JP2017128707A - 硬化性シリコーン樹脂組成物およびその硬化物、並びにこれらを用いた光半導体装置 - Google Patents

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亘 河合
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勝宏 秋山
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佑 松野
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Abstract

【課題】封止材用途において十分な耐久性を有し、低粘度の硬化性シリコーン樹脂組成物、その硬化物、およびこれらを用いた光半導体装置を提供する。
【解決手段】
下記(A)成分、(B)成分および(C)成分を少なくとも含む、硬化性シリコーン樹脂組成物。
(A)成分: 下記式[1]で示され、粘度が10,000cP以下である、所定のシリコーン樹脂、
(B)成分: 下記式[2]で示され、粘度が10,000cP以下である、所定のシリコーン樹脂、
(C)成分: ヒドロシリル化触媒。
【選択図】図1

Description

本発明は、発光ダイオードなどの光半導体素子の封止材の原料、接着剤の原料として好適に用いることができる硬化性シリコーン樹脂組成物およびその硬化物、並びにこれらを用いた光半導体装置に関する。
発光ダイオード(略称:LED)などの光半導体素子を利用した発光装置の封止材には、シリコーン樹脂組成物などの硬化物が用いられる。例えば、H−Si基とアルケニル基との付加反応(ヒドロシリル化反応)を利用する付加硬化型シリコーン樹脂組成物を原料とし、これを硬化させて封止材として用いることが報告されている(特許文献1、特許文献2)。
このような封止材を用いて発光装置を封止する際には、一般的に、ディスペンサーなどによるポッティング成形が行われる。このとき、高粘度の樹脂組成物を用いると、作業中に糸を引いてしまい、封止作業に労力を要することがある。そのため、作業効率を向上させるには、硬化前のシリコーン樹脂組成物は低粘度であることが好ましい。
一般的に、シリコーン樹脂組成物の中でも分岐構造を多く有するシリコーン樹脂組成物は、良好な硬化物性を有し、白色LED封止材用途に要求される耐久性を有する場合が多い。しかしながら、シリコーン樹脂組成物は、分子中に分岐構造を多く有するほど高粘度となることが多い。
最近では、このようなシリコーン樹脂組成物を低粘度化するために、低粘度の長鎖シリコーン(例えばポリジメチルシリコーン)を少量添加することで、組成物全体としての低粘度化が図られている。しかしながら、長鎖シリコーンを添加剤として用いると、シリコーン樹脂組成物において、分子構造内の架橋密度が低下することが多い。その結果、シリコーン樹脂が外力によって破壊されやすくなり、封止材としての機能が損なわれることがある。
このように、近年のLED封止材においては、封止材用途において十分な耐久性を有し、低粘度であるシリコーン樹脂組成物が望まれている。
特開2000−198930号公報 特開2014−159561号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、低粘度の硬化性シリコーン樹脂組成物、封止材用途において十分な耐久性を有するその硬化物、およびこれらを用いた光半導体装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行った。その結果、所定の硬化性シリコーン樹脂組成物を用いることにより、上記目的を達成することができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の各発明を含む。
[発明1]
下記(A)成分、(B)成分および(C)成分を少なくとも含む、硬化性シリコーン樹脂組成物。
(A)成分: 下記式[1]で示され、粘度が10,000cP以下である、シリコーン樹脂、
(B)成分: 下記式[2]で示され、粘度が10,000cP以下である、シリコーン樹脂、
(C)成分: ヒドロシリル化触媒。
Figure 2017128707
(式[1]中、Meはメチル基を示し、Phはフェニル基を示し、a、b、cおよびdはそれぞれ0超、1未満の数であり、a+b+c+d=1を満たし、(H−SiMe1/2)、(MeSiO2/2)、(PhSiO3/2)および(SiO4/2)で表される構造単位における酸素原子はそれぞれ、シロキサン結合を形成している酸素原子、またはシラノール基を形成している酸素原子を示す。
式[2]中、Viはビニル基を示し、Meはメチル基を示し、Phはフェニル基を示し、e、f、gおよびhはそれぞれ0超、1未満の数であり、e+f+g+h=1を満たし、(Vi−SiMe1/2)、(MeSiO2/2)、(PhSiO3/2)および(SiO4/2)で表される構造単位における酸素原子はそれぞれ、シロキサン結合を形成している酸素原子、またはシラノール基を形成している酸素原子を示す。)
[発明2]
(A)成分のaの値が0.05〜0.40であり、bの値が、0.10〜0.80であり、cの値が、0.10〜0.80であり、dの値が、0.0005〜0.40である、発明1に記載の組成物。
[発明3]
(B)成分のeの値が0.05〜0.40であり、fの値が、0.10〜0.80であり、gの値が、0.10〜0.80であり、hの値が、0.0005〜0.40である、発明1または2に記載の組成物。
[発明4]
(A)成分の質量平均分子量が500〜10,000である、発明1乃至3のいずれか一に記載の組成物。
[発明5]
(B)成分の質量平均分子量が500〜10,000である、発明1乃至4のいずれか一に記載の組成物。
[発明6]
(A)成分および(B)成分の含有割合が、(A)成分に含有されるH−Si基のモル数/(B)成分に含有されるVi−Si基のモル数の比で表して1〜4である、発明1乃至5のいずれか一に記載の組成物。
[発明7]
硬化遅延剤、酸化防止剤、光安定剤、接着付与剤、蛍光体、無機粒子、離型剤、樹脂改質剤、着色剤、希釈剤、抗菌剤、防黴剤、レベリング剤およびタレ防止剤からなる群より選ばれる少なくとも一種をさらに含む、発明1乃至6のいずれか一に記載の組成物。
[発明8]
発明1乃至7のいずれか一に記載の組成物を硬化してなる硬化物。
[発明9]
発明8に記載の硬化物で、半導体素子が少なくとも封止された半導体装置。
[発明10]
下記式[1]で示され、粘度が10,000cP以下である、シリコーン樹脂。
Figure 2017128707
(式[1]中、Meはメチル基を示し、Phはフェニル基を示し、a、b、cおよびdはそれぞれ0超、1未満の数であり、a+b+c+d=1を満たし、(H−SiMe1/2)、(MeSiO2/2)、(PhSiO3/2)および(SiO4/2)で表される構造単位における酸素原子はそれぞれ、シロキサン結合を形成している酸素原子、またはシラノール基を形成している酸素原子を示す。)
[発明11]
下記式[2]で示され、粘度が10,000cP以下である、シリコーン樹脂。
Figure 2017128707
(式[2]中、Viはビニル基を示し、Meはメチル基を示し、Phはフェニル基を示し、e、f、gおよびhはそれぞれ0超、1未満の数であり、e+f+g+h=1を満たし、(Vi−SiMe1/2)、(MeSiO2/2)、(PhSiO3/2)および(SiO4/2)で表される構造単位における酸素原子はそれぞれ、シロキサン結合を形成している酸素原子、またはシラノール基を形成している酸素原子を示す。)
[発明12]
下記(A)成分、(B)成分および(C)成分を少なくとも調合する、硬化性シリコーン樹脂組成物の製造方法。
(A)成分: 少なくとも下記第1工程〜第3工程を含む方法によって得られる、粘度が10,000cP以下である、シリコーン樹脂、
(B)成分: 少なくとも下記第4工程を含む方法によって得られる、粘度が10,000cP以下である、シリコーン樹脂、
(C)成分: ヒドロシリル化触媒。
第1工程: 下記一般式[3]で示されるジアルコキシシランと下記一般式[4]で示されるトリアルコキシシランとを反応させて第1の加水分解重縮合物を得る工程。
第2工程: 第1の加水分解重縮合物と下記一般式[5]で示されるテトラアルコキシシランとを強酸条件下で反応させて第2の加水分解重縮合物を得る工程。
第3工程: 第2の加水分解重縮合物と、下記一般式[6]、[7]または[8]で示されるシラン化合物とを強酸条件下で反応させることにより、(A)成分を得る工程。
Figure 2017128707
(式[3]中、Meはメチル基を示し、Rは、炭素数1〜3のアルキル基を示し、2つのRは互いに同じまたは異なる種類であってもよく、式[4]中、Phはフェニル基を示し、Rは、炭素数1〜3のアルキル基を示し、3つのRは互いに同じまたは異なる種類であってもよく、式[5]中、Rは、炭素数1〜3のアルキル基を示し、4つのRは互いに同じまたは異なる種類であってもよく、式[6]〜式[8]中、Meはメチル基を示し、式[7]中、Rは、炭素数1〜3のアルキル基を示す。)
第4工程: 上記第2の加水分解重縮合物と、下記一般式[9]、[10]または[11]で示されるシラン化合物とを強酸条件下で反応させることにより、(B)成分を得る工程。
Figure 2017128707
(式[9]〜式[11]中、Viはビニル基を示し、Meはメチル基を示し、式[10]中、Rは、炭素数1〜3のアルキル基を示す。)
[発明13]
下記第1工程〜第3工程を少なくとも含む、粘度が10,000cP以下である、シリコーン樹脂の製造方法。
第1工程: 下記一般式[3]で示されるジアルコキシシランと下記一般式[4]で示されるトリアルコキシシランとを反応させて第1の加水分解重縮合物を得る工程。
第2工程: 第1の加水分解重縮合物と下記一般式[5]で示されるテトラアルコキシシランとを強酸条件下で反応させて第2の加水分解重縮合物を得る工程。
第3工程: 第2の加水分解重縮合物と、下記一般式[6]、[7]または[8]で示されるシラン化合物とを強酸条件下で反応させることにより、粘度が10,000cP以下である、シリコーン樹脂を得る工程。
Figure 2017128707
(式[3]中、Meはメチル基を示し、Rは、炭素数1〜3のアルキル基を示し、2つのRは互いに同じまたは異なる種類であってもよく、式[4]中、Phはフェニル基を示し、Rは、炭素数1〜3のアルキル基を示し、3つのRは互いに同じまたは異なる種類であってもよく、式[5]中、Rは、炭素数1〜3のアルキル基を示し、4つのRは互いに同じまたは異なる種類であってもよく、式[6]〜式[8]中、Meはメチル基を示し、式[7]中、Rは、炭素数1〜3のアルキル基を示す。)
[発明14]
下記第1工程、第2工程および第4工程を少なくとも含む、粘度が10,000cP以下である、シリコーン樹脂の製造方法。
第1工程: 下記一般式[3]で示されるジアルコキシシランと下記一般式[4]で示されるトリアルコキシシランとを反応させて第1の加水分解重縮合物を得る工程。
第2工程: 第1の加水分解重縮合物と下記一般式[5]で示されるテトラアルコキシシランとを強酸条件下で反応させて第2の加水分解重縮合物を得る工程。
第4工程: 第2の加水分解重縮合物と、下記一般式[9]、[10]または[11]で示されるシラン化合物とを強酸条件下で反応させることにより、粘度が10,000cP以下である、シリコーン樹脂を得る工程。
Figure 2017128707
(式[3]中、Meはメチル基を示し、Rは、炭素数1〜3のアルキル基を示し、2つのRは互いに同じまたは異なる種類であってもよく、式[4]中、Phはフェニル基を示し、Rは、炭素数1〜3のアルキル基を示し、3つのRは互いに同じまたは異なる種類であってもよく、式[5]中、Rは、炭素数1〜3のアルキル基を示し、4つのRは互いに同じまたは異なる種類であってもよく、式[9]〜式[11]中、Meはメチル基を示し、Viはビニル基を示し、式[10]中、Rは、炭素数1〜3のアルキル基を示す。)
本明細書において、Viはビニル基(CH=CH基)を示し、Meはメチル基を示し、Etはエチル基を示し、Phはフェニル基を示す。
本発明によれば、低粘度の硬化性シリコーン樹脂組成物、封止材用途において十分な耐久性を有するその硬化物、およびこれらを用いた光半導体装置を提供することができる。
本発明の光半導体装置の一例を示す概略断面図である。
以下、本発明についてさらに詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[1.硬化性シリコーン樹脂組成物]
本発明の硬化性シリコーン樹脂組成物(以下、「本発明の組成物」と称することがある。)は、(A)〜(C)成分を少なくとも含む。以下、本発明の組成物に含まれる各成分について説明する。
<(A)成分>
(A)成分は、下記式[1]で示され、粘度が10,000cP以下である、シリコーン樹脂である。
