JP2017132331A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Norimichi Nakamura
倫道 中村
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Abstract

【課題】ステアリングジオメトリによっては操舵角の大きさが大きくなるほどセルフアライニングトルクが小さくなる操舵角の領域が存在する場合がある。操舵角がこの領域に含まれているとき、運転者が切り増し操作から保舵操作及び切り戻し操作へ移行するために操舵トルクを弱めても操舵角の大きさが上昇し続ける舵角増加継続現象が発生する場合がある。【解決手段】操舵トルクを弱めても操舵角の大きさが上昇し続けていれば、舵角増加継続現象が発生していると判定し、アシストトルクを弱めるアシストトルク補正制御を実行することによって操舵角の大きさの上昇を抑える電動パワーステアリング装置を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、車両が備える操舵ハンドルに対する運転者の操舵操作を補助するためのアシストトルクを電動機によって発生させる電動パワーステアリング装置に関する。
一般に、車両の操舵ハンドルの操舵角の大きさが大きくなるほどセルフアライニングトルクが大きくなる。セルフアライニングトルクは操舵ハンドルに伝達され、車両の運転者はそのトルクを操舵反力として認識する。そのため、運転者は、操舵角が大きくなるほど操舵角の大きさを増加させる操作(以下、「切り増し操作」とも称呼される。)に必要な操舵トルクが大きくなると予期する。よって、一般に、運転者は、切り増し操作を行うにあたり操舵角が大きくなるほど操舵トルクを増加させる。
しかし、操舵角が大きくなるほどセルフアライニングトルクが小さくなる操舵角の領域(SAT減少領域)が存在するように構成されたステアリングジオメトリを採用している車両もある。そのため、例えば、運転者が切り増し操作を終え、操舵角を一定に維持する操作(以下、「保舵操作」とも称呼される。)を開始するために操舵トルクの大きさを減少させても、操舵角の大きさが増加し続け、その結果、運転者が違和感を覚える場合がある。同様の事象は、運転者が、切り増し操作の後、操舵角の大きさを減少させる操作(以下、「切り戻し操作」とも称呼される。)に移行するために操舵トルクの大きさを減少させた場合にも起こり得る。
そこで、従来の電動パワーステアリング装置の一つ(以下、「従来装置」とも称呼される。)は、操舵角(絶対操舵角)を検出する操舵角センサを備え、操舵角がSAT減少領域に含まれていても、操舵角が大きくなるほど切り増し操作に必要な操舵トルクが大きくなるように電動機が発生させるアシストトルクを調整していた(例えば、特許文献1を参照。)。
特開2007−99053号公報
ところで、操舵ハンドルの操舵角を検出するための車両の操舵角センサが検出する操舵角と、実際の操舵角と、の間に一定の差分(誤差)が発生する場合がある。即ち、所謂、ステアリングの0点補正が正しく行われていない状態が発生し得る。この場合、操舵角センサの検出値が誤差を含んでいるので、従来装置は、その時点の操舵角がSAT減少領域に含まれているか否かを正しく判定できず、その結果、アシストトルクを適切に決定することができなくなる。
或いは、絶対操舵角を検出する操舵角センサの替わりに「操舵角の変化方向及び単位時間あたりの操舵角の変化量を表す相対操舵角変位量」を検出する操舵角変位量センサが車両に搭載されている場合がある。この場合、操舵角がSAT減少領域に含まれているか否かを判定できないので、この車両に従来装置を適用することができない。
そこで、本発明の目的の一つは、SAT減少領域が存在する車両において絶対操舵角が正確に取得できない場合であってもアシストトルクを適切に制御し、以て、切り増し操作から保舵操作及び切り戻し操作への円滑な移行を行うことができる車両の電動ステアリング装置を提供することである。
上記目的を達成するための本発明に係る車両の操舵装置(以下、「本発明装置」とも称呼する。)は、車両に適用される電動パワーステアリング装置であって、トルク検出部、電動機、操舵角変位量検出部、ヨーレート検出部及び制御部を備える。
前記トルク検出部は、操舵ハンドルと操舵輪とを連結するステアリング機構に対し前記操舵ハンドルから入力された操舵トルクの作用方向及び大きさを検出する。
前記電動機は、前記ステアリング機構に設けられて操舵操作をアシストするためのアシストトルクを発生する。
前記操舵角変位量検出部は、前記操舵ハンドルの舵角である操舵角の変化方向及び単位時間あたりの変化量を検出する。
前記ヨーレート検出部は、前記車両のヨー角の変化方向及び単位時間あたりの変化量を検出する。
前記制御部は、
少なくとも前記操舵トルクに応じて基本アシストトルクを決定し、前記基本アシストトルクに応じたトルクを前記アシストトルクとして前記電動機に発生させる。
加えて、前記制御部は、
(1)現時点における前記操舵トルクの作用方向が前記ヨー角の変化方向に対応しており、
(2)現時点における前記操舵角の変化方向が前記ヨー角の変化方向に対応しており、
(3)現時点における前記操舵トルクの作用方向が現時点よりも所定時間だけ前の第1時点における前記操舵トルクの作用方向と同じであり、
(4)現時点における前記操舵トルクの大きさが前記第1時点における前記操舵トルクの大きさよりも所定の第1閾値を越えて減少しており、且つ、
