以下、本発明の実施形態について説明する。
<先行技術の説明>
本発明者らが、本発明を発明するに際して、先行技術について見出した問題点を以下に記載する。
特許文献1乃至8に示されるように、生体から得られた体液の成分を電気化学的に測定及び解析して、バイオマーカとしての数値を得る生体センサが発明されてきた。特許文献1乃至5に記載されたバイオセンサは、エクスビボ方式を採用しており、対象とする測定系に合わせて形態や方法を適合させているものである。特許文献6に記載されたバイオセンサは、電気化学測定のための電極の材料として炭素を用いたものである。特許文献7及び8に記載された生体センサは、制御/処理装置と、信号を伝達する構成要素とを含んだものである。
このような既存の生体センサについては、装置の信頼性を向上させる必要がある。また、これを、更に広く普及させるためには、低コスト化や製造における生産性の向上が望まれる。
これらを実現するうえで最も重要な点の1つは、電気化学的測定を行うときに最も重要な要素である電極が、形態、材料及び製造方法に関して、コスト等も含めた様々な観点で、実際の製造に適合し得るかどうかという点である。
電極の形態については、測定電極は、用途に合わせて様々な形状とし得ることが必要である。例えば、測定電極は、平面でなく、曲面とすることで、多様な装置への適合性が向上する。
また、電極面は、電気化学的に安定でなければならない。例えば、電気化学的に不活性な導電材料を導電性素材に部分的にコーティングしてなる電極を、その導電材料でコーティングしていない部分が覆われるように絶縁材で支持した構造を採用した場合、絶縁材と電極との間に液が侵入すると、電気化学的により不安定な導電性素材が液と接触する。その結果、導電性素材の腐食等が生じ、十分な信頼性のもとで測定をすることができなくなる。また、絶縁材と電極との間への液の侵入を防げたとしても、導電材料からなるコーティングが薄く、製造の段階でピンホールの発生を避けられない状況であれば、やはり十分な信頼性のもとで測定をすることはできない。
電気化学的に不活性な導電材料のコーティングを不導電性素材上に行った場合には、腐食等の問題は生じない。しかしながら、この場合、導電材料からなるコーティングを相当に厚く形成しない限り、アンペロメトリー又はクーロメトリー測定の精度を確保できる程度の大きな電流を流すことはできない。
電気化学的に安定な導電材料としては、一般的に、金及び白金などの貴金属が選ばれる。これらの物質は非常に高価であるため、基板上に薄膜として形成して、パターニングにより電極の形状とする。しかしながら、ピンホールを避けるためには或る程度の膜厚を確保する必要があるため、薄膜といえども、コストは高くなる。
これに対し、特許文献6に記載されているように、電気化学的に安定であり且つ低コストの材料として炭素を利用することができる。しかしながら、炭素は、非常に加工し難い材料であり、気相成長法や印刷法では、厚く且つ緻密な層を形成することはできない。そのため、炭素は、生体センサの電極への利用は殆ど考慮されていなかった。
ところで、導電体である電極の一般的な製造方法は、サブトラクティブ加工とアディティブ加工とに区別することができる。サブトラクティブ加工としては、(1)板状、線状又は塊状である一体の導電性材料に、切削、研磨、成形及びレーザ加工等の物理的加工を施すか、又は、ケミカルエッチング等の化学的加工を施して電極の形状とする方法と、(2)絶縁基板上に導電材料からなる層を比較的大きな面積で形成し、これに物理的加工又は化学的加工を施すことによって電極の形状とする方法とが挙げられる。アディティブ加工としては、(3)絶縁基板上に導電材料からなる層を印刷等の方法で電極の形状に形成する方法と、(4)導電基板上に導電材料からなる層を薄く形成し、これを部分的に開口したマスクで覆い、開口部に電極材料を厚く析出させ、その後、マスクとその下の導電膜とを除去する方法とが挙げられる。
方法(1)乃至(4)で得た電極は、部分的に樹脂等の絶縁材料で覆うことができる。また、電極面に、めっきや気相成長法等の成膜法によって別の金属を析出させることもできる。
上述した方法(1)乃至(4)は、金属からなる表面を有している電極の製造には有用である。しかしながら、これら方法を用いた炭素電極の製造には、以下に説明するように大きな制約がある。
方法(1)で炭素電極を得る場合、化学的加工はほぼ使用できない。方法(1)で炭素電極を得るには、グラッシーカーボン、ボロンドープダイアモンド及びグラファイト等の炭素材料からなる素材に物理的加工を施す。そのため、このような方法では微小な電極の加工及び一括加工による生産性の向上が困難である。
方法(2)で炭素電極を得るには、絶縁基板の全面に、グラファイト、グラフェン及びカーボンナノチューブなどの導電性炭素を気相成長法で堆積させ、それにより得られた層の必要部分をマスクで覆ってドライエッチングする。しかしながら、気相成長法で形成された炭素層は膜厚を大きくすることが難しい。
方法(3)で炭素電極を得るには、カーボンペーストを印刷することや、開口したマスクを形成し、その開口部にカーボンナノチューブやグラフェンなどを気相成長させる。しかしながら、カーボンペースト印刷で形成した電極には、カーボン粒子間に隙間が必ず存在するため、導電性の低下や、電極材内部への液の浸透の問題があり、信頼性の高い用途には向かない。
方法(4)で炭素電極を得るには、方法(2)と同様に気相成長法を利用する。そのため、前述のように、炭素層を大きな膜厚で形成することが難しい。
一方、特許文献6で述べられている、絶縁基板/導電層/第1炭素層/第2炭素層という積層構造では、平坦な絶縁基板上に導電層/炭素層を設けるため、電極として使用する場合には、その形状にパターニングするために、レジストを用いたドライエッチングやリフトオフといった複雑な工程を行わなければならなかった。また、気相成長法では、炭素層を十分な膜厚(例えば1μm以上)に形成することは非現実的であった。更に、気相成長法では、平坦な基板上には均一な膜厚の膜が形成できるが、例えば予め変形させておいた基板等の複雑な形状の基板に対しては、均一な膜厚の炭素層を形成することは困難である。
炭素層の形成方法としては、気相成長法の他に、カーボンペーストの印刷、グラッシーカーボンやダイヤモンドの研磨加工、及び、各種炭素材料をポリマーと混合して塗布する方法などがある。しかしながら、これら方法の何れも、複雑な形状の電極を形成することは困難である。生体センサには、様々な理由で電極の形状に制約が課せられるため、複雑な形状の炭素電極を形成可能とする要求が潜在的に存在していた。
ところで、特許文献7及び8に示されたような制御装置/処理装置を含む電気化学センサに対して、電気化学的に安定で低コストの炭素電極を適用しようとする場合、炭素電極及びその周辺の電極部における抵抗、容量、インダクタ成分の電気的な寄与が、全体の装置としてのバランスに影響することが考えられる。したがって、このような系については、炭素電極部及びその接続部は、導電度が比較的高く、不要な容量やインダクタ成分を含まないことが必要である。カーボンペースト印刷で作製した電極では、特に微細配線となった場合に抵抗が大きくなり適合性が悪くなる。
以上のように、既存の電気化学センサには、今後の医療技術の進歩に追随し、装置としての信頼性を向上させ、更に広く普及させるべく低コスト化や生産性の向上を計るうえで、多くの課題がある。
<実施形態>
実施形態に係る生体センサのための電極は、上述した課題の1以上を解決し得るものである。
