JP2017129429A - 多白血球血漿の調整方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】感染症患者の白血球や血漿中のエンドトキシン量の測定にあっては、迅速性が要求されるためその試料の容易な採取法でなければならないこと、かつ含まれるエンドトキシンは微量なため測定に供するまでエンドトキシンの失活を防止しなければならない課題がある。
【解決手段】本発明では、血液等の生体由来試料を採取後直ちに冷却し、かつ白血球に結合したエンドトキシンも測定するため、冷却試料に冷却した赤血球凝集剤を加えて多白血球血漿を得て、採取から測定までの経過中に血漿中のエンドトキシンは分解されないこと、白血球に結合したエンドトキシンが温度依存性に取り込み不活化されないようにする。
【選択図】図4

Description

本発明は、敗血症の診断の指標になる血液中エンドトキシンを測定するための試料を得るための手法に関する。
エンドトキシン(endotoxin:内毒素)は、グラム陰性菌の外膜を構成する成分であり、その化学的本体はリポポリサッカライド:リポ多糖 (LPS)である。エンドトキシンは一般的には巨大ミセルの状態で存在すると考えられる。文中ではエンドトキシンまたはLPSのいずれをも特に区別せず用いる。
エンドトキシンはグラム陰性菌感染症による敗血症、敗血症性ショック、又は多臓器不全等の生命を脅かす重大な病態を惹起する細菌由来成分のひとつである。血液中のエンドトキシンの測定によって、エンドトキシンと種々の病態との関係の解明や、当該病態の早期診断、治療に貢献することは周知のことである。
現在、血中に存在するpgオーダーの微量のエンドトキシンの測定方法はカブトガニ血球抽出液を用いるリムルステストのみである。カブトガニの血球抽出液中にはエンドトキシンと特異的に反応する「C因子経路」が存在する。「C因子経路」は、まず、LPSが、C因子(Factor C)と強固に結合してC因子を活性化する。活性化C因子はB因子を活性化し、活性化B因子は前凝固酵素を凝固酵素にする。凝固酵素はコアギュローゲン(coagulogen)を凝固タンパク質であるコアギュリン(coagulin)に変えて、ゲル化が生じる。
また、カブトガニの血球抽出液中には、C因子経路の他にも真菌の細胞壁成分であるβ-D-グルカンによって誘導される「G因子経路」が存在する。β-D-グルカンはG因子を活性化し、活性化G因子はエンドトキシンの場合と同様に前凝固酵素を凝固酵素にし、凝固酵素はコアギュローゲンを凝固タンパク質であるコアギュリンに変えて、ゲル化が生じる。
現在本邦ではエンドトキシン、βーDーグルカンにそれぞれに特異的な測定法が開発され、グラム陰性菌による敗血症や深在性真菌症の診断法として臨床応用されている。エンドトキシン測定には比濁時間分析法がβーDーグルカン測定には比濁時間分析法や発色合成基質法などが用いられている。
リムルステストは、判定又は測定方法の違いからゲル化転倒法(ゲル化法)、発色合成基質法、比濁時間分析法等の方法が知られている。最近は、レーザー光を用いたゲル化の検出手法であるエンドトキシン光散乱法や、LPSが最初に結合するC因子の遺伝子組換え体を用いる手法も開発されている。
血液中エンドトキシンをリムルステストで測定するには、最初に赤血球を遠心除去する(溶血による比色や比濁への影響を回避するため)。さらに遠心上澄の血漿についてそこに含まれるリムルステストの干渉因子を除去又は不活化する「前処理ステップ」が必要である。血漿中の干渉因子にはα2−plasmin inhibitor、antithrombin III、α1−antitrypsinの亢進因子や、factor Xa、thrombin、trypsin等の抑制因子がある。
