本発明の実施の形態につき、以下の実施例を用いて具体的に説明する。
(実施例1)
本例は、大当たり図柄が停止したときに大当たり状態を発生させるパチンコ遊技機(遊技機)1に関する例である。この内容について、図1〜図7を用いて説明する。
図1に例示のパチンコ遊技機1は、始動入賞部12及び可変入賞部11A・Bへの入賞に応じて大当たり状態(特別遊技状態)の抽選(特図判定)を実行し、抽選結果を表す図柄変動を実行するセブン機である。このパチンコ遊技機1では、大当たり状態以外の遊技状態として、遊技者側の有利度合いが低い通常状態のほか、特図判定の当選確率が高くなる高確率状態(確変状態)、図柄変動の時間が短くなる時短状態等が設定されている。
パチンコ遊技機1の遊技性の特徴のひとつは、1秒程度の短時間の図柄変動が連続的に発生する時短状態と似通った遊技状態が、通常状態下で発生する点にある。擬似時短とも言えるこの遊技状態は、後述する擬似時短役物17に設けた特別入賞部170への入賞を契機として発生する。
パチンコ遊技機1は、図示しない台枠に取り付けられた開閉扉13を有し、その内側の遊技盤130Aの表面側に沿うように略円形状の遊技領域130が形成された遊技機である。遊技領域130の左側下部にはスピーカ131が配置され、遊技領域130の下側には上皿135及び下皿137が遊技者側に張り出すように設けられている。上皿135は、入賞に応じて払い出された賞球や、貸玉等を受け入れて玉を貯留する受け皿である。下皿137は、上皿135の収容限度を超える玉等を受け入れる皿である。上皿135の右下には、上皿135の玉を遊技領域130に向けて発射するための操作ハンドル15が立設されている。
開閉扉13は、パチンコ遊技機1に対面して左側に位置するヒンジ133を介して回動可能な状態で台枠に固定されている。開閉扉13には、遊技領域130に対応する略円形状の透明窓139と、透明窓139の上部両側に配置された装飾ランプ部136と、が設けられている。
遊技領域130は、遊技媒体である玉が流下する領域である。遊技領域130には、図柄を変動表示する表示装置5を中心として、始動入賞部12、可変入賞部11A・B、スルーゲート141、142、擬似時短役物17、大入賞口160等が配置されている。遊技領域130の最下部には、入賞することなく流下した玉を回収するためのアウト孔138が開口している。
始動入賞部12、第1可変入賞部11A、及び第2可変入賞部11Bは、表示装置5とアウト孔138との間隙において、始動入賞部12を一番上にしてこの順番で上下三段で配置されている。始動入賞部12、可変入賞部11A・Bは、いずれも、一対の可動羽根を開口部に設けた電チュー(電動チューリップ)により構成されており、一対の可動羽根が両側に拡がるように動作すると開放状態となる可変入賞口である。
スルーゲート141、142は、表示装置5の左右両側に配設されている。左側には、可変通過部用スルーゲート141が配置され、右側には始動入賞部用スルーゲート142が配置されている。玉を通過させるのみのスルーゲート141、142には、賞球の払い出しが設定されていない。また、始動入賞部用スルーゲート142の下側には、パチンコ遊技機1の遊技性を特徴付ける擬似時短役物17が配置されている。
始動入賞部用スルーゲート142を玉が通過すると、普通図柄の当否判定(以下、普図判定という。)用の抽選用乱数が抽出され、普図判定が実行される。この普図判定による普図当選確率は、通常状態では1/30、高確率状態及び時短状態では1/1となっている。普図判定で普図当選が発生すると、始動入賞部12が開放状態となる。
可変通過部用スルーゲート141を玉が通過すると、擬似時短を発生させるか否かを抽選するための擬似時短抽選用の乱数が抽出されて擬似時短抽選が実行される。この擬似時短抽選の当選確率は、通常状態では1/200、時短状態(高確率状態)では1/2000となっている。この擬似時短抽選に当選すると後述する可変通過部171が開放されて擬似時短役物17に玉が流入可能な状態が発生する。
始動入賞部12、可変入賞部11A・Bは、特図判定(大当たり抽選、特別抽選)の契機となる入賞部(払出3玉)である。始動入賞部12、可変入賞部11A・Bに玉が入賞すると、特図判定の抽選用乱数が抽出され大当たり状態を発生させるか否かの特別抽選である特図判定が実行される。上記のように始動入賞部12は、普図当選に応じて開放状態となる。その開放時間は、通常状態では0.2秒、時短状態及び高確率状態では1.5秒×3回となっている。
