JP2017100090A - トリチウム分離システム - Google Patents

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Abstract

【課題】トリチウムを含む汚染水からトリチウムを除去して汚染水を減容するトリチウム減容システムの提供。【解決手段】トリチウム水を収容する電解槽中の陽極と陰極との間に電圧を印加する電気分解部110によって生じたガスを乾燥部120を通過させた後、パラジウム合金製の分離膜からなるトリチウム分離部130を通して水素とトリチウムに分離し、分離された水素は発電部140の燃料として発生した電気を電気分解部110に供し、トリチウム分離部130の分離ユニットは複数段とし、前段の分離ユニットにおいて分離膜を透過したガスを後段の分離ユニットに導入してもよい。【選択図】図1

Description

この発明は、トリチウムを含むトリチウム水の処理に用いるトリチウム分離システムに関する。
原子力発電所などにおいては、トリチウムを含んだ水(以下「トリチウム水」という)が廃液として排出される。このトリチウム水の処理方法として、従来、たとえば、トリチウムを含む廃液に水素ガスを供給することでトリチウム水蒸気含有ガスを発生させ、トリチウムと水素の交換反応によりトリチウムガスを生成させ、トリチウム含有ガスからトリチウムを分離して回収するようにした技術があった(たとえば、下記特許文献1を参照。)。
また、従来、たとえば、重水またはトリチウム水を含有するガスから、ゼオライトを用いて重水またはトリチウム水を吸着分離するようにした技術があった(たとえば、たとえば、下記特許文献2を参照。)。
特開2009−121939号公報 特開平10−128072号公報
しかしながら、上述した特許文献1に記載された従来の技術は、トリチウム水蒸気含有ガスを発生させる過程で水素ガスが必要であり、運用にかかる費用が大きいという問題があった。また、上述した特許文献1に記載された従来の技術は、トリチウムガスを生成する際に同位体交換反応を用いるため、トリチウムの分離回収効率が低いという問題があった。
また、上述した特許文献2に記載された従来の技術は、トリチウム水の吸着に用いるゼオライトがトリチウム水のみならず重水素まで吸着するため、トリチウムのみを分離することが難しいという問題があった。
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、最終的に回収される汚染水を減容することができるトリチウム分離システムを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかるトリチウム分離システムは、トリチウムを含む水を収容する電解槽と電源の正極に接続される陽極と当該電源の負極に接続される陰極とを備え、当該陽極と当該陰極との間に電圧を印加することにより電解槽に収容された水の電気分解をおこなう電気分解部と、乾燥剤を保持し、前記電気分解部による電気分解によって陰極側から発生したガスを、当該ガスが前記乾燥剤に接触する状態で通過させる管路を備えた乾燥部と、前記乾燥部を通過したガスに含まれる水素を透過するパラジウム合金製の分離膜を備え、当該分離膜を透過したガスと残余のガスとに分離する分離部と、前記分離部によって分離された、前記分離膜を透過したガスを用いて発電する発電部と、を備えたことを特徴とする。
また、この発明にかかるトリチウム分離システムは、上記の発明において、前記分離部が、前記分離膜を透過したガスと残余のガスとに分離する分離ユニットを複数設け、前段の分離ユニットにおいて分離膜を透過したガスを後段の分離ユニットに導入するようにしたことを特徴とする。
この発明にかかるトリチウム分離システムによれば、最終的に回収される汚染水を減容することができるという効果を奏する。
この技術によるトリチウム分離システムの構成を示す説明図である。 分離モジュールの構成を示す説明図である。 トリチウム分離部の概略構成を示す説明図である。 管状部材による水素ガスとトリチウムガスとの分離の原理を示す説明図である。 市販の水電解装置(HHOG)と市販の固体高分子型燃料電池(PEFC)の諸元を示す説明図である。 市販の水電解装置で生じた水素とトリチウムガスを分離する場合の、トリチウム分離の計算結果を示す説明図である。
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるトリチウム分離システムの好適な実施の形態を詳細に説明する。
(トリチウム分離システムの構成)
