JP2017122586A - 抗vonWillebrand因子(VWF)抗体検出法 - Google Patents

抗vonWillebrand因子(VWF)抗体検出法 Download PDF

Info

Publication number
JP2017122586A
JP2017122586A JP2016000247A JP2016000247A JP2017122586A JP 2017122586 A JP2017122586 A JP 2017122586A JP 2016000247 A JP2016000247 A JP 2016000247A JP 2016000247 A JP2016000247 A JP 2016000247A JP 2017122586 A JP2017122586 A JP 2017122586A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
von willebrand
willebrand factor
antibody
human igg
support
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2016000247A
Other languages
English (en)
Inventor
白帝 一瀬
Akitada Ichinose
白帝 一瀬
泰男 曲
Yasuo Kiyoku
泰男 曲
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Q-MAY KENKYUSHO KK
Yamagata University NUC
Original Assignee
Q-MAY KENKYUSHO KK
Yamagata University NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Q-MAY KENKYUSHO KK, Yamagata University NUC filed Critical Q-MAY KENKYUSHO KK
Priority to JP2016000247A priority Critical patent/JP2017122586A/ja
Publication of JP2017122586A publication Critical patent/JP2017122586A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)

Abstract

【課題】血液中のvon Willebrand因子に対する自己抗体を検出する方法及び該検出に用いるキットの提供。
【解決手段】血液試料中のvon Willebrand因子に対する遊離の自己抗体を検出する方法であって、von Willebrand因子を固相化した支持体に試料及び標識した抗ヒトIgG抗体を添加し、支持体上でvon Willebrand因子-von Willebrand因子に対する自己抗体-標識した抗ヒトIgG抗体の複合体を形成させ、標識した抗ヒトIgG抗体からのシグナルを検出することを含む、方法、並びに該方法に用いるキット。
【選択図】なし

Description

本発明は、抗von Willebrand因子抗体検出法に関する。
凝固von Willebrand因子の著明な低下が原因である後天性von Willebrand症候群(AVWS)は、早期診断、早期治療が必要な重篤な出血性疾患であり、多彩な原因によって発症することが知られている(非特許文献1及び2を参照)。そのうち、自己のvon Willebrand因子に対する抗体の出現に基づく自己免疫性von Willebrand病(AVWD)は、治療に免疫抑制療法が必要なため、迅速な抗体の検出が不可欠である。これまで、信頼できる抗von Willebrand因子自己抗体の検出法がなかったため、全ての後天性von Willebrand症候群(AVWS)の中でも本疾患の割合も不明であったので、再現性の高い検出法の確立が望まれていた。
Federici AB et al., Thromb Haemost 2000;84: 345-9. Tiede A et al., Blood. 2011;117:6777-85.
本発明は、血液中のvon Willebrand因子に対する自己抗体を検出する方法及び該検出に用いるキットの提供を目的とする。
本発明者らは、自己のvon Willebrand因子に対する抗体の出現に基づく自己免疫性von Willebrand病(AVWD)を正確に検出すべく、von Willebrand因子に対する自己抗体の検出法について鋭意検討を行った。
