JP2017099535A - 医療用電極ユニット及びaed - Google Patents

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Toyoji Gushima
豊治 具島
俊靖 田中
Toshiyasu Tanaka
俊靖 田中
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Shigenori Maeda
茂則 前田
本田 廉治
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廉治 本田
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Abstract

【課題】医療用の電極部の温度管理を有利に行うことができる医療用電極ユニットを提供する。【解決手段】医療用電極ユニット100は、導電性ゲル材111を含む電極パッド101と、電極パッド101の使用下限温度以上の融点を有し、電極パッド101を加熱する潜熱蓄熱材102と、電極パッド101、及び、潜熱蓄熱材102を内包する容器103と、を備える。【選択図】図3

Description

本開示は、医療用電極ユニット及びAEDに関する。
従来から、電気的治療を行う医療用電極として、水性のゲルを用いて電極を皮膚に付着させ、皮膚と電極との間の電気抵抗を減らすことにより、良好な導電性を確保する構造が知られている。
医療用電極(以下、電極パッドとも称する)は、例えば心室細動を起こした患者に電気ショックを与えて心臓の正常な動作を再開させるための救急救命装置に応用されている。このような装置は、AED(自動体外式除細動器)として知られている。AEDは、近年、医療従事者ではない一般市民でも使用できるようになり、医療機関で使われるのみならず、空港や駅、スポーツ施設、学校など多数の人が集まる公共施設や、企業内にも設置される例が増加しており、救急救命現場で幅広く活躍している。
AEDは、適切に動作されるためには、適切な温度で保管しておく必要がある。このため、例えば、AEDの収納部にヒータユニットを配設し、収納部内の温度が所定の温度以下にならないようにヒータユニットの温度を制御するAED保温ボックスが開発されている(例えば、特許文献1参照)。また、AEDを屋外に設置できるように、防水かつ耐熱構造を備えたAED内蔵収納ボックス装置も開発されている(例えば、特許文献2参照)。
登録実用新案第3178350号公報 登録実用新案第3160478号公報
しかしながら、特許文献1及び2のいずれにおいても、AEDを収納ボックスから持ち出した後は、電極パッドを適切な温度に保つことができない。また、収納ボックスが可搬であるとしても、電極パッドを保温するためには電力の供給が必要であり、電源がない環境では、AEDを使用することができない。
本開示は、上記観点を鑑みてなされ、医療用の電極パッドの温度管理を有利に行うことができる医療用電極ユニット及びAEDを提供する。
上記課題を解決するため、本開示の一態様に係る医療用電極ユニットは、導電性ゲル材を含む医療用の電極部と、前記電極部の使用下限温度以上の融点を有し、前記電極部を加熱する潜熱蓄熱材と、前記電極部、及び、前記潜熱蓄熱材を内包する容器と、備える。
また、本開示の一態様に係るAED(Automated External Defibrillator)は、前記医療用電極ユニットを備えるAEDであって、液晶表示部を備え、前記潜熱蓄熱材は、さらに、前記液晶表示部を加熱する。
本開示に係る医療用電極ユニット及びAEDは、医療用の電極パッドの温度管理を有利に行うことができる。