実施形態に係る生体センサは、例えば、生体から採取したか又は微小な生体を含む液体を液体試料として用いて、その生体の特性や状態を把握するための指標となる数値を、電気化学的方法によって生体外(エクスビボ)で取得し、それを外部に電気的に伝達する生体センサである。或いは、以下に説明する生体センサは、生体内の液体を液体試料として用いて、その生体の特性や状態を把握するための指標となる数値を、電気化学的方法によって生体内(インビボ)で取得し、それを外部に電気的に伝達する生体センサである。
電気化学的方法による情報の取得には、2以上の電極を使用する。2以上の電極は、例えば、一対以上の測定電極、又は、測定電極と参照電極との対、及び一対以上の測定電極と参照電極との組合せの何れかである。
測定時には、これら電極を試料に接触させる。試料は、例えば液体試料である。液体試料としては、例えば、血液、尿、汗、涙、唾液、皮脂、リンパ液、胃液、便、精液、若しくは鼻水、又は、これを水などの液体で希釈したものを使用する。
そして、2以上の電極が一対以上の測定電極である場合には、対になった測定電極間に電圧を印加するか又は電流を流し、その電圧又は電流に対応した電流又は電位を測定する。電流を測定する場合、この測定を連続的に行えば、電流を時間で積分することにより、電気量を得ることもできる。
また、2以上の電極が測定電極と参照電極との対である場合には、測定電極と参照電極との間の電位差を測定する。
2以上の電極が一対以上の測定電極と参照電極との組合せである場合には、参照電極と一方の測定電極との間の電位差を一定に保ち、測定電極間を流れる電流を測定する。或いは、測定電極間に一定の電流を流し、参照電極と一方の測定電極との間の電位差を測定する。
このようにして得られた測定値から、液体試料における濃度等のバイオマーカとなる数値を求める。
実施形態に係る生体センサは、電極の1以上に、金属からなる表面を有している基体と、その表面の少なくとも一部を被覆した保護層とを含んだ構造を採用している。この保護層は、炭素からなり且つ1μm以上の厚さを有している連続膜である。
炭素は、電気化学的に不活性である。それ故、この保護層は、生体や液体に接触させたとしても、劣化を生じ難い。また、炭素は、電気化学的に不活性であるので、生体に対しても安定である。それ故、この保護層は、生体に接触させた場合に、生体に及ぼす影響が小さい。
しかも、この保護層は、上記の通り、連続膜である。即ち、この保護層は、カーボンペーストを使用して形成したものなどとは異なり、多孔質膜又は炭素粒子で構成された膜ではなく、緻密な膜である。そして、この保護層は、十分な厚さを有していることから、ピンホールが存在している可能性は低い。それ故、この電極は、液が保護層を浸透して基体と接触する可能性が極めて低い。
加えて、この保護層は、上記の通り、多孔質膜又は炭素粒子で構成された膜ではなく、連続膜である。それ故、この保護層は、導電度が高い。従って、この生体センサは、信頼性に優れており、高い精度での測定が可能である。
また、炭素は、貴金属に比べて安価な材料であり、価格の変動が小さい。それ故、この生体センサは、比較的低いコストで製造することが可能である。
先の説明から明らかなように、保護層は、上記表面のうち、少なくとも測定対象が接触し得る領域全体を被覆していることが好ましい。
なお、保護層は炭素からなるため、これに半田などを利用して引き出し線を接合することは難しい。この電極に引き出し線を接合する場合は、例えば、基体の金属表面を部分的に露出させておき、その位置で、引き出し線を基体に接合する。
例えば、先ず、基体の金属表面の全体に保護層を形成する。次いで、保護層の一部を取り除く。そして、基体の金属表面のうち剥き出しになった部分に、引き出し線の一端を接合する。
或いは、金属からなる基体の全面に保護層を形成し、次いで、基体の端をその上の保護層とともに切断する。これにより、切断面の位置で、金属を露出させる。例えば、金属からなる表面を有している板の一部を除去して、基体とこれに繋がった支持部とを含んだ構造体を得る。次に、この構造体の金属表面に、保護層を形成する。その後、基体を支持部から切り離す。そして、基体の金属表面のうち剥き出しになった部分に、引き出し線の一端を接合する。
或いは、先ず、基体の金属表面の一部にマスクを形成する。次いで、金属表面の露出部全体に保護層を形成する。その後、金属表面からマスクを除去する。そして、基体の金属表面のうち剥き出しになった部分に、引き出し線の一端を接合する。
何れの方法であっても、保護層は、基体の金属表面と引き出し線との接合部を除く、上記表面の全体を被覆していることが好ましい。
基体は、様々な形状を有し得る。基体が板形状を有している場合、2以上の電極は、互いに対して平行に配置してもよく、互いに対して傾くように配置してもよい。また、基体は、例えば、コイル形状、又は板ばね形状を有していてもよい。なお、電極をコイル形状とした場合、この電極は、ばねを兼ねていてもよい。
電極と引き出し線との電気的接続には、以下の方法を利用してもよい。先ず、金属表面を有している基体に孔を設ける。次いで、金属表面の露出部全体に保護層を形成する。そして、孔にピンやネジなどを差し込むことで、ピンやネジに結線された引き出し線を電極に電気的に接続することができる。
また、基体に貫通孔を設け、金属表面の露出部全体に保護層を形成して電極を形成した場合、例えば、貫通孔にピンやネジなどを差し込んで、別途用意した基体、例えば金属からなる表面を有している基体に電極を固定するとともに、この基体と電極とを電気的に接続することも可能である。これによって、必要に応じて電極とセンサ本体とを、互いから分離したり、互いに結合させたりすることが可能になる。従って、例えば、電極のみを使い捨てにすることが可能となる。なお、別途用意した基体の表面にも、上述した保護層が形成されていてもよい。
また、この方法は、めっきにより炭素からなる保護層を形成するため、孔の側壁にも均一に保護層を形成することができる。即ち、この方法には、金属表面が露出しないというメリットがある。
生体センサは、2以上の電極に電気的に接続され、それら電極間を流れる電流又はそれら電極間の電圧から、測定対象に関する情報を生成する処理部(又は情報処理部)を更に含んでいてもよい。この場合、生体センサは、情報を生体センサの外部へと出力する出力部を更に含んでいてもよい。また、生体センサは、電源部や制御部を更に含んでいてもよい。
上述した保護層は、例えばめっき法により形成する。例えば、アイ’エムセップ株式会社が溶融塩電解を利用して実施している炭素めっき技術を利用することができる。これの技術は、塩化物等の溶融塩に加えたカーバイドイオン(C22−)の陽極酸化反応(以下の反応式を参照)を利用することにより、陽極である被処理材表面に非常に緻密な炭素層を形成するものである。
C2 2− → 2C(めっき膜) + 2e−
このようにして得られる保護層は、典型的には、グラファイト構造を含み、sp2結合を形成している炭素原子とsp3結合を形成している炭素原子との混合体からなる。なお、この方法の詳細は、特開2009−120860に記載されている。
また、溶融塩電解を利用して炭素からなる保護膜を得る他の方法には、炭酸塩を溶融塩に加えて被処理材を陰極として還元させる方法がある。この反応は、以下の反応式で表すことができる。
CO3 2− + 4e− → C + 3O2 −
なお、この方法の詳細は、特開2006−169554に記載されている。
電気化学的反応を利用して基体の表面に炭素からなる保護層を形成する他の方法としては、被析出金属を含む電解液中に導電性の炭素粒子を含有させ、基体が陰極となるように電気化学反応をさせることで保護層を形成する方法がある。
