JP2017137892A - 遊星歯車式変速機 - Google Patents
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Abstract
【課題】速度段の増加、部品数の低減、総段間比の拡大、段間比のばらつき低減を実現。【解決手段】第1サンギヤ11と第2サンギヤ21は、入力軸7と、第2キャリア24は、第1リングギヤ13と、第3サンギヤ31は、第2キャリアとそれぞれ一体回転。第3キャリア34と第4リングギヤ43は、第2中間軸82と一体回転。第4サンギヤ41は、第1中間軸81と、第4キャリア44は、第3リングギヤ33とそれぞれ一体回転。第1クラッチ51は、入力軸と第1中間軸を、第2クラッチ52は、入力軸と第2中間軸を、第3クラッチ53は、第2中間軸と第1リングギヤ、第2キャリア24および第3サンギヤを連結。第1ブレーキ61は、第1リングギヤ、第2キャリアおよび第3サンギヤを、第2ブレーキ62は、第1キャリア14を、第3ブレーキ63は、第2リングギヤ23を、第4ブレーキ64は、第3キャリア、第4リングギヤおよび第2中間軸を制動。【選択図】図1
Description
本発明は、遊星歯車式変速機に関する。
ダンプトラックなどの建設車両は、複数の遊星歯車機構を有する遊星歯車式変速機を備えている。遊星歯車式変速機は、各遊星歯車機構を適宜組み合わせて使用することによって、所望の減速比を得ることができる。従来の遊星歯車式変速機は、たとえば、米国特許第8480533号明細書(特許文献1)に開示されている。
遊星歯車式変速機においては、燃費の改善および走行性能の向上のために速度段の増加が要望されており、重量低減および小型化のために部品数の低減が要望されており、最大牽引力の向上および最大車速の向上のために総段間比の拡大が要望されており、速度段のスムーズな切り換えのために段間比のばらつきの低減が要望されている。
本発明の目的は、速度段の増加、部品数の低減、総段間比の拡大、および段間比のばらつきの低減を実現できる、遊星歯車式変速機を提供することである。
本発明のある局面に係る遊星歯車式変速機は、入力軸、第1中間軸、第2中間軸、第1遊星歯車機構、第2遊星歯車機構、第3遊星歯車機構、第4遊星歯車機構、第1クラッチ、第2クラッチ、第3クラッチ、第1ブレーキ、第2ブレーキ、第3ブレーキ、および第4ブレーキを備えている。入力軸は、回転軸を中心に回転するように構成されている。第1中間軸は、回転軸を中心に回転するように構成されている。第2中間軸は、回転軸を中心に回転するように構成されている。第1遊星歯車機構は、第1サンギヤ、第1プラネタリギヤ、第1リングギヤ、および第1キャリアを有している。第1サンギヤは、入力軸と一体的に回転するように構成されている。第2遊星歯車機構は、第2サンギヤ、第2プラネタリギヤ、第2リングギヤ、および第2キャリアを有している。第2サンギヤは、入力軸と一体的に回転するように構成されている。第2キャリアは、第1リングギヤと一体的に回転するように構成されている。第3遊星歯車機構は、第3サンギヤ、第3プラネタリギヤ、第3リングギヤ、および第3キャリアを有している。第3サンギヤは、第2キャリアと一体的に回転するように構成されている。第3キャリアは、第2中間軸と一体的に回転するように構成されている。第4遊星歯車機構は、第4サンギヤ、第4プラネタリギヤ、第4リングギヤ、および第4キャリアを有している。第4サンギヤは、第1中間軸と一体的に回転するように構成されている。第4リングギヤは、第2中間軸と一体的に回転するように構成されている。第4キャリアは、第3リングギヤと一体的に回転するとともに動力を出力するように構成されている。第1クラッチは、入力軸と第1中間軸とを連結するように構成されている。第2クラッチは、入力軸と第2中間軸とを連結するように構成されている。第3クラッチは、第2中間軸と、第1リングギヤ、第2キャリアおよび第3サンギヤとを連結するように構成されている。第1ブレーキは、第1リングギヤ、第2キャリアおよび第3サンギヤの回転を制動するように構成されている。第2ブレーキは、第1キャリアの回転を制動するように構成されている。第3ブレーキは、第2リングギヤの回転を制動するように構成されている。第4ブレーキは、第3キャリア、第4リングギヤおよび第2中間軸の回転を制動するように構成されている。
上記の遊星歯車式変速機は、第4キャリアと一体的に回転するように構成された出力軸をさらに備えている。
上記の遊星歯車式変速機において、第1遊星歯車機構、第2遊星歯車機構、第3遊星歯車機構、第4遊星歯車機構は、回転軸方向に沿って、この順に配置されている。
本発明の遊星歯車式変速機によると、速度段の増加、部品数の低減、総段間比の拡大、および段間比のばらつきの低減を実現することができる。
以下、本発明に係る遊星歯車式変速機の各実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において、回転軸方向とは、回転軸が延びる方向を示す。回転軸の径方向とは、回転軸を中心とした円の径方向を示す。具体的には、回転軸方向は図1の左右方向であり、径方向は図1の上下方向である。回転軸とは、入力軸の中心線を示す。入力側とは、遊星歯車式変速機が動力を入力する側を示す。出力側とは、遊星歯車式変速機が動力を出力する側を示す。具体的には、入力側は、図1の左側、出力側は、図1の右側である。
図1は、一実施形態に係る遊星歯車式変速機の概略図である。遊星歯車式変速機100は、エンジン(図示省略)などからの動力の回転速度を変速して出力する。エンジンなどからの動力は、トルクコンバータを介して遊星歯車式変速機100に入力されてもよい。
遊星歯車式変速機100は、複数の遊星歯車機構1〜4、複数のクラッチ51〜53、複数のブレーキ61〜64、入力軸7、第1中間軸81、第2中間軸82、およびケーシング9を備えている。ケーシング9は、各遊星歯車機構1〜4、各クラッチ51〜53、各ブレーキ61〜64、入力軸7、第1中間軸81、および第2中間軸82を収容している。
遊星歯車式変速機100は、複数の遊星歯車機構として、第1遊星歯車機構1、第2遊星歯車機構2、第3遊星歯車機構3、および第4遊星歯車機構4を備えている。遊星歯車式変速機100は、複数のクラッチとして、第1クラッチ51、第2クラッチ52、および第3クラッチ53を備えている。遊星歯車式変速機100は、複数のブレーキとして、第1ブレーキ61、第2ブレーキ62、第3ブレーキ63、および第4ブレーキ64を備えている。
第1遊星歯車機構1、第2遊星歯車機構2、第3遊星歯車機構3、および第4遊星歯車機構4は、回転軸方向に沿って、この順に配置されている。詳細には、入力側から出力側に向かって、第1遊星歯車機構1、第2遊星歯車機構2、第3遊星歯車機構3、および第4遊星歯車機構4の順で配置されている。