可変入賞部11A・Bは、擬似時短役物17の特別入賞部170に玉が入賞した場合に、遊技領域130を流下する玉が入賞できない第1入賞状態から、玉が入賞できる第2入賞状態に切り替わる可変入賞手段としての機能を備えている。可変入賞手段として、第1可変入賞手段である第1可変入賞部11Aと、第1可変入賞部11Aよりも下流に設けられた第2可変入賞手段である第2可変入賞部11Bと、が設けられている。可変入賞部11A・Bのそれぞれは、後述する特図保留の限度数(上限保留数。本例では4つ)の半分と同数の玉(2つ)が入賞した場合に、第2入賞状態から第1入賞状態に切り替わる。なお、擬似時短役物17の構成や動作等については後で詳しく説明する。
大入賞口160は、大当たり状態下で開放状態となるアタッカーとも呼ばれる可変入賞装置である。大入賞口160は、擬似時短役物17の下側に配置されている。横長の大入賞口160には、開閉可能な蓋部材161が設けられている。大入賞口160は、遊技領域130をなす盤面と略面一をなすように蓋部材161が位置したとき、閉鎖状態となる。蓋部材161が手前側に回動すると大入賞口160が開放状態となり、大入賞口160に玉を導くための受け皿として蓋部材161が機能する。なお、大入賞口160に入賞したときの払出は15玉となっている。
表示装置5は、液晶表示画面520が枠59の内側に配置された表示装置である。表示装置5は、特図判定の結果を報知するための演出用の3桁の数字図柄(1〜9のいずれか)51を液晶表示画面520に表示するほか、上記の擬似時短抽選の当否を報知するための演出用のキャラクタ図柄53を表示する(図2)。
液晶表示画面520の下側に当たる枠59の前面には、それぞれ、4個のLEDが水平方向に配列された特図保留表示部597A・Bが配置されている。右側の特図保留表示部597Bは、可変入賞部11A又はBへの玉の入賞を契機とした特図保留(保留情報)の表示部である。左側の特図保留表示部597Aは、始動入賞部12への玉の入賞を契機とした特図保留の表示部である。特図保留表示部597A・Bは、LEDの点灯個数により特図保留の保留数(限度数4つ)を表示する。
液晶表示画面520の上側に当たる枠59の前面の右側には、普図表示部182及び普図保留表示部183が配置されている。普図表示部182は、上記の普図判定の当否の表示部である。普図表示部182は、○の点灯により普図判定の普図当選を表示し、×の点灯によりハズレを表示する。なお、普図の変動時間は通常状態で30秒、時短状態で1秒となっている。普図保留表示部183は、普図保留として記憶(保留)する保留数を表示できるよう、4つのLEDが連設された表示部である。普図保留表示部183は、LEDの点灯個数により普図保留の保留数(限度数4つ)を表示する。
予め定められた図柄変動を実行した後に特図判定の結果に対応した図柄を停止表示する図柄変動手段としての機能を備える表示装置5は、液晶表示画面520において、演出用の数字図柄51を所定時間に亘って変動表示した後、停止表示された3桁の数字図柄51の組合せに応じて特図判定の結果を報知する。特図判定の結果としては、大当たり状態の契機となる特図当選(大当たり状態を発生させる旨の抽選結果、大当たり当選)のほか、ハズレがある。
次に、パチンコ遊技機1の電気的な構成について、図3を参照して説明する。パチンコ遊技機1は、主回路20を中心として構成されている。主回路20に対しては、玉を払い出す払出装置372を制御する払出制御回路371、玉の発射装置341を制御する発射制御回路373、遊技演出を制御する演出制御部375、液晶表示画面520を制御する表示制御回路377、入賞玉あるいは通過玉の検出センサ311〜314・316〜318、入賞部や入賞口などを開放状態に切り替えるソレノイド321〜324、普図表示部182、普図保留表示部183、特図保留表示部597A・B、リフトスクリュー175(図4)を回転させるリフトモータ17M、外部に各種信号を出力する信号出力部392、電源回路391等が電気的に接続されている。また、演出制御部375には、スピーカ131を駆動するアンプ376や装飾ランプ部136が電気的に接続されているほか、表示制御回路377が通信可能に接続されている。表示制御回路377には、液晶表示画面520をなす液晶表示部52が電気的に接続されている。
入賞玉あるいは通過玉の検出センサとしては、始動入賞部12への入賞玉を検出する特図始動センサ311、可変入賞部11A・Bへの入賞玉を検出する特図始動センサ312A・B、可変通過部用スルーゲート141の通過玉を検出する擬似時短抽選センサ313、可変通過部171の通過玉を検出する通過玉センサ316、始動入賞部用スルーゲート142の通過玉を検出する普図始動センサ314、特別入賞部170への入賞玉を検出する特別入賞センサ317、大入賞口160への入賞玉を検出する大入賞センサ318等がある。