本発明者らは、von Willebrand因子に対する自己抗体が遊離の抗体の状態、又はvon Willebrand因子と複合体を形成した状態で血液中に存在することに鑑み、von Willebrand因子を支持体に固相化して血中のvon Willebrand因子に対する遊離の自己抗体を捕捉して測定するサンドイッチ法の原理に基づく免疫学的測定方法、及び抗von Willebrand因子抗体を支持体に固相化しvon Willebrand因子と複合体を形成した状態で血液中に存在するvon Willebrand因子に対する自己抗体を捕捉するサンドイッチ法の原理に基づく免疫学的測定法を開発し、血液中のvon Willebrand因子に対する自己抗体を高感度でかつ特異的に検出し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1] 血液試料中のvon Willebrand因子に対する遊離の自己抗体を検出する方法であって、von Willebrand因子を固相化した支持体に試料及び標識した抗ヒトIgG抗体を添加し、支持体上でvon Willebrand因子-von Willebrand因子に対する自己抗体-標識した抗ヒトIgG抗体の複合体を形成させ、標識した抗ヒトIgG抗体からのシグナルを検出することを含む、方法。
[2] 支持体に固相化されたvon Willebrand因子がβメルカプトエタノール及びドデシル硫酸ナトリウムで変性処理されたものである、[1]の方法。
[3] 血液試料中のvon Willebrand因子と複合体を形成したvon Willebrand因子に対する自己抗体を検出する方法であって、抗von Willebrand因子抗体を固相化した支持体に試料及び標識した抗ヒトIgG抗体を添加し、支持体上で抗von Willebrand因子抗体-von Willebrand因子とvon Willebrand因子に対する自己抗体の複合体-標識した抗ヒトIgG抗体の複合体を形成させ、標識した抗ヒトIgG抗体からのシグナルを検出することを含む、方法。
[4] ウエスタンブロット法、ELISA法及びイムノクロマト法からなる群から選択される、[1]〜[3]のいずれかの方法。
[5] 後天性von Willebrand症候群(AVWS)の検出のための補助的データを取得するための方法である、[1]〜[4]のいずれかの方法。
[6] 後天性von Willebrand症候群(AVWS)が自己免疫性von Willebrand病(AVWD)である、[5]の方法。
[7] von Willebrand因子を固相化した支持体及び標識した抗ヒトIgG抗体を含み、支持体上でvon Willebrand因子-von Willebrand因子に対する自己抗体-標識した抗ヒトIgG抗体の複合体を形成させ、標識した抗ヒトIgG抗体からのシグナルを検出することにより血液試料中のvon Willebrand因子に対する遊離の自己抗体を検出するためのキット。
[8] 支持体に固相化されたvon Willebrand因子がβメルカプトエタノール及びドデシル硫酸ナトリウムで変性処理されたものである、[7]のキット。
[9] 抗von Willebrand因子抗体を固相化した支持体及び標識した抗ヒトIgG抗体を含み、支持体上で抗von Willebrand因子抗体-von Willebrand因子とvon Willebrand因子に対する自己抗体の複合体-標識した抗ヒトIgG抗体の複合体を形成させ、標識した抗ヒトIgG抗体からのシグナルを検出することにより血液試料中のvon Willebrand因子と複合体を形成したvon Willebrand因子に対する自己抗体を検出するためのキット。
[10] ウエスタンブロット法用キット、ELISA法用キット及びイムノクロマト法用キットからなる群から選択される、[7]〜[9]のいずれかのキット。
[11] 後天性von Willebrand症候群(AVWS)の検出のための補助的データを取得するためのキットである、[7]〜[10]のいずれかのキット。
[12] 後天性von Willebrand症候群(AVWS)が自己免疫性von Willebrand病(AVWD)である、[11]のキット。
本発明のvon Willebrand因子を固相化した支持体又は抗von Willebrand因子抗体を固相化した支持体を用いた、サンドイッチ法の原理に基づく免疫学的測定法により、血液中のvon Willebrand因子に対する自己抗体を高感度でかつ特異的に検出することができる。被験体の血液中のvon Willebrand因子に対する自己抗体を検出することにより、自己免疫性von Willebrand病(AVWD)を含む後天性von Willebrand症候群(AVWS)の検出、遺伝性VWD症例における「抗von Willebrand因子同種抗体」の検出を行うことができる。