(5)現時点における前記操舵角の単位時間あたりの変化量が所定の第2閾値よりも大きい、
というトルク補正実行条件が成立しているとき、
前記基本アシストトルクの作用方向と反対方向のトルクであって所定の大きさを有する補正アシストトルクを前記基本アシストトルクに加えたトルクを前記アシストトルクとして前記電動機に発生させる、アシストトルク補正制御を実行する。
上記条件(1)〜条件(5)が総て成立しているとき、運転者が保舵操作又は切り戻し操作を行うために操舵トルクの大きさ(絶対値)を減少させたにも拘わらず操舵角の大きさが増加し続けている。運転者が操舵トルクの大きさを減少させたにも拘わらず操舵角の大きさが増加し続ける現象は、「舵角増加継続現象」とも称呼される。
舵角増加継続現象の発生時、制御部はアシストトルク補正制御を実行することによって操舵角の大きさの増加を抑える。その結果、SAT減少領域が存在する車両において絶対操舵角が正確に取得できない場合であっても切り増し操作から保舵操作及び切り戻し操作への円滑な移行を行うことができる。
本発明装置の一態様において、前記制御部は、
前記トルク補正実行条件が成立している期間において前記補正アシストトルクの大きさを徐々に増加させ、前記トルク補正実行条件が不成立となった後に前記補正アシストトルクの大きさを徐々に減少させるように構成されることが好適である。
本態様によれば、アシストトルク補正制御の開始及び終了時にアシストトルクが急激に変化し、その結果、運転者に違和感を与えることを回避することができる。加えて、前記トルク補正実行条件が成立すると、同条件が不成立になるまで前記補正アシストトルクの大きさが徐々に増加するので、前記補正アシストトルクが「操舵角の大きさの増加が抑えられる必要最小限の大きさ」を越えて大きくなることが回避される。その結果、前記補正アシストトルクの大きさが増えすぎることによって運転者に違和感を与えることを回避することができる。
本発明装置の他の態様において、前記制御部は、
前記第1時点における前記ヨー角の単位時間あたりの変化量が所定の第3閾値よりも小さいときには、前記アシストトルク補正制御を実行しないように構成され得る。
本発明装置が適用される車両の速度(車速)が小さく且つ操舵角の大きさが小さいとき(即ち、ヨーレートが小さいとき)、セルフアライニングトルクの大きさが小さく、以て、操舵反力の大きさが小さい。保舵操作及び切り戻し操作の開始時、操舵反力の大きさが小さければ、舵角増加継続現象が発生する可能性が低い。或いは、この場合、舵角増加継続現象が発生しても運転者に違和感を与える可能性が低い。
そこで、この場合、本発明装置はアシストトルク補正制御を実行しない。換言すれば、この態様によれば、運転者が違和感を覚える状況では無いにも拘わらずアシストトルク補正制御を実行することを回避することが可能となる。
本発明装置の他の態様において、前記制御部は、
前記車両と路面との間で所定のスリップが発生しているか否かを判定し、前記所定のスリップが発生していると判定したときには、前記アシストトルク補正制御を実行しないように構成されることが好適である。
車両(具体的には、操舵輪及び操舵輪以外の車輪のうちの一部又は全部)と路面との間でスリップが発生すると(具体的には、スリップ率が上昇すると)、セルフアライニングトルクの大きさが小さくなり、以て、操舵反力の大きさが小さくなる。そのため、舵角増加継続現象が発生する可能性が低い。そこで、この場合、本発明装置はアシストトルク補正制御を実行しない。換言すれば、この態様によれば、舵角増加継続現象が発生していないにも拘わらずアシストトルク補正制御を実行することを回避することが可能となる。
前記制御部は、
現時点における前記ヨー角の単位時間あたりの変化量から前記第1時点における前記ヨー角の単位時間あたりの変化量を減じた値が所定の第4閾値よりも小さいとき、前記スリップが発生していると判定することができる。
より具体的に述べると、操舵角の単位時間あたりの増加量が上記第2閾値よりも大きいにも拘わらず、ヨー角の単位時間あたりの変化量が充分に増加していなければ、制御部は、スリップが発生している(具体的には、スリップ率が増加している)と判定することができる。
或いは、前記制御部は、
現時点における前記ヨー角の単位時間あたりの変化量から前記第1時点における前記ヨー角の単位時間あたりの変化量を減じた値であるヨーレート変化量の推定値と、実際の同ヨーレート変化量との間の差分が所定の第5閾値よりも大きいとき、スリップが発生していると判定することができる。
本発明の実施形態に係る車両の操舵装置(本操舵装置)が適用される車両の概略図である。 操舵トルク及び車速と基本アシスト制御量との関係を表したグラフである。 操舵角と操舵反力との関係を表したグラフである。 本操舵装置に係る各パラメータの経時的変化を表したタイムチャートである。 本操舵装置のECUが実行するアシストトルク決定処理ルーチンを示したフローチャートである。 本操舵装置のECUが実行するトルク補正フラグ設定処理ルーチンを示したフローチャートである。
(構成)
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態に係る車両の操舵装置(以下、「本操舵装置」とも称呼される。)について説明する。本操舵装置が適用される車両10の概略構成が図1に示される。車両10は、操舵ハンドル11、ステアリングシャフト12、ピニオンギア13、ラックバー14、操舵輪(前輪)15、減速機16、電動機17、駆動回路18、後輪19及びECU20を含んでいる。
