以下、図面を参照して、実施形態に係る医用画像診断装置及び医用画像処理装置を説明する。なお、以下の実施形態では、重複する説明は適宜省略する。
(第1の実施形態)
まず、図1及び図2を参照しながら、第1の実施形態に係る医用画像診断装置1について説明する。図1は、第1の実施形態に係る医用画像診断装置を示す図である。図2は、第1の実施形態に係る医用画像診断装置の構成例を示す図である。
医用画像診断装置1は、図1及び図2に示すように、寝台2と、形態画像データ撮影装置3と、機能画像データ撮影装置4と、コンソール5とを備える。第1の実施形態では、形態画像データ撮影装置3がX線CT装置であり、機能画像データ撮影装置4がPET装置である場合を例に挙げて説明する。また、第1の実施形態では、形態画像データ撮影装置3及び機能画像データ撮影装置4が対象部位である被検体の心臓の心電同期撮影を行う。
寝台2は、図2に示すように、天板21と、駆動回路22と、信号取得回路23とを備える。天板21は、被検体Pが載せられる板状の部材である。駆動回路22は、例えば、天板21の下方に設けられている。駆動回路22は、後述する処理回路55の撮影制御機能551による制御のもと、天板21をZ方向に移動させることにより、被検体Pを形態画像データ撮影装置3又は機能画像データ撮影装置4の撮影口内に移動させる。ここで、Z方向は、被検体Pの体軸方向である。また、図1及び図2において、被検体Pの冠状面内でZ方向と直交する方向をX方向と定義する。さらに、図1及び図2において、被検体Pの矢状面内でZ方向と直交する方向をY方向と定義する。X方向、Y方向及びZ方向は、右手系を形成している。なお、駆動回路22は、例えば、プロセッサにより実現される。
信号取得回路23は、被検体Pから信号を取得する。この信号は、例えば、被検体Pの心電信号である。この場合、信号取得回路23は、心電計に含まれる。心電信号は、心臓の拍動により発生した電圧の時間的な変化を表す信号である。心電信号には、電圧が一時的に大きくなっているR波と呼ばれる波形が出現する。あるR波から次のR波までが、一回の拍動に対応している。また、信号取得回路23は、取得した心電信号を後述するデータ記憶回路53に格納に格納する。なお、信号取得回路23は、例えば、プロセッサにより実現される。
形態画像データ撮影装置3は、図2に示すように、X線管球31と、X線検出器32と、回転フレーム33と、データ収集回路34とを備える。
X線管球31は、被検体Pに照射するX線を発生させる。また、X線管球31は、ウェッジ及びコリメータを有する。ウェッジは、被検体Pに照射されるX線の線量を調節するためのフィルタである。コリメータは、ウェッジによって線量が調節されたX線の照射範囲を絞り込むためのスリットである。
X線検出器32は、チャンネル方向及びスライス方向に配列された複数の検出素子を有する。検出素子は、入射したX線の強度を検出する。チャンネル方向は、回転フレーム33の円周方向である。スライス方向は、Z方向である。X線検出器32は、例えば、チャンネル方向及びスライス方向において、被検体Pの心臓全体のボリュームデータを一回のコンベンショナルスキャンで収集するために必要な数の検出素子を有する。
検出素子は、シンチレータ、フォトダイオード及び検出回路を有する。まず、検出素子は、入射したX線をシンチレータにより光に変換する。次に、検出素子は、その光をフォトダイオードにより電荷に変換する。そして、検出素子は、この電荷を検出回路により電気信号に変換し、後述するデータ収集回路34へ出力する。
回転フレーム33は、円環状のフレームである。回転フレーム33は、X線管球31とX線検出器32とを被検体Pを挟んで対向するように支持する。回転フレーム33は、後述する処理回路55の撮影制御機能551によって駆動され、被検体Pを中心とした円軌道上を高速で回転する。
データ収集回路34は、検出素子が出力した電気信号に基づいて形態画像用データを生成する。形態画像用データは、形態画像を生成するための投影データである。この投影データは、例えば、サイノグラムである。サイノグラムとは、X線管球31の各位置において各検出素子が検出した信号を並べたデータである。ここで、X線管球31の位置は、ビューと呼ばれる。サイノグラムは、第1方向をビュー方向とし、第1方向と直交する第2方向をチャンネル方向とする二次元直交座標系に、検出素子が検出したX線の強度を割り当てたデータである。データ収集回路34は、生成したサイノグラムを後述するデータ記憶回路53へ格納する。なお、データ収集回路34は、DAS(Data Acquisition System)に含まれる。また、データ収集回路34は、例えば、プロセッサにより実現される。
機能画像データ撮影装置4は、図2に示すように、γ線検出器41と、同時計数情報収集回路42とを備える。
γ線検出器41は、複数の検出器モジュール411を有する。検出器モジュール411は、シンチレータと、ライトガイドと、光電子増倍管(Photomultiplier Tube:PMT)とを有する間接変換型の検出器である。
シンチレータは、被検体Pに投与された放射性医薬品に含まれる陽電子が被検体P内の電子と対消滅することにより略反対方向に放出された一対のγ線を可視光に変換する。シンチレータは、一つの検出器モジュール411に複数設けられている。
ライトガイドは、シンチレータで発生した可視光を光電子増倍管へ伝達する。ライトガイドは、例えば、光透過性に優れたプラスチック素材により形成されている。
光電子増倍管は、光電陰極と、複数のダイノードと、陽極とを有する。光電陰極は、シンチレータが出力した可視光を受け、光電効果により光電子を発生させる。ダイノードは、光電陰極で発生した光電子を加速させるための電場を発生させる。光電陰極で発生した光電子は、ダイノードに衝突し、ダイノードから複数の電子を叩き出す。叩き出された複数の電子は、それぞれ次のダイノードに衝突し、ダイノードから複数の電子を叩き出す。この現象が繰り返されることにより、陽極に多数の電子が入射する。陽極に入射した電子は、信号電流となり、同時計数情報収集回路42へ送られる。ここで、信号電流は、例えば、アナログ形式の波形データである。
上述した複数の検出器モジュール411は、シンチレータを内側に向けて筒状に配置され、γ線検出器41を形成している。
同時計数情報収集回路42は、γ線検出器41が有する検出器モジュール411から送られた信号電流に基づいて、γ線が入射したシンチレータの位置、シンチレータに入射したγ線のエネルギー及びγ線が検出された時間を算出する。同時計数情報収集回路42が算出した一組のγ線が入射したシンチレータの位置、シンチレータに入射したγ線のエネルギー及びγ線が検出された時間は、計数情報と呼ばれる。
同時計数情報収集回路42は、γ線が入射したシンチレータの位置を算出する。具体的には、同時計数情報収集回路42は、シンチレータから出力された複数の可視光を略同じタイミングで信号電流に変換した複数の光電子増倍管の位置と、これら各電気信号の強度に対応するγ線のエネルギーとから重心の位置を算出する。そして、同時計数情報収集回路42は、算出した重心の位置から、γ線が入射したシンチレータの位置を特定する。
同時計数情報収集回路42は、シンチレータに入射したγ線のエネルギーを算出する。同時計数情報収集回路42は、例えば、光電子増倍管が出力した信号電流の波形データに含まれる各波形の波高、波形面積をシンチレータに入射したγ線のエネルギーとして算出する。