まず、この発明にかかる実施の形態のトリチウム分離システムの構成について説明する。図1は、この技術によるトリチウム分離システムの構成を示す説明図である。図1において、この技術によるトリチウム分離システム100は、電気分解部110と、乾燥部120と、トリチウム分離部(分離部)130と、発電部140と、を備えている。
電気分解部110は、トリチウムを含んだ水であるトリチウム水の電気分解をおこなう。電気分解部110は、トリチウム水を収容する電解槽と、電源の正極に接続した陽極(アノード)と、電源の負極に接続した陰極(カソード)と、を備える(いずれも図示を省略する)。陽極および陰極は、電解槽内であって、当該容器内に収容されるトリチウム水と接触するように設けられている。電気分解部110は、たとえば、公知の水電解装置によって実現することができる。
電気分解部110は、電解槽内にトリチウム水を収容した状態、すなわち、陽極および陰極にトリチウム水が接触した状態で陽極と陰極との間に電圧をかけ、陰極において電子を供給することによる還元反応によって、陰極側から水素ガスを発生させる。還元反応に際しては、トリチウム水に含まれるトリチウムも還元される。このため、陰極側からは、水素ガスとともにトリチウムガスを含む混合ガスが発生する。
電気分解部110は、公知の水電解装置を用いることができる。具体的には、電気分解部110は、たとえば、株式会社神鋼環境ソリューション製の水電解装置であるHHOG(High−purity Hydrogen Oxygen Generator)を用いることができる。
乾燥部120は、乾燥剤を保持し、電気分解部110による電気分解によって陰極側から発生した混合ガスを、当該混合ガスが乾燥剤に接触する状態で通過させる管路を備えている(いずれも図示を省略する)。具体的に、乾燥部120は、たとえば、乾燥剤が充填された管状部材によって実現することができる。
管路は、一端が電気分解部110に接続され、他端がトリチウム分離部130に接続される。電気分解部110において発生させた混合ガスは、管路の一端から乾燥部120に導入され、乾燥剤に接触しながら管路内を経由して、他端からトリチウム分離部130に誘導される。
乾燥剤は、ゼオライト(zeolite)などのように、結晶構造中に微細孔を備え、当該微細孔内に水分子を吸着することによって誘導路内に導入された水素ガスおよびトリチウムガスに含まれる水(水蒸気)を吸着する。これにより、混合ガスに含まれる水を除去し、乾燥した水素ガスおよびトリチウムガスを得ることができる。乾燥剤として、具体的には、たとえば、モレキュラーシーブを用いることができる。
トリチウム分離部130は、乾燥部120を通過したガスに含まれる水素を透過する、パラジウム合金製の分離膜(以下、「パラジウム合金膜」という)を備えている。トリチウム分離部130は、パラジウム合金膜を透過したガスと残余のガスとに分離する。
具体的に、トリチウム分離部130は、筒形状をなすチャンバーと、当該チャンバー内に収容されてパラジウム合金膜によって形成されたストロー状の管状部材と、によって構成される分離モジュール(図2を参照)を備えている。トリチウム分離部130は、パラジウム合金膜によってトリチウムガスと分離された水素ガスを、後段の発電部140に供給する。
発電部140は、水素を燃料(負極活物質)として、空気中の酸素などの正極活物質を供給して反応させる燃料電池によって発電する。発電部140を燃料電池によって実現することにより、正極活物質、負極活物質を継続的に補充することで、電気容量の制限なく発電を永続的におこなうことができる。燃料電池は、発電に用いる活物質の量が固定されているために電気容量に限界がある一次電池や二次電池と比べ、電気容量の制限がないため近年利用促進が図られている。
発電部140は、分離モジュールから供給される水素ガスを燃料として発電する。発電部140が発電した電気は、電気分解部110に供給され、電気分解部110の駆動、具体的には、陽極と陰極との間への電圧の印加に供される。
(分離モジュールの構成)
図2は、分離モジュールの構成を示す説明図である。図2において、分離モジュール201は筒形状をなすチャンバー202の内周側に設けられた複数の管状部材203を備えている。管状部材203は、チャンバー202内において、束ねられた状態で複数設けられている。管状部材203は、パラジウム合金膜からなる。管状部材203は、内周側に両端が開放された管状路を備えたストロー状の部材であって、その管路方向が、分離モジュール201がなす筒形状の管路方向と平行になる状態で、当該チャンバー202内に収容されている。
