JP2017133846A - 生体成分検出キット及び生体成分検出システム - Google Patents

生体成分検出キット及び生体成分検出システム Download PDF

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英子 小池
礼子 町田
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礼子 町田
久子 高木
Hisako Takagi
久子 高木
佳彦 梅香家
Yoshihiko Umegaya
佳彦 梅香家
貴男 横山
Takao Yokoyama
貴男 横山
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Abstract

【課題】簡易な構成で多段階の処理ができる小型の生体成分検出キットを提供する。
【解決手段】生体成分検出キットは、センサチップ2と、センサチップ2が接続可能であり所定の成分を検出可能な検出器50とを備え、センサチップ2は、ベース部材10と、電極系20と、スライド部材30と、支持部40と、ベース部材10上に配された前処理試薬13と、を備え、検出器50は、ベース部材10と係合してベース部材10を保持可能な保持部51と、スライド部材30に係合してベース部材10に対してスライド部材30をスライド移動させる移動部55と、電極系20において所定の成分を検出する検出回路と、を備える生体成分検出キットである。
【選択図】図23

Description

本発明は、生体成分検出キット及び生体成分検出システムに関する。
近年、糖尿病患者の血糖コントロール状態を把握するためのマーカーとして、1,5−アンヒドログルシトール(以下、「1,5−AG」と称する。)が注目されている。1,5−AGは、食事の影響を受けにくい、過去1週間程度の比較的短期間の血糖コントロール状態を反映する等の利点を有している。
例えばヒトの全血を試料として1,5−AGを検出するためには、1,5−AGの検出を阻害する物質を全血試料から除去した後に1,5−AGの検出を行うという多段階の処理を行うことがある。
試料に対して多段階の処理を行うための検出デバイスとして、例えば特許文献1には血液中の糖タンパク質の濃度を検出するための2段階の反応を行うバイオセンサが記載されている。このバイオセンサは、毛細管現象によって試料を吸い上げる吸引空洞と、試料に対して酵素反応を行う分析空洞と、吸引空洞と分析空洞とを繋ぐ流路とを有しており、吸引空洞には前処理試薬が固定化されている。このバイオセンサでは、毛細管現象によって吸引空洞に試料が吸引されると吸引空洞において前処理が行われ、前処理が終了した試料が遠心力によって吸引空洞から分析空洞へ移動されることで酵素反応が行われる。
また、特許文献2には、試料供給位置に供給された試料を電極系まで移動させるスライド部材を使用することにより前処理反応を含む二段階の反応をさせることができる検出デバイスが開示され、スライド部材をスライドさせる移動機構の例示がされている。
特開2008−20287号公報 国際公開第2011/108576号
しかしながら、特許文献1に記載のバイオセンサでは、吸引空洞から分析空洞へ遠心力によって試料を移動させるため、このバイオセンサを取り付けて高速回転させる回転台が必要であり、バイオセンサを用いて検査を行う検査機器の装置構成が複雑であった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、簡易な構成で多段階の処理ができる小型の生体成分検出キット及び生体成分検出システムを提供することである。
本発明の一態様は、試料中の所定の成分の検出をするためのセンサチップと、前記センサチップが接続可能であり前記所定の成分を検出可能な検出器と、を備え、前記センサチップは、前記試料が供給される試料供給位置を面上に有するベース部材と、前記ベース部材の前記面上で前記試料供給位置と離間して形成された検出部と、前記ベース部材に対して前記面上で相対的にスライド移動するスライド体、及び前記スライド体の一部に設けられ前記試料を収容可能な試料収容部を有するスライド部材と、前記ベース部材に固定され、前記ベース部材に対して前記スライド移動可能に前記スライド部材を支持する支持部と、前記試料収容部と前記試料供給位置との少なくとも一方に配され、前記検出の妨げとなる妨害物質を除去、捕捉若しくは前記検出に影響しない別の物質に変換するための前処理において使用される前処理試薬と、を備え、前記ベース部材と前記スライド部材とは、前記試料収容部が前記検出部に重畳する重畳位置と前記試料供給位置とを含む範囲で前記スライド移動可能であり、前記検出器は、前記ベース部材と係合して前記ベース部材を保持可能な保持部と、前記スライド部材に係合して前記ベース部材に対して前記スライド部材を前記スライド移動させる移動部と、前記重畳位置に前記試料収容部があるときに前記検出部において前記所定の成分を検出する検出回路と、を備える生体成分検出キットである。
前記スライド部材は、前記ベース部材の面に交差する方向へ向かって前記スライド体の一部から突出する突起を有し、前記移動部は、前記ベース部材の面に平行な方向であって前記スライド部材の前記スライド移動方向に対して垂直な方向に延びる出力軸を有する回転駆動部と、前記出力軸に固定され前記出力軸の回転中心に交差する方向に長く前記突起に当接可能に前記回転駆動部により回転されるローターと、を有していてもよい。
前記検出器は、前記前処理試薬を用いた反応に好適な温度に維持可能な温度調整部と、前記試料供給位置が前記検出器から突出した突出位置と、前記試料供給位置が前記温度調整部に近接する温調位置との間で、前記センサチップを前記保持部とともに移動させるチップ進退部と、前記試料供給位置に前記試料が供給された後に前記チップ進退部により前記センサチップを前記突出位置から前記温調位置まで移動させ、前記温調位置に前記センサチップが位置してから前記前処理試薬を用いた規定の反応時間後に前記回転駆動部を回転動作させることによって前記試料収容部を前記試料供給位置から前記検出部まで移動させる移動制御回路と、を備えていてもよい。
前記センサチップは、前記試料供給位置に前記試料が供給されたことを検知するための供給センサを有し、前記移動制御回路は、前記供給センサに接続可能であって前記試料が前記試料供給位置に供給されたことを検知したときに前記チップ進退部の移動を可能としてもよい。
前記センサチップにおける少なくとも前記規定の反応時間を定義する情報が記憶され前記検出器に接続可能なキーをさらに備え、前記検出器は、前記情報を読み出し可能に前記キーと接続可能なコネクタと、前記コネクタに接続され前記情報に基づいて前記検出器の動作を制御する制御部と、を備えてもよい。
前記検出器は、前記保持部に前記センサチップが係合していない状態から前記保持部に前記センサチップが係合している状態に変化したことを検知するチップ係合検出スイッチを有していてもよく、前記検出器は、前記保持部に前記センサチップが係合していない状態から前記保持部に前記センサチップが係合している状態に変化したことを前記チップ係合検出スイッチが検出したときに、前記試料供給位置に前記試料が供給されたことを前記供給センサが検知している場合と、前記検出部に前記試料が存在することを前記検出器が検知している場合との少なくともいずれかの場合に、前記センサチップが使用済みであると判定してもよい。
前記検出器は、前記試料供給位置に前記試料が供給されたことを前記供給センサが検知したことに基づいて前記センサチップに不可逆的に所定の標識を付する標識部と、前記保持部に前記センサチップが係合していない状態から前記保持部に前記センサチップが係合している状態に変化したことを検知するチップ係合検出スイッチと、前記所定の標識の有無を検知する標識検知部と、を有し、前記検出器は、前記保持部に前記センサチップが係合していない状態から前記保持部に前記センサチップが係合している状態に変化したことを前記チップ係合検出スイッチが検出したときに前記標識があると前記標識検知部が検知した場合に、前記センサチップが使用済みであると判定してもよい。
前記検出器は、検出結果を表示可能な表示部を有し、前記制御部は、前記センサチップが使用済みであると判定した場合に、前記チップ進退部による前記センサチップの前記温調位置への移動を禁止し、前記センサチップの交換を促すための情報を前記表示部に表示させてもよい。
前記ベース部材は絶縁性を有し、前記検出部は、前記ベース部材の前記面上で前記試料供給位置と離間して形成された作用極及び参照極を含む電極系を有し、前記電極系の少なくとも前記作用極には、酸化還元酵素及びレドックスメディエータが配置されていてもよい。
前記レドックスメディエータは、ルテニウム誘導体、オスミウム誘導体、フェリシアン誘導体、フェロセン誘導体、キノン誘導体、フェノチアジン誘導体、フェノキサジン誘導体、フェナジン誘導体、インドフェノール誘導体、ジフェニルアミン誘導体、フェノール誘導体のうち少なくとも1つを含んでいてもよい。
前記酸化還元酵素は、ピラノースオキシダーゼ、L−ソルボースオキシダーゼ、1,5−アンヒドログルシトールデヒドロゲナーゼ、L−ソルボースデヒドロゲナーゼ、1,5−アンヒドログルシトール6リン酸デヒドロゲナーゼのうち少なくとも1つを含んでいてもよい。
前記センサチップは、前記電極系を間にはさんで離間する複数個所に、互いに電気的に接続された導体からなるグランドパターンを有していてもよい。
前記電極系は、前記電極系における液体の有無を導通を用いて検出する供給検知電極を有していてもよい。
前記検出器は、前記温度調整部が前記前処理試薬を用いた反応に好適な温度まで加温されるまで前記チップ進退部の動作を禁止し、前記温度調整部が前記前処理試薬を用いた反応に好適な温度まで加温された後に、前記チップ進退部の動作を可能としてもよい。
前記温度調整部は、前記温度調整部近傍の環境温度を測定する環境温度測定手段を有していてもよく、環境温度測定手段により測定された温度が前記前処理試薬を用いた反応に好適な温度への前記温度調整部の温度調整能力に基づく所定の下限温度以下又は所定の上限温度以上である場合に、前記検出器が前記所定の成分の検出動作を禁止してもよい。
前記検出器は、前記検出器を用いた較正を所定の期間ごとに促す制御部を有していてもよく、前記制御部は、前記所定の期間が経過した状態における前記所定の成分の検出動作を禁止してもよい。
本発明の別の態様は、上記態様の生体成分検出キットと、前記検出器に接続され前記検出器から検出結果を取得するデータベースを含む管理装置と、を備えた生体成分検出システムである。
本発明のさらに別の態様は、上記態様の生体成分検出キットと、前記検出器に対して、前記検出器のオペレータ及び前記検出器を用いた検出の対象となる患者のIDを示すバーコードを読み取り可能なバーコードリーダーと、を備えた生体成分検出システムである。
本発明によれば、簡易な構成で多段階の処理ができる。
本発明の第1実施形態の生体成分検出キットの全体図である。 同生体成分検出キットにおけるセンサチップの平面図である。 図2のIII−III線における断面図である。 図2のIII−III線における断面を示す斜視図である。 同センサチップにおける構成要素の配置を示す模式図である。 同センサチップのスライド部材を示す平面図である。 同スライド部材の側面図である。 同スライド部材の正面図である。 同センサチップのベース部材とスライド部材との取り付け状態を示す正面図である。 同センサチップにおける支持部を示す平面図である。 同支持部の正面図である。 同支持部の背面図である。 図10のXIII−XIII線における断面図である。 同生体成分検出キットにおける検出器を示す平面図である。 同検出器の側面図である。 同検出器におけるチャンバー及びヒーターを示す斜視図である。 同検出器におけるチャンバー及びヒーターを示す斜視図である。 同検出器の内部構造を示す平面図である。 同検出器におけるローターを示す側面図である。 同ローターの作用を説明するための図である。 同ローターの作用を説明するための図である。 同検出器のブロック図である。 同検出器の作用を説明するための図である。 同検出器の作用を説明するための図である。 同検出器の作用を説明するための図である。 同検出器の作用を説明するための図である。 同検出器の作用を説明するための図である。 本発明の第2実施形態の生体成分検出キットのセンサチップの一部を示す平面図である。 同実施形態の生体成分検出キットの検出器を示す平面図である。 同検出器の側面図である。 同検出器の背面図である。 同検出器の正面図である。 同検出器の斜視図である。 同検出器の内部構造の一部を示す斜視図である。 同検出器の一部の構成を示す模式図である。 同検出器の内部構造の一部を示す分解斜視図である。 同検出器の制御部の概略構成を示すブロック図である。 同検出器の動作を説明するためのフローチャートである。 同検出器の動作を説明するためのフローチャートである。 同検出器の動作を説明するためのフローチャートである。 本発明の第3実施形態の生体成分検出キットのセンサチップを示す平面図である。 同生体成分検出キットの検出器の構成を示す模式図である。 同実施形態の変形例のセンサチップを示す平面図である。 同変形例におけるセンサチップと検出器との取り付け状態を示す模式的な部分断面図である。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態の生体成分検出キットについて説明する。図1は、本実施形態の生体成分検出キットの全体図である。
