以下、遊技機の一種であるスロットマシンに本発明を適用した場合の一実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はスロットマシン10の正面図であり、図2は前面扉21を閉じた状態におけるスロットマシン10の斜視図であり、図3は前面扉21を開いた状態におけるスロットマシン10の斜視図であり、図4は前面扉21を取り除いた状態における筐体11の正面図である。
図3に示すように、スロットマシン10は、筐体11を備えている。筐体11は、複数の板部12〜16を組合せることによりスロットマシン10前方に向けて開放された四角箱状に形成されている。詳細には、底板部12、背板部13、左側板部14、右側板部15、及び天板部16を備えており、隣接する各板部12〜16が接着等の固定手段によって固定されていることで、筐体11が形成されている。当該筐体11は、スロットマシン10を遊技ホールに設置する際に、いわゆる島設備に対して釘を打ち付ける等して取り付けられる。
筐体11の前面側には、前面扉21が取り付けられている。前面扉21はその左側部を回動軸として、筐体11の内部空間を開閉可能とするように筐体11に支持されている。詳細には、筐体11の左側板部14には筐体側支持部材17が設けられているとともに、前面扉21の左側部には扉側支持部材22が設けられている。これら各支持部材17,22はともに金属製であり、筐体側支持部材17には上下一対の支軸部17aが一体形成されているとともに、扉側支持部材22には各支軸部17aに1対1で対応させて支持孔部22aが形成されている。各支持孔部22aが対応する各支軸部17aに挿通されて下側を支持されることにより、筐体11に前面扉21が開閉可能に支持されている。
なお、扉側支持部材22に支軸部が形成され、支持孔部が筐体側支持部材17に形成される構成としてもよく、この場合、各支軸部が対応する各支持孔部に挿通されて下側を支持される。
筐体11に対して前面扉21が閉鎖した状態では、当該前面扉21の背面が筐体11の前面開口部の周縁全体に対して前方から当接することとなる。したがって、前面扉21が閉鎖状態である場合には、筐体11の前面開口部の全体が前面扉21により覆われた状態となる。前面扉21の右側部、すなわち開閉先端側には施錠装置23が設けられており、筐体11の右側板部15には、図4に示すように、金属製の施錠受け部材18が設けられている。前面扉21を閉鎖状態とした場合には施錠装置23が施錠受け部材18に対して施錠状態となり、前面扉21の開放操作が阻止される。
筐体11内には、図3及び図4に示すように、複数の電気機器が搭載されている。具体的には、筐体11の底板部12上には電源装置31とホッパ装置32とが左右に並設されている。電源装置31は、遊技ホールの電源に接続され、当該電源から供給される電力に基づいて、ホッパ装置32や、後述する各種機器において必要な動作電力を生成して供給する。また、電源装置31には、電源投入時や電源遮断時に操作される電源スイッチ、スロットマシン10の各種状態をリセットするためのリセットボタン、及びメダルの付与率(例えば内部抽選における当選確率)に変化を与える設定状態を「設定1」(付与率が最も低い状態)から「設定6」(付与率が最も高い状態)までの6段階に変更するために操作される設定キー挿入孔が設けられている。ホッパ装置32は、上方に開放された空間内にメダルを貯留する貯留タンク32aと、当該貯留タンク32aに貯留されたメダルを払い出す払出装置32bとを備えており、スロットマシン10に投入されたメダルの貯留が行われるとともに遊技の結果に応じた遊技者へのメダルの払い出しが実行される。
筐体11内において、電源装置31及びホッパ装置32の上方にはリールユニット101が設けられている。リールユニット101は、複数の周回体として、円筒状に形成された左リール102L、中リール102M、及び右リール102Rを備えている。各リール102L〜102Rは、その中心軸線が当該リール102L〜102Rの回転軸線となるように回転可能に支持されている。各リール102L〜102Rの回転軸線は略水平方向に延びる同一軸線上に配設されている。これら各リール102L〜102Rは、それぞれがステッピングモータよりなるリール用駆動モータに連結されており、各リール用駆動モータの駆動により各リール102L〜102Rが個別に、即ちそれぞれ独立して回転駆動し得る構成となっている。
各リール102L〜102Rの外周面には、図3に示すように、帯状のベルト103L,103M,103Rが巻かれている。帯状のベルト103L〜103Rの周面には、それぞれ複数種の図柄が付されており(例えば21個ずつ)、各リール用駆動モータが駆動状態となり各リール102L〜102Rが回転することにより、各図柄の位置が連続的に変化することとなる。
これら各リール102L〜102Rに付された図柄は、図1に示すように、前面扉21の上半部に設けられた透明樹脂製の窓パネル部131を通じてスロットマシン10前方から視認可能となっている。この場合、前面扉21の背面部において窓パネル部131と重なる領域には、図3に示すように、下側部分に横長矩形状の表示窓部27を形成し、その上下左右を囲うように表示ユニット111が搭載されており、リールユニット101においてスロットマシン10前方から視認可能な範囲が図1の下側の破線で囲む表示窓部27の範囲内に制限されている。つまり、窓パネル部131と表示ユニット111とを利用して表示窓部27が区画形成されている。この表示窓部27が形成された範囲は、全体を視認可能な図柄の数が各リール102L〜102Rについて縦方向に3個ずつとなるように設定されている。各リール102L〜102Rが正回転した場合には、表示窓部27を通じて図柄が上から下へ向かって移動しているかのように映し出される。また、各リール102L〜102Rがすべて停止している状態では、縦方向に3個と横方向に3個の合計9個の図柄が遊技者に視認可能な状態となる。
表示窓部27から視認可能な9個の図柄が配置される範囲には、図1に示すように、所定数の組合せラインL1〜L5が設定されている。具体的には、横方向へ平行に3本、斜め方向へたすき掛けに2本、合計5本の組合せラインL1〜L5が設定されている。これら組合せラインL1〜L5は、メダル及び仮想メダルの賭け数に応じた数だけ有効化され、有効化された組合せライン上に内部抽選にて当選となった役に対応した図柄の組合せが停止表示されることにより、遊技者に特典が付与される。この組合せラインの数は6以上としてもよく、5未満としてもよく、遊技の状態などの所定条件に応じて最大組合せライン数を変更するようにしてもよい。
各リール102L〜102Rには、小役図柄と、再遊技図柄と、特別図柄とが付されている。小役図柄としては、例えば「スイカ」図柄と、「ベル」図柄と、「チェリー」図柄とが存在しており、いずれかの有効ライン上に「スイカ」図柄が左・中・右と揃った場合には15枚のメダルが払い出され、いずれかの有効ライン上に「ベル」図柄が左・中・右と揃った場合には8枚のメダルが払い出され、左リール102L上の「チェリー」図柄が有効ライン上に停止した場合には2枚のメダルが払い出される。また、いずれかの有効ライン上に再遊技図柄が左・中・右と揃った場合にはメダル払出は行われないが、新たな賭け操作を要することなく新たな遊技を開始させることが可能となる。
特別図柄としては、例えば「7」図柄と「BAR」図柄とが存在しており、いずれかの有効ライン上に「7」図柄が左・中・右と揃った場合には第1特別遊技状態としてビッグボーナス状態に移行し、いずれかの有効ライン上に「BAR」図柄が左・中・右と揃った場合には第2特別遊技状態としてレギュラーボーナス状態に移行する。ビッグボーナス状態及びレギュラーボーナス状態は、通常遊技状態よりも各遊技回におけるメダル及び仮想メダルの払出率が向上する状態であり、具体的には内部抽選で当選となった場合には各リール102L〜102Rの停止タイミングに関係なくいずれかの有効ラインL1〜L5上に停止表示される「ベル」役の入賞が通常遊技状態よりも高頻度で発生する状態である。そして、ビッグボーナス状態は、当該状態において遊技者に払い出されたメダル及び仮想メダルの総数が第1所定数(例えば350枚)以上となった場合に終了される状態であり、レギュラーボーナス状態は、当該状態において遊技者に払い出されたメダル及び仮想メダルの総数が第1所定数よりも少ない第2所定数(例えば150枚)以上となった場合に終了される状態である。
窓パネル部131における表示窓部27より上側は、図1に示すように、表示ユニット111に設けられた表示装置 の表示面112aをスロットマシン10前方から視認可能とする領域となっている。つまり、窓パネル部131は、表示面112aを視認可能とする上パネル部131aと、各リール102L〜102Rの図柄を視認可能とする下パネル部131bとを有している。また、窓パネル部131は、図1に示すように、これら上パネル部131aと下パネル部131bとを上下に区画するように区画部134が設けられている。
前面扉21において窓パネル部131の周囲には、演出用発光部133と、報知用発光部132とが設けられている。演出用発光部133では遊技の状況に応じた光の演出が行われ、報知用発光部132では異常の発生に際してそれに応じた発光制御が行われる。
前面扉21において窓パネル部131の下方領域は、図2に示すように、当該窓パネル部131よりもスロットマシン10前方に膨出させて操作領域24が形成されており、当該操作領域24には各種操作部が設けられている。具体的には、操作領域24前面の左側には、図1に示すように、各リール102L〜102Rの回転を開始させるために操作されるスタートレバー151が設けられている。メダル及び仮想メダルの少なくとも一方が賭けられている状況でスタートレバー151が操作されることにより、各リール102L〜102Rが一斉に回転を開始する。
スタートレバー151の右側には、図2に示すように、回転している各リール102L〜102Rを個別に停止させるために操作されるストップボタン153L,153M,153Rが設けられている。各ストップボタン153L〜153Rは正面視において停止対象となるリール102L〜102Rの直下にそれぞれ配置されている。各ストップボタン153L〜153Rは、左リール102Lが回転を開始してから所定時間が経過すると停止操作が有効化される。
操作領域24上面の右側には、図2に示すように、メダルを投入するためのメダル投入口155aが形成された投入用部材155が設けられている。前面扉21の背面部には、図3に示すようにセレクタ113が設けられており、メダル投入口155aに投入されたメダルは当該セレクタ113によって、投入可能時であればホッパ装置32へ導かれ、投入不可時であれば前面扉21の前面下部に設けられたメダル排出口25aからメダル受け皿25へと導かれる。
操作領域24上面の左側には、クレジットされた仮想メダルを投入するために操作されるクレジット投入ボタン152が設けられている。クレジット投入ボタン152が操作されることにより、クレジットされた仮想メダルの数及び最大賭け数の範囲で仮想メダルが投入される。
操作領域24前面においてスタートレバー151の下方には、精算ボタン156が設けられている。精算ボタン156が操作されることにより、ホッパ装置32が駆動制御されて、クレジットされている仮想メダルが実際のメダルとしてメダル受け皿25に払い出される。当該メダル受け皿25は、前面扉21の下端においてスロットマシン10前方に突出させて形成されており、上方に開放されたメダルの貯留領域を有している。
操作領域24とメダル受け皿25とは縦方向に離間されており、これらの間には装飾パネル部26が設けられている。装飾パネル部26には、スロットマシン10の機種に対応したキャラクタや模様などの装飾が付されている。
操作領域24の左右両側とメダル排出口25aの左右両側には、図1に示すように、遊技者に遊技状態等を音声により報知するスピーカが内蔵された左右一対の音声出力部157が上下に離間して設けられ、合計4箇所から音声が出力可能とされている。
操作領域24の上面においてメダル投入口155aの左方には、表示装置112における演出の内容を切り替えるべく操作される操作用ボタン154が設けられている。当該操作用ボタン154の操作による演出内容の切り替え態様としては、1ゲームの途中で所定の表示演出が表示装置112にて実行された場合に、操作用ボタン154の操作に伴い表示装置112における表示演出が特定の演出に進行する態様や所定の画像が表示される態様が挙げられる。また、他の態様としては、1ゲームの表示演出として、選択される演出内容が相違する複数のモードが存在している状況下において、操作用ボタン154の操作に伴いモードが切り替えられる態様が挙げられる。また、操作用ボタン154の操作が演出として実行されるのではなく、例えば操作用ボタン154の操作に伴い表示装置112にて本スロットマシン10の遊技内容の説明がなされる構成や、本スロットマシン10の遊技履歴の内容が表示される構成が挙げられる。
上記構成のスロットマシン10の遊技の流れについて簡単に説明する。
まずメダル投入口155aへのメダルの投入操作及びクレジット投入ボタン152の押圧操作の少なくとも一方に基づいて、メダル及び仮想メダルの少なくとも一方が投入される。この場合、1枚のメダル又は1枚の仮想メダルが投入された場合には、中央ラインL1が有効ラインに設定され、メダル及び仮想メダルの投入総数が2枚となった場合には、中央ラインL1、上ラインL2及び下ラインL3が有効ラインに設定され、メダル及び仮想メダルの投入総数が3枚となった場合には、中央ラインL1、上ラインL2、下ラインL3及び一対の斜めラインL4,L5が有効ラインに設定される。
なお、メダル及び仮想メダルの投入総数が既に3枚となっている状況でさらにメダル投入口155aへのメダルの投入が行われると、その投入されたメダルは仮想メダルとしてクレジットされる。
