JP2017116836A - 液晶表示装置およびその製造方法 - Google Patents

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若彦 金子
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Abstract

【課題】同一基板上に金属からなるブラックマトリクスと薄膜トランジスタを形成しながらも特性の向上を図ることができる液晶表示装置とその製造方法を提供する。
【解決手段】第1の基板11と第2の基板12とが液晶層13を介して互いに対向し、表示面側に配置される第1の基板13の表面上に、金属からなるブラックマトリクス14と、層間膜Mと、層間膜Mによりブラックマトリクス14から分離された薄膜トランジスタTと、薄膜トランジスタTに接続された表示電極25とが積層され、層間膜Mは、有機絶縁膜15と無機絶縁膜16が積層されたものからなっている。
【選択図】 図1

Description

この発明は、液晶表示装置およびその製造方法に係り、特に、表示面側に配置される第1の基板の表面上に金属からなるブラックマトリクスと層間膜と薄膜トランジスタと表示電極とが積層され、複数の表示部がマトリクス状に配置された液晶表示装置およびその製造方法に関する。
液晶表示装置は、薄型、軽量および低消費電力を可能にするという利点を有するため、各種の電子機器に広く利用されている。
従来の液晶表示装置は、第1の基板と第2の基板とが液晶層を介して互いに対向し、表示面側に配置される第1の基板の表面上にブラックマトリクスとカラーフィルタ層が形成され、バックライト側に配置される第2の基板の表面上に薄膜トランジスタが形成され、これら第1の基板および第2の基板を2枚の偏光板で挟んだ液晶パネルを有している。この液晶パネルに薄膜トランジスタを駆動する駆動回路とバックライトを組み合わせることで液晶表示装置が構成されている。
近年、携帯型の電子機器が広く普及しているが、これらの電子機器においては、小型でありながら高精細の画面を実現するために、表示部(画素)サイズを縮小化する必要があり、カラーフィルタ層と薄膜トランジスタとの位置合わせ精度の向上が要求されている。
そこで、例えば、特許文献1には、表示面側に配置される第1の基板の表面上にブラックマトリクスを形成した後、さらに、薄膜トランジスタとカラーフィルタ層を連続形成する、いわゆる、COA(Color filter On Array)構造を有する液晶表示装置が開示されている。薄膜トランジスタとカラーフィルタ層を、例えば、フォトリソグラフィ法を用いて同一基板上に形成することで、これら両者間の位置合わせを高精度に行うことが可能となる。
特許文献1に開示された液晶表示装置においては、液晶駆動時に発生する電界および電気信号ノイズを遮蔽するために、ブラックマトリクスを光遮蔽性の導電膜から形成してブラックマトリクスにシールド効果を具備させ、ブラックマトリクスと薄膜トランジスタの間を絶縁層で電気的に絶縁している。特許文献1では、薄膜トランジスタの下層膜となる絶縁層と薄膜トランジスタを「公知の方法」により形成すると記載されているが、一般に、この種の薄膜トランジスタの下層膜となる絶縁層は、無機膜により形成されている。
また、特許文献2にも、表示面側に配置される第1の基板の表面上にブラックマトリクスと薄膜トランジスタが形成された液晶表示装置が開示されている。さらに、ブラックマトリクスが導電性を有する場合に、ブラックマトリクスと薄膜トランジスタの間に絶縁層を形成することが望ましく、絶縁層として、薄膜トランジスタの形成時に使用されるSiNx 、SiO2 、Ta25、Al23等の無機膜の他、例えばポリイミド系樹脂膜等、種々の絶縁膜を用いることができると記載されている。
特開2012−88599号公報 特開2000−305108号公報
しかしながら、ブラックマトリクスと薄膜トランジスタの間を電気的に絶縁する絶縁層を無機膜から形成すると、一般に、無機膜は大きな比誘電率を有し、生産性の問題から膜厚を大きくすることが困難であるために、ブラックマトリクスと薄膜トランジスタの間に大きな容量が形成され、隣接する表示部の信号線間に寄生容量に起因したノイズが発生するという問題がある。
一方、ブラックマトリクスと薄膜トランジスタの間に配置される絶縁層をポリイミド系樹脂等の有機膜から形成すると、この有機膜の表面上に薄膜トランジスタの半導体を形成しなければならず、近年用いられるようになった低温成膜ポリシリコン、酸化物半導体等の高品質の半導体を高品位に結晶化させることが難しく、特性の優れた薄膜トランジスタの形成が困難になってしまう。
