JP2017134961A - ラミネート型蓄電素子およびラミネート型蓄電素子の実装方法 - Google Patents

ラミネート型蓄電素子およびラミネート型蓄電素子の実装方法 Download PDF

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Abstract

【課題】熱圧着工程によって電極体が損傷することがなく、かつ電極端子間の短絡を確実に防止できるラミネート型蓄電素子を提供する。【解決手段】扁平袋状に成形された外装体11内にシート状の正極20と負極30がセパレーター40を介して積層された電極体10が電解液とともに密封されているとともに、正極と負極のそれぞれの電極端子板(23、33)が外装体の外方に導出されてなるラミネート型蓄電素子1aであって、電極端子板は外装体の所定の縁辺13から同方向に導出され、外装体の一主面を周回する周縁領域の前記所定の縁辺側に、基体となる絶縁性の耐熱フィルム16aの表面に熱圧着によって溶融する接着剤16bが積層されてなるフィルム部材16が電極端子板の先端までを覆って取り付けられ、フィルム部材16の接着剤は外装体11への取り付け領域では硬化状態にあり、前記縁辺から外装体の外方に突出する領域17では未硬化の状態にある。【選択図】図6

Description

本発明はラミネートフィルムからなる外装体内に発電要素を収納してなるラミネート型蓄電素子と、当該蓄電素子の実装方法に関する。
一次電池、二次電池、電気二重層コンデンサーなどの蓄電素子の形態として、ラミネートフィルムからなる扁平袋状の外装体内に平板状の電極体を電解液とともに密封したラミネート型蓄電素子がある。ラミネート型蓄電素子は大容量化と小型薄型化の双方を両立し易く放熱性能にも優れることから、従前から電気自動車やハイブリッドカーなどの駆動用電源として利用されている。また近年では、小型薄型化が容易であるとの特徴を活かして、ワンタイムパスワード機能やディスプレイを搭載したICカード、ディスプレイ付きのICカード、あるいはタグやトークン(ワンタイムパスワード生成機)など、電源を内蔵しながら極めて薄型の電子機器(以下、薄型電子機器)の電源としてラミネート型蓄電素子が使用されるようになってきた。とくにICカードの規格に準拠したカード型の電子機器(カード型電子機器)では、その外形寸法が規格によって規定されており、薄さは0.76mmと極めて薄い。そのためラミネート型蓄電素子はカード型電子機器の電源として必要不可欠なものとなった。
図1に一般的なラミネート型蓄電素子を示した。図1(A)はラミネート型蓄電素子1の外観図であり、図1(B)は当該蓄電素子1の内部構造の概略を示す分解斜視図である。ラミネート型蓄電素子1は、図1(A)に示したように平板状の外観形状を有し、ラミネートフィルムが扁平な矩形袋状に成形されてなる外装体11内に発電要素が密封されている。またここに示したラミネート型蓄電素子1では、正極端子板23および負極端子板33の先端部分(24、34)が矩形の外装体11の一辺13から同方向に導出されている。
つぎに図1(B)を参照しつつラミネート型蓄電素子1の概略構造について説明する。なお図1(B)では一部の部材や部位にハッチングを施し、他の部材や部位と区別しやすいようにしている。この図1(B)に示したように、外装体11内には、シート状の正極20とシート状の負極30がセパレーター40を介して積層されてなる電極体10が電解液とともに封入されている。正極20は金属板や金属箔からなる正極集電体21の一主面に正極活物質を含んだ正極材料22を配置したものであり、負極30は金属板や金属箔などからなる負極集電体31の一主面に負極活物質を含んだ負極材料32を配置したものである。そして電極体10は、正極20と負極30をそれぞれの電極材料(22、32)が対面するように、セパレーター40を介して積層、圧着(あるいはセパレーター40に溶着)されたものである。