JP2017118629A - 回転電機 - Google Patents
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Abstract
【課題】急峻な電圧が印加されても、巻線における部分放電を確実に抑制することができる回転電機を提供する。【解決手段】回転電機が、固定子鉄心10と、固定子鉄心のスロット内に設けられる固定子コイル11と、を有する固定子と、固定子に空隙を介して対向する回転子と、を備え、固定子コイルは、各々に素線絶縁102が施される複数の素線導体101が、スロット内において径方向に並べられてなる素線束と、素線束を被覆する対地主絶縁103と、素線束と対地主絶縁の間に位置し、径方向に沿って設けられる第1導電層201と、素線束と対地主絶縁の間に位置し、周方向に沿って設けられる第2導電層202と、を有し、第1導電層と第2導電層は電気的に接続され、かつ第1導電層は第2導電層よりも電気抵抗が大きい。【選択図】図1
Description
本発明は、巻線における部分放電を抑制できる回転電機に関する。
発電機や回転機のような回転電機の巻線における部分放電を防止する従来技術として、特許文献1および特許文献2に記載の技術が知られている。
特許文献1に記載の技術では、導体素線上に形成された絶縁皮膜と、その表面に形成された導電性皮膜を有する複合皮膜素線により、複数ターンの巻線が構成される。導電性皮膜を介して隣接する複合素線が接触することにより、隣接する巻線の絶縁皮膜間の電位差が緩和される。
特許文献2に記載の技術では、高圧回転電機のコイルの素線導体束の周囲を囲む対地絶縁層内の素線導体の近傍に、素線導体束を取り囲む浮遊電位導電体層が設けられる。これにより、素線導体束の周囲の電位が均等化されるので、角部の電位集中が緩和される。
上記従来技術においては、巻線に、立ち上がり時間が短い急峻な電圧が印加されると、導体素線と導電性皮膜の間(特許文献1)や、素線導体束と浮動電位導体の間(特許文献2)に、過渡的に大きな電圧が発生する。このため、部分放電を確実に防止することが難しいという問題がある。このような問題は、回転電機がインバータ装置によって駆動される場合に顕著となる。
そこで、本発明は、急峻な電圧が印加されても、コイルにおける部分放電を確実に抑制することができる回転電機を提供する。
上記課題を解決するために、本発明による回転電機は、固定子鉄心と、固定子鉄心のスロット内に設けられる固定子コイルと、を有する固定子と、固定子に空隙を介して対向する回転子と、を備えるものであって、固定子コイルは、各々に素線絶縁が施される複数の素線導体が、スロット内において径方向に並べられてなる素線束と、素線束を被覆する対地主絶縁と、素線束と対地主絶縁の間に位置し、径方向に沿って設けられる第1導電層と、素線束と対地主絶縁の間に位置し、周方向に沿って設けられる第2導電層と、を有し、第1導電層と第2導電層は電気的に接続され、かつ第1導電層は第2導電層よりも電気抵抗が大きい。
本発明によれば、高抵抗の第1導電層による固定子コイルのターン間電圧の増加を低抵抗の第2導電層で抑えながら、第1導電層における電圧分布により固定子コイルのターンと第1導電層との間の電圧が均一化される。これにより、固定子コイルのターンにおける部分放電を確実に抑制することができる。
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
以下、本発明の実施例について、図面を用いて説明する。各図において、参照番号が同一のものは同一の構成要件あるいは類似の機能を備えた構成要件を示している。
図1は、本発明の実施例1である回転電機のスロット内の固定子コイルの概略断面図である。また、図2Aおよび図2Bは、それぞれ、本実施例1の回転電機を含む回転電機システムの構成図および図2AにおけるAB線(一点鎖線)部分断面図である。
図2Aが示すように、回転電機システム1は、回転電機2、回転電機2の固定子コイルに電力を与えて回転電機を駆動するインバータ装置3、インバータ装置3と固定子コイルを接続する電力ケーブル4を含む。本実施例1において、回転電機2は、誘導機あるいは同期機などの電動機である。なお、このような回転電機システムの構成は、後述する他の実施例についても同様である。
