JP2017143411A - タイムインターリーブ型ad変換装置、受信装置、及び通信装置 - Google Patents

タイムインターリーブ型ad変換装置、受信装置、及び通信装置 Download PDF

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Abstract

【課題】デジタル回路の動作時に発生するノイズによるAD変換特性劣化を軽減できるタイムインターリーブ型AD変換装置を提供する。【解決手段】アナログ入力電圧をデジタル値にそれぞれ変換する複数M個のAD変換器と、複数M個のAD変換器から出力されるM個のデジタルデータから複数N個のデジタルデータを選択しかつ同期して出力するデータ出力制御回路とを備えたデジタル信号処理システムのためのタイムインターリーブ型AD変換装置であって、タイムインターリーブ型AD変換装置は複数M個のAD変換器を備え、MとNとは互いに素となる関係である。【選択図】図1

Description

本開示は、タイムインターリーブ型AD変換装置と、上記タイムインターリーブ型AD変換装置を備えた受信装置と、上記受信装置を備えた通信装置とに関する。当該明細書等において、アナログ/デジタル変換をAD変換といい、デジタル/アナログ変換をDA変換という。
車載向けミリ波レーダーシステム等において、高帯域信号処理が求められている。そのため、信号受信回路では、入力された高帯域信号を、非常に高速な周波数でサンプリングして、その電圧値をデジタル信号に変換する高速AD変換器が必須となっている。しかし、一般的なCMOS半導体プロセスでは、単体のAD変換器でサンプリング周波数が1GHzを超えるような高速AD変換器を実現しようとすると、消費電力や面積の大幅な増加を招くことになる。
そこで、M個(Mは2以上の整数)からなる複数のAD変換器(チャネルAD変換器)を配置して、それぞれに位相を均等にずらした動作クロックを入力してAD変換を実施するタイムインターリーブ型のAD変換器を用いられることが多い。この方式を用いることで、各チャネルの動作クロック周波数はサンプリング周波数の1/M倍の周波数にすることができるため、サンプリング周波数が1GHzを超える高速なAD変換器でも実現することが可能になる。
しかし、タイムインターリーブ型AD変換装置では、トランジスタや容量等の素子ばらつきにより、M個のチャネルAD変換器の特性が一致しないという課題がある。このようなチャネルAD変換器間誤差は、タイムインターリーブ型AD変換装置の出力特性の非線形性を招くことに繋がり、SN比を劣化させてしまう。そこで、チャネルAD変換器間の特性誤差を見積もり、それらを補正する手法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2006−313162号公報
前述のタイムインターリーブ型AD変換装置を用いることで、高速なAD変換処理が可能となるが、一方、AD変換後のデータを処理するデジタル回路においても高速処理が困難という問題が発生する。
そこで、AD変換後のデジタルデータをN並列(Nは2以上の整数)で処理を行うことで、後段のデジタル回路ブロックの動作周波数を1/Nに下げる手法が多く用いられる。しかし、M並列(Mは2以上の整数)のタイムインターリーブ型AD変換装置と、N並列のデジタルデータ処理において、並列数MとNとの間に公約数を持つような関係があるとき、デジタル回路から発生する周期的なノイズが、電源等の配線を介して、タイムインターリーブ型AD変換装置内のある特定のチャネルAD変換器に影響を与えるという課題が発生する。
このとき、前述のチャネルAD変換器間誤差の補正を行うと、周期ノイズの影響を受けるチャネルのみ異なる補正値を算出してしまうため、チャネルAD変換器間誤差を完全に取り除くことができない。従って、タイムインターリーブ型AD変換装置は、誤差を含んだチャネルAD変換器の影響で、その出力特性に周期的な誤差が発生し、出力スペクトラム上にスプリアスを発生させてしまう。
本開示の目的は、後段のデジタル回路の周期ノイズの影響を軽減することができる、タイムインターリーブ型AD変換装置を提供することにある。
本開示に係るタイムインターリーブ型AD変換装置は、アナログ入力電圧をデジタル値にそれぞれ変換する複数M個のAD変換器と、前記複数M個のAD変換器から出力されるM個のデジタルデータから複数N個のデジタルデータを選択して出力するデータ出力制御回路とを備えたデジタル信号処理システムのためのタイムインターリーブ型AD変換装置であって、
前記タイムインターリーブ型AD変換装置は前記複数M個のAD変換器を備え、
MとNとは互いに素となる関係である。
本開示によれば、デジタル回路の動作時に発生するパターンノイズが、ある特定のチャネルAD変換器だけに影響を与えるという現象を回避できるため、チャネルAD変換器間の誤差補正が可能になり、性能劣化を防ぐことができる。また、チャネル間誤差を、後段のデジタル回路から発生するノイズの影響下においても、正確に補正することができるため、性能劣化を防ぐことができる。
本開示の実施形態1に係る、タイムインターリーブ型AD変換装置1とデジタル信号処理回路2を含むデジタル信号処理システムの構成を示すブロック図である。 図1のチャネルAD変換器10の構成を示す回路図である。 図1のデータ出力制御回路4の構成を示すブロック図である。 図1のデジタル信号処理システムにおいて、並列数Mが8で並列数Nが4のときの動作を示すタイミングチャートである。 図4の動作のときのタイムインターリーブ型AD変換装置1から出力される信号のスペクトラムを示すグラフである。 図1のデジタル信号処理システムにおいて、並列数Mが9で並列数Nが4のときの動作を示すタイミングチャートである。 図6の動作のときのタイムインターリーブ型AD変換装置1から出力される信号のスペクトラムを示すグラフである。 図3のデータ出力制御回路4の動作を示すタイミングチャートである。 変形例に係るデータ出力制御回路4Aの構成を示すブロック図である。 本開示の実施形態2に係るレーダ装置101の構成を示すブロック図である。
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、同様の構成要素については同一の符号を付している。
実施形態1.
