JP2017143969A - 超音波画像処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】Mモード画像に対して計測を実行する際にかかるユーザの手間を低減させる。【解決手段】画像種類判定部30は、画像形成部18が形成したMモード画像に対して画像解析処理を実施し、当該Mモード画像の種類を判定する。Mモード画像の種類の判定とは、当該Mモード画像がいずれの計測項目に適しているかの判定である。ユーザがMモード計測のために適切な位置に観察ラインを設定したならば、Mモード画像の種類を判定することで、ユーザの目的とする計測項目が判定できる。計測部32は、Mモード画像の種類に応じて当該Mモード画像上に複数の計測点を設定し、当該複数の計測点に基づいて、当該Mモード画像の種類に応じた計測を自動的に実行する。【選択図】図1
Description
本発明は、超音波画像処理装置に関し、特に、被検体内の組織運動を表すMモード画像を処理する超音波画像処理装置に関する。
超音波診断装置は、備え付けられた超音波プローブにおいて被検体に対して超音波を送受波し、これにより得られた受信信号に基づいて超音波画像を形成する装置である。超音波診断装置が形成可能な超音波画像として、医師などのユーザによって被検体内に設定された観察ライン上における組織運動が表現されたMモード画像が知られている(特許文献1)。当該観察ラインは超音波の送信方向、つまり超音波プローブの位置あるいは向きによって定められるのが一般的である。Mモード画像においては、例えば縦軸が深度軸、横軸が時間軸となっており、時間軸方向に延びる輝度ラインによって、組織の深度方向への動きの様子が示される。
Mモード画像は、様々な計測のために用いられる。Mモード画像に対して実行される計測項目としては、心拍周期の拡張末期における大動脈の内径と収縮末期における左心房の内径との比を計測するLA/AO計測、僧帽弁の動きを計測する僧帽弁計測、あるいは、左心室の内径を計測するLV計測などが挙げられる。
従来、Mモード画像に対する計測にあたり、ユーザは、形成されたMモード画像に対して実行する計測項目を設定する作業、Mモード画像上において計測のための計測点を設定する作業などを行う必要があった。これらの作業により、Mモード画像に対する計測にあたりユーザに手間がかかっていた。
本発明の目的は、Mモード画像に対して計測を実行する際にかかるユーザの手間を低減させることにある。
本発明に係る超音波画像処理装置は、被検体内に設定された観察ライン上の組織運動を表すMモード画像に対して画像解析処理を適用し、前記観察ラインの設定位置に応じて定まる前記Mモード画像の種類を判定する画像種類判定手段と、前記Mモード画像に対して、前記Mモード画像の種類に応じた計測を自動的に実行する計測実行手段と、を備えることを特徴とする。
Mモード画像は、観察ラインの設定位置に応じて、その輝度分布(例えば輝度ラインの数、位置、あるいは経路など)が変化する。通常、Mモード画像に対する計測(以下「Mモード計測」と記載)を行う際には、計測項目に応じた適切な位置に観察ラインが設定され、計測項目に応じた適切な輝度分布のMモード画像が形成される。例えば、LA/AO計測を行う場合、観察ラインは大動脈と左心房を横断するように設定され、心拍周期の拡張末期における大動脈の内径、及び収縮末期における左心房の内径を計測可能なMモード画像が形成される。
したがって、形成されたMモード画像を画像解析することで、当該Mモード画像に対してユーザが実行しようとしている計測項目を判定することが可能である。本発明においては、画像種類判定手段により、Mモード画像に対して画像解析処理が実行され、それによりMモード画像の種類が判定される。Mモード画像の種類の判定とは、当該Mモード画像がいずれの計測項目に適しているかの判定である。Mモード画像の種類が判定されることで、当該Mモード画像に適した計測項目、つまりユーザが意図した計測項目が判定される。そして、判定されたMモード画像の種類に応じた計測が計測実行手段により自動的に実行される。これにより、ユーザが計測項目を設定する作業を行うことなく、Mモード画像計測を実行することができる。
望ましくは、前記計測実行手段は、前記Mモード画像において、前記Mモード画像の種類に応じて前記計測のための計測点を自動的に設定する。