操舵ハンドル11は、本操舵装置が搭載される車両の運転者によって同車両の進路(進行方向)を変更するために操作される。即ち、操舵ハンドル11は、運転者によって操舵輪15の転舵角を変更するために操舵される。
ステアリングシャフト12の一端には操舵ハンドル11がステアリングシャフト12と一体回転可能に接続されている。ステアリングシャフト12の他端にはピニオンギア13が一体回転可能に接続されている。従って、操舵ハンドル11が回転すれば、ピニオンギア13が回転するようになっている。
ピニオンギア13は、ラックバー14に形成されたラックギアと噛合している。ピニオンギア13とラックバー14とはラックアンドピニオン機構を構成している。このラックアンドピニオン機構によって、ピニオンギア13の回転運動はラックバー14の往復直線運動に変換される。
ラックバー14の往復直線運動はタイロッド(不図示)を介して操舵輪15のナックル(不図示)に伝達され、その結果、このラックバー14の往復直線運動に伴って操舵輪15の転舵角が変更される。即ち、操舵ハンドル11の回転に従って、操舵輪15の転舵角が変更される。
ピニオンギア13及びラックバー14並びにタイロッド及びナックル等の操舵輪15の転舵角を変更する部材の幾何学的配置はステアリングジオメトリとも称呼される。ステアリングジオメトリに応じて操舵輪15の転舵角とセルフアライニングトルクとの関係が決定される。図3を参照して後述されるように、車両10が採用しているステアリングジオメトリは、転舵角の大きさが大きくなるほどセルフアライニングトルクの大きさが大きくなる転舵角の領域を有している。
操舵ハンドル11の回転角度は、操舵角θによって表される。操舵角θは、操舵ハンドル11が中立位置Pnよりも反時計回りに回転しているときに正の値となり(即ち、θ>0)、操舵ハンドル11が中立位置Pnよりも時計回りに回転しているときに負の値となる(即ち、θ<0)。従って、操舵ハンドル11が中立位置Pnにある場合の操舵角θはゼロ(「0」)である。操舵ハンドル11が中立位置Pnから1回転以上回転すると、操舵角θの絶対値は360°よりも大きな値となる。
ステアリングシャフト12には減速機16が介装されている。電動機17は、減速機16を介してステアリングシャフト12とトルク伝達可能に接続されている。従って、「電動機17が発生させ減速機16を介してステアリングシャフト12に作用するアシストトルクTa」は、運転者が操舵ハンドル11を操作するときのアシストトルク(アシスト力)となる。
電動機17が、操舵角θを増加させる方向(即ち、操舵ハンドル11を反時計回りに回転させる方向)にトルクを発生させているとき、アシストトルクTaは正の値となる(即ち、Ta>0)。一方、電動機17が操舵角θを減少させる方向(即ち、操舵ハンドル11を時計回りに回転させる方向)にトルクを発生させているとき、アシストトルクTaは負の値となる(即ち、Ta<0)。
電動機17は、三相(u相、v相、及び、w相)ブラシレスモータである。電動機17に供給される電力はインバータを含む駆動回路18によって制御される。駆動回路18はECU20によって制御される。後輪19の車軸の回転中心と操舵輪15の車軸の回転中心との間の距離は、ホイールベースLとも称呼される。
ECU20は、周知のマイクロコンピュータを含む電子回路であり、CPU21、ROM22、RAM23及びインタフェース等を含んでいる。ROM22は、CPU21が実行するプログラム及びルックアップテーブル等を記憶している。RAM23は、データを一時的に記憶する。ECU20は、後述される相対操舵角センサ31、トルクセンサ32、車速センサ33及びヨーレートセンサ34等と接続されていて、これらのセンサ類の検出量を受信するようになっている。
相対操舵角センサ31は、ステアリングシャフト12に配設されている。相対操舵角センサ31は、ステアリングシャフト12の回転方向及び回転速度に応じて変化する矩形波信号を出力する。ECU20は、相対操舵角センサ31から受信した矩形波信号に基づいて単位時間あたりの操舵角θの変化量である操舵角変位量Δθを算出する。即ち、操舵角変位量Δθは、最新の操舵角θから単位時間前の操舵角θを減じた量である。操舵角θが増加しているとき、操舵角変位量Δθは正の値となり(即ち、Δθ>0)、操舵角θが減少しているとき、操舵角変位量Δθは負の値となる(即ち、Δθ<0)。
トルクセンサ32は、ステアリングシャフト12の「操舵ハンドル11と減速機16との間に介装されたトーションバーの部分(トルク作用部)」に配設されている。トルクセンサ32は、トルク作用部に作用している操舵トルクTsを表す信号を出力する。操舵ハンドル11に対して操舵角θを増加させる方向にトルクが作用しているとき、操舵トルクTsは正の値となり(即ち、Ts>0)、操舵角θを減少させる方向にトルクが作用しているとき、操舵トルクTsは負の値となる(即ち、Ts<0)。
車速センサ33は、車両10の車速Vsを表す信号を出力する。
ヨーレートセンサ34は、車両10のヨーレートγを表す信号を出力する。車両10が車両重心を通る鉛直軸線に対して左方向に回転(旋回)しているときヨーレートγは正の値となり(即ち、γ>0)、車両10が車両重心を通る鉛直軸線に対して右方向に回転しているときヨーレートγは負の値となる(即ち、γ<0)。
(アシストトルク補正処理の概要)