同時計数情報収集回路42は、γ線が検出された時間を算出する。例えば、同時計数情報収集回路42は、信号電流の波形データにおいて、電流値が予め設定された閾値を上回る瞬間をγ線が検出された時間として算出する。なお、γ線が検出された時間は、例えば、絶対時間である。絶対時間とは、時刻である。或いは、γ線が検出された時間は、機能画像の撮影を開始した時点からの相対時間でもよい。
同時計数情報収集回路42は、上述した方法を各検出器モジュール411が有する各シンチレータに適用し、計数情報を算出する。
次に、同時計数情報収集回路42は、算出した計数情報のγ線が検出された時間に基づいて、各対消滅により略反対の方向に放出され、略同時に検出されたγ線のペアに相当する二つの計数情報を検索する。例えば、同時計数情報収集回路42は、検出された時間の差が、所定の時間ウィンドウの範囲内にある二つの計数情報を同時計数情報として収集する。すなわち、同時計数情報は、二つの計数情報を含む。同時計数情報は、機能画像用データとして、後述するデータ記憶回路53へ格納される。ここで、機能画像用データとは、機能画像を生成するための投影データである。なお、同時計数情報収集回路42は、所定のエネルギーウィンドウの範囲内にある計数情報に対して、上述した時間ウィンドウを使用した処理を行ってもよい。なお、同時計数情報収集回路42は、例えば、プロセッサにより実現される。
コンソール5は、図2に示すように、入力回路51と、ディスプレイ52と、データ記憶回路53と、記憶回路54と、処理回路55とを備える。
入力回路51は、指示や設定を入力するユーザにより使用される。入力回路51は、例えば、マウス、キーボードに含まれる。入力回路51は、ユーザが入力した指示や設定を処理回路55に転送する。入力回路51は、例えば、プロセッサにより実現される。
ディスプレイ52は、ユーザが参照するモニタである。ディスプレイ52は、例えば、液晶ディスプレイである。ディスプレイ52は、例えば、形態画像データ、機能画像データ、ユーザが指示や設定を入力する際に使用するGUI(Graphical User Interface)を表示する旨の指示を処理回路55から受ける。ここで、形態画像データとは、形態的な情報を示す画像そのもの又はこの画像を表示する基となるデータを意味する。また、機能画像データとは、機能的な情報を示す画像そのもの又はこの画像を表示する基となるデータを意味する。ディスプレイ52は、この指示に基づいて、例えば、形態画像データ、機能画像データ、GUIを表示する。
データ記憶回路53は、例えば、信号取得回路23が取得した信号、形態画像用データ、機能画像用データを記憶する。また、データ記憶回路53は、例えば、形態画像データ、機能画像データを記憶する。
記憶回路54は、駆動回路22、信号取得回路23、データ収集回路34及び同時計数情報収集回路42が上述した機能を実現するためのプログラムを記憶する。記憶回路54は、処理回路55が後述する機能それぞれを実現するためのプログラムを記憶する。
データ記憶回路53及び記憶回路54は、記憶されている情報をコンピュータにより読み出すことができる記憶媒体を有する。記憶媒体は、例えば、ハードディスクである。
処理回路55は、図2に示すように、調整機能550、撮影制御機能551と、形態画像データ生成機能552と、機能画像データ生成機能553と、形態画像データ収集機能554と、変位算出機能555と、機能画像データ収集機能556と、補正機能557と、画像処理機能558と、制御機能559とを備える。これらの機能の詳細は、後述する。処理回路55は、例えば、プロセッサにより実現される。
次に、図3から図5を参照しながら、第1の実施形態に係る医用画像診断装置1が行う処理の一例について説明する。図3は、第1の実施形態に係る医用画像診断装置が行う処理の一例を示すフローチャートである。図4は、第1の実施形態に係る形態画像用データの収集期間、機能画像用データの収集期間及び信号取得回路が取得した信号の関係を説明するための図である。図5は、第1の実施形態に係る医用画像診断装置が行う処理の一例を説明するための図である。
処理回路55は、図3に示すように、形態画像領域の変位の算出に使用する形態画像データの生成に寄与する形態画像用データの収集期間と、補正される機能画像データの生成に寄与する機能画像用データの収集期間とを合わせる(ステップS1)。ここで、形態画像用データの収集期間とは、形態画像データ生成機能552が一つの形態画像データを生成するために必要な形態画像用データを収集するのに必要な期間である。また、機能画像用データの収集期間とは、機能画像データ生成機能553が一つの機能画像データを生成するために必要な機能画像用データを収集するのに必要な期間である。ステップS1の処理は、例えば、次のようなものである。
処理回路55は、記憶回路54から調整機能550に相当するプログラムを読み出して実行する。調整機能550は、形態画像用データの収集期間の全てが形態画像データの生成に寄与する場合、形態画像用データの収集期間と、補正機能557が補正する機能画像データの生成に寄与する機能画像用データの収集期間とを合わせる。
図4に示すように、被検体Pの心臓の一回の拍動に対し、等しい長さのn個の時相T(1)、…、T(k−1)、T(k)、T(k+1)、…、T(n)(n:2以上の自然数、k:1以上n以下の自然数)が設定されている場合について考える。なお、これらの時相は、隣接する前後の時相と半分重複している。また、これらの時相の長さや数は、形態画像用データを収集するために、形態画像データ撮影装置3がX線管球31及びX線検出器32を一回転させる時間等による制約を受ける。
調整機能550は、形態画像用データの収集期間及び機能画像用データの収集期間をこれらの時相に合わせる。調整機能550は、例えば、形態画像用データの収集期間C(k)及び機能画像用データの収集期間P(k)を時相T(k)に合わせる。調整機能550は、他の形態画像用データの収集期間C(1)、…、C(k−1)、C(k+1)、…、C(n)及び他の機能画像用データの収集期間P(1)、…、P(k−1)、P(k+1)、…、P(n)についても同様の処理を行う。
処理回路55は、図3に示すように、各時相における対象部位の形態画像用データ及び機能画像用データを収集する(ステップS2)。ステップS2の処理は、例えば、次のようなものである。
処理回路55は、記憶回路54から撮影制御機能551に相当するプログラムを読み出して実行する。撮影制御機能551は、形態画像用データ及び機能画像用データを収集するために医用画像診断装置1の各構成要素を制御する。
撮影制御機能551は、駆動回路22を制御して被検体Pを載せた天板21を形態画像データ撮影装置3の撮影口内へ移動させる。そして、撮影制御機能551は、信号取得回路23を制御して被検体Pから信号を取得させつつ、形態画像データ撮影装置3に被検体P内の対象部位の形態画像用データを収集させる。この場合、形態画像データ撮影装置3は、例えば、被検体Pをコンベンショナルスキャンする。次に、撮影制御機能551は、駆動回路22を制御して被検体Pを載せた天板21を機能画像データ撮影装置4の撮影口内へ移動させる。そして、撮影制御機能551は、信号取得回路23を制御して被検体Pから信号を取得させつつ、機能画像データ撮影装置4に被検体P内の対象部位の機能画像用データを収集させる。形態画像用データ及び機能画像用データは、データ記憶回路53に格納される。