この発明は、このような従来の問題点を解消するためになされたもので、同一基板上に金属からなるブラックマトリクスと薄膜トランジスタを形成しながらも特性の向上を図ることができる液晶表示装置を提供することを目的とする。
また、この発明は、このような液晶表示装置の製造方法を提供することも目的としている。
この発明に係る液晶表示装置は、第1の基板と第2の基板とが液晶層を介して互いに対向し、表示面側に配置される第1の基板の液晶層側の表面上に、金属からなるブラックマトリクスと、層間膜と、層間膜によりブラックマトリクスから分離された薄膜トランジスタと、薄膜トランジスタに接続された表示電極とが積層され、複数の表示部がマトリクス状に配置された液晶表示装置であって、層間膜は、有機絶縁膜と無機絶縁膜が積層されたものからなっている。
層間膜は、薄膜トランジスタと接する側に無機絶縁膜を有することが好ましい。
好ましくは、第1の基板側に配置されたカラーフィルタ層を有している。
第1の基板側に配置された平坦化層を有することが好ましく、また、第1の基板側に配置された共通電極を有することが好ましい。
第1の基板側または第2の基板側に配置され、ブラックマトリクスから電気的に絶縁され且つブラックマトリクスと共にタッチセンサのセンサ電極を構成する対向電極を有することもできる。
有機絶縁膜は、3.5以下の比誘電率を有することが好ましく、また、有機絶縁膜は、1μm以上4μm以下の膜厚を有することが好ましい。
好ましくは、有機絶縁膜は、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリベンゾオキサゾール系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、脂環オレフィン系樹脂の少なくともいずれかを含む有機樹脂からなる。
薄膜トランジスタは、低温成膜ポリシリコンからなる半導体層、あるいは、酸化物半導体からなる半導体層を有することが好ましい。
好ましくは、液晶層は、水平配向型液晶が封入されたものである。
この発明に係る液晶表示装置の製造方法は、第1の基板の表面上に金属からなるブラックマトリクスを形成し、ブラックマトリクスを覆うように第1の基板の表面上に有機絶縁膜と無機絶縁膜が積層された層間膜を形成し、層間膜の表面上に薄膜トランジスタと薄膜トランジスタに接続された表示電極を形成する方法である。
液晶層に水平配向型液晶を封入することが好ましい。
また、有機絶縁膜を350℃以上の焼成温度で形成することが好ましい。
この発明によれば、ブラックマトリクスと薄膜トランジスタとを分離する層間膜が、有機絶縁膜と無機絶縁膜が積層されたものからなるので、同一基板上に金属からなるブラックマトリクスと薄膜トランジスタを形成しながらも特性の向上を図ることが可能となる。
この発明の実施の形態1に係る液晶表示装置の構造を示す部分断面図である。 実施の形態1に係る液晶表示装置の製造方法を示すフローチャートである。 実施の形態2に係る液晶表示装置の構造を示す部分断面図である。 実施の形態2の変形例に係る液晶表示装置の構造を示す部分断面図である。 実施の形態3に係る液晶表示装置の構造を示す部分断面図である。 実施の形態3の変形例に係る液晶表示装置の構造を示す部分断面図である。 実施の形態3の他の変形例に係る液晶表示装置の構造を示す部分断面図である。
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1
図1に実施の形態1に係る液晶表示装置の構造を示す。この液晶表示装置は、フリンジ電界を用いる、いわゆる、フリンジフィールドスイッチング(FFS)方式の液晶表示装置である。第1の基板11と第2の基板12が液晶層13を介して対向配置されている。第1の基板11および第2の基板12のうち第1の基板11が液晶表示装置の表示面側に位置するように配置される。
第1の基板11の液晶層13側の表面上には、金属からなるストライプ形状または格子形状のブラックマトリクス14が形成され、ブラックマトリクス14を覆うように第1の基板11の表面上に有機絶縁膜15が形成され、さらに、有機絶縁膜15の表面上に無機絶縁膜16が積層されている。これら有機絶縁膜15および無機絶縁膜16により層間膜Mが構成されている。
ブラックマトリクス14の配置位置に重なるように無機絶縁膜16の表面上に半導体層17が形成され、半導体層17を覆うように無機絶縁膜16の表面上にゲート絶縁膜18が形成され、ゲート絶縁膜18を介して半導体層17に対向するようにゲート絶縁膜18の上にゲート電極19が形成され、ゲート電極19を覆うようにゲート絶縁膜18の表面上に絶縁膜20が形成されている。また、半導体層17の表面に接触するようにドレイン電極21が形成されると共にこのドレイン電極21がゲート絶縁膜18および絶縁膜20を貫通して絶縁膜20の表面上に延びている。また、図1には示されていないが、ソース電極が半導体層17の表面に接触するように形成されており、半導体層17、ゲート電極19、ドレイン電極21およびソース電極により薄膜トランジスタTが構成されている。
