JP2017115106A - 組成物、ダウンホールツール用組成物、ダウンホールツール用分解性ゴム部材、ダウンホールツール、及び坑井掘削方法 - Google Patents

組成物、ダウンホールツール用組成物、ダウンホールツール用分解性ゴム部材、ダウンホールツール、及び坑井掘削方法 Download PDF

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Abstract

【課題】経費軽減や工程短縮に寄与し、生産効率の向上に寄与できる新規な組成物、ダウンホールツール用組成物、ダウンホールツール用分解性ゴム部材、ダウンホールツール、及び坑井掘削方法を提供する。【解決手段】分解性ゴム及び分解促進剤を含み、上記分解促進剤として、下記一般式(I)で表される化合物のうちの少なくとも1種類を、上記分解性ゴム100質量部に対して0.1〜20質量部にて含有する組成物、並びに当該組成物を含む、ダウンホールツール用組成物、ダウンホールツール用分解性ゴム部材、ダウンホールツール、及びそれらを用いた坑井掘削方法。【化1】(式(I)中、R1及びR2はそれぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基又はフェニル基である)【選択図】なし

Description

本発明は、組成物、ダウンホールツール用組成物、石油又は天然ガス等の炭化水素資源を産出するために行う坑井掘削において使用する坑井掘削用プラグ等のダウンホールツール用分解性ゴム部材、分解性シール部材、分解性保護部材、ダウンホールツール、及び坑井掘削方法に関する。
石油又は天然ガス等の炭化水素資源は、多孔質で浸透性の地下層を有する井戸(油井又はガス井。総称して「坑井」ということがある。)を通じて採掘され生産されてきた。採掘が続けられる坑井において、時間経過とともに浸透性が低下してきた地下層や、さらには元々浸透性が十分ではない地下層から、継続して炭化水素資源を効率よく採掘するために、生産層を刺激(stimulate)することが行われている。そのうち、流体圧を利用して生産層に亀裂(フラクチャ、fracture)を形成させる方法(「フラクチャリング法」又は「水圧破砕法」ともいう。)が注目されている。
水圧破砕法は、水圧等の流体圧(以下、単に「水圧」ということがある。)により生産層に亀裂を発生させる方法であり、一般に、垂直な孔を掘削し、続けて、垂直な孔を曲げて、地下数千mの地層内に水平な孔を掘削した後、それらの坑井孔(坑井を形成するために設ける孔を意味し、「ダウンホール」ということもある。)内にフラクチャリング流体を高圧で送り込み、高深度地下の生産層(石油又は天然ガス等の炭化水素資源を産出する層)に水圧によって亀裂(フラクチャ)を生じさせ、該フラクチャを通して炭化水素資源を採取するための生産層の刺激方法である。水圧破砕法は、いわゆるシェールオイル(頁岩中で熟成した油)、シェールガス等の非在来型資源の開発においても、有効性が注目されている。
上述した坑井処理を実施するためには、通常、以下の方法が採用されている。すなわち、坑井孔(ダウンホール)に対して、坑井孔の先端部から順次、目止めをしながら、所定区画を部分的に閉塞し、その閉塞した区画内にフラクチャリング流体等の流体を高圧で送入する、又はパーフォレーションガン等の火薬を内蔵したツールを用いて、生産層に亀裂を生じさせたり穿孔したりする。次いで、次の所定区画(通常は、先行する区画より手前、すなわち地上側の区画)を閉塞してフラクチャリング等を行い、亀裂や穿孔を進展させる。以下、この工程を必要な目止めとフラクチャリング等が完了するまで繰り返し実施する。
坑井孔の閉塞及びフラクチャリング等を行うために坑井内で使用するツールであるダウンホールツールとしては、種々のものが知られている。例えば、特許文献1〜3には、芯金の周囲に諸部材(諸要素)を配置することにより坑井孔の閉塞や固定を行うプラグ(「フラックプラグ」、「ブリッジプラグ」又は「パッカー」等と称することもある。)が開示されている。
特許文献1には、マンドレルの外周面上に金属製のスリップやエラストマー製のシール等が配置された拡張性かつ分解性のプラグが開示されている。特許文献2には、マンドレルの外周面上にスリップ(slip)、円錐状部材(conical member)やエラストマー又はゴム等から形成される可鍛性要素(malleable element)等が配置され、ボールやフラッパー(flapper)等の障害(impediment)を備える分解性のダウンホールプラグが開示されている。特許文献3には、長尺の筒状本体部材(tubular body member)の外周面上にスリップや、複数のシール要素(sealing element)からなるパッカー要素集合体(packer element assembly)等が配置された生分解性のダウンホールツール(フラックプラグ)が開示されている。
また、特許文献4には、中心部に通路(passageway)を貫通して設けたフラクチャスリーブピストン(fracture sleeve piston。「ピストン」又は「ピストンプラグ」という場合もある。)をスリーブの軸方向に移動可能に順次配列し、ボールシーラー(ball sealer。単に「ボール」ということもある。)とボールバルブシート(ball valve seat。「ボールシート」又は単に「シート」と称されることもある。)により、順次閉鎖空間を形成するスリーブシステム(「フラックスリーブ」という場合もある。)が開示されている。
坑井掘削用に使用されるダウンホールツールは、坑井が完成するまで順次坑井孔内に配置され、高圧の流体によるフラクチャリングや穿孔等の坑井処理を実施するために、坑井孔内の所要の区間を流体圧力に抗して閉塞(シール)することができるシール性能が求められる。同時に、何らかの坑井処理が終了し、次の坑井処理を実施しようとするときには、容易にシール解除できることが求められる。さらに、シェールオイル等の石油又はシェールガス等の天然ガス(以下、総称して「石油や天然ガス」又は「石油又は天然ガス」ということがある。)などの生産が開始される段階では、シールを解除するとともに、使用されたダウンホールツールを除去する必要がある。プラグ等のダウンホールツールは、通常、使用後に閉塞を解除して回収できるように設計されていないため、破砕(mill)、ドリル空け(drill out)その他の方法で、破壊されたり、小片化されたりすることによって除去されるが、破砕やドリル空け等には多くの経費と時間を費やす必要があった。また、使用後に回収できるように特殊に設計されたプラグ(retrievable plug)もあるが、プラグは高深度地下に置かれたものであるため、そのすべてを回収するには多くの経費と時間を要していた。
さらに、坑井掘削用に使用されるダウンホールツールには、坑井が完成するまで順次坑井内に配置され、高圧の流体によるフラクチャリングや穿孔等の坑井処理を実施し、次いで、何らかの坑井処理が終了し、シール解除して、次の坑井処理を実施することを、順次繰り返し遂行することができるようにするために、種々のセンサーや流路等がダウンホールツール部材として配置されている。これらのセンサーや流路等は、ダウンホールツールを地下の坑井孔内に配置する際に摩擦や他の部材との接触や衝突により、また、坑井処理において使用される高圧流体により、破損や傷損が生じることがないように、保護部材や保護被覆による保護が行われており、例えば、ウレタンゴム等のゴム材料が使用されている。センサーや流路が、その要求される機能を発揮するときには、該保護部材や保護被覆を除去する必要がある。したがって、センサーや流路等を保護するダウンホールツール用保護部材にも、センサーや流路等に対する保護機能とともに、容易に除去又は回収することができる機能が求められるようになってきた。
特許文献1には、スリップやマンドレルを反応性金属等の分解性の金属要素から形成することが開示されている。特許文献2には、予め定められた温度、圧力、pH等により分解するフラッパー、ボール等を備えることが開示されている。特許文献3には、プラグ又はその部材を生分解性の材料から形成される(formed from biodegradable materials)ことが開示されているが、具体的な使用の開示はない。なお、特許文献4には、フラックスリーブを分解性とすることについての開示はない。
エネルギー資源の確保及び環境保護等の要求の高まりのもと、高深度化など採掘条件がますます過酷なものとなり、他方では、採掘条件の多様化、例えば、温度条件としては深度の多様化等に付随して60℃程度から200℃程度など多様な環境条件での採掘が進んでいる。すなわち、フラックプラグ、ブリッジプラグ、パッカーやセメントリテイナー、スリーブシステム(フラックスリーブ)等のダウンホールツールに使用するダウンホールツール部材には、数千mの深度地下に部材を移送することができる機械強度(引張強度や圧縮強度)や、高深度地下のダウンホールの高温かつ高湿度の環境下で、回収対象である炭化水素と接触しても機械強度等が維持される耐油性、耐水性及び耐熱性を有することが求められる。また、ダウンホールツール部材には、例えば、ダウンホールツール用シール部材(ダウンホールツール用ゴム部材に属する。)においては、穿孔やフラクチャリングを実施するためにダウンホールの所要空間を閉塞するときに、ダウンホールツールと坑井孔の内壁、具体的には、坑井孔の内部に配置されるケーシングとの間の流体をシールすることにより、高圧の水圧によっても閉塞を維持することができるシール性能などの諸特性が求められ、同時に、必要に応じてシールを解除することができる特性が求められる。更に加えて、ダウンホールツール部材には、坑井掘削用の坑井が完成した段階では、その坑井の環境条件下(先に説明したように、深度の多様化等に付随し温度条件その他において多様な環境がある。)において、所望の期間内で、容易に除去することができ、流体のシールを完全に解除して生産効率を向上させることができるという特性を併せ有することが求められるようになってきた。また、ダウンホールツール用保護部材においても、ダウンホールツールの配置や坑井処理が行われる間、センサーや流路等を保護し、その後容易に除去できる特性が求められるようになってきた。
そこで、確実にダウンホールツールとケーシングとの間の流体をシールすることにより、穿孔やフラクチャリングを始めとするシール操作が必要な坑井掘削における種々の坑井処理の実施を容易にするとともに、多様なダウンホール環境下で、所望の期間シール機能を確実に維持し、かつ所望の期間でシールを解除し、その除去や流路の確保ができるよう、所望に応じて設計可能であることによって、経費軽減や工程短縮に寄与し、生産効率の向上に寄与できるダウンホールツール用分解性シール部材が求められている。また、ダウンホールツールの配置や坑井処理が行われる間、センサーや流路等を保護し、その後容易に除去できる特性を有することによって、同様に、経費軽減や工程短縮に寄与し、生産効率の向上に寄与できるダウンホールツール用保護部材が求められるようになってきている。これらの要求を充足するダウンホールツール用ゴム部材が開発されているが、さらなる開発が求められている(特許文献5)。