入力軸7は、回転軸Oを中心に回転するように構成されている。回転軸Oは、入力軸7の中心線である。入力軸7は、中空状である。詳細には、入力軸7は、筒状である。エンジンなどからの動力が、入力軸7に入力される。
第1中間軸81は、回転軸Oを中心に回転するように構成されている。第1中間軸81は、回転軸方向に延びている。第1中間軸81は、入力軸7内に配置されている。第1中間軸81の中心軸と、入力軸7の中心軸とは、実質的に同じである。
第2中間軸82は、回転軸Oを中心に回転するように構成されている。第2中間軸82は、回転軸方向に延びている。第2中間軸82は、入力軸7内に配置されている。第2中間軸82は、中空状である。詳細には、第2中間軸82は筒状である。第1中間軸81は、第2中間軸82内に配置されている。第1中間軸81は第2中間軸82内に配置され、第2中間軸82は入力軸7内に配置されている。径方向外側に向かって、第1中間軸81、第2中間軸82、入力軸7の順で配置されている。
第1遊星歯車機構1は、第1サンギヤ11、複数の第1プラネタリギヤ12、第1リングギヤ13、および第1キャリア14を有している。
第1サンギヤ11は、入力軸7と一体的に回転するように構成されている。詳細には、第1サンギヤ11は、入力軸7に固定されている。第1サンギヤ11と入力軸7とは、1つの部材によって形成されていてもよい。
各第1プラネタリギヤ12は、第1サンギヤ11に噛み合うように構成されている。各第1プラネタリギヤ12は、第1サンギヤ11の径方向外側に配置されている。詳細には、各第1プラネタリギヤ12は、周方向に間隔をあけて配置されている。
各第1プラネタリギヤ12は、第1サンギヤ11の周りを公転するように構成されている。各第1プラネタリギヤ12は、回転軸Oを中心に回転するように構成されている。また、各第1プラネタリギヤ12は、自転するように構成されている。
第1リングギヤ13は、各第1プラネタリギヤ12と噛み合っている。第1リングギヤ13は、回転軸Oを中心に回転するように構成されている。
第1キャリア14は、各第1プラネタリギヤ12を支持している。各第1プラネタリギヤ12は、第1キャリア14に支持された状態で、自転可能である。第1キャリア14は、回転軸Oを中心に回転するように構成されている。
第2遊星歯車機構2は、第2サンギヤ21、複数の第2プラネタリギヤ22、第2リングギヤ23、および第2キャリア24を有している。
第2サンギヤ21は、入力軸7と一体的に回転するように構成されている。詳細には、第2サンギヤ21は、入力軸7に固定されている。第2サンギヤ21と入力軸7とは、1つの部材によって形成されていてもよい。第2サンギヤ21と第1サンギヤ11とは、1つの部材によって形成されていてもよい。
各第2プラネタリギヤ22は、第2サンギヤ21に噛み合うように構成されている。各第2プラネタリギヤ22は、第2サンギヤ21の径方向外側に配置されている。詳細には、各第2プラネタリギヤ22は、周方向に間隔をあけて配置されている。
各第2プラネタリギヤ22は、第2サンギヤ21の周りを公転するように構成されている。各第2プラネタリギヤ22は、回転軸Oを中心に回転するように構成されている。また、各第2プラネタリギヤ22は、自転するように構成されている。
第2リングギヤ23は、各第2プラネタリギヤ22と噛み合っている。第2リングギヤ23は、回転軸Oを中心に回転するように構成されている。
第2キャリア24は、各第2プラネタリギヤ22を支持している。各第2プラネタリギヤ22は、第2キャリア24に支持された状態で、自転可能である。第2キャリア24は、回転軸Oを中心に回転するように構成されている。
第2キャリア24は、第1リングギヤ13と一体的に回転するように構成されている。詳細には、第2キャリア24は、第1リングギヤ13に連結されている。第2キャリア24と第1リングギヤ13とは、1つの部材によって形成されていてもよい。
第3遊星歯車機構3は、第3サンギヤ31、複数の第3プラネタリギヤ32、第3リングギヤ33、および第3キャリア34を有している。
第3サンギヤ31は、回転軸Oを中心に回転可能に配置されている。第3サンギヤ31は、第2中間軸82の径方向外側に配置されている。詳細には、第3サンギヤ31は環状であって、第2中間軸82は第3サンギヤ31を貫通している。第3サンギヤ31と第2中間軸82とは、相対回転可能である。
第3サンギヤ31は、第2キャリア24と一体的に回転するように構成されている。詳細には、第3サンギヤ31は、第2キャリア24に連結されている。第1リングギヤ13と第2キャリア24と第3サンギヤ31とは、互いに一体的に回転するように構成されている。第3サンギヤ31と第2キャリア24とは、1つの部材によって形成されていてもよい。
各第3プラネタリギヤ32は、第3サンギヤ31に噛み合うように構成されている。各第3プラネタリギヤ32は、第3サンギヤ31の径方向外側に配置されている。詳細には、各第3プラネタリギヤ32は、周方向に間隔をあけて配置されている。
各第3プラネタリギヤ32は、第3サンギヤ31の周りを公転するように構成されている。各第3プラネタリギヤ32は、回転軸Oを中心に回転するように構成されている。また、各第3プラネタリギヤ32は、自転するように構成されている。
第3リングギヤ33は、各第3プラネタリギヤ32と噛み合っている。第3リングギヤ33は、回転軸Oを中心に回転するように構成されている。
第3キャリア34は、各第3プラネタリギヤ32を支持している。各第3プラネタリギヤ32は、第3キャリア34に支持された状態で、自転可能である。第3キャリア34は、回転軸Oを中心に回転するように構成されている。
第3キャリア34は、第2中間軸82と一体的に回転するように構成されている。詳細には、第3キャリア34は、第2中間軸82に固定されている。第3キャリア34と第2中間軸82とは、1つの部材によって形成されていてもよい。
第4遊星歯車機構4は、第4サンギヤ41、複数の第4プラネタリギヤ42、第4リングギヤ43、および第4キャリア44を有している。
第4サンギヤ41は、第1中間軸81と一体的に回転するように構成されている。詳細には、第4サンギヤ41は、第1中間軸81に固定されている。第4サンギヤ41と第1中間軸81とは、1つの部材によって形成されていてもよい。
各第4プラネタリギヤ42は、第4サンギヤ41に噛み合うように構成されている。各第4プラネタリギヤ42は、第4サンギヤ41の径方向外側に配置されている。詳細には、各第4プラネタリギヤ42は、周方向に間隔をあけて配置されている。
各第4プラネタリギヤ42は、第4サンギヤ41の周りを公転するように構成されている。各第4プラネタリギヤ42は、回転軸Oを中心に回転するように構成されている。また、各第4プラネタリギヤ42は、自転するように構成されている。
第4リングギヤ43は、各第4プラネタリギヤ42と噛み合っている。第4リングギヤ43は、回転軸Oを中心に回転するように構成されている。