Figure 2017128707
上記式[1]中、a、b、cおよびdはそれぞれ0超、1未満の数であり、a+b+c+d=1を満たす。
(H−SiMe1/2)、(MeSiO2/2)、(PhSiO3/2)および(SiO4/2)で表される構造単位における酸素原子はそれぞれ、シロキサン結合を形成している酸素原子、またはシラノール基を形成している酸素原子を示す。
式[1]中、aの値、bの値、cの値およびdの値はそれぞれ0超、1未満の範囲内であり、a+b+c+d=1を満たせば、特に限定されない。aの値は0.05〜0.40であることが好ましく、0.10〜0.30であることが好ましい。bの値は、0.10〜0.80が好ましく、0.10〜0.40が特に好ましい。cの値は、0.10〜0.80が好ましく、0.30〜0.60が特に好ましい。dの値は、0.0005〜0.40が好ましく、0.005〜0.30が特に好ましい。aおよびb、c、dの値が先述の範囲であれば本発明の組成物および硬化体は、良好な成形性、良好な機械的強度を有する。
なお、aの値、bの値、cの値およびdの値は、核磁気共鳴装置を用いて式[1]で示されるシリコーン化合物の29Si−NMRスペクトルとH−NMRスペクトルを測定し、これらを用いて算出する。
式[1]中、(MeSiO2/2)で表される構造単位は、下記式[1−2]で表される構造、すなわち、(MeSiO2/2)で表される構造単位中のケイ素原子に結合した酸素原子の1つがシラノール基を形成している構造を含んでいてもよい。
Figure 2017128707
(MeSiO2/2)で表される構造単位は、下記式[1−b]で表される構造単位の破線で囲まれた部分を含み、さらに下記式[1−2−b]で表される構造単位の破線で囲まれた部分を含んでいてもよい。すなわち、Meで表される基(メチル基)を有し、かつヒドロキシ基が末端に残存してケイ素原子とシラノール基を形成している構造単位も、(MeSiO2/2)で表される構造単位に含まれる。また、下記式[1−b]、[1−2−b]で表される構造単位において、Si−O−Si結合中の酸素原子は、隣接するケイ素原子とシロキサン結合を形成しており、隣接する構造単位と酸素原子を共有している。従って、Si−O−Si結合中の1つの酸素原子を「O1/2」とする。
Figure 2017128707
式[1]中、(PhSiO3/2)で表される構造単位は、下記式[1−2]で表される構造または式[1−3]で表される構造、すなわち、(PhSiO3/2)で表される構造単位中のケイ素原子に結合した酸素原子の2つがそれぞれシラノール基を形成している構造、または(PhSiO3/2)で表される構造単位中のケイ素原子に結合した酸素原子の1つがシラノール基を形成している構造を含んでいてもよい。
Figure 2017128707
式[1]中、(PhSiO3/2)で表される構造単位は、下記式[1−c]で表される構造単位の破線で囲まれた部分を含み、さらに下記式[1−3−c]または[1−4−c]で表される構造単位の破線で囲まれた部分を含んでいてもよい。すなわち、Phで表される基(フェニル基)を有し、かつヒドロキシ基が末端に残存してケイ素原子とシラノール基を形成している構造単位も、(PhSiO3/2)で表される構造単位に含まれる。
Figure 2017128707
式[1]中、(SiO4/2)で表される構造単位は、下記式[1−d]で表される構造単位の破線で囲まれた部分を含み、さらに下記式[1−5−d]、[1−6−d]または[1−7−d]で表される構造単位の破線で囲まれた部分を含んでいてもよい。すなわち、ヒドロキシ基が末端に残存してケイ素原子とシラノール基を形成している構造単位も、(SiO4/2)で表される構造単位に含まれる。
Figure 2017128707
(A)成分の粘度は、標準状態(25℃、1気圧)において10,000cP(センチポイズ)以下であれば特に限定されない。取扱作業性の観点から、7,000cP以下であることが好ましい。下限値は特に制限されず、粘度が低いほど、得られる本発明の組成物を低粘度化することが可能となり、ひいては、半導体装置の封止作業が容易となるので好ましい。(A)成分の粘度は、標準状態(25℃、1気圧)において0cP超10,000cP以下であってもよく、0cP超7,000以下が好ましい。
ここで、(A)成分の粘度は回転粘度計などにより測定する。具体的には、JIS Z8803(2011)における「円すい−板形回転粘度計による粘度測定方法」に従い、回転粘度計(ANTON PAAR製、品名:PHYSICA MCR51、測定範囲200〜1,000,000cP)と温度制御ユニット(ANTON PAAR製、品名:P−PTD200)を使用して、標準状態(25℃、1気圧)においてせん断速度30[1/s]で測定し、測定開始から1分後に得られた値を(A)成分の粘度とする。
(A)成分はケイ素原子に結合する水素原子(H−Si基)を少なくとも含有し、その量は特に限定されない。一分子中に2個以上含有することが好ましい。良好な硬化物が得られることから、0.5〜4.0mmol/gであることが特に好ましい。
(A)成分の質量平均分子量は、特に限定されない。500〜10,000が好ましく、さらに好ましくは、800〜7,000である。質量平均分子量が500以上であれば本発明の硬化物は良好な樹脂強度を有し、10,000以下であれば本発明の組成物は良好な成形性を有する。
ここで、質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(略称:GPC)法により測定し、標準ポリスチレン検量線により換算して得られる値である(本明細書において、以下同じ。)。
(A)成分に含有されるHO−Si基の量は特に限定されない。0.5〜4.5mmol/gが好ましく、1.0〜3.5mmol/gが特に好ましい。HO−Si基の含有量が4.5mmol/gを超えると、硬化物に気泡が観測されることがある。
<(B)成分>
(B)成分は、下記式[2]で示され、粘度が10,000cP以下である、シリコーン樹脂である。
Figure 2017128707
上記式[2]中、e、f、gおよびhはそれぞれ0超、1未満の数であり、e+f+g+h=1を満たす。
(Vi−SiMe1/2)、(MeSiO2/2)、(PhSiO3/2)および(SiO4/2)で表される構造単位における酸素原子はそれぞれ、シロキサン結合を形成している酸素原子、またはシラノール基を形成している酸素原子を示す。
式[2]中、eの値、fの値、gの値およびhの値はそれぞれ0超、1未満の範囲内であり、e+f+g+h=1を満たせば、特に限定されない。
eの値は0.05〜0.40であることが好ましく、0.10〜0.30であることが好ましい。
fの値は、0.10〜0.80が好ましく、0.10〜0.40が特に好ましい。
gの値は、0.10〜0.80が好ましく、0.30〜0.60が特に好ましい。
hの値は、0.001〜0.40が好ましく、0.05〜0.30が特に好ましい。
eおよびf、g、hの値が先述の範囲であれば本発明の組成物および硬化体は、良好な成形性、良好な機械的強度を有する。
なお、eの値、fの値、gの値およびhの値は、核磁気共鳴装置を用いて式[2]で示されるシリコーン化合物の29Si−NMRスペクトルとH−NMRスペクトルを測定し、これらを用いて算出する。
式[2]中、(MeSiO2/2)で表される構造単位は、上記[1]中の(MeSiO2/2)で表される構造単位と同義であり、(PhSiO3/2)で表される構造単位は、上記[1]中の(PhSiO3/2)で表される構造単位と同義であり、(SiO4/2)で表される構造単位は、上記[1]中の(SiO4/2)で表される構造単位と同義である。
(B)成分の粘度は、標準状態(25℃、1気圧)において10,000cP(センチポイズ)以下であれば特に限定されない。取扱作業性の観点から、7,000cP以下であることが好ましい。下限値は特に制限されず、粘度が低いほど、得られる本発明の組成物を低粘度化することが可能となり、ひいては、半導体装置の封止作業が容易となるので好ましい。(B)成分の粘度は、標準状態(25℃、1気圧)において0cP超10,000cP以下であってもよく、0cP超7,000以下が好ましい。
ここで、(B)成分の粘度は(A)成分の粘度と同様の方法により測定する。
(B)成分はケイ素原子に結合するビニル基(Vi−Si基)を少なくとも含有し、その量は特に限定されない。一分子中に2個以上含有することが好ましい。良好な硬化物が得られることから、0.5〜4.0mmol/gであることが特に好ましい。
(B)成分の質量平均分子量は、特に限定されない。500〜10,000が好ましく、さらに好ましくは、800〜7,000である。質量平均分子量が500以上であれば本発明の硬化物は良好な樹脂強度を有し、10,000以下であれば本発明の組成物は良好な成形性を有する。
(B)成分に含有されるHO−Si基の量は特に限定されない。0.5〜6.0mmol/gが好ましく、1.0〜3.5mmol/gが特に好ましい。HO−Si基の含有量が6.0mmol/gを超えると、硬化物に気泡が観測されることがある。
<(C)成分>
(C)成分であるヒドロシリル化触媒は、後述する(A)成分中のH−Si基と(B)成分中のVi−Si基とのヒドロシリル化反応(付加硬化反応)を促進するために配合される。
(C)成分の種類は上記ヒドロシリル化反応を促進させるものであれば特に限定されない。白金系触媒、ロジウム系触媒およびパラジウム系触媒からなる群より選ばれる少なくとも1種類以上を用いることが好ましい。中でも、封止材の透明性を高くすることができるため、白金系触媒を用いることが特に好ましい。
この白金系触媒としては、白金粉末、塩化白金酸、塩化白金酸等の白金成分とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体、白金−アルケニルシロキサン錯体、白金−カルボニル錯体などが挙げられる。白金−カルボニルビニルメチル錯体、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体(カーステッド触媒)、白金−シクロビニルメチルシロキサン錯体、白金−オクチルアルデヒド錯体、白金−ホスフィン錯体、ジカルボニルジクロロ白金などが挙げられる。
中でも、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体、白金−シクロビニルメチルシロキサン錯体などが好ましい。
<その他の添加物>
本発明の組成物には、上記(A)〜(C)成分に加えて、その他の添加物を配合させてもよい。
((D)成分:硬化遅延剤)
その他の添加物としては、例えば、本発明の組成物には、当該組成物の保存安定性・取扱作業性を向上させること、硬化過程でのヒドロシリル化反応性を調整することなどを目的として、硬化遅延剤(以下、(D)成分と称することがある)を配合してもよい。
本発明の組成物は、比較的低温で硬化物とすることができるため、熱に弱い光半導体部材への塗布・封止に好適に採用することができる。一方で、塗布・封止の作業環境によっては、本発明の組成物の保存経時安定性や取扱作業性の観点から、硬化速度を調整するために硬化遅延剤を配合することが好ましいこともある。
(D)成分の種類としては、(C)成分に対して硬化遅延効果を有する化合物であれば特に限定されない。従来公知の硬化遅延剤を用いることができ、例えば、脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、窒素含有化合物、有機硫黄化合物、有機過酸化物などが挙げられる。これらの化合物は単種類を用いてもよいし、複数種類を併用してもよい。
本発明の組成物における(D)成分の含有量は、特に限定されない。通常、組成物に含有される(C)成分中の白金原子1当量に対して、硬化遅延剤を20〜200当量添加すればよい。硬化遅延剤による硬化遅延効果の度合は、その硬化遅延剤の化学構造によって異なる。したがって、使用する硬化遅延剤の種類によって、その配合量を最適な量に調整することが好ましい。最適な量の硬化遅延剤を添加することにより、本発明の組成物は室温(特に加熱または冷却しない雰囲気温度を言い、通常、15〜30℃である。以下同じ。)での長期貯蔵安定性及び加熱硬化性に優れたものとなる。
((E)成分:接着付与剤)
本発明の組成物には、その接着性を向上させることを目的として、上述した(A)〜(C)成分に加えて接着付与剤(以下、(E)成分と称することがある)を配合してもよい。
(E)成分の種類としては、従来公知のシランカップリング剤やその加水分解縮合物等を用いることができ、例えば、エポキシ基含有シランカップリング剤、(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤、イソシアネート基含有シランカップリング剤、イソシアヌレート基含有シランカップリング剤、アミノ基含有シランカップリング剤、メルカプト基含有シランカップリング剤などが挙げられる。これらは単種類を用いてもよいし、複数種類を併用してもよい。
