JP2017132995A - 積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】表面に凹凸を有するさまざまな被着体に貼り合わせた際の粘着特性に優れ、かつ、経時後や高温での保管後に剥がれが生じにくく、さらに被着体への汚染が生じにくい積層体に関する。【解決手段】基材の少なくとも一方の面に粘着層を有する積層体であって、温度32℃におけるナノインデンテーション試験により得られた粘着層側のナノインデンテーション硬度および残留変位が以下の条件1〜3すべてを満たすことを特徴とする積層体である。条件1 最大荷重0.05mNで試験した際のナノインデンテーション硬度H1が120MPa以上200MPa以下条件2 最大荷重2mNで試験した際のナノインデンテーション硬度H2が10MPa以上40MPa以下条件3 最大荷重2mNで試験した際の残留変位dp2が1.0μm以上3.0μm以下【選択図】なし

Description

本発明は表面に凹凸を有するさまざまな被着体に貼り合わせた際の粘着特性に優れ、かつ、経時後や高温での保管後に剥がれが生じにくく、さらに被着体への汚染が生じにくい積層体に関する。
合成樹脂、金属、ガラス等の各種素材からなる製品には、加工工程、輸送工程、保管中に生じるキズや汚れを防止するため、表面を保護する材料を貼って取り扱うことが多々ある。その代表的なものが表面保護フィルムであり、一般に、熱可塑性樹脂や紙からなる支持基材の上に、粘着層が形成されたものを用いており、粘着層面を被着体に貼着させて支持基材で被覆することにより表面を保護するものである。
特に近年、液晶ディスプレイやタッチパネルデバイスの普及が進んでいるが、これらは合成樹脂からなる多数の光学シートや光学フィルム等の部材から構成されている。かかる光学用部材は、光学的な歪み等の欠点を極力低減させる必要があることから、欠点の原因となり得るキズや汚れを防止するため、表面保護フィルムが多用されている。
表面保護フィルムの特性としては、温度、湿度等の環境変化や小さな応力を受けた程度では被着体から容易に剥離しないこと、被着体から剥離した際に被着体に粘着剤及び粘着剤成分が残らないこと等が必要とされる。
上記光学用部材のなかでも、拡散板やプリズムシートのように表面に凹凸を有する被着体に表面保護フィルムを使用する場合、表面保護フィルムと被着体の接触面積が小さいため、貼り合わせた直後や加工時、保管後などに剥離してしまう場合がある。このような課題に対して、表面保護フィルムの粘着層に粘着付与剤を用いて粘着力を高くする方法等が知られている(例えば、特許文献1、2)。
しかしながら、粘着層中に粘着付与剤を多量に含むと、経時や高温での保管時に粘着付与剤が粘着層表面にブリードアウトして被着体を汚染したり、粘着力が上昇して被着体からの剥離が困難になったりする場合があった。
特開2011−190370号公報 特開2013−119603号公報
本発明の課題は、上記した問題点を解決することにある。すなわち、表面に凹凸を有するさまざまな被着体を保護するための適度な粘着力を実現すること、かつ、経時後や高温保管後の剥がれや被着体への汚染を抑制することにある。
上記した課題は、基材の少なくとも一方の面に粘着層を有する積層体であって、温度32℃におけるナノインデンテーション試験により得られた粘着層側のナノインデンテーション硬度および残留変位が以下の条件1〜3すべてを満たすことを特徴とする積層体によって達成可能である。
条件1 最大荷重0.05mNで試験した際のナノインデンテーション硬度Hが120MPa以上200MPa以下
条件2 最大荷重2mNで試験した際のナノインデンテーション硬度Hが10MPa以上40MPa以下。
条件3 最大荷重2mNで試験した際の残留変位dp2が1.0μm以上3.0μm以下。
本発明によれば、上述の課題に鑑み、表面に凹凸を有するさまざまな被着体に対しても適度な粘着特性を有し、かつ、経時後や高温での保管後に剥がれが生じにくく、さらに被着体への汚染が生じにくい積層体を提供することができる。
本発明の積層体は、基材の少なくとも一方の面に粘着層を有する積層体であって、温度32℃におけるナノインデンテーション試験により得られた粘着層側のナノインデンテーション硬度および残留変位が以下の条件1〜3すべてを満たすことを特徴とする、積層体である。
条件1 最大荷重0.05mNで試験した際のナノインデンテーション硬度Hが120MPa以上200MPa以下
条件2 最大荷重2mNで試験した際のナノインデンテーション硬度Hが10MPa以上40MPa以下
条件3 最大荷重2mNで試験した際の残留変位dp2が1.0μm以上3.0μm以下。
ここで、粘着層とは粘着性を有する有限の厚さを有する層状のものを指す。また、上記した積層体の粘着層側のナノインデンテーション硬度および残留変位は後述の実施例に記載の方法で算出することができる。
本発明の積層体において、最大荷重0.05mNで試験した際のナノインデンテーション硬度H(以下、単にHと表記する場合もある)が120MPa未満の場合、粘着層が軟らかいため、粘着力が大きくなりすぎる場合や保管時の内部応力や外力等を抑えきれず経時で浮いてしまう場合がある。一方、Hが200MPaより大きい場合、粘着層が硬いため被着体の表面形状に追従せず、貼り付かない等の問題が生じる場合がある。Hは130MPa以上180MPa以下がより好ましく、140MPa以上160MPa以下がさらに好ましい。
また、最大荷重2mNで試験した際のナノインデンテーション硬度H(以下、単にHと表記する場合もある)が10MPaより小さい場合は、被着体の凹凸部への追従が大きくなりすぎて粘着力が過大となってしまう場合や、貼り付け直後の粘着層の残留ひずみが大きいために経時で剥がれが生じる場合がある。またHが40MPaよりも大きい場合は粘着層が硬いため被着体の表面形状に追従せず、貼り付かない等の問題が生じる場合がある。Hは15MPa以上35MPa以下がより好ましく、20MPa以上30MPa以下がさらに好ましい。
