JP2017126497A - イオンビーム照射装置、二次イオン質量分析装置、イオンビーム照射方法、および二次イオン質量分析方法 - Google Patents

イオンビーム照射装置、二次イオン質量分析装置、イオンビーム照射方法、および二次イオン質量分析方法 Download PDF

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陽平 村山
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Abstract


【課題】 試料上の照射領域に対してイオンビームを照射する際の、照射領域内におけるイオン照射の均一性を向上させる。
【解決手段】 試料上の照射領域にイオンビームを照射するイオンビーム照射装置であって、前記イオンビームの進行方向に垂直な断面の形状が同じであって、前記断面におけるイオンの分布状態を変えた異なる2以上のイオンビームを前記照射領域に順次照射することを特徴とするイオンビーム照射装置。
【選択図】 図1

Description

本発明は、イオンビーム照射装置、二次イオン質量分析装置、イオンビーム照射方法、および二次イオン質量分析方法等に関するものである。
二次イオン質量分析法(SIMS)は、イオンビームを試料に照射し、試料表面より放出される二次イオンの質量電荷比を計測することにより、試料表面を構成する原子種あるいは分子種を特定する分析法である。近年、生体組織を構成する多種の分子を、SIMSを用いて特定し、それらの微細な二次元分布状態を可視化する方法が注目を集めている。
一般に、SIMSを用いて分子の二次元分布状態を可視化する場合、細く収束させたイオンビームを試料上で走査しつつ質量分析を行うことによって、試料の表面における各物質の分布である質量イメージを再構成する。この方式は、走査型と呼ばれる。SIMS装置の多くは走査型であり、近年のイオンビーム収束技術の進展により、走査型のSIMS装置において質量イメージの空間分解能は向上している。ただし、質量イメージの空間分解能を高めるためにイオンビームをより細く収束させると、それにともなって測定点の数が増加し、その結果、スループットが低下するという課題が生じている。
これに対し、デフォーカスしたイオンビームを試料上の目的領域に一括して照射し、照射領域より発生する二次イオンを相対的な位置関係を保った状態で検出する、投影型SIMS装置が開発されている(特許文献1)。投影型SIMS装置では、走査型SIMS装置のように一次イオンビームを走査することなく質量イメージを一括して得られるため、スループットが高いという利点がある。
特開2007−157353号公報
通常、イオンビームの進行方向に垂直な平面におけるイオン濃度分布は均一ではなく、ムラがある。このため、イオンビームを試料上の特定の領域(照射領域)に照射すると、照射領域内に、多数のイオンが照射される領域と少数のイオンしか照射されない領域とが生じてしまう。すなわち、従来のイオンビーム照射装置は、試料上の照射領域に対してイオンビームを照射する際の、照射領域内でのイオン照射の均一性が低いという課題があった。
そこで本発明では、上述の課題に鑑み、試料上の特定の領域に対してイオンビームを照射する際の、該領域内におけるイオン照射の均一性を向上させることのできるイオンビーム照射装置を提供することを目的とする。
本発明の一側面としてのイオンビーム照射装置は、試料上の照射領域にイオンビームを照射するイオンビーム照射装置であって、前記イオンビームの進行方向に垂直な断面の形状が同じであって、前記断面におけるイオンの分布状態を変えた異なる2以上のイオンビームを前記照射領域に順次照射することを特徴とする。
本発明によれば、試料上の照射領域に対してイオンビームを照射する際の、照射領域内におけるイオン照射の均一性を向上させることができる。
本実施形態に係る二次イオン質量分析装置の構成を模式的に示す図である。 本実施形態に係るイオンビーム照射装置によって照射されるイオンビームの、試料上の照射領域におけるイオン濃度分布を模式的に示す概念図である。 本実施形態に係るイオンビーム照射プロセスを説明するためのフローチャートである。 第1の実施形態に係るイオンビーム照射装置の構成の一部を模式的に示す図である。 第2の実施形態に係るイオンビーム照射装置の構成の一部を模式的に示す図である。 第3の実施形態に係るイオンビーム照射装置の構成の一部を模式的に示す図である。 第4の実施形態に係るイオンビーム照射装置の有するビームプロファイラーを説明するための概念図である。
本発明の詳細な実施形態について、以下で説明する。ただし、以下の各実施形態および図面の記載はあくまでも本発明の例示であり、特に言及がない場合においても、本発明はこれらの記載に限定されるものではない。また、矛盾が生じない範囲において、複数の実施例を組み合わせて本発明を実施する場合も、本発明の対象とする範囲に含まれる。
(第1の実施形態)
以下では、第1の実施形態に係るイオンビーム照射装置について、イオンビーム照射装置を有する二次イオン質量分析装置を例に、詳細に記載する。なお、本実施形態に係るイオンビーム照射装置の用途は特に限定はされず、二次イオン質量分析装置の一部として用いてもよいし、表面処理装置や表面改質装置、加工装置の一部として用いてもよい。
図1は、本実施形態に係る二次イオン質量分析装置100(以下、「MS装置100」と称する)の構成を模式的に示す図である。
MS装置100は、イオンビームを試料31に照射するイオンビーム照射装置10と、試料31を保持する試料台30と、試料31から発生した二次イオンを質量分析する質量分析部20と、を有する。MS装置100の内部は、図示しない真空排気系により真空が維持されることが好ましい。MS装置100はこのほかに、図示しない制御・信号処理装置、解析装置、および出力装置を有していてもよい。
