JP2017142139A - 粒子検出センサ、移動体搭載用気体モニタ、及び、粒子検出方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】粒子検出センサが振動する場合であっても、検出精度の劣化を低減することができる。【解決手段】粒子検出センサ1は、投光素子111及び受光素子121と、受光素子121からの出力を示す時系列の信号を信号処理することにより、流体中に含まれる粒子の質量濃度を算出する信号処理部20とを備える。ここで、信号処理部20は、粒子検出センサ1が無振動状態の場合の基準となる周波数成分と周波数成分毎の強度との関係を示すリファレンス情報を取得し、時系列の信号を周波数分析することにより、当該信号に含まれる周波数成分と周波数成分毎の強度との関係を示す測定情報を取得し、リファレンス情報と測定情報とについて、周波数成分毎の強度の相対関係が略一定の場合、補正処理を行うことなく質量濃度を算出し、当該相対関係が略一定でない場合、補正処理を行って質量濃度を算出する。【選択図】図1
Description
本発明は、気体または液体である流体中に含まれる粒子を測定する粒子検出センサ、当該粒子検出センサを備える移動体搭載用気体モニタ、及び、粒子検出方法に関する。
光散乱式粒子検出センサは、投光素子と受光素子とを備える光電式センサであり、測定対象の気体を取り込んで投光素子の光を当該気体に照射し、その散乱光によって気体に含まれる粒子の有無を検出するものである。このような光散乱式検出センサは、例えば、大気中に浮遊するホコリ、花粉、煙等の粒子を検出することができる。
この種の光散乱式粒子検出センサを含む機器として、当該光散乱式粒子検出センサからの検知信号を用いて、大気中の単位体積当たりの粒子の量(濃度)を検出するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、このような粒子検出センサが振動した場合、当該粒子検出センサに取り込まれた気体は、本来の速度(絶対速度)に比べて見かけ上の速度(粒子検出センサに対する相対速度)が変化することとなる。このため、粒子検出センサの検出精度が劣化するという問題がある。
そこで、本発明は、振動する場合であっても、検出精度の劣化を低減することができる粒子検出センサ等を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る粒子検出センサは、気体または液体である流体中に含まれる粒子を検出する粒子検出センサであって、検知領域に光を投光する投光素子、及び、前記検知領域に位置する前記粒子によって散乱された光を受光する受光素子と、前記受光素子からの出力を示す時系列の信号を信号処理することにより、前記流体中に含まれる前記粒子の質量濃度を算出する信号処理部とを備え、前記信号処理部は、前記粒子検出センサが無振動状態の場合の基準となる周波数成分と周波数成分毎の強度との関係を示すリファレンス情報を取得し、前記時系列の信号を周波数分析することにより、当該信号に含まれる周波数成分と周波数成分毎の強度との関係を示す測定情報を取得し、前記リファレンス情報と前記測定情報とについて、周波数成分毎の強度の相対関係が略一定の場合、補正処理を行うことなく質量濃度を算出し、当該相対関係が略一定でない場合、前記補正処理を行って前記質量濃度を算出する。
また、本発明の一態様に係る移動体搭載用気体モニタは、上記の粒子検出センサと、前記粒子検出センサで算出された前記質量濃度を表示する表示部とを備える。
また、本発明の一態様に係る粒子検出方法は、検知領域に光を投光する投光素子、及び、前記検知領域に位置する粒子によって散乱された光を受光する受光素子を有する粒子検出センサを用いて、気体または液体である流体中に含まれる粒子を検出する粒子検出方法であって、前記粒子検出センサが無振動状態の場合の基準となる周波数成分と周波数成分毎の強度との関係を示すリファレンス情報を取得するステップと、前記時系列の信号を周波数分析することにより、当該信号に含まれる周波数成分と周波数成分毎の強度との関係を示す測定情報を取得するステップと、前記リファレンス情報と前記測定情報とについて、周波数成分毎の強度の相対関係が略一定の場合、補正処理を行うことなく前記流体中に含まれる前記粒子の質量濃度を算出し、当該相対関係が略一定でない場合、前記補正処理を行って前記質量濃度を算出するステップとを含む。
本発明によれば、粒子検出センサが振動する場合であっても、検出精度の劣化を低減することができる。
以下では、本発明の実施の形態に係る粒子検出センサ等について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態、並びに、ステップ及びステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する趣旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付し、重複する説明は省略または簡略化する場合がある。さらに、以下において、略一定等の表現を用いている。例えば、略一定とは、完全に一定であることを意味するだけでなく、実質的に一定であることも意味する。すなわち、「略」とは、数%程度の誤差を含む。
(実施の形態)
[1.構成]
まず、本発明の実施の形態に係る粒子検出センサの全体構成について説明する。
[1.構成]
まず、本発明の実施の形態に係る粒子検出センサの全体構成について説明する。
図1は、本実施の形態に係る粒子検出センサ1の構成の一例を示すブロック図である。
粒子検出センサ1は、車両等の移動体に搭載され、当該粒子検出センサ1の周辺に漂う空気(以下、周辺空気と称する)に含まれる粒子の質量濃度を測定する。例えば、周辺空気には粒径が10μm以下の微小なホコリ、花粉、煙、PM2.5等の粒子が含まれ、粒子検出センサ1はこれら粒子の質量濃度を粒径区分毎に測定することが可能である。
なお、以下では、「流体中の粒子の質量濃度」を、単に「質量濃度」と記載する場合がある。
同図に示すように、粒子検出センサ1は、センサ部10と信号処理部20とを備え、センサ部10の検知領域DAに位置する粒子2からの散乱光に基づいて、周辺空気の質量濃度を測定する。また、粒子検出センサ1は、さらに、粒子検出センサ1が備える各構成に対して電源を供給する電源部30を備える。この電源部30は、例えば、粒子検出センサ1の外部から供給された電圧を所望の電圧に変換するレギュレータ等により構成される。
以下、粒子検出センサ1の各構成について、具体的に説明する。
[1−1.センサ部]
センサ部10は、粒子検出センサ1の測定対象である周辺空気を取り込んで、取り込んだ周辺空気に光を照射し、その散乱光の光強度を示す信号(ここでは電流信号)を出力する、光電式センサ(光散乱式粒子検出センサ)である。つまり、センサ部10は、取り込んだ周辺空気に含まれる粒子2に応じた時系列の信号を出力する。
センサ部10は、粒子検出センサ1の測定対象である周辺空気を取り込んで、取り込んだ周辺空気に光を照射し、その散乱光の光強度を示す信号(ここでは電流信号)を出力する、光電式センサ(光散乱式粒子検出センサ)である。つまり、センサ部10は、取り込んだ周辺空気に含まれる粒子2に応じた時系列の信号を出力する。