図1に示す本実施形態における生体成分検出キット1は、試料中の生体成分の濃度を測定するためのキットである。本実施形態の生体成分検出キット1によって測定可能な生体成分の一例として、以下では1,5−AGを測定する場合を例示する。
本実施形態の生体成分検出キット1は、センサチップ2と、検出器50とを備える。本実施形態のセンサチップ2は、検出器50に取り付けて使用することができるようになっている。また、センサチップ2は、測定対象物の種類その他の条件に対応して、検出器50に接続可能なキー110とともに提供される。
次に、センサチップ2の構成について図2から図13を参照して説明する。図2は、本実施形態の生体成分検出キットにおけるセンサチップの平面図である。図3は、図2のIII−III線における断面図である。図4は、図2のIII−III線における断面を示す斜視図である。図5は、同センサチップにおける構成要素の配置を示す模式図である。図6は、同センサチップのスライド部材を示す平面図である。図7は、同スライド部材の側面図である。図8は、同スライド部材の正面図である。図9は、同センサチップのベース部材とスライド部材との取り付け状態を示す正面図である。図10は、同センサチップにおける支持部を示す平面図である。図11は、同支持部の正面図である。図12は、同支持部の背面図である。図13は、図10のXIII−XIII線における断面図である。
図2及び図5に示すように、センサチップ2は、絶縁性材料からなるベース部材10と、ベース部材10の面上に形成された供給検知電極(供給センサ)15と、ベース部材10の面上に形成された電極系(検出部)20と、ベース部材10の面上でベース部材10と相対的にスライド移動するスライド部材30と、ベース部材10に対してスライド移動可能にスライド部材30を支持する支持部40とを備えて構成されている。
図4に示すように、ベース部材10は、板状に形成された基板11と、基板11の少なくとも一部に積層されたレジスト層12とを有している。
基板11は、一方の端部が検出器50に挿入される挿入部11Aとなっている。基板11を形成する絶縁性材料としては、絶縁性と必要な強度を有する素材であれば特に限定されず、例えば、プラスチックフィルム等を使用することができる。プラスチックフィルムは、高分子化合物を主成分としてフィルム上に成形したものであれば特に制限はないが、好ましい高分子化合物としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリイミド、ポリアミド、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、トリアセチルセルロース(TAC)、ジアセチルセルロース(DAC)、ポリスチレン(PS)、ポリウレタン、ポリビニルアルコール(PVA)、エバール(エチレン−ビニルアルコール共重合体)、ポリ塩化ビニル(PVC)等が挙げられる。この他、基板11の材料としてガラス等を用いることもできるが、上述した材料のうち、PETは扱いが容易なので、基板11の材料として好ましい。
レジスト層12は、基板11の面上に例えば熱硬化性または紫外線硬化性の絶縁性塗料がスクリーン印刷などによって薄層状に形成された層である。本実施形態のレジスト層12は、外部に露出している面が疎水性を有している。また、レジスト層12には後述する供給検知電極15の第一極16と第二極18並びに電極系20の対極21、作用極24及び参照極27が外部に露出する開口が形成されている。
図4及び図5に示すように、供給検知電極15は、後述する試料供給位置P1に設定されており、試料供給位置P1に試料が供給された場合に、試料を通じて導通する第一極16と第二極18とを有する。第一極16と第二極18とは、ベース部材10上で互いに離間した位置に配置されている。また、第一極16と第二極18とは、後述する試料収容部34によって規定される空間に第一極16と第二極18との両方が面するようにベース部材10上に配置されており、試料供給位置P1に試料収容部34があるときに試料収容部34に試料が満たされると第一極16と第二極18とが導通する。
さらに、供給検知電極15は、第一極16を検出器50に電気的に接続可能とするための接点電極17と、第二極18を検出器50に電気的に接続可能とするための接点電極19とを有する。
供給検知電極15は、導電性カーボンインクを用いて、基板11上にスクリーン印刷法によって形成されている。なお、供給検知電極15の材質は特に限定されるものではないが、電極系20の一部と同一の材料であると、電極系20の形成工程において供給検知電極15を形成できるので、製造が容易である。
供給検知電極15は、試料供給位置P1に試料が供給されたか否かを、第一極16と第二極18との導通状態に応じて区別して検出器50が検知するために設けられている。
電極系20は、ベース部材10の基板11の面上に薄膜状に形成され、上述の開口において露出するように形成された対極21、作用極24及び参照極27を有している。
対極21及び作用極24は、導電性カーボンインクを用いて、基板11上にスクリーン印刷法によって形成されている。対極21及び作用極24には、挿入部11Aまで延びて設けられた配線部22及び25と、挿入部11Aの位置に形成されて配線部22及び25のそれぞれに導通する接点電極23及び26が設けられている。
参照極27は、スクリーン印刷法によって基板11上に形成された銀−塩化銀電極である。参照極27は、対極21及び作用極24と同様に配線部28及び接点電極29を有して挿入部11Aまで延びて形成されている。
接点電極23、26及び29は、挿入部11Aが検出器50に挿入された際に、検出器50と接続される。
ベース部材10の面上において対極21、作用極24及び参照極27に重畳する領域は、試料に対して電気化学的な測定をするための重畳位置P2となっている。対極21、作用極24及び参照極27の面上を含む重畳位置P2内のベース部材10の面上には、試料と反応して電気化学的測定を可能にするための図示しない測定試薬がディッピングやスピンコート等の方法によって配置されている。重畳位置P2は、対極21、作用極24及び参照極27を囲む形状であることが好ましく、本実施形態では重畳位置P2は、試料収容部34に収容された試料によって対極21、作用極24及び参照極27をすべて覆うことができる領域として設定される。
試料に対して電気化学的測定を行うための測定試薬の内容は、重畳位置P2において行う反応によって適宜決定されていてもよい。発生する過酸化水素を直接検出する測定等では酸化酵素のみが配置されていてもよい。また、測定対象の物質が特に反応を必要とせずに測定可能なナトリウムイオンやカリウムイオン等の測定の場合は測定試薬は配置されなくてもよい。
本実施形態のセンサチップ2においては、1,5−AG酸化能を有する酸化還元酵素及び酸化還元反応に関与する電子の授受の仲立ちを担うレドックスメディエータが電極系20に配置されている。
1,5−AGの酸化還元酵素としては、ピラノースオキシダーゼ、L−ソルボースオキシダーゼ、1,5−AGデヒドロゲナーゼ、L−ソルボースデヒドロゲナーゼ、1,5−アンヒドログルシトール6リン酸デヒドロゲナーゼ等を採用することができる。
レドックスメディエータとしては、ルテニウム誘導体、オスミウム誘導体、フェリシアン誘導体、フェロセン誘導体、キノン誘導体、フェノチアジン誘導体、フェノキサジン誘導体、フェナジン誘導体、インドフェノール誘導体、ジフェニルアミン誘導体、フェノール誘導体等を使用することができる。具体的には、[オスミウム(ビピリジル)イミダゾイルCl]Cl、ポリビニルイミダゾイルと錯化した[オスミウム(ビピリジル)Cl]、フェリシアン化カリウム、フェリシアン化ナトリウム、フェロセン、フェロセンメタノール、フェロセンPEGなどが使用可能である。
また、レドックスメディエータとして使用可能なフェノチアジン誘導体としては、チオニンアセテート、チオニンクロリド、メチレンブルー、メチレングリーン、10−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−3,7’−ビス(ジメチルアミノ)−フェノチアジンナトリウム塩、トルイジンブルーO、アズールC、アズールA、アズールI、アズールB、ニューメチレンブルー又はベンゾイルロイコメチレンブルーを採用することができる。このうち、好ましくは、メチレンブルー、チオニンアセテート、チオニンクロリド、アズールC、アズールA、アズールI、アズールB又はトルイジンブルーOであり、より好ましくは、チオニンアセテートである。
図3、図6、及び図7に示すように、スライド部材30は、板状に形成されたスライド体32と、スライド体32の一端の側の一部に設けられた試料収容部34と、スライド体32の外面から突出してスライド体32の他端側の一部に設けられた突起35と、スライド体32と支持部40とを着脱可能に連結するための係合部36とを有している。
スライド体32は、基板11と同様に高分子化合物を主成分とするプラスチックフィルムによって形成されている。スライド体32の材料はPETであることが好ましい。スライド体32と試料収容部34との間には、試料を試料収容部34に保持するための溝部33が設けられている。溝部33は、スライド体32が支持部40に支持されて進退する際のスライド体32の進退方向に直交する方向においてスライド体32を横断する直線状である。スライド体32の進退方向における溝部33の長さは、スライド体32の板厚方向における溝部33の長さが考慮されたうえで、適用される試料の組成に応じて設定される。
図7及び図8に示すように、試料収容部34は、スライド体32と同じプラスチックフィルムの一部分に設定されている。試料収容部34は、ベース部材10にスライド部材30が取り付けられた状態においてベース部材10から平行に離間する平板状をなしている。試料収容部34とベース部材10との間に生じた空間に試料を保持することができる。
試料収容部34において、ベース部材10に向かう側の面34aは親水性を有する。試料収容部34を親水化する親水化処理は、表面改質処理としては例えばコロナ処理、プラズマ処理、UV/オゾン処理、あるいはフレーム処理などを挙げることができる。また、ポリビニルアルコール、ヒドロキシアルキルセルロース、アガロース、糖類、スクロース、界面活性剤、カルボキシメチルセルロースなどの親水性化合物を試料収容部34の壁面に塗布する方法、及びイトロ処理によって試料収容部34の壁面に酸化ケイ素膜を成膜する方法などを挙げることもできる。
なお、上述のベース部材10のレジスト層12の外面を親水化する場合にも上述の親水化処理を適宜採用することができる。また、スライド体32をトリアセチルセルロースフィルムによって形成し、試料収容部34のベース部材10に向かう側の面34a部分の表層を、アルカリ処理を行うことにより親水化して使うこともできる。
図2及び図10に示すように、支持部40は、ベース部材10のレジスト層12(図4参照)に固定された一対の板状の案内部41と、案内部41のそれぞれの間に掛け渡されたカバー部材42と、スライド部材30に形成された係合部36とカバー部材42とを連結するためのロック部材43とを有している。本実施形態では、案内部41とカバー部材42とロック部材43とは一体成型されている。