イオンビーム照射装置10(以下、「照射装置10」と称する)は、試料31上の特定の領域(照射領域32)にイオンビームを照射する。照射装置10は、イオンビームの進行方向に垂直な断面の形状が同じであって、前記断面におけるイオンの分布状態を変えた異なる2以上のイオンビームを照射領域32に照射する。
イオンビームは、イオンビームの進行方向に垂直な平面(「ビーム平面」と称する)において、イオンの広がりに対応するビーム径と、ビーム平面内でのイオンの濃度分布を有する。イオンビームはさらに、中心軸を有する。本明細書において、中心軸は、ビーム平面におけるイオンの濃度分布に関わらず、ビーム径の中心位置が進行方向に移動する際の軸を指すものとする。
このように、イオンビームはビーム平面内にイオンの濃度分布を有するため、このイオンビームをそのまま試料31に照射すると、試料31上の照射領域32内に照射されるイオンの量にムラが生じてしまう。このようなムラが発生すると、例えばMS装置100においては試料31の照射領域32から発生する二次イオンが、照射したイオンビームのムラに由来するムラを有することになる。その結果、試料31の物質分布を正確に取得することが困難になってしまう。また、照射装置10を表面処理装置や表面改質装置、加工装置等として用いる場合であっても、このようなムラがあると、試料31の表面処理や表面改質、加工にムラが生じてしまう。
そこで本実施形態に係る照射装置10は、イオンビームの進行方向に垂直な断面の形状が同じであって、前記断面におけるイオンの分布状態を変えた異なる2以上のイオンビームを照射領域32に順次照射する。これにより、照射装置10による一連の照射によって照射領域32に照射されるイオンの量が、照射領域32内で均一化される。また、照射装置10は、同一ビーム形状であってイオンの分布状態が異なる2以上のイオンビームを、すべて同一の照射領域32に照射するため、イオン照射の目的領域である照射領域32以外の領域への、イオンの不要な照射を避けることができる。
図2は、照射装置10によって照射されるイオンビームの、試料31上におけるイオン濃度分布を模式的に表す概念図である。図2は、照射装置10によって同一の照射領域32にイオンビームを照射した際の、試料31上のイオン濃度分布の経時変化を示している。
本実施形態では、図2に示すようにイオン濃度分布を変えつつイオンビームを照射する。図2に示すように、互いに異なるイオン濃度分布のイオンビームを照射することで、イオンビームが有する濃度分布のムラの影響を照射領域32内で平均化することができ、その結果、上述のムラの影響を低減することができる。また、本実施形態では照射領域32内のイオン濃度分布を変化させてイオンビームを同一の領域に照射することができるため、照射領域32以外の領域へのイオンビームの照射を避けることができる。その結果、それに伴う試料の損傷を回避できる。
試料に照射するイオンビームにおける、イオンの分布状態の種類は少なくとも2以上であり、好ましくは3以上であり、より好ましくは4以上である。イオン濃度分布の種類が多いほど、照射領域32に対するイオンビーム照射の均一性を高めることができる。
図3は、本実施形態に係る照射装置10による、イオンビーム照射プロセスを説明するためのフローチャートである。
ステップS301において、照射装置10は、イオンビームを照射する試料31上の照射領域32を特定する。
ステップS302において、照射装置10は、ステップS301で特定した照射領域32へのイオンビームの照射を開始する。
ステップS303において、照射装置10は、イオンビームの有するイオン濃度分布を、イオンビームのビーム形状を変えずに変化させる。
ステップS304において、照射装置10は、照射領域32へのイオンビームの照射量が所定量に達したか否かを判定する。所定量に達していればイオンビームの照射を終了し、所定量に達していなければステップS302に戻ってイオンビームの照射を継続する。なお、ステップS304において基準となる「所定量」は、予めユーザーが指定してもよい。
すなわち、本実施形態に係るイオンビーム照射方法は、
[1]試料31上の照射領域32にイオンビームを照射する第1の工程、
[2]イオンビームの、進行方向に垂直な平面内におけるイオンの分布状態を変えて、照射領域32にイオンビームを照射する第2の工程、
の少なくとも2つの工程を有する。図3のフローチャートのように、イオンビームのイオンの分布状態を変えて、2以上のイオンビームを照射することで、イオンビームが有する濃度分布のムラの影響を照射領域32内で平均化することができる。その結果、上述のムラの影響を低減することができる。
本実施形態に係る照射装置10の構成について、さらに詳細に説明する。照射装置10は、イオン群放出部11と、イオン群を成形して生成されるイオンビームのイオン濃度の分布状態を変えるように、イオン群またはイオン原料群の分布状態を変更する変更手段12と、を有する。
イオン群放出部11は、イオン群を放出する。イオン群放出部11は、イオン原料群を供給するイオン原料供給部14を有する。また、イオン原料群が電荷を帯びない中性粒子、すなわち、中性の原子、分子、あるいは中性のクラスター等である場合は、イオン群放出部11はさらに、イオン化部17を有する。また、必要に応じ、イオン原料供給部14とイオン化部17との間に、過大な中性粒子を除去するスキマー16や、差動排気用のバッファー容器(不図示)を有していてもよい。
