JP2017105725A - 光音響イメージング用造影剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】有機色素の濃度当りの信号が大きい、光音響イメージング用造影剤の提供。【解決手段】アルブミンに少なくとも1つの有機色素が共有結合してなる複合体を複数有する光音響イメージング用造影剤であって、該有機色素が下記式(1)で表わされる化合物又はその塩である光音響イメージング用造影剤。[R1〜R8は各々独立にH、C1〜3のアルキル基、スルホン酸基;R9〜R12は各々独立にH、C1〜3のアルキル基;R13及びR14は各々独立に置換/非置換のC1〜5のアルキル基、前記置換基はカルボキシル基、スルホン酸基或いはホスホン酸基;n1及びn2は各々独立に0又は1;L1〜L7はメチン基、L1〜L7は4員〜6員の環を形成していてもよい;R100は、フェニル基、ピリジル基又は置換/非置換のC1〜5のアルキル基、前記置換基はアリール基等]【選択図】なし

Description

本発明は、光音響イメージング用造影剤に関する。
非侵襲的に生体内部の情報を可視化する方法として、光学イメージング法が知られている。光学イメージング法では、被測定体に光を照射したときに被測定体内部で光を吸収した物質(光吸収体)が発する音響波や蛍光などの信号を測定して画像化する。被検体に光を照射して音響波を測定して画像化する技術を光音響イメージング(Photo Acoustic Imaging、以下PAIと略すことがある)と呼ぶ。
また、Indocyanine green(以下ICGと略すことがある)などの近赤外波長領域の光を吸収する有機色素を生体に投与することで、生体内でその有機色素が発する音響波を測定することも可能である。したがって、ICGのような有機色素は、光音響イメージング用造影剤として利用できる。
ここで、有機色素を腫瘍の造影剤として用いるために、有機色素にポリマーや蛋白質などの高分子化合物を結合させることが好ましい。なぜなら、有機色素は一般的に低分子であるため、腫瘍に集積する前に血中から速やかに排出されてしまうが、高分子化合物を結合させておくことで排出されにくくなり、血中を循環するうちに腫瘍に集積し、結果的に腫瘍集積量を高めることができるからである。
特許文献1では、ICGの誘導体を人血清アルブミン(human serum albumin、以下HSAと略すことがある)に結合させた複合体とすることで、血中から排出されにくくしている。
特開2014−129332号公報
ここで、光音響イメージングにおいて、腫瘍部位がより明確となる画像を得るためには、より大きな光音響信号を得られることが好ましい。造影剤が有する有機色素を多くすれば大きな信号を得られるが、人体への負担の観点から、造影剤が有する有機色素の量は少ない方が好ましい。そこで、従来よりも、有機色素の濃度あたりの信号が大きい、光音響イメージング用造影剤を提供することを目的とする。
本発明に係る光音響イメージング用造影剤は、アルブミンに少なくとも1つの有機色素が共有結合してなる複合体を複数有する光音響イメージング用造影剤であって、前記有機色素が下記式(1)で表わされる化合物又はその塩である。
Figure 2017105725