第4リングギヤ43は、第3キャリア34と一体的に回転するように構成されている。詳細には、第4リングギヤ43は、第3キャリア34に連結されている。第2中間軸82と第3キャリア34と第4リングギヤ43とは、互いに一体的に回転するように構成されている。第4リングギヤ43と第3キャリア34とは、1つの部材によって形成されていてもよい。第4リングギヤ43と第2中間軸82とは、1つの部材によって形成されていてもよい。
第4キャリア44は、各第4プラネタリギヤ42を支持している。各第4プラネタリギヤ42は、第4キャリア44に支持された状態で、自転可能である。第4キャリア44は、回転軸Oを中心に回転するように構成されている。
第4キャリア44は、第3リングギヤ33と一体的に回転するように構成されている。詳細には、第4キャリア44は、第3リングギヤ33に連結されている。第4キャリア44と第3リングギヤ33とは、1つの部材によって形成されていてもよい。
第4キャリア44は、動力を出力する。詳細には、第4キャリア44は、遊星歯車式変速機100によって変速された回転速度を有する動力を、出力する。第4キャリア44は、出力軸10と一体的に回転する。このため、出力軸10は、変速された動力を出力する。なお、第4キャリア44と出力軸10とは、1つの部材によって形成されていてもよい。
第1クラッチ51は、入力軸7と第1中間軸81とを連結するように構成されている。詳細には、第1クラッチ51は、入力軸7と第1中間軸81とを遮断可能に連結している。第1クラッチ51は、たとえば、油圧式のクラッチ機構であって、複数のディスクから構成することができる。
第1クラッチ51がオン状態のとき、第1クラッチ51は、入力軸7と第1中間軸81とを連結する。したがって、入力軸7と第1中間軸81とが一体的に回転する。
第1クラッチ51がオフ状態のとき、第1クラッチ51は、入力軸7と第1中間軸81との連結を遮断する。したがって、第1中間軸81は、入力軸7に対して相対的に回転可能である。
第2クラッチ52は、入力軸7と第2中間軸82とを連結するように構成されている。詳細には、第2クラッチ52は、入力軸7と第2中間軸82とを遮断可能に連結している。第2クラッチ52は、たとえば、油圧式のクラッチ機構であって、複数のディスクから構成することができる。
第2クラッチ52がオン状態のとき、第2クラッチ52は、入力軸7と第2中間軸82とを連結する。したがって、入力軸7と第2中間軸82とが一体的に回転する。
第2クラッチ52がオフ状態のとき、第2クラッチ52は、入力軸7と第2中間軸82との連結を遮断する。したがって、第2中間軸82は、入力軸7に対して相対的に回転可能である。
第3クラッチ53は、第1リングギヤ13、第2キャリア24および第3サンギヤ31と、第2中間軸82とを連結するように構成されている。詳細には、第3クラッチ53は、第1リングギヤ13、第2キャリア24および第3サンギヤ31と、第2中間軸82とを遮断可能に連結している。第3クラッチ53は、たとえば、油圧式のクラッチ機構であって、複数のディスクから構成することができる。
第3クラッチ53がオン状態のとき、第3クラッチ53は、第1リングギヤ13、第2キャリア24および第3サンギヤ31と第2中間軸82とを連結する。したがって、第1リングギヤ13と第2キャリア24と第3サンギヤ31と第2中間軸82とが一体的に回転する。
第3クラッチ53がオフ状態のとき、第3クラッチ53は、第1リングギヤ13、第2キャリア24および第3サンギヤ31と第2中間軸82との連結を遮断する。したがって、第1リングギヤ13、第2キャリア24および第3サンギヤ31は、第2中間軸82に対して相対的に回転可能である。
第1ブレーキ61は、第1リングギヤ13、第2キャリア24および第3サンギヤ31の回転を制動するように構成されている。詳細には、第1ブレーキ61は、第1リングギヤ13、第2キャリア24および第3サンギヤ31と、ケーシング9とを連結するように構成されている。
第1ブレーキ61がオン状態のとき、第1ブレーキ61は、第1リングギヤ13、第2キャリア24および第3サンギヤ31の回転を制動する。詳細には、第1ブレーキ61がオン状態のとき、第1ブレーキ61は、第1リングギヤ13、第2キャリア24および第3サンギヤ31と、ケーシング9とを連結する。したがって第1リングギヤ13、第2キャリア24および第3サンギヤ31は、回転不能である。
第1ブレーキ61がオフ状態のとき、第1ブレーキ61は、第1リングギヤ13、第2キャリア24および第3サンギヤ31の回転を制動しない。詳細には、第1ブレーキ61がオフ状態のとき、第1ブレーキ61は、第1リングギヤ13、第2キャリア24および第3サンギヤ31と、ケーシング9とを連結しない。したがって第1リングギヤ13、第2キャリア24および第3サンギヤ31は、回転可能である。
第2ブレーキ62は、第1キャリア14の回転を制動するように構成されている。詳細には、第2ブレーキ62は、第1キャリア14とケーシング9とを連結するように構成されている。
第2ブレーキ62がオン状態のとき、第2ブレーキ62は、第1キャリア14の回転を制動する。詳細には、第2ブレーキ62がオン状態のとき、第2ブレーキ62は、第1キャリア14とケーシング9とを連結する。したがって第1キャリア14は、回転不能である。
第2ブレーキ62がオフ状態のとき、第2ブレーキ62は、第1キャリア14の回転を制動しない。詳細には、第2ブレーキ62がオフ状態のとき、第2ブレーキ62は、第1キャリア14とケーシング9とを連結しない。したがって第1キャリア14は、回転可能である。
第3ブレーキ63は、第2リングギヤ23の回転を制動するように構成されている。詳細には、第3ブレーキ63は、第2リングギヤ23とケーシング9とを連結するように構成されている。
第3ブレーキ63がオン状態のとき、第3ブレーキ63は、第2リングギヤ23の回転を制動する。詳細には、第3ブレーキ63がオン状態のとき、第3ブレーキ63は、第2リングギヤ23とケーシング9とを連結する。したがって第2リングギヤ23は、回転不能である。
第3ブレーキ63がオフ状態のとき、第3ブレーキ63は、第2リングギヤ23の回転を制動しない。詳細には、第3ブレーキ63がオフ状態のとき、第3ブレーキ63は、第2リングギヤ23とケーシング9とを連結しない。したがって第2リングギヤ23は、回転可能である。
第4ブレーキ64は、第3キャリア34、第4リングギヤ43および第2中間軸82の回転を制動するように構成されている。詳細には、第4ブレーキ64は、第3キャリア34、第4リングギヤ43および第2中間軸82と、ケーシング9とを連結するように構成されている。
第4ブレーキ64がオン状態のとき、第4ブレーキ64は、第3キャリア34、第4リングギヤ43および第2中間軸82の回転を制動する。詳細には、第4ブレーキ64がオン状態のとき、第4ブレーキ64は、第3キャリア34、第4リングギヤ43および第2中間軸82と、ケーシング9とを連結する。したがって第3キャリア34、第4リングギヤ43および第2中間軸82は、回転不能である。
