JP2017119430A - 切込プリプレグの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】プリプレグに複数の切込を挿入した切込プリプレグを製造する際に、連続して安定に切込を挿入する方法を提供する。【解決手段】複数の刃が配置され、該複数の刃の長さの合計が1〜3000m/m2の範囲内である回転刃ロールと、該回転刃ロールに対して略平行に近接した支持ロールとの間に、強化繊維と樹脂とを含むプリプレグに張力を付与しながら、該プリプレグの端辺が回転刃ロールの軸方向に所定の範囲内となるように通過させて、少なくとも一部の強化繊維の繊維長さを10〜300mmの範囲内に分断して切込プリプレグとする、切込プリプレグの製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、強化繊維と樹脂とからなるプリプレグに複数の切込を挿入し、優れた成形性および、固化時には高い力学特性を発揮する切込プリプレグを安定して連続的に製造する方法に関する。
繊維強化プラスチックは、比強度、比弾性率が高く、力学特性に優れること、耐候性、耐薬品性などの高機能特性を有することなどから産業用途においても注目され、航空機、宇宙機、自動車、鉄道、船舶、電化製品、スポーツ等の構造用途に展開され、その需要は年々高まりつつある。中でも強化繊維と樹脂とからなるプリプレグは、強化繊維の体積含有率が高く、高力学特性を有する繊維強化プラスチックを製造するのに好適な中間基材として知られている。一方で、連続した強化繊維を用いたプリプレグは、三次元形状へは強化繊維の突っ張りが生じるため成形が難しい。そこで、特許文献1のように、プリプレグに強化繊維を分断する切込を挿入することで、強化繊維の三次元形状への追従性を高めた切込プリプレグが開発されている。切込プリプレグは制御されたプリプレグ内の強化繊維の配置を乱すことなく強化繊維を不連続にするため、固化時には、プリプレグからの力学特性の低下を最小限に抑えることができ、高い力学特性を有する。
切込プリプレグは特許文献2のように、刃の配置された打ち抜き型を用いて製造する方法もあるが、間欠的な切込挿入法であり、細かい切込の場合、違うタイミングで打ち抜かれた切込同士の位置関係がずれやすいという問題があった。切込プリプレグが高い力学特性を発現するためには、切込位置を高精度に制御することが重要であるため、特許文献3のように、刃が設けられた回転刃ロールにプリプレグを押し付ける製造方法の方が好ましい。さらに回転刃ロールの方が打ち抜き型よりも生産性が高く、その特質を最大限活かすためには、プリプレグを連続的に紙管等に巻いたプリプレグロールからプリプレグを巻き出し、切込を挿入して切込プリプレグとした後、ロールとして巻き取るのがよい。
特許第4779754号 特開2009−220480号公報 特許第5223354号
しかしながら、プリプレグロールから巻きだしたプリプレグに連続して切込を挿入する工程では、徐々にプリプレグが幅方向へずれたり、プリプレグのたるみを巻き込むことでシワが発生するという問題がある。このような問題が生じると、製造された切込プリプレグの品質が低下し、連続的に安定して切込プリプレグを製造することが困難である。
そこで本発明の課題は、プリプレグのたるみや幅方向の位置ずれを軽減させ、シワなく連続的に安定してプリプレグに切込を挿入し、優れた成形性および、固化時には高い力学特性を発揮する切込プリプレグを製造することにある。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような切込プリプレグの製造方法を提供する。すなわち、複数の刃が配置され、該複数の刃の長さの合計が1〜3000m/mの範囲内である回転刃ロールと、該回転刃ロールに対して略平行に近接した支持ロールとの間に、強化繊維と樹脂とを含むプリプレグに張力を付与しながら、該プリプレグの端辺が回転刃ロールの軸方向に所定の範囲内となるように通過させて、少なくとも一部の強化繊維の繊維長さを10〜300mmの範囲内に分断して切込プリプレグとする、切込プリプレグの製造方法である。
本発明によれば、シワや幅方向の位置ずれを抑制して連続的に安定してプリプレグに切込を挿入し、優れた成形性および、固化時には高い力学特性を発揮する切込プリプレグを製造することができる。
本発明の切込プリプレグ製造方法の一例を示す概念図である。 図1を上から見た図である。 本発明の切込プリプレグ製造方法の一例を示す概念図である。 本発明の切込プリプレグ製造方法の一例を示す概念図である。 切込の端部同士を結んだ線分を示す概念図である。 本発明の回転刃ロールの刃の配置パターンの一例を示す概念図である。 回転刃ロールと、刃を回転刃ロールに垂直な平面に投影した概念図である。 本発明の回転刃ロールの刃の配置パターンの一例を示す概念図である。
本発明者らは、強化繊維と樹脂とからなるプリプレグに繊維を分断する複数の切込を挿入し、優れた成形性および、固化時には高い力学特性を発揮する切込プリプレグを、切込プリプレグの表面品位や固化時の力学特性を低下させるシワ等の発生や、切込プリプレグ製造時のシワ発生やプリプレグ幅方向の位置ずれを抑制して、安定して連続的に製造するために、複数の刃が配置され、該複数の刃の長さの合計が1〜3000m/mの範囲内である回転刃ロールと、該回転刃ロールに対して略平行に近接した支持ロールとの間に、強化繊維と樹脂とを含むプリプレグに張力を付与しながら、該プリプレグの端辺が回転刃ロールの軸方向に所定の範囲内となるように通過させて、少なくとも一部の強化繊維の繊維長さを10〜300mmの範囲内に分断して切込プリプレグとすることで、かかる課題を解決することを究明したものである。
