JP2017136182A - 生体情報取得装置及び生体情報取得方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】生体情報を精度良く取得する技術を提供する。
【解決手段】生体情報取得装置は、生体へ光を照射する発光部と、前記生体を透過した光を受光する複数の受光部と、前記発光部と前記受光部とを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記発光部を測定用発光部として発光させ、前記測定用発光部から照射された光を、前記複数の受光部のうち、前記測定用発光部から第1の距離だけ離れた複数の測定用受光部に受光させることにより複数の受光結果を取得し、前記複数の受光結果のうち、受光強度が最も大きい第1の受光結果と、受光強度が最も小さい第2の受光結果とを用いて、生体情報を取得する。
【選択図】図7
【解決手段】生体情報取得装置は、生体へ光を照射する発光部と、前記生体を透過した光を受光する複数の受光部と、前記発光部と前記受光部とを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記発光部を測定用発光部として発光させ、前記測定用発光部から照射された光を、前記複数の受光部のうち、前記測定用発光部から第1の距離だけ離れた複数の測定用受光部に受光させることにより複数の受光結果を取得し、前記複数の受光結果のうち、受光強度が最も大きい第1の受光結果と、受光強度が最も小さい第2の受光結果とを用いて、生体情報を取得する。
【選択図】図7
Description
本発明は、生体情報取得装置及び生体情報取得方法に関する。
従来、血管や血管中の血液に関する生体情報を取得する生体情報取得装置が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1には、照射位置に存在する発光素子から照射された光を、(i)測定用受光位置に存在する受光素子が取得した受光結果と、(ii)リファレンス用受光位置に存在するリファレンス用受光素子が取得した受光結果と、を用いて、生体情報を取得する旨が記載されている。
特許文献1及び2には、照射位置と、測定用受光位置と、リファレンス用受光位置との位置関係について、以下の記載がある。つまり、(i)照射位置と測定用受光位置との間の中央部に測定対象の血管部位が位置し、(ii)照射位置とリファレンス用受光位置との間に測定対象の血管部位が存在しないように位置する旨が記載されている。また、特許文献1では、照射位置と、測定用受光位置と、リファレンス用受光位置との位置関係について、リファレンス用受光位置を、照射位置と測定用受光位置とを結ぶ延長線上であって、照射位置から見て測定用受光位置とは反対側の位置とする旨の記載がある。
しかし、特許文献1及び2に記載の技術では、測定用発光部の発光前に、測定用受光位置とリファレンス用受光位置とが予め決められているため、各位置が血管に関連した生体情報を得る上での最適な位置とは限らず、血管に関連した生体情報を十分な精度で得られない場合がある。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
(1)本発明の第1の形態によれば、生体情報取得装置が提供される。この生体情報取得装置は、生体へ光を照射する発光部と、前記生体を透過した光を受光する複数の受光部と、前記発光部と前記受光部とを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記発光部を測定用発光部として発光させ、前記測定用発光部から照射された光を、前記複数の受光部のうち、前記測定用発光部から第1の距離だけ離れた複数の測定用受光部に受光させることにより複数の受光結果を取得し、前記複数の受光結果のうち、受光強度が最も大きい第1の受光結果と、受光強度が最も小さい第2の受光結果とを用いて、生体情報を取得する。
一般に、血管は非血管部よりも近赤外線を吸収しやすいため、血管を透過した光の輝度は、血管を透過していない光の輝度と比較して低くなる。本実施形態の生体情報取得装置は、複数の受光結果のうち、(i)受光強度が最も大きい受光結果であり、血管に関連した生体情報をほとんど含まないと考えられる第1の受光結果と、(ii)受光強度が最も小さい受光結果であり、血管に関連した生体情報を多く含むと考えられる第2の受光結果とを用いて、生体情報を取得するので、血管に関連した生体情報を精度良く取得することができる。
一般に、血管は非血管部よりも近赤外線を吸収しやすいため、血管を透過した光の輝度は、血管を透過していない光の輝度と比較して低くなる。本実施形態の生体情報取得装置は、複数の受光結果のうち、(i)受光強度が最も大きい受光結果であり、血管に関連した生体情報をほとんど含まないと考えられる第1の受光結果と、(ii)受光強度が最も小さい受光結果であり、血管に関連した生体情報を多く含むと考えられる第2の受光結果とを用いて、生体情報を取得するので、血管に関連した生体情報を精度良く取得することができる。
(2)上記生体情報取得装置において、前記発光部を複数備え、前記制御部は、前記複数の発光部の少なくとも一つを発光させることにより前記生体の血管の位置を特定し、前記複数の発光部のうち、前記血管から第2の距離だけ離れた発光部を前記測定用発光部として選択してもよい。
本実施形態の生体情報取得装置によれば、血管の位置を特定することにより、血管に関連した生体情報を取得するのに適した発光部を測定用発光部として選択できるため、血管に関連した生体情報を精度良く取得することができる。
本実施形態の生体情報取得装置によれば、血管の位置を特定することにより、血管に関連した生体情報を取得するのに適した発光部を測定用発光部として選択できるため、血管に関連した生体情報を精度良く取得することができる。
(3)上記生体情報取得装置において、受発光領域内において、それぞれ規則的に配列された複数の発光素子及び複数の受光素子を有するセンサーモジュールを備え、前記制御部は、前記受発光領域の一部の領域として、一定の形状及びサイズを有する発光領域を選択し、前記発光領域内の複数の発光素子を前記測定用発光部として発光させてもよい。
本実施形態の生体情報取得装置によれば、一つの発光部が、より小さな複数の発光素子の集合で形成されるので、発光部の位置を小さな発光素子のピッチの単位で選択することができるため、発光部を選択する自由度が向上する。また、一つの発光部が一つの発光素子で形成されている場合と比較して、本実施形態の生体情報取得装置は、十分な発光強度を得ることができる。この結果として、本実施形態の生体情報取得装置によれば、血管に関連した生体情報を精度良く取得することができる。
本実施形態の生体情報取得装置によれば、一つの発光部が、より小さな複数の発光素子の集合で形成されるので、発光部の位置を小さな発光素子のピッチの単位で選択することができるため、発光部を選択する自由度が向上する。また、一つの発光部が一つの発光素子で形成されている場合と比較して、本実施形態の生体情報取得装置は、十分な発光強度を得ることができる。この結果として、本実施形態の生体情報取得装置によれば、血管に関連した生体情報を精度良く取得することができる。