またこの例では正極20と負極30のそれぞれの電極集電体(21、31)に帯状の金属板や金属箔などからなる電極端子板(23、33)が取り付けられており、さらにその電極端子板(23、33)としてタブリード2を用いている。周知のごとく、タブリード2は実質的な電極端子板(23、33)である金属板や金属箔などからなる帯状の端子リード3の延長途上に、絶縁樹脂製のシール剤(以下、タブフィルム4)が当該端子リード3を狭持するように接着された構造を有している。そして端子リード3の一方の端部5が正極端子板23および負極端子板33の先端部分(24、34)として外装体11の外側に露出し、他方の端部は正極集電体21および負極集電体31の一部に超音波溶着などの方法によって接続されている。
外装体11は、互いに重ね合わせた矩形状の二枚のラミネートフィルム(11a、11b)において図中網掛けのハッチングまたは点線の枠で示した周縁領域12が熱圧着法により溶着されて内部が密閉されたものである。ラミネートフィルム(11a、11b)は、周知のごとく、アルミ箔などからなる基材の表裏に1層以上の樹脂層が積層された構造となっており、一般的には、一方の面に例えばポリアミド樹脂などからなる保護層が積層され、他方の面には例えばポリプロピレンなどの熱溶着性を有する接着層が積層された構造を有している。そしてラミネート型蓄電素子を組み立てる際には、接着層側を内面として2枚のラミネートフィルム(11a、11b)を対面させ、その2枚のラミネートフィルム間(11a−11b)に電極体10を配置する。そして互いに対面するラミネートフィルム(11a、11b)の周縁領域12を熱圧着して扁平袋状の外装体11に成形する。なおこの熱圧着に際し、外装体11の周縁領域12において電極端子板(23、33)が突出する側の縁辺13ではタブリード2のタブフィルム4をラミネートフィルム(11a、11b)とともに熱溶着する。それによって当該縁辺13では端子リード3に溶着されているタブフィルム4がラミネートフィルム(11a、11b)の接着層に溶着される。
ところでラミネート型蓄電素子は、電子機器の電源として使用されることから、そのラミネート型蓄電素子を電子機器に内蔵させる際には、電極端子板を電子機器における電子回路に接続する必要がある。すなわちラミネート型蓄電素子を電子回路の基板(回路基板)に実装する必要がある。ラミネート型蓄電素子の実装方法としては、半田付けや超音波溶着などがあるが、半田付けは半田の厚さを制御することが難しく、例えば上述したカード型電子機器にラミネート型蓄電素子を使用する場合、実装領域に半田が厚く盛られ、ラミネート型蓄電素子をカード型電子機器に内蔵できなくなる可能性がある。超音波溶着では電極端子板自体を回路基板における所定の印刷配線部分に直接溶着させるため、実装領域における厚さが問題となることがない。しかしながら超音波溶着は、摩擦熱によって電極端子板と印刷配線との接触面が溶融する大きなエネルギーで超音波振動させているため、電極端子板が薄い金属箔などで形成されている場合にはその電極端子板が破損したり、場合によっては切断したりする可能性がある。そこでラミネート型蓄電素子の実装方法として、異方導電膜(以下、ACFとも言う)を用いた方法が広く採用されるようになった。周知のごとくACFは一定の厚さを有するフィルム状で、厚さ方向にのみ導電性を有する実装用部品である。
図2は図1に示したラミネート型蓄電素子1をACFを用いて電子回路基板に実装する方法を示す概略図であり、図2(A)〜(D)にその実装手順を示した。なお図2では図1(A)におけるa−a矢視断面の拡大図であり、電極端子板(23、33)近傍の領域を簡略化して示している。まず図2(A)に示したように、組立済みのラミネート型蓄電素子1では、電極端子板(23、34)の先端側(24、34)が外装体11の外方に導出されており、図中紙面奥行き方向には正極端子板23と負極端子板33とが離間して配置されている。そして図2(B)に示したように、その正極20と負極30の電極端子板(23、33)の先端側(24、34)の一方の面(以下、実装面50とも言う)とフレキシブルプリント回路基板(FPC)などの電子回路を構成する回路基板60に印刷配線として形成されている給電用端子パッド61との間に1枚のACF70を介在させる。