ドレイン電極21を覆うように絶縁膜20の表面上に平坦化膜22が形成され、平坦化膜22の表面上に共通電極23が形成されている。さらに、共通電極23を覆うように平坦化膜22の表面上に絶縁膜24が形成され、絶縁膜24の表面上に表示電極25が形成されている。表示電極25は、絶縁膜20の表面上に延びるドレイン電極21に接続されると共に、絶縁膜24の表面上において櫛歯形状を有し、液晶層13に面している。
一方、第1の基板11に対向する第2の基板12の液晶層13側の表面上には、それぞれの表示部(画素)に対応してカラーフィルタ層26、27が形成されると共に、第2の基板12の全面にわたってカラーフィルタ層26、27の表面上にオーバーコート層28が形成されている。
そして、カラーフィルタ層26、27の境界部分の位置がブラックマトリクス14の配置位置に重なるように第1の基板11と第2の基板12が位置合わせされた状態で、スペーサ29を挟んで第1の基板11と第2の基板12が互いに貼り合わされている。第1の基板11側の絶縁膜24および表示電極25の表面が、スペーサ29を介して第2の基板12側のオーバーコート層28の表面に対向し、これらの間に液晶層13が形成されている。この液晶層13には、電圧無印加状態で、液晶分子が第1の基板11および第2の基板12の表面にほぼ平行に配向する水平配向型液晶が封入されている。
さらに、液晶層13とは反対方向を向いた第1の基板11の面上および第2の基板12の面上に、それぞれ、第1の偏光板P1および第2の偏光板P2が配置されている。
なお、第1の基板11および第2の基板12としては、例えば、ガラスまたは樹脂からなる透明基板を用いることができる。
ブラックマトリクス14は、透過光に対して液晶表示装置の複数の表示部の間を仕切るためのもので、遮光性を有する金属材料から形成されている。図示しないバックライトからの照明光がブラックマトリクス14の層間膜M側の表面で反射して液晶表示装置内で反射を繰り返した後に表示面側に出射することを抑制するために、ブラックマトリクス14の表面、特に、層間膜M側の表面の反射率は、低いことが望ましい。例えば、ブラックマトリクス14の表面に金属酸化膜を形成することで、反射率を低下させることができる。
ブラックマトリクス14を金属材料から形成することにより、液晶表示装置の表示面側にタッチパネルを配置した場合であっても、ブラックマトリクス14が電磁シールドとして作用し、液晶表示装置の液晶駆動時に発生する電界および電気信号ノイズがタッチパネルの動作に影響を及ぼすことが抑制される。
また、ブラックマトリクス14の形成材料を金属とすることで、高精細高精度のブラックマトリクス14を実現することができる。
ブラックマトリクス14は、金属と高屈折率膜の組み合わせにより形成することができ、材料としては、例えば、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、マグネシウム(Mg)およびそれらの合金および酸化物を用いることができる。
層間膜Mを構成する有機絶縁膜15は、3.5以下の比誘電率を有し、且つ、1μm以上4μm以下の膜厚を有することが望ましい。このような有機絶縁膜15を有する層間膜Mをブラックマトリクス14と薄膜トランジスタTの間に介在させることにより、薄膜トランジスタTは、金属からなるブラックマトリクス14から電気的に十分に分離され、隣接する表示部の信号線間に寄生容量に起因したノイズが発生することを防止することができる。
また、有機絶縁膜15に積層される無機絶縁膜16の表面上に薄膜トランジスタTの半導体層17が配置されるので、半導体層17の形成時に無機絶縁膜16を通して有機絶縁膜15に熱が伝わり、有機絶縁膜15が高温状態になる。このため、有機絶縁膜15は、半導体層17の形成温度に対して耐熱性を有することが望ましく、例えば、350℃以上の焼成温度で形成されるものであることが好ましい。
有機絶縁膜15の形成材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリベンゾオキサゾール系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、脂環オレフィン系樹脂の少なくともいずれかを含む有機樹脂を用いることができる。
層間膜Mの無機絶縁膜16は、薄膜トランジスタTの下層膜となるもので、例えば、