本発明の組成物における(E)成分の含有量は、特に限定されない。(A)〜(C)成分の合計質量に対して1〜20質量%配合することが好ましく、5〜15質量%が特に好ましい。
((F)成分:酸化防止剤)
硬化物の着色、酸化劣化などの発生を抑えるために、本発明の組成物に酸化防止剤(以下、(F)成分と称することがある)を添加してもよい。
(F)成分の種類としては、従来公知の酸化防止剤を用いることができ、例えば、フェノール系酸化防止剤、チオエーテル系酸加防止剤、リン系酸化防止剤などが挙げられる。中でも、フェノール系酸化防止材、チオエーテル系酸化防止剤が好ましく、チオエーテル系酸化防止剤が特に好ましい。これらの酸化防止剤は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物における(F)成分の含有量は、本発明の硬化物の透明性などの特徴を損なわない範囲で、かつ酸化防止剤としての有効量であれば特に限定されない。(A)〜(C)成分の合計質量に対して0.001〜2質量%配合してもよく、0.01〜1質量%配合することが好ましい。この範囲内であれば、酸化防止能力が十分発揮されるため、着色、白濁、酸化劣化などの発生を抑制しつつ、かつ工学的特性に優れた硬化物を得ることができる。
((G)成分:光安定剤)
太陽光線、蛍光灯などの光エネルギーによる光劣化に抵抗性を付与するために、本発明の組成物に光安定剤(以下、(G)成分と称することがある。)を添加してもよい。
(G)成分の種類としては、従来から公知の光安定剤を用いることができる。中でも、光酸化(光劣化)で生成するラジカルを捕捉するヒンダードアミン系安定剤が好適に用いられ、前述の(F)成分と併用することで、酸化防止効果をより向上させることもできる。
本発明の組成物における(G)成分の配合量は、本発明の硬化物の透明性などの特徴を損なわない範囲で、かつ光安定剤としての有効量であれば特に限定されない。(A)〜(C)成分の合計質量に対して0.01〜5質量%配合してもよく、0.05〜0.5質量%配合することが好ましい。
((H)成分:蛍光体)
本発明の組成物には、任意の成分として、蛍光体(以下、(H)成分と称することがある。)を配合してもよい。
(H)成分の種類としては従来公知のものを用いることができる。例えば、発光ダイオード(LED)に広く利用されている、酸化物系蛍光体、酸窒化物系蛍光体、窒化物系蛍光体、硫化物系蛍光体、酸硫化物系蛍光体などからなる、黄色、赤色、緑色、青色発光蛍光体が挙げられる。
(H)成分の配合量は、本発明の硬化物の透明性などの特徴を損なわない範囲で、かつ蛍光体としての有効量であれば特に限定されない。(A)〜(C)成分の合計質量に対して10〜70質量%配合することが好ましく、20〜50質量%が特に好ましい。
((I)成分:無機粒子)
本発明の組成物には、その硬化物における光学的特性や作業性、機械的特性、物理化学的特性を向上させることを目的として、無機粒子(以下、(I)成分と称することがある。)を配合してもよい。(I)成分の種類は目的に応じて選択すればよく、また、単種類を配合してもよく、複数種類を組み合わせて配合してもよい。また、分散性を改善するために、無機粒子はシランカップリング剤などの表面処理剤で表面処理されていてもよい。
(I)成分の種類としては、シリカ、チタン酸バリウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化イットリウムなどの無機酸化物粒子や、窒化ケイ素、窒化ホウ素、炭化ケイ素、窒化アルミニウムなどの窒化物粒子や、炭素化合物粒子、ダイヤモンド粒子などが例示されるが、目的に応じて他の物質を選択することもでき、これらに限定されるものではない。
(I)成分の形態は、紛体状、スラリー状等、目的に応じていかなる形態であってもよい。要求される透明性に応じて、本発明の硬化物と屈折率が可及的に同等となるように本発明の組成物に配合することが好ましい。また、水系・溶媒系の透明ゾルとして本発明の組成物に配合することが好ましい。
配合する(I)成分の平均粒子径は特に限定されず、目的に応じた平均粒子径のものが用いられる。通常、前述の蛍光体の粒子径の1/10以下程度である。なお、粒子径は、SEM(走査型電子顕微鏡)観察により、粒子の短径および長径を測定し、(短径+長径)/2を計算して得られた値である。この作業を、SEM画像中の一定区画中の粒子について行い、得られた各々の粒子径の算術平均値を(I)成分の平均粒子径とする。
(I)成分の配合量は、本発明の硬化物の耐熱透明性などの特徴を損なわない限り、任意である。(I)成分の配合量が少なすぎると所望の効果が得られなくなることがあり、多すぎると硬化物の耐熱透明性、密着性、透明性、成形性、硬度などの諸特性に悪影響を及ぼすことがある。(A)〜(C)成分の合計質量に対して1〜50質量%程度配合してもよく、5〜35質量%程度配合することが好ましい。
(D)〜(I)成分の他にも、本発明の組成物には、硬化物の透明性などの特徴を損なわない範囲で、離型剤、樹脂改質剤、着色剤、希釈剤、抗菌剤、防黴剤、レベリング剤、タレ防止剤などを配合させてもよい。
<(A)成分、(B)成分および(C)成分の配合比>
本発明の組成物における(A)成分と(B)成分の配合比は、特に限定されない。基本的には、(A)成分に含有されるH−Si基と、(B)成分に含有されるVi−Si基のモル比を基準として配合する。具体的には、(A)成分に含有されるH−Si基のモル数/(B)成分に含有されるVi−Si基のモル数=1〜4の範囲にすることが好ましく、1〜3が特に好ましい。この範囲内であれば本発明の組成物は良好な成形性を示し、また、本発明の硬化物は優れた耐熱透明性を有する。
本発明の組成物における(C)成分の配合量は特に限定されない。(A)成分と(B)成分と(C)成分の合計質量に基づいて、(C)成分中の金属原子が質量単位で0.003〜30ppmの範囲内となる量であることが好ましい。中でも、得られる硬化物は優れた耐熱透明性を有する傾向があることから、0.003〜5.0ppmがより好ましく、0.003〜3.0ppmがさらに好ましく、0.003〜2.0ppmが特に好ましい。(C)成分の配合量が0.003〜30ppmであれば(A)成分と(B)成分のヒドロシリル化反応は円滑に進行する。
本発明の組成物の粘度は、標準状態(25℃、1気圧)において10,000cP(センチポイズ)以下であれば特に限定されない。10,000cP以下であれば、7,000cP以下であることが好ましい。下限値は特に制限されず、粘度が低いほど半導体装置の封止作業が容易となるので好ましい。本発明の組成物の粘度は、標準状態(25℃、1気圧)において0cP超10,000cP以下であってもよく、0cP超7,000以下が好ましい。
ここで、本発明の組成物の粘度は(A)成分の粘度と同様の方法により測定する。
本発明の組成物は低粘度の樹脂組成物であるため流動性が良く、特に半導体装置の封止作業において、樹脂組成物の途切れや気泡の巻き込みが生じにくく、塗布しやすい。そのため、封止作業を効率的に行うことができる。さらに、本発明の組成物から得られる硬化物は、半導体装置の封止材用途において十分な耐久性を有する。このため、本発明の組成物は半導体装置の封止材用途に好適である。
本発明の組成物における(A)成分と(B)成分中のHO−Si基の総含有量は特に限定されない。0.5〜5.0mmol/gであってもよく、1.0〜4.5mmol/gが好ましく、1.5〜4.5mmol/gが特に好ましい。この範囲内であれば、組成物の硬化が十分に進行し、所望の硬化物が得られやすい。
<硬化性シリコーン樹脂組成物の調製>
本発明の組成物は、(A)成分と(B)成分と(C)成分とを配合し、必要に応じてその他の添加物をさらに配合することで調製することができる。
(A)成分、(B)成分、(C)成分、必要に応じて加えた添加物は混合により、実質的に均一に分散していることが好ましい。混合方法は特に限定されず、従来公知の混合方法を採用することができる。例えば、万能混練機、ニーダーなどの混合装置を用いる混合方法を採用することができる。
また、(C)成分は予め(A)成分および/または(B)成分と混合させてもよい。また、安定に長期間貯蔵するために、(B)成分と(C)成分を別途の容器に保存し、例えば、(A)成分の一部と(C)成分とを含む第一組成物と、(A)成分の残部と(B)成分とを含む第二組成物を、それぞれ別の容器に保存しておき、使用直前に混合して本発明の組成物を調製して使用に供してもよく、調製した組成物をさらに減圧で脱泡して使用に供してもよい。
((A)成分の製造方法)
(A)成分の製造方法の一例として、以下の第1工程〜第3工程を少なくとも含む方法により(A)成分を製造することができる。
「第1工程」
下記一般式[3]で示されるジアルコキシシランと下記一般式[4]で示されるトリアルコキシシランとを反応させて第1の加水分解重縮合物を得る工程。
「第2工程」
第1の加水分解重縮合物と下記一般式[5]で示されるテトラアルコキシシランとを強酸条件下で反応させて第2の加水分解重縮合物を得る工程。
「第3工程」
第2の加水分解重縮合物と、下記一般式[6]、[7]または[8]で示されるシラン化合物とを強酸条件下で反応させることにより、(A)成分を得る工程。
Figure 2017128707
式[3]中、Rは、炭素数1〜3のアルキル基を示し、2つのRは互いに同じまたは異なる種類であってもよい。
式[4]中、Rは、炭素数1〜3のアルキル基を示し、3つのRは互いに同じまたは異なる種類であってもよい。
式[5]中、Rは、炭素数1〜3のアルキル基を示し、4つのRは互いに同じまたは異なる種類であってもよい。
式[7]中、Rは、炭素数1〜3のアルキル基を示す。
以下、第1工程〜第3工程について説明する。
「第1工程」
第1工程では、まず、一般式[3]で示されるジアルコキシシラン(以下、「ジアルコキシシラン[3]」と称することがある。)と一般式[4]で示されるトリアルコキシシラン(以下、「トリアルコキシシラン[4]」と称することがある。)を、室温にて反応容器内に所定量入れた後、加水分解重縮合するための水を加え、所望により反応溶媒を加え、所望により縮合反応を円滑に進行させるための触媒を加えて、反応溶液とする。このときの反応資材の投入順序は特に限定されず、任意の順序で投入して反応溶液とすることができる。
次いで、この反応溶液を撹拌しながら所定時間、所定温度で反応を進行させることで、第1の加水分解重縮合物を得ることができる。この際、反応系中の未反応原料のアルコキシシラン化合物、水、反応溶媒および/または触媒が、反応系外へ留去されることを防ぐため、反応容器には還流装置を具備することが好ましい。
第1工程において、ジアルコキシシラン[3]、トリアルコキシシラン[4]の使用量は特に限定されない。ジアルコキシシラン[3]:トリアルコキシシラン[4]はモル比で表して85:15〜15:85で配合することが好ましく、85:15〜30:70で配合することが特に好ましい。ジアルコキシシラン[3]のモル比が15を下回ると、所望の分子量よりも高くなることがあり、85を超えると、加水分解重縮合反応が進行しにくく、所望の分子量よりも低くなることがある。
第1工程において、水の使用量は特に限定されない。反応効率の観点から、反応原料のアルコキシシラン化合物に含有されるアルコキシ基、すなわち、ジアルコキシシラン[3]、トリアルコキシシラン[4]に含有されるアルコキシ基、の合計モル当量に対して、1.5倍以上、5倍以下であることが好ましい。1.5倍モル当量以上であれば、ジアルコキシシラン[3]、トリアルコキシシラン[4]の加水分解が効率よく行われ、また、5倍モル当量より多く加える必要はない。
第1工程において、無溶媒条件でも反応させることは可能であるが、反応溶媒を使用することもできる。反応溶媒の種類は、第1の加水分解重縮合物を得るための反応を阻害しなければ、特に限定されない。中でも、アルコール類などの親水性の有機溶媒が好ましい。このアルコール類としては具体的には、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノール、ブタノールなどを例示することができるが、これらに限定されない。反応溶媒の使用量は、反応原料のアルコキシシラン化合物の全量に対して0.1〜1000質量%が好ましく、特に好ましくは1〜300質量%である。
なお、反応過程で反応原料のアルコキシシラン化合物から生成するアルコール類が反応溶媒として機能するため、必ずしも加える必要はない場合がある。
第1工程において、触媒を用いる場合、酸性触媒または塩基性触媒を使用できる。中でも、得られる第1の加水分解中縮合物の分子量制御が容易なことから、酸性触媒の使用が好ましい。この酸性触媒の種類は特に限定されない。例えば、酢酸、塩酸、硝酸、硫酸、フッ化水素酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トシル酸、トリフルオロ酢酸などが挙げられる。中でも、反応終了後の酸触媒の除去処理が容易なことから、酢酸、塩酸、硝酸、硫酸、フッ化水素酸が好ましく、より好ましくは酢酸である。また、塩基性触媒の種類は特に限定されない。例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、トリエチルアミン、ピリジンなどが挙げられる。