図1および図2は本発明における切込プリプレグの製造方法を示している。紙管等にプリプレグを長手方向に連続的に巻いたプリプレグロール2からプリプレグ1を巻き出し、刃4を複数 配置した回転刃ロール6と支持ロール7の間にプリプレグ1を通過させることで、刃4がプリプレグ1に押し付けられた箇所で強化繊維が切断され、切込プリプレグ3が得られる。
支持ロール7は、回転刃ロール6に対して略平行に近接されており、2つのロールの間には刃4が通過可能なクリアランスが設けられている。略平行とは、回転刃ロール6または支持ロール7の幅方向の任意の場所において、支持ロール7と刃を除く回転刃ロール6の間のクリアランスが、回転刃ロール6または支持ロール7の幅方向の平均値±10%の範囲内であることを指す。プリプレグに回転刃ロールを押し付ける際、プリプレグを支える部材が必ずしもロール状である必要はなく、板状なども考えられるが、設備設置に要する面積やプリプレグを送り出す際の抵抗を軽減するためには、ロール状であることが好ましい。ただし、支持ロールが設置されてさえいれば、プリプレグを巻き出して巻取るまでの間に、プリプレグが複数のロールや板状の支えに接してもよい。
回転刃ロールは、刃がロールから削りだされたものであってもよいし、刃が設けられたシートが磁石や接着剤等の接着手段を用いてロールに巻きつけられたロールであってもよい。特に、ロールがマグネットロールであり、刃が配置された金属シートを貼り付ける方法が、刃の交換時簡便に着脱できるため、ロール自体を削りだすよりも安価である金属シートを交換することで、複数の切込パターンを同じ回転刃ロールを用いて製造することができ好ましい。
プリプレグは、回転刃ロールにカットシートの状態で挿入しても良いが、連続的にプリプレグを供給する方が生産性に優れ、中でもハンガー等にかけたプリプレグロールから巻き出して挿入するのがよい。同様に回転刃ロールを通過した後にプリプレグを切断してカットシートとしてもよいが、ワインダーを用いてロール状に巻き取ってもよい。
本発明においてプリプレグに用いられる樹脂に制限はなく、熱硬化性樹脂でも熱可塑性樹脂でもよい。
本発明において、プリプレグに用いられる強化繊維にも限定はなく、樹脂を補強する強化繊維として代表的な強化繊維である、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維等が好ましい。強化繊維の形態にも限定はなく、強化繊維が一方向に配向した一方向プリプレグでも、織構造を有する織物プリプレグでもよく、さらには一方向プリプレグや織物プリプレグを複数枚積層したプリプレグ積層シートであってもよい。プリプレグ積層シートは、例えば一方向プリプレグを強化繊維が直行方向になるように複数枚積層したクロスプライ積層シートなど、複数枚のプリプレグを角度を変えて積層したものでもよく、一方向プリプレグや織物プリプレグなど、強化形態の異なるプリプレグを混合させた積層シートであってもよい。
所定の位置に刃を配置した回転刃ロールを用いることで、プリプレグの送りと連動して周期的にプリプレグに刃を挿入することが可能であり、回転刃ロールの回転速度を上げることで、切込プリプレグの製造速度も向上する。
切込プリプレグ3に挿入される切込5の切込プリプレグの面内における密度は、密であるほど、切込プリプレグ3の成形性が向上するが、密度が高すぎる場合、固化時の力学特性が低下する。ここで、切込プリプレグ3に挿入される切込5の切込プリプレグ面内における密度は、単位面積における刃の長さの合計を指標として表すことができ、かかる指標が1m/m以上であれば切込5の密度は密であるほど、切込プリプレグの成形性は向上し、3000m/mを超える場合は密度が高すぎ、固化時の力学特性が低下する。また、単位面積あたりの刃の長さの合計が長い場合、切断時に押し当てられる刃とプリプレグの接触点が増え、プリプレグに与えられる抵抗が大きくなるため、プリプレグの蛇行や回転刃ロールへ引き込む作用が発生する場合がある。したがって、回転刃ロールに設ける刃の長さの合計は、1〜3000m/mの範囲内であることが好ましい。特に好ましい回転刃ロールに設ける刃の長さの合計は、30〜1000m/mの範囲内である。
切込の長さの合計が上記範囲内であっても、局所的に10mm未満の長さの強化繊維が存在する場合には、切込プリプレグ固化時の力学特性の低下を引き起こし、強化繊維の繊維長さが300mmを超える場合には、複雑形状成形時に強化繊維が突っ張り、成形不良を起こす可能性があるため、強化繊維の繊維長さは300mm以下がよい。したがって、刃によって分断する強化繊維の長さは10〜300mmの範囲内であることが好ましい。つまり本発明においては、少なくとも一部の強化繊維の繊維長さが10〜300mmとなるように分断して切込プリプレグとすることが好ましい。特に好ましい強化繊維の長さは15〜200mmの範囲内である。
また、刃によってプリプレグ内の強化繊維が全て切断されてもよいし、一部切断しない強化繊維を残しても良い。
図1、図2において、プリプレグ1および、切込プリプレグ3は回転刃ロール6の回転8によって切込プリプレグの送り方向10へ移動する。このとき、支持ロール7も回転していてもよく、支持ロールの回転によって回転刃ロールの回転が発生する機構であってもよい。回転刃ロール6の回転8とプリプレグロール2の回転12は必ずしも連動している必要はないが、本発明においては、プリプレグに張力を付与しながら回転刃ロールと支持ロールの間にプリプレグを通過させることで切込プリプレグとすることが特徴であるため、プリプレグ1に張力11が付与されるようにプリプレグロール2の回転12のトルクまたは回転速度を制御することが好ましい。プリプレグ1がたるんだ状態で、たるみを巻き込みながら回転刃ロール6と支持ロール7の間を通過すると、切込プリプレグ3にシワが入り、品位の良い切込プリプレグ3を安定して製造することが困難となる。