米国特許出願公開2011/0067889号明細書 米国特許出願公開2011/0277989号明細書 米国特許出願公開2005/0205266号明細書 米国特許出願公開2010/0132959号明細書 国際公開公報2015/133545号
本発明の課題の第1の側面は、高深度化など採掘条件が多様となっているもとで、確実に流体をシールすることにより、穿孔やフラクチャリングを始めとするシール操作が必要な坑井掘削における種々の坑井処理工程の実施を容易にするとともに、多様なダウンホール環境下で、所望の期間シール機能を確実に維持し、かつ所望の期間でシールを解除し、その除去や流路の確保ができるよう、所望に応じて設計可能であることによって、経費軽減や工程短縮に寄与し、生産効率の向上に寄与できるダウンホールツール用分解性シール部材や、ダウンホールツールの配置や坑井処理が行われる間、センサーや流路等を保護し、その後容易に除去できる特性を有することによって、同様に、経費軽減や工程短縮に寄与し、生産効率の向上に寄与できるダウンホールツール用分解性保護部材に適用することができる、組成物、ダウンホールツール用組成物、ダウンホールツール用分解性ゴム部材を提供することにある。さらに、本発明の課題の他の側面は、該ゴム部材を備えるダウンホールツールを提供することにある。さらに、本発明の課題の他の側面は、該ゴム部材を備えるダウンホールツールを提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究した結果、分解性ゴムに所定量の分解促進剤を含有してなる新規な組成物を得た。当該組成物を用いて、ダウンホールツール用分解性ゴム部材を形成することにより、上述の課題を解決できることを見いだし、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、以下のように表すことができる。
本発明は、分解性ゴム及び分解促進剤を含み、上記分解促進剤として、下記一般式(I)で表される化合物のうちの少なくとも1種類を、上記分解性ゴム100質量部に対して0.1〜20質量部にて含有する組成物を提供する。
Figure 2017115106
(式(I)中、R及びRはそれぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基又はフェニル基である)
また、上記R及びRはそれぞれ独立に、メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基からなる群から選ばれることが好ましい。
また、上記式(I)で著される化合物の融点は、−60〜80℃であることが好ましい。
また、本発明は、上記組成物を含有するダウンホールツール用組成物を提供する。
また、本発明は、さらに、本発明の組成物を用いて形成されたことを特徴とするダウンホールツール用分解性ゴム部材を提供する。
また、上記ダウンホールツール用分解性ゴム部材の表面硬度は、A60〜D80の範囲内であり、80℃の水に7日間浸漬後の表面硬度がA0〜A60の範囲内であることが好ましい。
また、上記ダウンホールツール用分解性ゴム部材において、上記分解性ゴムは、ウレタンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、スチレンゴム、アクリルゴム、脂肪族ポリエステルゴム、クロロプレンゴム、ポリエステル系熱可塑性エラストマー及びポリアミド系熱可塑性エラストマーからなる群より選ばれることが好ましい。
また、上記ダウンホールツール用分解性ゴム部材において、上記分解性ゴムは、加水分解性の官能基を有するゴムを含有することが好ましい。
また、上記ダウンホールツール用分解性ゴム部材において、上記ダウンホールツール用組成物は強化材をさらに含有することが好ましい。
また、本発明のダウンホールツール用分解性ゴム部材の一態様は、シール部材である。
また、本発明のダウンホールツール用分解性ゴム部材の別の態様は、環状の成形体である。
また、上記環状の成形体は、ダウンホールツールに備えられるマンドレルの軸方向と直交する外周面上に置かれるものであることが好ましい。
また、本発明のダウンホールツール用分解性ゴム部材のさらに別の態様は、ボール又はボールシートである。
また、本発明のダウンホールツール用分解性ゴム部材のさらに別の態様は、ダウンホールツール用分解性保護部材である。
また、本発明のダウンホールツール用分解性ゴム部材のさらに別の態様は、坑井掘削用プラグである。
また本発明は、さらに、本発明のダウンホールツール用分解性ゴム部材を備えるダウンホールツールを提供する。
また、本発明のダウンホールツールの一態様は坑井掘削用プラグである。
また本発明は、さらに、本発明に係るダウンホールツール用分解性ゴム部材を使用する坑井掘削方法を提供する。
また本発明は、さらに、本発明に係るダウンホールツール用分解性ゴム部材を使用して、ダウンホールツールとケーシングとの間の流体をシールする坑井掘削方法を提供する。
また本発明は、さらに、本発明に係るダウンホールツール用分解性ゴム部材を使用して、坑井孔の目止め処理を行った後に、ダウンホールツールが分解される坑井掘削方法を提供する。
また本発明は、さらに、本発明に係るダウンホールツール用分解性ゴム部材を備えるダウンホールツールを使用して、坑井孔をシールした後に、坑井孔内で該ダウンホールツール用分解性ゴム部材が分解されることを特徴とする坑井掘削方法を提供する。
また本発明は、さらに、本発明に係るダウンホールツール用分解性ゴム部材を備え、
さらに分解性材料を含有する他のダウンホールツール用部材を備えるダウンホールツールを使用して、坑井孔をシールした後に、坑井孔内で該ダウンホールツール用分解性ゴム部材が分解されることを特徴とする坑井掘削方法を提供する。
また、本発明は、さらに、本発明に係るダウンホールツール用分解性ゴム部材を備え、該ダウンホールツール用分解性ゴム部材が、他のダウンホールツール用部材に接する、及び/又は、他のダウンホールツール用部材を覆うように配置されてなるダウンホールツールを使用して、坑井処理を行った後に、坑井孔内で該ダウンホールツール用分解性ゴム部材が分解されることを特徴とする坑井掘削方法を提供する。
本発明によれば、新規な組成物及び新規なダウンホールツール用組成物を提供し、分解性シール部材及び分解性保護部材等に用いられたダウンホールツール用分解性ゴム部材を容易に除去することができる高い分解促進効果を維持しつつ、さらに上述のダウンホールツール用分解性ゴム部材の力学強度の低下を抑制できるという効果を奏する。上述の効果を有することで坑井掘削の経費軽減や工程短縮ができるダウンホールツール用分解性ゴム部材が提供されるという効果が奏される。
本発明によれば、分解性ゴムに所定量の分解促進剤を含有してなる新規な組成物を提供することができる。また、本発明によれば、当該組成物を含有するダウンホールツール用組成物、さらには当該ダウンホールツール用組成物を含有するダウンホールツール用分解性ゴム部材が提供される。本発明の組成物及びダウンホールツール用分解性ゴム部材は、既存の技術と比較して製造が容易であり、かつ、製造時間が短縮されていながら、高い分解促進効果を維持しつつ、形成されたダウンホールツール用分解性ゴム部材の力学強度の低下を抑制できるという効果を奏する。
このような効果を奏することによって、採掘条件が多様となるもと、確実に流体をシールして坑井処理を容易とし、かつ、所望の期間でシールを解除し、その除去や流路の確保ができるよう、所望に応じて設計可能な分解性シール部材や、センサーや流路等を保護し、その後容易に除去できるよう設計可能な分解性保護部材に適用可能である。さらにこのことによって、坑井掘削の経費軽減や工程短縮ができるダウンホールツール用分解性ゴム部材が提供されるという効果が奏される。さらに、本発明の別の側面によれば、該部材を備えるダウンホールツール、及び坑井掘削方法が提供されるという効果が奏される。
実施例及び比較例のゴム材料サンプルの、80℃の水に各日数浸漬後の時点における表面硬度の測定結果を示している。 実施例及び比較例のゴム材料サンプルの引張試験の測定結果を示している。
I.組成物及びダウンホールツール用組成物
本実施形態の第1の側面による組成物は、分解性ゴム及び分解促進剤を含む組成物であって、当該分解促進剤として、下記一般式(I)で表される化合物のうちの少なくとも1種類を含有する。
Figure 2017115106
(式(I)中、R及びRはそれぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基又はフェニル基である)
一実施形態の組成物は、分解性ゴム及び分解促進剤を含む組成物であって、当該分解促進剤として、上記一般式(I)で表される化合物のうちの少なくとも1種類を、分解性ゴム100質量部に対して0.1〜20質量部にて含有する。
本実施形態の組成物は、当該組成物中に含有する分解促進剤によって促進される、高い分解性を有しつつも、当該組成物を含むゴム部材の力学強度を維持することができるため、一定期間で分解される性質と力学的強度とが要求される種々のゴム材料用の組成物として利用可能である。
また、本実施形態の別の側面による組成物は、上記の組成物を含有することを特徴とするダウンホールツール用組成物である。
本実施形態の組成物中の各成分及び好ましい含有量については、以下のダウンホールツール用分解性ゴム部材の項目において詳述する。
II.ダウンホールツール用分解性ゴム部材
本実施形態のダウンホールツール用分解性ゴム部材は、分解性ゴムに所定量の分解促進剤を含有する組成物(以下、ゴム材料とも称する)から形成されることを特徴とする。
一例として、分解性ゴムに所定量の分解促進剤を含有する組成物を含有するダウンホールツール用組成物から形成される。そして、本実施形態のダウンホールツール用分解性ゴム部材は、ダウンホールツール用分解性シール部材やダウンホールツール用分解性保護部材に適用されることによって、坑井掘削の経費軽減や工程短縮ができる効果を奏するものである。以下、主としてダウンホールツール用分解性シール部材の具体例を示しながら、本実施形態のダウンホールツール用分解性ゴム部材を説明する。
1.分解性ゴム
分解促進剤を所定量含有して、本実施形態のダウンホールツール用分解性シール部材(分解性ゴム部材)を形成するゴム材料となる分解性ゴムとしては、従来、ダウンホールツール用分解性シール部材を形成するために使用されていた分解性ゴムを使用することができる。ダウンホールツール用分解性シール部材を形成するゴム材料に含有される分解性ゴムは、1種単体で使用してもよいが、2種以上の分解性ゴムを混合して使用してもよい。
