JP2017142895A - 組合せ端子金具 - Google Patents

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Abstract

【課題】分割体を連結してなる端子の連結状態を解く方向への力に抵抗する。【解決手段】端子10、70を積層状態に組み合わせボルト挿通孔77に挿通したボルトで締付固定される組合せ端子金具であって、端子10、70のうちの少なくとも一つの端子10は、電線Wとの電線接続部33、53を有する第1分割体30と第2分割体50からなり、所定方向へのスライドにより両分割体を連結係止する連結部が設けられ、端子10、70には、両分割体の連結の為のスライド方向とほぼ直交方向へのスライドにより両端子を積層する少なくとも2対の端子組合せ係合部21及び端子組合せ被係合部81が設けられ、端子組合せ係合部21は両分割体に形成され、端子組合せ被係合部81は端子70に両分割体の連結の為のスライド方向について変位不能な状態で設けられている。【選択図】図2

Description

本発明は、組合せ端子金具に関する。
従来、自動車において、電装機器のアース接続のために端子を金属製の車体パネル(アースポイント)に接続することが行われている。このような端子では、パネル面の上に端子が配され、この端子をボルト等によりパネルに締結することで、アース接続を行う。そして、自動車においては多数の電装機器が用いられるため、複数の端子をパネルにアース接続する必要がある。これらの個々の端子をそれぞれアースポイントに接続しようとすると、アースポイントが複数必要となる。しかし、アースポイントを増やすのにはスペース的に限界がある。
そこで、特開2010−170853号公報(下記特許文献1)に示すように、複数の分割型の端子を組み合わせてボルト締めする構成が考えられている。具体的には、この組み合わせアース端子は、電線に一対一で接続する例えば4個の弧状をなすアース端子金具を円環状に連結して組み合わせる組み合せアース端子であって、各アース端子金具は電線と接続される電線接続部と、電線接続部に連続する円弧形状の電気接触部とを備えている。そして、電気接触部の円弧の両端には、係止部と被係止部が設けられており、隣り合う係止部と被係止部が係止されることで、電気接触部が連結されてボルト孔が形成される。係止部には、被係止部に設けられた孔に係止する係止突起が設けられており、被係止部は、L型の突出片を突出して係止部が挿入可能なボックス形状となっている。なお、係止部と被係止部の係止は下面側で行うため、ボルト頭部と接触する上面は平滑な円環形状となっている。
特開2010−170853号公報
特開2010−170853号公報(上記特許文献1)のような組み合わせ端子では、弧状をなすアース端子同士を円環状に連結する構造であるから、その円環が拡がる方向への力に対して弱く、例えば連結状態の確認のためにボルト挿通孔にテーパー軸を押し込む連結テストや特定方向に電線などが引っ張られることにより、係止部と被係止部の係合が解けて弧状の端子に分解してしまう虞がある。
本明細書で開示される組合せ端子金具は、それぞれボルト挿通孔を有する複数枚の端子を積層状態に組み合わせて前記ボルト挿通孔に挿通したボルトによって端子固定部分に締付固定される組合せ端子金具であって、前記複数枚の端子のうちの少なくとも一つの端子は、それぞれ電線を接続可能な電線接続部を有する第1分割体及び第2分割体からなると共に、前記各分割体には所定方向にスライドさせることにより係合して両分割体を連結状態にする連結部が設けられ、前記各端子には、前記両分割体の連結のための前記スライド方向とはほぼ直交する方向にスライドすることにより互いに係合して前記両端子を積層状態に組み合わせる少なくとも2対の端子組合せ係合部及び端子組合せ被係合部が設けられており、前記端子組合せ係合部は前記第1分割体及び前記第2分割体の双方にそれぞれ形成されると共に、前記端子組合せ被係合部は前記両分割体を連結させてなる端子と積層される端子に前記両分割体の連結のための前記スライド方向については互いに変位不能な状態で設けられている。
このような構成によると、各分割体がそれぞれ電線接続部を有するから、端子一枚分で、2本の電線と接続することができ、一つのアースポイントにより多くの電線を接続することができる。