メダル及び仮想メダルの投入総数が所定数(例えば3枚)である状況でスタートレバー151が押下げ操作されることにより、内部抽選が実行されるとともに各リール102L〜102Rの回転が開始される。その後に、各ストップボタン153L〜153Rが順次、押圧操作されることにより、それぞれ対応するリール102L〜102Rの回転が順次停止される。この場合に、内部抽選において当選となっている役に対応した図柄に対して有効ライン上への引き込み制御が実行される。具体的には、所定のストップボタンが押圧操作されたタイミングでは、対象となるリールについて当選役に対応した図柄が有効ライン上に存在していない場合であっても、当該図柄が有効ラインに対して上流側に存在する所定個数(例えば4個)の図柄の中に含まれているのであれば、有効ライン上に引き込んで停止させる構成となっている。当該構成において、「ベル」図柄や再遊技図柄については各リール102L〜102Rにおける配置間隔が、上記引き込み制御の範囲内となるように設定されているのに対して、「スイカ」図柄、「チェリー」図柄、「7」図柄及び「BAR」図柄については各リール102L〜102Rにおける配置間隔が、上記引き込み制御の範囲外となり得るように設定されている。
全リール102L〜102Rが停止した場合には、いずれかの有効ラインL1〜L5上に、内部抽選において当選となった役の入賞が成立しているか否かの入賞判定が行われ、入賞が成立していると判定された場合には、その入賞に対応した特典が遊技者に付与される。例えば、所定の小役の入賞が成立している場合には、その小役に対応した数のメダルが遊技者に払い出されるように制御される。この場合、クレジットされた仮想メダルの数が最大数(例えば50枚)未満である場合には、当該最大数の範囲内において仮想メダルとしてクレジットされる。一方、最大数に達している場合には、ホッパ装置32が駆動制御されて、実際のメダルとして遊技者に払い出される。また、再遊技の入賞が成立している場合には、再遊技が遊技者に付与されるように制御され、ビッグボーナスの入賞が成立している場合には遊技状態がビッグボーナス状態に移行するように制御され、レギュラーボーナスの入賞が成立している場合には遊技状態がレギュラーボーナス状態に移行するように制御される。
上記内部抽選及び各種制御は、主制御装置41により実行される。主制御装置41は、図4に示すように、筐体11内においてリールユニット101の上方に設けられている。主制御装置41は、上記内部抽選及び各種制御を実行するためのCPU43、ROM44及びRAM45が一方の板面に搭載された主制御基板42と、当該主制御基板42を収容する基板ボックス46と、を備えている。基板ボックス46は一対のケース体47(一方のケース体については図示略)を備えており、主制御基板42を板厚の方向に挟むようにしてこれら一対のケース体47が組み合わされていることにより、主制御基板42が基板ボックス46内に収容されている。各ケース体47は、基板ボックス46の外部からこれらケース体47を通じて主制御基板42を目視確認できるように透明(又は無色透明)な樹脂により形成されている。また、各ケース体47の縁部には、これらケース体47を結合させる結合構造48が複数設けられており、これら結合構造48は結合の解除に際して一部の破壊を要する構成となっている。したがって、基板ボックス46の内部空間が不正に開放された場合には、結合構造48に破壊箇所が残存することにより、当該不正開放の痕跡が残ることとなる。
なお、基板ボックス46に開放の痕跡を残すための構成としては、引き剥がしに際して粘着層が接着対象に残ることで剥がされたことの痕跡を残す封印シールを複数のケース体間の境界を跨ぐようにして貼り付ける構成や、基板ボックスを構成する複数のケース体間の境界に接着剤を塗布する構成としても良いし、これら構成と上記結合構造48とを組み合わせても良い。
主制御装置41は、筐体11の背板部13に固定されている。具体的には、主制御装置41は、略長方形状をなす主制御基板42の形状に対応させて、略長方形状をなす表面及び裏面を有し且つ略直方体状に形成されている。また、基板ボックス46において当該表面を生じさせる壁部は、主制御基板42においてCPU43、ROM44及びRAM45が搭載された素子搭載面と対向している。
主制御装置41は、支持ユニット51を介して背板部13に固定されている。支持ユニット51は、図示による詳細な説明は省略するが、背板部13に固定された支持台座52と、当該支持台座52に対して下端部を回動軸として前後に回動可能に支持された支持部材53と、を備えている。支持台座52には、左右一対の支持フック54が一体形成されており、支持部材53を支持台座52に前方から重ねた状態では当該支持部材53が支持フック54に固定され、当該支持部材53の前方への変位が規制される。支持フック54により固定された状態の解除操作は、前面扉21を開放状態とした場合に筐体11の前面開口部側から当該支持フック54を弾性変形させることにより行うことが可能であり、この解除操作に際しては部材の破壊を要しない。
主制御装置41は、その下側領域が支持部材53に対して上側から挿入され、支持部材53に固定されている。当該固定は、その解除に際して所定の部材の破壊を要し、固定解除の痕跡が残る構成となっているが、ネジなどを利用することにより、固定の解除に際して破壊を要しない構成としてもよい。支持部材53に主制御装置41が固定された構成において、基板ボックス46の表面部であって主制御基板42の素子搭載面と対向する領域は支持部材53により覆われていない。したがって、主制御装置41が支持部材53に固定された状態であっても、基板ボックス46の外部からの素子搭載面の視認性は確保されている。主制御装置41が一体化された支持部材53が支持台座52に重ね合わせられ、主制御装置41が初期位置に配置されている状態では、主制御装置41の裏面は筐体11の背板部13に対向することとなり、主制御装置41は起立した状態となる。
上記のように主制御装置41が背板部13に固定されていることにより、主制御装置41が筐体11の前面開口部から遠い位置に存在することとなり、当該前面開口部から不正用治具を挿入して主制御装置41に不正を施そうとしてもそれが行いづらくなる。また、主制御基板42の素子搭載面がスロットマシン10前方を向くことにより、前面扉21を開放状態とすれば素子搭載面を容易に目視確認することが可能となり、不正有無の確認の容易化が図られる。
一方、主制御装置41が一体化された支持部材53が支持台座52から離間されるように前方に回動された場合には、主制御装置41の上端を筐体11の前面開口部側に引き出すことが可能となる。この状態では、主制御装置41の上端の位置が、各リール102L〜102Rの前後方向の中心よりも前方であって筐体11の前面開口部よりも後方の位置となるように、当該主制御装置41を前方に引き出すことが可能となる。これにより、主制御装置41をより近い位置にて目視確認することが可能となる。
<上側表示ユニット200>
次に、上側表示ユニット200の全体的な構成について、図5から図7を主に参照して説明し、その後に各部の詳細について個別に説明する。図5は、上側表示ユニット200の正面図であり、図5(a)は待機状態に対応し、図5(b)は装飾体201が視認可能に配置された作動状態に対応する。図6は、前側から見た上側表示ユニット200の分解斜視図である。なお、図5においては、理解の容易のために、上側表示ユニット200の後側に配置される表示装置112の表示面112aを併せて示している。
上側表示ユニット200は、図3に示すように、表示窓部27の上方に設けられ、表示窓部27の左右両側および下側部分を形成する部材と共に表示ユニット111の一部を構成する部材である。上側表示ユニット200は、表示装置112に対して前側に設けられ、その背面側に表示装置112と、表示装置112の表示内容を制御する表示制御装置114とが重なるようにして取り付けられている。
また、上側表示ユニット200は、スロットマシン10の前面を形成する透明な上パネル部131aの背面側に重なるようにして設けられている。図1に示すように、上パネル部131aの中央部分には、表示装置112の表示面112aが正面側から視認可能に配置されており、その表示面112aより前側に位置した上側表示ユニット200が遊技者から正面側より視認可能に設けられている。なお、図1に示す上パネル部131aは、正面側から見て四隅のコーナー部分が斜めに切断された形状としているが、上側表示ユニット200の正面視における装飾が施された外形に合わせた別形状としても良く、略矩形状に形成しても良い。
上側表示ユニット200には、立体的な動作体により構成される装飾体201が設けられ、表示装置112の表示面112aで行われる平面的な演出に対して、その前側に立体的な動作体による演出が付加されている。
上側表示ユニット200は、図5(a)に示すように、表示装置112の表示面112a全体が遊技者から視認し易く、装飾体201が隠されるようにした待機状態と、図5(b)に示すように、その表示面112aの前側に重なって装飾体201が視認可能に配置された作動状態とを切り替え可能に構成されている。上側表示ユニット200には、上パネル部131aの中央部に対して後側に重なる位置に横長略矩形状の表示用開口部202が前後方向に貫通して形成され、この表示用開口部202を通じて表示装置112の表示面112aが遊技者から視認可能とされる。表示装置112の表示面112aと、その前面側を覆う上パネル部131aとは、前後方向に離間して配置され、それらの間に形成される空間部(以下、装飾空間と称す。)に上側表示ユニット200が設けられ、その装飾空間において、装飾体201を形成するための複数の動作体が移動可能とされている。
装飾体201は、図5(b)に示すように、作動状態において表示面112aの中央部に対して前側に重なり、正面視において蝶の羽根のような形をなしている。この装飾体201の外形形状は、上側において幅広で、下側に行くに従い幅狭となる曲線状に左右の側縁が形成され、上側と下側の縁部分は中央側に略三角形状に凹んだ形状とされている。また、装飾体201は、上側表示ユニット200及び表示面112aの左右方向における中央位置を基準として略左右対称形状とされている。
装飾体201は、上下方向及び左右方向における略中央部分において上下方向及び左右方向に連続する2本の分断線D1,D2を基準に分断されており、上下二段において左右に並んで配置された4つの装飾構成体211を組み合わせて構成されている。以下、これら4つの装飾構成体211に対して、正面視において右上側から時計回りに順に「A」から「D」の記号を符号の末尾に付し、右上側の装飾構成体211A、右下側の装飾構成体211B、左下側の装飾構成体211C、左上側の装飾構成体211Dと称す場合があるものとし、各装飾構成体211A〜211Dに対応して設けられる他の部材についても必要に応じて末尾に「A」から「D」の記号を付して識別する場合があるものとする。
4つの装飾構成体211A〜211Dは、それぞれが別々の回動体212(212A〜212D)を間に介在して別方向に動作可能に支持され、待機状態においては左右両端側における上下の端側に相当する四隅のコーナー部分に分散して配置され、装飾構成体211A〜211Dの前側に別の装飾部分が重なることにより、図5(a)に示すように、装飾体201の構成部分が遊技者から視認不能に隠された状態となる。
上側表示ユニット200は、図6に示すように、4つの装飾構成体211A〜211Dを動作可能とする動作ユニット221と、動作ユニット221の前側に設けられて上側表示ユニット200の位置する装飾空間の左右両側部分を装飾する左右の前側カバー体222R,222Lとを有している。左右の前側カバー体222R,222Lは、待機状態における装飾構成体211A〜211Dに対して前側を覆う位置に設けられ、これにより、待機状態において4つの装飾構成体211A〜211Dが遊技者から視認不能とされている。ここで、装飾構成体211A〜211Dには、前面側へ光を照射する発光ダイオード(LED)等の発光体が内蔵され、この発光体は、作動状態においては装飾構成体211A〜211Dの前面側を発光させ、待機状態においては、前側カバー体222R,222Lの背面側に光を照射する。前側カバー体222R,222Lには、待機状態における装飾構成体211A〜211Dの発光体の光が照射される箇所に透光性を有する合成樹脂性の導光部が設けられ、その発光体の光が前側カバー体222R,222Lの内部を通過し、前側カバー体222R,222Lの前面側において起伏して形成される装飾部分を発光させる。
動作ユニット221の後側には、動作ユニット221と略同一の大きさに形成された取付ベース231が重なるようにして取り付けられている。取付ベース231は、上側表示ユニット200の外形形状に略一致し、表示用開口部202に対応して前後方向に貫通する開口部を有する形状とされた合成樹脂製の部材である。
取付ベース231の外周部分には、図5及び図6に示すように、上側左右両端部において上方側に突出した取付突起部241と、下側左右両端部において下方側に突出し、前後に貫通する取付孔が形成された取付孔部242とが設けられている。前面扉21に対しては、取付突起部241に対応した前面扉21の本体側の支持部(図示せず)に取付ベース231の上側部分を位置合わせし、取付孔部242の取付孔へネジを挿通して前面扉21の背面側に締結固定する。これにより、動作ユニット221を含む上側表示ユニット200が前面扉21の一部として他の部材と一体化される。
取付ベース231の前側には、動作ユニット221の本体を構成する前側ベース232が重なるように配置され、取付ベース231とネジにより一体化されている。前側ベース232は、取付ベース231と略同一サイズの外形形状及び開口部を有している。前側ベース232には、4つの装飾構成体211A〜211D及び回動体212A〜212Dを動作可能とする動作機構等が取り付けられ、各部材を一体化した状態で取付ベース231に固定可能に構成されている。
<動作ユニット221>