本明細書において、イオン原料群とは、イオンビームやイオン群に含まれるイオンの原料となる物質を指す。イオン原料群の種類や状態は特に限定はされず、中性の粒子または帯電した粒子の集合体である。それぞれの粒子は1種類の原子または分子から構成されていてもよいし、複数種類の原子または分子の混合物であってもよい。
イオン原料群の常温常圧下における状態は、気体、液体、固体のいずれであってもよく、気体と液体の混合状態であってもよく、固体が気体あるいは液体に溶解した状態であってもよい。気体のイオン原料群の好ましい例としては、アルゴン、キセノンなどの希ガスや、酸素などが挙げられる。液体のイオン原料群の好ましい例としては、水、酸、アルコール、アルカリなどが挙げられる。固体のイオン原料群の好ましい例としては、金、ビスマスなどの金属や、フラーレンなどが挙げられる。また、イオン原料群には、必要に応じてナトリウム、カリウム、銀、金、塩素、を含む有機塩あるいは無機塩を含ませてもよい。
イオン原料群は、イオン原料供給部14により、イオン原料供給部14の開口部を介して真空中に放出される。イオン原料供給部14の構造は限定されず、たとえば、イオン原料群を保持する容器、イオン原料群を供給するためのノズルやエミッタ、加熱・加圧機構などを有することができる。イオン原料供給部14における、イオン原料群の供給は、間欠的に行ってもよいし、連続的に行ってもよい。すなわち、イオン原料供給部14は、イオン原料群を間欠的に供給する間欠バルブ15を含んでもよい。イオン原料群の供給を間欠的に行うと、イオン原料を連続で供給する場合に比べ、真空排気系の負荷を低減できるため好ましい。
イオン化部17の構成およびイオン化の方法は、特に限定されるものではない。イオン化の方式としては、電子衝撃イオン化法、化学イオン化法、光イオン化法、表面電離イオン化法、電界放射法、プラズマイオン化法、ペニングイオン化法、エレクトロスプレー法などが挙げられる。イオン化部17におけるイオン化は、連続的に行ってもよいし、間欠的に行ってもよい。イオン化部17の開口部より、イオン原料群がイオン化されて生成したイオン群が放出される。
図4は、第1の実施形態に係る照射装置10の構成の一部を模式的に示す図である。なお、図4において符号が付されていない黒い矢印は、イオン群放出部11によって放出されたイオン群の中心軸を示している。本実施形態に係る照射装置10は、変更手段12として、成形部13と、電場印加手段であるデフレクター121と、を有する。
成形部13は、イオン群放出部11から放出されたイオン群の進行方向側に配置され、イオン群の少なくとも一部を遮断することによってイオン群を成形して、イオンビームを生成する。成形部13の構造は特に限定はされず、例えば、開口を有するアパーチャー板を用いることができる。
デフレクター121は、イオン群に対してイオン群の進行方向と平行でない方向に電場を印加する電場印加手段である。デフレクター121の構成は特に制限はないが、例えば、イオン群を挟んで配置された、対向する一対の平行平板電極とすることができる。複数対の平行平板電極であってもよい。デフレクター121への電圧印加により、デフレクター121を通過するイオンビームを一定時間偏向させ、中心軸の方向の異なるイオンビーム成分をイオンビーム中に生じさせることができる。なおここでは、デフレクター121がパルス的に動作する例を示すが、連続的に動作してもよい。
図4には、ある時刻においてデフレクター121をOFF(電圧印加をOFF)とし、その後のある時刻においてデフレクター121をON(電圧印加をON)とした際のイオン群が模式的に示されている。デフレクター121のOFF/ONにより、中心軸の方向の異なるイオン群B1、B2が生成する。
デフレクター121は上述のように、イオン群が通過する領域に電場を印加することによってイオン群を偏向する。すなわち、デフレクター121によって電場を印加することにより、イオン群放出部11によって放出されたイオン群を、イオン群の進行方向と垂直な方向に、成形部13に対して相対的に変位させる。すなわち、本実施形態において、デフレクター121はイオン群を変位させる変位手段である。なお、変位手段がイオン群を変位させる方向は、イオン群の進行方向と垂直な方向を成分として含む方向であれば、特に限定はされない。
本実施形態ではイオン群放出部11から放出されたイオン群の一部が成形部13によって遮蔽され、残りの一部が成形部13を通過することで、照射装置10によって照射されるイオンビームが生成される。偏向を行わない場合には、イオン群放出部11によって放出されたイオン群のうち、イオン平面の特定の領域内のイオンのみが成形部13を通過することになる。しかし、本実施形態では上述の偏向を行うことで、偏向を行わない場合に通過する領域とは異なる領域内のイオンが、成形部13を通過するようにすることができる。
なお、本実施形態では変位手段として電場印加手段を用いたが、これに限定はされず、磁場印加手段を用いてもよい。本実施形態のように変位手段として電場印加手段や磁場印加手段を用いることで、イオンビームの中心軸の方向を容易に制御することができる。
また、本実施形態に係る照射装置10は、デフレクター121と成形部13との間にチョッパー用のデフレクター18を有する。デフレクター18により、デフレクター121をOFFにした時のイオンビームB1をチョッピングした後、デフレクター121をONにした時のイオンビームB2をチョッピングする。この結果、異なるイオン濃度分布を有するパルス化したイオンビームを選別できる。なお、デフレクター121をONにした時のイオンビームB2を複数回チョッピングすることでも、異なるイオン濃度分布を有するパルス化したイオンビームを選別することができる。
