JP2017104248A - 超音波診断装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】超音波診断装置において、より簡便に精度の高い胎児計測が実現されるようにする。
【解決手段】胎児42における計測対象部分(例えば頭部)を横切る基準断面44が設定され、その基準断面44の前後に広がる三次元範囲としての探索用スキャン範囲46が設定される。探索用スキャン範囲46に対する超音波の送受波により探索用ボリュームデータが取得され、その探索用ボリュームデータに基づいて、計測対象部分の所定断面を含む計測面が探索される。その計測面を含む計測用スキャン範囲が設定され、その計測用スキャン範囲に対する超音波の送受波により計測面データ(例えばBモード断層画像データ)が取得され、その計測面データに基づいて計測対象部分に対する計測が実行される。
【選択図】図10
【解決手段】胎児42における計測対象部分(例えば頭部)を横切る基準断面44が設定され、その基準断面44の前後に広がる三次元範囲としての探索用スキャン範囲46が設定される。探索用スキャン範囲46に対する超音波の送受波により探索用ボリュームデータが取得され、その探索用ボリュームデータに基づいて、計測対象部分の所定断面を含む計測面が探索される。その計測面を含む計測用スキャン範囲が設定され、その計測用スキャン範囲に対する超音波の送受波により計測面データ(例えばBモード断層画像データ)が取得され、その計測面データに基づいて計測対象部分に対する計測が実行される。
【選択図】図10
Description
本発明は超音波診断装置に関し、特に、胎児の計測に関する。
通常、妊婦に対して定期的に超音波診断が実施される。超音波診断においては、一般的に、母体内の胎児に対する超音波の送受波により胎児についての超音波画像が取得され、その超音波画像に基づいて各種の計測が実施される。例えば、頭部の断面を表す断層画像を用いて、児頭大横径(BPD:Bi-parietal diameter)が計測され、腹部の断面を表す断層画像を用いて、腹囲長(AC:abdominal circumference)が計測される。
特許文献1には、超音波の送受波により得られたボリュームデータを用いて、NT(Nuchal Translucency)計測を行う超音波診断装置が開示されている。
特許文献2には、児頭大横径に基づいて三次元の関心領域を設定して三次元画像を形成する超音波診断装置が開示されている。
一般的に、計測箇所の断面(計測面)はユーザのマニュアル操作により設定される。胎児の計測に適した計測面をマニュアル操作で設定することは容易ではなく、そのマニュアル操作を行うユーザの負担が増大する。また、その設定に時間がかかる場合がある。さらに、その操作によっては計測値のばらつきが増大し、計測精度が低下する。
本発明の目的は、超音波診断装置において、より簡便に精度の高い胎児計測が実現されるようにすることにある。
本発明に係る超音波診断装置は、母体内の胎児における計測対象部分を横切る基準断面が設定された後に、前記基準断面の前後に広がる三次元範囲として探索用送受波範囲を設定する探索用送受波範囲設定手段と、前記探索用送受波範囲に対する超音波の送受波により得られた探索用データに基づいて、前記計測対象部分の所定断面を含む計測面を探索する計測面探索手段と、前記計測面を含む計測用送受波範囲を設定する計測用送受波範囲設定手段と、前記計測用送受波範囲に対する超音波の送受波により得られた計測面データに基づいて、前記計測対象部分に対する計測を実行する計測手段と、を含むことを特徴とする。
上記の構成においては、基準断面は例えばユーザのマニュアル操作により設定される。探索用送受波範囲に計測対象部分が含まれるように、基準断面をマニュアル操作で設定しておくことにより、その後の動作及び計測が自動的に実行され、速やかに計測結果が得られる。上記の構成によると、基準断面の設定という簡便な操作で半自動的に計測結果が得られるので、ユーザの負担を軽減することが可能となる。探索用送受波範囲に対する超音波の送受波がプレスキャンに相当し、計測用送受波範囲に対する超音波の送受波が本スキャンに相当する。プレスキャンでは、例えば探索用データとしてボリュームデータが取得される。そのボリュームデータに対して例えば楕円近似技術やパターンマッチング等を適用することにより、計測面が探索される。上記の構成によると、プレスキャンに基づいて計測面が特定された上で、その計測面を含む計測用送受波範囲に対して本スキャンが適用されて計測面データが取得される。計測用送受波範囲を特定した上でそこに対して計測用の超音波を送受波することにより、胎児計測の精度を向上させることが可能となる。