「前処理ステップ」として、これまでPCA法、New PCA法、アルカリ処理法などが用いられてきた。PCA法は蛋白結合LPSを測定できず、アルカリ処理法は発色合成基質法に開発されたが偽陽性反応が出現する。New PCA法を用いるにはエンドトキシンフリーの試薬の調整が必要であり、比濁時間分析法への適用についての報告はない。現在血漿中エンドトキシン定量に用いる比濁時間分析法には界面活性剤トリオンX−100の0.02%水溶液で10倍希釈した血漿を70℃、10分加熱する方法(「希釈加熱法」)が「前処理ステップ」として用いられる。
「希釈加熱法」は、血液由来試料に水や緩衝液を加えて希釈した後、加熱によって干渉因子を不活化する方法である。一般に、血清や血漿を用いる場合は希釈率は、3〜10倍であり、温度は70〜100℃の範囲で、5〜10分間程度加熱することによってリムルステスト干渉因子を破壊する。このとき、トリトン X−100等の界面活性剤を加えた水(和光純薬工業で市販)で希釈する方法がよく用いられている。血液由来試料が前記の温度で十分に加熱されるのであれば加熱方法は問わない(以上の記述については非特許文献1、2参照)。
最近はリムルステストを遺伝子組み換えC因子単独やさらにB因子やクロッティング酵素前駆体を遺伝子組み換えしたものをも使用して行うことが可能になってきた。さらにリムルステストを用いずに電気化学的あるいは水晶発振子や質量変化を捉える方法も可能になってきた。前者については検出感度が不十分で血液エンドトキシンの定量には応用されていない。後者についてはいまだ開発段階であり臨床応用については未知数である(非特許文献2、3参照)。
エンドトキシンは、グラム陰性桿菌の死後、血流中に遊離して存在していると考えられ、従来からリムルステストに供される血液由来試料としては全血から分離した血漿や血清が用いられている。
血液中のエンドトキシンはLBP(LPS binding protein:LPS結合タンパク質)と複合体を形成した後に、白血球に含まれる単球や顆粒球上の細胞表面抗原CD14と結合する。続いて、MD−2とTLR4(Toll−like receptor:Toll様受容体のひとつ)に会合する。その結果、エンドトキシン結合の情報が細胞内のシグナル伝達経路を介して核へと伝達され、TNFαやIL−6等の炎症性サイトカイン遺伝子の発現が誘導され、それら炎症性サイトカインが産生される。(非特許文献1、2参照)
以上の特異的結合のほか、エンドトキシンは白血球表面の接着分子として知られているCD11/CD18に結合したり、スカベンジャーレセプターなどにも結合する。
従って、血液中のエンドトキシンは、グラム陰性菌菌体表層に存在する状態や死滅した菌から遊離して血漿中・血清中に存在する以外にも、さらにエンドトキシン受容体をもつ白血球の膜表面に結合した状態、あるいは白血球内に取り込まれた状態でも存在していると考えられる。したがって、血漿中に含まれるエンドトキシン量の測定のみでは血液中のエンドトキシン量を正確に定量しているとは言い難い。感染後、血液を採取するまでに一定時間を経過した場合には、むしろ白血球の膜表面に結合した状態、又は白血球内に取り込まれた状態のエンドトキシン量が優位になっている可能性がある。また、敗血症性ショック等の症状等の病態は、前記のようにエンドトキシンが白血球の膜表面に結合することでサイトカインの産生が誘導される結果、惹起される。このように白血球の膜表面に結合したエンドトキシンや白血球内に取り込まれたエンドトキシンの量を考慮しなければ病態との関連性を明確にすることはできない。
そこで、本発明者らは白血球に結合したり内部に含まれるエンドトキシンの測定方法を特許出願した(特許文献1)。この方法により白血球細胞の膜表面に結合したエンドトキシンや白血球内に取り込まれたエンドトキシン測定の意義について注目されるようになった。しかし、この方法では逆に従来の測定対象であった血漿中に含まれるエンドトキシンが除外されることになる。
本発明者らは、さらに白血球と血漿のエンドトキシンを同時に測定する方法を考案した。この方法では、血漿と白血球を別操作で採取して両者を混合して測定するが、遠心分離操作が必要であり煩雑であるという課題がある(特許文献2)。