プリプレグに対して付与される張力11は、連続して回転刃ロール6と支持ロール7にプリプレグ1を通過させる連続運転中に、略一定に保たれることが好ましい。連続運転中に張力11が小さくなると、プリプレグ1にたわみが発生し、切込プリプレグ3にシワが入る場合がある。略一定の張力とは、張力が平均張力±10%に保たれることを指す。好ましい張力の範囲は10〜20kg/mである。
さらに、プリプレグ1に張力11を与えた場合でも、プリプレグロール2から巻き出す際、プリプレグ1が、回転刃ロールの軸方向13(図1の奥行き方向、図2の左右方向)へずれた際には、巻き取り側の端辺がずれ、ロール状に巻き取る際には端辺を揃えるためリワインドが必要である他、巻取り側のシート道からずれることによるひずみによりプリプレグ1の端辺にたるみが発生し、シワの原因となる。一度切込プリプレグにシワが生じると、連続的にプリプレグを切込プリプレグとする工程ではシワが伝播しシワを取り除くことが困難であるため、一度工程を停止させ、プリプレグを切断、廃棄する必要があり、歩留まりが下がる。そこで、プリプレグ1をプリプレグロール2から巻き出し、切込5を挿入するまでの間、プリプレグ1の端辺が、回転刃ロールの軸方向に所定の範囲内を保つように制御することが好ましい。
このように回転刃ロールと支持ロールとの間に、プリプレグの端辺が回転刃ロールの軸方向に所定の範囲内となるように通過させるための具体的な方法はとしては、例えばプリプレグ1の端辺の位置を読み取るセンサーを用いて、該端辺が回転刃ロールの軸方向13に対し、常に所定の範囲内を通過するようにプリプレグロール2の幅方向の位置を調節することが好ましい。なお、所定の範囲とは、プリプレグ1の端辺が回転刃ロールの軸方向13に対して平均位置±2.0mmの範囲内であることを指す。より好ましくは、プリプレグ1の端辺が回転刃ロールの軸方向13に対して平均位置±1.0mmの範囲内であり、さらに好ましくは±0.5mmの範囲内である。
好ましい切込プリプレグの製造方法として、図3に示すように、回転刃ロール6と支持ロール7との間にプリプレグ1を通過させて切込プリプレグ3とした後、切込プリプレグの回転刃ロール6側の表面が回転刃ロール6から離れるように切込プリプレグ3を支持ロール7に押しつけ、切込プリプレグを引き取る方法が挙げられる。切込プリプレグ3を支持ロール7に押し付ける方法は、図3のように押さえロール22を用いてもよいし、吸引する機構を有する支持ロール7によって切込プリプレグ3を支持ロール7のロール表面に吸着する方法でもよい。回転刃ロール6と支持ロール7の間にプリプレグ1を通過させる際に、プリプレグに含まれる樹脂の粘度が高い場合や、刃と切込との摩擦係数が高い場合に、切込プリプレグが回転刃ロールに密着する場合がある。そのような場合に回転刃ロール6から切込プリプレグを剥がす必要があるが、刃によって分断された強化繊維が毛羽となって切込プリプレグ表面に残り、切込プリプレグの品位を悪化させる場合がある。刃をプリプレグに押し付けた瞬間から、切込プリプレグを支持ロール側に押し付けることで、切込プリプレグが回転刃ロールに密着することを抑制することができる。本方法は、特に熱硬化樹脂を用いたプリプレグに対して好ましく用いることができる。熱硬化性樹脂を用いたプリプレグの場合、通常プリプレグはタックを有するため、プリプレグは後述するシート基材A、例えば離型紙により担持されているが、回転刃ロールと支持ロールの間にプリプレグを通過させた際に、シート基材Aが剥がれると、得られた切込プリプレグを巻き取る際にシワが生じる。切込プリプレグ1を回転刃ロール6から離れるように支持ロールに押し付けて引き取ることで、シート基材Aの剥がれが抑制され、巻き取りの際のシワが軽減される。
さらに好ましい切込プリプレグの製造方法として、図4に示すように、プリプレグ1を支持ロール7に押し付けながら、回転刃ロール6と支持ロール7の間に通過させ得ることで切込プリプレグ3とする、切込プリプレグの製造方法が挙げられる。切込プリプレグ3を支持ロール7に押し付ける方法は、図3のように押さえロールを用いてもよいし、吸引する機構を有する支持ロール7によって切込プリプレグ3を支持ロール7のロール表面に吸着する方法でもよい。刃5をプリプレグに挿入した後に、支持ロール側に切込プリプレグを押し付けることで、切込プリプレグが回転刃ロールに密着することを抑制できるが、切込挿入前から支持ロールにプリプレグを押し付けておくことで、より確実に切込プリプレグを支持ロールへ押し付けることができ、切込プリプレグの回転刃ロールへの密着の抑制効果を高めることができる。また、支持ロール7へプリプレグ1を押さえつけることにより、プリプレグ1が回転刃ロール6および支持ロール7に垂直に挿入されているかどうかを判別しやすくなる。例えば、わずかでもプリプレグ1の挿入角度が垂直でない場合、支持ロール7に押さえつける際に、プリプレグ1の片側が浮くといった現象が生じる。
さらに好ましい切込プリプレグの製造方法として、プリプレグの支持ロールに接する側の表面にシート基材Aが配置されており、回転刃ロールに設けられた刃をプリプレグに押し付け、プリプレグを貫通させ、シート基材Aの厚み方向に、シート基材Aのプリプレグと接する側の表面から5〜75%の範囲で切込を挿入する、切込プリプレグの製造方法が挙げられる。