望ましくは、前記探索用送受波範囲内における超音波の受信ビーム配列として疎の配列が設定され、前記計測用送受波範囲内における超音波の受信ビーム配列として密の配列が設定される。
上記の構成によると、探索用送受波範囲内における受信ビーム配列として密の配列が設定される場合と比べて、計測時間を短縮することが可能となる。また、計測用送受波範囲内における超音波ビーム配列として疎の配列が設定される場合と比べて、計測の精度を向上させることが可能となる。これにより、計測時間の短縮化と計測精度の向上の両立が可能となる。
望ましくは、超音波診断装置は、前記基準断面の設定後にユーザの計測動作開始指示を受け付ける受付手段を更に含み、前記計測開始指示が受け付けられた場合、前記探索用送受波範囲に対する超音波の送受波をはじめとした一連の動作が実行される。この構成によると、計測動作開始指示という簡便な操作で半自動的に計測結果が得られるので、ユーザの負担を軽減することが可能となる。
望ましくは、前記計測用送受波範囲に対する超音波の送受波においては、前記計測面上に複数の受信焦点が形成される。例えば、パラレル受信技術を適用することにより、複数の受信焦点が形成される。
望ましくは、超音波診断装置は、前記計測対象部分の所定断面を含む関心領域を設定して前記関心領域内の画像を拡大して表示する表示処理手段を更に含む。
本発明によると、より簡便に精度の高い胎児計測を実現することが可能となる。
図1には、本発明に係る超音波診断装置の実施形態が示されている。図1は、その全体構成を示すブロック図である。この超音波診断装置は医療分野において用いられ、超音波の送受波により生体内の組織の画像を形成する機能を備えている。
プローブ10は超音波を送受波する送受波器である。本実施形態においては、プローブ10は2Dアレイ振動子を有している。2Dアレイ振動子は、複数の振動素子が二次元的に配列されて形成されたものである。この2Dアレイ振動子により超音波ビームが形成され、それが繰り返し電子走査される。これにより、電子走査面毎に生体内に走査面12が形成される。走査面12は、二次元エコーデータ取込空間に相当する。また、超音波ビームが二次元的に走査されると、三次元エコーデータ取込空間としての三次元空間14が形成される。電子走査方式としては、電子セクタ走査、電子リニア走査等が知られている。胎児の超音波診断においては、プローブ10が母体の腹部表面上に当接され、その状態において超音波の送受波が行われる。
送受信部16は、送信ビームフォーマ及び受信ビームフォーマとして機能する。送信時において、送受信部16は、プローブ10に含まれる複数の振動素子に対して一定の遅延関係をもった複数の送信信号を供給する。これにより、超音波の送信ビームが形成される。受信時において、生体内からの反射波がプローブ10により受波され、これによりプローブ10から送受信部16へ複数の受信信号が出力される。送受信部16では、複数の受信信号に対する整相加算処理が適用され、これにより、受信ビームが形成され、そのビームデータが出力される。なお、超音波の送受波において、送信開口合成等の技術が利用されてもよい。
送受信部16の作用により、超音波ビーム(送信ビーム及び受信ビーム)が電子的に走査され、これにより、走査面が形成される。走査面は複数のビームデータに相当し、それらは受信フレームデータ(RF信号フレームデータ)を構成する。なお、各ビームデータは深さ方向に並ぶ複数のエコーデータにより構成される。超音波ビームの電子走査を繰り返すことにより、送受信部16から時間軸上に並ぶ複数の受信フレームデータが出力される。それらは受信フレーム列を構成する。また、送受信部16の作用により超音波ビームが二次元的に電子走査されると、三次元エコーデータ取込空間が形成され、その三次元エコーデータ取込空間からエコーデータ集合体としてのボリュームデータが取得される。
信号処理部18は、送受信部16から出力されるビームデータに対して、検波、対数圧縮、座標変換、等の信号処理を適用するモジュールである。信号処理後のビームデータはDSC20に出力される。また、信号処理後のビームデータはメモリ22に格納されてもよい。もちろん、そのような信号処理が適用されていないビームデータがメモリ22に格納され、ビームデータの読み出し時に、上記の処理が適用されてもよい。
DSC(デジタルスキャンコンバータ)20は、座標変換機能及び補間処理機能等を有するモジュールであり、信号処理部18から出力された受信フレームデータに基づいて、Bモード断層画像のデータを形成する。このBモード断層画像のデータは表示処理部28に出力される。