(1)
上記式(1)において、R乃至Rは各々独立に同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1以上3以下のアルキル基、スルホン酸基のいずれかを表し、R乃至R12は、各々独立に同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1以上3以下のアルキル基のいずれかを表し、R13及びR14は同一でも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素数1以上5以下のアルキル基を表し、該置換基はカルボキシル基、スルホン酸基及びホスホン酸基のいずれかであり、n及びnは同一でも異なってもよく、0又は1を表し、L乃至Lはメチン基であり、L乃至Lは4員環乃至6員環を形成していてもよく、R100は、フェニル基、ピリジル基及び置換基を有していてもよい炭素数1以上5以下のアルキル基の少なくともいずれかを表し、該置換基はアリール基、アリールアルキル基、スルホアルキル基、アルキルチオ基、スルホアルキルチオ基、複合環基、アシルアミノ基、アリールアミノ基、N−アリール−N−アルキルアミノ基、アリールチオ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、及びアシルアミノアリールオキシ基のいずれかである。
本発明に係る光音響イメージング用造影剤によれば、有機色素の濃度あたりの光音響信号を大きくすることができる。
本発明の実施例における色素(152C)とHSAの仕込み比と色素標識率(D/P)の関係を示した結果である。 本発明の実施例における光音響イメージング用造影剤の色素標識率(D/P)と有機色素の濃度当たりの光音響信号強度の関係を示した結果である。 本発明の実施例における光音響イメージング用造影剤の色素標識率(D/P)とHSAの濃度当たりの光音響信号強度の関係を示した結果である。 本発明の実施例における光音響イメージング用造影剤の色素標識率(D/P)と蛍光強度の関係を示した結果である。
本発明の実施形態に係る光音響イメージング(photoacoustic imaging、以下PAIと略すことがある)用造影剤について説明するが、本発明はこれに限られない。
(光音響イメージング用造影剤)
本実施形態に係る光音響イメージング用造影剤は、アルブミンに少なくとも1つの特定の有機色素が共有結合してなる複合体を複数有する。複合体が、特定の有機色素すなわち、嵩高い官能基を有し、疎水性の高い有機色素を有するため、複合体同士が集まりやすくなる結果、濃度消光が生じ、大きな光音響信号を得ることができると考えられる。そのため、光音響イメージング用として好適である。
なお、本実施形態に係る光音響イメージング用造影剤は、上記複合体以外に分散媒、薬理上許容できる添加物(例えば血管拡張剤)、アルブミン等を有していてもよい。また、本実施形態におけるアルブミンにさらに、後述する捕捉分子が結合していてもよい。
以下、本実施形態に係る光音響イメージング用造影剤を構成する材料について詳細に説明する。
(有機色素)
本実施形態における有機色素は、下記式(1)で表わされる化合物又はその塩である。なお本明細書において、塩は医薬上許容しうる塩であることが好ましい。
Figure 2017105725

(1)
上記式(1)において、R乃至Rは各々独立に同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1以上3以下のアルキル基、スルホン酸基のいずれかを表す。好ましくは、R乃至Rが水素原子の場合である。
上記式(1)において、R乃至R12は、各々独立に同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1以上3以下のアルキル基のいずれかを表す。好ましくは、R乃至R12がメチル基の場合である。
上記式(1)において、R13及びR14は同一でも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素数1以上5以下のアルキル基を表す。この置換基はカルボキシル基、スルホン酸基及びホスホン酸基のいずれかである。好ましくは、置換基を有するプロピル基であり、好ましい置換基はカルボキシル基である。
上記式(1)においてn及びnは同一でも異なってもよく、0又は1を表すが、n及びnが1であることが好ましい。
上記式(1)において、L乃至Lはメチン基であり、L乃至Lは4員環乃至6員環を形成していてもよい。
上記式(1)において、R100は、フェニル基、ピリジル基及び置換基を有していてもよい炭素数1以上5以下のアルキル基の少なくともいずれかを表す。この置換基はアリール基、アリールアルキル基、スルホアルキル基、アルキルチオ基、スルホアルキルチオ基、複合環基、アシルアミノ基、アリールアミノ基、N−アリール−N−アルキルアミノ基、アリールチオ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、及びアシルアミノアリールオキシ基のいずれかである。好ましくは、R100がメチル基、エチル基、フェニル基、ピリジル基、ベンジル基のいずれかであることが好ましい。
上記式(1)で表わされる構造はメチン鎖に、嵩高い置換基を有するため、アルブミンとの親和性が高い。そのため、この有機色素をアルブミンと結合させる際に、有機色素がアルブミンと接近しやすくなるため、結果的に多くの有機色素をアルブミンに結合させることができる。また、R乃至Rのうち複数がスルホン酸基である場合、水溶液中での分散性が高い。それにより、アルブミンとの反応性が向上し、アルブミン1分子に多数の有機色素を共有結合させることが可能となる。これにより、アルブミン1分子に多数の有機色素を共有結合させることにより、有機色素同士もしくは複合体同士が集まりやすくなることにより濃度消光が起こると考えられる。このため、光を吸収した有機色素から蛍光が発せられにくくなり、吸収した光のエネルギーが熱エネルギーへと変換されやすくなるため、音響波が大きくなる。また、上記式(1)で表わされる構造はアルブミンとの親和性が高いために、アルブミンに共有結合させた複合体において、色素を介して、複合体同士が集まりやすくなることが考えられる。このため、光を吸収した有機色素から蛍光が発せられにくくなり、吸収した光のエネルギーが熱エネルギーへと変換されやすくなるため、音響波が大きくなる。
本実施形態における有機色素は、例えば、下記の式(2)乃至(6)で表わされる。
Figure 2017105725
Figure 2017105725
上記式(2)乃至(6)において、Xは水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、ヨウ素原子のいずれかである。
また、本実施形態における有機色素が、下記式(7)で表わされる化合物(以下152C色素と略すことがある)又はその塩であることが好ましい。
Figure 2017105725