すなわち電極端子板(23、33)の双方に紙面奥行き方向に延長する1枚のACF70を架け渡す。ここで図中に示したように、電極端子板(23、33)の実装面50を下面として電極端子板(23、33)における相対的な上下方向を規定すると、図2(C)に示したように、電極端子板(23、33)の上面(以下、背面51とも言う)から例えばヒーターを内蔵したブロック状の治具80を用いて熱圧着する。それによって図2(D)に示したように正負両極の電極端子板(23、33)と回路基板60上の給電用端子パッド61とが1枚のACF70を介して接続される。このようにACFを用いた実装方法では、実装領域の厚さを一定することができ、超音波溶着のように電極端子板を振動させる必要がないので電極端子板が破損することがない。そして熱圧着工程によって十分に大きな接続強度と十分に小さな接続抵抗とによってラミネート型蓄電素子を回路基板に実装することができる。なおACFの構造やACFを用いた実装方法などについては、例えば以下の非特許文献1に記載されている。またラミネート型蓄電素子の構造などについては、例えば以下の特許文献1に記載されている。そして以下の非特許文献1には実際に市販されているラミネート型蓄電素子である薄型リチウム電池の特徴や放電性能などが記載されている。
特開2006−281613号公報
FDK株式会社、"薄型リチウム一次電池"、[online]、[平成28年1月4日検索]、インターネット<URL:http://www.fdk.co.jp/battery/lithium/lithium_thin.html>
ラミネート型蓄電素子をACFを用いて電子回路に実装する場合、図2に示した上下方向に従えば、電極端子板の上方から治具を押し当ててACFを介して電極端子板を回路基板に接続している。すなわち熱伝導性に優れた金属からなる電極端子板を介してACFを加熱し、ACFを回路基板上の端子パッドなどに熱溶着させている。そして熱圧着工程において電極端子板の上面に接触する治具は200℃にまで達することがある。そのためその治具の熱が電極端子板を介して外装体内部の電極体に伝わり、所謂温度ショックによって電極体を損傷させる可能性がある。とくにカード型電子機器に代表される小型で薄い電子機器の電源として使用されるラミネート型蓄電素子ではACFを熱圧着する際の治具の熱が電極端子板を介して外装体内部の小さな電極体の全域に短時間で伝わってしまい、電極体を損傷させてしまう可能性が高くなる。
そこで上記非特許文献2にも記載されているように、外装体を構成する2枚のラミネートフィルムの一方を電極端子板の先端領域まで延長させたサポートタイプと呼ばれるラミネート型蓄電素子がある。図3に当該サポートタイプのラミネート型蓄電素子1sを示した。なお以下では、図2と同様に電極端子板(23、33)における実装面50を下方として上下方向を規定するとともに、電極端子板(23、33)の導出方向を前方として前後の各方向を規定することとする。上下前後の各方向に直交する方向を左右方向として、左と右の各方向は前方から後方を見たときの方向に基づいて図中に示したように規定することとする。図3(A)はサポートタイプのラミネート型蓄電素子1sを上方から見たときの外観図であり、図3(B)は当該サポートタイプのラミネート型蓄電素子1sを下方から見たときの斜視図である。そして図3(C)は図3(A)におけるb−b矢視断面における電極端子板(23、33)近傍を拡大した図である。