触媒の使用量は、反応原料のアルコキシシラン化合物、水および溶媒の合計量に対して0.001〜5質量%が好ましく、特に好ましくは0.005〜1質量%である。
第1工程において、反応時間、反応温度は特に限定されない。反応時間は通常3〜15時間である。反応温度は通常60〜120℃であり、80〜100℃が好ましい。
反応後は、第1の加水分解重縮合物のハンドリングの観点から、反応系内から第1の加水分解重縮合物を分離して精製することが好ましい。この分離方法は特に限定されない。分離方法としては、例えば抽出する方法が挙げられる。具体的には、前述の反応後の反応溶液を室温まで降温させた後、抽出溶媒として非水溶性有機溶媒と接触させることで反応系中に存在する第1の加水分解重縮合物を抽出する。次いで、抽出後の溶液に含まれる触媒の除去を行う。触媒の除去方法は、特に限定されない。例えば、使用した触媒(例えば、酢酸)が水溶性であれば、抽出後の溶液を水で洗浄することでこの触媒を除去することができる。次いで、触媒を除去した後の溶液に乾燥剤を加えて、系中に溶解している水を除去する。さらに、乾燥剤の除去、抽出溶媒の減圧除去を経ることで、高純度の第1の加水分解重縮合物を分離することができる。このとき、乾燥剤を用いずに、触媒を除去した後の溶液から抽出溶媒を減圧除去する過程で水を同時に減圧除去してもよい。
前記抽出溶媒としては、非水溶性有機溶媒を用いることができる。この非水溶性有機溶媒の種類は、特に限定されない。例えば、芳香族炭化水素類、エーテル類などが挙げられる。具体的には、トルエン、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ジブチルエーテルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
前記乾燥剤としては、系中から水を除去し、第1の加水分解重縮合物と分離することができるものであれば特に限定されない。このような乾燥剤としては、固体乾燥剤が好ましく用いられ、具体的には、硫酸マグネシウムなどが挙げられるが、これに限定されない。
分離、精製した第1の加水分解重縮合物は、溶媒中で加熱還流または無溶媒下で加熱撹拌を行うことで、さらに縮合反応を進行させてもよい。これにより、第1の加水分解重縮合物の分子量を増加させることができる。溶媒を用いる場合には、加熱還流が可能な反応容器に第1の加水分解重縮合物と溶媒を投入し、溶解液とする。この溶解液を加熱還流して、縮合の進行とともに系中に生成する水と共沸させる。この際、溶解液中にトシル酸等を加えて加熱還流させてもよい。用いる溶媒の種類としては、第1の加水分解重縮合物を溶解させることができ、加熱還流が可能な溶媒であれば特に限定されない。具体的には、芳香族炭化水素類、エーテル類、エステル類などが挙げられる。芳香族炭化水素類としては、トルエン、キシレン、ベンゼンなどが挙げられ、エーテル類としては、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどが挙げられ、エステル類としては酢酸エチルなどが挙げられる。また、無溶媒下の場合には、加熱攪拌が可能な反応容器に第1の加水分解重縮合物を投入し、100〜150℃に加熱して6〜18時間攪拌する。このとき、第1の加水分解重縮合物の組成比の変化を抑えるために、反応容器に還流装置(例えば、コンデンサー)を具備させることが好ましい。加熱攪拌後に内容液を室温まで降温させる。これらの一連の操作は繰り返し行うことができ、繰り返す回数は特に限定されない。1〜4回行うことが好ましい。
「第2工程」
第2工程では、第1工程で得た第1の加水分解重縮合物と、一般式[5]で示されるテトラアルコキシシラン(以下、「テトラアルコキシシラン[5]」と称することがある。)とを強酸存在下で反応させて、第2の加水分解重縮合物を得る。
具体的には、第1の加水分解重縮合物とテトラアルコキシシラン[5]を室温にて反応容器内に所定量入れた後、所望により反応溶媒を加え、縮合反応を進行させるための触媒として強酸を加えて反応液とする。このときの投入順序はこれに限定されず、任意の順序で投入して反応溶液とすることができる。
次いで、この反応液を撹拌しながら所定時間、所定温度で反応を進行させることで第2の加水分解重縮合物を得ることができる。この際、反応系中の未反応原料のアルコキシシラン化合物、反応溶媒および/または触媒が、反応系外へ留去されることを防ぐため、反応容器には還流装置を具備することが好ましい。
第2工程において、第1の加水分解重縮合物とテトラアルコキシシラン[5]の使用量は特に限定されない。反応性の観点から、第1の加水分解重縮合物に対してテトラアルコキシシラン[5]は、0.001〜600質量%が好ましく、0.01〜400質量%で配合することが特に好ましい。
第2工程においては、反応液中に少量の水が含まれていてもよいが、多量の水が含まれると、反応過程でシリカが生成して、所望の第2の加水分解重縮合物が得られないことがある。反応液中、水の含有量は、所望の第2の加水分解重縮合物が得られれば特に限定されず、テトラアルコキシシラン[5]に対して1質量%以下が好ましく、0.001質量%以下が特に好ましい。この水の含有量には硝酸や塩酸などの強酸に含まれることがある水も含まれる。
第2工程において、無溶媒条件でも反応させることは可能であるが、反応溶媒を使用することもでき、使用することが好ましい。反応溶媒の種類は、第2の加水分解重縮合物を得るための反応を阻害しなければ、特に限定されない。中でも、アルコール類などの親水性の有機溶媒が好ましい。このアルコール類としては具体的には、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノール、ブタノールなどを例示することができるが、これらに限定されない。反応溶媒の使用量は、第1の加水分解縮合物とテトラアルコキシシラン[5]の総量に対して0.1〜1000質量%が好ましく、特に好ましくは1〜300質量%である。なお反応過程で反応原料のアルコキシシラン化合物から生成するアルコール類が反応溶媒として機能するため、必ずしも加える必要はない場合がある。
第2工程において、使用する強酸は、酸解離定数pKaが3以下の酸が好ましい。具体的には、硝酸、硫酸、塩酸、フッ化水素酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トシル酸、トリフルオロ酢酸などが挙げられる。中でも、反応終了後の酸除去処理が容易なことから、硝酸、硫酸、塩酸、フッ化水素酸が好ましく、より好ましくは硝酸である。
この強酸の使用量は、第1の加水分解重縮合物とテトラアルコキシシラン[5]と反応溶媒との総量に対して、0.0001〜5質量%が好ましく、特に好ましくは0.001〜1質量%である。
第2工程において、反応時間、反応温度は特に限定されない。反応時間は通常1〜48時間である。反応温度は通常60〜120℃であり、80〜100℃が好ましい。
反応後は、反応系内から第2の加水分解重縮合物を分離して精製してもよい。この分離方法は特に限定されない。分離方法としては、例えば上記第1工程で挙げた分離方法と同様の方法が挙げられ、第1工程と同様にして第2の加水分解重縮合物を分離、精製することができる。
「第3工程」
第3工程では、第2の加水分解重縮合物と、上記一般式[6]、[7]または[8]で示されるシラン化合物とを強酸条件下で反応させて、(A)成分を得る。この第2の加水分解重縮合物は、第2工程で反応系から分離して反応に供してもよいし、反応系から分離せずにそのまま反応に供してもよい。
具体的には、第2の加水分解重縮合物と、一般式[6]で示されるシラン化合物、一般式[7]で示されるシラン化合物または一般式[8]で示されるシラン化合物と、所望により反応溶媒とを、室温にて反応容器内に所定量加えた後、縮合反応を進行させるための触媒として強酸を加えて反応液とする。このときの投入順序はこれに限定されず、任意の順序で投入して反応液とすることができるが、触媒は最後に投入することが好ましい。
次いで、この反応液を撹拌しながら所定時間、所定温度で反応を進行させることで(A)成分を得ることができる。この際、反応系中の未反応原料、反応溶媒および/または触媒が、反応系外へ留去されることを防ぐため、反応容器には還流装置を具備することが好ましい。
第3工程において、第2の加水分解重縮合物と、一般式[6]で示されるシラン化合物、一般式[7]で示されるシラン化合物または一般式[8]で示されるシラン化合物の使用量は特に限定されない。(A)成分の物性の観点から、第2の加水分解重縮合物1gに対し、使用する一般式[6]で示されるシラン化合物、一般式[7]で示されるシラン化合物、一般式[8]で示されるシラン化合物におけるH−Si基の総量が0.2〜10mmolとなる範囲で使用することが好ましい。
第3工程において使用する強酸は、酸解離定数pKaが3以下の酸が好ましい。具体的には、硝酸、硫酸、塩酸、フッ化水素酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トシル酸、トリフルオロ酢酸などが挙げられる。中でも、反応終了後の酸除去処理が容易なことから、硝酸、硫酸、塩酸、フッ化水素酸が好ましく、より好ましくは硝酸である。強酸の使用量は、第2の加水分解重縮合物1gに対して、0.0001〜10mmol%が好ましく、特に好ましくは0.005〜5mmol%である。
第3工程において反応溶媒を使用する場合、その種類としては、(A)成分を得るための反応を阻害しなければ、特に限定されない。第3工程で用いる反応溶媒は、水溶性有機溶媒、非水溶性有機溶媒を用いることができる。これらの反応溶媒を用いることで、反応溶液の粘度を低減させることができる。中でも、水溶性有機溶媒が好ましい。水溶性有機溶媒を用いることで、反応溶液の粘度の低減させることができるとともに、第2の加水分解重縮合物と第3工程で使用する強酸とを、反応系で均一に分散させることができる。水溶性有機溶媒の具体例としては、アルコール類などが挙げられ、より具体的にはメタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノール、ブタノールなどを例示することができるが、これらに限定されない。非水溶性有機溶媒の具体例としては、芳香族炭化水素類、エーテル類などが挙げられ、より具体的にはトルエン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテルなどを例示することができるが、これらに限定されない。第3工程における反応溶媒の使用量は、第2の加水分解重縮合物1gに対して、0質量%超1000質量%以下が好ましく、特に好ましくは50〜500質量%である。
第2工程で得た第2の加水分解縮合物を反応系から分離せずに第3工程に供する場合においても、この反応溶媒の使用の有無は特に限定されない。反応溶媒を使用する場合には、第2工程で用いた反応溶媒との総量を、第2の加水分解重縮合物1gに対して、0質量%超1000質量%以下とすることが好ましく、特に好ましくは10〜500質量%である。
なお、第3工程において反応溶媒の使用は任意であり、使用しない場合であっても目的
の(A)成分を得ることができる。
第3工程において、反応を終了させる方法は特に限定されない。例えば、反応系に水(好ましくはイオン交換水)を加えることで反応を終了させる。反応後は、(A)成分のハンドリングの観点から反応系内から(A)成分を分離して精製することが好ましい。
この分離方法は特に限定されない。例えば、抽出する方法が挙げられ、具体的には、前述の反応後の溶液から有機層を分取する。次いで、その有機層を水(好ましくは、イオン交換水)で洗浄し、さらに酸捕捉剤および乾燥剤を加えて、系中に溶解している酸と水を除去する。その後、有機層中から酸捕捉剤と乾燥剤を除去し、非水溶性有機溶媒の減圧除去を経ることで、(A)成分を高純度で分離することができる。このとき、乾燥剤を用いずに、非水溶性有機溶媒を除去する過程で、水を同時に除去してもよい。分離後の(A)成分は、無溶媒、減圧下で過熱することで、(A)成分中に含まれる水分をさらに除去することが好ましい。このとき加熱温度は特に限定されないが、通常、100〜190℃である。
前記抽出溶媒としては、非水溶性有機溶媒を用いることができる。この非溶水性有機溶媒の種類は、特に限定されない。例えば、芳香族炭化水素類、エーテル類などが挙げられる。具体的には、トルエン、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ジブチルエーテルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
