JP2017142073A - バイオセンシングのb/f分離の洗浄方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】現存のバイオセンシングよりも、より高感度なバイオセンシングを実現することを目的とする。【解決手段】上記目的を達成するため、本発明は、リガンドが表面に固定化され、機能性物質を備える微粒子を用い、かつ、洗浄液によるB/F分離工程を含む、アフィニティ反応を利用したバイオセンシングにおいて、B/F分離工程で、反応容器内のアフィニティ反応の反応場から上方に位置する内壁の一部に洗浄液を接触させるように吐出することを含む、洗浄方法を提供する。【選択図】図4
Description
本発明は、アフィニティ反応を利用したバイオセンシングにおける洗浄方法に関する発明であって、より具体的には、B/F(Bind/Free)分離工程のための洗浄方法に関する発明である。加えて、本発明は当該洗浄方法を実施するバイオセンシングのための装置に関する発明である。
高感度バイオセンシング、特に高感度免疫分析を行うには、測定対象物質とアフィニティを示す抗体を反応容器に固定化し、これと測定対象物質を結合させた後、測定対象物質とアフィニティを示す別の抗体とで挟み込んで結合させるサンドイッチタイプの免疫測定法が広く用いられている。2種の抗体のうち一方は、96穴マイクロプレートのウェルや、ポリマー微粒子、磁性を伴うポリマー微粒子(磁性微粒子)などの固相担体に結合させる。もう一方の抗体には、酵素、蛍光物質や導電性物質を直接標識し、ここから発信されるシグナル、例えば、化学発光、生物発光、蛍光、磁気又は電気化学発光などのシグナルを検出して測定する。
通常、上記の標識された抗体は、測定対象物質に対して過剰量添加される。そのため、検体中の測定対象物質以外の物質や、測定対象物質とアフィニティ反応しなかったフリーの標識抗体は反応後かつ検出前に洗浄により除去される必要がある(B/F分離)。
従来のB/F分離における洗浄方法において、反応容器の抗体が固定化された箇所(例えば、ウェルの底面)に直接洗浄液を吐出し、その洗浄液を吸引することが行われてきた。そして、洗浄液を吐出する際に生じる水流は、測定対象物質とこれにアフィニティを示す抗体との親和力へ影響を及ぼすとは考えられていなかったため、洗浄液の吐出方法については検討されていなかった。
近年、更なる高感度バイオセンシング又は迅速なバイオセンシングを達成するため、測定対象物質と結合する抗体などのリガンドを表面に有し、更に、蛍光物質などの機能性分子が内部に封入されるか、表面に担持された微粒子を使用することが知られている(例えば、非特許文献1、特許文献1)。
Anal Chem 2003,75,p6124−32
測定対象物質と結合する抗体などのリガンドに対し、発色、発光、蛍光、電流、磁気などのシグナル発信素子としての機能を備えた微粒子はサイズが非常に大きい。例えば、微粒子が球形で直径が200nmであり、リガンドとしての抗体の直径が20nmと近似すると、微粒子の表面積は当該抗体に対して約100倍となる。
このように、リガンドと微粒子の大きさが異なるため、本発明者らは、B/F分離における洗浄液から発生する水流により微粒子により大きな力がかかり、アフィニティ反応による結合を切断してしまうのではないかと予想した。
このように、リガンドと微粒子の大きさが異なるため、本発明者らは、B/F分離における洗浄液から発生する水流により微粒子により大きな力がかかり、アフィニティ反応による結合を切断してしまうのではないかと予想した。
洗浄液による水流で、測定対象物質とリガンドとの結合が外れてしまうと、本来検出すべき微粒子まで洗い流されてしまい、高感度なバイオセンシングが実現することができなくなると考えられる。
従って、本発明者らは、より高感度なバイオセンシングを実現することを目的とし、鋭意検討した結果、B/F分離工程における洗浄液を反応場(アフィニティ反応が行われた箇所)に直接吐出せずに、当該反応場と関連しない箇所であって、反応場よりも上方の位置に接触するように吐出すると、吐出の際に発する水流の勢いが緩衝され、内壁を伝って反応場に洗浄液が到達し、測定対象物質と微粒子の結合が外れにくくなることを見出した。