処理回路55は、図3に示すように、各時相における対象部位の形態画像データを生成する(ステップS3)。ステップS3の処理は、例えば、次のようなものである。
処理回路55は、記憶回路54から形態画像データ生成機能552に相当するプログラムを読み出して実行する。形態画像データ生成機能552は、ステップS2で収集された形態画像用データを再構成し、形態画像データを生成する。
形態画像データ生成機能552は、データ記憶回路53に格納された形態画像用データを取得し、前処理を施す。前処理は、例えば、対数変換、オフセット補正、感度補正、ビームハードニング補正、散乱線補正である。形態画像データ生成機能552は、前処理を施した形態画像用データをデータ記憶回路53に格納する。
形態画像データ生成機能552は、前処理が施された形態画像用データを再構成し、形態画像データを生成する。再構成法は、例えば、逆投影法である。逆投影法は、例えば、FBP(Filtered Back Projection)法である。或いは、再構成法は、逐次近似法である。形態画像データ生成機能552は、例えば、ステップS2で収集された形態画像用データを再構成し、図5に示した形態画像データK(1)、…、K(k)、…、K(n)を生成する。形態画像データ生成機能552は、生成した形態画像データをデータ記憶回路53に格納する。
処理回路55は、図3に示すように、各時相における対象部位の機能画像データを生成する(ステップS4)。ステップS4の処理は、例えば、次のようなものである。
処理回路55は、記憶回路54から機能画像データ生成機能553に相当するプログラムを読み出して実行する。機能画像データ生成機能553は、ステップS2で収集された機能画像用データに基づいて、機能画像データを生成する。
機能画像データ生成機能553は、データ記憶回路53に格納された機能画像用データを再構成し、機能画像データを生成する。また、機能的な情報は、例えば、対象部位の動きパラメータ、血流に関係するパラメータである。対象部位の動きパラメータは、例えば、心筋壁運動量、駆出率である。血流に関係するパラメータは、例えば、血流量、血液量、平均通過時間、ウォッシュアウトレート(Washout Rate)である。
再構成法は、例えば、逐次近似法である。逐次近似法は、例えば、MLEM(Maximum Likelihood Expectation Maximization)法、OSEM(Ordered Subset MLEM)法である。なお、機能画像データ生成機能553は、TOF(Time of Flight)−PET装置で行われているように飛行時間差を用いて再構成を行ってもよい。ここで、飛行時間差とは、同時計数情報の検出時間の時間差である。機能画像データ生成機能553は、例えば、ステップで収集された機能画像用データを再構成し、図5に示した機能画像データF(1)、…、F(k)、…、F(n)を生成する。機能画像データ生成機能553は、生成した機能画像データをデータ記憶回路53に格納する。
処理回路55は、図3に示すように、各時相における対象部位の形態画像データを収集する(ステップS5)。処理回路55は、記憶回路54から形態画像データ収集機能554に相当するプログラムを読み出して実行する。形態画像データ収集機能554は、例えば、ステップS3で生成された形態画像データK(1)、…、K(k)、…、K(n)を収集する。
処理回路55は、図3に示すように、複数の形態画像データに基づいて、形態画像データが有する形態画像領域の変位を算出する(ステップS6)。ステップS6の処理は、例えば、次のようなものである。
処理回路55は、記憶回路54から変位算出機能555に相当するプログラムを読み出して実行する。変位算出機能555は、ステップS5で収集された形態画像データに基づいて、形態画像データが有する形態画像領域の変位を算出する。
変位算出機能555は、図5に示した時相T(k)の形態画像データK(k)を基準として、時相T(1)の形態画像データK(1)、…、時相T(k−1)の形態画像データK(k−1)、時相T(k+1)の形態画像データK(k+1)、…、時相T(n)の形態画像データK(n)が有する形態画像領域の変位を算出する。ここで、形態画像領域とは、形態画像データの画素又は画素を複数合わせた領域である。また、形態画像データが三次元である場合、形態画像領域は、三次元の領域となる。形態画像データが二次元である場合、形態画像領域は、二次元の領域となる。
変位算出機能555は、時相T(1)の形態画像データK(1)、…、時相T(k−1)の形態画像データK(k−1)、時相T(k+1)の形態画像データK(k+1)、…、時相T(n−1)の形態画像データK(n−1)又は時相T(n)の形態画像データK(n)と、基準とした時相T(k)の形態画像データK(k)との相互情報量(Mutual Information)が出来る限り大きくなるよう、これらの形態画像データが有する形態画像領域の位置を調整する。形態画像領域の位置が調整された形態画像データは、相互情報量が大きい程、基準とした時相T(k)の形態画像データK(k)に近くなっている。
変位算出機能555は、例えば、位置合わせ法、ポイントマッチング法により、これらの形態画像データが有する形態画像領域の位置を調整する。また、位置合わせ法は、線形な位置合わせ法及び非線形な位置合わせ法のいずれでもよい。線形な位置合わせ法とは、形態画像領域の分布を変化させることなく、形態画像データを変形する方法である。線形な位置合わせ法は、例えば、形態画像データ全体の平行移動、回転、拡大、縮小である。非線形な位置合わせ法とは、形態画像領域の分布を変化させることにより、形態画像データを変形する方法である。非線形な位置合わせ法は、例えば、形態画像データの一部の平行移動、回転、拡大、縮小である。さらに、基準とした時相T(k)の形態画像データK(k)にどの程度近づいているかを示す指標は、相互情報量に限定されない。
変位算出機能555は、各時相の形態画像データが有する形態画像領域の位置を調整し終えたら、調整の前後における各形態画像領域の変位を記録する。変位算出機能555は、これらの変位を形態画像データが有する形態画像領域ごとに記録する。また、このような方法により記録された形態画像領域の変位は、ワープフィールド(Warpfield)とも呼ばれる。
例えば、図5に示した形態画像データK(1)のワープフィールドD(1)は、形態画像データK(1)が有する各形態画像領域の位置の調整の前後における変位ベクトルの集合である。また、図5に示した形態画像データK(n)のワープフィールドD(n)は、形態画像データK(n)が有する各形態画像領域の位置の調整の前後における変位ベクトルの集合である。さらに、図5に示した形態画像データK(k)のワープフィールドD(k)が含む全ての変位ベクトルの全ての成分は、ゼロである。なぜなら、形態画像データK(k)は、各形態画像データが有する形態画像領域の変位を算出する上での基準だからである。変位算出機能555は、これらのワープフィールドをデータ記憶回路53へ格納する。