図1は本開示の実施形態1に係る、タイムインターリーブ型AD変換装置1とデジタル信号処理回路2を含むデジタル信号処理システムの構成を示すブロック図である。図1において、本実施形態に係るデジタル信号処理システムは、入力された信号を高速にサンプリングしてデジタル値に変換するタイムインターリーブ型AD変換装置1と、変換されたデジタル値を有するデジタル信号に対して、例えばデジタルフィルタ処理などの所定のデジタル信号処理を行うデジタル信号処理回路2を備える。
図1において、タイムインターリーブ型AD変換装置1は、M(Mは2以上の整数)個のチャネルAD変換器(ADC)10−1〜10−M(総称して,符号10を付す)と、分周クロック生成回路3と、データ出力制御回路4とを備えて構成される。
図2は図1のチャネルAD変換器10の構成を示す回路図である。図2において、チャネルAD変換器10は、例えばMOSトランジスタで構成されるサンプリングスイッチ6と、キャパシタ7と、量子化器8とを備える。ここで、チャネルAD変換器10は、クロック信号CLKに基づいて、サンプリングクロックのタイミングでサンプリングスイッチ6を導通状態から解放状態にして入力信号電圧Vinをキャパシタ7に保持するサンプリング回路9と、保持した電圧Vinと参照電圧との比較を行うことで複数ビットのデジタルコードを有するデジタルデータVoutに変換する量子化器8とを備える。チャネルAD変換器10−1〜10−Mはそれぞれ、デジタルデータDI1〜DIMをデータ出力制御回路4に出力する。
図1の分周クロック生成回路3は、サンプリング周波数Fsのクロック信号CLKを、周波数Fs/Mの分周クロック信号に分周することで、位相2π/M×k(k=1,2,…,M)からなるM個の位相のクロック信号CLK1,CLK2,…,CLKM及びクロック信号CLK0を生成する。クロック信号CLK1,CLK2,…,CLKMはそれぞれ対応する各チャネルAD変換器10−1〜10−Mに入力され、クロックCLK0はデータ出力制御回路4に入力される。また、分周クロック生成回路5は、サンプリング周波数Fsのクロック信号CLKを、周波数Fs/Nの分周クロック信号CLKDに分周してデータ出力制御回路4及びデジタル信号処理回路2に出力する。ここで、N<Mである。データ出力制御回路4は、入力側のクロック信号CLK0及び出力側のクロック信号CLKDに基づいて、マルチプレクサにより、入力されたM個の位相からなるM個のデジタルデータDI1〜DIMから複数N個のデジタルデータDO1〜D0Nを選択して出力する。
図3は図1のデータ出力制御回路4の具体的構成を示すブロック図である。図3において、データ出力制御回路4は、
(1)複数個のデータを環状で一時的に記憶するリングバッファメモリ20と、
(2)クロック信号CLK0に基づいて、リングバッファメモリ20の書き込みアドレスを生成してリングバッファメモリ20に指定するライトアドレスポインタ21と、
(3)クロック信号CLKDに基づいて、リングバッファメモリ20の読み出しアドレスを生成してリングバッファメモリ20に指定するリードアドレスポインタ22と、
(4)クロック信号CLK0に基づいて、並列に入力される例えば9個のデジタルデータDI1〜DI9を一時的に記憶して出力する遅延型フリップフロップを備えたフリップフロップ回路23と、
(5)クロック信号CLK0に基づいて、フリップフロップ回路23から入力されるデジタルデータDI1〜DI9から、リングバッファメモリ20に対して書き込むべき1つのデジタルデータを選択してリングバッファメモリ20に出力するセレクタ24と、
(6)リングバッファメモリ2023から入力されるデジタルデータDO1〜DO4をクロック信号CLKDに同期させて並列に出力するセレクタ25とを備える。
以下、サンプリング周波数Fsでの図1のタイムインターリーブAD変換装置1の動作を説明する。入力信号電圧Vinは、各チャネルAD変換器10−1〜10−Mのサンプリング回路9に入力される。各チャネルAD変換器10−1〜10−Mは、分周クロック生成回路3により生成されたM個の位相のクロックCLK1,CLK2,…,CLKMでそれぞれサンプリングしてAD変換を行う。AD変換後のM個のデジタルデータDI1〜DIMは、データ出力制御回路4により選択的に出力されることで、サンプリング周波数FsでのAD変換動作を実現することができる。ここで、各チャネルAD変換器10−1〜10−Mは、Fs/Mの周波数で動作することができるため、非常に速いサンプリング周波数の場合も並列数Mを増やすことで実現可能になる。
しかし、タイムインターリーブ型AD変換装置1は、素子ばらつきにより各チャネルAD変換器10−1〜10−Mの特性に誤差が生じるという課題が存在する。そのため、それらの誤差を見積もり、補正する機構が設けられることが多い。チャネルAD変換器10−1〜10−M間誤差には、コンパレータのトランジスタのしきい値電圧のばらつきによるオフセット誤差、並びに、分周クロック生成回路3に配置されたクロックバッファのミスマッチによるサンプリング位相誤差などが含まれる。これらの誤差を補正するために、補正期間にテスト用の信号を入力して各チャネルAD変換器10−1〜10−M間の誤差を見積もり、素子のトリミング及びデジタル回路で補正を行う手法が用いられる。
デジタル信号処理回路2は、タイムインターリーブ型AD変換装置1で得られたデジタルコードを有するデジタルデータDO1〜DONに対して、例えばデジタルフィルタ等の信号処理を行う。デジタル信号処理回路2もチャネルAD変換器10−1〜10−Mと同様に、高速なクロック周波数Fsで動作させることが困難という課題が発生する。
そこで、図1のように、タイムインターリーブ型AD変換装置のデータ出力制御回路4から、N(Nは2以上の整数)個並列に分割したデジタルデータDO1,DO2,…,DONをデジタル信号処理回路2に入力し、N個並列のデータ演算処理を行うようにする。これにより、デジタル信号処理回路2の動作クロックは、デジタル信号処理用分周クロック生成回路5を用いて、Fs/Nの周波数までさげることが可能になる。
