以下、本発明に係る撮影システム、その制御方法、および、その制御プログラムについて、実施形態を示して詳しく説明する。なお、以下の説明では、ユーザがランニング等の走動作を伴う運動を行う場合について説明する。
<撮影システム>
図1は、本発明に係る撮影システムの一実施形態を示す概略構成図である。図2は、実施形態に係る撮影システムに適用されるセンサ機器の一例を示す概略構成図である。また、図3は、本実施形態に係る撮影システムに適用される手首装着型のセンサ機器の一構成例を示すブロック図である。図4は、本実施形態に係る撮影システムに適用される胸部装着型のセンサ機器の一構成例を示すブロック図である。図5は、本実施形態に係る撮影システムに適用される撮像機器の一構成例を示すブロック図である。図6は、本実施形態に係る撮影システムに適用される情報通信端末の一構成例を示すブロック図である。図7は、本実施形態に係る撮影システムに適用されるネットワークサーバの一構成例を示すブロック図である。
本実施形態に係る撮影システムは、図1、図2に示すように、概略、被撮影者(または被測定者)であるユーザUSが手首に装着するリスト機器100と、胸部に装着するチェスト機器200と、ハイスピード撮影が可能な撮像機器300と、情報通信端末400と、ネットワーク500と、ネットワークサーバ600等のデータ処理装置と、ユーザ端末800と、を有している。
(リスト機器100)
リスト機器100は、図2(a)、(b)に示すように、ユーザUSの手首に装着する腕時計型またはリストバンド型のセンサ機器である。リスト機器100は、大別して、ユーザUSの運動状態や位置を検出するとともに、所定の情報をユーザUSに提供する機器本体101と、ユーザUSの手首に巻き付けることにより機器本体101を手首に装着するためのバンド部102と、を備えた外観構成を有している。
リスト機器100は、具体的には、例えば図3に示すように、センサ部110と、GPS受信回路120と、入力インターフェース部130と、出力インターフェース部140と、通信機能部150と、演算回路160と、メモリ部170と、計時回路180と、動作電源190と、を備えている。
センサ部110は、人体の動作(特に、腕の振りや運動の周期、リスト機器100の傾斜状態等)を検出するためのモーションセンサであって、例えば図3に示すように、3軸加速度センサ111と、3軸角速度センサ(ジャイロセンサ)112と、3軸地磁気センサ(電子コンパス)113と、を有している。3軸加速度センサ111は、ユーザUSの運動中の動作速度の変化の割合(加速度)を検出して加速度データとして出力する。ここでは、互いに直交する3軸方向の加速度データが出力される。また、3軸角速度センサ112は、ユーザUSの運動中の動作方向の変化(角速度)を検出して角速度データとして出力する。ここでは、加速度データを規定する直交する3軸について、それぞれの回転方向の角速度データが出力される。また、3軸地磁気センサ113は、地球の磁場(磁界)を検出して地磁気データ、または、リスト機器100の水平、垂直方向を示す方向データとして出力する。ここでは、互いに直交する3軸方向の地磁気データが出力される。そして、検出されたセンサデータ(加速度データ、角速度データ、地磁気データ)は、後述する計時回路180により規定される時間データに関連付けられて、後述するメモリ部170のセンサデータ保存用メモリ171の所定の記憶領域に保存される。
GPS受信回路120は、複数のGPS衛星からの電波を、GPSアンテナ(図示を省略)を介して受信することにより、緯度、経度情報に基づく地理的な位置、および、その位置の高度(標高)を検出して、位置データおよび高度データとして出力する。このGPS受信回路120により検出された位置データに基づいて、後述する演算回路160によりユーザUSの移動距離が算出される。また、GPS受信回路120は、GPS衛星からの電波のドップラーシフト効果を利用して、ユーザUSの移動速度を検出して移動速度データとして出力する。そして、検出された位置データや移動速度データを含むGPSデータは、上述したセンサデータと同様に、計時回路180により規定される時間データに関連付けられて、メモリ部170のセンサデータ保存用メモリ171の所定の記憶領域に保存される。ここで、GPS受信回路120により検出される位置データ等に基づいて取得されるユーザUSの移動距離や移動速度は、上述した3軸加速度センサ111や3軸角速度センサ112、3軸地磁気センサ113により検出されたセンサデータに基づいて取得される移動距離や移動速度と併用することにより、または、相互補完することにより、その精度を向上させることができる。
入力インターフェース部130は、例えば図3に示すように、操作スイッチ131と、タッチパネル132と、を有している。操作スイッチ131は、例えば図2(b)に示すように、機器本体101の側面に突出するように設けられた押しボタン型のスイッチであって、上述したセンサ部110に設けられた各種センサにおけるセンシング動作の制御や、表示部141に表示する項目の設定、撮像機器300におけるハイスピード撮影の制御(撮影制御処理に用いる撮影条件の設定や、ハイスピード撮影の開始および終了指示;詳しくは後述する)等の、各種の入力操作に用いられる。
また、タッチパネル132は、後述する出力インターフェース部140に設けられる表示部141の前面側(視野側)に設けられ、表示部141に表示された情報に応じた領域をタッチ操作することにより、当該情報に対応する機能が選択的に実行される。ここで、タッチパネル132により実現される機能は、上記の操作スイッチ131により実現される機能と同等であってもよいし、タッチパネル132による入力操作特有の機能を有していてもよい。なお、入力インターフェース部130は、例えば、上記の操作スイッチ131およびタッチパネル132のうちの、いずれか一方のみを備えた構成を有しているものであってもよい。
出力インターフェース部140は、例えば図3に示すように、表示部141と、音響部142と、振動部143と、を有している。表示部141は、例えば液晶方式や発光素子方式の表示パネルを有し、少なくとも上述したセンサ部110により検出されたセンサデータや、GPS受信回路120により取得されたGPSデータ、これらのセンサデータやGPSデータに基づいて生成される各種の運動情報、あるいは、現在時刻等の時間情報等をリアルタイムに表示する。また、表示部141は、撮像機器300におけるハイスピード撮影の制御に関する情報(具体的には、撮影制御処理に用いる撮影条件の設定情報等)を表示する。なお、出力インターフェース部140は、後述するチェスト機器200から送信されるセンサデータや心拍データ、これらのセンサデータや心拍データに基づいて生成される各種の運動情報や生体情報等を表示するものであってもよい。ここで、表示部141における各種の情報の表示形態は、上述した操作スイッチ131やタッチパネル132を操作することにより任意に設定される。
また、音響部142は、ブザーやスピーカ等の音響機器を有し、所定の音色や音パターン、音声メッセージ等の音情報を発生することにより、聴覚を通してユーザUSに各種の情報を提供または報知する。振動部143は、振動モータや振動子等の振動機器(バイブレータ)を有し、所定の振動パターンやその強弱等の振動情報を発生することにより、触覚を通してユーザUSに各種の情報を提供または報知する。なお、出力インターフェース部140は、少なくとも表示部141を備えていれば、音響部142や振動部143を備えていない構成であってもよい。
通信機能部150は、後述するチェスト機器200において取得されたセンサデータや心拍データ等を受信する際や、センサ部110により取得されたセンサデータやGPS受信回路120により取得されたGPSデータ(以下、「センサデータ等」と総称する)を、後述する情報通信端末400に転送する際のインターフェースとして機能する。また、通信機能部150は、チェスト機器200や後述する撮像機器300との間で、センサデータやGPSデータ、心拍データ、映像データ等に関連付けられる時間データの同期を行うための同期信号を送信する際のインターフェースとしても機能する。さらに、通信機能部150は、撮像機器300におけるハイスピード撮影の制御に関する情報や信号(具体的には、撮影制御処理に用いる撮影条件の設定情報や、ハイスピード撮影の開始信号および終了信号)を送信する際のインターフェースとしても機能する。ここで、通信機能部150を介して、チェスト機器200や撮像機器300、情報通信端末400との間で、センサデータ等や同期信号、撮影条件設定情報、撮影開始信号、撮影終了信号等を転送または送受信する手法としては、例えば各種の無線通信方式や、通信ケーブルを介した有線による通信方式を適用することができる。
上記センサデータ等を、無線通信方式により転送する場合には、例えばデジタル機器用の近距離無線通信規格であるブルートゥース(Bluetooth(登録商標))通信や、この通信規格において低消費電力型の通信規格として策定されたブルートゥースローエナジー(Bluetooth(登録商標) low energy(LE))通信、あるいは、比較的長距離での無線通信が可能なワイファイ(WiFi;wireless fidelity(登録商標))通信、またはこれらと同等の通信方式を良好に適用することができる。このような無線通信方式によれば、後述する動作電源190として、例えば環境発電技術等を用いて生成された小電力であっても良好にデータ転送を行うことができる。また、上記センサデータ等を、有線通信方式により転送する場合には、例えばパーソナルコンピュータと周辺機器との接続に用いられるUSB(Universal Serial Bus)規格の通信ケーブル、またはこれと同等の通信方式の通信ケーブルを良好に適用することができる。
メモリ部170は、例えば図3に示すように、大別して、センサデータ保存用メモリ(以下、「センサデータメモリ」と記す)171と、プログラム保存用メモリ(以下、「プログラムメモリ」と記す)172と、作業データ保存用メモリ(以下、「作業用メモリ」と記す)173)と、を有している。
センサデータメモリ171は、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリを有し、上述したセンサ部110やGPS受信回路120により取得されたセンサデータ等を、計時回路180により規定される時間データに関連付けて所定の記憶領域に保存する。また、センサデータメモリ171は、入力インターフェース部130を介して入力された各種の設定情報(具体的には、後述する撮像機器300におけるハイスピード撮影の制御(撮影制御処理)に関する情報等)を所定の記憶領域に保存する。プログラムメモリ172は、ROM(読み出し専用メモリ)を有し、センサ部110やGPS受信回路120におけるセンシング動作や、通信機能部150におけるデータ転送動作等の、各構成における所定の動作を実行するための制御プログラムを保存する。また、プログラムメモリ172は、撮像機器300におけるハイスピード撮影を制御するためのアルゴリズムプログラムを保存する。作業用メモリ173は、RAM(ランダムアクセスメモリ)を有し、上記制御プログラムを実行する際に使用する各種データや、生成される各種データを一時的に保存する。なお、センサデータメモリ171は、その一部または全部が、例えばメモリカード等のリムーバブル記憶媒体としての形態を有し、リスト機器100に対して着脱可能に構成されているものであってもよい。
演算回路160は、CPU(中央演算処理装置)やMPU(マイクロプロセッサ)等の演算処理装置であって、計時回路180において生成される動作クロックに基づいて、上述したプログラムメモリ172に保存された所定の制御プログラムを実行する。これにより、演算回路160は、センサ部110の各種センサ111〜113やGPS受信回路120におけるセンシング動作、出力インターフェース部140における情報提供動作、通信機能部150におけるデータ転送動作等の、各種の動作を制御する。また、演算回路160は、上記の動作クロックに基づいて、プログラムメモリ172に保存された所定のアルゴリズムプログラムを実行する。これにより、演算回路160は、予め設定された撮影条件に基づいて、撮像機器300におけるハイスピード撮影の開始および終了動作を制御する。なお、演算回路160において実行される制御プログラムやアルゴリズムプログラムは、予め演算回路160の内部に組み込まれているものであってもよい。
計時回路180は、基本クロックを生成する発振器を有するRTC(リアルタイムクロック)モジュールであって、リスト機器100の電源がオフの状態や、各種センサによりセンシング動作を行っていない状態であっても計時動作を継続する。そして、計時回路180は、生成した基本クロックに基づいて、リスト機器100の各構成の動作タイミングを規定する動作クロックや、後述するチェスト機器200や撮像機器300との時間データの同期をとるための同期信号、また、現在時刻を示す時刻データ等を生成する。また、計時回路180は、上述したセンサ部110やGPS受信回路120におけるセンサデータ等の取得タイミングを計時して時間データとして出力する。これにより、時刻データがセンサデータ等に関連付けられて、センサデータメモリ171に保存される。また、時刻データは、上述した出力インターフェース部140の表示部141に表示されることにより、現在時刻等がユーザUSに提供される。
動作電源190は、リスト機器100の機器本体101内部の各構成に駆動用電力を供給する。動作電源190は、例えば市販のコイン型電池やボタン型電池等の一次電池、リチウムイオン電池やニッケル水素電池等の二次電池を適用することができる。また、動作電源190は、上記の一次電池や二次電池のほか、振動や光、熱、電磁波等のエネルギーにより発電する環境発電(エナジーハーベスト)技術による電源等を適用することもできる。なお、リスト機器100が、有線通信方式によりセンサデータ等を情報通信端末400に転送する構成を有している場合には、通信ケーブルを介して接続された情報通信端末400から駆動用電力が供給されたり、動作電源190の二次電池が充電されたりするものであってもよい。
(チェスト機器200)
チェスト機器200は、図2(a)、(c)に示すように、ユーザUSの胸部に装着する胸部装着型のセンサ機器である。チェスト機器200は、大別して、ユーザUSの運動状態や生体情報を検出する機器本体201と、ユーザUSの胸部に巻き付けることにより機器本体201を胸部に装着するためのベルト部202と、を有している。