von Willebrand因子検出に対する感度と特異度の高い抗体の選抜に用いた1次抗体のリストを示す図である。 von Willebrand因子検出に対する感度と特異度の高い抗体の選抜のためのウエスタンブロット法の結果を示す図である。 抗von Willebrand因子抗体の検出感度をウエスタンブロット法で検討した結果を示す図である。 ウエスタンブロット法による自己免疫性von Willebrand病(AVWD)の診断の結果を示す図である(症例1)。 ウエスタンブロット法による自己免疫性von Willebrand病(AVWD)の診断の結果を示す図である(症例2)。 抗von Willebrand因子自己抗体検出ELISA法の結果を示す図である。 抗von Willebrand因子自己抗体検出ELISA法(SDS,2-ME処理あり)の結果を示す図である。 抗von Willebrand因子自己抗体検出イムノクロマト法(抗原塗布法)の結果を示す図である。 抗von Willebrand因子自己抗体検出イムノクロマト法(抗体塗布法)の結果を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、血液中のvon Willebrand因子(von Willebrandタンパク質)に対する自己抗体を、サンドイッチ法を測定原理とする免疫学的測定法により測定する方法である。ここで本発明のサンドイッチ法を測定原理とした免疫学的測定法とは、抗体である標的物質を該標的物質に結合する抗原又は抗体を用いて挟み込むように捕捉して、標的物質を測定する方法をいい、単にサンドイッチ法ともいう。サンドイッチ法を測定原理とする免疫学的測定法においては、標的物質に結合し標的物質を捕捉し得る抗体又は抗原を結合させた固相を用いる。サンドイッチ法を測定原理とする免疫学的測定法としては、例えばイムノクロマト法、酵素免疫測定吸着法(ELISA法)、ウエスタンブロット法等が挙げられる。
なお、本発明において、「測定」という場合、定量、半定量、検出のいずれも含む。
血液中のvon Willebrand因子に対する自己抗体は遊離の抗体として存在するか、あるいはvon Willebrand因子と複合体を形成した状態で存在する。血液中のvon Willebrand因子の量が多い場合、von Willebrand因子と自己抗体の複合体(von Willebrand因子-自己抗体の複合体)が形成されやすくなる。従って、本発明の方法においては、遊離のvon Willebrand因子に対する自己抗体又はvon Willebrand因子と自己抗体の複合体を検出する。
von Willebrand因子に対する遊離の自己抗体をサンドイッチ法により測定する場合、固相にvon Willebrand因子を結合させ、該固相にvon Willebrand因子に対する自己抗体を含む試料を添加する。von Willebrand因子に対する自己抗体は固相に結合したvon Willebrand因子に結合し捕捉される。次いで、自己抗体に対する抗体であって標識した抗体を添加し、自己抗体に結合させる。この結果、固相上にvon Willebrand因子-von Willebrand因子に対する自己抗体-自己抗体に対する抗体であって標識した抗体の複合体が形成され、標識した抗体から発するシグナルを測定することにより、試料中のvon Willebrand因子に対する自己抗体を測定することができる。この方法を「抗原塗布法」という。
von Willebrand因子と複合体を形成した状態で存在する自己抗体をサンドイッチ法で測定する場合、固相に抗von Willebrand因子抗体を結合させ、該固相にvon Willebrand因子と自己抗体の複合体を含む試料を添加する。von Willebrand因子と自己抗体の複合体は固相に結合した抗von Willebrand因子抗体にvon Willebrand因子部分が結合し捕捉される。次いで、自己抗体に対する抗体であって標識した抗体を添加し、自己抗体に結合させる。この結果、固相上に抗von Willebrand因子抗体-von Willebrand因子と自己抗体の複合体-自己抗体に対する抗体であって標識した抗体の複合体が形成され、標識した抗体から発するシグナルを測定することにより、試料中のvon Willebrand因子に対する自己抗体を測定することができる。この方法を「抗体塗布法」という。
サンドイッチ法を測定原理とする免疫学的測定法において、von Willebrand因子又は抗von Willebrand因子抗体を固相化する固相としては、抗体や抗原を公知技術により固定可能なものは全て用いることができ、例えば、毛細管作用を有する多孔性薄膜(メンブレン)、マイクロタイタープレート、粒子状物質、試験管、樹脂平板など公知のものを任意に選択できる。イムノクロマト法やウエスタンブロット法においてはメンブレンを、ELISA法においてはマイクロタイタープレートを用いればよい。