具体的には、本実施の形態では、センサ部10は、投光系11と受光系12と筐体13と加熱部15とを備え、筐体13の流入口18から流出口19までの粒子流路に設けられた検知領域DAに位置する粒子2からの散乱光に応じた信号を出力する。投光系11、受光系12及び検知領域DAは、外光が照射されないように、筐体13に収容されている。
検知領域DAは、測定対象の気体に含まれる粒子2(エアロゾル)を検知するためのエアロゾル検知領域(エアロゾル測定部)であり、投光系11の光軸Pと受光系12の光軸Qとが交差する交点を含む、例えばφ2mm程度の領域である。つまり、検知領域DAは、投光系11の光が投光される空間領域と投光系11の光が粒子2に当たって発生した散乱光を受光系12に導くための空間領域とが重なる空間領域である。
投光系11は、検知領域DAに光を投光する光学素子からなり、本実施の形態では、投光素子111と、投光素子111の前方(光投光側)に配置された投光レンズ112とを有する。
投光素子111は、検知領域DAに光を投光する、例えばLED(Light Emitting Diode)や半導体レーザ等の固体発光素子である。投光素子111は、例えば、赤外光、青色光、緑色光、赤色光または紫外光等の所定の波長の光を投光し、2波長以上の混合波を投光してもよい。本実施の形態では、粒子2による光の散乱強度に鑑みて、投光素子111として、例えば、400nm〜1000nmの波長の光を投光する砲弾型のLEDが用いられる。
なお、投光素子111から投光された光の波長が短いほど、粒径の小さな粒子2を検出しやすくなる。また、投光素子111の投光制御方式は特に限定されるものではなく、投光素子111から投光される光は、DC駆動による連続光またはパルス光等とすることができる。また、投光素子111から投光される光の光強度は、時間的に変化していてもよい。
投光レンズ112は、投光素子111の前方かつ投光系11の光軸P上に配置され、投光素子111から投光された光を検知領域DAに向けて進行させるように構成されている。例えば、投光レンズ112は、投光素子111から投光された光を検知領域DAに集光する集光レンズであり、PC(polycarbonate)等の透明樹脂またはガラスによって形成される。つまり、投光素子111から投光された光は、投光レンズ112を介して検知領域DAに到達する。この際、検知領域DAに粒子2が位置する場合、当該粒子2によって投光素子111からの光が散乱される。
受光系12は、検知領域DAからの光を受光する光学素子からなり、本実施の形態では、受光素子121と、受光素子121の前方(光入射側)に配置された受光レンズ122とを有する。検知領域DAに粒子2が位置する場合、当該粒子2によって散乱された光(散乱光)は、受光系12によって受光される。
受光素子121は、検知領域DAに位置する粒子2によって散乱された光を受光する。具体的には、受光素子121は、受光した光を電気信号に変換する光電変換素子であり、本実施の形態では、投光素子111が投光する光に感度を有する、フォトダイオード及びフォトトランジスタの少なくとも一方を有する。つまり、受光素子121は、受光した光強度に応じた信号(ここでは電流信号)を出力する。なお、受光素子121は、例えば、フォトICダイオードまたは光電子増倍管などを有してもよい。
受光レンズ122は、検知領域DAと受光素子121との間に配置され、検知領域DAに位置する粒子2による散乱光を受光素子121に集光するように構成されている。例えば、受光レンズ122は、検知領域DAに位置する粒子2によって散乱された光を受光素子121に集束させる集光レンズであり、投光レンズ112と同様の材質により形成される。
筐体13は、遮光性を有し、粒子2を含む周辺空気(気体)が流れる筒状の空間領域である粒子流路が設けられた部材である。例えば、筐体13は、迷光を減衰させやすいように、少なくとも内面が黒色面である。具体的には、筐体13の内面は、光の減衰率が高く、かつ、光を鏡面反射する。なお、筐体13の内面における反射は、鏡面反射でなくてもよく、光の一部が散乱反射されてもよい。
ここで、迷光とは、粒子2によって散乱された光以外の光であり、具体的には、投光素子111が投光した光のうち検知領域DAにおいて粒子2に散乱されることなく、筐体13内を進行する光等である。また、迷光には、粒子流路によって筐体13の内部に進入した外光も含まれる。
筐体13は、例えば、ABS樹脂などの樹脂材料を用いた射出成形により形成される。このとき、例えば、黒色の顔料または染料を添加した樹脂材料を用いて筐体13を形成することで、筐体13の内面を黒色面にして迷光の減衰を図ることができる。あるいは、射出成形後に筐体13の内面に黒色塗料を塗布することで、筐体13の内面を黒色面にして迷光の減衰を図ることができる。また、筐体13の内面にシボ加工などの表面処理を行うことにより、迷光の減衰を図ることができる。
筐体13には、上述したように流入口18及び流出口19が設けられている。このため、周辺空気は、流入口18から筐体13の内部に進入し、粒子流路を通って検知領域DAに導かれ、流出口19から筐体13の外部に流出する。
なお、本実施の形態において、粒子流路の流路方向(粒子流路を気体が流れる方向)は、図1の紙面上下方向としているが、図1の紙面垂直方向としてもよい。つまり、本実施の形態では、粒子流路の流路軸は、投光系11及び受光系12の各光軸が通る平面上に存在するように設定しているが、当該平面と直交するように設定されていてもよい。
加熱部15は、当該加熱部15周囲の気体を加熱することにより、粒子流路の気体を流して気流を発生させる気流発生装置である。具体的には、加熱部15が周囲の気体を加熱すると、加熱された気体は、膨張して密度が小さくなることにより重力と逆方向の上方向に移動する。つまり、加熱部15によって、上方向の気流(上昇気流)が発生する。この気流が粒子流路の気体を流すことにより、粒子流路に気流が生じることとなる。その結果、粒子検出センサ1の周辺空気が流入口18から筐体13内部に引き込まれるため、加熱部15を設けない場合に比べて、センサ部10内に多くの粒子2を取り込むことができる。
加熱部15は、上昇気流を発生させることから、図1に示すように粒子流路の下方部分に設置されることが好ましい。なお、加熱部15が動作していない状態でも、気体は粒子流路内を通過することができる。
[1−2.信号処理部]
信号処理部20は、受光素子121からの出力を示す時系列の信号を信号処理することにより、流体中(本実施の形態では気体中)に含まれる粒子2の質量濃度を算出する。具体的には、信号処理部20は、受光素子121から出力された信号(本実施の形態では電流信号)に対してアナログ信号処理を施し、さらに、アナログ信号処理後の信号に対してデジタル信号処理を施すことにより、上記の質量濃度を算出する。
信号処理部20は、受光素子121からの出力を示す時系列の信号を信号処理することにより、流体中(本実施の形態では気体中)に含まれる粒子2の質量濃度を算出する。具体的には、信号処理部20は、受光素子121から出力された信号(本実施の形態では電流信号)に対してアナログ信号処理を施し、さらに、アナログ信号処理後の信号に対してデジタル信号処理を施すことにより、上記の質量濃度を算出する。