〔分解性〕
ダウンホールツール用分解性ゴム部材(分解性シール部材)を形成するゴム材料に含有される分解性ゴムにおける分解性とは、例えば、フラクチャリング等の坑井処理が実施される土壌中の微生物によって分解される生分解性、又は、フラクチャリング流体等の溶媒、特に、水によって、更に所望により酸又はアルカリによって分解する加水分解性、中でも所定温度以上の水によって分解する加水分解性、更に他の何らかの方法によって化学的に分解することができる分解性を意味するほか、例えば、重合度の低下等によりゴムが本来有した強度が低下して脆くなる結果、極めて小さい機械的力を加えることにより、ダウンホールツール用のシール部材(分解性ゴム部材)が簡単に崩壊して形状を失うこと(崩壊性)も意味する。
〔分解性ゴムの具体例〕
本実施形態のダウンホールツール用分解性シール部材(分解性ゴム部材)を形成するゴム材料に含有される分解性ゴムは、ウレタンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、スチレンゴム、アクリルゴム、脂肪族ポリエステルゴム、クロロプレンゴム、ポリエステル系熱可塑性エラストマー及びポリアミド系熱可塑性エラストマーからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する分解性ゴムが挙げられる。さらに、非分解性ゴムであっても、後に説明する分解促進剤を所定量含有するゴム材料とすることによって、ダウンホールツール用分解性シール部材を形成することができることがあり、この場合は、当該いわば非分解性ゴムも、本発明の分解性ゴムに該当する。
また、分解性や崩壊性の観点から、分解性ゴムは、加水分解性の官能基(例えば、ウレタン基、エステル基、アミド基、カルボキシル基、水酸基、シリル基、酸無水物、酸ハロゲン化物等)を有するゴムを含有する分解性ゴムも好ましく挙げられる。なお、ここで「官能基を有する」とは、ゴム分子の主鎖を形成する結合として有することや、例えば架橋点となるゴム分子の側鎖として有することを意味する。特に好ましい分解性ゴムとしては、ゴムの構造や硬度、架橋度等を調整したり、他の配合剤を選択したりすることによって、分解性や崩壊性の制御を容易に実施することができることから、ウレタンゴムが挙げられる。すなわち、特に好ましい分解性ゴムは、加水分解性のウレタン結合を有するウレタンゴムを含有するものである。また、同様に分解性ゴムは、ポリエステル系熱可塑性エラストマー又はポリアミド系熱可塑性エラストマーを含有するものも好ましい。
〔ウレタンゴム〕
本実施形態のダウンホールツール用分解性シール部材(分解性ゴム部材)を形成するゴム材料に含有される分解性ゴムとして特に好ましく使用されるウレタンゴム(「ウレタンエラストマー」ということもある。)は、分子中にウレタン結合(−NH−CO−O−)を有するゴム材料であり、通常、イソシアネート化合物と水酸基を有する化合物とを縮合して得られる。イソシアネート化合物としては、芳香族(複数の芳香族環を有してもよい。)、脂肪族、脂環族系のジ、トリ、テトラ系のポリイソシアネート類、又はこれらの混合物が用いられる。水酸基を有する化合物として、その主鎖にエステル結合を有するポリエステル型ウレタンゴム(以下、「エステル型ウレタンゴム」ということがある。)とその主鎖にエーテル結合を有するポリエーテル型ウレタンゴム(以下、「エーテル型ウレタンゴム」ということがある。)とに大別され、分解性や崩壊性の制御がより容易であることから、エステル型ウレタンゴムが好ましい場合が多い。ウレタンゴムは合成ゴムの弾性(柔らかさ)とプラスチックの剛性(固さ)を併せ持った弾性体であり、一般に、耐摩耗性、耐薬品、耐油性に優れ、機械的強度が大きく、耐荷重性が大きく、高弾性でエネルギー吸収性が高いことが知られている。ウレタンゴムとしては、成形方法の差異によって、i)混練(ミラブル)タイプ:一般のゴムと同じ加工方法で成形できる、ii)熱可塑性タイプ:熱可塑性樹脂と同じ加工方法で成形できる、及びiii)注型タイプ:液状の原料を使用して熱硬化する加工方法で成形できる、というタイプ区分がされるが、本実施形態のダウンホールツール用分解性シール部材を形成するウレタンゴムとしては、いずれのタイプのものも使用することができる。
特に、iii)注型タイプのウレタンゴムの成形技術は、通常ワンショット法とプレポリマー法の2つに区分される。ワンショット法は、すべての反応素原料を反応容器内で混合撹拌した後、注型して一次熱処理によりほぼ反応を完了させた後に離形し、その後二次熱処理を行う方法である。経済性が高いが、発熱量が大きいので大型成形には不向きとされる。一方プレポリマー法は、ポリオールとジイソシアネートを前もって反応させてプレポリマーを合成する工程と、プレポリマーを他の不足原料と反応させて最終的にウレタンゴムを作る工程の2段階をとる。プレポリマー法によれば、均一に反応が進むため高物性のウレタンゴムが得られる、総発熱量が少なく大型成形が可能である、硬化剤を自由に選択したセグメント化ポリウレタンを製造できるなどの利点が多く、ほぼすべての注型ウレタンゴムがプレポリマー法によって製造されている。
〔ポリエステル系熱可塑性エラストマー〕
本実施形態のダウンホールツール用分解性シール部材(分解性ゴム部材)を形成するゴム材料に含有される分解性ゴムとして好ましく使用されるポリエステル系熱可塑性エラストマーは、ポリエステル系ブロック共重合体を主成分としたエラストマーである。具体的には、例えばポリエステルからなるハードセグメントとポリエーテルからなるソフトセグメントとのブロック共重合体があり、ハードセグメントとして、芳香族ポリエステルや脂肪族ポリエステル、より具体的にはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリヒドロキシアルカン酸等が挙げられ、ソフトセグメントとして、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等のポリエーテルが挙げられる。またハードセグメント及びソフトセグメントがポリエステルからなるブロック共重合体があり、ハードセグメントとして、芳香族ポリエステル、より具体的にはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等が挙げられ、ソフトセグメントとしては、ハードセグメントより低弾性率の脂肪族ポリエステル、例えばアルキル鎖長が2以上のポリヒドロキシアルカン酸が挙げられる。これらのハードセグメント及びソフトセグメントは、所望のエラストマーの物性、特に所望の分解特性及び機械特性に適合するように、ハードセグメントとソフトセグメントの種類又はこれらの比率を調整することが可能であり、更に必要に応じて各種配合剤との組み合わせによって所望の物性を有するポリエステル系熱可塑性エラストマーを得ることができる。ポリエステル系熱可塑性エラストマーは、プラスチックとゴムの両特性を備えており、射出成形、押出成形、ブロー成形等の各種成形加工が可能であり、また、エステル結合を有していることにより、所定時間で分解や崩壊しやすい特性がある。
〔ポリアミド系熱可塑性エラストマー〕
本実施形態のダウンホールツール用分解性シール部材(分解性ゴム部材)を形成するゴム材料に含有される分解性ゴムとして好ましく使用されるポリアミド系熱可塑性エラストマーは、ポリアミドからなるハードセグメントとポリエーテル及び/又はポリエステルからなるソフトセグメントとのブロック共重合体である。具体的には、ハードセグメントとしては、例えば、脂肪族ポリアミド、より具体的にはナイロン6、ナイロン11、ナイロン12が挙げられ、ソフトセグメントとしては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等のポリエーテルが挙げられる。これらのハードセグメント及びソフトセグメントは、所望のエラストマーの物性、特に所望の分解特性及び機械特性に適合するように、ハードセグメントとソフトセグメントの種類又はこれらの比率を調整することが可能であり、更に必要に応じて各種配合剤との組み合わせによって所望の物性を有するポリアミド系熱可塑性エラストマーを得ることができる。ポリアミド系熱可塑性エラストマーは、ゴムとプラスチックの中間的な性質を有し、射出成形、押出成形、ブロー成形等の各種成形加工が可能であり、また、アミド結合を有していることにより、高温高圧下で加水分解を生じ、易分解や易崩壊となる特性がある。
なお、耐油性・耐熱性・耐水性等に優れていることから、従来、ダウンホールツール用に汎用されるゴムであるニトリルゴムや水添ニトリルゴムは、本実施形態のダウンホールツール用分解性シール部材(分解性ゴム部材)を形成するゴム材料に含有される分解性ゴムには該当しない。
2.分解促進剤
〔式(I)の化合物〕
本実施形態の組成物、ダウンホールツール用組成物、及びダウンホールツール用分解性シール部材(分解性ゴム部材)に含有される分解促進剤とは、ダウンホールツール用分解性シール部材が使用されるダウンホール環境下において、分解性ゴムの分解や崩壊を促進することができる配合剤であり、特に、分解性ゴムの分解、中でも加水分解を促進することができるゴム材料に含有される配合剤である。分解性ゴムの分解を確実に果たす効果が期待できることから、分解促進剤としては、分解性ゴムのゴム分子の主鎖の結合を切断する機能又は分解性ゴムを可塑化する機能を有する配合剤である。本実施形態の組成物は、下記一般式(I)で表される化合物のうちの少なくとも1種類を分解促進剤として含んでいることを特徴とする。
Figure 2017115106
ここで、式(I)中、R及びRはそれぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基又はフェニル基である。炭素数1〜5のアルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状のいずれであってもよい。炭素数1〜5のアルキル基として、具体的にはエチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、sec−ペンチル基が挙げられる。
このうち、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がより好ましく中でも、メチル基又はエチル基であることが特に好ましい。また、RおよびRは、互いに同一でも異なっていてもよいが分解促進剤の製造容易性に起因するコスト及び入手の容易性の観点からは同一であることが好ましい。一例では、上記式(I)の化合物は、R及びRがともにメチル基である、シュウ酸ジメチル(以下、MOとも記載する。)であり、別の一例では、上記式(I)の化合物は、R及びRがともにエチル基である、シュウ酸ジエチル(以下、EOとも記載する。)である。なお、安価であること、入手の容易性、安全性及び保管安定性の観点からは、上記式(I)の化合物において、上記R及びRはそれぞれ独立に、メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基からなる群から選ばれるものであり得る。