図10及び図11に示すように、案内部41は、カバー部材42とベース部材10とがスライド体32を進退可能な隙間を有して離間する程度の位置にカバー部材42を保持し、また、スライド部材30の進退方向を所定の一方向の往復移動に規制する。案内部41は、スライド体32の進退方向に直交する方向において互いに離間して一対設けられている。また、一対の案内部41において対向する部分には、ベース部材10の面に沿う方向に平行に延びる案内面41a、41bが形成されている。
カバー部材42は、案内部41に固定されており、ベース部材10の板厚方向でスライド部材30の板厚よりもわずかに大きな隙間を有してベース部材10上の対極21、作用極24及び参照極27(図5参照)を覆っている。
案内部41及びカバー部材42によって形成された空洞部分には、スライド部材30が挿入されている。このため、スライド部材30は案内面41a、41bが延びる方向に案内され、スライド部材30はベース部材10に対して、案内面41a、41bによって規制される一方向において相対的に自在にスライド移動するようになっている。
図12及び図13に示すように、ロック部材43は、弾性変形可能な略板状片であり、スライド部材30のスライド体32に形成された係合部36が入り込む窪み43aを有する。
ロック部材43の窪み43aにスライド体32の係合部36が係合しているときに、ベース部材10の板厚方向から見てレジスト層12と試料収容部34とが重なる位置は、試料を試料収容部34に供給するための試料供給位置P1として設定される。
図2に示すようにスライド部材30が支持部40に支持されてベース部材10上に配置された状態では、試料供給位置P1と重畳位置P2との間にスライド部材30の溝部33が位置している。すなわち、図7に示す溝部33は、スライド部材30のスライド移動なしにスライド体32とベース部材10との隙間と通じて試料が試料供給位置P1から重畳位置P2へと流動するのを停止させる。
すなわち、試料収容部34が試料供給位置P1にあるときに、溝部33における試料収容部34側の縁部が重畳位置P2と試料供給位置P1との間に位置するようになっている。このため、試料収容部34が試料供給位置P1にあるときには、試料収容部34に収容された試料は、溝部33における試料収容部34側の縁部分を境界として停止し、重畳位置P2の内部へ侵入することが抑制されている。
このように、本実施形態では、溝部33における試料収容部34側の縁部が、試料の流動を停止させる流動停止部になっている。
図5に示すように、試料供給位置P1の領域内には、1,5−AG測定の妨害物質である試料中のグルコースを分解、除去、捕捉若しくは電気化学的測定に影響しない別の物質に変換するための前処理反応のための前処理試薬13が固定配置されている。前処理試薬13の固定配置方法は、塗布乾燥やスクリーン印刷法等を採用することができる。本実施形態の前処理試薬13には、グルコースを分解又は変換する活性を有する酵素が含まれている。
具体的には、グルコースを酸化させる場合は、グルコースオキシダーゼや、グルコースデヒドロゲナーゼと補酵素であるニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)等との混合物等を含むものが前処理試薬13の例として挙げられる。グルコースをリン酸化させる場合は、ヘキソキナーゼやグルコキナーゼ等を含むものが前処理試薬13の例として挙げられる。
なお、前処理試薬13の組成は、試料に対する測定方法が異なる場合や測定の対象となる対象物質が異なる場合などに、必要とされる前処理反応に応じて適宜変更できることは言うまでもない。前処理反応の内容も特に限定されず、分解、除去、変換等の各種反応に加えて、イオン吸着、アフィニティ吸着、又はホウ酸複合体を利用したマイクロビーズによる吸着等のトラップ(捕捉)など、センサチップ2上で可能な反応であればあらゆる前処理反応が行われてよい。
次に、本実施形態のセンサチップ2を取り付け可能な検出器50の構成について説明する。図14は、本実施形態の生体成分検出キットにおける検出器を示す平面図である。図15は、同検出器の側面図である。図16は、同検出器におけるチャンバー及びヒーターを示す斜視図である。図17は、同検出器におけるチャンバー及びヒーターを示す斜視図である。図18は、同検出器の内部構造を示す平面図である。図19は、同検出器におけるローターを示す側面図である。図20は、同ローターの作用を説明するための図である。図21は、同ローターの作用を説明するための図である。図22は、同検出器のブロック図である。
図14に示す検出器50は、センサチップ2のベース部材10に係合可能な保持部51(図18参照)と、センサチップ2のスライド部材30に係合してスライド部材30をベース部材10に対してスライド移動させる移動部55(図18参照)と、センサチップ2における電極系20に接続されて試料中の所定の成分を検出する検出回路65(図22参照)とを備える。
さらに、本実施形態の検出器50は、試料に対する反応に適した温度に維持可能な温度調整部75(図16,図17参照)と、検出器50から試料供給位置P1が突出した位置(以下、「突出位置P3」という。図23参照)と、試料供給位置P1が温度調整部75に近接する位置(以下、「温調位置P4」という。図24参照)との間でセンサチップ2を保持部51とともに移動させるチップ進退部80(図18参照)とを備える。
さらに、本実施形態の検出器50は、センサチップ2が使用済みであるか否かを判定して未使用のセンサチップ2のみに対して検出動作を許容する未使用チップ判定機構90(図22参照)を備えている。
また、本実施形態の検出器50は、図22に示すように、検出器50に対する操作入力を受け付けるための操作パネル94と、検出器50による検出結果その他のメッセージを表示する表示部98と、検出器50の動作状態をユーザに聴覚的に知覚させるためのブザー99と、検出器50の動作を制御する制御部100と、を備える。さらに、本実施形態の検出器50は、制御部100に対して電気的に接続可能なキー110(図1及び図22参照)を取り付け可能なコネクタ111(図15参照)を有している。検出器50に取り付け可能なキー110は、センサチップ2の付属品として、たとえば複数のセンサチップ2のロットごとに1つ提供される。
図18に示すように、保持部51は、センサチップ2を保持する台座52と、台座52に固定されセンサチップ2の電極系20(図5参照)を検出回路65に接続可能な端子群53と、台座52に固定されセンサチップ2に当接可能な第一リミットスイッチ54(図25参照)とを有する。
本実施形態の台座52は、プリント基板によって構成されている。台座52は、チップ進退部80に連結されており、センサチップ2が突出位置P3から温調位置P4へ、また逆に温調位置P4から突出位置P3へ移動するように、チップ進退部80によって直線移動される。
端子群53は、センサチップ2に設けられた接点電極17,19,23,26,29の各々の位置に対応して配された複数の端子を有する。本実施形態では、接点電極17,19,23,26,29の配置及び端子群53の構成には、公知のSIMカード用コネクタの構成が採用されている。
検出器50の筐体50aは、保持部51にセンサチップ2が取り付けられたときにセンサチップ2において試料供給位置P1が検出器50の外部に突出可能となるように、一部が開口されている(図23参照)。検出器50のユーザは、筐体50aに形成された開口を通じて保持部51にセンサチップ2をたとえば手作業で取り付けることができる。
図18に示すように、移動部55は、回転駆動部56と、ローター58とを有する。
回転駆動部56は、ステッピングモータ(不図示)と、このステッピングモータの回転軸に噛み合う減速部(不図示)と、減速部に配されローター58に固定された出力軸57とを有している。回転駆動部56は、制御部100による制御に基づいて、出力軸57が所定の回転速度で回転するように動作する。
回転駆動部56の出力軸57は、ベース部材10の面に平行な方向であってスライド部材30のスライド移動方向に対して垂直な方向に延びている。
図18及び図19に示すように、ローター58は、回転駆動部56の出力軸57に固定された固定部59と、出力軸57の回転中心に交差する方向に長い腕部60とを有する。
固定部59は、回転駆動部56の出力軸57の外面に係合するように凹凸を有していてもよい。本実施形態では、出力軸57の外周面の一部に切欠きが形成されており、固定部59は出力軸57の切欠きに嵌って出力軸57に係合する。
腕部60は、出力軸57の回転中心に対して直交する方向であって出力軸57に対してねじれの位置となるように直線状に設けられた軸部61と、出力軸57の回転中心と軸部61の中心線との各々に直交し且つ出力軸57から離れる方向へ向かって軸部61の両端から突出した係合部62(第一係合部62a,第二係合部62b)とを有する。
係合部62は、スライド体32をベース部材10に対してスライド移動させる際に、スライド部材30におけるスライド体32の突起35に接触する部分である。図20及び図21に示すように、本実施形態では、第一係合部62aは、スライド体32の突起35の外面のうち試料収容部34側に向けられた第一面35aに接触可能であり、第二係合部62bは、スライド体32の突起35の外面のうち第一面35aと反対側に向けられた第二面35bに接触可能である。
軸部61の中心線方向における軸部61の長さ及び軸部61からの係合部62の突出長さは、出力軸57の位置とスライド体32の位置との関係に基づいて、ローター58の回転動作によって試料収容部34が試料供給位置P1と重畳位置P2とを往復動作可能となるように設定される。
図22に示すように、検出回路65は、供給検知回路66と、電極液検知回路69と、濃度測定回路72とを備える。
供給検知回路66は、供給検知電極15に対して所定の信号を出力する印加回路67と、供給検知電極15へ出力された信号を検知して増幅して制御部100へ出力する増幅回路68とを備える。
電極液検知回路69は、電極系20において液体が存在するか否かを検知するために電極系20に対して所定の信号を出力する印加回路70と、電極系20へ出力された信号を検知して増幅して制御部100へ出力する増幅回路71とを備える。
濃度測定回路72は、電極系20における反応産物の濃度を測定するために電極系20に対して所定の信号を出力する印加回路73と、電極系20へ出力された信号を検知して増幅して制御部100へ出力する増幅回路74とを備える。
温度調整部75は、ヒーター76と、サーミスタ77とを備える。温度調整部75は、制御部100における制御に基づいた所定の温度になるようにヒーター76の発熱状態を制御する。また、図16及び図17に示すように、検出器50の筐体50aには、温度調整部75を囲むように設けられた開閉可能なチャンバー78が配されている。筐体50aに設けられたチャンバー78は、温度調整部75のヒーター76の周囲の温度変化を緩やかにするための空間を生じる。また、チャンバー78が開閉可能であることによって、ヒーター76を容易に清掃できる。
図18及び図22に示すように、チップ進退部80は、保持部51の台座52の移動方向を規定するボールねじ81と、ボールねじに噛み合い台座52に固定されたナット82と、検出器50の筐体50aに固定されボールねじを回転させるモーター83と、台座52の位置を検出する第二リミットスイッチ84及び第三リミットスイッチ85とを備える。
チップ進退部80のモーター83は、制御部100における制御に基づいて回転動作される。また、チップ進退部80のモーター83は、第二リミットスイッチ84と第三リミットスイッチ85とのいずれか一方に台座52が当接した時に停止するように制御部100により制御される。
第二リミットスイッチ84及び第三リミットスイッチ85は、センサチップ2が突出位置P3または温調位置P4に位置するように台座52の位置を規定するスイッチである。
図22に示す未使用チップ判定機構90は、センサチップに所定の標識を付する標識部91と、センサチップ2に付された所定の標識の有無を検知する標識検知部92と、を有している。