(7)
本実施形態における有機色素は、近赤外波長領域の光を吸収して音響波を発する有機色素であることが好ましい。なお、本明細書において近赤外波長領域の光とは600nm乃至1300nmの波長の光を意味する。
(アルブミン)
本実施形態におけるアルブミンは、血中に多量に存在(35〜50g/L程度)し、分子サイズが約66.5kDa、全配列585アミノ酸程度からなるタンパク質である。アルブミンは生体内において浸透圧制御などの多くの役割を果たしている。本実施形態におけるアルブミンとしては、ヒト血清アルブミン(HSA)、ウシ血清アルブミン(bovine serum albumin、BSA)などが挙げられるが、HSAまたはBSAなどの改変体であってもよい。また、これらの断片であってもよい。本実施形態におけるアルブミンとしては、人体との親和性が高いと考えられる、ヒト血清アルブミン、ヒト血清アルブミンの改変体、ヒト血清アルブミンの断片、ヒト血清アルブミンの改変体の断片のいずれかであることが好ましい。また、本実施形態におけるアルブミンはヒト血液からの抽出物であってもよいし、大腸菌等からの生産物でもあっても構わない。本実施形態におけるアルブミンはHSAの全配列あるいは全配列中から取り出してきた部分配列と比較して少なくとも95%以上の相同性を有する。アルブミンは有機色素がアクセスできる位置に複数のリジン残基、あるいは遊離のシステイン残基を有している。アルブミンと有機色素との化学結合の一例として、アルブミンのリジン残基のアミノ基と近赤外色素のカルボキシル基とによるアミド結合が挙げられる。
(色素標識率(D/P))
本実施形態における色素標識率は、光音響イメージング造影剤に含まれる複合体に結合している有機色素の平均の数である。本実施形態において色素標識率は、光音響イメージング用造影剤に含まれる有機色素の濃度およびアルブミンの濃度をそれぞれ求め、それらの比(有機色素の濃度/アルブミンの濃度)から算出することができる。なお、有機色素の濃度は、その有機色素の特異的な吸収波長における吸光度から算出できる。特異的な吸収波長として例えば、上記式(7)で示される化合物を用いた場合は765nmを採用することができる。また、アルブミンの濃度はbicinchoninic acid(BCA)アッセイによって求めることができる。
以下では、色素標識率をD/P(Dye/Protein)と略すことがある。
本実施形態に係る光音響イメージング用造影剤において、D/Pは、3以上15以下であるであることが好ましく、4以上10以下であることがさらに好ましい。
(複合体)
本実施形態における複合体は、アルブミンに少なくとも1つの有機色素が共有結合してなる。ここで、アルブミンと有機色素が共有結合してなる、とは、アルブミンの一部を除いた部位と、有機色素の一部を除いた部位とが共有結合していることを意味する。例えば、アルブミンのアミノ基のHを除いた−NHと、有機色素が上記式(1)で表わされ、R13又はR14がカルボキシル基の場合、OHを除いた−COと、が共有結合していることを意味する。
また、「複合体」は別の見方をすれば「化合物」や「分子」ということもできる。上記式(2)乃至(6)で表わされる有機色素1個とアルブミン1個とが結合してなる複合体(化合物ということもできる)は以下のように表わすこともできる。
Figure 2017105725
Figure 2017105725
上記式(i)乃至(v)において、Xは水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、ヨウ素原子のいずれかである。
上記式(i)乃至(v)において、Aはアルブミンうち、1つのアミノ基を除いた構造を表す。
(分散媒)
本実施形態における分散媒として例えば、生理食塩水、注射用蒸留水、リン酸緩衝生理食塩水(Phosphate buffered saline、PBS)、ブドウ糖水溶液が挙げられる。また本実施形態に係る光学イメージング用造影剤は、本実施形態に係る光音響イメージング用造影剤は、上記の分散媒に予め分散させておいてもよいし、キットにしておき、生体内に投与する前に分散媒に分散させて使用してもよい。
(捕捉分子)
本実施形態における捕捉分子とは、腫瘍などの標的部位に特異的に結合する物質、標的部位の周辺に存在する物質に特異的に結合する物質などであり、生体分子や医薬品等の化学物質などから任意に選択することができる。具体的には、タンパク質、抗体、抗体フラグメント、酵素、生物活性ペプチド、グリコペプチド、ペプチド、糖鎖、脂質、分子認識化合物などが挙げられる。これらの物質は単独で用いることもできるし、あるいは複数を組み合わせて用いることもできる。捕捉分子が化学結合された複合体を用いることで、標的部位の特異的な検出、標的物質の動態、局在、薬効、代謝等の追跡を行うことができる。
(複合体の調製方法)
本実施形態において、アルブミンと有機色素とは、アミノ基、チオール基、カルボキシル基、またはヒドロキシル基を介して公知のカップリング反応によって共有結合させることができる。特に、アミノ基を介して結合させることが好ましい。アミノ基はアルブミン中に複数存在し、弱アルカリ性のpH領域において効率的かつ選択的に反応する。前記反応によりアルブミンと結合した有機色素は、限外濾過法、サイズ排除カラムクロマトグラフィー法等の公知のタンパク質精製法により洗浄、精製することができる。アルブミンと有機色素との結合はアルブミン表面に存在する前記アミノ基、チオール基、カルボキシル基、またはヒドロキシル基と有機色素の誘導体とで直接結合されていても良いし、種々の架橋材(クロスリンカー)を介して結合させても良い。
なお、アルブミンの有するアミノ基と有機色素の有するカルボキシル基とを反応させる場合、N−ヒドロキシスクシンイミド(N‐Hydroxysuccinimide)でカルボキシル基を活性化させてからアミド結合させることが好ましい。以下では、N−ヒドロキシスクシンイミドをNHSと略すことがある。
また、HSAの仕込み量に対する上記有機色素の仕込み量を、30以上100以下とすることが好ましく、40以上80以下とすることがさらに好ましい。なぜなら後述する実施例からわかるように、アルブミンに対する色素標識率を高くできるからである。