具体的に、本発明は、リガンドが表面に固定化され、機能性物質を備える微粒子を用い、かつ、洗浄液によるB/F分離工程を含む、アフィニティ反応を利用したバイオセンシングにおいて、B/F分離工程で、反応容器内のアフィニティ反応の反応場から上方に位置する内壁の一部に洗浄液を接触させるように吐出することを含む、洗浄方法を提供する。
本発明の洗浄方法は、洗浄液によるB/F分離工程を含む、アフィニティ反応を利用したバイオセンシングにおいて、機能性物質を備える微粒子を用いた場合であっても簡便な手段で、誤差の少ない、高精度のバイオセンシングを実現することができる。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明のバイオセンシングとは、動物やヒトの全血、尿、血漿、血清、唾液などの検体中の測定対象物質を、アフィニティ反応を用いて検出する手法を意味する。特に、本発明のバイオセンシングでは、機能性物質を備えた微粒子を用いる。
本発明のバイオセンシングとは、動物やヒトの全血、尿、血漿、血清、唾液などの検体中の測定対象物質を、アフィニティ反応を用いて検出する手法を意味する。特に、本発明のバイオセンシングでは、機能性物質を備えた微粒子を用いる。
本発明における具体的なバイオセンシングとして、
(1)微粒子で標識したリガンドにより測定対象物質を直接認識する直接法、
(2)測定対象物質をリガンド(一次リガンド)により認識し、測定対象物質と結合した一次リガンドを、微粒子に結合した別のリガンド(二次リガンド)で認識させて検出する間接法、
(3)競合法、
(4)測定対象物質を固相化したリガンド(一次リガンド)により捕捉し、さらに微粒子に固定化された別のリガンド(二次リガンド)に認識させて検出するサンドイッチ法
などが挙げられるが、これらに限定されない。また、リガンドとして、アビジン、ストレプトアビジン等を用いて測定対象物質を検出する手法を用いてもよい。
(1)微粒子で標識したリガンドにより測定対象物質を直接認識する直接法、
(2)測定対象物質をリガンド(一次リガンド)により認識し、測定対象物質と結合した一次リガンドを、微粒子に結合した別のリガンド(二次リガンド)で認識させて検出する間接法、
(3)競合法、
(4)測定対象物質を固相化したリガンド(一次リガンド)により捕捉し、さらに微粒子に固定化された別のリガンド(二次リガンド)に認識させて検出するサンドイッチ法
などが挙げられるが、これらに限定されない。また、リガンドとして、アビジン、ストレプトアビジン等を用いて測定対象物質を検出する手法を用いてもよい。
本発明におけるバイオセンシングでの測定対象物質はアフィニティ反応が利用できる物質であればいずれの物質であってもよい。例えば、タンパク質、糖、脂質、核酸、糖タンパク質などが挙げられる。より具体的には、サイトカイン、ケモカイン、インターロイキン、アレルゲン、ホルモン、DNA、RNA、抗体、脂質、酵素などが挙げられる。
なお、本発明におけるアフィニティ反応とは、抗原抗体反応、核酸(DNAやRNAなど)の相補的結合、核酸とたんぱく質の特異的結合、シグナル伝達系に関わるタンパク質とその受容体タンパク質との結合やProtein A若しくはProtein Gと抗体のFc部位との結合のようなたんぱく質同士の特異的結合、酵素とその基質の特異的結合、ホルモン分子とその受容体の特異的結合、糖鎖とレクチンの特異的結合など、生体分子間(人工的に改変した生体分子との反応も含む)の特異的な反応を含み、さらに、アプタマー等を用いた人工抗体様分子と生体分子の特異的結合、薬剤若しくは薬剤候補物質と生体分子の特異的結合、アビジンとビオチンの特異的結合など、低分子化合物と生体分子(人工的に改変した生体分子との反応も含む)の間の特異的な反応を含む概念である。
本発明のバイオセンシングにおける検体とは、測定対象物質を含みうる試料を指し、液体であることが好ましい。例えば、全血、尿、血漿、血清、唾液、髄液、痰、精液、汗、細胞懸濁液などの体液をはじめとする、生体から採取される液体が挙げられる。