図1に示すように、信号処理部20は、アナログ信号処理を施すアナログ信号処理部21と、デジタル信号処理を施す汎用MPU22とを備える。
アナログ信号処理部21は、アナログ回路により構成され、本実施の形態では、受光素子121から出力された電流信号に対して各種のアナログ信号処理を施すことにより、当該電流信号に基づく電圧信号を出力する。ここで、各種のアナログ信号処理とは、例えば、電流(I)を電圧(V)に変換するI/V変換、入力された信号の所望の周波数帯域を通過させるバンドパスフィルタ処理、及び、入力された信号を増幅して出力する増幅処理である。アナログ信号処理部21は、I/V変換を行うIV変換部211と、バンドパスフィルタ処理及び増幅処理を行う増幅部212とを含む。
なお、アナログ信号処理部21は、ここに例示した各処理に限らず、さらに他の信号処理(例えば、ハイパスフィルタ処理、ローパスフィルタ処理、及び、減衰処理等)を行う構成であってもよい。
IV変換部211は、受光素子121から出力された電流信号をI/V変換することにより、当該電流信号に応じた電圧信号を生成する。このように電流信号を電圧信号に変換することにより、以降の信号処理の容易化が図られるとともに、IV変換部211の後段に接続された増幅部212の設計の容易化が図られる。
増幅部212は、IV変換部211で生成された電圧信号の所定の帯域を増幅する。具体的には、増幅部212は、当該電圧信号に含まれる周波数成分のうち所定の帯域の周波数成分を、他の帯域の周波数成分よりも高い増幅率で増幅する。ここで、所定の帯域とは、例えば、センサ部10の粒子流路を流れる気体の流速v1に対応する周波数fcを中心周波数、帯域幅をfbwとする帯域である。なお、fbwは所定の周波数であってもよいし、電圧信号のノイズに応じて適宜設定される周波数であってもよい。
増幅部212は、例えば、図1に示すように、IV変換部211から出力された電圧信号に含まれる周波数成分のうち所定の帯域の周波数成分を通過させるバンドパスフィルタ215と、バンドパスフィルタ215を通過した周波数成分からなる信号を増幅する増幅器216とを含む。なお、バンドパスフィルタ215及び増幅器216の接続順はこれに限らず、増幅器216がバンドパスフィルタ215より前段に設けられていてもよい。
このような構成により、アナログ信号処理部21は、受光素子121からの出力を示し、かつ、検知領域DAに位置する粒子2に対応するパルス状の波形を含む時系列の電圧信号を出力する。
ここで、粒子2に対応したパルス状の波形とは、検知領域DAを通過する粒子2の速度及び粒径等に対応した正弦波、または、それに類似の波形である。ただし、例えば、大粒径の粒子2と小粒径の粒子2とが同じタイミングで検知領域DAを通過する場合等には、その限りではない。
汎用MPU22は、デジタル回路により構成され、アナログ信号処理部21から出力された電圧信号を用いて、センサ部10の粒子流路に流れる気体に含まれる粒子の質量濃度を算出する。この汎用MPU22は、例えば、集積回路であるシステムLSIにより実現され、以下で説明する機能ブロック毎に個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。
また、汎用MPU22は、システムLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。また、汎用MPU22は、LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、またはLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
汎用MPU22は、図1に示すように、AD変換部221と演算部222と記憶部223とを機能ブロックとして有し、AD変換部221で生成したデジタルデータを用いて、センサ部10の粒子流路内に流れる気体に含まれる粒子についての種々の分析を行う。この種々の分析とは、例えば、粒子の質量濃度に限らず、当該粒子の粒径の算出、当該粒子の同定等が含まれてもかまわない。
以下、汎用MPU22の各機能ブロックについて、詳細に説明する。
AD変換部221は、増幅部212で増幅された電圧信号をサンプリング(標本化)及び量子化する。言い換えると、当該AD変換部221は、アナログ信号処理部21から出力されたアナログの電圧信号をAD(Analog to Digital)変換することにより、当該電圧信号に対応する時系列のデジタルデータを生成する。つまり、AD変換部221は、受光素子121から出力された電流信号に基づく時系列のデジタルデータを生成する。
本実施の形態では、AD変換部221は、汎用MPU22に予め組み込まれたAD変換モジュールであり、当該汎用MPU22のアナログ入力端子に入力された電圧信号をデジタルデータに変換する。例えば、AD変換部221は、汎用MPU22のアナログ入力端子に入力された0.0〜5.0Vの範囲の電圧信号を、所定のサンプリング周期でサンプリングする。その後、AD変換部221は、サンプリングされた電圧信号の電圧を10ビットのデジタル値に変換することにより、上記の時系列のデジタルデータを生成する。
演算部222は、AD変換部221で生成されたデジタルデータを用いて、センサ部10の粒子流路に流れる気体に含まれる粒子2の質量濃度を算出する。なお、演算部222による処理の詳細については、後述する。
記憶部223は、演算部222が質量濃度を算出するための各種の情報を記憶する。記憶部223は、半導体メモリ等の記憶装置により実現され、本実施の形態では、汎用MPU22に予め組み込まれたメモリ領域である。なお、記憶部223は、汎用MPU22とは別体の記憶装置として設けられていてもかまわない。また、記憶部223が記憶する各種の情報の詳細については、後述する。
[2.動作]
次に、粒子検出センサ1の動作について説明する。
次に、粒子検出センサ1の動作について説明する。
[2−1.センサ部]
まず、センサ部10の動作について説明する。
まず、センサ部10の動作について説明する。
加熱部15により空気が加熱されると、筐体13内の粒子流路に上昇気流が生じる。これに伴い、周辺空気中の粒子は、粒子流路の流入口18から筐体13の内部に進入し、粒子の検知領域DAを通過して、粒子流路の流出口19から筐体13の外部に流出される。この際、検知領域DAに位置する粒子2によって、投光系11から投光された光が散乱される。
粒子2によって散乱された光が受光素子121に入射すると、受光素子121によって受光量(受光した散乱光の光強度)に応じた電流信号が出力される。
図2は、受光素子121から出力される電流信号の一例を示す波形図である。
同図に示す電流信号の波形には、4つのパルス状の波形W1〜W4が含まれる。具体的には、当該電流信号の波形には、ピーク値I3を有する波形W1と、ピーク値I2を有する波形W2と、ピーク値I1を有する波形W3及びW4とが含まれる。なお、これらの波形W1〜W4には、ノイズによる波形WNが重畳されている。