(4)上記生体情報取得装置において、受発光領域内において、それぞれ規則的に配列された複数の発光素子及び複数の受光素子を有するセンサーモジュールを備え、前記制御部は、前記受発光領域の一部の領域として、一定の形状及びサイズを有する受光領域を選択し、前記受光領域内の複数の受光素子を前記受光部として受光させてもよい。
本実施形態の生体情報取得装置によれば、一つの受光部が、より小さな複数の受光素子の集合で形成されるので、受光部の位置を小さな受光素子のピッチの単位で選択することができるため、受光部を選択する自由度が向上する。また、一つの受光部が一つの受光素子で形成されている場合と比較して、本実施形態の生体情報取得装置は、十分な受光量を得ることができる。この結果として、本実施形態の生体情報取得装置によれば、血管に関連した生体情報を精度良く取得することができる。
本実施形態の生体情報取得装置によれば、一つの受光部が、より小さな複数の受光素子の集合で形成されるので、受光部の位置を小さな受光素子のピッチの単位で選択することができるため、受光部を選択する自由度が向上する。また、一つの受光部が一つの受光素子で形成されている場合と比較して、本実施形態の生体情報取得装置は、十分な受光量を得ることができる。この結果として、本実施形態の生体情報取得装置によれば、血管に関連した生体情報を精度良く取得することができる。
(5)上記生体情報取得装置において、前記制御部は、互いに隣接する前記測定用受光部の受光領域の一部が重なるように、前記複数の測定用受光部を選択してもよい。
本実施形態の生体情報取得装置によれば、隣接する受光領域の一部が重なるように複数の測定用受光部を選択でき、複数の測定用受光部の各位置を受光素子のピッチの単位で選択することができるため、受光部を選択する自由度が向上する。この結果として、本実施形態の生体情報取得装置によれば、血管に関連した生体情報を精度良く取得することができる。
本実施形態の生体情報取得装置によれば、隣接する受光領域の一部が重なるように複数の測定用受光部を選択でき、複数の測定用受光部の各位置を受光素子のピッチの単位で選択することができるため、受光部を選択する自由度が向上する。この結果として、本実施形態の生体情報取得装置によれば、血管に関連した生体情報を精度良く取得することができる。
(6)上記生体情報取得装置において、前記生体情報は、前記生体の血液中のグルコース濃度を含んでもよい。
本実施形態の生体情報取得装置によれば、血液中のグルコース濃度を取得することができる。
本実施形態の生体情報取得装置によれば、血液中のグルコース濃度を取得することができる。
(7)上記生体情報取得装置において、前記生体情報は、前記生体の血液中の酸素飽和度を含んでもよい。
本実施形態の生体情報取得装置によれば、血液中の酸素飽和度を取得することができる。
本実施形態の生体情報取得装置によれば、血液中の酸素飽和度を取得することができる。
本発明は、上述した形態以外の種々の形態でも実現可能であり、例えば、生体へ光を照射する発光部と、前記生体を透過した光を受光する複数の受光部と、を備える生体情報取得装置により生体情報を取得する生体情報取得方法や、この方法を実現するコンピュータープログラム、及び、コンピュータープログラムを格納する一時的でない記録媒体(non-transitory storage medium)等の形態等で実現することが可能である。
A.第1実施形態:
A1.装置構成:
図1は、第1実施形態における生体情報取得装置10の構成を示す模式図である。生体情報取得装置10は、光を用いて使用者2の生体情報を非侵襲に測定する生体情報取得装置である。本実施形態では、生体情報として、使用者2の血液中のグルコース濃度である血糖値を取得する。生体情報取得装置10は、血糖値測定装置10とも呼ぶ。生体情報取得装置10は、腕時計型であり、本体ケース12と、本体ケース12を使用者2の手首や腕等の測定部位に装着固定するための固定バンド14とを備えて構成されるウェアラブル装置(ウェアラブル機器)である。
A1.装置構成:
図1は、第1実施形態における生体情報取得装置10の構成を示す模式図である。生体情報取得装置10は、光を用いて使用者2の生体情報を非侵襲に測定する生体情報取得装置である。本実施形態では、生体情報として、使用者2の血液中のグルコース濃度である血糖値を取得する。生体情報取得装置10は、血糖値測定装置10とも呼ぶ。生体情報取得装置10は、腕時計型であり、本体ケース12と、本体ケース12を使用者2の手首や腕等の測定部位に装着固定するための固定バンド14とを備えて構成されるウェアラブル装置(ウェアラブル機器)である。
本体ケース12の表面(使用者2に装着したときに外向きになる面)には、タッチパネル16や操作スイッチ18が設けられている。このタッチパネル16や操作スイッチ18を用いて、使用者2が測定開始指示の入力を行ったり、測定結果がタッチパネル16に表示されたりすることができる。
また、本体ケース12の側面には、外部装置と通信するための通信装置20と、メモリーカード22のリーダーライター24とが設けられている。通信装置20は、有線ケーブルを着脱するためのジャックや、或いは、無線通信を行うための無線通信モジュール及びアンテナにより実現される。メモリーカード22は、フラッシュメモリーや強誘電体メモリー(FeRAM:Ferroelectric Random Access Memory)、磁気抵抗メモリー(MRAM:Magnetoresistive Random Access Memory)等のデータ書き換えが可能な不揮発性メモリーである。
また、本体ケース12の裏面には、センサーモジュール50が使用者2の皮膚面に接触可能に設けられている。センサーモジュール50は、使用者2の皮膚面に測定光を照射し、使用者2の体を透過もしくは反射した光を受光する測定用のデバイスであり、光源内蔵の薄型イメージセンサーとなっている。
更に、本体ケース12には、充電式のバッテリー26と、制御基板30と、が内蔵され
ている。バッテリー26への充電方式としては、本体ケース12の背面側に電気接点を設
け、家庭用電源に接続されたクレードルにセットし、電気接点を介してクレードル経由で
充電される構成でも良いし、無線式充電でも良い。
ている。バッテリー26への充電方式としては、本体ケース12の背面側に電気接点を設
け、家庭用電源に接続されたクレードルにセットし、電気接点を介してクレードル経由で
充電される構成でも良いし、無線式充電でも良い。