(光学イメージング方法)
本実施形態における光学イメージング方法は、被検体に光を照射して蛍光を測定する蛍光イメージングと、検体に光を照射して音響波(超音波ということもできる)を測定する光音響イメージングとがある。各々の手法における造影剤をそれぞれ、蛍光イメージング用造影剤、光音響イメージング用造影剤と呼ぶことができる。
(光音響イメージング方法)
生体内に投与された本実施形態に係る光音響イメージング(PAI)用造影剤を、光音響イメージング装置を用いて検出する方法について説明する。本実施形態に係るPAI用造影剤を検出する方法は以下の(a)、(b)の工程を有する。但し、本実施形態に係る 光音響イメージング方法は、以下に示す工程以外の工程を含んでいても良い。
(a)本実施形態に係るPAI用造影剤が投与された検体に600nm乃至1300nmの波長領域の光を照射する工程
(b)前記検体内に存在する前記造影剤から発生する音響波を検出する工程
また、本実施形態に係るPAI用造影剤は、前記(b)で得られた音響波の波長、位相および時間情報等から空間的な光音響信号強度分布を再構成する工程を有していてもよい。なお、前記(b)の工程で得られた光音響信号の波長、位相および時間情報を基に3次元的な画像再構成を行うことができる。画像再構成によって得られるデータは光音響信号の強度分布の位置情報が把握できるものであればどのような形態を取っても構わない。例えば3次元空間上に光音響信号強度が表現されるようなもの構わないし、2次元平面上に光音響信号強度に表現されるようなものでも構わない。また、同一の観察対象に対して異なる撮像方法で情報を取得し、それらの情報と光音響の強度分布の位置的な対応関係を取得することも可能である。
上記(a)の工程において、経口投与や注射等の方法によって本実施形態に係るPAI用造影剤を投与された検体を用いることができる。
また、上記(b)の工程において、検体に照射する光を発生させる装置、本実施形態に係るPAI用造影剤から発せられる光音響信号を検出する装置は特に限定されない。
上記(b)の工程において検体に光を照射する光源としては、前記検体に対し600nm乃至1300nmの範囲から選択される少なくとも1つの波長のレーザーパルス光を照射させることのできるものであれば限定されない。レーザーパルス光を照射する装置として、例えば、チタンサファイアレーザー(LT−2211−PC、Lotis社製)、OPOレーザー(LT−2214 OPO、Lotis社製)、アレキサンドライトレーザーが挙げられる。
音響波を検出する装置は特に制限されず種々のものを用いることが可能である。例えば、市販の光音響イメージング装置(Nexus128,Endra Inc.製)を用いて行うことができる。
本実施形態に係るPAI用造影剤を用いたイメージング方法は、上記(a)、(b)の工程を経ることで腫瘍、リンパ節あるいは血管などの目的とする部位を造影することができる。
なお、PAIは、光音響トモグラフィー(断層撮影法)を含む概念である。
本実施形態に係るPAI用造影剤は、enhanced permeability and retention(EPR)効果を利用することで、生体内に投与したときに、生体内の正常部位に比べて腫瘍部位により多く集積させることができる。その結果、造影剤を生体内に投与した後、生体に光を照射して、生体からの音響波を検出するときに、腫瘍部位から発せられる音響波を正常部位から発せられる音響波よりも大きくすることができる。したがって、本実施形態に係るPAI用造影剤は腫瘍の造影に用いられることが好ましい。
また、本実施形態に係るPAI用造影剤はリンパ節の造影に用いることもできる。さらに、センチネルリンパ節の造影剤に用いることが特に好ましい。ICGなどの有機色素をセンチネルリンパ節の造影剤として用いた場合、体内に投与した有機色素は速やかに血中へと移行して体外へ排出されてしまうために観察時間が制約されてしまうという欠点があった。本実施形態に係るPAI用造影剤は、有機色素と比べて分子サイズが大きく、組織内の拡散スピードが低下する結果、センチネルリンパ節での滞留時間が長くなると期待される。したがって、本実施形態に係るPAI用造影剤はリンパ節の造影、特にセンチネルリンパ節の造影に用いられることが好ましい。
以下、実施例を用いて更に詳細に本発明を説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではなく、材料、組成条件、反応条件等、同様な機能、効果を有する色素修飾アルブミンが得られる範囲で自由に変えることができる。
(色素標識率D/Pの算出)
本発明の実施例においてアルブミンに対する色素標識率はサンプル(光音響イメージング用造影剤)の吸光度測定により算出した。サンプル中の色素濃度は用いた色素に特異的な吸収波長(765nm)における吸光度から算出した。具体的には、サンプルを0.9% sodium dodecyl sulfate(SDS)で希釈して吸光度を測定し、予め作成しておいたSDS中での色素の検量線から算出した。また、アルブミンの濃度はBCAアッセイから算出した。
(実施例)
(152C−HSA(複合体)の調製)
ヒト血清アルブミン(Albumin,from human serum:HSA、SIGMA社製、以下単にHSAと略す)を10mg/mLの濃度で炭酸緩衝液(pH9.6)に溶解してHSA溶液とした。
一方、上記式(7)で示される化合物(152C色素)と、152C色素の3倍モル量のN−(3−Dimethylaminopropyl)−N’−ethylcarbodiimide hydrochloride(sigma−aldrich)と、152C色素の1.5倍モル量のNHS(キシダ化学製)をジメチルスルホキシド(Dimethyl sulfoxide、以下DMSOと略すことがある)中で混合して、室温で2時間置いて、152C色素を含む溶液を得た。次に、152C色素がHSAに対して、2、5、10、20、40、60、80倍モルになるように、この152C色素を含む溶液をHSA溶液に添加して室温で3時間反応させた。なお、上記N−(3−Dimethylaminopropyl)−N’−ethylcarbodiimide hydrochlorideはwater soluble carbodiimide(WSC)と呼ぶこともある。