また、第1分割体と第2分割体とをスライドして連結部で連結し、両分割体からなる端子に他の端子を積層して組み合わせることになるが、その際には端子組合せ係合部と端子組合せ被係合部とを両分割体のスライド連結方向とは直交する方向に端子相互をスライドさせて組み合わせて積層する。
そして、両端子が積層された組合せ状態にあるとき、仮にボルト挿通孔を広げるような力が作用したとしても、端子組合せ係合部は両分割体の双方にそれぞれ形成されると共に、端子組合せ被係合部は両分割体のスライド連結方向については互いに変位不能な状態で設けられているから、両分割体の連結状態を解く方向の力に抵抗することができる。
本明細書に開示される組合せ端子金具の実施の態様として、以下の構成としても良い。
前記連結部は、前記ボルトとの接触面の外側であって、前記ボルト挿通孔を挟んで対向する位置に一対設けられている構成としても良い。
このような構成では、ボルトとの接触面の外側に連結部が設けられていることから、連結部の構造によってボルトとの接触面部分の板厚が厚くなることを抑制することができる。そのため、ボルト締結後のボルトを含めた組合せ端子金具全体の高さを抑制することができる。また、ボルト挿通孔を挟んで対向する位置で第1分割体と第2分割体を連結していることから、ずれの発生を抑制することができる。
また、本明細書に記載の組合せ端子金具は、2枚の前記端子を積層させることで構成されており、前記他の端子が、一枚板で形成されており、かつ前記分割体を連結してなる端子の前記ボルトと接触する側に積層されている構成としても良い。
このような構成によると、ボルトと接触する側には一枚板の他の端子を用いる。そのため、ボルトを締結する際のトルクが直接分割体を連結してなる端子にかからず、分割体の連結状態を解く力が分割体にかかりにくくなり、両分割体の連結状態が解かれにくくなる。
また、本明細書に記載の組合せ端子金具は、2枚の前記端子を積層させることで構成されており、前記他の端子は、前記分割体を連結してなる端子の前記ボルトと接触する側に積層されており、前記端子組合せ係合部は、前記ボルト挿通孔の両側孔縁が板厚一枚分上がった形状となっており、前記端子組合せ被係合部は、ボルト挿通孔の両側孔縁が板厚一枚分下がった形状となっている構成としても良い。
このような構成によると、他の端子の端子組合せ被係合部が、分割体を連結してなる端子の端子組合せ係合部の下側にスライド挿入されることで、端子組合せ係合部と端子組合せ被係合部が係合して端子同士が組み合わされる。つまり、板厚方向にも端子同士が係合し合っているため、両分割体の連結状態を解く方向の力にさらに抵抗することができる。
本明細書に開示された組合せ端子金具によれば、分割体を連結してなる端子の連結状態を解く方向への力に抵抗することができる。
実施形態における組合せ端子金具の平面図 第1の端子の連結前の状態の組合せ端子金具の平面図 第1の端子を連結後の組合せ端子金具の平面図 図1におけるIV−IV断面における断面図 図1におけるV−V断面における断面図 図1におけるVI−VI断面における断面図 図1におけるVII−VII断面における断面図
<実施形態>
実施形態について図1から図7を参照して説明する。
本実施形態の組合せ端子金具Tは、図1及び図4に示すように、金属製のパネル90に接する第1の端子10(「分割体を連結してなる端子」の一例)と、第1の端子10に重ねられて組み合せられる第2の端子70(「他の端子」の一例)とを備えている。各端子10、70は自動車のワイヤーハーネスのアース用の電線Wの端末に圧着されており、これら2つの端子10、70が組み合わせられて、パネル90に頭付ボルト95(「ボルト」の一例)によって取り付けられることにより、アース用の電線Wがアースをとるようになっている。なお、本実施形態において、上下方向については、第2の端子70が重ねられる側を上側とし、パネル90側を下側とする。また、図3における左側を前方とし、右側(電線W側)を後方とする。
パネル90は、図4に示すように、導電性の金属で形成されており、その表面がアース接続用の金属面とされている。また、パネル90の下側(裏側)には、頭付ボルト95と螺合可能なナットが溶接固定されており、パネル90には、ナットの雌ネジ孔を露出可能な開口部91が設けられている。また、このナットに頭付ボルト95が螺合することで、組合せ端子金具Tが固定されている。頭付ボルト95は、頭部97と軸部99とを備えており、頭部97の下面が第2の端子70と接触するようになっている。