車両10の運転者が、車両10の進路(進行方向)を変更するために操舵ハンドル11を中立位置Pnから回転させる(即ち、操舵角θの絶対値を「0」から増加させる)切り増し操作を行うと、車両10は旋回する。即ち、ヨーレートγの絶対値が「0」よりも大きくなる。運転者が操舵角θを一定値に維持する(即ち、操舵角変位量Δθを「0」に維持する)保舵操作を行うと、車速Vsが一定値であれば、ヨーレートγが一定値となる。
運転者が旋回中の車両10の進行方向を直進方向へと変更するために操舵角θの絶対値を減少させる方向に操舵ハンドル11を回転させる切り戻し操作を行うと、ヨーレートγの絶対値が減少する。切り戻し操作の結果、操舵ハンドル11が中立位置Pnに戻ると(即ち、操舵角θが「0」になると)、ヨーレートγが「0」となる。
操舵角θが「0」以外の値であるとき、操舵輪15が接する路面が操舵輪15に及ぼす摩擦力に起因して操舵輪15にセルフアライニングトルクが作用する。セルフアライニングトルクに応じて操舵ハンドル11に操舵反力Trが作用する。操舵ハンドル11に操舵角θを減少させる方向の操舵反力Trが作用しているとき、操舵反力Trは正の値となる。操舵反力Trが操舵ハンドル11に作用していても、運転者が操舵ハンドル11を容易に操作できるように、ECU20は電動機17にアシストトルクTaを発生させる。
ECU20は、アシストトルクTaを、基本アシスト制御量Tbと補正アシスト制御量Tmとの和として決定する(即ち、Ta=Tb+Tm)。基本アシスト制御量Tbは、操舵トルクTs及び車速Vsに応じて決定される「操舵角θの絶対値が増加する方向のトルク」である。
一方、補正アシスト制御量Tmは、切り増し操作から保舵操作及び切り戻し操作への円滑な移行のため、アシストトルクTaを一時的に弱める「基本アシスト制御量Tbとは反対方向のトルク」である。従って、基本アシスト制御量Tbと補正アシスト制御量Tmとは、互いに符号が異なる(即ち、Tb×Tm≦0)。
先ず、基本アシスト制御量Tbの決定方法について説明する。
操舵トルクTs及び車速Vsと基本アシスト制御量Tbとの関係は図2に示される。図2から理解されるように、操舵トルクTsの絶対値が大きくなるほど基本アシスト制御量Tbの絶対値は大きくなり、車速Vsが大きくなるほど基本アシスト制御量Tbの絶対値は小さくなる。図2に示される関係は、ルックアップテーブルの形式にてROM22に記憶されている。
次に、補正アシスト制御量Tmの設定が必要となる理由について説明し、更に、補正アシスト制御量Tmの決定方法について説明する。
操舵トルクTsとアシストトルクTaとの和が操舵反力Trよりも強ければ、操舵角θの絶対値は上昇する。操舵角θが上昇するほど操舵反力Trの大きさが上昇すれば、操舵トルクTs及びアシストトルクTaの和と、操舵反力Trと、が釣り合う操舵角θにて操舵角θが変化しなくなる保舵状態となる。
しかし、操舵角θが上昇するほど操舵反力Trの大きさが減少すれば、操舵角θの絶対値が上昇し続ける。このとき、運転者が保舵操作又は切り戻し操作を行うべく操舵トルクTsを弱めても、操舵トルクTs及びアシストトルクTaの和が操舵反力Trよりも強ければ、操舵角θの絶対値が上昇し続ける。即ち、舵角増加継続現象が発生する。
そこで、ECU20は、舵角増加継続現象が発生したとき、補正アシスト制御量Tmの絶対値を増加させることによって「操舵トルクTs及びアシストトルクTaの和」を小さくし、以て、運転者による切り増し操作から保舵操作及び切り戻し操舵への円滑な移行を支援する。ECU20が実行する補正アシスト制御量Tmを設定する制御は、「アシストトルク補正制御」とも称呼される。
操舵角θが上昇するほど操舵反力Trの大きさが減少する状態の例として、特定の車速Vsにおける車両10における操舵角θと操舵反力Trとの関係が、図3の曲線Lc1により示される。操舵角θが負の値であるときの操舵角θと操舵反力Trとの関係は、原点(操舵角θ及び操舵反力Trが共に「0」である点)に関して曲線Lc1と対称な曲線によって表されるので図示を省略する。
図3から理解されるように、操舵角θの絶対値が操舵角閾値θ1よりも小さい範囲において、操舵角θの絶対値が大きくなるほど操舵反力Trの絶対値が大きくなる。一方、操舵角θの絶対値が操舵角閾値θ1よりも大きい範囲(即ち、SAT減少領域)において、操舵角θの絶対値が大きくなるほど操舵反力Trの絶対値が小さくなる。そのため、運転者が切り増し操作を行い、操舵角θの絶対値が操舵角閾値θ1より大きくなっているとき、舵角増加継続現象が発生する可能性がある。
舵角増加継続現象が発生したときの操舵トルクTs、操舵角変位量Δθ及びヨーレートγのそれぞれの、時刻tに対する変化の例を表したタイムチャートを図4に示す。図4の曲線Lc2は操舵トルクTsの変化を表し、曲線Lc3は操舵角変位量Δθの変化を表し、曲線Lc4はヨーレートγの変化を表している。
時刻taまでの期間、運転者は、操舵トルクTsを増加させる(即ち、操舵ハンドル11に加える力を強める)ことによって操舵角変位量Δθを上昇させ(即ち、操舵角θを増加させ)、以て、ヨーレートγが増加している。その後、時刻tがtaになると、運転者は保舵操作を行うために操舵トルクTsを減少させ始めている。しかし、曲線Lc3及び曲線Lc4から理解されるように、操舵トルクTsが減少しても、操舵角変位量Δθが増加を継続し、その結果、ヨーレートγも増加し続けている。即ち、舵角増加継続現象が発生している。