図1Aは、本開示の実施の形態1に係る過冷却状態になりにくい潜熱蓄熱材の温度と蓄熱量との関係を示すグラフである。 図1Bは、本開示の実施の形態1に係る過冷却状態になりうる潜熱蓄熱材の温度と蓄熱量との関係を示すグラフである。 図1Cは、本開示の実施の形態1に係る過冷却状態になりうる潜熱蓄熱材の発核によって取り出せる熱量を示すグラフである。 図2は、本開示の実施の形態1に係る医療用電極ユニットの斜視図である。 図3は、本開示の実施の形態1に係る医療用電極ユニットの断面図及び平面図である。 図4は、本開示の実施の形態1に係る医療用電極ユニットが備える蓄熱ユニットの構造を示す分解斜視図である。 図5は、本開示の実施の形態1に係る医療用電極ユニットが備える蓄熱ユニットの斜視図である。 図6は、本開示の実施の形態1に係る医療用電極ユニットが備える積層フィルムの断面図である。 図7は、本開示の実施の形態1に係る医療用電極ユニットが備える蓄熱ユニットの内部構造を示す断面図である。 図8は、本開示の実施の形態1に係る医療用電極ユニットが備える容器の構造を示す分解斜視図である。 図9は、本開示の実施の形態1に係る医療用電極ユニットが備える容器の斜視図である。 図10は、本開示の実施の形態1に係る医療用電極ユニットが備える容器の開封部を示す斜視図である。 図11は、本開示の実施の形態1の変形例に係る医療用電極ユニットが備える蓄熱ユニットの斜視図である。 図12は、本開示の実施の形態1の変形例に係る医療用電極ユニットが備える蓄熱ユニットの断面図である。 図13は、本開示の実施の形態1の変形例に係る医療用電極ユニットが備える容器の断面図である。 図14は、本開示の実施の形態1の変形例に係る医療用電極ユニットが備える容器の斜視図である。 図15は、本開示の実施の形態2に係る医療用電極ユニットの斜視図である。 図16は、本開示の実施の形態2に係る医療用電極ユニットの断面図である。 図17は、本開示の実施の形態2の変形例に係る医療用電極ユニットの断面図である。 図18は、本開示の実施の形態3に係る医療用電極ユニットの斜視図である。 図19は、本開示の実施の形態4に係る医療用電極ユニットの斜視図である。 図20は、本開示の実施の形態5に係る医療用電極ユニットの斜視図である。 図21は、本開示の実施の形態5に係る医療用電極ユニットの断面図である。 図22は、本開示の実施の形態6に係る医療用電極ユニットの断面図である。 図23は、本開示の実施の形態6に係るAEDの蓋部が開けられた状態の斜視図である。 図24は、本開示の実施の形態6に係るAEDの蓋部が閉じられた状態の斜視図である。 図25は、本開示の実施の形態7に係るAED保温装置を概念的に示す模式図である。 図26Aは、本開示の実施の形態8に係る医療用電極ユニットの動作を示すタイムチャートである。 図26Bは、本開示の実施の形態8に係る医療用電極ユニットの動作を示すタイムチャートである。 図26Cは、比較例に係るAED保温装置の動作を示すタイムチャートである。 図27は、本開示の実施の形態10に係る医療用電極ユニットの動作を示すタイムチャートである。 図28Aは、本開示の実施の形態9に係る医療用電極ユニットの動作を示すタイムチャートである。 図28Bは、本開示の実施の形態9に係る医療用電極ユニットの動作を示すタイムチャートである。
AEDは、薬事法に規定する高度管理医療機器に指定されており、適切な管理が行われなければ、人命及び健康に重大な影響を与える恐れがある。このため、救急救命で使用される際に管理不備により性能が発揮できないなどの重大な事象を防止するため、適切な管理を徹底することが求められている。具体的には、日常点検の実施、消耗品(電極パッド及びバッテリなど)の定期的な交換などである。
一方、気温が氷点下になるなど寒冷な環境下又は極端な高温下において、AEDは、製品の動作保証がされていない。具体的には、電極パッドの凍結などにより、AEDが正しく動作しない可能性が指摘されている。AEDメーカは、AED設置管理者又はAED購入者に、動作保証温度範囲内での設置及び日常管理を求めるなどの注意喚起を行っている。しかしながら、寒冷地や氷点下になる屋外でのAEDの使用に関しては、予め暖かい部屋に保管しておいて、持ち出し時にも身に着けて体温で保温するなど、現場での工夫に委ねられているのが現状である。
