JP2017145223A - 亜塩素酸イオン徐放性組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】亜塩素酸塩を高配合とした場合でも組成物スラリーの流動性の経時変化が少なく、注型固化性に優れ、かつ、二酸化塩素の発生が少なく、安全性の高い亜塩素酸イオン徐放性組成物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】亜塩素酸塩と、難水溶性の塩と、水とを含む固化物よりなる亜塩素酸イオン徐放性組成物であって、亜塩素酸塩を15〜60重量%、アルカリ成分を1〜10重量%、難水溶性の塩を3〜62重量%、水を12〜40重量%含む亜塩素酸イオン徐放性組成物。この亜塩素酸イオン徐放性組成物を、亜塩素酸塩水溶液にアルカリ成分及び難水溶性の塩を加えて混合した後に、粉末状の亜塩素酸塩を後添加し、得られたスラリーを注型、固化することにより製造する方法。
【選択図】なし
【解決手段】亜塩素酸塩と、難水溶性の塩と、水とを含む固化物よりなる亜塩素酸イオン徐放性組成物であって、亜塩素酸塩を15〜60重量%、アルカリ成分を1〜10重量%、難水溶性の塩を3〜62重量%、水を12〜40重量%含む亜塩素酸イオン徐放性組成物。この亜塩素酸イオン徐放性組成物を、亜塩素酸塩水溶液にアルカリ成分及び難水溶性の塩を加えて混合した後に、粉末状の亜塩素酸塩を後添加し、得られたスラリーを注型、固化することにより製造する方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、工業排水、下水道等の殺菌、消毒等の目的に使用される亜塩素酸イオン徐放性組成物とその製造方法に関する。
水溶液中にて亜塩素酸イオンを放出する亜塩素酸塩は高い酸化力を有するため、殺菌、消毒、パルプ漂白などの分野に広く利用されている。
亜塩素酸塩を溶解した水溶液中に酸の添加や、紫外線照射を行うと、水溶液中の亜塩素酸イオンが活性化、分解されて二酸化塩素(ClO2)が発生する。この二酸化塩素は水に非常に溶けやすい性質を有しており、殺菌効果の高い消毒薬として知られている。
しかし、亜塩素酸塩又はその水溶液を被処理水中に直接投入した場合、急激に亜塩素酸イオン濃度が上昇するため、殺菌成分である亜塩素酸イオンを所望の速度にて放出制御することが困難である。従って、亜塩素酸イオンの徐放性と、放出持続性に優れた、亜塩素酸イオン徐放性組成物が求められている。
また、亜塩素酸塩自体は不安定な物質であり、長期の保存や運搬に難があり、かつ亜塩素酸塩を高濃度に含有する組成物は、爆発等の危険性を有する危険物に該当する。
また、亜塩素酸塩自体は不安定な物質であり、長期の保存や運搬に難があり、かつ亜塩素酸塩を高濃度に含有する組成物は、爆発等の危険性を有する危険物に該当する。
特許文献1には、亜塩素酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩と、吸水能を持った粉末と、硫酸カルシウムの半水塩又は一水塩とを加えた混合物を主成分とし、これらを混合して注型固化させた固形組成物が開示され、この組成物によれば、二酸化塩素ガスを徐々に長期間にわたって発生可能であることが記載されている。
上記したように、特許文献1には、亜塩素酸塩を硫酸カルシウム半水塩又は一水塩によって固形化した固形剤組成物が開示されているが、二酸化塩素を発生し易く、化学的な安定性に乏しいものである。また、該文献に記載されている組成物の亜塩素酸塩の含有量は高々10重量%程度である。
即ち、特許文献1に開示されている固形剤組成物の製造方法で、亜塩素酸塩を10重量%より多く配合しようとすると、組成物スラリーが固化し難く、亜塩素酸塩を高配合した固形組成物の製造は困難であった。
したがって、本発明の目的は、亜塩素酸塩を15重量%以上の高配合とした場合でも組成物スラリーの流動性の経時変化が少なく、注型固化性に優れ、かつ、二酸化塩素の発生が少なく、安全性の高い亜塩素酸イオン徐放性組成物及びその製造方法を提供することである。