標識部91は、たとえば、所定のインクを用いて所定形状の標識をセンサチップ2に付することが可能な構成を有している。また、標識部91は、センサチップ2の一部に切欠きを形成するカッターとこのカッターを動作させる駆動手段とを有していてもよい。
また、未使用チップ判定機構90は、制御部100に、標識部91および標識検知部92を用いて未使用チップであるか否かを判定する判定回路93を有する。すなわち、制御部100は、保持部51にセンサチップ2が係合していない状態から保持部51にセンサチップ2が係合している状態に変化したことを第一リミットスイッチ54(チップ係合検出スイッチ)が検出したときに、センサチップ2に所定の標識があると標識検知部92が検知した場合に、センサチップ2が使用済みであると判定する。
なお、センサチップ2に所定の標識を付するタイミングは、センサチップ2を用いた検出が精度よく行われる範囲において適宜設定される。たとえば、センサチップ2が保持部51に取り付けられたときに所定の標識がセンサチップ2に付されるようにタイミングが設定されていると、センサチップ2に試料が付着しているか否かに関わらず、センサチップ2を保持部51に取り付ける操作がなされたことをもって使用済みと判定される。また、センサチップ2において供給検知電極15の第一極16と第二極18との導通があったことが判定されたときに所定の標識がセンサチップ2に付されるようにタイミングが設定されると、保持部51に対する付け直しは許容され、また生体試料がセンサチップ2に付着した後は使用済みと判定されて再使用を拒否できるようになる。
図14及び図22に示すように、操作パネル94は、複数の押しボタンスイッチを有している。たとえば、本実施形態では、電源ボタン95、機能選択ボタン96(カーソル及びエンター)、メニューボタン97が、検出器50の筐体50aの外面に露出して設けられている。
表示部98は、制御部100による制御に従って所定の文字列や絵等を表示する。本実施形態では、表示部98は液晶ディスプレイである。
ブザー99は、制御部100による制御に従って所定の音を発生させる。たとえば、ブザー99から発せられる音は、電源が入った時、センサチップ2が保持部51に取り付けられたとき、試料収容部34に試料が適切に充填されたとき、試料中の所定の成分の測定が正常に終了したとき、あるいはエラーが起こったとき等に発せられる。
制御部100は、主制御回路101と、A/Dコンバータ106とを備える。
主制御回路101は、温度調整部75のヒーター76を制御する温度調整回路102と、A/Dコンバータ106に接続された検出結果取得回路103と、操作パネル94及び表示部98に接続された入出力回路104と、センサチップ2全体及びスライド部材30の移動を制御する移動制御回路105とを備える。また、本実施形態では、主制御回路101は、キー110がコネクタ111に取り付けられているか否かを判定して、キー110がコネクタ111に取り付けられていない場合にはキー110の取り付けを促すメッセージを表示部98に出力し、キー110がコネクタ111に取り付けられている場合にはキー110に記憶された後述する各パラメータを呼び出して制御部100の動作手順を設定する。
温度調整回路102は、温度調整部75のサーミスタ77を参照して、センサチップ2における所定の反応に適した温度で一定になるようにヒーター76の動作を制御する。
検出結果取得回路103は、A/Dコンバータ106から出力されたデジタルデータと、キー110に記憶された後述する検量線のパラメータを参照して、検出結果を解析して、表示部98に表示する情報の元となるデータを生成する。検出結果取得回路103は、表示部98に表示するためのデータを、入出力回路104を介して表示部98へと出力する。
入出力回路104は、ユーザによる操作パネル94からの入力を受け付け、また表示部98に表示する情報を表示部98へ出力する回路である。
移動制御回路105は、第一リミットスイッチ54,回転駆動部56,チップ進退部80のモーター83,第二リミットスイッチ84,及び第三リミットスイッチ85に対して電気的に接続されており、センサチップ2が保持部51に取り付けられている状態においてセンサチップ2及びスライド部材30を所定の手順に沿って移動させる。
A/Dコンバータ106は、検出回路65における各増幅回路68、71、74に接続されている。A/Dコンバータ106は、検出回路65における電気抵抗の大きさに基づいたデジタル信号を検出結果取得回路103へと出力する。
キー110は、センサチップ2を用いた電気化学的測定における電気的な信号を用いて測定を行うためのアルゴリズムを規定する情報が記憶された記憶素子を有する。キー110に記憶される情報は、検出回路65が検出したシグナルから、センサチップ2に供給された試料における所定の成分(たとえば1,5−AG)の濃度を決定するための演算式を含む。キー110に記憶された演算式の情報は、電気化学的測定の開始前に制御部100によって読み出される。
本実施形態では、キー110に設けられた記憶素子はEEPROMである。なお、キー110は、検出器50に対して無線通信によって上記パラメータを伝送可能な構成を有していてもよい。また、本実施形態において、キー110は、センサチップ2の電極系20における検出時の検量線を規定するパラメータを記憶素子に記憶していてもよい。
また、キー110に対応するロットのセンサチップ2に対するスライド部材30の動作及び電極系20を用いた検出結果の処理が制御部100により行われるようになっていてもよい。
なお、キー110には、制御部100の動作を制御するための各種のパラメータの情報が記憶されていてもよい。
上記のように構成されたセンサチップ2を用いて1,5−AGの測定を行う際の動作について、本実施形態の検出器50における制御部100による制御態様とあわせて説明する。図23から図27は、本実施形態の検出器の作用を説明するための図である。以下では、センサチップ2を使用するユーザは、自身から採取した全血試料を用いてセンサチップ2によって1,5−AGの測定を行う者であるとして説明を行う。なお、センサチップ2を使用するユーザはこれに限られるものではない。
センサチップ2は、図2に示すように試料供給位置P1に試料収容部34が位置している状態で用意される。また、センサチップ2に同梱されたキー110は、検出器50のコネクタ111に取り付けられる(図1参照)。ユーザが検出器50の電源を立ち上げると、検出器50の制御部100は、センサチップ2の取り付けを促すアナウンスを、たとえば表示部98の表示やブザー99による音を用いて行う。ユーザは、センサチップ2の挿入部11Aを検出器50に挿入することによって、センサチップ2を検出器50にセットする。また、必要に応じて、操作パネル94を用いて必要な入力を行う。
なお、保持部51は、センサチップ2の取り付けができるような状態とするために、制御部100により、センサチップ2が突出位置P3にくるように位置が制御される。すなわち、保持部51へのセンサチップ2の取り付け前に、制御部100は、チップ進退部80のモーター83を動作させてセンサチップ2を温調位置P4から突出位置P3へと移動させる。第二リミットスイッチ84が押圧されるまで保持部51が移動したところで保持部51は停止し、保持部51にセンサチップ2を取り付けできるようになる。
センサチップ2が検出器50にセットされたことは、センサチップ2が第一リミットスイッチ54を押すことをもって検出器50に検出される(図25参照)。センサチップ2が検出器50にセットされると、センサチップ2を用いた操作の続きを行うようユーザに促すために表示部98における表示やブザー99による音を用いたアナウンスが行われる。また、本実施形態では、センサチップ2が使用済みであることを示す所定の標識が標識検知部92によって検知されたときには、センサチップ2を交換することを促すアナウンスが行われる。
続いて、ユーザは指先等から採取した全血試料(試料)CSを試料供給位置P1に近づける。すると、毛細管現象によって全血試料CSは試料収容部34に収容される。試料収容部34には、試料収容部34とベース部材10とによって規定される形状に応じた一定量の全血試料CSが保持される。本実施形態では、試料供給位置P1には前処理試薬13が配置されているので、試料供給位置P1に固定配置された前処理試薬13によって全血試料CS中のグルコースの分解又は変換等の反応が始まる。
試料供給位置P1には、供給検知電極15が設けられているので、供給検知電極15に全血試料CSが付着した時には、供給検知電極15の第一極16と第二極18とが導通する。検出器50の制御部100では、第一極16と第二極18とが導通したと判定されたときに、移動制御回路105を作動させ、保持部51が温調位置P4にセンサチップ2を移動させるように、チップ進退部80のモーター83を動作させる。さらに、本実施形態では、たとえば、第一極16と第二極18とが導通したと判定されたときに、センサチップ2が使用されたことを示す所定の標識を標識部91がセンサチップ2に付す。
図23及び図24に示すように、チップ進退部80のモーター83の動作により、保持部51の台座52は、第三リミットスイッチ85が押圧されるまで直線移動を続け、第三リミットスイッチ85が押圧された時点で停止する。これにより、保持部51に取り付けられたセンサチップ2においては、試料供給位置P1に試料収容部34が位置している状態で、全血試料CSがヒーター76に近接した状態でヒーター76により所定の温度に保温される。
温調位置P4にセンサチップ2がある状態で、全血試料CSが試料供給位置P1で停止した状態のまま所定の時間が経過すると、全血試料CS中のグルコースの分解、除去、捕捉若しくは電気化学的測定に影響しない別の物質への変換を含む前処理反応が完了し、全血試料CSは測定準備の整った測定試料(試料)Sとなる。
試料供給位置P1において前処理反応を行うための所定の時間が経過したら、制御部100は、移動制御回路105を作動させ、スライド部材30をベース部材10に対してスライド移動させて試料収容部34を重畳位置P2まで移動させるように、回転駆動部56を動作させる。
図26に示すように、回転駆動部56は、スライド部材30のスライド体32に形成された突起35の第一面35aにローター58の第一係合部62aを当接させて、スライド部材30を、回転駆動部56の出力軸57に直交しベース部材10の面に沿った方向へ押圧移動させる。すると、測定試料Sはスライド部材30の移動に追従してベース部材10のレジスト層12上を移動し、測定試料Sは重畳位置P2に到達して電極系20の対極21、作用極24及び参照極27に接する。なお、本実施形態では、スライド体32の突起35が台座52上のリミットスイッチ52aに接することでスライド体32の位置を検出している。リミットスイッチ52aが押されている時には、測定試料Sは重畳位置P2に到達している。
重畳位置P2に導入された測定試料Sは、重畳位置P2に配置された測定試薬と酸化還元反応等の公知の反応を起こす。さらに、検出器50からセンサチップ2の電極系20に対して電圧が印加され、電極系20に流れる電流値が測定されることによって1,5−AGの濃度が測定される。なお、電気化学的な測定方法については、アンペロメトリー法(電流測定方法)、クーロメトリー法(電量測定方法)、電位スイープ法やサイクリックボルタンメトリー法等を適宜採用することができる。
測定が終了したら、制御部100は、試料収容部34が重畳位置P2から試料供給位置P1に移動するように回転駆動部56を動作させる。すなわち、図27に示すように、検出器50は、ローター58の第二係合部62bをスライド体32の突起35の第二面35bに当接させて、スライド体32を、回転駆動部56の出力軸57に直交しベース部材10の面に沿った方向へ押圧移動させる。さらに、制御部100は、チップ進退部80のモーター83を動作させてセンサチップ2を温調位置P4から突出位置P3へと移動させる。第二リミットスイッチ84が押圧されるまで保持部51が移動したところで保持部51は停止し、保持部51からセンサチップ2を取り外しできるようになる。
測定が終了したセンサチップ2には、使用済みであることを示す標識が標識部91によって付されている。ユーザは、測定の終了後、使用済みであることを示す標識が付されたセンサチップ2を廃棄する。