炭素粒子としては、例えば、グラファイト構造を含み、sp2構造とsp3構造の混合体からなるものを使用する。
被析出金属としては、例えば、金、白金、銀、ロジウム、及びルテニウムなどの貴金属に加え、鉄、ニッケル、コバルト、銅、クロム、亜鉛又はこれらの合金など、水溶液からなる電解めっき液において使用できるものを適宜選択できる。或いは、非水ジメチルスルホン浴を使用した場合には、被析出金属としてアルミニウムを使用することもできる。
生体センシングの対象となる液体試料が、酸性若しくはアルカリ性であるか又は被析出金属を錯化し得る化合物を比較的高濃度で含む場合には、貴金属を使用することが好ましい。液体試料が中性であり、被析出金属を錯化し得る化合物が含まない場合には、多様な選択が可能である。被析出金属としての使用の可否は、予め実験で確認すればよい。
なお、このような方法によって得られる保護層は、厳密に言えば、被析出金属が炭素粒子を取り囲んで析出するため純炭素層ではない。しかしながら、生体センシングの対象に合わせて被析出金属を選択することで使用可能となる。
上記の通り、保護層は、例えばめっき法により形成する。めっき法によれば、厚い保護層を形成することができる。例えば、厚さが1乃至5μmの保護層を形成することができる。
また、めっき法によれば、基体が複雑な形状を有している場合であっても、均一な厚さの保護層を形成することができる。例えば、基体が湾曲又は屈曲した形状を有している場合、保護層は、基体の金属表面のうち、少なくとも基体が湾曲又は屈曲した部分に対応した領域を被覆するように形成することができる。また、基体が、互いに平行な第1及び第2主面と、それらの縁に沿って延びた端面とを有している場合、保護層は、第1主面の全体と、第2主面の少なくとも一部と、端面の少なくとも一部とを被覆するように形成することができる。
また、めっき法によれば、保護層を、比較的低いコストで及び高い生産性で形成することができる。
そして、めっき法によれば、基体の全面に保護層を形成することも容易である。それ故、この技術によれば、今後の医療技術の進歩に追随し、装置としての信頼性を向上させ、低コスト化や生産性の向上を達成することが可能になる。
なお、炭素からなる保護層をめっき法によって形成した場合、この保護層は、典型的には、グラファイト構造を含み、sp2結合を形成している炭素原子とsp3結合を形成している炭素原子との混合体からなる。
生体センシング測定の感度向上のために、保護層の表面を修飾してもよい。例えば、血糖の分析を行う場合、保護層の表面に、グルコースオキシターゼやオスミウム化合物を固定化してもよい。
以下、実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、重複する説明を省略するべく、添付の図面では、同一又は類似の機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付している。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る生体センサを概略的に示す斜視図である。図2は、図1に示す生体センサの構成を示すブロック図である。図3は、図1に示す生体センサの使用例を概略的に示す図である。
図1及び図2に示す生体センサ1は、図3に示すように、生体200、ここではヒトが飲用して、生体200内の液体から、この生体200に関する情報を得るためのものである。生体センサ1は、この情報を、無線で外部機器300に伝送する。これにより、生体200に関する情報を、例えば、リアルタイムで取得することが可能となる。生体200に関する情報は、生体センサ1に記憶させておき、生体センサ1が生体200から排出された後に、生体センサ1から外部機器300へ無線又は有線で伝送させてもよい。
生体センサ1は、一般的な錠剤のように、平たい略円柱状を有している、生体センサ1の形状は、これに限定されるものではない。例えば、生体センサ1は、平たい楕円柱又は長円柱形状を有していてもよく、球形や回転楕円体形状を有していてもよい。
この生体センサ1は、図2に示す電極部2及び電子部品4と、図1に示す支持体3と、図示しないバッテリとを含んでいる。
図2に示す電極部2は、図1に示す電極2a及び2bを含んでいる。電極2a及び2bの一方又は両方は、基体と保護層とを含んでいる。ここでは一例として、電極2a及び2bの双方が、以下に説明する基体と保護層とを含んでいることとする。
基体は、金属からなる表面を有している。基体は、例えば、金属からなるか、又は、金属と樹脂などの絶縁体との複合体である。金属としては、ステンレス鋼や鉄を使用することができる。
図1に示す構造では、基体は、互いに平行な第1及び第2主面と、それらの縁に沿って延びた端面とを有している。ここでは、基体は円板状である。
保護層は、基体の金属からなる表面の少なくとも一部を被覆している。保護層は、上述した炭素からなる連続膜である。ここでは、一例として、保護層は、基体の第1主面の全体と、第2主面の一部と、端面の全体とを被覆していることとする。
支持体3は、電極2a及び2bを、互いから離間するように支持している。支持体3は、少なくとも電極2a及び2bと接触している部分が絶縁体からなる。絶縁体としては、例えば、医療用プラスチックやセラミックを使用することができる。
図1に示す構造では、支持体3は、平たい円柱形状を有している。支持体3は、一方の底面が電極2aの第2主面と向き合い、他方の底面が電極2bの第2主面と向き合うように、それら電極2a及び2bを支持している。
また、支持体3は、中空構造を有している。支持体3は、図2に示す電子部品4と、図示しないバッテリと内蔵している。
図2に示す電子部品4は、信号処理部(又は処理部)4aと、制御部4bと、出力部4cと、電源部4dとを含んでいる。
信号処理部4aと制御部4bは、電極部2に電気的に接続されている。制御部4bは、電極2a及び2b間に電圧を印加するか、又は、それらの間に電流を流す。そして、信号処理部4aは、電極2a及び2b間を流れる電流の大きさ又はそれらの間の電位差から、生体200に関する情報を生成する。
制御部4bが電極2a及び2b間に印加する電圧又はそれらの間に流す電流の大きさは、例えば、一定であってもよく、パルス波状に変化させてもよく、時間の経過に応じて直線的に増加又は減少させてもよく、或る関数に従って時間の経過に応じて変化させてもよい。
信号処理部4aは、例えば、電極2a及び2b間を流れる電流の大きさやそれらの間の電位差を、出力部4cに伝送しやすい信号に変換する。信号処理部4aは、平均化や或るモデルに従った演算などを更に行ってもよい。
電源部4dは、信号処理部4a,制御部4b,出力部4cに電気的に接続されている。電源部4dは、バッテリから供給される電力を、電子部品4の他の要素へ適宜分配する。あるいは、それ自体がバッテリを含んでいてもよい。
出力部4cは、信号処理部4aに電気的に接続されている。出力部4cは、信号処理部4aが生成した情報を、無線通信を利用して外部機器300に伝送する。無線通信を利用可能とした場合、生体センサ1の内部への異物混入による故障のリスクが小さくなるのに加え、衛生面でのメリットも得られる。
信号処理部4a、制御部4b、出力部4c及び電源部4dは、1以上の半導体チップに形成されている。これらの全てを単一の半導体チップに形成してもよく、これらは別々の半導体チップに形成してもよい。
図示しないバッテリは、電源部4dに電気的に接続されている。バッテリは、電源部4dに電力を供給する。なお、生体センサ1は、例えば、外部から無線により給電可能である場合や、金属が体液と接触することによって生じるガルバニック電流を利用可能な構成を採用した場合には、バッテリを含んでいなくてもよい。
