JP2017138334A - 癌患者の生存可能性を決定するためおよび癌患者における転移可能性を予測するための方法 - Google Patents

癌患者の生存可能性を決定するためおよび癌患者における転移可能性を予測するための方法 Download PDF

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Abstract

【課題】HER2またはp95の発現総量を正確に定量化するための方法、および、進行性乳癌を有する患者において、HER2またはp95のレベルを脳における再発のリスクと相関させるための方法を提供する。【解決手段】本発明は一般に、進行性乳癌を有する患者中のHER2またはp95の発現総量を正確に定量化する方法、ならびに、そのような患者において、HER2またはp95の発現を脳における再発のリスクおよび脳への転移までの時間(TTBM)と相関させる方法に関する。【選択図】図1

Description

関連出願の引用
本願は、2011年5月19日に出願した米国仮特許出願第61/488,028号からの米国特許法第119条(e)項の下での優先権を主張する。米国仮特許出願第61/488,028号の開示は、その全体が本明細書において参考としてここで援用される。
発明の分野
本発明は一般に、HER2陽性癌、例として進行した乳癌を有する患者中のHER2またはp95の発現総量を正確に定量化する方法、および、そのような患者において、HER2またはp95の発現を脳における再発のリスクと相関させる方法に関する。
発明の背景
乳癌に伴う脳への転移は、特に芳しくない予後と関連がある。脳への転移は、生活の質に重大な影響を及ぼし、全身療法に対して比較的抵抗性である。乳癌は、脳への転移の、2番目に多い原因である。生物学的根拠はまだ十分に理解されていないが、HER2陽性乳癌を有する患者は、脳への転移の特に高いリスクを有する。しかし現時点では、HER2陽性の進行性乳癌患者において脳における再発をもたらす傾向と一貫して関連があることが示されている臨床的または生物学的な特徴がない。同様に、脳における再発を予測するためのロバストな分子マーカーも開発されていない。
HER2の状態を決定するための現在の方法は、HER2タンパク質の過剰発現を検出するための免疫組織化学的検査(IHC)、HER2遺伝子の増幅を検出するための蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)または発色in situハイブリダイゼーションを含む。しかし、依然として、これらのアッセイの方法の精度、信頼性および観察者間の変動性に関して、相当な議論がなされている。例えば、HER2の発現のIHCによる評価は、本質的に主観的であり、半定量的である(0、1+、2+、3+とスコア化される)。HER2遺伝子のコピー数を計数するFISH試験は、より定量分析的であるが、複数の臨床研究で、HER2遺伝子のコピー数と臨床治療に対する応答との間の関係の実証に失敗している。現時点で入手可能な技法を使用する場合、HER2試験のおよそ20%が不正確である恐れがあることが推定される。
現時点では、HER2陽性乳癌患者における全身療法の標準的な構成成分は、HER2受容体の細胞外ドメインに対するモノクローナル抗体であるトラスツズマブである。しかし、トラスツズマブは、高分子量(およそ145,000Da)ならびに物理的および化学的な特性に起因して、血液脳関門を横断せず、脳への転移の予防および治療においては効果がない。さらにまた、HER2を過剰発現する腫瘍のサブグループは、外部ドメインを排出してしまった、HER2のN−末端が切断されたバージョンであるp95 HER2(p95)も有する。トラスツズマブは、HER2の外部ドメインに結合するので、p95の切断型HER2タンパク質に結合することができず、したがって、トラスツズマブは、p95の高いレベルを有する患者においては効果がない。
癌は、非常に複雑な疾患であることから、多くの新しい標的療法が、一部の個々の患者において極めて有効でありながら、特定の癌についての一般的な患者集団においては限定的な有効性しか示さない。患者についての適切な知識がなければ、医療提供者は、有効な標的療法を患者のために選択することができない恐れがある。例えば、進行性乳癌を有する一部の患者が、脳への転移の増加したリスクを有する恐れがあるが、それらの患者が受けている治療は、脳への転移を予防または治療するには不適切である場合がある。
したがって、HER2またはp95の発現総量を正確に定量化するための方法、および、進行性乳癌を有する患者において、HER2またはp95のレベルを脳における再発のリスクと相関させるための方法が求められている。また、とりわけHER2陽性の進行性乳癌患者の亜集団に合わせて手直しされる治療処置戦略を同定するための方法も求められている。また、HER2陽性癌を有する個体のために治療コースを選択するための方法、および治療コースの進行をモニターするための方法も必要である。
発明の概要
本発明は一般に、進行性乳癌を有する患者中のHER2またはp95の発現総量を正確に定量化する方法、ならびに、そのような患者において、HER2またはp95の発現を脳における再発のリスクおよび脳への転移までの時間(TTBM)と相関させる方法に関する。本明細書に記載する本発明の実施形態は、VeraTag(登録商標)技術を活用して、腫瘍試料中のHER2およびp95のタンパク質発現総量を正確に定量化する方法、ならびに、トラスツズマブ等の治療を受けた患者を含めた、HER2陽性の進行性乳癌患者において、HER2レベルと脳における再発のリスクとを相関させる方法を含む。
本発明の実施形態は、生物学的試料中のHER2の発現総量(H2T)、p95およびHER2ホモダイマー(H2D)を正確に定量化する新規のアッセイを含む。
特定の実施形態では、例えば以下が提供される:
(項目1)
脳への転移についてスクリーニングすべきである、HER2陽性癌を有する被験体を同定する方法であって、
(a)該被験体の癌から腫瘍の生物学的試料を得るステップと、
(b)該生物学的試料中のHER2またはp95の少なくとも1つの量を測定するステップと、
(c)該被験体の試料中のHER2タンパク質またはp95タンパク質の少なくとも1つの量が、HER2のカットオフまたはp95のカットオフを上回るかどうかを決定するステップと、
(d)該HER2またはp95の少なくとも1つの量が、該HER2のカットオフまたは該p95のカットオフを上回る場合、該被験体を、脳への転移についてスクリーニングすべきであることを示すステップと
を含む方法。
(項目2)
HER2作用剤を用いる治療および第2の形態の癌治療を受けるべきである、HER2陽性癌を有する被験体を同定する方法であって、
(a)該被験体の癌から腫瘍の生物学的試料を得るステップと、
(b)該生物学的試料中のHER2またはp95の少なくとも1つの量を測定するステップと、
(c)該被験体の試料中のHER2タンパク質またはp95タンパク質の少なくとも1つの量が、HER2のカットオフまたはp95のカットオフを上回るかどうかを決定するステップと、
(d)該HER2またはp95の少なくとも1つの量が、該HER2のカットオフまたは該p95のカットオフを上回る場合、該被験体は、HER2作用剤を用いる治療および第2の形態の癌治療を受けるべきであることを示すステップと
を含む方法。
(項目3)
HER2陽性癌を有する被験体において予想される脳への転移までの時間(TTBM)を決定するための方法であって、
(a)該被験体の癌から腫瘍の生物学的試料を得るステップと、
(b)該生物学的試料中のHER2またはp95の少なくとも1つの量を測定するステップと、
(c)該被験体の試料中のHER2タンパク質またはp95タンパク質の少なくとも1つの量が、HER2のカットオフまたはp95のカットオフを上回るかどうかを決定するステップと、
(d)該HER2のカットオフまたはp95のカットオフを上回るかまたは下回るHER2またはp95のレベルを有する参照集団における脳への転移の経時的な発生率に基づいて、該被験体の予想されるTTBMを示すステップと
を含む方法。
(項目4)
HER2陽性癌を有する被験体が、脳への転移が発生するリスクを有するかどうかの相対的可能性を決定するための方法であって、
(a)該被験体の癌から腫瘍の生物学的試料を得るステップと、
(b)該生物学的試料中のHER2またはp95の少なくとも1つの量を測定するステップと、
(c)該被験体の試料中のHER2タンパク質またはp95タンパク質の少なくとも1つの量が、HER2のカットオフまたはp95のカットオフを上回るかどうかを決定するステップと、
(d)該生物学的試料中の該HER2タンパク質またはp95タンパク質の量が、該HER2のカットオフまたはp95のカットオフを上回る場合、該被験体は、脳への転移が発生するリスクを有する可能性がより高いことを示すステップと
を含む方法。
(項目5)
HER2陽性癌を有する被験体が、脳への転移についてスクリーニングすべきである、HER2陽性癌被験体のサブセットに属するかを決定する方法であって、
(a)該被験体の癌から腫瘍の生物学的試料を得るステップと、
(b)該生物学的試料中のHER2またはp95の少なくとも1つの量を測定するステップと、
(c)該被験体の試料中のHER2タンパク質またはp95タンパク質の少なくとも1つの量が、HER2のカットオフまたはp95のカットオフを上回るかどうかを決定するステップと、
(d)該HER2またはp95の少なくとも1つの量が、該HER2のカットオフまたは該p95のカットオフを上回る場合、被験体を、脳への転移についてスクリーニングすべきであることを示すステップと
を含む方法。
(項目6)
前記被験体の癌が、HER2遺伝子の発現レベルの上昇、HER2タンパク質のレベル、またはHER2遺伝子の増幅に基づいて、HER2陽性であることが特徴付けられている、項目1から5のいずれか一項に記載の方法。
(項目7)
前記被験体の癌が乳癌を含む、項目1から6のいずれか一項に記載の方法。
(項目8)
前記被験体の癌が原発性乳癌を含む、項目1から7のいずれか一項に記載の方法。
(項目9)
前記被験体が、血液脳関門を横断しないHER2作用剤を用いる治療を受けている、項目1から8のいずれか一項に記載の方法。
(項目10)
前記HER2作用剤が、モノクローナル抗体である、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記モノクローナル抗体が、トラスツズマブである、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記HER2のカットオフが、
(i)HER2陽性乳癌を有する被験体の参照集団において決定されるHER2の量の中央値、または
(ii)HER2陽性乳癌を有する被験体の参照集団において決定される、HER2の最適化された量
のうちの少なくとも1つを含む、項目1から11のいずれか一項に記載の方法。
(項目13)
前記HER2陽性乳癌を有する被験体の参照集団が、血液脳関門を横断しないHER2作用剤を用いる治療を受けている、項目1から12のいずれか一項に記載の方法。
(項目14)
前記p95のカットオフが、
(i)HER2陽性乳癌を有する被験体の参照集団において決定されるp95の量の中央値;または
(ii)HER2陽性乳癌を有する被験体の参照集団において決定される、p95の最適化された量
のうちの少なくとも1つを含む、項目1から13のいずれか一項に記載の方法。
(項目15)
前記HER2陽性乳癌を有する被験体の参照集団が、血液脳関門を横断しないHER2作用剤を用いる治療を受けている、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記第2の形態の癌治療が、HER2標的化低分子薬物、化学療法および/または放射線療法を含む、項目2に記載の方法。
(項目17)
前記生物学的試料中の前記HER2の量が、前記HER2のカットオフを上回る場合、前記被験体が脳への転移を免れる見込みが、約1年で約73%、約2年で約61%、約3年で約37%である、項目2および16のいずれか一項に記載の方法。
(項目18)
前記生物学的試料中の前記HER2の量が、前記HER2のカットオフを下回る場合、前記被験体が脳への転移を免れる見込みが、約1年で約89%、約2年で約78%、約3年で約69%である、項目2、16および17のいずれか一項に記載の方法。
(項目19)
前記生物学的試料中の前記p95の量が、前記p95のカットオフを上回る場合、前記被験体が脳への転移を免れる見込みが、約1年で約77%、約2年で約63%、約3年で約40%である、項目2および項目16から18のいずれか一項に記載の方法。
(項目20)
前記生物学的試料中の前記p95の量が、前記p95のカットオフを下回る場合、前記被験体が脳への転移を免れる見込みが、約1年で約85%、約2年で約77%、約3年で約67%である、項目2および項目16から19のいずれか一項に記載の方法。
(項目21)
前記生物学的試料中の前記HER2の量が前記HER2のカットオフを下回り、前記p95の量が前記p95のカットオフを上回る場合、前記被験体が脳への転移を免れる見込みが、約1年で約80%、約2年で約66%、約3年で約50%である、項目2および項目16から20のいずれか一項に記載の方法。
(項目22)
前記生物学的試料中の前記HER2の量が前記HER2のカットオフを下回り、前記p95の量が前記p95のカットオフを下回る場合、前記被験体が脳への転移を免れる見込みが、約1年で約94%、約2年で約86%、約3年で約80%である、項目2および項目16から21のいずれか一項に記載の方法。
(項目23)
前記生物学的試料中の前記HER2の量が、前記HER2のカットオフを上回る場合、該量が前記HER2のカットオフを下回るときと比較して、前記被験体が、脳への転移の約2.6倍増加したリスクを有する、項目2および項目16から22のいずれか一項に記載の方法。
(項目24)
前記生物学的試料中の前記p95の量が、前記p95のカットオフを上回る場合、該量が前記p95のカットオフを下回るときと比較して、前記被験体が、脳への転移の約2倍増加したリスクを有する、項目25のいずれか一項に記載の方法。
(項目25)
前記被験体の癌がグレード1または2でありかつ前記生物学的試料中の前記HER2の量が前記HER2のカットオフを下回る場合、該被験体の癌がグレード3であったとき、または該被験体の癌がグレード1もしくは2でありかつ該生物学的試料中の該HER2の量が該HER2のカットオフを上回ったときと比較して、該被験体が、脳への転移の約5.7分の1に減少したリスクを有する、項目25のいずれか一項に記載の方法。
本発明の方法およびシステムの非限定的な実施形態を、以下の図に例示する。
図1は、本発明の実施形態による、VeraTag(登録商標)技術に基づく2つの例示的なアッセイフォーマットを示す。パネルAは、近接性に基づくアッセイである、標準的なHerMark(登録商標)アッセイフォーマットを描写し、VTag(登録商標)レポーター分子の切断が、一重項酸素を介して生じる。ハサミの記号は、切断剤に付着する切断部分を表し、一方、「hv」は、光エネルギーを表す。パネルBでは、VTag(登録商標)レポーター分子の切断を、還元剤(例えば、DTT)により行う。両方のアッセイフォーマットにおいて、放出されたVTag(登録商標)レポーター分子を、キャピラリー電気泳動により分離および同定する。X軸は、切断されたVTag(登録商標)レポーター分子が、キャピラリーから溶出した時間を示し、蛍光強度を、Y軸上に示す。ピークは、異なるVTag(登録商標)レポーター分子の溶出を表す。 図2は、本発明の実施形態による、VeraTag(登録商標)技術に基づく例示的なアッセイフォーマットを示す。パネルAは、標準的なHerMARK(登録商標)アッセイフォーマットを描写し、このフォーマットは、標的タンパク質(例えば、HER2)の総量の定量化を、標的タンパク質に特異的な2つの結合性の薬剤(例えば、抗体)を使用して可能にする。パネルBは、ホモダイマーの同定を、VTag(登録商標)レポーター分子または切断剤のいずれかに示差的にコンジュゲートさせてある単一の抗体を使用して可能にするアッセイフォーマットを描写する。両方のアッセイフォーマットが近接性に基づくアッセイであり、VTag(登録商標)レポーター分子の切断が、光による切断剤の光誘導(すなわち、一重項酸素)を介して生じる。「S」は、ビオチン分子を介して、抗体のうちの1つに付着するストレプトアビジン(streptavidn)分子を表す。パネルCは、例示的なVTag(登録商標)レポーター分子(Pro11)の、切断可能なリンカーを介して抗体(例えば、Ab8)に付着している形態および切断の後の放出された形態を示す。 図3は、HERmark(登録商標)アッセイにおいてH2Tにより測定した場合の定量的HER2タンパク質(RF/mm腫瘍)と、HER2のFISHにより測定した場合の、HER2遺伝子のコピー数/セントロメア17との関係を示すグラフである。 図4は、本発明の実施形態による異なるタンパク質マーカーのカテゴリーに基づいて、脳への転移までの時間を月数で示すカプラン−マイヤープロットを示す。パネルAは、定量的HER2レベルに基づくデータを示し、中央値を上回る(灰色の線)H2Tのレベルを有する被験体と、中央値を下回る(黒色の線)H2Tのレベルを有する被験体とを比較する。パネルBは、H2Tの最適なカットオフを上回るHER2のレベルを有する被験体(黒色の線)、およびH2Tの最適なカットオフを下回るHER2のレベルを有する被験体(灰色の線)における、定量的HER2レベルに基づくデータを示す。パネルCは、HER2のFISH解析に基づくデータを示し、中央値を上回るレベルを有する被験体(黒色の線)と、中央値を下回るレベルを有する被験体(灰色の線)とを比較する。パネルDは、定量的p95レベルに基づくデータを示し、最適なp95のカットオフを上回るp95のレベルを有する被験体(灰色の線)と、最適なp95のカットオフを下回るp95のレベルを有する被験体(黒色の線)とを比較する。パネルEは、有意なバイオマーカーとしてのH2Tおよびp95の独立性を示すために、パネルBで同定された低いHER2群内の、定量的p95レベルに基づくデータを示す。 図5は、本発明の実施形態による、脳への転移までの時間に対する、腫瘍のグレードに照らした定量的HER2レベルの作用を示す。パネルAは、定量的HER2レベルおよび腫瘍のグレードに基づいて決定したハザード比を示すフォレストプロットを示す。パネルBは、異なる腫瘍のグレードにおけるHER2レベルを比較する場合の、脳への転移までの時間を月数で示すカプラン−マイヤープロットである。 図6は、本発明の実施形態による、脳への転移までの時間に対する、腫瘍のグレードに照らした定量的HER2レベルの作用を示す。パネルAは、定量的な連続的HER2レベル(カットオフなし)および腫瘍のグレードに基づくハザード比を示すフォレストプロットである。パネルBは、HER2のFISH陽性の被験体のサブセット内の、定量的な連続的HER2レベルおよび腫瘍のグレードに基づくハザード比を示すフォレストプロットである。 図7は、研究の初めに医師により決定された転移の優性の部位、および優性の転移部位のそれぞれについてのH2Tのレベルを示す図である。
発明の詳細な説明
定義および略語
本明細書で使用される場合、用語「実施形態」および「態様」は、互換的に使用される。
用語「約」は、本明細書で使用する場合、別段の記載がない限り、この用語が修飾している値を10%上回る値〜10%下回る値を指す。例えば、用語「約5μg/kg」は、4.5μg/kg〜5.5μg/kgの範囲を意味する。別の例として、「約1時間」は、48分〜72分の範囲を意味する。