ここで、シート基材Aとしては、クラフト紙、上質紙、グラシン紙、クレーコート紙などの紙類や、ポリエチレン・ポリプロピレンなどのポリマーフィルム類、アルミなどの金属箔類などが挙げられ、さらに樹脂との離型性を付与または向上させるために、シリコーン系や“テフロン(登録商標)”系の離型剤や金属蒸着等をシート基材Aの表面に付与しても構わない。シート基材Aはプリプレグに粘着しプリプレグを担持していてもよいし、プリプレグを担持していなくてもよい。シート基材Aの中まで刃を挿入することで、確実にプリプレグを貫通する切込をプリプレグに挿入することができる。シート基材Aを用いない場合でプリプレグを貫通する切込を挿入する際は、刃が支持ロールに当たる場合がある。そのような場合には刃の劣化が加速する懸念がある。刃の先端がシート基材Aに侵入する量としては、繰り返し裁断することによって刃が磨耗した場合でも、切り残しが発生することがないように、シート基材Aのプリプレグ側と接する側の表面から厚み方向に5%以上挿入されていることが好ましく、回転刃ロールと支持ロールのクリアランスムラが生じた場合でも刃が支持ロールに接しないように、シート基材Aのプリプレグと接する側の表面から厚み方向に75%以下であることが好ましい。したがって、シート基材Aへの刃の挿入量としては、シート基材Aのプリプレグと接する側の表面から厚み方向に5〜75%であることが好ましい。さらに好ましい刃のシート基材Aへの厚み方向への挿入量は10〜50%である。
さらに好ましい切込プリプレグの製造方法として、プリプレグを回転刃ロールと支持ロールの間に通過させた後、切込プリプレグとシート基材Aを加熱圧着する、切込プリプレグの製造方法が挙げられる。シート基材Aとプリプレグとの粘着が弱い場合は、プリプレグを支持ロールに押さえつけながら回転刃ロールと支持ロールの間に挿入してもシート基材Aが剥がれる場合がある。切込プリプレグの表面に配置されたシート基材Aが、切込プリプレグを引き取る前に切込プリプレグから剥がれている場合は、シート基材Aが切込プリプレグを担持することができず、切込プリプレグにシワが発生する可能性がある。プリプレグを加熱圧着することで、切込プリプレグとシート基材Aを粘着させることができる。具体的な温度に関しては特に制限はなく、樹脂の種類、プリプレグの送り速度等にも依存するが、樹脂の粘度が極端に下がる温度を与える必要はなく、熱硬化性樹脂を用いたプリプレグでは、50℃以下の低温でも粘着の効果が得られる場合がある。圧力についても特に制限はないが、切込プリプレグがつぶれてしまうほどの高い圧力をかける必要はなく、1〜5kg/cm程度の低圧でも効果が得られる場合がある。
さらに好ましい切込プリプレグの製造方法として、回転刃ロールと支持ロールの間にプリプレグを通過させる際に、プリプレグと回転刃ロールの間にシート基材Bが配置されており、かつシート基材Bを貫通してプリプレグに切込を挿入する、切込プリプレグの製造方法が挙げられる。プリプレグの含む樹脂が熱硬化性樹脂であり、タックの強い場合は、切込挿入時に刃とプリプレグの間にシート基材Bを設けることで、プリプレグの刃への粘着を抑制することができるとともに、切込プリプレグシートを巻き取る際にプリプレグシート同士の粘着を抑制することができる。シート基材Bは、ポリエチレンフィルム、塩化ビニルフィルムなどプリプレグの表面を保護するカバーフィルムでもよい。また、シート基材Bがスポンジなどの伸縮性を有する素材である場合には、プリプレグを回転刃ロールと支持ロールの間に通過させる際に、プリプレグを支持ロール側に押さえつける効果があり、回転刃ロールに切込プリプレグが粘着するのを抑制する効果がある。シート基材Aがプリプレグと支持ロールの間に存在する場合には、プリプレグと回転刃ロールの間にシート基材Bを配置して、シート基材Bを貫通してプリプレグに切込を挿入する方法を用いることにより、シート基材Aがプリプレグから剥がれることを抑制する効果がある。
さらに好ましい切込プリプレグの製造方法として、回転刃ロールを冷却しながらプリプレグを回転刃ロールと支持ロールの間に挿入して通過させる切込プリプレグの製造方法が挙げられる。回転刃ロールが冷却されている場合、特にプリプレグが熱硬化性樹脂を含む場合に、熱硬化性樹脂の粘度が高くなるため、切込プリプレグを冷やすことで、切込プリプレグが回転刃ロールに粘着することを抑制する効果がある。ただし、空気中の水分の結露によって回転刃ロールまたはプリプレグが濡れてしまうと、切込プリプレグが劣化する恐れがあるため、結露しないように作業環境の温度または湿度をコントロールすることが好ましい。
以下の説明において、回転刃ロールに設けられた刃の形状は、回転刃ロールを平面状に展開した場合の形状として記載する。また、刃の端部同士を結ぶ線分とは、図5に示すように曲線形状を有する刃4の一つの端部と、別の端部を結んだ線分14を指す。回転刃ロールに設けられる刃は曲線状でも直線状でもよいが、刃が直線状である場合は、刃の端部同士を結ぶ線分と直線状の刃の直線とは、同一サイズ、同一形状になる。
本発明において、刃の端部同士を結ぶ線分を回転刃ロールの軸方向に投影した投影長さWsが30μm未満の場合、一つの刃で切断される強化繊維の数が少なくなり、強化繊維に刃が押し付けられた際に、強化繊維の逃げが発生し、精度よく切込を挿入できない場合がある。すなわち、投影長さWsが30μm以上であることが好ましい。また、投影長さWsが2.5mmを超える場合、一つの刃により切断される強化繊維の数が多くなり、切込プリプレグを固化した場合の力学特性の低下を招く場合がある。すなわち、投影長さWsは2.5mm以下であることが好ましい。以上のことから、刃の端部同士を結ぶ線分を回転刃ロールの軸方向に投影した投影長さWsは30μm〜2.5mmの範囲内であることが好ましい。特に好ましい投影長さWsは50μm〜1.5mmである。細かい切込をプリプレグに挿入する際、品質の良い切込プリプレグを製造するためには、切込の高い位置精度が要求されるが、刃を設けた回転刃ロールを用いた切込挿入方法で、プリプレグに張力を当てながら、端辺の回転場ロールの軸方向における位置を調節することで、はじめて実現可能である。