パラジウム合金は、もっとも水素透過係数が大きい金属であり、水素の透過分離に最適とされている。水素とトリチウムとは同位体であるが、同位体効果により、パラジウム合金に対する透過係数が異なる。このため、水素ガスとトリチウムガスとを含む混合ガスをパラジウム合金膜に透過させると、水素の方がトリチウムよりも多くパラジウム合金膜を透過する。
これにより、パラジウム合金膜を透過した後の混合ガス、すなわち、チャンバー202の内側であって各管状部材203の外側の空間における混合ガスには、透過前よりも多くの水素が含まれる。このため、管状部材203の外側の空間における水素濃度は、管状部材203の内側よりも高い。
トリチウム分離部130は、チャンバー202内であって、管状部材203の内周側と外周側との圧力に差を設け、外周側の圧力よりも内周側の圧力の方が高くなるように調整するポンプ(図示を省略する)を備えている。ポンプは、たとえば、分離モジュール201内に導入された混合ガスを、管状部材203の内周側の圧力を外周側よりも高くなるように、管状部材203の内周側を加圧する加圧ポンプとすることができる。加圧ポンプは、分離モジュール201内に導入された混合ガスを、管状部材203の内周側において加圧することにより、パラジウム合金膜に混合ガスを透過させる。
ポンプは加圧ポンプに限らない。加圧ポンプに代えて、たとえば、パラジウム合金膜を透過した側を減圧するポンプを用いてもよい。この場合、ポンプは、分離モジュール201内に導入された混合ガスをパラジウム合金膜を透過した側から減圧することにより、パラジウム合金膜に混合ガスを透過させる。
チャンバー202の外周面には、管状部材203の壁面を透過したガスをチャンバー202の外に排出する排出口204が設けられている。排出口204は、チャンバー202の外周面に複数設けることができる。チャンバー202における一端側には、チャンバー202内に混合ガスを導入する導入部205が設けられている。また、チャンバー202における他端側には、水素と分離されて、トリチウムに富んだガスを分離モジュール201の外へ排出する排出部206が設けられている。
トリチウム分離部130は、パラジウム合金膜を加熱するヒーターを備えている(図示を省略する)。ヒーターは、たとえば、チャンバー202を外側から包み込むように設けられた電熱線によって実現することができる。ヒーターは、分離モジュール201全体を加熱することにより、パラジウム合金膜を加熱する。
分離モジュール201全体を加熱することにより、分離モジュール201に導入された水素ガスおよびトリチウムガスも加熱することができ、パラジウム合金膜による水素ガスとトリチウムガスとの分離によりパラジウム合金膜の温度が低下することを抑制し、水素ガスとトリチウムガスとの分離を効率よくおこなうことができる。
(トリチウム分離部130の概略構成)
図3は、トリチウム分離部130の概略構成を示す説明図である。図3において、トリチウム分離部130は、図2に示した分離モジュール201を複数段接続することによって構成されている。
具体的に、前段の分離モジュール201のチャンバー202に設けられた排出口204は、後段の分離モジュール201のチャンバー202における一端側の開口を介して、後段の分離モジュール201における各管状部材203の一端に接続されている。もっとも前段の分離モジュール201における各管状部材203の一端は、チャンバー202における一端側の開口を介して乾燥部120に接続されている。もっとも後段の分離モジュール201における排出口203は、燃料電池に接続されている。
分離モジュール201を複数段接続することにより、パラジウム合金膜を透過した、水素ガスを多く含む混合ガスをさらに後段の分離モジュール201に導入し、水素ガスとトリチウムガスとの分離を繰り返しておこなうことができる。
トリチウム分離部130における分離モジュール201の段数を調整することにより、混合ガスから水素とトリチウムを任意の濃度まで分離させることができる。トリチウム分離部130が備える分離モジュール201の数は、5段以上であることが好ましい。トリチウム分離部130における分離モジュール201の段数が多いほど、トリチウムガスから水素ガスを分離することができる。
各分離モジュール201における各管状部材203の他端は、筒形状をなすチャンバー202の他端側の開口を介して、トリチウム回収部側に接続されている。各分離モジュール201における各管状部材203の他端は、別の分離モジュール201における各管状部材203の一端に接続されていてもよい。すなわち、複数の分離モジュール201を直列に複数段接続してもよい。これにより、トリチウムに富む混合ガスから水素ガスを分離し、トリチウムの濃度をより高めることができる。
