JP2017119907A - ペロブスカイト膜の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】光電変換素に有用な良質なペロブスカイト構造を有するペロブスカイト膜を、簡便且つ容易に、工業的有利に製造する方法の提供。【解決手段】ペロブスカイト構造体の前駆体溶液を霧化又は液滴化し、得られたミスト4b又は液滴をキャリアガス2で成膜室内に設置されている基体10まで搬送し、ついでミスト4b又は液滴を熱反応させて基体10上にペロブスカイト構造体を成膜する方法。そして、得られたペロブスカイト膜を光電変換素子に適用する方法。【選択図】図1

Description

本発明は、光電変換素子に有用なペロブスカイト膜の製造方法に関する。
ペロブスカイト構造を有するペロブスカイト型複合酸化物は、様々な物性を示すことから、幅広い分野で利用および研究されている。このようなペロブスカイト型複合酸化物は、例えば、酸化物イオン伝導等の陰イオン伝導、リチウムイオン伝導等の陽イオン伝導、プロトン伝導、電子伝導、強誘電性、強磁性または高温超伝導等の物性を示す。
ペロブスカイト型複合酸化物の製造方法としては、特許文献1に記載のとおり、鉛系強誘電体膜を形成する技術として、物理気相成長法、化学気相成長法、ゾル−ゲル法、MOD法等が挙げられており、さらに、ミストCVD法も例として挙げられている。しかしながら、特許文献1にも記載されているとおり、これら手法により、基板上に形成された膜は、熱処理しなければならず、特に正方晶系ペロブスカイト構造とするためには、600℃〜800℃で結晶化アニールを施す必要がある。また、正方晶ペロブスカイト膜をミストCVDで製造した例はなく、特許文献1記載のミストCVD法は、最近になってα−Ga系半導体の製法として検討されているミストCVD法とは異なり、ミスト化した原料溶液を基板上に塗布した後、熱処理する方法である。
また、特許文献2には、ペロブスカイト型複合酸化物の製造方法として、スピン塗布法、化学気相成長(CVD)法、スパッタ法などが挙げられ、さらに、ミスト化した強誘電体材料溶液を基板上に塗布し、熱処理するミストCVD法も例として挙げられている。しかしながら、特許文献2にも記載されているとおり、これらの方法により、堆積して得たペロブスカイト型複合酸化物は、そのままでは実用に足る特性を示さないため、アニール処理して結晶化する必要がある。そして、アニール処理した場合、界面において反応が起こったり、薄膜構成原子が拡散あるいは離脱したり、薄膜構成原子の酸素が離脱したりするなどして、ペロブスカイト構造の特性が劣化するという問題がある。そこで、特許文献2では、アニールの代わりに、連続発振レーザービームを照射することが検討されている。しかしながら、このようなレーザを照射する方法も、酸化物層に照射されたレーザの熱が、酸化物層の下に配置されたベース層を介して逃げやすいため、酸化物層の温度を選択的に十分に高めることが困難であり、酸化物が十分に結晶化されなかったり、ベース層が酸化されたりするという問題があった。また、ペロブスカイト膜をミストCVDで実際に製造したとの例はない。そして、ミスト化した原料溶液を基板上に塗布し、熱処理する方法がミストCVD法として特許文献2に記載されているとおり、最近になってα−Ga系半導体の製法として検討されているミストCVD法とは異なる。
特開平10−172348号公報 国際公開第2008/004571号
本発明は、良質なペロブスカイト構造を有するペロブスカイト膜を工業的有利に製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、ペロブスカイト構造体の前駆体溶液を霧化または液滴化し、得られたミストまたは液滴をキャリアガスで基体まで搬送し、ついで、前記ミストまたは液滴を熱反応させて前記基体上に前記ペロブスカイト構造体を成膜すれば、アニール処理をしなくても、良質なペロブスカイト構造を有するペロブスカイト膜を容易に形成できることを知見し、さらに、このような方法が大気圧下で実現可能であり、得られたペロブスカイト膜が、良好な物性を有していること等も知見し、このような製造方法が上記した従来の問題を一挙に解決できるものであることを見出した。
また、本発明者らは、上記知見を得た後、さらに検討を重ねて、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下の発明に関する。
[1] ペロブスカイト構造体の前駆体溶液を霧化または液滴化し、得られたミストまたは液滴をキャリアガスで基体まで搬送し、ついで前記ミストまたは液滴を熱反応させて前記基体上に前記ペロブスカイト構造体を成膜することを特徴とするペロブスカイト膜の製造方法。
[2] 前駆体溶液が有機金属ハロゲン化物を含む前記[1]記載の製造方法。
[3] 前駆体溶液がアンモニウム化合物を含む前記[1]または[2]に記載の製造方法。
[4] 前駆体溶液の溶媒が有機溶媒である前記[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5] 有機溶媒が、非プロトン性溶媒である前記[4]記載の製造方法。
[6] 有機溶媒が、下記式(1)で表される前記[4]または[5]に記載の製造方法。
(式中、RおよびRは、それぞれ同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子または置換基を有していてもよい炭化水素基または置換基を有していてもよい複素環基を表し、RおよびRが結合して環を形成してもよい。)
[7] 有機溶媒が、下記式(2)で表される前記[4]または[5]に記載の製造方法。
(式中、R、RおよびRは、それぞれ同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子または置換基を有していてもよい炭化水素基または置換基を有していてもよい複素環基を表し、R、RおよびRから選ばれる任意の2つの基が結合して環を形成してもよい。)
[8] 熱反応を、250℃以下の温度で行う前記[1]〜[7]のいずれかに記載の製造方法。
[9] 基体が、ガラス基板である前記[1]〜[8]のいずれかに記載の製造方法。
[10] 基体がスズドープ酸化インジウム膜またはフッ素ドープ酸化インジウム膜を含む前記[1]〜[9]のいずれかに記載の製造方法。
[11] 基体がチタニア膜を含む前記[1]〜[10]のいずれかに記載の製造方法。
[12] 前記[1]〜[11]のいずれかに記載の製造方法を用いて製造されたペロブスカイト膜。
[13] 前記[12]記載のペロブスカイト膜を含む光電変換素子。
本発明の製造方法によれば、良質なペロブスカイト膜が工業的有利に得られる。
実施例において用いた成膜装置(ミストCVD)の概略構成図である。 実施例におけるXRDの結果を示す図である。 実施例におけるSEM観察の結果を示す図である。(a)は250倍のSEM像であり、(b)は1000倍のSEM像であり、(c)は5000倍のSEM像である。 実施例におけるXRDの結果を示す図である。 実施例におけるXRDの結果を示す図である。 実施例におけるXRDの結果を示す図である。