次に、第1の端子10について図2及び図3を用いて説明する。第1の端子10は、第1分割体30と第2分割体50とを連結することで構成されている。また、第1の端子10は、第2の端子70が重ねられる第1本体部11と、第1本体部11に設けられた第1ボルト挿通孔13(「ボルト挿通孔」の一例)と、第2の端子70と係合する端子組合せ係合部21とを備えている。
第1本体部11は、図2及び図3に示すように、第1分割体30の第1分割体本体部31と第2分割体50の第2分割体本体部51とを組み合わせることで形成されており、略矩形状の平板状となっている。また、第1本体部11には、後記する第2の端子70の第2本体部71が重ねられるようになっており、第2本体部71とほぼ同じ形となっている。第1本体部11の略中央位置には、第1ボルト挿通孔13が挿通している。
第1ボルト挿通孔13は、頭付ボルト95の軸部99を挿通可能な大きさとされている。そして、第1ボルト挿通孔13の孔縁は、前後方向に対向する部分(前後孔縁13A)が直線状とされ、左右方向(幅方向)に対向する部分(両側孔縁13B)が頭付ボルト95の軸部99の外周形状に沿う円弧状となっている。そして、第1本体部11のうち第1ボルト挿通孔13の前後孔縁13Aの近くには、第2の端子70が組み合わされたときに両者の接触状態を良好に保つために、上側に凸状に叩き出された叩き出し部15が一対設けられている。また、第1ボルト挿通孔13の両側孔縁13Bの側方には、第2の端子70と係合する端子組合せ係合部21が設けられている。
端子組合せ係合部21は、図3及び図7に示すように、第1本体部11のうち第1ボルト挿通孔13の両側孔縁13Bの孔縁部が、第1本体部11より板厚分一段上がった形態で設けられている。また、端子組合せ係合部21は、第1分割体30及び第2分割体50の双方にそれぞれ形成されている。端子組合せ係合部21が第2の端子70の端子組合せ被係合部81と係合することで、第1の端子10と第2の端子70とは、積層状態に組み合わされる。
より具体的には、図3に示すように、端子組合せ係合部21のうちの一方(第2の端子70に近接する側)は、突状片21Aとブリッジ片23とから構成されている。突状片21Aは、第1ボルト挿通孔13の両側孔縁13Bの孔縁部の一方を板厚一枚分程度上方に叩き出したブリッジ片23から外側(第1ボルト挿通孔13と反対側)に張り出して形成されている。また、突状片21Aの前後には、隙間S1が設けられており、端子組合せ被係合部81の進入を許容している。そして、第1分割体本体部31には、隙間S1を挟んで突状片21Aに対向する対向面25が形成されている。そして、端子組合せ係合部21のうちの他方は、ブリッジ片23と同じ高さ位置まで第1ボルト挿通孔13の両側孔縁13Bの孔縁部の他方を板厚上方に叩き出した叩き出し片21Bとなっている。
また、端子組合せ被係合部81のうち第1の端子10に近接する側には、後記する第2ボルト挿通孔77(「ボルト挿通孔」の一例)の両側孔縁77Bの孔縁部の一方を下方に叩き出したブリッジ片83から外側(第2ボルト挿通孔77と反対側)に張り出した突状片81Aが設けられている。突状片81Aの前後には、隙間S2が設けられており、端子組合せ係合部21の進入を許容している。また、第2の端子70の第2本体部71には、隙間S2を挟んで突状片81Aに対向する対向面85が形成されている。そして、端子組合せ被係合部81のうちの他方は、ブリッジ片83と同じ高さ位置まで第2ボルト挿通孔77の両側孔縁77Bの孔縁部の他方を上方に叩き出した叩き出し片81Bとなっている。
そして、図7に示すように、第1の端子10の突状片21Aが第2の端子70の叩き出し片81Bの上に重なり、第1の端子10の叩き出し片21Bが第2の端子70の突状片81Aの上に重なるようになっている。突状片21Aの中央には下方へ向けて突片27が切り伏してあり、これが第2の端子70側の叩き出し片81Bに設けられた端子係合孔89に嵌まり込むようになっている。一方、叩き出し片21Bの中央には端子係合孔29が開口しており、そこには第2の端子70側の突状片81Aに上方に向けて切り起こされた突片87が嵌まり込むようになっている。