得られた反応混合溶液をゲルろ過(PD−10、GEヘルスケアバイオサイエンス社製)によりリン酸緩衝生理食塩水(PBS)への置換、および未反応体の分離を行った。その結果、152C色素とHSAが共有結合してなる複合体(152C−HSA)を有する光音響イメージング用造影剤を調製得た。
図1に、HSAの仕込み量(mol)に対する152C色素の仕込み量(mol)を変化させたときに得られた光音響イメージング用造影剤の色素標識率(D/P)を示す。
図1よりHSAに対する有機色素(152C色素)の仕込み量を多くすることで、D/Pを大きくすることが出来ることがわかる。また、HSAの仕込み量に対する有機色素(152C色素)の仕込み量を、40以上80以下とすることで、D/Pの非常に大きい光音響イメージング用造影剤を得られることが分かる。
(比較例)
(ICG−HSA(複合体)の調製)
比較例として、ICG誘導体とHSAとが共有結合してなる複合体を調製した。調整するためにまず、1mgのICG誘導体(ICG−Sulfo−OSu、DOJINDO Laboratories社製)を0.1mLのDMSOに溶解し、上記のHSA溶液に対してHSAの7倍モル量添加して37℃で1.5時間静置した。この反応混合溶液をゲルろ過(PD−10)によりリン酸緩衝生理食塩水(PBS)への置換、および未反応体の分離を行い、ICG誘導体とHSAが共有結合した化合物(ICG−HSA)を調製した。
(光音響信号強度の測定)
上記、152C−HSAとICG−HSAを含む光音響イメージング用造影剤の光音響波強度を測定した。光音響信号強度の測定は、パルスレーザー光をPBS中に分散したサンプル(光音響イメージング用造影剤)に照射し、サンプルから発生した光音響信号の強度を圧電素子を用いて検出し、高速プリアンプで増幅後、デジタルオシロスコープで取得した。具体的な条件は以下の通りである。光源として、チタンサファイアレーザー(LT−2211−PC、Lotis社製)を用いた。波長は700〜1000nmで可変であり、測定時はサンプルの吸収極大値付近の波長を選択した。エネルギー密度はおよそ10から20mJ/cm、パルス幅は約20ナノ秒、パルス繰返し周波数は10Hzの条件とした。光音響信号を検出する圧電素子には、エレメント径1.27cm、中心帯域1MHzの非収束型超音波トランスデューサー(V303、Panametrics−NDT製)。測定容器としては、ポリスチレン製キュベットで、光路長0.1cm、サンプル容量は約200μlであった。計測器は、DPO4104(テクトロニクス製)を用いて、トリガー:パルスレーザー光をサンプルに照射する際に生じる散乱光の一部をフォトダイオードで検出、Data acquisition: 128回(128パルス)平均の条件で測定を行った。得られた光音響信号強度は、レーザー強度と、測定した色素標識HSA溶液中の色素濃度もしくはHSA濃度で規格化した。
図2に、152C−HSAを含む光音響イメージング用造影剤の色素標識率(D/P)と色素濃度当たりの光音響信号強度の関係を示した結果を示す。図2より、いずれのD/Pにおいても、ICG−HSAよりも大きな光音響信号強度が得られることが分かる。また、図2より、152C−HSAは、高いD/P(8程度)の時に、152C色素に比べて、色素濃度当たりの光音響信号強度が約1.5倍高いことを確認した。これは、後述する図4より、D/Pが高いほど、蛍光強度が低下していることから説明できる。すなわち、D/Pが高いほど複合体同士が集まりやすくなる結果、濃度消光が大きくなり、152Cから発する蛍光がクエンチすることにより、光音響信号強度が向上していると考えられる。
図3より、152−HSAは、HSAの濃度当たりの光音響信号強度が、ICG−HSAに比べて、約3.3倍高いことが分かった。
(蛍光強度の測定)
152C−HSAの蛍光強度の測定を、ODYSSEY(登録商標)CLx Infrared Imaging System(LI−COR社製)を用いて行った。152C−HSAの濃度が50nMになるように調製し、蛍光強度を測定した。図4に、152C−HSAの色素標識率(D/P)と蛍光強度の関係を示す。
(未反応色素の評価)
未反応色素の評価は以下のように行った。作製した152C−HSAをSDSサンプルバッファーに希釈し、Tris―Glycineゲルにアプライし、SDS−PAGE(polyacrylamide gel electrophoresis)電気泳動を行い、その後、ODYSSEY(登録商標)CLx Infrared Imaging System(LI−COR社製)を用いて、未反応色素のバンドの蛍光強度を測定することにより、未反応色素の混入率を評価した。その結果、152C−HSAは未反応色素の混入率が1%未満と非常に少ないことを確認した。すなわち、上記実施例において測定した、光音響イメージング用造影剤からの光音響強度や蛍光強度は、ほぼアルブミンに共有結合した有機色素由来であるといえる。
(152C−HSA(複合体)の調製の条件検討)
152C色素と、色素の1、又は3倍モル量のWSC(sigma−aldrich製)と、色素の1.5倍モル量のNHS(キシダ化学製)をDMSO中で混合して、室温で2時間置いて、152C色素を含む溶液を得た。次に、152C色素がHSAに対して、2、5、10、20倍モルになるように、この152C色素を含む溶液をHSA溶液に添加して室温で3時間反応させた。その結果、WSCを1倍モルとした条件では、色素仕込み量が2、5、10、20倍モルの時、色素標識率(D/P)はそれぞれ、0.31、0.58、1.2、2.5であった。一方、WSCを3倍モルとした条件では、色素仕込み量が2、5、10、20倍モルの時、D/Pはそれぞれ、0.81、1.7、2.8、4.7であった。これより、WSCを1倍モル仕込んだ場合より3倍モル仕込んだ場合の方が、より多くの色素をHSAに導入できることを確認した。