本発明において、回転刃ロールに設ける刃は、複数の刃の、同一刃内の端部同士を結ぶ線分が断続的な直線を形成し、複数の断続的な直線が平行に形成されることで列を形成していることが好ましい。刃が断続的な直線かつ、平行な列をなしていることで、切込プリプレグへ規則的な切込が均一に挿入され、切込プリプレグは安定した成形性および力学特性を発揮する。また、シートやロールから刃を削りだす際は、複数の刃が一つの直線上にあると、刃のコストが低減できる場合があり、好ましい。
さらに好ましい回転刃ロールに設ける刃のパターンとして、図6で示すように、回転刃ロールに設けられた刃の端部同士を結ぶ線分と回転刃ロールの周方向とのなす角をθ(18)としたとき、θの絶対値が2〜45°の範囲内であるパターンが挙げられる。θの絶対値が45°より大きい場合、切込プリプレグを用いた繊維強化プラスチックの製造時に切込の開口が大きくなり、繊維強化プラスチックの表面品位が低下する。また、切込プリプレグを固化した場合の力学特性が低下する。したがって、θの絶対値は45°以下であることが好ましい。特にθの絶対値が25°以下である場合、切込プリプレグから製造される繊維強化プラスチックの力学特性、中でも引張強度の向上が著しく、かかる観点からθの絶対値が25°以下がより好ましい。一方、θの絶対値は2°より小さいと切込を安定して入れることが難しくなる。すなわち、強化繊維に対して刃が寝てくると、切込を入れる際、強化繊維が刃から逃げやすく、切込の位置精度を担保しながら挿入することが難しくなる。かかる観点からは、θの絶対値が2°以上であることがより好ましい。以上のことから、好ましいθの絶対値の範囲は2〜45°である。特に好ましいθの範囲は5〜25°である。
さらに好ましい、回転刃ロールに設ける刃のパターンとして、回転刃ロール上のすべての刃を回転刃ロールの軸方向に垂直な平面上に投影して形成される円形状において、当該円形状中に不連続部がないか、又は当該円形状に不連続部があり、全ての不連続部において当該不連続部の両端と円形状の中心で形成される中心角が5°以下であることが好ましい。ここで不連続部とは、図7に示すように、回転刃ロール6上のすべての刃4を回転刃ロールの軸方向に垂直な平面上に投影した場合に形成される円形状19中の、刃が存在しない領域20を言い、当該不連続部の両端と円形状の中心で形成される中心角は、符号21で示される。このような不連続部20が存在する図7(a)のような場合、プリプレグを回転刃ロールと支持ロールの間に挿入している際に、プリプレグに刃を押し付けない瞬間が生じる。プリプレグに刃を押し付けている際は、回転刃ロールと支持ロール間のクリアランスが広がる方向に反力が発生するが、プリプレグに刃を押し付けない瞬間が生じると、回転刃ロールと支持ロールに生じる反力が解放され、反力の有無が繰り返されることにより回転刃ロールと支持ロールへの負荷が大きくなる。さらに好ましくは、当該円形状中に不連続部がないか、又は当該円形状に不連続部があり、全ての不連続部において当該不連続部の両端と円形状の中心で形成される中心角が任意の不連続部において2°以下であり、特に好ましくは図7(b)のように当該円形状中に不連続部が存在しないことが好ましい。また、刃の端部同士を結ぶ線分と回転刃ロールの周方向とのなす角θの絶対値が45°よりも小さい場合に、特にプリプレグが回転刃ロールの刃に押さえつけられない瞬間を軽減することができる。
さらに好ましい回転刃ロールの刃のパターンとして、刃の端部同士を結ぶ線分と回転刃ロール周方向とのなす角度をθとしたとき、θの絶対値が実質的に同一かつθが正である刃とθが負である刃が略同数ずつであり、任意の刃Aと近接する刃のうち、θの正負が同一である刃Bよりも最短距離が近いθの正負が異なる刃Cが4つ以上存在するパターンが挙げられる。θが正である刃のみ(あるいは負である刃のみ)回転刃ロールに配置されている場合、プリプレグを回転刃ロールと支持ロールの間に通過させる際に、θの方向にプリプレグが流れ、切込プリプレグの回転刃ロールの軸方向が徐々にずれていく場合がある。切込プリプレグが回転刃ロール軸方向へずれると、プリプレグを回転刃ロールと支持ロールの間に通過させる際にプリプレグにたわみが発生し、切込挿入後にはシワが生じる場合があり、安定して切込プリプレグを製造することが困難となる場合がある。θが正である刃とθが負である刃が略同数であれば、切込挿入時にプリプレグの幅方向へのずれを軽減することができる。なお本発明において、θが正である刃の数とθが負である刃の数が略同数とは、数を基準とした百分率で示した時にθが正である刃の数とθが負である刃の数がいずれも45%以上55%以下であることをいう。製造された切込プリプレグの流動性および切込プリプレグにより製造される繊維強化プラスチック力学特性を考慮するとθが正である刃とθが負である刃がマクロには均質に配置されることが好ましく、任意の刃Aと近接する刃のうち、θの正負が同一である刃Bよりも最短距離が近いθの正負が異なる刃Cが4つ以上存在することが好ましい。正と負の角を有するθが均質に配置されることで、切込プリプレグの流動性、切込プリプレグにより製造される繊維強化プラスチックの力学特性も均質となる。このような高精度な切込位置の制御は、プリプレグに張力を与えながら、端辺の回転刃ロールの軸方向の位置を調節して、高い位置精度で刃を設けた回転刃ロールに押し付けることで可能となる。