上記、式(I)の化合物は、シュウ酸エステル構造を有するため、水中で加水分解されて酸を生成する。酸性物質は、以下の項目でも記載する通り、ダウンホールツール用分解性シール部材(分解性ゴム部材)を形成するゴム部材に含有される分解性ゴムのゴム分子の主鎖の結合を切断することによって、該ゴム部材の分解を促進し、その結果、ダウンホールツール用分解性シール部材の分解が促進される。上記のような構造を有する分解促進剤は、空気中の水分等でも加水分解による分解が進行する。
また、式(I)の化合物は、好ましくは融点が−60〜80℃、より好ましくは融点が−50〜70℃、さらに好ましくは融点が−45〜60℃の範囲内の化合物であることが好ましい。
このような温度範囲の融点を有する化合物であれば、ゴム部材の形成するための製造過程において、所定の温度、例えば、100℃に加温したプレポリマーとの相溶化に要する時間が短縮できる。したがって、ゴム部材を形成するための時間を短縮させることができる。なお、製造過程におけるプレポリマーへの分解促進剤の添加の具体的な手順については、以下に記載している。
以上のことから、上述の分解促進剤を含有させたゴム材料は、初期表面硬度を保ち、かつ、当該組成物から形成されたゴム部材において、添加量の増加による最大点応力などの力学強度の低下を抑制することができる。ダウンホールツールのシール部材には高圧力がかかるため、シール部材力学物性が低い場合にはシールが困難となり、使用できない。したがって、本実施形態のゴム材料から形成されるゴム部材は、ダウンホールツールのシール部材に必要な力学物性を維持可能であり、ダウンホールツールのシール部材に好適に用いられるものである。それと同時に、ゴム部材の製造が容易とし、かつ、製造時間が短縮することができる。
また、本実施形態の組成物に含有される分解促進剤としては、上記一般式(I)で表される化合物のうちの2種類以上を含んでいてもよい。
〔式(I)の化合物の含有量〕
分解性ゴム100質量部に対する式(I)の化合物の含有量は、通常0.1〜20質量部であり、好適には0.3〜15質量部であり、より好適には0.5〜10質量部の範囲である。式(I)の化合物の含有量が上記の範囲であることにより、分解性ゴムに対する分解促進効果を有する。なお、硬化反応の進行中に結合切断又は硬化剤の失活を起こすことを防ぐ観点からは、その含有量を5質量部未満とすることが好ましく、3質量部未満がより好ましく、2質量部未満が更に好ましいことが多い。
一実施形態において、組成物及びダウンホールツール用分解性シール部材は、上記一般式(I)で表される化合物のうちの少なくとも1種類を、分解性ゴム100質量部に対して0.1〜20質量部を含有する。
分解促進剤としては、上記一般式(I)で表される化合物のうちの少なくとも1種類に加え、その他の分解促進剤をさらに含んでいてもよい。他の分解促進剤としては、以下で好ましく挙げた酸性物質及び可塑剤のほか、分解性ゴムの分解、特に加水分解を促進する効果を奏するものを使用することができる。分解促進剤は、1種の化合物単独でもよいし、2種以上の化合物を含有してもよい。また、分解促進剤の含有態様としては、相溶状態でもよいし、顆粒状でもよいが、ゴム材料からダウンホールツール用分解性シール部材(分解性ゴム部材)を形成するまでの間(分解性ゴムの重合中、溶融混練又は溶融成形中など)に、分解したり揮散したりして消失しないことが必要である。分解促進剤の含有量は、分解促進剤と分解性ゴムとの組み合わせによって最適範囲を選択することができるが、分解性ゴム100質量部に対して通常0.1〜20質量部であり、好適には0.3〜15質量部、より好適には0.5〜10質量部の範囲で分解性ゴムに対する分解促進効果を有する。分解促進剤の含有量が少なすぎると、分解性ゴムに対する分解促進効果が不足し、所望の期間内にダウンホールツール用分解性シール部材を分解してシールを解除できなくなるおそれがあり、坑井掘削の経費軽減や工程短縮が損なわれることがある。分解促進剤の含有量が多すぎると、フラクチャリング等の坑井処理において、ダウンホールツール用分解性シール部材による流体シールが必要とされる期間が経過する前に、シールが解除されてしまうおそれがあり、坑井掘削に大きな支障を生じることがある。したがって、分解促進剤の種類又は分解促進剤の含有量により分解速度を制御することが可能である。本実施形態のダウンホールツール用分解性シール部材は、分解性ゴム100質量部に対して分解促進剤0.1〜20質量部を含有するゴム材料から形成されることにより、分解性ゴムの分解が促進されるので、坑井処理の終了後に行う、又は坑井掘削の完了後に行う、ダウンホールツール用分解性シール部材によるシールの解除を、より低温で、及び/又はより短時間で実施することができるので、採掘条件が多様となるもと、所望の期間でシールの解除を行うことができ、坑井掘削の経費軽減や工程短縮ができる。さらに、ダウンホールツール用分解性シール部材を形成するゴム材料に含有される分解性ゴムを、該シール部材の表面からでなく内部から分解することができるので、シール解除後のダウンホールツール用分解性シール部材を、従来よりも微粉化することができるので、坑井処理終了後や坑井掘削完了後の回収操作が容易かつ迅速に行えるようになる。
〔酸性物質〕
本実施形態の組成物、ダウンホールツール用組成物及びダウンホールツール用分解性シール部材(分解性ゴム部材)において含有される他の好ましい分解促進剤として酸性物質が挙げられる。上述した通り、酸性物質は、ダウンホールツール用分解性シール部材(分解性ゴム部材)を形成するゴム部材に含有される分解性ゴムのゴム分子の主鎖の結合を切断することによって、該ゴム部材の分解を促進し、その結果、ダウンホールツール用分解性シール部材の分解が促進される。すなわち、ダウンホールツール用分解性シール部材が、酸性物質を含有する分解性ゴムであるゴム材料から形成される場合、分解性ゴムの内部に、通常は均質に分散して、酸性物質が存在することにより、酸性物質が分解性ゴムの分子の多くに接触することができるので、例えば、ゴム材料から形成されるダウンホールツール用分解性シール部材を水(酸性物質を含有してもよい。)に浸漬する場合のように、該シール部材の表面から分解が進行する場合と比較して、より大きな速度で分解性ゴムの分解が進行するものと推察される。
酸性物質としては、酸などの狭義の酸性物質であってもよいし、何らかの条件下、例えば、水中に浸漬されるときに加水分解して酸を生成するような酸生成物質でもよい。酸生成物質としては、有機酸や無機酸などの酸のほか、例えばオキシカルボン酸の二量体、三量体、オリゴマー又は重合体等の加水分解性を有する酸の誘導体、又は反応性が高い有機酸の誘導体、例えばスルホン酸誘導体であるスルホン酸エステル(有機酸エステルに該当する。)又はスルホンアミド、酸無水物など、それ自体酸前駆体として公知の酸生成物質、好ましくは有機酸エステル、無機酸エステル及び酸無水物が挙げられる。酸性物質としては、所定量の酸性物質を含有する分解性ゴムであるゴム材料からダウンホールツール用分解性シール部材を形成するまでの間(分解性ゴムの重合中、溶融混練又は溶融成形中など)に、分解したり揮散したりして消失しないものであることが求められる。具体的には、ラウリン酸等の炭素数8〜20程度の飽和脂肪酸、グリコール酸、乳酸、リン酸、グリコリド、グリコール酸オリゴマー、ポリグリコール酸(PGA)、ラクチド、乳酸オリゴマー、ポリ乳酸(PLA)、ε−カプロラクトン等のオキシカルボン酸又はその誘導体、p−トルエンスルホン酸メチル(MPTS)、o/p−トルエンスルホンアミド、N−ブチルベンゼンスルホンアミド等のスルホン酸誘導体、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)等の酸無水物などが挙げられる。特に好ましくは、分解促進剤は、グリコリド、ラクチド、ε−カプロラクトン、PGA、PLA、MPTS及びBTDAからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有するものである。分解性ゴム100質量部に対する分解促進剤である酸性物質の含有量は、特に限定がないが、通常0.1〜20質量部であり、好適には0.3〜15質量部、より好適には0.5〜10質量部の範囲で分解性ゴムに対する分解促進効果を有する。なお、例えばグリコール酸等の酸は、硬化反応の進行中に結合切断や硬化剤の失活を起こすことがないよう、その含有量を5質量部未満の少量とすることが好ましく、3質量部未満がより好ましく、2質量部未満が更に好ましいことが多い。
〔可塑剤〕
また、本実施形態の組成物及びダウンホールツール用分解性シール部材(分解性ゴム部材)において、好ましい分解促進剤として可塑剤が挙げられる。可塑剤は、ダウンホールツール用分解性シール部材(分解性ゴム部材)を形成するゴム部材に含有される分解性ゴムを可塑化する機能(トルク低下、軟化等)を有するものである結果、分解性ゴムを分解、例えば加水分解する水(酸性物質又はアルカリ性物質を含有してもよい。)のダウンホールツール用分解性シール部材(分解性ゴム部材)への浸入が促進されるので、先に酸性物質について説明したと同様に、ダウンホールツール用分解性シール部材(分解性ゴム部材)の表面から分解が進行する場合と比較して、より大きな速度で分解性ゴムの分解が進行するものと推察される。可塑剤としては、例えば、ジブチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジイソノニルアジペート、ジブチルセバケート等を挙げることができるが、分解性ゴムに対する可塑化効果の有無や大小が異なるので、好適な可塑剤の種類は、分解性ゴムとの組み合わせによって定まる。分解性ゴム100質量部に対する可塑剤の含有量は、特に限定されず、先に説明した可塑剤と分解性ゴムとの組み合わせによって分解促進効果を発揮する最適範囲を定めることができるが、通常0.1〜20質量部であり、好適には0.3〜15質量部、より好適には0.5〜10質量部の範囲で分解性ゴムに対する分解促進効果を有する。