窒化珪素(SiNx)、酸化珪素(SiO2)、酸窒化珪素(SiONx)、酸化タンタル(Ta25)、酸化アルミニウム(Al23)等から形成される。層間膜Mが、薄膜トランジスタTと接する側に無機絶縁膜16を有することで、半導体層17の結晶化を良好に行うことができる。
薄膜トランジスタTの半導体層17の形成材料としては、低温による結晶化が可能で且つ高速駆動に適した低温成膜ポリシリコン(LTPS、Low Temperature Poly Silicon)が好ましいが、これに限定されるものではなく、In-Sn-Zn-O、In-Ga-Zn-O、Zn-O、In-Zn-O等の酸化物半導体を用いることもできる。
ゲート電極19、ドレイン電極21および図示しないソース電極の形成材料としては、アルミニウム、銅等の金属、およびそれらの合金、並びに積層体を用いることができる。酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛アルミニウム(AZO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)等の透明な導電材料を用いてもよい。また、低温成膜ポリシリコンを用いてもよい。
ゲート絶縁膜18、絶縁膜20および24は、例えば、窒化珪素(SiNx)、酸化珪素(SiO2 、酸化タンタル(Ta25)、酸化アルミニウム(Al23)等から形成することができる。
平坦化膜22は、薄膜トランジスタTの形成により生じる凹凸を緩和して平坦化するためのものであり、平坦化膜22の形成材料として、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、スチレン樹脂、ノボラック樹脂、シロキサン樹脂、ポリイミド樹脂等の公知の絶縁材料を用いることができる。また、これらのうちいずれかの樹脂にラジカル重合性モノマーとラジカル開始剤とを混合した材料、あるいは、いずれかの樹脂にカチオン重合性モノマーとカチオン開始剤とを混合することで硬化性組成物とした材料を用いることもできる。さらに、ラジカル重合性モノマーまたはカチオン重合性モノマーと開始剤との混合組成物を使用することも可能である。
共通電極23および表示電極25の形成材料としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛アルミニウム(AZO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)等の透明な導電材料を用いることが望ましい。
このような構成を有する実施の形態1の液晶表示装置は、図2のフローチャートに示される方法に従って製造することができる。
まず、ステップS1で、フォトリソグラフィ法等を用いて、第1の基板11の表面上に金属からなるブラックマトリクス14を形成する。次に、ステップS2で、ブラックマトリクス14を覆うように第1の基板11の表面上に有機絶縁膜15を形成する。このとき、有機絶縁膜15は、例えば、350℃以上の焼成温度で形成される。さらに、ステップS3で、スパッタ法等により有機絶縁膜15の表面上に無機絶縁膜16を形成する。これにより、有機絶縁膜15と無機絶縁膜16とが積層された層間膜Mが形成される。
次に、ステップS4で、ブラックマトリクス14の配置位置に合わせて層間膜Mの上に薄膜トランジスタTを形成する。薄膜トランジスタTを形成するには、まず、無機絶縁膜16の表面上に、例えば、アモルファスシリコンを成膜した後、微量イオンをドープ、脱水素処理とレーザアニール処理により結晶化した後、所定の形状にパターニングして半導体層17を形成する。そして、半導体層17を覆うように無機絶縁膜16の表面上にゲート絶縁膜18を形成し、ゲート絶縁膜18の上にゲート電極19を形成する。ゲート電極19をマスクとして、図示しないLDD(Lightly Doped Drain)領域を形成するためのイオンドーピング処理を行い、ゲート電極19を覆うようにゲート絶縁膜18の表面上に絶縁膜20を成膜し、絶縁膜20にコンタクトホールを形成した後、半導体層17に接触すると共に絶縁膜20の表面上に延びるドレイン電極21を形成する。さらに、半導体層17の表面に接触するように図示しないソース電極を形成することで薄膜トランジスタTが形成される。
このような薄膜トランジスタTは、例えば、フォトリソグラフィ法を用いて形成することができる。フォトリソグラフィ材料にはネガ型およびポジ型があるが、いずれの材料も好適に用いることが可能である。
その後、ステップS5で、ドレイン電極21を覆うように絶縁膜20の表面上に平坦化膜22を形成し、平坦化膜22の表面上に共通電極23を形成し、共通電極23を覆うように平坦化膜22の表面上に絶縁膜24を形成し、ドレイン電極21の表面に接触すると共に絶縁膜24の表面上で櫛歯状に延びる表示電極25を形成する。