Claims (11)

  1. アルブミンに少なくとも1つの有機色素が共有結合してなる複合体を複数有する光音響イメージング用造影剤であって、前記有機色素が下記式(1)で表わされる化合物又はその塩である光音響イメージング用造影剤。
    Figure 2017105725

    (1)
    上記式(1)において、R乃至Rは各々独立に同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1以上3以下のアルキル基、スルホン酸基のいずれかを表し、R乃至R12は、各々独立に同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1以上3以下のアルキル基のいずれかを表し、R13及びR14は同一でも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素数1以上5以下のアルキル基を表し、該置換基はカルボキシル基、スルホン酸基及びホスホン酸基のいずれかであり、n及びnは同一でも異なってもよく、0又は1を表し、L乃至Lはメチン基であり、L乃至Lは4員環乃至6員環を形成していてもよく、R100は、フェニル基、ピリジル基及び置換基を有していてもよい炭素数1以上5以下のアルキル基の少なくともいずれかを表し、該置換基はアリール基、アリールアルキル基、スルホアルキル基、アルキルチオ基、スルホアルキルチオ基、複合環基、アシルアミノ基、アリールアミノ基、N−アリール−N−アルキルアミノ基、アリールチオ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、及びアシルアミノアリールオキシ基のいずれかである。
  2. 前記光音響イメージング用造影剤における色素標識率が3以上15以下である請求項1に記載の光音響イメージング用造影剤。
  3. 前記光音響イメージング用造影剤における色素標識率が4以上10以下である請求項1または2に記載の光音響イメージング用造影剤。
  4. 前記R100がメチル基、エチル基、フェニル基、ピリジル基、ベンジル基のいずれかである請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光音響イメージング用造影剤。
  5. 前記有機色素が下記式(2)乃至(6)のいずれかで表わされる化合物又はその塩である請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光音響イメージング用造影剤。
    Figure 2017105725