さらに発明者は赤血球凝集剤ヒドロキシエチル澱粉(HES)を用いて赤血球を除外して、簡易に白血球と血漿を同時に得るエンドトキシン試料作成法を考案し特許申請した(特許文献3)。すなわちHESを血液に適当量混ぜて室温に静置するとHESのもつ赤血球凝集作用により、赤血球は沈降し上澄みに白血球を豊富に含む血漿(多白血球血漿LRP)をわずか15分で得ることができる。
特許公開2004−117127血液エンドトキシン測定法 特許公開2007−78665血液エンドトキシン測定方法 特許公開2013−124905血液エンドトキシン測定用試料作成方法
遠藤重厚, 稲田捷也, エンドトキシンと病態. へるす出版, 1995. ホームページ(InadaKatsuya)新エンドトキシンのお話http://www.asahi-net.or.jp/~CP6K-IND/index.html Peng Miao,Electrochemical sensing strategies for the detection of endotoxin: a review. RSC Advances, An international journal to further the chemical sciences. 3, 9606-9617, 2013 Olofsson P et al. Endotoxin inactivation in plasma from epstic patients: An in vitro study. World Journal of Surgery 10, 318-323, 1986 Munford RS, Sensing Gram-negative bacterial lipopolysaccharides: a human disese detarminant? Infection and Immunity 75, 454-465, 2008 Graham JM. Isolation of human polymorphonuclear leukocytes (granulocytes) from a leukocyte-rich fraction. Scientific World JOURNAL 2, 13931396. 2002
血液中エンドトキシンを測定する意義はグラム陰性菌感染症を効率良く診断することや、エンドトキシンに対する治療(エンドトキシン吸着カラムを用いた治療法など)を迅速に開始するための指標とすることである。しかし、実際には、この感染症でエンドトキシンが陽性になる率は推定された患者のうちたかだか60から70%であり、状況によってはさらに低値のこともある。従って、近年はこの手法は次第に臨床の現場での重要性が低下しつつあるのが問題である。
敗血症における血中エンドトキシンの陽性率が低いことから、エンドトキシンの測定法に問題があると云われるようになってきた。しかし、この方法におけるエンドトキシンの量依存性はきわめてよく、現行の前処理ステップにも問題点は見いだせない。発明者は敗血症患者血液中には、もともとは白血球の顆粒に含まれるエンドトキシンのアシロキシアシル脂肪酸を切断するエンドトキシン分解酵素(アシロキシアシルヒドロラーゼ;AOAH)やエンドトキシン結合蛋白(CAP−18やBactericidal/permeability−increasing protein;BPI)が存在し、これらが測定までの間にエンドトキシンを次第に不活化しているのではないかと推定した。実際測定したところ、敗血症患者のAOAH濃度は健常者より高く132.3ng/mL、n=32、健常者44.2ng/mL、n=4)であった。なお、AOAHによって大腸菌LPSのリムルス活性は30分の1から60分の1失活すると報告されている;非特許文献5)