本発明者等は鋭意検討した結果、亜塩素酸イオン徐放性組成物に所定量のアルカリ成分を含有させることによって、亜塩素酸塩を高配合とした場合でも組成物スラリーの流動性の経時変化が少なく、注型固化性に優れ、かつ、二酸化塩素の発生が少なく、安全性の高い亜塩素酸イオン徐放性組成物を実現できることを見出した。
また、本発明のように、予め亜塩素酸塩を溶解させておいた水溶液に硫酸カルシウムのような難水溶性の塩を添加してスラリー状とし、ここへさらに粉末状(固体状)の亜塩素酸塩を後添加することで、難水溶性の塩が急速に固化することなく、スラリーが適正な粘性に保たれながら注型固化できることを見出した。
本発明によれば、亜塩素酸塩の水溶液に水酸化ナトリウムのようなアルカリ成分及び硫酸カルシウムの半水塩又は一水塩のような難溶性の塩を添加して調製したスラリーに、粉体状の亜塩素酸塩を後添加することによって、硫酸カルシウムの急速な硬化を抑制することができるため、スラリー状態で攪拌時間を十分に確保することができ、分散性の良い亜塩素酸イオン徐放性組成物を製造することができる。
本発明はこのような知見に基づいて達成されたものであり、その要旨は以下の通りである。
[1] 亜塩素酸塩と、アルカリ成分と、難水溶性の塩と、水とを含む固化物よりなる亜塩素酸イオン徐放性組成物であって、亜塩素酸塩を15〜60重量%、アルカリ成分を1〜10重量%、難水溶性の塩を3〜62重量%、水を12〜40重量%含むことを特徴とする亜塩素酸イオン徐放性組成物(ただし、消臭剤用途を除く)。
[2] 亜塩素酸塩と、アルカリ成分と、難水溶性の塩と、水とを含む固化物よりなる亜塩素酸イオン徐放性組成物であって、亜塩素酸塩を18〜25重量%、アルカリ成分を1〜5重量%、難水溶性の塩を24〜62重量%、水を12〜40重量%含むことを特徴とする亜塩素酸イオン徐放性組成物(ただし、消臭剤用途を除く)。
[3] 前記難水溶性の塩が、硫酸カルシウムであることを特徴とする[1]又は[2]に記載の亜塩素酸イオン徐放性組成物。
[4] さらにリン酸化合物を0.01〜5重量%含むことを特徴とする[1]ないし[3]のいずれかに記載の亜塩素酸イオン徐放性組成物。
[5] 亜塩素酸塩が溶解された亜塩素酸塩水溶液に、アルカリ成分及び難水溶性の塩を加えて混合する第1の工程と、次いで、得られた混合物に、粉体状の亜塩素酸塩を加えてスラリー状態にする第2の工程と、得られたスラリーを注型、固化する第3の工程とを包含することを特徴とする亜塩素酸イオン徐放性組成物の製造方法。
[6] 前記第1の工程において、前記亜塩素酸塩水溶液にリン酸化合物を添加することを特徴とする[5]に記載の亜塩素酸イオン徐放性組成物の製造方法。
本発明の製造方法によれば、スラリー混合過程において硬化することなく、かつ、高濃度の亜塩素酸塩を含んだ亜塩素酸塩含有スラリーを、注型可能な流動性に保つことができるため、製造作業性及び注型性に優れる。
そして、そのようにして得られた亜塩素酸イオン徐放性組成物は、亜塩素酸塩含有量が多い上に、固化後の二酸化塩素の発生が少なく安定で、徐放性能及び亜塩素酸イオンの放出持続性に優れ、かつ、高充填の固形製剤となるため、効率的に亜塩素酸イオンを徐放できる組成物となる。
そして、そのようにして得られた亜塩素酸イオン徐放性組成物は、亜塩素酸塩含有量が多い上に、固化後の二酸化塩素の発生が少なく安定で、徐放性能及び亜塩素酸イオンの放出持続性に優れ、かつ、高充填の固形製剤となるため、効率的に亜塩素酸イオンを徐放できる組成物となる。
[亜塩素酸イオン徐放性組成物]
以下に、本発明の亜塩素酸イオン徐放性組成物について説明する。
以下に、本発明の亜塩素酸イオン徐放性組成物について説明する。
本発明の亜塩素酸イオン徐放性組成物は、
亜塩素酸塩、好ましくは亜塩素酸のアルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩と、
アルカリ成分、好ましくは水酸化ナトリウムと、
難水溶性の塩、好ましくは硫酸カルシウムと、
水
を少なくとも含む固化物である。