次に、動作ユニット221の動作機構の詳細について、図7から図12を参照して説明する。図7及び図8は、前側及び後側から見た動作ユニット221の動作機構を示す斜視図である。図9は、右上側の装飾構成体211Aの動作機構を後側から見た斜視図であり、図10は、装飾構成体211Aの動作機構の背面図である。図11及び図12は、右側2つの装飾構成体211A,211Bの動作機構を示す背面図及び正面図である。なお、図7から図12において、(a)を付した図により装飾体201及び装飾構成体211の待機状態を示し、(b)を付した図により装飾体201及び装飾構成体211の作動状態を示している。また、図9には、電動モータ213Rの外形線を一点鎖線で示し、図9(a)には、軸支ピン259の後側に取り付けられる部材の一部を省略して示している。また、図11及び図12には、レール265の高さ位置を一点鎖線で示している。
動作ユニット221は、図7(a)及び図7(b)に示すように、上記した前側ベース232と、前側ベース232に回動動作可能に設けられた4つの回動体212A〜212Dと、各回動体212A〜212Dに回動動作可能に設けられた4つの装飾構成体211A〜211Dとを備えている。
また、動作ユニット221は、図8(a)及び図8(b)に示すように、4つの回動体212A〜212D及び装飾構成体211A〜211Dが動作するための駆動力を発生する電動モータ213R,213Lと、装飾構成体211A〜211Dの後方側において上下に長く形成された2つの連結部材214R,214Lを備えている。連結部材214R,214Lは、4つの回動体212A〜212Dを左右2つずつの組合せで同期させて動作させる部材であり、その構成詳細については後述する。
4つの回動体212A〜212Dは、前側ベース232の左右両端側において上下の端部側に相当する四隅のコーナー部分を回動基端部として回動可能に支持されている。4つの回動体212A〜212Dにおいて、回動基端部とは逆側の回動先端部には、装飾構成体211A〜211Dが回動可能に連結固定されている。
4つの回動体212A〜212Dは、いずれも回動基端部と回動先端部との間部分を真っ直ぐに接続した直線状に形成され、待機状態において前側ベース232の枠状部分のうち左右の両辺部に重なるように上下方向に直線的に連続する向きに配置される。このため、各装飾構成体211A〜211Dは、待機状態において上下方向の一方側に偏って配置され、その配置される側とは反対側の端部を回動中心として回動可能に支持される。
右上側の装飾構成体211Aの回動中心は、前側ベース232の右下側に位置し、右上側の装飾構成体211Aに対応して設けられる右上側用の回動体212Aは、図7及び図8に示すように、前側ベース232の右側の辺部に対して後側に重なるように配置される。一方、前側ベース232の右側の辺部に対して前側には、右下側の装飾構成体211Bに対応して設けられる右下側用の回動体212Bが配置されている。待機状態においては、前側ベース232の右側の辺部の前後に、2つの回動体212A,212Bが重なって配置される。
前側ベース232には、各回動体212A〜212Dを支持する軸支持部が、各回動体212A〜212Dの回動基端部に対応する位置に突出して設けられ、前側ベース232の軸支持部に各回動体212A〜212Dが嵌め合わされた状態とした後にネジ止めされて、前側ベース232に回動体212A〜212Dが回動可能に支持される。前側ベース232の左側の辺部には、右側の辺部と同様に、2つの回動体212C,212Dが重なるように配置され、回動可能に支持されている。
4つの装飾構成体211A〜211Dのうち、右側2つの装飾構成体211A,211Bと、左側2つの装飾構成体211C,211Dとは、正面視で左右対称の形状をなして左右対称に動作可能に構成されている。また、各装飾構成体211A〜211Dに対応して設けられる4つの回動体212A〜212Dについても、右側2つの回動体212A,212Bと右側2つの回動体212C,212Dとが左右対称に形成され、左右対称に動作可能とされている。
上下に並んで配置される右側2つの装飾構成体211A,211Bと、左側2つの装飾構成体211C,211Dのそれぞれについても、正面視で上下対称に動作可能に構成されている。例えば、右側については、上側の装飾構成体211Aと下側の装飾構成体211Bとが上下対称に動作し、各装飾構成体211A,211Bに対応して設けられる回動体212A,212Bも上下対称に動作する。左側における装飾構成体211C,211D及び回動体212C,212Dについても上下対称に動作可能とされている。
次に、4つの装飾構成体211A〜211Dの動作機構の具体的構成について説明する。4つの装飾構成体211A〜211Dは、上記したように、上下及び左右に並んだ2つの組合せにおいて対称に動作可能とされ、各動作機構は、左右を対比した場合には完全に共通の構成をなし、上下を対比しても大部分が共通の機構で構成されている。このため、まずは、右上側の装飾構成体211Aの動作機構について説明し、その後に、右側2つの装飾構成体211A,211Bを組み合わせた動作機構について説明し、左側2つの装飾構成体211C,211Dの動作機構については説明を省略する。
右上側の装飾構成体211Aは、図9(a)及び図9(b)に示すように、回動体212Aの一端側に相当する回動先端側を中心にして回動可能に構成されている。回動体212Aの回動基端側には、後側に円筒状に突出した部位を含む被支持部251が設けられ、この被支持部251が前側ベース232の軸支持部に支持されて回動体212Aが回動軸R1を中心にして前側ベース232に回動可能とされる。
回動体212Aは、被支持部251と、被支持部251に対して装飾構成体211A側に連続する主アーム部252と、被支持部251に対して主アーム部252とは別の方向側に突出する副アーム部253とを備えている。副アーム部253の先端側部分には、電動モータ213Rの駆動力を回動体212Aに伝達するための連結棒254が回動自在に連結されている。
回動体212Aは、電動モータ213Rの駆動力によって回動動作する部材であり、電動モータ213Rの動力は、モータギヤ255と、2つの従動ギヤ256,257と、連結棒254とを経由し、副アーム部253から回動体212Aに伝達される。モータギヤ255は、前側ベース232に固定される電動モータ213Rの出力軸に固定され、一方の従動ギヤ256に噛み合った状態で連動する構成とされている。従動ギヤ256,257は、上下に2つ並べて配置され、外周のギヤ部分が噛み合わされた状態にして前側ベースに回動自在に支持されている。
回動体212Aの位置は、図示しない検出器により検出され、例えば、待機状態に対応した位置においてオンとなるフォトセンサにより検出され、この検出された位置を基準に電動モータ213Rの回転量及び回転方向が制御される。この電動モータ213Rの制御によりモータギヤ255が回動し、このモータギヤ255の回動に回動体212Aが連動する。これにより、待機状態に対応した位置と、作動状態に対応した位置との間を回動体212Aが動作する。
電動モータ213Rは、ステッピングモータにより構成され、表示制御装置114と図示しない配線により接続されている。主制御装置41からのコマンドを受けた表示制御装置114は、電動モータ213R,213Lの回動方向及び回動量を制御し、これにより、モータギヤ255が動作し、2つの従動ギヤ256,257を通じて回動体212Aが動作し、装飾構成体211Aが回動体212Aに連動する。
ここで、装飾構成体211Aが回動体212Aの一端側で回動する機構について説明する。装飾構成体211Aは、図9(a)及び図9(b)に示すように、回動体212Aの主アーム部252の一端側にて回動軸R2を中心に回動可能に主アーム部252に連結されている。主アーム部252の回動先端側の先端部258には、主アーム部252の厚さ方向に貫通する金属製の軸支ピン259が挿通され、軸支ピン259の前側部分に装飾構成体211Aの前側本体部が圧入により固着されている。軸支ピン259の後側には、金属製の留め具261が主アーム部252の後側に重なるように差し込まれ、主アーム部252に対して軸支ピン259及び留め具261が後側へ相対移動不能とされている。軸支ピン259と留め具261は、装飾構成体211Aの一部を構成し、装飾構成体211Aが主アーム部252に対して前側へ移動できず、装飾構成体211Aが主アーム部252によって回動可能に支持される。
主アーム部252の後側には、図9(a)及び図9(b)に示すように、略円形の合成樹脂製の薄板部分を主体に構成された連動板262が配置されている。連動板262は、装飾構成体211Aの一部を構成し、連動板262には、軸支ピン259を挿通させる軸孔(図示せず)が設けられ、軸支ピン259の外周と軸孔の内周とが共に円形の一部を直線で切り欠いた形状をなし、軸支ピン259と一体的に回動するように係合している。このため、連動板262が回動することにより軸支ピン259が回動し、軸支ピン259に固定される装飾構成体211Aが連動板262と共に一体的に回動する。
主アーム部252の後側には、主アーム部252に対して装飾構成体211Aを回動させるための手段としてリンクアーム263が取り付けられている。リンクアーム263は、回動体212Aとは別に前側ベース232に一端側が回動可能に軸支され、他端側には連動板262が回動可能に連結されている。主アーム部252の回動軸R1に対して、リンクアーム263の回動軸R3は、待機状態から装飾構成体211Aが移動する移動方向先端側(初期の移動方向に相当し、図10(a)において矢印が向く右側、以下同じ)に位置している。一方、リンクアーム263と連動板262とが連結されて相対的に回動することとなるリンクアーム作動軸R4は、主アーム部252と装飾構成体211Aとが連結される装飾構成体211Aの回動軸R2より装飾構成体211Aが移動する移動方向後端側(図10(a)の矢印とは逆の方向)に位置している。
装飾構成体211A及び回動体212Aの回動軸方向視において、主アーム部252の回動軸R1と装飾構成体211Aの回動軸R2とを結ぶ線分に対して、リンクアーム263の回動軸R3とリンクアーム作動軸R4とを結ぶ仮想線が前後方向において交差して重なる設定とされている。かかる設定により、主アーム部252が待機状態から回動するとリンクアーム263が連動して移動を開始し、リンクアーム作動軸R4は装飾構成体211Aの回動軸R2を越えて移動方向先端側(図10(b)の右側)へ大きく移動する。図10に示すように、主アーム部252の回動軸R1と装飾構成体211Aの回動軸R2とを結ぶ線分に対して装飾構成体211Aの回動軸R2とリンクアーム作動軸R4とを結ぶ線分との成す角度は、作動状態に対応する角度θ1に比べて待機状態に対応する角度θ2に減少し、この減少分だけ、主アーム部252よりも装飾構成体211Aが回動する。これにより、主アーム部252が回動した角度より大きな角度で装飾構成体211Aが回動する。
なお、装飾構成体211Aが回動体212Aの一端側で回動する機構としては、リンクアーム263を有するリンク機構を用いずに他の機構を採用しても良い。例えば、回動体212Aの回動先端側にモータを設置し、当該モータの出力軸に装飾構成体211Aを取り付けて、当該モータの回動方向及び回動量を制御して装飾構成体211Aが回動体212Aに対して回動する構成としても良い。
次に、図11及び図12を主に参照して、右側2つの装飾構成体211A,211Bを組み合わせた動作機構の動作について説明する。
モータギヤ255に噛み合わされて連動する2つの従動ギヤ256,257は、図12に示すように、正面側から見て上下対称のギヤ部を外周部分に有し、これらギヤ部分が噛み合わされた構成とされている。上側の従動ギヤ256は、外周部分にギヤ部分が形成された板状部分を前後に二枚重ねた形状をなし、後側板状部の外周部分がモータギヤ255に噛み合わされ、前側板状部が下流側の従動ギヤ257と対称形状をなしている。
モータギヤ255の回動に対して上側の従動ギヤ256が連動すると、2つの従動ギヤ256,257が同一の回動量及び回動速度で連動する。また、下側の従動ギヤ257に対しては、上記したように、上側の装飾構成体211Aに対応する回動体212Aを動作させるための連結棒254が回動自在に連結され、上側の従動ギヤ256に対しては、下側の装飾構成体211Bに対応する回動体212Bを動作させるための連結棒264が回動自在に連結されている。モータギヤ255の回動に上下の連結棒254,264が連動し、これにより、各回動体212A,212Bが同一速度で連動し、上下の装飾構成体211A,211Bが中央側へ同一速度で移動することとなる。この場合に、上下の装飾構成体211A,211Bは、それぞれに対応して設けられるリンクアーム263A,263Bによって回動体212A,212Bより大きく回動する。
ここで、左右の連結部材214R,214Lについて説明する。連結部材214R,214Lは、図8(a)及び図8(b)に示すように、前側ベース232の枠状部分の上辺に相当する部位に取り付けられ、前側ベース232の開口の下側付近まで連続する長さを有する部材である。前側ベース232の背面側には、金属製のレール265に沿って左右方向にスライド移動するスライダ266が取り付けられており、このスライダ266に連結部材214R,214Lがネジにより一体化されている。以下、右側2つの装飾構成体211A,211Bを連結する右側の連結部材214Rに関する構成について、図11から図13を参照して説明し、左側の連結部材214Lについては、右側の連結部材214Rと左右対称の構成であるので、その説明を省略する。なお、連結部材214R,214Lは、他の構造により前側ベース232にスライド移動可能に支持されていても良く、例えば、上下の両端側にスライダが取り付けられて、前側ベース232の枠状部分に対して上下の両辺で支持されていても良い。