波形W1〜W4は、気流が粒子流路を流れることに伴って検知領域DAを通過する粒子2に対応し、それぞれが対応する粒子2の粒径に応じたピーク値を有する。ここで、波形W1〜W3はそれぞれ1つのピークのみを有するのに対し、波形W4は2つのピークを有する。つまり、波形W1〜W3はそれぞれ1つの粒子に対応する単一波形であるのに対し、波形W4は2つの同一粒径の粒子に対応する2つの波形が合成された合成波形となっている。
[2−2.信号処理部]
次に、信号処理部20の動作について、説明する。
次に、信号処理部20の動作について、説明する。
IV変換部211が、受光素子121から出力された電流を電圧に変換することにより、電圧信号を生成する。つまり、受光素子121から出力された電流信号は電圧信号へと変換される。
次に、増幅部212が、当該電圧信号を所定の帯域で増幅する。
その後、AD変換部221が、増幅部212で増幅されたアナログ信号である電圧信号をデジタル変換(AD変換)することにより、デジタルデータを生成する。つまり、AD変換部221は、サンプリング及び量子化することにより、受光系12からの出力を示すセンサ信号がデジタル化された時系列のデジタルデータを生成して、演算部222に出力する。
図3は、AD変換部221によって生成されたデジタルデータの一例を示す波形図である。具体的には、同図には、図2に示した電流信号が信号処理されることで生成されたデジタルデータの波形図が示されている。
同図に示すデジタルデータは、例えば、10ビットの時系列のデジタルデータである。なお、デジタルデータの波形はステップ状の波形であるが、同図では、当該ステップの幅が非常に小さいものとして、見た目上曲線で図示している。また、同図では、デジタルデータの各サンプルのデジタル値を電圧に換算して図示している。これらの事項については、以降の波形図においても同様である。
同図に示すように、AD変換部221によって生成されたデジタルデータの波形では、ノイズによる波形WN(図2参照)がフィルタリングされてカットされ、粒子の各々に対応したパルス状の波形W1〜W4が含まれる。
このように生成されたデジタルデータを用いて、演算部222が質量濃度を算出する。
ここで、粒子検出センサ1が搭載された移動体が振動すると、粒子検出センサ1の振動によりデジタルデータに含まれるパルス状の波形が変化してしまい、質量濃度の検出精度が劣化する場合がある。このため、本実施の形態では、粒子検出センサ1が振動している場合には補正処理を行って質量濃度を算出し、粒子検出センサ1が振動していない場合には当該補正処理を行わずに質量濃度を算出する。これにより、本実施の形態に係る粒子検出センサ1によれば、検出精度の劣化を低減することができる。
[2−3.粒子検出処理]
以下、粒子検出センサ1の動作として、粒子検出センサ1による質量濃度を算出する処理である粒子検出処理について説明する。図4は、粒子検出センサ1の動作を示すフローチャートである。
以下、粒子検出センサ1の動作として、粒子検出センサ1による質量濃度を算出する処理である粒子検出処理について説明する。図4は、粒子検出センサ1の動作を示すフローチャートである。
まず、信号処理部20は、粒子検出センサが無振動状態の場合の基準となる周波数成分と周波数成分毎の強度との関係を示すリファレンス情報を取得する(S10)。本実施の形態では、粒子検出センサ1が無振動状態である場合に、AD変換部221から出力された所定期間(例えば、1分間)にわたるデジタルデータを、演算部222がFFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)等で周波数分析することにより、リファレンス情報が取得される。
なお、リファレンス情報を取得する手法はこれに限らず、例えば、センサ部10及び信号処理部20の特性等により予め定められたリファレンス情報を記憶部223から取得してもかまわない。また、リファレンス情報を取得するための上記の所定期間は特に限定されないが、リファレンス情報の周波数分解能の向上化の観点からは上記の所定時間が長いことが好ましい。
また、信号処理部20がリファレンス情報を取得するタイミングは、特に限定されないが、例えば、リファレンス情報は、粒子検出センサ1が搭載される車両等の移動体が起動される度または所定の時間ごと(例えば1時間ごと)に取得されてもよい。この場合、粒子検出センサ1は、アナログ信号処理部21等を構成するアナログ素子の経時的な特性変動による検出精度の劣化を抑制することができる。また、例えば、リファレンス情報は、粒子検出センサ1の工場出荷前の品質調整時に取得されてもよい。この場合、粒子検出センサ1は、工場出荷後にリファレンス情報を取得する必要がなく、処理負荷の軽減を図ることができる。
ここで、無振動状態とは、完全に振動していない状態(静止状態)が好ましいが、これに限らず、例えば1GHz以下の微小な振動が発生している状態であってもかまわない。一方、振動状態とは、無振動状態より大きな振動が発生している状態であり、例えば、粒子検出センサ1を搭載する移動体の移動が移動している状態であって、当該移動体が路面等を移動することにより比較的大きな振動が発生している状態である。このような振動状態としては、例えば、10Hz〜100Hz等の所定の帯域の振動が一定期間継続している状態が挙げられる。
次に、信号処理部20は、受光素子121からの出力を示す時系列の信号を周波数分析することにより、当該信号に含まれる周波数成分と周波数成分毎の強度との関係を示す測定情報を取得する(S20)。本実施の形態では、AD変換部221から出力された所定期間(例えば、1分間)にわたるデジタルデータを、演算部222がFFT等で周波数分析することにより、測定情報が取得される。
なお、信号処理部20が測定情報を取得するタイミングは、特に限定されないが、例えば、測定情報は、リファレンス情報の取得に引き続いて取得されてもかまわないし、リファレンス情報の取得から任意の時間経過後に取得されてもかまわない。また、測定情報は、所定の時間ごと(例えば10分間ごと)に取得されてもよいし、常時取得されてもよい。測定情報が常時取得されるように構成された粒子検出センサ1は、周辺空気の質量濃度が刻々と変化するような環境下で用いられる粒子検出センサとして好適である。
次に、信号処理部20は、取得したリファレンス情報及び測定情報を用いて、質量濃度を算出する(S30)。具体的には、信号処理部20は、リファレンス情報と測定情報とについて、周波数成分毎の強度の相対関係が略一定の場合、補正処理を行うことなく質量濃度を算出し、当該相対関係が略一定でない場合、補正処理を行って質量濃度を算出する。つまり、信号処理部20は、リファレンス情報と測定情報とで共通する複数の周波数成分にわたって、上記の相対関係が一定の場合に補正処理を行い、略一定でない場合に補正処理を行わない。
例えば、周波数成分毎の強度の相対関係とは、周波数成分毎のリファレンス情報と測定情報との強度の比である。ただし、これに限定されず、例えば、当該相対関係とは、周波数成分毎のリファレンス情報と測定情報との強度の差分であってもかまわない。