本発明のバイオセンシングでは、リガンドが表面に固定化され、機能性物質を備える微粒子を使用する。
本発明におけるリガンドとは、バイオセンシングに利用するアフィニティ反応において、測定対象物質に特異的に相互作用することができる分子全般を意味する。ここでは、リガンドの種類について特に限定されないが、抗体、抗原、核酸(DNA、RNA)等が挙げられる。
本発明におけるリガンドとは、バイオセンシングに利用するアフィニティ反応において、測定対象物質に特異的に相互作用することができる分子全般を意味する。ここでは、リガンドの種類について特に限定されないが、抗体、抗原、核酸(DNA、RNA)等が挙げられる。
本発明における微粒子の形状は特に限定されないが、球形、楕円形、円柱、多角柱などの形状が挙げられる。
微粒子が球形の場合、平均粒径は通常、1nm〜10μm、好ましくは、80nm〜450nm、更に好ましくは、100nm〜300nmである。
球形以外の形状(楕円形、円柱、多角柱)をなす場合であっても、上記平均粒径を有する球形粒子と近似する大きさ(体積、表面積)の分布をなす微粒子を使用することができる。
微粒子が球形の場合、平均粒径は通常、1nm〜10μm、好ましくは、80nm〜450nm、更に好ましくは、100nm〜300nmである。
球形以外の形状(楕円形、円柱、多角柱)をなす場合であっても、上記平均粒径を有する球形粒子と近似する大きさ(体積、表面積)の分布をなす微粒子を使用することができる。
なお。本発明において、微粒子の平均粒子径は、粒子のブラウン運動の様子を散乱光強度の揺らぎとして観測する動的散乱法を用いて測定することができる。例えば、大塚電子製のゼータ電位・粒子径測定システムELSZ−1000ZSが本目的に好適である。
微粒子の材料は特に限定されず、ガラス、セラミック(例えばシリカ)、金属(例えば、金、白金、ステンレス)、樹脂(例えば、ナイロン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリルアミドなど)、アガロース等を用いることができる。これらの中でも、樹脂が好ましく、ポリスチレンが特に好ましい。
リガンドを微粒子の表面に公知の方法を用いて固定化することができる。通常、微粒子の表面にリガンドと反応可能な官能基を導入し、これとリガンドを反応させる。本技術分野では、表面にリガンドと反応可能な官能基が導入された微粒子は市販されており、入手可能である。
本発明で使用する微粒子は、その表面又は内部に機能性物質を備えている。機能性物質としては、磁性物質、酵素、導電性物質、蛍光物質、放射性物質等を用いることができる。
磁性物質としてはフェライト等:酵素としてはパーオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ルシフェラーゼ等、導電性物質としてはフェロセン、テトラチアフルバレン(TTF)、テトラシアノキノジメタン(TCNQ)、金属錯体等:蛍光物質としてはFITC、cy3、cy5等:放射性同位体としては125I等;を挙げることができる。
磁性物質としてはフェライト等:酵素としてはパーオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ルシフェラーゼ等、導電性物質としてはフェロセン、テトラチアフルバレン(TTF)、テトラシアノキノジメタン(TCNQ)、金属錯体等:蛍光物質としてはFITC、cy3、cy5等:放射性同位体としては125I等;を挙げることができる。
磁性物質は、微粒子に磁性を付与することができ、磁気誘導することによって、反応容器内のアフィニティ反応が行われる場(反応場)にまで迅速に誘導することができる。
酵素、導電性物質、蛍光物質、放射性物質などは、シグナル発信物質として検出時にその機能を発揮する。なお、導電性物質を用いる場合は、特開2013−113735号公報に詳細に説明されているように、アフィニティ反応を行った後、微粒子から導電性物質を溶出させた導電性物質の導電性(電流値)を測定することで、測定対象物質を定量することができる。