上記ナノインデンテーション硬度HおよびHを制御する方法としては、粘着層の粘弾性や基材の硬さ、粘着層及び基材の厚み、積層比を制御する方法等が挙げられる。例えば、粘着層の貯蔵弾性率が高いほどナノインデンテーション硬度は高くなる。また、一般に粘着層は基材よりも軟らかいため、粘着層厚みが薄いほど基材の影響を受けやすく、ナノインデンテーション硬度は高くなる。
本発明の積層体において、最大荷重2mNで試験した際の残留変位dp2が1.0μmより小さい場合、積層体を被着体に貼り合わせた際に被着体の凹凸への追従が十分ではなく、経時で浮いてしまう場合がある。一方、残留変位dp2が3.0μmより大きいと被着体の凹凸部への追従が大きくなりすぎて粘着力が過大となってしまう場合がある。残留変位dp2は1.0μm以上2.0μm以下がより好ましい。
残留変位dp2を制御する方法としては、粘着層の粘弾性や基材の硬さ、粘着層及び基材の厚み、積層比を制御する方法等が挙げられる。例えば、貯蔵弾性率が低く軟らかい粘着層を用いると、残留変位dp2は大きくなる。また、粘着層の損失弾性率を貯蔵弾性率で除して得られる損失正接が大きいほど、すなわち粘着層の弾性の寄与が小さいほど残留変位dp2は大きくなる。また、一般に粘着層は基材よりも軟らかいため、粘着層の厚みが大きいほどナノインデンテーション試験での押込み量が大きくなり、残留変位dp2も大きくなる。
本発明の積層体は、前記ナノインデンテーション試験における最大荷重2mNで試験した際の最大変位dmax2と残留変位dp2が下記式(1)を満たすことが好ましい。
0.30≦(dp2/dmax2)≦0.60 ・・・(1)。
p2/dmax2が0.60より大きい場合は、積層体を被着体に貼り合わせた後、経時で剥がれやすい場合がある。dp2/dmax2が0.30より小さい場合はdp2が小さくなりすぎて、十分な粘着特性を発現できない場合がある。dp2/dmax2はより好ましくは0.40以上0.60以下、さらに好ましくは0.50以上0.60以下である。dp2/dmax2を制御する方法としては、粘着層の粘弾性や基材の硬さ、粘着層及び基材の厚み、積層比を制御する方法等が挙げられる。
本発明の積層体を構成する基材は、特に限定されないが、例えばポリオレフィンやポリエステルを用いることができる。なかでも、生産性や加工適性等の観点から、ポリオレフィンを主成分とすることが好ましい。ここで、ポリオレフィンを主成分とするとは、基材全体を100質量%としたとき、ポリオレフィンの割合が50質量%以上であることを意味し、より好ましくは70質量%以上である。
前記ポリオレフィンとしては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、低結晶性あるいは非晶性のエチレン・α−オレフィン共重合体、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、プロピレン・エチレン共重合体(ランダム共重合体および/またはブロック共重合体)、プロピレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・エチル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン・メチル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン・n−ブチル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体が挙げられる。これらは単独で用いても併用してもよい。なお、前記α−オレフィンとしては、プロピレンやエチレンと共重合可能であれば特に限定されず、例えば、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−ペンテン、1−ヘプテンを挙げることができる。上記したポリオレフィンのなかでも、高剛性が得られるポリプロピレン、プロピレン・エチレン共重合体(ランダム共重合体および/またはブロック共重合体)、プロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体等のプロピレン系樹脂がより好ましい。
また、本発明における基材を構成する組成物としてプロピレン系樹脂を含有する場合には、さらに結晶核剤を含有することが好ましい。結晶核剤を含有することで、本発明の積層体の結晶化温度を向上させることができ、さらに積層体の剛性を高めたり、耐熱性を高めたりすることができる。
前記結晶核剤としては、例えばソルビトール系化合物、ノニトール系化合物、リン酸エステル系化合物、ロジン系化合物、カルボン酸金属塩系化合物、アミド系化合物、芳香族スルホン酸系化合物、キナクリドン系化合物を挙げることができるが、これらの中でも特にリン酸エステル系化合物が好ましい。リン酸エステル系化合物としては、例えばアルミニウム−ビス(4,4’,6,6’−テトラ−tert−ブチル−2,2’−メチレンジフェニル−ホスファート)−ヒドロキシド、リン酸−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)リチウム塩系化合物が挙げられるが、これに限らず使用することができる。また、市販のリン酸エステル系核剤としては、ADEKA社製「アデカスタブNA−11」、「アデカスタブNA−21」、「アデカスタブNA−27」、「アデカスタブNA−71」等が挙げられる。