「抗体」は、別の分子に特異的に結合し、それにより、別の分子の特定の構成と空間的にも極性に関しても相補的であると定義される免疫グロブリンを意味する。抗体は、モノクローナル、ポリクローナルまたは組換えであり得、当技術分野で周知である技法、例として、宿主の免疫化および血清の収集(ポリクローナル)によって、または連続的なハイブリッド細胞系を調製し、分泌タンパク質を収集すること(モノクローナル)によって、または少なくとも自然の抗体の特異的な結合に必要なアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列もしくはそれらの突然変異誘発バージョンをクローニングし、発現させることによって調製することができる。抗体は、完全な免疫グロブリンまたはその断片を含むことができ、これらの免疫グロブリンは、種々のクラスおよびアイソタイプ、例として、IgA、IgD、IgE、IgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3、IgM等を含む。それらの断片は、Fab、Fv、およびF(ab’)、Fab’等を含むことができる。また、抗体は、単鎖抗体もしくはそれらの抗原結合性断片、キメラ抗体、ヒト化抗体、または特定の結合部位に特異的である結合活性を保持する当業者に公知の任意のその他の抗体の誘導体であり得る。さらに、免疫グロブリンまたはそれらの断片の凝集体、ポリマーおよびコンジュゲートも、適切な場合には、特定の結合部位に対する結合親和性が維持される限り使用することができる。(下記に記載する)放出可能な分子タグを利用するようなアッセイを含めた、イムノアッセイにおいて使用するための抗体および抗体の誘導体の生成および選択の手引きを、容易に入手可能な文書およびマニュアル、例えば、HarlowおよびLane、1988年、Antibodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、New York;HowardおよびBethell、2001年、Basic Methods in Antibody Production and Characterization、CRC Press;Wild編、1994年、The Immunoassay Handbook、Stockton Press、New Yorkに見出すことができる。
「結合性抗体組成物」は、1つまたは複数の抗体または抗原結合性断片を含む分子または分子の複合体を意味し、この分子または分子の複合体は、分子に結合し、その結合特異性を、そのような抗体または抗体結合性断片から得る。結合性抗体組成物は、これらに限定されないが、(i)第1の抗体が標的分子に特異的に結合し、第2の抗体が第1の抗体の定常領域に特異的に結合する抗体の対;標的分子およびストレプトアビジンタンパク質に特異的に結合するビオチン化抗体であって、このタンパク質は、ビオチン部分を介して、部分、例として分子タグまたは光感受性物質等を用いて誘導体化される、ビオチン化抗体;(ii)標的分子に特異的であり、ポリマー、例としてデキストランにコンジュゲートされ、続いて、部分、例として分子タグまたは光感受性物質を用いて、共有結合により直接的にかまたはストレプトアビジン−ビオチンの連結を介して間接的に誘導体化される抗体;(iii)標的分子に特異的であり、ビーズもしくはマイクロビーズまたはその他の固相の支持体にコンジュゲートされ、続いて、部分、例として分子タグまたは光感受性物質、またはそれらを含有するポリマーを用いて、直接的または間接的に誘導体化される抗体を含む。
「抗原決定基」または「エピトープ」は、単一の抗体分子が結合する、分子、通常、タンパク質の表面上の部位を意味する。一般に、タンパク質は、いくつかまたは多くの異なる抗原決定基を有し、異なる特異性の抗体と反応する。好ましい抗原決定基は、タンパク質のリン酸化部位である。
「結合性化合物」は、結合性抗体組成物、抗体、ペプチド、細胞表面受容体に対するペプチドもしくは非ペプチドのリガンド、タンパク質、オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド類似体、例として、ペプチド核酸、レクチン、あるいは標的のタンパク質もしくは分子に特異的に結合することまたは目的の分析対象、例として、タンパク質の複合体と安定な複合体を形成することが可能である任意のその他の分子実体を指すものとする。一態様では、下記の式により表すことができる結合性化合物は、結合性部分に付着する1つまたは複数の分子タグを含む。
本明細書で使用する場合、「血液脳関門」は、中枢神経系(CNS)中の脳の細胞外液(BECF)からの循環血液の分離を指す。血液脳関門は、物理的バリアおよび細胞輸送機構の系の両方である。内皮細胞が、微小物体(例えば、細菌)および大きなまたは親水性分子の脳脊髄液中への拡散を制限し、一方、小さな疎水性分子の拡散を可能にする。
「結合性部分」は、分子タグを直接的または間接的につなぐことができ、分析対象に特異的に結合することが可能である任意の分子を意味する。結合性部分は、これらに限定されないが、抗体、結合性抗体組成物、抗体断片、ペプチドおよびタンパク質を含む。好ましくは、結合性部分は、抗体または結合性抗体組成物である。
「癌」および「癌性」は、無秩序な細胞の増殖により典型的に特徴付けられる、生物体、例として哺乳動物中の生理的状態を指すまたは説明する。癌の例として、これらに限定されないが、細胞癌、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫および白血病が挙げられる。そのような癌のより特定の例には、扁平上皮細胞癌、肺癌、例えば、小細胞肺癌または非小細胞肺癌;消化器癌、膵臓癌、神経膠芽腫、子宮頚部癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、肝細胞腫、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、唾液腺癌、腎臓癌、前立腺癌、外陰部癌、甲状腺癌、肝細胞癌、および種々のタイプの頭頚部癌がある。
「化学療法剤」は、状態、特に、癌を治療するために使用される化学物質、主として、細胞傷害剤または細胞分裂阻害剤を意味する。本明細書の記載に従って、化学療法剤は、パクリタキセル等の化合物を含むものとする。
「切断可能な連結」は、本明細書で使用する場合、結合性部分に切断可能な連結を用いて接続される分子タグの構造を分解することも、分子タグの検出の特徴に影響を及ぼすこともない条件下で切断され得る化学的連結基を指す。
「切断誘導部分」または「切断剤」は、本明細書で使用する場合、切断可能な連結を、例えば、酸化により切断することが可能である活性種をもたらす基である。好ましくは、活性種は、短命の活性を示す化学種であり、したがって、その切断誘導作用が、それが発生した部位の付近のみに留まる。
「切断性プローブ」は、本明細書で使用する場合、本明細書で定義される切断誘導部分、および結合性抗体組成物、抗体、抗体断片、細胞表面受容体に対するペプチドもしくは非ペプチドのリガンド、またはタンパク質、例として、ビオチンもしくはストレプトアビジン、オリゴヌクレオチド、レクチン、あるいは標的のタンパク質もしくは分子に特異的に結合することまたは目的の分析対象(例えば、タンパク質もしくはタンパク質複合体)と安定な複合体を形成することが可能である任意のその他の分子実体を含む試薬を指す。
本明細書で使用する場合、「カットオフ」は、対象集団中の試料を2つの明確に異なる患者のサブグループに分割することができる、生物学的試料中のHER2タンパク質またはp95タンパク質の量の測定値に基づいて数学的に決定される点、例えば、中央値のカットオフ、または最適なカットオフ、または所定のカットオフ等を指す。この量は、当技術分野で公知の任意の方法、例として、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)、生物発光共鳴エネルギー移動(BRET)、近接ライゲーションアッセイ(PLA)、二量体特異的抗体もしくはVeraTag(登録商標)アッセイ、または当業者に周知である任意のその他の方法により測定することができる。
「VeraTag(登録商標)アッセイ」および「VERATAG(登録商標)アッセイ」を、互換的に使用し、これらは、単一かつ多重化かつ多重標識のアッセイ、そのようなアッセイを実施し、活用するための材料、方法および技法を指し、それらには、これらに限定されないが、それらのアッセイに関連する試薬、分析手順およびソフトウエアが含まれる。そのようなアッセイは、本出願、さらに、米国特許第7,105,308号ならびに米国特許公開第2009/0191559号、第2010/0143927号、第2010/0210034号および第2010/0233732号に開示されており、これらは、あらゆる図面を含めて、参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書で使用する場合、「VeraTag(登録商標)レポーター分子」または「vTag」もしくは「vTag(登録商標)」は、VeraTag(登録商標)アッセイ中で使用される抗体に付着する分子タグを指す。
本明細書で使用する場合、「〜以上」(すなわち、≧または>=)は、特定の代替の実施形態では、〜超(>)を意味することができる。また、本明細書で使用する場合、「〜以下」(すなわち、≦または<=)も、特定の代替の実施形態では、〜未満(<)を意味することができる。
「FFPE」は、固定されている一群の細胞またはある量の組織、特に、従来のホルマリン固定パラフィン包埋試料を指すものとする。そのような試料が典型的には、これに限定されないが、受容体複合体についてのアッセイ中で、顕微鏡スライドまたは同等の表面上にマウントされる、固定組織の薄い切片、例えば、3〜10μmの厚さの形態で使用される。また、そのような試料は、典型的には、従来の再水和手順を経、場合により、アッセイの測定の一部としてまたはアッセイの測定の前に、抗原回収手順も経る。
「ハザード比」または「HR」は、本明細書で使用する場合、生存解析として公知の統計学的技法を使用して計算される特定のタイプの相対リスクを指す(例えば、目的の何らかの事象または転帰までに異なる時間を有する1つまたは複数の被験体群の解析)。生存解析では、何人の被験体が、所与の時点でまたは所与の時間間隔の間に、事象を経験するに至っていないかを追跡する。次いで、データを、研究時間全体にわたりプロットし、結果を、減少する曲線としてグラフに描く。「ハザード比」は、1つの群対別の群の予測されるハザードの比である。次いで、ハザード比を、独立した尺度と比較することができる(例えば、試料中に存在する1つまたは複数のバイオマーカーの量;腫瘍のグレード)。1超のハザード比は、目的の事象が、第1の群において、第2の群においてよりも速く起きていることを示す。1未満のハザード比は、目的の事象が、第1の群において、第2の群においてよりも緩慢に起きていることを示す。HRが1に近い場合には、2つの変数の間で関連があるリスクに統計学的な差がない。これらの比は2つの群の間の比較であり、いずれかの群中の平均的な被験体にとってどれだけ時間がかかるかの指標にはならないことに留意されたい。ハザード比は、第2の群と比較した第1の群における、目的の事象のリスクの増加または減少の倍率を指す。
「Her−2」、「ErbB2」、「c−Erb−B2」、「HER2」、「Her2」および「neu」を、本明細書においては互換的に使用し、これらは、例えば、Sembaら、1985年、P.N.A.S. USA、82巻:6497〜650頁、およびYamamotoら、1986年、Nature、319巻:230〜234頁、ならびにGenebank受託番号X03363の記載に従って、本来のHER2およびその対立遺伝子バリアントを指す。別段の記載がない限り、用語「HER2」、「ErbB2」、「c−Erb−B2」、「HER2」および「Her2」は、本明細書で使用する場合、ヒトタンパク質を指す。本明細書では、「erbB2」は、Her2をコードする遺伝子を指す。本明細書で使用する場合、H2Tは、例えば、これに限定されないが、VeraTag(登録商標)アッセイにより決定されるHER2の発現総量を指すものとする。
「HER2作用剤」は、本明細書で使用する場合、HER2またはHER2発現細胞もしくはHER2陽性癌細胞の生物学的活性を阻害することができる化合物を指す。そのような生物学的活性は、これらに限定されないが、二量体化、自己リン酸化、別の受容体のリン酸化、シグナル伝達等を含む。生物学的活性は、これらに限定的されないが、細胞の生存および細胞の増殖を含むことができ、そのような活性のHER2作用剤による阻害は、直接的もしくは間接的な細胞死滅(例えば、ADCC)、タンパク質複合体もしくは複合体形成の破壊、タンパク質輸送の調節、酵素の阻害、またはHER2の下方制御であり得る。また、生物学的活性は、本出願に記載するように、患者の応答も含むことができる。例示的なHER2作用剤として、これらに限定されないが、抗体であるペルツズマブ、エルツマキソマブおよびトラスツズマブ、ならびに、低分子、例として、17−AAG、IPI−504、ネラチニブ、AZD8931、ARRY−380、PF299、アファチニブ、ペリチニブ、S−222611、AEE−788およびラパチニブが挙げられる。抗体および関連の分子は一般に、大き過ぎて、血液脳関門を通過しない。
細胞表面のHER2膜受容体に関する「HER2ホモダイマー」は、2つ以上の膜結合HER2タンパク質の複合体を意味する。二量体は通常、相互に接触している2つの受容体からなる。二量体は、細胞表面膜において、受動的なプロセス、例として、ファンデルワールス相互作用等により生み出され得、または二量体は、能動的なプロセス、例として、リガンド誘導性の二量体化、共有結合性の連結、細胞内構成成分との相互作用等により生み出され得る。例えば、Schlessinger、2000年、Cell、103巻:211〜225頁を参照されたい。本明細書で使用する場合、用語「二量体」は、「細胞表面膜受容体の二量体」を、文脈からそうでないことが理解されない限り指すことが理解される。本明細書で使用する場合、「H2D」は、例えば、これに限定されないが、VeraTag(登録商標)アッセイにより決定される、定量化された二量体を指すものとする。
「HER2陽性」の癌、癌細胞、被験体または患者は、本明細書で使用する場合、HercepTest(登録商標)(DakoCytomation California Inc.、Carpenteria、CA)を使用する場合に、少なくとも2のスコアを示す癌、癌細胞、被験体もしくは患者、またはFISHにより、セントロメア17補正HER2遺伝子のコピー数が2超であり(HER2 FISH/CEP17>2;FISH陽性)、そのように同定されている癌、癌細胞、被験体もしくは患者を指す。特定の実施形態では、HER2陽性細胞は、HercepTest(登録商標)免疫組織化学アッセイを使用して、少なくとも2+または3+のスコアを示す。
「高い」は、正常よりも高い計測値、標準(例えば、所定の計測値もしくはサブグループの計測値)よりも高い計測値、または別のサブグループの計測値よりも比較的高い計測値を指す。例えば、高いHER2は、HER2の正常計測値よりも高いHER2の計測値を指す。HER2の正常計測値は、当業者に利用可能な任意の方法に従って決定することができる。また、高いHER2は、所定の計測値、例として、所定のカットオフ以上の計測値を指すこともできる。また、高いHER2は、高いHER2のサブグループが、別のサブグループよりも、HER2の比較的高いレベルを有する場合のHER2の計測値を指すこともできる。例えば、これに限定されないが、本発明によれば、2つの明確に異なる患者のサブグループを、数学的に決定される点、例として、これに限定されないが、中央値に関して、試料を分割することによって生み出すことができ、したがって、計測値が高い(すなわち、中央値よりも高い)サブグループと計測値が低い別のサブグループとが生み出される。当業者に公知の任意の方法により、具体的には、例えば、これに限定されないが、VeraTag(登録商標)アッセイを使用するか、または任意の標準的な免疫組織化学的(IHC)方法、例として、HercepTest(登録商標)を使用して、HER2を測定することができる。別の例として、高いHER2は、HER2陽性である試料または患者の特定のセットにおいて、HER2の正常計測値よりも高いHER2の計測値を指すことができる。HER2の正常計測値は、当業者に利用可能な任意の方法に従って決定することができる。別の例として、また、HER2の高いレベルは、所定の計測値、例として、所定のカットオフよりも高い計測値を指すこともできる。また、高いHER2は、高いHER2ホモダイマーのサブグループが、別のサブグループよりも、HER2ホモダイマーの比較的高いレベルを有する場合のHER2の計測値を指すこともできる。一部の状況では、「高い」は、参照群における測定値の中央値よりも高い量を指す。
「可能性がかなり高い」は、本明細書で使用する場合、品目、物体、物事または事象が生じる確率が増加していることを指す。
「長い」は、本明細書で使用する場合、正常よりも長い時間の計測値、標準、例として、所定の計測値よりも長い時間の計測値、または別のサブグループの計測値よりも比較的長いサブグループの計測値を指す。例えば、患者の寿命の延長に関して、長い時間的進行は、正常な時間的進行よりも長い時間的進行、または別の群と比較した場合に、進行までのより長い時間を指す。時間的進行が長いか否かは、当業者に利用可能な任意の方法に従って決定することができる。長いは、例えば、進行がないことを含むことができる。一部の状況では、「長い」は、疾患の顕著な事象が生じるのに必要な時間的経過の中央値よりも長い時間を指す。
「低い」は、正常よりも低い計測値、標準(例えば、所定の計測値もしくはサブグループの計測値)よりも低い計測値、または別のサブグループの計測値よりも比較的低い計測値を指す用語である。例えば、低いHER2は、HER2陽性である患者の試料の特定のセットにおいて、HER2の正常計測値よりも低いHER2の計測値を意味する。HER2の正常計測値は、当業者に利用可能な任意の方法に従って決定することができる。また、低いHER2は、所定の計測値、例として、所定のカットオフよりも低い方法を意味することもできる。また、低いHER2は、低いHER2のサブグループが、別のサブグループよりも比較的低い場合の計測値を意味することもできる。例えば、これに限定されないが、本明細書によれば、2つの明確に異なる患者のサブグループを、数学的に決定される点、例として、これに限定されないが、中央値に関して、試料を分割することによって生み出すことができ、したがって、計測値が高い別の群に比して計測値が低い(すなわち、中央値よりも低い)群が生み出される。別の例として、低いHER2は、HER2陽性である試料または患者の特定のセットにおいて、HER2の正常計測値よりも低いHER2ホモダイマーの計測値を意味する。また、低いHER2は、所定の計測値、例として、所定のカットオフよりも低い計測値を意味することもできる。また、低いHER2は、低いHER2のサブグループが、別のサブグループよりも比較的低い場合の計測値を意味することもできる。
「分子タグ」は、本明細書で使用する場合、分離される分子の間の1つまたは複数の物理的、化学的または光学的な差に基づいて、その他の分子と区別され得る分子を指し、それらの差は、これらに限定されないが、電気泳動移動度、分子量、形状、溶解性、pKa、疎水性、電荷、電荷/質量の比、極性等を含む。一態様では、複数またはセットの分子タグは、電気泳動移動度および光学的な検出の特徴の点で異なり、電気泳動により分離することができる。別の態様では、複数またはセットの分子タグは、分子量、形状、溶解性、pKa、疎水性、電荷または極性の点で異なる場合があり、順相もしくは逆相のHPLC、イオン交換HPLC、キャピラリー電気クロマトグラフィー、質量分析、気相クロマトグラフィー、または同類の技法により分離することができる。本明細書に記載するように、VeraTag(登録商標)レポーター分子は、分子タグの1つのタイプである。
「最適なカットオフ」または「最適化されたカットオフ」は、本明細書で使用する場合、属性の2つのカテゴリーの間の最良の識別を可能にする特定の属性を示す、被験体における所定の計測値を指す。例えば、最適なカットオフの値を見出すことにより、例えば、全生存(OS)を決定するための2つのカテゴリー(例えば、高いH2T発現と低いH2T発現)の間で最良に識別するのが可能になる。最適なカットオフを使用して、予測モデルを最適化するため(例えば、これらに限定されないが、モデルの特異性を最大化するため、モデルの感度を最大化するため、転帰の差を最大化するため、またはハザード比もしくは応答の差から得られるp値を最小化するため等)に、最適なカットオフよりも低いまたは高い値を有する被験体を分離する。