処理回路55は、図3に示すように、対象部位に存在する放射性医薬品により発生する放射線に基づいて、各時相における対象部位の機能画像データを収集する(ステップS7)。処理回路55は、記憶回路54から機能画像データ収集機能556に相当するプログラムを読み出して実行する。機能画像データ収集機能556は、例えば、ステップS4で生成された機能画像データF(1)、…、F(k)、…、F(n)を収集する。
処理回路55は、図3に示すように、ステップS6で算出した変位に基づいて、機能画像データにおける対象部位の動きの影響を補正する(ステップS8)。ステップS8の処理は、例えば、次のようなものである。
処理回路55は、記憶回路54から補正機能557に相当するプログラムを読み出して実行する。補正機能557は、対象部位の動きの影響を補正する機能画像データに対応する時相における変位に基づいて、機能画像データにおいて形態画像領域に相当する機能画像領域の位置を補正する。
補正機能557は、例えば、ステップS6で算出したワープフィールドD(1)に基づいて、機能画像データF(1)が有する各機能画像領域を移動させる。これにより、補正機能557は、図5に示した機能画像データF(1,k)を生成する。補正機能画像データF(1,k)は、時相T(1)の機能画像データF(1)が有する各機能画像領域をワープフィールドD(1)に基づいて移動させることにより、疑似的に生成された時相T(k)の機能画像データF(k)に相当する。また、補正機能557は、同様の方法により、補正機能画像データF(2,k)、…、F(k−1,k)、F(k+1,k)、…、F(n,k)を生成する。
処理回路55は、図3に示すように、機能画像データ及び補正機能画像データの少なくとも一方に画像処理を施す(ステップS9)。ステップS9の処理は、例えば、次のようなものである。
処理回路55は、記憶回路54から画像処理機能558に相当するプログラムを読み出して実行する。画像処理機能558は、機能画像データ及び補正機能画像データの少なくとも一方に画像処理を施す。
画像処理機能558は、例えば、図5に示すように、ステップS7で収集された機能画像データF(k)及びステップS8で生成された補正機能画像データF(1,k)、…、F(k−1,k)、F(k+1,k)、…、F(n,k)の各機能画像領域の輝度を加算し、加算機能画像データS(k)を生成する。加算機能画像データS(k)の各機能画像領域の輝度は、機能画像データ及び複数の補正機能画像データが有する各形態画像領域の輝度の総和である。このため、加算機能画像データS(k)は、機能画像データや補正機能画像データよりも被検体Pの機能的な情報を鮮明に表している。なお、画像処理機能558は、加算機能画像データS(k)の生成に使用する機能画像データ及び補正機能画像データを任意に選択することができる。
また、画像処理機能558は、対象部位の動きの影響を補正した機能画像データと、対象部位の動きの影響を補正する前の機能画像データとの差分をとることにより、差分機能画像データを生成する。
具体的には、画像処理機能558は、例えば、補正機能画像データF(1,k)、…、F(k−1,k)、F(k+1,k)、…、F(n−1,k)又はF(n,k)と、対象部位の動きの影響を補正する前の機能画像データF(k)との差分をとることにより、差分機能画像データを生成する。或いは、画像処理機能558は、例えば、加算機能画像データS(k)と、機能画像データF(k)との差分をとることにより、差分機能画像データを生成する。差分機能画像データは、補正機能画像データF(1,k)、…、F(k−1,k)、F(k+1,k)、…、F(n,k)又は加算機能画像データS(k)が有する各機能画像領域の位置と、ステップS6で基準とされた時相T(k)の機能画像データF(k)が有する各機能画像領域の位置との差異を視覚的に表している。また、画像処理機能558は、ユーザが必要に応じて入力した指示に基づいて、加算機能画像データS(k)の生成に使用する機能画像データ及び補正機能画像データを選択し、差分機能画像データを逐一更新してもよい。
ディスプレイ52は、図3に示すように、ステップS3、ステップS4及びステップS9の少なくとも一つで生成された画像データを表示する(ステップS10)。
ディスプレイ52は、例えば、ステップS3で生成された形態画像データK(k)と、ステップS9で生成された加算機能画像データS(k)及び差分機能画像データとを表示する。
上述したように、第1の実施形態に係る調整機能550は、形態画像用データの収集期間の全てが形態画像データの生成に寄与する場合、形態画像用データの収集期間と、補正機能557が補正する機能画像データの生成に寄与する機能画像用データの収集期間とを合わせる。これにより、第1の実施形態に係る医用画像診断装置1は、形態画像用データの収集期間と、補正機能557が補正する機能画像データの生成に寄与する機能画像用データの収集期間とを合わせずに対象部位の動きの影響を補正する場合よりも、高い精度で対象部位の動きの影響を補正することができる。
また、ディスプレイ52は、対象部位の動きの影響を補正した機能画像データと、対象部位の動きの影響を補正する前の機能画像データとの差分をとることにより生成された差分機能画像データを表示する。これにより、第1の実施形態に係る医用画像診断装置1は、補正機能画像データ又は加算機能画像データが有する各機能画像領域の位置と、ステップS6で基準とされた時相T(k)の機能画像データF(k)が有する各機能画像領域の位置との差異を、後述する重畳機能画像データよりも容易に、ユーザに視覚的に認識させることができる。すなわち、第1の実施形態に係る医用画像診断装置1は、図3のステップS8で行った補正の精度をユーザに認識させることができる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る医用画像診断装置について説明する。第2の実施形態の説明では、第1の実施形態の説明で使用した符号と同様の符号を使用する。なお、第1の実施形態と重複する内容については、詳細な説明を省略する。
図6を参照しながら、第2の実施形態に係る医用画像診断装置1が図3のステップS1で行う処理の一例について説明する。図6は、第2の実施形態に係る形態画像用データの収集期間、機能画像用データの収集期間及び信号取得回路が取得した信号の関係を説明するための図である。
調整機能550は、形態画像用データの収集期間の一部が形態画像データの生成に寄与する場合、図3のステップS1において、形態画像用データを収集する形態画像データ撮影装置3の時間分解能と、補正機能557が補正する機能画像データの生成に寄与する機能画像用データの収集期間とを合わせる。ここで、時間分解能の単位は、例えば、「秒」である。
図6に示すように、被検体Pの心臓の一回の拍動に対し、等しい長さのn個の時相T(1)、T(2)、…、T(k−1)、T(k)、T(k+1)、…、T(n)が設定されている場合について考える。なお、これらの時相は、隣接する前後の時相と半分重複している。
第2の実施形態では、各時相における形態画像用データの収集期間は、図6に示すように、時間分解能と二つの予備期間を含む。例えば、図6に示すように、時相T(k)における形態画像用データの収集期間は、予備期間MF(k)、時間分解能R(k)及び予備期間MB(k)を含む。また、時間分解能R(k)は、図6に示すように、時相T(k)の長さに等しい。これらは、他の時相T(1)、T(2)、…、T(k−1)、T(k+1)、…、T(n)についても同様である。