本発明のペロブスカイト膜の製造方法は、ペロブスカイト構造体の前駆体溶液(以下、「原料溶液」ともいう)を霧化または液滴化し(霧化・液滴化工程)、得られたミストまたは液滴をキャリアガスで基体まで搬送し(ミスト搬送工程)、ついで前記ミストまたは液滴を熱反応させて前記基体上に前記ペロブスカイト構造体を成膜すること(成膜工程)を特長とする。
(霧化・液滴化工程)
霧化・液滴化工程は、原料溶液を霧化または液滴化する。霧化手段または液滴化手段は、原料溶液を霧化または液滴化できさえすれば特に限定されず、公知の手段であってよいが、本発明においては、超音波を用いる霧化手段または液滴化手段が好ましい。超音波を用いて得られたミストまたは液滴は、初速度がゼロであり、空中に浮遊するので好ましく、例えば、スプレーのように吹き付けるのではなく、空間に浮遊してガスとして搬送することが可能なミストであるので衝突エネルギーによる損傷がないため、非常に好適である。液滴サイズは、特に限定されず、数mm程度の液滴であってもよいが、好ましくは50μm以下であり、より好ましくは100nm〜10μmである。
(原料溶液)
前記原料溶液は、ペロブスカイト構造体の前駆体溶液であり、霧化または液滴化が可能であれば特に限定されず、無機材料を含んでいてもよいし、有機材料を含んでいてもよい。また、前記原料溶液は、無機材料および有機材料の両方の材料を含んでいてもよい。また、前記ペロブスカイト構造体は、ペロブスカイト構造を有していれば特に限定されず、公知のものであってよい。無機材料からなるものであってもよいし、有機材料からなるものであってもよいが、本発明においては、前記ペロブスカイト構造体が有機無機複合材料からなるのが好ましい。前記有機無機複合材料としては、例えば、下記式(I)または下記式(II)で表される化合物などが挙げられる。
CHNH ・・・(I)
(式中、Mは2価の金属イオンであり、Xは、F、Cl、BrまたはIである。)
(RNH ・・・(II)
(式中、Rは炭素数2以上のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、複素環基または芳香族複素環基であり、Mは2価の金属イオンであり、Xは、F、Cl、BrまたはIである。)
本発明においては、前記有機無機複合材料が、置換アンモニウム鉛ハロゲン化物であるのが好ましい。前記置換アンモニウム鉛ハロゲン化物としては、例えば、(CHNH)PbI(メチルアンモニウム鉛ヨウ化物)、(CNHPbI(フェネチルアンモニウム鉛ヨウ化物)、(C10CHNHPbI(ナフチルメチルアンモニウム鉛ヨウ化物)及び(C13NHPbI(ヘキシルアンモニウム鉛ヨウ化物)などが挙げられ、ペロブスカイト構造の形成の可否、分子内の対称性、誘電率、双極子モーメント等の観点から、(CHNH)PbI(メチルアンモニウム鉛ヨウ化物)が好ましい。上記置換アンモニウム鉛ハロゲン化物は1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記原料溶液は、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されず、公知のものであってもよいが、本発明においては、前記原料溶液が前記有機無機複合材料の溶液であるのが好ましい。有機無機複合材料の溶媒は、特に限定されず、有機溶媒であってもよいし、無機溶媒であってもよいが、該溶媒が、有機溶媒であるのが好ましく、非プロトン性溶媒であるのがより好ましく、下記式(1)または式(2)で表される溶媒であるのが最も好ましい。
(式中、RおよびRは、それぞれ同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子または置換基を有していてもよい炭化水素基または置換基を有していてもよい複素環基を表し、RおよびRが結合して環を形成してもよい。)
(式中、R、RおよびRは、それぞれ同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子または置換基を有していてもよい炭化水素基または置換基を有していてもよい複素環基を表し、R、RおよびRから選ばれる任意の2つの基が結合して環を形成してもよい。)
「ハロゲン原子」としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子などが挙げられる。
本発明における「置換基」としては、例えば、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、ハロゲン原子、ハロゲン化炭化水素基、−OR1a(R1aは水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基又は置換基を有していてもよい複素環基を示す。)、−SR1b(R1bは水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基又は置換基を有していてもよい複素環基を示す。)、置換基を有していてもよいアシル基、置換基を有していてもよいアシルオキシ基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアルキレンジオキシ基、ニトロ基、アミノ基、置換アミノ基、シアノ基、スルホ基、置換シリル基、水酸基、カルボキシ基、置換基を有していてもよいアルコキシチオカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシチオカルボニル基、置換基を有していてもよいアルキルチオカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールチオカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、置換ホスフィノ基、アミノスルホニル基、アルコキシスルホニル基又はオキソ基等が挙げられる。
「炭化水素基」としては、炭化水素基及び置換炭化水素基が挙げられる。炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アリール基又はアラルキル基等が挙げられる。
アルキル基としては、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状アルキル基が好ましい。アルキル基の具体例としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、2−プロピル、n−ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、tert−ブチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、1−エチルプロピル、tert−ペンチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、2,2−ジメチルプロピル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、1−エチルブチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、2−メチルペンタン−3−イル、3,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシル等が挙げられる。アルキル基は、中でも炭素数1〜10のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜6のアルキル基が更に好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がとりわけ好ましい。