Mモード計測に先立って、Mモード画像上において計測のための計測点が設定される。通常、計測点を設定すべき位置(Mモード画像上の特徴点)は計測項目毎に定められている。したがって、Mモード画像の種類が判定され、それにより計測項目が判定されることで、当該Mモード画像上の適した位置に計測点を自動的に設定することが可能になる。これにより、ユーザは計測点を設定する作業を行う必要がなくなる。
また、望ましくは、前記計測実行手段は、前記Mモード画像の種類に応じて特定される注目時相を示すライン上に前記計測点を設定する。また、望ましくは、前記注目時相は、心臓の拡張末期及び収縮末期を含む。
通常、計測点を設定すべき時相(注目時相)は、計測項目毎に定められている。例えば、LA/AO計測においては、心拍周期の拡張末期及び収縮末期にそれぞれ2つずつ計測点が設定される。したがって、Mモード画像の種類(つまり計測項目)が判定されることで、計測点を設定すべき注目時相を特定することができる。そして、Mモード画像上において当該注目時相を示すライン上に計測点を自動的に設定することができる。なお、Mモード画像上における注目時相の特定は、例えば心電計から心電データに基づいて形成される心電波形の解析などにより行う。
望ましくは、前記Mモード画像、及び、設定された前記計測点を表示部に表示させる表示制御手段、をさらに備える。
従来、計測点はユーザが自ら設定していたため、その設定作業の過程においてユーザは計測点の位置を認識していた。しかし、計測点が自動設定された場合、その設定作業の過程においてユーザは計測点の位置を把握できない。表示制御手段によれば、自動設定された計測点が表示部に表示されるので、ユーザは計測点の位置を把握することができる。
本発明によれば、Mモード画像に対して計測を実行する際にかかるユーザの手間を低減させることができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る超音波画像処理装置としての超音波診断装置10の構成概略図である。超音波診断装置10は、一般に病院などの医療機関に設置され、被検体に対して超音波診断を実行する医療上の機器である。超音波診断装置10は、被検体内において設定された観察ライン上の組織運動を表すMモード画像を形成する機能を備えている。また、超音波診断装置10においては、形成したMモード画像に対して複数の計測項目でのMモード計測が実行可能である。例えば、LA/AO計測、僧帽弁計測、及びLV計測などが可能である。
プローブ12は、被検体に対して超音波の送受波を行う超音波探触子である。プローブ12は複数の振動子からなる振動子アレイを有している。振動子アレイに含まれる各振動子は、後述の送受信部14からの各振動子に対応する複数の送信信号によって振動して超音波ビームを発生する。また、振動子アレイは送受波領域からの反射エコーを受信し、音響信号を電気信号である受信信号に変換して送受信部14へ出力する。プローブ12は、ユーザによってその位置及び姿勢(超音波送受波面の向き)が定められる。これにより、超音波の送受波方向が定まり、Mモード画像の観察ラインが設定される。ユーザは、目的の計測項目に応じて観察ラインの設定位置を所定の位置に定める。例えば、LA/AO計測においては、大動脈及び左心房を横断するように観察ラインを設定する。
送受信部14は、プローブ12が有する複数の振動子を励振する複数の送信信号をプローブ12へ送ることで、プローブ12において超音波を発生させる。また、送受信部14は、反射エコーを受信した複数の振動子から得られる複数の受信信号を整相加算処理して、超音波ビームの走査方向に並ぶビームデータを形成する。ビームデータは、深度方向に並ぶ複数の反射エコー信号により構成される。このように、送受信部14は、送信ビームフォーマと受信ビームフォーマの機能を備えている。
シネメモリ16は、送受信部14からの複数のビームデータを記憶する。シネメモリ16は、例えばリングバッファのような構造を有しており、時系列順で入力される各ビームデータを順次格納する。シネメモリ16には、最新から過去一定期間にわたるビームデータを記憶する。
画像形成部18は、例えばデジタルスキャンコンバータ(DSC)などであり、シネメモリ16に記憶されたビームデータに基づいて生体イメージとしての超音波画像を形成する。画像形成部18において形成される超音波画像としては、Mモード画像の他、被検体内の組織の断層画像であるBモード画像などが含まれる。