連結部材214Rは、略一定の横幅で前後方向に厚みを有する縦長の板状に形成され、横幅の中央部分には軸受孔271U,271Lが、図11(a)及び図11(b)に示すように、背面視において上側と下側とのそれぞれにおいて縦長に開口形成されている。上下の軸受孔271U,271Lは、縦方向に直線的に配置されて左右方向における位置が一致している。各軸受孔271U,271Lには、装飾構成体211A,211Bの回動中心に配置される軸支ピン259A,259Bが挿入されている。上側の軸受孔271Uには、上側の装飾構成体211Aの軸支ピン259Aが挿入され、下側の軸受孔271Lには、下側の装飾構成体211Bの軸支ピン259Bが挿入される。連結部材214Rには、2つの装飾構成体211A,211Bの軸支ピン259A,259Bを通じて左右方向への動力が伝達され、上下2つの装飾構成体211A,211Bの左右位置にズレが生じない構成とされている。
次に、連結部材214Rによる装飾構成体211A,211Bの連結構造について、図13を参照して説明する。図13は、装飾構成体211Aと連結部材214Rとの連結部分を示す断面図であり、図11のF13−F13線にて切断した形状を模式的に示した図である。図13においては、軸支ピン259A、2つの留め具261A,274A及びスペーサー272Aを断面視しないで図示し、右下側の装飾構成体211Bと回動体212Bを一点鎖線で図示している。
連結部材214Rに対して装飾構成体211Aは、軸支ピン259Aを間に介在して、前後方向の相対移動が制限されるようにして連結されている。図13に示すように、軸支ピン259Aの後側部分には、留め具261Aが取り付けられ、その留め具261Aの後側に、円盤形のスペーサー272Aと、後側の外径が大きな段付き形状の摺動部材273Aと、押し込み固定式の留め具274Aとが順に取り付けられている。
前後に離間して配置される2つの留め具261A,274Aは、略円環状に形成され、軸支ピン259Aに押し込むことで軸支ピン259Aと一体化される。前側の留め具261Aの外周部分は、スペーサー272Aの一部に対して前側に対向し、後側の留め具274Aの外周部分は、摺動部材273Aの後側に対向する。このため、スペーサー272Aと摺動部材273Aは、軸支ピン259Aに対しての前後方向への移動が2つの留め具261A,274Aにより制限され、軸支ピン259Aと一体化される装飾構成体211Aに対しては、軸支ピン259Aを中心に回動可能な状態で一体化されている。なお、スペーサー272Aと摺動部材273Aは、装飾構成体211Aと連結部材214Rとをスムースに連動させるために設けられる部材であり、必ずしも必要でなく省略しても良い。
スペーサー272Aと、摺動部材273Aの鍔部分との間には、連結部材214Rにおいて軸受孔271Uを形成する内側縁部275Aが前後方向に重なるように位置している。スペーサー272Aと摺動部材273Aは、上側の装飾構成体211Aの一部分として他の部位と一体化されているので、上側の装飾構成体211Aの前側の本体前面部分は、連結部材214Rから一定の距離S3分、前側に位置する。なお、下側の装飾構成体211Bについても、上側の装飾構成体211Aと同様に、軸支ピン259Bを介して連結部材214Rに連結され、下側の装飾構成体211Bの本体部分が連結部材214Rから一定の距離S3分、前側に位置する。
ここで、装飾構成体211A,211Bを回動可能に支持する回動体212A,212Bは、図13に示すように、前後に重なるようにして異なる前後位置に配置されている。一方、上下の装飾構成体211A,211Bの前側本体部分は、作動状態となった場合の見栄えを考慮して前面が略面一となるように前後位置を略一致させている。このため、上側の装飾構成体211Aの本体前面と回動体212Aとの前後の距離S1の方が、下側の装飾構成体211Bの本体前面と回動体212Bとの前後の距離S2に比べて相対的に長くなっている。この前後の距離の相違は、装飾構成体211A,211Bを支持する回動体212A,212Bに作用する力を異ならせるので、連結部材がなければ、前後の距離が長い上側の装飾構成体211Aと回動体212Aとの組合せの方が、移動中の変位量が大きくなり易く、変位動作中の上下の装飾構成体211A,211Bが前後に位置ずれし易い。
これに対して、上下の装飾構成体211A,211Bの一部である2つの軸支ピン259A,259Bを、共通の連結部材214Rに連結して前後方向において位置決めすることにより、上下の装飾構成体211A,211Bが前後方向において位置ずれし難くなる。特に、作動状態では、上下の装飾構成体211A,211Bの軸支ピン259A,259Bが上下方向において最も接近する(図11(b)参照)。このため、連結部材214Rが前後方向において僅かに傾斜したとしても前後方向における軸支ピン259A,259Bの位置ずれが最小となる。よって、予め定めた前後位置に正確に上下の装飾構成体211A,211Bを配置することができ、装飾体201を正確に形成することができる。
次に、図14を参照して、装飾構成体211A〜211Dの動作を説明する。図14は、装飾構成体211A〜211Dの動作説明図であり、図14(a)〜図14(c)は、動作ユニット221の正面図であり、図14(d)〜図14(f)は、動作ユニット221の背面図である。また、図14(a)及び図14(d)は、動作ユニット221の待機状態に対応し、図14(c)及び図14(f)は動作ユニット221の作動状態に対応し、図14(b)及び図14(e)は、待機状態と作動状態との遷移途中における状態に対応している。
通常遊技状態の大部分においては、図14(a)に示すように、4つの装飾構成体211A〜211Dは、前側ベース232の開口の四隅のコーナー部分に位置し、前側ベース232の枠部分の前側に重なって配置されている。動作ユニット221の背面側においては、図14(d)に示すように、前側ベース232の枠部分に連結部材214R,214Lが重なるように位置している。
スタートレバー151に対する遊技者の操作によって内部抽選に当選する等して、装飾体201を形成する演出の実行条件が成立した場合、電動モータ213R,213Lが表示制御装置114によって駆動制御されることにより、図14(b)に示すように、4つの装飾構成体211A〜211Dが前側ベース232の開口の中央側に向かって移動する。4つの装飾構成体211A〜211Dが移動する際には、図14(e)に示すように、連結部材214R,214Lも中央側に移動する。4つの装飾構成体211A〜211Dは、左右のそれぞれにおいて連結部材214R,214Lに移動動作が制限され、左右及び前後に位置ずれが生じることなく、左右及び前後位置が一致した状態で見栄え良く中央側に移動する。
また、4つの装飾構成体211A〜211Dのうち、上側の装飾構成体211A,211Dは、図14(a)及び図14(b)に矢印を付して示すように、前側ベース232の下側コーナー部分を中心として上側に凸となる円弧状に移動し、下側の装飾構成体211B,211Cは、前側ベース232の下側コーナー部分を中心として上側に凸となる円弧状に移動する。更に、各装飾構成体211A〜211Dは、各装飾構成体211A〜211Dを支持する回動体212A〜212Dに対しても、図14(b)に示す矢印を付した方向側に回動しつつ作動状態に遷移する。回動体212A〜212Dに対して装飾構成体211A〜211Dが回動する方向は、回動体212A〜212Dが回動する方向と正面視において一致している。例えば、右上側の装飾構成体211Aについて見ると、待機状態から作動状態への遷移に際して、前側ベース232に対して回動体212Aが反時計回りに回動し、回動体212Aに対して装飾構成体211Aも回動体212Aの回動方向と同一方向となる反時計回りに回動する。本実施形態においては、待機状態から作動状態への遷移に際して、各回動体212A〜212Dが前側ベース232に対して略45度回動し、各回動体212A〜212Dに対して各装飾構成体211A〜211Dが略90度回動する設定とされ、前側ベース232に対して装飾構成体211A〜211Dは、2つの回動量を加えた略135度回動する設定とされている。
待機状態から作動状態に対応する位置まで電動モータ213R,213Lの駆動量が制御されると、図14(c)に示すように、表示面112aの中央部分の手前側に重なる位置で、装飾体201が形成されて作動状態となる。この場合に、装飾構成体211A〜211Dの左右それぞれにおいて、連結部材214R,214Lにより前後及び左右の位置ずれが最小とされている。
作動状態から待機状態に復帰する場合には、上記した場合と比べて電動モータ213R,213Lの駆動方向が逆になり、図14(c)の作動状態から図14(b)の途中状態を経由して図14(a)の待機状態に復帰する。なお、待機状態から作動状態に達する前までの途中位置において電動モータ213R,213Lの駆動方向を逆転し、待機状態から作動状態とすることなく待機状態に戻す制御を設けても良いし、作動状態から待機状態に達する手間の途中状態を経由して、再び作動状態とする制御を付加しても良い。また、必ずしも2つの電動モータ213R,213Lを一致させて駆動する必要はなく、左右別々に駆動して4つの装飾構成体211A〜211Dを左右別々に動作させても良い。また、必ずしも4つの装飾構成体211A〜211Dを左右の組合せで動作させる必要はなく、各装飾構成体211A〜211Dに対して別々の電動モータを設けて各々が独立して動作可能としても良い。
<装飾構成体211A〜211Dの相対位置決め機能>
次に、4つの装飾構成体211A〜211Dの相対位置を正確にするための構成について、図15から図17を参照して説明する。図15(a)は、装飾体201を形成した作動状態における4つの装飾構成体211A〜211Dの正面図であり、内蔵される磁石Mの配置位置と、各装飾構成体211A〜211Dの移動方向に対応する矢印とを示し、装飾構成体211A〜211Dの外形形状を模式的に示している。図15(b)は、上側2つの装飾構成体211A,211Dの移動に伴う磁石Mの移動軌跡を模式的に拡大して示した図であり、作動状態に達する直前の状態を実線で示し、その前の状態と作動状態に達したときの磁石Mの位置を二点鎖線で示している。
4つの装飾構成体211A〜211Dは、図15(a)に示すように、装飾結合体としての装飾体201を正面視で略鉛直に延びる直線に沿った縦分断線D1と、略水平に延びる線に沿った横分断線D2とによって四分割した形状とされている。このため、各装飾構成体211A〜211Dには、左右方向及び上下方向のそれぞれにおいて隣り合う他の装飾構成体が存在し、隣り合う他の装飾構成体がいずれも2つずつ存在する。
各装飾構成体211A〜211Dは、左右及び上下において対向する平坦な端面を有する端部形状とされている。例えば、右上側の装飾構成体211Aは、略平面状の左側端面281Aと、略平坦で下側に僅かに突出した曲面状の下側端面282Aとを備え、右側端面281Aが左上側の装飾構成体211Dに対向し、下側端面282Aが右下側の装飾構成体211Bに対向する。右下側の装飾構成体211Bは、左下側の装飾構成体211Cの右側端面281Cに対向する左側端面281Bと、右上側の装飾構成体211Aの下側端面282Aに対向する上側端面282Bとを備えている。左側についても同様であり、左下側の装飾構成体211Cは、右側端面281Cと、上側端面282Cとを備え、左上側の装飾構成体211Dは、右側端面281Dと、下側端面282Dとを備えている。
各装飾構成体211A〜211Dには、2つの磁石Mがそれぞれ内蔵されている。磁石Mは、隣り合う他の装飾構成体が位置する側の端面付近に設置された取付スペースに収容されて移動不能に取り付けられており、他の装飾構成体に配置される磁石Mと磁力により引き合って隣り合う2つの装飾構成体同士が吸着し合って一体化する構成とされている。磁石Mは、いずれも略直方体の形状をなし、一つの平面同士が互いに対向した場合に吸着する向きを有するものである。
磁石Mは、永久磁石により構成され、装飾体201が作動状態となった配置位置において互いに引き合う向きにして各装飾構成体211A〜211Dに取り付けられている。各装飾構成体211A〜211Dに設けられる磁石Mは、隣りに位置する装飾構成体に設けられる磁石Mに対して、装飾体201が形成される作動状態となった場合に最も接近し、最大の磁力により引き合う設定とされている。以下、2つの磁石Mが最も接近して磁力により引き合った状態を吸着状態という。
ここで、右上側の装飾構成体211Aを主に参照して、作動状態における磁石Mの配置について更に説明する。右上側の装飾構成体211Aには、2つの磁石Mが内蔵され、左側端面281Aの近くに配置される一方の磁石Mは、左上側の装飾構成体211Dに設けられる磁石Mと左右に並んで配置されている。また、右上側の装飾構成体211Aにおいて下側端面282Aの近くに配置される磁石Mは、右下側の装飾構成体211Bに設けられる磁石Mと上下に並んで配置されている。すなわち、右上側の装飾構成体211Aは、作動状態において、下側と左側との二方向において磁力により移動が制限されている。
隣り合う装飾構成体の組合せにおいて向かい合う端面の形状は、横向きの端面281A〜281Dが略平面状、上向き又は下向きの端面282A〜282Dが僅かに湾曲した略平坦な曲面状に設定され、その端面282A〜282Dを形成する壁の内側に磁石Mが配置されている。なお、磁石Mの一面が端面282A〜282Dの一部を形成するように磁石Mを各装飾構成体211A〜211Dに取り付けても良いし、磁石Mが設置される端面282A〜282D部分に開口を設けて磁石M同士が互いに対向するようにしても良い。
ここで、端面281A〜281D,282A〜282Dは、作動状態において分断線D1,D2に沿って互いに反対方向へスライド可能な構成としても良い。例えば、上側2つの装飾構成体211A,211Dは、端面同士が互いに接触した状態のままで、分断線D1に沿って左上側の装飾構成体211Dが上方側へ移動し、右上側の装飾構成体211Aが下方側へ移動させたとした場合に、両端面281A,281Dが引っかかることなく互いに移動可能な端面形状としても良い。上下に並んだ装飾構成体の組合せについても同様であり、分断線D2に沿って例えば、右側2つの装飾構成体211A,211Bの対向する端面282A,282Bが引っかかることなく互いに移動可能な端面形状としても良い。この場合に、2つの装飾構成体が接触しつつ移動可能な方向は、装飾構成体に対しての磁力の作用する磁石Mの並んだ向きに一致しており、これにより、僅かな位置ずれが生じた場合に、磁力により位置ずれを修正して、予め定めた相対位置に各装飾構成体を配置し易くすることができる。