アリール基としては、炭素数6〜20のアリール基が好ましい。アリール基の具体例としては、フェニル、インデニル、ペンタレニル、ナフチル、アズレニル、フルオレニル、フェナントレニル、アントラセニル、アセナフチレニル、ビフェニレニル、ナフタセニル又はピレニル等が挙げられる。アリール基は、中でも炭素数6〜14のアリール基がより好ましい。
アラルキル基としては、炭素数7〜20のアラルキル基が好ましい。該アラルキル基の具体例としては、ベンジル、フェネチル、1−フェニルプロピル、2−フェニルプロピル、3−フェニルプロピル、1−フェニルブチル、2−フェニルブチル、3−フェニルブチル、4−フェニルブチル、1−フェニルペンチルブチル、2−フェニルペンチルブチル、3−フェニルペンチルブチル、4−フェニルペンチルブチル、5−フェニルペンチルブチル、1−フェニルヘキシルブチル、2−フェニルヘキシルブチル、3−フェニルヘキシルブチル、4−フェニルヘキシルブチル、5−フェニルヘキシルブチル、6−フェニルヘキシルブチル、1−フェニルヘプチル、1−フェニルオクチル、1−フェニルノニル、1−フェニルデシル、1−フェニルウンデシル、1−フェニルドデシル、1−フェニルトリデシル又は1−フェニルテトラデシル等が挙げられる。アラルキル基は、中でも炭素数7〜12のアラルキル基がより好ましい。
「炭化水素基」が有していてもよい置換基は、前記した「置換基」などが挙げられる。置換炭化水素基の好ましい具体例としては、例えばトリフルオロメチル、メトキシメチル等の置換アルキル基、トリル(例えば4−メチルフェニル)、キシリル(例えば3,5−ジメチルフェニル)、4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニル又は4−メトキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル等の置換アリール基又は置換アラルキル基等が挙げられる。
「置換基を有していてもよい複素環基」としては、複素環基及び置換複素環基が挙げられる。複素環基としては、脂肪族複素環基及び芳香族複素環基が挙げられる。
脂肪族複素環基としては、例えば、炭素数2〜14で、異種原子として少なくとも1個、好ましくは1〜3個の例えば窒素原子、酸素原子及び/又は硫黄原子等のヘテロ原子を含んでいる、3〜8員、好ましくは5又は6員の単環、多環又は縮合環の脂肪族複素環基が挙げられる。脂肪族複素環基の具体例としては、例えば、ピロリジル−2−オン基、ピペリジル基、ピペリジノ基、ピペラジニル基、モルホリノ基、モルホリニル基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロピラニル基、チオラニル基又はスクシンイミジル基等が挙げられる。
芳香族複素環基としては、例えば、炭素数2〜15で、異種原子として少なくとも1個、好ましくは1〜3個の窒素原子、酸素原子及び/又は硫黄原子等の異種原子を含んでいる、3〜8員、好ましくは5又は6員の単環式、多環式又は縮合環式の複素環基等が挙げられ、その具体例としては、例えば、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、フラザニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾ〔b〕チエニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、1,2−ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾピラニル、1,2−ベンゾイソチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、ブテリジニル、カルバゾリル、α−カルボリニル、β−カルボリニル、γ−カルボリニル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、インドリジニル、ピロロ〔1,2−b〕ピリダジニル、ピラゾロ〔1,5−a〕ピリジル、イミダゾ〔1,2−a〕ピリジル、イミダゾ〔1,5−a〕ピリジル、イミダゾ〔1,2−b〕ピリダジニル、イミダゾ〔1,2−a〕ピリミジニル、1,2,4−トリアゾロ〔4,3−a〕ピリジル、1,2,4−トリアゾロ〔4,3−b〕ピリダジニル、ベンゾ〔1,2,5〕チアジアゾリル、ベンゾ〔1,2,5〕オキサジアゾリル又はフタルイミノ基等が挙げられる。
「複素環基」が有していてもよい置換基としては、前記した「置換基」などが挙げられる。
本発明においては、前記式(1)において、RとRとが縮合して環を形成するのが好ましく、また、前記式(2)において、R、RおよびRから選ばれる任意の2つの基が結合して環を形成するのも好ましい。RとRとが縮合して形成される環、またはR、RおよびRから選ばれる任意の2つの基が結合して形成される環としては、例えば、1〜3個の酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を環の構成原子として含んでいてもよい5〜20員環などが挙げられる。形成される好ましい環としては、例えば、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、シクロデカン環、シクロドデカン環、シクロテトラデカン環、シクロペンタデカン環、シクロヘキサデカン環又はシクロヘプタデカン環等の単環;ジヒドロナフタレン環、インデン環、インダン環、ジヒドロキノリン環又はジヒドロイソキノリン環等の縮合環などが挙げられ、これらの環は、通常、1または2個のヘテロ原子(例えば、酸素原子、窒素原子または硫黄原子等)を含んでいる。また、これらの環は、炭化水素基、複素環基、アルコキシ基又は置換アミノ基等で置換されていてもよい。炭化水素基、複素環基の具体例としては、前記の炭化水素基、複素環基に記載したものなどが挙げられる。
前記アルコキシ基としては、直鎖状でも分岐状でも或いは環状でもよい、例えば炭素数1〜6のアルコキシ基が挙げられ、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、2−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、2−メチルブトキシ基、3−メチルブトキシ基、2,2−ジメチルプロピルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、2−メチルペンチルオキシ基、3−メチルペンチルオキシ基、4−メチルペンチルオキシ基、5−メチルペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、メトキシメトキシ基、2−エトキシエトキシ基等が挙げられる。