図4は図1のデジタル信号処理システムにおいて、並列数Mが8で並列数Nが4のときの動作を示すタイミングチャートである。図5は図4の動作のときのタイムインターリーブ型AD変換装置1から出力される信号のスペクトラムを示すグラフである。
例えば、サンプリング周波数Fsが1GHzのとき、各チャネルAD変換器10−1〜10−Mは8位相125MHzのクロック信号で動作し、デジタル信号処理回路2は250MHzのクロック信号で動作する。各チャネルAD変換器10−1〜10−Mのクロック信号は、「1」のときに図2のサンプリングスイッチ6を導通状態にして入力電圧をキャパシタ7にチャージしてサンプルする一方、「0」のときにサンプリングスイッチ6を解放状態にする。つまり、各チャネルAD変換器10−1〜10−Mはクロック信号CLKの立ち下がりのタイミングで、その瞬間の値をホールドすることになる。保持された信号入力電圧Vinは、クロック信号CLKが「0」の期間に量子化され、デジタル値の出力電圧Voutを出力する。
もし、サンプルホールドした値が入力信号電圧Vinからずれてしまうと、AD変換した結果にも誤差が生じるため、特性が劣化してしまう。そのため、サンプルホールド動作時、特に、サンプリングクロック信号が「1」から「0」になるときに、誤差が入り込まないようにすることが重要となる。
しかし、AD変換器等のアナログ回路とデジタル信号処理回路が1チップに搭載されているようなシステムLSIにおいては、デジタル回路の動作時に発生するノイズが電源やグランド配線を通じてAD変換器に影響を与えるということが多々発生する。さらに、デジタル回路から発生するノイズはクロックのエッジ起因であることから、ランダム性のノイズではなく、周期的な性質を持ったパターンノイズであることが問題となる。
図4の例では、デジタル信号処理回路2の動作クロックCLKDの立ち上がり時及び立ち下がりの動作が、クロック信号CLK1とCLK5の動作タイミングに同期していることが分かる。つまり、チャネルAD変換器10−1と10−5のみ、サンプルホールド動作時にデジタル信号処理回路2からのノイズの影響を受けていることになる。上記のように、デジタル信号処理回路2からのノイズが、ある特定のチャネルAD変換器10のみに影響することで、チャネルAD変換器10間誤差を補正する時に補正値を誤算出してしまうという課題が発生する。
前述のとおり、タイムインターリーブ型AD変換装置ではチャネルAD変換器10間の誤差補正が必須となるが、それらの誤差値を見積もる際に、ある基準値をすべてのチャネルAD変換器10−1〜10−Mに入力してその変換結果の値を用いることが多い。その際に、同じ基準値をAD変換しないといけないはずが、ノイズが混入するチャネルAD変換器(図4において10−1と10−5)のみ異なる値に対して動作している可能性がある。
一般的に、補正値等を見積もる場合、同じ値に対するAD変換を複数回実施して平均をとる方法が用いられるが、これはランダム性のノイズの影響を軽減するためであって、前述の周期性のあるパターンノイズがある特定のチャネルに影響し続けるというケースには効果が期待できない。従って、チャネルAD変換器10−1と10−5のみ正確な補正値が算出できず、チャネルAD変換器間の誤差を補正しきれないという問題が発生する。
図5は、チャネルAD変換器間の誤差が補正しきれなかった時のシミュレーション結果である。図5は約460MHzの正弦波を入力した時のスペクトラムを表しており、入力信号以外のノイズ成分の中にスプリアスが含まれていることが分かる。これらは、チャネルAD変換器間のオフセットやサンプリング位相誤差に起因するスプリアスであり、信号対雑音比(S/N比)の劣化を招いている。
デジタル信号処理回路2からのパターンノイズがある特定のチャネルAD変換器10に影響を与えるかどうかは、チャネルAD変換器10の動作周波数と、デジタル信号処理回路2の動作周波数との関係に依存する。つまり、タイムインターリーブ型AD変換装置1のチャネルAD変換器10の数Mと、デジタル信号処理回路2の入力側データ並列数Nとの間に公約数を持つような関係にあるとき、それぞれの動作周波数が同期し、ある特定のチャネルAD変換器10だけ、常にデジタル回路のノイズに晒されるということになるということを本発明者は発見した。
そこで、図1の構成において、例えば、タイムインターリーブ型AD変換装置1のチャネルAD変換器10の個数Mを9とし、デジタル信号処理回路2の入力側データ並列数Nを4とするように設定して、MとNが互いに素の関係になるような構成をとる。こうすることで、上述のように、ある特定チャネルだけがデジタル信号処理回路のパターンノイズの影響を受けることを防ぐことができる。
図6は図1のデジタル信号処理システムにおいて、並列数Mが9で並列数Nが4のときの動作を示すタイミングチャートである。図7は図6の動作のときのタイムインターリーブ型AD変換装置1から出力される信号のスペクトラムを示すグラフである。
サンプリング周波数Fsを1GHzとしたとき、タイムインターリーブ型AD変換装置1の各チャネルAD変換器の動作クロックの周波数は約111MHzとなる。デジタル信号処理回路2の動作クロックCLKDの周波数は250MHzである。前述のように、分周クロック信号CLKDの立ち上がり、又は、立下りのタイミングで入力信号をサンプルホールドするチャネルAD変換器10がノイズの影響を受けることになる。