そこで、ECU20は、舵角増加継続現象の発生時、切り増し操作から保舵操作へ円滑に移行できるようにアシストトルク補正制御を実行し、アシストトルクTaを一時的に減少させる。その結果、破線Ld3及び破線Ld4に示されるように、時刻ta以降、操舵角変位量Δθ及びヨーレートγのそれぞれが、略一定の値に維持される。
アシストトルク補正制御の開始条件(トルク補正実行条件)は、以下の条件(a)〜(h)の成立総ての条件が成立したときに成立する条件である。
(a)操舵トルクTsの符号がヨーレートγの符号と等しい(即ち、Ts×γ>0)。
(b)操舵角変位量Δθの符号がヨーレートγの符号と等しい(即ち、Δθ×γ>0)。
(c)現在時刻(便宜上、「時刻t2」と称呼する。)における操舵トルクTsの符号と、現在時刻よりも所定時間Δtだけ以前の時刻t1(即ち、t1=t2−Δt)における操舵トルクTsである旧操舵トルクTsoldの符号と、が互いに等しい(即ち、Ts×Tsold>0)。
(d)時刻t1から時刻t2にかけて操舵トルクTsの絶対値の減少量が所定の第1閾値Xth1よりも大きい(即ち、|Tsold|−|Ts|>Xth1)。
(e)時刻t2における操舵角変位量Δθの絶対値が所定の第2閾値Xth2よりも大きい(即ち、|Δθ|>Xth2)。
(f)時刻t2におけるヨーレートγの絶対値が所定の第3閾値Xth3よりも大きい(即ち、|γ|>Xht3)。
(g)時刻t2におけるヨーレートγの符号と、時刻t1におけるヨーレートγである旧ヨーレートγoldの符号と、が互いに等しく(即ち、γ×γold>0)、且つ、時刻t1から時刻t2にかけてヨーレートγの絶対値の増加量が所定の第4閾値Xth4よりも大きい(即ち、|γ|−|γold|>Xth4)。
(h)単位時間あたりのヨーレート変化量Δγの実際の値と、操舵角変位量Δθ及び車速Vs等に基づくヨーレート変化量Δγの推定値Δγestと、の差分の大きさが所定の正の閾値Xth5よりも小さい。即ち、推定値Δγestを、ヨー角速度ゲイン定数Gを用いて下式(1)により表したとき、下式(2)が成立している。
Figure 2017132331
ここで、Khは、車両10のスタビリティファクタであり、
Lは、車両10のホイールベースである。
スタビリティファクタKh及びホイールベースLは、予め取得されROM22に記憶されている。
上記条件(a)〜(f)が総て成立していれば、車両10の旋回中に運転者が操舵トルクTsを弱めたにも拘わらず操舵角θの絶対値が減少しない舵角増加継続現象が発生していることが判る。一方、上記条件(g)及び(h)が共に成立していれば、車両10の車輪(操舵輪15及び後輪19)のそれぞれと路面との間でスリップが発生していないことが判る。従って、ECU20は、条件(a)〜(h)の総てが成立しているとき、トルク補正実行条件が成立していると判定し、アシストトルク補正制御を実行する。
具体的には、トルク補正実行条件が成立している間、ECU20は、トルク補正実行条件が成立した時点での補正アシスト制御量Tmの符号を維持しながら、補正アシスト制御量Tmの絶対値を所定の上限値(トルク補正最大値Tcmax)まで徐々に増加させる。一方、トルク補正実行条件が成立しなくなると、ECU20は、補正アシスト制御量Tmの絶対値を徐々に減少させる。
(アシストトルク補正処理の具体的作動)
次に、ECU20の具体的作動について、補正アシスト制御量Tmの詳細な決定方法も含めて説明する。
ECU20のCPU21(以下、単に「CPU」とも称呼される)は、図5にフローチャートにより表された「アシストトルク決定処理ルーチン」を所定時間Δtが経過する毎に実行する。従って、適当なタイミングになると、CPUは、図5のステップ500から処理を開始し、ステップ505に進む。
(A)いま、車両10の始動後、初めて本ルーチンが実行された(従って、トルク補正実行条件が未だ成立していない)と仮定する。
ステップ505にてCPUは、上記図2に表された「操舵トルクTs及び車速Vsと基本アシスト制御量Tbとの関係」に、実際に検出されている「操舵トルクTs及び車速Vs」を適用することにより、基本アシスト制御量Tbを決定する。次いでCPUはステップ510に進み、トルク補正フラグ設定処理を行うことにより、上記トルク補正実行条件が成立しているか否かを判定する。
より具体的に述べると、CPUはステップ510に進むと、図6にフローチャートにより表されたトルク補正フラグ設定処理ルーチンを実行する。トルク補正フラグ設定処理ルーチンの実行後、トルク補正実行条件が成立していればトルク補正フラグFtrの値が「1」に設定され、トルク補正実行条件が成立していなければトルク補正フラグFtrの値が「0」に設定される。トルク補正フラグ設定処理ルーチンの詳細については後述される。
次いでCPUは図5のルーチンのステップ515に進み、トルク補正フラグFtrの値が「1」であるか否かを判定する。前述の仮定によればトルク補正実行条件は成立していない。従って、CPUはステップ515にて「No」と判定してステップ525に進み、トルク補正量Tcの前回値(後述のステップ550を参照。)から補正トルク減少量Tdrを減じることによってトルク補正量Tcの値を算出する。なお、トルク補正量Tcの前回値は、所定時間Δt前のトルク補正量Tcであって、前回トルク補正量Tcpreとも称呼される。更に、本例において、補正トルク減少量Tdrは予め定められた正の定数である。
前回トルク補正量Tcpreの値は、車両10の始動時にCPUが実行するイニシャルルーチン(不図示)において「0」に設定される。このイニシャルルーチンにおいて、前回トルク補正量Tcpreに加えて、後述される旧操舵トルクTsold及び旧ヨーレートγoldの値がそれぞれ「0」に設定される。