共通電極23および表示電極25は、酸化インジウムスズ(ITO)等の透明な導電材料をスパッタ法等により形成した後、エッチングを施すことで形成することができる。
別途、公知の方法により、第2の基板12の表面上に、カラーフィルタ層26および27を形成し、さらに、第2の基板12の全面にわたってカラーフィルタ層26および27の表面上にオーバーコート層23を形成する。
そして、ステップS6で、第1の基板11と第2の基板12に図示しない配向膜を設け、配向処理を行い、第1の基板11側の絶縁膜24および表示電極25の表面と第2の基板12側のオーバーコート層28の表面が互いに対向すると共に、第2の基板12側のカラーフィルタ層26、27の境界部分の位置が第1の基板11側のブラックマトリクス14の配置位置に重なるように第1の基板11と第2の基板12を配置し、スペーサ29を挟んで第1の基板11と第2の基板12を互いに貼り合わせる。
さらに、ステップS7で、第1の基板11と第2の基板12の間に水平配向型液晶を封入し、第1の基板11と第2の基板12の互いに外方を向いた表面上にそれぞれ第1の偏光板P1および第2の偏光板P2を接合することで、実施の形態1に係る液晶表示装置が製造される。
液晶表示装置の動作時には、それぞれの表示部(画素)において、共通電極23に共通の一定電位が印加されると共に図示しないソース電極に画像信号が供給され、ゲート電極19に電圧を印加して薄膜トランジスタTをオン状態にすると、ソース電極がドレイン電極21を介して表示電極25に接続され、表示電極25に画像信号が供給される。これにより、櫛歯形状の表示電極25と共通電極23との間に電界が生成され、液晶層13の液晶分子が、第1の基板11および第2の基板12と平行な面内で回転駆動される。その結果、それぞれの表示部内の液晶層13が対応する画像信号に応じた透過率を有することとなる。
有機絶縁膜15を有する層間膜Mがブラックマトリクス14と薄膜トランジスタTの間に配置されているので、ブラックマトリクス14が金属から形成されていても、薄膜トランジスタTをブラックマトリクス14から電気的に十分に分離することができ、隣接する表示部の信号線間に寄生容量に起因したノイズが発生することを防止することが可能となる。
また、層間膜Mが、薄膜トランジスタTと接する側に無機絶縁膜16を有するので、無機絶縁膜16の表面上に半導体を良好に結晶化させて半導体層17を形成することができる。
実施の形態2
図3に実施の形態2に係る液晶表示装置の構造を示す。この液晶表示装置は、図1に示した実施の形態1の液晶表示装置において、カラーフィルタ層26および27とオーバーコート層28を第2の基板12側に配置する代わりに、第1の基板11側にカラーフィルタ層26および27を配置したものである。
第1の基板11側において、絶縁膜20の表面上にカラーフィルタ層26および27が形成され、カラーフィルタ層26および27の表面上に平坦化膜22が形成されている。これにより、第1の基板11側に、薄膜トランジスタTとカラーフィルタ層26および27を連続形成する、いわゆる、COA(Color filter On Array)構造が形成されている。
このようなCOA構造を採用することにより、薄膜トランジスタTとカラーフィルタ層26および27を、例えば、フォトリソグラフィ法を用いて連続的に形成することができ、薄膜トランジスタTとカラーフィルタ層26および27の間の位置合わせ精度が向上する。その結果、微細化された表示部を有する液晶表示装置を実現することが可能となる。
第2の基板12側にカラーフィルタ層26および27が存在しないことから、貼り合わせ時に第1の基板11と第2の基板12の間に高精度の位置合わせ精度を要求する必要がなくなる。
図3に示した実施の形態2に係る液晶表示装置では、平坦化膜22の表面上に共通電極23が配置され、共通電極23を覆うように平坦化膜22の表面上に形成された絶縁膜24の表面上に表示電極25が配置されているが、図4に示されるように、薄膜トランジスタTのドレイン電極21およびカラーフィルタ層26,27を覆うように表示電極30を形成し、表示電極30の上に平坦化膜31を形成して、平坦化膜31の表面上に櫛歯形状の共通電極32を形成することもできる。
平坦化膜31は、表示電極30と共通電極32の間に介在する絶縁膜を兼ねているので、表示電極30と共通電極32の間に容量を形成するために、高い比誘電率を有する絶縁性の材料から形成されることが望ましい。平坦化膜31の形成材料として、例えば、公知の高誘電率材料を微粒子化して、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、スチレン樹脂、ノボラック樹脂、シロキサン樹脂、ポリイミド樹脂等の公知の絶縁材料に分散したものを用いることができる。絶縁材料としては、上記の樹脂のうちいずれかの樹脂にラジカル重合性モノマーとラジカル開始剤とを混合した材料、あるいは、いずれかの樹脂にカチオン重合性モノマーとカチオン開始剤とを混合することで硬化性組成物とした材料を用いることもできる。さらに、ラジカル重合性モノマーまたはカチオン重合性モノマーと開始剤との混合組成物を使用することも可能である。