また、別の分離モジュール201の後段には、さらに別の分離モジュール201を接続してもよい。これにより、トリチウムの濃度をより高めたガスを回収することができる。
乾燥部120で乾燥された混合ガスは、チャンバー202内における各管状部材203の内側に導入される。各管状部材203の内側に導入された混合ガスの一部は、パラジウム合金膜を透過する。各管状部材203の内側に導入された混合ガスの別の一部は、管状部材203を通過して後段の分離モジュール201に導入される。
(管状部材203による水素ガスとトリチウムガスの分離の原理)
つぎに、管状部材203すなわちパラジウム合金膜による水素ガスとトリチウムガスとの分離の原理について説明する。図4は、管状部材203による水素ガスとトリチウムガスとの分離の原理を示す説明図である。乾燥部120で乾燥された混合ガスは、分離モジュール201における各管状部材203の一端側から、当該各管状部材203の内周側に導入される。
上記のように、ポンプにより、各管状部材203の外周側の圧力よりも内周側の圧力の方が高くなるように調整されているため、この圧力差と、パラジウム合金に対する水素透過係数により水素ガスが管状部材203の壁面すなわちパラジウム合金膜を透過して、各管状部材203の内周側から外周側に到達する。
(トリチウム分離システム100の動作原理)
つぎに、トリチウム分離システム100の動作原理について、図1を参照して説明する。トリチウム分離システム100は、まず、電気分解部110においてトリチウム水を電気分解する。トリチウム水を電気分解すると陰極に水素ガスが発生し、トリチウム(化学系:HTO、T2O)を含有している場合は、水素ガスの発生と同時にトリチウムガス(化学系:HT、T2)も生成される。このため、電気分解により、陰極側においては、水素ガスおよびトリチウムガスを含む混合ガスが生成される。生成された混合ガスは、乾燥部120内に導入する。
つぎに、乾燥部120において、生成された混合ガスと乾燥剤とを接触させることにより、当該混合ガスから水を除去し、混合ガスを乾燥させる。乾燥させた混合ガスは、トリチウム分離部130に導入する。
つぎに、ヒーターにより加熱した状態のパラジウム合金膜に、トリチウム分離部130に導入された混合ガスを透過させることにより、水素ガスとトリチウムガスとを分離する。パラジウム合金膜は、たとえば、300度程度に加熱する。パラジウム合金は、もっとも水素透過係数が大きい金属であり、水素の透過分離に最適とされている。水素とトリチウムとは同位体であるが、同位体効果により透過係数が異なる。このため、混合ガスをパラジウム合金膜に透過させると、水素の方がトリチウムよりも多く透過する。これにより、パラジウム合金膜を透過したガスには、透過前よりも多くの水素が含まれている。
トリチウム分離部130においては、分離モジュール201が複数段接続されているため、前段の分離モジュール201を透過した混合ガスは、後段の分離モジュール201において再びパラジウム合金膜を透過する。これにより、繰り返し水素ガスとトリチウムガスとの分離がおこなわれ、トリチウムの含有量が少なく、水素に富んだガスを精製することができる。水素同位体の透過係数は濃度に依存しないと考えられているため、複数段接続した分離モジュール201における後段の分離モジュール201、すなわち、トリチウム低濃度域でも安定して分離ができる。トリチウム分離部130において得られた水素ガスは、発電部140に導入される。
発電部140は、トリチウム分離部130から導入された水素ガスを用いて発電をおこなう。発電により発生した電気は、電気分解部110におけるトリチウム水の電気分解に用いる。水素は、発電部140における発電により水に戻る。発電部140における発電に用いる水素は、トリチウム分離部130によってトリチウムが除去されているため、発電部140における発電により得られる水はトリチウムを含まない。このため、発電部140における発電により得られる水を、たとえば、環境下に放出することができる。発電部140における発電により得られる水を環境下に放出することにより、トリチウム含有廃液の貯蔵量を減らすことができる。
(トリチウム分離システム100の評価)
つぎに、この技術によるトリチウム分離システム100の評価について説明する。ここでは、既存の家庭用燃料電池コージェネレーションシステムに、市販の燃料電池および電気分解装置を組み合わせて構成したトリチウム分離システム100の評価結果について説明する。