本実施形態のセンサチップ2によれば、試料供給位置P1において前処理反応を行った後にベース部材10に対してスライド部材30をスライド移動させるだけで測定試料(試料)Sが重畳位置P2に到達して電気化学的測定のための反応を行うことができる。このため、複雑な流路構造を有さない簡易な構成で安全に多段階の処理ができる。
また、試料収容部34においてベース部材10に向かう側の面が親水性を有しているので、試料収容部34とベース部材10との間に供給された試料が試料収容部34内に広がる。このため、一定量の試料を容易に試料収容部34に供給することができる。
さらに、試料収容部34における親水性を有する面に試料が付着しつつ試料がスライド移動されるので、スライド部材30をスライド移動させるときに試料が試料収容部34からはみ出しにくい。
また、ベース部材10上で重畳位置P2が間に位置するように離間する二箇所に支持部40が設けられているので、支持部40は離間する二点でスライド部材30を支持することができる。このため、支持部40はスライド部材30を安定して支持することができる。
また、支持部40の案内部41が互いに平行に設けられた案内面41a、41bを有しているので、スライド部材30を案内部41に沿って精度よく直線移動させることができる。
また、支持部40にはカバー部材(被覆部)42が設けられ、ベース部材10との間にスライド部材30が進退可能な隙間を有する。このため、スライド部材30がスライド移動可能で且つスライド部材30が支持部40から脱落することを抑制できる。
また、スライド部材30のスライド体32を貫通して形成された溝部33によって流動停止部が形成されている。このため、溝部33において試料が電極系20へ流れ込むことが抑制され、試料供給位置P1から重畳位置P2まで試料を移動させる前に電極系20の位置に全血試料CSが進入することを抑制でき、前処理反応が終了する前に試料が電極系20へ到達することを防ぐことができる。
また、スライド体32と試料収容部34との間に切欠32a、32b(流通抑制部)が形成されているので、試料収容部34に収容された試料がスライド体32へ流れ込むことが抑制できる。その結果、試料収容部34に一定量の試料を安定して収容することができる。
また、参照極27が銀及び塩化銀を用いた銀‐塩化銀電極であるので、試料に対して再現性よく電気化学的測定を行うことができる。
また、本実施形態の検出器50によれば、前処理反応を所定の温度で行うための温度調整部75が設けられているので、検出器50の外部の温度環境による前処理反応への影響が少ない。
また、本実施形態の検出器50は、試料供給位置P1に全血試料CSが供給された後検出結果が得られるまでが完全に自動化されており、簡便な検出が行える。
また、本実施形態の検出器50は、センサチップ2が使用済みであることを示す標識をセンサチップ2に付すので、使用済みのセンサチップ2が誤って使用されるのを未然に防ぐことができる。
また、検量線等を規定するパラメータが記憶されたキー110が検出器50に取り付け可能であり、本実施形態の検出器50は、これらのパラメータを利用して、センサチップ2のたとえばロットごとに最適な手順で処理を進めることができる。なお、前処理反応の時間を規定するパラメータがキー110に記憶されていてもよく、この場合、センサチップ2のたとえばロットごとに最適な前処理反応の時間を容易に取得することができる。
このように、本実施形態の生体成分検出キット1は、簡易な構成で多段階の処理ができる小型のキットである。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。以下の説明において、上記第1実施形態に開示された構成要素と同様の構成要素については、第1実施形態と同一の符号が付され、重複する説明は省略される。図28は、本実施形態の生体成分検出キットのセンサチップの一部を示す平面図である。図29は、本実施形態の生体成分検出キットの検出器を示す平面図である。図30は、同検出器の側面図である。図31は、同検出器の背面図である。図32は、同検出器の正面図である。図33は、同検出器の斜視図である。
本実施形態の生体成分検出キット201は、図28に示すセンサチップ202と、図29に示す検出器250とを備えている。
図28に示す本実施形態のセンサチップ202は、図29に示す検出器250に取り付けて使用することができるようになっている。また、センサチップ202は、測定対象物の種類その他の条件に対応して、第1実施形態に開示されたキー110とともに提供される。キー110は、本実施形態の検出器250に取り付け可能である。
センサチップ202は、第1実施形態に開示されたベース部材10,スライド部材30,及び支持部40(図2から図4までを参照)を備えている。
さらに、本実施形態のセンサチップ202は、第1実施形態に開示されたセンサチップ2に対して、以下の点で構成が相違する。
図28に示すように、本実施形態のセンサチップ202は、第1実施形態に開示された供給検知電極(供給センサ)15とは構成が異なる供給検知電極(供給センサ)215を、第1実施形態に開示された供給検知電極(供給センサ)15に代えて備えている。
また、本実施形態のセンサチップ202は、第1実施形態に開示された電極系(検出部)20とは構成が異なる電極系(検出部)220を、第1実施形態に開示された電極系(検出部)20に代えて備えている。
さらに、本実施形態のセンサチップ202は、ベース部材10の短手方向において作用極24,及び参照極27を間に挟んで互いに離間する二箇所に、センサチップ202の外面に露出された導電性のグランドパターン領域245,246を有している。
グランドパターン領域245,246は、センサチップ202の外縁に沿ってセンサチップ202の少なくとも一部を囲うように配されていてもよい。
本実施形態における供給検知電極215の構成について説明する。
供給検知電極215は、第1実施形態と同様の試料供給位置P1に設定されており、試料供給位置P1に試料が供給された場合に、試料を通じて導通する第一極216と第二極218とを有する。第一極216と第二極218とは、ベース部材10上で互いに離間した位置に配置されている。また、第一極216と第二極218とは、後述する試料収容部34によって規定される空間に第一極216と第二極218との両方が面するようにベース部材10上に配置されている。試料供給位置P1に試料収容部34があるときに試料収容部34に試料が満たされると第一極216と第二極218とが導通する。
第一極216は、第1実施形態と同様の接点電極17を介して検出器250におけるグランドに対して電気的に接続可能である。また、ベース部材10上において試料供給位置P1を囲むようにベース部材10の輪郭に沿って延びる導体パターンは、供給検知電極215の第一極216であるとともに、後述するグランドパターン領域245と同様にサージ電圧の影響を緩和するためのパターンとなっている。
第二極218は、第1実施形態と同様の接点電極19を介して検出器250に対して電気的に接続可能である。
供給検知電極215の材質は第1実施形態と同様でよい。供給検知電極215は、試料供給位置P1に試料が供給されたか否かを、第一極216と第二極218との導通状態に応じて区別して検出器250が検知するために設けられている。
本実施形態における電極系220の構成について説明する。
本実施形態における電極系220は、第1実施形態と同様の作用極24及び参照極27と、電極系220の位置に試料が供給されたか否かを判定するための第二供給検知電極221(供給検知電極)とを有している。本実施形態の電極系220は第1実施形態に開示された対極21を有していない。
本実施形態では、電極系220に試料が供給されているときには、第二供給検知電極221と参照極27との間で導通を検知することができる。これにより、電極系220において作用極24と参照極27とを用いた電気化学的測定が正しく行えるように試料が供給されているか否かを判定することができる。
本実施形態におけるグランドパターン領域245及びグランドパターン領域246は、いずれも接点電極17と導通するように基板11上に形成されている。このため、センサチップ202が後述する検出器250に取り付けられた状態では、グランドパターン領域245及びグランドパターン領域246は、いずれも検出器250のグランドに電気的に接続される。グランドパターン領域245及びグランドパターン領域246は、センサチップ202が検出器250に対して着脱される際に静電気等によるサージ電圧の影響を緩和する。グランドパターン領域245及びグランドパターン領域246の位置は、センサチップ202を検出器250に着脱する際に人の手が触れる位置を含むことが好ましい。
また、本実施形態では、2つのグランドパターン領域245,246のうちの一方(本実施形態ではグランドパターン245)は、供給検知電極215の第一極216と接点電極17とを繋ぐ配線と兼用されている。
次に、本実施形態のセンサチップ202を取り付け可能な検出器250の構成について説明する。図34は、本実施形態における検出器の内部構造の一部を示す斜視図である。図35は、同検出器の一部の構成を示す模式図である。図36は、同検出器の内部構造の一部を示す分解斜視図である。図37は、同検出器の制御部の概略構成を示すブロック図である。
図29から図36までに示す本実施形態の検出器250は、第1実施形態に開示された保持部51,検出回路65(図22参照),ブザー99(図22参照),及びコネクタ111を備えている。
本実施形態の保持部51は本実施形態のセンサチップ202のベース部材10に係合可能である。
本実施形態の検出回路65は本実施形態のセンサチップ202の電極系220に接続されて試料中の所定の成分(たとえば1,5AG)を検出する。
本実施形態の検出器250は以下の点で第1実施形態に開示された検出器50と構成が異なる。
本実施形態の検出器250は、図34及び図35に示すように、第1実施形態に開示された移動部55とは構成が異なる移動部255を、第1実施形態に開示された移動部55に代えて備えている。本実施形態の移動部255は本実施形態のセンサチップ202のスライド部材30に係合してスライド部材30をベース部材10に対してスライド移動させる。
また、本実施形態の検出器250は、図34及び図36に示すように、第1実施形態に開示された温度調整部75とは構成が異なる温度調整部275を、第1実施形態に開示された温度調整部75に代えて備えている。
また、本実施形態の検出器250は、図34に示すように、第1実施形態に開示されたチップ進退部80とは構成が異なるチップ進退部280を、第1実施形態に開示されたチップ進退部80に代えて備えている。
また、本実施形態の検出器250は、図29に示すように、第1実施形態に開示された操作パネル94及び表示部98に代えて、電源ボタン294と、検出器250に対する操作入力を受け付けるとともに検出器250による検出結果その他のメッセージを表示するタッチパネル298と、を備えている。本実施形態のタッチパネル298は、たとえば抵抗膜方式のパネルであり、手袋をした状態であっても入力ができるようになっている。
また、本実施形態の検出器250は、図37に示すように、第1実施形態に開示された未使用チップ判定機構90とは構成が異なる未使用チップ判定機構290を、第1実施形態に開示された未使用チップ判定機構90に代えて備えている。
また、本実施形態の検出器250は、第1実施形態に開示された制御部100とは構成が異なる制御部300を、第1実施形態に開示された制御部100に代えて備えている。
本実施形態の移動部255の構成について説明する。
移動部255は、回転駆動部256と、ローター58とを備える。
回転駆動部256は、モーター(不図示)と、このモーターの回転軸に噛み合う減速部(不図示)と、減速部に配されローター58に固定された出力軸57と、ローター58の移動時にローター58の腕部60と接触可能なリミットスイッチ63とを有している。
リミットスイッチ63は、ローター58の初期位置を規定するためのスイッチである。すなわち、リミットスイッチ63がローター58によって押されているときのローター58の位置がローター58の初期位置である。なお、回転駆動部256は、ローター58の初期位置を規定するために複数のリミットスイッチを有していてもよい。
本実施形態の温度調整部275の構成について説明する。