そこで、特許文献1又は特許文献2などに記載されたAEDの保温ボックスが開発されている。しかしながら、これらのAEDの保温ボックスでは、電極パッドの温度管理が不十分である。
例えば、特許文献1に記載されているAED保温ボックスは、内部にAEDを収納するボックス本体及び蓋が発泡ウレタン製の断熱材で覆われ、ボックス本体内の温度が所定の温度以下にならないようにヒータユニットの温度を制御する構成を有する。このため、AED全体を収納するボックス本体内の空間である比較的広い空間全体を加温するので、即温性(温度応答性)に欠ける。したがって、低温に弱い電極パッドを的確に保温する観点で、改良の余地を有する。
また、特許文献1に記載のAED保温ボックスでは、内部に収納したAEDを加温する熱源はヒータユニットのみである。ヒータユニットを用いた温度制御を行うためには、AED保温ボックスに常に電源コードを接続しておく必要があり、低温下での持ち運びや保管場所(常時電源が必要)の自由度に制限がある。さらに、高温下での温度上昇に対する対策を行うことができない。
特許文献1に係るマイセック社製のAED保温ボックスを発明者らで実際に評価したところ、以下の2つの実験結果が得られた。
第1の実験として、低温下において電源を接続してヒータユニットを用いた保温を行っている状態から、電源を外すことでヒータユニットをオフしたときに、どの程度保温が持続できるかを調べた。具体的には、環境槽を用いた−10℃の雰囲気温度中にAED保温ボックスを静置し、AED保温ボックス内にAEDと同等の重量及び熱容量を有する擬似負荷を収納して負荷の温度を計測した。結果は、ヒータオフから30分後には、AEDの使用下限温度(例えば5℃)を下回った。
第2の実験として、低温下において電源を接続していない状態から、電源を接続してヒータユニットをオンしてからどの程度で加温ができるかを調べた。具体的には、環境槽を用いた−10℃の雰囲気温度中にAED保温ボックスを静置し、第1の実験と同様の負荷の温度を計測した。結果は、ヒータオンから1時間以上経過してもAEDの使用下限温度(例えば5℃)まで加温することができなかった。
以上説明した2つの実験結果から、特許文献1に係る従来のAED保温ボックスは、保温の持続性、加温の性能ともに十分とは言えず、動作保証温度範囲での保温性能を発揮するには、常時電源接続状態が必要であることが判った。また、実際のAEDは、本体内に電極パッドが同梱されており、AED筐体の外側から本ボックス内の空間を経由してヒータで間接的に加温する従来の構成では、即温性の観点で十分な性能であるとは言えず、改良の余地を有する。
このため、低温に弱い電極パッドを直接的に加温でき、保温の持続性の観点で有利な装置の提供が求められている。
また、特許文献2に記載されているAED内蔵収納ボックス装置は、温度管理のため、耐熱遮へい板とAEDを収納するボックスとの間の空気を、ファンによる強制対流で外気と換気を行うことで、高温下での温度上昇を防ぐ構成である。つまり、特許文献2に記載のAED内蔵収納ボックス装置は、電極パッドを直接冷却する構成となっていない。また、温度上昇を防ぐための適切な換気を行うには、ファンの電源が必要になる。
以上のように、従来のAEDの保温ボックスでは、医療用の電極パッドの温度管理を有利に行うことができない。
(本開示の概要)
本開示の第1態様に係る医療用電極ユニットは、導電性ゲル材を含む医療用の電極部と、前記電極部の使用下限温度以上の融点を有し、前記電極部を加熱する潜熱蓄熱材と、前記電極部、及び、前記潜熱蓄熱材を内包する容器と、を備える。
第1態様によれば、電極部の使用下限温度以上の融点を有する潜熱蓄熱材が電極部を加熱するので、電極部を使用下限温度以上に加熱する、又は、電極部を使用下限温度以上の温度に保つことができる。このとき、電極部の加熱又は保温するためには、潜熱蓄熱材に蓄えられた熱を利用するので、電源を必要としない。したがって、屋外などの電源がない環境でも利用することができるので、温度管理を有利に行うことができる。