本発明における基材中における結晶核剤の含有量は特に限定されないが、基材全体を100質量%としたとき、0.05〜1質量%が好ましく、0.1〜0.5質量%が好ましく、0.15〜0.4質量%が特に好ましい。結晶核剤の含有量が0.05質量%未満の場合は、本発明の積層体の結晶化温度を十分に向上させることができず、積層体の剛性や耐熱性が不十分な場合がある。また、結晶核剤の含有量が1質量%より多いと、基材中での分散性が不十分となり、積層体の透明性を損ねたり、異物などの不良が生じる場合がある。
本発明の積層体は、結晶化温度Tcが118℃以上であることが好ましい。結晶化温度Tcが118℃未満の場合には、積層体の剛性が不十分となり、積層体の製造工程や加工工程でしわが入る等の問題が生じる場合がある。また、積層体を被着体に貼り合わせた後、所定サイズに断裁加工する際、積層体の剛性が不十分であると、切断性が悪く、断裁箇所周辺に過剰な力が加わり積層体が被着体に押し付けられたり、積層体が変形して断裁箇所の端面を覆い、剥離し難くなる場合がある。結晶化温度Tcは120℃以上がより好ましく、124℃以上がさらに好ましい。また、基材を構成する組成物としてプロピレン系樹脂を用いた場合の結晶化温度Tcの実質的な上限は135℃程度である。結晶化温度Tcを制御する方法としては、例えば基材を構成する樹脂に結晶性の高い樹脂を用いる方法や前述の通り結晶核剤を使用する方法が挙げられる。
本発明の積層体の23℃における引張弾性率は600〜2,000MPaであることが好ましい。ここでいう引張弾性率とは、積層体のMD方向に所定の条件で引っ張った際の弾性率であり、後述の実施例に記載の方法で算出することができる。引張弾性率は800〜1,500MPaがより好ましい。
引張弾性率が600MPa未満の場合、積層体の剛性が低くなり、製造工程や加工工程での取り扱いが困難になる場合や、積層体を被着体に貼り合わせた後、所定サイズに断裁加工する際、切断性が悪く、断裁箇所周辺に過剰な力が加わり積層体が被着体に押し付けられたり、積層体が変形して断裁箇所の端面を覆い、剥離し難くなる場合がある。引張弾性率が2,000MPaを超える場合は、フィルムの剛性が高くなりすぎて、特に表面に凹凸を有する被着体に対しての追従性が不足し、貼り付き性が低下する場合がある。
積層体の引張弾性率を制御する方法としては、例えば前記したプロピレン系樹脂や結晶核剤などの基材を構成する組成物の種類を適宜選択する方法、積層体または基材を熱処理もしくは延伸処理する方法、積層体を構成する各層の積層比を適宜調整する方法等が挙げられるが、基材中に結晶核剤を添加する方法が好ましい。
本発明における基材に主として用いるポリオレフィンのメルトフローレート(MFR、230℃、2.16kgの条件で測定)は、2〜30g/分の範囲が好ましく、特に5〜30g/分の範囲が好ましい。MFRが2g/分未満では、溶融粘度が高すぎるため生産性が低下する場合がある。また、MFRが30g/分より大きいと、基材が脆くなり積層体製造時や使用時に取り扱いにくい場合がある。
本発明における基材は、2層以上から構成することもでき、例えば粘着層と基材とを良好に密着させるための接着層を設けたり、粘着層面の表面粗さを制御するための粗面層を設けてもよい。
また、本発明における基材を構成する組成物中には、本発明の積層体としての特性を損なわない範囲で、滑剤、酸化防止剤、耐候剤、帯電防止剤、顔料等の各種添加剤を適宜添加してもよい。
基材の厚みは、積層体の要求特性や本発明の効果を得るために適宜調整することができるが、5〜200μmが好ましく、より好ましくは10〜100μm、さらに好ましくは20〜80μmである。5μmより薄いと強度が不足し、製造工程での搬送が困難な場合や、加工時や使用時に破れてしまう場合がある。200μmより厚い場合は、フィルムの透明性が不足したり、生産性が低下したりする場合がある。
本発明における粘着層を構成するための組成物は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、例えばスチレン系エラストマーを用いることができる。具体的にはスチレン・ブタジエン共重合体(SBR)、スチレン・イソプレン・スチレン共重合体(SIS)、スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体(SBS)等のスチレン・共役ジエン系共重合体およびそれらの水添物(例えば水添スチレン・ブタジエン共重合体(HSBR)やスチレン・エチレン・ブチレン・スチレン共重合体(SEBS))や、スチレン・イソブチレン系共重合体(例えば、スチレン・イソブチレン・スチレントリブロック共重合体(SIBS)やスチレン・イソブチレンジブロック共重合体(SIB)、またはこれらの混合物)を使用することができる。前記した中でも、水添スチレン・ブタジエン共重合体(HSBR)、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン共重合体(SEBS)、スチレン・イソブチレン系共重合体が好ましく用いられる。前記したスチレン系エラストマーは1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を併用することもできる。また、必要に応じてスチレン系エラストマー以外の材料を併用してもよい。
スチレン系エラストマーの重量平均分子量は、好ましくは50,000〜400,000の範囲、より好ましくは50,000〜200,000の範囲である。重量平均分子量が50,000未満では粘着層の凝集力が低下して被着体から剥離した際に糊残りが生じる場合があり、400,000を超えると粘度が高くなり生産性が低下する場合がある。
スチレン系エラストマー中のスチレン含有量は、5〜50質量%の範囲が好ましく、8〜40質量%の範囲がより好ましい。スチレン含有量が5質量%未満では粘着層の凝集力が低下して、被着体から剥離した際に糊残りが生じる場合があり、50質量%を超えると被着体への貼り付き性が低下することになり、特に凹凸を有する被着体に対して粘着性が不足する場合がある。