メモリ22は、送受波空間としての三次元空間14に対応する記憶空間を有している。メモリ22には、信号処理部18から出力されたビームデータが格納される。超音波ビームが二次元的に走査された場合、三次元空間14から取得されたボリュームデータがメモリ22に記憶される。ボリュームデータは、実際には、複数本のビームデータに対する座標変換及び補間処理により構成されるデータである。もちろん、そのような処理が適用されていないデータがメモリ22に記憶され、データの読み出し時に、上記の処理が適用されてもよい。また、走査面12(二次元エコーデータ取込空間)から取得された受信フレームデータがメモリ22に格納されてもよい。
画像形成部24は、メモリ22からデータを読み出し、そのデータに基づいて画像データを形成するモジュールである。その画像データは表示処理部28に出力される。例えば、画像形成部24は、メモリ22からボリュームデータを読み出し、レンダリング条件に従って、ボリュームデータに対してレンダリング処理を適用し、これにより三次元画像を形成する。また、画像形成部24は、ユーザにより任意に設定された断面に対応するデータをメモリ22から読み出し、そのデータに基づいて二次元のBモード断層画像を形成してもよい。なお、画像形成部24は、ユーザにより指定された任意の数のBモード断層画像を形成してもよい。
グラフィック画像形成部26は、制御部36から供給されるグラフィック作成用のパラメータに従って、Bモード断層画像や三次元画像に対してオーバーレイ表示されるグラフィックデータを形成する。グラフィックデータは表示処理部28に出力される。
表示処理部28は、Bモード断層画像や三次元画像等の画像に対して、必要なグラフィックデータをオーバーレイ処理し、これにより表示画像データを形成するモジュールである。表示画像データは表示部30に出力され、表示モードに従った表示態様で1又は複数の画像が表示される。例えば、Bモード断層画像がリアルタイムで動画像として表示される。表示部30は、例えば液晶ディスプレイ等の表示デバイスにより構成される。
計測部32は、胎児の計測を実行するモジュールである。その計測対象部分は、例えば胎児の頭部や腹部等である。計測部32は、例えば、胎児の頭部の断面を表すBモード断層画像に基づいて児頭大横径(BPD)を計測する。また、計測部32は、胎児の腹部の断面を表すBモード断層画像に基づいて腹囲長(AC)を計測してもよいし、大腿骨の断面を表すBモード断層画像に基づいて大腿骨長(FL:Femur Length)を計測してもよい。計測部32は、画像形成部24により形成されたBモード断層画像や三次元画像に基づいて胎児の計測を実行してもよい。計測値を示すデータは表示処理部28に出力され、表示部30に表示される。
計測面探索部34は、探索用データとしての探索用ボリュームデータに基づいて、計測対象部分の断面を含む最適計測面を探索するモジュールである。探索用ボリュームデータは、後述する三次元の探索用スキャン範囲(探索用送受波範囲)に対する超音波の送受波により得られるデータである。最適計測面は、例えば学習機能を用いたパターンマッチングや楕円近似技術を用いて探索される。一例として、CSP(Circular Shortest Path)法を用いた楕円近似技術を適用することにより最適計測面が探索される。CSP法として、例えば、文献(Circular Shortest Path in Images: Changming Sun, Stefano Pallottino, PATTERN RECOGNITION, VOL.36, NO.3, PP709-719, MARCH 2003.)に記載されている手法を用いることができる。
制御部36は、超音波診断装置の各部を制御するモジュールである。また、制御部36は、スキャン範囲設定部38を含む。
スキャン範囲設定部38は、超音波が送受波されるスキャン範囲を設定するモジュールである。具体的には、スキャン範囲設定部38は、計測対象部分に対してそれを横切る基準断面が設定された後に、その基準断面の前後に広がる三次元範囲として探索用スキャン範囲を設定する。基準断面は、ユーザのマニュアル操作により設定される初期断面である。また、スキャン範囲設定部38は、計測面探索部34により探索された最適計測面を含む二次元又は三次元範囲としての計測用スキャン範囲(計測用送受波範囲)を設定する。計測用スキャン範囲が設定されると、その計測用スキャン範囲に対して超音波が送受波され、これにより計測面データが得られる。計測面データは例えばBモード断層画像である。計測部32は、その計測面データに基づいて計測対象部分に対する計測を実行する。