温度調整部275は、ヒーター276と、サーミスタ277と、ヒーターカバー279を備える。
ヒーター276は、シート状の第一ヒーター276A及び第二ヒーター276Bが重ねられた積層構造をなしている。
第一ヒーター276A及び第二ヒーター276Bは、センサチップ202を所定の温度に加温して、センサチップ202における試薬の反応に適した温度に維持するために電力により発熱する発熱部276Aa及び発熱部276Baと、発熱部276Aa及び発熱部276Baを支持する保持部276Ab及び保持部276Bbとを有している。
保持部276Ab及び保持部276Bbは、発熱部276Aa及び発熱部276Baが発する熱が検出器250の筐体250aへ拡散しにくくなるように、筐体250aから離れた位置に発熱部276Aa及び発熱部276Baを保持する。
サーミスタ277は、ヒーター276における第一ヒーター276A側に配された第一サーミスタ277Aと、チャンバー78内の温度を測定するためにチャンバー78内に配された第二サーミスタ277Bとを有している。
第一サーミスタ277Aは、第一ヒーター276Aに接しており、第一ヒーター276Aの温度を測定する。
第二サーミスタ277Bは、センサチップ202を用いた検出動作が行われる環境温度を測定する。
ヒーターカバー279は、ヒーター276における第二ヒーター276B側に配されている。本実施形態では、ヒーターカバー279は、第二ヒーター276Bに接して設けられている。ヒーターカバー279は、例えば樹脂製のシートからなる。一例を挙げると、ヒーターカバー279はポリエチレンテレフタレートからなるシートによって構成されている。ヒーターカバー279がヒーター276を覆っていることにより、血液等の試料がヒーター276に接するのを防ぐことができる。また、本発明に必須ではないが、ヒーターカバー279は検出器250に対して着脱可能であり、汚損したヒーターカバー279は容易に交換可能である。たとえば、血液等の試料がヒーターカバー279に付着した場合に、消毒用エタノール等の有機溶剤などを用いてヒーターカバー279を清拭することにより試料を取り除くことができ、有機溶剤がヒーター276に付着するのをヒーターカバー279が防止するのでヒーター276が有機溶剤から保護される。有機溶剤を使用した清拭によりヒーターカバー279が劣化する場合があるが、この場合には劣化したヒーターカバー279を廃棄して新たなヒーターカバー279をヒーター276に取り付ければよい。
検出器250の筐体250aには、温度調整部275のヒーター276の発熱部276Aa及び発熱部276Baが入り込む貫通孔250a1が形成されている。貫通孔250a1内にヒーター276の発熱部276Aa及び発熱部276Baが配されていることにより、発熱部276Aa及び発熱部276Baから筐体250aへ逃げるねつが少なく抑えられている。
本実施形態のチップ進退部280の構成について説明する。
本実施形態のチップ進退部280は、検出器250から試料供給位置P1が突出した位置(以下、「突出位置P203」という。)と、試料供給位置P1が温度調整部275に近接する位置(以下、「温調位置P204」という。)との間でセンサチップ202を保持部51とともに移動させる。
チップ進退部280は、保持部51の台座52に対して一端が回転自在に連結されたネジ棒281と、検出器250の筐体250aに固定されネジ棒281を回転させるモーター83と、台座52の位置を検出する第二リミットスイッチ84及び第三リミットスイッチ85とを備える。
チップ進退部280のモーター83は、制御部300における制御に基づいて回転動作される。また、チップ進退部280のモーター83は、第二リミットスイッチ84と第三リミットスイッチ85とのいずれか一方に台座52が当接した時に停止するように制御部300により制御される。
第二リミットスイッチ84及び第三リミットスイッチ85は、センサチップ202が突出位置P203または温調位置P204に位置するように台座52の位置を規定するスイッチである。
本実施形態の未使用チップ判定機構290は、供給検知電極(供給センサ)215における導通の有無に基づいてセンサチップ202が未使用であるか使用済みであるかを判定する判定回路293を制御部300に有する。すなわち、制御部300は、保持部51にセンサチップ202が係合していない状態から保持部51にセンサチップ202が係合している状態に変化したことを第一リミットスイッチ54(チップ係合検出スイッチ)が検出したときに、供給検知電極(供給センサ)215における導通の有無を検知し、供給検知電極(供給センサ)215における導通がある場合には、少なくとも一度試料供給位置P1に試料が供給された使用済みのセンサチップ202が検出器250に取り付けられたものと判定する。
本実施形態のチップ制御部300の構成について説明する。
図37に示す本実施形態の制御部300の概略構成は第1実施形態に開示された制御部100と同様である。本実施形態の制御部300における制御動作について以下に詳述する。
制御部300は、上記第1実施形態に開示された主制御回路101及びA/Dコンバータ106を備えている。さらに、本実施形態の制御部300は、上記の未使用チップ判定機構290と、外部機器との通信を行う通信回路307とを備える。
また、制御部300は、センサチップ202に供給された試料の漏れの有無を検知し、試料の漏れがあると判定した時にセンサチップ202の交換を促す機能を有している。本実施形態における試料の漏れとは、試料供給位置P1に試料が供給された状態で、スライド部材30がスライド移動される前に試料が重畳位置P2(電極系220)に達するように流動することをいう。
試料の漏れを検知するための制御部300による制御動作は、たとえば、試料供給位置P1に対して試料を供給可能となった時点で開始し、試料供給位置P1から重畳位置P2への試料の移動を開始する時点で終了する。また、試料の漏れを検知するための制御部300による制御動作は、たとえば、試料に対する前処理反応を行うためにセンサチップ202が温調位置P204に位置している間、所定の時間毎に繰り返し行われる。上記の所定の時間は、センサチップ202が温調位置P204に位置しているときに少なくとも1回は試料の漏れの有無の判定をすることができるような時間に設定されている。
試料の漏れを検知するために、制御部300は、センサチップ202が温調位置P204に位置しているときに、電極系220の作用極24と参照極27とが導通しているか否かを判定する。一例として、制御部300は、作用極24と参照極27に所定の電圧を短時間印加する。電圧を印加する時間は特に限定されない。たとえば、制御部300は、作用極24と参照極27に所定の電圧を0.5秒間印加する。電圧を印加した結果閾値を超えた場合には試料が電極系220に到達している、すなわち試料の漏れがあると判定する。試料の漏れがあると制御部300が判定したら、制御部300は、前処理反応及び後続の各検出動作をキャンセルし、センサチップ202を排出するとともに、センサチップ202を交換すべき旨のメッセージをタッチパネル298に表示させる。
制御部300は、作用極24と参照極27に上記の所定の電圧を短時間印加しても閾値を超えない場合には、試料の漏れがないと判定して前処理反応を継続させる。このように、本実施形態の制御部300が試料の漏れの有無を検知し、漏れがあった場合にセンサチップ202の交換を促すことにより、前処理反応が不完全な状態の試料が電極系220へと供給されてしまうことによる測定精度の悪化を防ぐことができる。
また、本実施形態の主制御部101に設けられた移動制御回路105は、回転駆動部256のリミットスイッチ63のオン・オフに基づいてローター58の位置を検知するとともにローター58の初期位置を規定する機能を有する。
通信回路307は、例えばUSBホスト機能を有し、USB接続される公知のバーコードリーダーや、USB接続されるコンピュータなどに対して通信をすることができる。たとえば、通信回路307を介してUSB接続されるバーコードリーダーを用いて、検出器250を使用するオペレータを特定するIDや、検出器250にセンサチップ202を取り付けて試料に対する検出操作を行う対象となる患者を特定するIDの入力を受け付けることができる。また、通信回路307は、検出器250を用いた検出結果を、USB接続されるコンピュータに対して出力することができる。本実施形態では、通信回路307に接続された複数のUSBコネクタ310A,310B(図31参照)が検出器250の筐体250aに取り付けられている。
本実施形態の生体成分検出キット201は、通信回路307を介して各種機器と接続されることにより、生体成分検出システムを構成してもよい。たとえば、通信回路307を介して、検出器250から外部のコンピュータに測定データが出力されてこのコンピュータが測定データの管理装置となることで、多数の測定データを管理したり、患者ごとの測定データを分析したりすることができる。
さらに、本実施形態の制御部300は、検出器250の品質管理を行う品質管理プログラムを実行可能である。
本実施形態における品質管理プログラムは、既定の検定液を試料として所定の検出反応をセンサチップ202及び検出器250を用いて実施し、その結果を記憶するプログラムである。
品質管理プログラムを定期的に実行することにより、検出器250を用いた検出精度の経時的な変動を低く抑えることができる。
また、本実施形態の制御部300は、定期的に品質管理プログラムを実行させるためのスケジュール手段を有している。
本実施形態の制御部300の動作について説明する。図38から図40までは、本実施形態の検出器250の動作を説明するためのフローチャートである。ここでは、オペレータ(医師・臨床検査技師・その他の技術者・専門家・看護師等)が患者の指先から採取した全血試料を用いて測定を行う例を示す。
検出器250の電源が入ると、制御部300が立ち上がり、初期画面が表示される(図38に示すステップS101)。コネクタ111に接続されたキー110の確認を促すメッセージがタッチパネル298に表示される(ステップS102)。タッチパネル298には、正しいキー110が取り付けられているか否かをユーザに選択させるための「Yes」及び「No」のボタンが表示される。また、上記のステップS102においてキー110が取り付けられていないことが検出された場合には、キー110の取付けを促す目メッセージが表示されてもよい。また、後述する品質管理に関する設定をするための管理者モード(ステップS106)のメニューに移行するための「MENU」のボタンも、本実施形態では「Yes」及び「No」と合わせて表示される。これでステップS102は終了し、ステップS103へ進む。
図38に示すステップS103は、タッチパネル298に対して、どのボタンが入力されたかを判定するステップである。
タッチパネル298に対して「Yes」の入力がされたら、測定モード(ステップS104)へ移行する。ステップS104への移行時に、第二サーミスタ277Bが測定する環境温度のチェックと、検出器250に供給される電源電圧のチェックとが行われる。
本実施形態では、第二サーミスタ277Bによって測定される温度に基づいて、チャンバー78内で好適にセンサチップ202を用いた検出動作をさせることができる温度範囲内の環境温度であるか否かを制御部300が判定する。
また、電源電圧のチェックでは、制御部300、検出回路65、及び温度調整部275等に対して供給される電圧が規定の範囲内にあるか否かのチェックが行われる。
タッチパネル298に対して「No」の入力がされたら、例えばユーザの手作業によりキー110を正しいキー110に交換して、再び上記のステップS103へ進む。なお、ステップS105では、キー110に対する通電や通信を制御することにより、通電や通信の途中でキー110がコネクタ111から抜かれることを予防してもよい。
測定モード(ステップS104)では、図39に示すように、タッチパネル298に対して「Yes」の入力がされあと、ヒーター276に対する通電が開始される(ステップS201)。さらに、タッチパネル298には、例えば「Please wait for 60 sec」など、ヒーター276が十分に加温されるまで次の操作を待つ旨が表示される。