第4ブレーキ64がオフ状態のとき、第4ブレーキ64は、第3キャリア34、第4リングギヤ43および第2中間軸82の回転を制動しない。詳細には、第4ブレーキ64がオフ状態のとき、第2ブレーキ62は、第3キャリア34、第4リングギヤ43および第2中間軸82と、ケーシング9とを連結しない。したがって第3キャリア34、第4リングギヤ43および第2中間軸82は、回転可能である。
以上のように構成された遊星歯車式変速機100の動作について説明する。遊星歯車式変速機100は、前進において9つの速度段、後進において2つの速度段を有している。遊星歯車式変速機100は、前進の第9速に代替する速度段を有している。図2は、各速度段においてオン状態となる各クラッチまたは各ブレーキを示す表である。図2中の×印は、オン状態となる各クラッチまたは各ブレーキを示している。
図2に示すように、遊星歯車式変速機100の速度段を前進の第1速(F1)とする際は、第2ブレーキ62および第4ブレーキ64をオン状態にする。第1クラッチ51、第2クラッチ52、第3クラッチ53、第1ブレーキ61、および第3ブレーキ63は、オフ状態である。
第2ブレーキ62がオン状態になるため、第1キャリア14が回転不能となる。第4ブレーキ64がオン状態になるため、第3キャリア34が回転不能となる。第4リングギヤ43および第2中間軸82は第3キャリア34と一体的に回転するため、第4リングギヤ43および第2中間軸82も回転不能になる。
この状態において、遊星歯車式変速機100は、図4において太線で示すような経路で、動力を伝達する。まず、第1サンギヤ11が入力軸7と一体的に回転する。第1サンギヤ11の回転によって、各第1プラネタリギヤ12が自転する。そして、第1リングギヤ13が回転する。なお、第1キャリア14が回転不能であるため、各第1プラネタリギヤ12は公転しない。
第2キャリア24および第3サンギヤ31が、第1リングギヤ13と一体的に回転する。第3サンギヤ31の回転によって、各第3プラネタリギヤ32が自転する。そして、第3リングギヤ33が回転する。なお、第3キャリア34が回転不能であるため、各第3プラネタリギヤ32は公転しない。
第4キャリア44は、第3リングギヤ33と一体的に回転する。第4キャリア44は、変速された回転速度を有する動力を出力する。
図2に示すように、遊星歯車式変速機100の速度段を前進の第2速(F2)とする際は、第1クラッチ51をオン状態にするとともに、第4ブレーキ64をオン状態にする。第1速(F1)と第2速(F2)との間の切り換えにおいて、第4ブレーキ64は、オン状態を維持している。第2クラッチ52、第3クラッチ53、第1ブレーキ61、第2ブレーキ62および第3ブレーキ63は、オフ状態である。
第1クラッチ51がオン状態になるため、第1中間軸81は入力軸7と一体的に回転する。第4ブレーキ64がオン状態になるため、第3キャリア34、第4リングギヤ43および第2中間軸82が回転不能になる。
この状態において、遊星歯車式変速機100は、図5において太線で示すような経路で、動力を伝達する。第1中間軸81が、入力軸7と一体的に回転する。第4サンギヤ41は、第1中間軸81と一体的に回転する。第4リングギヤ43は回転不能である。第4サンギヤ41の回転によって、各第4プラネタリギヤ42は、自転するとともに公転する。この結果、第4キャリア44が回転し、第4キャリア44は、変速された回転速度を有する動力を出力する。
図2に示すように、遊星歯車式変速機100の速度段を前進の第3速(F3)とする際は、第1クラッチ51をオン状態にするとともに、第2ブレーキ62をオン状態にする。第2速(F2)と第3速(F3)との間の切り換えにおいて、第1クラッチ51は、オン状態を維持している。第2クラッチ52、第3クラッチ53、第1ブレーキ61、第3ブレーキ63および第4ブレーキ64は、オフ状態である。
第1クラッチ51がオン状態になるため、第1中間軸81は入力軸7と一体的に回転する。第2ブレーキ62がオン状態になるため、第1キャリア14が回転不能となる。
この状態において、遊星歯車式変速機100は、図6において太線で示すような経路で、動力を伝達する。まず、第1サンギヤ11が入力軸7と一体的に回転する。第1サンギヤ11の回転によって、各第1プラネタリギヤ12が自転する。そして、第1リングギヤ13が回転する。なお、第1キャリア14が回転不能であるため、各第1プラネタリギヤ12は公転しない。
第2キャリア24および第3サンギヤ31が、第1リングギヤ13と一体的に回転する。第3サンギヤ31の回転によって、各第3プラネタリギヤ32が自転するとともに公転する。そして、第3キャリア34が回転する。
第4サンギヤ41は、第1中間軸81を介して、入力軸7と一体的に回転する。第4リングギヤ43は、第3キャリア34と一体的に回転する。第4サンギヤ41と第4リングギヤ43との回転によって、各第4プラネタリギヤ42が自転するとともに公転する。このため、第4キャリア44は、第3リングギヤ33と一体的に回転する。第4キャリア44は、変速された回転速度を有する動力を出力する。
図2に示すように、遊星歯車式変速機100の速度段を前進の第4速(F4)とする際は、第3クラッチ53をオン状態にするとともに、第3ブレーキ63をオン状態にする。第1クラッチ51、第2クラッチ52、第1ブレーキ61、第2ブレーキ62および第4ブレーキ64は、オフ状態である。
第3クラッチ53がオン状態になるため、第1リングギヤ13、第2キャリア24および第3サンギヤ31は第2中間軸82と一体的に回転する。第3ブレーキ63がオン状態になるため、第2リングギヤ23が回転不能となる。
この状態において、遊星歯車式変速機100は、図7において太線で示すような経路で、動力を伝達する。まず、第2サンギヤ21が入力軸7と一体的に回転する。第2リングギヤ23は回転不能である。第2サンギヤ21の回転によって、各第2プラネタリギヤ22が自転しながら公転する。第2キャリア24が回転する。
第3サンギヤ31は、第2キャリア24と一体的に回転する。第2中間軸82は、第3サンギヤ31と一体的に回転する。第3キャリア34は、第2中間軸82と一体的に回転する。第3サンギヤ31と第3キャリア34とは、互いに同じ回転速度で回転する。各第3プラネタリギヤ32は自転せず、第3サンギヤ31と同じ回転速度で公転する。この結果、第3リングギヤ33が、第3サンギヤ31および第3キャリア34と同じ回転速度で回転する。
第4キャリア44は、第3リングギヤ33と一体的に回転する。第4キャリア44は、変速された回転速度を有する動力を出力する。
図2に示すように、遊星歯車式変速機100の速度段を前進の第5速(F5)とする際は、第1クラッチ51をオン状態にするとともに、第1ブレーキ61をオン状態にする。第2クラッチ52、第3クラッチ53、第2ブレーキ62、第3ブレーキ63および第4ブレーキ64は、オフ状態である。
