JP2017116504A - 燃料貯蔵ピット用制御棒集合体 - Google Patents

燃料貯蔵ピット用制御棒集合体 Download PDF

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Kenji Takano
賢治 高野
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Yasuhiro Harada
康弘 原田
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大介 左藤
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和裕 服部
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Abstract

【課題】燃料貯蔵ピット用制御棒集合体において、核燃料の貯蔵における安全性の向上を図る。
【解決手段】矩形状をなして複数の貫通孔72が形成される支持板61と、基端部が支持板61における一方の平面部の中心位置に連結される支持ロッド62と、支持ロッド62の他端部に連結されて支持板61に略平行をなす吊り棒63と、支持板61における他方の平面部側に装着されて中性子吸収材が充填される複数の制御棒65とを設ける。
【選択図】図1

Description

本発明は、原子炉で使用する核燃料を燃料貯蔵ピットへ一時的に貯蔵する時に使用される燃料貯蔵ピット用制御棒集合体に関するものである。
原子力発電プラントの一つとして、加圧水型原子炉を有するプラントがあり、この加圧水型原子炉は、軽水を原子炉冷却材及び中性子減速材として使用し、一次系全体にわたって沸騰しない高温高圧水とし、この高温高圧水を蒸気発生器に送って熱交換により蒸気を発生させるものであり、この蒸気をタービン発電機へ送って発電することができる。
このような原子力発電プラントは、原子炉建屋に燃料貯蔵ピットが設けられており、この燃料貯蔵ピットは、燃料プール内に複数の燃料を立てた状態で収納可能な燃料ラックが設置されて構成されている。そのため、燃料貯蔵ピットは、原子炉装荷前の新燃料や原子炉内の使用済燃料などを取り出して燃料ラック内に一時的に貯蔵可能であり、また、燃料ラック内に貯蔵された使用済燃料や新燃料を原子炉内に装荷可能となっている。
ところで、新燃料や原子炉内の使用済燃料は、燃料ラックに収納された状態で、燃料プールに貯留された冷却水に浸漬された状態で維持されている。このような技術として、例えば、下記特許文献1に記載されたものがある。
特開2013−195164号公報
従来の燃料貯蔵ピットでは、使用済燃料を燃料プール内の冷却水に浸漬することで、冷却すると共に、核分裂連鎖反応が定常的に持続する臨界を阻止している。ところが、地震などで燃料プールが破損し、燃料プールから冷却水が漏洩すると、燃料貯蔵ピットに貯蔵されている燃料が臨界に至る可能性が生じ、安全性を担保することが困難となる。
本発明は上述した課題を解決するものであり、核燃料の貯蔵における安全性の向上を図る燃料貯蔵ピット用制御棒集合体を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するための本発明の燃料貯蔵ピット用制御棒集合体は、燃料貯蔵ピットに収納される燃料集合体に対して挿入される燃料貯蔵ピット用制御棒集合体において、矩形状をなして複数の貫通孔が形成される支持板と、基端部が前記支持板における一方の平面部の中心位置に連結される支持ロッドと、前記支持ロッドの他端部に連結されて前記支持板に略平行をなす吊り具と、前記支持板における他方の平面部側に装着されて中性子吸収材が充填される複数の制御棒と、を備えることを特徴とするものである。
従って、支持板と支持ロッドと吊り具と複数の制御棒により燃料貯蔵ピット用制御棒集合体が構成されることで、構造の簡素化、軽量化、低コスト化を図ることができると共に、この燃料貯蔵ピット用制御棒集合体が装荷された核燃料を燃料貯蔵ピットに配置することで、この核燃料の未臨界状態を維持することができ、核燃料の貯蔵における安全性の向上を図ることができる。