Mモード画像は、観察ラインからの受信信号に基づくビームデータが反射エコー強度に応じた輝度値に変換され、それらが時系列順に並べられることで形成される。例えば、血管壁や心壁などの組織境界においては反射エコーの強度が大きくなるため、これらの位置が高輝度で表現されることになる。そして、観察ライン上で順次得られたビームデータ列に対して同様に処理が行われ、後述の表示部22上において掃引されることで、Mモード画像上において時間軸方向に延びる輝度ラインが形成される。当該輝度ラインにより被検体内の組織運動が示される。
また、画像形成部18は、後述の心電計28から送信される心電データに基づいて、心電波形画像を形成する。
表示制御手段としての表示制御部20は、画像形成部18が形成した超音波画像(Mモード画像、Bモード画像など)あるいは心電波形画像を表示部22に表示させる処理を行う。当該心電波形画像は、Mモード画像とは別に表示されてもよいし、Mモード画像に重畳されて表示されてもよい。また、表示制御部20は、後述の計測部32により演算された計測値、あるいは計測部32により自動設定された計測点などの情報を表示部22に表示させる処理を行う。自動設定された計測点が表示部22に表示されることで、ユーザが自動設定された計測点の位置を把握することができる。
表示部22は、例えば液晶ディスプレイであり、Mモード画像などの超音波画像、Mモード画像上に設定された計測点、Mモード画像に対して実行された計測の結果である計測値などを表示するものである。
制御部24は、例えばマイクロプロセッサを含んで構成される。制御部24は、記憶部26に記憶されたプログラムに従って、超音波診断装置10の各部を制御する。
記憶部26は、例えばハードディスク、ROM、あるいはRAMなどにより構成される。記憶部26は、超音波診断装置10の各部を制御するためのプログラムが記憶される。また、記憶部26には、後述の画像種類判定部30によるMモード画像の種類を判定する処理に用いられる画像判定用情報が記憶される。また、記憶部26には、各Mモード画像の種類に対する計測内容を示す計測内容情報が記憶される。画像判定用情報及び計測内容情報の詳細については後述する。
心電計28は、被検体の心臓の拍動の様子を示す心電データを出力する。心電計28は電極を有しており、当該電極を被検体に取り付けることで被検体の心起電力を計測する。計測された起電力を示す心電データは画像形成部18に送信される。
画像種類判定手段としての画像種類判定部30は、画像形成部18が形成したMモード画像に対して画像解析処理を適用することで、Mモード画像の種類を判定する。Mモード画像の種類の判定とは、当該Mモード画像の輝度分布(例えば輝度ラインの数、位置、あるいは経路など)がいずれの計測項目に適しているかの判定である。ユーザが目的とする計測項目に適した位置に観察ラインが設定されているならば、それにより形成されたMモード画像は、ユーザが目的とする計測項目に適した輝度分布を有しているはずである。したがって、画像種類判定部30がMモード画像の種類を判定することによって、ユーザが目的とする計測項目を判定することができる。画像種類判定部30の具体的な処理については後述する。
計測実行手段としての計測部32は、画像形成部18が形成したMモード画像に対して、画像種類判定部30が判定したMモード画像の種類に応じた計測項目の計測を自動的に実行する。具体的には、計測部32は、Mモード画像上において、当該Mモード画像の種類に応じた位置に複数の計測点を自動的に設定し、設定された各計測点間の距離を計測する。また、計測部32は、記憶部26に記憶された計測内容情報を参照して、判定されたMモード画像の種類に応じた注目時相を特定し、当該Mモード画像上において特定した注目時相を示すライン上に計測点を設定する。計測部32による計測点の設定処理の詳細については後述する。複数の計測点の設定処理が終了すると、計測部32は、複数の計測点間の距離を演算する。
計測部32により設定された計測点は表示制御部20に送られ、計測点はMモード画像に重畳されて表示部22に表示される。また、計測部32による計測結果(計測値)も表示制御部20に送られ表示部22に表示される。
本実施形態では、超音波画像処理装置として超音波診断装置10が用いられているが、超音波診断装置からパーソナルコンピュータ(PC)に対して受信信号を転送し、Mモード画像の形成、Mモード画像の種類の判定、及びMモード計測の各処理をPCにおいて行うようにしてもよい。この場合、当該PCが超音波画像処理装置に相当する。
なお、図1に示す各構成(符号を付した各部)のうち、画像形成部18、表示制御部20、画像種類判定部30、及び計測部32の各部は、例えば電気電子回路やプロセッサ等のハードウェアを利用して実現することができ、その実現において必要に応じてメモリ等のデバイスが利用されてもよい。また、上記各部に対応した機能が、CPUやプロセッサやメモリなどのハードウェアと、CPUやプロセッサの動作を規定するソフトウェア(プログラム)との協働により実現されてもよい。
