JP2017127842A - 水処理システムおよび水処理方法 - Google Patents
水処理システムおよび水処理方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2017127842A JP2017127842A JP2016010890A JP2016010890A JP2017127842A JP 2017127842 A JP2017127842 A JP 2017127842A JP 2016010890 A JP2016010890 A JP 2016010890A JP 2016010890 A JP2016010890 A JP 2016010890A JP 2017127842 A JP2017127842 A JP 2017127842A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- chamber
- working medium
- membrane
- water
- pump
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02A—TECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
- Y02A20/00—Water conservation; Efficient water supply; Efficient water use
- Y02A20/124—Water desalination
- Y02A20/131—Reverse-osmosis
Landscapes
- Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
Abstract
【課題】 第1のチャンバ内の被処理水中の水を大きな透過流束で透過膜を透過して第2のチャンバ内の作業媒体に移動させることが可能で、低コストで運転可することができる水処理システムを提供する。【解決手段】 実施形態に係る水処理システムは、被処理水を収容する第1のチャンバと、浸透圧を誘起する作業媒体を収容する第2のチャンバと、前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとを区画する、活性層を有する浸透膜と、前記第1のチャンバ内に前記被処理水を供給する第1のポンプと、前記第2のチャンバ内に前記作業媒体を供給する第2のポンプとを備える。前記浸透膜の前記活性層は、前記第2のチャンバ側に位置する。前記第1のポンプは、前記第2のポンプからの吐出流量の2倍以上4倍未満の吐出流量となるように構成されている。【選択図】図1
Description
本発明に係る実施形態は、水処理システムおよび水処理方法に関する。
低い濃度の溶液と高い濃度の溶液とを浸透膜で隔離すると、低い濃度の溶液の溶媒は浸透膜を透過して高い濃度の溶液側に移動する。この溶媒が移動する現象を利用することにより、海水淡水化などの脱塩を行う脱塩システムが知られている。また、水の移動過程を用いて食品や汚泥を濃縮する濃縮システムも知られている。このとき濃度の高い側に使用されるのが作業媒体(ドロー溶液:Draw solution)で、これまで種々のものが提案されている。
炭酸アンモニウムはその100gが100mlの水に常温で溶けるほど溶解性が良いため、海水(3.5Wt%)から真水を吸引できるほどの浸透圧を得ることができる。その後、僅か60℃で分解し、炭酸ガスとアンモニアガスになるので,これを水から追い出すことで高い脱塩率の水が得られる。しかし微量のアンモニアを取り除くのは簡単でないことも分かっているため、このまま飲料にするのにはもう一段の浄化プロセスを要する。
また近年、高濃度で塩を含む被処理水をFO法で処理するときには、浸透膜を通過する水の流量が小さいために時間がかかる。この問題を打破するためには、フィード(Feed、供給)側から少し加圧する手法が提案されている。そのような手法では、例えば、フィード側供給流量を10倍〜20倍にすることにより浸透膜に圧を加え、浸透膜を通過する液体の流量を増やしている。
M. Elimelech, W. A. Philip, "The future of seawater desalination: Energy, technology, and the environment," Science, 333 (2011) 712-717.
R. L. McGinnis, J. R. McCutcheon, M. Elimelech "A novel ammonia-carbon dioxide osmotic heat engine for power generation," Journal of Membrane Science 305 (2007) 13-19.
M. Hamdan, A.O. Sharif, G. Derwish, S. Al-Aibi, A. Altaee, "Draw solutions for Forward Osmosis process: Osmotic pressure of binary and ternary aqueous solutions of magnesium chloride, sodium chloride, sucrose and maltose," J. Food Engineering, 155 (2015) 10-15.
.Achilli, T. Y. Cath, A. E. Childress, Selection of inorganic-based draw solutions for forward osmosis applications, J.Membr.Sci., 364 (2010) 233-241.
S. K. Yen, F. Mehnas Haja N., M. Su, K. Y. Wang, T.-S. Chung, "Study of draw solutes using 2-methylimidazole-based compounds in forward osmosis," Journal of Membrane Science 364 (2010) 242-252.
実施形態は、抑制されたエネルギー消費の下で透過膜を通過する液体の流量を増やすことを可能にする水処理システムおよび水処理方法を提供する。
1つの実施形態に係る水処理システムは、被処理水を収容する第1のチャンバと、浸透圧を誘起する作業媒体を収容する第2のチャンバと、活性層を有しており、前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとを区画する浸透膜と、前記第1のチャンバ内に前記被処理水を供給する第1のポンプと、前記第2のチャンバ内に前記作業媒体を供給する第2のポンプとを備える。前記浸透膜の前記活性層は、前記第2のチャンバ側にある。前記第1のポンプは、前記第2のポンプからの吐出流量の2倍以上4倍未満の吐出流量となるように構成されている。
以下、実施形態の水処理システムを説明する。
実施形態に係る水処理システムは、被処理水を収容する第1のチャンバと、浸透圧を誘起する作業媒体を収容する第2のチャンバと、前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとを区画する浸透膜とを備える。このような水処理システムによれば、第1のチャンバ内の被処理水と第2のチャンバ内の作業媒体との間で生じる浸透圧差により第1のチャンバ内の被処理水中の水が浸透膜を透過して第2のチャンバ内の作業媒体に移動する。このため、第1のチャンバ内の被処理水中の水が浸透膜を透過して第2のチャンバ内の作業媒体に移動する際、透過流束を発生させることができる。
浸透膜は、活性層を有しており、この活性層が第2のチャンバ側に位置するように浸透膜は配置されている。更に、第1の実施形態は、前記第1のチャンバ内に前記被処理水を供給する第1のポンプと、前記第2のチャンバ内に前記作業媒体を供給する第2のポンプとを備える。前記第1のポンプは、前記第2のポンプからの吐出流量の2倍以上4倍未満の吐出流量となるように構成されている。これにより、第1のチャンバ内から第2のチャンバ内への水の流量が増加される。したがって、第1のチャンバ内の被処理水中の水が浸透膜を透過して第2のチャンバ内の作業媒体に移動する際に高透過流束を発生させることができる。その結果、被処理水の脱塩、濃縮等の処理を効率的に実施し得る、低コストにて運転可能な水処理システムを提供できる。
上述したように第1のポンプは、第2のポンプからの吐出流量の2倍以上4倍未満の吐出流量となるように構成されている。浸透膜面積や装置の構成によっては加圧が生じる可能性もあるが、その場合には、浸透膜への加圧が生じない範囲で第1のポンプが、前記第2のポンプからの吐出流量の2倍以上4倍未満の吐出流量となるように構成されていればよい。また、第1のポンプおよび第2のポンプの吐出流量の相対的な差は、第1のポンプまたは第2のポンプの吐出流量の何れかを調整することにより達成されてもよく、或いは第1のポンプおよび第2のポンプの両方の吐出流量を調整することにより行われてもよい。
前記被処理水は、例えば塩水(海水等)、湖水、河川水、沼水、生活排水、産業廃水またはそれらの混合物を挙げることができる。被処理水が塩水の場合、塩水の塩濃度は例えば、0.05%〜4%であればよい。