第1分割体30は、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の導電性の金属からなり、所定形状に打ち抜いて曲げ加工を施すことで形成されている。第1分割体30は、図2及び図3に示すように、第1分割体本体部31と、電線Wに接続される第1電線接続部33と、第1分割体本体部31から前方に延出した延出片35と、第1分割体本体部31から後方に延びた後端部45とを備えている。第1分割体本体部31には、端子組合せ係合部21の叩き出し片21B及び叩き出し部15が設けられている。
第1電線接続部33は、第1の端子10の幅方向において、第2の端子70から離間した側の端部寄りの位置から後方に向かって後端部45から延びる形で形成されている。第1電線接続部33は、電線Wが圧着されるオープンバレル形式のワイヤバレル33Aとインシュレーションバレル33Bとが設けられている。ワイヤバレル33Aは、電線Wにおける芯線端末にかしめられており、ワイヤバレル33Aの後方に形成されたインシュレーションバレル33Bは、電線Wの絶縁被膜の端末にかしめられている。
第1分割体本体部31より前側の領域は、図2及び図3に示すように、延出片35となっている。延出片35は、第1分割体本体部31の幅から第1本体部11の幅まで拡幅された後、先端側へ行くにしたがって幅を狭めるように延出しており、略三角形状をしている。そして、延出片35の先端側(前端側)に回り止め片37が形成されている。回り止め片37は、図4に示すように、パネル90(「端子固定部分」の一例)に設けられた係合孔93に嵌り込むようになっており、これにより頭付ボルト95の締付時に組合せ端子金具Tが連れ回りするのを防止するようになっている。
第2分割体50は、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の導電性の金属からなり、所定形状に打ち抜いて曲げ加工を施すことで形成されている。第2分割体50は、図1に示すように、第2分割体本体部51と、電線Wを接続する第2電線接続部53とを備えている。第2分割体本体部51には、端子組合せ係合部21の突状片21Aとブリッジ片23とが設けられている。第2電線接続部53は、第1の端子10における第2の端子70側の端部寄りの位置から後方に向かって形成されている。第2電線接続部53は、第1電線接続部33と同様に、電線Wが圧着されるオープンバレル形式のワイヤバレル53Aとインシュレーションバレル53Bとが設けられている。
次に、第1分割体30と第2分割体50との連結構造について説明する。図2及び図5に示すように、第2分割体50の第2分割体本体部51から前方に向かって連結片61(「連結部」の一例)が突出している。連結片61は、板厚一枚分上方に折り曲げられた後第2分割体本体部51と平行に延びるように第2分割体本体部51の端部から突出している。そのため、第1分割体30と第2分割体50とを連結する際に、連結片61は第1分割体30の延出片35の上面に重なるように差し込まれる。そして、連結片61の先端部には、略矩形状の係合孔63(「連結部」の一例)が設けられている。
一方、第1分割体30の延出片35には、第2分割体50の連結片61が上方に浮かないように押さえ込む押さえ込み部41(「連結部」の一例)と係合孔63に係合する係合突起43(「連結部」の一例)とが設けられている。押さえ込み部41は、延出片35から上方に切り起こすことで形成されている。具体的には、延出片35の幅方向の略中央位置から連結片61の上方に位置するように略L字状に折り曲げられ、延出片35と平行に連結片61と直交する方向に連結片61の幅方向の寸法程度に延びた後に、再度下方に略L字に折り曲げられている。押さえ込み部41には、連結片61の側面に当接する一対の側面部41Aと、連結片61の上方から押さえ込む上面部41Bとが設けられることで、略コの字状に形成されている。押さえ込み部41の上面部41Bは、延出片35より略板厚2枚分上に位置している。また、押さえ込み部41の前方には、係合突起43が上方に突出するように設けられている。そして、この係合突起43が係合孔63の孔縁に係止することで、係合突起43が係合孔63と係合する。
また、図2及び図3に示すように、連結片61と第1ボルト挿通孔13を挟んで対向する位置で、第1分割体30と第2分割体50とが係止されている。具体的には、第2分割体本体部51の後端部から、第1の端子10の幅方向(第1分割体30の後端部45の方向)に延びることで、延伸部65が設けられている。延伸部65は、第2分割体本体部51と面一で、第1の端子10の側面から若干側方に突出する位置まで延びるように設けられている。延伸部65の第2の端子70から離間した側の端部には、曲げ片67が設けられている。曲げ片67は、延伸部65の端部から略L字状に立ち上げられた後、延伸部65との間に板厚1枚分の空間を設けた後に再度内側に延伸部65と平行になるように折り曲げられている。