また、微粒子化する高誘電率材料としては、金属、金属酸化物、有機金属化合物等を挙げることができ、例えば、銀微粒子を分散した絶縁材料の使用が好ましい。
図4に示した液晶表示装置は、図3の液晶表示装置に比べて、平坦化膜22および絶縁膜24の2層構造を1層の平坦化膜31のみで構成しているので、製造工程の簡素化を図ることができる。
実施の形態3
図5に実施の形態3に係る液晶表示装置の構造を示す。この液晶表示装置は、図1に示した実施の形態1の液晶表示装置において、第1の基板11の液晶層13とは反対側の表面上、すなわち、第1の基板11と第1の偏光板P1の間に形成された対向電極33を有するものである。対向電極33は、導電性材料から形成されると共にブラックマトリクス14から電気的に絶縁されており、金属からなるブラックマトリクス14と共にタッチセンサのセンサ電極を構成している。
例えば、ブラックマトリクス14を所定の方向に延びるストライプ形状に形成し、対向電極33をブラックマトリクス14に対して直交する方向に延びるストライプ形状に形成することで、第1の基板11の全面にわたって第1の基板11を挟んで格子状に配列された静電容量式タッチセンサのセンサ電極を形成することができる。なお、対向電極33は、ブラックマトリクス14に対して直交する方向に限らず、交差する方向に延びていてもよく、また、ブラックマトリクス14および対向電極33はストライプ形状に限るものではない。
対向電極33は、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛アルミニウム(AZO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)等の透明な導電材料を用いて形成することができ、あるいは、特開2013−149236号公報に開示されているような金属細線を用いて形成することもできる。
このような対向電極33を形成して、ブラックマトリクス14および対向電極33でセンサ電極を構成することにより、タッチセンサ機能を備えた液晶表示装置を実現することが可能となる。液晶表示装置とタッチパネルをそれぞれ独立して形成し、液晶表示装置の表示面上にタッチパネルを配置する場合に比べて、薄型のタッチセンサ機能付き液晶表示装置を構成することができる。
対向電極33を第1の基板11の液晶層13とは反対側の表面上に配置する代わりに、図6に示されるように、第1の基板11側の共通電極23の表面上に金属または酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛アルミニウム(AZO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)等の透明な導電材料からなる対向電極34を形成し、ブラックマトリクス14と対向電極34によりタッチセンサのセンサ電極を構成することもできる。また、対向電極34を絶縁膜20と平坦化膜22の間に形成することも可能である。
対向電極34は、第1の基板11側に限らず、図7に示されるように、第2の基板12側に配置することもできる。図7の液晶表示装置では、第2の基板12の液晶層13側の表面上で且つカラーフィルタ26および27の境界部分に対応する位置に対向電極34が形成されている。このような対向電極34とブラックマトリクス14によってもタッチセンサのセンサ電極を構成することが可能となる。
その他の実施の形態としては、上記の実施の形態1および2において、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、および共通電極のうち少なくとも1つを、タッチセンサのセンサ電極を兼ねるように構成することもできる。また、上記の実施の形態3において、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、および共通電極のうち少なくとも1つを、対向電極34を兼ねるように形成し、金属からなるブラックマトリクス14と共にタッチセンサのセンサ電極を構成することもできる。
さらに、対向電極34を設けずに、図1に示した実施の形態1の構成において、ブラックマトリクス14によりシングルレイヤータッチセンサ電極を構成することもできる。
なお、上記の実施の形態1〜3では、フリンジフィールドスイッチング(FFS)方式の液晶表示装置について説明したが、この発明は、第1の基板側にブラックマトリクスと薄膜トランジスタと表示電極が配置された各種の液晶表示装置に適用することができる。