前記浸透膜は、例えば正浸透膜(FO膜)であっても逆浸透膜(RO膜)であってもよい。好ましい浸透膜は、FO膜である。
浸透膜は、例えば酢酸セルロース膜、ポリアミド膜などを用いることができる。浸透膜は、45〜250μmの厚さを有することが好ましい。
作業媒体は、水との間に浸透圧を生じる高浸透圧液であればよく、塩または有機物などを溶質として含む液体であり得る。
作業媒体は、無機性溶液であり得る。例えば、作業媒体は、水に、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カリウムなどの無機塩、クエン酸ナトリウム、クエン酸マグネシウムなどのクエン酸塩、酢酸ナトリウム、酢酸マグネシウムなどの酢酸塩、グルコン酸、乳酸、グリコール酸、グリセリン酸などのヒドロキシカルボン酸またはこれらの金属塩などの有機塩、或いはこれらの何れかの組み合わせを溶質として含む水溶液であり得る。
或いは作業媒体は、有機溶媒、含水有機溶媒、水−有機溶媒混合液および常温で固体の有機物の水溶液などであってもよい。また例えば、作用媒体は、アルコールであってよく、例えば、一価アルコール、多価アルコール、例えば、二価アルコール、三価アルコール、四価アルコール、五価アルコール、六価アルコールなどの多価アルコール、例えば、グリセリン、t−ブチルアルコール、イソプロピルアルコール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、ペルセイトール、ボレミトール、D−エリトロ−D−ガラクト−オクチトールなどであり得る。
これらの作業媒体中の溶質の濃度は、処理されるべき被処理水との間に浸透圧を生じる濃度であり得る。例えば、少なくとも稼働初期および/または可動時の作業媒体中の溶質の濃度は、Van't Hoff係数を掛けた濃度が4mol/kg以上であることが好ましい。ただし、粘度が上がってしまう場合など不都合が起こるときは濃度を下げる方向で調節する。濃度の上限に関してはその物質特有の溶解度に依存する。
次に、第1の実施形態に係る水処理システムの1つの例である脱塩システムを図1に示す概略図を参照して説明する。
脱塩システム100は、浸透圧発生器1と、希釈作業媒体タンク2と、逆浸透膜分離部3と、濃縮作業媒体タンク4とを備える。浸透圧発生器1、希釈作業媒体タンク2、逆浸透膜分離部3および濃縮作業媒体タンク4は、この順序で接続されてループを形成している。浸透圧を誘起する作業媒体(ドロー溶液)はこのループを循環する。すなわち、作業媒体は浸透圧発生器1、希釈作業媒体タンク2、逆浸透膜分離部3および濃縮作業媒体タンク4をこの順番で循環する。
浸透圧発生器1は、例えば気密な第1の処理容器11を備えている。第1の処理容器11は、浸透膜(例えば正浸透膜:FO膜)12により、例えば、左側に第1のチャンバ13が、右側に第2のチャンバ14がそれぞれ形成されている。浸透膜12は、活性層12aを有しており、この活性層12aが第2のチャンバ14側に位置するように浸透膜12が配置されている。
塩水タンク15は、第1のチャンバ13が位置する第1の処理容器11にパイプライン101aを通して接続されている。第1のポンプ16は、パイプライン101aに設けられている。濃縮された塩水を排出するためのパイプライン101bは、第1のチャンバ13が位置する第1の処理容器11に接続されている。
濃縮作業媒体タンク4は、第2のチャンバ14が位置する第1の処理容器11にパイプライン101cを通して接続されている。第2のポンプ17は、パイプライン101cに設けられている。第2のチャンバ14が位置する第1の処理容器11は、希釈作業媒体タンク2にパイプライン101dを通して接続されている。
逆浸透膜分離部3は、例えば気密な第2の処理容器21を備えている。第2の処理容器21は、例えば逆浸透膜(RO膜)22により、例えば左側に第3のチャンバ23が、右側に第4のチャンバ24がそれぞれ形成されている。
前記希釈作業媒体タンク2は、第3のチャンバ23が位置する第2の処理容器21にパイプライン101eを通して接続されている。第3のポンプ25は、パイプライン101eに設けられている。第3のチャンバ23が位置する第2の処理容器21は、濃縮作業媒体タンク4にパイプライン101fを通して接続されている。第4のチャンバ24が位置する第2の処理容器21は、純水タンク26にパイプライン101gを通して接続されている。純水タンク26には、当該純水タンク26内の純水を外部に送出して回収するためのパイプライン101hが接続されている。開閉弁27は、パイプライン101hに設けられ、純水タンク26内の純水が一定量を超えると開かれる。
次に、図1に示す脱塩システムによる脱塩操作を説明する。
第1のポンプ16を駆動して塩水(例えば海水)を塩水タンク15から浸透圧発生器1の第1のチャンバ13内にパイプライン101aを通して供給する。海水の供給と前後して第2のポンプ17を駆動して濃縮作業媒体を濃縮作業媒体タンク4から浸透圧発生器1の第2のチャンバ14内にパイプライン101cを通して供給する。このとき、第2のチャンバ14に供給された濃縮作業媒体は、第1のチャンバ13に供給された海水の塩濃度に比べて高濃度である。このため、第1のチャンバ13内の海水と第2のチャンバ14内の濃縮作業媒体との間で浸透圧差が生じ、海水中の水が浸透膜12を透過して第2のチャンバ14内に移動する。このとき、浸透膜12の活性層12aが第2のチャンバ14側に位置するように、浸透膜12が配置されている。また、第1のポンプ16および第2のポンプ17の吐出流量はモニタリングされており、第1のポンプ16の吐出流量が、第2のポンプ17からの吐出流量の2倍以上4倍未満となるように、例えば、手動または制御部(図示せず)により調節されている。このため、第1のチャンバ13内の海水中の水が浸透膜12を透過して第2のチャンバ14内の濃縮作業媒体に移動する際、高い透過流束を発生する。その結果、第1のチャンバ13内の海水中の多くの水を第2のチャンバ14の濃縮作業媒体に移動でき、塩水から水(純水)を取り出す高効率の脱塩処理を実行できる。
浸透圧発生器1において、海水中の水が第1のチャンバ13から第2のチャンバ14内の濃縮作業媒体に移動することにより、海水は濃縮海水として第1のチャンバ13からパイプライン101bを通して排出され、濃縮作業媒体は移動した水で希釈される。
第2のチャンバ14の希釈作業媒体は、希釈作業媒体タンク2にパイプライン101dを通して送出され、貯留される。希釈作業媒体が希釈作業媒体タンク2内に所定の水位まで貯まると、第3のポンプ25を駆動してタンク2内の希釈作業媒体を逆浸透膜分離部3の第2の処理容器21の第3のチャンバ23にパイプライン101eを通して所望の圧力で供給する。所望の圧力で第3のチャンバ23に供給された希釈作業媒体中の水は、逆浸透膜(RO膜)22を強制的に透過して第4のチャンバ24に移動する。第3のチャンバ23内の希釈作業媒体は、水を第4のチャンバ24に移動することにより濃縮される。濃縮作業媒体は、第3のチャンバ23から濃縮作業媒体タンク4に送出される。濃縮作業媒体タンク4内の濃縮作業媒体は、第2のポンプ17を駆動することにより浸透圧発生器1の第2のチャンバ14内に供給され、前述したように塩水から水(純水)を取り出す脱塩処理に利用される。
他方、第4のチャンバ24に移動した水(純水)は、パイプライン101gを通して純水タンク26に送出される。純水タンク26内の水が一定量を超えると、開閉弁27を開き、パイプライン101hを通して外部に送出して水を回収する。
直接RO膜で強制的に脱塩処理すると、RO膜に海水中の種々の不溶性の物質が侵入し蓄積し、膜が汚れて寿命を短くする。これに対し純度の高い作業媒体のみ用いて塩水から水を吸引し、その後でRO膜処理する場合にはRO膜を汚さずにすみ、膜寿命が延びる。
したがって、海水の脱塩処理(純水の回収)を効率的に実施し得る、低コストにて運転可能な脱塩システムを提供できる。
図1に示す脱塩システムにおいて、希釈作業媒体の濃縮は逆浸透膜(RO膜)を備える逆浸透膜分離部で行なう場合に限らず、希釈作業媒体の水を除去するものであれば如何なる装置で行なってもよい。
図1では、逆浸透膜(RO膜)と組み合わせた2段階の工程を含む構成を有する水処理システムの例を示した。しかしながら実施形態に係る水処理システムはこのような構成に限定されるものではない。実施形態に係る水処理システムは、例えば、正浸透膜(FO膜)を備える浸透圧発生器1による1段階のための構成による水処理システムであってもよい。その場合であっても、実施形態に水処理システムは、高効率に脱塩を行うことが可能である。そのような水処理システムの例は後述する。
次に、第1の実施形態に係る水処理システムの1つの例である濃縮システムを図2に示す概略図を参照して説明する。
濃縮システム200は、浸透圧発生器31と、希釈作業媒体タンク32と、膜蒸留分離部33と、濃縮作業媒体タンク34とを備える。浸透圧発生器31、希釈作業媒体タンク32、膜蒸留分離部33および濃縮作業媒体タンク34は、この順序で接続されてループを形成している。作業媒体(ドロー溶液)はこのループを循環する。すなわち、作業媒体は浸透圧発生器31、希釈作業媒体タンク32、膜蒸留分離部33および濃縮作業媒体タンク34をこの順番で循環する。