ここで、本実施の形態では、リファレンス情報及び測定情報の各々が示す強度は、規格化されている。また、信号処理部20は、リファレンス情報と測定情報とについて、周波数成分毎の強度が略一致する場合、補正処理を行わず、少なくとも1つの周波数成分の強度が略一致しない場合、補正処理を行う。
以下、本実施の形態における粒子検出処理に含まれる各処理の詳細について、説明する。
まず、上述のリファレンス情報取得処理(S10)の詳細について、説明する。
図5は、粒子検出センサ1によるリファレンス情報取得処理(S10)の一例を示すフローチャートである。
まず、粒子検出センサ1が無振動状態で周辺空気を筐体13内の粒子流路に引き込むことにより、検知領域DAに粒子2を導入する(S11)。
図6は、粒子検出センサ1が無振動状態の場合の検知領域DA及びその周囲の状態を模式的に示す図である。なお、同図には、気流が破線で示され、投光系11から投光された光及び検知領域DAに位置する粒子2からの散乱光が実線で示されている。
同図に示すように、粒子検出センサ1が無振動状態の場合、検知領域DAは略一定の領域となる。また、当該場合、粒子流路を流れる気流も略一定となる。このため、検知領域DAに粒子2が位置する時間も略一定となる。
次に、演算部222が、受光素子121からの出力を示す時系列のデジタルデータに含まれるパルス状の波形である波形データを所定期間にわたって取得する(S12)。
図7は、粒子検出センサ1が無振動状態の場合に得られる波形データの一例を示す波形図である。具体的には、同図には、粒径がD1、D2、D3(ただし、D1<D2<D3を満たす)の粒子2に対応する3つの波形データが示されている。なお、パルス状の波形データには合成波形も含まれるが、同図では単一波形の波形データのみが示されている。また、同図では、互いに異なる時間に現れ得る3つの波形データを同一の時間に示している。
同図に示すように、粒径が大きい粒子2の波形データほど、電圧が大きくなることが分かる。ただし、粒子2の粒径によらず検知領域DAに粒子2が位置する時間は略一定となるため、基準電位における波形データの時間幅も略一定となる。
次に、演算部222は、取得した波形データを周波数分析し(S13)、周波数分析後の波形データを規格化する(S14)。具体的には、演算部222は、周波数分析後の波形データの強度を周波数成分毎に最大パワーで規格化する。ここで、「最大パワー」とは、例えば、汎用MPUが正常に測定可能な電圧範囲の上限値である。最大パワーは、例えば、センサ部10を構成する素子の仕様、センサ部10及びアナログ信号処理部21に含まれるアナログ素子の飽和レベル、ならびに、汎用MPU22のアナログ入力端子の上限電圧及びAD変換部221のダイナミックレンジ等で決定される。
なお、波形データを規格化する電圧は最大パワーに限らず、予め定められた任意の電圧であってもかまわない。
このような処理によって、粒子検出センサ1が無振動状態の場合の基準となる周波数成分と周波数成分毎の強度との関係を示すリファレンス情報が取得される。つまり、本実施の形態では、粒子検出センサ1が無振動状態の場合の時系列のデジタルデータを用いて周波数分析及び規格化することにより、上記のリファレンス情報が取得される。
本実施の形態では、リファレンス情報は、周波数及び強度を座標軸とする直交座標系において示される波形である。具体的には、リファレンス情報は、横軸を周波数かつ縦軸を強度とする座標軸において示される波形であり、波形データに含まれる周波数成分の分布を示す波形である。
図8は、リファレンス情報の波形の一例を示す波形図である。
同図に示すように、リファレンス情報の波形は、例えば、センサ部10の粒子流路を流れる気体の流速v1に対応する周波数fcを中心周波数、帯域幅を増幅部212の帯域に規定されるfbwとするような波形となる。
最後に、演算部222は、取得したリファレンス情報を記憶部223に書き込む(S15)。
次に、測定情報取得処理(S20)及び質量濃度算出処理(S30)の詳細について、説明する。
図9は、粒子検出センサ1による測定情報取得処理(S20)及び質量濃度算出処理(S30)の一例を示すフローチャートである。
まず、粒子検出センサ1が周辺空気を筐体13内の粒子流路に引き込むことにより、検知領域DAに粒子2を導入する(S21)。この処理は、上述のステップS11と同様である。このとき、粒子検出センサ1が振動状態であるか否かは不明である。
図10は、粒子検出センサ1が振動状態の場合の検知領域DA及びその周囲の状態を模式的に示す図である。なお、同図には、図6と同様に、気流が破線で示され、投光系11から投光された光及び検知領域DAに位置する粒子2からの散乱光が実線で示されている。
同図に示すように、粒子検出センサ1が振動状態の場合、投光系11及び受光系12が振動するため、検知領域DAも振動によって振動する。つまり、検知範囲がブレることとなる。また、当該場合、粒子流路を流れる気流もブレ得るため、検知領域DAに粒子2が位置する時間もブレることとなる。このため、受光素子121から出力される信号に含まれるパルス状の波形の時間幅が、無振動状態の場合に比べて変化する。
次に、演算部222が、受光素子121からの出力を示す時系列のデジタルデータに含まれるパルス状の波形である波形データを取得する(S22)。そして、任意の時間が経過するまで(S23でYesとなるまで)、この処理を繰り返す。つまり、所定期間にわたって波形データを取得する。
図11は、粒子検出センサ1が振動状態の場合に得られる波形データの一例を示す波形図である。なお、同図には、粒子検出センサ1が無振動状態の場合に同じ粒径の粒子2から得られる波形データも示されている。
同図に示すように、粒子検出センサ1が振動状態の場合、無振動状態の場合に比べて、ピーク値が低下するとともに基準電位における波形データの時間幅が変化する。なお、無振動状態の場合と振動状態の場合との時間幅との大小関係は、振動状態の場合における粒子2の移動方向と検知領域DAのブレる方向との相対関係に依存する。
次に、演算部222は、取得した波形データを周波数分析し(S24)、周波数分析後の波形データを規格化する(S25)。これらの処理は、上述のステップS13及びS14と同様である。
このような処理によって、受光素子121からの出力を示す時系列の信号に含まれる周波数成分と周波数成分毎の強度との関係を示す測定情報が取得される。つまり、本実施の形態では、時系列のデジタルデータを用いて周波数分析及び規格化することにより、上記の測定情報が取得される。
ここで、測定情報は、リファレンス情報と同様に、周波数及び強度を座標軸とする直交座標系において示される波形である。具体的には、測定情報は、横軸を周波数かつ縦軸を強度とする座標軸において示される波形であり、波形データに含まれる周波数成分の分布を示す波形である。
次に、演算部222は、リファレンス情報を記憶部223から読み出し(S26)、リファレンス情報が示す波形と測定情報が示す波形とが略一致するか否かを判断する(S27)。
図12A及び図12Bは、粒子検出センサ1が振動状態の場合における測定情報の波形の一例を示す波形図である。なお、同図には、図8に示したリファレンス情報の波形の一例についても、あわせて図示している(図中の「無振動状態」)。