11 第1の基板、12 第2の基板、13 液晶層、14 ブラックマトリクス、15 有機絶縁膜、16 無機絶縁膜、17 半導体層、18 ゲート絶縁膜、19 ゲート電極、20,24 絶縁膜、21 ドレイン電極、22,31 平坦化膜、23,32 共通電極、25,30 表示電極、26,27 カラーフィルタ層、28 オーバーコート層、29 スペーサ、33,34 対向電極、M 層間膜、T 薄膜トランジスタ、P1 第1の偏光板、P2 第2の偏光板。

Claims (15)

  1. 第1の基板と第2の基板とが液晶層を介して互いに対向し、表示面側に配置される前記第1の基板の前記液晶層側の表面上に、金属からなるブラックマトリクスと、層間膜と、前記層間膜により前記ブラックマトリクスから分離された薄膜トランジスタと、前記薄膜トランジスタに接続された表示電極とが積層され、複数の表示部がマトリクス状に配置された液晶表示装置であって、
    前記層間膜は、有機絶縁膜と無機絶縁膜が積層されたものからなることを特徴とする液晶表示装置。
  2. 前記層間膜は、前記薄膜トランジスタと接する側に前記無機絶縁膜を有する請求項1に記載の液晶表示装置。
  3. 前記第1の基板側に配置されたカラーフィルタ層を有する請求項1または2に記載の液晶表示装置。
  4. 前記第1の基板側に配置された平坦化層を有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
  5. 前記第1の基板側に配置された共通電極を有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
  6. 前記第1の基板側または前記第2の基板側に配置され、前記ブラックマトリクスから電気的に絶縁され且つ前記ブラックマトリクスと共にタッチセンサのセンサ電極を構成する対向電極を有する請求項1〜5のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
  7. 前記有機絶縁膜は、3.5以下の比誘電率を有する請求項1〜6のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
  8. 前記有機絶縁膜は、1μm以上4μm以下の膜厚を有する請求項1〜7のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
  9. 前記有機絶縁膜は、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリベンゾオキサゾール系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、脂環オレフィン系樹脂の少なくともいずれかを含む有機樹脂からなる請求項1〜8のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
  10. 前記薄膜トランジスタは、低温成膜ポリシリコンからなる半導体層を有する請求項1〜9のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
  11. 前記薄膜トランジスタは、酸化物半導体からなる半導体層を有する請求項1〜9のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
  12. 前記液晶層は、水平配向型液晶が封入されたものである請求項1〜11のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
  13. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の液晶表示装置を製造する方法であって、
    前記第1の基板の表面上に金属からなる前記ブラックマトリクスを形成し、
    前記ブラックマトリクスを覆うように前記第1の基板の表面上に前記有機絶縁膜と前記無機絶縁膜が積層された前記層間膜を形成し、
    前記層間膜の表面上に前記薄膜トランジスタと前記薄膜トランジスタに接続された前記表示電極を形成する
    ことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
  14. 前記液晶層に水平配向型液晶を封入する請求項13に記載の液晶表示装置の製造方法。
  15. 前記有機絶縁膜を350℃以上の焼成温度で形成する請求項13または14に記載の液晶表示装置の製造方法。
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