本発明における粘着層には上記したスチレン系エラストマー以外にも、非晶性や結晶性のポリオレフィンを添加してもよい。例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、低結晶性あるいは非晶性のエチレン・α−オレフィン共重合体、結晶性ポリプロピレン、低結晶性ポリプロピレン、非晶性ポリプロピレン、プロピレン・エチレン共重合体(ランダム共重合体および/またはブロック共重合体)、プロピレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体、ポリブテン、4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体、エチレン・エチル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン・メチル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン・n−ブチル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体が挙げられ、これらは単独で用いても併用してもよい。なお、前記α−オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、4−メチル−1−ペンテンと共重合可能であれば特に限定されず、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−ペンテン、1−ヘプテンを挙げることができる。
上記したポリオレフィンのなかでも、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン・α−オレフィン共重合体、ポリプロピレン、プロピレン・α−オレフィン共重合体、ポリブテン、低結晶性ポリプロピレン、非晶性ポリプロピレン、4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体が好ましく用いられる。
粘着層にポリオレフィンを使用する場合、粘着層の粘弾性を制御し粘着力を調整する観点や、良好な製膜性を得る観点からは、該ポリオレフィンの含有量は、粘着層全体を100質量%としたとき、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましい。
また、前記ナノインデンテーション硬度HおよびH、残留変位dp2、dp2/dmax2を好ましい範囲に制御する観点からは、低結晶性ポリプロピレン、非晶性ポリプロピレン、低結晶性ポリプロピレン、非晶性ポリブテン、4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体等の柔軟性の高い樹脂が好ましく、これらの添加量は粘着層全体を100質量%としたとき、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましい。
本発明における粘着層は、上記した以外にもワックス、粘着付与剤、滑剤、その他の添加剤等の他の成分を本発明の目的を損なわない範囲で適宜添加してもよい。
上記したワックスは、例えばパラフィンワックス、オレフィンワックスおよびこれらの変性ワックスを用いることができる。例えばオレフィンワックスの場合、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリブテンワックスやこれらの変性ワックスを用いることができる。また、本発明に用いるワックスは融点が70〜170℃であることが好ましく、90〜160℃がより好ましく、110〜160℃がさらに好ましい。融点が70℃未満ではべたつきが生じる場合があり、また170℃より高いと成形性が低下する場合があり、取り扱いが困難になる場合がある。ワックスの含有量は、粘着層全体を100質量%としたとき、10質量%以下が好ましい。10質量%より多い場合は、粘着性が低下する場合がある。
前記粘着付与剤としては、例えば、脂肪族系共重合体、芳香族系共重合体、脂肪族・芳香族系共重合体系や脂環式系共重合体等の石油樹脂、テルペン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、ロジン系樹脂、アルキルフェノール系樹脂、キシレン系樹脂又はこれらの水添物を使用することができる。粘着付与剤の含有量は、粘着層全体を100質量%としたとき、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。粘着付与剤の含有量が10質量%より多いと、粘着層を溶融押出法にて成型した場合、粘着付与剤の一部が昇華して口金を汚染し、さらに製品に付着してしまう場合がある。また、本発明の積層体を被着体に貼り合わせた後、積層体から剥離する際に糊残りが生じて被着体を汚染する場合がある。
前記滑剤としては、炭素数4〜60のアルキル基またはアルケニル基、特に炭素数4〜30の直鎖アルキル基または直鎖アルケニル基を分子中に少なくとも1個有する、脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪酸金属塩を用いることができ、例えば、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、エルカ酸等の脂肪酸やこれらの脂肪酸の金属塩やアミド化合物が挙げられる。滑剤の含有量は、粘着層全体を100質量%としたとき、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましい。滑剤の含有量が5質量%より多い場合は、表面にブリードアウトして、被着体を汚染する場合や、粘着性が低下して貼り付き性が低下する場合や経時で剥がれが生じる場合がある。