回転電機2は、固定子5と、固定子5と空隙を介して対向する回転子6を備える。固定子5および回転子6はハウジング7に納められる。固定子5は、固定子鉄心10と固定子鉄心10に巻装される固定子コイル11を備え、図示されないボルトによってハウジング7に固定されている。回転子6に固定される回転軸8は、ハウジング7に取り付けられる二つの軸受9によって、回転可能に支えられる。
図2Bに示すように、固定子5は、複数の電磁鋼板を軸方向に積層して構成される固定子鉄心10と、固定子鉄心10の内径側もしくは外径側において周方向に所定の間隔をもって複数形成されるスロット12と、これら複数のスロット内に収納される固定子コイル11を備える。ハウジング7および固定子鉄心10は、直接もしくは電力ケーブル4(図2A)を介して接地される。
図1に示すように、固定子コイル11においては、素線絶縁102によって被覆される素線導体101を所定の回数だけ巻き回して成型し、その成型体の周りは対地主絶縁103によって被覆される。このような固定子コイル11が、固定子鉄心10に設けられるスロット12(図2B)に収納される。本実施例1において、スロット12内には、熱硬化性樹脂が真空加圧含浸されて硬化される。これにより、固定子コイル11は、スロット12内に固定される。また、固定子コイル11を保護するため、固定子鉄心10と固定子コイル11の間に、スロットライナ104が配置されている。
なお、コロナ放電を防止するために、固定子鉄心10と固定子コイル11の間に図示しないコロナ防止層を設けても良い
本実施例1では、スロット12の断面内において、二つの固定子コイル11が径方向に積層される。一つの固定子コイル11の断面において、平角状断面を有する、四個の素線導体101が、スロットの径方向に沿って一列に配置される。四個の素線導体101の周囲には第1導電層101が配置される。さらに、コイル断面において、四個の素線導体101が径方向に素線導体列をなす素線束の径方向両端部において、第1導電層201と素線導体101との間に、素線束における素線導体列の周方向に沿って、導電層202が配置される。
本実施例1では、スロット12の断面内において、二つの固定子コイル11が径方向に積層される。一つの固定子コイル11の断面において、平角状断面を有する、四個の素線導体101が、スロットの径方向に沿って一列に配置される。四個の素線導体101の周囲には第1導電層101が配置される。さらに、コイル断面において、四個の素線導体101が径方向に素線導体列をなす素線束の径方向両端部において、第1導電層201と素線導体101との間に、素線束における素線導体列の周方向に沿って、導電層202が配置される。
なお、本実施例1においては、一つの素線導体が一つのターンを構成するので、四個の素線導体101が第1〜4ターンからなるターン列を構成する。
第1導電層201および第2導電層202は、対地主絶縁103の内側に配置される。すなわち、第1導電層201および第2導電層202は、素線束と対地主絶縁103の間に位置する。第1導電層201および第2導電層202は、素線導体101や回転子鉄心10を含む他の導電性部材や接地部材とは電気的に接続されず、電気的に浮いた浮遊電位状態すなわちフローティング状態にある。第1導電層201は、第2導電層202より抵抗率やシート抵抗が大きく、すなわち電機抵抗が大きい。また、第1導電層201と第2導電層202は、互いに接触することにより、あるいは導電性の接合部材(例えば、導電性ペースト)によって、電気的に接続されている。なお、導電性の接合部材を用いれば、第1導電層201と第2導電層202をより低抵抗で接続することができる。
第1導電層201は、四個の素線導体101からなる素線束の径方向の面の少なくとも一部に対して配置される。第2導電層202は、素線束の径方向両端に位置する素線導体101の周方向の面の少なくとも一部に対して配置される。第1導体層201は、素線束の径方向の面だけでなく、角部や周方向の面の一部に対しても配置されていてもよい。第2導電層202は、素線束の周方向の面だけでなく、角部や径方向の面の一部に対しても配置されていてもよい。
第1導電層201と第2導電層202が電気的に接続される領域では、第1導電層201と第2導電層202はどちらを素線束に近い側に設置してもよい。