図5は、市販の水電解装置(HHOG)と市販の固体高分子型燃料電池(PEFC)の諸元を示す説明図である。図5に示すように、市販の水電解装置は、水を電気分解し、水素1m3を発生させる際の消費電力が6.5kWh/m3である。図5に示した水電解装置は、1時間当たり60m3の水素を発生させる性能を有している。1時間当たり60m3の水素処理量とすると,汚染水換算では48kg/h、消費電力では390kWhとなる。
また、図5に示すように、最終的に市販の固体高分子型燃料電池で発電する際、発電効率34%とすると、出力は約72kWhとなる。これにより、計算上は、水の電気分解に使うエネルギーの内の約18%が回収できる。さらに、燃料電池からの排熱を、パラジウム合金膜の加熱に利用すればエネルギーの利用効率を一層高めることができる。
図6は、市販の水電解装置で生じた水素とトリチウムガスを分離する場合の、トリチウム分離の計算結果を示す説明図である。図6に示すように、市販の水電解装置で生じた水素とトリチウムガスを分離する場合において、パラジウム合金に対する水素とトリチウムとには透過のし易さの違いを表すパラメータに、分離係数がある。
分離係数は水素透過係数/トリチウム透過係数で定義され、分離係数が大きいほどよく分離できることを示す。文献値を参考にすると、水素・トリチウム間の理想分離係数は、2.05である。これらの値から、1Fの汚染水(=100万Bq/L)を、環境中に放出できるトリチウム濃度(=6万Bq/L)まで下げるためのパラジウム合金を用いたトリチウム分離装置の規模は、以下の(1)式によって示される、Fenskeの式に基づいて算出できる。
Figure 2017100090
上記(1)式においてxpは環境下での水素濃度を示し、xwは汚染水中の水素濃度を示し、αは:分離係数を示している。
上記のFenskeの式によれば5段のパラジウム合金膜を通せば6万Bq/L以下にまで抑えられることが分かる。また、パラジウム合金の透過係数より、水素ガス圧力を1MPa、膜の厚さを100mとした場合一段あたりパラジウム合金膜の必要面積は約15m2となる。
以上説明したように、この発明にかかる実施の形態のトリチウム分離システム100は、電気分解部110と、乾燥部120と、トリチウム分離部130と、発電部140と、を備える。電気分解部110は、トリチウムを含む水を収容する電解槽と電源の正極に接続される陽極と当該電源の負極に接続される陰極とを備え、当該陽極と当該陰極との間に電圧を印加することにより電解槽に収容された水の電気分解をおこなう。乾燥部120は、乾燥剤を保持し、電気分解部110による電気分解によって陰極側から発生した混合ガスを、当該混合ガスが乾燥剤に接触する状態で通過させる管路を備える。トリチウム分離部130は、乾燥部120を通過した混合ガスに含まれる水素を透過するパラジウム合金製の分離膜であるパラジウム合金膜製の管状部材203を備え、管状部材203の壁面であるパラジウム合金膜を透過した混合ガスと残余のガスとに分離する。発電部140は、トリチウム分離部130によって分離された、パラジウム合金膜を透過した水素ガスを用いて発電する。
この発明にかかる実施の形態のトリチウム分離システム100によれば、水素とトリチウムのパラジウム合金に対する透過係数の違いにより、電気分解によって発生する混合ガスを、当該透過係数が大きい水素が多く含まれる混合ガスと、当該透過係数が小さいトリチウムが多く含まれる混合ガスとに分離することができる。
このように、トリチウムを濃縮することにより、従来の技術による回収方法で回収した場合と比較して、最終的に回収される汚染水すなわちトリチウムを含有する廃液(トリチウム汚染水)を減容することができる。
なお、水素ガスと分離され、濃縮されたトリチウムは、たとえば、水素吸蔵合金として保管したり、再度水に溶解させてトリチウム水として保管したりすることができる。
また、この発明にかかる実施の形態のトリチウム分離システム100によれば、パラジウム合金膜を透過した混合ガスは水素を多く含有するため、電気分解によって得られる、水素を多く含む混合ガス(当該混合ガスに含まれる水素)を発電に用いることができる。そして、この発電によって得られた電気を電気分解に供することにより、電気分解によって得られた水素を有効に利用するとともに、無害な水に変えて排出することができる。これにより、環境を害することなく、資源やエネルギーの有効利用を図ることができる。
このように、この発明にかかる実施の形態のトリチウム分離システム100によれば、エネルギー消費を抑制しつつ、従来と比較して大量のトリチウム水の処理が可能となる。また、近年普及している家庭用燃料電池コージェネレーションシステムを利用することにより、システム開発にかかる費用を抑制することができる。