例えば、右上側の装飾構成体211Aと左上側の装飾構成体211Dとが互いの磁石の組合せによる吸着状態として、上下方向に僅かにズレが生じ、右上側の装飾構成体211Aが僅かに上側に位置する場合を想定する。この場合、右上側の装飾構成体211Aにおける下側端面282Aに対して設けられた磁石Mが右下側の装飾構成体211Bの上側端面282Bに対して設けられた磁石Mによって引っ張られる。右上側の装飾構成体211Aは左上側の装飾構成体211Dに対して下方へ移動可能な状態で接触している場合には、磁力により右上側の装飾構成体211Aが左上側の装飾構成体211Dに対して下方へ移動することができ、これにより、上側で左右に並んだ装飾構成体211A,211Dの位置ずれが少なくなるか、又は位置ずれを無くすことができる。よって互いの相対位置を適切にして装飾体201を見栄え良く形成することができる。
なお、端面281A〜281D,282A〜282Dに起伏を設けて、対向する面に噛み合った状態とされ、分断線D1,D2に沿った移動が制限される構成としても良い。
次に、装飾構成体211A〜211Dが回動体212A〜212Dの回動動作によって移動する方向と、磁石Mの配置とについて説明する。
回動体212A〜212Dによって支持される装飾構成体211A〜211Dは、上記したように、正面視で表示面112aに対して四隅のコーナー部分と画面中央との間を移動するものであり、装飾体201が形成される作動状態に対して斜め方向に移動する設定とされている。図15には、装飾構成体211A〜211Dが回動体212A〜212Dに対して回動する回動中心位置を回動軸R2として丸印で示している。
右上側の装飾構成体211Aを参照すると、装飾構成体211Aは、作動状態に対して斜め右上側に略45度で傾斜して移動する設定とされ、この移動方向は、右上側の装飾構成体211Aに設けられる2つの磁石Mと、これらの磁石Mに対応して右下側及び左上側の装飾構成体211B,211Dに設けられる磁石Mとの並ぶ向きに相当する上下及び左右方向に対して交差する設定とされている。
ここで、本実施形態のように、装飾構成体が別の動作体に支持され、且つ、対向する端面が平坦状で端面の連続する方向に沿った相対的な位置ずれが許容される構成とされている場合には、磁石Mによって装飾構成体が他の装飾構成体に吸着された場合の位置バラツキが生じ易い。また、平面同士が向き合った状態で吸着力が最も高くなる設定とされた磁石Mが、その平面に垂直な方向に移動するように装飾構成体を移動させると、吸着状態となる直前の僅かな移動量で磁力が急激に上昇する。この場合には、装飾構成体が作動状態となる直前で装飾構成体同士が近接するように動作することとなり、装飾体201を形成する挙動が不自然になる可能性がある。磁力による吸着状態を解除して装飾構成体を分離する際には、分離のための駆動力として一時的に非常に高い駆動力を必要とすることにもなる。
これに対し、作動状態からの装飾構成体211A〜211Dの移動方向と、装飾構成体211A〜211Dを位置決めする磁石Mの並ぶ向きとが交差する設定とすることにより、装飾構成体211A〜211Dが作動状態に達する前の早い段階から2つの磁石Mの距離を近づけて徐々に磁力を高めることができる。
例えば、上側2つの装飾構成体211A,211Dについての磁石Mの位置は、図15(b)に示すように、待機状態から、磁石M1の位置と、磁石M2の位置とを経由してから、作動状態に対応する磁石M3の位置に到達する。磁石M1や磁石M2の位置でも徐々に磁力が作用し、その磁力が磁石M3の位置で最大となる。磁石M1と磁石M3の位置間の距離は、斜めに移動する分、真横に磁石Mが移動して接近する場合と比べて長くなる。
このように、吸着力を生じる2つの磁石Mが設けられる装飾構成体211A〜211Dの組合せとしての、左上側と右上側の装飾構成体211A,211Dの組合せを接近させる方向側への磁力を、斜め方向への長い移動区間において次第に強く作用させることができる。他の装飾構成体の組合せについても同様であり、これにより、各装飾構成体211A〜211Dを、より正確な位置に配置し易くして作動状態により形成される装飾体201を見栄え良く形成し、装飾構成体211A〜211Dの組合せが接近する際の挙動についても磁力が急激に上昇する場合に比べて円滑な動作とすることができる。
また、作動状態から待機状態に対応する位置に向かって各装飾構成体211A〜211Dが次第に離間するように移動する場合にも、互いに並んで配置された2つの磁石Mの距離を長い移動区間を利用して徐々に離間させることができる。このため、磁石Mの選定に際して磁力が強く作用する設定としても、比較的少ない駆動力により各装飾構成体211A〜211Dを分離して移動させることができる。よって、駆動源としての電動モータ213R,213Lの容量を低く設定可能にして、電動モータ213R,213Lの選定がし易く、低コストでスロットマシン10を製造し易くすることができる。
また、作動状態からの装飾構成体211A〜211Dの移動方向としての斜め略45度に傾斜する方向に対して、隣り合う装飾構成体に設けられる磁石Mの組合せは、上下及び左右の両方向に並んで配置される設定とされている。この磁石Mの組合せが並ぶ向きは、装飾構成体211A〜211Dの作動状態からの移動方向に対して、正面視で、右回りに略45度と左回りに略45度に設定され、双方向に傾かせた方向に設定されている。そして、4つの装飾構成体211A〜211Dにおいて磁石Mが設置される側の端面281A〜281D,282A〜282Dについても装飾構成体211A〜211Dの移動方向に対して正面視で略45度傾斜した左右方向又は上下方向に向けられている。かかる設定により、装飾構成体211A〜211Dが作動状態を形成するように移動する場合には、楔状に各装飾構成体211A〜211Dが装飾体201を形成する位置に入り込ませた後、作動状態に達した位置で装飾構成体211A〜211Dを複数の方向側からの磁力によって位置決めすることができる。このため、装飾構成体211A〜211Dを精度良く位置ぎめし易く、また、装飾体201を短時間で正確に形成し易くすることができる。
また、磁石Mの組合せが並ぶ向きは、装飾構成体211A〜211Dの作動状態からの移動方向に対して、右回りに略45度と左回りに略45度傾いた向きに設定され、双方向に略等しい角度分傾いた向きに設定されている。また、4つの装飾構成体211A〜211Dにおいて磁石Mが設置される側の端面281A〜281D,282A〜282Dについても装飾構成体211A〜211Dの作動状態からの移動方向に対して、右回りに略45度と左回りに略45度傾いた方向に向けられている。これにより、両方の磁石Mの組合せについて、移動方向に対して均等な傾きを生じさせて配置することができ、上記した移動方向に対して磁石Mの組合せが並んで配置される向きを交差させたことにより生じる位置決め効果を最大限に発揮させることができる。
磁石Mの組合せにより吸着状態とされる装飾構成体211A〜211Dの組合せは、作動状態における正面視で、上下に並んで配置される装飾構成体の組合せが上下対称であって線対称に動作し、左右に並んで配置される装飾構成体の組合せが左右対称であって線対称に動作する。このため、1つの装飾構成体に対して、対称的に動作する2つの装飾構成体に対応した2組の磁石Mの組合せによる複数の方向側の磁力により各装飾構成体211A〜211Dが位置決めされる。よって、作動状態に向かって移動してきた装飾構成体211A〜211Dを対称的に動作してくる装飾構成体211A〜211Dに接触又は近接し、2組の磁石Mによってバランス良く位置決めすることができ、装飾体201を正確に形成することができる。
装飾構成体211A〜211Dを回動可能に支持する回動体212A〜212Dは、上下に並んだ装飾構成体に対応する2つの回動体が前後に重なるようにして配置されている。このため、装飾構成体211A〜211Dが移動する場合に、装飾構成体211A〜211Dの重みにより回動体212A〜212Dの軸支持部分等にかかる負荷が上下の装飾構成体211A〜211Dにおいて異なり、装飾構成体211A〜211Dに取り付けられる磁石Mが前後に位置ずれして、正確な相対位置にて磁石Mを吸着状態にすることができない可能性がある。この場合には、装飾体201が正確に形成されず、見栄えが悪くなってしまうという問題が生じてしまう。
この点について、前又は後に別の回動体が重なって配置される回動体212A〜212Dと、これら回動体212A〜212Dに支持される装飾構成体211A〜211Dの組合せが連結部材214R,214Lによって連結され、作動状態において上下に並ぶ装飾構成体211A〜211Dの前後の位置ずれが最小となる設定とされている。このため、前後方向における上下に並ぶ装飾構成体211A〜211Dの位置ずれを連結部材214R,214Lにより制限し、磁石Mの磁力を確実に作用させて吸着状態とし、装飾体201を正確に形成し易くすることができる。また、上下に並ぶ装飾構成体の組合せが左右方向に同期して動作するため、装飾構成体211A〜211Dの移動途中における見栄えについても良好なものとすることができる。
<装飾構成体211A〜211Dの分離・吸着機構>
次に、4つの装飾構成体211A〜211Dを、複数の段階に分けて分離及び吸着させる機構について、図16を参照して説明する。図16は、作動状態から待機状態へ向かって移動を開始した直後の装飾構成体211A〜211Dの状態を模式的に示した図であり、装飾構成体211A〜211Dの外形形状と、磁石Mと、軸支ピン259A〜259Dの位置を示している。
作動状態から待機状態へ遷移する場合に、装飾構成体211A〜211Dは、作動状態から、図16に示すように、上下に二分割され、その後に、左右に分割されて四分割される構成としても良い。例えば、装飾構成体211A〜211Dは、回動体212A〜212Dに対して軸支ピン259A〜259Dにより回動可能に軸支され、軸支ピン259A〜259Dと、回動体212A〜212Dの軸孔との間には僅かな隙間が設けられているので、その隙間を、軸支ピン259A〜259Dに対して左右方向の方が僅かに長い長円形状にして構成しても良い。回動体212A〜212Dの軸孔と軸支ピン259A〜259Dの隙間が小さい上下方向へは軸支ピン259A〜259Dが移動した分、装飾構成体211A〜211Dも移動する。一方、左右方向への軸支ピン259A〜259Dの移動に対しては回動体212A〜212Dの軸孔内で軸支ピン259A〜259Dだけが移動する区間を設定することができ、その区間においては装飾構成体211A〜211Dが軸支ピン259A〜259Dに連動しないようにすることができる。
4つの装飾構成体211A〜211Dが、作動状態から待機状態へ向かって移動を開始した場合に、4つの装飾構成体211A〜211Dが上下に二分割された後、上下のそれぞれにおいて左右に分割されて四分割される。また、待機状態から作動状態となる場合についても、4つに分割された装飾構成体211A〜211Dが左右方向において吸着されて上下に二分割された状態となった後、上下方向において吸着されて装飾体201が形成される。
装飾構成体211A〜211Dが上記した動作をすると、4つの装飾構成体211A〜211Dに設けられて待機状態において磁力により吸着された状態の磁石Mの組合せは、待機状態から作動状態へ遷移する場合には作動状態に対応する2つの磁石Mが並んで最大の磁力により引き合う相対位置に異なるタイミングで接近し、作動状態から待機状態へ遷移する場合には作動状態に対応する相対位置から異なるタイミングで離間する。
待機状態から作動状態へ遷移する4つの装飾構成体211A〜211Dがほぼ同時に接触して吸着状態とする構成の場合、4つの装飾構成体211A〜211Dの接触順序が毎回同一とはならずに入れ替わる可能性があり、磁石Mの組合せの相対位置にバラツキが生じて同一の態様で装飾体201が形成されない可能性がある。
これに対して、装飾構成体211A〜211Dが複数段階で分離及び吸着する構成とすると、4つの装飾構成体211A〜211Dの対向する端面部分に配置される計4組の磁石Mの組合せによる磁力が毎回同一の順序で2組ずつ順に作用する。このため、待機状態から作動状態へ遷移する場合には、4つの装飾構成体211A〜211Dの相対位置を精度良くすることができる。また、作動状態から待機状態へ遷移する場合には、4箇所の磁石Mの組合せを同時に引き離す必要がなく、2箇所の磁石Mの組合せを引き離す力を発生させるだけで良い。このため、比較的少ない駆動力により4つの装飾構成体211A〜211Dを移動させることができるので、低コストでスロットマシン10を製造し易くすることができる。
また、装飾構成体211A〜211Dを複数段階で分離及び吸着させる順序は、装飾構成体211A〜211Dを大きく回動させる回動体212A〜212Dの回動中心(回動軸R1)を基準として回動中心から近い側の磁石Mの組合せが先に分離し、その後に、回動中心から遠く離間する側の磁石Mの組合せが分離する順に設定することが好ましい。また、装飾構成体211A〜211Dを吸着させる順序としては、回動体212A〜212Dの回動中心を基準として回動中心から遠く離間する側の磁石Mの組合せが先に吸着状態となり、その後に、回動中心から近い側の磁石Mの組合せが吸着状態となる順にすることが好ましい。回動体212A〜212Dが回動して装飾構成体211A〜211Dに遠心力が作用すると、装飾構成体211A〜211Dが回動体212A〜212Dの回動中心から遠い側を経由して移動し易い。このため、回動中心から遠い側の磁石Mの組合せを先に吸着状態とし、その後に回動中心から近い側の磁石Mの組合せを吸着状態とする構成とし、分離する際にはその逆の順序とした場合には、装飾構成体211A〜211Dの挙動が不自然になり難く、待機状態から作動状態へ遷移する際の見栄えを良くすることができる。