亜塩素酸塩、好ましくは亜塩素酸のアルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩と、
アルカリ成分、好ましくは水酸化ナトリウムと、
難水溶性の塩、好ましくは硫酸カルシウムと、
水
を少なくとも含む固化物である。
本発明の亜塩素酸イオン徐放性組成物は、被処理水中に投入することで組成物中の亜塩素酸塩が水に溶解し、亜塩素酸イオンを放出することができる。
亜塩素酸のアルカリ金属塩としては、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カリウム、亜塩素酸リチウムが挙げられ、アルカリ土類金属塩としては、亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸マグネシウム、亜塩素酸バリウムが挙げられる。亜塩素酸イオン徐放性組成物はこれらの1種のみを含むものであってもよく、2種以上を含むものであってもよい。これらの中でも亜塩素酸ナトリウムが好適に用いられる。
本発明の亜塩素酸イオン徐放性組成物は、組成物中にアルカリ成分を含んでいる。アルカリ成分を含有させることによって亜塩素酸塩が自然分解し難くなり、二酸化塩素を発生し難くなり、安定化される効果がある。
本発明で用いることができるアルカリ成分は、特に限定されず、市販のアルカリ性化合物を用いることができ、具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、重炭酸ナトリウム等のアルカリ性化合物の1種又は2種以上を用いることができる。
これらの中でも、組成物スラリーの流動性や、硬化性、亜塩素酸イオン放出の安定性の面から、水酸化ナトリウムを用いることが好ましい。
これらの中でも、組成物スラリーの流動性や、硬化性、亜塩素酸イオン放出の安定性の面から、水酸化ナトリウムを用いることが好ましい。
本発明で用いる難水溶性の塩としては、前記亜塩素酸塩と混合後、静置することで硬化可能な難水溶性の塩を用いることができ、例えば、バリウム、カルシウム、マグネシウムの硫酸塩、炭酸塩、リン酸塩、ベントナイト等の難水溶性塩を含む無機鉱物が挙げられる。これらの中でも好ましくは硫酸カルシウムである。なお、亜塩素酸イオン徐放性組成物の製造には、硫酸カルシウム原料として、硫酸カルシウムの水和物を用いてもよい。硫酸カルシウムの水和物としては硫酸カルシウムの半水塩及び/又は一水塩を例示でき、一般の工業用グレードの市販品を用いることができる。
硫酸カルシウムやその半水塩又は一水塩は、組成物スラリー中の水分と反応し、硫酸カルシウムの二水塩へと変化することで、亜塩素酸塩を包含した組成物となって固化する。
例えば、硫酸カルシウム半水塩が、二水塩に変化する反応式は次式のように示される。
CaSO4・1/2H2O + 3/2H2O → CaSO4・2H2O
例えば、硫酸カルシウム半水塩が、二水塩に変化する反応式は次式のように示される。
CaSO4・1/2H2O + 3/2H2O → CaSO4・2H2O
このように、硫酸カルシウムは、固化した後、水と接触した際に亜塩素酸イオンが徐々に放出され易い構造を形成しうる亜塩素酸塩のコーティング剤かつ硬化剤として機能する。
硫酸カルシウム半水塩又は一水塩としては、市販のものを使用することができる。その形状、粒径は特に制限なく使用することができる。
本発明の亜塩素酸イオン徐放性組成物の各成分の組成割合は、所望とする亜塩素酸イオンの発生量によって、種々変更することができる。本発明の亜塩素酸イオン徐放性組成物中の亜塩素酸塩の含有量は、15〜60重量%、より好ましくは18〜25重量%である。亜塩素酸塩の含有量が15重量%に満たない場合、有効塩素成分含有量が少ないことにより、所望の亜塩素酸イオンの発生量を得るための亜塩素酸イオン徐放性組成物の体積が増大してしまう。また、60重量%を超える場合、危険性が増大するとともに、製造時におけるスラリーの流動性が損なわれ、製造作業が困難になるおそれがある。
また、亜塩素酸イオン徐放性組成物の非劇物化という観点から、亜塩素酸塩の含有量は25重量%以下、例えば18〜25重量%であることが特に好ましい。