また、本開示の第2態様に係る医療用電極ユニットは、前記容器は、熱可塑性樹脂を含む。
第2態様によれば、容器の成形を容易に行うことができるので、信頼性の高い容器を低コストで作製することができる。
また、本開示の第3態様に係る医療用電極ユニットは、前記容器は、熱可塑性樹脂を含む積層フィルムで構成されている。
第3態様によれば、容器の成形を容易に行うことができるので、信頼性の高い容器を低コストで作製することができる。
例えば、熱可塑性樹脂を含む積層フィルムで内包した容器内に、潜熱蓄熱材と導電性ゲル材とを収納する構成にしている。このため、熱源である潜熱蓄熱材と、低温に弱い導電性ゲル材とが、積層フィルムを介して近接した状態で配置されるので、低温に弱い医療用の電極部を直接的に効果的に加温することができる。その結果、ヒータなど電源を要する他の熱源を用いることなく、医療用の電極部の加温ができ、低温保管状態から医療用の電極部を使用したいとき、速やかに動作保証温度範囲内まで加温することができる。ここで低温保管状態とは、「医療用の電極部の動作保証外となる低温で保管している状態」のことを指す。例えば、医療用の電極部の動作保証温度範囲が5℃から45℃なら、5℃未満の温度(例えば、0℃)である。
また、本開示の第4態様に係る医療用電極ユニットは、前記容器には、互いに隣り合う第1の空間及び第2の空間が設けられ、前記電極部は、前記第1の空間に配置され、前記潜熱蓄熱材は、前記第2の空間に配置されている。
第4態様によれば、電極部と潜熱蓄熱材とが容器内で隣り合う空間に配置されるので、潜熱蓄熱材が発した熱を効率良く電極部に伝えることができる。これにより、電極部の加温又は保温を効率良く行うことができる。
また、本開示の第5態様に係る医療用電極ユニットは、前記容器は、開閉自在な開封部であって、開けられた場合に前記第1の空間と外部空間とを連通する開封部を有する。
第5態様によれば、開閉自在な開封部を備えるので、電極部の出し入れを容易に行うことができる。これにより、ユーザ利便性をさらに高めることができる。
また、本開示の第6態様に係る医療用電極ユニットは、前記潜熱蓄熱材は、融点以下の温度で過冷却状態になりうる材料である。また、本開示の第7態様に係る医療用電極ユニットは、前記潜熱蓄熱材は、酢酸ナトリウム3水和物、硫酸ナトリウム10水和物、リン酸水素2ナトリウム12水和物、及び、チオ硫酸ナトリウムの水和物からなる群から選択した1の材料又はその組み合わせである。
第6態様又は第7態様によれば、過冷却状態から固相に相変化する際に、潜熱蓄熱材は大量の熱を放熱するので、この大量の熱を利用して電極部を急速に加熱することができる。したがって、低温環境下で電極部が保管されている場合であっても、短期間で動作保証温度範囲内まで電極部を加温することができる。
また、本開示の第8態様に係る医療用電極ユニットは、さらに、前記潜熱蓄熱材の液相から固相への相変化を促す発核促進部を備える。
第8態様によれば、潜熱蓄熱材の過冷却状態を積極活用することで、保管時には潜熱を保存しておき、医療用の電極部を使用したいときに、発核装置を作動して潜熱蓄熱材の相変化に伴う潜熱を発生させる。このため、低温保管状態から速やかに動作保証温度範囲内まで加温することができる。
例えば、電極部として、動作保証温度範囲と、保管温度の条件とが異なる場合を考えてみる。ある種の電極部において、動作保証温度範囲が5℃〜45℃であって、保管温度が−10℃〜60℃の条件であったとき、外気温が−10℃以上の環境下では、ヒータなどの加温手段を用いることなく常時保管が可能である。一方で、動作保証温度の下限は5℃であるから、電極部を使用する際には、5℃以上に加温してから使用する必要がある。