発明者は敗血症患者の血液から得られた血漿を用いてエンドトキシンを加えて37℃で加温し、エンドトキシン量の消長を健常者血漿と比較検討を行った(図1)。すなわち、エンドトキシン(LPS)を終濃度約110pg/mLになるように健常者血漿(▲)、敗血症者血漿(◇)、80℃、10分加熱敗血症患者血漿(○)(いずれもあらかじめ10倍希釈)に加え37℃で加温し、一部を経時的にくみ取って常法通り0.02%トリトンXー100加エンドトキシンフリー水で10倍希釈し70℃、10分加熱後リムルス活性をシングルテストワコー試薬(和光純薬工業製)でエンドトキシン量を測定した。その結果、敗血症患者血漿では、健常者血漿に比較して37℃の加温でLPSの活性は急激に低下することが分かった(n=4、平均±標準偏差)。しかし、80℃で予め10分加熱した血漿を用いたところこのような減少は起こらなかった。従って患者血漿中には易熱性の(酵素と考えられる)因子が存在しLPSの活性を低下させていると推定した。
そこで、氷冷下(実測温度0℃)で同様の実験を行ったところ、加えたLPSの回収率は氷冷下では120分でも90%に達した。次に0℃と9℃および37℃で同様の実験を行った(図2)。すなわち、あらかじめ0℃、9℃、37℃に5分間加温した血症患者血漿にLPS(最終濃度100pg/mL)を加えてそれぞれ0℃、9℃、37℃で30分加温後、10倍希釈70℃、10分加熱後比濁法でLPSを定量した(n=4)(*t検定(両側、対)で有意の差あり)。その結果9℃で加温した場合は78.5%と、氷冷下での87%に比較して有意に不活化された。従て、敗血症患者血漿を氷冷すると、9℃での加温と比較して、加えたエンドトキシンが不活化されることがないことがわかった。
従って敗血症患者血漿のエンドトキシン濃度を測定する場合には採血後速やかに氷冷して不活化されないようにすべきである。しかし以上述べた現象についても大筋はすでに下記の文献に記載されている(非特許文献4)。この文献では採血後速やかに氷冷すべきであるとは銘記されていないが、血液試料の速やかな氷冷については用意に考えがおよぶ事項である。しかし、現在本邦の血液エンドトキシン測定ではこの点が周知されていない。
エンドトキシンは血液中では、感染局所からエンドトキシンあるいは菌体、菌体からこぼれた小胞体(vesicle)に取り込まれた形で存在するが、血液中では温度依存性に(体温の37℃環境で)エンドトキシンは酵素的に不活化されると考えられる。その候補として前述のAOAHが考えられる。この酵素は白血球の顆粒に含まれ、敗血症時には白血球のアポトーシス等により細胞外へ放出されたものと考えられる。、さらに白血球の顆粒に含まれる抗菌蛋白のうちエンドトキシン不活化ペプチドCAP−18やBPIなども関与している可能性がある。採血して不用意に室温などに血液を保存したり、多くの場合室温で遠心分離して血漿をえることも、体外の室温環境でもエンドトキシンは徐々に不活化されることは前述したとおりである。したがって、採血後は測定まで可能な限り氷冷すべきである。
さて、上述したように発明者はこれまで、血液中の白血球をも測定できるようにLRPを血液エンドトキシン測定法の試料とする発明を出願した(特許文献3)。その発明ではLRPを得る方法として、6%HES生理食塩水液に等量の血液を加えて室温(10℃から37℃)で15分静置して上澄みのLRPを得てエンドトキシン測定試料とするものである。上記発明では操作温度が常温であり、前述のように血中エンドトキシンは急速に不活化されていくのがここで明らかになったが、本発明では、HESやのデキストランを血液を加えて行う多白血球血漿を得る操作を氷冷下でおこなうことである。
本発明では血液凝集剤としてHESのほかにさらにデキストラン((非特許文献6)が加わった。デキストランとしては平均分子量50万の例えばデキストランT500(Pharmacosmos社製)などがある。HESもデキストランの場合も0℃でも沈降時間が室温の場合に対して少し遅延するのが特徴である。