von Willebrand因子又は抗von Willebrand因子抗体の固相への結合は、吸着を利用してもよいし、アミノ基、カルボキシル基等の官能基を利用して共有結合により結合させてもよい。
固相化する抗von Willebrand因子抗体は、ポリクローナル抗体でもモノクローナル抗体でもよいが、好ましくはモノクローナル抗体を用いる。抗体は公知の方法で製造することができる。また、市販の抗体を用いてもよい。
標識して用いるvon Willebrand因子に対する自己抗体に対する抗体としては、抗ヒトIgG抗体を用いればよい。抗von Willebrand因子抗体及びvon Willebrand因子に対する自己抗体に対する抗体はポリクローナル抗体でもモノクローナル抗体でもよいが、好ましくはモノクローナル抗体を用いる。抗体は公知の方法で製造することができる。また、市販の抗体を用いてもよい。
固相化又は標識して用いる抗体は、FabやF(ab’)2のような免疫グロブリン断片、あるいは、組換え体として発現されたscFv、dsFv、diabody、minibody等の組換え抗体であってもよい。本発明において、「抗体」という語は、これらの断片も含む。これらの断片は公知の方法で調製することができる。
標識抗体を標識する物質としては、アルカリホスファターゼ(ALP)や西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)等の酵素、放射性同位体、蛍光物質、発光物質、着色ポリスチレン粒子等の有色粒子や金コロイド等のコロイド粒子などを用いることができる。抗体の標識は公知の方法で行うことができる。
用いる試料としては、被験体の全血、血清、血漿等が挙げられる。本発明において、血液中のvon Willebrand因子に対する自己抗体を検出するという場合、試料として全血、血清、血漿のいずれを用いる方法も含む。
例えば、ELISA法は以下の工程で行う。
von Willebrand因子を固相化したポリスチレン等でできたマイクロタイタープレートに試料を添加し、抗原・抗体反応をさせ、さらに酵素標識した抗ヒトIgG抗体を添加し、抗原・抗体反応をさせ、洗浄後、酵素基質と反応・発色させ、吸光度を測定して試料中のvon Willebrand因子に対する遊離の自己抗体を検出することができる。あるいは、抗von Willebrand因子抗体を固相化したポリスチレン等でできたマイクロタイタープレートに試料を添加し、抗原・抗体反応をさせ、さらに酵素標識した抗ヒトIgG抗体を添加し、抗原・抗体反応をさせ、洗浄後、酵素基質と反応・発色させ、吸光度を測定して試料中のvon Willebrand因子と複合体を形成した自己抗体を検出することができる。また、酵素で標識した抗ヒトIgG抗体の代りに蛍光標識した抗ヒトIgG抗体を用いて、抗原・抗体反応をさせた後に蛍光を測定してもよい。
ELISA法において、添加する試料の量は数十μL〜数百μLである。試料は数倍から十数倍に希釈して用いてもよい。
抗原抗体反応は4℃〜45℃、好ましくは20℃〜40℃、さらに好ましくは25℃〜38℃で行うことができ、また、反応時間は、10分〜18時間、より好ましくは10分〜1時間、さらに好ましくは30分〜1時間程度である。
また、イムノクロマト法は以下の工程でおこなう。
von Willebrand因子に対する遊離の自己抗体を測定する場合、該自己抗体を捕捉するvon Willebrand因子が固相化された検出領域を有する固相支持体(メンブレン)、着色ポリスチレン粒子や金コロイド等の標識物質で標識した展開移動可能な標識抗ヒトIgG抗体を有する標識物質領域、試料を添加するサンプルパッド、展開された試料液を吸収する吸収帯、これら部材を1つに貼り合わせるためのバッキングシートからなるイムノクロマト法用免疫測定デバイスを用いて行えばよい。該方法においては、von Willebrand因子を固相化した固相支持体に毛管現象を利用して、着色ポリスチレン粒子や金コロイド等の適当な標識物質で標識した抗ヒトIgG抗体とvon Willebrand因子に対する遊離の自己抗体の複合体をメンブレン上に展開移動させる。この結果、固相化したvon Willebrand因子-von Willebrand因子に対する遊離の自己抗体-標識した抗ヒトIgG抗体の複合体が固相支持体上に形成され、該複合体から発する標識物質のシグナル(金コロイドの場合は、被検出物質と結合し得る物質を固定化した固相支持体部分が赤くなる)を検出することにより、遊離の自己抗体を検出することができる。該免疫測定方法は、5〜35℃、好ましくは室温で行うことができ、試料を添加後数分で判定することができる。