さらに好ましい回転刃ロールの刃のパターンとして、刃の端部同士を結ぶ線分が実質的に同一の長さYsであり、近接する刃同士の最短距離がYsよりも長いパターンが挙げられる。異なる長さの刃が配置されている場合、製造された切込プリプレグに張力が生じた場合、長い切込近傍に応力が集中してしまい、割けてしまう場合や、回転刃ロールと支持ロールの間に発生する反力を刃へ分散させる際に、刃の長さによって不均一に分散され、刃の劣化を促進する恐れがあるため、刃の端部同士を結ぶ線分の長さは実質的に同一であることが好ましい。ここで実質的に同一の長さとは、±5%の差以内であることをいう(以下同じ)。刃同士の距離が近いほど、製造された切込プリプレグを固化した繊維強化プラスチックはクラックが連結しやすく、力学特性が低下するため、近接する刃同士の最短距離がYsよりも長いことが好ましい。また、刃同士の距離が近い場合、シート基材Bを用いて切込プリプレグを製造した場合には、シート基材Bを剥がす際に、シート基材Bが割けやすくなり、切込プリプレグの取り扱い性が低下するため、近接する刃同士の最短距離がYsよりも長いことが好ましい。
さらに好ましい回転刃ロールの刃のパターンとして、回転刃ロール上の複数の刃が配置されている領域において、任意に選択される10個の直径10mmの円形の小領域内に含まれる刃の個数を母集団とした場合に、母集団の変動係数が20%以内のパターンが挙げられる。小領域内に含まれる切込みの個数とは、小領域内に存在する切込と、小領域の輪郭に一部が接触する切込の合計数とする。切込プリプレグに挿入される切込は、均質であるほど安定した力学特性・成形性を示す。均質な刃の配置パターンとすることで、上記の回転刃ロールと支持ロールに生じる反力の有無による振動も軽減することができる。さらに好ましくは、母集団の平均値が10以上かつ変動係数が20%以内である。なお、前述の母集団の平均値と前述の母集団の変動係数は、10個の小領域内の切込数をni(i=1〜10)とすると、それぞれ式1、式2で計算される。
Figure 2017119430
Figure 2017119430
小領域は、小領域が重ならない程度に密に抽出することが好ましいが、小領域同士が重なるように抽出しても良い。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、実施例に記載の発明に限定されるものではない。
(実施例1)
一方向に配向した“トレカ”(商標登録)炭素繊維T800Sに熱可塑性樹脂PPSが含浸したプリプレグT800S/PPSが巻かれた、200mm幅のロールから、図1のように張力を与えながらプリプレグを巻き出して、回転刃ロールと該回転刃ロールに対して略平行に近接した支持ロールとの間に、プリプレグの端辺が回転刃ロールの軸方向に対して±0.5mmの範囲内を通るように制御し、刃が支持ロールに当たらないように、シート基材Aとして離型紙をプリプレグと支持ロールの間に挟んで、切込プリプレグを製造し、得られた切込プリプレグをロールで巻き取った。
回転刃ロールの刃は図6に示したパターンとし、刃は直線状で、刃の回転刃ロールへの軸方向への投影長さWsを1.5mm、刃の端部同士を結ぶ線分と回転刃ロールの周方向のなす角度θは25°、刃により分断される強化繊維の長さは30mmとした。回転刃ロール上のすべての刃を回転刃ロールの軸方向に垂直な平面上に投影して形成される円形状に不連続部があり、全ての不連続部において当該不連続部の両端と円形状の中心とで形成される中心角は3°以下であった。刃の長さの合計は78m/mであった。回転刃ロールの回転速度は45°/秒とした。回転刃ロールと支持ロールの間は、刃が離型紙の厚み方向に対し50%挿入されるクリアランスとした。
その結果、切込プリプレグ表面の炭素繊維は若干毛羽立ちが見られたものの、シワのない切込プリプレグが製造できた。巻き取られたロール端辺のずれは無視できるレベルであった。
(実施例2)
図3のように、押さえロールを用いてプリプレグを支持ロールに押しつけながら、回転刃ロールと支持ロールとの間を通過させ切込プリプレグとし、切込プリプレグを回転刃ロール側の表面が回転刃ロールから離れるように切込プリプレグを押し付けること以外は、実施例1と同じ条件で切込プリプレグを製造した。その結果、実施例1よりも、切込プリプレグ表面の毛羽が少なくなった。巻き取られたロール端辺のずれは無視できるレベルであった。
(実施例3)
プリプレグの支持ロール側にシート基材Aである離型紙が担持されており、プリプレグの回転刃ロール側にシート基材Bであるポリエチレンフィルムが貼り付けてある、“トレカ”(商標登録)プリプレグシートP3052S−15(強化繊維:T700S、熱硬化性樹脂:2500)とした以外は、実施例2と同じ条件で、切込プリプレグを製造した。
その結果、切込プリプレグが徐々に回転刃の軸方向に対して刃の方向へずれていき、プリプレグの端辺の位置制御が困難であったものの、シワなく安定して切込プリプレグを製造することができ、離型紙が切込プリプレグから剥がれた箇所が少しあるものの修復可能であり、切込プリプレグをシワなく巻き取ることができた。
(実施例4)
プリプレグを回転刃ロールと支持ロールとの間に通過させた後、プリプレグとシート基材Aを、カレンダーを用いて加熱圧着する以外は、実施例3と同じ条件で切り込みプリプレグを製造した。加熱温度は40℃、圧力は3kg/cmとした。
その結果、離型紙が切込プリプレグから剥がれた箇所がなく、切込プリプレグをシワなく巻き取ることができた。
(実施例5)