上記の通り、この生体センサ1は、飲用して使用する。生体200は、生体センサ1を飲用することで、体液の分析を実施する。体液の解析を行う場所は、口部、胃部及び腸などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
生体センサ1は、事前に定められた定期的なタイミングで解析を実施するか、又は、常時解析を実施する。解析結果は、例えば、生体センサ1に一時的に記憶させ、無線通信を利用して外部機器300へ伝送する。これにより、患者や医師が測定結果を把握することが可能になる。
<第2実施形態>
図4は、本発明の第2実施形態に係る生体センサを概略的に示す斜視図である。この生体センサ1は、生体に接触させて、生体に関する情報を得るためのものである。
この生体センサ1は、使用時には、例えば、皮膚や舌と接触させる。生体センサ1を例えば皮膚に接触させる場合、生体センサ1は皮膚に押し当ててもよく、皮膚に貼り付けてもよい。
或いは、この生体センサ1は、体内に埋め込んで使用する。この場合、生体センサ1は、例えば、脳波、心電図、筋電図、又は胃液や血液のpHの測定又は取得に利用することができる。
この生体センサ1は、以下の構成を採用したこと以外は、図1及び図2を参照しながら説明した生体センサ1とほぼ同様である。即ち、この生体センサ1では、支持体3は、その1つの面で電極2a及び2bの双方を支持している。そして、電極2a及び2bは、支持体3の支持面に対して突き出ている。この構造を採用すると、電 極2a及び2bを支持体に接触させ易くなる。
<第3実施形態>
図5は、本発明の第3実施形態に係る生体センサを概略的に示す斜視図である。図6は、図5の生体センサの一部について断面を描いた図である。
この生体センサ1は、生体から採取した液体を試料10として使用する装置、即ち、生体外(エクスビボ)で使用する装置である。
この生体センサ1では、電極部2は、一対の電極2a及び2bと支持体3とを含んでいる。支持体3は、試料10を収容する凹部が上面に設けられた板形状を有している。電極2a及び2bは、凹部内に設置されている。
この生体センサ1において、信号処理部4aは電極2a及び2bと外部電源5とに電気的に接続され、出力部4cは信号処理部4aと外部電源5とに電気的に接続されている。信号処理部4aは、図2を参照しながら説明した信号処理部4aとしての役割を果たすのに加え、制御部4bとしての役割を果たす。出力部4cは、図2を参照しながら説明した出力部4cとしての役割を果たす。
この生体センサ1は、生体外で使用するため、信号処理部4aや出力部4cに外部電源5と接続可能な構成を採用すれば、それ自体がバッテリなどを搭載している必要はない。なお、外部電源5は、直流電源であってもよく、交流電源であってもよい。
この生体センサ1は、例えば、以下の第1乃至第8工程を順次実施することにより製造する。なお、電極2a及び2bは同一の方法によって製造できるので、ここでは、電極2bの製造方法に関する説明は省略する。
(第1工程)
図7(a)及び(b)は、図5及び図6に示す生体センサの製造における第1工程を示す図である。図7(a)は平面図であり、図7(b)は図7(a)のVIIb−VIIb線に沿った断面図である。
第1工程では、図7(a)及び(b)に示す金属板20を準備する。金属板20は、電極2aの基体21と支持部25とを含んでいる。また、金属板20には、スリット27が設けられている。基体21と支持部25とは、それらを互いに接続している接続部を除き、スリット27を介して互いから離間している。
金属板20の材料を選択するうえでは、成形し易さ、成形後の強度、熱膨張特性、融点、酸化膜の形成され易さ、価格、及び、その表面に炭素からなる保護層を電気化学的手法で形成することなどを考慮する。基体21上には炭素からなる保護層を形成するため、基体21自体の電気化学的安定性などは重要ではない。金属板20の材料としては、例えば、ニッケル、銅、鉄、若しくはこれらの合金、又はステンレスを使用することができる。
基体21は、ここでは板状であるが、棒状などの他の形状を有していてもよい。また、金属板20に、例えば、曲げ加工や絞り加工などのプレス加工を施し、基体21を変形させておいてもよい。スリット27は、例えば、剪断加工、ケミカルエッチング、ブラスト加工、レーザ加工、又はそれらの組み合わせによって形成することができる。例えば、ケミカルエッチングしたものをプレスで曲げ加工し、更にレーザで一部を削るなど、生産性や精度を考慮して複数の加工を組み合わせてもよい。
(第2工程)
図8(a)及び(b)は、図5及び図6に示す生体センサの製造における第2工程を示す図である。図8(a)は平面図であり、図8(b)は図8(a)のVIIIb−VIIIb線に沿った断面図である。
第2工程では、図8(a)及び(b)に示すように、金属板20の表面全体に、炭素からなる保護層22を形成する。保護層22は、例えばめっき法により形成する。これにより、電極2aを得る。
(第3工程)
図9(a)及び(b)は、図5及び図6に示す生体センサの製造における第3工程を示す図である。図9(a)は平面図であり、図9(b)は図9(a)のIXb−IXb線に沿った断面図である。
第3工程では、図9(a)及び(b)に示すように、基体21をその上の保護層22とともに、支持部25から切り離す。例えば、レーザやマイクロカッターなどを利用して、基体21と支持部25との接合部を切断する。
以上のようにして、電極2aを得る。また、これと同様の方法により、電極2bを得る。なお、これら電極2a及び2bでは、基体21の表面のうち、切断面に位置した領域は露出しているが、その他の領域は保護層22によって覆われている。
(第4工程)
図10(a)及び(b)は、図5及び図6に示す生体センサの製造における第4工程を示す図である。図10(a)は平面図であり、図10(b)は図10(a)のXb−Xb線に沿った断面図である。
第4工程では、図10(a)及び(b)に示すように、電極2a及び2bを仮固定する。ここでは、電極2a及び2bは、それらの主面が互いに対して斜めになるように、及び、それらの切断面が斜めに向き合うように配置している。なお、ここでは描かれていないが、電極2a及び2bは、固定用治具に仮固定することが望ましい。
(第5工程)
図11(a)及び(b)は、図5及び図6に示す生体センサの製造における第5工程を示す図である。図11(a)は平面図であり、図11(b)は図11(a)のXIb−XIb線に沿った断面図である。
第5工程では、図11(a)及び(b)に示すように、電極2aに引き出し線6aの一端を接合するとともに、電極2bに引き出し線6bの一端を接合する。引き出し線6a及び6bは、上記の切断面において露出した基体21に接合することが好ましい。引き出し線6aと6bとは、電気的に短絡しないように離れている。
(第6工程)
図12(a)及び(b)は、図5及び図6に示す生体センサの製造における第6工程を示す図である。図12(a)は平面図であり、図12(b)は図12(a)のXIIb−XIIb線に沿った断面図である。
第6工程では、図12(a)及び(b)に示すように、電極2a及び2bを支持体本体31に支持させる。支持体本体31は、電極2a及び2bの各々を、一方の主面が露出し、他方の主面全体が覆われるように支持させる。
支持体本体31は、生体センシングのために使用する液体試料に対して安定である必要がある。支持体本体31の材料としては、有機樹脂が適している。