また、亜塩素酸イオン徐放性組成物の非劇物化という観点から、亜塩素酸塩の含有量は25重量%以下、例えば18〜25重量%であることが特に好ましい。
本発明の亜塩素酸イオン徐放性組成物のアルカリ成分の含有量は1〜10重量%である。アルカリ成分が1重量%に満たない場合、亜塩素酸塩の安定性向上効果が発揮されない場合があり、また、10重量%を超える場合はスラリーの硬化性が損なわれるおそれがある。
また、亜塩素酸イオン徐放性組成物の非劇物化という観点から、アルカリ成分の含有量は5重量%未満であることが特に好ましい。
また、亜塩素酸イオン徐放性組成物の非劇物化という観点から、アルカリ成分の含有量は5重量%未満であることが特に好ましい。
亜塩素酸塩とアルカリ成分との量的関係は、組成物スラリーの固化性に大きく関係があり、得られる組成物の亜塩素酸塩含有量に対応した好ましいアルカリ成分の量が存在する。
即ち、亜塩素酸塩が15〜60重量%の組成物では、アルカリ成分は1〜10重量%であり、特に、亜塩素酸塩が18〜25重量%の組成物では、アルカリ成分は1〜5重量%であることが好ましい。
上記のような量的関係とすることにより、スラリー混合過程において硬化することなく、製造作業性及び注型性に優れたスラリーを得ることができる。
即ち、亜塩素酸塩が15〜60重量%の組成物では、アルカリ成分は1〜10重量%であり、特に、亜塩素酸塩が18〜25重量%の組成物では、アルカリ成分は1〜5重量%であることが好ましい。
上記のような量的関係とすることにより、スラリー混合過程において硬化することなく、製造作業性及び注型性に優れたスラリーを得ることができる。
難水溶性の塩の含有量は、3〜62重量%であり、好ましくは24〜62重量%、より好ましくは35〜45重量%である。難水溶性の塩の含有量が、3重量%に満たない場合、注型性に不具合が生じ、固化が困難になる。また、62重量%を超える場合、製造中に硬化しやすくなる場合がある。
また、水の含有量は、12〜40重量%であり、好ましくは15〜35重量%である。水の含有量が12重量%未満では、製造時のスラリーの流動性が損なわれ、製造作業が困難になるおそれがあり、40重量%を超えると、その他の有効成分の必要量を確保し得なくなる。なお、本発明の亜塩素酸イオン徐放性組成物の水の含有量は、その製造原料の難水溶性の塩として硫酸カルシウムの半水塩又は一水塩のような水和物を含むものを用いた場合、水和物由来の水分も含めた合計の含有量をいう。
本発明の亜塩素酸イオン徐放性組成物には、リン酸化合物を0.01〜5重量%含むことが好ましい。本発明の亜塩素酸イオン徐放性組成物にリン酸化合物を混合することによって、製造時におけるスラリーの注型固化性が向上する。リン酸化合物により注型固化性が向上するメカニズムについては明らかではないが、リン酸イオンの存在によりリン酸カルシウムが生成し石膏の硬化に影響を及ぼしていることが考えられる。この場合、リン酸化合物の含有量が0.01重量%に満たないと、上記効果が十分に得られず硬化不良が生じる場合があり、5重量%を超える場合、リン酸酸性が強くなり、亜塩素酸イオンの徐放性能が損なわれる場合がある。
リン酸化合物としては、リン酸3ナトリウム、リン酸2ナトリウム、リン酸1ナトリウム等の1種又は2種以上が挙げられ、その中でもリン酸3ナトリウムを用いることが好ましい。
本発明の亜塩素酸イオン徐放性組成物には、本発明の組成物の特性を損なわない範囲で、水溶性の塩等を含んでいても良い。そのような水溶性の塩としては、原料の亜塩素酸塩中の不純物である水溶性の塩も含む。前記水溶性の塩とはNaClを代表的に挙げることができる。
[亜塩素酸イオン徐放性組成物の製造方法]
次に、本発明の亜塩素酸イオン徐放性組成物の製造方法について説明する。
次に、本発明の亜塩素酸イオン徐放性組成物の製造方法について説明する。
<第1の工程>
第1の工程ではまず亜塩素酸塩が水に溶解された亜塩素酸塩水溶液を準備する。
第1の工程ではまず亜塩素酸塩が水に溶解された亜塩素酸塩水溶液を準備する。