前記酸捕捉剤の種類は、系中から強酸を除去することができれば、特に限定されない。このような酸捕捉剤としては、固体酸捕捉剤が好ましく用いられる。また、必要に応じて市販の酸捕捉剤を用いることができる。市販品としては、協和化学工業株式会社製キョーワード500などが挙げられるが、これに限定されない。
前記乾燥剤としては、系中から水を除去できるものであれば、特に限定されない。このような乾燥剤としては、固体乾燥剤が好ましく用いられる。具体的には、硫酸マグネシウムなどが挙げられるが、これに限定されない。
((B)成分の製造方法)
(B)成分の製造方法の一例として、以下の第4工程を少なくとも含む方法により(B)成分を製造することができる。
「第4工程」
第2の加水分解重縮合物と、下記一般式[9]、[10]または[11]で示されるシラン化合物とを強酸条件下で反応させることにより、(B)成分を得る工程。
Figure 2017128707
式[10]中、Rは、炭素数1〜3のアルキル基を示す。
以下、第4工程について説明する。
「第4工程」
第4工程では、第2の加水分解重縮合物と、上記一般式[9]、[10]または[11]で示されるシラン化合物とを強酸条件下で反応させることにより、(B)成分を得る。この第2の加水分解重縮合物としては、(A)成分を製造する際に得られる第2の加水分解重縮合物を用いてもよいし、別途調製した第2の加水分解重縮合物を用いてもよい。
この反応条件、(B)成分の分離操作等は、上述の第3工程の反応条件、分離操作等を準用することができる。すなわち、第3工程における一般式[6]で示されるシラン化合物、一般式[7]で示されるシラン化合物、一般式[8]で示されるシラン化合物、H−Si基、(A)成分を、それぞれ一般式[9]で示されるシラン化合物、一般式[10]で示されるシラン化合物、一般式[11]で示されるシラン化合物、Vi−Si基、(B)成分に置き換えることで、第4工程を説明することができる。
[2.硬化性シリコーン樹脂組成物の硬化物]
本発明の硬化性シリコーン樹脂組成物の硬化物(以下、「本発明の硬化物」と称することがある。)は、本発明の組成物を加熱して得られる。
本発明の硬化物は、半導体装置用の封止材として利用することができ、中でも光半導体装置用、パワー半導体装置用の封止材として好適である。光半導体装置用の封止材としては、LED用光学部材の封止材や半導体レーザー用光学部材の封止材などとして好適に利用することができ、中でも、LED用光学部材の封止材として特に好適である。
一般的に、光半導体装置は各種の技術によりその光取り出し効率が高められているが、光半導体素子の封止材の透明度が低いと、当該封止材が光を吸収してしまい、これを用いた光半導体装置の光取り出し効率が低下する。その結果、高輝度な光半導体装置製品を得にくくなる傾向にある。さらに、光取り出し効率が低下した分のエネルギーは熱に変わり、光半導体装置の熱劣化の原因となるため好ましくない。
本発明の硬化物は透明性に優れる。具体的には、本発明の硬化物は、通常300nm以上、好ましくは350nm以上、また、通常900nm以下、好ましくは500nm以下の領域の波長において良好な光線透過率を有する。したがって、この領域に発光波長を有する光半導体装置に、本発明の硬化物を上記の封止材として用いれば、高輝度な光半導体装置を得られるため好ましい。なお、このことは、上記の領域外に発光波長を有する光半導体装置に、本発明の硬化物を封止材として用いることを妨げない。なお、上記の光線透過率は、紫外/可視分光光度計による透過率測定によって測定することができる。
本発明の組成物を硬化させる方法は、特に限定されない。例えば、本発明の組成物を、使用すべき部位に注入、滴下、流延、注型、容器からの押出しなどの方法により、またはトランスファー成形や射出成形による一体成形によって、LEDのような封止対象物と組み合わせ、通常、45〜300℃、好ましくは60〜200℃で加熱することで、該組成物を硬化させて硬化物とし、該封止対象物を封止することができる。加熱温度が45℃以上であれば、得られる硬化物に粘着性が観測され難く、300℃以下であれば、得られる硬化物に発泡が観測され難く、実用的である。加熱時間は特に限定されない。通常0.5〜12時間程度であり、1〜10時間程度が好ましい。加熱時間が0.5時間以上であれば、硬化が充分に進行するが、LED封止用など精度が要求される場合は、硬化時間を長めにすることが好ましい。
[3.封止材]
本発明の硬化物は、半導体装置用の封止材として用いることができ、特に光半導体装置用、パワー半導体装置用などの封止材として好適である。本発明の硬化物からなる封止材は、上述のように透明性に優れる。また、通常従来の付加硬化性シリコーン樹脂組成物の硬化物と同様に、耐熱性、耐寒性、電気絶縁性に優れる。
[4.光半導体装置]
本発明の光半導体装置は、光半導体素子を少なくとも備える光半導体装置であって、本発明の硬化物によって該光半導体素子が少なくとも封止されてなる。本発明の光半導体装置におけるその他の構成は特に限定されず、光半導体素子のほかにも部材を備えていてもよい。そのような部材の一例としては、例えば、ベース基板、引き出し配線、ワイヤー配線、制御素子、絶縁基板、反射材、ヒートシンク、導電部材、ダイボンド材、ボンディングパッドなどが挙げられる。また、光半導体素子に加えて、部材の一部または全部が、本発明の硬化物で封止されていてもよい。
本発明の光半導体装置としては、具体的には、発光ダイオード(LED)装置、半導体レーザー装置およびフォトカプラなどが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の光半導体装置は、例えば、液晶ディスプレイなどのバックライト、照明、各種センサー、プリンターおよびコピー機などの光源、車両用計測器光源、信号灯、表示灯、表示装置、面状発光体の光源、ディスプレイ、装飾、各種ライトならびにスイッチング素子などに好適に用いられる。
本発明の光半導体装置の一例を図1に示す。図1に例示するように、光半導体装置10は、封止材1と、光半導体素子2と、ボンディングワイヤー3とを光半導体基板6上に少なくとも備える。光半導体基板6は、リードフレーム5からなる底面と、反射材4からなる内周側面とから構成される凹部を有する。
光半導体素子2は、リードフレーム5上に、ダイボンド材(図示せず)を用いて接続されている。光半導体素子2に備えられたボンディングパッド(図示せず)とリードフレーム5とは、ボンディングワイヤー3により電気的に接続されている。反射材4は、光半導体素子2からの光を所定方向に反射させる作用を有する。光半導体基板6が有する上記凹部の領域内には、光半導体素子2を少なくとも封止するように封止材1が充填されている。このとき、ボンディングワイヤー3をも封止するように、封止材1が充填されていてもよい。封止材1は、本発明の硬化物からなる。封止材1の内部には、前述の蛍光体(図示せず)が含まれていてもよい。封止材1により、湿気、塵埃などから光半導体素子2を保護し、長期間に渡って信頼性を維持することができる。さらに、封止材1がボンディングワイヤー3をも封止することで、同時に、ボンディングワイヤー3が外れたり、切断したり、短絡したりすることによって生じる電気的な不具合を防止することができる。
本発明の硬化物は、後述するように、半導体用接着剤として用いることができる。したがって、上述のダイボンド材などとして採用することもできる。
光半導体装置10において、本発明の硬化物からなる封止材1によって封止される光半導体素子2としては、例えばLED、半導体レーザー、フォトダイオード、フォトトランジスタ、太陽電池、CCD(電荷結合素子)などが挙げられる。なお、図1に示す構造は、本発明の光半導体装置の一例にすぎず、反射材の構造、リードフレームの構造、光半導体素子の実装構造などは適宜変形され得る。
図1で示される光半導体装置10を製造する方法は、特に限定されない。例えば、反射材4を備えたリードフレーム5に光半導体素子2をダイボンドし、この光半導体素子2とリードフレーム5とをボンディングワイヤー3によりワイヤーボンドし、次いで、光半導体素子の周囲に設けられた反射材の内側(リードフレームと反射材からなる凹部)に本発明の組成物を充填した後、50〜250℃で加熱することにより硬化させて封止材1とする方法が挙げられる。
[5.半導体装置用接着剤]
本発明の組成物は、良好な密着性を有するため、半導体装置用接着剤として用いることができる。具体的には、例えば、半導体素子とパッケージを接着する場合、半導体素子とサブマウントを接着する場合、パッケージ構成要素同士を接着する場合、半導体装置と外部光学部材とを接着する場合などに、本発明の組成物を塗布、印刷、ポッティングなどすることにより用いることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
1.原料の物性評価方法
[組成比の決定およびHO−Si基の定量]
シリコーン樹脂200mgに、0.5mLの重クロロホルムを加えて溶解させ、緩和剤としてクロム(III)アセチルアセトナート錯体を10mg加えた。これにより調製した溶液を29Si−NMRで測定した。検出したシグナルを、表1に示すように、ピーク(a)〜(k)に分類し、それぞれのピークを全積分値の和から百分率(積分比)として算出した。なお、シリコーン樹脂の29Si−NMR測定には、共鳴周波数400MHzの核磁気共鳴装置(日本電子株式会社製、型番:JNM−AL400)を使用した。
Figure 2017128707
Figure 2017128707
上記式[1]におけるa、b、c、dの値は以下の式から算出することで決定した:
a=(ピーク(a)面積+ピーク(b)面積)/全ピーク面積の和、
b=(ピーク(c)面積+ピーク(d)面積+ピーク(e)面積)/全ピーク面積の和、
c=(ピーク(f)面積+ピーク(g)面積+ピーク(h)面積+ピーク(i)面積)/全ピーク面積の和、
d=ピーク(j)面積/全ピーク面積の和。
Figure 2017128707
上記式[2]におけるe、f、g、hの値は以下の式から算出することで決定した:
e=(ピーク(a)面積+ピーク(b)面積)/全ピーク面積の和、
f=(ピーク(c)面積+ピーク(d)面積+ピーク(e)面積)/全ピーク面積の和、
g=(ピーク(f)面積+ピーク(g)面積+ピーク(h)面積+ピーク(i)面積)/全ピーク面積の和、
h=ピーク(k)面積/全ピーク面積の和。
29Si−NMRにおいて、Me−Si基、Ph−Si基、H−Si基、CH=CH−Si基(Vi−Si基)またはその他の基のピークが重なった場合は、H−NMRにおけるMe−Si基、Ph−Si基、H−Si基、CH=CH−Si基またはその他の基のピークの積分面積に基づいて算出した。
HO−Si基の含有量(mmol/g)は、上述の方法で算出した積分比から以下の式に従って決定した:
[A]= ピーク(a)積分比+2×ピーク(c)積分比+ピーク(d)積分比+3×ピーク(f)積分比+2×ピーク(g)積分比+ピーク(h)積分比、
[B]=ピーク(a)積分比×83.16+ピーク(b)積分比×74.15+ピーク(c)積分比×147.2+ピーク(d)積分比×138.2+ピーク(e)積分比×129.2+ピーク(f)積分比×87.92+ピーク(g)積分比×78.10+ピーク(h)積分比×69.09+ピーク(i)積分比×60.08+ピーク(j)積分比×67.16+ピーク(k)積分比×93.20、
HO−Si基の含有量(mmol/g)=([A]/[B])×1000。
[H−Si基及びVi−Si基の定量]
6mLのサンプル管にシリコーン樹脂を20〜30mg秤量し、0.8mLの重ジクロロメタンを加え、シリコーン樹脂を溶解させた。その溶液に2.0μLのジメチルスルホキシド(0.0282mmol)をマイクロシリンジで添加し、サンプル管を閉じ、溶液を攪拌して均一にして測定試料とした。その試料をH−NMRで測定し、ジメチルスルホキシドのプロトン比と、H−Si基またはVi−Si基のプロトン比とを算出して、測定試料中のH−Si基またはVi−Si基のモル数を決定した。次いで、以下の式に従って、測定試料1g中の各官能基の含有量を算出した:
シリコーン樹脂中の官能基のモル数(mmol)/測定試料量(mg)×1000=測定試料1g中の官能基量(mmol/g)。
なお、シリコーン樹脂の1H−NMR測定には、共鳴周波数400MHzの核磁気共鳴装置(日本電子株式会社製、型番:ECA−400)を使用した。シリコーン樹脂中の各官能基のケミカルシフトを以下に示す:
Me−Si: 0.0〜0.5ppm(3H)、
H−Si: 4.0〜5.0ppm(1H)、
Vi−Si: 5.5〜6.5ppm(3H)、
Ph−Si: 7.0〜8.0ppm(5H)。
[質量平均分子量(Mw)測定]
シリコーン樹脂の質量平均分子量(Mw)は、下記条件のゲル透過クロマトグラフィ(略称:GPC)法により、ポリスチレンを基準物質として検量線を作成して値を算出した:
装置:東ソー株式会社製、製品名:HLC−8320GPC、
カラム:東ソー株式会社製、製品名:TSK gel Super HZ 2000x4、3000x2、