制御基板30には、CPU(Central Processing Unit)と、メインメモリーと、測定データ用メモリーと、タッチパネルコントローラーと、センサーモジュールコントローラーとが搭載されている。メインメモリーは、プログラムや初期設定データを格納したり、CPUの演算値を格納することができる記憶媒体であり、RAMやROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリー等で実現される。なお、プログラムや初期設定データ、メモリーカード22に記憶されている構成でも良い。測定データ用メモリーは、測定データを記憶するための記憶媒体であり、フラッシュメモリーや強誘電体メモリー(FeRAM)、磁気抵抗メモリー(MRAM)等のデータ書き換え可能な不揮発性メモリーによって実現される。なお、測定データをメモリーカード22に記憶する構成でも良い。
図2及び図3は、センサーモジュール50の構成図である。図2はセンサーモジュール50の一部を示す平面模式図であり、図3はセンサーモジュール50の断面模式図である。図2に示すように、センサーモジュール50は、その受発光領域内において、それぞれ規則的に配列された複数の発光素子53及び複数の受光素子59を有する。ここで、受発光領域とは、複数の発光素子53及び受光素子59を包含する領域をいう。
図3に示すように、センサーモジュール50は、多数の発光素子53を平面状に二次元配列した発光層52と、受光層58へ向かう光以外を選択的に遮断する遮光層54と、近赤外線を選択的に透過させる分光層56と、多数の受光素子59を平面状に二次元配列した受光層58とを積層して構成された光学センサーである。そして、このセンサーモジュール50は、正面側(発光層52の側の面)が使用者2の皮膚面に向くように、本体ケース12の裏面側に設けられている。
発光素子53は、生体へ光を照射する部位であり、例えばLED(Light Emitting Diode)やOLED(Organic light-emitting diode)等により実現される。本実施形態では、血糖値(血液中のグルコース濃度)を測定するため、発光素子53は、皮下透過性を有する近赤外線を含む光を発光可能な素子とする。
受光素子59は、生体を透過又は反射した光を受光し、受光量に応じた電気信号を出力する部位であり、例えばCCD(Charge Coupled Device Image Sensor)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor Image Sensor)等の撮像素子で実現される。また、1つの受光素子59は、検量に必要な各波長成分を受光する複数の素子を含む。
図2に示すように、発光素子53及び受光素子59は、共通のXs−Ys直交座標系で定義されるマトリクス状に配置されている。そして、発光素子53と受光素子59とは、それぞれにおけるXs,Ys軸方向それぞれの配置間隔が同一であるが、Xs−Ys平面において互い違いとなるように配置される。すなわち、発光素子53と受光素子59とのXs,Ys軸方向の位置が、互いに所定長だけずれるように配列されている。
なお、発光素子53及び受光素子59それぞれの配置間隔は、適宜設定可能である。例えば、配置間隔は、1〜500μmとすると好適であり、製造コストと測定精度との兼ね合いから、例えば50〜200μmとすることもできる。また、発光素子53と受光素子59とが積層された構成に限らず、発光素子53と受光素子59とが並置されていてもよい。
A2.測定原理:
(A)血糖値の測定
本実施形態における血糖値の測定原理について説明する。測定にあたり、血糖値測定装置10は、センサーモジュール50が使用者2の皮膚面に密着するようにして固定バンド14で固定される。センサーモジュール50を皮膚面に密着させることで、測定光の皮膚面での反射や皮膚面付近での散乱といった測定精度を下げる要因を抑制することができる。そして、センサーモジュール50の直下の生体組織内における血管を測定対象として設定し、測定光がこの血管を透過した透過光を含む光を受光して吸光スペクトルを求め、血糖値を推定演算する。
(A)血糖値の測定
本実施形態における血糖値の測定原理について説明する。測定にあたり、血糖値測定装置10は、センサーモジュール50が使用者2の皮膚面に密着するようにして固定バンド14で固定される。センサーモジュール50を皮膚面に密着させることで、測定光の皮膚面での反射や皮膚面付近での散乱といった測定精度を下げる要因を抑制することができる。そして、センサーモジュール50の直下の生体組織内における血管を測定対象として設定し、測定光がこの血管を透過した透過光を含む光を受光して吸光スペクトルを求め、血糖値を推定演算する。
(A−1)血管パターンの取得
具体的には、先ず、皮膚面から見た血管パターン(血管位置)を取得する。血管パターンの取得は、公知の静脈認証技術における静脈パターン検出と同様に実現することができる。
具体的には、先ず、皮膚面から見た血管パターン(血管位置)を取得する。血管パターンの取得は、公知の静脈認証技術における静脈パターン検出と同様に実現することができる。
図4は、血管パターン(血管位置)を取得する様子を説明する模式図である。図4に示すように、センサーモジュール50の発光素子53を一斉発光させ、使用者2の皮膚面に測定光を照射する。そして、全ての受光素子59を用いて、測定光が生体組織を透過した光(透過光)や、生体組織で反射した光(反射光)を受光すなわち撮影して、生体画像を取得する。なお、生体画像の取得の際に、センサーモジュール50の一部の発光素子53のみを発光させてもよい。
血管は非血管部よりも近赤外線を吸収し易いため、取得された生体画像において、血管の部分は非血管の部分よりも輝度が低く暗くなる。このため、生体画像において輝度が低くなっている部分を抽出することで、血管パターンを抽出することができる。すなわち、生体画像を構成するピクセル毎に、その輝度が所定の閾値以下であるか否かによって、該当する受光素子59の直下に血管が存在するか否か、すなわち血管の位置を取得することができる。
図5は、生体画像に基づいて得られる血管パターンP4の例を示す図である。血管パターンP4は、生体画像を構成するピクセル毎、すなわち受光素子59の位置毎に、血管であるか非血管領域であるかを示した情報である。図5では、網掛けした帯状の部分が血管4であり、それ以外の白抜きされた部分が非血管領域8として抽出されている。
(A−2)測定対象の血管部位の選択
血管パターンを取得したならば、続いて、測定対象とする血管(より具体的には血管部位)を選択する。測定対象とする血管部位を、次の選択条件を満たすように選択する。選択条件とは、「血管の分岐部分や合流部分、画像の端部以外の部位であり、且つ、血管長手方向において所定の長さ及び所定の幅を有する」ことである。
血管パターンを取得したならば、続いて、測定対象とする血管(より具体的には血管部位)を選択する。測定対象とする血管部位を、次の選択条件を満たすように選択する。選択条件とは、「血管の分岐部分や合流部分、画像の端部以外の部位であり、且つ、血管長手方向において所定の長さ及び所定の幅を有する」ことである。