また、上記したその他の添加剤としては、酸化防止剤、耐候剤、帯電防止剤等が挙げられる。これらの添加剤は単体で用いても、併用してもよいが、総含有量は、粘着層全体を100質量%としたときに、3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましい。これらの添加剤の総含有量が3質量%より多い場合は、粘着層からブリードアウトして、製品に欠点を生じる場合や、被着体を汚染する場合がある。
本発明における粘着層の厚みは、被着体の材質、厚み、表面形状や要求レベルに応じて適宜調整できるが、1〜20μmが好ましく、2〜10μmがさらに好ましく、2〜8μmが特に好ましい。粘着層の厚みが1μmより小さいと、ナノインデンテーション硬度が高くなりすぎて被着体の表面凹凸に十分に追従できず粘着力が発現しない場合や、20μmより大きい場合は粘着力が過剰となったり、生産性が低下したりする場合がある。
本発明の積層体は、少なくとも基材と粘着層とを有する積層体であるが、基材の粘着層と反対側の面に離型層を設けてもよい。離型層を構成する材料や厚み、表面形状は、粘着層の粘着力や、積層体製造時や使用時の加工適性等の観点から選択、調整すればよく、当該分野で公知の技術を用いることができる。好ましくは、離型性を良好に制御するという観点から、ポリフルオロ炭化水素基及びポリオキシエチレン基を同時に有する含フッ素化合物を0.5質量%〜10質量%含有したプロピレン系樹脂を主として構成されることが好ましい。
前記プロピレン系樹脂としては、基材を構成する樹脂と同一のものであっても、異なるものであってもよいが、プロピレンとエチレンおよび/またはα−オレフィンとの共重合体を少なくとも20質量%以上含有することが、後述の離型層の表面粗さをRzで3.0μm以上に粗面化する上で好ましい。プロピレン系樹脂がエチレンおよび/またはα−オレフィンとの共重合体の場合、コモノマ含有量が多くなるほど、該共重合体の融点を低下せしめることができ、共押出の容易さ、低温押出可能なことから、コモノマ含有量としては3〜7質量%の範囲がより好ましい。なお、離型層に耐熱性を付加したい場合は、コモノマ含有量を少なくし、所望の耐熱性を得られるよう適宜選定することもできる。
また、前記プロピレン系樹脂の230℃、2.16kgの条件で測定したMFRは3〜40g/10分の範囲が好ましい。特に、MFRが10〜40g/10分の範囲のものは、低温押出でき、かつ、低密度ポリエチレンと組み合わせることで離型層を粗面化し易いことから、より好ましい。
なお、離型層を粗面化するため、前記プロピレン系樹脂と相溶性の乏しい高圧法低密度ポリエチレンを少なくとも4質量%含有するのが好ましい。
さらに、離型層はポリフルオロ炭化水素基及びポリオキシエチレン基を同時に含有する含フッ素化合物を0.5質量%〜10質量%含有したプロピレン系樹脂から構成されるのが好ましいが、前記ポリフルオロ炭化水素基及びポリオキシエチレン基含有フッ素化合物は、例えば単量体(a)として炭素数1〜18のパーフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを挙げることができ、後述の単量体(b)、(c)のポリオキシエチレン基を有する(メタ)アクリル酸エステル等とを共重合して得ることができる。
単量体(a)のパーフルオロアルキル基としては炭素数1〜18が好ましく、特に1〜6のものがより好ましい。前記パーフルオロアルキル基は直鎖状及び分岐状のどちらでも構わない。これらは1種のみ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
前記パーフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルは共栄社化学(株)等から市販されているが、フッ素含有化合物を原料として既知の方法で合成することもできる。
ポリオキシエチレン基を含有する単量体(b)としては、オキシエチレン単位(−CH−CH−O−)が1〜30連鎖した構造を有するものが好ましく、特に該単位が1〜20のものがより好ましい。なお、該連鎖中にオキシプロピレン単位(−CH−CH(CH)−O−)を含有してもよい。例えば、オキシエチレン単位が8つのポリエチレングリコールモノメタクリレートが挙げられる。単量体(b)は、1種のみを単独で、または2種以上組み合わせてもよい。
また、ポリオキシエチレン基を含有するもう1つ別の単量体(c)としては、オキシエチレン単位が1〜30連鎖した構造を有し、かつ、両末端に2重結合を有するジ(メタ)クリレート、好ましい具体例としては、連鎖数8のポリエチレングリコールジメタクリレートが挙げられる。単量体(c)も1種のみを単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
かかる単量体(a)、(b)、(c)それぞれの割合としては、単量体(a)が1〜80質量%、単量体(b)が1〜80質量%、単量体(c)が1〜50質量%であるのが好ましい。
なお、前記ポリフルオロ炭化水素基及びポリオキシエチレン基を有する含フッ素化合物には、上記した3つの単量体の他に、これらと共重合し得る単量体を50質量%未満の範囲で共重合してもよく、例えば、メチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、フッ化ビニル、ハロゲン化ビニル、スチレン、メチルスチレン、(メタ)アクリル酸とそのエステル、(メタ)アクリルアミド単量体、(メタ)アリル単量体が挙げられる。
前記単量体を用いて、ポリフルオロ炭化水素基及びポリオキシエチレン基を有する含フッ素化合物を得るための重合方式は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合のいずれでもよく、また熱重合以外に光重合、エネルギー線重合も採用できる。