第1クラッチ51がオン状態になるため、第1中間軸81は入力軸7と一体的に回転する。第1ブレーキ61がオン状態になるため、第1リングギヤ13が回転不能となる。第2キャリア24および第3サンギヤ31は第1リングギヤ13と一体的に回転するため、第2キャリア24および第3サンギヤ31も回転不能になる。
この状態において、遊星歯車式変速機100は、図8において太線で示すような経路で、動力を伝達する。第1中間軸81が、入力軸7と一体的に回転する。第4サンギヤ41は、第1中間軸81と一体的に回転する。第4サンギヤ41の回転によって、各第4プラネタリギヤ42は、自転するとともに公転する。第4リングギヤ43が回転する。
第3キャリア34は、第4リングギヤ43と一体的に回転する。第3サンギヤ31は回転不能である。第3キャリア34の回転によって、各第3プラネタリギヤ32が自転するとともに公転する。そして、第3リングギヤ33が回転する。この結果、第4キャリア44が第3リングギヤ33と一体的に回転し、第4キャリア44は、変速された回転速度を有する動力を出力する。
図2に示すように、遊星歯車式変速機100の速度段を前進の第6速(F6)とする際は、第1クラッチ51をオン状態にするとともに、第3ブレーキ63をオン状態にする。第5速(F5)と第6速(F6)との切り替えにおいて、第1クラッチ51は、オン状態を維持している。第2クラッチ52、第3クラッチ53、第1ブレーキ61、第2ブレーキ62および第4ブレーキ64は、オフ状態である。
第1クラッチ51がオン状態になるため、第1中間軸81は入力軸7と一体的に回転する。第3ブレーキ63がオン状態になるため、第2リングギヤ23が回転不能となる。
この状態において、遊星歯車式変速機100は、図9において太線で示すような経路で、動力を伝達する。第2サンギヤ21は、入力軸7と一体的に回転する。第2リングギヤ23は回転不能である。第2サンギヤ21の回転によって、各第2プラネタリギヤ22は、自転するとともに公転する。第2キャリア24が回転する。
第3サンギヤ31は、第2キャリア24と一体的に回転する。第3サンギヤ31の回転によって、各第3プラネタリギヤ32は、自転するとともに公転する。第3キャリア34が回転する。
第1中間軸81が、入力軸7と一体的に回転する。第4サンギヤ41は、第1中間軸81と一体的に回転する。第4リングギヤ43は、第3キャリア34と一体的に回転する。第4サンギヤ41と第4リングギヤ43との回転によって、各第4プラネタリギヤ42は、自転するとともに公転する。この結果、第4キャリア44が第3リングギヤ33と一体的に回転し、第4キャリア44は、変速された回転速度を有する動力を出力する。
図2に示すように、遊星歯車式変速機100の速度段を前進の第7速(F7)とする際は、第1クラッチ51および第2クラッチ52をオン状態にする。第6速(F6)と第7速(F7)との切り換えにおいて、第1クラッチ51は、オン状態を維持している。第3クラッチ53、第1ブレーキ61、第2ブレーキ62、第3ブレーキ63および第4ブレーキ64は、オフ状態である。
第1クラッチ51がオン状態になるため、第1中間軸81は入力軸7と一体的に回転する。第2クラッチ52がオン状態になるため、第2中間軸82は入力軸7と一体的に回転する。
この状態において、遊星歯車式変速機100は、図10において太線で示すような経路で、動力を伝達する。まず、入力軸7と第1中間軸81と第2中間軸82とが、互いに一体的に回転する。第4サンギヤ41が第1中間軸81と一体的に回転する。第4リングギヤ43が第2中間軸82と一体的に回転する。
第4サンギヤ41、および第4リングギヤ43の回転によって、各第4プラネタリギヤ42が公転する。第4サンギヤ41と第4リングギヤ43とは、互いに同じ回転速度で回転するため、各第4プラネタリギヤ42は自転しない。このため、各第4プラネタリギヤ42は、第4サンギヤ41および第4リングギヤ43と同じ回転速度で公転する。この結果、第4キャリア44が回転し、第4キャリア44は、変速されない回転速度を有する動力を出力する。第7速の状態の遊星歯車式変速機100は、エンジンなどからの動力の回転速度を変速しない。
図2に示すように、遊星歯車式変速機100の速度段を前進の第8速(F8)とする際は、第2クラッチ52をオン状態にするとともに、第3ブレーキ63をオン状態にする。第7速(F7)と第8速(F8)との切り換えにおいて、第2クラッチ52は、オン状態を維持している。第1クラッチ51、第3クラッチ53、第1ブレーキ61、第2ブレーキ62および第4ブレーキ64は、オフ状態である。
第2クラッチ52がオン状態になるため、第2中間軸82は入力軸7と一体的に回転する。第3ブレーキ63がオン状態になるため、第2リングギヤ23が回転不能となる。
この状態において、遊星歯車式変速機100は、図11において太線で示すような経路で、動力を伝達する。まず、第2サンギヤ21が入力軸7と一体的に回転する。第2リングギヤ23は回転不能である。第2サンギヤ21の回転によって、各第2プラネタリギヤ22が自転するとともに公転する。第2キャリア24が回転する。
第3サンギヤ31が、第2キャリア24と一体的に回転する。第2中間軸82が入力軸7と一体的に回転し、第3キャリア34が第2中間軸82と一体的に回転する。第3サンギヤ31および第3キャリア34の回転によって、各第3プラネタリギヤ32が自転するとともに公転する。そして、第3リングギヤ33が回転する。
第4キャリア44は、第3リングギヤ33と一体的に回転する。第4キャリア44は、変速された回転速度を有する動力を出力する。
図2に示すように、遊星歯車式変速機100の速度段を前進の第9速(F9)とする際は、第2クラッチ52をオン状態にするとともに、第2ブレーキ62をオン状態にする。第8速(F8)と第9速(F9)との切り換えにおいて、第2クラッチ52は、オン状態を維持している。第1クラッチ51、第3クラッチ53、第1ブレーキ61、第3ブレーキ63および第4ブレーキ64は、オフ状態である。
第2クラッチ52がオン状態になるため、第2中間軸82は入力軸7と一体的に回転する。第2ブレーキ62がオン状態になるため、第1キャリア14が回転不能となる。
この状態において、遊星歯車式変速機100は、図12において太線で示すような経路で、動力を伝達する。まず、第1サンギヤ11が入力軸7と一体的に回転する。第1サンギヤ11の回転によって、各第1プラネタリギヤ12が自転する。そして、第1リングギヤ13が回転する。なお、第1キャリア14が回転不能であるため、各第1プラネタリギヤ12は公転しない。
第2キャリア24および第3サンギヤ31が、第1リングギヤ13と一体的に回転する。第3キャリア34は、入力軸7と一体的に回転する。第3サンギヤ31および第3キャリア34の回転によって、各第3プラネタリギヤ32は、自転するとともに回転する。そして、第3リングギヤ33が回転する。