前述の仮定のとおり、いま本ルーチンが初めて実行されているので前回トルク補正量Tcpreの値は「0」であり、従って、トルク補正量Tcは補正トルク減少量Tdrに「−1」を乗じた値と等しくなる(即ち、Tc=−Tdr)。
次いでCPUはステップ530に進み、トルク補正量Tcが「0」より小さいか否かを判定する。いま、Tc=−Tdr<0であるから、CPU66はステップ530にて「Yes」と判定してステップ535に進み、トルク補正量Tcの値を「0」に設定する。
次いでCPUはステップ550に進み、前回トルク補正量Tcpreに現時点のトルク補正量Tcの値を代入する。
その後CPUはステップ555に進み、基本アシスト制御量Tbが「0」より大きいか否かを判定する。基本アシスト制御量Tbが「0」より大きければ、CPUはステップ555にて「Yes」と判定してステップ560に進み、補正アシスト制御量Tmに「トルク補正量Tcに『−1』を乗じた値」を代入する。一方、基本アシスト制御量Tbが「0」以下であれば、CPUはステップ555にて「No」と判定してステップ565に進み、補正アシスト制御量Tmにトルク補正量Tcの値を代入する。従って、補正アシスト制御量Tmは、「0」又は「基本アシスト制御量Tbと符号の異なる値」となる。なお、現時点においてはステップ530及びステップ535の処理によりトルク補正量Tcは「0」に設定されているので、補正アシスト制御量Tmも「0」になる。
次いでCPUはステップ570に進み、アシストトルクTaを「基本アシスト制御量Tbと補正アシスト制御量Tmとの和」として算出する。更にCPUはステップ575に進み、駆動回路18を制御して電動機17にアシストトルクTaに等しいトルクを発生させる。その後CPUはステップ595に進み、本ルーチンを一旦終了する。
その後、トルク補正実行条件が成立しない状態が継続すれば、補正アシスト制御量Tmの値は「0」に維持される。換言すれば、アシストトルク補正制御は実行されない。
(B)車両10の始動後、初めてトルク補正実行条件が成立したと仮定する。
この場合、CPUはステップ515にて「Yes」と判定してステップ520に進む。ステップ520にてCPUはトルク補正量Tcの値を前回トルク補正量Tcpreに補正トルク増加量Tdiを加えることによって算出する。本例において、補正トルク増加量Tdiは予め定められた正の定数である。
その後、CPUはステップ530に進む。前述の仮定の通り、車両10が始動してから前回本ルーチンが実行されるまでトルク補正実行条件が成立していなかったので、前回トルク補正量Tcpreの値は「0」である。従って、この時点のトルク補正量Tcの値は補正トルク増加量Tdiに等しい(即ち、Tc=Tdi>0)。
従って、CPUはステップ530にて「No」と判定してステップ540に進み、トルク補正量Tcの値がトルク補正最大値Tcmaxよりも大きいか否かを判定する。トルク補正最大値Tcmaxは予め定められた正の定数であり、補正トルク増加量Tdiよりも大きい値である(即ち、Tdi<Tcmax)。いま、トルク補正量Tcの値はトルク補正最大値Tcmaxよりも小さいので(即ち、Tc=Tdi<Tcmax)、CPUはステップ540にて「No」と判定してステップ550に直接進む。
更に、ステップ560又はステップ565の処理の後、CPUはステップ570及びステップ575の処理を実行し、その結果、電動機17が発生させるアシストトルクTaの絶対値が補正トルク増加量Tdiだけ小さくなる。換言すれば、アシストトルク補正制御が実行される。
その後、トルク補正実行条件が成立した状態が継続すれば、本ルーチンが実行される度にトルク補正量Tcの値が補正トルク増加量Tdiだけ大きくなる。その結果、トルク補正量Tcの値がトルク補正最大値Tcmaxよりも大きくなると、CPUはステップ540にて「Yes」と判定してステップ545に進み、トルク補正量Tcの値をトルク補正最大値Tcmaxと等しくする。従って、トルク補正実行条件が成立した状態が継続しても、トルク補正量Tcの値はトルク補正最大値Tcmaxよりも大きくはならない。
(C)トルク補正実行条件が成立した後、同条件が成立しなくなったと仮定する。
この場合、本ルーチン(具体的には、ステップ525)が実行される度にトルク補正量Tcの値が補正トルク減少量Tdrだけ小さくなる。その結果、トルク補正量Tcの値が「0」よりも小さくなると、CPUはステップ530にて「Yes」と判定してステップ535に進み、トルク補正量Tcの値を「0」に設定する。従って、トルク補正実行条件が成立しなくなると、トルク補正量Tcの値が減少するが、トルク補正量Tcの値は「0」よりも小さくはならない。
次に、上述したトルク補正フラグ設定処理ルーチンについて説明する。図5のステップ510が実行されると、CPUは、トルク補正フラグ設定処理ルーチンを実行する。具体的には、CPUは、図のステップ600から処理を開始し、ステップ605に進む。ステップ605にてCPUは、操舵トルクTs、操舵角変位量Δθ及びヨーレートγを取得し、それらの値をRAM23にそれぞれ記憶する。
ステップ610にてCPUは、上記条件(a)が成立しているか否かを判定する。条件(a)が成立していれば、CPUはステップ610にて「Yes」と判定してステップ615に進み、上記条件(b)が成立しているか否かを判定する。条件(b)が成立していれば、CPUはステップ615にて「Yes」と判定してステップ620に進み、上記条件(c)が成立しているか否かを判定する。