なお、本実施例1では、第1導電層201は、対地主絶縁103の内側に、素線束の周囲全体を包むように配置されている。第2導電層202は、素線束の径方向両端に位置する素線導体101の周方向の面の一部に配置されている。
第1導電層201および第2導電層202としては、素線束の周りにテープ状部材を巻き回して配置してもよいし、軸方向に伸びたシート状部材で包むなどして配置したり、軸方向に伸びた板状の部材を素線束の側面に配置したりしてもよい。
第1導電層201と第2導電層202は、軸方向に連続的に設けられるものに限らず、軸方向に部分的に設けられるものでも良い。その場合には、第1導電層201と第2導電層202において軸方向に電流が流れにくくなるので損失や発熱を低減できる。
第1導電層201としては、カーボン、鉄、アスベスト、SiCなどの導電性または半導電性フィラ―を混入したエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂や導電性高分子材料が適用できる。例えば、第1導電層201として、半導電性テープを用いることができる。また、第2導電層202としては、金属、導電性プラスチックなどの導体材料が適用できる。また、第2導電層202は、絶縁性の樹脂などで形作った部材の表面に導電性ペイントや、金属の蒸着などにより導電体の薄膜を形成したものによって構成してもよい。
図3は、実施例1の一変形例である回転電機のスロット内の固定子コイルの概略断面図である。
本変形例においては、一つのターンが4個の素線導体101から構成される。一つのターンにおいて、2個の素線導体からなる素線導体列が、周方向において2個並置される。一つのターンを構成する2個の素線導体列すなわち4個の素線導体101の周囲はレア絶縁105によって被覆される。本変形例によれば、レア絶縁105によって、絶縁が強化される。このように、本変形例においては、ターン4個分の合計16個の素線導体101によって、素線束が構成される。
図4は、実施例1の他の変形例である回転電機のスロット内の固定子コイルの概略断面図である。
図1の実施例および図3の変形例では、第1導電層201が、4個のターンすなわち素線束の全周を被覆している。これに対し、本図4の変形例では、第1導電層101が、4個のターンからなるターン列すなわち素線束の径方向側面を覆ってはいるが、第2導電層202の全体を覆うことなく、第2の導電層202の周方向端部上で終端している。なお、第2導電層202の周方向端部と第1導電層201の終端部は電気的に接続される。
図4の変形例によれば、第1導電層101の使用量が低減できると共に、第1導電層の被覆作業が容易になる。
次に、本実施例1の回転電機の動作について説明する。
本実施例1の回転電機は、インバータ装置(図2Aの符号3)を用いて可変速運転される。インバータ装置は、直流電源電圧をU,VおよびW相電圧からなる三相交流電圧に変換する。この三相交流電圧が、回転電機2の固定子が備える三相分の固定子コイル11、すなわちU相コイル、V相コイルおよびW相コイルに印加される。これにより、回転磁界が生成されるので、回転電機の回転子が回転する。
従来の回転電機においては、インバータ装置によって急峻な電圧が印加されると、商用電源により駆動する時に比べて高い電圧が、回転電機の固定子コイル11を構成する巻線のターン間に発生する現象が知られている。そこで、以下、まず、この現象について説明し、さらに本実施例1の動作について説明する。
図5は、従来および本実施例1の回転電機の固定子コイルの等価回路図の一例である。固定子コイルにおいては、U相コイル、V相コイルおよびW相コイルが、Y結線で、すなわち中性点で、電気的に接続される。U相コイル、V相コイルおよびW相コイルの巻き始めに、それぞれU,VおよびW相の相電圧が印加される。U相コイル、V相コイルおよびW相コイルの各々において、N個のコイル(第1〜第Nコイル)が直列接続されている。第1〜第Nコイルの各々においては、N個のターン(第1〜第Nターン)が直列接続されている。なお、本実施例1においては、図1から判る様に、一個のコイルが、一つの素線導体101を含むターンを4個(第1〜4ターン)有する。