血管の分岐・合流部分5a(図5参照)では、受光光に、測定対象以外の血管を通過した光が混合する可能性がある。測定対象の血管部位以外の血管の透過光は、測定対象の血管部位の吸光スペクトルに影響を及ぼし、測定精度が低下する可能性がある。このため、血管の分岐・合流部分5aを除いた血管部分から測定対象の血管部位を選択することとする。
また、生体画像の端部5b(図5参照)では、画像の外側近傍の血管の分岐や合流といった構造が不明であるため、上述と同様の理由による測定精度の低下の可能性がある。これを避けるために、画像端部5bを除いた血管部分から測定対象の血管部位を選択することとする。
発光素子53からの照射光は、生体組織内を拡散反射し、その一部が受光素子59にて受光される。つまり、受光素子59にて受光される光の一部が対象血管の透過光となるが、この透過光の割合が高いほど、対象血管の血中成分の特徴をより顕著に表した吸光スペクトルとなり得る。すなわち、測定精度が高くなる。
比較的細く写っている血管(幅方向の長さが短い血管)は、本来的に細い血管であるか、比較的深い位置にある血管である。こういった血管では透過光の光量が少なくなり、測定精度の低下が生じ得る。このため、細く写った血管を除いた血管部分(すなわち、所定の幅を有する血管部位)から、測定対象の血管部位を選択することとする。
そして、図6は、図5の血管パターンP4に基づいて得られる測定対象の血管部位6の一例である。図6において、血管4のうち、斜線でハッチングされた部分が、測定対象として選択された血管部位6である。
(A−3)発光部及び受光部の選択
続いて、発光部Lと受光部Sとを選択する。
続いて、発光部Lと受光部Sとを選択する。
図7は、発光部Lと受光部Sとの選択について説明する図である。本実施形態において、(i)血管から距離X(第2の距離)だけ離れた発光部Lを、測定用発光部Ldとして選択し、(ii)複数の受光部Sのうち、測定用発光部Ldから距離W(第1の距離)だけ離れた複数の受光部Sを測定用受光部Sdとして選択する。ここで、「血管から距離Xだけ離れた発光部L」とは、発光部Lの中心が血管の中心線から距離X±10%の距離だけ離れたことを意味し、「測定用発光部Ldから第1の距離Wだけ離れた受光部S」とは、受光部Sの中心が測定用発光部Ldの中心から距離W±10%の距離だけ離れたことを意味する。ここで、血管の中心線とは、血管幅方向の中心であり血管長さ方向に沿った線をいう。本実施形態において、測定用受光部Sdとして、6つの測定用受光部S0,S1,S2,S3,S4,S5,S6が選択されている。所定距離Wは、次のように定められる。
図8は、生体組織内での光の伝播を説明する図であり、深さ方向に沿った断面図を示している。ある発光部Lから照射された光は、生体組織内を拡散反射し、照射された光の一部がある受光部Sに到達する。その光の伝播経路は、いわゆるバナナ形状(2つの弧で挟まれた領域)を成し、略中央付近で深さ方向の幅が最も広くなるとともに、発光素子53と受光素子59との間隔に応じて全体の深さ(到達可能な深さ)が深くなる。
測定精度を高めるには、血管4を透過したより多くの透過光が受光部Sで受光されることが望ましい。このことから、発光部Lと受光部Sとの間の下方に対象血管4が位置することが好ましく、対象血管4の想定する深さDに応じた所定距離Wが定められる。所定距離W、すなわち発光部Lと受光部Sとの間の最適な間隔Wは、血管4の皮膚面からの深さDの約2倍の距離とする。例えば、深さDを3mm程度とすると、最適距離Wは5〜6mm程度となる。
また、第2の距離Xは、第1の距離Wの半分の距離とすることが好ましい。血管から第1の距離Wの半分だけ離れた位置の発光部Lが測定用発光部Ldとして選択されることにより、測定用発光部Ldと測定用受光部Sdとの間に対象血管4が存在する場合、測定用発光部Ldから発せられた光の伝搬経路は、対象血管4を透過した透過光がより多く測定用受光部Sdで受光されることとなる。次に、発光部Lと発光素子53との関係及び受光部Sと受光素子59との関係について説明する。
図9は、発光部Lと発光素子53との関係及び受光部Sと受光素子59との関係を示す図である。本実施形態における発光部Lは、発光領域R1内の複数の発光素子53から形成されている。発光領域R1は、センサーモジュール50の受発光領域のうちの一部の領域であり、一定の形状及びサイズを有する領域をいう。本実施形態では、発光領域R1を、縦(Ys方向)に3つの発光素子53が入り、横(Xs方向)に3つの発光素子53とが入る領域とし、発光領域R1内の全ての発光素子53を発光部Lとして発光させる。本実施形態において、センサーモジュール50は、縦(Ys方向)に3つより多い発光素子53を備え、かつ、横(Xs方向)に3つより多い発光素子53を備える。このため、センサーモジュール50の受発光領域には複数の発光部Lが存在することとなる。そして、複数の発光部Lから測定用発光部Ldが選択される。測定用発光部Ldとして発光させる複数の発光素子53が含まれる領域を第1発光領域とも呼ぶ。
なお、一定の形状及びサイズを有する発光領域は、例えば、発光素子1つ分の領域としてもよい。この場合、この領域内の1つの発光素子53が発光部Lとなる。また、発光領域R1内の全ての発光素子53を発光させなくてもよい。
同様に、本実施形態における受光部Sは、受光領域R2内の複数の受光素子59から形成されている。受光領域R2は、センサーモジュール50の受発光領域のうちの一部の領域であり、一定の形状及びサイズを有する領域をいう。本実施形態では、受光領域R2を、縦(Ys方向)に3つの受光素子59が入り、横(Xs方向)に3つの受光素子59とが入る領域とし、受光領域R2内の全ての受光素子59を受光部Sとして受光させる。本実施形態において、センサーモジュール50は、縦(Ys方向)に3つより多い受光素子59を備え、かつ、横(Xs方向)に3つより多い受光素子59を備える。このため、センサーモジュール50の受発光領域には複数の受光部Sが存在することとなる。そして、複数の受光部Sから測定用受光部Sdが選択される。Ldとして受光させる複数の受光素子59が含まれる領域を第1受光領域とも呼ぶ。
なお、一定の形状及びサイズを有する受光領域R2について、例えば、受光素子59が1つ分の領域としてもよい。この場合、この受光領域R2内の1つの受光素子59が受光部Sとなる。また、受光領域R2内の全ての受光素子59を受光させなくてもよい。本実施形態において、発光部Lと受光部Sとの所定距離Wとは、発光領域R1の重心と受光領域R2の重心との距離をいう。これらの重心は、領域の形状に応じて決まる幾何学的な重心である。
(A−4)測定
測定対象の血管部位6に対する測定用発光部Ld及び複数の測定用受光部Sdを選択すると、血糖値の測定を行う。具体的には、まず、測定用発光部Ldを発光させ、その光を複数の測定用受光部Sdに受光させることにより、複数の受光結果Qを取得する。
測定対象の血管部位6に対する測定用発光部Ld及び複数の測定用受光部Sdを選択すると、血糖値の測定を行う。具体的には、まず、測定用発光部Ldを発光させ、その光を複数の測定用受光部Sdに受光させることにより、複数の受光結果Qを取得する。