条件(c)が成立していれば、CPUはステップ620にて「Yes」と判定してステップ625に進み、上記条件(d)が成立しているか否かを判定する。条件(d)が成立していれば、CPUはステップ625にて「Yes」と判定してステップ630に進み、上記条件(e)が成立しているか否かを判定する。条件(e)が成立していれば、CPUはステップ630にて「Yes」と判定してステップ635に進み、上記条件(f)が成立しているか否かを判定する。
条件(f)が成立していれば、CPUはステップ635にて「Yes」と判定してステップ640に進み、トルク補正フラグFtrの値を「1」に設定する。次いでCPUはステップ645に進み、操舵トルクTs及びヨーレートγの値のそれぞれを、旧操舵トルクTsold及び旧ヨーレートγoldとしてRAM23にそれぞれ記憶する。
次いでCPUは、ステップ695に進んで本ルーチンを終了する。なお、条件(a)〜条件(f)の何れかが成立していなければ、CPUは、ステップ610〜ステップ635のうちの成立していない条件に対応するステップにて「No」と判定してステップ650に進み、トルク補正フラグFtrの値を「0」に設定する。次いでCPUは、ステップ645に進む。
以上説明したように、本操舵装置は、
車両(10)に適用される電動パワーステアリング装置(操舵ハンドル11、ステアリングシャフト12、ピニオンギア13、ラックバー14、操舵輪15、減速機16、電動機17及び駆動回路18等)であって、
操舵ハンドル(11)と操舵輪(15)とを連結するステアリング機構に対し前記操舵ハンドルから入力された操舵トルク(Ts)の作用方向(操舵トルクTsの符号)及び大きさ(操舵トルクTsの絶対値)を検出するトルク検出部(32)と、
前記ステアリング機構に設けられて操舵操作をアシストするためのアシストトルクを発生する電動機(17)と、
前記操舵ハンドルの舵角である操舵角の変化方向(操舵角変位量Δθの符号)及び単位時間あたりの変化量(操舵角変位量Δθの絶対値)を検出する操舵角変位量検出部(31)と、
前記車両のヨー角の変化方向(ヨーレートγの符号)及び単位時間あたりの変化量(ヨーレートγの絶対値)を検出するヨーレート検出部(34)と、
少なくとも前記操舵トルクに応じて基本アシストトルクを決定し(図2)、前記基本アシストトルクに応じたトルクを前記アシストトルクとして前記電動機に発生させる(補正アシスト制御量Tmが「0」であるときの図5のステップ570及びステップ575)制御部(ECU20)と、
を備える電動パワーステアリング装置において、
前記制御部は、
現時点における前記操舵トルクの作用方向が前記ヨー角の変化方向に対応しており(上記条件(a)及び図6のステップ610)、
現時点における前記操舵角の変化方向が前記ヨー角の変化方向に対応しており(上記条件(b)及び図6のステップ615)、
現時点における前記操舵トルクの作用方向が現時点よりも所定時間だけ前の第1時点における前記操舵トルクの作用方向と同じであり(上記条件(c)及び図6のステップ615)、
現時点における前記操舵トルクの大きさが前記第1時点における前記操舵トルクの大きさよりも所定の第1閾値を越えて減少しており(上記条件(d)及び図6のステップ615)、且つ、
現時点における前記操舵角の単位時間あたりの変化量が所定の第2閾値よりも大きい(上記条件(e)及び図6のステップ620)、
というトルク補正実行条件が成立しているとき、
前記基本アシストトルクの作用方向と反対方向のトルクであって所定の大きさを有する補正アシストトルクを前記基本アシストトルクに加えたトルクを前記アシストトルクとして前記電動機に発生させる(図5のステップ570及びステップ575)、アシストトルク補正制御を実行するように構成されている。
更に、前記制御部は、
前記トルク補正実行条件が成立している期間において前記補正アシストトルクの大きさを徐々に増加させ(図5のステップ520)、前記トルク補正実行条件が不成立となった後に前記補正アシストトルクの大きさを徐々に減少させる(図5のステップ525)ように構成されている。
更に、前記制御部は、
前記第1時点における前記ヨー角の単位時間あたりの変化量が所定の第3閾値よりも小さいときには、前記アシストトルク補正制御を実行しない(上記条件(f)及び図6のステップ625)ように構成されている。
更に、前記制御部は、
前記車両と路面との間で所定のスリップが発生しているか否かを判定し、前記所定のスリップが発生していると判定したときには、前記アシストトルク補正制御を実行しない(上記条件(g)及び条件(h)並びに図6のステップ630及びステップ635)ように構成されている。
本操舵装置によれば、SAT減少領域が存在する車両において正確な操舵角θを取得できなくても、舵角増加継続現象が発生したとき、アシストトルク補正制御によってアシストトルクを減少させ、以て、切り増し操作から保舵操作及び切り戻し操作への移行を円滑に行うことが可能となる。
以上、本発明に係る車両の操舵装置について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的に逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、操舵トルクTsの符号が変化したとき、トルク補正量Tcの値を「0」とする処理が加えられても良い。