「全生存」または「OS」は、治療の開始から、死亡または打ち切りまでに測定される時間を指す。打ち切りは、研究の終点または治療の変更から生じ得る。全生存は、確率、例えば、期間を、治療の開始から、死亡または打ち切りまでの時間として、特定の時点における生存を示すカプラン−マイヤープロットとして示す場合の確率を指すことができる。
本明細書で使用する場合、「p95」は、N−末端が切断されたHER−2のC−末端部分を指す。また、「p95」は、「切断型ErbB2受容体」、「p95ErbB2」、「p95HER2」と呼ばれ、より一般には、「NH−末端切断型HER−2/neu」および「HER2のC−末端断片」と呼ばれ、「p95」は、95キロダルトンの見かけの分子量を有すると当初同定されたものに類似するがサイズに関しては同一でない切断型HER2タンパク質の一群を表すという事実を反映している。p95は少なくとも2つの明確に異なる機構により生じると考えられている。p95は、完全長のHER−2のタンパク質切断の結果生じる場合がある。また、p95は、これらに限定されないが、M611およびM687を含めた、標準的な第1メチオニンより下流からの、代替の翻訳の開始の結果生じる場合もある。
本明細書で使用する場合、「光感受性物質」は、光により活性化された場合に、分子酸素を一重項酸素に変換する、光を吸着する分子を指す。
「RECIST」は、「固形腫瘍における応答の評価の判断基準(Response Evaluation Criteria in Solid Tumours)」を表す頭字語を意味するものとし、治療の間に、癌患者が、改善する場合(「応答する」)、同じに留まる場合(「安定」)、または悪化する場合(「進行」)を定義する一連の公開されている規則である。RECIST判断基準により定義される応答が公開されている(例えば、Therasse、2000年、J. Natl. Cancer Inst.、92巻(3号):205〜216頁を参照されたい)。RECIST判断基準に、その他の類似の公開されている定義および規則のセットを含めることができる。当業者であれば、本明細書で使用するような、部分的な応答(PR)、完全な応答(CR)、安定な疾患(SD)および進行性の疾患(PD)等の、RECIST判断基準と調和する定義を理解できる。
「相対蛍光単位」または「RFU」を、互換的に使用し、これらは、特定のキャピラリー電気泳動ピークの時間の積分を、標準物質と比較した恣意的な蛍光単位を使用して指すものとする。VeraTag(登録商標)アッセイのフォーマットに関しては、RFUは、キャピラリー電気泳動に注入されるVeraTag(登録商標)レポーター分子の濃度に比例し、何らかの変動性が、例えば、注入およびキャピラリーの差により導入されることが予想される。VeraTag(登録商標)アッセイの読取りは一般に、1mmの腫瘍当たりの相対蛍光単位(RF/mm)で示される。
「相対ピーク面積」または「RPA」は、互換的に使用され、これらは、特定のVeraTag(登録商標)レポーター分子のRFUと、既知かつ一定の濃度の既知の内部蛍光標準物質のRFUとの間の比を指すものとする。
治療に対する「応答性」、治療に対して「応答する」およびこの動詞のその他の形態は、本明細書で使用する場合、被験体の、HER2作用剤を用いる治療に対する反応を指す。例として、被験体中の腫瘍の増殖が、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%以上遅延する場合、被験体は、HER2作用剤を用いる治療に対して応答する。別の例では、被験体中の腫瘍が、任意の適切な尺度により(例えば、質量または体積により)決定するとき、約5%、10%、20%、30%、40%または50%以上だけ収縮する場合、被験体は、HER2作用剤を用いる治療に対して応答する。別の例では、被験体が、治療が投与されないときに予測される平均余命を約5%、10%、20%、30%、40%または50%以上だけ上回る平均余命の延長を経験する場合、被験体は、HER2作用剤を用いる治療に対して応答する。別の例では、被験体が、無病生存期間の増加、全生存の増加または進行までの時間の増加を示す場合、被験体は、HER2作用剤を用いる治療に対して応答する。上記に記載したRECIST判断基準を含めて、いくつかの方法を使用して、患者が治療に対して応答するかを決定することができる。
「試料」、「組織試料」、「生物学的試料」、「患者試料」、「患者の細胞もしくは組織の試料」または「検体」はそれぞれ、被験体または患者の組織から得られた類似する細胞のコレクションを指す。組織試料の供給源は、新鮮な、凍結されたおよび/もしくは保存された臓器もしくは組織の試料または生検もしくは吸引物;血液または任意の血液構成要素;体液、例として、脳脊髄液、羊水、腹腔液または間質液;あるいは被験体の妊娠または発達中の任意の時間から得られた細胞からのような固体組織であり得る。組織試料は、自然界において組織と自然には混ざらない化合物、例として、保存剤、抗凝固薬、緩衝剤、固定液、栄養素、抗生物質等を含有することができる。細胞を、従来からある様式、例として、FFPEの様式で固定することができる。
「短い」は、本明細書で使用する場合、正常よりも短い時間の計測値、標準、例として、所定の計測値よりも短い時間の計測値、または別のサブグループの計測値よりも比較的短いサブグループの計測値を指す。例えば、患者の寿命の延長に関して、短い時間的進行は、正常な時間的進行よりも短い時間的進行を指す。時間的進行が短いか否かは、当業者に利用可能な任意の方法に従って決定することができる。一部の状況では、「短い」は、疾患の顕著な事象が生じるのに必要な時間的経過の中央値よりも短い時間を指す。
本明細書で使用する場合、「顕著な事象」は、当業者によって重要であると決定される、患者の疾患における事象を指すものとする。顕著な事象の例として、例えば、これらに限定されないが、原発性の診断、死亡、再出現、患者の疾患が転移性であるという決定、患者の疾患の再発、または患者の疾患の、上記の段階のうちのいずれか1つから別の段階への進行が挙げられる。顕著な事象は、OS、進行までの時間(TTP)、および/またはRECISTの使用もしくはその他の応答の判断基準を評価するために使用される、当業者によって決定される任意の重要な事象であり得る。
本明細書で使用する場合、「低分子薬物」は、定義によれば、ポリマーではない、低分子量の有機化合物を指す。とりわけ、薬理学の分野内では、低分子という用語は通常、また、生体ポリマー、例として、タンパク質、核酸または多糖に高い親和性で結合し、さらに、生体ポリマーの活性または機能を変化させる分子に制限される。低分子についての分子量の上限は、およそ1000ダルトンであり、この大きさは、細胞膜を越えて急速に拡散することを可能にし得、その結果、低分子は、細胞内の作用部位に達することができる。
本明細書で使用する場合、用語「被験体」および「患者」を、互換的に使用する。本明細書で使用する場合、用語「被験体(複数可)」は、動物、好ましくは、哺乳動物を指し、哺乳動物には、非霊長類(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ロバ、ヤギ、ラクダ、ネコ、イヌ、モルモット、ラット、マウス、ヒツジ)、ならびに霊長類(例えば、サル、例として、カニクイザル、ゴリラ、チンパンジーおよびヒト)が含まれる。
本明細書で使用する場合、「時間的経過」は、最初の事象から、1つまたは複数のその後の事象までの時間の量を指すものとする。例えば、被験体の癌に関して、時間的経過は、患者の疾患に関係があり得、疾患の経過における顕著な事象を判断することによって測定することができ、第1の事象は、診断であり得、その後の事象は、例えば、これらに限定されないが、後の段階への進行、再発、転移、手術または死亡であり得る。
「進行までの時間」または「TTP」は、治療の開始から、進行または癌または打ち切りまでに測定される時間を指す。打ち切りは、研究の終点または治療の変更から生じ得る。また、進行までの時間は、確率として、例えば、カプラン−マイヤープロットとして表すこともでき、この場合、進行までの時間は、特定の時間にわたり無進行である確率を表すことができ、期間は、治療の開始から、進行または打ち切りまでの時間である。
「脳への転移までの時間」または「TTBM」は、治療の開始から脳への転移の発生または打ち切りまでに測定される時間を指す。打ち切りは、研究の終点または治療の変更から生じ得る。また、脳への転移までの時間は、脳への転移の確率として、例えば、カプラン−マイヤープロットとして表すこともでき、この場合、脳への転移までの時間は、特定の時間にわたり脳への転移がない確率を表すことができ、期間は、治療の開始から、脳への転移または打ち切りまでの時間である。脳への転移は、被験体の癌の時間的経過における顕著な事象であり得るので、TTBMは、TTPの1つのタイプである。
「治療する」、「治療」およびこの語のその他の形態は、癌の増殖を妨げること、癌を重量もしくは体積に関して収縮させること、ならびに/または被験体の予想される生存時間および/もしくは腫瘍の進行までの時間を延長すること等のための、Her作用剤ならびに/または化学療法剤および/もしくはその他の癌治療の投与を指す。
「可能性がかなり低い」は、参照に比して、事象、品目、物体、物事または人が生じる確率が減少していることを指す。
本発明の特定の実施形態の詳細な説明
本発明は一般に、HER2陽性の癌、例として、進行性乳癌を有する患者中のHER2またはp95の発現総量を正確に定量化する方法、およびそのような患者において、HER2またはp95の発現を脳への転移のリスクと相関させる方法に関する。本発明の方法により、被験体から得られた生物学的試料中のHER2および/またはp95の量に基づいて、被験体をリスクのサブグループに分類することを可能にするための定量的なHER2およびp95のカットオフの同定が可能になる。またその上、本発明の方法により、全体としての被験体集団に関する被験体のリスクの、HER2および/またはp95の定量的測定による特徴付けも可能になる。
特定の実施形態では、本発明は、臨床データをバイオマーカーの測定値と組み合わせて使用して、患者の転帰を予測する。臨床データは、全生存、脳への転移までの時間、および転移性疾患への進行を含むことができる。例えば、臨床データは、死亡の日または患者の最後の経過観察の予約の日を含むことができる。または、臨床データのその他の態様(例えば、転移までの時間、寛解までの時間、特定の治療剤に対する抵抗性の発生)を使用してもよい。特定の実施形態では、臨床データは、特定の抗HER作用剤、または化学療法剤を用いる治療を開始する日を含むことができる。その他の実施形態では、本発明は、臨床データを、患者、特に、再発/転移の高リスクを有する患者のための治療作用または治療のコースを決定するために使用する。
一実施形態は、HER2陽性癌を有する被験体が、脳への転移が発生するリスクを有するかどうかの相対的可能性を決定するための方法であり、この方法は、(a)被験体の癌から腫瘍の生物学的試料を得るステップと、(b)生物学的試料中のHER2またはp95の少なくとも1つの量を測定するステップと、(c)被験体の試料中のHER2タンパク質またはp95タンパク質の少なくとも1つの量が、HER2のカットオフまたはp95のカットオフを上回るかどうかを決定するステップと、(d)生物学的試料中のHER2タンパク質またはp95タンパク質の量が、HER2のカットオフまたはp95のカットオフを上回る場合、被験体は、脳への転移が発生するリスクを有する可能性がより高いことを示すステップとを含む。
さらに別の実施形態は、HER2−2陽性癌を有する被験体のための治療コースを選択するための方法であり、この方法は、(a)被験体の癌から腫瘍の生物学的試料を得るステップと、(b)生物学的試料中のHER2またはp95の少なくとも1つの量を測定するステップと、(c)被験体の試料中のHER2タンパク質またはp95タンパク質の少なくとも1つの量が、HER2のカットオフまたはp95のカットオフを上回るかどうかを決定するステップと、(d)生物学的試料中のHER2タンパク質またはp95タンパク質の量が、HER2のカットオフまたはp95のカットオフを上回ることに基づいて、被験体にとって適切な治療コースを示すステップとを含む。
一実施形態では、本発明は、脳への転移についてスクリーニングすべきである、HER2陽性癌を有する被験体を同定する方法を含み、この方法は、(a)被験体の癌から腫瘍の生物学的試料を得るステップと、(b)生物学的試料中のHER2またはp95の少なくとも1つの量を測定するステップと、(c)被験体の試料中のHER2タンパク質またはp95タンパク質の少なくとも1つの量が、HER2のカットオフまたはp95のカットオフを上回るかどうかを決定するステップと、(d)HER2またはp95の少なくとも1つの量が、HER2のカットオフまたはp95のカットオフを上回る場合、被験体を、脳への転移についてスクリーニングすべきであることを示すステップとを含む。
別の実施形態では、本発明は、HER2作用剤を用いる治療および第2の形態の癌治療を受けるべきである、HER2陽性癌を有する被験体を同定する方法を含み、この方法は、(a)被験体の癌から腫瘍の生物学的試料を得るステップと、(b)生物学的試料中のHER2またはp95の少なくとも1つの量を測定するステップと、(c)被験体の試料中のHER2タンパク質またはp95タンパク質の少なくとも1つの量が、HER2のカットオフまたはp95のカットオフを上回るかどうかを決定するステップと、(d)HER2またはp95の少なくとも1つの量が、HER2のカットオフまたはp95のカットオフを上回る場合、被験体は、HER2作用剤を用いる治療および第2の形態の癌治療を受けるべきであることを示すステップとを含む。
別の実施形態では、本発明は、HER2陽性癌を有する被験体において予想される脳への転移までの時間(TTBM)を決定するための方法を含み、この方法は、(a)被験体の癌から腫瘍の生物学的試料を得るステップと、(b)生物学的試料中のHER2またはp95の少なくとも1つの量を測定するステップと、(c)被験体の試料中のHER2タンパク質またはp95タンパク質の少なくとも1つの量が、HER2のカットオフまたはp95のカットオフを上回るかどうかを決定するステップと、(d)HER2のカットオフまたはp95のカットオフを上回るかまたは下回るHER2またはp95のレベルを有する参照集団における脳への転移の経時的な発生率に基づいて、被験体の予想されるTTBMを示すステップとを含む。
ある実施形態では、本発明は、HER2陽性癌を有する被験体が、脳への転移についてスクリーニングすべきである、HER2陽性癌被験体のサブセットに属するかを決定する方法を含み、この方法は、(a)被験体の癌から腫瘍の生物学的試料を得るステップと、(b)生物学的試料中のHER2またはp95の少なくとも1つの量を測定するステップと、(c)被験体の試料中のHER2タンパク質またはp95タンパク質の少なくとも1つの量が、HER2のカットオフまたはp95のカットオフを上回るかどうかを決定するステップと(d)HER2またはp95の少なくとも1つの量が、HER2のカットオフまたはp95のカットオフを上回る場合、被験体を、脳への転移についてスクリーニングすべきであることを示すステップとを含む。
別の実施形態は、HER2陽性癌を有する被験体における脳への転移までの時間(TTBM)を予測するための方法であり、この方法は、(a)被験体の癌から腫瘍の生物学的試料を得るステップと、(b)生物学的試料中のHER2またはp95の少なくとも1つの量を測定するステップと、(c)被験体の試料中のHER2タンパク質またはp95タンパク質の少なくとも1つの量が、HER2のカットオフまたはp95のカットオフを上回るかどうかを決定するステップと、(d)生物学的試料中のHER2タンパク質またはp95タンパク質の量に基づいて、TTBMを同定するステップとを含む。いくつかの実施形態では、生物学的試料中のHER2の量が、HER2のカットオフを上回る場合、被験体が脳への転移を免れる見込みは、約1年で約73%、約2年で約61%、約3年で約37%である。いくつかの実施形態では、生物学的試料中のHER2の量が、HER2のカットオフを下回る場合、被験体が脳への転移を免れる見込みは、約1年で約89%、約2年で約78%、約3年で約69%である。特定の実施形態では、生物学的試料中のp95の量が、p95のカットオフを上回る場合、被験体が脳への転移を免れる見込みは、約1年で約77%、約2年で約63%、約3年で約40%である。いくつかの実施形態では、生物学的試料中のp95の量が、p95のカットオフを下回る場合、被験体が脳への転移を免れる見込みは、約1年で約85%、約2年で約77%、約3年で約67%である。特定の実施形態では、生物学的試料中のHER2の量が、HER2のカットオフを下回り、p95の量が、p95のカットオフを上回り、被験体が脳への転移を免れる見込みは、約1年で約80%、約2年で約66%、約3年で約50%である。特定の実施形態では、生物学的試料中のHER2の量が、HER2のカットオフを下回り、p95の量が、p95のカットオフを下回る場合、被験体が脳への転移を免れる見込みは、約1年で約94%、約2年で約86%、約3年で約80%である。いくつかの実施形態では、生物学的試料中のHER2の量が、HER2のカットオフを上回る場合、HER2のカットオフを下回るときと比較して、被験体は、脳への転移の約2.6倍増加したリスクを有する。特定の実施形態では、生物学的試料中のp95の量が、p95のカットオフを上回る場合、p95のカットオフを下回るときと比較して、被験体は、脳への転移の約2倍増加したリスクを有する。いくつかの実施形態では、被験体の癌がグレード1または2でありかつ生物学的試料中のHER2の量がHER2のカットオフを下回る場合、被験体の癌がグレード3であったとき、または被験体の癌がグレード1もしくは2でありかつ生物学的試料中のHER2の量がHER2のカットオフを上回ったときと比較して、被験体は、脳への転移の約5.7分の1に減少したリスクを有する。
下記に記載する実施形態は、本明細書に記載する方法のそれぞれの態様である。
いくつかの実施形態では、被験体の癌は、HER2遺伝子の発現レベルの上昇、HER2タンパク質のレベル、またはHER2遺伝子の増幅に基づいて、HER2陽性であることが特徴付けられている。いくつかの実施形態では、被験体の癌は、乳癌を含む。特定の実施形態では、被験体の癌は、原発性乳癌を含む。いくつかの実施形態では、HER2遺伝子の増幅を、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)により決定する。特定の実施形態では、HER2タンパク質のレベルを、イムノアッセイにより決定する。特定の実施形態では、HER2タンパク質のレベルを、VeraTag(登録商標)アッセイにより決定する。いくつかの実施形態では、HER2遺伝子の増幅を、HER2のmRNAレベルの定量化により決定する。
特定の実施形態では、被験体は、血液脳関門を横断しないHER2作用剤を用いる治療を受けている。いくつかの実施形態では、HER2作用剤は、モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、モノクローナル抗体は、トラスツズマブ、ペルツズマブ、エルツマキソマブ、トラスツズマブエムタンシン(tratuzumab emtansine)および/またはMM−111である。いくつかの実施形態では、HER2作用剤は、単鎖抗体、抗体断片(例えば、Fab断片)、または抗原に結合することができる遺伝子工学的に作製されたタンパク質(例えば、Affybody(商標)、Adnectin(商標)、モノボディ、改変されたFc領域断片、イムノアドヘシン分子、もしくはその他のそのような分子)を含む。
いくつかの実施形態では、第2の形態の癌治療は、HER2標的化低分子薬物、化学療法および/または放射線療法を含む。特定の実施形態では、HER2標的化低分子薬物は、例えば、ラパチニブ、ネラチニブ、AZD8931、ARRY−380、PF299、アファチニブ、ペリチニブ、S−222611またはAEE−788等の疎水性分子を含む。いくつかの実施形態では、その他の疎水性低分子薬物が適切である。いくつかの実施形態では、第2の形態の癌治療は、HER2に結合するタンパク質に結合する低分子薬物を含む。例えば、いくつかの実施形態では、低分子薬物は、例えば、17−AAGまたはIPI−504等のHSP90に結合する薬物を含む。