ところが、図6に示すように、ある分周クロック信号CLKDの動作時がチャネルAD変換器10−1のサンプルホールド動作時に影響を与えれば、次の分周クロック信号CLKDの動作時はチャネルAD変換器10−5、その次の分周クロック信号CLKDの動作時にはチャネルAD変換器10−9、その次はチャネルAD変換器10−4→チャネルAD変換器10−8→チャネルAD変換器10−3というように、均等に全てのチャネルAD変換器10−1〜10−Mに分周クロック信号CLKDのパターンノイズが加わることになる。従って、ある特定のチャネルAD変換器10のみノイズが加わるということにならない。そのため、チャネルAD変換器10間の誤差値を算出する際に、複数回補正演算を繰り返して平均化する処理を施せば、デジタル信号処理回路2のパターンノイズの影響を軽減することができ、安定かつ正確な誤差補正値を見積もることができる。図7から明らかなように、各チャネルAD変換器10−1〜10−Mのオフセットやサンプリング位相誤差によるスプリアスが抑制されていることが分かる。
図8は図3のデータ出力制御回路4の動作を示すタイミングチャートである。具体的には、9個のチャネルAD変換器10−1〜10−9のデジタルデータDI1〜DI9を、4個のデジタルデータDO−1〜DO4に変換するデータ出力制御回路4の入出力タイミングチャートの一例である。
図8において、まず、図3のフリップフロップ回路23により、9個のチャネルAD変換器10−1〜10−9からの9位相の出力デジタルデータを、1つのクロックCLK0に同期させて揃えてから、デジタルデータDI1,DI2,…,DI9として、データ出力制御回路4のリングバッファメモリ20に入力する。ここで、9個の入力データを4個の出力データに変換するためには、FIFO(First In First Out)型バッファメモリなどのリングバッファメモリ20を用いる。これは、時系列で早く入力されたデジタルデータから順に、出力デジタルデータとして取り出していく手法で、非同期クロック信号の乗り換え等に用いられる。9個の入力デジタルデータをサンプリングの早い順に、デジタルデータDI1,DI2,…,DI9とすると、4個の出力デジタルデータDO1〜DO4への変換は、図8のタミングチャートのような入出力関係になる。ここで、データの識別子DX(X=1,2,…)のXは、サンプリングした順序を示している。
なお、本実施形態において、チャネルAD変換器10−1〜10−Mの個数Mとデジタル信号処理回路2のデータ並列数Nは、それぞれ9と4に限定されない。高速な信号処理を必要とするデジタル信号処理システムにおいて、MとNがそれぞれ2以上となるときに、MとNとの間に互いに素となる関係を作ることで、デジタル信号処理回路2からのパターンノイズによる影響を軽減することが可能となる。
図9は変形例に係るデータ出力制御回路4Aの構成を示すブロック図である。図9において、データ出力制御回路4Aは、
(1)複数の遅延型フリップフロップ31−1〜31−9を備え、クロック信号CLK0に基づいて、入力されるデジタルデータDI1〜DI9を一時的に格納して出力するフリップフロップ回路31と、
(2)複数のFIFO型メモリ32−1〜32−9を備え、クロック信号CLK0に基づいて、フリップフロップ回路31からのデジタルデータDI1〜DI9を先入れ先出しで格納して出力するFIFO型メモリ回路32と、
(3)クロック信号CLK0及びクロック信号CLKDに基づいて、FIFO型メモリ回路32から出力されるデジタルデータから選択的に4個のデジタルデータを選択して出力するセレクタ33と、
(4)複数の遅延型フリップフロップ34−1〜34−4を備え、クロック信号CLKDに基づいて、セレクタ33から出力されるデジタルデータDO1〜DO4を一時的に格納して同期して出力するフリップフロップ回路34とを備えて構成される。
図9のように構成された変形例に係るデータ出力制御回路4Aは、図3のデータ出力制御回路4と同様に動作し、同様の作用効果を有する。
実施形態2.
図10は本開示の実施形態2に係るレーダ装置101の構成を示すブロック図である。レーダ装置101は、車両を含む移動体に搭載されたレーダ装置であり、実施形態1に係るタイムインターリーブ型AD変換装置1をAD変換部116,117として用いたことを特徴としている。
レーダ装置101は、例えば、進行方向に沿って直進又は曲進する移動体(例えば車両CR、以下同様である)に設置される。但し、レーダ装置が設置される移動体は、車両CRに限定されず、例えば、自動2輪(オートバイ)、自立走行するロボットを含む。本実施形態では、例えば車両CRの前方方向FRに対して、車両CRの前方の左右の側方にそれぞれ、2つのレーダ装置101L,101Rが設置されるが、車両CRの後方よりの側方に2つのレーダ装置が設置されてもよい。レーダ装置101L,101Rの内部構成は同様であるため、レーダ装置101L,101Rを、設置角度γ、方位角θを用いてレーダ装置101として説明する。
図10において、レーダ装置101は、レーダ送信部Txが生成した高周波のレーダ送信信号を送信アンテナTA1から送信する。レーダ装置101は、物体(図示せず)が反射したレーダ送信信号である反射波信号を、4個の受信アンテナRA1〜RA4で構成されたアレーアンテナにて受信する。レーダ装置101は、4個の受信アンテナRA1〜RA4が受信した反射波信号の信号処理により、物体(以下、静止物体又は静止ターゲット、移動物体又は移動ターゲットともいう)を検出し、さらに、レーダ装置101が搭載された車両CRに対する移動物体の相対速度vd(fs)を推定する。
なお、静止物体及び移動物体はレーダ装置101が検出する対象の物体であり、例えば自動車、二輪車、又は人を含み、以下の各実施形態においても同様である。なお、受信アンテナRA1〜RA4は受信アンテナ素子でもよい。また、レーダ装置101のアレーアンテナを構成する受信アンテナは4個に限定されない。
レーダ装置101は、基準信号生成部Loと、レーダ送信部Txと、レーダ受信部Rxとを備える。レーダ送信部Txは、送信信号生成部102と、送信アンテナTA1が接続された送信高周波部103とを備える。
基準信号生成部Loは、レーダ送信部Tx及びレーダ受信部Rxに接続される。基準信号生成部Loは、基準信号をレーダ送信部Tx及びレーダ受信部Rxに共通に供給し、レーダ送信部Tx及びレーダ受信部Rxの処理を同期させる。