ここで調製された亜塩素酸塩水溶液の亜塩素酸塩濃度は、1〜30重量%、特に10〜25重量%であることが好ましい。
亜塩素酸塩水溶液としては、市販のものを使用することができ、例えば、日本カーリット社製のシルブライト25を使用することができる。
亜塩素酸塩水溶液としては、市販のものを使用することができ、例えば、日本カーリット社製のシルブライト25を使用することができる。
次いで、亜塩素酸塩水溶液に、前述のアルカリ性化合物を添加して溶解させることが好ましい。アルカリ性化合物の添加量は、前述のアルカリ成分含有量の亜塩素酸イオン徐放性組成物が得られるような量であるが、ここで、アルカリ性化合物を溶解させることで、亜塩素酸塩水溶液のpHを7.5〜15の範囲、好ましくは12〜15の範囲とすることが好ましい。
アルカリ性化合物を亜塩素酸塩水溶液に添加して溶解させることで、亜塩素酸塩の安定性及び取扱いの安全性、亜塩素酸イオンの徐放性を高めることができる。
アルカリ性化合物を亜塩素酸塩水溶液に添加して溶解させることで、亜塩素酸塩の安定性及び取扱いの安全性、亜塩素酸イオンの徐放性を高めることができる。
その後、上記pHに調整した亜塩素酸塩水溶液に、難水溶性の塩、好ましくは硫酸カルシウム及び/又はその半水塩又は一水塩を加えて混合し、スラリー化する。その際、難水溶性の塩は粉体状態で投入することが好ましい。
なお、リン酸化合物を含有させる場合は、上記の難水溶性の塩の添加前に、pH調整された亜塩素酸塩水溶液にリン酸化合物の所定量を添加し、その後難水溶性の塩を添加してスラリー化することが好ましい。
<第2の工程>
上記第1の工程で得られたスラリーに粉体状の亜塩素酸塩を添加して混合する。このように予めスラリー化したものに更に亜塩素酸塩の粉末を添加して混合することにより、高濃度に亜塩素酸塩を含むと共に、注型可能な流動性を有する亜塩素酸塩組成物スラリーとすることができる。
上記第1の工程で得られたスラリーに粉体状の亜塩素酸塩を添加して混合する。このように予めスラリー化したものに更に亜塩素酸塩の粉末を添加して混合することにより、高濃度に亜塩素酸塩を含むと共に、注型可能な流動性を有する亜塩素酸塩組成物スラリーとすることができる。
ここで添加する亜塩素酸塩は、亜塩素酸塩水溶液の調製に用いた亜塩素酸塩と同一であってもよく異なるものであってもよいが、前述の通り、亜塩素酸塩としては、亜塩素酸ナトリウムを用いることが好ましい。
粉末状の亜塩素酸塩としては、亜塩素酸塩の純度(亜塩素酸塩含有量)が80重量%程度以上のものを使用することが好ましい。すなわち、不純物として他の水溶性の塩が0〜20重量%程度含まれる亜塩素酸塩粉体を好ましく使用できる。不純物の水溶性の塩としてはNaClが挙げられる。そのような亜塩素酸塩として市販されているものは、NaClO2純分が80重量%以上である日本カーリット社製のシルブライト80を好適に使用することができる。
粉末状の亜塩素酸塩としては、亜塩素酸塩の純度(亜塩素酸塩含有量)が80重量%程度以上のものを使用することが好ましい。すなわち、不純物として他の水溶性の塩が0〜20重量%程度含まれる亜塩素酸塩粉体を好ましく使用できる。不純物の水溶性の塩としてはNaClが挙げられる。そのような亜塩素酸塩として市販されているものは、NaClO2純分が80重量%以上である日本カーリット社製のシルブライト80を好適に使用することができる。
前述の本発明の亜塩素酸イオン徐放性組成物は、上記の亜塩素酸塩の粉末の後添加で、
亜塩素酸塩:15〜60重量%、好ましくは18〜25重量%、
難水溶性の塩:3〜62重量%、好ましくは24〜62重量%、より好ましくは35〜45重量%
水:12〜40重量%、好ましくは15〜35重量%、
アルカリ性化合物:1〜10重量%、好ましくは1〜5重量%
リン酸化合物:好ましくは0.01〜5重量%
となるように製造される。
亜塩素酸塩:15〜60重量%、好ましくは18〜25重量%、
難水溶性の塩:3〜62重量%、好ましくは24〜62重量%、より好ましくは35〜45重量%