図3(A)〜(C)に示したように、サポートタイプのラミネート型蓄電素子1sは、互いに対面するラミネートフィルム(11a、11b)のそれぞれにおいて、電極端子板(23、33)が導出されている前縁辺(13a、13b)の位置が異なっている。図3に示した例では、下方のラミネートフィルム11bについては、図1に示した一般的なラミネート型蓄電素子1と同様に、その前縁辺13bが電極端子板(23、33)の導出位置にあるが、上方のラミネートフィルム11aの前縁辺13aは、電極端子板(23、33)の全形成領域を覆う位置にある。すなわち上方のラミネートフィルム11aは、左右の縁辺14の長さが電極端子板(23、33)の全形成領域を覆う位置にまで延長し、下方のラミネートフィルム11bの前縁辺13bに対して電極端子板(23、33)の背面51を一括して覆う矩形の領域(以下、サポートタブ15とも言う)が形成されている。このサポートタイプのラミネート型蓄電素子1sを実装する際には、図4に示したように、サポートタブ15の上方から電極端子板(23、33)とACF70を熱圧着する。それによって電極端子板(23、33)に治具80が直接触れず、電極端子板(23、33)の温度が急激に上昇せず、電極体10の損傷を防止することができる。
ところでサポートタブ15はラミネートフィルム11aの一部であり、電極端子板(23、33)の背面51と対面する側には熱によって溶融する接着層が形成されている。そして熱圧着時にはサポートタブ15の接着層が電極端子板(23、33)の背面51に接触するとともに、金属からなる電極端子板(23、33)に熱が集中する。そのためサポートタブ15の接着層は、熱圧着時に電極端子板(23、33)に接触する領域が他の領域よりも溶融が進み、接着層の溶融がラミネートフィルム11aの基体である金属箔の表層にまでおよぶ可能性もある。ラミネートフィルム11aの接着層が電極端子板(23、33)の背面51と接触する領域で金属箔の表層まで溶融すれば、当然のことながら正極20と負極30の電極端子板間(22−23)で短絡を起こす。
そこで本発明は、熱圧着工程によって電極体が損傷することがなく、かつ電極端子間の短絡を確実に防止できるラミネート型蓄電素子、およびそのラミネート型蓄電素子の実装方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するための本発明は、扁平袋状に成形された外装体内にシート状の正極と負極がセパレーターを介して積層された電極体が電解液とともに密封されているとともに、正極と負極のそれぞれの電極端子板が前記外装体の外方に導出されてなるラミネート型蓄電素子であって、
前記正極と負極の電極端子板は、前記外装体の所定の縁辺から同方向に導出され、
前記外装体の一主面を周回する周縁領域において、前記所定の縁辺側に当該縁辺に沿いつつ電極端子板の先端までを覆うフィルム部材が取り付けられ、
前記フィルム部材は、基体となる絶縁性の耐熱フィルムの表面に熱圧着によって溶融する接着剤が積層されてなり、
前記フィルム部材の前記接着剤は、前記外装体に取り付けられている領域では硬化状態にあって当該外装体に溶着され、前記所定の縁辺から外装体の外方に突出する領域では未硬化の状態にある、
ことを特徴とするラミネート型蓄電素子としている。そして前記ラミネート型蓄電素子は、電子回路と電源を内蔵したカード型電子機器の前記電源として使用されることとすればより好適である。
また本発明の範囲には上記ラミネート型蓄電素子の実装方法も含んでおり、当該実装方法は、
前記電極端子板において、前記フィルム部材と対面する面を上面として、
前記電子電極端子板の下面に異方導電膜と回路基板とをこの順に積層するステップと、
前記フィルム部材において前記外装体より突出する領域の上面を下方に向けて熱圧着することで、電極端子板と前記フィルム部材の下面を前記回路基板に接着するステップと、
を含むことを特徴とするラミネート型蓄電素子の実装方法としている。
本発明のラミネート型蓄電素子によれば、熱圧着技術を用いて回路基板に実装する際に電極体の損傷を防止でき、かつ電極端子間の短絡を確実に防止することができる。また本発明のラミネート型蓄電素子の実装方法によれば、本発明のラミネート型蓄電素子の実装状態での信頼性を向上させることができる。なおその他の効果については以下の記載で明らかにする。