置換アミノ基としては、アミノ基の1個または2個の水素原子が置換基で置換されたアミノ基などが挙げられる。置換アミノ基の置換基の具体例としては、例えば、炭化水素基(例えば、アルキル基等)、アリール基、アラルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基またはアラルキルオキシカルボニル基などが挙げられる。アルキル基で置換されたアミノ基、すなわちアルキル基置換アミノ基の具体例としては、例えば、N−メチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−ジイソプロピルアミノ基、N−メチル−N−イソプロピルアミノ基またはN−シクロヘキシルアミノ基のモノまたはジアルキルアミノ基などが挙げられる。アリール基で置換されたアミノ基、すなわちアリール基置換アミノ基の具体例としては、例えば、N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N−ナフチルアミノ器、N−メチル−N−フェニルアミノ基又はN−ナフチル−N−フェニルアミノ基等のモノまたはジアリールアミノ基などが挙げられる。アラルキル基で置換されたアミノ基、即ちアラルキル基置換アミノ基の具体例としては、例えば、N−ベンジルアミノ基又はN,N−ジベンジルアミノ基等のモノ又はジアラルキルアミノ基が挙げられる。また、N−ベンジル−N−メチルアミノ基等のジ置換アミノ基が挙げられる。アシル基で置換されたアミノ基、即ちアシルアミノ基の具体例としては、例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ペンタノイルアミノ基、ヘキサノイルアミノ基又はベンゾイルアミノ基等が挙げられる。アルコキシカルボニル基で置換されたアミノ基、即ちアルコキシカルボニルアミノ基の具体例としては、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、n−プロポキシカルボニルアミノ基、n−ブトキシカルボニルアミノ基、tert−ブトキシカルボニルアミノ基、ペンチルオキシカルボニルアミノ基又はヘキシルオキシカルボニルアミノ基等が挙げられる。アリールオキシカルボニル基で置換されたアミノ基、即ちアリールオキシカルボニルアミノ基の具体例としては、アミノ基の1個の水素原子が前記したアリールオキシカルボニル基で置換されたアミノ基が挙げられ、その具体例として、例えば、フェノキシカルボニルアミノ基又はナフチルオキシカルボニルアミノ基等が挙げられる。アラルキルオキシカルボニル基で置換されたアミノ基、即ちアラルキルオキシカルボニルアミノ基の具体例としては、例えば、ベンジルオキシカルボニルアミノ基等が挙げられる。
なお、本発明においては、前記有機溶媒が、式(1)で表される溶媒であるのが好ましく、脂肪族環状エステルであるのがより好ましい。前記脂肪族環状エステルとしては、例えば、ラクチド、グリコリド、ε−カプロラクトン、p−ジオキサノン、炭酸トリメチレン、炭酸トリメチレンのアルキル誘導体、γ−バレロラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、ε−デカラクトン、ヒドロキシバレレート、ピバロラクトン、α,α−ジエチルプロピオラクトン、炭酸エチレン、シュウ酸エチレンなどが挙げられる。
本発明においては、前記原料溶液が有機金属ハロゲン化物を含むのが好ましく、また、前記原料溶液が、アンモニウム化合物を含むのも好ましい。このような好ましい有機金属ハロゲン化物やアンモニウム化合物としては、例えば上記式(I)または上記式(II)で表される化合物などが挙げられる。なお、本発明においては、前記原料溶液として、錯体または塩の形態で有機溶媒または水などの無機溶媒に溶解または分散させたものを好適に用いることができる。錯体の形態としては、例えば、アセチルアセトナート錯体、カルボニル錯体、アンミン錯体、ヒドリド錯体などが挙げられる。塩の形態としては、例えば、有機金属塩(例えば金属酢酸塩、金属シュウ酸塩、金属クエン酸塩等)、硫化金属塩、硝化金属塩、リン酸化金属塩、ハロゲン化金属塩(例えば塩化金属塩、臭化金属塩、ヨウ化金属塩等)などが挙げられる。
また、前記原料溶液には、ハロゲン化水素酸や酸化剤等の添加剤を混合してもよい。前記ハロゲン化水素酸としては、例えば、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸などが挙げられるが、中でも、臭化水素酸またはヨウ化水素酸が好ましい。前記酸化剤としては、例えば、過酸化水素(H)、過酸化ナトリウム(Na)、過酸化バリウム(BaO)、過酸化ベンゾイル(CCO)等の過酸化物、次亜塩素酸(HClO)、過塩素酸、硝酸、オゾン水、過酢酸やニトロベンゼン等の有機過酸化物などが挙げられるが、中でも、過酸化水素が好ましい。
(搬送工程)
搬送工程では、キャリアガスでもって前記ミストまたは前記液滴を成膜室内に設置されている基体まで搬送する。前記キャリアガスとしては、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されず、例えば、酸素、オゾン、窒素やアルゴン等の不活性ガス、または水素ガスやフォーミングガス等の還元ガスなどが好適な例として挙げられる。また、キャリアガスの種類は1種類であってよいが、2種類以上であってもよく、流量を下げた希釈ガス(例えば10倍希釈ガス等)などを、第2のキャリアガスとしてさらに用いてもよい。また、キャリアガスの供給箇所も1箇所だけでなく、2箇所以上あってもよい。キャリアガスの流量は、特に限定されないが、0.01〜20L/分であるのが好ましく、1〜10L/分であるのがより好ましい。希釈ガスの場合には、希釈ガスの流量が、0.001〜2L/分であるのが好ましく、0.1〜1L/分であるのがより好ましい。
(成膜工程)
成膜工程では、基体上で前記ミストまたは液滴を熱反応させることによって、基体上に、ペロブスカイト構造体を成膜する。熱反応は、熱でもって前記ミストまたは液滴が反応すればそれでよく、反応条件等も本発明の目的を阻害しない限り特に限定されない。本工程においては、前記熱反応を、通常、溶媒の蒸発温度以上の温度で行うが、高すぎない温度(例えば500℃)以下が好ましく、250℃以下がより好ましく、150℃以下が最も好ましい。下限については、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されないが、100℃以上が好ましく、110℃以上がより好ましい。また、熱反応は、本発明の目的を阻害しない限り、真空下、非酸素雰囲気下、還元ガス雰囲気下および酸素雰囲気下のいずれの雰囲気下で行われてもよいが、非酸素雰囲気下または酸素雰囲気下で行われるのが好ましい。また、大気圧下、加圧下および減圧下のいずれの条件下で行われてもよいが、本発明においては、大気圧下で行われるのが好ましい。なお、膜厚は、成膜時間を調整することにより、設定することができる。
(基体)
前記基体は、前記ペロブスカイト膜を支持できるものであれば特に限定されない。前記基体の材料も、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されず、公知の基体であってよく、有機化合物であってもよいし、無機化合物であってもよい。多孔質構造体であってもよい。前記基体の形状としては、どのような形状のものであってもよく、あらゆる形状に対して有効であり、例えば、平板や円板等の板状、繊維状、棒状、円柱状、角柱状、筒状、螺旋状、球状、リング状などが挙げられるが、本発明においては、基板が好ましい。基板の厚さは、本発明においては特に限定されないが、0.5μm〜100mmが好ましく、1μm〜10mmがより好ましい。