回転刃ロールにおける刃のパターンを図8のように、刃の端部同士結ぶ線分と回転刃ロールの周方向とのなす角度θの絶対値が実質的に同一かつθが正である刃とθが負である刃が略同数ずつであり、任意の刃Aと近接する刃のうち、θの正負が同一である刃Bよりも最短距離が近いθの正負が異なる刃Cが4つ以上存在するパターンとした以外は、実施例4と同じ条件で切込プリプレグを製造した。強化繊維の長さは24mm、θを±14°、Wsを1mmとした。回転刃ロール上のすべての刃を回転刃ロールの軸方向に垂直な平面上に投影して形成される円形状に不連続部があり、全ての不連続部において当該不連続部の両端と円形状の中心とで形成される中心角は1°以下であった。回転刃ロールの表面から10個の直径10mmの円形の小領域内を抽出し、小領域に含まれる刃の個数を母集団とした場合に、母集団の平均値は4.5、変動係数は14.9%であった。刃の長さの合計は172m/mであった。
その結果、シワなく安定して切込プリプレグを製造することができ、プリプレグの幅方向への巻きずれもなく、離型紙も切込プリプレグから剥がれておらず、切込プリプレグをシワなく巻き取ることができた。プリプレグが幅方向へずれもなく、巻き取る際に、幅方向への微調整は必要なかった。200mm×200mmの切込プリプレグを切り出し、切込プリプレグに貼り付けられたポリエチレンフィルムを取り除く際、ポリエチレンフィルムが割けて、一度で全面のポリエチレンフィルムを取り除くことができなかった。
(実施例6)
回転刃ロールにおける刃のパターンを図8のように、刃の端部同士を結ぶ線分と回転刃ロールの周方向とのなす角度θの絶対値が実質的に同一かつθが正である刃とθが負である刃が略同数ずつであり、任意の刃Aと近接する刃のうち、θの正負が同一である刃Bよりも最短距離が近いθの正負が異なる刃Cが4つ以上存在するパターンとし、かつ、刃の端部同士を結ぶ線分が実質的に同一の長さYsであり、近接する刃同士の最短距離がYsよりも長い、パターンとした以外は、実施例4と同じ条件で切込プリプレグを製造した。強化繊維の長さは24mm、θを±14°、Wsを0.25mmとした。回転刃ロール上のすべての刃を回転刃ロールの軸方向に垂直な平面上に投影して形成される円形状に不連続部があり、全ての不連続部において当該不連続部の両端と円形状の中心とで形成される中心角は1°以下であった。回転刃ロールの表面から10個の直径10mmの円形の小領域内を抽出し、小領域に含まれる刃の個数を母集団とした場合に、母集団の平均値は14.2、変動係数は8.5%であった。刃の長さの合計は172m/mであった。
その結果、シワなく安定して切込プリプレグを製造することができ、離型紙も切込プリプレグから剥がれておらず、切込プリプレグをシワなく巻き取ることができた。プリプレグが幅方向へずれもなく、巻き取る際に、幅方向への微調整は必要なかった。200mm×200mmの切込プリプレグを切り出し、切込プリプレグに貼り付けられたポリエチレンフィルムを取り除く際、ポリエチレンフィルムが割けることなく、一度に全面のポリエチレンフィルムを取り除くことができた。
(実施例7)
プリプレグを“トレカ”(商標登録)プリプレグシートP2352W−19(強化繊維:T800S、熱硬化性樹脂:3900−2B)とし、回転刃ロールを冷却する以外は、実施例1と同じ条件とし、切込プリプレグを製造した。プリプレグの支持ロール側には、シート基材Aとして離型紙が貼り付けられている。
その結果、刃に樹脂が粘着することなく、離型紙の切込みプリプレグからの剥がれもなく、シワなく切込プリプレグを製造することができた。巻き取られたロール端辺のずれは無視できるレベルであった。
(実施例8)
切込パターンを、θ(刃の端部同士を結ぶ線分と回転刃ロールの周方向とのなす角度)を90°とした以外は、実施例3と同じ条件で切込プリプレグを製造した。刃を回転刃ロールの周方向に投影した場合、回転刃ロール上のすべての刃を回転刃ロールの軸方向に垂直な平面上に投影して形成される円形状に不連続部があり、当該不連続部の両端と円形状の中心とで形成される中心角が6°以上の箇所が複数あった。その結果、回転刃ロールでプリプレグを押さない瞬間が生じ、支持ロール、回転刃ロールが振動していたが、それ以外は実施例3と同様の結果であった。
(実施例9)
図1のように押さえロールを用いず、支持ロールへプリプレグを押さえつけないこと以外は実施例6と同じ方法で切込プリプレグを製造した。
その結果、切込を挿入した直後、プリプレグが回転刃ロール側へ若干追従する瞬間が見られ、離型紙がプリプレグから剥離し、カレンダーで加熱圧着する際に、離型紙のシワを巻き込むことがあった。巻き取られたロール端辺のずれは無視できるレベルであった。
(比較例1)
“トレカ”(商標登録)プリプレグシートP3052S−15(強化繊維:T700S、熱硬化性樹脂:2500)が巻かれた、500mm幅のロールから、プリプレグを巻き出して、回転刃ロールと支持ロールの間に挿入して張力を与えることなく切込を挿入し、切込プリプレグを製造し、得られた切込プリプレグをロールで巻き取った。回転刃ロールの刃は図6に示したパターンとし、刃は直線状で、刃の回転刃ロールへの軸方向への投影長さWsを1.0mm、刃と回転刃ロールの周方向のなす角度は25°、刃により分断される強化繊維の長さは30mmとなる。刃の長さの合計は78m/mであった。プリプレグの支持ロール側は離型紙で担持されており、プリプレグの回転刃ロール側は、ポリエチレンフィルムが貼り付けてある。回転刃ロールの回転速度は45°/秒とした。
その結果、回転刃ロールと支持ロールの間に挿入する前にプリプレグがたわみ、切込プリプレグにはシワが入った。また、離型紙の剥がれやプリプレグの幅方向へのずれが生じ、安定して巻き取ることができず、修正し切れないロール端辺のずれが見られた。
(比較例2)