そして、第1分割体30の後端部45が延伸部65と曲げ片67との間に挟み込まれるようになっている。後端部45は、延伸部65と同じ位置まで幅方向に拡幅している。また、後端部45は、その下側に延伸部65が差し込まれるように、第1分割体本体部31よりも板厚1枚分上方に位置するように、第1分割体本体部31の後端で折り曲げられている。そして、後端部45が曲げ片67の内面と当接することで、第1分割体本体部31が幅方向に移動することを妨げている。一方、延伸部65は第1分割体本体部31の後端面に当接することで、所定位置よりも前方への移動が規制されている。
第2の端子70は、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の導電性の金属からなり、所定形状に打ち抜いて曲げ加工を施すことで形成されている。第2の端子70は、図3に示すように、板状の第2本体部71と電線接続部73とを備えている。電線接続部73は、第1の端子10の第2電線接続部53とほぼ同じ位置に設けられている。そのため、第2電線接続部53と重ならないように、第2電線接続部53の高さより電線接続部73が上方に位置するように第2本体部71と電線接続部73との間に繋ぎ部75が設けられている。繋ぎ部75は、第2本体部71から斜め上方に折り曲げられたのちに、電線接続部73と第2電線接続部53が略平行になるように再度折り曲げられて形成されている。
第2の端子70の第2本体部71は、その中央に頭付ボルト95を挿通させる第2ボルト挿通孔77を有している。第2ボルト挿通孔77を含めたその周辺構造は上記の第1の端子10における第1ボルト挿通孔13の周辺構造と類似しているため、説明を省略する。なお、第2ボルト挿通孔77の両側孔縁77Bの孔縁部には上記した端子組合せ被係合部81が設けられている。第2本体部71が一枚板で形成されていることから、端子組合せ被係合部81は互いに前後方向については変位不能な状態で設けられている。
次に、組合せ端子金具Tの組み付け手順について説明する。まず、第1分割体30及び第2分割体50の電線接続部33、53に電線Wを接続する。そして、図2に示すように、第1分割体30に対して第2分割体50を後方から差し込む。第2分割体50を後方から差し込むと、第2分割体50の延伸部65と曲げ片67との間に第1分割体30の後端部45が挟み込まれつつ第2分割体50は前方にスライドする。そして、延伸部65の前端縁が第1分割体本体部31の後端縁に当接して第2分割体50が前方へのスライドを停止する。一方で、第2分割体50の連結片61が第1分割体30の押さえ込み部41の下を通過した後に、連結片61の先端部が係合突起43を乗り越えて、係合孔63に係合突起43が係合する。
第1分割体30及び第2分割体50が連結された状態では、図3及び図5に示すように、係合突起43が係合孔63の孔縁に係止することで、第2分割体50が後方に抜け落ちるのを抑制することができる。また、押さえ込み部41の上面部41Bが連結片61を上側から押さえ込むことで、連結片61が上方に浮き上がって、係合孔63から係合突起43が外れるのを抑制することができる。そして、押さえ込み部41の一対の側面部41Aに連結片61の側面に当接することで、連結片61が幅方向に移動するのを抑制することができる。一方、第1分割体30の後端部45の側面が第2分割体50の曲げ片67の内面と当接することで、互いに幅方向に移動するのを抑制することができる。このようにして、第1ボルト挿通孔13を挟んで対向する位置で第1分割体30と第2分割体50とを連結していることから、互いにずれが発生することを抑制することができ、第1の端子10が組み立てられた状態で保持される。
第2の端子70についても、電線接続部73に電線Wが接続される。そして、図3及び図7に示すように、第2の端子70を第1の端子10の連結のためのスライド方向とはほぼ直交する方向(幅方向)にスライドさせる。すると、第2の端子70の端子組合せ被係合部81が第1の端子10の端子組合せ係合部21の下側にスライド挿入される。そして、各突片27、87が各端子係合孔29、89に嵌まり合い、端子組合せ係合部21と端子組合せ被係合部81とが係合する。