前記基板は、板状であって、前記ペロブスカイト膜の支持体となるものであれば特に限定されない。絶縁体基板であってもよいし、半導体基板であってもよいし、金属基板や導電性基板であってもよい。また、これらの表面の一部または全部の上に、金属膜、半導体膜、導電性膜および絶縁性膜の少なくとも1種の膜が形成されているものも、前記基板として好適に用いることができる。本発明においては、前記基板が、ガラス基板であるのが好ましく、また、金属膜、半導体膜、導電性膜および絶縁性膜の少なくとも1種の膜を表面に有するガラス基板であるのがより好ましい。前記金属膜の構成金属としては、例えば、ガリウム、鉄、インジウム、アルミニウム、バナジウム、チタン、クロム、ロジウム、ニッケル、コバルト、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、シリコン、イットリウム、ストロンチウムおよびバリウムから選ばれる1種または2種以上の金属などが挙げられる。半導体膜の構成材料としては、例えば、シリコン、ゲルマニウムのような元素単体、周期表の第3族〜第5族、第13族〜第15族の元素を有する化合物、金属酸化物、金属硫化物、金属セレン化物、または金属窒化物等が挙げられる。また、前記導電性膜の構成材料としては、例えば、スズドープ酸化インジウム(ITO)、フッ素ドープ酸化インジウム(FTO)、酸化亜鉛(ZnO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)、酸化スズ(SnO)、酸化インジウム(In)、酸化タングステン(WO)などが挙げられるが、本発明においては、導電性酸化物からなる導電性膜であるのが好ましく、スズドープ酸化インジウム(ITO)膜であるのがより好ましい。前記絶縁性膜の構成材料としては、例えば、酸化アルミニウム(Al)、酸化チタン(TiO)、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(Si)、酸窒化シリコン(Si)などが挙げられるが、絶縁性酸化物からなる絶縁性膜であるのが好ましく、チタニア膜であるのがより好ましい。
なお、金属膜、半導体膜、導電性膜および絶縁性膜の形成手段は、特に限定されず、公知の手段であってよい。このような形成手段としては、例えば、ミストCVD法、スパッタ法、CVD法(気相成長法)、SPD法(スプレー熱分解堆積法)、蒸着法、ALD(原子層堆積)法、塗布法(例えばディッピング、滴下、ドクターブレード、インクジェット、スピンコート、刷毛塗り、スプレー塗装、ロールコーター、エアーナイフコート、カーテンコート、ワイヤーバーコート、グラビアコート、インクジェット塗布等)などが挙げられる。
本発明においては、前記基板上に、前記導電性膜または前記絶縁性膜が形成されているのが好ましく、前記基板上に、前記導電性膜が形成され、さらに前記導電性膜上に、前記絶縁性膜が形成されているのがより好ましい。また、本発明においては、前記基体が、スズドープ酸化インジウム膜またはチタニア膜を含むのが好ましく、スズドープ酸化インジウム膜およびチタニア膜を含むのがより好ましい。
また、本発明においては、前記基体上に、直接、ペロブスカイト膜を設けてもよいし、バッファ層(緩衝層)や応力緩和層等の他の層を介してペロブスカイト膜を設けてもよい。バッファ層(緩衝層)や応力緩和層等の他の層の形成手段は、特に限定されず、公知の手段であってよいが、本発明においては、ミストCVD法が好ましい。
上記のようにして、ペロブスカイト膜を製造することで、アニール処理を行うことなく、簡便かつ容易に良質なペロブスカイト構造を有するペロブスカイト膜を得ることができる。また、得られるペロブスカイト膜の膜厚も、成膜時間を調整することにより、容易に調整することができる。
前記ペロブスカイト膜は、光電変換素子等に有用である。本発明においては、例えば前記ペロブスカイト膜を光電変換素子等に用いる場合、前記ペロブスカイト膜を、前記基体等から剥離する等の公知の手段を用いた後に、光電変換素子等に用いてもよいし、そのまま、光電変換素子等に用いてもよい。
以下、前記ペロブスカイト膜を光電変換素子に用いた場合の好適な例を説明する。
前記ペロブスカイト膜を光電変換素子に用いる場合には、前記ペロブスカイト薄膜の製造方法において、前記基体が、透明基板であるのが好ましく、表面に電極が形成された透明導電性基板であるのがより好ましい。前記透明基板は、JIS K 7361−1:1997に従い測定される光透過率が、10%以上であるのが好ましく、50%以上であるのがより好ましく、80〜100%であるのが最も好ましい。
前記透明基板は、剛性基板(例えばガラス基板やアクリル基板など)および可撓性基板(例えば、フィルム基板など)のいずれも好適に用いられる。剛性基板は、耐熱性の点でガラス基板が好ましく、ガラスの種類などは特に限定されない。
可撓性基板としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、変性ポリエステル等のポリエステル系樹脂フィルム、ポリエチレン(PE)樹脂フィルム、ポリプロピレン(PP)樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン類樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂フィルム、ポリビニルブチラール(PVB)等のポリビニルアセタール樹脂フィルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂フィルム、ポリサルホン(PSF)樹脂フィルム、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂フィルム、ポリカーボネート(PC)樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂フィルム等を挙げることができる。これらの樹脂フィルムの他に無機ガラスフィルムを基板として用いてもよい。また、可撓性基板として、例えばカーボンナノファイバー、セルロースナノファイバー、シクロデキストリンナノファイバーなどのナノファイバーも好適に用いることができる。
また、前記ペロブスカイト膜を光電変換素子に用いる場合には、前記透明基板上に、第一電極、電子輸送層、半導体およびペロブスカイト構造を有する光電変換層、正孔輸送層ならびに第二電極を設けることにより、光電変換素子を製造することができる。
第一電極は、通常、前記透明基板と光電変換層との間に配置され、透明基板の光入射方向に対して反対側となる一方の面上に設けられるが、本発明においては、特に限定されない。第一電極としては、その光透過率が60%以上のものが好ましく、80%以上のものがより好ましく、90%〜100%のものが最も好ましい。なお、光透過率は、上記透明基板の説明の記載と同様のものである。