溶離液:テトラヒドロフラン。
[屈折率]
シリコーン樹脂の屈折率は、屈折率計(京都電子工業株式会社製、型式:RA−600)を使用して測定した。
[粘度測定]
シリコーン樹脂の粘度は、JIS Z8803(2011)における「円すい−板形回転粘度計による粘度測定方法」に従い、回転粘度計(ANTON PAAR製、品名:PHYSICA MCR51、測定範囲200〜1,000,000cP)と温度制御ユニット(ANTON PAAR製、品名:P−PTD200)を使用して、標準状態(25℃、1気圧)においてせん断速度30[1/s]で測定し、測定開始から1分後に得られた値を採用した。測定範囲未満の低粘度である場合には「<200」と表記した。
[透明性]
紫外可視分光光度計(株式会社島津製作所製、型番:UV−3150)を使用して、405nm、365nmの波長領域における樹脂の透過率を測定した。測定セルは石英製を使用し、セルの厚みは1cmのものを使用した。
2.原料合成例および比較合成例
[原料合成例1−1] シリコーン樹脂(I)の合成
フッ素樹脂製の撹拌翼、ジムロート型還流器を具備した容積10Lのガラス反応容器に、961.6g(8.0mol)のMeSi(OMe)、1586.4g(8.0mol)のPhSi(OMe)を採取した。次いで、1440gの水および0.96gの酢酸を反応容器に加えて、反応容器内を6時間、連続的に75℃にて加温し、加水分解および縮合反応を行った。その後、反応液を室温に戻し、水層のみを除去した。有機層が残った反応容器に3520gのトルエンおよび1440gの水を加え、分液操作を行った後、水層を除去した。次いで1440gの水により有機層の洗浄操作を4回行った。その後、有機層を回収し、エバポレーターにて、トルエンを減圧留去し、無色の粘性液体としてシリコーン樹脂(I)を得た。
シリコーン樹脂(I)の収量は1388.0gであり、質量平均分子量(Mw)は900であり、組成比は(MeSiO2/20.49(PhSiO3/20.51であり、HO−Si基の含有量は7.2mmol/g(12質量%)であった。
[原料合成例1−2] シリコーン樹脂(A1)の合成
100mLフラスコに20.00gのシリコーン樹脂(I)、14.96gのSi(OEt)を採取した。次いで8.74gの2−プロパノールを加え、1.84μLの70%濃硝酸を加えて、100℃で撹拌を行った。6時間後、フラスコ内温度を室温にし、4.82gの1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンおよび0.12mLの70%濃硝酸を加え、室温で撹拌した。17時間後、分液ロートに反応溶液を移し、50mLのトルエン、80mLの水を加え、抽出操作をした後、有機層を回収した。さらに、80mLの水および20mLの2−プロパノールを加え、抽出操作を行い、有機層を回収した。この同様の操作を3回繰り返すことにより、有機層を洗浄した。この有機層に1gの酸捕捉剤(協和化学工業株式会社製、製品名:キョーワード500)を加え撹拌し、1時間後にフッ素樹脂製のろ紙(PORE SIZE;1μm)でろ過した。ろ液をエバポレーターにより有機相からトルエンを除去した後、150℃、1時間の加熱による減圧留去を行い、さらに170℃、1時間の加熱による減圧留去を2回行い、無色透明な粘性液体としてシリコーン樹脂(A1)を得た。
シリコーン樹脂(A1)の収量は、28.58g、質量平均分子量(Mw)は1400であり、粘度は200cP未満であり、組成比は(H−SiMe1/20.18(MeSiO2/20.32(PhSiO3/20.43(SiO4/20.07であり、H−Si基の含有量は1.36mmol/gであり、HO−Si基の含有量は4.8mmol/g(8.2質量%)であった。
[原料合成例1−3] シリコーン樹脂(B1)の合成
100mLフラスコに20.00gのシリコーン樹脂(I)、14.96gのSi(OEt)を採取した。次いで8.74gの2−プロパノールを加え、1.84μLの70%濃硝酸を加えて、100℃で撹拌を行った。6時間後、フラスコ内温度を室温にし、6.69gの1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンおよび2.30mLの70%濃硝酸を加え、室温で撹拌した。15時間後、分液ロートに反応溶液を移し、80mLのトルエン、50mLの水および40mLの2−プロパノールを加え、抽出操作をした後、有機層を回収した。さらに、80mLの水および20mLの2−プロパノールを加え、抽出操作を行い、有機層を回収した。この同様の操作を3回繰り返すことにより、有機層を洗浄した。その後、この有機層に1gの酸捕捉剤(協和化学工業株式会社製、製品名:キョーワード500)を加え撹拌し、1時間後にフッ素樹脂製のろ紙(PORE SIZE;1μm)でろ過した。ろ液をエバポレーターにより有機相からトルエンを除去した後、150℃、1時間の加熱による減圧留去を行い、さらに170℃、1時間の加熱による減圧留去を2回行い、無色透明な粘性液体としてシリコーン樹脂(B1)を得た。
シリコーン樹脂(B1)の収量は、29.67g、質量平均分子量(Mw)は2000であり、粘度は410cPであり、組成比は(Vi−SiMe1/20.25(MeSiO2/20.25(PhSiO3/20.32(SiO4/20.18であり、Vi−Si基の含有量は2.23mmol/gであり、HO−Si基の含有量は3.1mmol/g(5.3質量%)であった。
[原料合成例2−1] シリコーン樹脂(II)の合成
300mLフラスコに100.00gのシリコーン樹脂(I)、74.78gのSi(OEt)を採取した。次いで43.69gの2−プロパノールを加え、9.21μLの70%濃硝酸を加えて、100℃で撹拌を行った。6時間後、分液ロートに反応溶液を移し、100mLのトルエン、200mLの水および50mLの2−プロパノールを加え、抽出操作をした後、有機層を回収した。さらに200mLの水および100mLの2−プロパノールを加え、抽出操作を行い、有機層を回収した。この同様の操作を再度繰り返すことにより、有機層を洗浄した。その後、エバポレーターにより有機相からトルエンを除去し、無色透明な粘性液体としてシリコーン樹脂(II)を得た。
シリコーン樹脂(II)の収量は132.01g、質量平均分子量(Mw)は1600であり粘度は200cP未満であり、組成比は(MeSiO2/20.40(PhSiO3/20.51(SiO4/20.09であり、HO−Si基の含有量は7.36mmol/g(13質量%)であった。
[原料合成例2−2] シリコーン樹脂(A2)の合成
20.00gのシリコーン樹脂(II)、60.00gのトルエン、20.00gのメタノール、4.94gの1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンおよび0.12mLの70%濃硝酸をフラスコ内に加え、室温で攪拌を行った。4時間後、分液ロートに反応溶液を移し、60gの水を加え、抽出操作をした後、有機層を回収した。同様の操作を4回繰り返すことにより、有機層を洗浄した。エバポレーターにより有機層からトルエンを留去した後、150℃、1時間の加熱による減圧留去を行った後、170℃、1時間の加熱による減圧留去を2回行い、無色透明な粘性液体としてシリコーン樹脂(A2)を得た。
シリコーン樹脂(A2)の収量は16.05gであり、質量平均分子量(Mw)は1500であり、粘度は200cP未満であり、組成比は(H−SiMe1/20.24(MeSiO2/20.30(PhSiO3/20.45(SiO4/20.01であり、H−Si基の含有量は2.19mmol/gであり、HO−Si基の含有量は2.9mmol/g(4.9質量%)であった。
[原料合成例2−3] シリコーン樹脂(B2)の合成
20.00gのシリコーン樹脂(II)、60.00gのトルエン、20.00gのメタノール、6.86gの1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンおよび2.36mLの70%濃硝酸をフラスコ内に加え、室温で攪拌を行った。4時間後、分液ロートに反応溶液を移し、60gの水を加え、抽出操作をした後、有機層を回収した。同様の操作を4回繰り返すことにより、有機層を洗浄した。エバポレーターにより有機層からトルエンを留去した後、150℃、1時間の加熱による減圧留去を行った後、170℃、1時間の加熱による減圧留去を2回行い、無色透明な粘性液体としてシリコーン樹脂(B2)を得た。
シリコーン樹脂(B2)の収量は19.38gであり、質量平均分子量(Mw)は1500であり、粘度は210cPであり、組成比は(Vi−SiMe1/20.32(MeSiO2/20.25(PhSiO3/20.33(SiO4/20.10であり、Vi−Si基の含有量は2.19mmol/gであり、HO−Si基の含有量は3.2mmol/g(3.0質量%)であった。
[比較合成例1]
フッ素樹脂製の撹拌翼、ジムロート型還流器を具備した容積2Lの3口フラスコに、96.16g(0.80mol)のMeSi(OMe)、158.64g(0.80mol)のPhSi(OMe)を採取した。次いで、180.15gの水および0.12gの酢酸を該フラスコ内に加えて、該フラスコ内を6時間、連続的に100℃にて加温し、加水分解および縮合反応を行った。その後、反応液を室温に戻し、52.08gのSi(OEt)を該フラスコ内に加えて、該フラスコ内を6時間、連続的に100℃にて加温し、加水分解および縮合反応を行った。
その結果、白色固体が得られたが、(MeSiO2/2)で表される構造単位と、(PhSiO3/2)で表される構造単位と、(SiO4/2)で表される構造単位とを有する、目的のシリコーン樹脂は得られなかった。
[比較合成例2]
フッ素樹脂製の撹拌翼、ジムロート型還流器を具備した容積200mLのフラスコに、20.00gシリコーン樹脂(I)を採取した。次いで、7.64gのSi(OEt)、5.29gの11mmol/L酢酸水溶液を該フラスコ内に加えて、該フラスコ内を6時間、連続的に100℃にて加温し、加水分解および縮合反応を行った。
その結果、白色固体およびゲル状物質が得られたが、(MeSiO2/2)で表される構造単位と、(PhSiO3/2)で表される構造単位と、(SiO4/2)で表される構造単位とを有する、目的のシリコーン樹脂は得られなかった。
[比較合成例3]
酢酸水溶液の代わりに、3.4μLの酢酸を用いる以外は、比較合成例2と同様の方法により、加水分解および縮合反応を行った。
その結果、フラスコ内に白色固体が得られたが、(MeSiO2/2)で表される構造単位と、(PhSiO3/2)で表される構造単位と、(SiO4/2)で表される構造単位とを有する、目的のシリコーン樹脂は得られなかった。
[比較合成例4]
酢酸水溶液の代わりに、3.4μLの酢酸と、7.06gの2−プロパノールとを用いる以外は、比較合成例2と同様の方法により、加水分解および縮合反応を行った。
その後、反応液を分液ロートに反応溶液を移し、50mLのトルエンと50mLの水を加え、抽出操作をした後、有機層を回収した。次いで50mLの水により有機層の洗浄操作を2回行った。エバポレーターにより有機層からトルエンを留去した。
その結果、無色透明な液体としてシリコーン樹脂を得られたが、このシリコーン樹脂には、(MeSiO2/2)で表される構造単位と、(PhSiO3/2)で表される構造単位と、(SiO4/2)で表される構造単位とを有する、目的のシリコーン樹脂は得られなかった。
[比較合成例5−1] シリコーン樹脂(PI)の合成
96.16g(0.8mol)のMeSi(OMe)および158.64g(0.8mol)のPhSi(OMe)に加えて、さらに52.08g(0.25mol)のSi(OEt)を採取した以外は、比較合成例1と同様の方法により、加水分解および縮合反応を行った。
その後、反応液を室温に戻し、2Lの分液ロートに移し、400mLのトルエンおよび400mLの水を加え、分液操作を行った後、水層を除去した。次いで400mLの水により有機層の洗浄操作を2回行った。その後、有機層を回収し、エバポレーターにて、トルエンを減圧留去した。
その結果、無色の粘性液体としてシリコーン樹脂(PI)を得た。シリコーン樹脂(PI)の収量は288.82gであり、質量平均分子量(Mw)は1200であり、組成比は(MeSiO2/20.36(PhSiO3/20.48(SiO4/20.16であり、HO−Si基の含有量は8.4mmol/g(14質量%)であった。
[比較合成例5−2] シリコーン樹脂(PA1)の合成
20.00gのシリコーン樹脂(II)、60.00gのトルエン、20.00gのメタノール、4.94gの1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンおよび0.12mLの70%濃硝酸の代わりに、