第2の端子70を組み合わせた後に、第1分割体30もしくは第2分割体50に対して前後方向(第1分割体30と第2分割体50のスライド連結方向)に連結状態を解くような力がかかった場合について説明する。この場合には、図1及び図5に示すように、各突片27、87と各端子係合孔29、89が係合しているので、各分割体30、50が前後方向に移動することを規制する。また、叩き出し片21Bが対向面85と当接し、ブリッジ片83が第1ボルト挿通孔13の前後孔縁13Aに当接することで、第1分割体30が第2の端子70に対して相対的に移動することが抑制される。一方で、ブリッジ片23が第2ボルト挿通孔77の前後孔縁77Aと当接し、叩き出し片81Bが対向面25に当接することで、第2分割体50が第2の端子70に対して相対的に移動することが抑制される。そして、第2の端子70は一枚板でできているため、第1分割体30と第2分割体50とが前後方向に相対的に移動するのを抑制することができる。
第1の端子10と第2の端子70とが組み合わされた後に、組合せ状態の確認のためにボルト挿通孔13、77にテーパー軸状の治具を押し込むテストを行う。この際に、第1の端子10において、ボルト挿通孔13の幅方向(両分割体30、50の連結方向と直交する方向)に拡げる力がかかっても、連結片61が押さえ込み部41の側面部41Aに当接し、後端部45が曲げ片67の内面に当接することで、第1の端子10が幅方向に分解するのを抑制することができる。また、第1の端子10において、ボルト挿通孔13の前後方向(両分割体30、50の連結方向)に拡げる力がかかっても、上述のように両分割体30、50が相対的に前後方向に移動するのが規制されていることから、第1の端子10が前後方向に分解するのを抑制することができる。このようにして、第2の端子70と組合せ後の第1の端子10において、第1ボルト挿通孔13が拡がる方向に対する力に対しても、抗うことができる。
そして、図4に示すように、パネル90上に、組み立て後の組合せ端子金具Tを配置する。まず、第1の端子10の回り止め片37をパネル90の係合孔93に差し込んで、組合せ端子金具Tをパネル90に仮止めする。そして、頭付ボルト95を締め込んでいき、組合せ端子金具Tがパネル90にアース接続される。この際に、頭付ボルト95を締結する際のトルクが直接第1の端子10にはかからないことから、第1分割体30と第2分割体50との連結状態を解く力が各分割体30、50にかかりにくくなる。また、仮に力がかかっても上述のように、第1の端子10は連結状態を解く力に抵抗することができることから、意図せず連結状態が解除されることが抑制される。なお、組合せ端子金具Tの下面は、平坦面となっていることから、パネル90との間に十分な接地面積を確保することができる。
以上のように、本実施形態では、各分割体30、50がそれぞれ電線接続部33、53を有するから、端子一枚分のスペースで、2本の電線Wと接続することができ、一つのアースポイントにより多くの電線を接続することができる。また、頭付ボルト95がかかる第1本体部11及び第2本体部71は、ほぼ平坦な状態となっていることから、板厚2枚分の厚さで3本の電線Wと接続することができ、頭付ボルト95締結後の高さを抑制することができる。
また、第1分割体30と第2分割体50とを前後方向にスライドして連結し、両分割体30、50からなる第1の端子10に第2の端子70を積層して組み合わせることになるが、その際には端子組合せ係合部21と端子組合せ被係合部81とを両分割体30、50のスライド連結方向とは直交する方向(幅方向)に端子10、70相互をスライドさせて組み合わせて積層する。そして、両端子10、70が積層された組合せ状態にあるとき、仮にボルト挿通孔13を広げるような力や電線Wへの引っ張り力が作用したとしても、端子組合せ係合部21は両分割体30、50の双方にそれぞれ形成されると共に、端子組合せ被係合部81は前後方向については互いに変位不能な状態で設けられているから、両分割体30、50の連結状態を解く方向の力に抵抗することができる。
<他の実施形態>
本明細書で開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、第1の端子10と第2の端子70との2つを組み合わせた組合せ端子であったが、3つ以上の端子を組み合わせるようにしても良い。