重合開始剤としては、既存の有機アゾ化合物、過酸化物、過硫酸塩等を用いることができる。
本発明で用いる含フッ素化合物の重量平均分子量は1,000〜100,000が好ましく、特に5,000〜20,000が好ましい。重量平均分子量の調整はチオール、メルカプタン、α−メチルスチレン等の重合連鎖移動剤により調整できる。
また、本発明における離型層中の含フッ素化合物の割合は0.5質量%〜10質量%が好ましい。0.5質量%未満では粘着層とのブロッキングが生じ易く、所望する巻戻力を得るのが困難な場合がある。また、10質量%を超えて含有させようとすると、樹脂への溶解度が低いため、均一に混ざり難いため、溶融押出時に離型層構成用のプロピレン系樹脂が該含フッ素化合物の影響を受け、押出スクリュー部で滑り、均一に吐出するのが困難となる場合がある。
なお、本発明における離型層は、含フッ素化合物に加え、平均粒子径1〜20μmの無機粒子および/または有機粒子を0.1質量%〜10質量%含有するのがより好ましい。前記無機粒子および有機粒子の平均粒子径は3〜15μmと比較的大きな粒径のものが滑り性及びブロッキング性の観点から、特に好ましい。
無機粒子としては、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、クレー、タルク、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ゼオライト等を挙げることができるが、なかでもシリカがより好ましい。
有機粒子としては、ポリスチレンやポリメチルメタクリレート等を挙げることができる。
上記含フッ素化合物と無機粒子ないし有機粒子と後述する離型層の表面粗さの相乗効果によって、ブロッキングし難く、良好な巻出性を得られやすくなる。
本発明における離型層の表面粗さは十点平均粗さ(Rz)で3μm以上が好ましい。Rzが3μm未満では、積層体の製造工程でロール状に巻き取るときに、シワが発生しやすくなり、品質を低下させる場合がある。Rzを3μm以上に制御する方法としては、プロピレン系樹脂に前述の如く相溶性の乏しいエチレン系樹脂を少量混合添加する方法等が挙げられる。
本発明の積層体は、使用目的や取扱いの容易さの観点からフィルム状であることが好ましい。積層体の厚みは10〜250μmが好ましく、10〜150μmがより好ましく、25〜100μmが特に好ましい。厚みが10μm未満の場合はこしが不足して、製造時や使用時の取扱いが困難な場合がある。一方、厚みが250μmより厚い場合は、被着体に貼り合わせる際に被着体に追従しにくい場合や、生産性が低下してしまう場合がある。
次に本発明の積層体の製造方法について説明する。
本発明の積層体の製造方法は特に限定されず、例えば、基材、粘着層、離型層の3層積層構成の場合、各々を構成する樹脂組成物を個別の押出機から溶融押出し、口金内で積層一体化させるいわゆる共押出法や、上記基材、粘着層、離型層をそれぞれ個別に溶融押出した後に、ラミネート法により積層する方法等が挙げられるが、生産性の観点から共押出法で製造されることが好ましい。各層を構成する材料は、ヘンシェルミキサ等で各々混合したものを用いてもよいし、予め各層の全てまたは一部の材料を混練したものを用いてもよい。共押出法については、インフレーション法、Tダイ法等の公知の方法が用いられるが、厚み精度に優れることや表面形状制御の観点から、Tダイ法による熱溶融共押出法が特に好ましい。
本発明の積層体は、合成樹脂板、金属板、ガラス板等の製造、加工、運搬時の傷付き防止、汚れ付着防止用の表面保護フィルムとして用いることができるが、特に凹凸を有する被着体に好ましく用いられる。例えば、合成樹脂からなるディスプレイ用部材である拡散板やプリズムシートに用いられ、なかでもプリズムシートのプリズム面の表面保護フィルムとして特に好ましく用いられる。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、各種物性の測定および評価は、以下の方法により実施した。特に記載がない限り、以下の測定および評価は25℃の室内にて実施した。
(1)積層体の厚み
ミクロトーム法を用い、積層体のダイ幅方向−積層体厚み方向に断面を有する超薄切片を作製し、該断面に白金コートをして観察試料とした。次に、日立製作所製電界放射走差電子顕微鏡(S−4800)を用いて、積層体断面を加速電圧1.0kVで観察し、観察画像の任意の箇所から粘着層の厚みおよび積層体の総厚みを計測した。なお、観察倍率は粘着層は10,000倍、積層体は1,000倍とした。さらに、同様の計測を合計5回行い、その平均値を粘着層の厚みおよび積層体の総厚みとして用いた。
(2)積層体の粘着層側のナノインデンテーション硬度、最大変位、残留変位
エリオニクス製のナノインデンテーションテスターENT−2100を用いて、以下の条件で、バーコビッチ圧子(先端三角錐)を用いて、積層体の粘着層側から負荷−除荷試験による押込み試験を1種類の積層体につき、各条件(最大荷重0.05mNの条件および最大荷重2mNの条件)につきそれぞれ5回実施した。最大荷重0.05mNの条件で測定して得られたナノインデンテーション硬度をH、最大荷重2mNの条件で測定して得られたナノインデンテーション硬度をHとした。また最大荷重2mNの条件で測定して得られた最大変位をdmax2、荷重0mNでの残留変位をdp2とし、それぞれ、5回の測定で得られた平均値を用いた。
温度:32℃
最大荷重:0.05mNまたは2mN
負荷速度・除荷速度:0.005mN/s(最大荷重0.05mNのとき)または0.2mN/s(最大荷重2mNのとき)
負荷−除荷試験開始時の荷重:0mN
最大荷重での保持時間:1秒