なお、必ずしも上記した順序で磁石Mの組合せが吸着状態となったり、吸着状態から分離したりする構成とする必要はなく、作動状態から待機状態へ遷移する際に4つの装飾構成体211A〜211Dが左右に二分割された後に上下に分割される構成としても良く、例えば、作動状態において回動体212A〜212Dの軸孔が縦長の長円となる形状にして構成しても良い。
<装飾構成体211A〜211Dの磁石回動>
次に、図17を参照して、回動体212A〜212Dに対して装飾構成体211A〜211Dに内蔵される磁石Mを回動させる構成について説明する。4つの装飾構成体211A〜211Dに内蔵されるいずれの磁石Mについても、同様の回動動作をするものであり、右上側の装飾構成体211Aの左側端面281A側に内蔵される磁石Mを参照して説明する。図17は、右上側の装飾構成体211Aが作動状態から僅かに移動した状態における磁石Mの組合せの相対位置を模式的に示した図であり、作動状態に対応した装飾構成体211Aを二点鎖線で示すと共に、左上側の装飾構成体211Dに内蔵される磁石Mを示している。
右上側の装飾構成体211Aは、回動体212Aに支持されており、回動体212Aが回動軸R1を中心にして角度θaの回動動作をすると、図17に示すように、右上側の装飾構成体211Aと回動体212Aとを連結する位置に対応する回動軸R2の位置が、角度θaの量分右上側に移動する。右上側の装飾構成体211Aの左側端面281Aの向きは、回動体212Aの回動動作によって角度θa分、向きが変わることとなる。
加えて、右上側の装飾構成体211Aは、回動体212Aに対して回動軸R2を中心としてリンク機構により回動し、回動体212Aが回動するのに伴って、回動体212Aの回動する方向と同一の方向に回動する。回動体212Aが作動状態から角度θaの回動動作をした場合にリンク機構により回動軸R2を中心として装飾構成体211Aが回動する量を角度θbとすると、図17に示すように、右上側の装飾構成体211Aは、角度θaの回動体212Aの回動動作に伴って回動体212Aに対して回動軸R2を中心に角度θbの回動動作をする。
この結果、装飾構成体211Aは、回動体212Aを支持する前側ベース232等に対しての回動軸R1を中心とする、回動体212Aの回動量に相当する角度θaに、回動体212Aに対する装飾構成体211Aの回動軸R2を中心とする回動量に相当する角度θbを加えた量分、回動することとなる。装飾構成体211Aが回動体212Aに対して回動する方向は、正面視で前側ベース232に対して回動体212Aが回動する方向に一致し、回動軸R1を中心として回動体212Aが作動状態から時計回りに回動し、回動体212Aに対して装飾構成体211Aも時計回りに回動する。
装飾構成体211Aが、上記したように回動体212Aの回動方向と同一の方向に回動する設定とされているので、作動状態で隣り合って対称に動作する装飾構成体の相対角度が大きく変化することとなる。上側2つの装飾構成体211A,211Dの磁石の組合せについては、回動体212Aが角度θaの回動動作をすると、図17に示すように、右上側の装飾構成体211Aが角度(θa+θb)の回動動作をし、同様に、左上側の装飾構成体211Dが反対側に角度(θa+θb)の回動動作をする。このため、一方の装飾構成体を基準とした場合に他方の装飾構成体は、角度(θa+θb)の2倍に相当する角度Δθ分の相対角度の変化が生じる。右上側の装飾構成体211Aの左側端面281Aに内蔵される磁石Mを含む横並びの磁石Mの組合せは、吸着状態とされた状態において平面部分が対向して真横に並んだ状態から角度Δθ(=2×(θa+θb))分、異なる方向側を向くこととなる。
ここで、磁力による吸着力を大きく発生させる向きから磁石Mの向きが変化する場合に、その変化量が大きくなるほど吸着力の大きさは低減し易い。このため、少ない量分の回動体212A〜212Dの回動動作であっても、吸着状態とされていた磁石Mの向きを装飾構成体211A〜211Dを回動動作させるリンク機構により相対的に大きく変化させて、磁力を急減させることができる。
このように、装飾構成体211A〜211Dは、作動状態から待機状態へ遷移する場合に回動体212A〜212Dに対して回動動作し、装飾構成体211A〜211Dが回動体212A〜212Dに対して回動動作しない場合に比べて装飾構成体211A〜211Dに内蔵される磁石Mと、隣に位置する装飾構成体に内蔵される磁石Mとの相対角度の変化量を大きくする構成とされている。このため、作動状態において磁力が強く作用する向きに隣り合う装飾構成体の磁石Mを配置しても、待機状態への遷移に際して少ない装飾構成体211A〜211Dの移動量でも磁力を急減させることができる。よって、磁石Mの組合せとして強い磁力を生じる組合せの設定としても、作動状態から待機状態への遷移に際して2つの磁石Mの相対角度を積極的に変化させて回動体212A〜212Dの移動途中に必要な駆動力を低減して動作を高速化し易くし、且つ、装飾構成体211A〜211Dの動作として磁力の影響が少ない自然に近いものとすることができる。従って、磁力の設定と装飾体201を移動させる駆動源の選定とを比較的簡易に実行可能とすることができる。
なお、回動体212A〜212Dに対して装飾構成体211A〜211Dに内蔵される磁石Mを回動可能に構成し、吸着状態とされた磁石Mの相対的な向きを、少ない装飾構成体211A〜211Dの移動量で変化させることが上記した効果を生じさせることができるので、必ずしも装飾構成体211A〜211Dに磁石Mを一体的に設ける必要はない。例えば、装飾構成体211A〜211Dに対して動作可能な取付支持部材に磁石を回動可能に取り付けて、装飾構成体211A〜211Dが作動状態から移動を開始した場合に、磁石Mが装飾構成体211A〜211Dの移動に連動して互いの向きを異ならせるように回動させても良い。同様に、装飾体201を形成する2枚の扉形状をした装飾構成体に対して、磁石を付した取付支持部材を回動動作可能に取り付け、磁石が他の磁石と吸着状態とされた作動状態から待機状態へ遷移させる場合に磁石の向きを変化させる構成としても良い。装飾構成体211A〜211D又は取付支持部材の回動動作は、上記実施形態と同様のリンク機構により構成しても良いし、他のギヤやベルトの組合せ等による機械的な回動動作により実現しても良いし、ソレノイドやモータ等の電気的な駆動力により装飾構成体又は取付支持部材を回動させて電気的に磁石の向きを変化させる構成としても良い。
次に、待機状態における装飾構成体211A〜211Dの磁石Mに関する構成について、図18を参照して説明する。図18は、待機状態に配置された右側2つの装飾構成体211A,211Bを示した図である。
右側2つの装飾構成体211A,211Bは、待機状態において表示面112aに対して四隅側に相当するコーナー部分に配置され、前側ベース232の前側に配置されている。待機状態における装飾構成体211A,211Bの外周面であって1つの磁石Mが内蔵される端面281A,281Bに対向する位置には、図18に示すように、磁石Mが内蔵された磁石固定部301A,301Bが設けられている。磁石固定部301A,301Bは、右側の前側カバー体222Rの背面側に突出して設けられ、前側カバー体222Rが前側ベース232に固定されることにより、磁石固定部301A,301Bが装飾構成体211A,211Bの各端面281A,281Bに対向して位置する。
装飾構成体211A,211Bが待機状態に配置された場合には、装飾構成体211A,211Bに内蔵される磁石Mと、磁石固定部301A,301B側の磁石とが吸着状態とされる。すなわち、装飾構成体211A,211Bが待機状態に位置した場合には、装飾構成体211A,211Bと回動体212A,212Bが前側カバー体222Rを通じて前側ベース232等に一体化された状態に保持される。左側2つの装飾構成体211A,211Bに対しても、待機状態において磁石Mにより一体化状態に保持する磁石固定部が設けられる。これにより、スロットマシン10の搬送時等において大きく振動しても装飾構成体211A〜211Dを固定した状態にすることができるので、精密なデザインにより細幅な部位を装飾構成体211A〜211Dに付加する等しても振動や衝撃による破損は抑制することができる。
ここで、装飾構成体211A〜211Dに設けられる磁石Mは、作動状態においては装飾構成体211A〜211Dが、この作動状態に遷移する際の移動方向先端側に相当する表示面112aの前面空間における中央側に位置し、待機状態とされた場合には逆方に相当する表示面112aの外側であって前側ベース232及び前側カバー体222R,222Lの外側に重なるように位置している。装飾構成体211A〜211Dにおける磁石Mが設けられる側の端面281A〜281D,282A〜282D(図15参照)は、作動状態においては表示面112aの前面空間における中央側を向き、待機状態においては、作動状態とは逆方に相当する表示面112aの外側を向いている(図14参照)。各装飾構成体211A〜211Dに設けられる磁石Mは、作動状態と待機状態との両状態において磁石Mが設けられる装飾構成体211A〜211D自体とは別の部位としての他の装飾構成体又は前側カバー体222Rの磁石固定部301A,301B等と組み合わされて装飾構成体211A〜211Dを位置決めする機能を発揮する。また、待機状態と作動状態とのうち一方の待機状態において他の作動状態では、装飾構成体211A〜211Dに設けられる磁石Mに組み合わされない別の部位との組合せにより装飾構成体211A〜211Dを位置決めする機能を発揮する。
かかる構成により、待機状態と作動状態との状態変化に伴って装飾構成体211A〜211Dに設けられる磁石Mの位置の変化量が大きくなり、当該磁石Mによる機能が発揮される範囲を表示面112aの中央側と前側ベース232の外側端部という広範囲に分散して設定することができる。また、装飾構成体211A〜211Dの向きを状態に対応して大きく異ならせて磁石Mが組み合わされる向きを別方向にすることができ、各状態に応じて磁石Mを別の部位と組み合わせて、装飾構成体211A〜211Dを位置決めする機能を発揮し易くすることができる。よって、装飾構成体211A〜211Dに設けられる磁石Mを長期間にわたって活用し易くすることができる。
なお、右側2つの装飾構成体211A〜211Dの端面281A〜281D側に内蔵される磁石Mに代えて、又は、当該磁石Mに加えて、各端面281A〜281Dより光が外方側に出力される構成としても良い。
例えば、当該端面281A〜281Dに対して端面281A〜281Dに垂直な外方側を向く発光ダイオード(LED)を端面側用発光体として設けても良い。作動状態においては、端面側用発光体に近接設置される磁石Mと組み合わされて吸着状態となる他の装飾構成体に向かって光が照射されるので、各装飾構成体には、作動状態において端面側用発光体に対面する端面の一部から装飾構成体の内部側に連続する透光性材料で形成された導光部を設け、導光部を経由して端面側用発光体の光が装飾構成体の前面側部分まで導光し、当該前面側部分を発光させる。一方、待機状態においては、前側カバー体222Rの磁石固定部301A,301Bを透光性材料で構成し、当該部分を導光部として前側カバー体222Rの前面側に光を導光し、前側カバー体222Rにおける表示面の中央側とは逆方となる外周部分を発光させる構成とする。これにより、待機状態と作動状態との状態変化に伴って装飾構成体211A〜211Dに設けられる端面側用発光体の位置の変化量が大きく、当該端面側用発光体による機能が発揮される範囲を広範囲に分散して設定することができるし、別々の部位に対して発光体の光を利用した装飾を付加することができる。よって、装飾の設計自由度を高めつつ、高機能な部品を活用し易くすることができる。
<他の実施の形態>
本発明は、上記した実施の形態の記載内容に限られることはなく、種々の変形改良が可能である。例えば、以下に記載するように変形して実施しても良い。この場合に、以下に記載する各構成を上記実施形態に対して適用しても良く、以下に記載する複数の構成を組み合わせて上記実施形態に対して適用しても良い。
(1)4つの装飾構成体211A〜211Dにより形成される装飾結合体(装飾体201)は、上記した形態に限らず、他の形態として人、動物又は文字等を模したキャラクタ等であっても良く、また、必ずしも一つの対象物を表現した形態に限らず、複数の対象物として、例えば、野球のバットのデザインを付した装飾構成体と、ボールのデザインを付した装飾構成体とを接近させて接触した状態を装飾結合体としても良い。
(2)4つの装飾構成体211A〜211Dは、作動状態となった場合に対向する端面同士が当接して装飾体を形成しても良く、装飾構成体同士が当接しないで近接する構成であって、対向する端面間に僅かに隙間が設けられ、磁力の作用により吸着方向側の力を作用させて装飾体を形成しても良い。
(3)上記実施形態においては全ての装飾構成体211A〜211Dが動作可能な構成を示したが、一部の装飾構成体だけが動作可能であって、残りの装飾構成体が動作不能に定位置に固定的に配置されるものであっても良い。
(4)装飾構成体211A〜211Dは、4つに限らず、2つ、3つ、又は、5つ以上としても良い。この場合に、装飾構成体が正面視において対称となる移動をする形態として分断線を基準に対称的に移動する装飾構成体の組合せ(すなわち、最低2つの装飾構成体による組合せ)を有する構成とすることが好ましく、更には、方向が異なる2つ以上の分断線を基準に1の装飾構成体に対して複数の方向側に対称的に移動する装飾構成体の組合せ(すなわち、最低3つの装飾構成体による組合せ)を有することが好適である。
(5)装飾構成体211A〜211Dが上下左右にそれぞれ2つずつ並ぶ構成に代えて、中心に対して上下左右の四方向に装飾構成体が位置し、斜め方向に装飾構成体が隣り合って配置される構成としても良い。