浸透圧発生器31は、例えば気密な第1の処理容器41を備えている。第1の処理容器41は、浸透膜42(例えば正浸透膜:FO膜)により区画され、例えば、左側に第1のチャンバ43が、右側に第2のチャンバ44がそれぞれ形成されている。浸透膜42は、活性層42aを有しており、この活性層42aが第2のチャンバ44側に位置するように浸透膜12が配置されている。
被処理水、例えば産業廃水等の原液を収容した原液タンク45は、第1のチャンバ43が位置する第1の処理容器41にパイプライン201aを通して接続されている。第1のポンプ46は、パイプライン201aに設けられている。第1のチャンバ43が位置する第1の処理容器41には、当該第1のチャンバ43内の濃縮した原液を外部に排出するためのパイプライン201bが接続されている。
濃縮作業媒体タンク34は、第2のチャンバ44が位置する第1の処理容器41にパイプライン201cを通して接続されている。第2のポンプ47は、パイプライン201cに設けられている。第2のチャンバ44が位置する第1の処理容器11は、希釈作業媒体タンク32にパイプライン201dを通して接続されている。
膜蒸留分離部33は、例えば気密な第2の処理容器51を備えている。第2の処理容器51は、例えば多孔質ラテックス膜からなる脱水膜52により区画され、例えば、左側に第3のチャンバ53が、右側に第4のチャンバ54がそれぞれ形成されている。
前記希釈作業媒体タンク32は、第3のチャンバ53が位置する第2の処理容器51にパイプライン201eを通して接続されている。第1の開閉弁61、熱交換器62および第3のポンプ63は、パイプライン201eに作業媒体の流れ方向に沿ってこの順序で設けられている。熱交換器62には、例えば排熱ガスのパイプライン201fが交差され、パイプライン201eを流れる作業媒体が排熱ガスと熱交換して当該作業媒体を加熱する。第3のチャンバ53が位置する第2の処理容器51は、循環タンク64にパイプライン201gを通して接続されている。循環タンク64は、第1の開閉弁61と熱交換器62の間に位置するパイプライン201eの部位にパイプライン201hを通して接続されている。第2の開閉弁65は、パイプライン201hに設けられている。
このような構成により膜蒸留分離部33の第3のチャンバ53、循環タンク64およびこれらの部材を接続するパイプライン201e,201g,201hによるループが形成される。すなわち、後述する第3のチャンバ53で脱水処理され、循環タンク64に貯留された希釈作業媒体は第2の開閉弁65を開き、第3のポンプ63を駆動することにより、パイプライン201h、パイプライン201e、第3のチャンバ53およびパイプライン201gを循環する、希釈作業媒体循環系を形成している。なお、希釈作業媒体の循環において、第1の開閉弁61を閉じることにより希釈作業媒体循環系は希釈作業媒体タンク32と隔絶される。
循環タンク64は、濃縮作業媒体タンク34にパイプライン201iを通して接続されている。第4のポンプ66は、パイプライン201iに設けられている。
第1の純水タンク71は、第4のチャンバ54が位置する第2の処理容器51にパイプライン201jを通して接続されている。第4のチャンバ54が位置する第2の処理容器51は、第2の純水タンク72にパイプライン201kを通して接続されている。第3の開閉弁73は、パイプライン201kに設けられ、純水の非循環時に閉じて純水を第4のチャンバ54内に滞留する。第2の純水タンク72は、第1の純水タンク71にパイプライン201mを通して接続されている。第5のポンプ74は、パイプライン201mに設けられている。このような構成により第1の純水タンク71、膜蒸留分離部33の第4のチャンバ54、第2の純水タンク72およびこれらの部材を接続するパイプライン201j,201k,201mによるループが形成される。すなわち、第2の純水タンク72内の純水は第3の開閉弁73を開き、第5のポンプ74を駆動することにより、パイプライン201m、第1の純水タンク71、パイプライン201j、第4のチャンバ54およびパイプライン201kを循環する、純水循環冷却系を形成している。
第2の純水タンク72には、当該第2の純水タンク72内の純水を外部に送出して回収するためのパイプライン201nが接続されている。第4の開閉弁75は、パイプライン201nに設けられている。第4の開閉弁75は、前述した純水の循環時に閉じられ、第2の純水タンク72内の純水が一定量を超えると開かれる。
次に、図2に示す濃縮システムによる濃縮操作を説明する。
第1のポンプ46を駆動して被処理水である原液(例えば産業廃水)を原液タンク45から浸透圧発生器31の第1のチャンバ43内にパイプライン201aを通して供給する。原液の供給と前後して第2のポンプ47を駆動して濃縮作業媒体を濃縮作業媒体タンク34から浸透圧発生器31の第2のチャンバ44内にパイプライン201cを通して供給する。第2のチャンバ44に供給された濃縮作業媒体は第1のチャンバ43に供給された原液の濃度に比べて高濃度である。このため、第1のチャンバ43内の原液と第2のチャンバ44内の濃縮作業媒体との間で浸透圧差が生じ、原液中の水が浸透膜42を透過して第2のチャンバ44内に移動する。このとき、浸透膜42の活性層42aが第2のチャンバ44側に位置するように、浸透膜42が配置されている。また、第1のポンプ46および第2のポンプ47の吐出流量はモニタリングされており、第1のポンプ46の吐出流量が、第2のポンプ47からの吐出流量の2倍以上4倍未満となるように、例えば、手動または制御部(図示せず)により調節されている。このため、第1のチャンバ43内の原液中の水が浸透膜42を透過して第2のチャンバ44内の濃縮作業媒体に移動する際、高い透過流束を発生する。その結果、第1のチャンバ43内の原液中の多くの水を第2のチャンバ44の濃縮作業媒体に移動でき、原液の濃縮処理が高効率でなされる。
浸透圧発生器31において、原液中の水が第1のチャンバ43から第2のチャンバ44内の濃縮作業媒体に移動することにより、原液は濃縮原液として第1のチャンバ43からパイプライン201bを通して排出され、回収される。濃縮作業媒体は、移動した水により希釈される。
第2のチャンバ44の希釈作業媒体は、希釈作業媒体タンク32にパイプライン201dを通して送出され、貯留される。希釈作業媒体が希釈作業媒体タンク32内に所定量まで貯留されると、パイプライン201eに設けた第1の開閉弁61を開き、パイプライン201hに設けた第2の開閉弁65を閉じ、第3のポンプ63を駆動する。これにより希釈作業媒体タンク32内の希釈作業媒体を膜蒸留分離部33の第2の処理容器51の第3のチャンバ53にパイプライン201eを通して供給する。希釈作業媒体が第3のチャンバ53に供給される間、パイプライン201eを流通する希釈作業媒体はパイプライン201fが交差する熱交換器62で当該パイプライン201fを流通する排熱ガスと熱交換されて加熱される。また、第2の純水タンク72内の純水を第3の開閉弁73を開き、第5のポンプ74を駆動することにより、純水をパイプライン201m、第1の純水タンク71、パイプライン201j、第4のチャンバ54およびパイプライン201kに循環させて、膜蒸留分離部33の多孔質膜、例えば、ゴアテックス(登録商標)など、からなる脱水膜52を第4のチャンバ54側から純水で冷却する。すなわち、純水循環冷却系により第4のチャンバ54側の脱水膜52を冷却する。
このように加熱した希釈作業媒体を通して膜蒸留分離部33の第3のチャンバ53にパイプライン201eを供給しながら、膜蒸留分離部33の脱水膜52を第4のチャンバ54内の循環する純水で冷却することによって、第3のチャンバ53内で希釈作業媒体中の水が蒸発し、その蒸気は多孔質膜からなる脱水膜52を透過して第4のチャンバ54に移動し、循環する純水により冷却、凝縮してその中に取込まれる。すなわち、希釈作業媒体は第3のチャンバ53内で脱水処理される。第3のチャンバ53内の脱水処理された希釈作業媒体は、パイプライン201gを通して循環タンク64に送出され、貯留される。循環タンク64に貯留された希釈作業媒体は、前記脱水処理により、ある濃度まで濃縮される。
しかしながら、この程度の濃縮では濃度が低く、前述した濃縮作業媒体として使用するには適切ではない。このため、脱水処理された希釈作業媒体が循環タンク64に一定量貯留された時点で、第2の開閉弁65を開き、当該タンク64内の脱水処理された希釈作業媒体をパイプライン201hに流出する。同時に、第1の開閉弁61を閉じ、循環タンク64、パイプライン201h、パイプライン201e、第3のチャンバ53およびパイプライン201gからなる希釈作業媒体循環系を希釈作業媒体タンク32と隔絶する。
このような希釈作業媒体循環系および純水循環冷却系において、前述した第3のチャンバ53内での希釈作業媒体の水の蒸発、蒸気の脱水膜52の透過、第4のチャンバ54への移動、および第4のチャンバ54側での循環する純水による冷却、凝縮、をなす脱水処理を複数回繰り返すことによって、希釈作業媒体を濃縮作業媒体として使用し得る濃度にする。このような希釈作業媒体の循環、脱水処理後に第2の開閉弁65を閉じて、濃縮作業媒体を循環タンク64に貯留する。第4のチャンバ54に移動した水(純水)は、パイプライン201kを通して第2の純水タンク72に循環する純水と共に送出される。