表面検出方式:傾斜方式
表面検出閾値係数:2.0
ばね補正:無し。
(3)初期粘着力
積層体を幅40mmにカットし、幅25mmのプリズムシートに圧着ローラー(ゴム硬度A80、ローラー質量4kg)を幅方向に垂直な方向(プリズムの稜線方向)に3往復させて貼り合せた後、プリズムシートからはみ出した積層体を除去した。なお、プリズムシートはプリズム稜線間の長さが50μm、稜線先端部分の角度が90度のものを使用した。得られたサンプルを25℃の室内にて24時間保管後、粘着力を測定し、以下の3段階で評価した。本発明においては、貼り付き性および剥離性の観点から、A、B、Cの順で好ましく、AまたはBの評価結果を得たものを合格とした。なお、粘着力の測定は引張試験機((株)オリエンテック“テンシロン”万能試験機)を用いて、引張速度300mm/分、剥離角度180°にて実施した。
A:粘着力が2g/25mm以上、かつ5g/25mm未満
B:粘着力が5g/25mm以上、かつ10g/25mm未満
C:粘着力が2g/25mm未満、または10g/25mm以上。
(4)外観
40mm幅の積層体と40mm幅のプリズムシートを圧着ローラー(ゴム硬度A80、ローラー質量4kg)を幅方向に垂直な方向に3往復させて貼り合せた後、24時間保管し、トムソン型打ち抜き機を用いて、幅30mm、長さ50mmのサイズに打ち抜いた。得られたサンプルを50℃の熱風乾燥機の中で3日間保管し、取り出した後の外観を目視で観察し、以下の3段階で評価した。なお、プリズムシートは上記(3)と同様のものを用いた。
◎:プリズムシートから積層体が全く剥離していない
〇:端部付近で積層体がプリズムシートからごくわずかに剥離している
×:端部以外の箇所で積層体がプリズムシートから剥離している。
(5)汚染性
上記(4)で得られたサンプルを熱風乾燥機から取り出し後、25℃の室温で1時間保管した後、積層体を剥離し、プリズム表面への汚染の状態を目視で確認し、以下の3段階で評価した。
◎:蛍光灯下およびグリーンライト下で全く汚染がみられない
〇:蛍光灯下では全く汚染がみられないが、グリーンライト下でわずかに汚染がみられる
×:蛍光灯下で汚染が認められる。
(6)引張弾性率
積層体の引張弾性率は、引張試験機(オリエンテック製万能試験機テンシロン)を用い、JIS K 7113(1995)に準拠し、温度23℃の室内にて、積層体のMD方向に引張測定を行ない、算出した。
(7)端部剥離性
上記(4)と同様にして、積層体とプリズムシートを貼り合わせた後、トムソン型打ち抜き機で、幅30mm、長さ50mmのサイズに打ち抜いた。その後、サンプルの短手部分の片側端部を手で把持し、積層体をサンプル長手方向に被着体から剥離した。剥離は各積層体について5回実施し、その際の剥離性を端部剥離性とし、以下の基準で評価した。
◎:5回中5回とも容易に剥離できた
〇:5回中4回は容易に剥離できたが、それ以外は一度で剥離できなかった
△:5回中3回は容易に剥離できたが、それ以外は一度で剥離できなかった
×:5回中2回は容易に剥離できたが、それ以外は一度で剥離できなかった
××:5回中容易に剥離できたのが1回以下であった。
(実施例1)
各層の構成樹脂を次のように準備した。
粘着層:SEBS(JSR製“ダイナロン(登録商標)”8903P;スチレン含有量35質量%、MFR30g/10分(230℃、2.16kgで測定))を75質量%、4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体20質量%、水添テルペンフェノール(ヤスハラケミカル製“YSポリスター(登録商標)”TH130)5質量%を用いた。なお、前記4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体は、共重合比率が4−メチル−1−ペンテンが73モル%、プロピレンが27モル%、MFRが10g/10分(230℃、2.16kgで測定)のものを用いた。
基材:MFRが5g/10分(230℃、2.16kgで測定)の市販のホモポリプロピレン(アイソタクチックポリプロピレン)を用いた。
離型層:基材に用いたものと同一のホモポリプロピレンを45質量%、MFRが35g/10分(230℃、2.16kgで測定)のプロピレン−エチレン・ランダムコポリマを24質量%(エチレン含量5質量%)、MFRが2g/10分(190℃、2.16kgで測定)の密度920kg/mの低密度ポリエチレンを6質量%となるよう加え、あらかじめ上記ホモポリプロピレン90質量%に平均粒子径11μmのシリカ4質量%、ポリフルオロ炭化水素基及びポリオキシエチレン基を有する含フッ素化合物6質量%からなる混合組成物をマスターバッチとして準備し、25質量%をヘンシェルミキサにて均一に混合した。
ここで、ポリフルオロ炭化水素基及びポリオキシエチレン基を有する含フッ素化合物は、単量体(a)として、C13のパーフルオロアルキルアクリレート(CH=CHCOOC13)を25質量%、単量体(b)として、オキシエチレン繰り返し単位8つのポリエチレングリコールモノアクリレート{CH=CHCOO(CHCHO)H}を50質量%、及び単量体(c)として、オキシエチレン繰り返し単位8つのポリエチレングリコールジメタクリレート{CH=C(CH)COO(CHCHO)COC(CH)=CH}を25質量%の割合で、溶媒にトリフルオロトルエンを用い、重合開始剤として2,2‘−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を、また連鎖移動剤としてラウリルメルカプタンを用いて、窒素気流下、撹拌しながら60℃で5時間重合させ、しかる後、メタノール中で沈殿・濾過した後、減圧乾燥したものを用いた。