水:12〜40重量%、好ましくは15〜35重量%、
アルカリ性化合物:1〜10重量%、好ましくは1〜5重量%
リン酸化合物:好ましくは0.01〜5重量%
となるように製造される。
<第3の工程>
次いで、上記の通り、亜塩素酸塩の粉末を後添加したスラリーを、注型、固化することにより本発明の亜塩素酸イオン徐放性組成物の固形物を得る。
該スラリーを注型固化する方法としては、特に制限されず、公知の注型固化方法を採用し得る。
注型固化時の温度には特に制限はなく、通常室温で行うことができる。
また、固化に要する静置時間は、1〜24時間程度であることが好ましい。
次いで、上記の通り、亜塩素酸塩の粉末を後添加したスラリーを、注型、固化することにより本発明の亜塩素酸イオン徐放性組成物の固形物を得る。
該スラリーを注型固化する方法としては、特に制限されず、公知の注型固化方法を採用し得る。
注型固化時の温度には特に制限はなく、通常室温で行うことができる。
また、固化に要する静置時間は、1〜24時間程度であることが好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
[実施例1〜9、比較例1〜4]
以下の手順で表1に示す組成の亜塩素酸イオン徐放性組成物を製造した。
亜塩素酸ナトリウム(NaClO2)25重量%水溶液(日本カーリット株式会社製、シルブライト25)を混合容器に投入した。
その中に、水酸化ナトリウム(NaOH)を添加して(ただし、比較例3では添加せず)溶解させた後、硫酸カルシウム(CaSO4)半水塩を投入して十分に混合した。なお、実施例3,4では、水酸化ナトリウム添加後、硫酸カルシウム半水塩の添加前にリン酸3ナトリウム(Na3PO4)を添加した。
水酸化ナトリウム添加後の水溶液のpHは表1に示す通りであった。
以下の手順で表1に示す組成の亜塩素酸イオン徐放性組成物を製造した。
亜塩素酸ナトリウム(NaClO2)25重量%水溶液(日本カーリット株式会社製、シルブライト25)を混合容器に投入した。
その中に、水酸化ナトリウム(NaOH)を添加して(ただし、比較例3では添加せず)溶解させた後、硫酸カルシウム(CaSO4)半水塩を投入して十分に混合した。なお、実施例3,4では、水酸化ナトリウム添加後、硫酸カルシウム半水塩の添加前にリン酸3ナトリウム(Na3PO4)を添加した。
水酸化ナトリウム添加後の水溶液のpHは表1に示す通りであった。
次いで、得られたスラリーに粉末状の亜塩素酸ナトリウム(NaClO2)(日本カーリット株式会社製、シルブライト80)を投入して(ただし、比較例1,2では粉末状の亜塩素酸ナトリウム添加せず)攪拌することにより注型用スラリーを調製した。
これを、所定の形状の型に注入し、室温にて所定時間静置することで硬化させ、固形の亜塩素酸イオン含有組成物を製造した。
これを、所定の形状の型に注入し、室温にて所定時間静置することで硬化させ、固形の亜塩素酸イオン含有組成物を製造した。
この亜塩素酸イオン徐放性組成物の製造プロセス及び得られた亜塩素酸イオン徐放性組成物において、以下の評価を行い、結果を表1に示した。
なお、表1中、亜塩素酸イオン徐放性組成物組成の欄の「その他」は、粉末状の亜塩素酸ナトリウム由来の不純物であり、主としてNaClよりなる。なお、この不純物含有割合は、用いた粉末状の亜塩素酸ナトリウムに対して一定ではないが、これは、粉末状の亜塩素酸ナトリウムの製品毎の不純物含有量にバラツキがあることによる。
なお、表1中、亜塩素酸イオン徐放性組成物組成の欄の「その他」は、粉末状の亜塩素酸ナトリウム由来の不純物であり、主としてNaClよりなる。なお、この不純物含有割合は、用いた粉末状の亜塩素酸ナトリウムに対して一定ではないが、これは、粉末状の亜塩素酸ナトリウムの製品毎の不純物含有量にバラツキがあることによる。
<原料混合性>
注型用スラリーを製造する際の原料混合時の混合状態を観察し、以下の基準で評価した。
◎:2分以内で均一に混合できる。
○:2分〜5分で混合できる。
△:難溶性塩のダマ発生が認められる。