レーダ受信部Rxは、例えば4系統のアンテナ系統処理部D101,D102,D103,D104とを備える。レーダ受信部Rxは、例えば受信アンテナの個数に応じて4系統のアンテナ系統処理部D101〜D104を有する。なお、各アンテナ系統処理部D101〜D104は同様の構成を有するため、以下の各実施形態ではアンテナ系統処理部D101を例示して説明する。アンテナ系統処理部D101は、1個の受信アンテナRA1が接続された遅延時間測定部112と、ドップラー周波数解析部120とを備える。
送信信号生成部102は、基準信号生成部Loが生成した基準信号を基に、基準信号を所定倍に逓倍した送信基準クロック信号を生成する。送信信号生成部102の各部は、送信基準クロック信号に基づいて動作する。送信信号生成部102が生成したベースバンドの送信信号は、例えば符号化パルスでもよく、あるいは周波数変調を施したチャープパルスでもよく、所定の送信周期毎に繰り返し送信される。
送信高周波部103は、送信信号生成部102が生成した送信信号をアップコンバートし、キャリア周波数帯域(例えばミリ波帯域)のレーダ送信信号を生成する。送信アンテナTA1は、送信高周波部103が生成したレーダ送信信号を空間に放射する。受信アンテナRA1は、レーダ送信部Txが送信したレーダ送信信号が静止物体又は移動物体により反射された反射波信号を受信する。受信アンテナRA1が受信した高周波のレーダ受信信号は、遅延時間測定部112に入力される。
遅延時間測定部112は、送信周期毎に、受信アンテナRAが受信した受信信号と送信信号との相関を演算し、静止物体又は移動物体により反射された反射波信号の受信遅延時間、すなわちレーダ送信信号の送信開始時からの遅延時間を可変させ、遅延時間毎の相関演算値(複素数の成分を有する値)を測定する。なお、遅延時間毎の遅延時間測定部112の相関演算値の出力は、送信周期毎或いは送信周期の整数倍毎に得られる。
ドップラー周波数解析部120は、遅延時間毎の遅延時間測定部112の相関演算値の出力に、複数のドップラー周波数fsΔθに応じた位相変動の補正係数ε(fs)をそれぞれ乗算し、コヒーレント加算処理(振幅及び位相成分を含めた加算処理)し、遅延時間毎に複数のドップラー周波数成分のコヒーレント加算処理結果を出力する。なお、ドップラー周波数成分のコヒーレント加算処理結果によって、相関演算値に含まれるドップラー周波数fsΔθの多寡を判断できる。また、複数のドップラー周波数fsΔθに応じた位相変動の補正係数ε(fs)は、想定される最大ドップラー周波数と所望のドップラー周波数間隔とを基に、予め保持している係数である。ここで、fs=−Nf+1,…,0,…,Nf−1である。Nfは2以上の整数、Δθは検出されるドップラー周波数の範囲を調整するためのパラメータであり、想定する静止物体又は移動物体のドップラー周波数成分の範囲に応じて予め設定された値であり、位相回転単位(所定値)である。
図10において、レーダ送信部Txは、送信信号生成部102と、送信アンテナTA1が接続された送信高周波部103とを備える。
送信信号生成部102は、符号生成部104と、変調部105と、ローパスフィルタ(以下、LPFという)106と、DA変換部107とを有する。図3において、LPF6の出力はDA変換部107に入力される。送信高周波部103は、周波数変換部108と、増幅器109とを含む。
以下、送信信号生成部102において、符号化パルスを用いたレーダ送信信号について説明する。送信信号生成部102は、レーダ送信信号として符号化パルスを出力する。送信周期Trの送信区間Tw[秒]では、符号長Lの符号系列Cnの1つの符号あたり送信基準クロック信号のNo[個]のサンプルを用いて変調される。ここで、nは1からL(>0)である。L(整数)は符号系列Cnの符号長を表す。
送信信号生成部102におけるサンプリングレートは(No×L)/Twであり、送信信号生成部102において、レーダ送信信号を生成する。レーダ送信信号は、送信周期Trの送信区間Tw[秒]ではNr(=No×L)[個]のサンプルを用いて変調し、残りの無信号区間(Tr−Tw)[秒]は無信号区間が含まれる。送信周期Trに含まれる無信号区間(Tr−Tw)[秒]ではNu[個]のサンプルが含まれる。
送信信号生成部102は、符号長Lの符号系列Cnの変調によってベースバンドのレーダ送信信号r(k,M)を周期的に生成する。jは、j=−1を満たす虚数単位である。時刻kは、送信周期Trの開始タイミングを基準(k=0)とした離散時刻であり、kは0から(Nr+Nu)−1までの離散値であり、送信信号の生成タイミング(サンプルタイミング)を表す時刻である。ここで、Mはレーダ送信信号の送信周期Trの序数を表す。送信信号r(k,M)は、第M番目の送信周期Trの離散時刻kにおける送信信号を表し、同相信号成分I(k,M)と、虚数単位jが乗算された直交信号成分Q(k,M)を用いて示される。
符号生成部104は、送信周期Tr毎に、符号長Lの符号系列Cnの送信符号を生成する。符号系列Cnの要素は、例えば、[−1,1]の2値、若しくは[1,−1,j,−j]の4値を用いて構成される。送信符号は、レーダ受信部Rxが受信する反射波信号の低サイドローブ特性を得るために、例えば相補符号のペアを構成する符号系列、Barker符号系列、PN(Pseudorandom Noise)符号、Golay符号系列、M系列符号、及びスパノ符号を構成する符号系列のうち少なくとも1つを含む符号であることが好ましい。符号生成部104は、生成された符号系列Cnの送信符号を変調部105に出力する。以下、符号系列Cnの送信符号を、便宜的に送信符号Cnと記載する。
符号生成部104は、送信符号Cnとして相補符号(例えば、Golay符号系列、スパノ符号系列)のペアを生成するために、2個の送信周期(2Tr)を用いて、送信周期毎に交互にペアとなる送信符号Pn,Qnをそれぞれ生成する。すなわち、符号生成部104は、第M番目の送信周期では相補符号のペアを構成する一方の送信符号Pnを生成して変調部105に出力し、続く第(M+1)番目の送信周期では相補符号のペアを構成する他方の送信符号Qnを生成して変調部105に出力する。同様に、符号生成部104は、第(M+2)番目以降の送信周期では、第M番目及び第(M+1)番目の2個の送信周期を一つの単位として、所定の送信符号Pn,Qnを生成して変調部105に出力する。