酵素、導電性物質、蛍光物質、放射性物質などは、シグナル発信物質として検出時にその機能を発揮する。なお、導電性物質を用いる場合は、特開2013−113735号公報に詳細に説明されているように、アフィニティ反応を行った後、微粒子から導電性物質を溶出させた導電性物質の導電性(電流値)を測定することで、測定対象物質を定量することができる。
本発明で使用する微粒子では、磁性物質が微粒子に内包されることが好ましい。また、本発明においては、蛍光物質をシグナル発信物質として使用することが好ましく、蛍光物質を微粒子に内包すること更に好ましい。
以下に、本発明の具体的な1つの実施態様を示す。微粒子に機能性物質として磁性物質及び蛍光物質を内包し、かつリガンドとして抗体を用いたサンドイッチ法を用いた場合の洗浄方法について説明する。
図1(a)は、ポリマー層(102)に内包される磁性物質(101)を備える磁性微粒子1である。このような磁性物質を備えた微粒子は、例えば、特開2006−88131号公報に開示される方法によって作製することができる。なお、市販品で言えば、多摩川精機株式会社製のFGビーズを用いることができる。
さらに、図1(b)は磁性物質を備えた磁性微粒子1に蛍光物質(103)を内包させた微粒子を表す図である。このような微粒子は、例えば、特許第5156944号公報や特許第5574492号公報に開示される方法で作製することができる。
なお、蛍光物質以外のシグナル発信物質としての機能性物質も同様な方法で封入することが可能である。
なお、蛍光物質以外のシグナル発信物質としての機能性物質も同様な方法で封入することが可能である。
蛍光物質及び磁性物質が内包された微粒子(図1(b)の微粒子)に、さらにリガンドを固定化する。本発明におけるリガンドとは、バイオセンシングに利用するアフィニティ反応において、測定対象物質に特異的に相互作用することができる分子全般を意味するが、ここでは抗体(104)を指す。以上の手順で、磁性物質及び蛍光物質を内包し、かつリガンドとして抗体を表面に固定化した微粒子Pを得ることができる(図1(c))。
次に、反応容器2の底面21に、測定対象物質とは特異的に結合するが上記抗体104とは異なる抗体を固定化する(図2の201)。ここでの固定化は通常行われている技術を用いる。つまり、この実施態様では、反応容器の底面21が本発明におけるアフィニティ反応が行われる場所(反応場)となる。
なお、反応容器は特に限定されないが、プラスチック製のマイクロチューブ、マイクロプレートなどを用いることができる。特に、ポリスチレンマイクロプレートを使用することが好ましい。
なお、反応容器は特に限定されないが、プラスチック製のマイクロチューブ、マイクロプレートなどを用いることができる。特に、ポリスチレンマイクロプレートを使用することが好ましい。
さらに、反応容器2に検体を添加し、抗体201に測定対象物質をアフィニティ反応により捕捉させる。十分な時間反応させた後、磁性物質101及び蛍光物質103が内包され、抗体が表面に固定化された微粒子Pを添加し、微粒子Pに固定化された抗体104と測定対象物質がアフィニティ反応により結合する。この時の反応容器の状態を図3に示す。
図3では、添加した微粒子Pの中で、捕捉された測定対象物質と結合(Bind)したものを微粒子P(B)、捕捉されず遊離(Free)の状態であるものを微粒子P(F)として表している。
図3では、添加した微粒子Pの中で、捕捉された測定対象物質と結合(Bind)したものを微粒子P(B)、捕捉されず遊離(Free)の状態であるものを微粒子P(F)として表している。
図4では、本発明のB/F分離を行うための洗浄液を添加する具体的な一実施態様を示している。
分注器であるピペットの先端部のチップ4から反応容器2の内面の側壁面22に洗浄液を吐出する。なお、ここではピペットのチップを用いたが、これに限定されず、例えばノズル、プローブの形態であってもよい。なお、洗浄液を吐出するチップ、プローブやノズルの材質は特に限定されないが、プラスチック製が好ましく、プラスチック製チップがより好ましい。