制御部36には入力部40が接続されている。入力部40は例えば操作パネルにより構成されている。その操作パネルは、例えばスイッチ、トラックボール、キーボード等を含む。ユーザは入力部40を用いて、各種の数値や任意断面の座標等を入力することができる。
上述した超音波診断装置においてプローブ10以外の構成は、例えばプロセッサや電子回路等のハードウェア資源を利用して実現することができ、その実現において必要に応じてメモリ等のデバイスが利用されてもよい。また、プローブ10以外の構成は、例えばコンピュータによって実現されてもよい。つまり、コンピュータが備えるCPUやメモリやハードディスク等のハードウェア資源と、CPU等の動作を規定するソフトウェア(プログラム)との協働により、プローブ10以外の構成の全部又は一部が実現されてもよい。当該プログラムは、CDやDVD等の記録媒体を経由して、又は、ネットワーク等の通信経路を経由して、図示しない記憶装置に記憶される。別の例として、プローブ10以外の構成は、DSP(Digital Signal Processor)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等によって実現されてもよい。
以下、本実施形態に係る超音波診断装置について詳しく説明する。以下の例では、児頭大横径(BPD)を計測するものとする。
図2には、基準断面の一例が示されている。図2には、一例として胎児42が示されている。基準断面44は、超音波ビームの送受波により形成された二次元の走査面であって、偏向角度がゼロ度(0度)の位置に形成された走査面である。θ方向は走査面に直交する方向であり、φ方向はθ方向に直交し走査面に平行な方向である。基準断面44は、偏向角度θ,φがゼロ度の位置に形成された走査面である。例えば、ゼロ度の偏向角度θ,φを持つ走査面を形成する指示を与えるスイッチが入力部40に設けられており、そのスイッチがユーザにより押下されると、偏向角度θ,φが0度の位置に走査面が形成される。そして、ユーザによりプローブ10が動かされて、胎児42の頭部を横切るように基準断面44が設定される。このとき、基準断面44におけるBモード断層画像が形成されて表示部30に表示される。ユーザはそのBモード断層画像を観察しながら、基準断面44が胎児42の頭部を横切るようにプローブ10を動かす。
基準断面44が設定されると、スキャン範囲設定部38は、その基準断面44の前後に広がる三次元範囲としての探索用スキャン範囲を設定する。図3には、探索用スキャン範囲の一例が示されている。探索用スキャン範囲46は、基準断面44の前後に広がる三次元範囲である。一例として、偏向角度θ=±30度以内の範囲に探索用スキャン範囲46が形成される。また、偏向角度φ=±30度以内の範囲に探索用スキャン範囲46が形成されてもよい。もちろん、これら以外の偏向角度θ,φの範囲内に探索用スキャン範囲46が形成されてもよい。探索用スキャン範囲46内に計測対象部分としての胎児42の頭部が含まれるように、ユーザは基準断面44を設定する。より具体的には、探索用スキャン範囲46内に最適計測面の少なくとも一部が含まれるように、ユーザは基準断面44を設定する。探索用スキャン範囲46は最適計測面の探索範囲に相当する。探索用スキャン範囲46から取得された探索用ボリュームデータに基づいて、最適計測面の少なくとも一部が探索されれば、その一部の面を含む計測用スキャン範囲が設定されて児頭大横径(BPD)が計測される。それ故、探索用スキャン範囲46は広範囲である必要はなく、基準断面44を基準にして所定の偏向角度内に設定されればよい。これによりスキャン範囲が狭まるので、計測時間の短縮化が可能となる。
探索用スキャン範囲46が設定されると、プレスキャンが実行される。つまり、探索用スキャン範囲46に対して超音波が送受波されて探索用ボリュームデータが取得される。このとき、受信ビーム配列として疎の配列が設定される。つまり、超音波ビームの走査線密度Aは低く設定される。その走査線密度Aは、例えば、後述する計測面データを取得するときの超音波ビームの走査線密度Bよりも低く設定される。本実施形態では、θ方向及びφ方向のうちの少なくとも一方において、受信ビーム配列が疎の配列として設定される。探索用スキャン範囲46内の受信ビーム配列として疎の配列を設定することにより、その受信ビーム配列として密の配列を設定する場合と比べて、プレスキャン時のボリュームレートが向上し、計測時間を短縮することが可能となる。探索用スキャン範囲46から探索用ボリュームデータが取得されると、計測面探索部34は、その探索用ボリュームデータに基づいて、計測対象部分(例えば頭部)の断面を含む最適計測面を探索する。