これらの図に示すように、粒子検出センサ1が振動状態の場合、測定情報の波形は、無振動状態の場合の波形に比べて、一部の周波数成分の波形が欠落したような波形となる。具体的には、この場合、測定情報の波形はリファレンス情報の波形に比べて、図12Aに示すように高域の周波数成分が欠落したり、図12Bに示すように中央域の周波数成分が欠落したりする。
そこで、例えば、演算部222は、測定情報の示す波形がリファレンス情報の示す波形に比べて欠落していなければ2つの波形が略一致すると判断し、欠落していれば2つの波形が略一致しないと判断する。
なお、2つの波形が略一致するか否かを判断する手法は、上記の手法に限定されず、例えば、リファレンス情報の示す波形と測定情報の示す波形との相互相関関数を用いて判断してもかまわない。具体的には、相互相関関数の絶対値が0.9以上の場合に略一致すると判断してもかまわない。また、例えば、強度が所定の閾値以上となる周波数範囲が略一致する場合に、2つの波形が略一致すると判断してもかまわない。
そして、演算部222は、2つの波形が略一致する場合(S27でYes)、粒子検出センサ1が無振動状態であると判定して補正を非実施とする(S28)。つまり、当該場合、信号処理部20は、補正処理を行うことなく質量濃度を算出する。なお、質量濃度を算出する手法については、特に限定されてないが、例えば、所定時間内に取得した波形データのピークの個数により算出される個数濃度、及び、ピークの平均値に基づく平均質量等を用いて算出することができる。
一方、演算部222は、2つの波形が略一致しない場合(S27でNo)、粒子検出センサ1が振動状態であると判定し、補正を実施する(S29)。つまり、当該場合、信号処理部20は、補正処理を行って質量濃度を算出する。
信号処理部20は、補正処理において、例えば、次のような補正係数を用いて質量濃度を算出する。
具体的には、粒子検出センサ1の工場出荷前の品質調整時に、無振動環境下及び振動環境下のそれぞれにおいて任意の同一の質量濃度の気体をセンサ部10に導入する。そして、無振動環境下で算出された質量濃度がK1、振動環境下で補正処理をせずに算出された質量濃度がK2である場合、K1とK2との相対関係(例えばK1とK2との比)を補正係数とする。
つまり、信号処理部20は、補正処理として、例えば、無振動状態であると仮定した場合に算出される質量濃度に対して上記の補正係数を乗算することにより、振動状態の場合の質量濃度を算出する。
なお、補正係数は上記の例に限らず、例えば、K1とK2との差分であってもかまわない。また、補正係数は上記の質量濃度の相対関係に限らず、無振動環境下及び振動環境下のそれぞれにおいて同一粒径の粒子を導入した際のセンサ部10からの出力信号のピーク値の相対関係であってもかまわない。
また、補正係数は1つに限らず、複数定められていてもかまわない。例えば、信号処理部20は、複数の補正係数のうち、測定情報の波形が欠落している周波数帯域に対応付けられた補正係数を用いて補正処理を行ってもかまわない。
また、補正係数は、記憶部223に記憶されていてもかまわないし、記憶部223とは別の記憶装置に記憶されていてもかまわない。あるいは、補正係数は、信号処理部20(本実施の形態では演算部222)が補正処理を行う際に実行されるコードに含まれていてもかまわない。
このように、信号処理部20は、リファレンス情報が示す波形と測定情報が示す波形とが略一致する場合、補正処理を行うことなく質量濃度を算出し、略一致しない場合、補正処理を行って質量濃度を算出する。
なお、ステップS21及びステップS25は上述の測定情報取得処理(S20)の一例であり、ステップS26〜ステップS29は上述の質量濃度算出処理(S30)の一例である。
[3.適用例]
以上説明した粒子検出センサ1は、移動体に搭載されて気体の質量濃度をモニタリングする(検知する)移動体搭載用気体モニタに適用することができる。
以上説明した粒子検出センサ1は、移動体に搭載されて気体の質量濃度をモニタリングする(検知する)移動体搭載用気体モニタに適用することができる。
図13は、本実施の形態に係る移動体搭載用気体モニタ100の一例を示す外観図であり、(a)は当該外観図の全体図であり、(b)は(a)の一部拡大図である。
移動体搭載用気体モニタ100は、移動体内の空間の気体の質量濃度をモニタリングする、例えば車載用の気体モニタである。なお、移動体搭載用気体モニタ100がモニタリングする空間は、閉鎖空間に限らず、開放空間であってもかまわないし、あるいは、移動体外の空間の気体であってもかまわない。
同図に示すように、移動体搭載用気体モニタ100は、上述した粒子検出センサ1と、当該粒子検出センサ1で算出された質量濃度を表示する表示部110とを備える。
粒子検出センサ1は、例えば、車のフロント部に配置され、フロントパネルに設けられた通気口120を介して導入された気体の質量濃度を算出する。また、粒子検出センサ1は、例えば、フロントパネルに設けられたボタン130a〜130cによって受け付けられたユーザの指示にしたがって、質量濃度を算出する対象の微小粒子を変更してもよい。
表示部110は、例えば、車のフロントパネルに設けられた液晶表示装置等のモニタ装置である。
なお、移動体搭載用気体モニタ100は、このような構成に限らない。例えば、粒子検出センサ1が車のリア部に配置され、表示部110がフロント部に配置されていてもかまわない。また、移動体搭載用気体モニタ100は、移動体に搭載されていればよく、移動体は車に限らず、列車または航空機であってもかまわない。
[4.まとめ]
以上説明したように、粒子検出センサ1は、気体または液体である流体中(本実施の形態では気体中)に含まれる粒子を検出する粒子検出センサである。粒子検出センサ1は、検知領域DAに光を投光する投光素子111、及び、検知領域DAに位置する粒子2によって散乱された光を受光する受光素子121を備える。また、粒子検出センサ1は、受光素子121からの出力を示す時系列の信号を信号処理することにより、流体中に含まれる粒子の質量濃度を算出する信号処理部20を備える。ここで、信号処理部20は、粒子検出センサ1が無振動状態の場合の基準となる周波数成分と周波数成分毎の強度との関係を示すリファレンス情報を取得し、時系列の信号を周波数分析することにより、当該信号に含まれる周波数成分と周波数成分毎の強度との関係を示す測定情報を取得する。また、リファレンス情報と測定情報とについて、周波数成分毎の強度の相対関係が略一定の場合、補正処理を行うことなく質量濃度を算出し、当該相対関係が略一定でない場合、補正処理を行って質量濃度を算出する。
以上説明したように、粒子検出センサ1は、気体または液体である流体中(本実施の形態では気体中)に含まれる粒子を検出する粒子検出センサである。粒子検出センサ1は、検知領域DAに光を投光する投光素子111、及び、検知領域DAに位置する粒子2によって散乱された光を受光する受光素子121を備える。また、粒子検出センサ1は、受光素子121からの出力を示す時系列の信号を信号処理することにより、流体中に含まれる粒子の質量濃度を算出する信号処理部20を備える。ここで、信号処理部20は、粒子検出センサ1が無振動状態の場合の基準となる周波数成分と周波数成分毎の強度との関係を示すリファレンス情報を取得し、時系列の信号を周波数分析することにより、当該信号に含まれる周波数成分と周波数成分毎の強度との関係を示す測定情報を取得する。また、リファレンス情報と測定情報とについて、周波数成分毎の強度の相対関係が略一定の場合、補正処理を行うことなく質量濃度を算出し、当該相対関係が略一定でない場合、補正処理を行って質量濃度を算出する。