濃縮作業媒体として使用し得る濃度の濃縮作業媒体を循環タンク64に貯留した後は、第5のポンプ74の駆動を停止し、第4のチャンバ54への純水の循環を停止した後、第3の開閉弁73を閉じる。なお、第2の純水タンク72内の純水が一定量を超えると、第4の開閉弁75を開き、パイプライン201nを通して外部に送出して回収される。
第4のポンプ66を駆動して循環タンク64内の濃縮作業媒体を濃縮作業媒体タンク34にパイプライン201iを通して送出する。濃縮作業媒体タンク34内の濃縮作業媒体は、前述したように原液の濃縮処理に利用するために第2のポンプ47を駆動して浸透圧発生器31の第2のチャンバ44内に供給される。
したがって、浸透圧発生器31において、第1のチャンバ43に原液を供給し、第2のチャンバ44に濃縮作業媒体を供給し、原液中の水を第1のチャンバ43から第2のチャンバ44内の濃縮作業媒体に移動させて、原液を濃縮して第1のチャンバ43からパイプライン201bを通して排出され、回収する。濃縮作業媒体は、移動した水により希釈され、その希釈作業媒体は希釈作業媒体タンク32に送出され、貯留される。
浸透圧発生器31による原液の濃縮操作の間、希釈作業媒体タンク32に貯留された希釈作業媒体は膜蒸留分離部33の第3のチャンバ53を含む希釈作業媒体循環系および膜蒸留分離部33の第4のチャンバ54を含む純水循環冷却系により濃縮操作がなされ、濃縮作業媒体タンク34に送出され、第4のチャンバ54に移動した水(純水)は第2の純水タンク72から送出、回収される。すなわち、浸透圧発生器31による原液の濃縮操作および膜蒸留分離部33による希釈作業媒体の濃縮を連続的に実行できる。
それ故、産業廃水等の原液(被処理水)の濃縮処理および水の回収を効率的に実施し得る、低コストにて運転可能な濃縮システムを提供できる。
なお、図2に示す濃縮システムにおいて、浸透圧発生器は第1の処理容器を浸透膜により水平方向に区画して第1、第2のチャンバを形成したが、第1の処理容器を浸透膜により上下に区画して第1、第2のチャンバを形成してもよい。或いは、浸透圧発生器、並びに第1および第2のチャンバの一部または全てが、それぞれ筐体以外の形状、例えば、中空糸形状、スパイラル形状などの形態であってもよい。
図2に示す濃縮システムにおいて、浸透圧発生器31の第1のチャンバ43内の濃縮された被処理水(例えば原液)をパイプライン201bを通して外部に送出、回収したが、より高濃度に濃縮された原液を得る場合には、パイプライン201bを原液タンク45に接続して原液タンク45、パイプライン201a、浸透圧発生器31の第1のチャンバ43およびパイプライン201bのループを作ってもよい。この場合、浸透圧発生器31における濃縮された原液と濃縮作業媒体の間の浸透圧差を考慮して原液の濃縮度合を決定することが望ましい。
図2に示す濃縮システムにおいて、膜蒸留分離部の脱水膜は多孔質膜、例えば、ゴアテックス(登録商標)などに限らず、蒸気を透過する機能を有するものであれば如何なるものでもよい。
図2に示す濃縮システムにおいて、希釈作業媒体の濃縮は脱水膜を備える膜蒸留分離部で行なう場合に限らず、希釈作業媒体の水を除去するものであれば如何なる装置で行なってもよい。
図2では、多孔質膜、例えば、ゴアテックス(登録商標)など、を使用する濃縮システムと組み合わせた2段階の工程を含む構成を有する水処理システムの例を示した。しかしながら実施形態に係る水処理システムはこのような構成に限定されるものではない。実施形態に係る水処理システムは、例えば、正浸透膜(FO膜)を備える浸透圧発生器1による1段階のための構成による水処理システムであってもよい。その場合であっても、実施形態に水処理システムは、高効率に脱塩を行うことが可能である。そのような水処理システムの例は後述する。
上述の図1および図2の例では、希釈作業媒体の濃縮を行う濃縮システムを含む例について説明した。実施形態に係る更なる水処理システムは、例えば、正浸透膜(FO膜)を備える浸透圧発生器1による1段階のための構成による水処理システムであり得る。そのような水処理システムの1例について図3に示す概略図を参照して説明する。なお、図3において図1と同様な部材は同符号を付して説明を省略する。
脱塩システム300は、浸透圧発生器1と、希釈作業媒体タンク92と、濃縮作業媒体タンク84と、被処理液タンク85とを備える。
浸透圧発生器1は、例えば気密な第1の処理容器11を備えている。第1の処理容器11は、浸透膜(例えば正浸透膜:FO膜)12により区画され、例えば、左側に第1のチャンバ13が、右側に第2のチャンバ14がそれぞれ形成されている。浸透膜12は、活性層12aを有しており、この活性層12aが第2のチャンバ14側に位置するように浸透膜12が配置されている。
被処理液タンク85は、第1のチャンバ13が位置する第1の処理容器11にパイプライン301aを通して接続されている。第1のポンプ16は、パイプライン301aに設けられている。濃縮された被処理液を排出するためのパイプライン301bは、第1のチャンバ13が位置する第1の処理容器11に接続されている。
濃縮作業媒体タンク84は、第2のチャンバ14が位置する第1の処理容器11にパイプライン301cを通して接続されている。第2のポンプ17は、パイプライン301cに設けられている。第2のチャンバ14が位置する第1の処理容器11は、希釈作業媒体タンク92にパイプライン301dを通して接続されている。
次に、図3に示す水処理システムによる水処理操作を説明する。
第1のポンプ16を駆動して被処理液を被処理液タンク85から浸透圧発生器1の第1のチャンバ13内にパイプライン301aを通して供給する。被処理液の供給と前後して第2のポンプ17を駆動して濃縮作業媒体を濃縮作業媒体タンク84から浸透圧発生器1の第2のチャンバ14内にパイプライン301cを通して供給する。このとき、第2のチャンバ14に供給された濃縮作業媒体は、第1のチャンバ13に供給された被処理液の塩濃度に比べて高濃度である。このため、第1のチャンバ13内の被処理液と第2のチャンバ14内の濃縮作業媒体との間で浸透圧差が生じ、被処理液中の水が浸透膜12を透過して第2のチャンバ14内に移動する。このとき、浸透膜12の活性層12aが第2のチャンバ14側にあるように、浸透膜12が配置されている。また、第1のポンプ16および第2のポンプ17の吐出流量はモニタリングされており、第1のポンプ16の吐出流量が、第2のポンプ17からの吐出流量の2倍以上4倍未満となるように、例えば、手動または制御部(図示せず)により調節されている。このため、第1のチャンバ13内の海水中の水が浸透膜12を透過して第2のチャンバ14内の濃縮作業媒体に移動する際、高い透過流束を発生する。その結果、第1のチャンバ13内の被処理液中の多くの水を第2のチャンバ14の濃縮作業媒体に移動でき、被処理液から水(純水)を取り出す高効率の水処理を実行できる。
浸透圧発生器1において、被処理液中の水が第1のチャンバ13から第2のチャンバ14内の濃縮作業媒体に移動することにより、被処理液は濃縮被処理液として第1のチャンバ13からパイプライン301bを通して排出され、濃縮作業媒体は移動した水で希釈される。
第2のチャンバ14の希釈作業媒体は、希釈作業媒体タンク92にパイプライン301dを通して送出され、貯留される。図示はしていないが、希釈作業媒体が希釈作業媒体タンク92内に所定の水位まで貯まると、第3のポンプ(図示せず)を駆動してタンク92内の希釈作業媒体が排出され得る。
したがって、被処理液の濃縮、脱水または純水の回収などの水処理を効率的に実施し得る、低コストにて運転可能な脱塩システムを提供できる。
図3に示す水処理システムは、上述において図1および図2を用いて説明したように、他の水処理システムと組み合わせて使用され得る。組み合わされる更なる水処理システムは、上述した逆浸透膜(RO膜)との組合せ、ゴアテックスなどの多孔質膜を使用する濃縮システムとの組み合わせに限定されるものではなく、それ自身公知の何れのシステムとも組み合わせ得る。
その場合、前記希釈作業媒体タンク92は、更なるパイプラインを通して、更なる水処理システムの構成に対して接続されてもよく、そこに更なるポンプが介在されてもよい。また、濃縮作業媒体タンク84が、更なるパイプラインを通して更なる水処理システムの構成に対して接続されてもよい。
また、上述したような第1の実施形態により行われる水処理方法も更なる実施形態として提供され得る。そのような水処理方法は、例えば、第1の面と活性層を有する第2の面とを含む浸透膜において、前記第1の面を水を含む被処理液に接触させると共に、前記第1の面への被処理液の供給量の2倍以上4倍未満の供給量で、前記第2の面を浸透圧を誘起する作業媒体に接触させること、および前記被処理液に含まれる当該水を前記浸透膜を透過させて前記作業媒体中に移動させることを含み得る。
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る水処理システムは、水を収容する第1のチャンバと、浸透圧を誘起する作業媒体(ドロー溶液)を収容する第2のチャンバと、第1のチャンバと第2のチャンバとを区画する浸透膜と、第2のチャンバに接続された圧力交換器と、圧力交換器に接続された回転体とを備える。このような水処理システムによれば、第1のチャンバ内の水と第2のチャンバ内の作業媒体との間で生じる浸透圧差により第1のチャンバ内の水が浸透膜を透過して第2のチャンバ内の作業媒体に移動する。水が作業媒体に移動することに伴う水流により回転体を回して発電する。