変更手段12によるイオンビームのイオンの分布状態の変更動作、すなわち、デフレクター121による電場の印加は、チョッパーによるチョッピング動作と連動して行うことが好ましい。ここで、「連動する」とは、変更手段12の動作とチョッパーによるチョッピング動作とが、同じトリガー信号によって動作することを指す。すなわち、トリガー信号によって変更手段12とチョッパーとが同時刻に動作する。または、変更手段12またはチョッパーの一方がトリガー信号によって動作すると、その動作時刻から一定時間遅延して、もう一方が動作することを指す。これらを連動して動作させることにより、異なるイオンの分布状態を有する複数種類のイオンビームを選別する制御が簡便になる。
変更手段12によってイオンビームのイオン濃度分布を変化させる方向、すなわち、デフレクター121によって印加する電場の方向は、特に限定はされない。変更手段12は、イオン濃度分布の変化の方向がランダムになるよう動作してもよく、規則的に動作してもよい。規則的に動作する場合には、特定の波形に基づき周期的に動作してよい。この場合、変更手段12の動作周期と、チョッパーの動作周期とが異なることが好ましい。動作周期をずらすことにより、異なるイオン濃度分布を有する複数種類のイオンビームを選別できる。
なお、変更手段12によってイオンビームのイオン濃度分布を変化させる方向、すなわち、デフレクター121によって印加する電場の方向は、複数の方向であることが好ましい。さらに、それぞれの方向が平行ではないことが好ましい。すなわち、前記方向は2軸以上であることが好ましい。例えば、直交する2対のデフレクターを用いるなどによって、これを実現することができる。変更手段12によってイオンビームのイオン濃度分布を変化させる方向を2軸以上にすることで、イオンビームの有するイオン濃度分布のバリエーションをより増やすことができ、その結果、上述のムラの影響をより低減することができる。
変更手段12は、イオンビームのイオン濃度分布を連続的に変化させてもよく、間欠的に変化させてもよい。間欠的に変化する場合のイオン濃度分布の変化の方向は、少なくとも2以上であり、好ましくは3以上であり、より好ましくは4以上である。間欠的に変化するイオン濃度分布の変化の方向の種類を多くすることで、照射するイオンビームの有するイオン濃度分布の種類を増やすことができる。その結果、上述のイオンビームの有するムラの影響をより効果的に抑制することができる。
照射装置10は、イオン群放出部11の下流にチョッパー(不図示)を有していてもよい。チョッパーは、イオン群放出部11によって放出されたイオン群を通過させる開口状態(Open)と、遮断する閉口状態(Close)とを切り替えることができる。チョッパーを任意時間だけ開口状態とすることで、イオン群放出部11によって連続的に放出されるイオン群の一部を切り出し、パルス化されたイオン群とすることができる。パルス化されたイオン群を成形部13によって成形することで、パルス化されたイオンビームを生成することができる。なお、チョッパーが、閉口状態から一定時間の開口状態を経て再度開口状態となることを、1回のチョッピング動作と数える。
チョッパーの方式は特に限定はされないが、リターディング方式またはブランカー方式を用いることができる。リターディング方式は、イオンの進行方向に対して逆方向のクーロン力を印加することによりイオンを反射させるものである。ブランカー方式は、電場または磁場により、イオンを進行方向に対して垂直方向に偏向させるデフレクターと、イオンが通過する開口部を有するアパーチャーとを組み合わせたものである。電場または磁場の条件は特に限定されないが、同じ強度および時間幅にてパルス的な電場または磁場の発生を繰り返すことで、時間幅の揃った複数のパルス化されたイオンビームを得ることができる。
パルス化されたイオンビームは、チョッパーを開口状態にした時間幅に対応する、イオンビームの進行方向の広がりを有する。この場合、上述したイオン濃度分布は、1パルス全体が照射領域32に照射されたときのイオン濃度分布の積算または平均としてもよいし、任意の時刻に照射領域32に到達するイオン濃度分布としてもよい。
イオン群放出部11は、イオン化部17に対してイオン群の進行方向の下流側に、イオン分離器(不図示)を有していてもよい。イオン分離器とは、複数種のイオンから成るイオンの集合体を、イオンの性質(質量、電荷数、立体形状など)ごとに気相中において分離する手段を指す。利用可能なイオン分離器は特に限定はされず、飛行時間型質量分離器、四重極型質量分離器、イオントラップ型質量分離器、磁場型質量分離器、ExBフィルタ、イオン移動度計などが好ましく用いられる。イオン分離器を有することで、特定のイオン種をイオン群として選別できるため、目的にあわせたイオン種の選別が容易になる。
照射装置10は、さらに、成形部13の下流側に収束部(不図示)を有していてもよい。収束部の構成は特に限定はされないが、静電レンズを好ましく用いることができる。収束部は、成形部13を通過したイオンビームを、イオンビームの進行方向に垂直な方向に収束または発散させる機能を有する。収束部により、変更手段12やチョッパーによって発生し得るイオンビームの発散を、収束させることができる。これにより、試料31に照射されるイオンビームのビーム径を一定に保つことができ、照射領域32以外の領域へのイオンビームの照射を避けることができる。その結果、それに伴う試料の損傷を回避できる。
照射装置10は、さらに、成形部13の下流側に入射角調整部(不図示)を有していてもよい。入射角調整部の構成は特に限定はされないが、デフレクターを好ましく用いることができる。入射角調整部は、成形部13を通過したイオンビームの軌道を変えることで、試料31の表面に対するイオンビームの入射角を変化させる機能を有する。この機能により、イオンビームを照射する試料31上の位置を調整し、照射領域32以外の領域へのイオンビームの照射を避けることができる。その結果、それに伴う試料の損傷を回避できる。