チェスト機器200は、具体的には、例えば図4に示すように、センサ部210と、心拍検出回路220と、操作スイッチ230と、通信機能部250と、演算回路260と、メモリ部270と、計時回路280と、動作電源290と、を備えている。ここで、上述したリスト機器100と同等の構成については、その説明を簡略化する。
センサ部210は、上述したリスト機器100と同様に、人体の動作(特に、運動姿勢や進行方向、ストライド等)を検出するためのモーションセンサであって、例えば図4に示すように、3軸加速度センサ211と、3軸角速度センサ212と、3軸地磁気センサ213と、を有している。これらの各種センサ211〜213におけるセンシング動作は、ランニング時には例えば毎秒100回以上(すなわち、100Hz以上のサンプリング周波数。好ましくは200Hz)で実行される。そして、検出されたセンサデータ(加速度データ、角速度データ、地磁気データ)は、後述する計時回路280により規定される時間データに関連付けられて、後述するメモリ部270のセンサデータメモリ271の所定の記憶領域に保存される。
心拍検出回路220は、チェスト機器200のベルト部202の内面側(人体側)に設けられ、ユーザUSの胸部に直接密着するように配置された電極(図示を省略)に接続され、当該電極から出力される心電位信号の変化を検出して、心拍データとして出力する。心拍データは、上述したセンサデータと同様に、計時回路280により規定される時間データに関連付けられて、メモリ部270のセンサデータメモリ271の所定の記憶領域に保存される。
操作スイッチ230は、少なくとも電源スイッチを有する入力インターフェースであって、ユーザUSにより当該操作スイッチ230が操作されることにより、動作電源290から各構成への駆動用電力の供給状態(供給または遮断)を制御して、チェスト機器200の電源のオン、オフを制御する。また、操作スイッチ230は、センサ制御用キースイッチを有し、ユーザUSにより当該操作スイッチ230が操作されることにより、センサ部210および心拍検出回路220におけるセンシング動作の開始または停止を制御する。
通信機能部250は、センサ部210により取得されたセンサデータ、および、心拍検出回路220により取得された心拍データをリスト機器100や情報通信端末400に転送する際や、リスト機器100との同期を行う際のインターフェースとして機能する。ここで、通信機能部250を介して、リスト機器100や情報通信端末400との間で、センサデータや同期信号等を転送または送受信する手法としては、上述したリスト機器100と同様に、各種の無線通信方式や有線通信方式を適用することができる。
メモリ部270は、上述したリスト機器100と同様に、大別して、センサデータメモリ(センサデータ保存用メモリ)271と、プログラムメモリ(プログラム保存用メモリ)272と、作業用メモリ(作業データ保存用メモリ)273と、を有している。センサデータメモリ271は、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリを有し、上述したセンサ部210や心拍検出回路220により取得されたセンサデータ等を、時間データに関連付けて所定の記憶領域に保存する。プログラムメモリ272は、ROMを有し、センサ部210や心拍検出回路220におけるセンシング動作や、通信機能部250におけるデータ転送動作等の、各構成における所定の動作を実行するための制御プログラムを保存する。作業用メモリ273は、RAMを有し、上記制御プログラムを実行する際に使用する各種データや、生成される各種データを一時的に保存する。なお、センサデータメモリ271は、上述したリスト機器100と同様に、その一部または全部がリムーバブル記憶媒体としての形態を有し、チェスト機器200に対して着脱可能に構成されているものであってもよい。
演算回路260は、上述したリスト機器100と同様に、後述する計時回路280において生成される動作クロックに基づいて、上述したプログラムメモリ272に保存された所定の制御プログラムを実行する。これにより、演算回路260は、センサ部210の各種センサ211〜213や心拍検出回路220におけるセンシング動作、通信機能部250におけるデータ転送動作等の、各構成における動作を制御する。なお、演算回路260において実行される制御プログラムは、予め演算回路260の内部に組み込まれているものであってもよい。
計時回路280は、基本クロックを生成する発振器を有するRTCモジュールであって、生成した基本クロックに基づいて、チェスト機器200の各構成の動作タイミングを規定する動作クロックを生成する。また、計時回路280は、上述したセンサ部210や心拍検出回路220におけるセンサデータ等の取得タイミングを計時して時間データとして出力する。これにより、時刻データがセンサデータ等に関連付けられて、センサデータメモリ271に保存される。ここで、上述したリスト機器100から送信される同期信号に基づいて、チェスト機器200とリスト機器100との間で、時間データの同期が図られる。このリスト機器100とチェスト機器200との間の同期動作は、例えばリスト機器100とチェスト機器200において、電源がオンされた起動タイミングや、センサ部110、210におけるセンシング動作の開始タイミングで実行されるものであってもよい。また、この同期動作は、例えば一定の時間間隔や任意のタイミング、あるいは、常時実行されるものであってもよい。
動作電源290は、上述した操作スイッチ230が操作されることにより、チェスト機器200の機器本体201内部の各構成に駆動用電力を供給する。動作電源290は、一次電池や二次電池を適用することができるほか、環境発電技術による電源等を適用することもできる。なお、チェスト機器200が、有線通信方式によりセンサデータ等を情報通信端末400に転送する構成を有している場合には、通信ケーブルを介して接続された情報通信端末400から駆動用電力が供給されたり、動作電源290の二次電池が充電されたりするものであってもよい。
(撮像機器300)
撮像機器300は、ユーザUSの運動中の姿勢(ランニングフォーム)や走り方の映像を、ハイスピード撮影(高速度撮影)することができるデジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等の映像(動画像)撮影装置である。本実施形態においては、概ね1秒間に100フレーム以上(好ましくは200フレーム)のハイスピード撮影が可能な撮像機器300を適用する。ここで、撮像機器300における撮影スピードは、上述したリスト機器100やチェスト機器200に設けられた各種のセンサにおける動作周波数(100Hz〜200Hz;センシングスピード)と等倍または整数倍になるように設定されている。一般に、市販されている撮像機器における映像の撮影スピードは、概ね1秒間に30フレームまたは60フレームであるが、近年、1秒間に100フレーム以上のハイスピード撮影が可能な撮像機器が、安価に市販されるようになってきている。これにより、本発明では、市販の汎用品を適用して、簡易かつ安価にシステムを構築することができる。
撮像機器300は、具体的には、例えば図2(d)、図5に示すように、撮影部310と、レンズ部320と、シャッター部330と、入力操作部335と、表示部340と、通信機能部350と、演算回路360と、メモリ部370と、計時回路380と、動作電源390と、を備えている。ここで、上述したリスト機器100またはチェスト機器200と同等の構成については、その説明を簡略化する。
撮影部310は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-oxide Semiconductor)等のイメージセンサを有し、後述するレンズ部320を構成する各種のレンズを通過した光学像を走査して、所定周期ごとに二次元の画像信号に変換させ、1画面(フレーム)ずつの画像データを生成する。この画像データは、後述する計時回路380により規定される時間データに関連付けられて、後述するメモリ部370の画像データメモリ371の所定の記憶領域に順次保存される。保存された各画像データを時系列的に配列することにより、映像データ(撮影データ)が生成される。
レンズ部320は、フォーカスレンズやズームレンズ等の、複数のレンズを有している。ここで、フォーカスレンズを光軸方向に移動させて合焦条件を調整することにより、任意の被写体に合焦する自動合焦処理が実行される。
シャッター部330は、後述する入力操作部335のシャッターボタンまたは録画ボタンを押下することにより映像(動画像)の撮影を開始し、再度押下することにより撮影を終了する。また、シャッター部330は、入力操作部335のシャッターボタン等を押下する、ハードウェアによる撮影のほか、リスト機器100から送信される撮影開始信号および撮影終了信号に基づいて、ソフトウェアにより撮影を行う機能を有している。なお、静止画撮影モードにおいては、シャッターボタン等を押下することにより任意の被写体の静止画が撮影される。
入力操作部335は、電源スイッチを有し、ユーザUSにより当該電源スイッチが操作されることにより、動作電源390から各構成への駆動用電力の供給状態(供給または遮断)を制御して、撮像機器300の電源のオン、オフを制御する。また、入力操作部335は、各種の操作ボタンを有し、例えば、被写体の撮影を指示するためのシャッターボタンや、後述する表示部340に表示されるメニュー画面において撮像モードや機能等の選択を指示するためのモードボタン、レンズ部320におけるズーム量の調整を指示するためのズームボタン等を備えている。なお、入力操作部335は、各種の操作ボタンに加えて、または、操作ボタンに替えて、後述する表示部340の前面側(視野側)に設けられたタッチパネルを有するものであってもよい。ここで、タッチパネルにより実現される機能は、上記の操作ボタンにより実現される機能と同等であってもよいし、タッチパネルによる入力操作特有の機能を有していてもよい。
表示部340は、例えば液晶方式や発光素子方式の表示パネルを有し、撮影時にレンズ部320および撮影部310により生成された被写体の画像データに基づくライブビュー画像や、画像データメモリ371に保存されている、撮影部310により撮影された映像等を表示する。また、表示部340は、入力操作部335の各種の操作ボタンにより選択指示されるメニュー画面を表示する。
通信機能部350は、画像データメモリ371に保存されている映像データを、後述する情報通信端末400に転送する際や、リスト機器100との同期を行う際、リスト機器100からの撮影条件設定情報、撮影開始信号、撮影終了信号等を受信する際のインターフェースとして機能する。ここで、通信機能部350を介して、リスト機器100や情報通信端末400との間で、映像データや同期信号、撮影条件設定情報、撮影開始信号、撮影終了信号等を転送または送受信する手法としては、上述したリスト機器100と同様に、各種の無線通信方式や有線通信方式を適用することができる。
メモリ部370は、大別して、画像データ保存用メモリ(以下、「画像データメモリ」と記す)371と、プログラムメモリ(プログラム保存用メモリ)372と、作業用メモリ(作業データ保存用メモリ)373と、を有している。画像データメモリ371は、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリを有し、上述した撮影部310により撮影された画像データを、時間データに関連付けて所定の記憶領域に順次保存する。ここで、映像の撮影開始から終了までの期間に、各画像データを時間データに関連付けて連続的に保存することにより、各画像データが時系列的に配列された映像データが生成される。また、画像データメモリ371は、リスト機器100から送信された撮影条件の設定情報を所定の記憶領域に保存する。プログラムメモリ372は、ROMを有し、撮影部310やレンズ部320、シャッター部330における撮影動作や、通信機能部350におけるデータ転送動作等の、各構成における所定の動作を実行するための制御プログラムを保存する。作業用メモリ273は、RAMを有し、上記制御プログラムを実行する際に使用する各種データや、生成される各種データを一時的に保存する。なお、画像データメモリ371は、その一部または全部がメモリカード等のリムーバブル記憶媒体としての形態を有し、撮像機器300に対して着脱可能に構成されているものであってもよい。
演算回路360は、CPUやMPU等の演算処理装置であって、計時回路380において生成される動作クロックに基づいて、上述したプログラムメモリ372に保存された所定の制御プログラムを実行する。これにより、演算回路360は、撮影部310やレンズ部320、シャッター部330における撮影動作、通信機能部350におけるデータ転送動作等の、各構成における動作を制御する。また、演算回路360は、リスト機器100から送信された撮影条件の設定情報に基づいて、ハイスピード撮影の動作モードを設定する。これにより、各種の撮影条件に基づいてリスト機器100から送信される撮影開始信号および撮影終了信号に対応して、ハイスピード撮影の開始および終了動作を制御する。
なお、演算回路360において実行される制御プログラムは、予め演算回路260の内部に組み込まれているものであってもよい。
計時回路380は、基本クロックを生成する発振器を有するRTCモジュールであって、生成した基本クロックに基づいて、撮像機器300の各構成の動作タイミングを規定する動作クロックを生成する。また、計時回路380は、上述した撮影部310やレンズ部320、シャッター部330における画像データの取得タイミングを計時して時間データとして出力する。これにより、時刻データが画像データに関連付けられて、画像データメモリ371に保存される。ここで、上述したリスト機器100から送信される同期信号に基づいて、撮像機器300とリスト機器100との間で、時間データの同期が図られる。このリスト機器100と撮像機器300との間の同期動作は、上述したリスト機器100とチェスト機器200との同期動作と同様に、電源がオンされた起動タイミングや、撮影部310やレンズ部320、シャッター部330における撮影動作の開始タイミングで実行されるものであってもよい。また、この同期動作は、例えば一定の時間間隔や任意のタイミング、あるいは、常時実行されるものであってもよい。