入賞口等の開放状態を切り替えるソレノイドとしては、始動入賞部12を開放させる電チューソレノイド321、可変入賞部11A・Bを開放させる電チューソレノイド322A・B、擬似時短役物17を構成する可変通過部171を切り替える電チューソレノイド323、大入賞口160を開放させる大入賞口ソレノイド324がある。
払出制御回路371は、始動入賞部12あるいは大入賞口160への玉の入賞が発生したとき、玉を払い出す払出手段の一例である払出装置372を制御し、所定数の玉の払出を実行する。
発射制御回路373は、操作ハンドル15の操作量に応じて、上皿135の玉を発射する発射装置341を制御することで、玉の打ち出し強さをコントロールする。発射制御回路373と発射装置341との組み合わせは、予め定められたタイミングで玉を遊技領域130に発射する発射手段としての機能を実現している。なお、遊技領域130に向けて玉を発射する周期は、1分間で約100発、6秒間で約10発となっている。上記の予め定められたタイミングとは、遊技者により操作ハンドル15が操作されているタイミング、及び1分間で100発の周期の発射のタイミングのうちの少なくともいずれか一方を意味している。
図3に示す主回路20は、CPU(Central Processing Unit)21、記憶素子であるROM(Read Only Memory)22・RAM(Random Access Memory)24、所定範囲の乱数を発生する乱数発生部27、抽選用乱数を抽出する乱数抽出部26、及び入出力インタフェースをなすI/O(Input/Output)25等を備えている。
ROM22は、CPU21に実行させる各種の処理プログラムを記憶しているほか、図示しない特図判定用の抽選テーブル及び普図判定用の抽選テーブルを記憶している。
特図判定用の抽選テーブルでは、通常状態及び時短状態での特図当選の当選乱数と、高確率状態での特図当選の当選乱数と、が規定されている。高確率状態での特図当選の当選乱数の数は、通常状態等での特図当選の当選乱数よりも多く設定され、これにより、高確率状態における特図当選の確率が1/50と、通常状態及び時短状態の当選確率1/400よりも高くなっている。なお、特図当選時に高確率状態が発生する確変割合は、始動入賞部12を契機とした特図判定か、可変入賞部11A・Bを契機とした特図判定か、に依らず50%となっている。
普図判定用の抽選テーブルでは、通常状態での普図当選の当選乱数と、時短状態及び確変状態での普図当選乱数の当選乱数と、が規定されている。通常状態での普図当選の当選乱数の数よりも、時短状態等での普図当選の当選乱数の方が多く設定され、通常状態での普図当選1/30に対して、時短状態及び確変状態での普図当選の当選確率が1/1となっている。
RAM24は、CPU21のワークエリアや一時書き込みに利用される読み書き可能な記憶素子である。RAM24の記憶エリアには、特図保留エリア241、普図保留エリア243、及び各1データ分の特図読出エリア245、普図読出エリア246が割り当てられている。RAM24は、始動入賞部12への始動入賞に応じた特図判定の結果を記憶する後述の記憶手段としての機能を実現している。
特図保留エリア241は、特図判定の結果を表す保留乱数の記憶領域である。普図保留エリア243は、普図判定の保留乱数の記憶領域である。特図保留エリア241、普図保留エリア243には、それぞれ4データ分の保留エリアが設定されている。
主回路20は、ROM22から読み出したプログラムをCPU21に実行させることにより、以下の各機能を実現している。
(1)抽選手段:始動入賞部12、可変入賞部11A・Bに玉が入賞した場合に予め定められた特別抽選である特図判定(大当たり抽選)を実行する手段。抽選手段は、特図判定用の抽選用乱数を抽出することで特図判定を実行する。
(2)記憶手段:抽選手段による抽選結果である特図判定用の抽選用乱数を、複数である所定の限度数(本例では4つ)を限度として保留乱数(特図保留、保留情報)として記憶する手段。記憶手段は、始動入賞部12や可変入賞部11A・Bへの始動入賞に応じた特図判定用の抽選用乱数を上記特図保留エリア241に特図保留として記憶する。特図保留エリア241では、始動入賞部12に対応する特図保留と、可変入賞部11A・Bに対応する特図保留と、が区別され、それぞれ、限度数である4つを上限として記憶される。なお、上限である4データ分の保留乱数が保留された状態で対応する抽選用乱数が新たに抽出された場合、その抽選用乱数は保留されることなくそのまま消去される。このような抽選用乱数の保留処理は、普図判定についても同様である。