図4には、最適計測面の一例が示されている。最適計測面48は、胎児の頭部を横断し、児頭大横径(BPD)の計測に適した面である。最適計測面48が特定されると、スキャン範囲設定部38は、最適計測面48を含む計測用スキャン範囲を設定する。この計測用スキャン範囲に対して本スキャンが実行される。つまり、計測用スキャン範囲に対して超音波が送受波されて計測面データが取得される。このとき、受信ビーム配列として密の配列が設定される。つまり、超音波ビームの走査線密度Bは高く設定される。この走査線密度Bは、上述したプレスキャン時の走査線密度Aよりも高く設定される。本実施形態では、θ方向及びφ方向のうちの少なくとも一方において、受信ビーム配列が密の配列として設定される。一例として、二次元の計測用スキャン範囲が設定され、その計測用スキャン範囲に対して超音波が送受波される。これにより、計測面データとしてのBモード断層画像が取得される。
本スキャンにおいては、最適計測面48上に複数の受信焦点が形成されるように超音波の送受波が実行されてもよい。つまり、1つの送信ビーム当たり複数の受信ビームが形成されてもよい。これは、従来のパラレル受信技術を適用することにより実現される。
計測面データが取得されると、計測部32は、その計測面データに基づいて胎児の頭部の計測を実行する。例えば、Bモード断層画像に基づいて児頭大横径(BPD)が計測される。その計測値は表示部30に表示される。
図5には、計測面データとしてのBモード断層画像の一例が示されている。Bモード断層画像50は、二次元の計測用スキャン範囲に対する超音波の送受波により取得された画像であって、胎児の頭部の断面が拡大表示された画像である。例えば、超音波の送受波により取得された画像に対して、計測対象部分(胎児の頭部)を含む関心領域(ROI)が設定され、表示処理部28は、その関心領域(ROI)内の画像(Bモード断層画像50)を表示部30に拡大表示させる。
計測用データが取得されると、計測部32は、その計測用データに基づいて胎児の計測を実行する。以下、計測用データとしてのBモード断層画像50に基づいて、児頭大横径(BPD)を計測する場合について説明する。
まず、計測部32は、図5中のBモード断層画像50上において、頭部像に対して楕円近似処理を適用する。これにより、頭部像に適合する楕円52が形成される。例えば、Bモード断層画像50の輝度情報を用いることにより頭部像が抽出され、その頭部像に対して楕円近似処理が適用される。
次に、計測部32は楕円52の短軸を演算する。図6には、その短軸54が示されている。計測部32は、短軸54と頭部像との交点を求める。例えば、短軸54の一方端側56においては、頭部像(頭部の骨の像)の外側境界と短軸54との交点58が検出される。短軸54の他方端側60においては、頭部像(頭部の骨の像)の内側境界と短軸54との交点62が検出される。計測部32は、交点58と交点62との間の長さを計測する。その計測値が児頭大横径(BPD)に相当する。計測値(児頭大横径(BPD))は表示処理部28を介して表示部30に表示される。
図7には、児頭大横径(BPD)を表示する画面の一例が示されている。表示部30の画面64には、一例として、児頭大横径(BPD)の他、Bモード断層画像66、成長曲線グラフ70及びモデル画像72が表示されている。
Bモード断層画像66は、二次元の計測スキャン範囲から取得された画像、つまり、最適計測面におけるBモード断層画像である。例えば、関心領域(ROI)内の画像が拡大表示される。Bモード断層画像66を参照することにより、医師や技師等において、探索された最適計測面を含む計測スキャン範囲が、児頭大横径(BPD)の計測に適しているか否かを評価することが可能となる。また、Bモード断層画像66上に、児頭大横径(BPD)を示す線状のマーカ68が表示されてもよい。このマーカ68は、例えばグラフィック画像形成部26により形成された画像である。このマーカ68を参照することにより、医師や技師等において、児頭大横径(BPD)の計測箇所を確認することが可能となる。