本発明の燃料貯蔵ピット用制御棒集合体では、前記吊り具は、上面が平面形状をなすことを特徴としている。
従って、吊り具の上面を平面形状とすることで、燃料貯蔵ピット用制御棒集合体が装荷された核燃料を燃料貯蔵ピットに配置したとき、上方へ突出するものがなくなり、燃料貯蔵ピットに対する核燃料の出し入れを容易に行うことができる。
本発明の燃料貯蔵ピット用制御棒集合体では、前記支持板は、前記燃料貯蔵ピットに収納される燃料集合体に当接して鉛直方向の位置決めがなされることを特徴としている。
従って、燃料貯蔵ピット用制御棒集合体を上方から燃料集合体に挿入するとき、支持板がこの燃料集合体に当接して鉛直方向の位置決めがなされることとなり、燃料集合体に対して燃料貯蔵ピット用制御棒集合体を適正位置に容易に位置決めすることができる。
本発明の燃料貯蔵ピット用制御棒集合体では、前記支持ロッドと前記吊り具は、前記複数の制御棒の長手方向に移動自在に連結され、前記支持板と前記吊り具とが離間する方向に付勢する付勢部材が設けられることを特徴としている。
従って、吊り具を用いて燃料貯蔵ピット用制御棒集合体を上方から燃料集合体に挿入し、燃料貯蔵ピット用制御棒集合体が燃料集合体に当接して鉛直方向の位置決めがなされるとき、制御棒に対して吊り具が付勢部材を圧縮して相対移動することとなり、制御棒と燃料集合体との当接によるショックを軽減することができる。
本発明の燃料貯蔵ピット用制御棒集合体では、前記支持ロッドと前記吊り具は、移動不能に連結されることを特徴としている。
従って、支持ロッドと吊り具を移動不能に連結することで、構造の簡素化、軽量化、低コスト化を図ることができる。
本発明の燃料貯蔵ピット用制御棒集合体では、前記制御棒は、中空管内に銀とインジウムとカドミウムの合金が充填されて構成されることを特徴としている。
従って、制御棒により中性子を適正に吸収して核燃料の未臨界状態を十分に維持することができる。
本発明の燃料貯蔵ピット用制御棒集合体では、前記制御棒は、中空管内に炭化ホウ素が充填されて構成されることを特徴としている。
従って、制御棒により中性子を適正に吸収して核燃料の未臨界状態を十分に維持することができる。
本発明の燃料貯蔵ピット用制御棒集合体では、前記制御棒は、中空管内に炭化ホウ素と酸化アルミニウムとが充填されて構成されることを特徴としている。
従って、制御棒により中性子を適正に吸収して核燃料の未臨界状態を十分に維持することができる。
本発明の燃料貯蔵ピット用制御棒集合体では、前記制御棒は、中空管内にホウケイ酸ガラスが充填されて構成されることを特徴としている。
従って、制御棒により中性子を適正に吸収して核燃料の未臨界状態を十分に維持することができる。
本発明の燃料貯蔵ピット用制御棒集合体では、前記制御棒は、中空管内にハフニウムが充填されて構成されることを特徴としている。
従って、制御棒により中性子を適正に吸収して核燃料の未臨界状態を十分に維持することができる。
本発明の燃料貯蔵ピット用制御棒集合体によれば、支持板と支持ロッドと吊り具と複数の制御棒により構成することで、構造の簡素化、軽量化、低コスト化を図ることができると共に、燃料貯蔵ピットに収納される核燃料の未臨界状態を維持することができ、核燃料の貯蔵における安全性の向上を図ることができる。
図1は、第1実施形態の燃料貯蔵ピット用制御棒集合体を表す正面図である。 図2は、第1実施形態の燃料貯蔵ピット用制御棒集合体を表す平面図である。 図3は、原子力発電プラントを表す概略構成図である。 図4は、原子炉建屋を表す概略図である。 図5は、第2実施形態の燃料貯蔵ピット用制御棒集合体を表す正面図である。
以下に添付図面を参照して、本発明に係る燃料貯蔵ピット用制御棒集合体の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
[第1実施形態]
図3は、原子力発電プラントを表す概略構成図、図4は、原子炉建屋を表す概略図である。
第1実施形態の原子力発電プラントに適用された原子炉は、軽水を原子炉冷却材及び中性子減速材として使用し、一次系全体にわたって沸騰しない高温高圧水とし、この高温高圧水を蒸気発生器に送って熱交換により蒸気を発生させ、この蒸気をタービン発電機へ送って発電する加圧水型原子炉(PWR:Pressurized Water Reactor)である。