動作電源390は、上述した入力操作部335の電源スイッチが操作されることにより、撮像機器300内部の各構成に駆動用電力を供給する。動作電源390は、一次電池や二次電池を適用することができる。なお、撮像機器300が、有線通信方式により映像データを情報通信端末400に転送する構成を有している場合には、通信ケーブルを介して接続された情報通信端末400から駆動用電力が供給されたり、動作電源390の二次電池が充電されたりするものであってもよい。
(情報通信端末400)
情報通信端末400は、図1に示すように、インターネット等のネットワーク500への接続機能を備え、閲覧用ソフトウェアであるウェブブラウザが組み込まれたネットワーク通信機器である。情報通信端末400は、例えばノートブック型やデスクトップ型のパーソナルコンピュータ401や高機能携帯電話機(以下、「スマートフォン」と記す)402、タブレット端末403、もしくは、専用端末(図示を省略)等のネットワーク通信機器が適用される。特に、スマートフォン402やタブレット端末403等のネットワーク通信機器においては、ネットワーク500への接続機能やウェブブラウザが標準的に備わっているので、所定の通信可能圏内であれば場所に関わりなく簡易にネットワーク500に接続することができる。なお、本実施形態において、情報通信端末400は、後述するユーザ端末800として適用することができるものである。また、本実施形態において、情報通信端末400は、センサデータ等や映像データを転送する機能のみを備えるものであってもよく、その場合、例えば図1に示すように、ネットワーク500に接続されたワイファイ(WiFi(登録商標))通信のアクセスポイント404等を適用するものであってもよい。
情報通信端末400は、具体的には、例えば図6に示すように、概略、入力操作部430と、表示部440と、通信機能部450と、演算回路460と、メモリ部470と、計時回路480と、動作電源490と、を備えている。ここで、上述したリスト機器100やチェスト機器200と同等の構成については、その説明を簡略化する。
入力操作部430は、パーソナルコンピュータ401やスマートフォン402、タブレット端末403等に付設される、キーボードやマウス、タッチパッド、タッチパネル等の入力手段である。入力操作部430は、表示部440に表示される任意のアイコンやメニューを選択したり、画面表示中の任意の位置を指示したりすることにより、当該アイコンやメニュー、当該位置に対応する機能が実行される。
表示部440は、例えば液晶方式や発光素子方式のディスプレイや表示パネルを有し、少なくとも上述したリスト機器100やチェスト機器200において取得されたセンサデータ等、および、撮像機器300において撮影された映像データを、後述するネットワーク500を介して、ネットワークサーバ600に転送する際の、通信状態や転送状況を表示する。また、後述するように、情報通信端末400を、ネットワークサーバ600において生成された各種の運動情報を閲覧するためのユーザ端末800として適用する場合には、表示部440には、上記センサデータ等や、その分析結果に基づいて生成された各種の分析情報が、後述するループ映像と連携して、数値やグラフ等の形態で表示される。
通信機能部450は、リスト機器100やチェスト機器200において取得されたセンサデータ等や、撮像機器300において撮影された映像データを、後述するネットワーク500を介して、ネットワークサーバ600に転送する際や、ネットワークサーバ600において生成された各種の運動情報を受信する際のインターフェースとして機能する。ここで、通信機能部450を介して、リスト機器100やチェスト機器200、撮像機器300との間で、センサデータ等や映像データを転送する手法としては、上述したように、各種の無線通信方式や有線通信方式を適用することができる。また、通信機能部450によりネットワークサーバ600にセンサデータ等や映像データを転送する際の、情報通信端末400とネットワーク500との接続方法としては、例えば光ファイバー回線網やADSL(非対称デジタル加入者)回線網等を経由して接続する有線接続方式や、携帯電話回線網や高速モバイル通信回線網、無線LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)等を経由して接続する無線接続方式を適用することができる。
メモリ部470は、上述したリスト機器100やチェスト機器200と同様に、大別して、転送データメモリ471と、プログラムメモリ472と、作業用メモリ473と、を有している。転送データメモリ471は、上述したリスト機器100やチェスト機器200から転送されたセンサデータ等や、撮像機器300から転送された映像データを、相互に関連付けて所定の記憶領域に保存する。プログラムメモリ472は、表示部440における表示動作や、通信機能部450におけるデータ転送動作等の、各構成における所定の動作を実行するための制御プログラムを保存する。作業用メモリ473は、上記制御プログラムを実行する際に使用する各種データや、生成される各種データを一時的に保存する。なお、転送データメモリ471は、上述したリスト機器100やチェスト機器200と同様に、その一部または全部がリムーバブル記憶媒体としての形態を有し、情報通信端末400に対して着脱可能に構成されているものであってもよい。
演算回路460は、計時回路480において生成される動作クロックに基づいて、上述したプログラムメモリ472に保存された所定の制御プログラムを実行することにより、表示部440における表示動作や、通信機能部450におけるデータ転送動作等の、各構成における動作を制御する。なお、演算回路460において実行される制御プログラムは、予め演算回路460の内部に組み込まれているものであってもよい。計時回路480は、基本クロックに基づいて、情報通信端末400の各構成の動作タイミングを規定する動作クロックを生成する。
動作電源490は、情報通信端末400の各構成に駆動用電力を供給する。動作電源490は、スマートフォン402等のモバイル端末においては、リチウムイオン電池等の二次電池が適用される。また、ノートブック型のパーソナルコンピュータ401やタブレット端末403においては、リチウムイオン電池等の二次電池や、商用交流電源が適用される。また、デスクトップ型のパーソナルコンピュータにおいては、商用交流電源が適用される。
(ネットワーク500)
ネットワーク500は、上述した情報通信端末400とネットワークサーバ600との間で、センサデータ等や映像データ、運動情報等の送受信を行うことができるコンピュータネットワークが適用される。ここで、ネットワーク500は、インターネット等の公衆利用が可能なネットワークであってもよいし、企業や地域、教育機関等の特定の団体による限定的に利用可能なネットワークであってもよい。
(ネットワークサーバ600)
ネットワークサーバ600は、少なくとも、後述するデータの分析処理や加工処理の機能を備えたアプリケーションサーバである。また、ネットワークサーバ600は、情報通信端末400から転送されたセンサデータ等や映像データ、後述する分析、加工処理において生成された分析情報やループ映像等を保存、蓄積するためのメモリやデータベースを、内部または外部に備えている。ネットワークサーバ600は、図1に示すように、情報通信端末400からネットワーク500を経由して転送されたセンサデータ等を分析、加工処理して、ユーザUSの運動状態に関する各種の分析情報を生成する。また、ネットワークサーバ600は、転送されたセンサデータ等および映像データに基づいて、ユーザUSの運動姿勢(ランニングフォーム)や走り方を示すループ映像を生成する。そして、ネットワークサーバ600は、ユーザ端末800からの要求(リクエスト)に応じて、センサデータ等や各種の分析情報を、ループ映像に連携させた表示形態で、ユーザ端末800の表示部に運動情報として表示させる。なお、上述したネットワーク500およびネットワークサーバ600により構築されるコンピュータネットワークは、例えば商用のインターネットクラウドサービス等を利用するものであってもよい。
ネットワークサーバ600は、具体的には、例えば図7に示すように、入力操作部630と、表示部640と、通信機能部650と、演算回路660と、メモリ部670と、計時回路680と、動作電源690と、データベース700と、を備えている。ここで、上述したリスト機器100やチェスト機器200、情報通信端末400と同等の構成については、その説明を簡略化する。
入力操作部630は、例えばキーボードやマウス等の入力装置を有し、表示部640に表示される任意のアイコンやメニューの選択や、任意の位置の指示に用いられる。表示部640は、ディスプレイや表示パネルを有し、ネットワークサーバ600における各種操作に関連する情報を表示する。
通信機能部650は、上述した情報通信端末400から転送されたセンサデータ等や映像データを受信する際や、ネットワークサーバ600において生成された分析情報やループ映像を含む各種の運動情報を、ユーザ端末800に送信する際のインターフェースとして機能する。
メモリ部670は、転送データメモリ671と、プログラムメモリ672と、作業用メモリ673と、を有している。転送データメモリ671は、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリを有し、上述した情報通信端末400から転送されたセンサデータ等や映像データを保存する。プログラムメモリ672は、ROMを有し、表示部640や通信機能部650における所定の動作を実行するための制御プログラムや、転送されたセンサデータ等に基づいて所定の分析、加工処理を実行するためのアルゴリズムプログラムを保存する。作業用メモリ673は、RAMを有し、上記制御プログラムやアルゴリズムプログラムを実行する際に使用する各種データや、生成される各種データを一時的に保存する。また、データベース700は、演算回路660においてセンサデータ等を分析、加工処理することにより生成される各種の分析情報や、ユーザUSの運動姿勢を示すループ映像を保存、蓄積するとともに、当該分析、加工処理において参照する各種データを保存、蓄積する。ここで、データベース700は、情報通信端末400から転送されたセンサデータ等や映像データを、そのまま保存する記憶領域を有するものであってもよい。また、データベース700は、ネットワークサーバ600に内蔵されるものであってもよいし、ネットワークサーバ600に外付け接続、または、ネットワーク500に直接接続されるものであってもよい。
演算回路660は、計時回路680において生成される動作クロックに基づいて、プログラムメモリ672に保存された所定のアルゴリズムプログラムを実行することにより、転送データメモリ671に保存されたセンサデータ等に基づいて、所定の分析、加工処理を実行する。また、演算回路660は、転送データメモリ671に保存されたセンサデータ等および映像データに基づいて、ユーザUSの運動中の姿勢(ランニングフォーム)を示すループ映像を生成する。そして、演算回路660は、生成したループ映像をセンサデータ等や分析情報に関連付けて、データベース700の所定の記憶領域に保存する。また、演算回路660は、ユーザUSがユーザ端末800を用いてネットワークサーバ600にアクセスすることにより、ユーザUSの要求に応じたセンサデータ等や分析情報、ループ映像をデータベース700から適宜読み出し、ループ映像と連携させた所定の表示形態で表示させるためのウェブ表示データを生成する。なお、演算回路660において実行される制御プログラムやアルゴリズムプログラムは、予め演算回路660の内部に組み込まれているものであってもよい。また、動作電源690は、商用交流電源が適用される。
(ユーザ端末800)
ユーザ端末800は、上述した情報通信端末400と同等の構成(図6参照)を有するネットワーク通信機器である。ユーザ端末800は、ユーザUSがネットワークサーバ600にアクセスすることにより、センサデータ等や各種の分析情報、ループ映像を連携させた所定の表示形態で表示させるためのウェブ表示データを、ネットワーク500を介して受信して、ウェブブラウザにより表示する。これにより、ユーザUSは、ランニング等の運動中に検出されたセンサデータ等や各種の分析情報を、実際の運動時の映像に連携させた表示形態で閲覧することができ、自己の運動状態の特徴を的確に把握、分析して、その後の運動方法の改善等に反映させることができる。なお、ユーザ端末800は、図1に示すように、センサデータ等のネットワークサーバ600への転送に用いた情報通信端末400を適用するものであってもよいし、当該情報通信端末400とは別のネットワーク通信機器を適用するものであってもよい。後者の構成においては、例えばパーソナルコンピュータ401を用いてセンサデータ等がネットワークサーバ600に転送され、例えばスマートフォン402やタブレット端末403を用いて、ネットワークサーバ600にアクセスすることにより、ループ映像とともにセンサデータ等や各種の分析情報が閲覧される。なお、ユーザ端末800の表示部における運動情報の表示例(センサデータ等や分析情報とループ映像の連携表示)については、詳しく後述する。
<撮影システムの制御方法>
次に、本実施形態に係る撮影システムにおける制御方法(撮影制御処理)について、図面を参照して説明する。ここでは、本実施形態に係る撮影システムによるセンサデータや映像データの取得から、各種分析情報およびループ映像の生成、運動情報の表示に至るまでの一連の運動支援方法について説明する。
図8は、本実施形態に係る撮影システムにおけるハイスピード撮影の手法を示す概略図である。ここで、図8(a)は、トレッドミルを利用した撮影方法を示す概略図であり、図8(b)は、撮像機器300の前を走り抜ける撮影方法を示す概略図である。図9は、本実施形態に係る撮影システムにおける制御方法を含む運動支援方法の一例を示すフローチャートである。
まず、本実施形態に係る撮影システムにおけるハイスピード撮影の手法について簡単に説明する。
本実施形態においては、例えば図8(a)に示すように、ユーザUSがトレッドミル900を利用してランニングを行う場合には、例えばユーザUSの側方と後方に撮像機器300を配置して、ランニング中の運動姿勢(ランニングフォーム)や走り方の映像をハイスピード撮影する。ここで、撮像機器300の配置は、ユーザUSの運動姿勢や走り方の映像を異なる2方向から撮影することができる位置であれば、前方と側方、側方と上方、側方と下方等であってもよい。