しかし、形態画像データ生成機能552は、形態画像用データのうち二つの予備期間内に収集された部分を再構成に使用しない。これは、次のような理由によるものである。
形態画像データ生成機能552が逆投影法により形態画像用データを再構成し、機能画像データ生成機能553が逐次近似法により機能画像用データを再構成する場合がある。この場合、再構成法の違いに起因する影響を低減するため、形態画像データ生成機能552は、逆投影法により形態画像用データを再構成する前に、例えば、形態画像用データのうち時間分解能の範囲内で収集された部分に0.5以上の重みを掛け、形態画像用データのうち二つの予備期間内で収集された部分に0.5未満の重みを掛ける。このため、形態画像用データのうち二つの予備期間内で収集された部分は、形態画像データへの寄与が小さくなる。
また、形態画像データ生成機能552が逐次近似法により形態画像用データを再構成し、機能画像データ生成機能553が逐次近似法により機能画像用データを再構成する場合がある。形態画像データ撮影装置3は、形態画像用データを収集するために、X線管球31及びX線検出器32を一回転させる必要がある。一方、機能画像データ撮影装置4は、検出器モジュール411が筒状に配置されているため、常に被検体Pの全周囲の機能画像用データを収集することができる。このような違いに起因する影響を低減するため、形態画像データ生成機能552は、逐次近似法により形態画像用データを再構成する前に、例えば、形態画像用データのうち時間分解能の範囲内で収集された部分に0.5以上の重みを掛け、形態画像用データのうち二つの予備期間内で収集された部分に0.5未満の重みを掛ける。このため、形態画像用データのうち二つの予備期間内で収集された部分は、形態画像データへの寄与が小さくなる。
そこで、調整機能550は、機能画像用データの収集期間それぞれを、n個の各時相に合わせる。すなわち、調整機能550は、機能画像用データの収集期間それぞれを、各時間分解能に合わせる。調整機能550は、例えば、機能画像用データの収集期間P(k)を時相T(k)に合わせる。すなわち、調整機能550は、例えば、時間分解能R(k)を時相T(k)に合わせる。調整機能550は、他の機能画像用データの収集期間P(1)、P(2)、…、P(k−1)、P(k+1)、…、P(n)についても同様の処理を行う。
上述したように、第2の実施形態に係る調整機能550は、形態画像用データの収集期間の一部が形態画像データの生成に寄与する場合、形態画像用データを収集する形態画像データ撮影装置の時間分解能と、補正機能557が補正する機能画像データの生成に寄与する機能画像用データの収集期間とを合わせる。すなわち、第2の実施形態に係る調整機能550は、形態画像用データの収集期間のうち、形態画像データの生成に一定以上寄与する期間と、補正機能557が補正する機能画像データの生成に寄与する機能画像用データの収集期間とを合わせる。これにより、第2の実施形態に係る医用画像診断装置1は、第1の実施形態に係る医用画像診断装置1よりも、更に高い精度で対象部位の動きの影響を補正することができる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態に係る医用画像診断装置について説明する。第3の実施形態の説明では、第1の実施形態の説明で使用した符号と同様の符号を使用する。なお、上述した実施形態と重複する内容については、詳細な説明を省略する。第3の実施形態に係る形態画像データ撮影装置3は、被検体Pに連続してX線を照射し、被検体Pの心臓の形態画像データをセグメント再構成により生成する。
図7及び図8を参照しながら、第3の実施形態に係る医用画像診断装置1が図3のステップS1で行う処理の一例について説明する。図7は、被検体の心電信号のR波が一定の間隔で発生する場合における、第3の実施形態に係る形態画像用データの収集期間、機能画像用データの収集期間及び信号取得回路が取得した信号の関係を説明するための図である。図8は、被検体の心電信号のR波が一定の間隔で発生しない場合における、第3の実施形態に係る形態画像用データの収集期間、機能画像用データの収集期間及び信号取得回路が取得した信号の関係を説明するための図である。
調整機能550は、形態画像データがセグメント再構成により生成される場合、形態画像用データを収集する形態画像データ撮影装置3の各時相における時間分解能の平均を算出し、補正機能557が補正する機能画像データの生成に寄与する機能画像用データの収集期間を当該平均に合わせる。
まず、図7に示すように、周期的に現れる時相TSが設定されており、R波の間隔が等しい拍動H11、拍動H12及び拍動H13が発生する場合について考える。
第3の実施形態に係る形態画像データ撮影装置3は、図7に示すように、拍動H11中の時間分解能CS(k−1)においてビューが0度から120度までの形態画像用データを収集し、拍動H12中の時間分解能CS(k)においてビューが120度から240度までの形態画像用データを収集し、拍動H13中の時間分解能CS(k+1)においてビューが240度から360度までの形態画像用データを収集する。形態画像データ生成機能552は、これら三つの形態画像用データを再構成し、時相TSの形態画像データを生成する。
この場合、調整機能550は、所定のアルゴリズムを使用し、時間分解能CS(k−1)、時間分解能CS(k)及び時間分解能CS(k+1)の平均を算出する。この平均は、スキャンの際にX線管球31が被検体Pの周囲を一回転する時間の1/3に近い時間となる。
そして、調整機能550は、拍動H11、拍動H12及び拍動H13それぞれにおいて、機能画像データの生成に寄与する機能画像用データの収集期間を上述した平均に合わせる。具体的には、調整機能550は、拍動H11において、機能画像用データの収集期間PS(k−1)を上述した平均に合わせる。同様に、調整機能550は、拍動H12において、機能画像用データの収集期間PS(k)を上述した平均に合わせる。また、拍動H13において、機能画像用データの収集期間PS(k+1)を上述した平均に合わせる。
次に、図8に示すように、周期的に現れる時相TSが設定されており、R波の間隔が等しい拍動H21、拍動H22及び拍動H23が発生する場合について考える。図8に示した三つ目のR波は、正常心拍の場合よりも遅いタイミングで発生している。このため、図8に示した拍動H22は、図7に示した拍動H12より長く、図8に示した拍動H23は、図7に示したH13より短い。また、図8に示した拍動H21は、図7に示した拍動H11と同じ長さである。
第3の実施形態に係る形態画像データ撮影装置3は、図8に示すように、拍動H21中の時間分解能CU(k−1)においてビューが0度から180度までの形態画像用データを収集し、拍動H22中の時間分解能CU(k)においてビューがα度からβ度までの形態画像用データを収集し(α≠0度、β≠180度)、拍動H23中の時間分解能CU(k+1)においてビューが180度から360度までの形態画像用データを収集する。形態画像データ生成機能552は、ビューが0度から180度までの形態画像用データ及びビューが180度から360度までの形態画像用データを再構成し、時相TSの形態画像データを生成する。すなわち、形態画像データ生成機能552は、ビューがα度からβ度までの形態画像用データを再構成しない。これは、図8に示した三つ目のR波が正常心拍の場合よりも遅いタイミングで発生したことにより、拍動H22中の時間分解能CU(k)において収集された形態画像用データのビューが目的のビューと異なるからである。