図6は、従来および本実施例1の回転電機の固定子コイルの等価回路図の他の例である。図5と異なり、U相コイル、V相コイルおよびW相コイルの各々において、N個のコイルの直列接続体が、複数個(図6では2個)並列接続される。さらに、U相コイル、V相コイルおよびW相コイルが、Δ結線で、電気的に接続される
図7は、従来の回転電機にサージ電圧が印加される時における、各コイル(第1〜4コイル)の巻き始めにおける対地電圧の波形例を示す。さらに、図8は、従来の回転電機にサージ電圧が印加されるときの各コイル(第1〜3コイル)の両端間の電圧の波形例を示す。図8における第1コイルの電圧波形は、図7における第1コイル巻始めの対地電圧波形と、第2コイル巻始めの電圧波形の差分に相当する。なお、図7,8の波形例および後述する図9,10の波形例は、図5の等価回路を用いて、本発明者が検討した結果である。なお、図6の等価回路でも同様の結果が得られる。
図7は、従来の回転電機にサージ電圧が印加される時における、各コイル(第1〜4コイル)の巻き始めにおける対地電圧の波形例を示す。さらに、図8は、従来の回転電機にサージ電圧が印加されるときの各コイル(第1〜3コイル)の両端間の電圧の波形例を示す。図8における第1コイルの電圧波形は、図7における第1コイル巻始めの対地電圧波形と、第2コイル巻始めの電圧波形の差分に相当する。なお、図7,8の波形例および後述する図9,10の波形例は、図5の等価回路を用いて、本発明者が検討した結果である。なお、図6の等価回路でも同様の結果が得られる。
従来の回転電機におけるスロット内の固定子コイルの概略断面図の一例を図18に示す。本図18が示すように、従来の固定子コイルは、言わば、図1の実施例1から第1および第2導電層201,202を除去したものに相当する。
図7,8に示すように、従来の回転電機においては、サージ電圧が急峻なためサージ電圧の伝搬時間よりもサージ電圧の立ち上り時間の方が短い場合、各コイルが分担する電圧は均等ではなく、特に第1コイルが分担する電圧が過渡的に大きくなる。
図9は、従来の回転電機にサージ電圧が印加される時における、第1コイルの各ターン(第1〜4ターン)の対地電圧の波形例を示す。さらに、図10は、第1コイルのターン間電圧の波形例を示す。
図7〜10に示すように、従来の回転電機では、サージ電圧が伝搬する時間よりもサージ電圧の立ち上り時間が短い場合に、固定子コイル内部の電圧分布が過渡的に不均一となり、電源側に近いコイルほど電圧分担率が大きく、中性点側へと向かうに従って分担率は低下する。このような現象は、インバータ装置によって回転電機に印加される電圧が立ち上がる時の時間変化率(dv/dt)が、10kV/μsec以上である場合に顕著である。第1コイルに分担電圧が集中するため、素線絶縁102(図18)やレア絶縁105(図18)が十分でない場合、ターン間で部分放電が発生し絶縁劣化を引き起こす。これに対し、従来は、絶縁厚みを厚くして絶縁を強化している。
図13は、実施例1の回転電機2にインバータ装置3により急峻な電圧を印加したときの、各コイルの巻き始めの対地電圧を示す。第1導電層201が素線束近傍に配置されているため、サージ電圧により発生する過渡的な高周波は、コイルの巻き始めから巻き終わり側へ、第1導電層201を経由して伝わる。これにより、図13に示すように、第2コイルの巻き始めの対地電圧は従来(図7)よりも早く立ち上がる。その結果、第1コイルの分担電圧が低減し、第1コイルターン間電圧も低減する。
図11Aは、図19に示すような導電層を有するコイルを備える従来の回転電機2の、第1コイルの各ターンおよび導電層の対地電圧の過渡的な高低関係を模式的に示す。各ターン間の電圧は概略均一に配分される。一方、導電層の電圧は概略一定であり、他の導体と電気的に接続されていないため、その電圧値は、周囲の電位に応じて変動し、ターン数が3以上ならば、通常、ターン間電圧よりも大きくなる。
図11Bは、ターン数が大きい場合における、従来の回転電機(図19)の、第1コイルの各ターンおよび導電層の対地電圧の過渡的な高低関係を模式的に示す。ターン数が多いほど、各ターンと導電層間に発生する電位差は、ターン間に発生する電圧よりも大きくなる。
図11A,11Bが示すように、図19に示す従来の回転電機では、一つのコイル中の複数ターンと導電層との間の電圧が、不均一であり、ターンによって異なる。このため、導電層との間の電圧が大きなターンにおいて部分放電が発生する恐れがある。