Willebrand因子と複合体を形成した自己抗体を検出する場合、固相支持体上に抗von Willebrand因子を固相化すればよい。固相支持体上には、固相化した抗von Willebrand因子抗体-von Willebrand因子と自己抗体の複合体-標識した抗ヒトIgG抗体の複合体が形成される。
イムノクロマト法において、添加する試料の量は数十μL〜数百μLである。試料は数倍から十数倍に希釈して用いてもよい。
イムノクロマト法は、4℃〜45℃、好ましくは20℃〜40℃、さらに好ましくは25℃〜38℃で行うことができ、試料添加から判定までの時間は、数分から十数分程度である。
イムノクロマト法で用いる固相支持体の材料は毛管現象により試料が吸収され展開流動し得るものであれば限定されない。例えば、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ナイロン、ポリエーテルスルホン、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ガラス繊維、ポリオレフィン、セルロース、ポリスチレン等の天然、合成ポリマー、又はこれらの混合物を用いることができる。固相支持体は好ましくは短冊状のストリップの形状を有する。
本発明のサンドイッチ法の測定原理を利用した免疫学的測定法によりvon Willebrand因子に対する遊離の自己抗体を測定するときに固相化に用いるvon Willebrand因子は、交叉反応が起こらない精製度の高いものを利用することが好ましく、特に組換えvon Willebrand因子を用いることが好ましい。また、von Willebrand因子の断片タンパク質を用いてもよい。さらに、von Willebrand因子は分子量の大きい球状の立体構造を有する巨大分子であるため、固相化するときは、βメルカプトエタノール(2-ME)あるいは2-ME及びSDS(Sodium dodecyl sulfate:ドデシル硫酸ナトリウム)で処理し、変性させタンパク質を伸展させ立体構造をとらない状態で固相化することが好ましい。
また、測定の際に測定系に増感剤を添加してもよい。増感剤としては、ポリエチレングリコールやポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ポリアミノ酸、アミノメタンスルホン酸誘導体等が挙げられる。
本発明の方法により、自己免疫性von Willebrand病(AVWD)疑い症例の血液において「抗von Willebrand因子自己抗体」を確実に検出することができる。本発明は、自己免疫性von Willebrand病(AVWD)を含む後天性von Willebrand症候群(AVWS)のポイント・オブ・ケア・テスト(臨床現場迅速試験)のために有用である。また、測定原理が共通であることから、遺伝性VWD症例における「抗von Willebrand因子同種抗体」の検出にも有用であると推測される。
すなわち、本発明は、自己免疫性von Willebrand病(AVWD)を含む後天性von Willebrand症候群(AVWS)の検出方法、あるいは自己免疫性von Willebrand病(AVWD)を含む後天性von Willebrand症候群(AVWS)の診断を行うための補助的データの取得方法を含む。さらに、本発明は、遺伝性VWD症例における「抗von Willebrand因子同種抗体」を検出する方法を含む。
本発明を以下の実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
後天性von Willebrand症候群(AVWS)はvon Willebrand病(VWD)様の病態を呈する比較的稀な出血性後天性凝固異常症である。その内、抗von Willebrand因子(VWF)自己抗体が原因である自己免疫性von Willebrand病(AVWD)は、本出願人らの調査により我が国でも7例が確認されているが、抗von Willebrand因子自己抗体を検出する測定法が存在しないため、より多数の症例が見逃されていると推定される。そこで、(1)ウエスタンブロット法で抗von Willebrand因子自己抗体を検出するための抗体、抗原を選別し、(2)ELISA法により抗von Willebrand因子自己抗体測定系を構築し、(3)抗von Willebrand因子自己抗体検出イムノクロマト法を開発した。
1. von Willebrand因子検出に対する感度と特異度の高い抗体の選抜
〔方法〕
von Willebrand因子抗原として血漿分画製剤コンファクトF(Astellas社)を用いて、抗体として抗von Willebrand因子モノクローナル抗体(Hoast: mouse, Species reactivity: human)10種類(図1−1の1〜10)に対して、抗原濃度と抗体を段階的に希釈して、ウエスタンブロット法にて最適な抗原と抗体検出の組み合わせを決定した。