或いは、トルク補正量Tcの絶対値が基本アシスト制御量Tbの絶対値がよりも大きいとき、トルク補正量Tcの絶対値を基本アシスト制御量Tbの絶対値に等しくする処理が加えられても良い。
加えて、本実施例において、トルク補正量Tcの値がトルク補正最大値Tcmaxをこえたとき、トルク補正量Tcの値をトルク補正最大値Tcmaxと等しくしていた。しかし、この処理は割愛されても良い。即ち、図5のステップ540及びステップ545の処理は割愛されても良い。
加えて、本実施形態に係るECU20は、上記条件(a)〜(h)が総て成立したとき、アシストトルク補正制御を実行していた。しかし、ECU20は、条件(a)〜(e)が総て成立していれば、条件(f)〜(h)のうちの何れかが成立していなくてもアシストトルク補正制御を実行しても良い。
加えて、本実施形態において、電動機17は、ステアリングシャフト12にアシストトルクTaを作用させていた。即ち、電動機17が発生させるトルクによってステアリングシャフト12が回転させられていた。しかし、電動機17はラックバー14にアシストトルクTaを作用させても良い。即ち、電動機17が発生されるトルクによってラックバー14の往復直線運動が発生するように操舵装置が構成されても良い。
加えて、本操舵装置は、ヨーレート検出部としてヨーレートセンサ34を備え、ECU20は、ヨーレートセンサ34からヨーレートγを表す信号を受信していた。しかし、本操舵装置は、ヨーレート検出部として横加速度センサを備え、ECU20は、横加速度センサから横加速度Gyを表す信号を受信し、更に、ヨーレートγを横加速度Gyを車速Vsにより除算した値(即ち、γ=Gy/Vs)として取得するように構成されても良い。
11…操舵ハンドル、12…ステアリングシャフト、13…ピニオンギア、14…ラックバー、15…操舵輪、16…減速機、17…電動機、18…駆動回路、19…後輪、ECU…20。

Claims (4)

  1. 車両に適用される電動パワーステアリング装置であって、
    操舵ハンドルと操舵輪とを連結するステアリング機構に対し前記操舵ハンドルから入力された操舵トルクの作用方向及び大きさを検出するトルク検出部と、
    前記ステアリング機構に設けられて操舵操作をアシストするためのアシストトルクを発生する電動機と、
    前記操舵ハンドルの舵角である操舵角の変化方向及び単位時間あたりの変化量を検出する操舵角変位量検出部と、
    前記車両のヨー角の変化方向及び単位時間あたりの変化量を検出するヨーレート検出部と、
    少なくとも前記操舵トルクに応じて基本アシストトルクを決定し、前記基本アシストトルクに応じたトルクを前記アシストトルクとして前記電動機に発生させる制御部と、
    を備える電動パワーステアリング装置において、
    前記制御部は、
    現時点における前記操舵トルクの作用方向が前記ヨー角の変化方向に対応しており、
    現時点における前記操舵角の変化方向が前記ヨー角の変化方向に対応しており、
    現時点における前記操舵トルクの作用方向が現時点よりも所定時間だけ前の第1時点における前記操舵トルクの作用方向と同じであり、
    現時点における前記操舵トルクの大きさが前記第1時点における前記操舵トルクの大きさよりも所定の第1閾値を越えて減少しており、且つ、
    現時点における前記操舵角の単位時間あたりの変化量が所定の第2閾値よりも大きい、
    というトルク補正実行条件が成立しているとき、
    前記基本アシストトルクの作用方向と反対方向のトルクであって所定の大きさを有する補正アシストトルクを前記基本アシストトルクに加えたトルクを前記アシストトルクとして前記電動機に発生させる、アシストトルク補正制御を実行するように構成された、
    電動パワーステアリング装置。
  2. 請求項1に記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記制御部は、
    前記トルク補正実行条件が成立している期間において前記補正アシストトルクの大きさを徐々に増加させ、前記トルク補正実行条件が不成立となった後に前記補正アシストトルクの大きさを徐々に減少させるように構成された電動パワーステアリング装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記制御部は、
    前記第1時点における前記ヨー角の単位時間あたりの変化量が所定の第3閾値よりも小さいときには、前記アシストトルク補正制御を実行しないように構成された電動パワーステアリング装置。
  4. 請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記制御部は、
    前記車両と路面との間で所定のスリップが発生しているか否かを判定し、前記所定のスリップが発生していると判定したときには、前記アシストトルク補正制御を実行しないように構成された電動パワーステアリング装置。


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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2019138501A1 (ja) * 2018-01-09 2019-07-18 株式会社ショーワ 電動パワーステアリング装置

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