次に、複数の受光結果Qのうち、受光強度が最も大きい第1の受光結果Q1と、受光結果が最も小さい第2の受光結果を取得する。そして、第1の受光結果Q1と第2の受光結果Q2とを用いて、吸光スペクトルを生成する。
図10は、複数の測定用受光部Sdが取得した受光強度を示す図である。図10の縦軸は受光強度を示す。図10の横軸は、複数の測定用受光部Sdの位置を示し、発光部Lを中心とした円周方向における位置であり、測定用受光部S0を起点とした時計回りの位置を示す。図10の測定用受光部Sdの位置は、図9の測定用受光部Sdの位置と対応する。図10に示すように、本実施形態では、測定用受光部S0の受光強度が最も大きく、測定用受光部S4の受光強度が最も小さいため、測定用受光部S0の受光結果が第1の受光結果Q1となり、測定用受光部S4の受光結果が第2の受光結果Q2となる。
ここで、受光強度は、照射光の波長を720nmから800nmに変化させて得られた透過率の積分値を意味する。透過率T(λ)は、測定用受光部S4によって得られた光強度Os(λ)と、測定用受光部S0によって得られた光強度Or(λ)とから、T(λ)=Os(λ)/Or(λ)、として得られる。そして、この透過率から吸光率を求めて吸光スペクトルを生成する。
ここで、透過率の算出原理について簡単に説明する。一般的に、発光部Lによる照射光の強度をP(λ)、照射光が透過した物体部分の透過率をT(λ)、受光部Sに定められている感度をS(λ)とすると、受光部Sで得られる光強度O(λ)は、O(λ)=P(λ)・T(λ)・S(λ)、で与えられる。
この関係式より、血管4の透過光を含まない測定用受光部S0で得られる光強度Or(λ)は、非血管領域部分の透過率T(λ)を「1」と仮定すると、Or(λ)=P(λ)・S(λ)、となる。
また、血管4の透過光を含む測定用受光部S4で得られる光強度Os(λ)は、Os(λ)=P(λ)・T(λ)・S(λ)、となる。この2つの式から、透過率T(λ)が求められる。また、この透過率T(λ)は、非血管領域8の透過率に対する相対的な値となる。
(A−5)血糖値の算出
続いて、吸光スペクトルに基づき、予め定められた血糖値(血液中のグルコース濃度)と吸光度との関係を示す検量線を用いて、血糖値の推定算出を行う。なお、この吸光スペクトルから所定成分(本実施形態ではグルコース)の濃度を算出する技術自体は公知であり、本実施形態ではその公知技術を適用可能である。
続いて、吸光スペクトルに基づき、予め定められた血糖値(血液中のグルコース濃度)と吸光度との関係を示す検量線を用いて、血糖値の推定算出を行う。なお、この吸光スペクトルから所定成分(本実施形態ではグルコース)の濃度を算出する技術自体は公知であり、本実施形態ではその公知技術を適用可能である。
A3.機能構成:
図11は、本実施形態における血糖値測定装置10の機能構成図である。血糖値測定装置10は、機能的には、操作入力部110と、表示部120と、音出力部130と、通信部140と、照射部210と、撮像部220と、制御部300と、記憶部400とを備えて構成される。
図11は、本実施形態における血糖値測定装置10の機能構成図である。血糖値測定装置10は、機能的には、操作入力部110と、表示部120と、音出力部130と、通信部140と、照射部210と、撮像部220と、制御部300と、記憶部400とを備えて構成される。
操作入力部110は、ボタンスイッチやタッチパネル、各種センサー等の入力装置であり、なされた操作に応じた操作信号を制御部300に出力する。この操作入力部110によって、血糖値の測定開始指示等の各種指示入力が行われる。図1では、操作スイッチ18やタッチパネル16がこれに該当する。
表示部120は、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示装置であり、制御部300からの表示信号に基づく各種表示を行う。この表示部120に、測定結果等が表示される。図1では、タッチパネル16がこれに該当する。
音出力部130は、スピーカー等の音出力装置であり、制御部300からの音信号に基づく各種音出力を行う。この音出力部130によって、血糖値の測定開始や測定終了、低血糖値発生等の報知音が出力される。
通信部140は、無線通信機やモデム、有線用の通信ケーブルのジャックや制御回路等の通信装置であり、通信回線と接続して外部との通信を実現する。図1では、通信装置20がこれに該当する。
照射部210は、平面状に二次元配列された多数の発光素子53を有する。図2に示すセンサーモジュール50の発光層52がこれに該当する。この照射部210の配置位置(具体的には、Xs−Ys直交座標系における各発光素子53の位置座標)については、発光素子リスト406として記憶されている。
撮像部220は、平面状に二次元配列された多数の受光素子59を有する。図2に示すセンサーモジュール50の受光層58がこれに該当する。この撮像部220の配置位置(具体的には、Xs−Yx直交座標系における各受光素子59の位置座標)については、受光素子リスト408として記憶されている。
制御部300は、例えばCPUやGPU(Graphics Processing Unit)等のマイクロプロセッサーや、ASIC(特定用途向け集積回路:Application Specific Integrated Circuit)、ICメモリー等の電子部品によって実現され、所定のプログラムやデータ、操作入力部110からの操作信号に基づいて各種の演算処理を実行して、血糖値測定装置10の動作を制御する。図1では、制御基板30がこれに該当する。また、制御部300は、血糖値測定部310と、照射制御部342と、撮像制御部344とを有する。照射制御部342は、複数の発光素子53それぞれを選択的に発光制御する。撮像制御部344は、複数の受光素子59それぞれから受光した光量を取得する。
血糖値測定部310は、生体画像取得部314と、血管パターン取得部316と、血管部位選択部318と、測定用受発光部選択部320と、受光結果選択部322と、吸光スペクトル算出部324と、成分値算出部326とを有し、使用者2の血液中のグルコース濃度すなわち血糖値の測定を行う。
生体画像取得部314は、使用者2の生体画像の取得を行う。生体画像の取得は、公知の静脈認証技術等における生体画像の撮影技術を適宜利用することで実現する。すなわち、発光素子53を一斉発光させ、全ての受光素子59による測光(撮影)を行う。そして、測光結果による輝度画像、すなわち生体画像を生成する。生体画像取得部314によって取得された生体画像は、生体画像データ414として記憶される。
血管パターン取得部316は、生体画像取得部314によって取得された生体画像に対する所定の画像処理を行って、血管パターンを取得する。具体的には、公知の静脈認証技術における生体画像から静脈パターンを識別する技術を適宜利用することで実現する。例えば、生体画像のピクセル毎に、基準輝度と比較して2値化やフィルター処理を施す。基準輝度未満のピクセルが血管、基準輝度以上のピクセルが非血管領域を示すことになる。血管パターン取得部316によって取得された血管パターンは、血管パターンデータ416として記憶される。