第2の実施形態に係る水処理システムは、水を収容する第1のチャンバと、浸透圧を誘起する作業媒体(ドロー溶液)を収容する第2のチャンバと、第1のチャンバと第2のチャンバとを区画する浸透膜と、第2のチャンバに接続された圧力交換器と、圧力交換器に接続された回転体とを備える。このような水処理システムによれば、第1のチャンバ内の水と第2のチャンバ内の作業媒体との間で生じる浸透圧差により第1のチャンバ内の水が浸透膜を透過して第2のチャンバ内の作業媒体に移動する。水が作業媒体に移動することに伴う水流により回転体を回して発電する。
浸透膜は、活性層を有しており、この活性層が第2のチャンバ側に位置するように浸透膜は配置されている。更に、第2の実施形態は、前記第1のチャンバ内に前記被処理水を供給する第1のポンプと、前記第2のチャンバ内に前記作業媒体を供給する第2のポンプとを備える。前記第1のポンプは、前記第2のポンプからの吐出流量の2倍以上4倍未満の吐出流量となるように構成されている。これにより、第1のチャンバ内から第2のチャンバ内への水の流量が増加される。したがって、第1のチャンバ内の被処理水中の水が浸透膜を透過して第2のチャンバ内の作業媒体に移動する際に高透過流束を発生させることができる。その結果、水が移動された作業媒体は高い圧力を持つ水流になるため、回転体をより高い速度で回して発電することができる。
したがって、回転体を効率的に回転して発電し得る、低コストにて運転可能な水処理システムを提供できる。
前記浸透膜は、例えば正浸透膜(FO膜)であっても逆浸透膜(RO膜)であってもよい。好ましい浸透膜は、FO膜である。
前記浸透膜は、例えば酢酸セルロース膜、ポリアミド膜などを用いることができる。浸透膜は、45〜250μmの厚さを有することが好ましい。
前記浸透圧を誘起する作業媒体は、前記第1の実施形態で説明したのと同様なものを用いることができる。
前記回転体は、例えばタービン、水車を用いることができる。
次に、第2の実施形態に係る水処理システムの1つの例である循環型浸透圧発電システムを図4に示す概略図を参照して説明する。なお、図4において図2と同様な部材は同符号を付して説明を省略する。
循環型浸透圧発電システム400は、浸透圧発生器31の第2のチャンバ44が位置する第1の処理容器41(作業媒体出口側)に接続したパイプライン201bにおいて、圧力交換機81およびタービン82が作業媒体の流れ方向に沿ってこの順序で設けられている。また、第2のチャンバ44が位置する第1の処理容器41と濃縮作業媒体タンク34とを接続するパイプライン201cにおいて、第2のポンプ47より作業媒体の流れ方向の下流側のパイプライン201c部分が圧力交換機81を経由して第2のチャンバ44が位置する第1の処理容器41に接続されている。すなわち、浸透圧発生器31において水が第1のチャンバ43から浸透膜42を透過して第2のチャンバ44に移動したときに発生した流束を有する希釈作業媒体は、第2のチャンバ44が位置する第1の処理容器41から圧力交換機81が設けられたパイプライン201bを通して流出される。この間、濃縮作業媒体タンク34から流出した濃縮作業媒体が流通するパイプライン201cは圧力交換機81を経由する。このため、当該濃縮作業媒体は、圧力交換機81で第2のチャンバ44から流出する希釈作業媒体と圧力交換され、希釈作業媒体は圧力を下げ、濃縮作業媒体は圧力を上昇する。
なお、循環型浸透圧発電システム300において、原液タンク45内には水が収容される。
次に、図4に示す循環型浸透圧発電システムによる発電操作を説明する。
第1のポンプ46を駆動して水を原液タンク45から浸透圧発生器31の第1のチャンバ43内にパイプライン201aを通して供給する。水の供給と前後して第2のポンプ47を駆動して濃縮作業媒体を濃縮作業媒体タンク34から浸透圧発生器31の第2のチャンバ44内にパイプライン201cを通して供給する。第2のチャンバ44に供給された濃縮作業媒体は、第1のチャンバ43に供給された溶媒のみの水に対して十分に高濃度である。このため、第1のチャンバ43内の水と第2のチャンバ44内の濃縮作業媒体との間で浸透圧差が生じ、水が浸透膜42を透過して第2のチャンバ44内に移動する。またこのとき、浸透膜42の活性層42aが第2のチャンバ44側に位置するように、浸透膜42が配置されている。また、第1のポンプ46および第2のポンプ47の吐出流量はモニタリングされており、第1のポンプ46の吐出流量が、第2のポンプ47からの吐出流量の2倍以上4倍未満となるように、例えば、手動または制御部(図示せず)により調節されている。このため、第1のチャンバ43内の水が浸透膜42を透過して第2のチャンバ44内の濃縮作業媒体に移動する際、高い透過流束を発生する。その結果、第1のチャンバ43内の多くの水を第2のチャンバ14の濃縮作業媒体に移動でき、水により希釈された高い圧力を持つ希釈作業媒体が生成される。なお、第1のチャンバ43内の水はパイプライン201bを通して排出される。
第2のチャンバ44の高い圧力を持つ希釈作業媒体は、希釈作業媒体タンク32にパイプライン201dを通して送出され、貯留される。圧力交換機81およびタービン82がパイプライン201dに作業媒体の流れ方向に沿ってこの順序で設けられている。
このため、前述したように圧力交換機81では濃縮作業媒体タンク34からパイプライン201cを通して流れる濃縮作業媒体と第2のチャンバ44から(タービン82を通って)パイプライン201dを通して流れる高い圧力を持つ希釈作業媒体との間で圧力交換がなされ、希釈作業媒体の圧力を下げ、濃縮作業媒体の圧力を上昇させる。圧力交換により適正な圧力を持つ希釈作業媒体はタービン82に流れ、それを効率的に回転させて発電する。また、圧力交換により適正な圧力を持つ濃縮作業媒体は第2のチャンバ44に供給される。
希釈作業媒体タンク32に貯留された希釈作業媒体は、前述した図2に示す濃縮システムと同様に膜蒸留分離部33の第3のチャンバ53を含む希釈作業媒体循環系および膜蒸留分離部33の第4のチャンバ54を含む純水循環冷却系によって濃縮される。すなわち、第3のチャンバ53内で希釈作業媒体の水の蒸発、蒸気の脱水膜52の透過、第4のチャンバ54への移動、および第4のチャンバ54側での循環する純水による冷却、凝縮、をなす脱水処理を複数回繰り返すことによって、希釈作業媒体を濃縮作業媒体として使用し得る濃度の作業媒体(濃縮作業媒体)として循環タンク64に貯留し、当該濃縮作業媒体を濃縮作業媒体タンク34に戻す。濃縮作業媒体タンク34内の濃縮作業媒体は、前述したようにタービン82を回転して発電するために第2のポンプ47を駆動して浸透圧発生器31の第2のチャンバ44内に供給される。
従って、浸透圧発生器31によるタービン82の回転、発電操作および膜蒸留分離部33による希釈作業媒体の濃縮を連続的に実行できる。それ故、タービンを効率的に回転して発電し得る、低コストにて運転可能な循環型浸透圧発電システムを提供できる。
なお、図4に示す循環型浸透圧発電システムにおいて、浸透圧発生器は第1の処理容器を浸透膜により水平方向に区画して第1、第2のチャンバを形成したが、第1の処理容器を浸透膜により上下に区画して第1、第2のチャンバを形成してもよい。或いは、浸透圧発生器、並びに第1および第2のチャンバの一部または全てが、それぞれ筐体以外の形状、例えば、中空糸形状、スパイラル形状などの形態であってもよい。
図4に示す循環型浸透圧発電システムにおいて、浸透圧発生器31の第1のチャンバ43内の水をパイプライン201bを通して外部に送出したが、パイプライン201bを原液タンク45に接続して原液タンク45、パイプライン201a、浸透圧発生器31の第1のチャンバ43、パイプライン201bのループを作ってもよい。
図4に示す循環型浸透圧発電システムにおいて、膜蒸留分離部の脱水膜は多孔質膜、例えば、ゴアテックス(登録商標)など、に限らず、水蒸気のみを透過する機能を有するものであれば如何なるものでもよい。
図4に示す循環型浸透圧発電システムにおいて、希釈作業媒体の濃縮は脱水膜を備える膜蒸留分離部で行なう場合に限らず、希釈作業媒体の水を除去するものであれば如何なる装置で行なってもよい。
また、上述したような第2の実施形態により行われる水処理方法も更なる実施形態として提供され得る。
上述した実施形態に係る水処理システムおよび水処理方法の何れによっても、抑制されたエネルギー消費の下で透過膜を通過する液体の流量を増やすことが可能となる。
以下、実施例を図面を参照して説明する。
(1)クロスフロー濾過ユニット試験
クロスフロー濾過ユニットを用いて浸透膜を通過する流量と2つのポンプの相対的な吐出流量との関係を測定した。
クロスフロー濾過ユニットを用いて浸透膜を通過する流量と2つのポンプの相対的な吐出流量との関係を測定した。