これらの分解促進剤を、分解性ゴムを製造する反応素原料に添加する方法としては、例えば先に説明した注型タイプのウレタンゴムに含有させる場合は、通常プレポリマーへの分解促進剤の注入によって添加を行う。より具体的には、あらかじめプレポリマーを温度80℃〜100℃程度に加温し、撹拌しながら所定量の分解促進剤を投入し、3〜5分間程度撹拌した後、プレポリマーの脱泡と温度調整を行い(又は、脱泡を行った後に温度調整して、分解促進剤を添加してもよい。)、硬化剤を添加してから、温度調整した型に注入し、一次加硫(一次熱処理)を完了させ、その後二次加硫(二次熱処理)を行う。前記一次加硫は、脱型後、形状を保持できる状態になるまで、例えば注型タイプのウレタンゴムでは通常30〜60分間程度の時間を要する。プレポリマーに分解促進剤を添加する場合、分解促進剤の種類によって、(1)通常の加硫時間と変化ないもの、(2)通常の加硫時間より短くなるもの、(3)通常の加硫時間よりも長時間を要するもの、(4)一次加硫が進まない(硬化しない)ものがあることが分かった。酸による結合切断が並行して起こると一次加硫の進行が抑制される(硬化しない)場合もある。例えばグリコール酸等の酸は、硬化反応の進行中にも結合切断を起こしたり、また硬化剤との反応により硬化剤を失活させたりするため、注型タイプのウレタンゴム100質量部に対して5質量部程度含有させると硬化反応が進まないことがある。したがって、分解促進剤としては、例えばダウンホールツール用分解性ゴム部材を使用する過程において経時で酸を放出することができるものが好ましく、先に挙げたグリコリド、ラクチド、ε−カプロラクトン、PGA、PLA、MPTS又はBTDA等の酸生成物質が好ましい。
分解促進剤は、ダウンホールツール用分解性シール部材(分解性ゴム部材)を形成するゴム材料に含有される分解性ゴム中において、相溶状態になっている場合と、顆粒状(「粒状」といってもよい。)に分散している場合とがある。例えば、分解性ゴムであるウレタンゴムに分解促進剤を含有させる場合、グリコリド、ラクチド、グリコール酸、MPTS等は相溶状態となることが多く、PGA、PLA、BTDA等は融点等の関係から顆粒状に分散することが多い。また、ラウリン酸は温度条件等によって相溶状態と顆粒状に分散する場合があり、成形品からはブリードアウトする場合もあることが目視で観察された。いずれの場合でも分解性ゴムの分解を促進する効果があるが、通常、相溶状態になっている場合の方が、分解促進効果が大きいといえるが、適度な分散径で顆粒状又はパウダー状等で分散するものでも、分解性ゴム部材が微粉状態に分解することができるのであれば使用上問題はない。
例えば100℃で加温したプレポリマーに、所定量の分散剤を投入後、プレポリマーと分解促進剤との相溶状態に応じて、100℃で30分〜2時間程度さらに加温する。
一実施形態において、本実施形態の組成物は、分解性ゴム及び分解促進剤を含み、当該分解促進剤として、上記一般式(I)で表される化合物のうちの少なくとも1種類を、分解性ゴム100質量部に対して0.1〜20質量部を含有する組成物であって、当該分解促進剤として、上記一般式(I)で表される化合物のうちの少なくとも1種類に加え、上述するその他の分解剤のうちの少なくとも1種類を含んでいる。式(I)で表される化合物のうちの少なくとも1種類とその他の分解促進剤との割合は特に限定されないが、例えば、分解促進剤全量を100質量部としたときにその他の分解促進剤が、50質量部未満であることが好ましく、40質量部未満であることがより好ましく、30質量部未満であることがさらに好ましく、20質量部未満であることが特に好ましく、10質量部未満であることが最も好ましい。
例えば、本実施形態の組成物は、分解性ゴム及び分解促進剤を含み、当該分解促進剤として、上記一般式(I)で表される化合物のうちの少なくとも1種類を、分解性ゴム100質量部に対して0.1〜20質量部を含有する組成物であって、当該分解促進剤として、上記一般式(I)で表される化合物のうちの少なくとも1種類に加え、グリコリド又はスルホン酸エステルを含んでいる。
ここで、式(I)の化合物とグリコリド又はスルホン酸エステルとの割合は、分解促進剤全量を100質量部としたときにグリコリド又はスルホン酸エステル(例えば、MPTS)が、50質量部未満であることが好ましく、40質量部未満であることがより好ましく、30質量部未満であることがさらにより好ましく、20質量部未満であることがさらにより好ましく、10質量部未満であることが特に好ましい。
〔硬化剤〕
本実施形態の組成物及びダウンホールツール用分解性シール部材(分解性ゴム部材)
は、硬化剤を含んでいる。硬化剤の種類及び量は特に限定されず、先に説明した分解性ゴムと分解促進剤との組み合わせに対し好適な種類及び濃度を定めることができる。例えば、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(MOCA)、ジメチルチオトルエンジアミン、イソホロンジアミン、ピペラジン、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ヒドロキノンジ(2−ヒドロキシエチルエーテル)、1,1,1−トリメチロールプロパン及びグリセリンなどが挙げられる。添加量としては、通常、分解性ゴム100質量部に対して1〜30質量部であり、好適には3〜20質量部、より好適には5〜15質量部の範囲で用いられる。
〔他の配合成分〕
本実施形態のダウンホールツール用分解性シール部材(分解性ゴム部材)は、分解性ゴム及び分解促進剤を含み、当該分解促進剤として、上記式(I)の化合物のうちの少なくとも1種類を、分解性ゴム100質量部に対して0.1〜20質量部を含有するゴム材料を含んでおり、当該ゴム材料を用いて形成されることを特徴とするが、ダウンホールツール用分解性シール部材(分解性ゴム部材)を形成するゴム材料(ダウンホールツール用組成物)は、分解性ゴム及び所定量の分解促進剤に加えて、本実施形態の目的を阻害しない範囲で、更に他の配合成分として、他の樹脂(分解性ゴム以外の分解性高分子や、分解性を有しない樹脂やゴムでもよい。)や、安定剤、着色剤、強化材等の各種添加剤を含有することができる。特に、ダウンホールツール用分解性シール部材(分解性ゴム部材)を形成するゴム材料は、強化材を含有してもよい。なお、分解性ゴム100質量部に対して上記式(I)の化合物0.1〜20質量部を含有するゴム材料が、分解性ゴム以外の分解性高分子や、分解性を有しない樹脂やゴムを含有する場合、該ゴム材料に含有される分解促進剤は、分解性ゴム100質量部に対して0.1〜20質量部である割合で含有されるように調製される。
〔強化材〕
強化材としては、従来、機械的強度や耐熱性の向上を目的として樹脂材料等の強化材として使用されている材料を使用することができ、繊維状強化材や、粒状又は粉末状強化材を使用することができる。強化材は、分解性ゴム100質量部に対して、通常150質量部以下、好ましくは10〜100質量部の範囲で含有させることができる。本実施形態のダウンホールツール用分解性シール部材(分解性ゴム部材)を形成するゴム材料が、強化材を含有するものであると、ダウンホール環境が分解性ゴムの融点(溶融軟化点)に近い環境であっても、処理に必要な期間、シール(分解性ゴム部材においては保護)を行うことが可能となることがある。
繊維状強化材としては、ガラス繊維、炭素繊維、アスベスト繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化珪素繊維、硼素繊維、チタン酸カリ繊維等の無機繊維状物;ステンレス、アルミニウム、チタン、鋼、真鍮等の金属繊維状物;アラミド繊維、ケナフ繊維、ポリアミド、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等の高融点有機質繊維状物質;などが挙げられる。繊維状強化材としては、長さが10mm以下、より好ましくは1〜6mm、更に好ましくは1.5〜4mmである短繊維が好ましく、また、無機繊維状物が好ましく使用され、ガラス繊維が特に好ましい。
粒状又は粉末状強化材としては、マイカ、シリカ、タルク、アルミナ、カオリン、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、フェライト、クレー、ガラス粉(ミルドファイバー等)、酸化亜鉛、炭酸ニッケル、酸化鉄、石英粉末、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム等を用いることができる。強化材は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。強化材は、必要に応じて、集束剤又は表面処理剤により処理されていてもよい。
〔他の樹脂〕
本実施形態の目的を阻害しない範囲で、更に他の配合成分として含有することができる他の樹脂(分解性ゴム以外の分解性高分子や、分解性を有しない樹脂やゴムでもよい。)としては、シール機能の喪失を促進することが所望される場合には、分解性ゴム以外の分解性高分子である、例えば、ポリグリコール酸、ステレオコンプレックス型ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート/テレフタレート、及びポリブチレンサクシネート/アジペートなどを含有することができる。
さらに、他の樹脂としては、分解性を有しない樹脂やゴムでもよく、具体的には、芳香族ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート等)、ポリスチレンなどの熱可塑性樹脂;ニトリルゴム、水添ニトリルゴム、エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体(EPDM)などの分解性を有しないゴムなどが挙げられる。ゴム材料が他の樹脂(分解性ゴム以外の分解性高分子や、分解性を有しない樹脂やゴムでもよい。)を含有する場合の他の樹脂の含有量は、ダウンホールツール用分解性シール部材(分解性ゴム部材)の分解を阻害しない範囲であり、分解性ゴム100質量部に対して、通常100質量部以下、好ましくは50質量部以下の範囲である。
3.ダウンホールツール用分解性ゴム部材
分解性ゴム100質量部に対して分解促進剤0.1〜20質量部を含有するゴム材料から形成される本実施形態のダウンホールツール用分解性シール部材等のダウンホールツール用分解性ゴム部材は、従来、使用されていたダウンホールツール用分解性シール部材やダウンホールツール用分解性保護部材と同様の構成、構造、形状を有するものとすることができ、また、従来と同様の機械的特性等を有するものとすることができ、これによって、従来と同様の用途や使用態様に適用することができる。以下、ダウンホールツール用分解性シール部材の具体例について説明する。
〔表面硬度〕