血管部位選択部318は、血管パターン取得部316によって取得された血管パターンに基づいて、所定の選択条件を示す血管部位6を測定対象として選択する。ここで、測定対象とする血管部位6は、1つであっても良いし複数としても良い。測定対象として選択された血管部位6それぞれについては、血管部位データ418として記憶される。
図12は、血管部位データ418のデータ構成の一例を示す図である。血管部位データ418は、当該血管部位の識別情報である血管部位ID418aと、部位ピクセルリスト418bと、中心線位置情報418cと、血管長手方向の長さである部位長418dと、測定用発光部データ418eと、測定用受光部データ418fとを格納している。部位ピクセルリスト418bは、当該血管部位に対応するピクセル(すなわち、受光素子59)の一覧である。中心線位置情報418cは、Xs−Ys直交座標系における当該血管部位の中心線(血管幅方向の中心であり血管長さ方向に沿った線)の位置座標の情報である。
測定用受発光部選択部320は、測定対象の血管部位6それぞれについて、測定用発光部Ld及び測定用受光部Sdを選択する。具体的には、Xs−Ys直交座標系において(すなわち、皮膚面において)、血管部位6から第2の距離Xだけ離れた一の位置を測定用発光部Ldとして選択し、測定用発光部Ldから所定距離Wだけ離れた測定用受光部Sdを選択する。所定距離Wは、最適距離データ410として記憶されている。血管部位6から第2の距離Xだけ離れた一の位置の選択方法は、例えば、血管部位6から第2の距離Xだけ離れた位置として定める。選択された測定用発光部Ldは、測定用発光部データ418eとして記憶され、選択された測定用受光部Sdは、測定用受光部データ418fとして記憶される。
受光結果選択部322は、複数の測定用受光部Sdから得られた複数の受光結果Qのうち、受光強度が最も大きい第1の受光結果Q1と、受光強度が最も小さい第2の受光結果Q2とを選択する。
吸光スペクトル算出部324は、測定対象の血管部位6それぞれについて、吸光スペク
トルを生成する。具体的には、第1の受光結果Q1及び第2の受光結果Q2をもとに、波長λ毎の透過率Tを算出することで、吸光スペクトルを生成する。更に、測定対象の血管部位6が複数有る場合は、これら複数の測定対象の血管部位6それぞれの吸光スペクトルを平均して平均吸光スペクトルを算出する。吸光スペクトル算出部324によって算出された吸光スペクトルは、吸光スペクトルデータ420として記憶される。
トルを生成する。具体的には、第1の受光結果Q1及び第2の受光結果Q2をもとに、波長λ毎の透過率Tを算出することで、吸光スペクトルを生成する。更に、測定対象の血管部位6が複数有る場合は、これら複数の測定対象の血管部位6それぞれの吸光スペクトルを平均して平均吸光スペクトルを算出する。吸光スペクトル算出部324によって算出された吸光スペクトルは、吸光スペクトルデータ420として記憶される。
成分値算出部326は、吸光スペクトル算出部324によって算出された吸光スペクトルに基づいて、目的とする血液成分の血中濃度であるグルコース濃度(すなわち、血糖値)を算出する。本実施形態では、吸光スペクトルを、重回帰分析法、主成分回帰分析法、PLS回帰分析法、独立成分分析法等の分析法を用いる。なお、測定対象の血管部位6が複数有る場合には、各血管部位6に係る吸光スペクトルを平均した平均吸光スペクトルから血糖値を算出する。成分値算出部326によって算出された血糖値は、測定時刻と対応付けて、測定血糖値データ422として蓄積記憶される。
記憶部400は、ROMやRAM、ハードディスク等の記憶装置であり、制御部300が血糖値測定装置10を統合的に制御するためのプログラムやデータ等を記憶しているとともに、制御部300の作業領域として用いられ、制御部300が実行した演算結果や、操作入力部110からの操作データ等が一時的に格納される。図1では、制御基板30に搭載されるメインメモリーや測定データ用メモリーがこれに該当する。また、記憶部400には、システムプログラム402と、血糖値測定プログラム404と、発光素子リスト406と、受光素子リスト408と、最適距離データ410と、生体画像データ414と、血管パターンデータ416と、血管部位データ418と、吸光スペクトルデータ420と、測定血糖値データ422とが記憶される。
A4.生体情報取得方法:
図13は、生体情報取得方法としての血糖値測定処理の流れを説明するフローチャートである。この処理は、制御部300が、血糖値測定プログラム404に従った処理を実行することで実現される。
図13は、生体情報取得方法としての血糖値測定処理の流れを説明するフローチャートである。この処理は、制御部300が、血糖値測定プログラム404に従った処理を実行することで実現される。
図13によれば、血糖値測定部310が、使用者の血糖値を測定する測定処理を行う。まず、血糖値測定部310の生体画像取得部314が、センサーモジュール50の発光面の全面(すなわち、全ての発光素子53を含む範囲)を発光範囲とし、発光範囲内の発光素子53を発光させて、使用者の生体画像を取得する(ステップP120)。続いて、血管パターン取得部316が、得られた生体画像に基づいて、皮膚面から見た血管パターンを取得する(ステップP130)。その結果、血管パターンが得られないならば(ステップP140:NO)、ステップP120に戻る。
血管パターンが得られたならば(ステップP140:YES)、血管部位選択部318が、得られた血管パターンに基づいて、所定の選択条件を満たす測定対象の血管部位6を選択する(ステップP150)。そして、測定用受発光部選択部320が、測定用発光部Ld及び複数の測定用受光部Sdを選択する(ステップP160)。次いで、測定用発光部Ldを発光させ(ステップP170)、複数の測定用受光部Sdにより複数の受光結果Qを得る(ステップP180)。
その後、受光結果選択部322が、複数の受光結果Qのうち、受光強度が最も大きい第1の受光結果Q1と受光強度が最も小さい第2の受光結果Q2とを選択する(ステップP190)。次いで、吸光スペクトル算出部324が、第1の受光結果Q1及び第2の受光結果Q2を用いて、当該血管部位6についての吸光スペクトルを生成する(ステップP220)。更に、測定対象の血管部位6が複数有る場合には、血管部位6毎の吸光スペクトルを平均した吸光スペクトルを算出する。
その後、成分値算出部326が、吸光スペクトルに基づいて、血液中のグルコース濃度すなわち血糖値を算出する(ステップP230)。そして、算出した血糖値を表示部120に表示させるとともに、測定時刻と対応付けて蓄積記憶する(ステップP240)。所定の待機時間の経過を待機した後(ステップP250)、ステップP120に戻り、同様に次回の血糖値の測定を行う。