成長曲線グラフ70は、妊娠の週数に対する児頭大横径(BPD)を示すグラフである。成長曲線グラフ70の横軸は妊娠週数を示し、縦軸は児頭大横径(BPD)を示す。成長曲線グラフ70は例えば統計的なグラフであり、その統計的なグラフ上に、計測された児頭大横径(BPD)の値を示すマーカが表示されてもよい。このグラフを参照することにより、医師や技師等において、胎児の成長度合いを判定することが可能となる。
モデル画像72は、三次元画像であり、一例として、プローブマーカ、胎児像及び最適計測面マーカを含む。モデル画像72は、例えばグラフィック画像形成部26により形成された画像である。プローブマーカは、プローブ10を模式的に表す画像である。胎児像は、実際に撮影された胎児の三次元超音波画像であってもよいし、三次元のモデル画像であってもよい。最適計測面マーカは、探索された最適計測面を表す画像である。例えば、プローブ10が動かされて、新たな最適計測面が探索されると、その探索計測面を表す最適計測面マーカが表示される。このモデル画像72を参照することにより、医師や技師等において、胎児と最適計測面との位置関係の把握が容易となる。なお、ユーザにより設定された基準断面を示すマーカ、探索用スキャン範囲を示すマーカ、等が表示されてもよい。
次に、図8を参照して、本実施形態に係る超音波診断装置による一連の処理について説明する。図8には、その処理を示すフローチャートが示されている。
まず、基準断面が設定され、その基準断面におけるBモード断層画像が表示部30に表示される(S01)。例えば、プローブ10が母体の腹部表面上に当接され、その状態で超音波の送受波が行われる。ユーザは、Bモード断層画像を観察しながらプローブ10を動かして、胎児の頭部を横切るように基準断面を設定する。このとき、探索用スキャン範囲内に胎児の頭部が含まれるように、ユーザは基準断面を設定する。例えば、図2に示すように基準断面44が設定される。
基準断面が設定された後、ユーザにより計測開始の指示が与えられた場合(S02,Yes)、ステップS03以降の一連の計測処理が開始する。例えば、計測動作開始指示を受け付けるスイッチが入力部40に設けられており、ユーザがそのスイッチを押下することにより、計測開始の指示が与えられる。計測開始の指示が与えられない場合(S02,No)、ステップS03以降の処理は待機状態となる。ユーザにより計測開始の指示が与えられた場合(S02,Yes)、スキャン範囲設定部38は、基準断面の前後に広がる探索用スキャン範囲を設定する(S03)。例えば図3に示すように、探索用スキャン範囲46が設定される。探索用スキャン範囲が設定されるとプレスキャンが実行され、これにより、その探索用スキャン範囲から探索用ボリュームデータが取得される(S04)。プレスキャンにおける超音波ビームの走査線密度Aは相対的に低く設定される。次に、計測面探索部34は、その探索用ボリュームデータに基づいて、計測対象部分(胎児の頭部)の断面を含む最適計測面を探索する(S05)。例えば図4に示すように、最適計測面48が検出される。次に、スキャン範囲設定部38は、最適計測面48を含む計測用スキャン範囲を設定する(S06)。計測用スキャン範囲が設定されると本スキャンが実行され、これにより、計測面データとしてのBモード断層画像が取得される(S07)。例えば図5に示すように、計測面データとしてのBモード断層画像50が表示部30に拡大表示される。本スキャンにおける超音波ビームの走査線密度Bは相対的に高く設定される。例えば、走査線密度Bは走査線密度Aよりも高く設定される。計測面データとしてのBモード断層画像が取得されると、計測部32は、そのBモード断層画像に基づいて胎児の計測を実行する(S08)。例えば、児頭大横径(BPD)が計測される。計測結果は、例えば図7に示すように表示部30に表示される。
以上のように、本実施形態によると、探索用スキャン範囲に計測対象部分(例えば頭部)が含まれるように、基準断面をマニュアル操作で設定しておくことにより、その後の動作及び計測が自動的に実行され、速やかに計測結果が得られる。基準断面の設定という簡単な操作で半自動的に計測結果が得られるので、ユーザの負担を軽減することが可能となる。また、プレスキャンの結果に基づいて計測用スキャン範囲が特定され、そこに対して計測用の超音波を送受波することにより、胎児計測の精度を向上させることが可能となる。