この場合、調整機能550は、所定のアルゴリズムを使用し、時間分解能CU(k−1)及び時間分解能CU(k+1)の平均を算出する。この平均は、スキャンの際にX線管球31が被検体Pの周囲を一回転する時間の1/2に近い時間となる。
そして、調整機能550は、拍動H21及び拍動H23それぞれにおいて、機能画像データの生成に寄与する機能画像用データの収集期間を上述した平均に合わせる。具体的には、調整機能550は、拍動H21において、機能画像用データの収集期間PS(k−1)を上述した平均に合わせる。同様に、拍動H23において、機能画像用データの収集期間PS(k+1)を上述した平均に合わせる。
上述したように、第3の実施形態に係る調整機能550は、形態画像データがセグメント再構成により生成される場合、形態画像用データを収集する形態画像データ撮影装置の各時相における時間分解能の平均を算出し、第3の実施形態に係る補正機能557が補正する機能画像データの生成に寄与する機能画像用データの収集期間を当該平均に合わせる。これにより、第3の実施形態に係る医用画像診断装置1は、セグメント再構成を行うため、形態画像データ撮影装置3の時間分解能を明確に定義することができない場合でも、高い精度で対象部位の動きの影響を補正することができる。
なお、第3の実施形態では、形態画像データ撮影装置3が被検体Pに連続してX線を照射する場合を例に挙げたが、これに限定されない。例えば、第3の実施形態に係る形態画像データ撮影装置3は、拍動H11中の時間分解能CS(k−1)、拍動H12中の時間分解能CS(k)及び拍動H13中の時間分解能CS(k+1)においてのみ、被検体PにX線を照射してもよい。
(第4の実施形態)
第4の実施形態に係る医用画像診断装置について説明する。第4の実施形態の説明では、第1の実施形態の説明で使用した符号と同様の符号を使用する。なお、上述した実施形態と重複する内容については、詳細な説明を省略する。第4の実施形態では、調整機能550は、図3のステップS1の処理を行わない。その代わりに、第4の実施形態では、調整機能550は、図3のステップS8において重み付け加算機能画像データを生成する。また、第4の実施形態では、補正機能557は、図3のステップS8において、機能画像データ収集機能556が収集した機能画像データではなく、調整機能550が生成した重み付け加算機能画像データにおける対象部位の動きを補正する。
図9を参照しながら、第4の実施形態に係る医用画像診断装置1が図3のステップS8で行う処理の一例について説明する。図9は、第4の実施形態に係る形態画像用データの収集期間、機能画像用データの収集期間及び信号取得回路が取得した信号の関係を説明するための図である。
調整機能550は、図3のステップS8において、補正機能557が機能画像データに含まれる機能画像領域の位置を補正する前に、次の処理を行う。すなわち、調整機能550は、機能画像データの生成に寄与する機能画像用データの収集期間が、変位算出機能555が変位の算出に使用する形態画像データの生成に寄与する形態画像用データの収集期間と重複する期間に応じて、機能画像データを重み付け加算することにより、重み付け加算機能画像データを生成する処理を行う。
図9に示すように、被検体Pの心臓の一回の拍動に対し、等しい長さのn個の時相U(1)、U(2)、…、U(k−1)、U(k)、U(k+1)、…、U(n)が設定されている場合について考える。なお、これらの時相は、隣接する前後の時相と重複していない。
第4の実施形態では、各時相における形態画像用データの収集期間は、図9に示すように、各時相よりも長い。例えば、図9に示すように、時相U(k)における形態画像用データの収集期間CW(k)は、時相U(k)よりも長い。一方、各時相における機能画像用データの収集期間は、図9に示すように、各時相の長さと等しい。例えば、図9に示すように、時相U(k)における機能画像用データの収集期間PU(k)は、時相U(k)の長さと等しい。これらは、他の時相U(1)、T(2)、…、T(k−1)、T(k+1)、…、T(n)についても同様である。
調整機能550は、例えば、図3のステップS7において機能画像データ収集機能556が収集した機能画像用データの収集期間PU(k−1)、機能画像用データの収集期間PU(k)及び機能画像用データの収集期間PU(k+1)に対し、形態画像用データの収集期間CW(k)と重複する期間に応じて、これらの機能画像用データの収集期間に対応する機能画像データが有する各機能画像領域の輝度に重みを掛ける。
機能画像用データの収集期間PU(k)は、図9に示すように、その全てが形態画像用データの収集期間CW(k)と重複している。そこで、調整機能550は、機能画像用データの収集期間PU(k)に対応する機能画像データが有する各機能画像領域の輝度に重み「1」を掛ける。機能画像用データの収集期間PU(k−1)は、図9に示すように、最後の1/4が形態画像用データの収集期間CW(k)と重複している。そこで、調整機能550は、機能画像用データの収集期間PU(k−1)に対応する機能画像データが有する各機能画像領域の輝度に重み「0.25」を掛ける。機能画像用データの収集期間PU(k+1)は、図9に示すように、最初の1/4が形態画像用データの収集期間CW(k)と重複している。そこで、調整機能550は、機能画像用データの収集期間PU(k+1)に対応する機能画像データが有する各機能画像領域の輝度に重み「0.25」を掛ける。
そして、調整機能550は、各機能画像領域の輝度に重みを掛けた三つの機能画像データの各機能画像領域の輝度を加算し、重み付け加算機能画像データを生成する。
補正機能557は、図3のステップS8において、変位算出機能555が算出した変位に基づいて、重み付け加算機能画像データにおける対象部位の動きを補正する。具体的には、補正機能557は、対象部位の動きの影響を補正する加算機能画像データに対応する時相における変位に基づいて、加算機能画像データにおいて形態画像領域に相当する機能画像領域の位置を補正する。この補正の詳細な内容は、上述した通りである。
上述したように、第4の実施形態に係る調整機能550は、機能画像データの生成に寄与する機能画像用データの収集期間が、変位算出機能555が変位の算出に使用する形態画像データの生成に寄与する形態画像用データの収集期間と重複する期間に応じて、機能画像データを重み付け加算することにより、重み付け加算機能画像データを生成する。すなわち、第4の実施形態に係る調整機能550は、機能画像データを重み付け加算することにより、形態画像用データの収集期間と、機能画像用データの収集期間とを疑似的に合わせる。そして、第4の実施形態に係る補正機能557は、重み付け加算機能画像データにおける対象部位の動きの影響を補正する。
これにより、第4の実施形態に係る医用画像診断装置1は、例えば、形態画像データ撮影装置3がX線管球31及びX線検出器32を一回転させる時間、対象部位の速度に起因する制約により、形態画像用データの収集期間と、機能画像用データの収集期間とを直接合わせることができない場合でも、上述した実施形態に係る医用画像診断装置1と同様、高い精度で対象部位の動きの影響を補正することができる。或いは、第4の実施形態に係る医用画像診断装置1は、既に形態画像データ及び機能画像データの生成が完了している場合でも、上述した実施形態に係る医用画像診断装置1と同様、高い精度で対象部位の動きの影響を補正することができる。