第4キャリア44は、第3リングギヤ33と一体的に回転する。第4キャリア44は、変速された回転速度を有する動力を出力する。
図2に示すように、遊星歯車式変速機100の速度段を後進の第1速(R1)とする際は、第3ブレーキ63および第4ブレーキ64をオン状態にする。第1クラッチ51、第2クラッチ52、第3クラッチ53、第1ブレーキ61および第2ブレーキ62は、オフ状態である。
第3ブレーキ63がオン状態になるため、第2リングギヤ23が回転不能となる。第4ブレーキ64がオン状態になるため、第3キャリア34、第4リングギヤ43および第2中間軸82が回転不能になる。
この状態において、遊星歯車式変速機100は、図13において太線で示すような経路で、動力を伝達する。まず、第2サンギヤ21が入力軸7と一体的に回転する。第2リングギヤ23は回転不能である。第2サンギヤ21の回転によって、各第2プラネタリギヤ22が自転するとともに公転する。第2キャリア24が回転する。
第3サンギヤ31が、第2キャリア24と一体的に回転する。第3サンギヤ31の回転によって、各第3プラネタリギヤ32が自転する。そして、第3リングギヤ33が回転する。なお、第3キャリア34が回転不能であるため、各第3プラネタリギヤ32は公転しない。
第4キャリア44は、第3リングギヤ33と一体的に回転する。第4キャリア44は、変速された回転速度を有する動力を出力する。
図2に示すように、遊星歯車式変速機100の速度段を後進の第2速(R2)とする際は、第3クラッチ53をオン状態にするとともに、第2ブレーキ62をオン状態にする。第1クラッチ51、第2クラッチ52、第1ブレーキ61、第3ブレーキ63および第4ブレーキ64は、オフ状態である。
第3クラッチ53がオン状態になるため、第1リングギヤ13、第2キャリア24および第3サンギヤ31は、第2中間軸82と一体的に回転する。第2ブレーキ62がオン状態になるため、第1キャリア14が回転不能となる。
この状態において、遊星歯車式変速機100は、図14において太線で示すような経路で、動力を伝達する。まず、第1サンギヤ11が入力軸7と一体的に回転する。第1サンギヤ11の回転によって、各第1プラネタリギヤ12が自転する。そして、第1リングギヤ13が回転する。なお、第1キャリア14が回転不能であるため、各第1プラネタリギヤ12は公転しない。
第2キャリア24および第3サンギヤ31が、第1リングギヤ13と一体的に回転する。第2中間軸82は、第3サンギヤ31と一体的に回転する。第3キャリア34は、第2中間軸82と一体的に回転する。第3サンギヤ31と第3キャリア34とは、互いに同じ回転速度で回転する。各第3プラネタリギヤ32は自転せず、第3サンギヤ31と同じ回転速度で公転する。この結果、第3リングギヤ33が、第3サンギヤ31および第3キャリア34と同じ回転速度で回転する。
第4キャリア44は、第3リングギヤ33と一体的に回転する。第4キャリア44は、変速された回転速度を有する動力を出力する。
図2に示すように、遊星歯車式変速機100の速度段を代替の前進の第9速(F9’)とする際は、第2クラッチ52をオン状態にするとともに、第1ブレーキ61をオン状態にする。第1クラッチ51、第3クラッチ53、第2ブレーキ62、第3ブレーキ63および第4ブレーキ64は、オフ状態である。
第2クラッチ52がオン状態になるため、第2中間軸82は入力軸7と一体的に回転する。第1ブレーキ61がオン状態になるため、第1リングギヤ13、第2キャリア24および第3サンギヤ31が回転不能になる。
この状態において、遊星歯車式変速機100は、図15において太線で示すような経路で、動力を伝達する。第2中間軸82が入力軸7と一体的に回転する。第3キャリア34は、第2中間軸82と一体的に回転する。第3サンギヤ31は回転不能である。第3キャリア34の回転によって、各第3プラネタリギヤ32が自転するとともに公転する。第3リングギヤ33が回転する。
第4キャリア44は、第3リングギヤ33と一体的に回転する。第4キャリア44は、変速された回転速度を有する動力を出力する。
次に、上述した各速度段における減速比の求め方について説明する。各速度段における減速比は、以下の第1〜第4関係式の少なくとも1つを用いて求める。
第1関係式は、第1遊星歯車機構1に関する式であり、以下の式で表される。
a1・Na1+b1・Nb1=(a1+b1)・Nc1
ここで、a1は第1サンギヤ11の歯数、b1は第1リングギヤ13の歯数、Na1は第1サンギヤ11の回転数比、Nb1は第1リングギヤ13の回転数比、Nc1は第1キャリア14の回転数比である。なお、各ギヤの回転数比とは、入力軸7の回転数に対する各ギヤの回転数の比をいう。
a1・Na1+b1・Nb1=(a1+b1)・Nc1
ここで、a1は第1サンギヤ11の歯数、b1は第1リングギヤ13の歯数、Na1は第1サンギヤ11の回転数比、Nb1は第1リングギヤ13の回転数比、Nc1は第1キャリア14の回転数比である。なお、各ギヤの回転数比とは、入力軸7の回転数に対する各ギヤの回転数の比をいう。
第2関係式は、第2遊星歯車機構2に関する式であり、以下の式で表される。
a2・Na2+b2・Nb2=(a2+b2)・Nc2
ここで、a2は第2サンギヤ21の歯数、b2は第2リングギヤ23の歯数、Na2は第2サンギヤ21の回転数比、Nb2は第2リングギヤ23の回転数比、Nc2は第2キャリア24の回転数比である。
a2・Na2+b2・Nb2=(a2+b2)・Nc2
ここで、a2は第2サンギヤ21の歯数、b2は第2リングギヤ23の歯数、Na2は第2サンギヤ21の回転数比、Nb2は第2リングギヤ23の回転数比、Nc2は第2キャリア24の回転数比である。
第3関係式は、第3遊星歯車機構3に関する式であり、以下の式で表される。
a3・Na3+b3・Nb3=(a3+b3)・Nc3
ここで、a3は第3サンギヤ31の歯数、b3は第3リングギヤ33の歯数、Na3は第3サンギヤ31の回転数比、Nb3は第3リングギヤ33の回転数比、Nc3は第3キャリア34の回転数比である。
a3・Na3+b3・Nb3=(a3+b3)・Nc3
ここで、a3は第3サンギヤ31の歯数、b3は第3リングギヤ33の歯数、Na3は第3サンギヤ31の回転数比、Nb3は第3リングギヤ33の回転数比、Nc3は第3キャリア34の回転数比である。
第4関係式は、第4遊星歯車機構4に関する式であり、以下の式で表される。
a4・Na4+b4・Nb4=(a4+b4)・Nc4
ここで、a4は第4サンギヤ41の歯数、b4は第4リングギヤ43の歯数、Na4は第4サンギヤ41の回転数比、Nb4は第4リングギヤ43の回転数比、Nc4は第4キャリア44の回転数比である。
a4・Na4+b4・Nb4=(a4+b4)・Nc4
ここで、a4は第4サンギヤ41の歯数、b4は第4リングギヤ43の歯数、Na4は第4サンギヤ41の回転数比、Nb4は第4リングギヤ43の回転数比、Nc4は第4キャリア44の回転数比である。