一般的なラミネート型蓄電素子の例を示す図である。 ACFを用いたラミネート型蓄電素子の実装手順を示す図である。 サポートタイプのラミネート型蓄電素子を示す図である。 サポートタイプのラミネート型蓄電素子の実装方法を示す図である。 本発明の実施例に係るラミネート型蓄電素子の外観を示す図である。 本発明の実施例に係るラミネート型蓄電素子の構造を示す図である。 本発明の実施例に係るラミネート型蓄電素子の実装方法を示す図である。 本発明の実施例に係るラミネート型蓄電素子の実装状態を示す図である。
本発明の実施例について、以下に添付図面を参照しつつ説明する。なお以下の説明に用いた図面において、同一または類似の部分に同一の符号を付して重複する説明を省略することがある。ある図面において符号を付した部分について、不要であれば他の図面ではその部分に符号を付さない場合もある。
===実施例===
本発明の実施例に係るラミネート型蓄電素子(以下、蓄電素子)の内部構造は図1(B)に示した蓄電素子1aと同じである。しかしサポートタブに替わる特殊な構成を備えて熱圧着工程による電極体の損傷を防止しつつ、当該特殊な構成によって電極端子間の短絡も防止することができるようになっている。図5と図6に本発明の実施例に係るラミネート型蓄電素子(以下、蓄電素子1aとも言う)を示した。なお以下では、図3と同様にして上下前後左右の各方向を規定することとする。図5(A)は蓄電素子1aを上方から見たときの外観図であり、図5(B)は下方から見たときの外観図である。また図6(A)は図5(A)におけるc−c矢視断面の前方側を拡大した図であり、図6(B)は、図6(A)の円100内を拡大した図である。
図5(A)、(B)に示したように、蓄電素子1aの外観は一見すると図3に示したサポート型のラミネート型蓄電素子1sと同様であるが、ラミネートフィルム(11a、11b)とは別体の矩形状のフィルム部材(以下、サポートフィルム16とも言う)がサポートタブ15に対応する領域にわたって配置されている。概略的には先に図1に示したサポートタブがない一般的な蓄電素子1と同様の構造を有する蓄電素子本体1を備え、その蓄電素子本体1の外装体11の周縁領域12において、電極端子板(23、33)が導出されている前縁辺13側にサポートフィルム16が接着されている。この例では、図6(A)に示したように、矩形のサポートフィルム16の後縁辺側が上方のラミネートフィルム11aの前縁辺13に沿って接着されている。またサポートフィルム16は、図6(B)に拡大して示したように、熱圧着時の熱によって溶融しない絶縁性の耐熱フィルム16aを基体として、その耐熱フィルム16aの一主面に熱硬化型の接着剤の層(以下、接着フィルム層16bとも言う)が形成された構造を有している。本実施例で採用したサポートフィルム16は、厚さD=50μmで、ポリイミド系樹脂からなる230℃以上の温度でも溶融しない耐熱フィルム16aの一主面に約150℃の温度で溶融するエポキシ系接着剤からなる接着フィルム層16bが形成されたものである。またサポートフィルム16は、接着フィルム層16bが耐熱フィルム16aに対して電極端子板(23、33)の背面51側に配置されており、外装体11に接触している領域ではその接着フィルム層16bが硬化状態にあって外装体11に強固に接着されている。外装体11から突出する領域17では未硬化の状態となっており、この未硬化の領域(以下、サポート領域17)は電極端子板(23、33)の背面51とはラミネートフィルム11aの厚さ分の間隙を有して離間している。なおサポートフィルム16を組立済みの蓄電素子本体1に接着する手順としては、接着フィルム16b層を下方に向けた状態のサポートフィルム16を、電極端子板(23、33)の背面51を覆いつつ、かつ外装体11における前縁辺13の周縁領域12に沿うように積層し、その積層部分を耐熱フィルム16aの上方から熱圧着すればよい。
また本実施例の蓄電素子1aを回路基板に実装する方法については、基本的には図3(C)に示したサポートタイプの蓄電素子1sの実装方法と同じである。すなわち図7に示したように、電極端子板(23、33)の下方にACF70と回路基板60とをこの順に積層し、サポートフィルム16におけるサポート領域17の上方からヒーターを内蔵した治具80を用いて熱圧着すればよい。