本実施形態のダウンホールツール用分解性ゴム部材は、シール機能の観点から表面硬度がA60〜D80の範囲であることが好ましい。ダウンホールツール用分解性ゴム部材を形成するゴム材料の表面硬度とは、ISO7619に準拠して測定されるデュロメータ硬度のタイプA(以下、「表面硬度A」又は単に「硬度A」ということがある。)又はタイプD(以下、「表面硬度D」又は単に「硬度D」ということがある。)で表される表面硬度を意味するものである。デュロメータ硬度としては、一般ゴム等に適合する中硬さ用のタイプA、硬質ゴム等に適合する高硬さ用のタイプD、及びスポンジ等に適合する低硬さ用のタイプEがある(例えば、硬度A100は、概ね硬度D60程度に相当することが多い。)。本実施形態のダウンホールツール用分解性ゴム部材を形成するゴム材料は、硬度A60〜D80の範囲であることによって、更に所望によりゴム部材の構造等を併せて調整することにより、フラクチャリング等の高圧流体加圧に抗して坑井孔のシールを行うことができるよう構成することができる。ダウンホールツール用分解性ゴム部材を形成するゴム材料の表面硬度は、より好ましくは表面硬度A65〜D78、更に好ましくは表面硬度A70〜D75の範囲である。
また、「初期表面硬度」とは、ゴム部材の分解が生じる前、例えば水中浸漬前の段階の表面硬度を意味する。
〔ダウンホール環境内でのゴム部材の分解〕
本実施形態のダウンホールツール用分解性シール部材(分解性ゴム部材)は、本実施形態の分解性ゴムに、本実施形態の所定量の分解促進剤を含有するゴム材料から形成されるものから選択することにより、既に説明したダウンホール環境〔深度の多様化等に付随して、多くは60℃(140度F)〜204℃(400度F)程度の温度であり、近年は更に25〜40℃程度の低温のダウンホール環境もある。〕において、数時間〜数週間以内で、所望によっては数日間以内で、該分解促進剤により促進される分解性ゴムの分解に由来して、ダウンホールツール用分解性シール部材がシール機能を喪失してシールを解除するものとすることができる。ダウンホールツール用分解性保護部材については、センサーや流路等に対する保護を解除して、露出したセンサーや流路等が本来の機能を発揮することができる。
したがって、本実施形態のゴム部材は、例えば、表面硬度がA60〜D80の範囲内であり、80℃の水に7日間浸漬後の表面硬度がA0〜A60の範囲内のゴム部材であり得る。
以下に示す実施例にも示されているように、一例では、表面硬度A82の熱硬化性ポリウレタン(ウレタンゴム)100質量部に対して、分解促進剤としてMO3質量部を含有させた組成物を含有してなるダウンホールツール用分解性ゴム部材の場合、温度80℃(175度F)の水に5日間浸漬後の表面硬度A17であり、7日間浸漬後の表面硬度A10である。表面硬度A82の熱硬化性ポリウレタン(ウレタンゴム)100質量部に対して、分解促進剤としてMO5質量部を含有させた組成物を含有してなるダウンホールツール用分解性ゴム部材の場合、場合、温度80℃(175F)の水に5日間浸漬後の表面硬度A8であり、7日間浸漬後の表面硬度A9である。表面硬度A82の熱硬化性ポリウレタン(ウレタンゴム)100質量部に対して、分解促進剤としてEO3質量部を含有させた組成物を含有してなるダウンホールツール用分解性ゴム部材の場合、温度80℃(175度F)の水に5日間浸漬後の表面硬度A38であり、7日間浸漬後の表面硬度A17である。表面硬度A82の熱硬化性ポリウレタン(ウレタンゴム)100質量部に対して、分解促進剤としてEO5質量部を含有させた組成物を含有してなるダウンホールツール用分解性ゴム部材の場合、温度80℃(175度F)の水に5日間浸漬後の表面硬度A12であり、7日間浸漬後の表面硬度A10である。
以上のことから、以上の特性、ダウンホール環境に応じて、分解性ゴム及び分解促進剤の最適の組み合わせを選択することにより、坑井掘削用プラグ等のダウンホールツールとケーシングとの間の空間の閉塞(シール)を解除したり、センサーや流路等の保護を解除したりすることを目的として、ダウンホールツール用の部材を回収したり物理的に破壊するなどのために、多くの経費と時間を費やす必要がなくなるので、坑井掘削(炭化水素資源の回収)のための経費軽減や工程短縮に寄与することができる。さらに、ダウンホールツールを、本実施形態のダウンホールツール用分解性ゴム部材とともに、分解性材料から形成される他の部材を備えるものとすることにより、ダウンホールツール用の種々の部材を回収したり、物理的に破壊する操作を完全に不要としたりすることができる。本実施形態のダウンホールツール用分解性ゴム部材を備える坑井掘削用プラグ等のダウンホールツールには、種々のダウンホールの温度等の環境や当該環境において実施する工程に応じて、多様な強度等の性能維持時間及び分解時間が求められるが、本実施形態のダウンホールツール用分解性シール部材(分解性ゴム部材)は、例えば、温度177℃、163℃、149℃、121℃、93℃、80℃又は66℃、更には25〜40℃などの種々のダウンホールの温度環境において、一定時間シール機能を維持し、その後シール機能を喪失してシールを解除する特性を有することができる。本実施形態のダウンホールツール用分解性シール部材において、シール機能の維持時間やシール機能を喪失する速度等を制御する因子や制御が可能である程度は、分解促進剤と分解性ゴムの種類や組み合わせによっても異なり、種々の手法により調整可能である。
〔ダウンホールツール用分解性ゴム部材の形状及び大きさ〕
本実施形態のダウンホールツール用分解性ゴム部材の形状及び大きさは、特に限定されず、ダウンホールツール用分解性シール部材やダウンホールツール用分解性保護部材等のダウンホールツール用分解性ゴム部材を備えるダウンホールツールの種類、形状や大きさに適合するように調製することができる。例えば、ダウンホールツール用分解性シール部材については、シート状(薄いフィルム状、厚板状等)、棒状(丸棒状、角柱状等)、直方体状(立方状を含む)、ボール状、その他の塊状(定形、不定形等)などの形状でもよい。本実施形態のダウンホールツール用分解性シール部材がシート状であったり、シーリング材又はパッキング材(詰め物様)であったりする場合は、必ずしも所定の形状を有する成形体である必要はない。また、本実施形態のダウンホールツール用分解性シール部材を備えるダウンホールツールが、坑井掘削用プラグ等である場合は、環状の成形体であるダウンホールツール用分解性シール部材とすることができ、更に具体的には、環状の成形体がダウンホールツールに備えられるマンドレルの軸方向と直交する外周面上に置かれるものであるダウンホールツール用分解性シール部材などとすることができ、フラックプラグ又はブリッジプラグ等の坑井掘削用プラグに備えられるダウンホールツール用分解性シール部材とすることができ、また、ボール又はボールシートであるダウンホールツール用分解性シール部材とすることができる。同様に、ダウンホールツール用分解性保護部材についても、保護の対象であるセンサーや流路等の形状や大きさを踏まえて、シート状、センサー等の形状に対応する所定の形状、更には不定形のものでもよく、必要に応じた大きさに調製することができる。
4.ダウンホールツール用分解性ゴム部材の製造方法
本実施形態のダウンホールツール用分解性シール部材等のダウンホールツール用分解性ゴム部材は、製造方法が特に限定されるものではない。例えば、射出成形、押出成形(固化押出成形を含む。)、遠心成形、圧縮成形その他の公知の成形方法により、所定量の分解促進剤、分解性ゴム、及び所望により含有させる他の配合成分を含有するゴム材料である組成物を成形原料として、所定形状の成形品を成形し、又は適宜形状(例えば、棒状体や厚板等)の予備成形品を成形した後、必要に応じて切削加工や穿孔等の機械加工した後に、それ自体公知の方法によって組み合わせて、ダウンホールツール用分解性ゴム部材を得ることができる。
II.ダウンホールツール
本実施形態によれば、前記のダウンホールツール用分解性ゴム部材を備えるダウンホールツールが提供される。ダウンホールツールの種類、形状や大きさは、特に限定されない。例えば、本実施形態のダウンホールツール用分解性ゴム部材は、スリーブシステム(フラックスリーブ)におけるシール部材、ダウンホールツール内におけるボールバルブ、フラッパーバルブ等のシール部材、ダウンホールツールとケーシングの間の開口部に配置されることで一時的に流体を遮断できるシール部材、更に金属製のダウンホールツール部材、センサーや流路等を覆って保護やシールを行う形で存在し、これら金属部分等が拡径することで坑井孔をシールするなどの他の多くのシール用途におけるシール部材として、又は保護部材として使用することができる。本実施形態のダウンホールツール用分解性ゴム部材の特性である分解性に由来する崩壊性をより有効に発揮することができる観点から、好ましいダウンホールツールとしては、坑井掘削用プラグが挙げられ、より好ましくはフラックプラグ又はブリッジプラグが挙げられる。
〔坑井掘削用プラグ〕
本実施形態のダウンホールツール用分解性ゴム部材を備えるダウンホールツール(以下、「本実施形態のダウンホールツール」ということがある。)として、より好ましい坑井掘削用プラグは、通常、マンドレル(中実でも中空部を有するものでもよい。)と、マンドレルの軸方向に直交する外周面上に置かれる種々のダウンホールツール部材とを備える、それ自体周知の構造を備えるものが適合する。ダウンホールツール部材としては、拡径してダウンホールツール(坑井掘削用プラグ)とケーシングとの間の空間を閉塞して流体をシールすることができる拡径可能な環状のシール部材、及び/又は、拡径してダウンホールツール(坑井掘削用プラグ)とケーシングとを相互に固定するスリップや、ウエッジ、リングその他の部材が挙げられ、それ自体周知の部材(例えば、センサー等)を備えるものとすることができる。
本実施形態のダウンホールツールは、例えば環状の成形体であるダウンホールツール用分解性シール部材(分解性ゴム部材)を備えるものであり、好ましくはマンドレルの軸方向と直交する外周面上に置かれる環状の成形体であるダウンホールツール用分解性シール部材を備えるものであり、また、ボール又はボールシートであるダウンホールツール用分解性シール部材を備えるものとすることができる。
本実施形態のダウンホールツールが備える他のダウンホールツール部材、例えば、マンドレル、スリップ、ウエッジ又はリングなどは、従来、当該ダウンホールツール部材として使用されてきた材料、形状や大きさ、機械的特性等を有するものの範囲から選択することができる。したがって例えば、マンドレル等としては、分解性材料から形成されるものを使用してもよく、また、強化材を含有する材料から形成されるものを使用してもよく、さらに、他の材料から形成される別部材との複合材から形成されるものを使用してもよい。さらに、マンドレルについていえば、中空部を有してもよいし、軸方向に沿って径が変化するものでもよいし、外表面に固定部、段部、凹部、凸部等を有するものでもよい。
〔ダウンホールツールによるダウンホールのシール〕