注型用スラリーを製造する際の原料混合時の混合状態を観察し、以下の基準で評価した。
◎:2分以内で均一に混合できる。
○:2分〜5分で混合できる。
△:難溶性塩のダマ発生が認められる。
<注型用スラリー粘性>
製造された注型用スラリーについて、注型取扱時の状態を観察し、以下の基準で評価した。
◎:スラリーとして取扱可能時間(注型可能時間)が20分以上。
○:スラリーとして取扱可能時間(注型可能時間)が10分以上20分未満。
△:注型時、端部又は内部にボイド発生が認められる。
×:注型不可。
製造された注型用スラリーについて、注型取扱時の状態を観察し、以下の基準で評価した。
◎:スラリーとして取扱可能時間(注型可能時間)が20分以上。
○:スラリーとして取扱可能時間(注型可能時間)が10分以上20分未満。
△:注型時、端部又は内部にボイド発生が認められる。
×:注型不可。
<硬化性>
注型後の硬化時間(注型してから硬化するまでの時間)を調べると共に、硬化状態を観察し、以下の基準で評価した。
(硬化時間)
◎:5時間以内で硬化。
○:5時間〜24時間で硬化。
△:24時間以上で硬化。
×:硬化せず。
(硬化状態)
○:硬化した。
×:硬化せず。
注型後の硬化時間(注型してから硬化するまでの時間)を調べると共に、硬化状態を観察し、以下の基準で評価した。
(硬化時間)
◎:5時間以内で硬化。
○:5時間〜24時間で硬化。
△:24時間以上で硬化。
×:硬化せず。
(硬化状態)
○:硬化した。
×:硬化せず。
<保存安定性>
亜塩素酸イオン徐放性組成物から発生する臭気の状態を調べ、以下の基準で評価した。
◎:臭いを感じないか何の臭いかわからない。
○:塩素臭(二酸化塩素臭)を僅かに感じる。
×:強い塩素臭。
亜塩素酸イオン徐放性組成物から発生する臭気の状態を調べ、以下の基準で評価した。
◎:臭いを感じないか何の臭いかわからない。
○:塩素臭(二酸化塩素臭)を僅かに感じる。
×:強い塩素臭。
なお、亜塩素酸イオン徐放性組成物の亜塩素酸塩含有量が25重量%を超えると劇物とされる。劇物に該当するか否かを表1に併記した。
[参考例1]
実施例1において、亜塩素酸ナトリウム25重量%水溶液の代りに水を用い、亜塩素酸ナトリウムとしては、粉末状のもののみを用いたこと以外は、同様にして注型用スラリーを調製し、同様に注型、硬化を行って亜塩素酸イオン徐放性組成物を製造したときの評価結果を表1に示す。
実施例1において、亜塩素酸ナトリウム25重量%水溶液の代りに水を用い、亜塩素酸ナトリウムとしては、粉末状のもののみを用いたこと以外は、同様にして注型用スラリーを調製し、同様に注型、硬化を行って亜塩素酸イオン徐放性組成物を製造したときの評価結果を表1に示す。
表1より次のことが分かる。
比較例1は、亜塩素酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムの含有量が少なく、保存安定性に劣る。比較例2は、水酸化ナトリウムを本発明の範囲内で含むが、亜塩素酸ナトリウムの含有量が少なく、硬化性に劣る。比較例3も水酸化ナトリウムを含まないため、硬化性、保存安定性に劣る。比較例4は、亜塩素酸ナトリウムの含有量が多過ぎ、硫酸カルシウムの含有量が少なく、スラリー注型不可であった。
これに対して、本発明の亜塩素酸イオン徐放性組成物の組成範囲を満たし、粉末状の亜塩素酸ナトリウムの後添加で注型用スラリーを調製した実施例1〜9は、すべての評価で良好な結果が得られる。
なお、参考例1は、亜塩素酸ナトリウム水溶液を用いず、すべて粉末状の亜塩素酸ナトリウムを用いているため、原料の混合性が若干劣る。
比較例1は、亜塩素酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムの含有量が少なく、保存安定性に劣る。比較例2は、水酸化ナトリウムを本発明の範囲内で含むが、亜塩素酸ナトリウムの含有量が少なく、硬化性に劣る。比較例3も水酸化ナトリウムを含まないため、硬化性、保存安定性に劣る。比較例4は、亜塩素酸ナトリウムの含有量が多過ぎ、硫酸カルシウムの含有量が少なく、スラリー注型不可であった。