前進の第1速における減速比の求め方を説明する。第1遊星歯車機構1における第1リングギヤ13の回転数比Nb1を、第1関係式から求める。なお、第1サンギヤ11は入力軸7と一体的に回転するため、第1サンギヤ11の回転数比Na1は1である。第1キャリア14は回転しないため、第1キャリア14の回転数比Nc1は0である。
次に、第3遊星歯車機構3における第3リングギヤ33の回転数比Nb3を、第3関係式より求める。なお、第3サンギヤ31は、第1リングギヤ13と一体的に回転するため、第3サンギヤ31の回転数比Na3は、第1リングギヤ13の回転数比Nb1と同じである。第3キャリア34は回転しないため、第3キャリア34の回転数比Nc3は0である。
第3リングギヤ33の回転数比Nb3は、第4キャリア44の回転数比Nc4と同じである。第4キャリア44の回転数比Nc4の逆数が、遊星歯車式変速機100の減速比となる。たとえば、第1〜第4遊星歯車機構1〜4における、サンギヤの歯数に対するリングギヤの歯数の比(歯数比)が、図3に示す通りであるとき、前進の第1速の減速比は約5.61である。
同様に、各速度段において求められた減速比を図2に示す。前進の第2速では、第4関係式によって、第4キャリア44の回転数比Nc4を求める。第4サンギヤ41の回転数比Na4は1である。第4リングギヤ43の回転数比Nb4は0である。この結果、前進の第2速における減速比が求められる。たとえば、第1〜第4遊星歯車機構1〜4における歯数比が図3に示す通りであるとき、前進の第2速の減速比は約4.13である。
前進の第3速では、第1関係式によって、第1リングギヤ13の回転数比Nb1を求める。第1サンギヤ11の回転数比Na1は1である。第1キャリア14の回転数比Nc1は0である。
次に、第3関係式と第4関係式とによって、第4キャリア44の回転数比Nc4を求める。第3サンギヤ31の回転数比Na3は、第1リングギヤ13の回転数比Nb1と同じである。第3キャリア34の回転数比Nc3は、第4リングギヤ43の回転数比Nb4と同じである。第3リングギヤ33の回転数比Nb3は、第4キャリア44の回転数比Nc4と同じである。第4サンギヤ41の回転数比Na4は1である。この結果、前進の第3速における減速比が求められる。たとえば、第1〜第4遊星歯車機構1〜4における歯数比が図3に示す通りであるとき、前進の第2速の減速比は約3.18である。
前進の第4速では、第2関係式によって、第2キャリア24の回転数比Nc2を求める。第2サンギヤ21の回転数比Na2は1である。第2リングギヤ23の回転数比Nb2は0である。
第2キャリア24の回転数比Nc2は、第4キャリア44の回転数比Nc4と同じである。これにより、第4キャリア44の回転数比Nc4が求められる。この結果、前進の第4速における減速比が求められる。たとえば、第1〜第4遊星歯車機構1〜4における歯数比が図3に示す通りであるとき、前進の第4速の減速比は約2.67である。
前進の第5速では、第3関係式と第4関係式とによって、第4キャリア44の回転数比Nc4を求める。第3サンギヤ31の回転数比Na3は0である。第3キャリア34の回転数比Nc3は、第4リングギヤ43の回転数比Nb4と同じである。第3リングギヤ33の回転数比Nb3は、第4キャリア44の回転数比Nc4と同じである。第4サンギヤ41の回転数比Na4は1である。この結果、前進の第5速における減速比が求められる。たとえば、第1〜第4遊星歯車機構1〜4における歯数比が図3に示す通りであるとき、前進の第5速の減速比は約1.93である。
前進の第6速では、第2関係式によって、第2キャリア24の回転数比Nc2を求める。第2サンギヤ21の回転数比Na2は1である。第2リングギヤ23の回転数比Nb2は0である。
次に、第3関係式と第4関係式とによって、第4キャリア44の回転数比Nc4を求める。第3サンギヤ31の回転数比Na3は、第2キャリア24の回転数比Nc2と同じである。第3キャリア34の回転数比Nc3は、第4リングギヤ43の回転数比Nb4と同じである。第3リングギヤ33の回転数比Nb3は、第4キャリア44の回転数比Nc4と同じである。第4サンギヤ41の回転数比Na4は1である。この結果、前進の第6速における減速比が求められる。たとえば、第1〜第4遊星歯車機構1〜4における歯数比が図3に示す通りであるとき、前進の第6速の減速比は約1.43である。
前進の第7速では、上述したように変速は行われない。前進の第7速における減速比は1である。
前進の第8速では、第2関係式によって、第2キャリア24の回転数比Nc2を求める。第2サンギヤ21の回転数比Na2は1である。第2リングギヤ23の回転数比Nb2は0である。
次に、第3関係式によって、第3リングギヤ33の回転数比Nb3を求める。第3サンギヤ31の回転数比Na3は、第2キャリア24の回転数比Nc2と同じである。第3キャリア34の回転数比Nc3は1である。
第3リングギヤ33の回転数比Nb3は、第4キャリア44の回転数比Nc4と同じである。これにより、第4キャリア44の回転数比Nc4が求められる。この結果、前進の第8速における減速比が求められる。たとえば、第1〜第4遊星歯車機構1〜4における歯数比が図3に示す通りであるとき、前進の第8速の減速比は約0.79である。
前進の第9速では、第1関係式によって、第1リングギヤ13の回転数比Nb1を求める。第1サンギヤ11の回転数比Na1は1である。第1キャリア14の回転数比Nc1は0である。
次に、第3関係式によって、第3リングギヤ33の回転数比Nb3を求める。第3サンギヤ31の回転数比Na3は、第1リングギヤ13の回転数比Nb1と同じである。第3キャリア34の回転数比Nc3は1である。
第3リングギヤ33の回転数比Nb3は、第4キャリア44の回転数比Nc4と同じである。これにより、第4キャリア44の回転数比Nc4が求められる。この結果、前進の第9速における減速比が求められる。たとえば、第1〜第4遊星歯車機構1〜4における歯数比が図3に示す通りであるとき、前進の第9速の減速比は約0.62である。
後進の第1速では、第2関係式によって、第2キャリア24の回転数比Nc2を求める。第2サンギヤ21の回転数比Na2は1である。第2リングギヤ23の回転数比Nb2は0である。
次に、第3関係式によって、第3リングギヤ33の回転数比Nb3を求める。第3サンギヤ31の回転数比Na3は、第2キャリア24の回転数比Nc2と同じである。第3キャリア34の回転数比Nc3は0である。
第3リングギヤ33の回転数比Nb3は、第4キャリア44の回転数比Nc4と同じである。これにより、第4キャリア44の回転数比Nc4が求められる。この結果、後進の第1速における減速比が求められる。たとえば、第1〜第4遊星歯車機構1〜4における歯数比が図3に示す通りであるとき、後進の第1速の減速比は約−6.32である。