また、プレスキャンにおける走査線密度Aを相対的に低く設定することにより、プレスキャンに要する時間を短縮することが可能となり、結果として、総計測時間を短縮することが可能となる。また、本スキャンにおける走査線密度Bを相対的に高く設定することにより、走査線密度Bを相対的に低くする場合と比べて、分解能の高いBモード断層画像(計測面データ)が取得される。その分解能の高いBモード断層画像に基づいて胎児計測を実行することにより、計測精度を向上させることが可能となる。本実施形態によると、計測時間の短縮化と計測精度の向上の両立が可能となる。本実施形態に対する比較例として、三次元空間に対して超音波を送受波し、これにより得られボリュームデータに基づいて胎児計測を実行することが考えられる。しかし、相対的に高い走査線密度Bに従って超音波ビームを送受波した場合、そのスキャンに要する時間が増大する。これに対処するために、相対的に低い走査線密度Aに従って超音波ビームを送受波した場合、ボリュームデータの分解能が低下するため、計測精度が低下する。このように比較例においては、計測時間の短縮化と計測精度の向上の両立は困難である。これに対して本実施形態では、プレスキャンと本スキャンを採用し、それぞれのスキャンで走査線密度を変えているので、計測時間の短縮化と計測精度の向上の両立が可能となる。
以下、最適計測面の探索処理(図8中のステップS05の処理)について詳しく説明する。最適計測面の探索方法として、例えば学習機能を用いた画像認識処理や形状マッチング処理(頭部や胴体部では楕円近似技術等)を用いることができる。ここでは、学習機能やマッチング処理の基となる形状データを用いた探索処理について説明する。図9には、その処理の一例を示すフローチャートが示されている。
図10には、基準断面44と探索用スキャン範囲46が示されている。探索用スキャン範囲46に対してプレスキャンが実行され、これにより、その探索用スキャン範囲から探索用ボリュームデータが取得される。計測面探索部34は、この探索用ボリュームデータに基づいて最適計測面を探索する。
まず、計測面探索部34は、基準断面44上のBモード断層画像(以下、「基準画像」と称する)に表された頭部像に対して楕円近似技術を適用する(S10)。例えばCSP法が適用される。図11には、その基準画像74が示されている。基準画像74に表された頭部像に対して楕円近似技術を適用することにより、頭部像の形状に適合する楕円76が形成される。
次に、計測面探索部34は楕円76の短軸を求める(S11)。図12には、楕円76の短軸78が示されている。
次に、計測面探索部34は短軸78を回転軸として断面を回転させる(S12)。図13には、その回転の様子が示されている。基準断面44は、短軸78を回転軸として回転させられる。計測面探索部34は、各回転位置(各回転角度)におけるBモード断層画像に表された頭部像に対して楕円近似技術を適用する。これにより、個々のBモード断層画像毎に頭部像に適合する楕円が求められる。計測面探索部34は、各楕円の長軸の長さを演算し、基準断面44に近い断面の位置で楕円の長軸が最短となる長軸最短断面80の位置を検出する(S13)。例えば、計測面探索部34は、基準断面44の位置を基準として、所定の回転位置(回転角度)内を検出範囲として設定し、その検出範囲内にて長軸最短断面80の位置を検出する。以下、長軸最短断面80における画像を「長軸最短画像」と称することとする。
次に、計測面探索部34は長軸最短画像に表された頭部像に対して楕円近似技術を適用する(S14)。例えばCSP法が適用される。図14には、その長軸最短画像82が示されている。長軸最短画像82に表された頭部像に対して楕円近似技術が適用されることにより、頭部像の形状に適合する楕円84が形成される。
次に、計測面探索部34は楕円84の長軸を求める(S15)。図14には、楕円84の長軸86が示されている。
次に、計測面探索部34は長軸86を回転軸として断面を回転させる(S16)。図15には、その回転の様子が示されている。長軸最短断面80は、長軸86を回転軸として回転させられる。計測面探索部34は、各回転位置(各回転角度)におけるBモード断層画像に表された頭部像に対して楕円近似技術を適用する。これにより、個々のBモード断層画像毎に頭部像に適合する楕円が求められる。計測面探索部34は、各楕円の短軸の長さを演算し、長軸最短断面80に近い断面の位置で楕円の短軸が最短となる短軸最短断面88の位置を検出する(S17)。例えば、計測面探索部34は、長軸最短断面80の位置を基準として、所定の回転位置(回転角度)内を検出範囲として設定し、その検出範囲内にて短軸最短断面88の位置を検出する。以下、短軸最短断面88における画像を「短軸最短画像」と称することとする。なお、ステップS10〜S17の処理を複数回繰り返すことにより、その複数回の処理結果の中から最適値(最適な短軸最短断面の位置)を検出してもよい。長軸最短断面80の探索と短軸最短断面88の探索は、その順番が逆であってもよい。つまり、短軸最短断面88を探索した後に長軸最短断面80を探索してもよい。