採血から白血球を分離する過程を氷冷下で行うことの効果は、トール様受容体4を介して白血球に結合したエンドトキシンや貪食しつつあるグラム陰性菌(菌の状態でもリムルステストは陽性)が通常は温度依存性に(生体内や生体内相似の温度で)反応が進行しエンドトキシンは細胞内の顆粒中の抗菌ペプチドやAOAHによって不活化され、細菌も殺菌されていく(貪食は30分以内に開始される)。従って白血球関連のエンドトキシンも不活化の過程をたどることになる。しかし氷冷下ではこれらの反応は停止し採血時点での状態がほぼ固定化され維持されていると推定される。
得られたLRPをリムルステストでエンドトキシンを測定するには、血漿を検体とした場合と同様に、これら試料のリムルステストに対する干渉因子を除去するすなわち「前処理ステップ」を必要がある。本邦で血漿について一般用いられているのは、前述したように血漿を水あるいは0.02%トリトンX−100で10倍に希釈し70℃、10分加温する方法すなわち「希釈加熱法」である。なお、上記実験から明らかなように、加温途上で試料が9℃以上になるとエンドトキシンの不活化がおこるので、血漿を試料にした場合でもLRPを試料にした場合でも、試料を急速に加温する手法、例えば微小径の管中で行うなど試料が急速に70℃に達する手法の開発が望まれる。なお「前処理ステップ」を低温で行う方法はこれまでになく、たとえば以前に用いられていたNewPCA法では37℃で加温しないと干渉因子は除去出来ない。
本発明は、血液採取からエンドトキシン測定までの過程を氷冷下または血液細胞が破壊されない条件の過冷却の状態で行うことによって、患者血液に存在していた温度依存性にエンドトキシンを不活化する因子(前述したように酵素と考えられる)を血液採取後に作用させないようにすることにより、採血時の血液中にあったエンドトキシンを不活化させずに「前処理ステップ」直前まで維持することが出来る。さらに白血球に結合ないし内部に取り込まれたエンドトキシンも不活化されずに測定できると推定される。これまでは敗血症患者における検出率が期待するほど高くなかったが、この方法によりエンドトキシン測定法の意義が増す効果が期待される。また本発明は、リムルステスト以外の今後の新規方法にも応用できる可能性がある。
エンドトキシン(LPS)を健常者血漿、敗血症者血漿、高温加熱敗血症患者血漿に加えて37℃で加温した場合のエンドトキシンの回収実験 0℃、9℃、37℃での敗血症患者血漿へのLPS添加回収実験 氷冷あるいは室温でのLPS添加健常者血液でのLRPにおけるLPSの回収実験 LPS添加健常者血液の氷冷下での3種赤血球凝集剤を用いたLPS回収実験
本発明は、予め氷令したエンドトキシンフリーの赤血球凝集剤に患者の血液を採取したら直ちに加えて氷冷下でLRPを得るエンドトキシン測定用試料の作成方法である。採取した血液は速やかに9℃未満、好ましくは4℃まで冷却する必要がある。冷却する手段として、血液を含む注射器を保存バックなどに収納し、砕氷や氷水、9℃未満の冷媒中に押し込んで冷却する方法や、直ちに血液を冷却するために過冷却した氷水や冷媒を用いて冷却する方法もある。その場合、血液が凍結しない条件が前提であることは言うまでもない。あるいは冷却した空気等の気体を収納した装置に回路を設置しその中を通過させて冷却する方法もある。外部をあらかじめ冷却ないし過冷却した小径の管状の金属製ないしプラスチック製回路(チューブ)を通過させ直ちに冷却する方法も考えられる。なお、この場合の回路内部はエンドトキシンフリーの状態を維持しなければならない。なお、赤血球凝集剤についても上記の方法で予め冷却ないし過冷却しておく必要がある。さらに、上澄みLRPを採取して前処理スッテプに用いる0.02%トリトンX-100に加える際に用いるピペットチップもあらかじめ冷却しておく必要がある。