また、本実施形態においては、例えば図8(b)に示すように、ユーザUSが屋外等でランニングを行う場合には、三脚等により撮影範囲が固定された撮像機器300の前(撮影範囲または視野)をユーザUSが走り抜けるようにして、ランニング中の運動姿勢や走り方の映像を、ユーザUSの側方からハイスピード撮影する。
これらの手法により、ユーザUSが指示した撮影開始時点から撮影終了時点までの期間中の映像データが取得され、時間データに関連付けて画像データメモリ371の所定の記憶領域に保存される。なお、ハイスピード撮影の開始および終了を規定する撮影条件については後述する。
本実施形態に係る撮影システムの制御方法を含む運動支援方法においては、図9に示すフローチャートのように、大別して、センシング・データ収集手順(ステップS101〜S109)と、データ分析・加工処理手順(ステップS110、S111)と、データ閲覧・活用手順(ステップS112、S113)と、が順次実行される。ここで、センシング・データ収集手順における撮影制御処理は、リスト機器100の演算回路160において実行される所定のアルゴリズムプログラムに基づいて実現され、また、データ分析・加工処理手順における各種の分析処理やループ映像生成処理は、ネットワークサーバ600の演算回路660において実行される所定のアルゴリズムプログラムに基づいて実現される。
センシング・データ収集手順においては、図9に示すように、まず、ユーザUSが身体に装着したリスト機器100やチェスト機器200の電源スイッチを操作して、リスト機器100やチェスト機器200を起動させる。また、ユーザUSが撮像機器300の電源スイッチを操作して、撮像機器300を起動させる。これにより、リスト機器100とチェスト機器200および撮像機器300の間で、例えばブルートゥース(Bluetooth(登録商標))通信を用いて、同期信号が送受信されて、それぞれの動作クロックの同期が行われる(ステップS101)。
次いで、ユーザUSのランニング開始と同時に、または、ランニング開始前後の任意のタイミングで(ステップS102)、撮像機器300におけるハイスピード撮影が開始される(ステップS103)。また、このとき、ユーザUSがリスト機器100およびチェスト機器200を操作することによりセンシング動作が開始される。撮像機器300によるハイスピード撮影、および、リスト機器100およびチェスト機器200によるセンシング動作は、ユーザUSのランニング終了と同時に、または、ランニング終了前後の任意のタイミングで(ステップS107)、撮像機器300におけるハイスピード撮影が終了され(ステップS106)、または、ユーザUSがリスト機器100およびチェスト機器200を操作して終了させるまで継続される。これにより、ユーザUSのランニング中の姿勢や走り方を示す映像データが収集されるとともに、ランニング中の動作状態や生体情報を示すセンサデータ等が収集される(ステップS104)。
ここで、図8(a)に示したように、ユーザUSがトレッドミル900を利用してランニングを行う場合には、例えばユーザUSの側方と後方に配置された撮像機器300により、ランニング中の運動姿勢(ランニングフォーム)や走り方を示す映像データが取得されて、画像データメモリ371の所定の記憶領域に保存される。また、図8(b)に示したように、ユーザUSが屋外等でランニングを行う場合には、ユーザUSが撮像機器300の前(撮影範囲または視野)を走り抜けるように配置された撮像機器300により、ランニング中の運動姿勢や走り方を示す映像データが取得されて、画像データメモリ371の所定の記憶領域に保存される。
また、このランニング中に、図2(a)、図3に示したように、ユーザUSが手首に装着したリスト機器100において、センサ部110によりランニング等の運動中の加速度データや角速度データ、地磁気データを含むセンサデータが検出される。また、屋外での移動を伴うランニングの場合には、GPS受信回路120により位置データや移動速度データを含むGPSデータが検出される。これらのセンサデータおよびGPSデータは、それぞれ時間データに関連付けてセンサデータメモリ171の所定の記憶領域に保存される。
また、図2(a)、図4に示したように、ユーザUSが胸部に装着したチェスト機器200において、センサ部210により運動中の加速度データや角速度データ、地磁気データを含むセンサデータが検出される。また、心拍検出回路220により心拍データが取得される。これらのセンサデータおよび心拍データは、それぞれ時間データに関連付けてセンサデータメモリ271の所定の記憶領域に保存される。
上述したリスト機器100およびチェスト機器200により取得されるセンサデータ等と、撮像機器300により取得される映像データは、それぞれ、リスト機器100、チェスト機器200および撮像機器300の起動時等に同期された動作クロックに基づいて生成された時間データに関連付けられている。したがって、センサデータ等と映像データは、略同期した状態で保存される。
さらに、例えばリスト機器100において、演算回路160により時間データと位置データに基づいて、移動速度(ペース)が算出される。また、例えばチェスト機器200において、演算回路260により時間データ、心拍データ、ユーザUSの体重や年齢等に基づいて、カロリー消費量が算出される。これらの移動速度やカロリー消費量等の各種情報は、それぞれ時間データに関連付けてセンサデータメモリ171、271の所定の記憶領域に保存される。そして、運動中に収集されたセンサデータやGPSデータ、心拍データ、あるいは、これらのセンサデータ等に基づいて算出される各種情報は、例えばリスト機器100の表示部141にリアルタイムに表示されてユーザUSに提供される。ここで、チェスト機器200により取得されたセンサデータや心拍データは、通信機能部250により、例えばブルートゥース(Bluetooth(登録商標))通信を用いて常時、または、所定の時間間隔で、リスト機器100に送信されて表示部141に表示される(リアルタイムデータ処理;ステップS105)。
ここで、上述したセンシング・データ収集手順において実行される撮影制御処理(ステップS102、S103、S106、S107)において、ハイスピード撮影の開始および終了を規定する撮影条件と、その撮影方法について具体的に説明する。
まず、撮像機器300におけるハイスピード撮影の一般的な撮影方法について説明する。一般的な撮影方法においては、まず、ユーザUSがランニングを行う前に、ユーザUS自らあるいは撮影の補助者等が、撮像機器300に付設された入力操作部335のシャッターボタン等を操作(撮影開始操作)して、ハイスピード撮影を開始する。その後、図8(a)に示したように、トレッドミル900を利用して一定時間ランニングを行うことにより、あるいは、図8(b)に示したように、撮像機器300の前を走り抜けることにより、ランニング中の映像を撮影する。そして、トレッドミル900でのランニングを終了した後、あるいは、撮像機器300の前を走り抜けた後、ユーザUSや補助者が撮像機器300のシャッターボタン等を操作(撮影終了操作)して、ハイスピード撮影を終了する。このような撮影方法においては、ランニング中の映像を確実に撮影することができるものの、ユーザUS自らあるいは補助者等が撮像機器300のシャッターボタン等を直接操作しなければならず、撮影自体が煩雑であるという問題を有している。また、ランニング時の映像(すなわち、ランニング開始時点から終了時点までの映像)の前後に不要な映像が撮影されているため、ランニング時の映像のみを抽出する作業が繁雑であるという問題や、取得した映像データが全てハイスピード撮影によるものであるため、映像データが膨大な容量になるという問題を有している。
そこで、本実施形態においては、以下に示すような各種の撮影方法を適用する。これによれば、効率的かつ的確に所望のランニング時の映像を取得することができる。
図10は、本実施形態に係る撮影制御処理に適用される撮影方法を実現する際の、機器間の連携状況を示す概略図である。
本実施形態においては、以下に示す各種の撮影方法を実現するために、図10に示すように、少なくとも、リスト機器100において、時刻同期のための同期信号が生成されて、例えばブルートゥース(Bluetooth(登録商標))通信を用いて、チェスト機器200や撮像機器300に送信される。これにより、チェスト機器200や撮像機器300おいて取得されるセンサデータ等や映像データに関連付けられる時間データが同期される。また、リスト機器100において、以下に示す各種の撮影方法に用いる撮影条件が設定されて、当該撮影条件の設定情報が、例えばブルートゥース(Bluetooth(登録商標))通信を用いて、撮像機器300に送信される。これにより、撮像機器300おいて上記の撮影条件に応じたハイスピード撮影の動作モードが設定される。さらに、リスト機器100において、各種の撮影方法に用いる撮影条件に合致する状態を検出した場合に、撮像機器300におけるハイスピード撮影の開始および終了を指示する撮影開始信号および撮影終了信号が、例えばブルートゥース(Bluetooth(登録商標))通信を用いて、撮像機器300に送信される。これにより、撮像機器300おいてハイスピード撮影の開始および終了が制御される。また、チェスト機器200において取得されたセンサデータや心拍データが、常時、または、所定の時間間隔でリスト機器100に送信される。なお、以下に示す各種の撮影方法においては、リスト機器100から撮像機器300に送信される撮影開始信号および撮影終了信号を必要としない場合もある。詳しくは各撮影方法において説明する。
図11は、本実施形態に係る撮影制御処理における撮影方法の第1の例を示す概略図である。図12は、本実施形態に係る撮影制御処理における撮影方法の第2の例を示す概略図である。図13は、本実施形態に係る撮影制御処理における撮影方法の第3の例を示す概略図である。図14は、本実施形態に係る撮影制御処理における撮影方法の第4〜第7の例を示す概略図である。図15は、本実施形態に係る撮影制御処理における撮影方法の第8〜第11の例を示す概略図である。図16は、本実施形態に係る撮影制御処理における撮影方法の第12の例を示す概略図である。
本実施形態に適用される撮影方法の第1の例は、例えば図11(a)に示すように、ユーザUSが撮像機器300の前(撮影範囲FRまたは視野)を走り抜けるようにして、ランニング中の運動姿勢や走り方の映像をハイスピード撮影する。具体的には、予めリスト機器100において、撮影条件を設定して、その設定情報を撮像機器300に送信して、撮像機器300の動作モードを設定する。そして、撮影準備状態(または待機状態)に設定された撮像機器300の前を横切るようにランニングして、図11(b)に示すように、ユーザUSが撮像機器300の撮影範囲FRに入った時点(フレームイン)でハイスピード撮影を開始し、図11(d)に示すように、ユーザUSが撮影範囲FRから出た時点(フレームアウト)でハイスピード撮影を終了して、撮影準備状態(または待機状態)に移行する。このような撮影方法は、例えば一部の市販の撮像機器に組み込まれている動体検知機能を適用することにより実現することができる。
これにより、図11(b)〜(d)に示すように、ユーザUSが撮影範囲FR内をランニングしている期間中の映像データのみが取得され、時間データに関連付けて画像データメモリ371の所定の記憶領域に保存される。ここで、ユーザUSが撮像機器300の前を走り抜ける映像を撮影する場合には、撮影範囲FR内に概ね3歩〜5歩の映像が撮影されるように撮像機器300の設置位置やレンズ部320におけるズーム量を調整することが好ましい。このような撮影方法は、例えば屋外等で周回コースを何周も走る際の、運動姿勢や走り方の映像を撮影するときに特に適している。
本実施形態に適用される撮影方法の第2の例は、図8(a)、(b)に示したように、ユーザUSがトレッドミル900を利用して、あるいは、撮像機器300の前を走り抜けるようにして、ランニング中の映像をハイスピード撮影する。具体的には、後者の場合、予めリスト機器100において、撮影条件を設定して、その設定情報を撮像機器300に送信して、撮像機器300の動作モードを設定する。そして、撮影準備状態(または待機状態)に設定された撮像機器300の前を横切るようにランニングする際に、例えば図12(a)に示すように、ユーザUSが撮像機器300の撮影範囲FRに入る時点(フレームイン)の前後で、リスト機器100の入力インターフェース部130を操作して、撮像機器300に撮影開始信号を送信してハイスピード撮影を開始する。そして、例えば図12(b)に示すように、ユーザUSが撮影範囲FRから出た時点(フレームアウト)の前後で、再びリスト機器100の入力インターフェース部130を操作して、撮像機器300に撮影終了信号を送信してハイスピード撮影を終了して、撮影準備状態(または待機状態)に移行する。このような撮影方法は、例えば一部の市販の撮像機器に組み込まれているブルートゥース(Bluetooth(登録商標))通信やワイファイ(WiFi(登録商標))通信を用いたリモートコントロール機能を適用することにより実現することができる。
これにより、図12(a)、(b)に示すように、ユーザUSが概ね撮影範囲内をランニングしている期間中の映像データのみが取得され、時間データに関連付けて画像データメモリ371の所定の記憶領域に保存される。なお、トレッドミル900を利用する場合には、ユーザUSは、ランニング中の任意のタイミングでリスト機器100の入力インターフェース部130を操作して、撮像機器300に撮影開始信号および撮影終了信号を送信することにより、ランニング中の映像が撮影される。