加圧水型原子炉を有する原子力発電プラントにおいて、図3に示すように、原子炉格納容器11内には、加圧水型原子炉12及び蒸気発生器13が格納されており、この加圧水型原子炉12と蒸気発生器13とは冷却水配管14,15を介して連結されており、冷却水配管14に加圧器16が設けられ、冷却水配管15に冷却水ポンプ17が設けられている。この場合、減速材及び一次冷却水として軽水を用い、炉心部における一次冷却水の沸騰を抑制するために、一次冷却系統は加圧器16により160気圧程度の高圧状態を維持するように制御している。従って、加圧水型原子炉12にて、核燃料として低濃縮ウランまたはMOXにより一次冷却水として軽水が加熱され、高温の一次冷却水が加圧器16により所定の高圧に維持された状態で冷却水配管14を通して蒸気発生器13に送られる。この蒸気発生器13では、高温高圧の一次冷却水と二次冷却水との間で熱交換が行われ、冷やされた一次冷却水は冷却水配管15を通して加圧水型原子炉12に戻される。
蒸気発生器13は、原子炉格納容器11の外部に設けられたタービン18及び復水器19と冷却水配管20,21を介して連結されており、冷却水配管21に給水ポンプ22が設けられている。また、タービン18には発電機23が接続され、復水器19には冷却水(例えば、海水)を給排する取水管24及び排水管25が連結されている。従って、蒸気発生器13にて、高圧高温の一次冷却水と熱交換を行って生成された蒸気は、冷却水配管20を通してタービン18に送られ、この蒸気によりタービン18を駆動して発電機23により発電を行う。タービン18を駆動した蒸気は、復水器19で冷却された後、冷却水配管21を通して蒸気発生器13に戻される。
このように構成された原子力発電プラントの原子炉格納容器11は、図4に示すように、原子炉建屋31内に収容されている。原子炉建屋31は、岩盤などの堅固な地盤32上に設置されており、鉄筋コンクリートなどにより内部に複数のコンパートメントが区画され、中央部に原子炉格納容器11が設置されている。そして、原子炉格納容器11は、内部にコンクリート構造物33が形成され、このコンクリート構造物33により加圧水型原子炉12が垂下して支持され、下方に位置してキャビティ34が画成されている。
また、原子炉建屋31は、原子炉格納容器11に隣接して燃料取扱建屋35が設置され、この燃料取扱建屋35内に燃料貯蔵ピット36が設けられている。この燃料貯蔵ピット36は、燃料プール37と、この燃料プール37の内部に設置される燃料ラック38とから構成されている。燃料ラック38は、加圧水型原子炉12で使用された使用済の核燃料、または、これから加圧水型原子炉12で使用する新しい核燃料を一時的に貯蔵するものである。燃料プール37は、冷却水が貯留されており、燃料ラック38に貯蔵された核燃料は、この燃料プール37内の冷却水に浸漬されて冷却される。ここで、核燃料とは、燃料集合体である。
また、原子炉建屋31にて、原子炉格納容器11内に天井クレーン39が設けられると共に、オペレーションフロアに移動式クレーン40が設けられている。一方、燃料取扱建屋35に天井クレーン41が設けられている。燃料取扱設備は、この天井クレーン39と移動式クレーン40と天井クレーン41により構成され、加圧水型原子炉12と燃料貯蔵ピット36との間で燃料の搬送を行うことができる。
そして、加圧水型原子炉12で使用される核燃料は、所定の使用期間が経過すると、燃料貯蔵ピット36における燃料プール37内の燃料ラック38に取出される。このとき、作業者は、燃料取扱設備(各クレーン39,40,41)を作動することで、加圧水型原子炉12内の核燃料を燃料ラック38に搬送する。
炉心を構成する燃料集合体は、複数の燃料棒が複数のグリッド(支持格子)により格子状に束ねられ、上端部に上部ノズルが固定される一方、下端部に下部ノズルが固定されて構成されている。燃料集合体は、複数の燃料棒の間に複数の制御棒が挿入可能となっている。複数の制御棒は、上端部がまとめられて制御棒集合体が構成されている。そのため、原子炉では、燃料棒を構成する原子燃料が核分裂することで中性子を放出し、減速材及び一次冷却水としての軽水が、放出された高速中性子の運動エネルギを低下させて熱中性子とし、新たな核分裂を起こしやすくすると共に、発生した熱を奪って冷却する。一方、制御棒集合体により制御棒を燃料集合体に挿入することで、炉心内で生成される中性子数を調整し、また、制御棒を燃料集合体に全て挿入することで、原子炉を停止することができる。