これに対し、図1に示す実施例1では、第1導電層201が、抵抗性材料あるいは半導電性材料などから構成される。これにより、後述するように、導電層に電圧分布が生じるので、各ターンと導電層との間の電位差を均一化できる。
図12Aは、実施例1の第1コイルの各ターンおよび第1導電層の対地電圧の過渡的な高低関係を模式的に示す。また、図12Bは、ターン数が大きい場合における、実施例1の第1コイルの各ターンおよび第1導電層の対地電圧の過渡的な高低関係を模式的に示す。
実施例1の回転電機2にインバータ装置3により急峻な電圧を印加したとき、一つのコイルの巻き始め(第1ターン)から巻き終わり(第4ターン)に向かう方向に、第1導電層201を容量電流である高周波成分が流れる。この際、第1導電層201における各ターン間に対向する領域における電圧降下が、各ターン間の電圧と同程度の大きさとなるように、第1導電層の電気抵抗の大きさが設定される。
図12A,12Bに示すように、各ターン間の電圧は、従来と同様に、概略均一に配分される。また、第1導電層201の電圧分布は、回転電機の径方向、すなわち巻き始めから巻き終わりに向って、電圧が低下するように傾斜する分布である。このような電圧分布により、各ターンと第1導電層201との間の電圧の大きさが、各ターンで略均一になる。これにより、各ターンと導電層との間おける部分放電の発生を防止することができる。
なお、第1導電層201の抵抗の大きさは、コイルの巻初めから巻終わりへの電圧の伝搬への影響を抑制できるような大きさ、すなわちターン間電圧の増大を抑制できるような大きさに設定することが好ましい。
本実施例に1においては、図1に示すように、さらに、コイルの巻き始め側および巻き終わり側において素線束の少なくとも周方向の一部に、第1導電層201を構成する材料よりも電機抵抗の低い材料によって構成される第2導電層202が設けられる。これにより、上述したような第1導電層201による電圧伝搬への影響すなわちターン間電圧への影響を補償できる。ここで、巻線の周方向において第1導電層201に生じる電圧分布は、各ターンと第1導電層201間の電圧の低減あるいは均一化にはほとんど寄与しないため、第2導電層202を設けても、第1導電層201による部分放電防止効果は保持される。
上述したように、本実施例1によれば、回転電機に急峻な電圧が印加される場合、ターン間の電圧を抑制し、かつ、各ターンと導電層間の電圧を抑制できる。これにより、各ターンにおける部分放電を確実に抑制することができる。
図14は、本発明の実施例2である回転電機のスロット内の固定子コイルの概略断面図である。以下、主に、実施例1と異なる点について説明する。なお、素線導体のレイアウトは、図3に示す実施例1の変形例と同様である。
本実施例2においては、実施例1と異なり、第2導電層202が、固定子コイルの巻き始め側のターンおよび巻き終わり側のターンの周囲全体を覆うように設けられる。ただし、これらのターンには、1ターン分(四個)の素線導体にまとめて被覆されるレア絶縁(図3の符号105)は施されない。これにより、各ターンの大きさや寸法をそろえることができる。
このような第2導電層202により、巻き始めのターンと第2導電層202との間の静電容量、および巻き終わりのターンと第2導電層202との間の静電容量が大きくなるため、回転電機にサージ電圧が印加される場合、第1コイル(図5参照)の巻き始めから巻き終わりに向かって第1導電層201を流れる高周波電流が増加する。従って、第1コイルの分担電圧が低減されると共に、ターン間電圧を低減することができる。
本実施例2の第2導電層202は、巻き始めおよび巻き終わりのターンを低抵抗部材からなるシールドによって巻いて構成してもよいし、素線絶縁101の上に低抵抗の塗料を塗布するなどして低抵抗の被膜を形成して構成してもよい。
図15は、実施例2の変形例である回転電機のスロット内の固定子コイルの概略断面図である。本変形例は、実施例2よりもターン数が多い。
図15に示すように、巻き始めのターンと巻き終わりのターンに加え、素線束すなわちターン列の中間部におけるターンの周囲にも第2導電層が設けられる。なお、第2導電層が設けられるターンどうしは互いに接触しないように、これらのターン間に、第2導電層を設けないターンが介在する。