(6)装飾構成体211A〜211Dを動作可能に支持する各回動体212A〜212Dは、必ずしも1の部材により構成される必要はなく、相対的に変位可能な複数個の動作体を連結した動作体に装飾構成体211A〜211Dを動作可能に支持しても良い。また、回動体212A〜212Dが前側ベース232に連結される回動軸R1の位置は、正面側から見て表示面112aに対して四隅のコーナー部分とせずに、上下又は左右の略中央部に配置しても良く、表示面112aの前側に重なるように配置しても良いし、表示面112aの前側に重ならない位置に配置しても良い。
(7)制限手段としての磁性体の組合せは、第1装飾構成体と第2装飾構成体との双方に設置される磁石M(永久磁石)でも良いし、一方を永久磁石とし、他方を磁石でない磁性体としても良い。磁石でない磁性体としては、強磁性体とすることが好ましく、鉄製の部品を配置しても良いし、樹脂部品の表面に付加した磁性塗料による膜部分によって磁性体を形成する等、磁力により位置決め可能な別の構成としても良い。
ここで、永久磁石は、磁力を十分に作用させることができるように磁力のない磁性体よりも大型で重みのあるものを使用することが好ましく、この場合には、上記実施形態の4つの装飾構成体211A〜211Dにおいて重量又はサイズが小さな装飾構成体(例えば、下側の装飾構成体211B,211C)に永久磁石を設置し、永久磁石を設置した装飾構成体より重量又はサイズが大きな装飾構成体(例えば、上側の装飾構成体211A,211D)に磁石でない磁性体を設置することが好ましい。装飾構成体を互いに対称的に移動動作させた場合における衝突時の反発等による不自然な動作の差を低減することができる。
(8)制限手段を構成する磁力を有する磁性体として、永久磁石に代えて、電磁石を用いても良く、電磁石の場合には、作動状態とされる前、作動状態とされると同時又は作動状態とされた後のいずれかにおいて非通電状態から通電状態に切り替わって磁力を発生させ、吸着状態とする装飾構成体同士を接近させる方向側の磁力を必要に応じて発生する構成としても良い。
(9)上記実施形態のように、表示ユニット111(上側表示ユニット200)を形成する構成は、スロットマシン10に限定されることはなく、パチンコ機に適用してもよく、パチンコ機とスロットマシンとを融合した形式の遊技機に適用してもよい。
以下、上記した実施形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記各実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。また、各特徴に記載した用語の意味や例示等は、同一の文言にて記載した他の特徴に記載した用語の意味や例示として適用しても良い。
<特徴A群>
遊技機の一種として、例えば、スロットマシンにおいては、始動操作が行われることにより入賞する役の抽選等、各種の抽選が制御装置により行われ、抽選結果に応じた停止図柄が停止する。そして、この停止図柄に応じた特典が遊技者に付与されるため、遊技者は高価値の抽選結果を期待して遊技を行うこととなる。始動操作が行われてから図柄が停止するまでの間には、抽選結果に応じた色でリールの周りが発光したり、液晶表示装置に停止図柄の内容に対応した絵柄を画像で表示したりして遊技者に抽選結果を期待させる演出が行われる。このような演出の一つとして、モータ等により動作する1又は複数の動作体によって構成される装飾体を遊技者から視認可能な位置に配置し、この装飾体の動作を画像による演出等に付加することで遊技者を驚かせ、その後の結果に対する期待感を高揚させる演出も行われている(例えば、特開2008−173166号公報参照)。
しかしながら、装飾体が単に直線的にスライド移動するだけでは装飾体の動作が単調となり、他の機種や他メーカーとの差別化を図ることが難しい。一方、装飾体の動作を複雑化するために、動作可能に支持される動作体に装飾体を取り付けることもできるが、装飾体の動作の自由度が高くなる分、連結部分のがた等の影響が大きくなって動作後の姿勢にバラツキが生じたり、バネ等によって可動部分を一方側に付勢する位置決め構造を付加して構造を複雑にすることで大幅なコスト増を招く可能性があるという問題点があった。
<特徴A1>
支持体(前側ベース232)と、
該支持体に対して直接的に動作可能に支持される第1動作体(回動体212A)と、
該第1動作体に対して直接的に動作可能に支持され、前記支持体に対しては前記第1動作体を介して間接的に動作可能に支持される第1装飾構成体(装飾構成体211A)と、
所定の第1状態(作動状態)とされた場合に前記第1装飾構成体に当接または近接し、所定の第2状態(待機状態)とされた場合に前記第1状態より前記第1装飾構成体から離間する部位であって、前記第1状態とされた場合に前記第1装飾構成体と一体的に所定の装飾結合体を形成する1又は複数の第2装飾構成体(装飾構成体211B〜211D)と、
少なくとも1つの前記第2装飾構成体の一部と前記第1装飾構成体の一部とを接近させる方向側の磁力によって前記第1装飾構成体と前記第2装飾構成体との相対移動を制限する制限手段(磁石M)とを備え、
該制限手段は、前記第1状態における前記第1装飾構成体の移動方向に交差する所定の方向側に並んで配置される磁性体の組合せを有することを特徴とする遊技機。
特徴A1記載の遊技機によれば、装飾体を好適に動作させることが可能な遊技機を提供することができる。すなわち、第2装飾構成体の一部と第1装飾構成体の一部とを接近させる方向側の磁力により第1装飾構成体と第2装飾構成体との相対移動が制限されるので、所定の装飾体を形成する第1装飾構成体と第2装飾構成体とを予め定めた相対位置に正確に配置し易くすることができる。
また、制限手段としての磁性体の組合せは、第1状態における第1装飾構成体の移動方向に交差する所定の方向側に並んで配置されるので、第1装飾構成体が第1状態に達する前の早い段階から磁性体同士の距離を近づけて、第1装飾構成体と第2装飾構成体とを接近させる方向側に磁力を次第に強く作用させることができる。よって、第1装飾構成体と第2装飾構成体とを、より正確な位置に配置し易くして所定の装飾結合体を見栄え良く形成することができる。
更に、第1状態から第2状態に対応する位置に向かって第1装飾構成体と第2装飾構成体とが次第に離間するように移動する場合にも、磁性体同士の距離を徐々に離間させることができるので、磁力が強く作用する設定としつつ比較的少ない駆動力により第1装飾構成体と第2装飾構成体とを移動させることができる。よって、駆動源としてのモータの容量等を低く設定可能にして低コストで遊技機を製造し易くすることができる。
<特徴A2>
前記制限手段は、前記所定の方向側として、前記第1状態における前記第1装飾構成体の移動方向に交差する複数の方向側に並んで配置される複数の磁性体の組合せを有することを特徴とする特徴A1記載の遊技機。
特徴A2記載の遊技機によれば、第1状態における第1装飾構成体の移動方向に対して制限手段による磁力が複数の方向側に作用するので、第1状態に向かって移動してきた第1装飾構成体を複数の方向側からの磁力によって位置決めすることができる。よって、装飾構成体の移動速度を高速に設定しても、所定の装飾結合体を正確に形成することができる。
なお、特徴A2記載の遊技機における複数の方向側は、第1状態における第1装飾構成体の移動方向に対して一方に交差する方向側と、その一方とは逆側に交差する方向側との両方向側とすることが好ましく、更には、複数の方向側は、第1状態における第1装飾構成体の移動方向に対して一方側及び他方側の両方向側に略同一角度傾斜した方向側とすることが好ましい。これにより、第1装飾構成体を精度良く位置決めし易く、また、所定の装飾結合体を短時間で正確に形成し易くすることができる。
<特徴A3>
前記制限手段としての複数の磁性体の組合せは、
前記第2状態から前記第1状態へ遷移する場合には当該第1状態に対応する相対位置に異なるタイミングで接近し、
前記第1状態から前記第2状態へ遷移する場合には当該第1状態に対応する相対位置から異なるタイミングで離間する構成とされていることを特徴とする特徴A2記載の遊技機。
特徴A3記載の遊技機によれば、複数の磁性体の組合せによる磁力が順に作用することとなり、第2状態から第1状態へ遷移する場合には第1装飾構成体と第2装飾構成体との相対位置を精度良くすることができる。また、第1状態から第2状態へ遷移する場合には比較的少ない駆動力により第1装飾構成体と第2装飾構成体とを移動させることができるので、低コストで遊技機を製造し易くすることができる。
なお、特徴A3記載の遊技機において、第2装飾構成体は、相対移動可能な複数の第2装飾構成体を有し、前記複数の磁性体の組合せを構成する磁性体が前記複数の構成体に別々に設けられる構成としても良く、これにより、複数の第2装飾構成体のそれぞれと第1装飾構成体との相対位置を、第1状態に対応した相対位置から異なるタイミングで離間させる構成を、磁性体としての永久磁石を用いて好適に実現することができる。
また、複数の磁性体の組合せを構成する磁力を有する磁性体として電磁石を用いる場合には、第2状態から前記第1状態へ遷移する場合には異なるタイミングで非通電状態から通電状態に切り替えて磁力を発生させて当該第1状態に対応する相対位置に第1装飾構成体と第2装飾構成体とを配置する構成としても良く、これにより、第1状態に対応する相対位置に第1装飾構成体と第2装飾構成体とを精度良く配置することができる。この通電状態への切り替えのタイミングとしては、駆動源としてのモータ等を駆動して第1状態に対応する位置まで第1装飾構成体と第2装飾構成体とを移動した後としても良いし、第1状態に対応する位置に達する前に一部又は全部の磁性体の組合せを構成する電磁石を通電状態としても良い。
<特徴A4>
前記第2装飾構成体は、別々に動作可能な複数の第2装飾構成体を有し、
該複数の第2装飾構成体のそれぞれに対して設けられ、前記支持体に支持され、各第2装飾構成体を動作可能に支持する第2動作体(回動体212B〜212D)を備え、
各第2装飾構成体と第2動作体との組合せに対応して前記制限手段としての磁性体の組合せがそれぞれ設けられ、
各第2装飾構成体と第2動作体との組合せは、前記第1装飾構成体と前記第1動作体との組合せに対して遊技者側から見て反対の方向側に動作可能とされていることを特徴とする特徴A1からA3のいずれかに記載の遊技機。
特徴A4記載の遊技機によれば、複数設けられる第2装飾構成体のそれぞれに制限手段が設けられ、第1装飾構成体に対しては、対称的に動作する各第2装飾構成体に対応した複数の磁性体の組合せによる複数の方向側の磁力により第1装飾構成体と第2装飾構成体とが位置決めされる。よって、第1状態に向かって移動してきた第1装飾構成体を複数の制限手段によってバランス良く位置決めすることができ、所定の装飾結合体を正確に形成することができる。
なお、特徴A4記載の遊技機において、第2装飾構成体と第2動作体との組合せは、第1装飾構成体及び第1動作体に対して「遊技者側から見て反対の方向側に」動作可能とした記載を、第1装飾構成体及び第1動作体に対して「線対称に」動作可能としても良く、第1装飾構成体及び第1動作体に対して「対称的に」動作可能としても良い。
<特徴A5>
前記第1装飾構成体及び第2装飾構成体は、前記所定の装飾結合体が視認可能な所定方向に交差する方向側に移動可能に構成され、
前記支持体に支持されると共に、前記第2装飾構成体を動作可能に支持し、前記第1状態において前記第1動作体の少なくとも一部に対して前記所定方向において重なって配置される第2動作体(回動体212B)と、
該第2動作体と前記第2装飾構成体との組合せと、前記第1装飾構成体と前記第1動作体との組合せとを連結して前記第1装飾構成体と前記第2装飾構成体とを同期して動作させる連結部材(連結部材214)とを備えていることを特徴とする特徴A1からA4のいずれかに記載の遊技機。
第1動作部又は第2動作部を介して支持体に間接的に支持される第1装飾構成体と第2装飾構成体とが所定方向において相対的に位置ずれすると、制限手段による磁力が十分に第1装飾構成体と第2装飾構成体とに作用せず、所定の装飾結合体を正確に形成できない可能性がある。特に、第1装飾構成体と第2装飾構成体とが移動する場合に、それら装飾構成体を支持する第1動作部と第2動作部とが所定方向に重なって配置されていると、所定方向において倒れを生じない配置位置に両動作部を配置することが難しく、第1装飾構成体と第2装飾構成体とが所定方向において相対的に位置ずれし易い。この位置ずれは、第1装飾構成体と第2装飾構成体とを高速に移動させるほど、大きくなる可能性がある。
特徴A5記載の遊技機によれば、連結部材により第2装飾構成体と第1装飾構成体とが連結されるので、所定方向における第1装飾構成体と第2装飾構成体との位置ずれを連結部材により制限し、制限手段による磁力を確実に作用させることができる。よって、所定の装飾結合体を正確に形成し易くすることができる。また、第1装飾構成体と第2装飾構成体とが同期して動作するため、両装飾構成体の移動途中における見栄えを良好なものとすることができる。
<特徴B群>
遊技機の一種として、例えば、スロットマシンにおいては、始動操作が行われることにより入賞する役の抽選等、各種の抽選が制御装置により行われ、抽選結果に応じた停止図柄が停止する。そして、この停止図柄に応じた特典が遊技者に付与されるため、遊技者は高価値の抽選結果を期待して遊技を行うこととなる。始動操作が行われてから図柄が停止するまでの間には、抽選結果に応じた色でリールの周りが発光したり、液晶表示装置に停止図柄の内容に対応した絵柄を画像で表示したりして遊技者に抽選結果を期待させる演出が行われる。このような演出の一つとして、モータ等により動作する1又は複数の動作体によって構成される装飾体を遊技者から視認可能な位置に配置し、この装飾体の動作を画像による演出等に付加することで遊技者を驚かせ、その後の結果に対する期待感を高揚させる演出も行われている(例えば、特開2008−173166号公報参照)。