ダウンホールツールの流体シールを確実なものとするために、本実施形態のダウンホールツール用分解性シール部材(分解性ゴム部材)は、例えば環状の成形体として、好ましくはダウンホールツールに備えられるマンドレルの軸方向と直交する外周面上に置かれる環状の成形体として、軸方向に圧縮されて縮径することに伴い軸方向と直交する方向に拡径する部材として、また例えばボール又はボールシートとして、坑井孔のケーシングとダウンホールツールとの間の空間を閉塞し、流体をシールするものとすることができる。
本実施形態のダウンホールツール用分解性ゴム部材は、本実施形態の分解性ゴム100質量部に対して分解促進剤0.1〜20質量部を含有するゴム材料から形成されることにより、流体シール性に優れたものとすることができる。流体シール性は、以下の方法によって測定することができる。すなわち、(1)ダウンホールツール用分解性ゴム部材から、外径90mm、内径60mmで特定形状に切削した試料(環状のゴム部材)を、内径103.1mmの外筒及び外径60mmの芯棒が付帯している治具にセットする、(2)該試料(環状のゴム部材)を治具の軸方向に圧縮して、治具の外筒及び芯棒部が該試料(環状のゴム部材)でシールされるようにする、(3)水圧負荷を行い、シール不良が発生する(多くの場合、試料、すなわち環状のゴム部材の治具の軸方向両端部に大きな変形力がかかることにより該部位が破壊され、シール不良が発生する。)ときの水圧(以下、「破壊水圧」ということがある。)を測定する。破壊水圧が、20MPa以上であれば、流体シール性が優れているということができ、好ましくは23MPa以上、より好ましくは26MPa以上である。ダウンホールツール用分解性ゴム部材の破壊水圧は、分解性ゴムの種類、分解促進剤の種類や含有量等によって調整することができる。
III.坑井掘削方法
本実施形態のダウンホールツール用分解性ゴム部材を使用する坑井掘削方法、例えばダウンホールツール用分解性シール部材を備える坑井掘削用プラグ等のダウンホールツールを使用して、ダウンホールツールとケーシングとの間の流体をシールする坑井掘削方法によれば、並びに、本実施形態のダウンホールツール用分解性ゴム部材を使用して、例えばダウンホールツール用分解性シール部材を備える坑井掘削用プラグ等のダウンホールツールを使用して、坑井孔の目止め処理を行った後に、ダウンホールツールが分解される、具体的には、ダウンホールツール用分解性シール部材を備える坑井掘削用プラグ等のダウンホールツールの一部又は全部が分解される坑井掘削方法によれば、所定の諸区画のフラクチャリングが終了し、又は、坑井の掘削が終了して坑井が完成し、石油や天然ガス等の生産を開始するときには、坑井孔を閉塞しているダウンホールツール用分解性シール部材によるシールを、当該のダウンホール環境において所望する期間内に、容易にシール解除することができるように設計することができる。同様に、ダウンホールツール用分解性保護部材を備えるダウンホールツールを使用する坑井掘削方法においても、当該のダウンホール環境において所望する期間内に、センサーや流路等に対する保護を解除することができるように設計することができる。この結果、本実施形態の坑井掘削方法によれば、従来、坑井処理の終了後又は坑井完成後に、シール解除を行うためにシール機能を喪失させる操作や、保護部材による保護を解除する操作のために、更には、坑井内に残置されていた多数の坑井掘削用プラグ又はシール部材や保護部材等の部材を、破砕、穿孔その他の方法によって破壊したり、小片化したりするために要していた多くの経費と時間が不要となるので、坑井掘削の経費軽減や工程短縮ができる。
〔坑井孔の閉塞〕
シール及びシールの解除について更に説明すると、本実施形態のダウンホールツールは、ダウンホールツール用分解性シール部材に対して、例えば、1対のリングにマンドレルの軸方向の力を加えることにより、ダウンホールツール用分解性シール部材が、軸方向に圧縮されて縮径することに伴い、マンドレルの軸方向と直交する方向に拡径して、軸方向に直交する方向の外方部がダウンホールの内壁と当接するとともに、軸方向に直交する方向の内方部がマンドレルの外周面に当接することにより、ダウンホールツールとダウンホールとの間の空間を閉塞し、流体をシールすることができる。なお、ダウンホールツール用分解性ゴム部材が短時間で分解してしまうような高温環境にあるダウンホール内において、上記した閉塞(シール)や、ダウンホールツールの保護等を行う場合には、地上から流体を注入して(cooldown injection)、ダウンホールツール用分解性ゴム部材の周辺温度を低下させた状態にコントロールすることによって、所望の時間、シール性能(強度等)や保護機能を維持するような処理方法を採用することができる。
〔ダウンホールツールの分解〕
本実施形態の坑井掘削用プラグ等のダウンホールツールは、所定の諸区画のフラクチャリングが終了した後、通常は、坑井の掘削が終了して坑井が完成し、石油や天然ガス等の生産を開始するときに、生分解、加水分解又は更に他の何らかの方法による化学的な分解や溶剤への溶解のみならず、分解促進剤を崩壊させることができる多様な手段により、ダウンホールツール用分解性シール部材のシール機能を喪失させ、更に所望により、分解性を有するマンドレルやスリップ、リング等のダウンホールツール用分解性シール部材以外の他のダウンホールツール部材とともに、容易に分解又は崩壊させて除去することができる。すなわち、本実施形態のダウンホールツール用分解性シール部材を使用して坑井孔の目止め処理を行った後に、ダウンホールツール用分解性シール部材がシール機能を喪失し、更に所望により分解されることによって、(i)坑井内において流体の移動を妨げるためのシールが所望期間内に解除できる、(ii)生産を妨げる不要なダウンホールツールの除去が容易となる、(iii)ダウンホールツールに備えられる他の部材をPGAやPLA等の分解性材料、より好ましくはPGAから形成することによれば、生産開始前にダウンホールツールやダウンホールツール部材の破砕処理が全く不要であるダウンホールツールを得ることができる、(iv)フラクチャリング工程に使用されるダウンホールツールに限られることなく、何らかのシールが必要とされる多様な工程において使用される種々のダウンホールツールに適用することができる、などの利点がある。本実施形態のダウンホールツール用分解性保護部材を使用してセンサー等の保護を行う坑井掘削方法についても、同様の利点がある。なお、坑井処理が終了した後に残存するダウンホールツール用分解性ゴム部材は、生産を開始するまでに完全に消失していることが好ましいが、完全に消失していないとしても、強度が低下してダウンホール中の水流等の刺激により崩壊するような状態となれば、崩壊したダウンホールツール用分解性ゴム部材は、フローバックなどにより容易に回収することができ、ダウンホールやフラクチャに目詰まりを生じさせることがないので、石油や天然ガス等の生産障害となることがない。また通常、ダウンホールの温度が高い方が、短時間でダウンホールツール用分解性ゴム部材の分解や強度低下が進行する。なお、坑井によっては地層中の含水量が低いことがあり、その場合にはフラクチャリング時に使用した水ベースの流体を、フラクチャリング後に回収することなく坑井中に残留させることで、ダウンホールツールの分解を促進させることができる。
本実施形態の具体的態様によれば、更に、i)本実施形態のダウンホールツール用分解性ゴム部材を備えるダウンホールツールを使用して、坑井孔をシールした後に、坑井孔内で該ダウンホールツール用分解性ゴム部材が分解されることを特徴とする坑井掘削方法、ii)本実施形態のダウンホールツール用分解性ゴム部材を備え、さらに分解性材料(好ましくはPGA)を含有する他のダウンホールツール用部材を備えるダウンホールツールを使用して、坑井孔をシールした後に、坑井孔内で該ダウンホールツール用分解性ゴム部材が分解されることを特徴とする坑井掘削方法、及び、iii)本実施形態のダウンホールツール用分解性ゴム部材を備え、該ダウンホールツール用分解性ゴム部材が、他のダウンホールツール用部材に接する、及び/又は、他のダウンホールツール用部材を覆うように配置されてなるダウンホールツールを使用して、坑井処理を行った後に、坑井孔内で該ダウンホールツール用分解性ゴム部材が分解されることを特徴とする坑井掘削方法が提供される。
以下に実施例を示し、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。さらに、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、それぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された文献の全てが参考として援用される。
〔実施例1:ゴム材料用組成物の調製及び固形のゴム材料サンプルの形成〕
(原料)
分解性ゴムとしてポリエステル系プレポリマーであるパンデックス380E(DIC株式会社製)を、分解促進剤としてシュウ酸ジメチル(MO)を、硬化剤として3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(MOCA)(東京化成工業株式会社製)を原料として使用した。
(ゴム材料用組成物の調製方法)
パンデックス380Eを100℃に加温し、撹拌しながら、パンデックス380E100質量部に対して3質量部となるように、MOを添加した。次に、MO添加後100℃で加温した状態で30分間静置した。その後、再度5分間撹拌し、真空引きによって脱泡した。パンデックス380EとMOとの相溶状態に応じて、さらに100℃で30分〜2時間加温した後で、真空引きによって脱泡した。続いて、MOCAをパンデックス380E100質量部に対して10質量部となるように添加し、100℃で5分間撹拌し、ゴム材料用組成物を調製した。
(固形のゴム材料サンプルの形成方法)
得られたゴム材料用組成物を金型に注いだ。70〜110℃の温度で加温することによって硬化させ、固形のゴム材料サンプルを作製した。
〔実施例2〕
MOをパンデックス380E100質量部に対して5質量部となるように添加した以外は、実施例1と同様にしてゴム材料用組成物を調製し、固形のゴム材料サンプルを作製した。
〔実施例3〕
パンデックス380E100質量部に対して3質量部となるように分解促進剤としてシュウ酸ジエチル(EO)を添加した以外は、実施例1と同様にして分解性ゴム部材を作製した。
〔実施例4〕
パンデックス380E100質量部に対して5質量部となるようにEOを添加した以外は、実施例3と同様にして分解性ゴム部材を作製した。
〔比較例1〕
分解促進剤を添加しなかった以外は、実施例1と同様にしてゴム材料用組成物を調製し、固形のゴム材料サンプルを作製した。
〔比較例2〕
分解促進剤としてMOの代わりにグリコリドを使用し、パンデックス380E100質量部に対して3質量部となるように添加した以外は、実施例1と同様にしてゴム材料用組成物を調製し、固形のゴム材料サンプルを作製した。