以下、図2及び図3を参照して、画像種類判定部30の処理内容の詳細、及び記憶部26に記憶される画像判定用情報の詳細を説明する。
図2は、ユーザにより設定される観察ラインの一例を示す図である。図2は心臓の断面図であり、大動脈50、左心房52、及び左心室54が示されている。図2には、LA/AO計測、僧帽弁計測、LV計測の各計測項目を実行する際に好適な観察ラインA〜Cの設定位置が示されている。
具体的には、LA/AO計測を実行する際は、ユーザは、前側大動脈壁56、大動脈弁58、後側大動脈壁(兼前側左心房壁)60、及び後側左心房壁62を通過する観察ラインAの位置に観察ラインを設定する。また、僧帽弁計測を行う場合は、ユーザは、心室中隔64、僧帽弁66、及び左心室壁68を通過する観察ラインBの位置に観察ラインを設定する。また、LV計測を行う場合は、ユーザは、心室中隔64及び左心室壁68を通過する観察ラインCの位置に観察ラインを設定する。
図2に示された観察ラインA〜Cに対応する各Mモード画像が図3に示されている。図3(A)に観察ラインAに対応するMモード画像が示され、図3(B)に観察ラインBに対応するMモード画像が示され、図3(C)に観察ラインCに対応するMモード画像が示されている。
図3(A)に示されたMモード画像は、LA/AO計測に適した大動脈弁Mモード画像である。大動脈弁Mモード画像には、前側大動脈壁56の運動を示す輝度ライン56a、大動脈弁58の運動を示す輝度ライン58a、後側大動脈壁60の運動を示す輝度ライン60a、及び、後側左心房壁62の運動を示す輝度ライン62aを含んでいる。
図3(B)に示されたMモード画像は、僧帽弁計測に適した僧帽弁Mモード画像である。僧帽弁Mモード画像には、心室中隔64の運動を示す輝度ライン64a、僧帽弁66の運動を示す輝度ライン66a、及び、左心室壁68の運動を示す輝度ライン68aを含んでいる。
図3(C)に示されたMモード画像は、LV計測に適した左心室Mモード画像である。左心室Mモード画像には、心室中隔64の運動を示す輝度ライン64a、及び、左心室壁68の運動を示す輝度ライン68aを含んでいる。
図2及び図3に示した観察ライン及びMモード画像の種類は一例であり、実際にはその他多数の観察ラインの設定位置及びMモード画像の種類が存在する。
このように観察ラインの位置によってMモード画像における輝度分布が異なる。つまり、ユーザが目的とする計測項目毎にMモード画像の輝度分布が異なる。上述のように、画像種類判定部30がMモード画像に対して画像解析処理を行うことで、Mモード画像の種類、すなわちユーザが目的とする計測項目が判定される。
例えば、画像種類判定部30は、Mモード画像の輝度分布や組織のエッジ特徴の大小関係などを利用してMモード画像の種類を判定することができる。この場合は、画像判定用情報として、各計測項目に適したMモード画像の輝度分布及び組織のエッジ特徴などが記憶部26に記憶され、画像種類判定部30は、当該画像判定用情報と形成されたMモード画像との比較処理などを実行してMモード画像の種類を判定する。
また、過去に形成され計測に用いられた多数のMモード画像から、各計測項目毎に上記輝度分布やエッジ特徴などを抽出し、学習演算を行うことによって、各計測項目毎により一般化されたMモード画像の特徴を演算してもよい。この場合は、各計測項目毎に一般化された各特徴が画像判定用情報となる。そして、形成されたMモード画像と、各計測項目に対応する各特徴との間でマッチング処理を行うことで、Mモード画像の種類を判定できる。このような処理においては、例えば、統計解析を基礎とした部分空間法、あるいはサポートベクタマシンなどが適用できる。また、Mモード画像の特徴量を、機械学習であるBag of features方式、AdaBoost方式を用いて学習するようにしてもよい。さらには、Mモード画像の各画素の輝度値そのものを直接Deep Learning方式に入力することによって、特徴量の決定と学習を行うようにしてもよい。