上述したように、燃料貯蔵ピット36では、使用済の核燃料が燃料ラック38に収納され、この燃料ラック38が燃料プール37内に設置されている。そのため、使用済の核燃料は、冷却水に浸漬して冷却されると共に、発生する中性子が冷却水により減速され、吸収されることで未臨界状態が維持されている。ところが、地震などで燃料プール37が破損し、この燃料プール37から冷却水が漏洩すると、使用済の核燃料を冷却することができず、また、臨界への到達を未然に防止することが困難となる可能性が生じる。
そこで、本実施形態では、燃料プール37に収容されている使用済の核燃料、つまり、燃料集合体に対して燃料貯蔵ピット用制御棒集合体を挿入しておくことで、冷却水が漏洩しても、使用済の核燃料における臨界への到達を未然に防止するようにしている。この場合、原子炉に配置されている燃料集合体に対して、制御棒集合体を抜き差し可能としているが、この原子炉用の制御棒集合体は高価であり、本実施形態の燃料貯蔵ピット用制御棒集合体は、構造の簡素化、軽量化、低コスト化を図ったものである。
図1は、第1実施形態の燃料貯蔵ピット用制御棒集合体を表す正面図、図2は、第1実施形態の燃料貯蔵ピット用制御棒集合体を表す平面図である。
第1実施形態において、図1及び図2に示すように、燃料集合体50は、前述したように、複数の燃料棒が複数のグリッド(支持格子)51により格子状に束ねられ、上端部に上部ノズル52が固定される一方、下端部に下部ノズル(図示略)が固定されて構成されている。また、燃料集合体50は、複数の燃料棒の間に後述する複数の制御棒65が挿入可能な制御棒案内管(図示略)が複数設けられている。
燃料貯蔵ピット用制御棒集合体60は、支持板61と、支持ロッド62と、吊り棒(吊り具)63と、圧縮コイルスプリング(付勢部材)64と、複数の制御棒65とから構成されている。
支持板61は、所定厚さで平面視が正方形状(矩形状)なす板材であって、複数の制御棒65の上端部を支持する複数の取付孔71が形成されている。また、支持板61は、複数の取付孔71の間に冷却水が流通するための複数の貫通孔72が形成されると共に、各外周辺に切欠凹部73がそれぞれ形成されている。
支持ロッド62は、円筒形状をなし、下端部(基端部)が支持板61における上面部(一方の平面部)の中心位置に貫通し、溶接により連結されている。この場合、支持ロッド62は、支持板61に対して直交する方向に連結されている。吊り棒63は、連結リング74の外周部に棒形状をなす2本のロッド部75が固定されて構成されている。この2本のロッド部75は、連結リング74の両側で一直線上をなしている。なお、吊り棒63は、2本のロッド部75からなるものに限定するものではなく、1本のロッド部により構成してもよい。
そして、支持ロッド62は、上端部(他端部)が吊り棒63の連結リング74に嵌入し、軸方向に移動自在に支持されている。但し、支持ロッド62は、他端部が吊り棒63の連結リング74から抜け止めされ、吊り棒63に対して周方向に回動不能となっている。この場合、吊り棒63は、支持ロッド62に対して直交する方向に連結されることで、支持板61に略平行をなしている。また、吊り棒63は、支持板61の外周辺に対して水平方向に所定角度傾斜して配置され、各ロッド部75は、厚さが一定となっている。
圧縮コイルスプリング64は、支持ロッド62の周囲に巻かれており、一端部が支持板61の上面部を押圧し、他端部が吊り棒63を押圧している。そのため、圧縮コイルスプリング64は、支持板61に対して吊り棒63が離間する方向に付勢力が作用している。この状態で、吊り棒63は、支持ロッド62の上端面を含めて上面が平面形状をなしている。なお、1個の圧縮コイルスプリング64を支持板61と吊り棒63の間に介装したが、長さ、径、巻き数など異なる複数の圧縮コイルスプリングを介装してもよい。また、付勢部材としては、圧縮コイルスプリング64に限るものではない。