収束部または入射角調整部は、成形部13を通過したイオンビームの、イオンビームの進行方向と垂直な平面の形状を、イオンビームが試料31の表面に到達する領域の形状が真円状となるように調整してもよい。このように調整することで、照射領域32以外の領域へのイオンビームの照射を避けることができる。その結果、それに伴う試料の損傷を回避できる。
本実施形態に係るMS装置100においては、照射装置10によって照射領域32にイオンビームが照射される。このイオンビームの照射によって試料31の表面から発生する二次イオンが質量分析部20によって質量分析され、質量分析の結果と、二次イオンの発生位置の位置情報とに基づいて、質量分布画像(質量イメージ)の取得が行われる。なおこのとき、照射装置10が照射するイオンビームがパルス化されたイオンビームであり、質量分析はパルス化されたイオンビームが照射されるたびに行われることが好ましい。照射するイオンビームをパルス化されたイオンビームとすることで、試料31の表面から発生した二次イオンの、発生時刻を特定することができる。
質量分析部20における質量分離方式は特に限定はされない。例えば、飛行時間型、磁場偏向型、四重極型、イオントラップ型、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴型、電場型フーリエ変換型、マルチターン型等の各種方式を単独あるいは組み合せて採用することができる。
また、イオンビームを試料31に照射する際には、イオンビームを細く収束して照射し、照射点によって試料31上を走査する走査型としてもよいし、試料31上の特定領域に一括して照射する投影型としてもよい。なお、投影型とした場合には、当該特定領域は、上述した照射領域32となる。
走査型の場合には、収束部を用いて照射されるイオンビームを収束し、さらに入射角調整部を用いて偏向させることにより、試料31上の微小領域にイオンビームを照射し、この照射点を走査する。このときの照射径に制限はないが、走査型の二次イオン質量分析で得られる質量画像の空間分解能は照射径に直接依存することから、照射径は直径で0.01μmから50μm程度が好ましい。なお、本発明を走査型に適用すると、微小領域内におけるイオン濃度分布のムラの影響を低減できるため、分析精度の保証される総イオン照射量の上限値が高くなり、感度を向上できるという利点がある。
走査型の場合には、試料31上における二次イオンの発生位置はイオンビームの照射位置となるため、二次イオンの発生位置の位置情報は、イオンビームの照射時に取得される。この場合、質量分析部20では二次イオンの質量電荷比を計測できさえすればよいため、質量分析部20の有する検出器は特に限定はされず、各質量分析方式に適したものを用いればよい。
投影型の場合には、必要に応じ、収束部を用いてイオン群が照射される照射径を収束あるいは拡大し、さらに必要に応じて、入射角調整部を用いて偏向することにより、試料の特定領域に一括してイオンビームを照射する。投影型における照射径に制限は無いが、測定領域の面積となるため、照射径は直径で0.01mmから10mm程度が好ましい。
投影型の場合には、試料31上で発生した二次イオンは、質量分析部20の有する検出器まで飛行し、検出器上に結像する。このとき、二次イオンの試料31上の発生位置と、検出器上の結像位置は、一対一で対応する。そのため、質量分析部20として飛行時間型質量分析計と、二次元検出器と、を用いることで、二次イオンの到達時刻と到達位置を同時に取得することができる。その結果、質量分析部20によって二次イオンの質量電荷比と試料31上における二次イオンの発生位置の位置情報とを同時に取得することができる。
二次元検出器の種類は特に限定はされず、到達した二次イオンの二次元検出器上における到達位置と到達時刻とを検出できるものであればどのような構成でもよい。二次元検出器としては、例えば、MCP(マイクロチャンネルプレート)と二次元型の電子・位置検出器(ディレイライン検出器、またはDLDともよぶ)との組み合わせを用いることができる。または、MCPと蛍光板との組み合わせ、MCPとCCD(電荷結合素子)型二次元検出器との組み合わせ、微小なMCPが二次元状に配置された検出器を用いてもよい。なお、二次元検出器の種類とその応答状況に応じ、チョッパーまたは変更手段12の動作時間、動作周期を変化させたり同期させたりしてもよい。
質量分析部20による質量分析結果は、解析装置により解析処理し、解析処理された二次イオン質量スペクトルまたは質量分布画像として、出力装置により出力してもよい。解析装置による解析処理としては、質量電荷比のキャリブレーションや、同種のイオン濃度分布を有するイオンビームの照射で得られた質量スペクトルの積算、平均化、規格化を含んでもよい。解析装置および出力装置は、専用の演算機能およびメモリを備えた集積回路等であってもよく、または汎用のコンピュータ内にソフトウエアとして構築されたものであってもよい。
パルス化されたイオンビームを照射するたびに質量分析を行って得られる複数の質量分布画像は、照射するイオンビームのイオン濃度分布に応じて異なるムラを有する。このため、イオンビームの照射の工程と二次イオンの質量分析の工程を複数回繰り返し、得られる複数の質量分布画像を積算することで、ムラの抑制された質量分布画像を形成することができる。
また、得られる特定質量の質量分布画像は、全質量を合算した全質量分布画像や、標準試料などを用い予め計測したリファレンス画像を用いて規格化してもよい。規格化により、質量分布画像が有するムラをより効果的に抑制することができる場合がある。