(第5の実施形態)
第5の実施形態に係る医用画像診断装置について説明する。第5の実施形態の説明では、第1の実施形態の説明で使用した符号と同様の符号を使用する。なお、上述した実施形態と重複する内容については、詳細な説明を省略する。第5の実施形態では、調整機能550は、図3のステップS1の処理を行わない。その代わりに、第5の実施形態では、調整機能550は、図3のステップS8において、重み付け変位を算出する。また、第5の実施形態では、補正機能557は、図3のステップS8において、重み付け変位に基づいて、機能画像データにおける対象部位の動きの影響を補正する。
図10及び図11を参照しながら、第5の実施形態に係る補正機能557が図3のステップS8で行う処理の一例について説明する。図10は、第5の実施形態に係る形態画像用データの収集期間、機能画像用データの収集期間及び信号取得回路が取得した信号の関係を説明するための図である。図11は、第5の実施形態に係る医用画像診断装置が行う処理の一例を説明するための図である。
調整機能550は、図3のステップS8において、変位算出機能555が変位の算出に使用する形態画像データの生成に寄与する形態画像用データの収集期間が、機能画像データの生成に寄与する機能画像用データの収集期間と重複する期間に応じて、変位を重み付け加算した重み付け変位を算出する。
図10に示すように、被検体Pの心臓の一回の拍動に対し、等しい長さのn個の時相T(1)、T(2)、…、T(k−1)、T(k)、T(k+1)、…、T(n)が設定されている場合について考える。なお、これらの時相は、隣接する前後の時相と半分重複している。
第5の実施形態では、各時相における形態画像用データの収集期間は、図10に示すように、各時相の長さと等しい。例えば、図10に示すように、時相T(k)における機能画像用データの収集期間C(k)は、時相T(k)の長さと等しい。一方、各時相における機能画像用データの収集期間は、図10に示すように、各時相よりも長い。例えば、図10に示すように、時相T(k)における機能画像用データの収集期間PW(k)は、時相T(k)よりも長い。これらは、他の時相T(1)、T(2)、…、T(k−1)、T(k+1)、…、T(n)についても同様である。
調整機能550は、例えば、図11に示した形態画像データK(k−2)、K(k−1)、K(k+1)及びK(k+2)の生成に寄与する形態画像用データの収集期間C(k−2)、C(k−1)、C(k+1)及びC(k+2)が、機能画像データF(k)の機能画像用データの収集期間PW(k)と重複する期間に応じて、図11に示したワープフィールドD(k−2)、D(k−1)、D(k+1)及びD(k+2)の各変位ベクトルに重みを掛ける。ここで、図11に示したワープフィールドD(k−2)、D(k−1)、D(k+1)及びD(k+2)は、変位算出機能555が形態画像データK(k)を基準として、形態画像データK(k−2)、K(k−1)、K(k+1)及びK(k+2)が有する各形態画像領域の位置を調整することにより、算出されたものである。
図10に示すように、形態画像データK(k−2)の生成に寄与する形態画像用データの収集期間C(k−2)は、最後の1/4が機能画像データF(k)の生成に寄与する機能画像用データの収集期間PW(k)と重複している。したがって、調整機能550は、図11に示したワープフィールドD(k−2)に重み「0.25」を掛ける。形態画像データK(k−1)の生成に寄与する形態画像用データの収集期間C(k−1)は、最後の3/4が機能画像データF(k)の生成に寄与する機能画像用データの収集期間PW(k)と重複している。したがって、調整機能550は、図11に示したワープフィールドD(k−1)に重み「0.75」を掛ける。
形態画像データK(k+1)の生成に寄与する形態画像用データの収集期間C(k+1)は、最初の3/4が機能画像データF(k)の生成に寄与する機能画像用データの収集期間PW(k)と重複している。したがって、調整機能550は、図11に示したワープフィールドD(k+1)に重み「0.75」を掛ける。形態画像データK(k+2)の生成に寄与する形態画像用データの収集期間C(k+2)は、最初の1/4が機能画像データF(k)の生成に寄与する機能画像用データの収集期間PW(k)と重複している。したがって、調整機能550は、図11に示したワープフィールドD(k+2)に重み「0.25」を掛ける。
調整機能550は、例えば、重みを掛けた四つのワープフィールドの各変位ベクトルを加算し、図11に示した重み付けワープフィールドDW(k)を算出する。
補正機能557は、図3のステップS8において、重み付け変位に基づいて、機能画像データにおける対象部位の動きの影響を補正する。具体的には、補正機能557は、重み付けワープフィールドDW(k)に基づいて、機能画像データF(k)において、形態画像データK(k)が有する形態画像領域に相当する機能画像領域の位置を補正し、図11に示した補正機能画像データA(k)を生成する。この補正の詳細な内容は、上述した通りである。
なお、調整機能550は、他の重み付けワープフィールドを、形態画像データK(1)、…、K(n)の生成に寄与する形態画像用データの収集期間C(1)、…、C(n)と、機能画像データF(1)、…、F(n)の生成に寄与する機能画像用データの収集期間PW(1)、…、PW(n)とが重複する期間に応じて、重み付け加算することにより、算出する。補正機能557は、各重み付けワープフィールドに基づいて、機能画像データF(1)、…、F(n)における対象部位の動きの影響を補正し、補正機能画像データを生成する。
上述したように、第5の実施形態に係る調整機能550は、変位算出機能555が変位の算出に使用する形態画像データの生成に寄与する形態画像用データの収集期間が、機能画像データの生成に寄与する機能画像用データの収集期間と重複する期間に応じて、変位を重み付け加算した重み付け変位を算出する。すなわち、第5の実施形態に係る調整機能550は、機能画像データにおける対象部位の動きの影響の補正に重み付け変位を使用することにより、形態画像用データの収集期間と、機能画像用データの収集期間とを疑似的に合わせる。そして、第5の実施形態に係る補正機能557は、重み付け変位に基づいて、機能画像データにおける対象部位の動きの影響を補正するこれにより、第5の実施形態に係る医用画像診断装置1は、第4の実施形態に係る医用画像診断装置1と同等の効果を奏する。
画像処理機能558は、図1のステップS9において、第1の実施形態で述べた差分機能画像データの代わりに、対象部位の動きの影響を補正した機能画像データと、対象部位の動きの影響を補正する前の機能画像データとを重ね合わせることにより、重畳機能画像データを生成してもよい。画像処理機能558は、例えば、補正機能画像データF(1,k)、…、F(k−1,k)、F(k+1,k)、…、F(n,k)又は加算機能画像データS(k)と、機能画像データF(k)とを重ね合わせることにより、重畳機能画像データを生成する。また、ディスプレイ52は、図1のステップS10において、第1の実施形態で述べた差分機能画像データの代わりに、重畳機能画像データを表示してもよい。