制御棒65は、下端部が先細形状をなし、上端部がおねじ形状をなしている。複数の制御棒65は、所定間隔を空けて配置され、上端部が支持板61における下面部(他方の平面部)側から各取付孔71を貫通し、ナット76により固定されている。制御棒65は、内部に中性子吸収材が充填されて構成されている。
即ち、制御棒65は、中空形状をなす被覆管としてのステンレス鋼管内に、中性子吸収材としての銀とインジウムとカドミウムの合金(Ag+In+Ca)が充填されて構成されている。そして、制御棒65は、原子炉内で用いられることを想定しておらず、燃料集合体またはガイド構造物に対して、振動による摩耗を考慮する必要がないことから、表面に耐摩耗性を目的としたクロムメッキを施す必要はない。
なお、中性子吸収材としては、銀とインジウムとカドミウムの合金(Ag+In+Ca)に限らず、例えば、炭化ホウ素(BC)、炭化ホウ素とアルミナ(酸化アルミニウム)の混合体、ホウケイ酸ガラス、ハフニウム、ボロンなどを用いてもよい。この場合、中性子吸収材をペレット状に成形して被覆管内に入れてもよいし、粉体のまま被覆管内に充填してもよい。
このように構成された燃料貯蔵ピット用制御棒集合体60を燃料貯蔵ピットに収納された燃料集合体50内に挿入するとき、クレーンから垂下した取扱い工具の構造物が燃料貯蔵ピット用制御棒集合体60の吊り棒63を係止して吊上げ、燃料貯蔵ピット用制御棒集合体60を燃料貯蔵ピットの上方に移動する。そして、燃料貯蔵ピット用制御棒集合体60を下降し、各制御棒65を燃料集合体50の各制御棒案内管内に挿入する。この燃料貯蔵ピット用制御棒集合体60の下降時、支持板61の下面部が燃料集合体50における上部ノズル52の上面部に当接することで、燃料集合体50に対する燃料貯蔵ピット用制御棒集合体60の鉛直方向の位置決めがなされる。
そのため、燃料貯蔵ピットの燃料プール内に収納された複数の燃料集合体50は、内部に燃料貯蔵ピット用制御棒集合体60が挿入されることとなる。そして、地震などで燃料プール37が破損し、この燃料プール37から冷却水が漏洩しても、燃料集合体50における各燃料棒の間に燃料貯蔵ピット用制御棒集合体60の各制御棒65が配置されていることから、燃料棒からの中性子が制御棒65により吸収されることとなり、臨界への到達が未然に防止される。
なお、燃料プールは、内部に複数の燃料集合体50を収納しているが、燃料集合体50は、既に原子炉制御用の制御棒クラスタが挿入されているものと挿入されていないものがある。そこで、本実施形態では、制御棒クラスタが挿入されていない燃料集合体50に対して、燃料貯蔵ピット用制御棒集合体60を挿入する。この場合、制御棒集合体が挿入されていない全ての燃料集合体50に燃料貯蔵ピット用制御棒集合体60を挿入してもよいし、一部の燃料集合体50に燃料貯蔵ピット用制御棒集合体60を挿入してもよい。
このように第1実施形態の燃料貯蔵ピット用制御棒集合体にあっては、矩形状をなして複数の貫通孔72が形成される支持板61と、基端部が支持板61における一方の平面部の中心位置に連結される支持ロッド62と、支持ロッド62の他端部に連結されて支持板61に略平行をなす吊り棒63と、支持板61における他方の平面部側に装着されて中性子吸収材が充填される複数の制御棒65とを設けている。
従って、支持板61と支持ロッド62と吊り棒63と複数の制御棒65により燃料貯蔵ピット用制御棒集合体60が構成されることで、構造の簡素化、軽量化、低コスト化を図ることができる。また、この燃料貯蔵ピット用制御棒集合体60を燃料集合体50が収容されている燃料貯蔵ピットに配置することで、この燃料集合体50の核燃料の未臨界状態を維持することができ、核燃料の貯蔵における安全性の向上を図ることができる。
第1実施形態の燃料貯蔵ピット用制御棒集合体では、吊り棒63の上面を平面形状としている。従って、燃料貯蔵ピット用制御棒集合体60を燃料集合体50が収容されている燃料貯蔵ピットに配置したとき、上方へ突出するものがなくなり、燃料貯蔵ピットに対する燃料集合体50の出し入れを容易に行うことができる。
第1実施形態の燃料貯蔵ピット用制御棒集合体では、支持板61が燃料貯蔵ピットに収納される燃料集合体50に当接して鉛直方向の位置決めがなされる。従って、燃料貯蔵ピット用制御棒集合体60を上方から燃料集合体50に挿入するとき、支持板61がこの燃料集合体50の上部ノズル52に当接して鉛直方向の位置決めがなされることとなり、燃料集合体50に対して燃料貯蔵ピット用制御棒集合体60を適正位置に容易に位置決めすることができる。