第一電極を形成する材料は、特に制限されず、公知の材料であってよい。例えば、白金、金、銀、銅、マグネシウム、アルミニウム、ロジウム、インジウム等の金属またはこれらの合金、SnO、CdO、ZnO、CTO系(CdSnO、CdSnO、CdSnO)、In、CdIn等の金属酸化物などが挙げられる。これらのうち、金属として好ましくは、金、銀もしくはマグネシウムまたはこれらの合金が挙げられ、光透過性を持たせるために、開口部を持つグリッドパターニングされた膜、あるいは微粒子やナノワイヤーを分散し塗布した膜が好ましく用いられる。また、金属酸化物として好ましくは、前記において例示した金属酸化物に、Sn、Sb、FおよびAlから選ばれる1種または2種以上を添加した複合(ドープ)材料が挙げられる。より好ましくは、SnをドープしたIn(ITO)、SbをドープしたSnO、FをドープしたSnO(FTO)等の導電性金属酸化物が挙げられ、中でも、耐熱性の点からFTOが最も好ましい。第一電極を形成する材料の基板への塗布量は、特に制限されないが、基板1m当たり、1〜100g程度であることが好ましい。
第一電極の形成手段は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定されず、公知の手段であってよい。第一電極の形成手段としては、例えば、ミストCVD法、スパッタ法、CVD法(気相成長法)、SPD法(スプレー熱分解堆積法)、蒸着法、ALD(原子層堆積)法、塗布法(例えばディッピング、滴下、ドクターブレード、インクジェット、スピンコート、刷毛塗り、スプレー塗装、ロールコーター、エアーナイフコート、カーテンコート、ワイヤーバーコート、グラビアコート、インクジェット塗布等)などが挙げられる。
なお、第一電極は、前記透明基板上に設けられた透明導電性基板であるのが好ましい。前記透明導電性基板の平均厚さとしては、特に制限されないが、約0.1mm〜5mmの範囲が好ましい。また、透明導電性基板の表面抵抗は、50Ω/□以下であることが好ましく、20Ω/□以下であることがより好ましく、10Ω/□以下であることが最も好ましい。なお、透明導電性基板の表面抵抗の下限は、可能な限り低いことが好ましいため、特に規定する必要はないが、0.01Ω/□以上であれば十分である。透明導電性基板の光透過率の好ましい範囲は、上記透明基板の光透過率の好ましい範囲と同様である。
前記電子輸送層は、通常、短絡防止手段、封止手段及び整流作用として、膜状(層状)をなし、第一電極と光電変換層(半導体層)との間に配置される。前記電子輸送層は、多孔質構造体からなるのが好ましい。前記電子輸送層の空孔率をC[%]とし、半導体層の空孔率をD[%]としたとき、D/Cが、例えば、約1.1以上であるのが好ましく、約5以上であるのがより好ましく、約10以上であるのが最も好ましい。なお、D/Cの上限は、可能な限り大きいことが好ましいため、特に限定されないが、通常、約1000以下である。これにより、電子輸送層と半導体層とは、それぞれ、それらの機能をより好適に発揮することができる。なお、前記電子輸送層は、通常、第一電極上に形成される。
より具体的には、電子輸送層の空孔率Cとしては、緻密層であるのが好ましく、より具体的には例えば、約20%以下であるのが好ましく、約5%以下であるのがより好ましく、約2%以下であるのが最も好ましい。これにより、短絡防止や整流作用といった効果をより向上することができる。ここで、電子輸送層の空孔率の下限は、可能な限り小さいことが好ましいため、特に限定されないが、通常、約0.05%以上である。
前記電子輸送層の平均厚さ(膜厚)としては、例えば、約0.001〜10μmであるのが好ましく、約0.005〜0.5μmであるのがより好ましい。これにより、前記効果をより向上することができる。
前記電子輸送層の構成材料としては、特に限定されないが、n型半導体が使用できる。例えば、無機物の場合、亜鉛、ニオブ、スズ、チタン、バナジウム、インジウム、タングステン、タンタル、ジルコニウム、モリブデン、マンガン、鉄、銅、ニッケル、イリジウム、ロジウム、クロム、ルテニウムまたはこれらの酸化物、α型酸化ガリウム、β型酸化ガリウム、IGZO等の酸化物半導体、GaN等の窒化物半導体、SiC等のケイ素含有半導体、また、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、ニオブ酸ストロンチウムのようなペロブスカイト、あるいはこれらの複合酸化物または酸化物混合物、CdS、CdSe、TiC、Si、SiC、BNのような各種金属化合物等の1種または2種以上の組み合わせなども使用することができる。また、有機物の場合、フラーレンもしくはその誘導体(例えば、フェニル−C61−酪酸メチルエステル([60]PCBM)、フェニル−C61−酪酸n−ブチルエステル([60]PCBnB)、フェニル−C61−酪酸イソブチルエステル([60]PCBiB)、フェニル−C61−酪酸n−ヘキシルエステル([60]PCBH)、フェニル−C61−酪酸n−オクチルエステル([60]PCBO)、ジフェニル−C62−ビス(酪酸メチルエステル)(ビス[60]PCBM)、フェニル−C71−酪酸メチルエステル([70]PCBM)、フェニル−C85−酪酸メチルエステル([84]PCBM)、チエニル−C61−酪酸メチルエステル([60]ThCBM)、C60ピロリジントリス酸、C60ピロリジントリス酸エチルエステル、N−メチルフラロピロリジン(MP−C60)、(1,2−メタノフラーレンC60)−61−カルボン酸、(1,2−メタノフラーレンC60)−61−カルボン酸t−ブチルエステル)、オクタアザポルフィリン等、p型有機半導体化合物の水素原子をフッ素原子に置換したパーフルオロ体(例えば、パーフルオロペンタセンやパーフルオロフタロシアニン)、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等の芳香族カルボン酸無水物やそのイミド化物を骨格として含む高分子化合物等を挙げることができる。
なお、例えば、正孔輸送層がp型半導体である場合であって、電子輸送層に金属を使用する場合には、正孔輸送層よりも仕事関数の値が小さく、ショットキー型の接触をするものを用いることが好ましい。また、例えば、電子輸送層に金属酸化物を用いる場合には、透明導電層とオーミックに接触し、かつ伝導帯のエネルギー準位が多孔質半導体層よりも低いところにあるものを使用することが好ましい。このとき、電子輸送層の構成材料として酸化物を選択することで、多孔質半導体層(光電変換層)から電子輸送層への電子移動効率を向上させることもできる。中でも、半導体層(光電変換層)と同等の電気伝導性を有する酸化チタンを主成分とする酸化チタン層が電子輸送層として好ましい。この場合、酸化チタン層は、アナターゼ型酸化チタンおよび誘電率が比較的高いルチル型の酸化チタンのいずれであってもよい。
前記電子輸送層の形成手段は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定されず、公知の手段であってよい。前記電子輸送層の形成手段としては、例えば、ミストCVD法、スパッタ法、CVD法(気相成長法)、SPD法(スプレー熱分解堆積法)、蒸着法、ALD(原子層堆積)法、塗布法(例えばディッピング、滴下、ドクターブレード、インクジェット、スピンコート、刷毛塗り、スプレー塗装、ロールコーター、エアーナイフコート、カーテンコート、ワイヤーバーコート、グラビアコート、インクジェット塗布等)などが挙げられる。
前記光電変換層は、通常、半導体およびペロブスカイト構造を含む。ここで、ペロブスカイト構造は、上記したペロブスカイト膜を含む。本発明においては、前記ペロブスカイト薄膜が表面の一部または全部に形成された前記半導体を含有する半導体層からなるのが好ましい。