また、この発明にかかる実施の形態のトリチウム分離システム100は、パラジウム合金膜を透過した混合ガスと残余の混合ガスとに分離する分離モジュール201を複数設け、前段の分離モジュール201において分離膜を透過した混合ガスを後段の分離モジュール201に導入するようにしたことを特徴としている。
この発明にかかる実施の形態のトリチウム分離システム100によれば、パラジウム合金膜を透過することで水素濃度が高くなった混合ガスを繰り返してパラジウム合金膜に通すことにより、トリチウムの含有量が少ない、精製した水素を生成することができる。この精製した水素を用いて発電部140において発電をおこない、発生した電気に含まれる放射性物質極力除去することができ、無害な水を環境下に放出することができる。
この発明にかかる実施の形態のトリチウム分離システム100によれば、分離モジュール201の段数を多くし、混合ガスがパラジウム合金膜を透過する回数を多くすることで、より水素の濃度を高めることができる。これにより、純度の高い水素ガスを精製することができる。
このように、この発明にかかる実施の形態のトリチウム分離システム100によれば、トリチウム水に含まれる水素は極力水に変換して放出することができるので、トリチウムを含有する廃液(トリチウム汚染水)の貯蔵量を減らすことができる。
また、この発明にかかる実施の形態のトリチウム分離システム100は、電気分解部110、乾燥部120、トリチウム分離部130および発電部140は、いずれも既存の技術として確立された装置を組み合わせて構成することができる。このように、すでに動作や性能における信頼性が確保された各装置を用いてトリチウム分離システム100を実現することにより、トリチウム分離システム100の信頼性を確保することができる。
また、すでに動作や性能における信頼性が確保された各装置を用いてトリチウム分離システム100を実現することにより、容易に実現することができる。
また、この発明にかかる実施の形態のトリチウム分離システム100は、電気分解部110の動作に用いる電気を、発電部140が発電した電気によって一部まかなうことができるとともに、乾燥部120は電気を消費することなく混合ガスを乾燥させることができる。このように、この発明にかかる実施の形態のトリチウム分離システム100によれば、運用のコストを抑えることができ、トリチウムの処理にかかるコスト削減を期待することができる。
以上のように、この発明にかかるトリチウム分離システムは、有害物質であるトリチウムを含むトリチウム水の処理に用いるトリチウム分離システムに有用であり、特に、原子力発電所において排出されるトリチウム水の処理に用いるトリチウム分離システムに適している。
100 トリチウム分離システム
110 電気分解部
120 乾燥部
130 トリチウム分離部(分離部)
140 発電部
201 分離モジュール
202 チャンバー
203 管状部材
205 導入部
206 排出部

Claims (2)

  1. トリチウムを含む水を収容する電解槽と電源の正極に接続される陽極と当該電源の負極に接続される陰極とを備え、当該陽極と当該陰極との間に電圧を印加することにより電解槽に収容された水の電気分解をおこなう電気分解部と、
    乾燥剤を保持し、前記電気分解部による電気分解によって陰極側から発生したガスを、当該ガスが前記乾燥剤に接触する状態で通過させる管路を備えた乾燥部と、
    前記乾燥部を通過したガスに含まれる水素を透過するパラジウム合金製の分離膜を備え、当該分離膜を透過したガスと残余のガスとに分離する分離部と、
    前記分離部によって分離された、前記分離膜を透過したガスを用いて発電する発電部と、
    を備えたことを特徴とするトリチウム分離システム。
  2. 前記分離部は、前記分離膜を透過したガスと残余のガスとに分離する分離ユニットを複数設け、前段の分離ユニットにおいて分離膜を透過したガスを後段の分離ユニットに導入するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のトリチウム分離システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2020013167A1 (ja) * 2018-07-09 2020-01-16 正己 奥山 トリチウム汚染水処理システム

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