第1実施形態の燃料貯蔵ピット用制御棒集合体では、支持ロッド61と吊り棒63を複数の制御棒65の長手方向に移動自在に連結し、支持板61と吊り棒63とが離間する方向に付勢する圧縮コイルスプリング64を設けている。従って、吊り棒63を用いて燃料貯蔵ピット用制御棒集合体60を上方から燃料集合体50に挿入し、燃料貯蔵ピット用制御棒集合体60が上部ノズル52に当接して位置決めがなされるとき、支持板61、つまり、制御棒65に対して吊り棒63が圧縮コイルスプリング64を圧縮して相対移動することとなり、制御棒65と燃料集合体50との当接によるショックを軽減することができる。
第1実施形態の燃料貯蔵ピット用制御棒集合体では、制御棒65は、中空管内に銀とインジウムとカドミウムの合金が充填されて構成される。また、制御棒65は、中空管内に炭化ホウ素が充填されて構成される。また、制御棒65は、中空管内に炭化ホウ素と酸化アルミニウムとが充填されて構成される。また、制御棒65は、中空管内にホウケイ酸ガラスが充填されて構成される。また、制御棒65は、中空管内にハフニウムが充填されて構成される。従って、制御棒により中性子を適正に吸収して核燃料の未臨界状態を十分に維持することができる。
[第2実施形態]
図1は、第1実施形態の燃料貯蔵ピット用制御棒集合体を表す正面図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
第2実施形態において、図5に示すように、燃料貯蔵ピット用制御棒集合体80は、支持板81と、支持ロッド82と、吊り棒(吊り具)83と、複数の制御棒65とから構成されている。
支持板81は、所定厚さで平面視が正方形状(矩形状)なす板材であって、第1実施形態の支持板61(図1及び図2参照)とほぼ同様の構成となっている。支持ロッド82は、円筒形状をなし、下端部が支持板81における上面部の中心位置に貫通し、溶接により連結されている。この支持ロッド82も、第1実施形態の支持ロッド62(図1及び図2参照)とほぼ同様の構成となっている。
吊り棒83は、2本のロッド部91からなり、支持ロッド82の上端部の外周部に固定されて構成されている。即ち、支持ロッド82と吊り具83は、移動不能に連結されている。この2本のロッド部91は、支持ロッド82の両側で一直線上をなしている。吊り棒83は、支持板81の外周辺に対して水平方向に所定角度傾斜して配置され、各ロッド部91は、厚さが一定となっている。なお、吊り棒83は、2本のロッド部91からなるものに限定するものではなく、1本のロッド部により構成してもよい。
制御棒65は、下端部が先細形状をなし、上端部がおねじ形状をなしている。複数の制御棒65は、所定間隔を空けて配置され、上端部が支持板81における下面部に固定されている。制御棒65は、内部に中性子吸収材が充填されて構成されている。
このように構成された燃料貯蔵ピット用制御棒集合体80を燃料貯蔵ピットに収納された燃料集合体50内に挿入するとき、クレーンから垂下した取扱い工具の構造物が燃料貯蔵ピット用制御棒集合体60の吊り棒83を係止して吊上げ、燃料貯蔵ピット用制御棒集合体80を燃料貯蔵ピットの上方に移動する。そして、燃料貯蔵ピット用制御棒集合体80を下降し、各制御棒65を燃料集合体50の各制御棒案内管内に挿入する。この燃料貯蔵ピット用制御棒集合体80の下降時、支持板81の下面部が燃料集合体50における上部ノズル52の上面部に当接することで、燃料集合体50に対する燃料貯蔵ピット用制御棒集合体80の鉛直方向の位置決めがなされる。
そのため、燃料貯蔵ピットの燃料プール内に収納された複数の燃料集合体50は、内部に燃料貯蔵ピット用制御棒集合体80が挿入されることとなる。そして、地震などで燃料プール37が破損し、この燃料プール37から冷却水が漏洩しても、燃料集合体50における各燃料棒の間に燃料貯蔵ピット用制御棒集合体80の各制御棒65が配置されていることから、燃料棒からの中性子が制御棒65により減速されて吸収されることとなり、臨界への到達が未然に防止される。