このような場合に、本開示の第8態様に係る医療用電極ユニットは有利である。すなわち、電極部の保管時には熱源を用いずに保管し、電極部を用いる際に発核装置を作動して、潜熱蓄熱材に保存されている潜熱を用いて動作保証温度範囲まで加温することで、電極部を安全に使用することができる。保管時に熱源を用いないため常時電源を接続しておく必要がなく、保管時に無用なエネルギー消費を伴うことがないという利点を有する。
また、本開示の第9態様に係る医療用電極ユニットは、前記電極部は、さらに、前記導電性ゲル材が主面に設けられた電極基材を備え、前記潜熱蓄熱材は、前記電極部の、前記電極基材より前記導電性ゲル材に近い位置に配置されている。
第9態様によれば、潜熱蓄熱材が導電性ゲル材に近い位置に配置されているので、例えば必要最小限の量の潜熱蓄熱材により導電性ゲル材を効果的に加温することができる。これになり、医療用電極ユニットの小型化かつ低コスト化を実現することができる。
また、本開示の第10態様に係る医療用電極ユニットは、さらに、前記容器に内包された前記潜熱蓄熱材より熱伝導率が高い高熱伝導材を備える。
第10態様によれば、高熱伝導材を備えることで、潜熱蓄熱材で発生させた熱を容器内に収納した電極部に速やかに伝達することが可能となるため、即温性(加温性能)をさらに向上させることができる。
また、本開示の第11態様に係る医療用電極ユニットは、さらに、前記容器の外側に近接して配置されたシート状ヒータを備える。
第11態様によれば、シート状ヒータを用いて容器内に収納した電極部を加温又は保温することができるだけでなく、凝固した潜熱蓄熱材を再生(再度蓄熱)することが可能となる。このため、電源を接続した状態では、潜熱蓄熱材とシート状ヒータとを併用した医療用電極の加温又は保温動作を行うことができる。また、電源が未接続の状態でシート状ヒータが使えない状況下でも、潜熱蓄熱材を熱源とした医療用電極の加温又は保温を行うことができる。
また、本開示の第12態様に係る医療用電極ユニットは、前記導電性ゲル材又は前記容器内の温度を測定する第1の温度センサと、前記潜熱蓄熱材の温度を測定する第2の温度センサと、前記シート状ヒータを制御するヒータ制御部とを備え、前記ヒータ制御部は、前記第1の温度センサで測定した温度が所定値以下になったことを検知した場合に、前記シート状ヒータをオンし、前記第2の温度センサで測定した温度が前記潜熱蓄熱材の融点を所定値以上越えたことを検知した場合に、前記シート状ヒータをオフする。
第12態様によれば、導電性ゲル材又は容器内の温度、及び、潜熱蓄熱材の温度によって、シート状ヒータを制御することで、電極部の動作温度範囲内に保温することができる。さらに、潜熱蓄熱材の再生(再度蓄熱)をも同時に制御することができるので、医療用電極ユニットをより効果的に動作させることが可能となる。
また、本開示の第13態様に係る医療用電極ユニットは、さらに、前記容器の少なくとも一部を覆う断熱材を備える。
第13態様によれば、断熱材を備えることで、保温の効果を高めることができる。これにより、潜熱蓄熱材で発生させた熱を容器内で長く保持し、外部に熱を逃がすことなく、電極部を効果的に加温又は保温することができる。
また、本開示の第14態様に係る医療用電極ユニットは、前記潜熱蓄熱材の融点は、前記電極部の使用上限温度以下である。
第14態様によれば、寒冷地や冬場などの低温環境下での電極部の加温に加え、潜熱蓄熱材の液化で周囲から熱を奪う吸熱機能を利用することで、夏場の炎天下などの高温環境下での温度上昇も抑制することができる。
また、本開示の第15態様に係るAED(Automated External Defibrillator)は、前記医療用電極ユニットを備えるAEDであって、液晶表示部を備え、前記潜熱蓄熱材は、さらに、前記液晶表示部を加熱する。