(2)上記実施形態では、第2の端子70は一枚板で形成していたが、分割体によって形成しても良い。この場合には、第2の端子は、第1の端子10のスライド連結方向と直交する方向にスライド連結されるようにすると良い。
(3)上記実施形態では、連結片61と曲げ片67とは、第1ボルト挿通孔13を挟んだ位置に設けられていたが、同じ側に設けられていても良い。また、曲げ片67はなくても良い。
(4)上記実施形態では、端子組合せ被係合部81が板厚一枚分下がった形状となることで、端子組合せ係合部21の下側にスライド挿入されるようになっていたが、端子組合せ被係合部が第2本体部と面一で、かつ端子組合せ係合部が第1本体部と面一になるようにしても良い。
(5)上記実施形態では、第2の端子70の電線接続部73は、第2電線接続部53とほぼ同じ位置になっていたが、ずれた位置になっていても良い。
(6)上記実施形態では、頭付ボルト95を締め込んでいたが、パネル90側にスタッドボルトを立てて、そこにナットで締め込むようにしても良い。
(7)上記実施形態では、第1の端子10が下側(パネル側)で、第2の端子70が上側(ボルト側)で組み合わせられていたが、分割体を連結してなる端子が上側となっていても良い。
10…第1の端子(分割体を連結してなる端子)
11…第1本体部
13…第1ボルト挿通孔(ボルト挿通孔)
21…端子組合せ係合部
30…第1分割体
31…第1分割体本体部
33…第1電線接続部
35…延出片
41…押さえ込み部(連結部)
43…係合突起(連結部)
45…後端部(連結部)
50…第2分割体
51…第2分割体本体部
53…第2電線接続部
61…連結片(連結部)
63…係合孔(連結部)
65…延伸部(連結部)
67…曲げ片(連結部)
70…第2の端子(他の端子)
71…第2本体部
73…電線接続部
77…第2ボルト挿通孔(ボルト挿通孔)
81…端子組合せ被係合部
90…パネル(端子固定部分)
95…頭付ボルト(ボルト)
T…組合せ端子金具
W…電線

Claims (4)

  1. それぞれボルト挿通孔を有する複数枚の端子を積層状態に組み合わせて前記ボルト挿通孔に挿通したボルトによって端子固定部分に締付固定される組合せ端子金具であって、
    前記複数枚の端子のうちの少なくとも一つの端子は、それぞれ電線を接続可能な電線接続部を有する第1分割体及び第2分割体からなると共に、前記各分割体には所定方向にスライドさせることにより係合して両分割体を連結状態にする連結部が設けられ、
    前記各端子には、前記両分割体の連結のための前記スライド方向とはほぼ直交する方向にスライドすることにより互いに係合して前記両端子を積層状態に組み合わせる少なくとも2対の端子組合せ係合部及び端子組合せ被係合部が設けられており、
    前記端子組合せ係合部は前記第1分割体及び前記第2分割体の双方にそれぞれ形成されると共に、前記端子組合せ被係合部は前記両分割体を連結させてなる端子と積層される端子に前記両分割体の連結のための前記スライド方向については互いに変位不能な状態で設けられている組合せ端子金具。
  2. 前記連結部は、前記ボルトとの接触面の外側であって、前記ボルト挿通孔を挟んで対向する位置に一対設けられている請求項1に記載の組合せ端子金具。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の組合せ端子金具は、2枚の前記端子を積層させることで構成されており、
    前記他の端子が、一枚板で形成されており、かつ前記分割体を連結してなる端子の前記ボルトと接触する側に積層されている組合せ端子金具。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の組合せ端子金具は、2枚の前記端子を積層させることで構成されており、
    前記他の端子は、前記分割体を連結してなる端子の前記ボルトと接触する側に積層されており、
    前記端子組合せ係合部は、前記ボルト挿通孔の両側孔縁が板厚一枚分上がった形状となっており、
    前記端子組合せ被係合部は、ボルト挿通孔の両側孔縁が板厚一枚分下がった形状となっている組合せ端子金具。
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