〔比較例3〕
分解促進剤としてMOの代わりにグリコリドを使用し、パンデックス380E100質量部に対して5質量部となるように添加した以外は、実施例1と同様にしてゴム材料用組成物を調製し、固形のゴム材料サンプルを作製した。
〔比較例4〕
分解促進剤としてMOの代わりにグリコリドを使用し、パンデックス380E100質量部に対して10質量部となるように添加した以外は、実施例1と同様にしてゴム材料用組成物を調製し、固形のゴム材料サンプルを作製した。
ここで、各実施例及び各比較例における、各分解促進剤の融点及び加温温度100℃においてプレポリマーと分解促進剤とが完全に相溶化するまでの必要加温時間を表1にまとめた。
Figure 2017115106
〔実施例5〕
(評価試験1:ゴム材料サンプルの水への浸漬による分解試験)
<試験方法>
50mlバイアル瓶に、得られたゴム材料サンプル5g及びイオン交換水50mlを入れ、80℃に設定した恒温機中に一定時間保管した。経時的に水中から固形ゴム材料サンプルをバイアル瓶から取り出し、フィルターを用いて固液分離を行った。分離後得られた固形物を、露点−40℃以下のドライルームに静置し、12時間乾燥させた。乾燥後、デュロメータAタイプ(GS−719N、株式会社テクロック製)を用いてゴム材料サンプルの表面硬度の測定を行った。表面硬度は5kg重の負荷をかけてから3秒後の値を測定した。また、浸漬時間として、0日(浸漬前)1日、3日、5日及び7日の各時点の硬度を測定した。
<結果>
試験結果を図1に示す。図1は、実施例1〜4及び比較例1〜3のゴム材料サンプルの、80℃の水に各日数浸漬後の時点における表面硬度の測定結果を示している。
図1に示されるように、分解促進剤を添加していない比較例1と比較して、分解促進剤としてグリコリドを添加している比較例2及び比較例3、分解促進剤としてMOを添加している実施例1及び実施例2、並びにEOを添加している実施例3及び実施例4は、いずれも表面硬度の低下がみられ、いずれも同等な分解促進効果を示した。この結果は、シュウ酸エステルを分解促進剤として用いることによって、分解速度を調節可能であることを示している。
さらに、初期表面硬度は、比較例2又は3及び実施例1〜4のいずれの場合も分解促進剤を添加しない比較例1と同等の硬度を維持していた。
また、表1に示されるように、プレポリマーと分解促進剤とを相溶化させるために必要な加熱時間は、比較例2及び3では75分、比較例4では105分であるのに比較して、実施例1〜4では60分であり、相溶化させるためにかかる時間が短かった。また、比較例2及び3と比較例4との比較から明らかなように、分解促進剤としてグリコリドを用いた場合は、グリコリドの含有量に依存して完全に相溶化までの時間が長くなった。この結果は、グリコリドが融点が高く、プレポリマーとの完全な相溶化までに時間がかかるためであると考えられる。
なお、グリコリドを分解促進剤として用いた場合、表1よりも加温時間が短い場合には、形成したゴム材料サンプルに、グリコリドのブリードアウトがみられた。
また、グリコリドを分解促進剤として用いた場合、ゴム材料の形成する際に、プレポリマーの加温温度を高くすることによって、加温時間を短縮することはできるが、加温温度を高くするとプレポリマーが熱劣化してしまう。その結果、得られるゴム材料の形成品の表面硬度は低下する。
以上のように、シュウ酸エステルは、分解促進剤として、グリコリドと同程度の、初期表面硬度及び分解速度を維持しつつ、プレポリマーの熱劣化を抑制して分解性ゴム部材の製造時間を短縮することができた。
〔実施例6〕
(評価試験2:ゴム材料サンプルの最大点応力)
<試験方法>
実施例1〜4及び比較例1〜4のそれぞれにおいて作製されたゴム材料サンプルから、引張りダンベル状試験片(全長100mm、ゲージ長20mm及び狭窄部5mm)を作製し、引張試験機(AG−X/R、株式会社島津製作所製)によって、破断した時点の値を最大点応力として、引っ張り応力を23℃、引張速度500mm/minの条件で測定した。
<結果>
試験結果を図2に示す。図2は、実施例1〜4、比較例1、3及び4のゴム材料サンプルの引張試験の測定結果を示している。
図2に示されるように、実施例1〜4、比較例1、3及び4のゴム材料サンプルは、いずれも、分解促進剤の含有量の増加に伴い引張試験における最大点応力が低下したが、実施例1〜4、比較例3及び4のゴム材料サンプルは、分解剤を添加しない比較例1と比べて、一定の最大点応力を維持していた。
また、実施例1〜4と比較例3及び4とを比較したところ、いずれも同等の最大点応力を維持していた。
以上の評価試験1及び2の結果から示されるように、MO又はEOは、プレポリマーと相溶させることが容易でありつつ、プレポリマーと相溶させるための時間を短縮させることができる。また、分解促進剤としてMO又はEOを用いた実施例1〜4のゴム材料では、初期表面硬度を維持し、かつ、高い分解促進効果を発揮しつつ、力学強度の低下が抑制されていた。このことから、シュウ酸エステルを分解促進剤として用いることによって、ゴム部材の形成の容易性、分解促進効果、及び力学的強度のバランスに優れたゴム材料が得られることが分かった。
本発明の組成物及び本発明の組成物を含有するゴム材料から形成されることを特徴とするダウンホールツール用分解性ゴム部材であれば、採掘条件が多様となるもと、確実に流体をシールして坑井処理を容易とし、かつ、所望の期間でシールを解除し、その除去や流路の確保ができるよう、所望に応じて設計可能な分解性シール部材や、センサーや流路等を保護し、その後容易に除去できるよう設計可能な分解性保護部材に適用可能であることによって、坑井掘削の経費軽減や工程短縮ができるダウンホールツール用分解性ゴム部材を提供することができ、更に、該部材を備えるダウンホールツール、及び坑井掘削方法を提供することができるので、産業上の利用可能性が高い。

Claims (23)

  1. 分解性ゴム及び分解促進剤を含み、上記分解促進剤として、下記一般式(I)で表される化合物のうちの少なくとも1種類を、上記分解性ゴム100質量部に対して0.1〜20質量部にて含有する組成物。
    Figure 2017115106
    (式(I)中、R及びRはそれぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基又はフェニル基である)
  2. 上記R及びRはそれぞれ独立に、メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基からなる群から選ばれることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
  3. 上記式(I)で表される化合物の融点が、−60〜80℃であることを特徴とする請求項1又は2に記載の組成物。
  4. 請求項1〜3の何れか一項に記載の組成物を含有することを特徴とするダウンホールツール用組成物。
  5. 請求項4に記載のダウンホールツール用組成物を用いて形成されたダウンホールツール用分解性ゴム部材。
  6. 上記ダウンホールツール用分解性ゴム部材の表面硬度は、A60〜D80の範囲内であり、80℃の水に7日間浸漬後の表面硬度がA0〜A60の範囲内であることを特徴とする請求項5に記載のダウンホールツール用分解性ゴム部材。
  7. 上記分解性ゴムは、ウレタンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、スチレンゴム、アクリルゴム、脂肪族ポリエステルゴム、クロロプレンゴム、ポリエステル系熱可塑性エラストマー及びポリアミド系熱可塑性エラストマーからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する請求項5又は6に記載のダウンホールツール用分解性ゴム部材。
  8. 上記分解性ゴムは、加水分解性の官能基を有するゴムを含有する請求項5〜7のいずれか1項に記載のダウンホールツール用分解性ゴム部材。
  9. 上記ダウンホールツール用組成物は強化材をさらに含有していることを特徴とする、請求項5〜8のいずれか1項に記載のダウンホールツール用分解性ゴム部材。
  10. シール部材である請求項5〜9のいずれか1項に記載のダウンホールツール用分解性ゴム部材。
  11. 環状の成形体である請求項10に記載のダウンホールツール用分解性ゴム部材。
  12. 上記環状の成形体は、ダウンホールツールに備えられるマンドレルの軸方向と直交する外周面上に置かれるものである請求項11に記載のダウンホールツール用分解性ゴム部材。
  13. ボール又はボールシートである請求項5〜12のいずれか1項に記載のダウンホールツール用分解性ゴム部材。
  14. ダウンホールツール用分解性保護部材である請求項5〜13のいずれか1項に記載のダウンホールツール用分解性ゴム部材。
  15. 坑井掘削用プラグに備えられる請求項5〜14のいずれか1項に記載のダウンホールツール用分解性ゴム部材。
  16. 請求項5〜15のいずれか1項に記載のダウンホールツール用分解性ゴム部材を備えるダウンホールツール。
  17. 坑井掘削用プラグである請求項16に記載のダウンホールツール。
  18. 請求項5〜15のいずれか1項に記載のダウンホールツール用分解性ゴム部材を使用する坑井掘削方法。
  19. 請求項5〜15のいずれか1項に記載のダウンホールツール用分解性ゴム部材を使用して、ダウンホールツールとケーシングとの間の流体をシールする坑井掘削方法。
  20. 請求項5〜15のいずれか1項に記載のダウンホールツール用分解性ゴム部材を使用して、坑井孔の目止め処理を行った後に、ダウンホールツールが分解される坑井掘削方法。
  21. 請求項16に記載のダウンホールツールを使用して、坑井孔をシールした後に、坑井孔内で該ダウンホールツール用分解性ゴム部材が分解されることを特徴とする坑井掘削方法。
  22. 請求項5〜15のいずれか1項に記載のダウンホールツール用分解性ゴム部材を備え、
    さらに分解性材料を含有する他のダウンホールツール用部材を備えるダウンホールツールを使用して、坑井孔をシールした後に、坑井孔内で該ダウンホールツール用分解性ゴム部材が分解されることを特徴とする坑井掘削方法。
  23. 請求項5〜15のいずれか1項に記載のダウンホールツール用分解性ゴム部材を備え、該ダウンホールツール用分解性ゴム部材が、他のダウンホールツール用部材に接する、及び/又は、他のダウンホールツール用部材を覆うように配置されてなるダウンホールツールを使用して、坑井処理を行った後に、坑井孔内で該ダウンホールツール用分解性ゴム部材が分解されることを特徴とする坑井掘削方法。
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