赤血球凝集剤のうち、HESには血漿代用剤として用いられる高分子量のもの(平均670kD),中分子量のもの(平均分子量130〜250kD)、低分子量のもの(平均分子分子量70kD)があるが、赤血球凝集能があれば分子量については特に問わないが、中分子量以上のものに凝集能があると考えられる。用いるHESの最終濃度は0.01〜10%(W/V)であり好ましくは0.1〜6%である。一般的に6%のHES生理食塩水溶液と等量の血液を混合して軽く混和して室温に静置する。粉末ないし凍結乾燥したものに血液をを加えてもよい。静置する時間は赤血球が沈降するまでの時間であり、静置する温度に影響され5分から30分程度であるが氷冷下では遅延する。ただし時間経過とともに白血球も沈降しいわゆるBuffyCoatの状態になって赤血球層の上層には白血球層が形成され、採取が困難になるので、加温時間は赤血球が沈降したら直ちに上層のLRP層全体を採取するのが好ましい。HESにエンドトキシンが検出される場合は121℃で2時間密閉ガラス容器で高圧蒸気滅菌し、エンドトキシン濃度が比濁時間分析法(和光純薬工業)で検出限界以下(0.04pg/ml以下)であることを確認して用いる。
氷冷下でLRPを得る方法として、デキストランを用いることもできる。例えば分子量が50万のデキストランT500の生理食塩水溶液を用いる。最終濃度は0.01からで6%溶液(W/V)であり、好ましくは0.05から3%である。粉末ないし凍結乾燥したものに血液を加えて当該濃度としてもよい。デキストランT500は121℃で2時間密閉ガラス容器で高圧蒸気滅菌し、エンドトキシン濃度が比濁時間分析法(和光純薬工業)で検出限界以下(0.04pg/ml以下)であることを確認して用いる。この方法では得られた上澄み中の血液白血球の収量はもとの血液の90%以上である。
血液には抗凝固剤を加えるが、リムルステストに適した一般的な抗凝固剤が用いられる。例えばヘパリンをリムルステストに影響を与えない濃度で加えてもよい。この場合、ヘパリンの終濃度は10〜100units/mLにすることが好ましい。
血漿の「前処理ステップ」すなわち「希釈加熱法」では、最初に10倍に希釈するのは、その後の加熱操作で試料の加熱による凝固を起こさないためにあらかじめトリトンXー100を0.02%含む水(和光純薬工業)で10倍に希釈する操作である。従来の血漿に用いる加熱処理は「前処理ステップ」であり干渉因子の除去により結果的にエンドトキシンの回収率を向上させる目的で行うが、試料がLRPの場合、さらに白血球の破壊の操作を兼ねても良い。その場合その希釈の程度も10倍にこだわらず、希釈することによりエンドトキシン濃度が低下して測定感度以下になることがなければそれ以上の希釈を行ってもかまわない。また、加熱時間も5分から15分、加熱温度は60℃から100℃程度が望ましい。白血球の破壊が加熱によって十分に行われないときは別の方法で白血球を破壊する操作を加えても良い。すなわちボルテックスミキサーで撹拌する時間を強くしたり時間を延長する「物理的破壊法」もよい。さらに「超音波破壊法」や「凍結融解法」も適用できる。
「物理的破砕方法」は、前記試料に物理的な外力を加えて、白血球を破壊する方法である。物理的破砕処理は、ボルテックスミキサーのほかホモジナイザー等の装置を用いてもよい。当該方法における外力の強さは、白血球の細胞膜を破壊できるが、エンドトキシンを破壊しない範囲であればよい。
「超音波破壊方法」は、前記試料に超音波を加えることによって、超音波の振動で白血球の細胞膜を破壊し、細胞内容物を溶出させる方法である。超音波処理は超音波細胞破砕機(ソニケーター)等の装置を用いて行ってもよい。当該方法における超音波の強さは、白血球の細胞膜を破壊できるが、エンドトキシンを破壊しない範囲であればよく、血液の分量や超音波の発振出力、発信時間によって適宜調節すればよい。
「凍結融解方法」は、前記試料を液体窒素中やドライアイス中で急速凍結した後に9℃未満好ましくは4℃以下で融解する操作を行うことによって血液中の白血球を破壊する方法である。急速凍結による細胞内水分の結晶化による体積膨張と、その後の結晶融解によって細胞膜を破壊する原理に基づくものである。凍結融解の操作は、前記成分血液中の白血球が十分に破壊されるまで複数回繰り返してもよい。