    Figure 2017105725

    上記式(2)乃至(6)において、Xは水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、ヨウ素原子のいずれかである。
  6. 前記有機色素が下記式(7)で表わされる化合物又はその塩である請求項1乃至5のいずれか一項に記載の光音響イメージング用造影剤。
    Figure 2017105725

    (7)
  7. 前記アルブミンが、ヒト血清アルブミン、ヒト血清アルブミンの改変体、ヒト血清アルブミンの断片、ヒト血清アルブミンの改変体の断片のいずれかである請求項1乃至6のいずれか一項に記載の光音響イメージング用造影剤。
  8. 前記アルブミンに捕捉分子が結合している請求項1乃至7のいずれか一項に記載の光音響イメージング用造影剤。
  9. 下記式(i)乃至(v)で表わされる化合物又はその塩を複数有する光音響イメージング用造影剤。
    Figure 2017105725

    Figure 2017105725

    上記式(i)乃至(v)において、Xは水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、ヨウ素原子のいずれかであり、上記式(i)乃至(v)において、Aはアルブミンうち、1つのアミノ基を除いた構造を表す。
  10. 腫瘍の造影に用いられる請求項1乃至9のいずれか一項に記載の光音響イメージング用造影剤。
  11. リンパ節の造影に用いられる請求項1乃至9のいずれか一項に記載の光音響イメージング用造影剤。
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