本発明の方法により、被験体から得られた生物学的試料中のHER2および/またはp95の量に基づいて、被験体をリスクのサブグループに分類することを可能にするための定量的なHER2およびp95のカットオフの同定が可能になる。またその上、本発明の方法により、全体としての被験体集団に関する被験体のリスクの、HER2および/またはp95の定量的測定による特徴付けも可能になる。
本明細書において開示する方法のそれぞれについて、そうした方法は、HER2のカットオフおよび/またはp95のカットオフを決定するステップさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、HER2のカットオフおよび/またはp95のカットオフを、VeraTag(登録商標)アッセイを使用して決定する。特定の実施形態では、HER2のカットオフおよび/またはp95のカットオフを、当技術分野で公知の定量化のその他の方法(例えば、本明細書に開示するようなmRNAの定量化、イムノアッセイ等)を使用して決定する。本発明の態様では、生物学的試料中のHER2タンパク質の量を測定するステップおよびHER2のカットオフを決定するステップの両方が、VeraTag(登録商標)アッセイの使用を含む場合、HER2のカットオフは、明確に異なる計測値であって、被験体の癌を、HER2陽性であると特徴付けるために使用される計測値よりも高い計測値を含む。
いくつかの実施形態では、HER2のカットオフは、(i)HER2陽性乳癌を有する被験体の参照集団において決定されるHER2の量の中央値、または(ii)HER2陽性乳癌を有する被験体の参照集団において決定される、HER2の最適化された量の少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、HER2のカットオフを、VeraTag(登録商標)アッセイにより決定する。特定の実施形態では、HER2の最適化された量(最適化されたカットオフ)は、50RF/mmである。特定の実施形態では、HER2のカットオフは、58RF/mmである。いくつかの実施形態では、p95のカットオフは、(i)HER2陽性乳癌を有する被験体の参照集団において決定されるp95の量の中央値、または(ii)HER2陽性乳癌を有する被験体の参照集団において決定される、p95の最適化された量の少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、p95のカットオフを、VeraTag(登録商標)アッセイにより決定する。特定の実施形態では、p95の最適化された量(最適化されたカットオフ)は、2.8RF/mmである。いくつかの実施形態では、HER2陽性乳癌を有する被験体の参照集団は、血液脳関門を横断しないHER2作用剤を用いる治療を受けている。
特定の実施形態では、癌を有する被験体から得られた生物学的試料を、切断可能な連結により結合性化合物に付着する分子タグ、および切断誘導部分を有する切断性プローブを有する結合性化合物と接触させ、分子タグが放出されるかどうか、およびどのような分子タグが放出されるかを検出することによって、存在するHER2タンパク質の量を決定する。いくつかの実施形態を、HERmark(登録商標)アッセイと呼ぶことができる(例えば、図1Aおよび2Aを参照されたい)。HERmark(登録商標)アッセイは、HER2タンパク質上の異なる特有のエピトープに特異的な2つのモノクローナル抗体を使用する。このことにより、両方の抗体が同じHER2受容体に密接に近接して結合することが可能になる。蛍光VeraTag(登録商標)レポーター分子(「タグ」)を、HER2に特異的なモノクローナル抗体にコンジュゲートする。第2のHER2特異的モノクローナル抗体を、ビオチンにコンジュゲートし、次いで、これを、光感受性物質分子(PM)に連結する。特定の波長において試料を光活性化すると、PMが活性化されて、一重項酸素を発生させる。一重項酸素は、密接に近接しているVeraTag(登録商標)レポーターを切断することができる。例えば、図2Cを参照されたい。放出されたVeraTag(登録商標)レポーターを、収集し、続いて、標準的なキャピラリー電気泳動を使用して定量化する。切断されたVeraTag(登録商標)レポーターの量は、試料中のHER2の濃度に比例する。
特定の実施形態では、結合性化合物および切断性プローブがそれぞれ、HER2に特異的に結合する。特定の実施形態では、切断性プローブおよび結合性プローブの両方が、同じエピトープに結合することはない。例えば、図1Aおよび2Aを参照されたい。いくつかの実施形態では、切断性プローブおよび結合性プローブの両方が、同じエピトープに結合する。例えば、図2Bを参照されたい。特定の実施形態では、結合性化合物が、切断性プローブの切断誘導部分の有効近接度の範囲内にある場合、切断誘導部分により、切断可能なリンカーが切断され、その結果、分子タグが放出される。いくつかの実施形態では、試料中のHER2の量を、HER2に特異的な第1の結合性化合物および第1の結合性化合物に特異的な第2の結合性化合物を使用して決定し、第2の結合性化合物は、それに付着する1つまたは複数の分子プローブを含む。特定の実施形態では、分子プローブは、切断可能な連結を介して付着する。いくつかの実施形態では、切断可能な連結は、還元剤により切断される。例えば、いくつかの実施形態では、還元剤は、ジチオスレイトール(DTT)を含む。例えば、図1Bを参照されたい。HER2および/またはHER2ホモダイマーの総量を検出するためのアッセイによるHER2の検出の例が、共同所有の米国特許出願公開第2009/0191559号、第2010/0143927号、第2010/0210034号および第2010/0233732号に提供されており、それらの全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
特定の実施形態では、試料中のp95の量を、p95、またはp95もしくはp95複合体に結合する分析対象に結合することが可能である近接プローブを使用して決定し、近接プローブは、有効近接度を有し、1つまたは複数の分子プローブが付着しており、近接プローブが、有効近接度の範囲内にある結合性化合物に結合すると、分子プローブからシグナルが発生し、このシグナルは、p95またはp95複合体の存在および/または分量と相関する。近接プローブおよび/または結合性化合物は、抗体をさらに含むことができる。
いくつかの実施形態では、試料中のp95の量を、完全長のHER2ではなく、p95に特異的な第1の結合性化合物および第1の結合性化合物に特異的な第2の結合性化合物を使用して決定し、第2の結合性化合物は、それに付着する1つまたは複数の分子プローブを含む。特定の実施形態では、分子プローブは、切断可能な連結を介して付着する。いくつかの実施形態では、切断可能な連結は、還元剤により切断される。例えば、いくつかの実施形態では、還元剤は、ジチオスレイトール(DTT)を含む。例えば、図1Bを参照されたい。p95の検出の例が、共同所有の米国特許出願公開第2010/0143927号および第2010/0210034号に提供されている。
近接アッセイは、分子複合体の生物学的役割を理解するためにも、バイオマーカーの研究においても、有用性を増している。例えば、標的タンパク質に特異的に結合する結合性化合物を、多くの異なる検出系とカップリングさせて、標的タンパク質の存在および/または分量を測定することができる。標的タンパク質の量を決定するのに有用である、当業者に公知の任意の方法を、本発明に従って使用することができる。そのような方法として、これらに限定されないが、フェルスター共鳴エネルギー移動(FRET)、生物発光共鳴エネルギー移動(BRET)、生体分子蛍光補完、近接ライゲーションアッセイ(PLA)、シンチレーション近接アッセイ(SPA)、および、例えばVeraTag(登録商標)アッセイを含めた、標的タンパク質特異的抗体を用いるイムノアッセイ、または当業者に周知である任意のその他の方法が挙げられる。
放出可能な分子タグを使用してHER2およびp95を測定することによって、多くの利点がもたらされ、それらには、バックグラウンドの大幅な低下および感度の顕著な向上をもたらす、アッセイ混合物から放出された分子タグの分離、ならびに好都合な多重化能力をもたらし、その結果、複数の受容体複合体構成成分を、同じアッセイ中で同時に容易に測定することができる、分離および検出が含まれる。そのようなタグを利用するアッセイは、多様な形態を有し得、以下の参考文献、すなわち、米国特許第7,105,308号;第6,627,400号;第7,402,397号;第7,402,398号および第7,402,399号、ならびに国際公開第2004/011900号に開示されており、それらはそれぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。分離される分子の間の1つまたは複数の物理的、化学的または光学的な差に基づいて、分子を区別することができる、多種多様な分離技法を利用することができ、それらの差は、電気泳動移動度、分子量、形状、溶解性、pKa、疎水性、電荷、電荷/質量の比、または極性を含む。一実施形態では、複数またはセットの分子タグは、電気泳動移動度および光学的な検出の特徴の点で異なり、電気泳動により分離される。別の実施形態では、複数またはセットの分子タグは、分子量、形状、溶解性、pKa、疎水性、電荷、極性の点で異なる場合があり、順相もしくは逆相のHPLC、イオン交換HPLC、キャピラリー電気クロマトグラフィー、質量分析または気相クロマトグラフィーにより分離される。
結合性化合物から放出された後に、分離の技法により、明確に異なるバンドまたはピークに分離され得る分子タグのセットを用意する。そのようなピークの同定および定量化により、p95の存在および/または量の尺度またはプロファイルが得られる。セット内の分子タグは、化学的に多種多様であり得る。しかし、好都合には、分子タグのセットは通常、化学的に関連する。例えば、分子タグは全て、ペプチドであってもよく、または分子タグは、基本的に同じ構成ブロックもしくは単量体の異なる組合せからなってもよく、または分子タグを、異なる置換基を有する、基本的に同じ骨格を使用して合成して、異なる分離の特徴をもたらしてもよい。複数の分子タグの数を、利用する分離モード、検出のために分子タグ上で使用する標識、結合性部分の感度、および切断可能な連結が切断される効率を含めた、いくつかの要因に応じて変化させることができる。
本発明は、HER作用剤に関する。例えば、HER2作用剤は、当業者に公知の任意のそのような薬剤であり得る。特定の実施形態では、HER2作用剤は、ペルツズマブ、トラスツズマブ、エルツマキソマブ、17−AAG、IPI−504、ネラチニブ、AZD8931、ARRY−380、PF299、アファチニブ、ペリチニブ、S−222611、AEE−788およびラパチニブからなる群から選択される。好ましい実施形態では、HER2作用剤は、トラスツズマブ(Herceptin(登録商標))である。例えば、Goldenberg、1999年、Clin Ther.21巻:309〜18頁;およびShak、1999年、Semin Oncol.26巻:71〜7頁を参照されたい。また、その他のHER2作用剤を、本明細書に記載する方法を使用して評価することもできる。
バイオマーカーとして使用するのに適しているHER2および/またはHER2ホモダイマーを含有する試料は、細胞培養、動物または植物の組織、患者の生検等を含めた、多種多様な供給源から得ることができる。好ましくは、試料は、ヒト患者の試料である。本発明のアッセイのために、従来の技法を使用して試料を調製し、使用する方法は、試料を採取する供給源に依存する場合がある。生検および医学的検体については、手引きが、以下の参考文献から得られる:Theory and Practice of Histological Techniques、1977年(Bancroft JD & Stevens A、編)、Churchill Livingstone、Edinburgh;Pearse、1980年、Histochemistry、Theory and applied.4版、Churchill Livingstone、Edinburgh。
癌性疾患の状態の領域中の使用することができる患者の組織試料の例には、これらに限定されないが、乳房、前立腺、卵巣、結腸、肺、子宮内膜、胃、唾液腺または膵臓がある。組織試料を、外科的切除、吸引または生検を含めた、多様な手順により得ることができる。組織は、新鮮組織または凍結組織であり得る。一実施形態では、本発明のアッセイを、パラフィン中に固定し、包埋してある組織試料に対して実施し、脱パラフィンのステップを実施する。組織試料を、従来の方法により固定する(すなわち、保存する)ことができる。例えば、Manual of Histological Staining Method of the Armed Forces Institute of Pathology、1960年、3版(Lee G. Luna、HT(ASCP)編)、The Blakston Division McGraw-Hill Book Company、New York;The Armed Forces Institute of Pathology Advanced Laboratory Methods in Histology and Pathology、1994年(Ulreka V. Mikel編)、Armed Forces Institute of Pathology, American Registry of Pathology、Washington, D.C.を参照されたい。当業者であれば、組織を組織学的に染色するまたは別の方法により解析する目的により、固定液の選択が決定されることを理解できる。また、当業者であれば、固定する長さが組織試料のサイズおよび使用する固定液に依存することも理解できる。
一般に、組織試料を最初に、固定し、次いで、アルコールを、濃度を上げて用いて脱水し、組織試料を切片化することができるように、パラフィンまたはその他の切片作製媒体を用いて、浸透および包埋を行う。それに代わって、組織を切片化し、得られた切片を固定してもよい。例として、上記に示した参考文献に記載されている従来の技法に従って、従来の方法により、組織試料を、パラフィン中に包埋し、処理することができる。使用することができるパラフィンの例として、これらに限定されないが、Paraplast(登録商標)、Broloid(登録商標)およびTissuemay(登録商標)が挙げられる。組織試料を包埋したら、試料は、従来の技法に従ってミクロトームにより切片化することができる。切片は、約3ミクロン〜約12ミクロンの範囲の厚さ、好ましくは、約5ミクロン〜約10ミクロンの範囲の厚さを有し得る。一態様では、切片は、約10mm〜約1cmの表面積を有し得る。切片を、切断したら、いくつかの標準的な方法によりスライドに付着させることができる。スライドへの接着剤の例として、これらに限定されないが、シラン、ゼラチンおよびポリ−L−リジンが挙げられる。パラフィン包埋切片を、正に荷電しているスライドおよび/またはポリ−L−リジンでコーティングされているスライドに付着させることができる。
パラフィンを包埋材料として使用している場合、一般に、組織切片を、脱パラフィンし、再水和してから、バイオマーカーを検出する。いくつかの従来の標準的な方法により、組織切片を脱パラフィンすることができる。例えば、上記に示した参考文献に記載されている従来の技法に従って、キシレン、およびアルコールを、濃度を徐々に下げて使用することができる。それに代わって、商業的に入手可能な脱パラフィン用の非有機薬剤、例として、Hemo−De(登録商標)(CMS、Houston、TX)を使用してもよい。
哺乳動物の組織培養細胞または新鮮組織もしくは凍結組織を、従来の細胞溶解の技法(例えば、0.14M NaCl、1.5mM MgCl、10mM Tris−Cl(pH8.6)、0.5%Nonidet P−40、ならびに必要に応じて、プロテアーゼ阻害剤および/またはホスファターゼ阻害剤)により調製することができる。新鮮な哺乳動物組織については、試料調製はまた、組織を脱凝集させる、例として、破砕する、刻む、挽く、または超音波処理するステップも含むことができる。
二量体集団を、放出可能な分子タグを使用して測定することによって、多くの利点がもたらされ、それらには、(1)アッセイ混合物から放出された分子タグの分離により、バックグラウンドの大幅な低下および感度の顕著な向上がもたらされること;ならびに(2)分離および検出の簡便性のために特別に設計されている分子タグの使用により、好都合な多重化能力がもたらされ、その結果、複数の受容体複合体構成成分を、同じアッセイ中で同時に容易に測定することができることが含まれる。そのようなタグを利用するアッセイは、多様な形態を有し得、以下の参考文献、すなわち、米国特許第6,627,400号、第6,673,550号、第6,949,347号、第7,105,308号;米国特許出願公開第2009/0191559号;および国際公開第2004/011900号に開示されており、それらはそれぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。例えば、分離される分子の間の1つまたは複数の物理的、化学的または光学的な差に基づいて、分子を区別することができる、多種多様な分離技法を利用することができ、それらの差は、電気泳動移動度、分子量、形状、溶解性、pKa、疎水性、電荷、電荷/質量の比、または極性を含む。一態様では、複数またはセットの分子タグは、電気泳動移動度および光学的な検出の特徴の点で異なり、電気泳動により分離される。別の態様では、複数またはセットの分子タグは、分子量、形状、溶解性、pKa、疎水性、電荷または極性の点で異なる場合があり、順相もしくは逆相のHPLC、イオン交換HPLC、キャピラリー電気クロマトグラフィー、質量分析または気相クロマトグラフィーにより分離される。
結合性化合物から放出された後に、分離の技法により、明確に異なるバンドまたはピークに分離され得る分子タグのセットを提供する。そのようなピークの同定および定量化により、受容体の二量体の存在および/または量の尺度またはプロファイルが得られる。セット内の分子タグは、化学的に多種多様であり得る。しかし、好都合には、分子タグのセットは通常、化学的に関連する。例えば、分子タグは全て、ペプチドであってもよく、または分子タグは、基本的に同じ構成ブロックもしくは単量体の異なる組合せからなってもよく、または分子タグを、異なる置換基を有する、基本的に同じ骨格を使用して合成して、異なる分離の特徴をもたらしてもよい。複数の分子タグの数を、利用する分離モード、検出のために分子タグ上で使用する標識、結合性部分の感度、および切断可能な連結が切断される効率を含めた、いくつかの要因に応じて変化させることができる。
組織試料から直接得た測定値を、試料中の細胞の総数、および/または試料中の特定のサブタイプの細胞の数を代表する細胞標的または組織標的からの測定値を含めることによって正規化することができる。かなりの画分の正常細胞を含む場合がある患者試料、特に、腫瘍試料中の、細胞および組織の不均一性に起因して、追加の測定値が、好ましい場合があり、または必要である場合もある。
上記で言及したように、複数の異なる結合性化合物を含有する混合物を提供することができ、それぞれの異なる結合性化合物が、切断可能な連結を通して付着する1つまたは複数の分子タグを有する。結合性化合物、切断可能な連結および分子タグの性質を、広く変化させることができる。結合性化合物は、結合性抗体組成物、抗体、ペプチド、細胞表面受容体に対するペプチドもしくは非ペプチドのリガンド、タンパク質、オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド類似体、例として、ペプチド核酸、レクチン、あるいは標的のタンパク質または分子に特異的に結合することまたは目的の分析対象、例として、HER2ホモダイマーと安定な複合体を形成することが可能である任意のその他の分子実体を含むことができる。一態様では、結合性化合物を、以下の式により表すことができる。
B−(L−E)