以上のように、本実施形態に係る照射装置10によれば、試料31上の目的領域へのイオンビームの均一な照射を実現できる。また、本実施形態に係る照射装置10を備えたMS装置100によれば、イオンビーム照射装置の有するイオン濃度分布のムラに起因する質量分布画像のムラを抑制することができる。
(第2の実施形態)
図5は、第2の実施形態に係る照射装置10の構成の一部を模式的に示す図である。なお、図5において符号が付されていない黒い矢印は、図4と同様、イオン群放出部11によって放出されたイオン群の中心軸を示している。
本実施形態に係る照射装置10は、変更手段12として、成形部13と、変位手段123と、を有する。好ましくは、変位手段123はイオン群放出部11から放出されたイオン群の進行方向と垂直な方向に、イオン群放出部11または成形部13を変位させる。変位手段123は上述のようにイオン群放出部11から放出されたイオン群の進行方向と垂直な方向に、イオンビーム放出手段11を成形部13に対して変位させる。
本実施形態ではこれにより、イオン群放出部11によって放出されたイオン群のイオン平面のうち、異なる領域内のイオンを、成形部13によって切り出すことができる。これにより、イオンビーム中のイオンの分布状態を変化させることができる。
なお、本実施形態によれば、イオンビームの進行方向を変化させることなく、イオンビームの中心軸を平行移動させることでイオン濃度分布を変化させることができるため、イオンビームの収束性が良好になる。
図5(b)は、図5(a)の変形例であり、図5(b)では変位手段123は成形部13を変位させる。このとき、チョッパー用のアパーチャー182を、成形部13とは別に設けることが好ましい。また、この実施形態においては成形部13によって生成されるイオンビームの中心軸がそれぞれ異なることになるため、イオンビームを試料31上の照射領域32に照射するために、偏向手段(偏向電極19および電源191)を設けることが好ましい。
(第3の実施形態)
図6は、第3の実施形態に係る照射装置10の構成の一部を模式的に示す図である。なお、図6において符号が付されていない黒い矢印は、イオン原料供給部14によって放出されたイオン群またはイオン原料群(以下、単にイオン原料群と称することがある)の中心軸を示している。
本実施形態に係る照射装置10は、変更手段12として、成形部13と、変位手段124と、を有する。また、本実施形態に係るイオン群放出部11は、上述のイオン原料供給部14と、スキマー16と、イオン化部17と、を有する。変位手段124は、イオン原料供給部14の開口部を、イオン原料供給部14から放出されたイオン原料群の進行方向と平行ではない方向に変位させる。変位手段124は、前記イオン原料群の進行方向と垂直な方向に、イオン原料供給部14を変位させることが好ましい。変位手段124は上述のようにイオン原料供給部14を変位させることによって、イオン群のイオン濃度分布を、イオン群の進行方向と垂直な方向に、成形部13に対して相対的に変化させることができる。
本実施形態ではこれにより、イオン原料供給部14によって供給されたイオン原料群のうちの異なる領域内のイオン原料群に起因するイオン群を、成形部13によって切り出すことができる。これにより、照射領域32に照射されるイオンビームのイオン濃度分布を変化させることができる。
変位手段124は、図6(a)に示すように、スキマー16は変位させずにイオン原料供給部14のみを変位させてもよいし、図6(b)に示すように、イオン原料供給部14とスキマー16とをともに変位させてもよい。
図6(a)に示すようにイオン原料供給部14のみを変位させる場合には、スキマー16を通過するイオン原料群の、進行方向に垂直な平面でのイオン原料の濃度分布が変化する。イオン原料供給部14から供給されたイオン原料群は、スキマー16によりスキマー16の開口径に対応する平面内のイオン原料のみが切り出される。そのため、変位手段124によりイオン原料供給手段14を変位させると、ビーム径および中心軸が同じで、イオン原料の濃度分布が異なるイオン原料群が形成される。
スキマー16を通過したイオン原料群はイオン化部17によってイオン化されてイオン群となるが、イオン群のイオン濃度分布はイオン化前のイオン原料群の濃度分布に対応した分布となる。そのため、本実施形態によればイオン群のイオン濃度分布を成形部13に対して相対的に変化させることができる。
図6(a)に示す構成によれば、イオン化部17に入射するイオン原料群、チョッパー用のデフレクター18に入射するイオンビームは、いずれも濃度分布によらず、常にビーム径が一定で、入射位置も一定となる。そのため、イオン化部17におけるイオン効率やデフレクター18によるチョッピング動作を一定に制御しやすく、好ましい。
図6(a)の変位手段124aの具体例としては、イオン原料供給部14のノズルに当接して配置した振動子が挙げられる。
図6(b)に示すようにイオン原料供給部14とスキマー16とをともに変位させる場合には、イオン化部17に入射するイオン原料ビームの、進行方向に垂直な平面でのイオン原料の濃度分布が、成形部13に対して相対的に変化する。イオン化部17に入射したイオン原料群はイオン化され、イオン原料群が有していた濃度分布に対応したイオン濃度分布のイオン群が生成される。そのため、本実施形態でも、イオン群のイオン濃度分布を成形部13に対して相対的に変化させることができる。
図6(b)に示す構成によれば、イオン原料供給部14から供給されるイオン原料群のうち、常に一定領域内のイオン原料をスキマー16に入射させることができる。そのため、クラスターイオンの生成効率を落とすことなく、イオン濃度分布を成形部13に対して相対的に変化させることができるという利点がある。