前記半導体は、特に限定されず、公知のものであってよい。前記半導体としては、例えば、シリコン、ゲルマニウムのような元素単体、周期表の第3族〜第5族、第13族〜第15族の元素を有する化合物、金属酸化物、金属硫化物、金属セレン化物、または金属窒化物等が挙げられる。好ましい半導体としては、例えば、ガリウムの酸化物、チタンの酸化物、スズの酸化物、亜鉛の酸化物、鉄の酸化物、タングステンの酸化物、ジルコニウムの酸化物、ハフニウムの酸化物、ストロンチウムの酸化物、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブの酸化物、またはタンタルの酸化物、カドミウムの硫化物、亜鉛の硫化物、鉛の硫化物、銀の硫化物、アンチモンまたはビスマスの硫化物、カドミウムまたは鉛のセレン化物、カドミウムのテルル化物等が挙げられる。また、他の化合物半導体としては、亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミウム等のリン化物、ガリウム−ヒ素または銅−インジウムのセレン化物、銅−インジウムの硫化物、チタンの窒化物等が挙げられる。より具体的には、前記半導体の具体例としては、Ga、TiO、SnO、Fe、WO、ZnO、Nb、CdS、ZnS、PbS、Bi、CdSe、CdTe、GaP、InP、GaAs、CuInS、CuInSe、Ti等が挙げられる。上記した半導体を単独で使用してもよく、または複数の半導体を併用して用いてもよい。例えば、上記した金属酸化物もしくは金属硫化物の数種類を併用することもできるし、また、数種類を混合して使用してもよい。このとき、半導体として金属酸化物もしくは金属硫化物以外に成分を加える場合、追加成分の金属酸化物もしくは金属硫化物半導体に対する質量比は30%以下であることが好ましい。
前記半導体の形状としては、フィラー状、粒子状、円錐状、柱状、管状、平板状などが挙げられ特に制限されることはない。また、半導体層として、これらフィラー状、粒子状、円錐状、柱状、管状等の形状の半導体が凝集して形成された膜状のものを使用してもよい。また、この場合、予めペロブスカイト膜が表面に被覆した半導体を使用しても、半導体からなる層を形成した後にペロブスカイト膜を被覆してもよい。なお、半導体の形状が粒子状の場合は、一次粒子であって、かつ平均粒子径が約1〜5000nmであることが好ましく、約2〜100nmであることがより好ましい。なお、前記半導体の「平均粒径」は、100個以上のサンプルを電子顕微鏡で観察した時の1次粒子直径の平均粒径(1次平均粒径)である。
前記半導体の形成方法は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定されず、公知の手段を用いることができる。前記半導体の形成手段としては、例えば、ミストCVD法、スパッタ法、CVD法(気相成長法)、SPD法(スプレー熱分解堆積法)、蒸着法、ALD(原子層堆積)法などが挙げられる。
また、前記半導体は、有機塩基を用いて表面処理してもよい。前記有機塩基としては、ジアリールアミン、トリアリールアミン、ピリジン、4−t−ブチルピリジン、ポリビニルピリジン、キノリン、ピペリジン、アミジン等が挙げられるが、中でもピリジン、4−t−ブチルピリジン、ポリビニルピリジンが好ましい。表面処理方法は、特に制限されず、公知の手段を用いてよい。例えば、前記有機塩基が液体の場合はそのまま、固体の場合は有機溶媒に溶解した溶液(有機塩基溶液)を準備し、前記半導体を前記液体または有機塩基溶液に、約0〜80℃で約1分〜24時間浸漬することで、前記半導体の表面処理を実施できる。
なお、前記ペロブスカイト膜の被覆手段については、上記したとおりである。本発明においては、基体上に半導体、電子輸送層および第一電極が形成されたものを、前記ペロブスカイト膜の形成に用いることもできる。
前記正孔輸送層は、通常、重合体(好ましくは導電性高分子)を含有する。前記正孔輸送層は、通常、光励起によって酸化されたペロブスカイト膜に電子を供給して還元し、光電変換層との界面で生じた正孔を第二電極へ輸送する機能を有する。なお、正孔輸送層は、例えば、多孔質半導体層上に形成された層状部分だけでなく、多孔質半導体層の空隙内部にも充填されているのが好ましい。
前記正孔輸送層の構成材料としては、例えば、セレン、ヨウ化銅(CuI)等の沃化物、層状コバルト酸化物等のコバルト錯体、CuSCN、MoO、NiO、有機ホール輸送材等が挙げられる。沃化物としては、例えば、ヨウ化銅(CuI)等が挙げられる。層状コバルト酸化物としては、例えば、ACoO(A=Li、Na、K、Ca、Sr,Ba;0≦X≦1)等が挙げられる。また、有機ホール輸送材としては、例えば、ポリ−3−ヘキシルチオフェン(P3HT)、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等のポリチオフェン誘導体、2,2’,7,7’−テトラキス−(N,N−ジ−p−メトキシフェニルアミン)−9,9’−スピロビフルオレン(spiro−MeO−TAD)等のフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール等のカルバゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、ジフェニルアミン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアニリン誘導体等が挙げられる。
前記正孔輸送層の形成方法は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定されず、公知の手段を用いることができる。前記正孔輸送層の形成手段としては、例えば、ミストCVD法、スパッタ法、CVD法(気相成長法)、SPD法(スプレー熱分解堆積法)、蒸着法、ALD(原子層堆積)法、塗布法(例えばディッピング、滴下、ドクターブレード、インクジェット、スピンコート、刷毛塗り、スプレー塗装、ロールコーター、エアーナイフコート、カーテンコート、ワイヤーバーコート、グラビアコート、インクジェット塗布等)などが挙げられる。
第二電極は、導電性を有するものであって、電極として機能するものであれば、その他については、特に限定されない。例えば、絶縁性材料であっても、正孔輸送層に面している側に導電性物質層が設けてあり、電極として使用可能であれば、これを第二電極として用いることができる。本発明においては、第二電極は、正孔輸送層との接触性が良いことが好ましい。第二電極は、正孔輸送層との仕事関数の差が小さく、化学的に安定であることも好ましい。このような材料としては、特に限定されないが、金、銀、銅、アルミニウム、白金、ロジウム、マグネシウム、インジウム等の金属薄膜、炭素、カーボンブラック、導電性高分子、導電性の金属酸化物(インジウム−スズ複合酸化物、酸化錫にフッ素をドープしたもの等)などの有機導電体などが挙げられる。また、第二電極の平均厚みもまた、特に限定されないが、約10〜1000nmであるのが好ましい。また、第二電極の表面抵抗は、特に限定されないが、低いのが好ましく、具体的には、第二電極の表面抵抗の範囲は、好ましくは80Ω/□以下であり、より好ましくは20Ω/□以下である。なお、第二電極の表面抵抗の下限は、可能な限り低いことが好ましいため、特に限定されないが、0.1Ω/□以上であればよい。