(3)読出手段:特図保留エリア241、普図保留エリア243の保留乱数を、特図読出エリア245あるいは普図読出エリア246に読み出す手段。読出手段は、特図保留エリア241、普図保留エリア243の保留乱数である特図保留あるいは普図保留を1つずつ読み出し、保留数を減少させる。なお、特図保留エリア241の特図保留については、可変入賞部11A・Bに対応する特図保留が優先して読み出され、始動入賞部12に対応する特図保留については、可変入賞部11A・Bに対応する特図保留が無くなったときに読み出される。
(4)特典付与手段:図柄変動手段である表示装置5による図柄変動の結果、特典の付与に対応した大当たり図柄が停止した場合に、大当たり状態の発生という特典を遊技者に付与する手段。
次に、以上のような構成のパチンコ遊技機1の基本動作について説明する。
パチンコ遊技機1は、操作ハンドル15が右回転方向に操作されたとき、その操作量に応じた強度で玉を発射する。発射された玉は、始動入賞部12等が配置された遊技領域130を流下する。始動入賞部12や大入賞口160等に入賞しなかった玉は、遊技領域130の最下部に設けられたアウト孔138から回収される。
主回路20は、始動入賞部用スルーゲート142を通過する玉を検出したとき、乱数発生部27が発生する乱数の中から普図判定用の抽選用乱数を抽出する抽選を実行する。主回路20は、この抽選用乱数を普図判定用の抽選テーブル(図示略)と照合し、普図判定の当否を決定する。普図判定に当選したとき、主回路20は、普図表示部182を構成するLEDの点滅動作(普図変動)の後、○を点灯させる。ハズレの場合には、点滅動作の後、×を点灯させる。普図判定に当選すると、主回路20は、可動羽根を外側に回動させ、これにより、始動入賞部12が開放されて入賞確率が高められる。
始動入賞部12に玉が流入して始動入賞が発生した場合には、主回路20は、特図判定用の抽選用乱数を抽出することで特図判定を実行する。主回路20は、抽出した特図判定用の抽選用乱数を特図保留(保留情報)として記憶する。抽選用乱数は、上限保留数である4つを限度として保留される。
第1及び第2可変入賞部11A・Bに玉が流入したときにも始動入賞が発生する。主回路20は、可変入賞部11A・Bのうちのいずれかへの玉の入賞に応じて特図判定用の抽選用乱数を抽出して特図判定を実行する。主回路20は、抽出した特図判定用の抽選用乱数を特図保留(保留情報)として記憶する。抽選用乱数は、限度数の一例である4つを上限として保留される。
第1及び第2可変入賞部11A・Bに対応する特図保留と、始動入賞部12に対応する特図保留と、は個別に記憶され、それぞれ、限度数である4つを上限として保留される。第1及び第2可変入賞部11A・Bに対応する特図保留の個数は、上記の通り、特図保留表示部597BのLEDの点灯個数により表示され、始動入賞部12に対応する特図保留の個数は、特図保留表示部597AのLEDの点灯個数により表示される。なお、第1及び第2可変入賞部11A・Bは、擬似時短役物17での玉の入賞を契機として開放(第2入賞状態)されるが、擬似時短役物17の構成や動作等については後で詳しく説明する。
主回路20は、液晶表示部52による図柄変動が停止しており、かつ、大当たり状態の発生中でもないとき、特図保留エリア241に記憶された保留乱数を1つずつ読み出し、図示しない特図判定用の抽選テーブルと照合して特図判定の当否を判定する。保留乱数の読み出しに当たっては、始動入賞部12への玉の入賞を契機とした特図保留よりも、可変入賞部11A・Bへの玉の入賞を契機とした特図保留を優先し、記憶時点(入賞時点)が古いものから順番に1つずつ読み出す。
主回路20が特図判定の当否を判定したとき、液晶表示部52は、液晶表示画面520上で演出用の数字図柄51の所定時間に亘る変動表示を実行した後、左→右→中の順番で停止させて表示された3桁の数字図柄51の組み合わせにより特図判定の当否を報知する。特図判定の当選は、大当たり状態の契機となる特図当選(大当たり状態を発生させる旨の抽選結果、大当たり当選)を意味している。
特図当選の場合には、所定の図柄変動時間(図柄変動の実行時間)に亘る図柄の変動表示後、ゾロ目の3桁の数字図柄51の組み合わせである大当たり図柄が停止表示される。特に、奇数の数字図柄のゾロ目は、確変大当たり状態の契機となる確変大当たり図柄となっており、偶数の数字図柄のゾロ目は、通常大当たり状態の契機となる通常大当たり図柄となっている。
大当たり図柄の停止表示によって特図当選が報知されると、まず、15秒間に亘ってオープニング演出が実行され、その後、大当たり状態が開始される。大当たり状態では、大入賞口160が開放されて玉が入賞可能になるラウンドが繰り返し実行される。なお、主回路20は、大当たり状態の発生中に、その旨を表す大当たり信号を出力する。