分注器であるピペットの先端部のチップ4から反応容器2の内面の側壁面22に洗浄液を吐出する。なお、ここではピペットのチップを用いたが、これに限定されず、例えばノズル、プローブの形態であってもよい。なお、洗浄液を吐出するチップ、プローブやノズルの材質は特に限定されないが、プラスチック製が好ましく、プラスチック製チップがより好ましい。
洗浄液を吐出するチップ4は、反応容器2の内面の側壁面22に対し、チップ4の中心線を示す破線αとで形成する角度Rが0°を超え90°未満の角度、好ましくは5°〜45°となるように傾ける。なお、別の実施態様として、反応容器2を傾けてもよい。その場合も、反応容器2の内面の側壁面22とチップ4の中心線を示す破線αが形成する角度R’が0°を超え90°未満の角度、好ましくは5°〜45°となるようにする。
なお、この実施態様において、側壁面22が本発明における反応容器内の反応場から上方に位置する内側壁となる。
洗浄液を吐出するチップ、プローブ又はノズルは、洗浄液を吐出する際に、反応容器の側壁面22と接していてもよく、離れていてもよい。
また、洗浄液の吐出速度については、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、反応容器2が200μL容量のプラスチック製チップである場合、100μL/秒以下の速度で洗浄液を吐出することが好ましい。
洗浄液は、バイオセンシングのR/F分離で用いられる一般的な洗浄液を用いることができ、通常、界面活性剤やpH調整剤等を含む洗浄液を使用することができる。
また、洗浄液の吐出速度については、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、反応容器2が200μL容量のプラスチック製チップである場合、100μL/秒以下の速度で洗浄液を吐出することが好ましい。
洗浄液は、バイオセンシングのR/F分離で用いられる一般的な洗浄液を用いることができ、通常、界面活性剤やpH調整剤等を含む洗浄液を使用することができる。
このように、洗浄液は反応溶液の反応場の上方の側壁面に吐出されるため、洗浄液は側壁面を伝って流れ落ち、反応場に到達する。
洗浄液を廃棄する場合は、反応容器2を傾けて廃棄してもよく、ピペットを用いてチップから、又は吸引ノズルから洗浄液を吸引してもよい。洗浄液を吸引する場合は、一定時間(例えば10秒)静置するか、振とうしてもよい。
さらに、上記実施態様において、反応が行われた反応容器の底面21から遠ざけるように磁石を設置し、一定時間(例えば10秒)静置させてもよい。微粒子P(F)が磁気誘導されて磁石の設置方向に移動し、分離がより容易になる。ここでの磁石を設置する箇所は、反応容器内の反応が行われなかった箇所であり、洗浄液が吐出された箇所と同じでもよく、異なる任意の箇所でもよい。
また、本発明のバイオセンシングの精度を高めるために上述の振とう及び磁気誘導を組み合わせてもよい。
さらに、上記実施態様において、反応が行われた反応容器の底面21から遠ざけるように磁石を設置し、一定時間(例えば10秒)静置させてもよい。微粒子P(F)が磁気誘導されて磁石の設置方向に移動し、分離がより容易になる。ここでの磁石を設置する箇所は、反応容器内の反応が行われなかった箇所であり、洗浄液が吐出された箇所と同じでもよく、異なる任意の箇所でもよい。
また、本発明のバイオセンシングの精度を高めるために上述の振とう及び磁気誘導を組み合わせてもよい。
上述の通り、洗浄液を用いて、B/F分離を行った後、微粒子P(F)の蛍光物質103を、検出・測定する。
上記では、蛍光物質をシグナル発信物質として用いたが、本発明のバイオセンシングでは、これに限らない。反応容器内の測定対象物質の測定を、光学的手段、電気的手段、磁気的手段、放射線検知手段等を用いて行うことができる。光学的手段としては、蛍光測定、発光測定、吸光度測定を挙げることができ、蛍光測定を行うことが好ましい。
さらに、本発明は、上記洗浄方法を実施するバイオセンシングのための装置に関する。