第二電極の形成方法は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定されず、公知の手段を用いることができる。第二電極の形成手段としては、例えば、ミストCVD法、スパッタ法やCVD法(気相成長法)、SPD法(スプレー熱分解堆積法)、蒸着法などが挙げられる。
以上のようにして得られた光電変換素子は、発電手段として有用であり、様々な用途に適用可能である。具体的には、光電変換素子を備えており、さらに、光電変換素子から出力された直流電流を交流電流に変換するインバータ装置、電気モーター、照明器具等を有する構成の光電変換装置等に有用であり、好適な用途としては、太陽電池等が挙げられる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
1.成膜装置
図1を用いて、本実施例で用いたミストCVD装置1を説明する。ミストCVD装置1は、キャリアガスを供給するキャリアガス源2と、キャリアガス源2から送り出されるキャリアガスの流量を調節するための流量調節弁3と、原料溶液4aが収容されるミスト発生源4と、水5aが入れられる容器5と、容器5の底面に取り付けられた超音波振動子6と、成膜室7と、ミスト発生源4から成膜室7までをつなぐ供給管9と、成膜室7内に設置されたホットプレート8とを備えている。なお、ホットプレート8上には、基板10が設置されている。
2.原料溶液の作製
メチルアンモニウム鉛ヨウ化物をγ-ブチロラクトンに混合し、これを原料溶液とした。なお、溶液中のメチルアンモニウム鉛ヨウ化物のモル濃度は0.011mol/Lとした。
3.成膜準備
上記2.で得られた原料溶液4aをミスト発生源4内に収容した。次に、基板10として、15mm角のガラス/ITO基板をホットプレート8上に設置し、ホットプレート8を作動させて成膜室7内の温度を120℃にまで昇温させた。次に、流量調節弁3a、3bを開いて、キャリアガス源であるキャリアガス供給手段2a、2bからキャリアガスを成膜室7内に供給し、成膜室7の雰囲気をキャリアガスで十分に置換した後、キャリアガスの流量を4L/分に調節した。なお、キャリアガスとして窒素を用いた。
4.ペロブスカイト膜の形成
次に、超音波振動子6を2.4MHzで振動させ、その振動を、水5aを通じて原料溶液4aに伝播させることによって、原料溶液4aを霧化させてミスト4bを生成させた。このミスト4bが、キャリアガスによって、供給管9内を通って、成膜室7内に導入され、大気圧下、120℃にて、成膜室7内でミストが熱反応して、基板10上に膜が形成された。なお、膜厚は1μmであり、成膜時間は20分間であった。
5.評価
XRD回折装置を用いて、ペロブスカイト膜の同定を行った。結果を図2に示す。また、得られた膜につき、SEM観察を行った。SEM像を図3に示す。
(実施例2)
成膜温度を130℃にしたこと以外は、実施例1と同様にしてペロブスカイト膜を製造した。実施例1と同様にして、X線回折装置を用いて、結晶膜の同定を行ったところ、得られた膜は、ペロブスカイト膜であった。なお、XRDチャートを図4に示す。
(実施例3)
成膜温度を125℃にしたこと以外は、実施例1と同様にしてペロブスカイト膜を製造した。実施例1と同様にして、X線回折装置を用いて、結晶膜の同定を行ったところ、得られた膜は、ペロブスカイト膜であった。なお、XRDチャートを図5に示す。
(実施例4)
成膜温度を110℃にしたこと以外は、実施例1と同様にしてペロブスカイト膜を製造した。実施例1と同様にして、X線回折装置を用いて、結晶膜の同定を行ったところ、得られた膜は、ペロブスカイト膜であった。
(比較例1)
実施例1で用いた原料溶液と同じものを、スプレーで、ホットプレート(温度:140℃)上に設置したガラス/ITO基板に吹き付け、ペロブスカイト膜を得ようと試みたが、そもそも基板に膜がつかず、このような方法でペロブスカイト膜を得るには、大量に吹き付けて、さらに、少なくともアニール処理が必要と思われる。
(実施例5)
成膜温度を115℃にしたこと以外は、実施例1と同様にしてペロブスカイト膜を製造した。実施例1と同様にして、X線回折装置を用いて、結晶膜の同定を行ったところ、得られた膜は、ペロブスカイト膜であった。なお、XRDチャートを図6に示す。
本発明のペロブスカイト膜は、光電変換素子等に有用であり、太陽電池や光センサーなどの産業分野で利用することができる。
1 ミストCVD装置
2 キャリアガス源
3 流量調節弁
4 ミスト発生源
4a 原料溶液
4b ミスト
5 容器
5a 水
6 超音波振動子
7 成膜室
8 ホットプレート
9 供給管
10 基板

Claims (13)

  1. ペロブスカイト構造体の前駆体溶液を霧化または液滴化し、得られたミストまたは液滴をキャリアガスで基体まで搬送し、ついで前記ミストまたは液滴を熱反応させて前記基体上に前記ペロブスカイト構造体を成膜することを特徴とするペロブスカイト膜の製造方法。
  2. 前駆体溶液が有機金属ハロゲン化物を含む請求項1記載の製造方法。
  3. 前駆体溶液がアンモニウム化合物を含む請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前駆体溶液の溶媒が有機溶媒である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 有機溶媒が、非プロトン性溶媒である請求項4記載の製造方法。
  6. 有機溶媒が、下記式(1)で表される請求項4または5に記載の製造方法。
    (式中、RおよびRは、それぞれ同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子または置換基を有していてもよい炭化水素基または置換基を有していてもよい複素環基を表し、RおよびRが結合して環を形成してもよい。)
  7. 有機溶媒が、下記式(2)で表される請求項4または5に記載の製造方法。
    (式中、R、RおよびRは、それぞれ同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子または置換基を有していてもよい炭化水素基または置換基を有していてもよい複素環基を表し、R、RおよびRから選ばれる任意の2つの基が結合して環を形成してもよい。)
  8. 熱反応を、250℃以下の温度で行う請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
  9. 基体が、ガラス基板である請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
  10. 基体が、スズドープ酸化インジウム膜またはフッ素ドープ酸化インジウム膜を含む請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法。
  11. 基体が、チタニア膜を含む請求項1〜10のいずれかに記載の製造方法。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の製造方法を用いて製造されたペロブスカイト膜。
  13. 請求項12記載のペロブスカイト膜を含む光電変換素子。


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