プローブ12において時分割スキャンなどが実行され、Bモード画像とMモード画像が実質的にリアルタイムで形成される場合は、Mモード画像の種類の判定にあたり、当該Mモード画像と実質的に同時に形成されたBモード画像を参照するにようにしてもよい。例えば、Bモード画像に対して画像解析処理を行い、Bモード画像の種類が傍胸骨左室長軸像であれば、当該Bモード画像に対応するMモード画像の種類は、大動脈弁Mモード画像、僧帽弁Mモード画像、左心室Mモード画像に絞り込むことができる。また、Bモード画像の種類が心尖部四腔像であれば、当該Bモード画像に対応するMモード画像の種類は、TAPSE(三尖弁輪収縮期移動距離)計測用Mモード画像であると判定できる。また、Bモード画像の種類が心窩部矢状断面であれば、当該Bモード画像に対応するMモード画像の種類は、下大静脈径計測用Mモード画像であると判定できる。
画像種類判定部30による上記の処理は、画像種類判定部30によるMモード画像の種類判定処理の一例であり、Mモード画像の種類を好適に判定できる限りにおいて他の処理方法を用いてもよい。
以下、図4を参照して、計測部32による複数の計測点の設定処理の詳細、及び記憶部26に記憶される計測内容情報の詳細を説明する。
まず、計測内容情報の詳細について説明する。計測内容情報においては、各Mモード画像の種類に対して、計測のために用いるMモード画像上において計測点を設定すべき位置を示す情報、及び設定された計測点を用いた計測方法を示す情報などが関連付けられている。計測点を設定すべき位置を示す情報には、計測点を設定すべき時相(注目時相)を示す情報が含まれていてもよい。
例えば、LA/LO計測に適した大動脈弁Mモード画像に対しては、計測点を設定すべき位置として、拡張末期における前側大動脈壁を示す輝度ライン上、拡張末期における後側大動脈壁を示す輝度ライン上、収縮末期における前側左心房壁を示す輝度ライン上、及び、収縮末期における後側左心房壁を示す輝度ライン上の4点が関連付けられる。
また、大動脈弁Mモード画像に対しては、計測方法を示す情報として、拡張末期において設定された2つの計測点間の距離と、収縮末期において設定された2つの計測点間の距離との比を演算することが関連付けられている。
以下、計測部32による計測点の設定処理の詳細について、大動脈弁Mモード画像に対してLA/AO計測のための計測点が設定される例において説明する。図4には、図3(A)と同じ大動脈弁Mモード画像が示されている。
画像種類判定部30によりMモード画像の種類が判定されると、計測部32は、計測内容情報を参照し、判定されたMモード画像の種類に対応する計測点の位置を特定する。本実施形態では、Mモード画像は大動脈弁Mモード画像であるから、計測点の位置として、拡張末期における前側大動脈壁を示す輝度ライン上、拡張末期における後側大動脈壁を示す輝度ライン上、収縮末期における前側左心房壁を示す輝度ライン上、及び、収縮末期における後側左心房壁を示す輝度ライン上の4点が特定される。計測部32は、特定された4点に計測点を設定する。
本実施形態では、形成されたMモード画像には、心電計28が取得した心電データに基づいて形成された心電波形80が重畳されている。計測部32は、当該心電波形80を解析することで、計測内容情報において示された注目時相を特定する。本例では、注目時相は拡張末期及び収縮末期であるから、心電波形80のR波のピークのタイミングt1を拡張末期として特定し、心電波形80のT波の終点のタイミングt2を収縮末期として特定する。なお、T波の終点のタイミングは、例えばタンジェント法あるいはスレッショルド法が利用できる。タンジェント法は、心電波形80におけるT波のピークと、T波の減衰曲線において傾きが最大となる点とを結ぶ直線と、心電波形80の基線レベルとの交点が示すタイミングを収縮末期として検出する手法である。スレッショルド法は、T波の減衰曲線の辺縁と心電波形の基線レベルとの交点が示すタイミングを収縮末期として検出する手法である。
注目時相が特定されると、計測部32は、Mモード画像の注目時相を示すライン上において、計測内容情報に示される位置に計測点を設定する。本例では、拡張末期を示すラインL1と前側大動脈壁56を示す輝度ライン56aとの交点に計測点90aが設定され、ラインL1と後側大動脈壁60を示す輝度ライン60aとの交点に計測点90bが設定される。また、収縮末期を示すラインL2と後側大動脈壁60を示す輝度ライン60aとの交点に計測点90cが設定され、ラインL2と後側左心房壁62を示す輝度ライン62aとの交点に計測点90dが設定される。
各計測点を設定する位置は、Mモード画像に対する画像解析処理により特定される。例えば、ラインL1に沿ってエッジ検出処理などを行うことにより、輝度ライン56a及び60aが特定される。