これに対して、本発明の亜塩素酸イオン徐放性組成物の組成範囲を満たし、粉末状の亜塩素酸ナトリウムの後添加で注型用スラリーを調製した実施例1〜9は、すべての評価で良好な結果が得られる。
なお、参考例1は、亜塩素酸ナトリウム水溶液を用いず、すべて粉末状の亜塩素酸ナトリウムを用いているため、原料の混合性が若干劣る。
本発明によれば、殺菌剤として有用な亜塩素酸塩を15重量%以上の高配合とした場合でも組成物スラリーの流動性の経時変化が少なく、注型固化性に優れ、かつ、二酸化塩素の発生が少なく、安全性の高い亜塩素酸イオン徐放性組成物を提供することができる。本発明の亜塩素酸イオン徐放性組成物は、排水等の殺菌剤、消毒剤、漂白剤の徐放性組成物として極めて有効である。
Claims (6)
- 亜塩素酸塩と、アルカリ成分と、難水溶性の塩と、水とを含む固化物よりなる亜塩素酸イオン徐放性組成物であって、
亜塩素酸塩を15〜60重量%、
アルカリ成分を1〜10重量%、
難水溶性の塩を3〜62重量%、
水を12〜40重量%含むことを特徴とする亜塩素酸イオン徐放性組成物(ただし、消臭剤用途を除く)。 - 亜塩素酸塩と、アルカリ成分と、難水溶性の塩と、水とを含む固化物よりなる亜塩素酸イオン徐放性組成物であって、
亜塩素酸塩を18〜25重量%、
アルカリ成分を1〜5重量%、
難水溶性の塩を24〜62重量%、
水を12〜40重量%含むことを特徴とする亜塩素酸イオン徐放性組成物(ただし、消臭剤用途を除く)。 - 前記難水溶性の塩が、硫酸カルシウムであることを特徴とする請求項1又は2に記載の亜塩素酸イオン徐放性組成物。
- さらにリン酸化合物を0.01〜5重量%含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の亜塩素酸イオン徐放性組成物。
- 亜塩素酸塩が溶解された亜塩素酸塩水溶液に、アルカリ成分及び難水溶性の塩を加えて混合する第1の工程と、
次いで、得られた混合物に、粉体状の亜塩素酸塩を加えてスラリー状態にする第2の工程と、
得られたスラリーを注型、固化する第3の工程と
を包含することを特徴とする亜塩素酸イオン徐放性組成物の製造方法。 - 前記第1の工程において、前記亜塩素酸塩水溶液にリン酸化合物を添加することを特徴とする請求項5に記載の亜塩素酸イオン徐放性組成物の製造方法。
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JP2016029156A JP2017145223A (ja) | 2016-02-18 | 2016-02-18 | 亜塩素酸イオン徐放性組成物及びその製造方法 |
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---|---|---|---|---|
KR20220012774A (ko) * | 2020-07-23 | 2022-02-04 | 주식회사 보야스에너지 | 이산화염소 가스 방출용 고체형 조성물 및 이를 이용한 살균·탈취제 |
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2016
- 2016-02-18 JP JP2016029156A patent/JP2017145223A/ja active Pending
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KR20220012774A (ko) * | 2020-07-23 | 2022-02-04 | 주식회사 보야스에너지 | 이산화염소 가스 방출용 고체형 조성물 및 이를 이용한 살균·탈취제 |
KR102478400B1 (ko) | 2020-07-23 | 2022-12-16 | 주식회사 보야스에너지 | 이산화염소 가스 방출용 고체형 조성물 및 이를 이용한 살균·탈취제 |
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