図1−2にウエスタンブロット法の結果を示す。
SANTA CRUZ社SC-73268が感度、特異度の両面で最適であり、SANTA CRUZ社SC-53466が次善であることが判明した。
2. 疑似抗von Willebrand因子抗体血清の作成
抗von Willebrand因子抗体を正常プール血漿に混ぜた疑似検体を作製し、抗原を血漿分画製剤コンファクトF(治療用ヒトvon Willebrand因子+FVIII/8複合製剤)として、抗原を系列的希釈して(1μg/mL(図2A)、200ng/mL(図2B)、100ng/mL(図2C))検出感度をウエスタンブロット法で検討した。
反応性をウエスタンブロット法で検討すると、SANTA CRUZ社SC-73268添加血清が最も反応性がよく、コンファクトF 0.002 unitに対して血清中にvon Willebrand因子抗体100 ng/mLの存在まで検出可能であった(図2)。
3. ウエスタンブロット法による自己免疫性von Willebrand病(AVWD)の診断
機能的方法で抗von Willebrand因子自己抗体の存在が強く示唆された、自己免疫性von Willebarnd病(AVWD)疑い症例をウエスタンブロット法で解析した。
対象症例と凝固データは以下のとおりであった。
症例1
活性阻害抗体(+)
von Willebrand因子活性 <6%
von Willebrand因子抗原量 21%
1:1混合血漿活性阻害:有り(38.5%)
FVIII/8活性 22%

症例2
活性阻害抗体(−)(結合型抗体)
von Willebrand因子活性 25%
von Willebrand因子抗原量 45%
1:1混合血漿活性阻害:無し(3.5%)
FVIII/8活性39%
解析は以下の方法で行った。
抗原としては、von Willebrand因子(IHVWF-1656) 37.5〜75 ngを用いた。検体試料としては、患者血漿又は健常者(コントロール)血漿(x50)を用い、4℃、overnightでウエスタンブロット膜上で抗原抗体反応を行わせた。2次抗体として抗ヒトIgG-HRP(x4000)を用い、ウエスタンブロット法にて抗体を検出した。
症例1の患者において、血漿50倍希釈に対してvon Willebrand因子(IHVWF-1656)抗原37.5〜75 ngの反応系で症例自己抗体(中和型=活性阻害型)が判別できることが、ウエスタンブロット法で確認された(図3の枠内)。図3Aは患者血漿を用いた結果を示し、図3Bはコントロール血漿を用いた結果を示す。
症例2の患者において、血漿50倍希釈に対してvon Willebrand因子(IHvWF-1656) 抗原37.5〜75 ngの反応系で症例自己抗体(非中和型=結合型)が判別できることが、ウエスタンブロット法で確認された(図4の枠内)。図4Aは患者血漿を用いた結果を示し、図4Bはコントロール血漿を用いた結果を示す。
4. 抗von Willebrand因子自己抗体検出ELISA法
von Willebrand因子抗原を固相化してELISA法を構築した。von Willebrand因子抗原は処理を行わずにそのままマイクロプレートに固相化する方法とSDSやメルカプトエタノールを含む緩衝液で処理を行ったタンパクを固相化する方法の両方で評価を行った。
結果を図5に示す。von Willebrand因子抗原を未処理で固相化したプレートは陽性コントロールと陰性コントロールで差は見られたが、ブランクの値も高く、非特異反応が観測された(図5パターン1〜3)。
メルカプトエタノールで処理すると非特異反応は改善され、さらにSDSを加える事で特異性が増加した。いずれも、陽性コントロールと陰性コントロールで明確な差が得られた(図6パターン4及び5)。
5. 抗von Willebrand因子自己抗体検出イムノクロマト法
(1) 抗原塗布法
von Willebrand因子抗原をメンブレン側に固相化してイムノクロマト法用デバイスを試作した。前述したELISA測定系の結果から、自己抗体の検出にはvon Willebrand因子が球状の状態では無く、シェアストレスがかかり、タンパクが伸展している状態が検出に望ましいことが示唆されたので、抗原をそのまま塗布したもの(未処理)と、抗原を「SDS+2-メルカプトエタノール(βメルカプトエタノール)+煮沸」処理した(変性)後、固相化したイムノクロマト法を試作した。評価は抗FXIII/13-Aサブユニット自己抗体検出イムノクロマト法と同様の方法で検討を行った。10倍に希釈した検体を泳動し、その後洗浄液を泳動させ、最後に抗ヒトIgG抗体を感作した金コロイドを泳動させた。
結果を図7に示す。抗原変性ありの実験系でも抗原未処理の系でも、テストラインで金コロイドが凝集するような現象が見られ、明らかな差が認められなかった。一方、抗原未処理の系に増感剤を入れると陽性検体と陰性検体との差が大きくなり、抗体の検出が可能になった(直接法;検体未処理)。