本実施形態に適用される撮影方法の第3の例は、予めリスト機器100において、ユーザUSのランニング中の動作状態に基づく撮影条件を設定して、その設定情報を撮像機器300に送信して、撮像機器300の動作モードを設定する。そして、例えば図13(a)に示すように、トレッドミル900を利用してユーザUSがランニングを開始し、ランニング中にチェスト機器200により検出されたセンサデータに基づいて、リスト機器100においてユーザUSの動作状態を常時監視する。ここでは、ユーザUSがランニング状態にあるかウォーキング状態にあるかを判定する指標として、チェスト機器200により検出された上下方向の加速度データ(信号波形の振幅、極値間隔等)を監視する。そして、例えば図13(b)に示すように、チェスト機器200により検出された上下方向の加速データの信号波形が予め設定された振幅や極値間隔等を有し、ユーザUSがランニング状態にある(あるいは、ランニング状態に達した)と判定した場合には、リスト機器100から撮像機器300に撮影開始信号を送信してハイスピード撮影を開始する。そして、検出された上下方向の加速データの信号波形が予め設定された振幅や極値間隔等を有さず、ユーザUSがランニングを止めて、例えば歩いている(ウォーキング)状態や立ち止まった状態にあると判定した場合等には、リスト機器100から撮像機器300に撮影終了信号を送信してハイスピード撮影を終了して、撮影準備状態(または待機状態)に移行する。これにより、ユーザUSの動作状態が安定したランニング状態にある期間中の映像データのみが取得され、時間データに関連付けて画像データメモリ371の所定の記憶領域に保存される。
本実施形態に適用される撮影方法の第4〜第7の例は、予めリスト機器100において、ユーザUSのランニング中の心拍数に基づく撮影条件を設定して、その設定情報を撮像機器300に送信して、撮像機器300の動作モードを設定する。そして、図13に示したように、トレッドミル900を利用してユーザUSがランニングを開始し、ランニング中にチェスト機器200により検出された心拍データに基づいて、リスト機器100においてユーザUSの心拍数を常時監視する。そして、ユーザUSの心拍数が予め設定された状態にあると判定した場合には、リスト機器100から撮像機器300に撮影開始信号を送信してハイスピード撮影を開始する。そして、ユーザUSの心拍数が予め設定された状態にないと判定した場合には、リスト機器100から撮像機器300に撮影終了信号を送信してハイスピード撮影を終了して、撮影準備状態(または待機状態)に移行する。
具体的には、撮影方法の第4の例では、例えば図14(a)、(b)に示すように、ユーザUSの心拍数が予め設定された心拍数の範囲(下限値HRa〜上限値HRb)内にある場合に、撮像機器300に撮影開始信号を送信してハイスピード撮影を開始し、ユーザUSの心拍数が上記の範囲を逸脱した場合には、撮像機器300に撮影終了信号を送信してハイスピード撮影を終了する。
また、撮影方法の第5の例では、例えば図14(c)に示すように、ユーザUSの心拍数が予め設定された心拍数の範囲(下限値HRa〜上限値HRb)を逸脱した場合に、撮像機器300に撮影開始信号を送信してハイスピード撮影を開始し、ユーザUSの心拍数が上記の範囲内にある場合には、撮像機器300に撮影終了信号を送信してハイスピード撮影を終了する。
また、撮影方法の第6の例では、例えば図14(d)に示すように、ユーザUSの心拍数が予め設定された心拍数の基準値(しきい値HRt)を上回った場合に、撮像機器300に撮影開始信号を送信してハイスピード撮影を開始し、ユーザUSの心拍数が上記の基準値を下回った場合には、撮像機器300に撮影終了信号を送信してハイスピード撮影を終了する。
また、撮影方法の第7の例では、例えば図14(e)に示すように、ユーザUSの心拍数が予め設定された心拍数の基準値(しきい値HRt)を下回った場合に、撮像機器300に撮影開始信号を送信してハイスピード撮影を開始し、ユーザUSの心拍数が上記の基準値を上回った場合には、撮像機器300に撮影終了信号を送信してハイスピード撮影を終了する。
これにより、ユーザUSの心拍数が基準値に対して特定の関係にある期間中、または、特定の数値範囲にある期間中の映像データのみが取得され、時間データに関連付けて画像データメモリ371の所定の記憶領域に保存される。なお、チェスト機器200により検出される心拍データは、本来の心拍に起因する信号成分に加え、様々なノイズ成分が混入することが知られているが、検出値を時間平均することにより、短時間(例えば1秒程度)の急激な変化を除外することができ、心拍数を比較的正確に算出することができる。
本実施形態に適用される撮影方法の第8〜第11の例は、予めリスト機器100において、ユーザUSのランニング中の姿勢に関連するセンサデータ等に基づく撮影条件を設定して、その設定情報を撮像機器300に送信して、撮像機器300の動作モードを設定する。そして、図13に示したように、トレッドミル900を利用してユーザUSがランニングを開始し、ランニング中にリスト機器100やチェスト機器200により検出された加速度データや角速度データ等の、ユーザUSのランニング中の姿勢に関連するセンサデータ等に基づいて、リスト機器100においてユーザUSのセンサデータを常時監視する。そして、検出されたセンサデータが予め設定された状態にあると判定した場合には、リスト機器100から撮像機器300に撮影開始信号を送信してハイスピード撮影を開始する。そして、検出されたセンサデータが予め設定された状態にないと判定した場合には、リスト機器100から撮像機器300に撮影終了信号を送信してハイスピード撮影を終了して、撮影準備状態(または待機状態)に移行する。
具体的には、撮影方法の第8の例では、例えば図15(a)に示すように、チェスト機器200により検出された上下方向の加速データ(信号波形の極大値および極小値、または、振幅)が予め設定された加速度の範囲(下限値ACa〜上限値ACb)内にある場合に、撮像機器300に撮影開始信号を送信してハイスピード撮影を開始し、検出された上下方向の加速データが上記の範囲を逸脱した場合には、撮像機器300に撮影終了信号を送信してハイスピード撮影を終了する。このような撮影方法は、運動姿勢が安定したときの映像を撮影するときに適している。
また、撮影方法の第9の例では、例えば図15(b)に示すように、チェスト機器200により検出された上下方向の加速データ(信号波形の極大値および極小値、または、振幅)が予め設定された加速度の範囲(下限値ACa〜上限値ACb)を逸脱した場合に、撮像機器300に撮影開始信号を送信してハイスピード撮影を開始し、検出された上下方向の加速データが上記の範囲内にある場合には、撮像機器300に撮影終了信号を送信してハイスピード撮影を終了する。このような撮影方法は、運動姿勢が乱れたときの映像を撮影するときに適している。
また、撮影方法の第10の例では、例えば図15(c)に示すように、チェスト機器200により検出された上下方向の加速データ(信号波形の極大値および極小値)が予め設定された加速度の基準値(しきい値ACt)を上回った場合に、撮像機器300に撮影開始信号を送信してハイスピード撮影を開始し、検出された上下方向の加速データが上記の基準値を下回った場合には、撮像機器300に撮影終了信号を送信してハイスピード撮影を終了する。
また、撮影方法の第11の例では、例えば図15(d)に示すように、チェスト機器200により検出された上下方向の加速データ(信号波形の極大値および極小値)が予め設定された加速度の基準値(しきい値ACt)を下回った場合に、撮像機器300に撮影開始信号を送信してハイスピード撮影を開始し、検出された上下方向の加速データが上記の基準値を上回った場合には、撮像機器300に撮影終了信号を送信してハイスピード撮影を終了する。
これにより、リスト機器100やチェスト機器200により検出されたセンサデータ等が基準値に対して特定の関係にある期間中、または、特定の数値範囲にある期間中の映像データのみが取得され、時間データに関連付けて画像データメモリ371の所定の記憶領域に保存される。なお、撮影方法の第8〜第11の例において、撮影条件に適用される、ユーザUSのランニング中の姿勢に関連するセンサデータ等については、上述した加速度データのみに限らず、複数の異なるセンサデータ等を併用するものであってもよい。また、姿勢に関連するセンサデータ等については、後述する運動姿勢に関わる各種の分析処理において詳しく説明する。
本実施形態に適用される撮影方法の第12の例は、図16に示すように、ユーザUSがトレッドミル900を利用して、ランニング中の映像をハイスピード撮影する。この例では、少なくとも、トレッドミル900が例えばブルートゥース(Bluetooth(登録商標))通信を用いて、リスト機器100との間で同期信号や現在のランニング速度を示す速度データを送受信する機能を有している。
撮影方法の第12の例は、予めリスト機器100において、トレッドミル900におけるランニング速度に基づく撮影条件を設定して、その設定情報を撮像機器300に送信して、撮像機器300の動作モードを設定する。そして、例えば図16に示すように、トレッドミル900を利用してユーザUSがランニングを開始し、ランニング中にトレッドミル900に設定された速度データをリスト機器100に送信して、リスト機器100において常時監視する。そして、ユーザUSがランニング中にトレッドミル900を操作して設定したランニング速度が予め設定された状態にあると判定した場合には、リスト機器100から撮像機器300に撮影開始信号を送信してハイスピード撮影を開始する。そして、設定したランニング速度が予め設定された状態にないと判定した場合には、リスト機器100から撮像機器300に撮影終了信号を送信してハイスピード撮影を終了して、撮影準備状態(または待機状態)に移行する。
具体的には、撮影方法の第12の例では、トレッドミル900に設定されたランニング速度が予め設定された速度の基準値(しきい値)を上回った場合に、撮像機器300に撮影開始信号を送信してハイスピード撮影を開始し、ランニング速度が上記の基準値を下回った場合には、撮像機器300に撮影終了信号を送信してハイスピード撮影を終了する。これにより、ユーザUSのランニング速度がランニング状態に対応する数値または数値範囲にある期間中の映像データのみが取得され、時間データに関連付けて画像データメモリ371の所定の記憶領域に保存される。
本実施形態に適用される撮影方法の第13の例は、図16に示すように、ユーザUSがトレッドミル900を利用して、ランニング中の映像をハイスピード撮影する。この例では、少なくとも、撮像機器300がハイスピード撮影の開始タイミングと終了タイミングを任意に設定することができるタイマー機能を有している。
撮影方法の第13の例は、予めリスト機器100において、撮像機器300への撮影開始指示からの経過時間に基づく撮影条件を設定して、その設定情報を撮像機器300に送信して、撮像機器300の動作モードを設定する。そして、例えば図8(a)に示したように、撮像機器300の入力操作部335を操作して、撮像機器300を起動し、あるいは、撮影開始予定を指示し、その後、トレッドミル900を利用してユーザUSがランニングを開始する。そして、撮像機器300において、起動時点から、あるいは、撮影開始予定を指示した時点から予め設定された時間が経過した場合、あるいは、予め設定した撮影開始時刻が到来した場合には、ハイスピード撮影を開始する。そして、撮像機器300において、予め設定した撮影時間が経過した場合、あるいは、予め設定した撮影終了時刻が到来した場合には、ハイスピード撮影を終了する。
これにより、ユーザUSがランニングを開始してから特定の時間が経過して、安定したランニング状態にあると推測される期間中の映像データのみが取得され、時間データに関連付けて画像データメモリ371の所定の記憶領域に保存される。なお、撮影条件として設定される撮影開始時刻および撮影終了時刻は、複数設定できるものであってもよく、この場合は、各撮影期間が終了後、撮影準備状態(または待機状態)に移行する。また、撮影開始予定の指示や撮影開始までの時間、撮影時間、撮影開始時刻、撮影終了時刻は、撮像機器300本体で直接設定するものであってもよいし、リスト機器100においてこれらを設定して、撮影条件設定情報として撮像機器300に送信して、撮像機器300に設定するものであってもよい。
なお、上述した各種の撮影方法においては、個別に撮影条件を設定して、ハイスピード撮影の開始および終了を制御する場合について説明したが、複数の異なる撮影方法(撮影条件)を任意に組み合わせて、撮影の開始および終了を制御するものであってもよい。
また、上述した各種の撮影方法においては、センサデータ等に基づく撮影条件を設定して、ハイスピード撮影の開始および終了を制御することにより、所望のランニング状態の運動姿勢を示す映像データのみを取得して保存する場合について説明した。本発明はこれに限定されるものではなく、ランニング時の映像データのみを容易に抽出できるものであれば、他の撮影方法を適用するものであってもよい。例えば、上述した一般的な撮影方法のように、ランニング開始前にユーザが自ら、撮像機器300の入力操作部335のシャッターボタン等を操作して撮影を開始し、ランニング終了後にシャッターボタン等を操作して撮影を終了する手法において、上述した各種の撮影方法を併用して、撮影中に所定の撮影条件が満たされた場合に、映像データ中に区切りを示すタグを付加するものであってもよい。これにより、ランニング時に取得した映像データから、タグに基づいて所望の撮影条件を満たす映像データのみを容易に抽出することができる。
次に、上述した各種(第1、第2の例を除く)の撮影方法を適用した撮影制御処理について説明する。
図17は、本実施形態に係る撮影システムに適用される撮影制御処理の一例を示すフローチャートである。ここで、図17に示すフローチャートにおいて、ステップS123〜S127の処理は図9に示したフローチャートのステップS102、S103に対応し、また、ステップS128〜S133の処理は図9に示したフローチャートのステップS106、S107に対応する。
上述した各種の撮影方法を適用した撮影制御処理は、まず、リスト機器100において、撮像機器300におけるハイスピード撮影の開始および終了を規定する撮影条件を設定する(ステップS121)。ここでは、上述した各種の撮影方法に示した撮影条件が、単独で、あるいは、異なる複数の撮影条件を任意に組み合わせて、リスト機器100に設定される。なお、撮影条件の設定は、リスト機器100と例えばブルートゥース(Bluetooth(登録商標))通信を用いてデータや情報の送受信が可能なスマートフォンやタブレット端末、パーソナルコンピュータ等を用いて、予めインストールされた専用のアプリケーションソフトウェア上で複雑な撮影条件を設定した後、リスト機器100に撮影条件に関する設定情報を送信するものであってもよい。