電極2a及び2bの実効面積が一定となるよう、支持体本体31と電極2a及び2bと間に液体試料が侵入しないようにするべきである。また、基体21の腐食を防ぐ観点では、電極2aと引き出し線6aとの接続部や電極2bと引き出し線6bとの接続部には、液体試料が接触しないようにするべきである。それ故、これら接続部を埋め込むように支持体本体31を形成するか、又は、接続部上に絶縁層を形成することが好ましい。
(第7工程)
図13(a)及び(b)は、図5及び図6に示す生体センサの製造における第7工程を示す図である。図13(a)は平面図であり、図13(b)は図13(a)のXIIIb−XIIIb線に沿った断面図である。
第7工程では、図13(a)及び(b)に示すように、支持体本体31の上面に、電極2a及び2bを取り囲むように壁32を設ける。これにより、支持体本体31と壁32とを含んだ支持体3を得る。
壁32を設けると、液体試料の流出を生じ難くすることができる。また、壁32を設けると、液体試料を電極2a及び2bの上面全体に確実に接触させることができる。
壁32の材料は、支持体本体31の材料と同一であることが望ましい。また、壁32は、支持体本体31を形成する工程において形成することができる。
(第8工程)
第8工程では、引き出し線6a及び6bを、図5及び図6に示す信号処理部4a及び出力部4cを含んだ電子部品に接続して、電極2a及び2bを信号処理部4aに電気的に接続する。例えば、この電子部品が、1以上の半導体チップとこれを搭載したプリント配線板とを含んでいる場合、引き出し線6a及び6bはプリント配線板上の端子に接続する。以上のようにして、図5及び図6に示す生体センサ1を得る。
なお、生体センサ1において、電極部2は着脱可能であってもよい。この場合、引き出し線6a及び6bは、例えば、コネクタを介して電子部品へ電気的に接続する。電極部2を着脱可能とすると、電極部2のみを交換することができる。
<第4実施形態>
図14は、本発明の第4実施形態に係る生体センサの製造における第1工程を示す平面図である。図15は、図14に示す構造のXV−XV線に沿った断面図である。図16は、第4実施形態に係る生体センサの製造において第2工程を行うことによって得られる電極を概略的に示す斜視図である。図17は、第4実施形態に係る生体センサの製造における第3工程を示す断面図である。図18は、第4実施形態に係る生体センサの製造における第4工程を示す断面図である。図19は、第4実施形態に係る生体センサを概略的に示す図であって、一部を断面図とし、他の部分を斜視図とした図である。
図19に示す生体センサ1は、生体から採取した液体を試料10として使用する装置、即ち、生体外(エクスビボ)で使用する装置である。
この生体センサ1では、図18に示すように、電極部2は、電極2a、2b及び2cと、支持体3と、引き出し線6a、6b及び6cとを含んでいる。
電極2a及び2bは、測定電極である。電極2a及び2bの各々は、基体21と保護層22とを含んでいる。
電極2cは、参照電極である。参照電極としては、例えば、銀/塩化銀電極を使用することができる。そのような参照電極は、金属銀からなる表面を有している部品を準備し、その表面を塩化して塩化銀を生成させることにより得られる。
支持体3は、凹部を有している。支持体3は、凹部の側壁上で、電極2a及び2bをそれらが互いに向き合うように支持している。更に、支持体3は、凹部の底部で、電極2cを支持している。
引き出し線6aの一端は、電極2aの基体21に接合されている。引き出し線6bの一端は、電極2bの基体21に接合されている。引き出し線6cの一端は、電極2cに接合されている。引き出し線6a、6b及び6cの他端は、図19に示す信号処理部4aに電気的に接続されている。
図19に示すように、この生体センサ1において、電子部品4は、信号処理部4aと、電源部4dと、出力部4cとを含んでいる。信号処理部4aは、これにデータ入力をするためのインターフェイス41に電気的に接続されている。信号処理部4aは、図2を参照しながら説明した信号処理部4aとしての役割を果たすのに加え、制御部4bとしての役割とを果たす。電源部4dは、外部電源5、信号処理部4a及び出力部4cに電気的に接続されている。出力部4cは、信号処理部4aと、ここから外部へとデータを受け渡すためのインターフェイス42とに電気的に接続されている。
この生体センサ1は、例えば、以下の方法により製造する。先ず、図14及び図15に示す金属板20を準備する。金属板20は、金属からなる平板にスリット27を設けて基体21と支持部25とを形成し、更に曲げ加工を行って基体21を支持部25に対して持ち上げることにより得る。
次に、第3実施形態において説明したのと同様の方法により、保護層22の形成と、電極2a及び2bの支持部25からの切り離しとを行う。このようにして得られる電極2a及び2bは、図16に示すように、それらの切断面において基体21が露出している。
次いで、電極2a及び2bを、それぞれ、絶縁性部品33a及び33bに支持させる。絶縁性部品33aには、例えば、電極2aを、その一方の主面が露出し、他方の主面の全体が絶縁性部品33aによって覆われるように支持させる。また、絶縁性部品33bには、例えば、電極2bを、その一方の主面が露出し、他方の主面の全体が絶縁性部品33bによって覆われるように支持させる。
その後、第3実施形態において説明したのと同様の方法により、電極2aと電極2bとに、それぞれ、図17に示す引き出し線6aの一端と引き出し線6bの一端とを接合する。引き出し線6a及び6bの接合は、基体21の露出部に対して行う。
続いて、図示しない金型のキャビティ内に、絶縁性部品33aと一体化した電極2aと、絶縁性部品33bと一体化した電極2bとを、それらの露出した主面が、図示しない金型のコアを間に挟んで向き合うように配置する。このとき、コアの下方には、図18に示す電極2cを設置しておく。
次いで、金型に樹脂を射出する。この樹脂を硬化させることにより、図18に示す支持体本体33cを得る。続いて、金型を分解することにより、図18に示す電極部2を得る。その後、図19に示すように、電極部2を電子部品4に電気的に接続することにより、生体センサ1を得る。
第3及び第4実施形態では、基体21の金属表面のうち剥き出しになった部分に引き出し線6a又は6bを接合した。電極2aと引き出し線6aとの電気的接続及び電極2bと引き出し線6bとの電気的接続は、他の方法により行ってもよい。
図20は、変形例に係る接続方法における第1工程を概略的に示す斜視図である。図21は、変形例に係る接続方法における第2工程を概略的に示す斜視図である。この方法では、先ず、金属表面を有している基体に孔を設ける。次いで、金属表面の露出部全体に保護層を形成する。これにより、図20に示す電極2aを得る。基体に設けた貫通孔の側壁が金属からなる場合、保護層22は、好ましくは、基体の外面だけでなく、貫通孔の側壁も被覆するように形成する。
次に、図20に示すピン28を、図21に示すように、先の孔に挿入する。なお、ピン28の代わりに、ネジなどの他の部品を使用してもよい。その後、引き出し線6aをピン28に接合する。引き出し線6aは、孔に挿入する前に、ピン28に接合しておいてもよい。なお、ピン28の表面にも、上述した保護層が形成されていてもよい。
以上のようにして、電極2aと引き出し線6aとを電気的に接続する。また、同様の方法により、電極2bと引き出し線6bとを電気的に接続する。
電極2a及び2bは、以下の方法によって、他の導電部材と電気的に接続することも可能である。