本発明の装置は、一般にバイオセンシングを行う装置に加えて、B/F分離を行う洗浄工程において、反応容器を傾ける機構、及び洗浄液を吐出する機構の先端部を傾ける機構のいずれか、もしくは両方を備え、洗浄液が反応容器のアフィニティ反応が行われる反応場ではなく、当該反応に関与しない反応容器の内側の側壁面に洗浄液を吐出するように制御されている。
本発明の装置は、一般にバイオセンシングを行う装置に加えて、B/F分離を行う洗浄工程において、反応容器を傾ける機構、及び洗浄液を吐出する機構の先端部を傾ける機構のいずれか、もしくは両方を備え、洗浄液が反応容器のアフィニティ反応が行われる反応場ではなく、当該反応に関与しない反応容器の内側の側壁面に洗浄液を吐出するように制御されている。
本発明の装置では、第1のリガンドが表面に固定化され、機能性物質を備える微粒子を用いる。
ここでの「リガンド」とは、上記で定義したリガンドと同義である。「第1のリガンド」とは、反応容器に固定化する第2のリガンドとは異なるリガンドであることを示すものであり、上記の「二次リガンド」に対応する。また、「第2のリガンド」は、上述の「一次リガンド」に対応する。
ここでの「リガンド」とは、上記で定義したリガンドと同義である。「第1のリガンド」とは、反応容器に固定化する第2のリガンドとは異なるリガンドであることを示すものであり、上記の「二次リガンド」に対応する。また、「第2のリガンド」は、上述の「一次リガンド」に対応する。
当該装置は、洗浄液を吐出する機構の先端部を傾ける機構を備える。該先端部の中心線が反応容器の側壁面と交差する点で、反応容器の側壁面と該先端部の中心線で構成する角度が0°を超え90°未満、好ましくは5°〜45°になるように調整して該先端部を傾ける。
また、反応容器を傾ける場合は、該先端部の中心線が反応容器の側壁と接する点で、反応容器の側壁面と該先端部の中心線が構成する角度が0°を超え90°未満、好ましくは5°〜45°になるように調整して該反応容器を傾ける。
さらに、反応容器及び先端部の双方を傾ける場合は、該先端部の中心線が反応容器の側壁と接する点で、反応容器の側壁面と該先端部の中心線が構成する角度が0°を超え90°未満、好ましくは5°〜45°になるように調整して該反応容器及び該先端部を傾ける。
また、反応容器を傾ける場合は、該先端部の中心線が反応容器の側壁と接する点で、反応容器の側壁面と該先端部の中心線が構成する角度が0°を超え90°未満、好ましくは5°〜45°になるように調整して該反応容器を傾ける。
さらに、反応容器及び先端部の双方を傾ける場合は、該先端部の中心線が反応容器の側壁と接する点で、反応容器の側壁面と該先端部の中心線が構成する角度が0°を超え90°未満、好ましくは5°〜45°になるように調整して該反応容器及び該先端部を傾ける。
以下、本発明のバイオセンシングにおける洗浄方法について、実施例により具体的な説明を行うが、本発明は当該実施例に限定されるものではない。
まず、抗体(抗ヒトPSAマウスモノクローナル抗体5A6(Hytest社製))を表面に固定化し、磁性物質及び蛍光物質を内包する微粒子を次のように調製した。
蛍光物質封入磁性微粒子(FFビーズ、多摩川精機株式会社製)を用意し、これを水中に分散させた溶液を転倒混和で十分に懸濁して均一なFFビーズ分散溶液としてから、0.5mgを1.5mLマイクロチューブに採取し、活性化緩衝液(25mM、MES pH6.0)による洗浄を3回実施した。EDC{1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩}(ナカライテスク株式会社製)を50mg/mLの濃度となるように活性化緩衝液に溶解させた溶液を洗浄後ビーズに添加し、超音波で分散させてから室温で30分間撹拌した(マイクロチューブミキサーを使用)。活性化反応後、遠心分離し、上清を除去したのち、抗体30μgを含んだ固定化緩衝液(25mM酢酸緩衝液pH5.0)200μLを添加して超音波で分散させてから4℃で2時間撹拌した。固定化反応後、遠心分離し、上清を除き、洗浄溶液(10mM HEPES pH7.9、50mM KCl、1mM EDTA、10% Glycerol)で3回洗浄を実施した。洗浄後、上清が除去されたビーズに保存緩衝液を添加し、超音波で分散後、4℃にて保存した。なお、FFビーズの粒子径は、動的散乱法による粒子径測定装置である大塚電子(株)製のELSZ-1000ZSを使用し、190±20nmであることを確認した。