このように本実施例の蓄電素子1aでは、絶縁体からなるサポートフィルム16を備え、熱圧着工程に際してはこのサポートフィルム16を介して熱が電極端子板(23、33)とその下面50に積層されているACF70に伝わる。そのため電極端子板(23、33)の温度が急激に上昇せず、外装体11内の電極体10の損傷を防止することができるとともに、従来のサポートタイプのラミネート型蓄電素子で問題となっていた短絡が原理的に発生しない。
===短絡について===
上述したように実施例に係る蓄電素子は、熱圧着時の電極体の破損を防止するというサポートタイプのラミネート型蓄電素子と同様の効果に加え、当該サポートタイプのラミネート型蓄電素子において問題となっていた短絡も発生しないという効果を奏するものである。そこで本実施例の蓄電素子では熱圧着工程に起因する短絡が発生しないことを確認するために、本実施例に係る蓄電素子(以下、実施例)と従来のサポートタイプのラミネート型蓄電素子(以下、比較例)をサンプルとして、各サンプルを多数個作製した。なお比較例に係るサンプルは、上記非特許文献2に製品として記載されているサポートタイプのラミネート型のリチウム一次電池(例えば、FDK株式会社、CF052039型)であり、実施例に係るサンプルはサポートタブに代えてサポートフィルムを備えているだけで蓄電素子としての構成は全く同じである。そして全個体を同じ条件(例えば、治具の温度170℃、圧力3MPa、時間8秒)で回路基板に実装した。そして実装前後での正極と負極の端子間の電圧を測定し、電圧降下の有無を確認した。そして比較例に係るサンプルでは42%の個体に電圧降下が発生し、一方実施例に係るサンプルでは電圧が降下した個体が一つも発生しなかった。
===実装の信頼性について===
ところで実施例に係る蓄電素子では、サポートフィルムにおけるサポート領域の接着フィルム層が実装前では未硬化の状態であり、実装時にそのサポート領域が熱圧着されることで溶融する。その熱圧着の過程では、まず当該サポート領域が下方に付勢されるとともに、当該サポート領域において電極端子板に対面する領域では接着フィルム層が当該電極端子板の背面に接触する。そしてその電極端子板をACFを介して回路基板上に押さえつけつつ溶融する。それによって、サポート領域の接着フィルム層は電極端子板と対面する領域では当該電極端子板の背面に接着され、電極端子板はACFを介して回路基板の端子バッド上に接着される。また接着フィルム層は、ACFが介在していない領域では回路基板の上面に接着する。すなわち電極端子板の周囲ではサポートフィルムも回路基板に接着している。そのため本実施例の蓄電素子では、熱圧着による電極体の損傷や短絡を防止できる効果に加え、実装状態での信頼性を向上させることが容易に予想される。図8にこの実装状態における信頼性を説明するための図を示した。ここでは実装状態にある蓄電素子1aを、図7におけるd−d矢視断面に対応する図によって示している。この図8に示したように、サポートフィルム16の下面18において、電極端子板(23、33)やACF70と対面していない領域では、当該下面18が回路基板60の上面62に直接接着される。そのためサポートフィルム16が電極端子板(23、33)を上方から押さえつけた状態で回路基板60に強固に固定され、外部からの衝撃などによって電極端子板(23、33)が回路基板60から外れることを防止することができる。なお図8では電極端子板(23、33)、ACF70、回路基板60などの部材、あるいは回路基板60における端子パッド61などの部位の厚さを誇張して示しているが、当該蓄電素子1aが厚さ1mm以下のカード型電子機器にも内蔵可能なことを考えれば明らかなように、これらの部材や部位は実際には極めて薄く、厚くても100μm程度である。したがってサポートフィルム16は熱圧着工程後もほぼ平坦性を維持したまま、接着フィルム層16bが回路基板60の上面62に接触した状態となる。いずれにしても本実施例の蓄電素子では実装状態での信頼性が向上し、とくに撓み易く繰り返して撓まされるカード型電子機器の電源として使用される場合において、その信頼性は絶大なものとなる。