使用した装置について図5を参照して説明する。クロスフロー濾過ユニット500としてGE-SEPA II Cell(GE社製)を準備した。濾過ユニット500は、ステンレス製のセルボトム501を備え、セルボトム501の上部に互いに相似形状を有する2つのOリング502(502a,502b)が配置されている。シム503、フィードスペーサー504、浸透膜505、透過キャリア506は、セルボトム501の小形状のOリング502aおよび大形状のOリング502bに対してこの順序で積層されている。セルトップ507は、セルボトム501の上部周縁に前記シム503、フィードスペーサー504、浸透膜505、透過キャリア506をセルボトム501および当該セルトップ507で密閉するように設けられている。クロスフロー濾過ユニット500の組み立ての概要は次の通りである。まず、セルボトム501の内側上面の縁部と、その内側とにある2つの溝に2つのOリング502a,502bをそれぞれ嵌め込む。このセルボトム501を上面が水平で平らな架台に設置する。セルボトム501の上部中央の小形状のOリング502a内にシム503およびフィードスペーサー504を載せたる。ひきつづき、浸透膜505をセルボトム501の上面の縁部の大形状のOリング502bを覆うように載せる。その上に透過キャリア506を浸透膜505の中央付近に載せる。最後に、その上にセルトップ507を載せ、セルボトム501とセルトップ507とを互いに固定する。
このようなクロスフロー濾過ユニット500は、浸透膜505の上面とセルトップ507の上面との間に第1のチャンバが形成され、浸透膜505の下面とセルボトム501の上面との間に第2のチャンバが形成される。第1のチャンバ内部には、透過キャリア506が含まれ、第2のチャンバ内部にはフィードスペーサー504が含まれている。
セルトップ507は、フィード入口508とフィード出口509とを備える。被処理液を模した水は、フィード入口508から流入され、浸透膜505上面まで満たされ、第1のチャンバの容量を超えた液体はフィード出口509から流出される。
第1のチューブ512は、一端がフィード入口508に装着され、他端が第1のポンプ513に接続されている。第2のチューブ515は、一端が第1のポンプ513に接続され、他端がフィード出口509に取り付けられている。第1の圧力計514は、フィード出口509近傍の第2のチューブ515に設けられている。すなわち、フィード入口508、第1のチューブ512、第2のチューブ515およびフィード出口509によりループが形成され、第1のポンプ513を駆動することにより第1のチャンバに収容された水がこのループを循環する。
セルボトム501は、ドロー入口510とドロー出口511とを備える。作業媒体は、ドロー入口510から流入され、浸透膜505下面まで満たされ、第2のチャンバの容量を超えた作業媒体はドロー出口511から流出される。
第3のチューブ516は、一端がドロー入口510に装着され、他端が作業媒体を収容したボトル520内に挿入されている。第4のチューブ519は、一端がボトル520内に挿入され、他端がドロー出口511に接続されている。第2のポンプ517および第2の圧力計518は、第4のチューブ519にボトル520側からドロー出口511側に向かってこの順序で設けられている。すなわち、ドロー入口510、第3のチューブ516、第4のチューブ519およびドロー出口511によりループが形成され、第2のポンプ517を駆動することによりボトル520内の作業媒体が第2のチャンバを流通してこのループを循環する。
ボトル520を秤の上に置き、ボトルの重量の増加により、第1のチャンバから第2のチャンバ内の作業媒体中に移動した水の量を測定した。水の量の増加から浸透膜の透過水量を求めた。
以上のようなクロスフロー濾過ユニット500を使用して以下の試験を行った。
(2)ポンプ吐出流量と透過水量との関係
上述したクロスフロー濾過ユニット500に浸透膜として、ES20(株式会社日東電工社製)、CE(GE社製)、CTA−ES(Hydration Technology Innovations社製)をそれぞれ用いた。試験では、これらの浸透膜の活性層の向きを変えて同様に試験を行った。
上述したクロスフロー濾過ユニット500に浸透膜として、ES20(株式会社日東電工社製)、CE(GE社製)、CTA−ES(Hydration Technology Innovations社製)をそれぞれ用いた。試験では、これらの浸透膜の活性層の向きを変えて同様に試験を行った。
上述のクロスフロー濾過ユニット500の第1のチャンバ側には水を循環させ、第2のチャンバ側には、食塩水、キシリトール水溶液、スクロース水溶液を作業媒体としてそれぞれ循環させた。使用した作業媒体は、何れも低濃度から飽和濃度までを含む複数の濃度の溶液を調製した。
各試験では、第1のチャンバ側の第1のポンプのみ吐出流量を順次増加させ、経時的に複数の時点で秤に示される重量値を読み取った。なお、一般的には低濃度の溶液の場合には、稼働してから透過水量が安定するまでには数分から数十分を必要としている。しかしながら、試験に使用した作用媒体は、その濃度が低いものであっても一般的な低濃度の溶液よりは濃いために、クロスフロー濾過ユニット500を稼働した後に生じる透過水量は、非常に短い時間で安定した。
(2)結果
結果を図6〜図8に示す。
結果を図6〜図8に示す。
(2−1)浸透膜の活性層の方向
図6は、作業媒体として20重量%のNaCl溶液、68重量%のスクロース、62重量%のキシリトールを使用して得た結果である。使用した浸透膜は、ES20(株式会社日東電工社製)、CE(GE社製)、CTA−ES(Hydration Technology Innovations社製)である。
図6は、作業媒体として20重量%のNaCl溶液、68重量%のスクロース、62重量%のキシリトールを使用して得た結果である。使用した浸透膜は、ES20(株式会社日東電工社製)、CE(GE社製)、CTA−ES(Hydration Technology Innovations社製)である。
図6のグラフにおいて、横軸は、第2のポンプの吐出流量を1L/minに固定して稼働させたときに、次第に増加させた第1のポンプの吐出流量を示す。即ち、横軸は、第2のポンプの吐出流量に対する第1のポンプの吐出流量の割合を示す。この値が1のときに第1のポンプの吐出流量は第2のポンプの吐出流量に等しい。縦軸は、浸透膜を通過した水の量であり、この値が透過流量である。縦軸の目盛は、秤で得られた値を透過流量として示している。図6中に示された各データを得た条件は次の通りである。
例1
例1では、作業媒体として20重量%のNaCl溶液を用いた。浸透膜としてCTA−ESを使用した。その活性層が作業媒体を収容している第2のチャンバ側を向くようにクロスフロー濾過ユニットに配置した。この結果を図6中に黒丸で示した。
例1では、作業媒体として20重量%のNaCl溶液を用いた。浸透膜としてCTA−ESを使用した。その活性層が作業媒体を収容している第2のチャンバ側を向くようにクロスフロー濾過ユニットに配置した。この結果を図6中に黒丸で示した。
例2
例2では、作業媒体として68重量%のスクロースを用いた。浸透膜としてCEを使用した。その活性層が作業媒体を収容している第2のチャンバ側を向くようにクロスフロー濾過ユニットに配置した。この結果を図6中に黒菱形で示した。
例2では、作業媒体として68重量%のスクロースを用いた。浸透膜としてCEを使用した。その活性層が作業媒体を収容している第2のチャンバ側を向くようにクロスフロー濾過ユニットに配置した。この結果を図6中に黒菱形で示した。
例3
例3では、作業媒体として62重量%のキシリトールを用いた。浸透膜としてCTA−ESを使用した。その活性層が作業媒体を収容している第2のチャンバ側を向くようにクロスフロー濾過ユニットに配置した。この結果を図6中に黒三角で示した。
例3では、作業媒体として62重量%のキシリトールを用いた。浸透膜としてCTA−ESを使用した。その活性層が作業媒体を収容している第2のチャンバ側を向くようにクロスフロー濾過ユニットに配置した。この結果を図6中に黒三角で示した。
例4
例4では、作業媒体として62重量%のキシリトールを用いた。浸透膜としてCEを使用した。その活性層が水を収容している第1のチャンバ側を向くようにクロスフロー濾過ユニットに配置した。この結果を白三角で示した。
例4では、作業媒体として62重量%のキシリトールを用いた。浸透膜としてCEを使用した。その活性層が水を収容している第1のチャンバ側を向くようにクロスフロー濾過ユニットに配置した。この結果を白三角で示した。
例5
例5では、作業媒体として62重量%のキシリトールを用いた。浸透膜としてCTA−ESを使用した。その活性層が水を収容している第1のチャンバ側を向くようにクロスフロー濾過ユニットに配置した。この結果を細線の白四角で示した。
例5では、作業媒体として62重量%のキシリトールを用いた。浸透膜としてCTA−ESを使用した。その活性層が水を収容している第1のチャンバ側を向くようにクロスフロー濾過ユニットに配置した。この結果を細線の白四角で示した。
例6
例6では、作業媒体として68重量%のスクロースを用いた。浸透膜としてCEを使用した。その活性層が水を収容している第1のチャンバ側を向くようにクロスフロー濾過ユニットを配置した。この結果を太線の白四角で示した。
例6では、作業媒体として68重量%のスクロースを用いた。浸透膜としてCEを使用した。その活性層が水を収容している第1のチャンバ側を向くようにクロスフロー濾過ユニットを配置した。この結果を太線の白四角で示した。
例7
例7は、作業媒体として68重量%のスクロースを用いた。浸透膜としてCTA−ESを使用した。その活性層が水を収容している第1のチャンバ側を向くようにクロスフロー濾過ユニットを配置した。この結果を白丸で示した。
例7は、作業媒体として68重量%のスクロースを用いた。浸透膜としてCTA−ESを使用した。その活性層が水を収容している第1のチャンバ側を向くようにクロスフロー濾過ユニットを配置した。この結果を白丸で示した。