次いで、図10に示したように、リスト機器100からチェスト機器200および撮像機器300に同期信号を送信して、リスト機器100とチェスト機器200と撮像機器300との間で時刻同期を行う(ステップS122)。このとき同時に、リスト機器100から撮像機器300に撮影条件設定情報を送信して、撮像機器300におけるハイスピード撮影の動作モードを設定する。
次いで、撮像機器300を所定の撮影位置に設置して撮影準備状態に設定した後、ユーザUSはリスト機器100やチェスト機器200を身体の所定の位置に装着して、例えば図8(a)、図13(a)、図16に示したように、トレッドミル900等を利用してランニングを開始する(ステップS123)。
次いで、チェスト機器200において取得されたセンサデータ等が、例えばブルートゥース(Bluetooth(登録商標))通信を用いてリスト機器100に送信され、リスト機器100の演算回路160において、リスト機器100やチェスト機器200において取得されたセンサデータ等が監視されて(ステップS124)、ステップS121により設定された撮影条件の、ハイスピード撮影の開始条件と合致するか否かが判定される(ステップS125)。なお、上述した各種の撮影方法において、撮影条件がセンサデータ等に関連しない、あるいは、センサデータ等を使用しない場合には、当該撮影条件に対応する状態(例えばトレッドミル900からの速度データや経過時間)が監視されて、設定された撮影条件(撮影開始条件)と合致するか否かが判定される。
ステップS125において、監視対象になっているセンサデータ等や状態が、撮影開始条件に合致すると判定された場合には、演算回路160は、例えばブルートゥース(Bluetooth(登録商標))通信を用いて撮像機器300に撮影開始信号を送信する(ステップS126)。リスト機器100から撮影開始信号を受信した撮像機器300は、ハイスピード撮影を開始して(ステップS127)、ランニング状態のユーザUSの姿勢や走り方を示す映像データが取得され、時間データに関連付けて画像データメモリ371の所定の記憶領域に保存される。一方、ステップS125において、監視対象になっているセンサデータ等や状態が、撮影開始条件に合致しないと判定された場合には、ステップS124に戻って、センサデータ等や状態の監視が継続される。
リスト機器100の演算回路160は、上記のランニング状態のユーザUSのハイスピード撮影中にも、監視対象になっているセンサデータ等や状態を監視し(ステップS128)、ステップS121により設定された撮影条件の、ハイスピード撮影の終了条件と合致するか否かを判定する(ステップS129)。
ステップS129において、監視対象になっているセンサデータ等や状態が、撮影終了条件に合致すると判定された場合には、演算回路160は、例えばブルートゥース(Bluetooth(登録商標))通信を用いて撮像機器300に撮影終了信号を送信する(ステップS130)。リスト機器100から撮影終了信号を受信した撮像機器300は、ハイスピード撮影を終了して(ステップS131)、撮影準備状態(または待機状態)に移行する。一方、ステップS129において、監視対象になっているセンサデータ等や状態が、撮影終了条件に合致しないと判定された場合には、ステップS128に戻って、センサデータ等や状態の監視が継続される。
そして、撮像機器300の撮影準備状態(または待機状態)を継続する場合(ステップS132)には、ステップS124に戻って、リスト機器100におけるセンサデータや状態の監視を行い、上述した一連の撮影制御処理(ステップS124〜S132)を繰り返し実行する。一方、ステップS132において、撮像機器300の入力操作部335の電源スイッチにより電源がオフされた場合や、撮像機器300におけるハイスピード撮影の動作モードが解除された場合には、撮像機器300の撮影準備状態(または待機状態)を中断し、ユーザUSのランニング終了後(ステップS133)、一連の撮影制御処理(ステップS121〜S133)を終了する。
このような撮影制御処理においては、運動姿勢(ランニングフォーム)を示す映像データをハイスピード撮影により取得する際に、センサデータ等に基づく撮影条件を設定して撮像機器300における撮影開始および終了操作を制御することにより、所望のランニング状態にある期間の映像データのみが取得されて保存される。したがって、運動中のユーザの実際の運動姿勢等を簡易かつ的確に撮影することができる。また、不要な映像データが保存されないので、映像データのデータ容量を大幅に削減することができる。また、取得した映像データをそのまま、後述するループ映像の生成処理に適用することができるので、演算回路における処理負担を軽減できるとともに、処理速度を向上させることができる。さらに、リスト機器100、チェスト機器200、撮像機器300、トレッドミル900を連携させて様々な撮影条件を設定することができるので、多様な撮影方法を実現することができる。
次いで、図9に示したフローチャートに戻って、図1に示すように、リスト機器100およびチェスト機器200を、所定の無線通信方式や有線通信方式により、パーソナルコンピュータ401やスマートフォン402、タブレット端末403等の情報通信端末400に接続する(ステップS108)。これにより、センサデータメモリ171、271に保存されたセンサデータ等が、リスト機器100およびチェスト機器200の通信機能部150、250により、情報通信端末400に送信され、一旦転送データメモリ471に保存される。そして、情報通信端末400に送信されたセンサデータ等は、通信機能部450により、ネットワーク500を介してネットワークサーバ600に転送される(ステップS109)。
なお、リスト機器100およびチェスト機器200により取得されたセンサデータ等を、情報通信端末400を介してネットワークサーバ600に転送する処理は、上述した無線通信方式や有線通信方式を使用した方法に限定されるものではない。例えば、リスト機器100およびチェスト機器200のセンサデータメモリ171、271の一部または全部がメモリカード等のリムーバブル記憶媒体としての形態を有している場合には、リスト機器100およびチェスト機器200からこれらのメモリカードを抜き取り、情報通信端末400のカードスロットに差し込むことにより、センサデータ等を情報通信端末400に転送するものであってもよい。
また、図1に示すように、撮像機器300を、所定の無線通信方式や有線通信方式により情報通信端末400に接続する(ステップS108)。これにより、画像データメモリ371に保存された映像データが、撮像機器300の通信機能部350により、情報通信端末400に送信され、一旦転送データメモリ471に保存される。そして、情報通信端末400に送信された映像データは、通信機能部450により、ネットワーク500を介してネットワークサーバ600に転送される(ステップS109)。
なお、この場合においても、撮像機器300により取得された映像データを、情報通信端末400を介してネットワークサーバ600に転送する処理は、上述した無線通信方式や有線通信方式を使用した方法に限定されるものではない。例えば、撮像機器300の画像データメモリ371の一部または全部がメモリカード等のリムーバブル記憶媒体としての形態を有している場合には、撮像機器300からメモリカードを抜き取り、情報通信端末400のカードスロットに差し込むことにより、映像データを情報通信端末400に転送するものであってもよい。
また、上述したようなリスト機器100やチェスト機器200により取得したセンサデータ等や、撮像機器300により取得した映像データを、ネットワークサーバ600に転送する処理は、図1に示したパーソナルコンピュータ401やスマートフォン402等の情報通信端末400を用いる方法に限定されるものではない。例えば、リスト機器100やチェスト機器200、撮像機器300がワイファイ(WiFi(登録商標))通信によるデータ転送機能を備えている場合には、例えば図1に示したように、ネットワーク500に接続されたアクセスポイント404を介して、センサデータ等や映像データを直接ネットワークサーバ600に転送するものであってもよい。
情報通信端末400によりネットワークサーバ600に転送されたセンサデータ等や映像データは、メモリ部670の転送データメモリ671の所定の記憶領域に保存される。このような、センサデータ等や映像データのネットワークサーバ600への転送処理(ステップS108、S109)は、例えば、ユーザUSがリスト機器100およびチェスト機器200、撮像機器300を情報通信端末400に接続した状態で、情報通信端末400の入力操作部430を操作することにより手動で実行される。あるいは、リスト機器100およびチェスト機器200、撮像機器300が情報通信端末400(アクセスポイント404を含む)に接続されることにより、一連の転送処理が自動的に実行されるものであってもよい。
図18は、本実施形態に係る撮影システムの制御方法を含む運動支援方法に適用されるループ映像生成処理の一例を示すフローチャートである。図19は、本実施形態に係るループ映像生成処理に適用される、走動作における動作要素の概念を示す説明図である。図20は、本実施形態に係るループ映像生成処理に適用される、走動作における足の接地ポイントの概念を示す説明図である。図21は、本実施形態に係るループ映像の生成処理に適用される、センサデータから足の接地ポイントを検出する手法を示す説明図である。
データ分析・加工処理手順においては、図9に示すように、まず、ネットワークサーバ600の演算回路660が、転送データメモリ671に保存されたセンサデータ等に基づいて、所定の分析、加工処理を実行して、各種の分析情報を生成するとともに、ユーザUSの運動姿勢を示すループ映像を生成する(ステップS110)。
ループ映像生成処理は、具体的には、図18に示すように、まず、演算回路660は、センサデータ等を収集する際に関連付けられた時間データと、映像データを収集する際に関連付けられた時間データとに基づいて、センサデータ等と映像データを関連付ける(ステップS141)。すなわち、リスト機器100やチェスト機器200、撮像機器300は、例えばステップS101に示したように、機器の起動時に例えばブルートゥース(Bluetooth(登録商標))通信を用いて、予め動作クロックが同期されているので、センサデータ等や映像データに関連付けられている時間データを共通のタイムスタンプとして用いて同期させることにより、センサデータ等と映像データを連携させることができる。
次いで、演算回路660は、センサデータ等に基づいて、例えば右足の接地ポイントから次の右足の接地ポイントまでの1周期分の走動作を判別して、センサデータ等を切り出す(ステップS142)。具体的には、一般に、ランニング時の走動作は、図19に示すように、大別して、右足(または左足)の「接地」状態を示す局面1、右足による「支持期中点」状態を示す局面2、右足の「離地」状態を示す局面3、右足の後方への蹴り出し後の「フォロー」状態を示す局面4、右足の「遊脚期中点」状態を示す局面5、右足の前方への振り出しによる「スイング」状態を示す局面6の、一連の動作要素により構成されている。ここで、図19に示した局面1、2は、右足による「支持期(スタンス)」、また、局面3〜6は、「遊脚期(リカバリー)」、と定義することができる。すなわち、ランニング時には、上記のような局面1〜6からなる一連の動作要素を有する期間を1周期(ランニング周期)として、この一連の動作要素が繰り返し実行される。そこで、演算回路660は、上記のような走動作を示す各局面1〜6に対応付けて、一方の足の接地(局面1)から、一連の動作要素を経て、次の一方の足の接地までのセンサデータ等を切り出して、走動作の1周期分として抽出する。
ここで、センサデータ等の切り出しの基点となる接地ポイントは、図20に示すように、チェスト機器200の3軸加速度センサ211により検出される加速度データの上下方向成分の信号波形を観測することにより導出することができる。具体的には、図21(a)に示す、重力加速度と加速度データの上下方向成分との差分の信号波形、および、図21(b)に示す、加速度データの上下方向成分の信号波形における特徴点に基づいて、接地ポイントを導出することができる。ここでは、図21(a)に示した信号波形における極大値(最大値)となる加速度の直前に現れる極小値を接地ポイントと推定でき、また、図21(b)に示した信号波形における極小値となる加速度の直前に現れる変化点を接地ポイント、同直後に現れる変化点を離地ポイントとして検出することができる。そして、これらの検出結果に基づいて、センサデータ等から接地ポイントを判定することができる。
次いで、演算回路660は、切り出された1周期分のセンサデータ等に関連付けられた時間データ(タイムスタンプ)に基づいて、当該1周期に対応する映像データを切り出す(ステップS143)。すなわち、センサデータ等と映像データとは、予め同期された動作クロックに基づく時間データに関連付けられている。したがって、この時間データをタイムスタンプとして、ステップS122において切り出された1周期分のセンサデータ等の接地ポイント(開始点)から次の接地ポイント(終点)までの時間データに対応する映像データを切り出すことにより、1周期分のセンサデータ等に対応する(略同期する)映像データが抽出される。ここで、切り出されたセンサデータ等と映像データとは、略同期がとれているので、センサデータ等に基づいて検出される接地ポイントにおいて接地する足が、右足であるか左足であるかを判別することができる。これにより、判別された足の接地ポイントに基づいて、抽出されたセンサデータ等と映像データとを同期させることができる。このように、左右の足の接地ポイントおよび離地ポイントに基づいて、相互の対応関係を判別することにより、センサデータと映像データとの同期は比較的容易に行うことができる。
次いで、演算回路660は、切り出した1周期分の映像データの開始点から終点までを繋げて、ループ映像を生成する(ステップS144)。すなわち、1周期の開始点である最初の接地ポイントから終点である次の接地ポイントまでの映像データにおいて、終点と開始点を繋げることにより、1周期分の映像データがくり返されるループ映像が生成される。