このように第2実施形態の燃料貯蔵ピット用制御棒集合体にあっては、矩形状をなす支持板81と、基端部が支持板81における一方の平面部の中心位置に連結される支持ロッド82と、支持ロッド82の他端部に連結されて支持板81に略平行をなす吊り棒83と、支持板81における他方の平面部側に装着されて中性子吸収材が充填される複数の制御棒65とを設け、支持ロッド82と吊り棒83を移動不能に連結している。
従って、支持ロッド81と吊り棒83を移動不能に連結することで、付勢部材を不要として構造の簡素化、軽量化、低コスト化を図ることができる。
なお、支持板、支持ロッド、吊り具の形状は、上述した実施形態の形状に限定されるものではなく、適宜設定すればよいものである。
また、上述した実施形態では、本発明の燃料貯蔵ピット用制御棒集合体を加圧水型原子炉に適用して説明したが、沸騰型原子炉(BWR:Boiling Water Reactor)に適用することもでき、いずれの原子炉に適用してもよい。
11 原子炉格納容器
12 加圧水型原子炉
36 燃料貯蔵ピット
37 燃料プール
38 燃料ラック
50 燃料集合体
52 上部ノズル
60,80 燃料貯蔵ピット用制御棒集合体
61,81 支持板
62,82 支持ロッド
63,83 吊り棒(吊り具)
64 圧縮コイルスプリング(付勢部材)
65 制御棒

Claims (10)

  1. 燃料貯蔵ピットに収納される燃料集合体に対して挿入される燃料貯蔵ピット用制御棒集合体において、
    矩形状をなして複数の貫通孔が形成される支持板と、
    基端部が前記支持板における一方の平面部の中心位置に連結される支持ロッドと、
    前記支持ロッドの他端部に連結されて前記支持板に略平行をなす吊り具と、
    前記支持板における他方の平面部側に装着されて中性子吸収材が充填される複数の制御棒と、
    を備えることを特徴とする燃料貯蔵ピット用制御棒集合体。
  2. 前記吊り具は、上面が平面形状をなすことを特徴とする請求項1に記載の燃料貯蔵ピット用制御棒集合体。
  3. 前記支持板は、前記燃料貯蔵ピットに収納される燃料集合体に当接して鉛直方向の位置決めがなされることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の燃料貯蔵ピット用制御棒集合体。
  4. 前記支持ロッドと前記吊り具は、前記複数の制御棒の長手方向に移動自在に連結され、前記支持板と前記吊り具とが離間する方向に付勢する付勢部材が設けられることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の燃料貯蔵ピット用制御棒集合体。
  5. 前記支持ロッドと前記吊り具は、移動不能に連結されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の燃料貯蔵ピット用制御棒集合体。
  6. 前記制御棒は、中空管内に銀とインジウムとカドミウムの合金が充填されて構成されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の燃料貯蔵ピット用制御棒集合体。
  7. 前記制御棒は、中空管内に炭化ホウ素が充填されて構成されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の燃料貯蔵ピット用制御棒集合体。
  8. 前記制御棒は、中空管内に炭化ホウ素と酸化アルミニウムとが充填されて構成されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の燃料貯蔵ピット用制御棒集合体。
  9. 前記制御棒は、中空管内にホウケイ酸ガラスが充填されて構成されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の燃料貯蔵ピット用制御棒集合体。
  10. 前記制御棒は、中空管内にハフニウム充填されて構成されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の燃料貯蔵ピット用制御棒集合体。
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