しかしながら、装飾体が動作する毎に予め定めた位置に同一の姿勢で装飾体を配置することが困難な場合がある。この場合に磁力を利用して装飾体の変位を制限して装飾体を位置決めすることも考えられるが、磁力を高めるほど装飾体の移動に際して必要な駆動力が大きくなったり、装飾体の動作が不自然なものとなったりし易く、磁力の設定と装飾体を移動させる駆動源の選定とが難しい場合が生じ得るという問題点があった。そして、この問題は、装飾体に限らず、磁力を利用した位置決め機能を有して動作可能に構成される他の動作体についても生じ得る問題である。
<特徴B1>
支持体(前側ベース232)と、
該支持体に対して動作可能に支持される動作体(装飾構成体211Aと回動体212Aとの組合せ)と、
該動作体に設けられる第1磁性体(装飾構成体211Aの磁石M)と、
所定の第1状態とされた場合に前記第1磁性体に当接または近接し、所定の第2状態とされた場合に前記第1状態より前記第1磁性体から離間する位置に設けられ、前記第1磁性体との組合せによる前記動作体を接近させる方向側の磁力によって前記動作体の変位を制限する第2磁性体(装飾構成体211Bの磁石M)とを備え、
前記動作体は、前記支持体に対して直接的に動作可能に支持される第1動作構成体(回動体212A)と、
該第1動作構成体に対して直接的に動作可能に支持され、前記支持体に対しては前記第1動作構成体を介して間接的に動作可能に支持される第2動作構成体(装飾構成体211A)とを備え、
前記第1磁性体は、前記第2動作構成体に設けられ、
前記第2動作構成体は、前記第1状態から前記第2状態へ遷移する場合に第1動作構成体に対して回動動作し、前記第2動作構成体が第1動作構成体に対して回動動作しない場合に比べて前記第1磁性体と前記第2磁性体との相対角度の変化量を大きくする構成とされていることを特徴とする遊技機。
特徴B1記載の遊技機によれば、磁力により好適に位置決め可能な動作体を備えた遊技機を提供することができる。すなわち、第1状態において磁力が強く作用する向きに第1磁性体と第2磁性体とを配置しても、第2状態への遷移に際して少ない第2動作構成体の移動量でも第1磁性体と前記第2磁性体との相対角度を大きく変化させ、磁力を急減させることができる。よって、第1磁性体と第2磁性体との組合せとして強い磁力を生じる組合せの設定としても、第1状態から第2状態への遷移に際して両磁性体の相対角度を積極的に変化させて動作体の移動に際して必要な駆動力を低減し、また、動作体の動作として磁力の影響が少ない自然に近いものとすることができる。従って、磁力の設定と装飾体を移動させる駆動源の選定とを比較的簡易に実行可能とすることができる。
なお、特徴B1記載の遊技機において、第1磁性体と第2磁性体との少なくとも一方は永久磁石により構成されることとしても良い。
<特徴B2>
前記第1動作構成体は、前記支持体に対して所定の中心軸線を中心に回動動作し、
前記第2動作構成体は、前記第1状態から前記第2状態へ遷移する場合に前記所定の中心軸線に沿った方向視において前記第1動作構成体に対して該第1動作構成体の回動方向と同一の方向側に回動動作することを特徴とする特徴B1記載の遊技機。
特徴B2記載の遊技機によれば、第1状態から第2状態へ遷移する場合に第2動作構成体を少ない変位量で大きく回転させることができ、動作体に対する磁力の影響を急減させて、必要な駆動力の低減と自然な動作とをより実現可能な動作体とすることができる。
<特徴B3>
前記第2磁性体は、前記動作体とは別の動作体に設けられ、前記支持体に対して回動動作するものであり、前記第1状態から前記第2状態へ遷移する場合に当該回動動作の回動軸方向視において前記第1磁性体に対して線対称に動作することを特徴とする特徴B1又はB2記載の遊技機。
特徴B2記載の遊技機によれば、第1状態から第2状態へ遷移する場合に第1磁性体と第2磁性体との相対角度を少ない変位量で大きくすることができ、動作体に対する磁力の影響を急減させて、必要な駆動力の低減と自然な動作とをより実現可能な動作体とすることができる。
<特徴C群>
遊技機の一種として、例えば、スロットマシンにおいては、始動操作が行われることにより入賞する役の抽選等、各種の抽選が制御装置により行われ、抽選結果に応じた停止図柄が停止する。そして、この停止図柄に応じた特典が遊技者に付与されるため、遊技者は高価値の抽選結果を期待して遊技を行うこととなる。始動操作が行われてから図柄が停止するまでの間には、抽選結果に応じた色でリールの周りが発光したり、液晶表示装置に停止図柄の内容に対応した絵柄を画像で表示したりして遊技者に抽選結果を期待させる演出が行われる。このような演出の一つとして、モータ等により動作する1又は複数の動作体によって構成される装飾体を遊技者から視認可能な位置に配置し、この装飾体の動作を画像による演出等に付加することで遊技者を驚かせ、その後の結果に対する期待感を高揚させる演出も行われている(例えば、特開2008−173166号公報参照)。
しかしながら、発光体等の機能部品を装飾体に付加しても、かかる機能部品を、装飾体が遊技者に注目される作動位置に配置された場合に限って作動させる構成とすると、機能部品に機能を発揮させるトータル時間が少なく、せっかく搭載した機能部品を有効に活用できない可能性がある。
一方、機能部品に機能を発揮させる時間を長くするために、装飾体の移動範囲の各位置において同一の機能を発揮させ、例えば、装飾体が液晶表示画面の前側に進出した位置と、その前側から外れた待機位置との間を移動する場合に、両方の位置において装飾体を視認可能にして同一の態様で発光させることもできる。この場合には、装飾体による演出の稀少性が低下し、期待度を高める目的で装飾体を動作させた場合に遊技者の期待感を高揚させることが難しい可能性があるという問題点があった。そして、発光機能のための発光素子に限らず、磁力を利用した位置決め機能を付加するための永久磁石など、他の機能部品についても機能部品を有効に活用することが難しいという問題は生じ得る。
<特徴C1>
支持体(前側ベース232)と、
該支持体に対して直接的に動作可能に支持される動作体(回動体212A)と、
該動作体に対して直接的に回動動作可能に支持され、前記支持体に対しては前記動作体を介して間接的に回動動作可能に支持される装飾構成体(装飾構成体211A)と、
該装飾構成体に設けられ、所定の機能を発揮する機能部(磁石M、端面側用発光体)とを備え、
前記装飾構成体は、所定の方向に沿った一方側に配置された第1状態と、該第1状態に対して所定の方向に沿った逆側に移動すると共に、当該第1状態とは反対の方向側を向いた第2状態とを形成し、
前記機能部は、前記第1状態において前記装飾構成体の前記一方側に配置され、前記第2状態とされた場合には前記逆方側に位置し、前記第1状態と前記第2状態との両状態において前記所定の機能を発揮すると共に、前記第1状態と前記第2状態とのうち一方の状態において他の状態では当該機能部に組み合わされない別の部位との組合せにより前記所定の機能を発揮することを特徴とする遊技機。
特徴C1記載の遊技機によれば、機能部品を有効に活用し易くすることができる。すなわち、装飾構成体に設置される機能部は、第1状態において装飾構成体の移動方向に沿った先端側に配置され、第2状態においては、その移動方向に沿った反対側に配置される。このため、第1状態と第2状態との状態変化に伴う装飾構成体の機能部の位置の変化量が大きくなり、機能部による機能が発揮される範囲を広範囲に設定することができたり、装飾構成体の向きを状態に対応して大きく異ならせて機能部が機能を発揮する方向を別方向にしたりして、各状態に応じて機能部を別の部位と組み合わせて、所定の機能を発揮し易くすることができる。
なお、特徴C1の記載において、「第1状態とは反対の方向側を向いた第2状態」とは、必ずしも第1状態に対して反転し、略180度又は略180度に近い角度まで向きを変える場合だけを含むのでなく、少なくとも略90度より大きな角度分向きを変えれば良く、120度より大きな角度分向きを変えることが好ましく、略135度より大きいことが好適である。
また、特徴C1に記載の「動作体」は、曲線状又は円弧状に移動する構成としても良いし、直線状にスライド移動する構成としても良い。
また、特徴C1に記載の「前記機能部は、前記第1状態において前記装飾構成体の前記一方側に配置され、」の記載を「前記機能部は、前記第1状態において前記装飾構成体の前記一方側に配置されると共に前記装飾構成体において前記一方側を向く面から前記所定の機能を発揮するものであって、」としても良く、「当該機能部に組み合わされない別の部位」の記載を「当該機能部に組み合わされない部位であって前記装飾構成体に対して前記機能部が配置される側部分に対向する別の部位」としても良い。
<特徴C2>
前記機能部としての、磁力により前記装飾構成体の移動を制限する装飾体側磁性体(装飾構成体211Aの磁石M)を備えると共に、
前記第1状態とされた場合に前記装飾体側磁性体に当接または近接し、前記第2状態とされた場合に前記第1状態より前記装飾体側磁性体から離間する位置に設けられ、前記装飾体側磁性体との組合せにより生じる前記装飾構成体を接近させる方向側の磁力によって前記装飾構成体の変位を制限する第1状態用磁性体(装飾構成体211B,211Dの磁石M)と、
前記第2状態とされた場合に前記装飾体側磁性体に当接または近接し、前記第1状態とされた場合に前記第2状態より前記装飾体側磁性体から離間する位置に設けられ、前記装飾体側磁性体との組合せにより生じる前記装飾構成体を接近させる方向側の磁力によって前記装飾構成体の変位を制限する第2状態用磁性体(磁石固定部301Aの磁石M)とを備えていることを特徴とする特徴C1記載の遊技機。
特徴C2記載の遊技機によれば、第1状態においては装飾体側磁性体と第1状態用磁性体とを組み合わせて位置決めし、第2状態においては装飾体側磁性体の向きを反転させて第2状態用磁性体と組み合わせて位置決めすることができる。よって、機能部としての磁性体が機能としての位置決め機能を発揮する方向を別方向に設定し、各状態に応じて装飾体側磁性体を別々の磁性体と組み合わせて位置決め機能を発揮し易くすることができる。
<特徴C3>
前記機能部としての、発光可能に構成された発光部(装飾構成体211A〜211Dの発光体)を備えると共に、
所定の表示がなされる表示部(表示面112a)と、
遊技者側から見て当該表示部の外側を装飾する外側装飾部(前側カバー体222R,222L)とを備え、
前記発光部は、前記第1状態において前記表示部の前側に重なりつつ前記外側装飾部に重ならず、前記第2状態において前記外側装飾部の後側に重なる位置に配置され、
前記第2状態において前記発光部が発光した場合に、当該発光によって遊技者側から見て前記外側装飾部の少なくとも一部が発光することを特徴とする特徴C1又はC2記載の遊技機。
特徴C3記載の遊技機によれば、第1状態においては発光部自体の発光を遊技者に視認させて装飾構成体を装飾し、第2状態においては発光部の発光により外側装飾部の一部を発光させて外側装飾部の装飾に発光部の発光を利用することができる。また、第1状態においては装飾構成体の移動方向先端側に相当する一方側に発光部が位置するので、第1状態へ装飾構成体が遷移する場合に遊技者から発光部が注目され易くすることができる。更に、第2状態においては外側装飾部における表示部から見て外側に相当する側に発光部が位置するので、外側装飾部における表示部から離間した外縁側に近い位置まで発光部を配置し易くすることができる。すなわち、遊技者に期待感を抱かせるために表示部の前側に重なって配置される装飾構成体に対し、高輝度に発光可能とする等の高価な発光部を採用しても、その発光部を遊技者から注目され易いものにしてコストに見合った装飾効果を期待することができ、且つ、装飾構成体が表示部の前側から移動した待機状態等においても外側装飾部の一部を発光させる機能を発光部により発揮させて見栄えの良い発光態様を実現し易くすることができる。
<特徴C4>
前記動作体と、前記装飾構成体と、前記機能部との組合せを複数備え(4つの回動体212A〜212Dと4つの装飾構成体211A〜211Dと各装飾構成体211A〜211Dの磁石Mとの組合せ)、
前記第1状態において複数の前記装飾構成体が近接又は当接して所定の装飾結合体を形成し、前記第2状態において各装飾構成体が前記装飾結合体を形成した位置に対して別々の方向側に分散して配置されることを特徴とする特徴C1からC3のいずれかに記載の遊技機。
特徴C4記載の遊技機によれば、装飾構成体に配置した機能部を、第1状態においては装飾結合体の中央部側に寄せ集めて複数の機能部を組み合わせて所定の機能を効率良く発揮可能とし、第2状態においては各機能部を大きく離間させて所定の機能を第1状態とは大きく異なる態様で発揮可能とすることができる。
例えば、機能部としての発光部を備える場合、第1状態において装飾結合体における中央部に複数の発光部が集合し、第2状態においては発光部同士が大きく離間した位置で発光させることができる。所定の装飾結合体が通常の遊技中には形成されず、遊技者に期待を持たせるタイミングで一時的に形成される場合、遊技者の視点は所定の装飾結合体周辺に集中し易く、その状態においては、第2状態における位置で発光部が発光しなかったとしても、遊技機としての見栄えを損なうことは少ない。このため、限られたコストを利用して搭載した高機能の発光部を状況毎に使い分けて効率良く利用することができる。
なお、特徴A1〜A5、特徴B1〜B3および特徴C1〜C4に記載のいずれか1つの特徴を他のいずれか又は複数の特徴に組み合わせて適用しても良い。以下には、上記した各特徴を適用し得る遊技機の基本構成を示す。
パチンコ遊技機:遊技者が操作する操作手段と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く球通路と、遊技領域内に配置された各遊技部品とを備え、それら各遊技部品のうち所定の通過部を遊技球が通過した場合に遊技者に特典を付与する遊技機。
スロットマシン等の回胴式遊技機:始動操作手段の操作に基づき周回体の回転を開始させ、停止操作手段の操作に基づき周回体の回転を停止させ、その停止後の絵柄に応じて遊技者に特典を付与する遊技機。