本変形例によれば、実施例2と同様に、回転電機にサージ電圧が印加される場合、第1コイルの分担電圧が低減され、ターン間電圧を低減することができる。
図16は、本発明の実施例3である回転電機のスロット内の固定子コイルの概略断面図である。以下、主に、実施例1,2と異なる点について説明する。なお、素線導体のレイアウトは、図3に示す実施例1の変形例と同様である。
本実施例3においては、第1導電層201は、素線束の側面において、素線束断面の径方向にのみに沿って配置されている。また、実施例2と同様に、第2導電層202が、固定子コイルの巻き始め側のターンおよび巻き終わり側のターンの周囲全体を覆うように設けられる。このため、これらターンの径方向側面において、第1導電層と第2導電層が電気的に接続される。
本実施例3によれば、第1導電層201の製作が容易になる。また第1導電層201が素線束の上部や底部に配置されないので、スロット12内の占積率が向上できる。
図17は、本発明の実施例4である回転電機のスロット内の固定子コイルの概略断面図である。以下、主に、実施例1〜3と異なる点について説明する。
本実施例4においては、コイル断面において、平角状断面を有する8個の素線導体が径方向に沿って素線導体列をなすように、図中左右の単位の素線束を構成する。このような単位の素線束が、二つ、素線導体列の周方向にそって並設されることにより、素線束が構成される。第1導電層は、単位の素線束の向かい合う側面間に介在する。ここで、本実施例4における第1導電層は、素線の配置を保持するための支持部材、すなわち、所謂、素固め材を兼ねている。従って、本実施例4の固定子コイルは、図示するような二つの単位の素線束の間に第1導電層を構成する素固め材を挟んで、加熱成型して製作される。
第1導電層を構成する素固め材は、通常の素固め材に、低抵抗あるいは半導電性の部材を付加する。例えば、通常の素固め材に、低抵抗あるいは半導電性のテープを巻いたり、通常の素固め材の表面に低抵抗あるいは半導電性の塗料を塗布したりすればよい。
本実施例4では、素固め材が第1導電層を構成するので、第1導電層の製作が容易になる。
本実施例4において、第2導電層202は、径方向における素線束の両端面に設けられる。第2導電層202は、素線束の、断面および長手方向の中央部で、第1導電層と電気的に接続される。
なお、第2導電層は、実施例2と同様に構成されても良い。この場合、単位の素線束の各々について、径方向両端部に位置する素線導体の全周に第2導電層が設けられる。また、素固め材を兼ねる第1導電層に加えて、実施例1〜3や各変形例と同様に、素線束の側面に第1導電層を設けても良い。これらにより、第1コイルの巻き始めから巻き終わりに向かって第1導電層を流れる高周波電流を増やすことができるので、第1コイルの分担電圧を低減できると共に、ターン間電圧が低減できる。
なお、本発明は前述した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置き換えをすることが可能である。
1 回転電機システム
2 回転電機
3 インバータ装置
4 ケーブル
5 固定子
6 回転子
7 ハウジング
8 回転軸
9 軸受
10 固定子鉄心
11 固定子コイル
12 スロット
101 素線導体
102 素線絶縁
103 対地主絶縁
104 スロットライナ
105 レア絶縁
201 第1導電層
202 第2導電層
204 導電層
2 回転電機
3 インバータ装置
4 ケーブル
5 固定子
6 回転子
7 ハウジング
8 回転軸
9 軸受
10 固定子鉄心
11 固定子コイル
12 スロット
101 素線導体
102 素線絶縁
103 対地主絶縁
104 スロットライナ
105 レア絶縁
201 第1導電層
202 第2導電層
204 導電層
Claims (10)
- 固定子鉄心と、前記固定子鉄心のスロット内に設けられる固定子コイルと、を有する固定子と、
前記固定子に空隙を介して対向する回転子と、
を備える回転電機において、
前記固定子コイルは、
各々に素線絶縁が施される複数の素線導体が、前記スロット内において径方向に並べられてなる素線束と、
前記素線束を被覆する対地主絶縁と、
前記素線束と前記対地主絶縁の間に位置し、前記径方向に沿って設けられる第1導電層と、