大当たり状態の実行中に大入賞口160が開放されるラウンドの繰返し回数は、確変大当たり状態であるか通常大当たり状態であるかによらず16回となっている。1回のラウンドは、大入賞口160に玉が10個入賞するか、30秒経過したときに終了する。ラウンド16回分の平均的な出玉は約1600個となっている。大当たり状態においてラウンドが16回消化されると、10秒間に亘るエンディング演出が実行されて大当たり状態が終了する。
確変大当たり状態の終了後には、特図当選の確率が高くなる確変状態が発生する。この確変状態は、通常大当たり状態に対応する通常大当たり当選(通常大当たりの特図当選)に応じて終了し、確変大当たり当選(確変大当たりの特図当選)の場合には、対応する確変大当たり状態の終了後に確変状態が再開されて継続する。通常大当たり状態の終了後には、図柄変動100回転に亘る時短状態が発生し、100回転の図柄変動を消化すると通常状態に復帰する。
次に、擬似時短役物17の構成を詳しく説明し、続いて擬似時短役物17の動作、擬似時短役物17で入賞が発生したときの動作について図4〜図6を参照しながら詳しく説明する。
擬似時短役物17は、開閉体171Aを開口部に設けた可変通過部171を有すると共に、可変通過部171を経由して流入した玉が入賞する特別入賞部170を備える役物である。さらに、擬似時短役物17は、上記の構成に加えて、可変通過部171を経由して流入した玉を貯留する玉貯留部172、玉貯留部172から供給された玉を1つずつ特別入賞部170に入賞させる玉送機構部174を備えている。
可変通過部171は、上記の擬似時短抽選での当選という所定の条件が成立した場合に、遊技領域130を流下する玉が通過できない第1通過状態から、玉が通過できる第2通過状態に切り替わる玉の経路である。可変通過部171には、電チューに良く似た一対の開閉体171Aが設けられ、一対の開閉体171Aが左右に開くように回動すると第2通過状態となり、閉じると第1通過状態となる。一対の開閉体171Aが閉じたときの間隙への経路には遊技釘130Nが配置されており、第1通過状態での玉の流入を不可能としている。可変通過部171を経由して擬似時短役物17に流入した玉は、玉貯留部172に貯留される。
玉貯留部172は、可変通過部171を通過した玉を複数貯留することが可能な半円状の貯留管173により構成されている。貯留管173は、例えばドーナッツを半分に割ったような円弧状をなし、複数の玉を円弧に沿って一列に貯留可能である。貯留管173の上流端は、可変通過部171に流入した玉が転がり落ちる孔173Hに連通している。貯留管173の下流端は、玉送機構部174に連通し、玉送機構部174に玉を1つずつ供給するように構成されている。玉貯留部172は、貯留管173に10個の玉を貯留できるほか、可変通過部171の内部空間にさらに1、2個の玉を貯留でき、最大で11〜12個の玉の貯留が可能である。貯留管173は透明なアクリル樹脂製であると共に、擬似時短役物17の前面も透明なアクリル樹脂により形成されているため、遊技者が貯留された玉を視認可能である。
特別入賞部170は、玉貯留部172の玉が入賞可能な入賞口である。特別入賞部170は、円弧状の貯留管173の上流端の直下に設けられている。特別入賞部170は、可変入賞部11A・Bの開放契機となる入賞口である。特別入賞部170に玉が入賞したときの可変入賞部11A・Bの開放確率は1/1となっており、特別入賞部170に玉が入賞すれば必ず可変入賞部11A・Bが開放状態(第2入賞状態)となる。
玉送機構部174は、玉貯留部172の玉を予め定められた周期で特別入賞部170に送る玉送手段としての機能を有している。玉送機構部174は、貯留管173から供給された玉を上昇させるリフトスクリュー175を備えている。リフトスクリュー175は、特別入賞部170の直下に鉛直方向に沿って設けられている。
リフトスクリュー175の外周面には、玉の半分ほどを収容可能な溝175Mが螺旋状に形成されている。リフトスクリュー175の外周側は、擬似時短役物17の筐体17Bの内周面が取り巻いている一方、遊技者に面する1箇所のみリフトスクリュー175と筐体17Bとの間隙が拡げられ、玉1つ分のリフト通路177が形成されている(図6)。このリフト通路177に玉が収容された状態でリフトスクリュー175が回転すると、螺旋状の溝175Mに保持された玉が上昇する。リフトスクリュー175によって上方に運ばれた玉は特別入賞部170に入賞するように構成されている。なお、溝175Mの螺旋形状と、リフトスクリュー175の回転速度、との組み合わせは、6秒に1つの周期で特別入賞部170に玉が入賞するように設定されている。