図22は、他の変形例に係る接続方法を概略的に示す斜視図である。この方法では、先ず、金属表面を有している基体に貫通孔を設ける。次いで、金属表面の露出部全体に保護層を形成する。これにより、貫通孔が設けられた電極2aを得る。基体に設けた貫通孔の側壁が金属からなる場合、保護層は、好ましくは、基体の外面だけでなく、貫通孔の側壁も被覆するように形成する。
次に、図22に示すように、この電極2aと、別途準備した基体29とを重ね合わせる。一例によれば、基体29には、電極2aの貫通孔と連絡する孔を設けておく。基体29としては、例えば、金属からなる表面を有している導電性基体を使用する。そのような基体29は、全体が金属からなるものであってもよく、絶縁体を金属層で被覆したものであってもよい。なお、基体29の表面にも、上述した保護層が形成されていてもよい。
次いで、電極2aと基体29とを重ね合わせた状態で、ピン28を電極2aの貫通孔と基体29の孔とに挿入する。これにより、電極2aと基体29とを一体化するとともに、それらを電気的に接続する。
なお、それらの一体化には、ピン28の代わりに、ネジなどの他の部品を使用してもよい。また、電極2bについても、電極2aについて説明したのと同様の方法により、製造及び基体29との一体化を行うことができる。
上述した方法によると、電極2a及び2bのセンサ本体への着脱が可能になる。それ故、例えば、電極2a及び2bの少なくとも一方を使い捨てにすることが可能となる。また、めっきによると、孔の側壁にも均一に保護層を形成することができる。即ち、この方法には、金属表面が露出しないというメリットがある。
<第5実施形態>
図23は、本発明の第5実施形態に係る生体センサを概略的に示す図である。この生体センサ1は、第3及び第4実施形態に係る生体センサと同様に、生体から採取した液体を試料10として使用する装置、即ち、生体外(エクスビボ)で使用する装置である。この生体センサ1は、電極2aと電極2bとの組を複数含んでいる点で、第3及び第4実施形態に係る生体センサとは異なっている。
なお、図23では、電極2aを互いに電気的に接続するとともに、電極2bを互いに電気的に接続しているが、電極2aを互いに電気的に絶縁するとともに、電極2bを互いに電気的に絶縁してもよい。後者の場合、或る電極対と他の電極対とに異なる表面修飾を施せば、同一の液体試料から異なるバイオマーカについての検出が可能となる。なお、表面修飾は、電極2a及び2bの双方に対して行ってもよく、一方にのみ行ってもよい。
図24は、図23に示す生体センサの一変形例を概略的に示す図である。図23に示す生体センサ1では、電極2aを互いに電気的に接続するとともに、電極2bを互いに電気的に接続している。これに対し、図24に示す生体センサ1では、電極2aは、互いから電気的に絶縁されるとともに、別々に信号処理部4aに電気的に接続され、電極2bは、互いから電気的に絶縁されるとともに、別々に信号処理部4aに電気的に接続されている。この構成を採用すると、例えば、電極2aの1つと電極2bの1つとから各々がなる複数の組から別々の信号を得ることができる。
図25は、図23に示す生体センサの他の変形例を概略的に示す図である。図25に示す生体センサ1は、選択/読出し部4eを更に含んでいることを除き、図23に示す生体センサ1と同様である。
選択/読出し部4eは、電極2a及び2bと信号処理部4aとに電気的に接続されている。選択/読出し部4eは、例えば、電極2aの1つと電極2bの1つとからなる組を選択し、それら電極2a及び2bから得られる信号を信号処理部4aへ供給する。選択/読出し部4eは、電極2aの1つと電極2bの1つとからなる組を順次選択し、それら電極2a及び2bから得られる信号を信号処理部4aへ連続的に供給してもよい。
図26は、図23に示す生体センサの更に他の変形例である。図26に示す生体センサ1は、以下の点を除き、図23に示す生体センサ1と同様である。
この生体センサ1は、複数の走査線L1と、複数の信号線L2と、複数の電源線L3と、複数の選択回路(図示せず)とを含んでいる。
複数の走査線L1は、各々がX方向に延び、X方向と交差するY方向に配列している。複数の信号線L2は、各々がY方向に延び、X方向に配列している。これら信号線L2は、走査線L1から電気的に絶縁されるとともに、走査線L1と交差するように配置されている。
走査線と信号線の交点には画素回路があり、複数もしくは共通の電源線が接続されている。各画素回路には電極2a,2bが接続されている。
各画素回路は、走査線にゲート電極が接続され、信号線にソース・ドレイン電極の一方が、画素回路にソース・ドレイン電極のもう一方が接続された、選択トランジスタを有し、走査線L1にON信号が供給されたとき、各選択トランジスタは各々の画素回路を信号線に接続し、各々の画素回路を書込み・読出し部へ出力する。走査線L1にOFF信号が供給されているときには、画素回路は信号線L2から絶縁されており、然るに各々の画素回路は書込み・読出し部から切り離されている。
この生体センサ1は、走査部4fと書込み・読出し部4gとを更に含んでいる。走査部4fは、信号処理部4aと走査線L1とに電気的に接続されている。走査部4fは、信号処理部4aから供給される制御信号に基づいて、走査線L1を順次選択し、選択した走査線L1にはON信号を供給し、非選択の走査線L1にはOFF信号を供給する。
書込み・読出し部4gは、信号処理部4aと信号線L2とに接続している、例えば、書込み・読出し部4gは、書込み動作として、走査線が選択した画素回路に対し、電極バイアス条件として、電圧設定や電流設定を書き込み、そのバイアス条件に従い、読出し動作として、走査線が選択した画素回路から、電流信号や電圧信号を読み出す。
この生体センサ1は、例えば、線順次駆動を行うことにより、信号の読出しを行う。この場合、例えば、走査線L1の数Mと信号線L2の数Nとの積に等しい数の信号を得ることができる。即ち、二次元的に分布したM×N個の測定点からの信号を得ることができる。それ故、例えば、信号強度の二次元分布を得ることができる。また、信号の読出しを繰り返し行うことにより、この二次元分布の経時変化を調べることができる。
従って、液体試料の流動や拡散の状態を検出することができる。また、細胞における代謝に関与する成分、即ち、代謝の出発物質である基質又は代謝の最終生成物若しくは中間生成物である代謝産物を検出する目的でこの生体センサ1を使用する場合、電極2aの1つと電極2bの1つとから各々がなる電極対から得られる信号から、先の成分の総量を見積もることもできる。
また、この生体センサ1は、或る電極対と他の電極対とに異なる表面修飾を施せば、同一の液体試料から異なるバイオマーカについての検出が可能である。
更に、この生体センサ1では、一部の電極対を測定用として使用し、他の一部の電極対を較正用として使用することができる。例えば、一部の電極対にのみ表面修飾を施すことなどにより、表面修飾を施した電極対から得られる信号を、表面修飾を施していない電極対から得られる信号で較正することができる。これにより、例えば、温度などの環境の変動や製造のばらつきが測定結果に及ぼす影響を小さくすることができる。
また、この生体センサ1では、電極2a及び2bの少なくとも一方が通電によって特性の変化を生じる可能性がある。例えば、電極2a及び2bの少なくとも一方が、通電によって劣化するか又は液体試料が含んでいる物質を不可逆的に吸着することがある。このような場合、先ず、一部の電極対を測定に使用し、その後、他の一部の電極対を測定に使用するというように、測定に使用する電極対を逐次変更することにより、生体センサ1を長寿命化することができる。