179.22gのシリコーン樹脂(PI)、537.66gのトルエン、179.22gのメタノール、35.30gの1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンおよび0.84mLの70%濃硝酸を用いた以外は原料合成例2−2と同様の方法により、反応を行った。
その後、60gの水の代わりに、540gの水を用いた以外は原料合成例2−2と同様の操作を行った。その結果、無色透明な粘性液体としてシリコーン樹脂(PA1)を得た。
シリコーン樹脂(PA1)の収量は159.76gであり、質量平均分子量(Mw)は2400であり、粘度は42000cPであり、組成比は(H−SiMe1/20.23(MeSiO2/20.14(PhSiO3/20.52(SiO4/20.11であり、H−Si基の含有量は2.1mmol/gであり、HO−Si基の含有量は3.2mmol/g(6質量%)であった。
[比較合成例5−3] シリコーン樹脂(PB1)の合成
20.00gのシリコーン樹脂(II)、60.00gのトルエン、20.00gのメタノール、6.86gの1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンおよび2.36mLの70%濃硝酸の代わりに、
89.61gのシリコーン樹脂(PI)、268.83gのトルエン、89.61gのメタノール、24.56gの1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンおよび24.50mLの70%濃硝酸を用いた以外は原料合成例2−3と同様の方法により、反応を行った。
その後、60gの水の代わりに、270gの水を用いた以外は原料合成例2−3と同様の操作を行った。その結果、無色透明な粘性液体としてシリコーン樹脂(PB1)を得た。
シリコーン樹脂(PB1)の収量は92.52gであり、質量平均分子量(Mw)は1700、粘度は11000cPであり、組成比は(Vi−SiMe1/20.22(MeSiO2/20.21(PhSiO3/20.44(SiO4/20.13であり、Vi−Si基の含有量は2.0mmol/gであり、HO−Si基の含有量は2.1mmol/g(4質量%)であった。
[比較合成例6−1] シリコーン樹脂(QI)の合成
水および酢酸をフラスコ内に加える際に、さらに239.6gの2−プロパノールを加えた以外は、比較合成例5と同様の方法により、加水分解および縮合反応を行った。
その後、比較合成例5と同様の操作を行った結果、無色の粘性液体としてシリコーン樹脂(QI)を得た。
シリコーン樹脂(QI)の収量は143.4gであり、質量平均分子量(Mw)は1,100であり、組成比は(MeSiO2/20.36(PhSiO3/20.50(SiO4/20.14であり、HO−Si基の含有量は7.9mmol/g(14質量%)であった。
[比較合成例6−2] シリコーン樹脂(QA1)の合成
20.00gのシリコーン樹脂(II)、60.00gのトルエン、20.00gのメタノール、4.94gの1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンおよび0.12mLの70%濃硝酸の代わりに、
173.7gのシリコーン樹脂(QI)、521.1gのトルエン、173.7gのメタノール、32.3gの1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンおよび0.77mLの70%濃硝酸を用いた以外は原料合成例2−2と同様の方法により、反応を行った。
その後、60gの水の代わりに、521.1gの水を用いた以外は原料合成例2−2と同様の操作を行った。その結果、無色透明な粘性液体としてシリコーン樹脂(QA1)を得た。
シリコーン樹脂(QA1)の収量は165.7gであり、質量平均分子量(Mw)は3300であり、粘度は94000cPであり、組成比は(H−SiMe1/20.24(MeSiO2/20.15(PhSiO3/20.48(SiO4/20.13であり、H−Si基の含有量は2.3mmol/gであり、HO−Si基の含有量は3.1mmol/g(5質量%)であった。
[比較合成例6−3] シリコーン樹脂(QB1)の合成
20.00gのシリコーン樹脂(II)、60.00gのトルエン、20.00gのメタノール、6.86gの1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンおよび2.36mLの70%濃硝酸の代わりに、
91.4gのシリコーン樹脂(QI)、274.2gのトルエン、91.4gのメタノール、23.6gの1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンおよび8.10mLの70%濃硝酸を用いた以外は原料合成例2−3と同様の方法により、反応を行った。
その後、60gの水の代わりに、274.2gの水を用いた以外は原料合成例2−3と同様の操作を行った。その結果、無色透明な粘性液体としてシリコーン樹脂(QB1)を得た。
シリコーン樹脂(QB1)の収量は99.2gであり、質量平均分子量(Mw)は1900であり、粘度は9600cPであり、組成比は(Vi−SiMe1/20.23(MeSiO2/20.19(PhSiO3/20.43(SiO4/20.15、Vi−Si基の含有量は2.2mmol/gであり、HO−Si基の含有量は1.7mmol/g(3質量%)であった。
[比較合成例7−2] シリコーン樹脂(RA1)の合成
20.00gのシリコーン樹脂(II)、60.00gのトルエン、20.00gのメタノール、4.94gの1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンおよび0.12mLの70%濃硝酸の代わりに、
39.7gのシリコーン樹脂(I)、119gのトルエン、39.7gのメタノール、8.3gの1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンおよび0.20mLの70%濃硝酸を用いた以外は原料合成例2−2と同様の方法により、反応を行った。
その後、60gの水の代わりに、119gの水を用いた以外は原料合成例2−2と同様の操作を行った。その結果、無色透明な粘性液体としてシリコーン樹脂(RA1)を得た。
シリコーン樹脂(RA1)の収量は42.5gであり、質量平均分子量(Mw)は1900であり、粘度は200cPであり、組成比は(H−SiMe1/20.27(MeSiO2/20.31(PhSiO3/20.42であり、H−Si基の含有量は2.8mmol/gであり、HO−Si基の含有量は2.0mmol/g(3.4質量%)であった。
[比較合成例7−3] シリコーン樹脂(RB1)の合成
20.00gのシリコーン樹脂(II)、60.00gのトルエン、20.00gのメタノール、6.86gの1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンおよび2.36mLの70%濃硝酸の代わりに、
19.9gのシリコーン樹脂(I)、59.7gのトルエン、19.9gのメタノール、5.76gの1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンおよび1.98mLの70%濃硝酸を用いた以外は原料合成例2−3と同様の方法により、反応を行った。
その後、60gの水の代わりに、59.7gの水を用いた以外は原料合成例2−3と同様の操作を行った。その結果、無色透明な粘性液体としてシリコーン樹脂(RB1)を得た。
シリコーン樹脂(RB1)の収量は20.6gであり、質量平均分子量(Mw)は1800であり、粘度は350cPであり、組成比は(Vi−SiMe1/20.23(MeSiO2/20.32(PhSiO3/20.45であり、Vi−Si基の含有量は2.3mmol/gであり、HO−Si基の含有量は2.1mmol/g(3.6質量%)であった。
合成したシリコーン樹脂(A1)、(B1)、(A2)、(B2)、(PA1)、(PB1)、(QA1)、(QB1)、(RA1)、(RB1)について、組成比および各物性値(HO−Si基の含有量、H−Si基またはVi−Si基の含有量、質量平均分子量、粘度、屈折率、透明性)について表2に示す。
Figure 2017128707
表2に示されるように原料合成例で得られたシリコーン樹脂(A1)、(B1)、(A2)、(B2)はいずれも、比較合成例で得られたシリコーン樹脂(PA1)、(PB1)、(QA1)、(QB1)と比較して極めて低い粘性を示した。また、比較合成例で得られた、(SiO4/2)で表される構造単位を有さないシリコーン樹脂である、シリコーン樹脂(RA1)、(RB1)と比較しても同等程度もしくは低い粘性を示した。
原料合成例で得られたシリコーン樹脂(A1)、(B1)、(A2)、(B2)はいずれも(SiO4/2)で表される構造単位を有するため、(SiO4/2)で表される構造単位を有さないシリコーン樹脂に比べて、架橋密度が高くなっている。このように、一般的に、架橋密度が高くなるほど粘性が高くなるにも関わらず、シリコーン樹脂(A1)、(B1)、(A2)、(B2)はいずれも、低い粘性を有する。
また、比較合成例1〜4で示されるように、加水分解重縮合のための触媒として、酢酸を用いる場合、酢酸水溶液を用いる場合、または、酢酸と溶媒として2−プロパノールとを用いる場合には、いずれも(MeSiO2/2)で表される構造単位と、(PhSiO3/2)で表される構造単位と、(SiO4/2)で表される構造単位とを有する、目的のシリコーン樹脂を合成することはできなかった。
一方で、原料合成例で示されるように、硝酸のような強酸性触媒を用いる場合には、(MeSiO2/2)で表される構造単位と、(PhSiO3/2)で表される構造単位と、(SiO4/2)で表される構造単位とを少なくとも有する、目的のシリコーン樹脂を合成することができた。
3.硬化性シリコーン樹脂組成物の調製
後述する実施例1〜2、比較例1〜3において、
シリコーン樹脂(A1)、(A2)、(PA1)、(QA1)および(RA1)からなる群より選ばれる一種を(A)成分とし、
シリコーン樹脂(B1)、(B2)、(PB1)、(QB1)および(RB1)からなる群より選ばれる一種を(B)成分とし、
(A)成分と(B)成分とを、(A)成分の質量:(B)成分の質量=2:1となるように配合し、さらに、(C)成分として白金触媒と混合して、組成物1〜5を調製した。
ここで、白金触媒としては、組成物全体量に対して、白金原子の含有量が質量単位で0.03ppmとなるように白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体を用いた。調製した組成物1〜5の各組成を表3に示す。
4.組成物およびその硬化物の物性評価方法
調製した組成物の粘度、HO−Si基含有量、該組成物から得られる硬化物の物理特性(硬度、密着性、透明性、線熱膨張係数、接着強度)、硬化時の外観および打ち抜き成形性を次のようにして測定した。
[組成物の粘度]
調製した組成物の粘度は、JIS Z8803(2011)における「円すい−板形回転粘度計による粘度測定方法」に従い、回転粘度計(ANTON PAAR製、品名:PHYSICA MCR51、測定範囲:200〜1,000,000cP)と温度制御ユニット(ANTON PAAR製、品名:P−PTD200)を使用して、標準状態(25℃、1気圧)においてせん断速度30[1/s]で測定し、測定開始から1分後に得られた値を採用した。測定範囲未満の低粘度液体の時は「<200」と表記した。
[組成物のHO−Si基含有量]
調製した組成物のHO−Si基含有量について、下記式[8]より算出した:
[組成物のHO−Si基含有量]={((A)成分のHO−Si基含有量)×2+((B)成分のHO−Si基含有量)}/2 ・・・式[8]
[硬化物の硬度]
調製した組成物を型(25mmφ)に流し込み、空気中90℃で1時間加熱し、さらに150℃で4時間加熱して厚さが4〜5mmの硬化物を作製した。この硬化物のショアAまたはショアDの硬度を、デュロメーター(株式会社テクロック製、型式:GS−719R、GS−720R)を用いて、JIS K 7215「プラスチックのデュロメータ硬さ試験方法」に規定の方法により測定した。
[硬化物の密着性試験(SMD3528型PPA樹脂パッケージ)]
調製した組成物をSMD3528型PPA樹脂パッケージ(表面実装部品3528型ポリフタルアミド樹脂パッケージ)(3.5mm×2.8mm×0.9mm)に流し込み、空気中90℃で1時間加熱し、さらに150℃で4時間加熱して硬化物とした検体を24検体作製した。これらの検体を光学顕微鏡(光学倍率;3倍〜30倍)で確認し、硬化物がパッケージから剥離していたものを「剥離」、剥離していなかったものを「密着」と評価した。24検体中、「密着」と評価した検体の数を「合格数」として計上した。
[硬化物の密着性試験(SMD6050型PPA樹脂パッケージ)]