次に、各層の構成樹脂を、3台の押出機を有するTダイ複合製膜機のそれぞれの押出機に投入し、粘着層5μm、基材30μm、離型層5μmになるように各押出機の吐出量を調整し、複合Tダイから押出温度それぞれ200℃にて押出し、フィルム状に成型した。
その後、得られた積層体について、上記した方法により積層体の粘着層側のナノインデンテーションナノインデンテーション硬度、最大変位、残留変位、初期粘着力、加熱保管後の外観および汚染性、積層体の結晶化温度および引張弾性率、端部剥離性を評価した。
(実施例2)
粘着層を構成する樹脂として、SEBS(“ダイナロン(登録商標)”8903P)の量を70質量%、水添テルペンフェノール(“YSポリスター(登録商標)”TH130)の量を10質量%に変更した以外は実施例1と同様とした。
(実施例3)
基材を構成する樹脂として、上記ホモポリプロピレン49.8質量%とMFR(230℃、2.16kg)が4g/10分、エチレン含有量が10質量の市販のプロピレン・エチレンブロック共重合体(ブロックポリプロピレン)を50質量%と結晶核剤としてアデカ製“アデカスタブ(登録商標)”NA−27を0.2質量%を、あらかじめ二軸押出機で溶融混練し、ペレット化したものを用いたこと以外は、実施例1と同様とした。
(実施例4)
粘着層を構成する樹脂として、JSR製“ダイナロン(登録商標)”8903Pにかえて、JSR製“ダイナロン(登録商標)”8300P(スチレン含有量9質量%、MFR7g/10分(230℃、2.16kgで測定))を使用したこと以外は、実施例1と同様とした。
(実施例5)
粘着層を構成する樹脂として、SEBS(“ダイナロン(登録商標)”8903P)の量を85質量%、前記4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体の量を15質量%に変更した以外は実施例1と同様とした。
(実施例6)
基材を構成する樹脂として、上記プロピレン・エチレンブロック共重合体100質量%を用いたこと以外は、実施例2と同様とした。
(比較例1)
粘着層を構成する樹脂として、HSBR(JSR製“ダイナロン(登録商標)”1321P;スチレン含有量10質量%、MFR10g/10分(230℃、2.16kgで測定))を30質量%、SEBS(旭化成ケミカルズ製“タフテック(登録商標)”H1052;スチレン含有量20質量%、MFR13g/10分(230℃、2.16kgで測定))を30質量%、密度921kg/mでMFRが5g/10分(190℃、2.16kgで測定)の直鎖状低密度ポリエチレンを25質量%、水添テルペンフェノール(“YSポリスター(登録商標)”TH130)を15質量%とした以外は実施例1と同様とした。
(比較例2)
粘着層を構成する樹脂として、HSBR(“ダイナロン(登録商標)”1321P)を60質量%、比較例1に記載の直鎖状低密度ポリエチレンを20質量%、水添テルペンフェノール(“YSポリスター(登録商標)”TH130)を20質量%とした以外は実施例1と同様とした。
(比較例3)
粘着層を構成する樹脂として、HSBR(“ダイナロン(登録商標)”1321P)を95質量%、水添テルペンフェノール(“YSポリスター(登録商標)”TH130)を5質量%とした以外は実施例1と同様とした。
(比較例4)
基材を構成する樹脂として、上記プロピレン・エチレンブロック共重合体100質量%を用いたこと以外は、比較例2と同様とした。
Figure 2017132995
本発明の要件を満足する実施例1〜6はいずれも良好な初期粘着力を示し、プリズムシートへの貼り付き性および剥離性に優れていた。さらに加熱保管後の剥離や汚染がみられなかった。また、実施例3は打ち抜き加工後の端部剥離性に特に優れていた。一方、比較例1および3は加熱保管後にプリズムシートからの剥離が確認された。また、比較例2および4は加熱保管後にプリズムシートへの汚染が確認され、端部剥離性にも劣っていた。
本発明の積層体は、表面に凹凸を有する被着体のキズや汚れを防止する表面保護フィルムのみならず、合成樹脂、金属、ガラス等の各種素材からなる種々の製品の表面保護フィルム用途として好ましく用いることができる。

Claims (5)

  1. 基材の少なくとも一方の面に粘着層を有する積層体であって、温度32℃におけるナノインデンテーション試験により得られた粘着層側のナノインデンテーション硬度および残留変位が以下の条件1〜3すべてを満たすことを特徴とする、積層体。
    条件1 最大荷重0.05mNで試験した際のナノインデンテーション硬度Hが120MPa以上200MPa以下
    条件2 最大荷重2mNで試験した際のナノインデンテーション硬度Hが10MPa以上40MPa以下
    条件3 最大荷重2mNで試験した際の残留変位dp2が1.0μm以上3.0μm以下
  2. 前記ナノインデンテーション試験において、最大荷重2mNで試験した際の最大変位dmax2と残留変位dp2が下記式(1)を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の積層体。
    0.30≦(dp2/dmax2)≦0.60 ・・・ (1)
  3. 前記粘着層がスチレン系エラストマーを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の積層体。
  4. 前記積層体の23℃における引張弾性率が600〜2,000MPaであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の積層体。
  5. プリズムシートのプリズム面の表面保護フィルムとして用いられることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の積層体。
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