A5.作用効果:
前述の通り、血管は非血管部よりも近赤外線を吸収し易いため、血管を透過した光の輝度は、血管を透過していない光の輝度と比較して低くなる。また、人体には、いたるところに毛細血管が通っている。本実施形態の生体情報取得装置10は、複数の受光結果のうち、(i)受光強度が最も大きい受光結果であり、血管に関連した生体情報をほとんど含まないと考えられる第1の受光結果Q1と、(ii)受光強度が最も小さい受光結果であり、血管に関連した生体情報を多く含むと考えられる第2の受光結果Q2とを用いて、生体情報を取得する。このため、生体情報取得装置10によれば、生体情報を精度よく取得できる。
前述の通り、血管は非血管部よりも近赤外線を吸収し易いため、血管を透過した光の輝度は、血管を透過していない光の輝度と比較して低くなる。また、人体には、いたるところに毛細血管が通っている。本実施形態の生体情報取得装置10は、複数の受光結果のうち、(i)受光強度が最も大きい受光結果であり、血管に関連した生体情報をほとんど含まないと考えられる第1の受光結果Q1と、(ii)受光強度が最も小さい受光結果であり、血管に関連した生体情報を多く含むと考えられる第2の受光結果Q2とを用いて、生体情報を取得する。このため、生体情報取得装置10によれば、生体情報を精度よく取得できる。
また、本実施形態の生体情報取得装置10において、生体の血管部位6の位置を特定下上で、複数の発光部Lのうち、血管部位6から第2の距離Xだけ離れた発光部Lが測定用発光部Ldとして選択される。このように、血管の位置を予め特定し、血管の位置に基づいて測定用発光部Ldが選択されることにより、血管に関連した生体情報を取得するのに適した発光部Lを測定用発光部Ldとして選択できるため、血管に関連した生体情報を精度良く取得することができる。
また、本実施形態の生体情報取得装置10において、制御部300は、受発光領域の一部の領域として、一定の形状及びサイズを有する発光領域R1を選択し、選択された発光領域R1内の複数の発光素子53を、測定用発光部Ldとして発光させる。このように、本実施形態における発光部Lは、複数の発光素子53から形成されている。このため、一つの発光部が一つの発光素子で形成されている場合と比較して、本実施形態の生体情報取得装置10は、十分な発光強度を得ることができる。この結果として、本実施形態の生体情報取得装置10によれば、生体情報を精度よく取得できる。
同様に、本実施形態の生体情報取得装置10において、制御部300は、受発光領域の一部の領域として、一定の形状及びサイズを有する受光領域R2を選択するとともに、選択された受光領域R2内の複数の受光素子59を、測定用受光部Sdとして受光させる。このように、本実施形態における受光部Sは、複数の受光素子59から形成されている。このため、一つの受光部が一つの受光素子で形成されている場合と比較して、本実施形態の生体情報取得装置10は、十分な受光量を得ることができる。この結果として、本実施形態の生体情報取得装置10によれば、生体情報を精度よく取得できる。
また、本実施形態の生体情報取得装置10において、一つの発光部Lが、より小さな複数の発光素子53の集合により形成されるので、発光部Lの位置を小さな発光素子53のピッチの単位で選択することができる。このため、本実施形態の生体情報取得装置10によれば、発光部Lを選択する自由度が向上する。
同様に、本実施形態の生体情報取得装置10において、一つの受光部Sが、より小さな複数の受光素子59の集合により形成されるので、受光部Sの位置を小さな受光素子59のピッチの単位で選択することができる。このため、本実施形態の生体情報取得装置10によれば、受光部Sを選択する自由度が向上する。
B.変形例:
この発明は前記実施例やその変形例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
この発明は前記実施例やその変形例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
B1.変形例1:
前記実施形態の生体情報取得装置において、制御部300は、互いに隣接する測定用受光部Sdの受光領域R2の一部が重なるように、複数の測定用受光部Sdを選択してもよい。このようにすることにより、複数の測定用受光部の各位置を受光素子のピッチの単位で選択することができるため、受光部を選択する自由度が向上する。この結果として、この形態の本実施形態の生体情報取得装置によれば、血管に関連した生体情報を精度良く取得することができる。
前記実施形態の生体情報取得装置において、制御部300は、互いに隣接する測定用受光部Sdの受光領域R2の一部が重なるように、複数の測定用受光部Sdを選択してもよい。このようにすることにより、複数の測定用受光部の各位置を受光素子のピッチの単位で選択することができるため、受光部を選択する自由度が向上する。この結果として、この形態の本実施形態の生体情報取得装置によれば、血管に関連した生体情報を精度良く取得することができる。
B2.変形例2:
前記実施形態では、発光部Lの選択後、発光部Lから所定距離W離れた受光部Sを選択している。しかし、本発明はこれに限られない。受光部Sの選択後、受光部Sから所定距離W離れた発光部Lを選択してもよい。
前記実施形態では、発光部Lの選択後、発光部Lから所定距離W離れた受光部Sを選択している。しかし、本発明はこれに限られない。受光部Sの選択後、受光部Sから所定距離W離れた発光部Lを選択してもよい。
B3.変形例3:
前記実施形態では、生体情報として血糖値を取得する。しかし、本発明はこれに限られない。生体情報として、例えば、使用者である生体の血液中の酸素飽和度を取得してもよい。血液中の酸素飽和度とは、赤血球中のヘモグロビンのうち、酸素と結合しているヘモグロビンの割合のことである。血液中のヘモグロビンは、酸素との結合の有無により赤色光と赤外光の吸光度が異なる。そこで、例えば、赤色光を発光若しくは受光する素子や、赤外光を発光若しくは受光する素子などのような発光波長及び受光波長を異ならせた素子を複数組用いることにより、酸素飽和度を取得することができる。
前記実施形態では、生体情報として血糖値を取得する。しかし、本発明はこれに限られない。生体情報として、例えば、使用者である生体の血液中の酸素飽和度を取得してもよい。血液中の酸素飽和度とは、赤血球中のヘモグロビンのうち、酸素と結合しているヘモグロビンの割合のことである。血液中のヘモグロビンは、酸素との結合の有無により赤色光と赤外光の吸光度が異なる。そこで、例えば、赤色光を発光若しくは受光する素子や、赤外光を発光若しくは受光する素子などのような発光波長及び受光波長を異ならせた素子を複数組用いることにより、酸素飽和度を取得することができる。
B4.変形例4:
前記実施形態では、発光部L及び受光部Sの選択(ステップP160)の後、発光部Lの発光を行う(ステップP170)。しかし、本発明はこれに限られない。発光部Lの発光後に、受光部Sの選択を行っても良い。