また、各計測点の設定に先立って、Mモード画像の各輝度ラインのトレース処理を行うようにしてもよい。当該トレース処理によれば、Mモード画像の各輝度ラインが抽出され、好適に計測点の設定位置を特定することができる。当該トレース処理の手法としては、例えば、輝度ラインの典型的な構成を示すモデルを各Mモード画像の種類毎に用意して、これらを記憶部26に記憶させておき、形成されたMモード画像に対して、対応するモデルをフィッティングさせる(つまり、形成されたMモード画像が有する各輝度ラインに基づいてモデルに含まれる輝度ラインを修正する処理を行う)ことで当該Mモード画像に含まれる輝度ラインをトレースする手法も採用できる。
計測部32による計測点の設定処理は、計測内容情報が示す計測点を設定できる限りにおいて上記以外の処理方法を用いてもよい。
上述の処理において、Mモード画像上に複数の計測点90a〜dが設定されると、計測部32は、計測内容情報が示す計測方法に従って計測を実行する。本例では、計測点90aと計測点90b間の距離と、計測点90cと計測点90d間の距離との比が演算される。これにより、LA/AO比が演算される。
以下、図5のフローチャートに従って、本実施形態に係る超音波診断装置10の処理の流れを説明する。
ステップS10において、画像形成部18は、被検体内において設定された観察ライン上において送受波された超音波に基づいて、当該観察ラインに対応するMモード画像を形成する。
ステップS12において、画像種類判定部30は、ステップS10において形成されたMモード画像に対して、画像判定用情報を参照しつつ画像解析処理を実行し、当該Mモード画像の種類を判定する。
ステップS14において、計測部32は、ステップS12で判定されたMモード画像の種類、及び計測内容情報に基づいて、計測点を設定すべき注目時相を特定する。
ステップS16において、計測部32は、計測内容情報を参照しつつ、Mモード画像に対する画像処理などによって、Mモード画像の種類に応じた複数の計測点を当該Mモード画像上に設定する。
ステップS18において、計測部32は、計測内容情報に基づいて、設定された複数の計測点間の距離を計測する。計測結果(計測値)は、表示制御部20へ送られる。
ステップS20において、表示制御部20は、ステップS10で形成されたMモード画像、ステップS16において特定された計測点、及びステップS18における計測で得られた計測値を表示部22に表示させる。
以上説明した本実施形態によれば、画像種類判定部30によりMモード画像の種類が判定され、つまりユーザが目的とする計測項目が判定される。そしてMモード画像の種類に応じて当該Mモード画像上に計測点が自動的に設定され、設定された計測点を用いて、当該Mモード画像の種類に応じた計測が自動的に実行される。これによりユーザは、Mモード計測にあたり、計測項目の設定のための作業、及び計測点の設定のための作業を行う必要がないから、Mモード計測におけるユーザの手間が低減される。
以上、本発明に係る実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
10 超音波診断装置、12 プローブ、14 送受信部、16 シネメモリ、18 画像形成部、20 表示制御部、22 表示部、24 制御部、26 記憶部、28 心電計、30 画像種類判定部、32 計測部。
Claims (5)
- 被検体内に設定された観察ライン上の組織運動を表すMモード画像に対して画像解析処理を適用し、前記観察ラインの設定位置に応じて定まる前記Mモード画像の種類を判定する画像種類判定手段と、
前記Mモード画像に対して、前記Mモード画像の種類に応じた計測を自動的に実行する計測実行手段と、
を備えることを特徴とする超音波画像処理装置。 - 前記計測実行手段は、前記Mモード画像において、前記Mモード画像の種類に応じて前記計測のための計測点を自動的に設定する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の超音波画像処理装置。 - 前記計測実行手段は、前記Mモード画像の種類に応じて特定される注目時相を示すライン上に前記計測点を設定する、
ことを特徴とする、請求項2に記載の超音波画像処理装置。 - 前記Mモード画像、及び、設定された前記計測点を表示部に表示させる表示制御手段、
をさらに備えることを特徴とする、請求項2又は3に記載の超音波画像処理装置。 - 前記注目時相は、心臓の拡張末期及び収縮末期を含む、
ことを特徴とする、請求項3に記載の超音波画像処理装置。
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