式中、Bは、結合性部分であり、Lは、切断可能な連結であり、Eは、分子タグである。均一アッセイでは、切断可能な連結Lは、酸化に不安定な連結であり得、より好ましくは、一重項酸素により切断され得る連結である。部分「−(L−E)」は、単一の結合性化合物が、切断可能な連結を介して付着する複数の分子タグを有し得ることを示す。一態様では、kは、1以上の整数であるが、その他の実施形態では、kは、数百超、例えば、100〜500であってよく、またはkは、数百超から数千程度まで、例えば、500〜5000である。通常、複数の異なるタイプの結合性化合物のそれぞれが、異なる分子タグEを有する。切断可能な連結、例えば、酸化に不安定な連結、および分子タグEが、従来の化学的様式により、Bに付着する。
好ましくは、Bは、標的、例として、HER2上の抗原決定基に特異的に結合する結合性抗体組成物である。HER2エピトープに特異的な抗体を、本明細書に記載する例に示す。抗体組成物は、モノクローナルまたはポリクローナルのいずれかの、多種多様な市販されている抗体から容易に形成される。特に、上皮増殖因子受容体に特異的な抗体は、米国特許第5,677,171号;第5,772,997号;第5,968,511号;第5,480,968号;および第5,811,098号に開示されており、それらはそれぞれ、その全体が参照により組み込まれる。全体がまた、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,599,681号は、タンパク質のリン酸化部位に特異的な抗体を開示している。また、市販供給元、例として、Cell Signaling Technology(Beverly、MA)、Biosource International(Camarillo、CA)、およびUpstate(Charlottesville、VA)が、モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体を提供している。
切断可能な連結Lは事実上、放出される分子タグEの構造を分解せず、放出される分子タグEの検出の特徴に影響を及ぼさない条件下で切断され得る、いずれの化学的連結基であってもよい。切断性プローブを均一アッセイフォーマットで使用する場合は常に、切断性プローブに極めて近接する切断可能な連結のみが切断されるような短い距離にわたり作用する切断性プローブが生成する切断剤により、切断可能な連結Lが切断される。典型的には、そのような薬剤を、反応混合物に物理的または化学的な変化をもたらすことによって活性化しなければならず、その結果、薬剤が、切断可能な連結まで拡散して、切断をもたらす短命の活性種を発生させる。均一フォーマットでは、切断剤を、好ましくは、結合性部分、例として、抗体に付着させ、この結合性部分は、活性化の前に、切断剤を、放出可能な分子タグを有する結合性化合物の付近の、標的である特定の部位に差し向ける。そのような実施形態において、切断剤を、本明細書では「切断誘導部分」と呼ぶ。例示的な連結の切断を、図2Cに示す。
非均一フォーマットでは、特異的に結合している結合性化合物を、未結合の結合性化合物から分離するので、切断可能な連結および切断剤をより広くから選択して、使用し得る。切断可能な連結は、局所に作用する反応性の種、例として、過酸化水素、一重項酸素等との反応に対して不安定である連結のみならず、また、反応混合物全体に働く薬剤に対して不安定である連結、例として、塩基に不安定な連結、光により切断可能な連結、還元により切断可能な連結、酸化により切断される連結、酸に不安定な連結、および特定のプロテアーゼにより切断可能なペプチド連結も含むことができる。多くのそのような連結について記載している参考文献として、GreeneおよびWuts、1991年、Protective Groups in Organic Synthesis、Second Edition、John Wiley & Sons、New York;Hermanson、1996年、Bioconjugate Techniques、Academic Press、New York;および米国特許第5,565,324号が挙げられる。
一態様では、商業的に入手可能な、切断可能な試薬系を、本発明に関して利用することができる。例えば、Pierce Chemical Company(Rockford、IL)等の供給元から入手可能なヘテロ官能性の薬剤、例として、N−サクシニミジル3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、サクシニミジルオキシカルボニル−α−メチル−α−(2−ピリジルジチオ)トルエン(SMPT)等を使用して、ジスルフィド連結を、結合性抗体組成物と分子タグとの間に導入することができる。そのような連結により導入されたジスルフィド結合は、還元剤、例として、ジチオスレイトール(DTT)、ジチオエリスリトール(DTE)、2−メルカプトエタノールまたは水素化ホウ素ナトリウムを用いて処理することによって壊すことができる。ジスルフィド結合の切断をもたらすための、還元剤の典型的な濃度は、10〜100mMの範囲である。酸化的に不安定な連結を、結合性抗体組成物と分子タグとの間に、ホモ二官能性NHSエステル架橋結合試薬である酒石酸ジサクシニミジル(DST)(Pierceから入手可能)を使用して導入することができ、この試薬は、過ヨウ素酸ナトリウム(例えば、生理的pHの15mM過ヨウ素酸塩、4時間)により切断されやすいシス−ジオール中心を含有する。エステル化されたスペーサー構成成分を含有する連結を、強力な求核性の薬剤、例として、ヒドロキシルアミンを用いて、例えば、0.1Nヒドロキシルアミン、pH8.5、3〜6時間、37℃で切断することができる。そのようなスペーサーを、ホモ二官能性の架橋結合剤、例として、Pierce(Rockford、IL)から入手可能なエチレングリコールビス(サクシニミジルサクシネート)(EGS)により導入することができる。塩基に不安定な連結を、スルホン基を用いて導入することができる。切断可能な連結中にスルホン基を導入するために使用することができるホモ二官能性の架橋結合剤は、ビス[2−(サクシニミジルオキシカルボニルオキシ)エチル]スルホン(BSOCOES)、および4,4−ジフルオロ−3,3−ジニトロフェニルスルホン(DFDNPS)を含む。切断のための例示的な塩基性条件は、6M尿素、0.1%SDSおよび2mM DTTを含有するTris塩基の添加によりpH11.6に調節した0.1Mリン酸ナトリウムの、37℃での2時間のインキュベーションを含む。また、光により切断可能な連結は、米国特許第5,986,076号に開示されているものを含む。
Lが、酸化に不安定である場合、Lは、チオエーテルもしくはそのセレニウム類似体;または炭素間の二重結合を含有するオレフィンであり得、二重結合がオキソ基に切断されると、分子タグEが放出される。例示的な、酸化に不安定な連結が、米国特許第5,622,929号、第6,627,400号および第6,949,347号に開示されており、それらはそれぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本発明における分子タグEは、複数の分子タグの分離を、ガスクロマトグラフィーまたは質量分析により実施する場合の、以下の参考文献に記載されているような電気泳動タグを含むことができる:例えば、Zhangら、2002年、Bioconjugate Chem.、13巻:1002〜1012頁;Giese、1983年、Anal. Chem.、2巻:165〜168頁;ならびに米国特許第4,650,750号;第5,360,819号;第5,516,931号;および第5,602,273号を参照されたい。それらはそれぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
分子タグEは、好ましくは、活性種、とりわけ、一重項酸素に関して安定であり、検出基またはレポーター基を含む水溶性の有機化合物である。これ以外には、Eは、サイズおよび構造において広く変化させることができる。一態様では、Eは、約50〜約2500ダルトン、より好ましくは、約50〜約1500ダルトンの範囲の分子量を有する。Eは、電気化学的シグナル、蛍光シグナルまたは発色性シグナルを発生させるための検出基を含むことができる。質量による検出を利用する実施形態では、Eは、検出の目的の別個の部分を有さない場合がある。好ましくは、検出基は、蛍光シグナルを発生させる。例示的な分子タグ(Pro11)を、図2に示す。
複数ある分子タグを、それぞれが、その他の同種複数のメンバーに比して特有の分離の特徴および/または特有の光学的特性を有するように選択する。一態様では、クロマトグラフィーまたは電気泳動の分離の特徴は、当技術分野に従来からある一連の標準的な分離条件、例えば、電圧、カラムの圧力、カラムのタイプ、移動相または電気泳動の分離媒体の下での保持時間である。別の態様では、光学的特性は、蛍光特性、例として、発光スペクトル、蛍光寿命、または所与の波長もしくは波長帯における蛍光強度である。好ましくは、蛍光特性は、蛍光強度である。例えば、複数の分子タグのそれぞれが、同じ蛍光の発光特性を有する場合があるが、それぞれ、特有の保持時間によって相互に異なる。他方、複数のうちの1つまたは2つ以上の分子タグが、同一の遊走時間または保持時間を有する場合があるが、特有の蛍光特性、例えば、スペクトルにより分解可能な発光スペクトルを有し、したがって、複数のメンバーの全てが、分子分離および蛍光の測定値の組合せにより区別可能である。
好ましくは、放出された分子タグを、電気泳動による分離および検出基の蛍光により検出する。そのような実施形態では、実質的に同一の蛍光特性を有する分子タグが、異なる電気泳動移動度を有し、したがって、電気泳動図中に、明確に異なるピークを、分離条件下で形成する。好ましくは、本発明の複数の分子タグを、従来からあるキャピラリー電気泳動装置より、従来のふるいマトリックスを存在させてまたは存在させずに分離する。電気泳動による分離の間または後に、分離される化合物の蛍光シグナルおよび遊走時間(または遊走距離)を記録するか、または分子タグの相対的な蛍光および遊走の順番のチャートを(例えば、電気泳動図として)構築することによって、分子タグを検出または同定する。好ましくは、分子タグの存在、不在および/または量を、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2003/0170734号が開示しているような1つまたは複数の標準物質を使用することによって測定する。
また、複数の分子タグは、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2003/0235832号に開示されているような、分子量、形状、溶解性、pKa、疎水性、電荷、極性等を含む、1つまたは複数の物理学的特徴に基づくクロマトグラフィーにより分離するために設計することもできる。クロマトグラフィーによる分離の技法を、パラメータ、例として、カラムのタイプ、固相、移動相等に基づいて選択し、続いて、単回の運転中に、分離されて、明確に異なるピークまたはバンドを形成することができる複数の分子タグを選択する。いくつかの要因により、どのHPLC技法を選択して、本発明において使用するかが決定され、それらの要因には、検出しようとする分子タグの数(すなわち、多さの程度)、アッセイで生成される各分子タグの推定分量、多重化アッセイで使用しようとするセットのための候補となる分子タグの合成の利用可能性および簡便性、利用する検出のモダリティ、ならびにHPLC機器装備の運転、カラムおよび溶媒の利用可能性、ロバスト性、コストおよび簡便性が含まれる。一般に、一定限度の量の試料を分析するのに適しており、最も高い分解能での分離をもたらすカラムおよび技法が好まれる。そのような選択を行うための手引きを、文献、例えば、Snyderら、1988年、Practical HPLC Method Development、John Wiley & Sons、New York;Millner、1999年、High Resolution Chromatography: A Practical Approach、Oxford University Press、New York;Chi-San Wu、1999年、Column Handbook for Size Exclusion Chromatography、Academic Press、San Diego;およびOliver、1989年、HPLC of Macromolecules: A Practical Approach、Oxford University Press、Oxford、England等に見出すことができる。
一態様では、分子タグEは、(M、D)であり、ここで、Mは移動度改変部分であり、Dは検出部分である。表記法「(M、D)」を使用して、Mの部分およびDの部分の順番が、どちらの部分も、切断可能な連結Lに隣接し得る順番として表示することができることを示す。すなわち、「B−L−(M、D)」により、「B−L−M−D」または「B−L−D−M」の2つの形態の結合性化合物のどちらもが指定される。
検出部分Dは、蛍光標識または蛍光染料、発色性標識もしくは発色性染料、または電気化学的標識であり得る。好ましくは、Dは、蛍光染料である。本発明に関して使用するための例示的な蛍光染料として、以下の参考文献に開示されているような水溶性のローダミン染料、フルオレセイン、4,7−ジクロロフルオレセイン、ベンゾキサンテン染料、およびエネルギー移動染料が挙げられる:Handbook of Molecular Probes and Research Reagents、8版、2002年、Molecular Probes、Eugene、OR;米国特許第4,318,846号、第4,997,928号、第5,945,526号、第6,096,723号、第6,191,278号および第6,372,907号、ならびにLeeら、1997年、Nucleic Acids Research、25巻:2816〜2822頁。好ましくは、Dは、フルオレセインまたはフルオレセイン誘導体である。
結合性化合物のそれぞれを、異なる分子タグにより別個に誘導体化したら、その他の結合性化合物と共にプールして、複数の結合性化合物を形成する。通常、結合性化合物の異なる種類がそれぞれ、組成物中に同じ比率で存在する。しかし、比率を、設計の選択として変化させることができ、したがって、1つまたはサブセットの特定の結合性化合物が、特定の実施形態またはアッセイについての望ましさまたは要件に応じて、より高いまたはより低い比率で存在する。そのような設計の選択に影響を及ぼし得る要因として、これらに限定されないが、特定の標的に対する抗体の親和性およびアビディティー、標的の相対的な存在率、分子タグの検出部分の蛍光の特徴等が挙げられる。
切断誘導部分または切断剤は、切断可能な連結を、好ましくは、酸化により切断することが可能である活性種を発生させる基である。好ましくは、活性種は、短命の活性を示す化学種であり、したがって、その切断誘導作用が、それが発生した部位の付近のみに留まる。活性種が、本質的に短命であり、したがって、その創出に近接するバックグラウンドを上回る顕著なバックグラウンドが生み出されることもなく、活性種を効率的に捕捉する捕捉剤が利用され、したがって、活性種が利用可能になって、それが発生した部位から短い距離を超えて切断可能な連結と反応することもない。例示的な活性種として、一重項酸素、過酸化水素、NADH、およびヒドロキシルラジカル、フェノキシラジカル、スーパーオキシド等が挙げられる。酸化を引き起こす活性種のための例示的なクエンチャーとして、ポリエン、カロテノイド、ビタミンE、ビタミンC、チロシンの、アミノ酸−ピロールのN−コンジュゲート、ヒスチジン、およびグルタチオンが挙げられる。例えば、Beutnerら、2000年、Meth. Enzymol.、319巻:226〜241頁を参照されたい。
切断誘導部分および切断可能な連結を利用するアッセイを設計する際の1つの検討事項は、それらが、受容体複合体に結合した場合、相互に十分に近く、切断誘導部分が発生させる活性種が、切断可能な連結を効率的に切断することができることである。一態様では、切断可能な連結は、好ましくは、結合している切断誘導部分から約1000nmの範囲内、好ましくは、約20〜200nmの範囲内にある。より好ましくは、一重項酸素を発生させる光感受性物質の切断誘導部分については、切断可能な連結が、受容体複合体中の光感受性物質から約20〜100nmの範囲内にある。切断誘導部分が、切断可能な連結を有効に切断する(すなわち、検出可能なシグナルを発生させるのに十分な分子タグを切断する)ことができる範囲を、本明細書では、その「有効近接度」と呼ぶ。当業者であれば、特定の感受性物質の有効近接度は、アッセイの特定の設計の詳細に依存する場合があり、日常的な実験により決定または改変することができることを認識できる。
感受性物質は、反応性の中間体または種、通常、一重項酸素を発生させるように誘導することができる化合物である。好ましくは、本発明に従って使用する感受性物質は、光感受性物質である。本発明の範囲内に含まれるその他の感受性物質は、熱、光、電離放射線または化学的活性化により励起すると、一重項酸素の分子を放出する化合物である。このクラスの化合物の最も公知のメンバーには、エンドパーオキサイド、例として、1,4−ビスカルボキシエチル−1,4−ナフタレンエンドパーオキサイド、9,10−ジフェニルアントラセン−9,10−エンドパーオキサイド、および5,6,11,12−テトラフェニルナフタレン5,12−エンドパーオキサイドがある。これらの化合物による、加熱によるまたは直接的な光の吸収によって、一重項酸素が放出される。さらなる感受性物質が、Di Mascioら、1994年、FEBS Lett.、355巻:287頁;およびKanofsky、1983年、J.Biol.Chem.、258巻:5991〜5993頁;Pierlotら、2000年、Meth. Enzymol.、319巻:3〜20頁により開示されている。
光感受性物質を、共有結合性または非共有結合性の連結を介して、クラス特異的試薬の結合性の薬剤に直接的または間接的に付着することができる。そのような組成物を構築するため、特に、結合性の薬剤としての抗体についての手引きが、例えば、光線力学的療法、免疫診断等の分野における文献から入手可能である。例示的な手引きを、Ullmanら、1994年、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、91巻、5426〜5430頁;Strongら、1994年、Ann. New York Acad. Sci.、745巻:297〜320頁;Yarmushら、1993年、Crit. Rev. Therapeutic Drug Carrier Syst.10巻:197〜252頁;ならびに米国特許第5,340,716号、第5,516,636号、第5,709,994号および第6,251,581号に見出すことができる。
非常に多様な光源が、光感受性物質を光活性化させて、一重項酸素を発生させるために利用可能である。供給源が、実用的な持続時間の一重項酸素を十分に発生させるのに十分に強い限り、供給源は、多色性および単色性の両方を使用することができる。照射の長さは、光感受性物質の性質、切断可能な連結の性質、照射の供給源の出力、および試料から供給源までの距離に依存する。一般に、照射のための期間は、約1マイクロ秒未満〜約10分程度の長さ、通常、約1ミリ秒〜約60秒の範囲であり得る。照射の強度および長さは、少なくとも約0.1%の光感受性物質分子、通常、少なくとも約30%の光感受性物質分子、好ましくは、実質的に全ての光感受性物質分子を励起するのに十分であるべきである。例示的な光源として、例えば、ヘリウム−ネオンレーザー、アルゴンレーザー、YAGレーザー、He/Cdレーザー、およびルビーレーザー等のレーザー;光ダイオード;水銀、ナトリウムおよびキセノンの蒸気ランプ;例えば、タングステン、およびタングステン/ハロゲン等の白熱灯、ならびに閃光灯が挙げられる。本発明の方法において使用するのに適している例示的な光活性化デバイスが、国際公開第03/051669号に開示されている。そのような実施形態では、光活性化デバイスは、96ウェルの平板中の全てのウェルの同時の照明が可能である筐体中にマウントされた発光ダイオード(LED)のアレイである。