次に、擬似時短役物17の動作、及び関係するパチンコ遊技機1の動作について説明する。
上記のように擬似時短役物17への玉の流入を切り替える可変通過部171は、可変通過部用スルーゲート141を玉が通過したときに実行される擬似時短抽選に当選したときに開放される。図3の主回路20は、可変通過部用スルーゲート141を通過する玉を検出すると、上記の擬似時短抽選用の乱数を抽出することで擬似時短抽選を実行する。
擬似時短抽選の当否は、液晶表示画面520の右下部分に表示される演出用のキャラクタ図柄53による平均10秒の図柄変動により報知される(図2参照。)。擬似時短抽選の当否は、3つの演出用のキャラクタ図柄53の組み合わせにより報知される。可変通過部用スルーゲート141を玉が通過すると、液晶表示画面520の右下で演出用のキャラクタ図柄53による図柄変動が開始され、当選のときには同じキャラクタ図柄53が停止表示されて当選が報知される(図7)。擬似時短抽選に当選すると、液晶表示画面520に右打ちを促すメッセージが表示され、擬似時短役物17に玉が流入可能な状態となる。なお、擬似時短抽選の当選確率は、上記の通り、通常状態で1/200、時短状態(高確率状態)で1/2000である。なお、このように時短状態や高確率状態の方が通常状態よりも低くなっている擬似時短抽選の当選確率の設定は、時短状態や高確率状態において左打ちよりも右打ちを促すための工夫である。
擬似時短抽選に当選して右打ちを促す表示が行われると、主回路20は、5秒の遅延時間が経過した後、可変通過部171を上記の第1通過状態(玉が通過できない状態)から第2通過状態に切り替える。これにより擬似時短役物17に玉が流入可能な状態となる。可変通過部171は、6秒が経過するか、あるいは玉が10個通過するまでの間、第2通過状態に保持される。可変通過部171を通過した玉は、擬似時短役物17の玉貯留部172に貯留される。
玉貯留部172に貯留された玉は、玉送機構部174を構成するリフトスクリュー175により6秒毎に1つの周期で順番に特別入賞部170に向けて送られ、順次入賞する。特別入賞部170に玉が入賞すると、主回路20は、1/1の確率で第1及び第2可変入賞部11A・Bの両方を開放し、これにより、玉が入賞できない第1入賞状態から玉が入賞可能な第2入賞状態に切り替える。
第1及び第2可変入賞部11A・Bは、いずれも玉が2つ入賞するまで第2入賞状態に保持される。第1及び第2可変入賞部11A・Bは玉が2つずつ入賞するため、特図保留を記憶できる限度数と同数の計4つの玉が入賞する。ここで、パチンコ遊技機1では、第1及び第2可変入賞部11A・Bが上下二段に配置されている。上側の第1可変入賞部11Aに入賞しなかった玉が下側の第2可変入賞部11Bに入賞できるようになる上下二段の配置は、可変入賞部11A・Bに4つの玉が入賞するのに要する時間の短縮に有効な配置となっている。
第1及び第2可変入賞部11A・Bに入賞した場合の特図保留の限度数は4つである。この保留枠は、始動入賞部12の入賞を契機とした特図保留の保留枠(限度数は同じ4つ)とは別に設けられている。なお、特図保留の限度数としては、本例の4つのほか、3つや5つなど他の数を設定でき、複数であれば良い。
上記のように主回路20は、第1及び第2可変入賞部11A・Bへの入賞に由来する特図保留があるとき、液晶表示部52による図柄変動が停止しており、かつ、大当たり状態の発生中でなければ図柄変動を開始する。第1及び第2可変入賞部11A・Bへの入賞に由来する図柄変動は、始動入賞部12への入賞に由来する図柄変動よりも優先して実行され、1回当たり平均1秒で消化される。
したがって、第1及び第2可変入賞部11A・Bへの4回の入賞に対応する図柄変動は約4秒(特別時間の一例)で終了する。一方、上記のように玉貯留部172の玉が特別入賞部170に入賞する間隔は6秒毎となっている。特別入賞部170へ玉が入賞すると第1及び第2可変入賞部11A・Bに2つずつ玉が入賞可能となるが、この4つの玉の入賞に由来する4回の図柄変動は約4秒で消化され、玉貯留部172の玉が新たに特別入賞部170に入賞するまでの6秒が経過するよりも前に完了する。
これにより、玉貯留部172に貯留された約10個の玉が6秒毎に特別入賞部170に順次入賞する間、可変入賞部11A・Bへの玉の入賞を契機とした1秒間の図柄変動が繰り返し実行される状態となる。上記のように、この状態は、通常状態でありながら短時間の図柄変動が繰り返し実行され、時短状態と似通った擬似時短の状態となっている。