次いで、演算回路660は、生成したループ映像とセンサデータ等を時間データに基づいて再度同期をとることにより、ループ映像とセンサデータ等を連携させる。そして、相互に連携されたセンサデータ等とループ映像は、時間データ(タイムスタンプ)に関連付けられて、データベース700の所定の記憶領域に保存されるとともに、後述するデータ閲覧・活用手順において、ユーザ端末800の表示部にウェブブラウザを用いて所定の表示形態で表示される(ステップS145)。
また、演算回路660は、上述したループ映像生成処理(ステップS110)に前後して、あるいは、並行して、センサデータ等に基づいて、少なくとも、ユーザUSの運動時の姿勢(ランニングフォーム)に関わる各種の項目を分析する。具体的には、運動姿勢に関わる各種の項目として、例えば運動中のピッチやストライド、体幹のブレやバラツキ、地面反力、接地時間、腕の振り等が分析される。そして、演算回路660は、これらの分析結果や分析データ(分析情報)を時間データに関連付けて、データベース700の所定の記憶領域に保存する。なお、これらの分析結果や分析データは、上述したセンサデータ等と同様に、ループ映像と同期をとることにより相互に連携させてもよい。
ここで、運動姿勢に関わる各種の項目については、次のような分析処理が行われる。
ランニング中のピッチの分析においては、チェスト機器200により取得された3軸方向の加速度データに基づいて、例えば1分間当たりの歩数(単位:bpm)が計測される。そして、このピッチの数値が適切な範囲内であれば、現在のペース(走行速度)を維持することができると判断される。
また、ランニング中のストライドの分析においては、チェスト機器200により取得された3軸方向の加速度データ、および、リスト機器100により取得されたGPSデータに基づいて、所定のタイミングにおける歩幅(単位:cm)が計測される。そして、このストライドの数値が最適または良好な範囲内であれば、現在のペースを維持することができると判断される。ここで、一般にランニング中に疲労が蓄積すると、ストライドが短くなるため、ピッチを上げてペースを維持する傾向があるため、上記のピッチと関連付けて運動状態が判断される。
また、ランニング中の体幹のブレの分析においては、チェスト機器200により取得された3軸方向の加速度データに基づいて、特定の時間(例えばランニング動作における1周期)内における体幹の基準軸の角度の前後、左右、上下の各方向における変化(最大値および最小値)が算出される。本実施形態においては、体幹のブレとして、身体の頭部の位置を固定した場合の、身体(体幹)の前後、左右、上下の各方向における体幹の基準軸の角度が最小であるとき、および、最大であるときのずれを角度として算出する。そして、この体幹のブレの数値が小さいまたは所定の範囲内であれば、効率的な走りができると判断される。
また、ランニング中の体幹のバラツキの分析においては、チェスト機器200により取得された3軸方向の加速度データに基づいて、体幹の前後、左右の各方向における基準軸の傾きのバラツキが算出される。本実施形態においては、体幹のバラツキとして、走動作の1周期ごとに算出される体幹の基準軸の傾きの平均値について、他の複数の周期との間で相互のバラツキを角度として算出する。そして、この体幹のバラツキの数値が小さいまたは所定の範囲内であれば、安定した姿勢の走りができると判断される。
また、ランニング中の地面反力の分析においては、チェスト機器200により取得された3軸方向の加速度データに基づいて、足を着地したときに地面から上方向に受ける反力(単位:NまたはsecまたはN/sec)が算出される。本実施形態においては、3軸加速度センサ211により検出される3軸方向の加速度データの上下方向成分を観測することにより下方向の加重を計測して、地面反力(力の作用、反作用の法則により、足裏に地面から上方向に受ける反力)を算出する。ここで、ランニング中には、この地面反力を利用して、走行方向への推進力が得られていること、また、地面反力は、地面に対して下方向に加わる加重に比例することが判明している。このことから、地面反力の数値が大きいまたは所定値以上であれば、効率的で力強い走りができると判断される。
また、ランニング中の接地時間の分析においては、チェスト機器200により取得された3軸方向の加速度データに基づいて、足の着地から離地までの時間(単位:msecまたは%)が算出される。本実施形態においては、3軸加速度センサ211により検出される3軸方向の加速度データのうち上下方向成分を観測することにより、図20、図21に示したように、右足と左足のそれぞれについて接地ポイントおよび離地ポイントを検出して、接地時間を個別に算出する。そして、この接地時間の数値が短いまたは所定値以下であれば、速い走りができると判断される。
また、ランニング中の腕の振りの分析においては、リスト機器100により取得された3軸方向の加速度データおよび角速度データに基づいて、腕の振りの角度が計測される。本実施形態においては、腕の振りのパラメータとして、リスト機器100を装着した腕(例えば左腕)を、最大前方に振り出した状態から最大後方に引き戻した状態までの腕の角度と、腕振りの支点である肩の関節から腕の先端までの長さを計測する。そして、この腕の振りの数値が大きいまたは所定値以上であれば、効率的で力強い走りができると判断される。
これらの分析項目は、いずれもユーザUSのランニング中の運動姿勢(ランニングフォーム)の構成要素を示すものである。すなわち、リスト機器100およびチェスト機器200により取得されるセンサデータ等を分析、加工処理して、上記の分析項目ごとに数値化することにより、ユーザUSのランニング中の運動姿勢を、分析項目ごとに比較的正確に再現することができる。なお、ここに示した分析項目は、本実施形態に適用可能な一例を示したものに過ぎず、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明に係る撮影システムの制御方法を含む運動支援方法においては、運動姿勢(ランニングフォーム)の構成要素となり得るものであれば、上述した分析項目に追加して、あるいは、上述した分析項目に替えて、他の分析項目を適用するものであってもよい。
次いで、図9に示したフローチャートに戻って、演算回路660は、ステップS110により生成されたループ映像に、運動姿勢(ランニングフォーム)に関わる各種の分析項目で使用する支点の位置を指定する(ステップS111)。具体的には、この支点は、上述した体幹のブレやバラツキの分析の場合には、体幹の基準軸の角度を算出する際の基準点であって、身体の頭部の位置に相当する。また、地面反力や接地時間の分析の場合には、接地状態の足裏に相当する。また、腕の振りの分析の場合には、腕の振りの角度を算出する際の基準点であって、身体の肩の関節の位置に相当する。これらの支点は、例えばユーザUSの運動姿勢や走り方を撮像機器300により撮影する際に、予め支点となる位置(頭部や肩等)にマーカ等を取り付けて撮影をすることにより、映像データから画像解析によりマーカの位置を抽出して、支点位置として指定する手法を適用することができる。また、運動姿勢や走り方について、予め支点位置を設定した複数のモデルデータを準備しておいて、取得した映像データと各モデルデータとをマッチングすることにより類似度の高いモデルデータを決定して、そのモデルデータに設定された支点位置を指定するものであってもよい。さらには、後述するように、ウェブ画面上に表示されたループ映像をユーザUSが閲覧した際に、入力操作部を操作して任意の位置に支点を設定したり、調整したりするものであってもよい。この場合には、支点の位置を指定する処理(ステップS111)は、後述するウェブ画面上へのセンサデータ等とループ映像の連携表示(ステップS112)の際に実行される。なお、ループ映像中に指定される支点の位置については、後述する運動情報の表示例(センサデータ等や分析情報とループ映像の連携表示)において詳しく説明する。
次いで、データ閲覧・活用手順においては、図9に示すように、まず、ユーザUSが情報通信端末400またはユーザ端末800を操作して、ネットワーク500を介してネットワークサーバ600にアクセスする。そして、ユーザUSが任意の分析情報の表示を要求(リクエスト)する操作を行うことにより、ネットワークサーバ600は、演算回路660によりデータベース700に保存された各種の分析情報等を読み出して、上記の要求に応じた所定の表示形態を有するウェブ表示データに加工処理する。ここでは、情報通信端末400を介して転送されたセンサデータ等(転送データ)がグラフ等の形態で表示されて、ループ映像と連携し、また、上述した各種の分析情報がループ映像に重ね合わせて表示されるように設定されたウェブ表示データが生成される。生成されたウェブ表示データは、図1に示すように、通信機能部650によりネットワーク500を介して、情報通信端末400やユーザ端末800に送信されて、ウェブブラウザを用いて表示部440に表示される(ステップS112)。
そして、ユーザUSは、情報通信端末400やユーザ端末800の表示部440に表示されたセンサデータ等のグラフや、分析情報の数値が重ね合わせて表示されたループ映像を閲覧することにより、センサデータ等や分析情報と運動姿勢との関係を、視覚を通じて把握して自己分析する(ステップS113)。これにより、ユーザUSは自己の運動状態の特徴を、視覚を通じて的確に把握して分析することができるので、その後の運動方法の改善等に反映させることができる。
(運動情報の表示例)
次に、本実施形態に係る撮影システムの制御方法を含む運動情報表示方法に適用される運動情報の表示例(センサデータ等や分析情報とループ映像の連携表示)について、図面を参照して説明する。
図22は、本実施形態に係る撮影システムに適用されるユーザ端末等に表示される運動情報の一表示例を示す概略図である。なお、以下に示す表示例は、本発明に係る撮影システムの制御方法を含む運動支援方法に適用可能な一例を示すものに過ぎず、表示される情報の種類、表示方法、表示位置等は、任意に設定されるものであってもよい。
上述したデータ分析・加工処理手順において生成され、データベース700に保存された各種の分析情報やループ映像は、ステップS112において、ユーザUSが情報通信端末400またはユーザ端末800(以下、「ユーザ端末800等」と略記する)を操作してネットワークサーバ600にアクセスすることにより、所望する分析項目に応じて、以下に示すような表示形態で表示される。ここで、ユーザ端末800等は、上述したように、ネットワーク500への接続機能を備え、閲覧用ソフトウェアであるウェブブラウザが組み込まれているので、ネットワークサーバ600においてウェブ表示データとして設定されたセンサデータ等や各種の分析情報とループ映像を、ウェブ画面に連携表示させることができる。
本実施形態に係る運動情報の表示例においては、例えば図22に示すように、ユーザ端末800等の表示部に表示されるウェブ画面810の中段領域の左方および中央に、ループ映像821、822が表示され、中段領域の右方に、表示項目選択用アイコン831、および、ループ映像821、822の再生用のコントロールアイコン832が表示される。また、ウェブ画面810の下段領域に、ランニング中に取得されたセンサデータ(3軸方向の加速度データ)の時間変化を示すグラフ841〜843が表示される。
ループ映像821、822は、ユーザUSのランニング中に取得されたセンサデータ等および映像データに基づいて、上述したループ映像生成処理により任意のタイミング(または期間)におけるランニングフォームを示すように生成され、上述した各種の分析項目における分析結果が数値データおよびガイド線(または説明用補助線)とともに表示される。ここで、図22に示したループ映像821においては、ユーザUSのランニングフォームの後方からの映像が反映され、また、ループ映像822においては、ユーザUSのランニングフォームの側方(右方)からの映像が反映される。
具体的には、図22に示すループ映像821、822においては、ランニング中の前後左右方向の体幹のブレ(最大の前方向の傾きと最大の後ろ方向の傾き)が、映像中に支点(図中、黒丸で表記)およびガイド線(図中、太点線および細点線で表記)により表示されるとともに、そのブレの大きさがガイド線間の角度(図中では、3°、15°と表記)により表示される。ここでは、図中、黒丸で表記された支点を基準点、太点線で表記されたガイド線を基準軸として、細点線で表記されたガイド線の角度が、数値データとしてループ映像821、822に重ね合わせて表示される。
なお、ループ映像821、822に表示される各支点は、上述したように、ユーザUSの運動姿勢や走り方示す映像を撮像機器300により撮影する際に、予め支点となる位置にマーカ等を取り付けて撮影をすることにより、あるいは、予め支点位置を設定したモデルデータに基づいて、その位置が指定される。また、ユーザ端末800等の表示部に表示されるウェブ画面810のループ映像821、822をユーザUSが閲覧して、入力操作部を操作することにより、任意の位置に支点を設定したり、一旦設定された支点位置を調整したりするものであってもよい。
表示項目選択用アイコン831は、ランニングフォームの構成要素を示す分析項目を選択するためのものである。図22に示すように、ユーザUSがマウスポインタPTやタッチパネル等で任意の分析項目を選択する操作を行うことにより、センサデータ等の時間変化を示すグラフ841〜843とともに、当該センサデータ等に連携するループ映像821、822に、当該分析項目における分析結果を示す数値データが重ね合わせて表示される。
ループ映像再生用のコントロールアイコン832は、ループ映像821、822の早戻し、巻き戻し、停止、再生、早送り等の表示制御を行うためのものであり、ユーザUSがマウスポインタPTやタッチパネル等で任意のアイコンを選択する操作を行うことにより、ループ映像821、822が任意の速度で任意の方向に再生表示される。
グラフ841〜843は、各分析項目における分析処理に用いられるセンサデータ等(図では3軸方向の加速度データ)の時間変化を示すものであり、ユーザUSがマウスポインタPTやタッチパネル等でグラフ841〜843のセンサデータ等の任意の時間位置を指示する操作を行うことにより、指示された時間位置のセンサデータ等に対応したループ映像821、822が表示される。
上述したような運動情報の表示例において、ユーザUSは、次のような操作を行うことによりランニング時の運動状態を把握することができる。まず、ユーザUSがウェブ画面810に表示された表示項目選択用アイコン831の任意の分析項目をマウスポインタPTやタッチパネル等で指示操作(例えばクリック操作)する。この操作により、図22に示したように、センサデータ等の時間変化を示すグラフ841〜843とともに、当該センサデータ等に連携するループ映像821、822に、選択された分析項目における分析結果(分析情報)を示す数値データが重ね合わせて表示される。