変調部105は、符号生成部104が生成した送信符号Cnをパルス変調してベースバンドの送信信号r(k,M)を生成する。パルス変調は、振幅変調、ASK(Amplitude Shift Keying))又は位相変調(PSK(Phase Shift Keying)である。変調部105は、送信信号r(k,M)のうち予め設定された制限帯域以下の送信信号r(k,M)を、LPF6を介してDA変換部107に出力する。DA変換部107は、変調部105が生成したデジタルの送信信号r(k,M)をアナログの送信信号に変換する。DA変換部107は、アナログの送信信号を送信高周波部103に出力する。
送信高周波部103は、基準信号生成部Loが生成した基準信号を基に、基準信号を所定倍に逓倍したキャリア周波数帯域の送信基準信号を生成する。送信高周波部103の各部は、送信基準信号に基づいて動作する。
周波数変換部108は、送信信号生成部102が生成した送信信号r(k,M)をアップコンバートし、キャリア周波数帯域(例えばミリ波帯域)のレーダ送信信号を生成する。周波数変換部108は、レーダ送信信号を増幅器109に出力する。増幅器109は、周波数変換部108が生成したレーダ送信信号の信号レベルを所定の信号レベルに増幅して送信アンテナTAに出力する。増幅器109が増幅したレーダ送信信号は、送信アンテナTAを介した空間に放射される。
送信アンテナTAは、送信高周波部103が生成したレーダ送信信号を空間に放射する。ここで、送信高周波部103と、各アンテナ系統処理部D101〜D104の遅延時間測定部112とには、基準信号生成部Loが生成した基準信号が共通に入力される。送信高周波部103は基準信号を所定倍に逓倍した送信基準信号に基づいて動作し、各アンテナ系統処理部D101〜D104の遅延時間測定部112は基準信号を送信高周波部103と同一の所定倍に逓倍した受信基準信号に基づいて動作する。従って、送信高周波部103と各アンテナ系統処理部D101〜D104の遅延時間測定部112との間の処理は同期する。
図10において、レーダ受信部Rxは、アレーアンテナを構成する受信アンテナの個数(例えば4本)に応じて設けられたアンテナ系統処理部D101〜D104と、方位推定部125とを備える。
アンテナ系統処理部D101は、受信アンテナRA1が接続された遅延時間測定部112と、ドップラー周波数解析部120とを備える。遅延時間測定部112は、増幅器113と、周波数変換部114と、直交検波部115と、2個のAD変換部116,117と、相関演算部118と、コヒーレント加算部119とを含む。レーダ受信部Rxは、レーダ送信信号の各送信周期Trを、各アンテナ系統処理部D101〜D104の遅延時間測定部112における信号処理区間として周期的に演算する。
レーダ受信部Rxにおいて、受信アンテナRA1は、レーダ送信部Txが送信したレーダ送信信号が物体により反射された反射波信号を受信する。受信アンテナRA1が受信した高周波のレーダ受信信号は、遅延時間測定部112に入力される。遅延時間測定部112は、送信高周波部103と同様に、基準信号生成部Loが生成した基準信号を基に、基準信号を所定倍に逓倍したキャリア周波数帯域の受信基準信号を生成する。遅延時間測定部112の各部は、受信基準信号に基づいて動作する。増幅器113は、受信アンテナRA1が受信したレーダ受信信号の信号レベルを所定の信号レベルに増幅して周波数変換部114に出力する。周波数変換部114は、増幅器113が増幅したレーダ受信信号と受信基準信号とを用いて、高周波のレーダ受信信号をベースバンドにダウンコンバートし、ベースバンドの受信信号を生成する。周波数変換部114は、ベースバンドの受信信号を直交検波部115に出力する。直交検波部115は、周波数変換部114が生成したベースバンドの受信信号を直交検波し、同相信号及び直交信号を含む受信信号を生成する。直交検波部115は、ベースバンドの受信信号のうち、同相信号をAD変換部116に出力し、直交信号をAD変換部117に出力する。
AD変換部116は、直交検波部115が生成したベースバンドの同相信号を離散時刻k毎にサンプリングし、アナログデータの同相信号をデジタルデータに変換する。AD変換部116は、デジタルデータの同相信号成分を相関演算部118に出力する。AD変換部116は、レーダ送信部Txが生成する送信信号r(k,M)の1つのパルス幅(パルス時間)Tp(=Tw/L)あたりNs[個]をサンプリングする。すなわち、AD変換部116のサンプリングレートは(Ns×L)/Tw=Ns/Tpとなり、1パルスあたりのオーバーサンプル数はNsとなる。
AD変換部117は、直交検波部115が生成したベースバンドの直交信号に対して、AD変換部116と同様に動作し、デジタルデータの直交信号成分を相関演算部118に出力する。また、AD変換部117のサンプリングレートはNs/Tpとなり、1パルスあたりのオーバーサンプル数はNsである。以下、AD変換部116,17の出力としての第M番目の送信周期Trの離散時刻kにおけるベースバンドの受信信号を、同相信号成分Ir(k,M)及び直交信号成分Qr(k,M)を用いて複素信号x(k,M)として示す。
相関演算部118は、基準信号生成部Loが生成した基準信号を所定倍に逓倍した受信基準クロック信号に基づいて、離散時刻k毎に、符号長Lの送信符号Cnを周期的に生成する。nは1〜Lの整数であり、Lは符号系列Cnの符号長を表す。相関演算部118は、AD変換部116,17の出力としての各離散サンプル値Ir(k,M),Qr(k,M)、すなわち、受信信号としての離散サンプル値x(k,M)と、送信符号Cnとのスライディング相関値AC(k,M)を演算し、レーダ送信信号の送信開始時からの遅延時間τを測定する。AC(k,M)は、第M番目の送信周期の離散時刻kにおけるスライディング相関値を表す。