また、本実施形態に係る変位手段124は、間欠バルブ15に設置され、イオン原料群の進行方向と平行でない方向に、間欠バルブ15を変位させてもよい。このとき、間欠バルブ15によるイオン原料群の噴射のタイミングと、変位手段124の駆動のタイミングとを同期させることが好ましい。
(第4の実施形態)
第4の実施形態に係る照射装置10は、ビームプロファイラー(不図示)と、情報処理装置(不図示)と、をさらに有する。
本実施形態では、ビームプロファイラーによってイオンビームの進行方向に垂直な平面におけるイオン濃度分布を評価し、ビームプロファイラーによって評価されたイオン濃度分布に基づいてイオンビームの照射を行う。具体的には、イオン濃度分布に基づいて情報処理装置によって照射領域32を複数の分割領域に仮想的に分割し、分割パターンに基づいて、変更手段12によってイオン濃度分布を変化させつつ、照射領域32へのイオンビームの照射を行う。
本実施形態に係る照射装置10は、図1において、イオンビームのイオン濃度分布を評価するビームプロファイラーを、成形部13の下流側に有する。ビームプロファイラーは、照射装置10内に移動可能に設置されていてもよく、照射装置10の外側に取外し可能に設置されていてもよい。ビームプロファイラーの方式に特に限定はなく、蛍光体にイオンビームを照射して発光させてその発光強度分布を評価する方式でもよく、ファラデーカップを用いてビーム電流量の分布を評価する方式でもよい。
さらに、本実施形態に係る照射装置10は、照射領域32を複数の分割領域に仮想的に分割する情報処理装置(不図示)を有する。情報処理装置は、照射装置10や質量分析部20を制御するPCおよびソフトウエアによって実現されていてもよく、別途用意するPCおよびソフトウエアによって実現されていてもよい。
本実施形態において、ビームプロファイラーによる評価結果に基づいて、照射領域32を複数の分割領域に仮想的に分割する例を、図7の模式図を用いて説明する。図7(a)は、ビームプロファイラーにより評価される、イオンビームのイオン密度分布61を示す模式図である。図7(a)に示すように、ビームプロファイラーによって、イオンビームにおける高イオン濃度領域62が評価される。そして、ビームプロファイラーによって、高イオン濃度領域62のx方向の幅Lおよびy方向の幅Lを取得する。
情報処理装置は、図7(b)のように、ビームプロファイラーによって取得された高イオン濃度領域62の幅を分割幅として、照射領域32を複数の分割領域に仮想的に分割する。分割幅に特に制限はなく、例えばイオンビームのx方向、y方向のそれぞれについての濃度分布の標準偏差σを用い、図7のように分割幅を2σ、2σとしてもよい。また、分割の位置についても特に制限はなく、情報処理装置が決定してもよい。以上のように、情報処理装置は、分割幅と分割の位置に基づき、分割パターンを形成する。
次に、照射装置10は、生成された分割パターンに基づき、変更手段12によるイオン濃度分布の変化の方向および量(変化ベクトル)を決定する。このとき、分割後の個々の分割領域と、照射するイオンビームのイオン濃度分布のパターンとが1対1に対応するように、変化ベクトルを決定する。変化ベクトルは、高イオン濃度領域が分割領域を左右あるいは上下から順番に推移するように決定されてもよい。すなわち、高イオン濃度領域によって、照射領域32内を走査するようにしてもよい。
決定された変化ベクトルに基づき、変更手段12によるイオン濃度分布の変化動作と、チョッピング動作とを行うことで、高イオン濃度領域を照射領域32にくまなく照射することができる。これにより、イオンビームの有するイオン濃度分布のムラの影響をより精密に抑制することができる。
なお、個々の分割領域ごとで同じ照射回数となるように、イオン濃度分布の変化動作、チョッピング動作、およびイオンビーム照射の一連の動作を行うことが好ましい。加えて、分割領域全てにイオンビーム照射を1回ずつ行う動作を1セットとするとき、1セット目以降の照射では、異なる分割パターンに基づき照射を行うこともできる。例えば、図7(c)のように、1セット目と分割幅は同じだが分割位置の異なる第2の分割パターンに基づいて照射を行ってもよい。1セットごとに分割位置を変えることで、高イオン濃度領域がより均一に照射されるようにすることができる。この動作により、イオンビームの有するイオン濃度分布のムラの影響をさらに抑制することができる。
(第5の実施形態)
第5の実施形態に係る照射装置10は、照射装置10によって照射されるイオンビームを、イオンビームの進行方向を軸に回転させる回転手段(不図示)を有する。回転手段は、例えば、照射装置10全体を回転させる手段であってもよいし、照射装置10のうち回転手段以外の部分を回転させる手段であってもよい。あるいは、イオン群放出部11を回転させる手段であってもよいし、イオン原料供給部14を回転させる手段であってもよい。
本実施形態ではこのように、イオンビームを回転させることで、イオンビームの進行方向に垂直な断面の形状を変えることなく、前記断面におけるイオンの分布状態を変えることができる。したがって、回転手段によってイオンビーム回転させつつイオンビームを照射領域32に順次照射することによって、イオンビームが有する濃度分布のムラの影響を照射領域32内で平均化することができ、その結果、上述のムラの影響を低減することができる。
10 イオンビーム照射装置
11 イオン群放出部
12 変更手段

Claims (16)

  1. 試料上の照射領域にイオンビームを照射するイオンビーム照射装置であって、
    前記イオンビームの進行方向に垂直な断面の形状が同じであって、前記断面におけるイオンの分布状態を変えた異なる2以上のイオンビームを前記照射領域に順次照射することを特徴とするイオンビーム照射装置。