本発明において活用することができる光感受性物質の例は、上記の特性を有するものや、米国特許第5,536,834号、第5,763,602号、第5,565,552号、第5,709,994号、第5,340,716号、第5,516,636号、第6,251,581号および第6,001,673号;公開欧州特許出願第0484027号;Martinら、1990年、Methods Enzymol.、186巻:635〜645頁;ならびにYarmushら、1993年、Crit. Rev. Therapeutic Drug Carrier Syst.10巻:197〜252頁により開示されているものである。感受性物質と同様、特定の実施形態では、光感受性物質も、支持体の表面に共有結合性もしくは非共有結合性に付着させるかまたは支持体の本体中に組み込むことによって、固相の支持体と結び付けることができる。一般に、光感受性物質を、必要な量の一重項酸素を達成するのに必要な量で、支持体と結び付ける。一般に、光感受性物質の量は、日常的な方法に従って実験的に決定される。
一実施形態では、例えば、米国特許第5,709,994号および第6,346,384号;ならびに国際公開第01/84157号に開示されているように、光感受性物質をラテックス粒子中に組み込んで、光感受性物質のビーズを形成する。それに代わって、J. Amer. Chem. Soc.、97巻:3741頁(1975年)に記載されているように、光感受性物質、例として、ローズベンガルを、0.5ミクロンのラテックスビーズに、エステル連結基をもたらすための、ラテックス上のクロロメチル基により共有結合性に付着させることによって、光感受性物質のビーズを調製することもできる。この反応は、例えば、ウェルの1つの壁、例えば、底部を形成するフィルターメンブレンを有する、従来からある96ウェルまたは384ウェルのマイクロタイタープレート等中で実施することができ、フィルターメンブレンにより、真空の適用による試薬の除去が可能になる。結合性化合物の特異的な結合に必要な緩衝液が、一重項酸素の発生または分離のいずれかに必要な緩衝液とは異なる場合に、これにより、緩衝液の好都合な交換が可能になる。例えば、抗体に基づく結合性化合物の場合には、高い塩の緩衝液が必要である。放出されたタグの電気泳動による分離を利用する場合、次いで、緩衝液を、電気泳動に適しているより低い塩濃度を有する緩衝液で交換することによって、より良好な性能が達成される。
例として、切断性プローブは、一次のハプテン化抗体、および複数の光感受性物質分子を用いて誘導体化した、二次の抗ハプテン結合性タンパク質を含むことができる。好ましい一次のハプテン化抗体は、ビオチン化抗体であり、好ましい二次の抗ハプテン結合性タンパク質は、抗ビオチン抗体またはストレプトアビジンのいずれかであり得る。そのような一次および二次の試薬のその他の組合せが、当技術分野で周知である。そのような試薬の例示的な組合せが、Haugland、2002年、Handbook of Fluorescent Probes and Research Reagents、9版、Molecular Probes、Eugene、ORにより教示されている。そのような試薬の例示的な組合せを、下記に記載する。結合性化合物であって、放出可能なタグ(「mT」および「mT」)ならびにビオチンを用いて誘導体化した一次抗体を有する結合性化合物が、膜中の受容体の二量体の異なるエピトープに特異的に結合する。ビオチンに特異的な結合性タンパク質、例えば、ストレプトアビジンをビオチンに付着させると、複数の光感受性物質を、結合性化合物の有効近接度内にもってくる。また、ビオチンに特異的な結合性タンパク質は、抗ビオチン抗体であってもよく、光感受性物質を、従来からあるカップリング化学、例えば、Hermanson(上記)により、タンパク質上の遊離のアミン基を介して付着させてもよい。そのように使用するための例示的な光感受性物質が、公開欧州特許出願第0510688号の開示に従って調製されるメチレンブルーのNHSエステルである。
方法ならびに特定の条件および材料についての以下の一般的な論述は、例証のためであり、制限するものではない。当業者であれば、どのように本明細書に記載する方法を、その他の適用例、特に、異なる試料、細胞型および標的複合体を使用する場合に適応させることができるかを理解できる。
本発明の方法を実施する場合、試験される試料、結合性化合物、および場合により、切断性プローブを含めた、アッセイの構成成分の組合せを作製する。一般に、アッセイの構成成分は、任意の順番で組み合わせてよい。しかし、特定の適用例では、添加の順番に関連性がある場合がある。例えば、競合的結合を、例として、定量的アッセイにおいてモニターするのを望む場合がある。または、集合した複合体の安定性をモニターするのを望む場合がある。そのような適用例では、反応を、段階的に組み立てることができる。
各試薬の量は一般に、実験的に決定することができる。存在する標的複合体の予測される数、ならびにアッセイのシグナルをモニターするために使用する分離および検出の手段により、アッセイにおいて使用する試料の量を決定する。一般に、結合性化合物および切断性プローブの量を、試料中の標的分子の予想される量に関して、モル過剰量、一般に、少なくとも約1.5、より望ましくは、約10倍以上過剰なモル過剰量で提供することができる。特定の適用例では、使用する濃度は、結合性の薬剤の親和性および単一の細胞上に存在する標的分子の予想される数に応じて、より高くてもまたはより低くてもよい。化合物の、オリゴマー性の細胞表面複合体の形成に対する作用を決定する場合、モニターされる作用に応じて、プローブの添加の前に、それと同時に、またはその後に、化合物を細胞に添加することができる。
アッセイ混合物を、プローブの、細胞表面分子に対する結合をもたらす条件下で、組み合わせ、インキュベートすることができ、通常、そうした条件は、一般に、約10〜200mMの範囲の濃度の緩衝液により維持される生理的pH(細胞を培養するpHに匹敵する)の水性媒体中である。従来からある緩衝液、および必要に応じて、その他の従来からある添加剤、例として、塩、増殖培地、安定化剤等を使用することができる。生理的なかつ一定の温度を通常利用する。インキュベーションの温度は、通例、約4°〜70℃、通常、約15°〜45℃、より一般的に、約25°〜37℃の範囲に及ぶ。
アッセイ混合物の組立て、およびプローブを細胞表面分子に結合させるためのインキュベーションの後、切断剤を活性化させ、切断剤の有効近接度の範囲内にある結合性化合物から、タグを切断して、細胞表面から、対応するタグを溶液中に放出させるために、混合物を処理することができる。この処理の性質は、切断剤の作用機構に依存する。例えば、光感受性物質を、切断剤として利用する場合、切断の活性化は、使用する特定の感受性物質に適切な光の波長において、混合物に照射することを含むことができる。
切断に続き、次いで、試料を分析して、放出されているタグの身元を決定することができる。複数の結合性化合物を利用するアッセイを利用する場合、放出されたタグの分離が一般に、それらの検出に先行する。分離のための方法および検出のための方法の両方が、アッセイのためのタグの設計のプロセス中に決定される。好ましい分離モードでは、電気泳動を利用し、この場合、種々のタグを、それらの電気泳動移動度の既知の差に基づいて分離する。
上記で言及したように、いくつかの実施形態では、アッセイの反応条件が、利用する分離の技法を妨げることがある場合、分子タグの切断および分離の前に、アッセイの反応緩衝液を除去または交換することが必要になる場合がある。例えば、アッセイの条件として、分子タグを電気泳動移動度に基づいて分離する場合の、分離性能を低下させる塩濃度(例えば、特異的な結合に必要な塩濃度)を挙げることができる。したがって、そのような高い塩の緩衝液を、例えば、分子タグの切断の前に、ろ過、吸引、希釈またはその他の手段を通して、除去し、電気泳動による分離に適している別の緩衝液で交換することができる。
特定の実施形態では、被験体に、HER2作用剤を含む組合せ療法を投与することができる。いくつかの実施形態では、HER2作用剤は、トラスツズマブであり得る。組合せ療法は、トラスツズマブを、これらに限定されないが、当業者に公知の任意の化学療法剤のうちの1つまたは複数と組み合わせて含むことができる。好ましくは、化学療法剤は、トラスツズマブとは異なる作用機構を有する。例えば、化学療法剤は、抗代謝剤(例えば、5−フルオロウラシル(5-flourouricil)(5−FU)、メトトレキサート(MTX)、フルダラビン等)、抗微小管剤(例えば、ビンクリスチン;ビンブラスチン;タキサン、例として、パクリタキセルおよびドセタキセル;等)、アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド、メルファラン、ビスクロロエチルニトロソウレア(bischloroethylnitrosurea)等)、白金剤(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、JM−216、CI−973等)、アントラサイクリン(例えば、ドキソルビシン、ダウノルビシン等)、抗生物質薬剤(例えば、マイトマイシン−C、アクチノマイシンD等)、トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、エトポシド、カンプトセシン等)、または当業者に公知の任意のその他の化学療法剤であり得る。
本発明の医薬組成物、投与剤形およびキットを含めた、本発明の種々の実施形態で使用することができる化学療法剤の特定の例として、これらに限定されないが、シタラビン、メルファラン、トポテカン、フルダラビン、エトポシド、イダルビシン、ダウノルビシン、ミトキサントロン、シスプラチン、パクリタキセルおよびシクロホスファミドが挙げられる。
使用することができるその他の化学療法剤には、アバレリックス、アルデスロイキン、アレムツズマブ、アリトレチノイン、アロプリノール、アルトレタミン、アミホスチン、アナストロゾール、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ、生存BCG、ベバシズマブ(bevaceizumab)、ベキサロテン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブスルファン、カルステロン、カンプトセシン、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、セレコキシブ、セツキシマブ、クロラムブシル、シナカルセト、シスプラチン、クラドリビン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダルベポエチンアルファ、ダウノルビシン、デニロイキンジフチトクス、デクスラゾキサン、ドセタキセル、ドキソルビシン、ドロモスタノロン、Elliotts B溶液(Elliott's B solution)、エピルビシン、エポエチンアルファ、エストラムスチン、エトポシド、エキセメスタン、フィルグラスチム、フロクスウリジン、フルダラビン、フルオロウラシル、フルベストラント、ゲムシタビン、ゲムツズマブ、オゾガマイシン、ゲフィチニブ、ゴセレリン、ヒドロキシ尿素、イブリツモマブチウキセタン、イダルビシン、イホスファミド、イマチニブ、インターフェロンアルファ−2a、インターフェロンアルファ−2b、イリノテカン、レトロゾール、ロイコボリン、レバミソール、ロムスチン、メクロレタミン(meclorethamine)、メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、メトキサレン、メチルプレドニゾロン、マイトマイシンC、ミトタン、ミトキサントロン、ナンドロロン、ノフェツモマブ、オブリメルセン、オプレルベキン、オキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロネート、ペガデマーゼ、ペグアスパルガーゼ、ペグフィルグラスチム、ペメトレキセド、ペントスタチン、ピポブロマン、プリカマイシン、ポリフェプロサン、ポルフィマー、プロカルバジン、キナクリン、ラスブリカーゼ、リツキシマブ、サルグラモスチム、ストレプトゾシン、タルク、タモキシフェン、タルセバ、テモゾロミド、テニポシド、テストラクトン、チオグアニン、チオテパ、トポテカン、トレミフェン、トシツモマブ、トラスツズマブ、トレチノイン、ウラシルマスタード、バルルビシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビンおよびゾレドロネートがある。
特定の実施形態では、生物学的試料は、FFPEを含む。特定の実施形態では、被験体の癌は、乳癌である。特定の実施形態では、乳癌は、転移性である。いくつかの実施形態では、乳癌は、早期乳癌である。いくつかの実施形態では、HER2作用剤に対して感受性を示し得る任意の癌をモニターすることができる。HER2作用剤は、任意のHER2作用剤であり得る。特定の実施形態では、HER2作用剤は、本明細書に記載する薬剤のうちの1つである。例えば、特定の実施形態では、HER2作用剤は、トラスツズマブである。特定の実施形態では、化学療法剤は、パクリタキセルである。
乳癌における、HER2およびp95の重要性
乳癌は、脳における再発の目覚ましく高いリスクを有する悪性腫瘍に属する。Tsukada, Y.ら、Central nervous system metastasis from breast carcinoma、Autopsy study、Cancer52巻:2349〜2354頁(1983年);Schouten, L.J.ら、Incidence of brain metastases in a cohort of patients with carcinoma of the breast, colon, kidney, and lung and melanoma、Cancer94巻:2698〜26705頁(2002年)。乳癌に伴う脳への転移は、芳しくない予後と関連があり、生活の質に重大な影響を及ぼし、全身療法に対して比較的耐性である。脳における再発の特に高いリスクは、HER2遺伝子の過剰発現または増幅と関連がある。Hicks, D.G.ら、Breast cancers with brain metastases are more likely to be estrogen receptor negative, express the basal cytokeratin CK5/6, and overexpress HER2 or EGFR、Am J Surg Pathol.30巻:1097〜1104頁(2006年); Gabos, Z.ら、Prognostic significance of human epidermal growth factor receptor positivity for the development of brain metastasis after newly diagnosed breast cancer、J Clin Oncol.、24巻:5658〜5663頁(2006年);Gonzalez-Angulo, A.M.ら、Central nervous system metastases in patients with high-risk breast carcinoma after multimodality treatment、Cancer101巻:1760〜1766頁(2004年)。
現時点では、HER2陽性乳癌患者における全身療法の標準的な構成成分は、HER2受容体の細胞外ドメインに対するモノクローナル抗体であるトラスツズマブである。平均して、トラスツズマブの使用には、相当な無進行および全生存の利益が付随するが、わずかなHER2陽性の転移性乳癌患者のみが、この薬剤に応答するに過ぎず、顕著な比率の応答者が、1年以内に再発する。Slamon, D.J.ら、Use of chemotherapy plus a monoclonal antibody against HER2 for metastatic breast cancer that overexpresses HER2、N Engl J Med.、344巻:783〜792頁(2001年);Burstein, H.J.ら、Trastuzumab plus vinorelbine or taxane chemotherapy for HER2-overexpressing metastatic breast cancer: the trastuzumab and vinorelbine or taxane study、Cancer110巻:965〜972頁(2007年);Marty, M.ら、Randomized phase II trial of the efficacy and safety of trastuzumab combined with docetaxel in patients with human epidermal growth factor receptor 2-positive metastatic breast cancer administered as first-line treatment: The M77001 Study Group、J Clin Oncol.、23巻:4265〜4274頁(2005年);Schaller, G.ら、Phase II study of capecitabine plus trastuzumab in human epidermal growth factor receptor 2-overexpressing metastatic breast cancer pretreated with anthracyclines or taxanes、J Clin Oncol.、25巻:3246〜3250頁(2007年); Robert, N.ら、Randomized phase III study of trastuzumab, paclitaxel, and carboplatin compared with trastuzumab and paclitaxel in women with HER-2-overexpressing metastatic breast cancer、J Clin Oncol.、24巻:2786〜2792頁(2006年)。進行性乳癌患者において、HER2総量(H2T)レベルの増加が、トラスツズマブに対するより良好な応答、および進行までの時間の延長と関連があることが示されている。Lipton, A.ら、Quantitative HER2 protein levels predict outcome in fluorescence in situ hybridization-positive patients with metastatic breast cancer treated with trastuzumab、Cancer、116巻:5168〜78頁(2010年);Toi, M.ら、Differential survival following trastuzumab treatment based on quantitative HER2 expression and HER2 homodimers in a clinic-based cohort of patients with metastatic breast cancer、BMC Cancer10巻:56頁(2010年)。
重要なことには、トラスツズマブは、高分子量(145,000Da)、ならびにその他の物理的および化学的な特性に起因して、血液脳関門を横断せず、脳への転移の予防および治療においては効果がない。Pestalozzi, B.C.およびBrignoli, S.、Trastuzumab in CSF、J. Clin. Oncol.18巻:2349〜2351頁(2000年);Stemmler, J.ら、V. Brain metastases in HER2-overexpressing metastatic breast cancer: comparative analysis of trastuzumab levels in serum and cerebrospinal fluid、J Clin Oncol.、24巻:1525頁(2006年)。