これらの白血球破壊操作は9℃未満好ましくは4℃以下の氷冷下ないし過冷却下で行うことはいうまでもない。
リムルステストの方法としては、一般に行われている方法例えば、ゲル化法、発色合成基質法、比濁時間分析法、エンドトキシン光散乱法などであれば特に限定されない。また、この際に用いるカブトガニ血球抽出液は、通常のエンドトキシンの測定に使用できるもの、例えば和光純薬工業社、生化学工業社、ロンザ社などの市販品であったり、リムルス(Limulus)属、タキプレウス(TachypleusT)属あるいはカルシノスコルピウス(Carcinoscorpius)属のカブトガニの血球から抽出されたものであれば特に限定されない。また、リムルステスト以外に新規測定法が開発されても本発明の手法は応用可能である。
この試料作成法は、リムルステストを用いたβ−Dーグルカンの測定にも使用しても良い。
この方法は、一般に血液以外にも、赤血球を含むヒト生体由来の試料例えば臍帯血、骨髄細胞、体液、髄液、尿などのエンドトキシンを検出する場合に赤血球を除く目的で用いてもよい。これらはヒト以外でも赤血球凝集が効果を示す動物の血液等にも応用できる。
本発明の実施に用いる器具や水、試薬、赤血球凝集剤、等は全てエンドトキシ・フリーのもの、あるいはエンドトキシン測定結果に影響を及ぼさない程度の極めて微量しかエンドトキシンを含有していないものを使用することを前提とする。あらかじめエンドトキシンが混入していることが分かった場合は、それをガラス容器に入れて密栓して121℃、2時間オートクレーブし、下記の方法でエンドトキシンの量が検出限界以下(約0.04pg/mL)になっていることを確認した。なお、水は大塚製薬の注射用蒸留水をエンドトキシンフリーであることを確認してから用いた。LPS(大腸菌O111:B4由来、シグマ社製)をmg/mlの濃度に燐酸緩衝生理食塩水(PBS)に浮遊させ、ボルテックスミキサーおよび超音波発生器(トミー精工社製)の振動子で十分に浮遊させて少量に分注し、−80℃に保管し、使用前に溶解しPBSで所定の濃度に希釈して実験に用いた。赤血球凝集剤として、デキストランとHESを用いた。デキストランT500(Pharmacosmos社製)は生理食塩水で6%(W/V)になるように溶解し、密栓して121℃、2時間オートクレーブした。HESはタカラバイオ社製6%生理食塩水溶液またはボルベン輸液6%(大塚製薬)を用いた。前者はあらかじめ上記手法でオートクレーブしてエンドトキシンフリーとした。これらのエンドトキシン量はあらかじめ水で10倍に希釈したのちリムルス試薬で測定し検出限界以下であることを確認した。リムルス試薬としてシングルテストワコー(和光純薬工業株式会社)を使用しトキシノメーターMTー5500(和光純薬)を用いて測定した。さらに血液やLRPの採取に用いるピペットチップはエンドトキシンフリーのもの(和光純薬工業製)を用いた。
図3参照のこと。あらかじめ氷冷したあるいは室温(約24℃)に5分以上静置した健常者血液1mLにLPSを終濃度100pgまたは400pgになるように加えて混和し、それぞれにそれぞれの温度で平衡した333μLの6%デキストランT500を加えて(血液量の1/3量)、氷冷下あるいは常温で加温しその100μLをくみ取って900μLの0.02%トリトンX−100水溶液(和光純薬製)で10倍希釈し、ボルテックスミキサーで約20から30秒間撹拌しその200μLを用いてリムルス活性を調べた。その結果、図3に示すように、0℃で加温しデキストランでLRPを採取してエンドトキシン量は約100%回収できたが、室温加温下でのLRP採取した場合のエンドトキシン量は明らかに低下した。なお、ヘマトクリットが50%として、得られた値を1.67倍して多白血球血漿1mLあたりの値とした。