コヒーレント加算部119は、第M番目の送信周期Trの離散時刻k毎に相関演算部118が演算したスライディング相関値AC(k,M)を用いて、所定回数(Np回)の送信周期Trの期間(Np×Tr)にわたってスライディング相関値AC(k,M)をコヒーレント加算(振幅成分及び位相成分を含めた加算)する。
具体的には、コヒーレント加算部119は、所定回数(Np回)の送信周期Trの期間(Np×Tr)にわたるスライディング相関値AC(k,M)を離散時刻k毎に加算し、第m番目のNp回の送信周期Trにおける離散時刻k毎のコヒーレント加算値CI(k,m)を演算する。Npは、コヒーレント加算部119における加算回数を表す所定値である。mは、各アンテナ系統処理部のコヒーレント加算部119におけるコヒーレント加算回数Np毎のコヒーレント加算出力の序数を示す。例えばm=1なら、コヒーレント加算部119から出力される第1番目のコヒーレント加算出力を表す。コヒーレント加算部119は、コヒーレント加算値CI(k,m)をドップラー周波数解析部120に出力する。
コヒーレント加算部119は、スライディング相関値AC(k,M)のNp回の加算により、物体からの反射波信号が高い相関を有する時間区間における位相を含む加算処理によって反射波信号に含まれる雑音成分を抑圧でき、反射波信号の受信品質(SNR)を改善できる。さらに、コヒーレント加算部119は、反射波信号の受信品質を改善できるので、物体により反射された反射波信号の到来方向の推定精度を向上できる。
車両CRに対する物体の想定最大移動速度が大きいほど、物体により反射された反射波信号に含まれるドップラー周波数の変動量が大きく、高い相関値を有する離散時間間隔が短くなる。このため、加算回数Npが小さくなり、コヒーレント加算部119のコヒーレント加算利得の向上効果が小さくなる。
ドップラー周波数解析部120は、予め用意しておいた2Nf個の異なるドップラー周波数fsΔθに応じた位相変動を、補正係数ε(fs)として用い、離散時刻k毎に得られたコヒーレント加算部119のNc個の出力としてのコヒーレント加算結果CI(k,Nc(w−1)+1)〜CI(k,Nc×w)を単位としてコヒーレント加算する。つまり、ドップラー周波数解析部120は、予め用意した補正係数ε(fs)を、ドップラー周波数が未知である受信信号に乗算し、乗算結果の値が高い値となる補正係数を基に、受信信号に含まれるドップラー周波数成分の多寡を検出できる。
ドップラー周波数解析部120は、上記の演算により得られるコヒーレント加算回数Nc回のコヒーレント加算結果を方位推定部125に出力する。ここで、Δθは、検出されるドップラー周波数の範囲を調整するためのパラメータであり、想定する静止物体又は移動物体のドップラー周波数成分の範囲に応じて予め設定された値であり、位相回転単位(所定値)である。
これにより、各アンテナ系統処理部D101〜D104は、所定の演算により、送信周期Trの(Np×Nc)回の期間(Tr×Np×Nc)毎に、離散時刻k毎の2Nf個のドップラー周波数fsΔθに応じたコヒーレント加算結果であるFT_CINant(k,−Nf+1,w)〜FT_CINant(k,Nf,w)を出力する。各アンテナ系統処理部D101〜D104のドップラー周波数解析部の出力であるFT_CI1(k,fs,w)〜FT_CINa(k,fs,w)は、相関ベクトルh(k,fs,w)として方位推定部125に入力される。
方位推定部125は、各アンテナ系統処理部D101〜D104からの出力により構成される相関ベクトルh(k,fs,w)と、所定の方法により算出されたアレー補正値h_cal[nn]とを用いて、相関ベクトルh(k,fs,w)に生じる振幅及び位相の偏差を補正するための補正相関ベクトルh_after_cal(k,fs,w)をに従って算出する。方位推定部125は上記補正相関ベクトルh_after_cal(k,fs,w)を用いて、各受信アンテナRA1〜RA4にて受信された反射波信号の受信アンテナ間の位相差に基づく方位推定処理を行って方位角を算出して出力する。また、方位推定部125は算出された到来方向推定値DOA(k,fs,w)を基に、離散時刻k、ドップラー周波数fsΔθ及び方位角θuを、移動物体に対するレーダ測位結果として出力する。
以上により、本実施形態のレーダ装置101は、車両CRの側面方向に存在する静止物体により反射された反射波信号におけるドップラー周波数がゼロ(0)、及び各受信アンテナRA1〜RA4により検出される方位は−γ[rad]となる性質を基に、車両CRが直進している場合に、各受信アンテナRA1〜RA4において受信された反射波信号を用いて、各アンテナ系統処理部D101〜D104からの出力(相関ベクトル)に生じる振幅及び位相の偏差を補正するための補正相関ベクトルh_after_cal(k,fs,w)を算出する。
レーダ装置101は、補正相関ベクトルh_after_cal(k,fs,w)を用いて、移動物体により反射された反射波信号の到来方向を推定し、さらに、レーダ装置101から移動物体までの距離R(k)及び相対速度vd(fs)を算出する。ここで、アレーアンテナを構成する各受信アンテナRA1〜RA4及び能動回路(例えば低雑音増幅器期である増幅器113)は、経時的又は経年的に特性が変化するため、各アンテナ系統処理部D101〜D104からの出力(相関ベクトル)に生じる振幅及び位相の偏差が経時的にあるいは経年的に変化する。
本実施形態のレーダ装置101は、以上のような動作により、レーダ装置101は、アレーアンテナを構成する各受信アンテナRA1〜RA4が受信した反射波信号間に生じる振幅及び位相の偏差が経時的にあるいは経年的に変化した場合でも、高精度に補正でき、静止物体又は移動物体の方位推定精度の劣化を抑制できる。
以上の実施形態においては、レーダ装置101について説明しているが、レーダ装置101の構成を用いて、受信装置及び送信装置を備えた通信装置を構成してもよい。
実施形態のまとめ.