前記素線束と前記対地主絶縁の間に位置し、周方向に沿って設けられる第2導電層と、
を有し、
前記第1導電層と前記第2導電層は電気的に接続され、かつ前記第1導電層は前記第2導電層よりも電気抵抗が大きいことを特徴とする回転電機。 - 請求項1に記載の回転電機において、
前記第1導電層における前記径方向に電流が流れる時、前記第1導電層と前記複数の素線導体との間の電圧が前記径方向に沿って減少するような電圧分布が生じることを特徴とする回転電機。 - 請求項1に記載の回転電機において、
前記第1導電層および前第2導電層は、電気的にフローティング状態であることを特徴とする回転電機。 - 請求項1に記載の回転電機において、
前記第2導電層は、前記複数の素線導体の内、巻き始めのターンを構成する素線導体および巻き終わりのターンを構成する素線導体における前記周方向に沿って設けられることを特徴とする回転電機。 - 請求項1に記載の回転電機において、
前記第1導電層は、前記素線束の全周に沿って設けられることを特徴とする回転電機。 - 請求項1に記載の回転電機において、
前記第1導電層は、前記第2導電層の上部において終端していることを特徴とする回転電機。 - 請求項4に記載の回転電機において、
前記第2導電層は、前記巻き始めのターンを構成する素線導体および前記巻き終わりのターンを構成する素線導体の各全周に沿って設けられることを特徴とする回転電機。 - 請求項1に記載の回転電機において、
前記第1導電層は、前記素線束の前記径方向に沿う側面にのみに沿って設けられることを特徴とする回転電機。 - 請求項1に記載の回転電機において、
前記素線束は、前記周方向に並ぶ、第1の部分と第2の部分を有し、
前記第1導電層は、前記第1の部分と前記第2の部分の間に位置することを特徴とする回転電機。 - 請求項9に記載の回転電機において、
前記第1導電層は素固め材に含まれることを特徴とする回転電機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015249708A JP2017118629A (ja) | 2015-12-22 | 2015-12-22 | 回転電機 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2015249708A JP2017118629A (ja) | 2015-12-22 | 2015-12-22 | 回転電機 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2017118629A true JP2017118629A (ja) | 2017-06-29 |
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ID=59232438
Family Applications (1)
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JP2015249708A Pending JP2017118629A (ja) | 2015-12-22 | 2015-12-22 | 回転電機 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2017118629A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2019077821A1 (ja) * | 2017-10-19 | 2019-04-25 | 株式会社日立製作所 | 回転電機 |
JP2020171073A (ja) * | 2019-04-01 | 2020-10-15 | 株式会社明電舎 | 回転機固定子絶縁構造 |
WO2021141196A1 (ko) * | 2020-01-08 | 2021-07-15 | 엘지전자 주식회사 | 회전 전기 기기의 스테이터 |
-
2015
- 2015-12-22 JP JP2015249708A patent/JP2017118629A/ja active Pending
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