ヒーター276による加温状態は第一サーミスタ277Aによって測定される(ステップS202)ことによりフィードバックされる。ヒーター276は、第一サーミスタ277Aが測定する温度が適温(たとえば37℃±2℃の範囲)になるように制御される(ステップS203及びステップS204)。なお、所定の時間が経過しても第一サーミスタ277Aが測定する温度が適温に達しない場合には加温エラーを報知して(ステップS205)終了し、初期画面に戻ってもよい。
ヒーター276が上記の範囲の温度となった後、タッチパネル298には、オペレータIDの入力を促す画面が表示される(ステップS206)。オペレータは、バーコードリーダーを用いてバーコードを読み取ることによりオペレータIDを入力できる。
オペレータIDが入力されたら、検出器250に対する直近の較正日時(前回較正日時)と現在日時とを比較して較正の要否を判定する(ステップS207)。ステップS207において、前回較正日時から現在日時までの期間が所定の期間を超える場合には、較正モード(ステップS208)へ移行する。ステップS207において、前回較正日時から現在日時までの期間が所定の期間を超えない場合には、患者IDの入力を促すステップ(ステップS209)へ進む。
ステップS208では、前回の較正日時と現在の日時とを比較した結果所定の期間が経過しているので、例えば較正の実施を促すための「Run QC」などの表示をタッチパネル298に表示させる。なお、現在日時の情報がたとえばバッテリー切れなどで失われている場合には、まず、現在日時の入力を促すメッセージ及び入力画面をタッチパネル298に表示し、現在日時の情報の入力を受け付けた後に、前回の較正日時と現在の日時とを比較する。
較正の実施を促すためにタッチパネル298にたとえば「Run QC」と表示された場合、患者IDの入力は禁止される。すなわち、較正が必要である条件下では患者から試料を採取して測定を行うことは禁止される。患者の患者から試料を採取して測定をする必要があれば、較正が済んでいる別の検出器250に交換して使用するか、あるいは「Run QC」と表示された検出器250に対して較正を行う。
検出器250に対する較正は、所定の較正液と、所定の較正用センサチップを用いて行われ、その結果は自動的に検出器250に記憶される。較正の結果として規定の精度を有していることが確認されたら、前回の較正日時を現在日時とする。前回の較正日時が現在日時となることにより、検出器250に記憶された前回の較正日時と現在の日時との比較をした結果所定の期間が経過していないこととなるので、患者IDの入力(ステップS209)へ移行することができる。
ステップS209では、患者IDの入力を促す画面が表示される。オペレータは、たとえばバーコードリーダーを用いてバーコードを読み取ることにより患者IDを入力できる。
オペレータID及び患者IDの入力が行われたら、上記第1実施形態と同様に、検出器250の制御部300は、センサチップ202の取り付けを促すアナウンスを、たとえばタッチパネル298に表示する(ステップS210)。ユーザは、センサチップ202の挿入部11Aを検出器250に挿入することによって、センサチップ202を検出器250にセットする。
なお、保持部51は、センサチップ202の取り付けができるような状態とするために、制御部300により、センサチップ202が突出位置P3にくるように位置が制御される。すなわち、保持部51へのセンサチップ202の取り付け前に、制御部300は、チップ進退部280のモーター83を動作させてセンサチップ202を温調位置P204から突出位置P203へと移動させる。第二リミットスイッチ84が押圧されるまで保持部51が移動したところで保持部51は停止し、保持部51にセンサチップ202を取り付けできるようになる。
制御部300は、センサチップ202が突出位置P203にあるとき、電極間の導通の有無の検知を開始する。電極間の導通があると制御部300が判定した場合には、センサチップが使用済みであると判断する。また、制御部300は、試料の漏れの有無の検知を開始する。試料の漏れがあると制御部300が判定した場合には、センサチップ202を交換すべき旨のメッセージを制御部300がタッチパネル298に表示させることにより、センサチップ202の交換をオペレータ等に促す。
センサチップ202が検出器250にセットされてからセンサチップ202を用いた測定が終了するまでの動作(ステップS211からステップS217まで)は、第1実施形態の検出器50と略同様である。以下では、本実施形態の検出器250と上記第1実施形態の検出器50との動作の相違点を示す。
本実施形態では、センサチップ202が使用済みであるか否かは、センサチップ202が検出器250にセットされたことが検知されたとき(ステップS210)の供給検知電極(供給センサ)215における導通の有無により判定されてもよい。
ベース部材10に対してスライド部材30が移動(ステップS213)することによって測定試料Sが重畳位置P2に導入されたあと、第二供給検知電極221と参照極27との間で導通を検知することにより、電極系220が配された位置に適切に測定試料Sが位置していると判定される。この判定がされた後、電極系220を用いた電気化学的な測定(ステップS214)が開始される。
測定が終了したら、制御部300は、試料収容部34が重畳位置P2から試料供給位置P1に移動するようにスライド部材30を戻すために、第1実施形態と同様に回転駆動部256を動作させる(ステップS216)。本実施形態では、回転駆動部256のローター58の腕部60がリミットスイッチ63を押圧した時に回転駆動部256は停止する。
さらに、制御部300は、チップ進退部280のモーター83を動作させてセンサチップ202を温調位置P204から突出位置P203へと移動させる。第二リミットスイッチ84が押圧されるまで保持部51が移動したところで保持部51は停止し、保持部51からセンサチップ202を取り外しできるようになる(ステップS217)。
このように、本実施形態のセンサチップ202及び検出器250も第1実施形態と同様の効果を奏する。
次に、本実施形態の検出器250の品質管理について説明する。
本実施形態の検出器250は、定期的な品質管理の作業をユーザに促すようになっている。すなわち、本実施形態の検出器250は、品質管理のための較正(図39に示すステップS208)を、所定の期間ごとにユーザ(オペレータ)に実施させる。
上記の所定の期間の長さは、管理者モード(図38に示すステップS106)において変更することもできる。
管理者モードでは、図40に示すように、まず、管理者画面が表示され(ステップS301)、オペレータ(たとえば較正を行う管理者)は、較正を行う所定の期間の設定する旨を指示する入力をする(ステップS302における「QC Interval」の選択)。
ステップS302において「QC Interval」が選択されたら、例えば1日から14日程度の期間から所望の期間をオペレータに選択させる(ステップS303)。ステップS303において選択された期間が、較正を行う所定の期間の情報として保存され(ステップS304)、管理者モードが終了する。較正を行う所定の期間の情報が保存された後、新たな情報に基づいて、所定の期間の経過ごとに較正を促すようになる。
なお、管理者画面において「QC Interval」とは異なる表示が「QC Interval」とともにされていてもよく、この場合、管理者画面を通じてその他の事項について管理(ステップS305)できる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。図41は、本実施形態の生体成分検出キットのセンサチップを模式的に示す平面図である。図42は、同生体成分検出キットの検出器の構成を示す模式図である。
図41及び図42に示すように、本実施形態の生体成分検出キット401は、上記の第1,2実施形態に開示されたセンサチップ2,202とは形状が異なるセンサチップ402と、本実施形態のセンサチップ402を取り付けて使用するための検出器450とを備えている。
センサチップ402は、ベース部材10と、検出部20と、スライド部材430と、支持部40と、前処理試薬13とを有している。ベース部材10,検出部20,支持部40,及び前処理試薬13は上記の第1実施形態と同様の構成であって構わない。
本実施形態のスライド部材430は、第1実施形態に開示されたスライド体32とは形状が異なるスライド体432と、第1実施形態と同様の試料収容部34とを有している。なお、本実施形態のスライド体432は、第1実施形態に開示された突起35及び係合部36を有していない。
本実施形態のスライド体432は、スライド部材430のスライド移動方向に対して直交する方向へ延びる一対の把持部435を有している点で上記の第1実施形態のスライド体32と形状が異なっている。
スライド部材430がベース部材10に取り付けられている状態において、把持部435は、ベース部材10の板厚方向から見たときにベース部材10の縁から外側へと突出している。
検出器450は、本実施形態のスライド体432の把持部435を把持して移動させるための移動部455を、第1実施形態に開示された移動部55に代えて有している。本実施形態の検出器450は、上記の移動部455を備える他は上記の第1実施形態と同様の構成を有していて構わない。
移動部455は、スライド体432の把持部435に係合可能な腕部456と、腕部456を進退動作させる進退駆動部457とを有している。
腕部456は、スライド体432の把持部435を挟み込んで保持することが可能な構成や、把持部435の外面に当接して把持部435を押すことが可能な構成等を有している。腕部456が進退駆動部457によって進退動作することにより、腕部456はスライド体432の把持部435を進退移動させることができる。
このような構成であっても、上記の第1,2実施形態と同様の効果を奏する。
(変形例)
本実施形態の変形例について説明する。図43は、本変形例のセンサチップを模式的に示す平面図である。図44は、本変形例におけるセンサチップと検出器との取り付け状状態を示す模式的な部分断面図である。
図43及び図44に示すように、本変形例では、スライド部材430をベース部材10に対してスライド移動させるための構成が上記の第3実施形態と異なっている。
本変形例の生体成分検出キット401Aは、上記の各実施形態に開示されたセンサチップ402とは形状が異なるセンサチップ402Aと、本変形例のセンサチップ402を取り付けて使用するための検出器450Aとを備えている。
本変形例のセンサチップ402Aは、試料供給位置P1から重畳位置P2へ向かう方向へ長い長穴414が形成されたベース部材410と、長穴414と重なる貫通孔437が形成されたスライド部材430Aとを有している点で、上記の第3実施形態に開示されたセンサチップ402と構成が異なっている。
ベース部材410に形成された長穴414は、ベース部材410の厚さ方向に貫通して形成されており、ベース部材410に対するスライド部材430Aのスライド方向に長い。
スライド部材430Aは、ベース部材410の面上に固定された支持部40に挿通される平面視で矩形状の板部材である。スライド部材430Aは、第1実施形態と同様に、試料収容部34を有している。さらに、本変形例のスライド部材430Aに形成された貫通孔437は、スライド部材430Aを厚さ方向に貫通する円形の孔である。貫通孔は、スライド部材430Aが支持部40に支持された状態でスライド部材430Aの厚さ方向から見たときに、ベース部材410に形成された長穴414と重なるように配置されている。
本変形例のセンサチップ402Aは、センサチップ402Aの構成に対応した検出器450A(図45参照)に取り付けることができる。一例として、本変形例における検出器450Aは、長穴414及び貫通孔437に挿通可能なピン451と、このピン451を進退動作させるための進退駆動部460とを備えている。
検出器450Aの進退駆動部460は、スライド部材430Aのスライド移動方向の一方へピン451を牽引するアクチュエータ461と、アクチュエータ461によるピン451の牽引方向とは反対方向へピン451を牽引するバネ462と、アクチュエータ461の動作を制御するスイッチ部463と、アクチュエータ461及びバネ462をピン451に接続するためのてこバー464とを有している。