後進の第2速では、第1関係式によって、第1リングギヤ13の回転数比Nb1を求める。第1サンギヤ11の回転数比Na1は1である。第1キャリア14の回転数比Nc1は0である。
第1リングギヤ13の回転数比Nb1は、第4キャリア44の回転数比Nc4と同じである。これにより、第4キャリア44の回転数比Nc4が求められる。この結果、後進の第2速における減速比が求められる。たとえば、第1〜第4遊星歯車機構1〜4における歯数比が図3に示す通りであるとき、後進の第2速の減速比は約−2.37である。
代替の前進の第9速では、第3関係式によって、第3リングギヤ33の回転数比Nb3を求める。第3サンギヤ31の回転数比Na3は0である。第3キャリア34の回転数比Nc3は1である。
第3リングギヤ33の回転数比Nb3は、第4キャリア44の回転数比Nc4と同じである。これにより、第4キャリア44の回転数比Nc4が求められる。この結果、代替の前進の第9速における減速比が求められる。たとえば、第1〜第4遊星歯車機構1〜4における歯数比が図3に示す通りであるとき、代替の前進の第9速の減速比は約0.70である。
なお、図2中に示す段間比とは、各変速段の減速比間の比を表す。詳細には、隣同士の変速段の減速比について、低速段の減速比を高速段の減速比で除した値を段間比という。総段間比とは、最低速段の減速比を最高速段の減速比で除した値をいう。本実施形態の遊星歯車式変速機100は、前進9段の速度段を有している。本実施形態の遊星歯車式変速機100の総段間比は、前進の第1速の減速比を、前進の第9速の減速比で除した値である。
本実施形態の遊星歯車式変速機100は、前進の速度段を9段有するとともに後進の速度段を2段有しており、遊星歯車式変速機100の速度段が増加している。前進9段、後進2段の速度段を実現するために、遊星歯車式変速機100は4つの遊星歯車機構と合計7つのクラッチおよびブレーキとを有しており、部品数が低減している。図2に示す総段間比は8.98であり、総段間比が拡大している。前進9段の速度段の段間比は、1.19〜1.43の範囲にあり、段間比のばらつきが低減されている。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 第1遊星歯車機構、2 第2遊星歯車機構、3 第3遊星歯車機構、4 第4遊星歯車機構、7 入力軸、9 ケーシング、10 出力軸、11 第1サンギヤ、12 第1プラネタリギヤ、13 第1リングギヤ、14 第1キャリア、21 第2サンギヤ、22 第2プラネタリギヤ、23 第2リングギヤ、24 第2キャリア、31 第3サンギヤ、32 第3プラネタリギヤ、33 第3リングギヤ、34 第3キャリア、41 第4サンギヤ、42 第4プラネタリギヤ、43 第4リングギヤ、44 第4キャリア、51 第1クラッチ、52 第2クラッチ、53 第3クラッチ、61 第1ブレーキ、62 第2ブレーキ、63 第3ブレーキ、64 第4ブレーキ、81 第1中間軸、82 第2中間軸、100 遊星歯車式変速機。
Claims (3)
- 回転軸を中心に回転するように構成された入力軸と、
前記回転軸を中心に回転するように構成された第1中間軸と、
前記回転軸を中心に回転するように構成された第2中間軸と、
前記入力軸と一体的に回転するように構成された第1サンギヤ、第1プラネタリギヤ、第1リングギヤ、および第1キャリアを有する第1遊星歯車機構と、
前記入力軸と一体的に回転するように構成された第2サンギヤ、第2プラネタリギヤ、第2リングギヤ、前記第1リングギヤと一体的に回転するように構成された第2キャリアを有する第2遊星歯車機構と、
前記第2キャリアと一体的に回転するように構成された第3サンギヤ、第3プラネタリギヤ、第3リングギヤ、前記第2中間軸と一体的に回転するように構成された第3キャリアを有する第3遊星歯車機構と、
前記第1中間軸と一体的に回転するように構成された第4サンギヤ、第4プラネタリギヤ、前記第2中間軸と一体的に回転するように構成された第4リングギヤ、前記第3リングギヤと一体的に回転するとともに動力を出力するように構成された第4キャリアを有する第4遊星歯車機構と、
前記入力軸と前記第1中間軸とを連結するように構成された第1クラッチと、
前記入力軸と前記第2中間軸とを連結するように構成された第2クラッチと、
前記第2中間軸と、前記第1リングギヤ、前記第2キャリアおよび前記第3サンギヤとを連結するように構成された第3クラッチと、
前記第1リングギヤ、前記第2キャリアおよび前記第3サンギヤの回転を制動するように構成された第1ブレーキと、
前記第1キャリアの回転を制動するように構成された第2ブレーキと、
前記第2リングギヤの回転を制動するように構成された第3ブレーキと、
前記第3キャリア、前記第4リングギヤおよび前記第2中間軸の回転を制動するように構成された第4ブレーキと、
を備える、遊星歯車式変速機。 - 前記第4キャリアと一体的に回転するように構成された出力軸をさらに備える、請求項1に記載の遊星歯車式変速機。
- 前記第1遊星歯車機構、前記第2遊星歯車機構、前記第3遊星歯車機構、前記第4遊星歯車機構は、回転軸方向に沿って、この順に配置される、請求項1または2に記載の遊星歯車式変速機。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016017144A JP2017137892A (ja) | 2016-02-01 | 2016-02-01 | 遊星歯車式変速機 |
PCT/JP2016/087756 WO2017134950A1 (ja) | 2016-02-01 | 2016-12-19 | 遊星歯車式変速機 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016017144A JP2017137892A (ja) | 2016-02-01 | 2016-02-01 | 遊星歯車式変速機 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017137892A true JP2017137892A (ja) | 2017-08-10 |
Family
ID=59565599
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016017144A Pending JP2017137892A (ja) | 2016-02-01 | 2016-02-01 | 遊星歯車式変速機 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2017137892A (ja) |
-
2016
- 2016-02-01 JP JP2016017144A patent/JP2017137892A/ja active Pending
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