次に、計測面探索部34は、短軸最短断面88に直交する方向において、参照画像90に最も近似する画像の位置(断面の位置)を検出する(S18)。その画像の位置(断面の位置)が最適計測面の位置に相当する。参照画像90は、例えば最適計測面における予め形成された画像である。近似画像の探索は、従来の近似画像探索技術を適用することにより実現される。図16には、短軸最短断面88と最適計測面92が示されている。最適計測面92は、短軸最短断面88に直交する方向において、参照画像90に最も近似する画像が形成される断面である。なお、ステップS10〜S18の処理を複数回繰り返すことにより、その複数回の処理結果の中から最適値(最適計測面)を検出してもよい。
以上のようにして最適計測面92が探索されると、計測用スキャン範囲が設定されて本スキャンが実行される。これにより、最適計測面92から計測面データとしてのBモード断層画像が取得され、そのBモード断層画像に基づいて児頭大横径(BPD)が計測される。
上記のステップS18の処理の代りに、計測面探索部34は、短軸最短断面88をそれに直交する方向に移動させながら頭部像に対して楕円近似技術を適用し、楕円の面積が最大となる断面を検出し、その断面を最適計測面として採用してもよい。
図9に示されている処理は一例であり、例えば学習機能を用いたパターンマッチング等の他の方法により最適計測面が探索されてもよい。例えば、最適計測面における画像を予めデータベースに登録しておき、その画像とのマッチングにより最適計測面を決定してもよい。また、楕円近似技術とパターンマッチングとを併用した方法により最適計測面が決定されてもよい。
上記の例では、胎児の頭部が計測されているが、頭部以外の部分が計測されてもよい。例えば胎児の腹囲長(AC)を計測する場合、上記と同じ処理により、胎児の胴体像を横切る最適計測面が探索され、その最適計測面におけるBモード断層画像に基づいて腹囲長(AC)が計測される。
10 プローブ、16 送受信部、32 計測部、34 計測面探索部、36 制御部、38 スキャン範囲設定部。
Claims (5)
- 母体内の胎児における計測対象部分を横切る基準断面が設定された後に、前記基準断面の前後に広がる三次元範囲として探索用送受波範囲を設定する探索用送受波範囲設定手段と、
前記探索用送受波範囲に対する超音波の送受波により得られた探索用データに基づいて、前記計測対象部分の所定断面を含む計測面を探索する計測面探索手段と、
前記計測面を含む計測用送受波範囲を設定する計測用送受波範囲設定手段と、
前記計測用送受波範囲に対する超音波の送受波により得られた計測面データに基づいて、前記計測対象部分に対する計測を実行する計測手段と、
を含むことを特徴とする超音波診断装置。 - 請求項1に記載の超音波診断装置において、
前記探索用送受波範囲内における超音波の受信ビーム配列として疎の配列が設定され、
前記計測用送受波範囲内における超音波の受信ビーム配列として密の配列が設定される、
ことを特徴とする超音波診断装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の超音波診断装置において、
前記基準断面の設定後にユーザの計測動作開始指示を受け付ける受付手段を更に含み、
前記計測動作開始指示が受け付けられた場合、前記探索用送受波範囲に対する超音波の送受波をはじめとした一連の動作が実行される、
ことを特徴とする超音波診断装置。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の超音波診断装置において、
前記計測用送受波範囲に対する超音波の送受波においては、前記計測面上に複数の受信焦点が形成される、
ことを特徴とする超音波診断装置。 - 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の超音波診断装置において、
前記計測対象部分の所定断面を含む関心領域を設定して前記関心領域内の画像を拡大して表示する表示処理手段を更に含む、
ことを特徴とする超音波診断装置。
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2015
- 2015-12-09 JP JP2015239822A patent/JP2017104248A/ja active Pending
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