  2. イオン群を放出させるイオン群放出部と、
    前記イオン群放出部から放出された前記イオン群の進行方向側に配置され、前記イオン群の少なくとも一部を遮断することによって前記イオン群を成形して前記イオンビームを生成する成形部と、
    前記イオン群を、前記イオン群の進行方向と垂直な方向に、前記成形部に対して相対的に変位させる変位手段と、を有し、
    第1のイオンビームを生成した後に、前記変位手段によって前記イオン群を変位させて前記成形部によって前記イオン群を成形することによって第2のイオンビームを生成し、前記第1のイオンビームおよび前記第2のイオンビームを前記照射領域に照射することを特徴とする請求項1に記載のイオンビーム照射装置。
  3. 前記イオン群または前記イオンビームをパルス化するチョッパーをさらに有し、
    前記第1のイオンビームおよび前記第2のイオンビームが、前記チョッパーによってパルス化されたイオンビームであることを特徴とする請求項2に記載のイオンビーム照射装置。
  4. 前記成形部が、開口部を有するアパーチャー板であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のイオンビーム照射装置。
  5. 前記変位手段は、前記イオン群に対して電場を印加する電場印加手段であり、
    前記電場印加手段が、前記イオン群放出部と前記成形部との間に配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のイオンビーム照射装置。
  6. 前記変位手段が、前記イオン群の進行方向と垂直な方向に、前記イオン群放出部を前記成形部に対して相対的に変位させる変位手段であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のイオンビーム照射装置。
  7. 前記イオン群放出部が、
    気体または液体の状態のイオン原料を真空中に供給するためのノズルと、
    前記ノズルから供給される前記イオン原料の少なくとも一部を通過させるスキマーと、
    前記スキマーを通過したイオン原料をイオン化してイオン群を生成するイオン化部と、を有し、
    前記変位手段が、前記ノズルの開口部を、前記イオン原料の進行方向と垂直な方向に、前記スキマーに対して相対的に変位させる変位手段であることを特徴とする請求項1に記載のイオンビーム照射装置。
  8. 前記イオン群放出部が、
    気体または液体の状態のイオン原料を真空中に供給するためのノズルと、
    前記ノズルから供給される前記イオン原料の少なくとも一部を通過させるスキマーと、
    前記スキマーを通過したイオン原料をイオン化してイオン群を生成するイオン化部と、を有し、
    前記変位手段が、前記ノズルの開口部を、前記イオン原料の進行方向と垂直な方向に、前記イオン化部に対して相対的に変位させる変位手段であることを特徴とする請求項1に記載のイオンビーム照射装置。
  9. 前記成形部に対して前記イオンビームの進行方向の下流側に、前記イオンビームを偏向する偏向手段を有し、
    前記偏向手段は、前記イオンビームが照射される前記照射領域を一定に保つように、前記イオンビームを偏向することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載のイオンビーム照射装置。
  10. 前記成形部に対して前記イオンビームの進行方向の下流側に、前記イオンビームの進行方向に垂直な平面におけるイオン濃度分布を評価するビームプロファイラーをさらに有し、
    前記変位手段は、前記ビームプロファイラーより評価された前記イオン濃度分布に基づいて動作することを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載のイオンビーム照射装置。
  11. 請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載のイオンビーム照射装置と、
    前記照射領域内の前記試料から発生する二次イオンの質量を分析する質量分析部と、を有することを特徴とする二次イオン質量分析装置。
  12. 前記質量分析部が、飛行時間型質量分析計であることを特徴とする請求項11に記載の二次イオン質量分析装置。
  13. 前記質量分析部が、前記二次イオンの到達位置を検出する二次元検出器を備えることを特徴とする請求項11または請求項12に記載の二次イオン質量分析装置。
  14. 前記二次イオンの質量分析の結果と、前記二次イオンの前記領域内における発生位置の情報と、から質量イメージを形成することを特徴とする請求項11乃至請求項13のいずれか一項に記載の二次イオン質量分析装置。
  15. 試料上の照射領域にイオンビームを照射する第1の工程と、
    前記イオンビームの、進行方向に垂直な平面内におけるイオン濃度分布を変えて、前記照射領域にイオンビームを照射する第2の工程と、を有することを特徴とするイオンビーム照射方法。
  16. 試料上の照射領域にイオンビームを照射する第1の工程と、
    前記照射領域内の前記試料から発生した二次イオンを質量分析する第2の工程と、
    前記質量分析の結果と、前記二次イオンの前記領域内における発生位置の位置情報と、から、質量イメージを形成する第3の工程と、を有する二次イオン質量分析方法であって、
    前記イオンビームの進行方向に垂直な平面内における前記イオンビームの濃度分布を変えて、前記第1の工程と前記第2の工程を複数回繰り返すことを特徴とする二次イオン質量分析方法。
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