(2)抗体塗布法
抗von Willebrand因子抗体(SANTA CRUZ社SC-73268)をメンブレン側に塗布してイムノクロマト法を試作した。抗原量を多く持つ症例の検体はそのまま(直接法)イムノクロマト法に使用し、抗原が少ない症例検体は予め健常対照の血漿と混合した後(混合法)に泳動した。評価は抗FXIII/13-Aサブユニット自己抗体検出イムノクロマト法と同様の方法で、10倍に希釈した検体を泳動し、その後洗浄液を泳動させ、最後に抗ヒトIgG抗体を感作した金コロイドを泳動させた。
結果を図8に示す。抗原が少ない症例検体を予め健常対照の血漿と混合した後、イムノクロマトストリップに泳動する測定系では、増感剤を入れると陽性検体と陰性検体との差が大きくなり、免疫複合体が検出可能となった(混合法;検体未処理)。
本発明の方法により、自己免疫性von Willebrand病(AVWD)疑い症例の血液において「抗von Willebrand因子自己抗体」を確実に検出することができる。

Claims (12)

  1. 血液試料中のvon Willebrand因子に対する遊離の自己抗体を検出する方法であって、von Willebrand因子を固相化した支持体に試料及び標識した抗ヒトIgG抗体を添加し、支持体上でvon Willebrand因子-von Willebrand因子に対する自己抗体-標識した抗ヒトIgG抗体の複合体を形成させ、標識した抗ヒトIgG抗体からのシグナルを検出することを含む、方法。
  2. 支持体に固相化されたvon Willebrand因子がβメルカプトエタノール及びドデシル硫酸ナトリウムで変性処理されたものである、請求項1記載の方法。
  3. 血液試料中のvon Willebrand因子と複合体を形成したvon Willebrand因子に対する自己抗体を検出する方法であって、抗von Willebrand因子抗体を固相化した支持体に試料及び標識した抗ヒトIgG抗体を添加し、支持体上で抗von Willebrand因子抗体-von Willebrand因子とvon Willebrand因子に対する自己抗体の複合体-標識した抗ヒトIgG抗体の複合体を形成させ、標識した抗ヒトIgG抗体からのシグナルを検出することを含む、方法。
  4. ウエスタンブロット法、ELISA法及びイムノクロマト法からなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 後天性von Willebrand症候群(AVWS)の検出のための補助的データを取得するための方法である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 後天性von Willebrand症候群(AVWS)が自己免疫性von Willebrand病(AVWD)である、請求項5記載の方法。
  7. von Willebrand因子を固相化した支持体及び標識した抗ヒトIgG抗体を含み、支持体上でvon Willebrand因子-von Willebrand因子に対する自己抗体-標識した抗ヒトIgG抗体の複合体を形成させ、標識した抗ヒトIgG抗体からのシグナルを検出することにより血液試料中のvon Willebrand因子に対する遊離の自己抗体を検出するためのキット。
  8. 支持体に固相化されたvon Willebrand因子がβメルカプトエタノール及びドデシル硫酸ナトリウムで変性処理されたものである、請求項7記載のキット。
  9. 抗von Willebrand因子抗体を固相化した支持体及び標識した抗ヒトIgG抗体を含み、支持体上で抗von Willebrand因子抗体-von Willebrand因子とvon Willebrand因子に対する自己抗体の複合体-標識した抗ヒトIgG抗体の複合体を形成させ、標識した抗ヒトIgG抗体からのシグナルを検出することにより血液試料中のvon Willebrand因子と複合体を形成したvon Willebrand因子に対する自己抗体を検出するためのキット。
  10. ウエスタンブロット法用キット、ELISA法用キット及びイムノクロマト法用キットからなる群から選択される、請求項7〜9のいずれか1項に記載のキット。
  11. 後天性von Willebrand症候群(AVWS)の検出のための補助的データを取得するためのキットである、請求項7〜10のいずれか1項に記載のキット。
  12. 後天性von Willebrand症候群(AVWS)が自己免疫性von Willebrand病(AVWD)である、請求項11記載のキット。