しかし、p95は、トラスツズマブ結合部位を欠き、したがって、トラスツズマブ(tratuzumab)治療に対する抵抗性を付与すると考えられている、HER2の切断された形態である。Sperinde, J.ら、Clin. Cancer. Res.16巻(16号):4226〜4235頁(2010年)。早期のデータから、p95の存在が、リンパ節の関与の程度に相関することが示唆されており、因果関係、すなわち、p95のレベルが、腫瘍の汎発の結果であるのか、または腫瘍の汎発に好ましい環境に寄与するのかが問われている。Molinaら、Clin. Can. Res.、8巻:347〜353頁(2002年)を参照されたい。HER2の細胞内ドメイン(ICD)の細胞下の局在化の間接的な測定を使用して、HER2のICDの細胞内分布が、トラスツズマブを含有する治療に対するRECIST応答の低下と相関する傾向を示す(フィッシャー検定、p=0.057)ことが実証されており、HER2のICDの細胞内分布は、p95の発現と相関することも別個に示されている。Scaltritiら、J. Natl Cancer Inst.、99巻:628〜638頁(2007年)。p95の抗体による直接的な検出を使用して、p95の発現が、無進行生存期間の低下(HR=1.9;p=0.017)および全生存の低下(HR=2.2;p=0.012)と相関することが見出された。Sperindeら、Clin. Cancer. Res.、16巻(16号):4226〜4235頁(2010年)。
研究から、HER2陽性の進行性乳癌患者の30〜50%において、脳における再発が発生し、年間リスクは、およそ10%であることが示されている。例えば、Bendell, J.C.ら、Central nervous system metastases in women who receive trastuzumab-based therapy for metastatic breast carcinoma、Cancer、97巻:2972〜2977頁(2003年);Shmueli, E.ら、Central nervous system progression among patients with metastatic breast cancer responding to trastuzumab treatment、Eur J Cancer、40巻:379〜382頁(2004年);Clayton, A.J.ら、Incidence of cerebral metastases in patients treated with trastuzumab with trastuzumab for metastatic breast cancer、Br J Cancer、91巻:639〜643頁(2004年);Lai, R.ら、The risk of central nervous system metastases after trastuzumab therapy in patients with breast carcinoma、Cancer、15巻:810〜816頁(2004年);Lower, E.E.ら、Increased rate of brain metastases with trastuzumab therapy not associated with impaired survival、Clin Breast Cancer、4巻:114〜119頁(2003年);Burstein, H.J.ら、Isolated central nervous system metastases in patients with HER2 overexpressing advanced breast cancer treated with first-line trastuzumab based therapy、Ann Oncol.16巻:1772〜1777頁(2005年);Stemmler, H.J.ら、V. Characteristics of patients with brain metastases receiving trastuzumab for HER2 overexpressing metastatic breast cancer、Breast、15巻:219〜225頁(2006年);Gori, S.ら、Central nervous system metastases in HER-2 positive metastatic breast cancer patients treated with trastuzumab: incidence, survival, and risk factors、Oncologist、12巻:766〜773頁(2007年);Duchnowska, R.ら、Risk factors for brain relapse in HER2-positive metastatic breast cancer patients、Breast Cancer Res Treat.、117巻:297〜303頁(2009年)を参照されたい。
トラスツズマブの血液脳関門を通る貫通が損なわれることに起因して、脳への転移が、転移性の頭蓋外部位において応答性または安定な疾患を有する患者に頻繁に生じる。Nam, B.H.ら、Breast cancer subtypes and survival in patients with brain metastases、Breast Cancer Res.、10巻:R20頁(2008年);Eichler, A.F.ら、Survival in patients with brain metastases from breast cancer: the importance of HER-2 status、Cancer、112巻:2359〜2367頁(2008年)。他方、トラスツズマブ療法は、頭蓋外の転移性疾患のより良好な制御に起因して、脳における再発の発生を遅延させることが見出された。Dawood, S.ら、Defining prognosis for women with breast cancer and CNS metastases by HER2 status、Ann Oncol.、19巻:1242〜1248頁(2008年);Park, I.H.ら、Trastuzumab treatment beyond brain progression in HER2-positive metastatic breast cancer、Ann Oncol.20巻:56〜62頁(2009年)。また、脳への進行の後にも継続したトラスツズマブを用いる治療の結果、生存期間の延長が生じる。Church, D.N.ら、Extended survival in women with brain metastases from HER2 overexpressing breast cancer、Am J Clin Oncol.、31巻:250〜254頁(2008年);Metro, G.ら、Clinical utility of continuing trastuzumab beyond brain progression in HER-2-positive metastatic breast cancer、Oncologist、12巻:1467〜1469頁(2007年)。
いくつかの遡及的研究では、HER2陽性の進行性乳癌患者において、脳における再発をもたらす傾向と関連がある臨床的および生物学的な特徴が探索されている。報告されている有害な要因は、内臓性疾患の存在、より若い年齢、閉経前状態、一次療法の後の短い無病間隔、および望ましくないホルモン受容体の状態を含んだ。しかし、特定の研究の結果は、一貫性がなく、これらの要因のいずれかにしろ、それらの組合せにしろ、脳における再発についての積極的な監視または潜在的な予防戦略から利益を得ることができる可能性があるHER2陽性の進行性乳癌患者のサブセットの選択を可能にし得なかった。最近になって、乳癌患者の一般集団においても(Bos, P.D.ら、Genes that mediate breast cancer metastasis to the brain、Nature、459巻:1005〜1009頁(2009年))、HER2陽性のサブセットにおいても(Duchnowska, R.ら、Gene expression analysis for prediction of early brain metastasis in HER2-positive breast cancer patients、J Clin Oncol.、26巻(Suppl.):45s頁(2008年))、いくつかの遺伝子の発現が、脳における再発の増加したリスクと関連があることが見出された。しかし、脳における再発を予測するためのロバストな分子サインが開発されるに至っていない。
特許請求される本明細書に記載する方法を使用して、HER2またはp95の比較的高いレベルを有する被験体の同定を可能にすることによって、トラスツズマブ療法の間に、原発性腫瘍中のHER2タンパク質またはp95タンパク質を定量的に評価することにより、脳への転移が発生するリスクが特に高い、HER2陽性の進行性乳癌患者を同定することができることを初めて示すに至った。本明細書に記載する方法を使用して、HER2またはp95の比較的高いレベルが、より短い、脳への転移までの時間(TTBM)と関連があることを決定するに至った。とりわけ、多変量モデルにおいては、HER2およびp95の定量的測定、腫瘍のグレード、ならびに遠隔性の進行までの時間だけが、脳における再発の予測因子であり、H2T、および遠隔性の進行までの時間のみが、FISHにより評価した場合の最も厳密に選択したサブセットのHER−2_患者における、この事象の統計学的に有意な予測因子であった。全てのその他の分子的および臨床的な要因、例として、HER−2/CEP17の比、HER−2の増幅、ホルモン受容体の状態、閉経期の状態、および年齢は、TTBMの統計学的に有意な相関要因ではなかった。H2Tレベルまたはp95レベルのそのような示差的な生物学的作用は、脳への転移の予防および闘いにおいてはトラスツズマブに効能がないことに起因する恐れがある。しかし、また、この化合物を用いる頭蓋外疾患のより良好な制御は、脳における再発の臨床所見に、単により長い時間を提供することができるに過ぎない可能性もある(「脱マスキング」の作用)。この可能性は、競合する事象が(連続型変数とみなされる)H2Tレベルの上昇とTTBMとの間の顕著な相関性を裏付けているため、その他の部位における進行を考慮すると、本明細書に記載する解析により支持される。
また、癌患者の高リスク集団のための治療コースを決定する方法も、本明細書に記載する。例えば、トラスツズマブを投与する進行性のHER2陽性乳癌患者における、HER2タンパク質の発現の定量的測定値と脳への転移のリスクとの間の相関性から、H2Tを評価することによって、より個人化した予防および治療のための戦略を、そうした戦略をとらなければ高リスクのこの集団の患者を選択して行うことが可能となり得る可能性があることが示唆されており、そうした戦略とは、例えば、低分子薬物、化学療法および/または放射線療法等である。現在、脳への転移に関して潜在的な予防的または治療的な活性を有する、いくつかの新しい化合物が、臨床調査の対象となっている。トラスツズマブとは対照的に、低分子薬物は、脳への転移への接近が依然として妨げられる場合もあるが、血液腫瘍関門を横切る可能性がより高い。Lockman, P.R.ら、Heterogeneous blood-tumor barrier permeability determines drug efficacy in experimental brain metastases of breast cancer、Clin Cancer Res.、16巻:5664〜5678頁(2010年)。例えば、ラパチニブは、前臨床モデルでは、予防において有望であり、脳への転移の治療に関して、何らかの臨床有効性を示している(Gril, B.ら、Effect of lapatinib on the outgrowth of metastatic breast cancer cells to the brain、J Natl Cancer Inst.、100巻:1092〜1103頁(2008年);Lin, N.U.ら、Phase II trial of lapatinib for brain metastases in patients with human epidermal growth factor receptor 2-positive breast cancer、J Clin Oncol.、26巻:1993〜1999頁(2008年))。無作為化第三相研究では、トラスツズマブ療法の後に進行した患者において、カペシタビンに、ラパチニブを添加すると、脳における症候性の再発率の減少が生じた。Cameron, D.ら、A phase III randomized comparison of lapatinib plus capecitabine versus capecitabine alone in women with advanced breast cancer that has progressed on trastuzumab: updated efficacy and biomarker analyses、Breast Cancer Res Treat.、112巻:533〜543頁(2008年)。さらに、パゾパニブも、HER2細胞系を注入したマウスにおいて、脳への転移の予防に関する活性を示している。Gril, B.ら、Pazopanib reveals a role for tumor cell B-Raf in the prevention of HER2+ breast cancer brain metastasis、Clin Cancer Res.、17巻:142〜153頁(2011年)。
低分子の、HER2を対象とする薬剤が、乳癌の進行のより早期に使用するための承認を得るにつれて、本明細書において開示する方法を使用する、定量的なHER2の測定が、患者の治療看護を導くのに有用になる。
(実施例1)
被験体の試料の解析
研究群:この研究は、Medical University in Gdanskの連係センターの倫理委員会から承認を得た。患者を、コンピュータ処理された病院のシステム、プロトコールの登録リストを通して、または手作業の検索により同定した。研究群には、9つのポーランドの施設からの、一貫した一連のHER2陽性(IHC3+、またはIHC2+かつFISH陽性)の、病理学的に確認された進行性乳癌患者を含めた。全ての患者が、2000年12月〜2010年7月の間に、化学療法(典型的には、タキサン、ビノレルビンまたはカペシタビン)の併用がある場合もない場合も、トラスツズマブの少なくとも1回の投与を受けた。トラスツズマブが最初に投与された間の療法の選択順位の記録はなかったが、転移性疾患の診断からトラスツズマブの開始までの時間の中央値は、3.4ヵ月(0〜49ヵ月の範囲)であった。この遅延は、かなりの比率の患者が、トラスツズマブを、転移性の状況における第二選択または次の選択順位の療法として投与されたという事実の結果であった。転移性疾患の診断からトラスツズマブの開始までの時間は、脳への転移までの時間(TTBM)と相関しなかった(p=0.7)ので、この要因は、階層化のために使用しなかった。患者の大半が、トラスツズマブ治療を進行まで続け、3人の患者は、過剰な毒性の発生または個人の決定の結果として、トラスツズマブ投与をより早期に止め、20人の患者は、進行の後も、トラスツズマブ療法を継続した。
総数164人のHER2陽性の進行性乳癌患者を、最初に同定し、続いて、それらのうちの22人を、先在する脳への転移(n=6)、またはトラスツズマブの投与がアジュバントの状況であること(n=16)に起因して、解析から除去して、142人の患者の研究コホートが残った(表1)。
以下の情報を、医学的記録から抽出した:乳癌の診断の日、以前の局所療法および全身療法、最初の進行の日およびタイプ(局所性、領域性、遠隔性)、転移性疾患の診断の日、転移性疾患の優性の部位(軟部組織、骨、内臓)、脳への転移の診断の日、トラスツズマブを投与された日、トラスツズマブ療法を受けている間の最初の進行の日、ならびに死亡の日または最後の経過観察の来診。2つ以上のカテゴリーに関与する腫瘍については、遠隔性疾患の優性の部位を、最悪の予後と関連があるカテゴリーにより、関与の程度にかかわりなく、重みが増加する以下、すなわち、軟部組織、骨、内臓の順番で分類した。この研究が遡及的な性質を有するため、腫瘍の段階付けを、1997年のAmerican Joint Committee on Cancer/Union for International Cancer Control classificationを使用して実施した。脳への転移は、エックス線撮影(コンピュータ断層撮影法または磁気共鳴画像法)で確認した実質性の脳病変を含んだ。潜在性の脳病変についてのスクリーニングは実施しなかった。したがって、全ての転移が、症候性であるか、または偶発的に検出された。経過観察の情報を、医学的記録および腫瘍登録簿から抽出した。データを、Microsoft Excelを使用して、収集および保存した。
経過観察時間の中央値は、乳癌の最初の診断から68ヵ月(7〜144ヵ月の範囲)、転移性疾患の最初の発生から34ヵ月(4〜121ヵ月の範囲)、およびトラスツズマブを含有する療法の開始から29ヵ月(1〜115ヵ月の範囲)であった。最初の診断から最初の遠隔性の再発までの時間の中央値は、22ヵ月(0〜103ヵ月の範囲)であり、トラスツズマブ療法の時間の中央値は、10ヵ月(1〜115ヵ月の範囲)であった。
Figure 2017138334
HER2+の分類:HER2陽性の状態を、研究に参加している施設において、半定量的な免疫組織化学的検査(IHC)を使用して決定した。FISHを使用する、HER2遺伝子のコピー数の評価を、ポーランドのMedical University of Gdansk、Department of Biology and Geneticsのセンターで実施した。遺伝子の増幅を、2.0超のFISHの比(HER2/17番染色体についてのセントロメアのプローブ[CEP17]の比)と定義した。被験体を、HER2のFISH陽性、HER2のFISH不確実、およびHER2のFISH陰性としてカテゴリーに分けるために使用するカットオフはそれぞれ、1.8および2.2であった。エストロゲン受容体(ER)およびプロゲステロン受容体(PR)の発現を、IHCを使用して決定し、10%の核染色を陽性の結果とみなした。
VeraTag(登録商標)アッセイ:Liptonら、Quantitative HER2 protein levels predict outcome in fluorescence in situ hybridization-positive patients with metastatic breast cancer treated with trastuzumab、Cancer、116巻:5168〜78頁(2010年)、およびLarson, J.S.ら、Analytical validation of a highly quantitative, sensitive, accurate, and reproducible assay (HERmark(R)) for the measurement of HER2 total protein and HER2 homodimers in FFPE breast cancer tumor specimens、Patholog Res Int.、2010巻:814176頁(2010年)による記載に従って、HERmark(登録商標)アッセイを使用して、定量的なHER2タンパク質のレベル(1mmの腫瘍当たりの相対蛍光単位(RF/mm腫瘍))を測定した。図1Aを参照されたい。HERmark(登録商標)アッセイを使用して、被験体を、HER2陽性、HER2不確実、およびHER2陰性としてカテゴリーに分けるために使用するカットオフはそれぞれ、10.5および17.8であった。定量的なp95タンパク質のレベル(RF/mm)を、図1Bに示す、VeraTagアッセイフォーマットを使用して測定した。このフォーマットは、Sperinde, J.ら、Clin. Cancer. Res.16巻(16号):4226〜4235頁(2010年)に記載されている。
腫瘍の段階付け:この研究が遡及的な性質を有するため、腫瘍の段階付けを、1997年のAJCC/UICC分類を使用して実施した。転移性の病変を、3つのカテゴリー、すなわち、軟部組織、骨および内臓にグループ分けした。2つ以上のカテゴリーに関与する腫瘍については、遠隔性疾患の優性の部位を、最悪の予後と関連があるカテゴリーにより、関与の程度にかかわりなく、重みが増加する以下、すなわち、軟部組織、骨、内臓の順番で分類した。潜在性の脳病変についてのスクリーニングは実施しなかった;したがって、全ての転移が、症候性であるか、または偶発的に検出された。