進退駆動部460に好適なアクチュエータ461として、たとえば人工筋肉等を挙げることができる。一例として、形状記憶合金からなる繊維状のアクチュエータ(例えばバイオメタル(登録商標))の一端をピン451に固定し、他端を固定端とし、アクチュエータ461となる形状記憶合金に対する通電状態をスイッチ部463によって切り替えることにより、バネ462による牽引力に抗してピン451を牽引することが可能な進退駆動部460とすることができる。
本変形例の生体成分検出キット401の使用時には、センサチップ402の長穴414と貫通孔437とに共に挿入可能なピン451を用いて、長穴414に沿ってスライド部材430Aをスライド移動させることができる。これにより、スライド部材430Aがスライド移動する方向は、長穴414が延びる方向に規制される。ベース部材410に形成された長穴414は、ベース部材410に対してスライド部材430Aをスライド移動させる際のガイドとして機能する。これにより、スライド部材430Aをベース部材410に対して精度良くスライド移動させることができる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
1,201 生体成分検出キット
2,202 センサチップ
10 ベース部材
11 基板
11A 挿入部
12 レジスト層
13 前処理試薬
15,215 供給検知電極(供給センサ)
16,216 第一極
17 接点電極
18,218 第二極
19 接点電極
20,220 電極系(検出部)
21 対極
22 配線部
23 接点電極
24 作用極
25 配線部
26 接点電極
27 参照極
28 配線部
29 接点電極
30 スライド部材
32 スライド体
32a、32b 切欠
33 溝部
34 試料収容部
34a 面
35 突起
35a 第一面
35b 第二面
36 係合部
40 支持部
41 案内部
41a、41b 案内面
42 カバー部材(被覆部)
43 ロック部材
43a 窪み
50 検出器
50a 筐体
51 保持部
52 台座
52a リミットスイッチ
53 端子群
54 第一リミットスイッチ
55,255 移動部
56,256 回転駆動部
57 出力軸
58 ローター
59 固定部
60 腕部
61 軸部
62 係合部
62a 第一係合部
62b 第二係合部
63 リミットスイッチ
65 検出回路
66 供給検知回路
67 印加回路
68 増幅回路
69 電極液検知回路
70 印加回路
71 増幅回路
72 濃度測定回路
73 印加回路
74 増幅回路
75,275 温度調整部
76,276 ヒーター
77,277 サーミスタ
78 チャンバー
80,280 チップ進退部
81 ボールねじ
82 ナット
83 モーター
84 第二リミットスイッチ
85 第三リミットスイッチ
90,290 未使用チップ判定機構
91 標識部
92 標識検知部
93 判定回路
94 操作パネル
95 電源ボタン
96 エンターボタン/機能選択ボタン
97 メニューボタン
98 表示部
99 ブザー
100,300 制御部
101 主制御回路
102 温度調整回路
103 検出結果取得回路
104 入出力回路
105 移動制御回路
106 A/Dコンバータ
110 キー
111 コネクタ
221 第二供給検知電極(供給検知電極)
245 グランドパターン
246 グランドパターン
281 ネジ棒
294 電源ボタン
298 タッチパネル
307 通信回路
401 生体成分検出キット
402,402A センサチップ
410 ベース部材
414 長穴
430,430A スライド部材
432 スライド体
435 把持部
437 貫通孔
450,450A 検出器
451 ピン
455 移動部
456 腕部
457 進退駆動部
460 進退駆動部
461 アクチュエータ
462 バネ
463 スイッチ部
464 てこバー

Claims (16)

  1. 試料中の所定の成分の検出をするためのセンサチップと、
    前記センサチップが接続可能であり前記所定の成分を検出可能な検出器と、
    を備え、
    前記センサチップは、
    前記試料が供給される試料供給位置を面上に有するベース部材と、
    前記ベース部材の前記面上で前記試料供給位置と離間して形成された検出部と、
    前記ベース部材に対して前記面上で相対的にスライド移動するスライド体、及び前記スライド体の一部に設けられ前記試料を収容可能な試料収容部を有するスライド部材と、
    前記ベース部材に固定され、前記ベース部材に対して前記スライド移動可能に前記スライド部材を支持する支持部と、
    前記試料収容部と前記試料供給位置との少なくとも一方に配され、前記検出の妨げとなる妨害物質を除去、捕捉若しくは前記検出に影響しない別の物質に変換するための前処理において使用される前処理試薬と、
    を備え、
    前記ベース部材と前記スライド部材とは、前記試料収容部が前記検出部に重畳する重畳位置と前記試料供給位置とを含む範囲で前記スライド移動可能であり、
    前記検出器は、
    前記ベース部材と係合して前記ベース部材を保持可能な保持部と、
    前記スライド部材に係合して前記ベース部材に対して前記スライド部材を前記スライド移動させる移動部と、
    前記重畳位置に前記試料収容部があるときに前記検出部において前記所定の成分を検出する検出回路と、
    を備える生体成分検出キット。
  2. 請求項1に記載の生体成分検出キットであって、
    前記スライド部材は、前記ベース部材の面に交差する方向へ向かって前記スライド体の一部から突出する突起を有し、
    前記移動部は、
    前記ベース部材の面に平行な方向であって前記スライド部材の前記スライド移動方向に対して垂直な方向に延びる出力軸を有する回転駆動部と、
    前記出力軸に固定され前記出力軸の回転中心に交差する方向に長く前記突起に当接可能に前記回転駆動部により回転されるローターと、
    を有する生体成分検出キット。
  3. 請求項1または請求項2に記載の生体成分検出キットであって、
    前記検出器は、
    前記前処理試薬を用いた反応に好適な温度に維持可能な温度調整部と、
    前記試料供給位置が前記検出器から突出した突出位置と、前記試料供給位置が前記温度調整部に近接する温調位置との間で、前記センサチップを前記保持部とともに移動させるチップ進退部と、
    前記試料供給位置に前記試料が供給された後に前記チップ進退部により前記センサチップを前記突出位置から前記温調位置まで移動させ、前記温調位置に前記センサチップが位置してから前記前処理試薬を用いた規定の反応時間後に前記移動部を動作させることによって前記試料収容部を前記試料供給位置から前記検出部まで移動させる移動制御回路と、
    を備える生体成分検出キット。
  4. 請求項3に記載の生体成分検出キットであって、
    前記センサチップは、前記試料供給位置に前記試料が供給されたことを検知するための供給センサを有し、
    前記移動制御回路は、前記供給センサに接続可能であって前記試料が前記試料供給位置に供給されたことを検知したときに前記チップ進退部の移動を可能とする
    生体成分検出キット。
  5. 請求項1に記載の生体成分検出キットであって、
    前記試料における前記所定の成分の濃度を決定するための演算式の情報が記憶され前記検出器に接続可能なキーをさらに備え、
    前記検出器は、
    前記情報を読み出し可能に前記キーと接続可能なコネクタと、
    前記コネクタに接続され前記情報に基づいて前記検出器の動作を制御する制御部と、
    を備える生体成分検出キット。
  6. 請求項4に記載の生体成分検出キットであって、
    前記検出器は、前記保持部に前記センサチップが係合していない状態から前記保持部に前記センサチップが係合している状態に変化したことを検知するチップ係合検出スイッチを有し、
    前記検出器は、前記保持部に前記センサチップが係合していない状態から前記保持部に前記センサチップが係合している状態に変化したことを前記チップ係合検出スイッチが検出したときに、前記試料供給位置に前記試料が供給されたことを前記供給センサが検知している場合と、前記検出部に前記試料が存在することを前記検出器が検知している場合との少なくともいずれかの場合に、前記センサチップが使用済みであると判定する
    生体成分検出キット。
  7. 請求項4に記載の生体成分検出キットであって、
    前記検出器は、
    前記試料供給位置に前記試料が供給されたことを前記供給センサが検知したことに基づいて前記センサチップに不可逆的に所定の標識を付する標識部と、
    前記保持部に前記センサチップが係合していない状態から前記保持部に前記センサチップが係合している状態に変化したことを検知するチップ係合検出スイッチと、
    前記所定の標識の有無を検知する標識検知部と、
    を有し、
    前記検出器は、前記保持部に前記センサチップが係合していない状態から前記保持部に前記センサチップが係合している状態に変化したことを前記チップ係合検出スイッチが検出したときに前記標識があると前記標識検知部が検知した場合に、前記センサチップが使用済みであると判定する
    生体成分検出キット。
  8. 請求項3に記載の生体成分検出キットであって、
    前記検出器は、検出結果を表示可能な表示部を有し、
    前記センサチップが使用済みであると判定した場合に、前記チップ進退部による前記センサチップの前記温調位置への移動を禁止し、前記センサチップの交換を促すための情報を前記表示部に表示させる制御部をさらに備える
    生体成分検出キット。
  9. 請求項1に記載の生体成分検出キットであって、
    前記ベース部材は絶縁性を有し、
    前記検出部は、前記ベース部材の前記面上で前記試料供給位置と離間して形成された作用極及び参照極を含む電極系を有し、
    前記電極系の少なくとも前記作用極には、酸化還元酵素及びレドックスメディエータが配置されている
    生体成分検出キット。
  10. 請求項9に記載の生体成分検出キットであって、
    前記センサチップは、前記電極系を間にはさんで離間する複数個所に、互いに電気的に接続された導体からなるグランドパターンを有する
    生体成分検出キット。
  11. 請求項9に記載の生体成分検出キットであって、
    前記電極系は、前記電極系における液体の有無を導通を用いて検出する供給検知電極を有する
    生体成分検出キット。
  12. 請求項3に記載の生体成分検出キットであって、
    前記検出器は、前記温度調整部が前記前処理試薬を用いた反応に好適な温度まで加温されるまで前記チップ進退部の動作を禁止し、前記温度調整部が前記前処理試薬を用いた反応に好適な温度まで加温された後に、前記チップ進退部の動作を可能とする
    生体成分検出キット。
  13. 請求項3に記載の生体成分検出キットであって、
    前記温度調整部は、前記温度調整部近傍の環境温度を測定する環境温度測定手段を有し、
    前記環境温度測定手段により測定された温度が、前記前処理試薬を用いた反応に好適な温度への前記温度調整部の温度調整能力に基づく、所定の下限温度以下又は所定の上限温度以上である場合に、前記検出器が前記所定の成分の検出動作を禁止する
    生体成分検出キット。
  14. 請求項1に記載の生体成分検出キットであって、
    前記検出器は、前記検出器を用いた較正を所定の期間ごとに促す制御部を有し、
    前記制御部は、前記所定の期間が経過した状態における前記所定の成分の検出動作を禁止する
    生体成分検出キット。
  15. 請求項1から14のいずれか一項に記載の生体成分検出キットと、
    前記検出器に接続され前記検出器から検出結果を取得するデータベースを含む管理装置と、
    を備えた生体成分検出システム。
  16. 請求項1から14のいずれか一項に記載の生体成分検出キットと、
    前記検出器に対して、前記検出器のオペレータ及び前記検出器を用いた検出の対象となる患者のIDを示すバーコードを読み取り可能なバーコードリーダーと、
    を備えた生体成分検出システム。
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