JP2016000247A 2016-01-04 2016-01-04 抗vonWillebrand因子(VWF)抗体検出法 Pending JP2017122586A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016000247A JP2017122586A (ja) 2016-01-04 2016-01-04 抗vonWillebrand因子(VWF)抗体検出法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016000247A JP2017122586A (ja) 2016-01-04 2016-01-04 抗vonWillebrand因子(VWF)抗体検出法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2017122586A true JP2017122586A (ja) 2017-07-13

Family

ID=59306577

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016000247A Pending JP2017122586A (ja) 2016-01-04 2016-01-04 抗vonWillebrand因子(VWF)抗体検出法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2017122586A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101975178B1 (ko) 측방 유동 및 관련된 면역검정에서의 신호 증폭
JP4619372B2 (ja) 改良された対照区画を有する免疫学的試験素子
US7300750B2 (en) Analyte assay device with preabsorbing zone
Ernst et al. Technical considerations to development of serological tests for SARS-CoV-2
JP5753942B2 (ja) 赤血球含有サンプル中の対象物を検出するためのイムノクロマトグラフィー用テストストリップおよびイムノクロマトグラフィーを利用した検出方法
KR20120017884A (ko) 자성입자의 항체고정화 방법 및 이를 이용해 제조되는 진단스트립, 진단키트
JP7496582B2 (ja) SARS-CoV-2の検出キットおよびSARS-CoV-2の検出方法
CN105785041A (zh) 用于定量检测钙卫蛋白的试纸条及其制备方法和钙卫蛋白浓度的测定方法
CN105988008A (zh) 测定装置、试剂盒及方法
Ma et al. The role of antibody-based troponin detection in cardiovascular disease: A critical assessment
KR101794403B1 (ko) 쇼그렌증후군 특이적 항체반응 검사를 이용한 쇼그렌증후군 진단방법
JP5723484B2 (ja) 赤血球含有サンプル中の対象物を検出するためのイムノクロマトグラフィー用テストストリップおよびイムノクロマトグラフィーを利用した検出方法
JPS63127160A (ja) 特異的蛋白質の検出方法
JPH11133023A (ja) 尿試料を使用する免疫クロマトグラフィー検定の尿素の影響を減らすための配合物
JP7216949B1 (ja) 等電点9.5以上のタンパク質の免疫測定方法及びそれに用いる検体希釈液、並びにイムノクロマトグラフィーキット
KR20190059089A (ko) 측방유동 면역 분석 기반의 항ccp 항체 및 류마티스인자를 이용한 류마티스 관절염 진단 방법
JP2011095014A (ja) 免疫学的測定方法及び免疫学的測定キット
KR20220063139A (ko) 항체의 항원 결합 부위에 결합하는 펩티드 및 이를 이용한 분석 방법
CN116413445A (zh) 一种检测总甲状腺素含量的检测卡、试剂盒及其检测方法
JP2017122586A (ja) 抗vonWillebrand因子(VWF)抗体検出法
JP5500423B2 (ja) アレルギー検査方法
GB2217335A (en) Compositions for isolation and immobilisation of C-reactive protein in body liquids
WO2018030270A1 (ja) 川崎病の検査方法および試験片
CN110988356A (zh) C-反应蛋白快速定量免疫层析试纸及其制备方法
JP2018165694A (ja) 抗第XIII/13因子Aサブユニットに対するIgM又はIgA型抗体検出法