上述したように、粒子検出センサ1が振動すると、無振動状態の場合に比べて上記の時系列の信号が変化する(図11参照)。このため、振動状態の場合には、無振動状態の場合に比べて、当該信号に含まれる周波数成分及び周波数成分毎の強度が変化することとなる。よって、リファレンス情報と測定情報とについて、周波数成分毎の強度の相対関係が略一定でない場合、粒子検出センサ1が振動状態にあるとみなして補正処理を行う。これにより、粒子検出センサ1は、振動する場合であっても、検出精度の劣化を低減することができる。
また、粒子検出センサ1によれば、小型化の妨げとなる加速度センサ等の振動センサを設けることなく、振動状態の場合に補正処理を行って質量濃度を算出する。このため、粒子検出センサ1は、移動体に搭載される小型の粒子検出センサとして好適である。
また、リファレンス情報及び測定情報の各々が示す強度は、規格化されている。また、信号処理部20は、リファレンス情報と測定情報とについて、周波数成分毎の強度が略一致する場合、補正処理を行わず、少なくとも1つの周波数成分の強度が略一致しない場合、補正処理を行う。
ここで、流体中に含まれる粒子の粒径が大きいほど、受光素子で受光される光強度も大きくなるため、受光素子からの出力を示す時系列の信号も大きくなる。よって、測定情報の示す強度が規格化されていない場合、当該強度は粒子の粒径に依存してしまう。よって、このような場合には、測定情報とリファレンス情報との強度の相対関係の判断に要する処理が複雑化し得る。
これに対して、リファレンス情報及び測定情報の各々が示す強度が規格化されることにより、粒子検出センサ1が無振動状態の場合には、流体中の粒子の粒径によらず測定情報とリファレンス情報とで周波数成分毎の強度が略一致することとなる。したがって、測定情報とリファレンス情報との強度の相対関係の判断に要する処理を簡素化しつつ、検出精度の劣化を低減することができる。
また、リファレンス情報及び測定情報の各々は、周波数及び強度を座標軸とする直交座標系において示される波形である。また、信号処理部20は、リファレンス情報が示す波形と測定情報が示す波形とが略一致する場合、補正処理を行わず、略一致しない場合、補正処理を行う。
上述したように、粒子検出センサ1が振動すると、無振動状態の場合に比べて、時系列の信号を周波数分析した結果の波形において、一部が欠落する(図12A及び図12B参照)。よって、リファレンス情報と測定情報とについて、各々が示す波形が略一致しない場合、粒子検出センサ1が振動状態にあるとみなして補正処理を行う。これにより、より簡易に検出精度の劣化を低減することができる。
また、移動体搭載用気体モニタ100は、上述の粒子検出センサ1と、粒子検出センサ1で算出された質量濃度を表示する表示部110とを備える。
これにより、移動体搭載用気体モニタ100は、粒子検出センサ1が振動する場合であっても検出精度の劣化が低減された質量濃度を表示することができる。
また、粒子検出方法は、検知領域DAに光を投光する投光素子111、及び、検知領域DAに位置する粒子2によって散乱された光を受光する受光素子121を有する粒子検出センサ1を用いて、気体または液体である流体中に含まれる粒子を検出する粒子検出方法である。粒子検出方法は、粒子検出センサ1が無振動状態の場合の基準となる周波数成分と周波数成分毎の強度との関係を示すリファレンス情報を取得するステップ(S10)を含む。また、粒子検出方法は、さらに、時系列の信号を周波数分析することにより、当該信号に含まれる周波数成分と周波数成分毎の強度との関係を示す測定情報を取得するステップ(S20)を含む。また、粒子検出方法は、さらに、リファレンス情報と測定情報とについて、周波数成分毎の強度の相対関係が略一定の場合、補正処理を行うことなく流体中に含まれる粒子の質量濃度を算出し、当該相対関係が略一定でない場合、補正処理を行って質量濃度を算出するステップ(S30)を含む。
このように、粒子検出方法は、リファレンス情報と測定情報とについて、周波数成分毎の強度の相対関係が略一定でない場合、粒子検出センサ1が振動状態にあるとみなして補正処理を行う。これにより、粒子検出センサ1が振動する場合であっても、検出精度の劣化を低減することができる。
(その他の実施の形態)
以上、本発明について実施の形態及び変形例に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態及び変形例に限定されるものではない。
以上、本発明について実施の形態及び変形例に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態及び変形例に限定されるものではない。
例えば、上記説明では、周波数分析の手法としてFFTを例に説明したが、周波数分析の手法はこれに限定されず、例えば、DFT(Discrete Fourier Transform:離散フーリエ変換)であってもかまわない。
また、例えば、上記説明では、リファレンス情報及び測定情報の各々は規格化されているとしたが、規格化されていなくてもかまわない。このような場合、測定情報が示す強度が粒子の粒径に依存してしまうものの、全体的な傾向は規格化された測定情報と同一である。すなわち、このような場合であっても、粒子検出センサ1が無振動状態であれば、リファレンス情報と測定情報との周波数成分毎の相対関係は略一定となる。よって、このような場合であっても、リファレンス情報と測定情報とについて、周波数成分毎の強度の相対関係が略一定の場合に補正処理を行い、略一定でない場合に補正処理を行うことにより、上記説明と同様に検出精度の劣化を低減することができる。
また、例えば、リファレンス情報及び測定情報は、直交座標系において示される波形に限らず、周波数成分とそれに対応する強度とを対応付けるテーブルであってもかまわない。すなわち、リファレンス情報及び測定情報の周波数分解能が比較的低いことにより、これらが上記説明したような波形を示さない形態も本発明に含まれる。
また、例えば、粒子検出センサ1は、IV変換部211、増幅部212、AD変換部221のうち少なくとも1つを備えていなくてもよく、例えば、粒子検出センサ1がAD変換部221を備えず、演算部222が増幅部212から出力された電圧信号を用いて粒子2の粒径を演算してもよい。ただし、以下の観点から、粒子検出センサ1はAD変換部221を備えることが好ましい。
すなわち、粒子検出センサ1がAD変換部221を備えない場合、電圧信号のピークをアナログで算出する構成としては、例えば、ピークホールド回路、及び、複数の閾値と比較するための複数のコンパレータを用いる構成が考えられる。しかしながら、このような構成では、ピークホールド回路内のコンデンサの充放電に時間を要することにより、電圧信号のピークを高速に検出することが困難である。さらに、アナログ回路構成として、複数のコンパレータを備えることが必要である。