蛍光物質封入磁性微粒子(FFビーズ、多摩川精機株式会社製)を用意し、これを水中に分散させた溶液を転倒混和で十分に懸濁して均一なFFビーズ分散溶液としてから、0.5mgを1.5mLマイクロチューブに採取し、活性化緩衝液(25mM、MES pH6.0)による洗浄を3回実施した。EDC{1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩}(ナカライテスク株式会社製)を50mg/mLの濃度となるように活性化緩衝液に溶解させた溶液を洗浄後ビーズに添加し、超音波で分散させてから室温で30分間撹拌した(マイクロチューブミキサーを使用)。活性化反応後、遠心分離し、上清を除去したのち、抗体30μgを含んだ固定化緩衝液(25mM酢酸緩衝液pH5.0)200μLを添加して超音波で分散させてから4℃で2時間撹拌した。固定化反応後、遠心分離し、上清を除き、洗浄溶液(10mM HEPES pH7.9、50mM KCl、1mM EDTA、10% Glycerol)で3回洗浄を実施した。洗浄後、上清が除去されたビーズに保存緩衝液を添加し、超音波で分散後、4℃にて保存した。なお、FFビーズの粒子径は、動的散乱法による粒子径測定装置である大塚電子(株)製のELSZ-1000ZSを使用し、190±20nmであることを確認した。
次に、抗体を固相化したプレートを次のように作製した。抗ヒトPSAマウスモノクローナル抗体1H12(Hytest社製)をPBS pH7.4にて、1μg/mLに調整し、50μLずつ各マイクロプレート(F16 FluoroNunc Black Maxisorp,Nunc社製)のウェルに添加して4℃で一晩静置した。翌日、溶液を除去し、ブロッキング緩衝液(20mM HEPES pH 7.9、150mM KCl、5mM EDTA、0.1% Tween−20、1%スキムミルク)を200μLずつ添加し、室温で2時間静置した。
上記のように作成した抗体固定化FFビーズと抗体固相化プレートを用いて免疫分析を以下のように実施した。
抗体固定化FFビーズをブロッキング緩衝液で1μg/mLに調整し、60μLずつ用意した。精製PSA抗原(Hytest社製)をブロッキング緩衝液で0、200、1000、5000pg/mLの濃度に希釈した各濃度のPSA希釈溶液240μLを抗体固定化FFビーズ溶液が入ったサンプルチューブに添加して混合した後、室温で10分間静置した。10分後、各サンプルを50μLずつ、用意した抗体固相化プレートに添加して1時間静置反応させた。反応後の溶液を除去後、反応場に直接接触するように50μL/secの速度で洗浄液を吐出する洗浄方法(1)、もしくは、反応容器に対してチップの先端が30°となるように傾け(すなわち、図4におけるRが30°となるように傾け)、反応容器の反応場から上方の位置に洗浄液を接触させて、抗体が固相化されていない反応容器部分へ50μL/secの速度で吐出する洗浄方法(2)を採用して、合計3回の洗浄操作を実施した。
抗体固定化FFビーズをブロッキング緩衝液で1μg/mLに調整し、60μLずつ用意した。精製PSA抗原(Hytest社製)をブロッキング緩衝液で0、200、1000、5000pg/mLの濃度に希釈した各濃度のPSA希釈溶液240μLを抗体固定化FFビーズ溶液が入ったサンプルチューブに添加して混合した後、室温で10分間静置した。10分後、各サンプルを50μLずつ、用意した抗体固相化プレートに添加して1時間静置反応させた。反応後の溶液を除去後、反応場に直接接触するように50μL/secの速度で洗浄液を吐出する洗浄方法(1)、もしくは、反応容器に対してチップの先端が30°となるように傾け(すなわち、図4におけるRが30°となるように傾け)、反応容器の反応場から上方の位置に洗浄液を接触させて、抗体が固相化されていない反応容器部分へ50μL/secの速度で吐出する洗浄方法(2)を採用して、合計3回の洗浄操作を実施した。