上記例1〜例3では、浸透膜の活性層は、作業媒体を収容している第2のチャンバ側を向くようにクロスフロー濾過ユニットに配置されており、例4〜6では、活性層が水を収容している第1のチャンバ側を向くようにクロスフロー濾過ユニットを配置されている。図6から明らかであるように、活性層が第1のチャンバを向くように配置されている場合には、他の条件が何れの場合であっても透過流量に変化はなく、何れも透過流量は小さかった。それに対して、浸透膜の活性層が、作業媒体を収容している第2のチャンバ側を向くように配置されている場合には、第1のポンプの流量が増えるのに依存して透過流量が増加した。
また、第1のポンプにより浸透膜に係る圧力は、第1のポンプの吐出流量が、第2のポンプの吐出流量の4倍未満までであった。第1のポンプの吐出流量をそれ以上に増やしたときには、浸透膜に対して加圧が生じた。この加圧により、浸透膜の損傷を発生が観察され、安定したデータを得ることができなかった。従って、4倍以上についての結果は図6に示していない。また、透過流量の増加が観察されたのは、第1のポンプの吐出流量が、第2のポンプの吐出流量の2倍以上のときであった。また、浸透膜の違いにより、透過流量に大きな差は観察されなかった。
また、第1のポンプの吐出流量が、第2のポンプの吐出流量の4倍以上になると、電極消費量の増大化にも繋がると考えられる。
以上の結果から、浸透膜の活性層を作業媒体を収容している第2のチャンバ側を向くように配置し、第1のポンプの吐出流量が、第2のポンプの吐出流量の2倍以上4倍未満となるように調製することにより高い透過流量が得られることが明らかとなった。
(2−2)作業媒体の濃度についての検討
例1〜例7の作業媒体は、それぞれ20重量%のNaCl溶液、68重量%のスクロース、62重量%のキシリトール、62重量%のキシリトール、68重量%のスクロースであるが、これらについてvan't Hoff係数を掛けることにより得たモル濃度は、それぞれ8.6mol/kg、6.2mol/kg、10.7mol/kgである。
例1〜例7の作業媒体は、それぞれ20重量%のNaCl溶液、68重量%のスクロース、62重量%のキシリトール、62重量%のキシリトール、68重量%のスクロースであるが、これらについてvan't Hoff係数を掛けることにより得たモル濃度は、それぞれ8.6mol/kg、6.2mol/kg、10.7mol/kgである。
図7には、低濃度の作業媒体を使用して得られた結果を示す。図7には、以下の例8および例9に示す条件で得られた結果を示した。
例8
例8では、作業媒体として15重量%のNaCl溶液を用いた。この濃度をvan't Hoff係数を掛けることにより得たモル濃度で表すと3.8mol/kgである。浸透膜としてCTA−ESを使用した。その活性層が作業媒体を収容している第2のチャンバ側を向くようにクロスフロー濾過ユニットに配置した。この結果を図7中に白菱形で示した。
例8では、作業媒体として15重量%のNaCl溶液を用いた。この濃度をvan't Hoff係数を掛けることにより得たモル濃度で表すと3.8mol/kgである。浸透膜としてCTA−ESを使用した。その活性層が作業媒体を収容している第2のチャンバ側を向くようにクロスフロー濾過ユニットに配置した。この結果を図7中に白菱形で示した。
例9
例9では、作業媒体として10重量%のスクロースを用いた。この濃度をvan't Hoff係数を掛けることにより得たモル濃度で表すと3.8mol/kgである。浸透膜としてSWC(日東電工社製)を使用した。その活性層が作業媒体を収容している第2のチャンバ側を向くようにクロスフロー濾過ユニットに配置した。この結果を図7中に黒四角で示した。
例9では、作業媒体として10重量%のスクロースを用いた。この濃度をvan't Hoff係数を掛けることにより得たモル濃度で表すと3.8mol/kgである。浸透膜としてSWC(日東電工社製)を使用した。その活性層が作業媒体を収容している第2のチャンバ側を向くようにクロスフロー濾過ユニットに配置した。この結果を図7中に黒四角で示した。
図7に示すように、例7および例8のような低濃度の場合には、第1のポンプの吐出流量を第2のポンプの4倍にした場合であっても透過流量の増加は観察されなかった。
図8には、作業媒体の濃度を重量%濃度とvan't Hoff係数を掛けることにより得たモル濃度との関係を示した。図8には、NaCl(黒菱形)、スクロース(黒四角)、キシリトール(白三角)およびソルビトール(クロス)をそれぞれプロットした。図8の横軸には、それぞれの溶液の重量%濃度を示し、縦軸には対応するモル濃度を示した。
このグラフは、つぎのことを示している。例えば、NaClは温度によらず、26wt%くらいが最高濃度であり飽和溶液となる。したがってこれ以上濃い溶液は、温度を上げたとしても作ることができない。しかしながら、van’t Hoff係数は2であるため、図8に示すように、NaCl水溶液を作業媒体として使用したときには大きな浸透圧を得ることが可能となる。またスクロースとキシリトールの場合では、それぞれ飽和溶液濃度が、68wt%と62wt%であり、van’t Hoff係数は1である。そして上述の結果と、図8と総合すると、作業媒体の濃度が、濃度をvan't Hoff係数を掛けることにより得たモル濃度で表したときに4mol/kg以上であるときに高い透過流量が得られることが示唆された。
以上の結果から、浸透膜の活性層を作業媒体を収容している第2のチャンバ側を向くように配置し、第1のポンプの吐出流量が、第2のポンプの吐出流量の2倍以上4倍未満となるように調製することにより高い透過流量が得られることが明らかとなった。更に、作業媒体の濃度が、濃度をvan't Hoff係数を掛けることにより得たモル濃度で表したときに4mol/kg以上であるときにより高い透過流量が得られることが明らかとなった。
これらの結果から、第1のチャンバ側から加圧を行うことなく、また第1のチャンバと第2のチャンバとにそれぞれ液体を流入させるための第1のポンプおよび第2のポンプの吐出流量差を小さな範囲で儲けることにより、高効率で水処理を行うことが可能となることが証明された。これらの結果は、予想外の効果(予期しない結果)である。
本発明のいつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の種々の形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1,31…浸透圧発生器、2,32…希釈作業媒体タンク、3…逆浸透膜分離部、4,34…濃縮作業媒体タンク、11,41…第1の処理容器、12,42…浸透膜、13,43…第1のチャンバ、14,44…第2のチャンバ、21,51…第2の処理容器、22…逆浸透膜(RO膜)、23,53…第3のチャンバ、24,54…第4のチャンバ、26…純水タンク、52…脱水膜、64…循環タンク、71…第1の純水タンク、72…第2の純水タンク、81…圧力交換機、82…タービン、100…脱塩システム、200…濃縮システム、300…循環型浸透圧発電システム。
Claims (12)
- 被処理水を収容する第1のチャンバと、
浸透圧を誘起する作業媒体を収容する第2のチャンバと、
前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとを区画する、活性層を有する浸透膜と、
前記第1のチャンバ内に前記被処理水を供給する第1のポンプと、
前記第2のチャンバ内に前記作業媒体を供給する第2のポンプと
を備え、
前記浸透膜の前記活性層は、前記第2のチャンバ側に位置し、前記第1のポンプは、前記第2のポンプからの吐出流量の2倍以上4倍未満の吐出流量となるように構成されている水処理システム。 - 更に、前記第2のチャンバに接続され、前記第2のチャンバから送られた希釈された作業媒体を収容する第3のチャンバと、
浸透圧を誘起する更なる作業媒体を収容する第4のチャンバと、
前記第3のチャンバと前記第4のチャンバとを区画する更なる浸透膜と
を備える請求項1に記載の水処理システム。 - 前記浸透膜が正浸透膜であり、前記更なる浸透膜が逆浸透膜である請求項2に記載の水処理システム。
- 更に、前記第2のチャンバに接続され、前記第2のチャンバから送られた希釈された作業媒体から水を得るための膜蒸留分離部を備える請求項1に記載の水処理システム。
- 前記膜蒸留分離部が、多孔質膜を備える請求項4に記載の水処理システム。
- 水を収容する第1のチャンバと、
浸透圧を誘起する作業媒体を収容する第2のチャンバと、
前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとを区画する浸透膜と、
前記第1のチャンバ内に前記被処理水を供給する第1のポンプと、
前記第2のチャンバ内に前記作業媒体を供給する第2のポンプと
前記第2のチャンバに接続された圧力交換器と、
前記圧力交換器に接続された回転体と
を備え、
前記浸透膜の前記活性層は、前記第2のチャンバ側に位置し、前記第1のポンプは、前記第2のポンプからの吐出流量の2倍以上4倍未満の吐出流量となるように構成されている水処理システム。 - 更に、前記回転体に接続され、前記回転体から送られた希釈された作業媒体を収容する第3のチャンバと、
浸透圧を誘起する更なる作業媒体を収容する第4のチャンバと、