以上のようにパチンコ遊技機1の擬似時短役物17は、可変通過部用スルーゲート141を玉が通過したときの擬似時短抽選に当選(当選確率1/200)したときに開放する可変通過部171を備えている。この可変通過部171を経由して擬似時短役物17に流入した10個程度の玉は一旦貯留された後、約6秒の周期で特別入賞部170に順番に入賞する。玉が特別入賞部170に入賞すると、図柄変動の契機となる可変入賞部11A・Bに玉が入賞可能な状態になり、特図保留の限度数と同数の4つが入賞できる。可変入賞部11A・Bに玉が入賞すると約1秒の図柄変動が実行されるため、特別入賞部170の入賞1回につき、1秒×4回の図柄変動が発生する。貯留された10個程度の玉が順次、特別入賞部170に入賞すれば、1秒×4回の図柄変動が貯留された玉の個数分だけ発生する。
このような構成のパチンコ遊技機1は、玉貯留部172に貯留した玉を特別入賞部170に送ることで、可変入賞部11A・Bに玉が入賞できる第2入賞状態を発生できる。これにより、貯留された玉が無くなるまで、可変入賞部11A・Bに玉が入賞できる第2入賞状態が発生している様に遊技者が感じることになり、新たな遊技性を実現することが可能になる。これにより、遊技者の遊技意欲を高くすることができる。
図柄変動手段としての液晶表示部52は、第1及び第2可変入賞部11A・Bへの玉の入賞を契機とした特図保留が限度数である4つ記憶されている場合に、その限度数の特図保留に基づく図柄変動を予め定められた4秒の特別時間で全て消化できるように図柄変動を実行する。一方、玉送手段としての玉送機構部174は、この特別時間である4秒よりも長い周期(6秒/個)で特別入賞部170に玉を送るように構成されている。
このような構成によれば、限度数の特図保留を記憶し、その特図保留に基づく図柄変動を実行した後に、再び特別入賞部170に玉が入賞して第1及び第2可変入賞部11A・Bを第2入賞状態に切り替えできる。これにより、玉貯留部172に貯留した玉の個数分、可変入賞部11A・Bを繰り返し第2入賞状態に切り替えでき、有利な特別遊技状態が発生している様に遊技者に感じさせる効果を向上できる。なお、特別時間としては、玉送機構部174が特別入賞部170に玉を送り込む周期よりも短ければ良く、例示した4秒に代えて3秒や5秒等の時間を設定できる。さらに、可変入賞部11A・Bの入賞に由来する特図保留を全て、特別時間の間に消化することは必須ではない。例えばリーチ発生時等、特別時間よりも長い時間で消化する場合があっても良い。
パチンコ遊技機1における玉送機構部174は、可変入賞部11A・Bへの入賞の限度数である4つの玉を発射装置341が発射する時間よりも長い周期で特別入賞部170に玉を送るように構成されている。このように限度数と同数の4つの玉を発射装置341が発射するのに要する時間よりも玉送機構部174が特別入賞部170に玉を送り込む周期が長ければ、玉が特別入賞部170に入賞してから次の玉が特別入賞部170に入賞するまでに、限度数と同数の4つの玉が可変入賞部11A・Bにまだ入賞できていない状況が発生するおそれを抑制できる。パチンコ遊技機1の場合、特別入賞部170に玉を送る周期である6秒が経過する間に、発射装置341は玉を10個発射できる。このような設定は、特別入賞部170に玉が入賞してから次の玉が特別入賞部170に入賞するまでの間に、第1及び第2可変入賞部11A・Bに入賞可能な上限個数として設定された4つの玉を確実性高く入賞させるために有効である。
可変入賞部11A・Bは、限度数と同数の4つの玉が入賞した場合に、第2入賞状態から第1入賞状態に切り替わるように構成されている。限度数と同数の4つの玉が入賞すると第1入賞状態になるため、可変入賞部11A・Bが第2入賞状態に保持される期間が過大になるおそれを未然に回避できる。
パチンコ遊技機1は、第1可変入賞手段である第1可変入賞部11Aと、第1可変入賞部11Aよりも下流に設けられた第2可変入賞手段である第2可変入賞部11Bと、を可変入賞手段として備えている。このような構成によれば、第1可変入賞部11Aに入賞しなかった玉が第2可変入賞部11Bに入賞し得るので、限度数と同数の4つの玉が入賞するまでの発射装置341による発射玉数を少なくするために有効である。
以上のように、本例のパチンコ遊技機1は、遊技に対する遊技者の注目度を高めることができる優れた特性の遊技機である。
本例の構成に代えて、あるいは加えて以下のような構成を採用することも良い。また、以下の各構成を適宜組み合わせて採用することも良い。