これにより、第1の実施形態から第5の実施形態のいずれか一つに係る医用画像診断装置1は、補正機能画像データ又は加算機能画像データが有する各機能画像領域の位置と、ステップS6で基準とされた時相T(k)の機能画像データF(k)が有する各機能画像領域の位置との差異をユーザに視覚的に容易に認識させることができる。すなわち、第1の実施形態に係る医用画像診断装置1は、図3のステップS8で行った補正の精度をユーザに認識させることができる。
ディスプレイ52は、図1のステップS10において、補正機能557が対象部位の動きの影響を補正した機能画像データが示す情報と、補正機能557が対象部位の動きの影響を補正する前の機能画像データが示す情報との差を表す指標を表示してもよい。この指標は、例えば、補正機能557が対象部位の動きの影響を補正した機能画像データが示す情報と、補正機能557が対象部位の動きの影響を補正する前の機能画像データとの相互情報量である。
これにより、第1の実施形態から第5の実施形態のいずれか一つに係る医用画像診断装置1は、補正機能画像データ又は加算機能画像データが有する各機能画像領域の位置と、ステップS6で基準とされた時相T(k)の機能画像データF(k)が有する各機能画像領域の位置との差異をユーザに定量的に認識させることができる。
第1の実施形態から第5の実施形態では、形態画像データ撮影装置3及び機能画像データ撮影装置4が被検体Pの心臓の心電同期撮影を行う場合を例に挙げたが、これに限定されない。上述した実施形態は、例えば、形態画像データ撮影装置3及び機能画像データ撮影装置4が被検体Pの肺の呼吸同期撮影を行う場合に適用することができる。
被検体Pの信号に異常が発生した場合、形態画像データ収集機能554は、図3のステップS5において、当該異常が発生した周期全体の形態画像データを収集しなくてもよい。或いは、被検体Pの信号に異常が発生した場合、形態画像データ収集機能554は、図3のステップS5において、当該異常が発生した時相の形態画像データを収集しなくてもよい。これにより、第1の実施形態から第5の実施形態のいずれか一つに係る医用画像診断装置1は、信号の異常により、図3のステップS6で算出する変位が不正確な変位となることを回避することができる。
被検体Pの信号に異常が発生した場合、機能画像データ収集機能556は、図3のステップS5において、当該異常が発生した周期全体の機能画像データを収集しなくてもよい。或いは、被検体Pの信号に異常が発生した場合、機能画像データ収集機能556は、図3のステップS5において、当該異常が発生した時相の機能画像データを収集しなくてもよい。これにより、第1の実施形態から第5の実施形態のいずれか一つに係る医用画像診断装置1は、信号の異常により、図3のステップS8で行う補正が不正確な補正となることを回避することができる。
図12を参照しながら、第1の実施形態から第5の実施形態のいずれか一つに係る医用画像診断装置1が図3のステップS8及びステップS9の処理の代わりに行う処理の一例を説明する。図12は、第1の実施形態から第5の実施形態のいずれか一つに係る医用画像診断装置が図3のステップS8及びステップS9の処理の代わりに行う処理の一例を説明するための図である。
図12に示すように、第1の実施形態から第5の実施形態のいずれか一つに係る医用画像診断装置1が被検体Pの心臓の各拍動の所定の範囲の時相TP(k)における形態画像データK(k)及び機能画像データF(k)を生成する場合を例に挙げる。ここで、所定の範囲の時相TP(k)は、例えば、被検体Pの心臓の各拍動の45%〜55%の心拍位相である。
補正機能557は、図3のステップS8において、例えば、各拍動における時相TP(k)の前後の時相のワープフィールド及び時相TP(k)のワープフィールドD(k)を時系列に並べ、形態画像データが有する各形態画像領域の変位の時間変化を導出する。次に、補正機能557は、この時間変化に基づいて、形態画像データが有する各形態画像領域の変位の時相TP(k)における微分係数や差分を算出する。そして、補正機能557は、この微分係数や差分を使用して、各拍動における機能画像データF(k)が有する機能画像領域の位置を補正し、補正機能画像データFC(k)を生成する。
画像処理機能558は、図3のステップS9において、例えば、図12に示すように、各拍動における補正機能画像データFC(k)の各機能画像領域の輝度を加算し、加算機能画像データΣ(k)を生成する。加算機能画像データΣ(k)の各機能画像領域の輝度は、各拍動における補正機能画像データFC(k)が有する各形態画像領域の輝度の総和である。このため、加算機能画像データΣ(k)は、各拍動における補正機能画像データFC(k)よりも被検体Pの機能的な情報を鮮明に表している。
第1の実施形態から第5の実施形態では、形態画像データ撮影装置3がX線CT装置であり、機能画像データ撮影装置4がPET装置である場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、形態画像データ撮影装置3は、磁気共鳴イメージング装置でもよい。また、機能画像データ撮影装置4は、SPECT装置等、他の核医学イメージング装置でもよい。
上述したプロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(Programmable Logic Device:PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)である。また、プログラマブル論理デバイス(Programmable Logic Device:PLD)は、例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)である。
上述した実施形態では、駆動回路22、信号取得回路23、データ収集回路34、同時計数情報収集回路42及び処理回路55は、記憶回路54に保存されたプログラムを読み出して実行することにより、その機能を実現したが、これに限定されない。記憶回路54にプログラムを保存する代わりに、これらの回路それぞれにプログラムを直接組み込んでもよい。この場合、これらの回路は、直接組み込まれたプログラムを読み出して実行することにより、その機能を実現する。
図2に示した各回路は、適宜分散又は統合されてもよい。例えば、処理回路55は、調整機能550、撮影制御機能551、形態画像データ生成機能552、機能画像データ生成機能553、形態画像データ収集機能554、変位算出機能555、機能画像データ収集機能556、補正機能557、画像処理機能558及び制御機能559それぞれの機能を実行する回路に分散されてもよい。すなわち、処理回路55は、調整回路、撮影制御回路、形態画像データ生成回路、機能画像データ生成回路、形態画像データ収集回路、変位算出回路、機能画像データ収集回路、補正回路、画像処理回路及び制御回路に分散されてもよい。また、駆動回路22、信号取得回路23、データ収集回路34、同時計数情報収集回路42及び処理回路55は、任意に統合されてもよい。
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、対象部位の動きの影響が低減された機能画像データを生成することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。