各回の洗浄液添加後、プレート振とう機で10秒間振とう操作を行った。洗浄後、洗浄液を完全に除去した状態で蛍光測定装置(ARVOX4、パーキンエルマー社製)にセット、励起波長340nm、蛍光波長618nmで時間分解蛍光測定を実施した。各濃度のPSAにつき4重測定とし、洗浄方法の違いによる蛍光シグナルの強度やばらつきを確認した。
時間分解蛍光測定の結果を表1に示す。洗浄方法(1)を用いた場合には、洗浄方法(2)を用いた場合と比較して、蛍光シグナルが減少し、同時測定のばらつき(CV)が増加した。従って、本発明の洗浄方法(2)を採用することにより、抗体固定化FFビーズの水流による流失が防止でき、高シグナル強度かつ、ばらつきの少ない正確な測定が可能になった。
1:磁性微粒子、101:磁性物質、102:ポリマー層、103:蛍光物質、104:抗体、2:反応容器、21:反応容器の底面、22:側壁面、201:抗体
P(B):捕捉された測定対象物質と結合した微粒子
P(F):捕捉された測定対象物質に捕捉されず遊離の状態である微粒子
P(B):捕捉された測定対象物質と結合した微粒子
P(F):捕捉された測定対象物質に捕捉されず遊離の状態である微粒子
Claims (10)
- リガンドが表面に固定化され、機能性物質を備える微粒子を用い、かつ、洗浄液によるB/F分離工程を含む、アフィニティ反応を利用したバイオセンシングにおいて、
B/F分離工程で、反応容器内のアフィニティ反応の反応場から上方に位置する内壁の一部に洗浄液を接触させるように吐出することを含む、洗浄方法。 - 前記洗浄液は、反応容器の内壁に対して傾けた分注器の先端部から吐出される、請求項1に記載の洗浄方法。
- 前記分注器の先端部は、分注器用プローブ、分注器用ノズル又は分注器用チップから選択される請求項1又は2に記載の洗浄方法。
- 前記反応容器が、底面及び側壁面を有し、前記反応場が反応容器の底面であり、洗浄液を吐出する箇所が側壁面の一部である、請求項1〜3のいずれかに記載の洗浄方法。
- 前記機能性物質は、磁性物質、導電性物質、蛍光物質及び酵素からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれかに記載の洗浄方法。
- 前記機能性物質として、前記微粒子が磁性物質を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の洗浄方法。
- 洗浄液の吐出後に、アフィニティ反応に関与しなった前記微粒子を、磁気誘導で反応場から遠ざける工程を更に含む、請求項6に記載の方法。
- 前記微粒子が球形であって、当該粒径が1nm〜10μmである、請求項1〜7のいずれかに記載の洗浄方法。
- 第1のリガンドが表面に固定化され、機能性物質を備える微粒子を用いてアフィニティ反応を利用したバイオセンシングのための装置であって、
底面に第2のリガンドが固定化され、アフィニティ反応が終了した反応容器内に、B/F分離のための洗浄液を吐出する機構及び当該洗浄液を吐出する機構の先端部を傾ける機構備え、
当該先端部が、洗浄液の吐出後に反応容器の側壁面の一部に接触させるように制御されている、装置。 - 第1のリガンドが表面に固定化され、機能性物質を備える微粒子を用いてアフィニティ反応を利用したバイオセンシングのための装置であって、
底面に第2のリガンドが固定化され、アフィニティ反応が終了した反応容器内に、B/F分離のための洗浄液を吐出する機構及び当該反応容器を傾ける機構を備え、
当該洗浄液を吐出する機構の先端部が洗浄液の吐出後に反応容器の側壁面の一部に接触させるように制御されている、装置。
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JP2016021654A JP2017142073A (ja) | 2016-02-08 | 2016-02-08 | バイオセンシングのb/f分離の洗浄方法 |
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