なお、ここでは、測定点が平面内で分布するように電極対を配置しているが、測定点が空間内で分布するように電極対を配置してもよい。この場合、信号強度の二次元分布を得ることができる。
<第6実施形態>
図27は、本発明の第6実施形態に係る生体センサを概略的に示す図である。この生体センサ1は、第1実施形態に係る生体センサと同様に、飲用して使用するものである。
この生体センサ1は、筐体7を含んでいる。筐体7は、電極部2を、その電極2a及び2bが露出するように支持している。また、筐体7は、信号処理部4a、出力部4c及びバッテリ(電池)8を内蔵している。
この生体センサ1は、第5実施形態に係る生体センサと同様に、電極2aと電極2bとの組を複数含んでいる。なお、図27では、電極2aを互いに電気的に接続するとともに、電極2bを互いに電気的に接続しているが、電極2aを互いに電気的に絶縁するとともに、電極2bを互いに電気的に絶縁してもよい。
図28は、図27に示す生体センサの一変形例を概略的に示す図である。図27に示す生体センサ1は、第5実施形態に係る生体センサと同様に、電極2aと電極2bとの組を複数含んでいる。そして、図27では、電極2aを互いに電気的に接続するとともに、電極2bを互いに電気的に接続している。これに対し、図28に示す生体センサ1では、電極2aは、互いから電気的に絶縁されるとともに、別々に信号処理部4aに電気的に接続され、電極2bは、互いから電気的に絶縁されるとともに、別々に信号処理部4aに電気的に接続されている。この構成を採用すると、例えば、電極2aの1つと電極2bの1つとから各々がなる複数の組から別々の信号を得ることができる。
図29は、図27に示す生体センサの他の変形例を概略的に示す図である。図29に示す生体センサ1は、選択/読出し部4eを更に含んでいることを除き、図27に示す生体センサ1と同様である。
選択/読出し部4eは、電極2a及び2bと信号処理部4aとに電気的に接続されている。選択/読出し部4eは、例えば、電極2aの1つと電極2bの1つとからなる組を選択し、それら電極2a及び2bから得られる信号を信号処理部4aへ供給する。選択/読出し部4eは、電極2aの1つと電極2bの1つとからなる組を順次選択し、それら電極2a及び2bから得られる信号を信号処理部4aへ連続的に供給してもよい。
図23及び図27に示す電極部2は、例えば、以下の第1乃至第4工程を順次実施することにより製造する。
(第1工程)
図30は、図23及び図27に示す生体センサが含んでいる電極の製造に利用可能な方法の第1工程を概略的に示す平面図である。図31は、図30に示す構造を裏側から描いた平面図である。図32(a)は、図30に示す構造のXXXIIa−XXXIIa線に沿った断面図である。図32(b)は、図30に示す構造のXXXIIb−XXXIIb線に沿った断面図である。図32(c)は、図30に示す構造のXXXIIc−XXXIIc線に沿った断面図である。
図23及び図27に示す電極部2を製造するに際しては、先ず、図30、図31、及び図32(a)乃至(c)に示す金属板20を準備する。
この金属板20は、縦横に配列した基体21と、これらを支持した支持部とを含んでいる。金属板20は、スリット27を有している。
支持部は、枠状部25aと、線状部25b及び25cとを含んでいる。
線状部25bは、各々が縦方向に延び、横方向に配列している。線状部25cは、各々が横方向に延び、縦方向に配列している。線状部25b及び25cは、格子を形成している。線状部25b及び25cの厚さは、互いに等しく、枠状部25aの厚さよりも小さい。
基体21は、線状部25b及び25cが形成している格子の格子点上に位置している。基体21の厚さと線状部25b又は25cの厚さとの和は、枠状部25aの厚さと等しい。
第1工程では、この金属板20を、例えば、以下の方法により製造する。先ず、金属からなる平板の一方の面に、第1凹部を形成する。第1凹部は、線状部25b及び25cとスリット27との位置に形成する。
次に、先の平板の他方の面に、第2凹部を形成する。第2凹部は、枠状部25a並びに線状部25b及び25cの何れにも対応していない位置に形成する。また、第2凹部は、スリット27の位置で第1凹部と繋がるように形成する。以上のようにして、金属板20を得る。
(第2工程)
図33(a)乃至(c)は、図23及び図27に示す生体センサが含んでいる電極の製造に利用可能な方法の第2工程を概略的に示す図である。図33(a)、(b)及び(c)は、それぞれ、図32(a)、(b)及び(c)に対応した断面図である。
第2工程では、図33(a)乃至(c)に示すように、金属板20の全面に保護層22を形成する。保護層22は、第3実施形態において説明したのと同様の方法により形成する。これにより、電極2a及び2bを得る。なお、ここでは、電極2a及び2bは、市松模様状に配列していることとする。電極2a及び2bは、他の様式で配列していてもよい。
(第3工程)
図34(a)乃至(c)は、図23及び図27に示す生体センサが含んでいる電極の製造に利用可能な方法の第3工程を概略的に示す図である。図34(a)、(b)及び(c)は、それぞれ、図32(a)、(b)及び(c)に対応した断面図である。
図35は、図23及び図27に示す生体センサが含んでいる電極の製造に利用可能な方法の第3工程を概略的に示す図であって、第3工程によって得られる構造を裏側から描いた平面図である。
第3工程では、図34(a)乃至(c)及び図35に示すように、第1及び第2凹部を、樹脂からなる支持体層34で埋め込む。これにより、支持体層34と枠状部25aとからなり、電極2a及び2bを支持した支持体3を形成する。
(第4工程)
図36は、図23及び図27に示す生体センサが含んでいる電極の製造に利用可能な方法の第4工程を概略的に示す図であって、第4工程によって得られる構造を裏側から描いた平面図である。
第4工程では、図36に示すように、線状部25bを位置Pbで切断するとともに、線状部25cを位置Pcで切断する。これにより、電極2a及び2bを互いから電気的に絶縁する。
以上のようにして、図23及び図27に示す電極部2を得る。なお、この電極部2には、図13(b)を参照しながら説明した壁32を設けてもよい。また、このようにして得られる電極部2は、支持体層34及び枠状部25aを可撓性とすることにより、可撓性とすることができる。
<第7実施形態>
図37乃至図39は、本発明の第7実施形態に係る生体センサの例を概略的に示す側面図である。
図37に示す生体センサ1は、電極2a及び2bと、支持体3、バッテリ8と、記憶/出力部9とを含んでいる。
電極2aは、コイル形状を有している。電極2aは、ばねとして機能し得る。
電極2bは、柱形状を有している。電極2bは、電極2aに対して、その伸縮方向に位置している。
支持体3は、電極2a及び2b間に位置している。支持体3は、中空構造を有しており、信号処理部を含む電子部品を内蔵している。
バッテリ8は、支持体3に対して着脱可能に取り付けられている。バッテリ8は、支持体3が内蔵している電子部品に電力を供給する。
記憶/出力部9は、支持体3に取り付けられている。記憶/出力部9は、記憶装置を内蔵しており、信号処理部が生成した情報を記憶する。そして、記憶/出力部9は、この情報を無線又は有線で外部機器へ伝送する。
図38に示す生体センサ1は、電極2a及び2bと、支持体3、バッテリ8とを含んでいる。この生体センサ1は、記憶/出力部9を含んでおらず、支持体3が内蔵している電子部品が出力部等を更に含んでいること以外は、図37を参照しながら説明した生体センサと同様である。