===その他の実施例===
サポートフィルムの接着フィルム層を構成する樹脂材料は、熱硬化樹脂に限らず熱可塑性樹脂であってもよい。もちろん樹脂材料としては、エポキシ系樹脂に限らず、ポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、合成ゴム系樹脂、シリコン系樹脂など、適宜なものを採用することができる。
本発明の実施例に係る蓄電素子の内部構造は、図1(B)に概略図として示したものとは異なる構成や構造である場合もある。例えば電極端子板を端子リードのみで形成してもよい。あるいは電極集電体において電極材料が塗布される領域から帯状に突出する領域を一体的に形成して、その帯状の領域の先端を外装体外に導出させてもよい。すなわち芯体と呼ばれる電極集電体そのものが電極端子板を兼ねていてもよい。なお当然のことながら、本発明は積層構造を有する平板状の電極体をラミネートフィルムからなる外装体内に密封した構造であれば、リチウム一次電池限らず、様々な種類のラミネート型蓄電素子(リチウム二次電池、電気二重層コンデンサーなど)に適用することができる。
1 サポートタブがないラミネート型蓄電素子(蓄電素子本体)、
1a 本発明の実施例に係るラミネート型蓄電素子、
1s サポートタイプのラミネート型蓄電素子、
11 外装体、11a,11b ラミネートフィルム、12 周縁領域、
13,13a,13b 電極端子が導出している側の外装体の縁辺(前縁辺)、
15 サポートタブ、16 サポートフィルム、16a 耐熱フィルム、
16b 接着フィルム層、17 サポート領域、20 正極、21 正極集電体、
22 正極材料、23 正極端子板、24、正極端子部の先端部分、30 負極、
31 負極集電体、32 負極材料、33 負極端子板、34 負極端子板の先端部分、
40 セパレーター、50 電極端子板の下面(実装面)、51 電極端子板の上面、
60 回路基板、61 回路基板の給電用端子パッド、70 異方導電膜(ACF)、
80 熱圧着用の治具

Claims (3)

  1. 扁平袋状に成形された外装体内にシート状の正極と負極がセパレーターを介して積層された電極体が電解液とともに密封されているとともに、正極と負極のそれぞれの電極端子板が前記外装体の外方に導出されてなるラミネート型蓄電素子であって、
    前記正極と負極の電極端子板は、前記外装体の所定の縁辺から同方向に導出され、
    前記外装体の一主面を周回する周縁領域において、前記所定の縁辺側に当該縁辺に沿いつつ電極端子板の先端までを覆うフィルム部材が取り付けられ、
    前記フィルム部材は、基体となる絶縁性の耐熱フィルムの表面に熱圧着によって溶融する接着剤が積層されてなり、
    前記フィルム部材の前記接着剤は、前記外装体に取り付けられている領域では硬化状態にあって当該外装体に溶着され、前記所定の縁辺から外装体の外方に突出する領域では未硬化の状態にある、
    ことを特徴とするラミネート型蓄電素子。
  2. 請求項1において、電子回路と電源を内蔵したカード型電子機器の前記電源として使用されることとを特徴とするラミネート型蓄電素子。
  3. 請求項1または2に記載の前記ラミネート型蓄電素子の実装方法であって、
    前記電極端子板において、前記フィルム部材と対面する面を上面として、
    前記電子電極端子板の下面に異方導電膜と回路基板とをこの順に積層するステップと、
    前記フィルム部材において前記外装体より突出する領域の上面を下方に向けて熱圧着することで、電極端子板と前記フィルム部材の下面を前記回路基板に接着するステップと、
    を含むことを特徴とするラミネート型蓄電素子の実装方法。
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