前記第3のチャンバと前記第4のチャンバとを区画する更なる浸透膜と
を備える請求項6に記載の水処理システム。 - 前記浸透膜が正浸透膜であり、前記更なる浸透膜が逆浸透膜である請求項7に記載の水処理システム。
- 更に、前記回転体に接続され、前記回転体から送られた希釈された作業媒体から水を得るための膜蒸留分離部を備える請求項7に記載の水処理システム。
- 前記膜蒸留分離部が、多孔質膜を備える請求項9に記載の水処理システム。
- 前記作業媒体のモル濃度が4mol/kg以上である請求項1〜10の何れか1項に記載の水処理システム。
- 第1の面と活性層を有する第2の面とを含む浸透膜において、前記第1の面を水を含む被処理液に接触させると共に、前記第1の面への被処理液の供給量の2倍以上4倍未満の供給量で、前記第2の面を浸透圧を誘起する作業媒体に接触させること、および前記被処理液に含まれる当該水を前記浸透膜を透過させて前記作業媒体中に移動させることを含む水処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016010890A JP2017127842A (ja) | 2016-01-22 | 2016-01-22 | 水処理システムおよび水処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016010890A JP2017127842A (ja) | 2016-01-22 | 2016-01-22 | 水処理システムおよび水処理方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017127842A true JP2017127842A (ja) | 2017-07-27 |
Family
ID=59395878
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016010890A Pending JP2017127842A (ja) | 2016-01-22 | 2016-01-22 | 水処理システムおよび水処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2017127842A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPWO2021054406A1 (ja) * | 2019-09-17 | 2021-03-25 |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010509540A (ja) * | 2006-11-09 | 2010-03-25 | イェール ユニバーシティー | 浸透圧熱エンジン |
WO2013005369A1 (ja) * | 2011-07-01 | 2013-01-10 | 株式会社日立製作所 | 水浄化システム及び水浄化方法 |
JP2013215653A (ja) * | 2012-04-06 | 2013-10-24 | Jfe Engineering Corp | 淡水製造装置および淡水製造方法 |
JP2014222030A (ja) * | 2013-05-13 | 2014-11-27 | 三菱重工業株式会社 | 濃度差発電装置及び複合発電装置 |
-
2016
- 2016-01-22 JP JP2016010890A patent/JP2017127842A/ja active Pending
Patent Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010509540A (ja) * | 2006-11-09 | 2010-03-25 | イェール ユニバーシティー | 浸透圧熱エンジン |
WO2013005369A1 (ja) * | 2011-07-01 | 2013-01-10 | 株式会社日立製作所 | 水浄化システム及び水浄化方法 |
US20140116943A1 (en) * | 2011-07-01 | 2014-05-01 | Hitachi, Ltd. | Water Purification System and Method |
JP2013215653A (ja) * | 2012-04-06 | 2013-10-24 | Jfe Engineering Corp | 淡水製造装置および淡水製造方法 |
JP2014222030A (ja) * | 2013-05-13 | 2014-11-27 | 三菱重工業株式会社 | 濃度差発電装置及び複合発電装置 |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPWO2021054406A1 (ja) * | 2019-09-17 | 2021-03-25 | ||
WO2021054406A1 (ja) | 2019-09-17 | 2021-03-25 | 旭化成株式会社 | 原料液濃縮方法および原料液濃縮システム |
CN114302766A (zh) * | 2019-09-17 | 2022-04-08 | 旭化成株式会社 | 原料液浓缩方法和原料液浓缩系统 |
EP4032601A4 (en) * | 2019-09-17 | 2022-07-27 | Asahi Kasei Kabushiki Kaisha | PROCESS FOR CONCENTRATION OF RAW MATERIAL SOLUTIONS AND SYSTEM FOR CONCENTRATION OF RAW MATERIAL SOLUTIONS |
JP7249427B2 (ja) | 2019-09-17 | 2023-03-30 | 旭化成株式会社 | 原料液濃縮方法および原料液濃縮システム |
AU2020348086B2 (en) * | 2019-09-17 | 2023-07-27 | Asahi Kasei Kabushiki Kaisha | Method for concentrating raw material solution, and system for concentrating raw material solution |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
AU2021232835B2 (en) | Method and apparatus for advanced vacuum membrane distillation | |
JP6517683B2 (ja) | 水処理システムおよび水処理システムに使用される作業媒体 | |
JP5913113B2 (ja) | 正浸透分離方法 | |
US9044711B2 (en) | Osmotically driven membrane processes and systems and methods for draw solute recovery | |
JP6400726B2 (ja) | 水処理方法、水処理システムおよび水処理装置 | |
JP2018065114A (ja) | 濃縮方法および濃縮装置 | |
JPS62501483A (ja) | 膜による浸透濃縮 | |
JP5943924B2 (ja) | 浸透圧駆動膜プロセス及びシステム、並びに引出溶質回収方法 | |
JP2018001110A (ja) | ブラインの処理方法、塩水の淡水化処理方法、ブラインの処理システム、および、塩水の淡水化処理システム | |
US11090609B2 (en) | Forward osmosis performance improved membrane apparatus and method of separating solution using the same | |
JP2018001111A (ja) | 塩水の淡水化処理方法、および、塩水の淡水化処理システム | |
JP5988032B2 (ja) | 淡水製造装置およびその運転方法 | |
JP5066117B2 (ja) | 淡水製造方法及び装置 | |
JP4996068B2 (ja) | 廃水の濃縮処理方法及びその装置 | |
JP2017127842A (ja) | 水処理システムおよび水処理方法 | |
KR101298724B1 (ko) | 유도용액의 일부가 정삼투 분리기로 직접 재공급되는 막증류 방식의 정삼투 담수화 장치 | |
JP6649309B2 (ja) | 水処理システム及び作業媒体 | |
JP6685960B2 (ja) | 水処理システム及び作業媒体 | |
JP2020175319A (ja) | 濃縮システム及び濃縮方法 | |
JPH0824585A (ja) | 水溶液の濃縮方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20180222 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20180918 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20181016 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20190507 |