脳への転移までの時間:トラスツズマブを含有する治療の開始から、(任意の原因による)死亡、または経過観察の終わりにおける打ち切りまでのOS時間を計算した。カプラン−マイヤー法を使用して、脳への転移の長期にわたる確率を推定した。必要であれば、p値を計算して、階層化ログランク検定を使用する一変量解析を行った。必要であれば、コックスモデルを使用して、階層化を用いる多変量解析を行った。また、コックスモデルを使用して、ハザード比(HR)およびその信頼区間(CI)も推定した。脳外での進行までの時間を時間依存性の変数として使用して、多変量コックスモデル、およびこの特定の変数を評価する一変量コックスモデルにおいて、脳への転移についてのリスクに対する、その他のタイプの進行の作用を調べた。(脳における再発、および全てのその他の部位における疾患の再出現に対する)死亡の競合リスクについて制御する解析を、Fine, J.P.およびGray, R.J.、A proportional hazards model for the subdistribution of a competing risk、JASA、94巻:496〜509頁(1999年)による記載に従って、競合リスクのサブ分布の方法により実施した。0.05超のp値を、有意とみなした。統計学的解析は、統計学的解析を計画する際に、可能な限りにおいてあらかじめ特定し、Monogram Biosciences,Inc.(South Francisco、CA)、およびInternational Drug Development Institute(IDDI)、Inc.(Louvain−la−Neuve、ベルギー)において、独立に別個のチームにより実施された。相違はいずれも、ポーランドの臨床チームおよびMonogramの統計学チームおよびIDDIの統計学チームの間での合意により解消された。
脳への転移およびHER2の上昇:全部で、142人の患者のうちの49人(35%)から、脳における症候性の再発が発生した。それら49人の患者の間で、TTBMの中央値は、13ヵ月(95%CI、9〜18ヵ月)であった。トラスツズマブ治療の開始の後に、脳への転移が、転移性の最初の進行の時点で、20人の患者において発生し、これらの患者には、トラスツズマブ治療の間に脳における再発が発生した17人の患者が含まれた。残りの29人の患者においては、トラスツズマブ治療の中断の後に、脳における再発が発生した。脳における再発が発生する1年、2年および3年の累積リスクはそれぞれ、19%、30%および46%であった(95%CIはそれぞれ、12%〜25%、22%〜39%および34%〜58%であった)。疾患の汎発から脳における再発までの時間の中央値は、38ヵ月(1〜50ヵ月の範囲)であった。集団全体における、乳癌の最初の診断からの全生存の中央値は、32ヵ月(1〜67ヵ月の範囲)であった。集団全体における、トラスツズマブ療法の開始からのOS時間の中央値は、32ヵ月(95%CI、28〜43ヵ月)であり、脳への転移が発生した患者および脳への転移が発生しなかった患者のサブグループにおけるOSの中央値はそれぞれ、28ヵ月(95%CI、16〜32ヵ月)および40ヵ月(95%CI、28〜66ヵ月)であった。どの文を含めるべきか示してください。
HER2の増幅が、FISHを使用して解析可能な138症例のうちの117症例において見出された(85%)。VeraTag(登録商標)アッセイにより決定した、定量的なHER2タンパク質のレベル(H2T)は、HER2/CEP17の比と86%の一致(κ=0.55)を示した(H2TおよびFISHの両方について、陰性、不確実および陽性のカテゴリーを検討した)(図3を参照されたい;n=138)。したがって、これら2つのアッセイは、HER2の状態に関して、腫瘍を同様に分類した。
(実施例2)
HER2レベルは、TTBMと相関する
TTBMの相関要因12個を、全ての被験体、およびHER2−FISH陽性であることが決定された被験体について探索し(それぞれ、表2および3)、これらの相関要因には、(a)一般に使用されている臨床変数(年齢、閉経期の状態、転移性疾患の優性の部位、エストロゲン受容体[ER]およびプロゲステロン受容体[PgR]のレベル、腫瘍のグレード、従来からあるHER2のFISH測定によるHER2の状態)、(b)脳外での進行までの時間、(c)特定のカットオフを使用するカテゴリー変数とも、また、連続型変数ともみなされる、連続的なHER2タンパク質のレベル(H2T)の新規の測定、ならびに(d)所定のカットオフを使用する、p95タンパク質レベルの新規の測定を含めた。
(連続型変数、または定義されたカットオフを使用するカテゴリー変数のいずれかとして評価した)より高いH2Tの測定値が、HER−2陽性の(IHC3+、または>2.0のFISHの比のいずれかにより、HER−2陽性と定義された)患者集団の全体において、より短いTTBMと有意に相関した。同様にTTBMと相関した、2つのその他の変数は、腫瘍のグレード、およびトラスツズマブ療法の開始から脳外での最初の進行までの時間である。前もって定義されたH2T陽性群とH2T陰性群との間のハザード比(HR)(表2の表記を参照されたい)は、5.6であった(p=0.007)。しかし、研究群中において、そのように定義されたH2T陰性群は小さかった(n=26)。最もよく識別する、H2Tのカットオフの値は、50RF/mm、HR=2.6(p=0.001)であることが見出された。注目すべきことには、この値は、58RF/mmの、H2Tの中央値に近かった。また、連続的なH2Tも、TTBMと有意に相関し(p=0.013)、このことは、H2Tの範囲の全体にわたる、脳への転移のリスクの比例的な上昇を示している。これとは対照的に、FISH/CEP17=2.0におけるカットオフも、連続的なFISH/CEP17も、TTBMと相関しなかった(それぞれ、p=0.28、および0.15)。
上記に示したように、H2Tおよび腫瘍のグレードの両方が、TTBMの一変量の相関要因であった。H2Tが、グレードから独立して、TTBMに影響を及ぼすことを確認するために、解析を、腫瘍のグレードを階層化の要因として用いて繰り返した。グレードについて階層化した場合、50RF/mmのカットオフにおける、H2TについてのHRは、依然として有意であった(HR=2.2;p=0.013)が、集団全体における連続的なH2TのTTBMとの相関性は、傾向を示すに過ぎなかった(p=0.070)。
競合リスクの解析を実施して、死亡の発生が、H2TのTTBMとの相関性を正確に測定する能力を妨げていないことを確認した。死亡について制御した場合、H2T=50RF/mmのカットオフ(HR、2.7;p=0.0009)を使用しても、HRに関して連続的なH2T(HR、2.7;p=0.0066)を使用しても、H2Tは依然として、TTBMの有意な相関要因であり、これらの結果は、死亡について制御せずに計算した結果に類似するかまたは死亡について制御せずに計算した結果よりもやや高かった(表2)(それぞれ、2.6および2.3のHR)。連続型変数、または定義されたカットオフを使用するカテゴリー変数のいずれかとして評価したH2Tは、この患者集団において、OSとは相関しなかった。この観察結果は、HER2陰性のサブグループの小さなサイズに起因する可能性がある。
下記の表2および3に記載する記号は、以下を指す:
a.内臓、骨および軟部組織の3つのカテゴリーのうちのいずれかの間の有意な差についての検定。
b.脳への転移のリスクに対する、その他の進行の作用を調べるために、時間依存性の変数として使用した、脳外での進行までの時間。
c.グレード1の症例が3つしかなかったので、グレード1と2とを組み合わせた。
d.VeraTag(登録商標)HER2陽性の状態を、>17.8のH2Tと定義し、VeraTag(登録商標)HER2陰性を、≦10.5のH2Tと定義し、不確実は、これら2つの限界の間とする。これらのカットオフは、センターの研究室が決定したHER2陰性の95パーセンタイルおよびHER2陽性の5パーセンタイルと一致することが以前に見出された。Huangら、Amer. J. Clin. Pathol.、134巻:303〜311頁(2010年)を参照されたい。
e.ハザード比を推定するのに不十分な数の事象。
−4つの症例は、PgRについて不明であり、4つの症例は、FISHについて不明であり、7つの症例は、FISHのスポットの数が多過ぎて、クラスターをなし、信頼できるカウントが得られなかった。
Figure 2017138334
Figure 2017138334
(実施例3)
H2Tおよびp95のレベルは、FISH陽性の集団において、TTBMと相関する
IHC HER2擬陽性に起因するデータの歪みを阻止するために、平行解析を、HER2 FISH陽性の状態がセンターで決定された117人の被験体のサブセットにおいて実施した(表3)。この群において、(腫瘍のグレードによる階層化がある場合もない場合も、連続型変数として、および定義されたカットオフを使用して評価した)H2Tは、TTBMと有意に相関し、一方、連続的なFISH/CEP17は、相関しなかった(p≧0.6)。HER2 FISH陽性の集団内で、中央値(H2T=58RF/mm)を上回るHER2タンパク質のレベルを有することが決定された、腫瘍を有する患者は、グレードによる階層化がない場合(HR、2.4;p=0.006)もある場合(HR、2.1;p=0.021)も、中央値を下回るHER2タンパク質を有する患者よりも、脳への転移が発生する可能性が2倍超高かった(図4Aを参照されたい)。若干より大きな差が、50RF/mmのカットオフの値について、グレードによる階層化がない場合(HR=2.6;p=0.003)もある場合(HR=2.3;p=0.014)も認められた(図4Bを参照されたい)。対照的に、中央値(HER2/CEP17=6.9)を上回るまたは下回るHER2遺伝子の増幅を有することが決定された、腫瘍を有する患者は、グレードによる階層化がある場合(HR=1.3;p=0.4)もない場合(HR=1.3;p=0.5)も共に、脳への転移が発生する、類似の可能性を示した(図4Cを参照されたい)。また、類似の結果が、その他のFISH HER2/CEP17のカットオフを用いた場合にも観察された(データ未公開)。
p95の高いレベルの発現は、トラスツズマブ治療乳癌において、芳しくない転帰と相関することが以前に示されたことがある。Sperinde, J.ら、Clin. Cancer. Res.、16巻(16号):4226〜4235頁(2010年)。Sperindeらは、図1Bに記載するVeraTag(登録商標)アッセイフォーマットのために、2.8RF/mmのp95のカットオフを使用して、被験体を、高いp95発現群と低いp95発現群とに階層化した。現在のコホートにおいては、2.8RF/mmのp95のカットオフを上回るp95の発現が、脳への転移までのより短い時間と相関することが見出された(表3および図4D)。また、2.8RF/mmのカットオフは、このセットにおいて脳への転移の高いリスクと低いリスクとを見分けるための最適なカットオフであることも見出された。HER2 FISH陽性の集団内では、カットオフ(>2.8RF/mmのp95)を上回るp95タンパク質のレベルを有することが決定された、腫瘍を有する患者は、グレードによる階層化がない場合(HR、2.0;p=0.037)もある場合も(HR、1.7;p=0.12)、カットオフを下回るp95タンパク質を有する患者よりも、脳への転移が発生する可能性が約2倍高かった(図4Dを参照されたい)。この解析は以前に、非腫瘍性の混入物を除去するためのマイクロダイセクションを達成することが可能になる前にも、この同じセットの被験体の試料に対して実施されたことがあり、脳への転移までの時間との相関性には一貫性があることを見出した。米国仮出願第61/488,028号の図2Dを参照されたい。
H2Tのカットオフおよびp95のカットオフが独立変数であるかを決定するために、HER2 FISH陽性の状態、および50RF/mmのカットオフを下回るH2T発現を有することが決定された患者のサブセットを、p95の発現レベルに基づいてさらに評価した。図4Eに示すように、p95のカットオフを下回るp95のレベルを有する被験体は、p95のカットオフを上回るp95のレベルを有する被験体よりも長いTTBMを有した(HR=2.5、p=0.10)。したがって、p95を変数として使用することによって、H2Tの測定のみと比較して、脳への転移についてのリスクを有する追加の患者の同定が可能になった。評価した患者の数が少ないことが、p値に負の影響を及ぼした可能性がある。
競合リスクの解析を実施して、死亡の発生が、H2TのTTBMとの相関性を正確に測定する能力を妨げていないことを確認した。死亡について制御した場合、H2Tは、H2T=50RF/mmのカットオフ(HR=2.7;p=0.0009)および連続的なH2T(HR=2.7;p=0.0066)の両方について、TTBMの有意な相関要因であることが依然として見出され、HRは、死亡について制御せずに計算したHRに類似するかまたは死亡について制御せずに計算したHRよりもやや高かった(それぞれ、表2:HR=2.6およびHR=2.3)。さらに、p95のカットオフも、死亡について制御した場合、TTBMと相関することが依然として見出された(HR=1.7、p=0.089)。
(実施例4)
腫瘍のグレードの、脳への転移までの時間とのH2Tの相関性に対する作用
腫瘍のグレードは、一変量解析における、TTBMの有意な相関要因であるであることが見出され、階層化の要因として使用する場合に、H2TについてのHRのCIに対して何らかの作用を有したことから、我々は、グレード1〜2およびグレード3の腫瘍を有する患者のサブセットにおいて、H2TのTTBMとの相関性を別個に調べた。H2T=50RF/mmのカットオフでの、グレードのサブグループのそれぞれについての、ハザード比に関するフォレストプロットを、図5Aに示す。H2TとTTBMとの間の相関性は、グレード1〜2のサブセットにおいて、より強力であり、このことは、H2Tと腫瘍のグレードとの間の相互作用と一致した(p=0.025)。H2T=50RF/mmのカットオフおよび2つのグレードのカテゴリーにより定義された4つのサブグループについてのカプラン−マイヤープロットを、図5Bに示す。50RF/mm2のH2Tのカットオフおよび2つのグレードのカテゴリー(グレード1〜2の組合せ対グレード3)により定義された4つのサブグループについてのTTBMは、これらの群のうちの3つ(低いH2T−グレード3、高いH2T−グレード1〜2、高いH2T−グレード3)が、低いH2T−グレード1〜2のサブセットの群と比較して、類似の転帰を示し、後者は、脳への転移が発生する有意により低い可能性を示した(4つのサブグループの比較について、ログランクp=0.0012;[>50RF/mmのH2Tまたはグレード3]対[<50RF/mmのH2Tおよび<3のグレード]について、HR=5.7;p=0.0001)。一変量コックスモデルから、低いH2T−グレード1〜2の患者について、3つのその他の群の患者と比較して、0.17のHRが推定された(p=0.0001)。また、ログランクによる、(3の自由度での)4つのサブグループの比較も有意であった(p=0.0012)が、この結果は、これら4つのサブセットの間で可能である複数の比較を考慮して、慎重に解釈すべきである。
これが、H2Tの範囲の全体にわたる一般的な現象であるかどうかを調べるために、類似の解析を実施して、グレード1+2またはグレード3の2つのサブグループ内における連続的なH2TのTTBMとの相関性を調べた。図6Aに示すように、異なるグレードの群については、連続的なH2TとTTBMとの間の相関性に関する統計学的な差はなかった(相互作用のp値=0.6)。しかし、図6Bに示すように、FISHによりHER−2陽性であることがセンターで確認された患者のサブセットの場合、連続的なH2TとTTBMとの間には、グレード3の患者のサブグループにおいてよりも、グレード1〜2の患者のサブグループにおいて強力な相関性がある傾向が観察された(相互作用のp=0.10)。
(実施例5)
脳への転移以外の進行の影響
HER2陽性の進行性乳癌患者における、任意の遠隔性の再発までのより短い時間が、脳への転移が発生するリスクの増加と関連があることが以前に実証されたことがある。同様に、現在の発明の方法を使用しても、一変量解析において、時間依存性の変数として処理した進行が、TTBMと有意に関連があることが見出された(表2および3)。その他の部位の進行/転移とTTBMとの間の相関性をさらに調べるために、時間依存性の変数としての、H2T、FISH/CEP17、エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PgR)、腫瘍のグレードおよび脳への転移以外の進行とのTTBMの独立した相関性について、多変量モデルで検定した。転帰としてのTTBM、ベースライン変数としてのH2T、およびHER−2/CEP17の比、ならびに時間依存性の変数としての脳への転移以外の進行を、多変量モデルに適合させた。モデルを、腫瘍のグレード、ならびにERおよびPgRの状態により階層化した。特定のカットオフと関連がある潜在的な過剰適合を回避するために、H2TおよびFISH/CEP17を、定義されたカットオフを使用するのではなく、連続型変数として検定した。
H2TおよびFISHを、多変量解析によりさらに評価すると、表4に示すように、ここでも、脳外での進行までの時間が、その他の指定した変数について制御した場合、TTBMと有意に関連があることが見出された。HER2 FISH陽性である患者のサブセットにおいては、連続的なH2Tレベル(HR=3.3;p=0.024)および脳外での進行までの時間(HR=2.9;p=0.0056)は独立に、TTBMと相関することが見出され、一方、HER2/CEP17は相関しなかった。グレードによる階層化を用いても、類似の結果が見出された。
Figure 2017138334
また、表2および3に記載したH2Tおよびその他の臨床変数も、多変量解析によりさらに評価した。任意の特定のカットオフと関連がある偏りを回避するために、H2TおよびFISH/CEP17を、カットオフを用いるのではなく、連続型変数として検定した。表5および6に示すように、ここでも、脳外での進行までの時間は、その他の要因について制御した場合、TTBMと有意に関連があることが見出された。HER2 FISH陽性のサブセットにおいては、連続的なH2T(HR=3.2;p=0.021)および脳外での進行までの時間(HR=3.0;p=0.0044)は独立に、TTBMと相関することが見出された。グレードによる階層化を用いても、類似の結果が見出された。
Figure 2017138334
Figure 2017138334
(実施例6)
優性の転移部位による、HER2タンパク質のレベル
H2TがTTBMと相関することを見出したのに続いて、さらなる解析を実施して、その他の部位における転移の発生もまた、H2Tと相関するかを決定した。その他の転移部位については、部位特異的な詳細な経過観察が入手可能でなかったが、転移の優性の部位が、142人の患者のうちの141人について分かっていた。図7に示すように、優性の転移部位(軟部組織、骨および頭蓋外の内臓)に基づくH2Tの測定値の分布は、統計学的に異ならなかった(p=0.9)。さらに、優性の転移部位とTTBMとの間の相関性も観察されなかった(p=0.1)。
本発明の好ましい実施形態を、例証し、説明してきたが、それらの中から、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、種々の変化形態を作製することができることが理解されるであろう。
本出願において参照する、印刷された特許および公開は全てその全体が、こうして参照することにより本明細書に組み込まれる。

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  1. 明細書に記載の発明。
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