これに対して、粒子検出センサ1が汎用MPU22に予め組み込まれたAD変換モジュールであるAD変換部221を備える場合、上記ピークホールド回路を用いる場合よりも電圧信号のピークを高速に検出することができるため、粒子の粒径を高速に演算できる。さらに、アナログ回路構成として複数のコンパレータを備える必要がないので、アナログ回路構成を簡素化及び低コスト化できる。
また、上記説明において、粒子を含む媒体は、気体(空気)としたが、気体以外の媒体(水等の液体)であってもよい。つまり、粒子検出センサ1は、気体または液体である流体中に含まれる粒子を検出する。
また、上記説明において、汎用MPU22内の各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
また、汎用MPU22を構成する構成要素(機能)の一部または全ては、粒子検出センサ1を備える各種機器(例えば、移動体搭載用気体モニタ100)に搭載されたマイクロプロセッサ、ROM、RAM等の一部として実現されていてもかまわない。
また、本発明は、このような粒子検出センサ1として実現することができるだけでなく、粒子検出センサ1が行うステップ(処理)を含む方法として実現できる。
例えば、それらのステップは、コンピュータ(コンピュータシステム)によって実行されてもよい。そして、本発明は、それらの方法に含まれるステップを、コンピュータに実行させるためのプログラムとして実現できる。さらに、本発明は、そのプログラムを記録したCD−ROM等である非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体として実現できる。
例えば、本発明が、プログラム(ソフトウェア)で実現される場合には、コンピュータのCPU、メモリおよび入出力回路等のハードウェア資源を利用してプログラムが実行されることによって、各ステップが実行される。つまり、CPUがデータをメモリまたは入出力回路等から取得して演算したり、演算結果をメモリまたは入出力回路等に出力したりすることによって、各ステップが実行される。
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素および機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
1 粒子検出センサ
2 粒子
20 信号処理部
100 移動体搭載用気体モニタ
110 表示部
111 投光素子
121 受光素子
2 粒子
20 信号処理部
100 移動体搭載用気体モニタ
110 表示部
111 投光素子
121 受光素子
Claims (5)
- 気体または液体である流体中に含まれる粒子を検出する粒子検出センサであって、
検知領域に光を投光する投光素子、及び、前記検知領域に位置する前記粒子によって散乱された光を受光する受光素子と、
前記受光素子からの出力を示す時系列の信号を信号処理することにより、前記流体中に含まれる前記粒子の質量濃度を算出する信号処理部とを備え、
前記信号処理部は、
前記粒子検出センサが無振動状態の場合の基準となる周波数成分と周波数成分毎の強度との関係を示すリファレンス情報を取得し、
前記時系列の信号を周波数分析することにより、当該信号に含まれる周波数成分と周波数成分毎の強度との関係を示す測定情報を取得し、
前記リファレンス情報と前記測定情報とについて、周波数成分毎の強度の相対関係が略一定の場合、補正処理を行うことなく質量濃度を算出し、当該相対関係が略一定でない場合、前記補正処理を行って前記質量濃度を算出する
粒子検出センサ。 - 前記リファレンス情報及び前記測定情報の各々が示す強度は、規格化されており、
前記信号処理部は、前記リファレンス情報と前記測定情報とについて、周波数成分毎の強度が略一致する場合、前記補正処理を行わず、少なくとも1つの周波数成分の強度が略一致しない場合、前記補正処理を行う
請求項1に記載の粒子検出センサ。 - 前記リファレンス情報及び前記測定情報の各々は、周波数及び強度を座標軸とする直交座標系において示される波形であり、
前記信号処理部は、前記リファレンス情報が示す前記波形と前記測定情報が示す前記波形とが略一致する場合、前記補正処理を行わず、略一致しない場合、前記補正処理を行う
請求項2に記載の粒子検出センサ。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の粒子検出センサと、
前記粒子検出センサで算出された前記質量濃度を表示する表示部とを備える
移動体搭載用気体モニタ。 - 検知領域に光を投光する投光素子、及び、前記検知領域に位置する粒子によって散乱された光を受光する受光素子を有する粒子検出センサを用いて、気体または液体である流体中に含まれる粒子を検出する粒子検出方法であって、
前記粒子検出センサが無振動状態の場合の基準となる周波数成分と周波数成分毎の強度との関係を示すリファレンス情報を取得するステップと、
前記時系列の信号を周波数分析することにより、当該信号に含まれる周波数成分と周波数成分毎の強度との関係を示す測定情報を取得するステップと、
前記リファレンス情報と前記測定情報とについて、周波数成分毎の強度の相対関係が略一定の場合、補正処理を行うことなく前記流体中に含まれる前記粒子の質量濃度を算出し、当該相対関係が略一定でない場合、前記補正処理を行って前記質量濃度を算出するステップとを含む
粒子検出方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016023157A JP2017142139A (ja) | 2016-02-09 | 2016-02-09 | 粒子検出センサ、移動体搭載用気体モニタ、及び、粒子検出方法 |
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Family
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JP (1) | JP2017142139A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR20230137102A (ko) * | 2022-03-21 | 2023-10-04 | (주)인프라칩 | 미세먼지농도 감지 방법 및 장치 |
-
2016
- 2016-02-09 JP JP2016023157A patent/JP2017142139A/ja active Pending
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KR20230137102A (ko) * | 2022-03-21 | 2023-10-04 | (주)인프라칩 | 미세먼지농도 감지 방법 및 장치 |
KR102681896B1 (ko) | 2022-03-21 | 2024-07-05 | (주)인프라칩 | 미세먼지농도 감지 방법 및 장치 |
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