調製した組成物をSMD6050型PPA樹脂パッケージ(6.0mm×5.0mm×2.0mm)に流し込み、空気中90℃で1時間加熱し、さらに150℃で4時間加熱して硬化物とした検体を12検体作製した。これらの検体を光学顕微鏡(光学倍率;3倍〜30倍)で確認し、硬化物がパッケージから剥離していたものを「剥離」、剥離していなかったものを「密着」と評価した。12検体中、「密着」と評価した検体の数を「合格数」として計上した。
[硬化物の透明性]
調製した組成物を型(22mmφ)に流し込み、空気中90℃で1時間加熱し、さらに150℃で4時間加熱して22mmφ、2mm厚の硬化物を作製した。紫外可視分光光度計(株式会社島津製作所製、型番:UV−3150)を使用して、この硬化物の405nm、365nm波長領域における透過率を測定した。
[硬化物の耐熱透明性]
調製した組成物を型(22mmφ)に流し込み、空気中90℃で1時間加熱し、さらに150℃で4時間加熱して22mmφ、2mm厚の硬化物を作製した。この硬化物を200℃、100時間加熱した後、紫外可視分光光度計(株式会社島津製作所製、型番:UV−3150)を使用し、405nm、365nm波長領域における透過率を測定した。
[硬化物の線熱膨張係数]
調製した組成物0.7gをフッ素樹脂製チューブ(内径:5.8mmφ、高さ:1.8mm)に加えて空気中90℃で1時間加熱し、さらに150℃で4時間加熱して硬化物を作製した。ThermoPlusTMA8310(リガク株式会社製)を用いて、この硬化物を空気中、5℃/分の昇温速度で25℃から200℃まで加熱して線熱膨張係数を測定した。この測定は2回行い、測定値は2回目のものを採用した。
[硬化物の接着強度]
調製した組成物と、直径50μmのジルコニアボールとを混合したものを、ガラスチップ(5.0mm×5.0mm×1.1mm)と、ガラス基板(50mm×50mm×3.0mm)との間に挟んだ状態で空気中90℃で1時間加熱し、さらに150℃で4時間加熱して硬化させた。作製した試料の接着力(接着強度)をボンドテスター(デイジ・ジャパン株式会社製、型式:Dage4000Plus)により測定した。硬化物の強度が弱く、測定時に硬化物が破壊され接着強度の値が得られなかったものを「凝集破壊」と表記した。
[硬化物の外観]
調製した組成物1gを、ガラスモールド(22mmφ)に広げ、空気中90℃で1時間加熱し、さらに150℃で4時間加熱して22mmφ、2mm厚の硬化物を作製した。3個の試験体を作製し、試験体の外観を目視確認し、全ての試験体において、硬化物中に泡およびクラックの発生が観測されない状態を「良好」とした。それ以外の場合には「不良」とした。
[打ち抜き成形性試験]
調製した組成物を型(90mm×90mm×2mm)に流し込み、空気中90℃で1時間加熱し、さらに150℃で4時間加熱して板状硬化物を作製した。この板状硬化物を、JIS K 6251に準じてダンベル状8号形に打ち抜き成形した。硬化体の打ち抜き時に亀裂や樹脂欠けが生じずに打ち抜き成形できたものを「良好」と評価した。それ以外の場合には「不良」とした。
5.実施例および比較例
[実施例1〜2、比較例1〜3]
調製した組成物1〜2を用いて、上述の物性評価試験を行った(実施例1〜2)。同様にして、調製した組成物3〜5を用いて、上述の物性評価試験を行った(比較例1〜3)。これらの結果を表3に示す。
Figure 2017128707
表3に示されるように実施例1〜2で調製した組成物1〜2は、比較例1〜2で調製した組成物3〜4と比較していずれも極めて低い粘度を有する。さらに、組成物1〜2から得られた硬化物は、良好な外観、打ち抜き成形性を示し、密着性、透明性においては同等の物性を持ち合わす。また、比較例3のような低粘度の組成物5から得られた硬化物と比較すると密着性および樹脂強度面で優れた物性を有する。
以上のことから、本発明の範疇にある実施例1〜2で調製した組成物1〜2は極めて低い粘性を有し、その硬化物は良好な物性を有することが示された。
1…封止材、 2…光半導体素子、 3…ボンディングワイヤー、 4…反射材、 5…リードフレーム、 6…光半導体基板、 10…光半導体装置。

Claims (14)

  1. 下記(A)成分、(B)成分および(C)成分を少なくとも含む、硬化性シリコーン樹脂組成物。
    (A)成分: 下記式[1]で示され、粘度が10,000cP以下である、シリコーン樹脂、
    (B)成分: 下記式[2]で示され、粘度が10,000cP以下である、シリコーン樹脂、
    (C)成分: ヒドロシリル化触媒。
    Figure 2017128707
    (式[1]中、Meはメチル基を示し、Phはフェニル基を示し、a、b、cおよびdはそれぞれ0超、1未満の数であり、a+b+c+d=1を満たし、(H−SiMe1/2)、(MeSiO2/2)、(PhSiO3/2)および(SiO4/2)で表される構造単位における酸素原子はそれぞれ、シロキサン結合を形成している酸素原子、またはシラノール基を形成している酸素原子を示す。
    式[2]中、Viはビニル基を示し、Meはメチル基を示し、Phはフェニル基を示し、e、f、gおよびhはそれぞれ0超、1未満の数であり、e+f+g+h=1を満たし、(Vi−SiMe1/2)、(MeSiO2/2)、(PhSiO3/2)および(SiO4/2)で表される構造単位における酸素原子はそれぞれ、シロキサン結合を形成している酸素原子、またはシラノール基を形成している酸素原子を示す。)
  2. (A)成分のaの値が0.05〜0.40であり、bの値が、0.10〜0.80であり、cの値が、0.10〜0.80であり、dの値が、0.0005〜0.40である、請求項1に記載の組成物。
  3. (B)成分のeの値が0.05〜0.40であり、fの値が、0.10〜0.80であり、gの値が、0.10〜0.80であり、hの値が、0.0005〜0.40である、請求項1または2に記載の組成物。
  4. (A)成分の質量平均分子量が500〜10,000である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の組成物。
  5. (B)成分の質量平均分子量が500〜10,000である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の組成物。
  6. (A)成分および(B)成分の含有割合が、(A)成分に含有されるH−Si基のモル数/(B)成分に含有されるVi−Si基のモル数の比で表して1〜4である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の組成物。
  7. 硬化遅延剤、酸化防止剤、光安定剤、接着付与剤、蛍光体、無機粒子、離型剤、樹脂改質剤、着色剤、希釈剤、抗菌剤、防黴剤、レベリング剤およびタレ防止剤からなる群より選ばれる少なくとも一種をさらに含む、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の組成物。
  8. 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の組成物を硬化してなる硬化物。
  9. 請求項8に記載の硬化物で、半導体素子が少なくとも封止された半導体装置。
  10. 下記式[1]で示され、粘度が10,000cP以下である、シリコーン樹脂。
    Figure 2017128707
    (式[1]中、Meはメチル基を示し、Phはフェニル基を示し、a、b、cおよびdはそれぞれ0超、1未満の数であり、a+b+c+d=1を満たし、(H−SiMe1/2)、(MeSiO2/2)、(PhSiO3/2)および(SiO4/2)で表される構造単位における酸素原子はそれぞれ、シロキサン結合を形成している酸素原子、またはシラノール基を形成している酸素原子を示す。)
  11. 下記式[2]で示され、粘度が10,000cP以下である、シリコーン樹脂。
    Figure 2017128707
    (式[2]中、Viはビニル基を示し、Meはメチル基を示し、Phはフェニル基を示し、e、f、gおよびhはそれぞれ0超、1未満の数であり、e+f+g+h=1を満たし、(Vi−SiMe1/2)、(MeSiO2/2)、(PhSiO3/2)および(SiO4/2)で表される構造単位における酸素原子はそれぞれ、シロキサン結合を形成している酸素原子、またはシラノール基を形成している酸素原子を示す。)
  12. 下記(A)成分、(B)成分および(C)成分を少なくとも調合する、硬化性シリコーン樹脂組成物の製造方法。
    (A)成分: 少なくとも下記第1工程〜第3工程を含む方法によって得られる、粘度が10,000cP以下である、シリコーン樹脂、
    (B)成分: 少なくとも下記第4工程を含む方法によって得られる、粘度が10,000cP以下である、シリコーン樹脂、
    (C)成分: ヒドロシリル化触媒。
    第1工程: 下記一般式[3]で示されるジアルコキシシランと下記一般式[4]で示されるトリアルコキシシランとを反応させて第1の加水分解重縮合物を得る工程。
    第2工程: 第1の加水分解重縮合物と下記一般式[5]で示されるテトラアルコキシシランとを強酸条件下で反応させて第2の加水分解重縮合物を得る工程。
    第3工程: 第2の加水分解重縮合物と、下記一般式[6]、[7]または[8]で示されるシラン化合物とを強酸条件下で反応させることにより、(A)成分を得る工程。
    Figure 2017128707
    (式[3]中、Meはメチル基を示し、Rは、炭素数1〜3のアルキル基を示し、2つのRは互いに同じまたは異なる種類であってもよく、式[4]中、Phはフェニル基を示し、Rは、炭素数1〜3のアルキル基を示し、3つのRは互いに同じまたは異なる種類であってもよく、式[5]中、Rは、炭素数1〜3のアルキル基を示し、4つのRは互いに同じまたは異なる種類であってもよく、式[6]〜式[8]中、Meはメチル基を示し、式[7]中、Rは、炭素数1〜3のアルキル基を示す。)
    第4工程: 上記第2の加水分解重縮合物と、下記一般式[9]、[10]または[11]で示されるシラン化合物とを強酸条件下で反応させることにより、(B)成分を得る工程。
    Figure 2017128707
    (式[9]〜式[11]中、Viはビニル基を示し、Meはメチル基を示し、式[10]中、Rは、炭素数1〜3のアルキル基を示す。)
  13. 下記第1工程〜第3工程を少なくとも含む、粘度が10,000cP以下である、シリコーン樹脂の製造方法。
    第1工程: 下記一般式[3]で示されるジアルコキシシランと下記一般式[4]で示されるトリアルコキシシランとを反応させて第1の加水分解重縮合物を得る工程。
    第2工程: 第1の加水分解重縮合物と下記一般式[5]で示されるテトラアルコキシシランとを強酸条件下で反応させて第2の加水分解重縮合物を得る工程。
    第3工程: 第2の加水分解重縮合物と、下記一般式[6]、[7]または[8]で示されるシラン化合物とを強酸条件下で反応させることにより、粘度が10,000cP以下である、シリコーン樹脂を得る工程。
    Figure 2017128707
    (式[3]中、Meはメチル基を示し、Rは、炭素数1〜3のアルキル基を示し、2つのRは互いに同じまたは異なる種類であってもよく、式[4]中、Phはフェニル基を示し、Rは、炭素数1〜3のアルキル基を示し、3つのRは互いに同じまたは異なる種類であってもよく、式[5]中、Rは、炭素数1〜3のアルキル基を示し、4つのRは互いに同じまたは異なる種類であってもよく、式[6]〜式[8]中、Meはメチル基を示し、式[7]中、Rは、炭素数1〜3のアルキル基を示す。)
  14. 下記第1工程、第2工程および第4工程を少なくとも含む、粘度が10,000cP以下である、シリコーン樹脂の製造方法。
    第1工程: 下記一般式[3]で示されるジアルコキシシランと下記一般式[4]で示されるトリアルコキシシランとを反応させて第1の加水分解重縮合物を得る工程。
    第2工程: 第1の加水分解重縮合物と下記一般式[5]で示されるテトラアルコキシシランとを強酸条件下で反応させて第2の加水分解重縮合物を得る工程。
    第4工程: 第2の加水分解重縮合物と、下記一般式[9]、[10]または[11]で示されるシラン化合物とを強酸条件下で反応させることにより、粘度が10,000cP以下である、シリコーン樹脂を得る工程。
    Figure 2017128707
    (式[3]中、Meはメチル基を示し、Rは、炭素数1〜3のアルキル基を示し、2つのRは互いに同じまたは異なる種類であってもよく、式[4]中、Phはフェニル基を示し、Rは、炭素数1〜3のアルキル基を示し、3つのRは互いに同じまたは異なる種類であってもよく、式[5]中、Rは、炭素数1〜3のアルキル基を示し、4つのRは互いに同じまたは異なる種類であってもよく、式[9]〜式[11]中、Meはメチル基を示し、Viはビニル基を示し、式[10]中、Rは、炭素数1〜3のアルキル基を示す。)
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