されて、ギヤボックス101は基板に固定される。このように、ギヤボックス101は、ギヤボックス1と同様の作用・効果を発揮する。
ギヤボックス1は、受け部材8を、輪列受け板5と接続基板6,7との3つの部品で構成し、ギヤボックス101は、受け部材108を、輪列受け板105と接続基板6との2つの部材で構成しているが、本発明に係る時計用モジュールはこの形態に限らず、受け部材8,108をそれぞれ一体の部材で構成してもよい。
ギヤボックス1,101は、輪列受け板5,105の一部と接続基板6,7の一部とが積層されて、その積層された部分がねじ22により地板2,102に固定された構成であるが、本発明に係る時計用モジュールは、輪列受け板の一部と接続基板の一部とが積層されていなくてもよく、また、その積層された部分が地板に固定されていなくてもよい。
また、本発明に係る時計用モジュールは、輪列受け板の一部と接続基板の一部とが積層されている場合に、ステップモータの側から、輪列受け板、接続基板の順で積層していなくてもよく、ステップモータの側から、接続基板、輪列受け板の順で積層していてもよい。さらに、輪列受け板の一部と接続基板の一部とが積層されている部分に形成された孔に通されるべきねじは、予め除去されていなくてもよく、したがって、そのねじは通されて締結されていてもよい。
本発明に係る時計用モジュールは、接続基板の表面及び裏面に形成された配線パターンがそれぞれ線対称でなくてもよく、表面の配線のパターンと裏面の配線パターンとが回路として同一でなくてもよい。
本発明に係る時計用モジュールは、平面視でステップモータに重なる部分に耐磁板を備えなくてもよい。
1 ギヤボックス
2 地板
3,4 耐磁板
5 輪列受け板
6,7 接続基板
8 受け部材
9 外装部材
13,16 ステップモータ
17,18 歯車輪列
20 基板
21,22,23 ねじ
C 中心

Claims (6)

  1. ステップモータと、前記ステップモータによって駆動される少なくとも1つの歯車部材と、前記ステップモータ及び前記歯車部材を間に挟む地板及び受け部材を有する外装部材と、前記受け部材を前記地板に固定する、前記受け部材の側から通されるべき複数のねじのうち少なくとも1つと、を備え、
    前記受け部材の一部は、前記外装部材として外方を向いた面まで、前記ステップモータと電気的に接続され、
    前記複数のねじのうち前記少なくとも1つのねじを除いた他の少なくとも1つのねじは、前記受け部材の外側から接触する外部の基板を前記受け部材とともに前記地板に共締めするために、予め除去されている時計用モジュール。
  2. 前記受け部材は、前記歯車部材を覆う輪列受け板と、前記ステップモータに電気的に接続された接続基板とを有し、
    前記輪列受け板の一部と前記接続基板の一部とは積層して配置され、
    前記輪列受け板の一部と前記接続基板の一部とが積層して配置された部分が、前記少なくとも1つのねじにより、前記地板に固定されている請求項1に記載の時計用モジュール。
  3. 前記輪列受け板の一部と前記接続基板の一部とは、前記ステップモータの側から、前記輪列受け板、前記接続基板の順で積層して配置され、
    前記輪列受け板の一部と前記接続基板の一部とが積層して配置された部分のうち一部については、前記他の少なくとも1つのねじが予め除去されている請求項2に記載の時計用モジュール。
  4. 前記接続基板の表面に形成された電気的な接続のための配線パターン及び裏面に形成された電気的な接続のための配線パターンはそれぞれ線対称で、かつ前記表面に形成された配線パターンと前記裏面に形成された配線パターンとが同じである請求項2又は3に記載の時計用モジュール。
  5. 地板の外側であって、平面視で前記ステップモータに重なる部分に、耐磁板を備えた請求項1から4のうちいずれか1項に記載の時計用モジュール。
  6. 前記耐磁板を前記地板に固定するためのねじと締結されるねじ用スリーブを備え、前記ねじ用スリーブが非磁性材料である請求項5に記載の時計用モジュール。
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