次いで、ユーザUSが例えばループ映像再生用のコントロールアイコン832の再生ボタンをマウスポインタPTやタッチパネル等で指示操作することにより、センサデータ等に連携するループ映像が再生表示される。このとき、当該ループ映像821、822の再生表示に連動して、グラフ841〜843のセンサデータ上に表示されたマーカの位置が移動する。そして、ユーザUSがループ映像再生用のコントロールアイコン832の早戻し、巻き戻し、停止、早送りボタンを指示することにより、分析情報が重ね合わせて表示されたループ映像が任意の速度で、任意の方向に再生される。また、ユーザUSが例えばグラフ841〜843のセンサデータ等の任意の時間位置をマウスポインタPTやタッチパネル等で指示操作することにより、指示された時間位置にマーカが移動するとともに、当該時間位置のセンサデータ等に対応したループ映像821、822が分析情報とともに再生表示される。
このように、本実施形態に係る撮影システムを適用した運動支援方法においては、ユーザUSの運動(ランニング)中に種々のセンサデータ等や映像データが収集され、当該センサデータ等や各種の分析情報がループ映像と連携して、数値やグラフ等の形態でユーザ端末800等に表示される。特に、本実施形態においては、運動姿勢(ランニングフォーム)を示す映像データをハイスピード撮影により取得する際に、ユーザUSの運動状態に関わるセンサデータ等に基づく撮影条件を設定して、撮像機器300における撮影開始および終了操作を制御することにより、所望のランニング状態にある期間の映像データのみが取得されて保存される。そして、センサデータ等、および、上記の実際の運動時の映像に基づいてループ映像が生成され、例えばセンサデータ(加速度データ)の時間変化を示すグラフとループ映像が連携して表示されるとともに、任意の分析情報がループ映像中に重ね合わせた形態で、ユーザ端末800等の表示部に一画面で表示される。
したがって、本実施形態によれば、所望の撮影条件を設定することにより所望のランニング状態の映像データのみが自動的に取得されるので、運動中のユーザの実際の運動姿勢等を簡易かつ的確に撮影することができる。また、本実施形態によれば、ユーザUSはユーザ端末800等を介して、ランニング等の運動時のセンサデータ等や各種の分析情報を、実際の運動姿勢(ランニングフォーム)を示すループ映像に連動させて閲覧することができるので、運動姿勢を含む詳細な運動情報を、一目で簡易かつ的確に把握することができる。また、運動姿勢の構成要素を示す各種の分析項目ごとに、ループ映像に分析情報が重ね合わせて表示されるので、ユーザUSは視覚を通じて、運動中のどの時点でどのような運動姿勢であったかを把握したり、どの分析項目について問題があるか等の良否を判断したりして、客観的に自己分析を行うことができる。これにより、ユーザは、運動時の特徴を容易に把握することができ、その後の運動方法の改善等に反映させることができる。
また、本実施形態においては、ネットワーク500に接続されたネットワークサーバ600において、運動中に取得されたセンサデータ等の分析処理や、ループ映像の生成処理が実行され、ユーザ端末800等からの要求に応じて、ウェブ画面上に運動姿勢を含む詳細な運動情報が相互に連携する形態で表示される。したがって、ユーザUSが利用するユーザ端末800等は、閲覧用ソフトウェアであるウェブブラウザが組み込まれた汎用のネットワーク通信機器、または、それと同等の機能を有していればよく、センサデータ等の分析処理やループ映像の生成処理に関わるハードウェアやソフトウェアを備えている必要がないので、簡易な構成で本実施形態に係る撮影システムを実現することができる。加えて、ネットワーク500に接続されたネットワークサーバ600において、センサデータ等の分析処理やループ映像の生成処理を実行することにより、複雑な分析、加工処理を短時間で実現することができるので、各種の運動情報をより的確に把握することができるとともに、より詳細に分析することができる。
(システムの変形例)
次に、上述した実施形態に係る撮影システムの変形例について説明する。
図23は、本実施形態に係る撮影システムの変形例を示す概略構成図である。ここで、上述した実施形態(図1参照)と同等の構成については同一の符号を付してその説明を簡略化する。
上述した実施形態においては、運動時に取得したセンサデータ等や映像データを、ネットワーク500に接続されたネットワークサーバ600に転送し、当該ネットワークサーバ600において、センサデータ等の分析処理や、ループ映像の生成処理を行った後、ネットワーク500を介してユーザ端末800等に提供する、いわゆるクラウドコンピューティング型のシステムを有する場合について説明した。本発明はこれに限定されるものではなく、運動時に取得したセンサデータ等や映像データを、情報通信端末400において直接分析、加工処理した後、ユーザ端末800または情報通信端末400の表示部に表示して、ユーザUSに提供する構成を有するものであってもよい。
具体的には、本変形例に係る撮影システムは、図23に示すように、概略、リスト機器100やチェスト機器200と、撮像機器300と、パーソナルコンピュータ405等の情報通信端末400と、ユーザ端末800と、を有している。ここで、情報通信端末400は、上述した実施形態に示したネットワークサーバ600において実行されるセンサデータ等の分析、加工処理や、ループ映像の生成処理と同等の処理機能を備えている。
このような撮影システムにおいて、図23に示すように、まず、リスト機器100やチェスト機器200により運動中のセンサデータ等が取得され、また、撮像機器300により運動中の映像データが取得される。次いで、運動終了後に、これらのセンサデータ等や映像データが情報通信端末400に転送される。そして、情報通信端末400において、転送されたセンサデータ等を分析、加工処理して、ユーザUSの運動状態に関する各種の分析情報を生成するとともに、センサデータ等に同期するループ映像を生成して、メモリ部470の所定の記憶領域に保存する。これにより、情報通信端末400の表示部440に、センサデータ等や各種の分析情報とループ映像が、例えば上述した表示例に示したような所定の表示形態で連携して表示される。また、情報通信端末400に所定の通信方式により接続されたスマートフォン801やタブレット端末802等のユーザ端末800に対して、センサデータ等や各種の分析情報とループ映像が連携するように設定されたウェブ表示データが送信される。これにより、ユーザ端末800の表示部に、センサデータ等や各種の分析情報とループ映像が、所定の表示形態で連携して表示される。この場合、情報通信端末400からユーザ端末800へのセンサデータ等や各種の分析情報、ループ映像の送信方法は、無線通信や有線通信により相互に直接接続して送信するものであってもよいし、各種のネットワークを介して送信するものであってもよいし、メモリカード等の記憶媒体を介してデータを受け渡しするものであってもよい。
これによれば、情報通信端末400においてセンサデータ等の分析、加工処理やループ映像の生成処理が行われるので、センサデータ等や映像データの転送に必要とする時間を短縮することができる。また、ネットワーク接続環境を必要としないので、ネットワーク接続機能を備えていない情報通信端末400や、ネットワークへの接続が困難な状況であっても、センサデータ等の分析処理や、対応するループ映像の生成処理を行うことができ、ユーザUSに適切な情報を提供することができる。
なお、本変形例においては、リスト機器100やチェスト機器200から転送されたセンサデータ等を分析、加工処理し、センサデータ等に同期するループ映像を生成する情報通信端末400として、各種の情報通信端末のうち、比較的演算処理能力が高いパーソナルコンピュータ405を適用した場合を示したが、演算処理の内容によっては、あるいは、十分な処理能力を備えている場合には、スマートフォンやタブレット端末等の他の端末を適用するものであってもよい。
なお、上述した実施形態および変形例においては、センサ機器として手首に装着するリスト機器100や、胸部に装着するチェスト機器200を適用した場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、運動中の人体における動作状態や生体情報を示すセンサデータ等を取得することができるものであれば、他のセンサ機器であってもよく、例えば、上腕部や足首、腰部や靴紐等に装着するものであってもよい。
また、上述した実施形態においては、撮影システムを適用する運動としてランニングを例にして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばウォーキングやサイクリング等の他の運動に適用するものであってもよい。
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
(付記)
[1]
撮影装置と、被写体の運動状態を検出する運動状態検出装置と、を含み、
前記運動状態検出装置は、
前記被写体の運動状態を検出する検出部と、
前記検出部により検出された検出信号、または、前記検出信号に基づいて生成された生成信号が、所定の撮影条件を満たしているか否かに応じて、前記撮影装置における撮影処理を制御する撮影制御信号を出力する撮影条件判定部と、
前記撮影制御信号を、前記撮影装置に送信する通信機能部と、を有し、
前記撮影装置は、
前記被写体の運動の様子を撮影するための撮像部と、
前記運動状態検出装置から送信される前記撮影制御信号を受信する受信部と、
前記撮影制御信号に基づいて、前記撮像部に前記撮影処理を実行させる撮影制御部と、
を有することを特徴とする撮影システム。
[2]
前記検出信号は、前記被写体の運動の状態に伴って変化する信号であり、
前記撮影装置は、前記被写体の運動の様子を撮影する
ことを特徴とする[1]に記載の撮影システム。
[3]
前記運動状態検出装置は、心拍センサ、または、加速度センサを有し、
前記検出信号は、前記心拍センサ、または、前記加速度センサにより検出された信号であり、
前記生成信号は、前記被写体の運動状態に関わる信号である
ことを特徴とする[1]または[2]に記載の撮影システム。
[4]
前記撮影条件判定部は、
前記検出信号、または、前記生成信号の値が、予め設定した第一の基準値を上回ったときに、前記撮影装置における前記撮影処理を開始させる撮影制御信号を出力し、
前記検出信号、または、前記生成信号の値が、予め設定した第二の基準値を上回ったとき、または、予め設定した第三の基準値を下回ったときに、前記撮影装置における前記撮影処理を終了させる撮影制御信号を出力する
ことを特徴とする[1]乃至[3]のいずれかに記載の撮影システム。
[5]
前記撮影条件判定部は、
前記検出信号、または、前記生成信号の値が、予め設定した第一の基準値を下回ったときに、前記撮影装置における前記撮影処理を開始させる撮影制御信号を出力し、
前記検出信号、または、前記生成信号の値が、予め設定した第二の基準値を下回ったとき、または、予め設定した第三の基準値を上回ったときに、前記撮影装置における前記撮影処理を終了させる撮影制御信号を出力する
ことを特徴とする[1]乃至[3]のいずれかに記載の撮影システム。
[6]
前記撮影条件判定部は、
前記検出信号、または、前記生成信号の振幅が、予め設定した範囲に収まったときに、前記撮影装置における前記撮影処理を開始させる撮影制御信号を出力し、
前記検出信号、または、前記生成信号の振幅が、予め設定した範囲を逸脱したときに、前記撮影装置における前記撮影処理を終了させる撮影制御信号を出力する
ことを特徴とする[1]乃至[3]のいずれかに記載の撮影システム。
[7]
前記撮影条件判定部は、
前記検出信号、または、前記生成信号の振幅が、予め設定した範囲を逸脱したときに、前記撮影装置における前記撮影処理を開始させる撮影制御信号を出力し、
前記検出信号、または、前記生成信号の振幅が、予め設定した範囲に収まったときに、前記撮影装置における前記撮影処理を終了させる撮影制御信号を出力する
ことを特徴とする[1]乃至[3]のいずれかに記載の撮影システム。
[8]
前記運動状態検出装置は、前記検出信号、または、前記生成信号と、前記撮影装置において撮影された撮影データとの同期を行うための同期信号を出力する同期信号生成部を有し、
前記通信機能部は、前記同期信号を、前記撮影装置に送信し、
前記撮影制御部は、前記受信部を介して受信した前記同期信号に基づいて、前記撮影データを前記検出信号、または、前記生成信号と同期し、
前記撮影装置は、前記同期された前記撮影データを保存する記憶部を有する
ことを特徴とする[1]乃至[7]のいずれかに記載の撮影システム。
[9]
撮影装置と、被写体の運動状態を検出する運動状態検出装置と、を含む撮影システムの制御方法であって、
前記運動状態検出装置によって、
前記被写体の運動状態を検出し、
前記検出された検出信号、または、前記検出信号に基づいて生成された生成信号が、所定の撮影条件を満たしているか否かに応じて、前記撮影装置における撮影処理を制御する撮影制御信号を出力し、
前記撮影制御信号を前記撮影装置に送信し、
前記撮影装置によって、
前記被写体の運動の様子を撮影し、
前記運動状態検出装置から送信される前記撮影制御信号を受信し、
前記撮影制御信号に基づいて、前記撮影装置に前記撮影処理を実行させる、
ことを特徴とする撮影システムの制御方法。
[10]
撮影装置と、被写体の運動状態を検出する運動状態検出装置と、を含む撮影システムの制御プログラムであって、
コンピュータに、
前記運動状態検出装置によって、
前記被写体の運動状態を検出させ、
前記検出された検出信号、または、前記検出信号に基づいて生成された生成信号が、所定の撮影条件を満たしているか否かに応じて、前記撮影装置における撮影処理を制御する撮影制御信号を出力させ、
前記撮影制御信号を前記撮影装置に送信させ、
前記撮影装置によって、
前記被写体の運動の様子を撮影させ、
前記運動状態検出装置から送信される前記撮影制御信号を受信させ、
前記撮影制御信号に基づいて、前記撮影装置に前記撮影処理を実行させる、
ことを特徴とする撮影システムの制御プログラム。