第1の態様に係るタイムインターリーブ型AD変換装置は、アナログ入力電圧をデジタル値にそれぞれ変換する複数M個のAD変換器と、前記複数M個のAD変換器から出力されるM個のデジタルデータから複数N個のデジタルデータを選択して出力するデータ出力制御回路とを備えたデジタル信号処理システムのためのタイムインターリーブ型AD変換装置であって、
前記タイムインターリーブ型AD変換装置は前記複数M個のAD変換器を備え、
MとNとは互いに素となる関係である。
第2の態様に係るタイムインターリーブ型AD変換装置は、第1の態様に係るタイムインターリーブ型AD変換装置において、
前記データ出力制御回路をさらに備える。
第3の態様に係るタイムインターリーブ型AD変換装置は、第2の態様に係るタイムインターリーブ型AD変換装置において、
前記データ出力制御回路は、FIFO(First In First Out)型バッファメモリを備える。
第4の態様に係るタイムインターリーブ型AD変換装置は、第3の態様に係るタイムインターリーブ型AD変換装置において、
前記FIFO型バッファメモリはリングバッファメモリである。
第5の態様に係る受信装置は、入力信号を受信する受信装置であって、
前記受信された入力信号をAD変換する、第1〜第4の態様うちのいずれか1つの態様に係るタイムインターリーブ型AD変換装置を備える。
第6の態様に係る通信装置は、入力信号を受信し、出力信号を送信する通信装置であって、
前記受信された入力信号をAD変換する。
第7の態様に係る通信装置は、第6の態様に係る通信装置において、前記入力信号は、前記送信される出力信号が反射されて戻ってくる信号であり、
前記通信装置はレーダ装置を構成する。
本開示に係るタイムインターリーブ型AD変換装置は、後段のデジタル信号処理回路の動作時に発生するノイズがあっても、安定した変換特性を維持することができるため、無線通信装置やレーダ装置などに有用である。
1…タイムインターリーブ型AD変換装置、
2…デジタル信号処理回路、
3,5…分周クロック生成回路、
4,4A…データ出力制御回路、
6…サンプリングスイッチ、
7…キャパシタ、
8…量子化器、
9…サンプリング回路、
10,10−1〜10−M…チャネルAD変換器、
20…リングバッファメモリ、
21…ライトアドレスポインタ、
22…リードアドレスポインタ、
23,31,34…フリップフロップ回路、
24,25…セレクタ、
32…FIFO型メモリ回路、
33…セレクタ、
101…レーダ装置、
102…送信信号生成部、
103…送信高周波部、
110…遅延時間測定部、
116,117…AD変換部、
120…ドップラー周波数解析部、
125…方位推定部、
Tx…レーダ送信部、
Rx…レーダ受信部、
Lo…基準信号生成部、
D101〜D104…アンテナ系統処理部、
TA1…送信アンテナ、
RA1〜RA4…受信アンテナ。

Claims (7)

  1. アナログ入力電圧をデジタル値にそれぞれ変換する複数M個のAD変換器と、前記複数M個のAD変換器から出力されるM個のデジタルデータから複数N個のデジタルデータを選択して出力するデータ出力制御回路とを備えたデジタル信号処理システムのためのタイムインターリーブ型AD変換装置であって、
    前記タイムインターリーブ型AD変換装置は前記複数M個のAD変換器を備え、
    MとNとは互いに素となる関係である、
    タイムインターリーブ型AD変換装置。
  2. 前記データ出力制御回路をさらに備える、
    請求項1記載のタイムインターリーブ型AD変換装置。
  3. 前記データ出力制御回路は、FIFO(First In First Out)型バッファメモリを備える、
    請求項2に記載のタイムインターリーブ型AD変換装置。
  4. 前記FIFO型バッファメモリはリングバッファメモリである、
    請求項3記載のタイムインターリーブ型AD変換装置。
  5. 入力信号を受信する受信装置であって、
    前記受信された入力信号をAD変換する、請求項1〜4のうちのいずれか1つに記載のタイムインターリーブ型AD変換装置を備える
    受信装置。
  6. 入力信号を受信し、出力信号を送信する通信装置であって、
    前記受信された入力信号をAD変換する、請求項1〜4のうちのいずれか1つに記載のタイムインターリーブ型AD変換装置を備える
    通信装置。
  7. 前記入力信号は、前記送信される出力信号が反射されて戻ってくる信号であり、
    前記通信装置はレーダ装置を構成する
    請求項6記載の通信装置。
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JP2019201394A (ja) * 2018-05-18 2019-11-21 創意電子股▲ふん▼有限公司 アナログデジタル変換器装置と被テスト信号発生方法
CN110504969A (zh) * 2018-05-18 2019-11-26 创意电子股份有限公司 模拟数字转换器装置与待测信号产生方法

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