本例では、パチンコ遊技機1について例示したが、その他の遊技機に適用しても良い。例えば玉が封入してあり、得点を消費して玉を発射する封入式パチンコ遊技機等が考えられる。なお、大当たり状態の発生を特典の付与とする構成について説明したが、この構成に代えて、あるいは加えて、玉あるいは得点を付与する構成を特典の付与に対応させることも可能である。
擬似時短役物17の可変通過部171として、擬似時短抽選の当選に応じて、玉が通過できない第1通過状態から玉が通過可能な第2通過状態に切り替わる可変通過部171を例示した。第1通過状態は、玉が通過する可能性がある一方、第2通過状態よりも玉が通過し難い状態であっても良い。この場合、可変通過部171が、玉が通過し易い状態と玉が通過しにくい状態とに切り替わることになる。つまり、例えば遊技領域130を流下する玉が通過し難い第1通過状態から、玉が通過し易い第2通過状態に切り替わる可変通過部であっても良い。第2通過状態への切替契機となる所定の条件として擬似時短抽選での当選を例示したが、これに代えてあるいは加えて他の条件を設定することも良い。例えば、予め定められた領域を玉が通過した場合や、大当たり状態が発生することなく所定回数の図柄変動を消化した場合等が考えられる。
大入賞口160、第1及び第2可変入賞部11A・Bは、いずれも開放しないと玉が入賞できない構成を採用している。これに代えて、大入賞口160、第1可変入賞部11A、及び第2可変入賞部11Bのうちの一部又は全部について、開放していない状態でも玉が入賞可能なように構成しても良い。この場合、開放することで、玉が入賞し易い状態と玉が入賞しにくい状態とに切り替わることになる。つまり、可変入賞手段としては、例えば遊技領域130を流下する玉が入賞し難い第1入賞状態から、玉が入賞し易い第2入賞状態に切り替わる可変入賞部11A・Bであっても良い。
特別入賞部170に玉が入賞した場合、第1可変入賞部11Aと第2可変入賞部11Bとが第2入賞状態になる構成としたが、一の可変入賞部が第2入賞状態になる構成としても良い。つまり、第1可変入賞部11A及び第2可変入賞部11Bを一の可変入賞部にしても良い。また、第1可変入賞部11A及び第2可変入賞部11Bが第2入賞状態から第1入賞状態に切り替わる条件を所定個数の玉の入賞にしたが、この条件に代えて又は加えて、所定時間が経過した場合に、第2入賞状態から第1入賞状態に切り替わる構成としても良い。
玉貯留部172の構成を変更しても良く、例えば20個以上の玉を貯留できる構成としても良いし、貯留した玉を遊技者が視認できない構成としても良い。
玉送機構部174が玉を送る機構を変更しても良く、例えば磁力によって玉を持ち上げて特別入賞部170に玉を送る構成としても良いし、所定周期に1回扉が開放し、その扉に入った玉が通路を経由して特別入賞部170に入賞する構成としても良い。
玉送機構部174が玉を送る周期を変更しても良い。例えば10秒ごとに特別入賞部170に玉が入賞する様に玉を送る構成としても良い。また、例えば30秒等の制限時間を設定し、制限時間の中で玉を送るタイミングを決定するようにしても良い。この場合でも予め定められた周期で特別入賞部170に玉を送る構成に該当する。
特別入賞部170に玉が入賞した場合、1/1の確率で第1及び第2可変入賞部11A・Bが開放する構成としたが、特別入賞部170に玉が入賞した場合に抽選を行い、当該抽選に当選した場合に第1及び第2可変入賞部11A・Bが第2入賞状態となる構成としても良い。
特図当選に応じて大当たり状態の発生という特典を遊技者に付与する構成としたが、大当たり状態とは異なる有利な遊技状態の発生という特典を遊技者に付与する構成にしても良いし、予め定められた数の玉を遊技者に付与することで特典を付与するように構成しても良い。
可変通過部用スルーゲート141を玉が通過し、擬似時短抽選に当選した場合に可変通過部171が第2通過状態になる構成としたが、可変通過部用スルーゲート141を玉が通過した場合に1/1の確率で可変通過部171が第2通過状態になる構成としても良い。また、玉を発射した場合やアウト孔138から玉を排出した場合等に、可変通過部171が第2通過状態になるか否かの抽選を実行する構成を採用しても良い。
なお、遊技領域130における各入賞部、通過部、スルーゲート等の位置は任意に変更でき、例示した配置には限定されない。
以上、実施例のごとく本発明の具体例を詳細に説明したが、これらの具体例は、特許請求の範囲に包含される技術の一例を開示しているにすぎない。言うまでもなく、具体例の構成や数値等によって、特許請求の範囲が限定的に解釈されるべきではない。特許請求の範囲は、公知技術や当業者の知識等を利用して前記具体例を多様に変形、変更、あるいは適宜組み合わせた技術を包含している。