前記実施形態では、発光部L及び受光部Sの選択(ステップP160)の後、発光部Lの発光を行う(ステップP170)。しかし、本発明はこれに限られない。発光部Lの発光後に、受光部Sの選択を行っても良い。
B5.変形例5:
前記実施形態では、発光部Lを複数備え、血管の位置に応じて測定用発光部Ldを選択するが、本発明は、これに限られず、発光部Lは、一つでも良く、また、血管の位置にかかわらず、所定の位置に発光部を設けても良い。
前記実施形態では、発光部Lを複数備え、血管の位置に応じて測定用発光部Ldを選択するが、本発明は、これに限られず、発光部Lは、一つでも良く、また、血管の位置にかかわらず、所定の位置に発光部を設けても良い。
B6.変形例6:
前記実施形態では、受光強度が最も大きい第1の受光結果Q1と、受光強度が最も小さい第2の受光結果Q2を選択するが、本発明はこれに限らず、上位5位程度の受光強度が大きな受光結果を第1の受光結果Q1とし、下位5位程度の受光強度が小さな受光結果を第2の受光結果Q2としても良い。受光強度が最も大きい受光結果と受光強度が最も小さい受光結果を避けることで、ノイズデータの選択を防止することができる。
前記実施形態では、受光強度が最も大きい第1の受光結果Q1と、受光強度が最も小さい第2の受光結果Q2を選択するが、本発明はこれに限らず、上位5位程度の受光強度が大きな受光結果を第1の受光結果Q1とし、下位5位程度の受光強度が小さな受光結果を第2の受光結果Q2としても良い。受光強度が最も大きい受光結果と受光強度が最も小さい受光結果を避けることで、ノイズデータの選択を防止することができる。
なお、前述した各実施例および各変形例における構成要素の中の、独立請求項で記載された要素以外の要素は、付加的な要素であり、適宜省略可能である。
1…発光素子、2…使用者、4…対象血管、5a…分岐・合流部分、5b…画像端部、6…血管部位、8…非血管領域、10…生体情報取得装置、10A…生体情報取得装置、12…本体ケース、14…固定バンド、16…タッチパネル、18…操作スイッチ、20…通信装置、22…メモリーカード、24…リーダーライター、26…バッテリー、30…制御基板、50…センサーモジュール、52…発光層、53…発光素子、54…遮光層、56…分光層、58…受光層、59…受光素子、60…発光範囲、110…操作入力部、120…表示部、130…音出力部、140…通信部、210…照射部、220…撮像部、300…制御部、310…血糖値測定部、314…生体画像取得部、316…血管パターン取得部、318…血管部位選択部、320…測定用受発光部選択部、322…受光結果選択部、324…吸光スペクトル算出部、326…成分値算出部、342…照射制御部、344…撮像制御部、400…記憶部、402…システムプログラム、404…血糖値測定プログラム、406…発光素子リスト、408…受光素子リスト、410…最適距離データ、414…生体画像データ、416…血管パターンデータ、418…血管部位データ、418a…血管部位ID、418b…部位ピクセルリスト、418c…中心線位置情報、418d…部位長、418e…測定用発光部データ、418f…測定用受光部データ、420…吸光スペクトルデータ、422…測定血糖値データ、L…発光部、Ld…測定用発光部、O…光強度、Or…光強度、Os…光強度、P4…血管パターン、Q1…第1の受光結果、Q2…第2の受光結果、R1…発光領域、R2…受光領域、S…受光部、Sd(S0〜S6)…測定用受光部、T…透過率、W…距離、X…距離
Claims (8)
- 生体情報取得装置であって、
生体へ光を照射する発光部と、
前記生体を透過した光を受光する複数の受光部と、
前記発光部と前記受光部とを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記発光部を測定用発光部として発光させ、前記測定用発光部から照射された光を、前記複数の受光部のうち、前記測定用発光部から第1の距離だけ離れた複数の測定用受光部に受光させることにより複数の受光結果を取得し、
前記複数の受光結果のうち、受光強度が最も大きい第1の受光結果と、受光強度が最も小さい第2の受光結果とを用いて、生体情報を取得する、生体情報取得装置。 - 請求項1に記載の生体情報取得装置であって、
前記発光部を複数備え、
前記制御部は、
前記複数の発光部の少なくとも一つを発光させることにより前記生体の血管の位置を特定し、
前記複数の発光部のうち、前記血管から第2の距離だけ離れた発光部を前記測定用発光部として選択する、生体情報取得装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の生体情報取得装置であって、
受発光領域内において、それぞれ規則的に配列された複数の発光素子及び複数の受光素子を有するセンサーモジュールを備え、
前記制御部は、
前記受発光領域の一部の領域として、一定の形状及びサイズを有する発光領域を選択し、前記発光領域内の複数の発光素子を前記測定用発光部として発光させる、生体情報取得装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の生体情報取得装置であって、
受発光領域内において、それぞれ規則的に配列された複数の発光素子及び複数の受光素子を有するセンサーモジュールを備え、
前記制御部は、
前記受発光領域の一部の領域として、一定の形状及びサイズを有する受光領域を選択し、前記受光領域内の複数の受光素子を前記受光部として受光させる、生体情報取得装置。 - 請求項4に記載の生体情報取得装置であって、
前記制御部は、互いに隣接する前記測定用受光部の受光領域の一部が重なるように、前記複数の測定用受光部を選択する、生体情報取得装置。 - 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の生体情報取得装置であって、
前記生体情報は、前記生体の血液中のグルコース濃度を含む、生体情報取得装置。 - 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の生体情報取得装置であって、
前記生体情報は、前記生体の血液中の酸素飽和度を含む、生体情報取得装置。 - 生体へ光を照射する発光部と、前記生体を透過した光を受光する複数の受光部と、を備える生体情報取得装置により生体情報を取得する生体情報取得方法であって、
前記発光部を測定用発光部として発光させ、前記測定用発光部から照射された光を、前記複数の受光部のうち、前記測定用発光部から第1の距離だけ離れた複数の測定用受光部に受光させることにより複数の受光結果を取得する工程と、
前記複数の受光結果のうち、受光強度が最も大きい第1の受光結果と、受光強度が最も小さい第2の受光結果とを用いて、生体情報を取得する工程と、を備える、生体情報取得方法。
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