図4参照のこと。ヘパリンを加えて採取したヒト健常者血液をO℃、または室温で平衡下し、そこにLPSを150pg/ml添加し、各温度で30分加温し、そこにタカラバイオ製とボルベンの2種のHESと、デキストランT500を血液の1/2量加えてそれぞれの温度で加温し、15ないし30分後にLRPを得てリムルス活性を調べた。その結果、デキストランT500の場合もっともエンドトキシンの回収量が優れていた。
広範囲熱傷患者の治療中に皮膚感染巣から敗血症になった患者の血液を採取後直ちに氷冷した。もう一方は室温に放置した。両者の血液について、氷冷および室温平衡化したデキストランT500を血液量の1/3量加えて20分放置した。その上澄(LRP)を試料としてエンドトキシンを測定した。すなわち各試料を100μL、900μLの前処理液(和光純薬工業)に加えて70℃、10分加熱し、氷冷してからボルテックスミキサーで撹拌してからその200μLを凍結乾燥してあるエンドトキシンシングルテストワコーに加えて溶解し、トキシノメーター(和光純薬工業)にセットしエンドトキシンを測定した。あらかじめ標準エンドトキシンを用いて検量線を入力してあり、測定値がpg/mLで得られる。前処理ステップでの10倍希釈、さらにヘマトクリット値50%を加味して、得られた値を17倍希釈して最終エンドトキシン濃度を算出した。その結果、室温保存試料のエンドトキシン値は2.2pg/mL、氷冷した試料では9.6pg/mlと約4.4倍高値であった。
本発明は、遠心分離の操作を含まず簡便な操作により実施可能で、かつエンドトキシンの回収率の良好な、リムルステストの測定用試料前処理方法を提供する。血液中のエンドトキシン測定を妨げてきた赤血球を容易に除去でき、かつ白血球関連のエンドトキシンをも迅速に測定できることにより、速やかな治療方針の確立のために緊急性を要する敗血症や敗血症性ショックの診断に寄与することができる。この発明は臨床医学に貢献すること大であると考える。

Claims (9)

  1. 採取した血液を9℃未満、好ましくは4℃以下に急速に冷却し、冷却下で多白血球血漿採取の操作することを特徴とする試料調整法。
  2. 9℃未満、好ましくは4℃以下に急速に冷却する方法であって、砕氷や氷水、冷媒等を用いて血液を収納した容器や血液を通過させる管状の回路の外側から冷却することを特徴とする請求項1の方法。
  3. 血液細胞の破壊を来さないことを条件として、血液の処理温度を0℃以下の過冷却状態で操作することを特徴とする請求項1〜2に記載した多白血球血漿の調整方法。
  4. あらかじめ9℃未満、好ましくは4℃以下に冷却あるいは過冷却した赤血球凝集剤を、あらかじめ9℃未満、好ましくは4℃以下に冷却あるいは過冷却した血液と混合して9℃未満、好ましくは4℃以下に冷却あるいは過冷却状態で静置してその上澄みすなわち多白血球血漿をえることを特徴とする請求項1〜3に記載の多白血球血漿の調整方法。
  5. 赤血球凝集剤がヒドロキシエチル澱粉であって血液に加えた際の最終濃度が0.01から10%であり、好ましくは0.1から6%である、請求項1〜4に記載の多白血球血漿の調整方法。
  6. 赤血球凝集剤がデキストランであって血液に加えた際の最終濃度が0.01ないし6%であり好ましくは0.05ないし3%である請求項1〜4に記載の多白血球血漿の調整方法。
  7. 赤血球凝集剤はエンドトキシンフリーであり、カブトガニの血球成分とエンドトキシンの反応を阻害あるいは促進しない性質をもつ請求項1から6に記載のエンドトキシン測定用多白血球血漿調整液。
  8. 試料がヒト由来であって血液のほか、臍帯血、骨髄液、腹水液または胸水液から選択される、請求項1〜7項に記載の多白血球血漿の調整方法。
  9. エンドトキシンやベータグルカンに反応する従来からのリムルステスト、およびそれぞれに特異的な測定法、さらに特にそれらに限定されないエンドトキシン測定法に適応される請求項1〜8に記載の多白血球血漿の調整方法。
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