“トレカ”(商標登録)プリプレグシートP2255S−10(強化繊維:T800S、熱硬化性樹脂:2592)が巻かれた、300mm幅のロールから、プリプレグを巻き出して、張力を与え、刃の配置された打ち抜き型を昇降機に取り付け、打ち抜き型をプリプレグに押し当てることで切込を挿入し、切込プリプレグを製造した。実施例1〜8のように、回転刃ロールと支持ロールの間にプリプレグを通過させて切込プリプレグとする場合、回転刃ロールを回すことで切込挿入とプリプレグの送りを同時に行えるが、打ち抜き型を用いた場合、プリプレグを送り、一度停止した後、打ち抜き型を降ろし、切込を挿入し、再びプリプレグを送る工程となる。刃は図6に示したパターンと同等であり、刃は直線状で、刃のプリプレグの幅方向への投影長さWsを1.0mm、刃とプリプレグの送り方向とのなす角度は25°、刃により分断される強化繊維の長さは30mmとなる。刃の長さの合計は78m/mであった。プリプレグは離型紙で担持されている。プリプレグの送り速度は3m/分とし、打ち抜く際は、1秒停止する。
その結果、打ち抜き時にプリプレグが刃にもって行かれ、プリプレグ自体がずれ、異なるタイミングで打ち抜かれた切込同士の位置関係の精度が低下した。
1:プリプレグ
2:プリプレグロール
3:切込プリプレグ
4:刃
5:切込
6:回転刃ロール
7:支持ロール
8:回転刃ロールの回転方向
9:支持ロールの回転方向
10:切込プリプレグの引き取り方向
11:プリプレグに与えられた張力
12:プリプレグロールの回転方向
13:回転刃ロールの幅方向
14:刃の端部同士を結んだ線分
15:回転刃ロールの軸方向
16:回転刃ロールの周方向
17:刃の回転刃ロールへの投影長さWs
18:刃の端部同士を結ぶ線分と回転刃ロールの周方向とのなす角度θ
19:回転刃ロール上のすべての刃を回転刃ロールの軸方向に垂直な平面上に投影して形成される円形状
20:円形状内の不連続部
21:不連続部の両端と円形状の中心で形成される中心角
22:押さえロール

Claims (14)

  1. 複数の刃が配置され、該複数の刃の長さの合計が1〜3000m/mの範囲内である回転刃ロールと、該回転刃ロールに対して略平行に近接した支持ロールとの間に、強化繊維と樹脂とを含むプリプレグに張力を付与しながら、該プリプレグの端辺が回転刃ロールの軸方向に所定の範囲内となるように通過させて、少なくとも一部の強化繊維の繊維長さを10〜300mmの範囲内に分断して切込プリプレグとする、切込プリプレグの製造方法。
  2. プリプレグを回転刃ロールと支持ロールとの間に通過させ切込プリプレグとした後、切込プリプレグの回転刃ロール側の表面が回転刃ロールから離れるように切込プリプレグを支持ロールに押しつけて引き取る、請求項1に記載の切込プリプレグの製造方法。
  3. プリプレグを支持ロールに押し付けながら、回転刃ロールと支持ロールとの間を通過させる、請求項1または2に記載の切込プリプレグの製造方法。
  4. プリプレグの支持ロールに接する側の表面にシート基材Aが配置されており、回転刃ロールに設けられた刃をプリプレグに押し付け、プリプレグを貫通させ、シート基材Aの厚み方向に、シート基材Aのプリプレグと接する側の表面から5〜75%の範囲で刃を挿入する、請求項1〜3のいずれかに記載の切込プリプレグの製造方法。
  5. プリプレグを回転刃ロールと支持ロールとの間に通過させた後、切込プリプレグとシート基材Aを加熱圧着する、請求項4に記載の切込プリプレグの製造方法。
  6. プリプレグを回転刃ロールと支持ロールとの間に通過させる際に、プリプレグと回転刃ロールの間にシート基材Bが配置されており、かつ
    シート基材Bを貫通してプリプレグに切込を挿入する、請求項1〜5のいずれかに記載の切込プリプレグの製造方法。
  7. プリプレグを回転刃ロールと支持ロールとの間に通過させる際に、回転刃ロールを冷却する、請求項1〜6のいずれかに記載の切込プリプレグの製造方法。
  8. 刃の端部同士を結ぶ線分を回転刃ロールの軸方向に投影した刃の投影長さWsが30μm〜2.5mmの範囲内である、請求項1〜7のいずれかに記載の切込プリプレグの製造方法。
  9. 複数の刃の、同一刃内の端部同士を結ぶ線分が断続的な直線を形成し、複数の断続的な直線が平行に形成されることで列を形成する、請求項1〜8のいずれかに記載の切込プリプレグの製造方法。
  10. 刃の端部同士を結ぶ線分と回転刃ロールの周方向とのなす角度θの絶対値が2〜45°である、請求項1〜9のいずれかに記載の切込プリプレグの製造方法。
  11. 回転刃ロール上のすべての刃を回転刃ロールの軸方向に垂直な平面上に投影して形成される円形状において、
    当該円形状中に不連続部がないか、又は当該円形状に不連続部があり、全ての不連続部において当該不連続部の両端と円形状の中心で形成される中心角が5°以下である、請求項1〜10のいずれかに記載の切込プリプレグの製造方法。
  12. 刃の端部同士を結ぶ線分と回転刃ロールの周方向とのなす角度θの絶対値が実質的に同一かつθが正である刃とθが負である刃が略同数ずつであり、任意の刃Aと近接する刃のうち、θの正負が同一である刃Bよりも最短距離が近いθの正負が異なる刃Cが4つ以上存在する、請求項1〜11のいずれかのいずれかに記載の切込プリプレグの製造方法。
  13. 刃の端部同士を結ぶ線分が実質的に同一の長さYsであり、近接する刃同士の最短距離がYsよりも長い、請求項1〜12のいずれかに記載の切込プリプレグの製造方法。
  14. 回転刃ロール上の複数の刃が配置されている領域において、任意に選択される10個の直径10mmの円形の小領域内に含まれる刃の個数を母集団とした場合に、母集団の変動係数が20%以内である、請求項1〜13のいずれかに記載の切込プリプレグの製造方法。
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