図39に示す生体センサ1は、電極2bが電極2aと同様の構造を有していること以外は、図37を参照しながら説明した生体センサと同様である。図38に示す生体センサ1においても、電極2bは、電極2aと同様の構造を有していてもよい。また、電極2a及び2bの少なくとも一方として、板ばね形状を有しており、ばねとして機能し得るものを使用してもよい。
図40は、本発明の第7実施形態に係る生体センサの一使用例を概略的に示す図である。図41は、本発明の第7実施形態に係る生体センサの他の使用例を概略的に示す図である。
生体センサ1は、図40に示すように、耳201の中に設置することができる。生体センサ1を耳201の中に設置した場合、例えば、液体試料として汗を利用することができる。
また、生体センサ1は、図41に示すように、鼻202の中に設置することもできる。生体センサ1を鼻202の中に設置した場合、例えば、液体試料として鼻水を利用することができる。また、この場合、電極2a及び2bの少なくとも一方に酵素を担持させておき、病原菌やウィルスの検出を行うことも可能である。
生体センサ1は、温度センサを更に内蔵していてもよい。生体センサ1を、例えば、耳201や鼻202の中に設置し、体温を常時測定することにより、生理周期の確認や、妊娠有無の確認などが可能となる。
また、生体センサ1は、心拍計を内蔵していてもよい。生体センサ1を、例えば、耳201や鼻202の中に設置し、心拍数を常時測定することにより、不整脈などの検査が可能となる。
生体センサ1は、それ自体を又はその周囲を帯電させる機能を更に有していてもよい。例えば、生体センサ1を鼻202の中に設置し、鼻202の中を正に帯電させた場合、鼻202の中への花粉の侵入を抑制することができる。また、生体センサ1を鼻202の中に設置し、生体センサ1又は電極2a又は2bを負に帯電させた場合、花粉を捕集して、鼻の奥への花粉の侵入を抑制することができる。また、生体センサ1を耳201又は鼻202の中に設置し、生体200を負に帯電させた場合、体に花粉を吸着させ、鼻202への花粉の侵入を抑制することができる。
生体センサ1は、電磁波を発生する機能を更に有していてもよい。花粉は、電磁波を利用して分解することができる。
耳201の中に設置する生体センサ1は、補聴器又はイヤホンとしての機能を更に有していてもよい。
以下に、生体センサの製造及びこれを用いた測定の具体例を記載する。
(A)金属素材の加工 厚さ0.3mmのステンレス(SUS304)板を加工して、図14及び図15に示す金属板20を得た。この加工は、具体的には、以下の方法により行った。先ず、ステンレス板の両面へ感光性エッチングレジストを塗布した。これらレジスト層をパターン露光し、現像することにより、ステンレス板の両面にレジストパターンを形成した。次いで、これらレジストパターンをエッチングマスクとして用いて、ステンレスをエッチングした。エッチング液としては、塩化第2鉄溶液を使用した。その後、レジストパターンを剥離することにより、スリット27を有する金属板20を得た。次いで、基体21が支持部25に対して持ちあがるように、曲げ加工を行った。ここでは、基体21の四角形部の寸法は3.3mm×3.3mmとし、基体21は支持部25に対して0.5mm持ち上げた。
(B)保護層の形成 次に、金属板20の表面全体に、めっき法により、炭素からなる厚さ3μmの連続膜を、図16に示す保護層22として形成した。具体的には、保護層22は、カルシウムカーバイドを含む溶融塩(LiCl−KCl−CaCl2:500℃)に金属板20を浸漬させ、アノード分極することによって形成した。
(C)電極の仮配置及び引き出し線の接続 次に、保護層22を形成した基体21を、支持部25から切り離した。具体的には、基体21と支持部25との接続部にレーザビームを照射して、基体21を支持部25から切断した。このようにして、図16に示す電極2a及び2bを得た。
次いで、図17に示す絶縁性部品33a及び33bを、図示しない治具に付着させた。続いて、絶縁性部品33a及び33bに、それぞれ、電極2a及び2bを圧着させた。ここでは、電極2a及び2b間の距離は約2mmとした。
その後、電極2aと電極2bとに、それぞれ、図17に示す引き出し線6aの一端と引き出し線6bの一端とを接合した。引き出し線6a及び6bとしては、銅線を使用した。引き出し線6a及び6bの接合は、導電ペーストを使用して、基体21の露出部に対して行った。
(D)樹脂モールド 次に、図示しない金型のキャビティ内に、絶縁性部品33aと一体化した電極2aと、絶縁性部品33bと一体化した電極2bとを、それらの露出した主面が、図示しない金型のコアを間に挟んで向き合うように配置した。このとき、コアの下方には、図18に示す電極2cを設置した。また、絶縁性部品33a及び33bを付着させていた治具は取り外した。
次いで、金型に樹脂を射出した。この樹脂を硬化させることにより、図18に示す支持体本体33cを得た。続いて、金型を分解することにより、図18に示す電極部2を得た。コアを取り外すことにより生じた空間の容量は20μLであった。
(E)電子部品の準備 図19に示すプリント配線板PWBを準備した。このプリント配線板PWB上に、信号処理部4a及び出力部4cとしての半導体モジュールと、電源部4dとしての半導体モジュールとを搭載した。これにより、電子部品4を得た。
(F)部品の接続 電子部品4の信号処理部4aに、これにデータ入力をするためのインターフェイス41と、引き出し線6a、6b及び6cとを電気的に接続した。また、電子部品4の出力部4cに、ここから外部へとデータを受け渡すためのインターフェイス42を電気的に接続した。更に、電子部品4の電源部4dに、外部電源5を電気的に接続した。以上のようにして、図19に示す生体センサ1を完成した。
(G)測定 10μLの血液と、グルコースオキシターゼ及びフェリシアン化イオンを各々0.01mol/Lの濃度で含有した10μLの生理食塩水とを混合した。混合を開始してから1分後に、この混合液を電極部2の凹部内に導入し、電極2a及び2b間に0.5Vの電圧を印加した。そして、電圧の印加を開始してから10秒後に電極2a及び2b間に流れる電流を測定した。この測定によって得られた電流値は、血中グルコース濃度が10乃至500mg/dLの範囲で1乃至10μAであり、よい直線性が得られることが分かった。この測定手法自体は、血中グルコース濃度の検出法として比較的一般的である。上記の試験により、上述した生体センサを用いた場合においても、正確な測定が可能であることが分かった。
なお、本発明は、以下の発明を開示する。
(1)
金属からなる表面を有している基体に、めっき法によって、炭素からなる保護層を、前記表面の少なくとも一部を被覆し且つ1μm以上の厚さを有するように形成して、電極を得る工程と、前記電極を含む2以上の電極を支持体に支持させる工程とを含んだ生体センサのための電極の製造方法。
(2)
前記電極を得る工程に先立ち、前記基体を変形させる工程を更に含んだ(1)に記載の生体センサのための電極の製造方法。
(3)
前記金属からなる表面を有している板の一部を除去して、前記基体とこれに繋がった支持部とを含んだ構造体を得る工程と、前記電極を得る工程の後に、前記基体を前記支持部から切り離す工程とを更に含んだ(1)又は(2)に記載の生体センサのための電極の製造方法。
(4)
前記基体のうち前記支持部から切り離すことにより剥き出しになった部分に引き出し線を接合することを更に含んだ(3)に記載の生体センサのための電極の製造方法。
(5)
前記保護層の一部を除去して、前記表面の一部を剥き出しにさせ、この剥き出しになった部分に引き出し線を接合することを更に含んだ(3)に記載の生体センサのための電極の製造方法。