第15態様によれば、医療用の電極部の加温に加え、AEDの液晶表示部も同時に加温することができる。このため、よりコンパクトに効果的なAEDの加温又は保温機能を実現することができる。また、第15態様に係るAEDは、発核装置を作動させることにより潜熱蓄熱材の相変化に伴う発熱を熱源としてAEDを加温することができる。このため、電源が必要なヒータなどの別の熱源を用いることなく、AEDを動作温度範囲まで加温又は保温することができる。したがって、寒冷地での持ち運びのしやすさに加え、電源が不要となるために、設置場所の自由度を高めることが可能となる。
また、本開示の第16態様に係るAEDは、前記医療用電極ユニットを備えるAEDであって、前記AEDの持ち出しを検知する検知部と、前記検知部が前記AEDの持ち出しを検知した場合に、前記発核促進部を作動させる発核制御部とを備える。
第16態様によれば、AED本体の持ち出しと略同時に潜熱蓄熱材の発熱が開始されるため、AEDの動作開始までに、効果的にAEDの加温が可能となる。
以下、本開示に係る医療用電極ユニットの実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。また、以下の実施の形態において、略一致などの「略」を用いた表現を用いている。例えば、略一致は、完全に一致することを意味するだけでなく、実質的に一致する、すなわち、例えば数%程度の差異を含むことも意味する。他の「略」を用いた表現についても同様である。
(実施の形態1)
本開示の医療用電極ユニットは、医療用の電極パッドの加熱手段(熱源)として潜熱蓄熱材を用いる点が特徴である。本実施の形態では、大きく2種類の潜熱蓄熱材の使い方を想定している。
[第1の使い方(保温)]
第1の使い方は、医療用の電極パッドの保温を目的とする使い方である。具体的には、医療用の電極パッドの保管時にヒータのような他の熱源と潜熱蓄熱材とを併用し、保管状態から持ち出して電極パッドを使用する際に、低温の外気環境に持ち出した後にも保温を持続させる目的で、潜熱蓄熱材を使用する。この場合、必ずしも潜熱蓄熱材の過冷却特性を積極的に活用する必要はなく、むしろ過冷却状態になりにくい材料を潜熱蓄熱材として用いる。具体的には、凝固点(融点)に達したときに始まる凝固反応で潜熱を発しながら凝固点(融点)付近の温度を持続する特性を活かして、保温を持続させることができる。
この使い方は、保管温度条件をも下回るような低温環境において有利であり、ヒータユニットのみを用いる従来例に比べ、潜熱蓄熱材に蓄えた熱を利用できる分、保温期間を長くすることができる。これにより、ヒータの電力消費を低減することができ、かつ、持ち出し期間の温度持続性が発揮できるという格別の効果を奏する。
なお、この場合、電極パッドの保管状態において潜熱蓄熱材以外にヒータのような他の熱源を併用しているため、潜熱蓄熱材は常に液相の状態を保っておく必要はない。したがって、前述した過冷却特性を利用した第2の使い方とは異なり、医療用電極ユニットを出荷後に、ユニット内で繰返し再生して利用することも可能となる。このため、手動操作で潜熱蓄熱材の再生を行うようなユーザの利便性を損なう必要性も生じない。したがって、一度使用した電極パッドを交換する際に、医療用電極ユニットの全部を交換せず、電極パッドのみを新しいものに入れ替えるようにしても差し支えない。
過冷却状態になりにくい潜熱蓄熱材としては、流動パラフィン、ノルマルエイコサン(C2042)などの有機物を主成分とする材料を用いることができる。これらの材料は、いずれも凝固点(融点)を下回って冷やされると自然に凝固を開始して潜熱を徐々に放出する。例えば、ノルマルエイコサンを主成分とする材料は、融点を約35℃になるように調整できる。この材料は、35℃を下回ると凝固を開始する。
また、過冷却状態になりやすい水和塩系の材料に、過冷却状態になりにくい添加材料を加えることでも、同様の目的を達せられる。例えば、硫酸ナトリウム10水和物を主成分とする材料に、四ホウ酸ナトリウムを添加した材料を、潜熱蓄熱材として用いてもよい。
[第2の使い方(即時加温)]
第2の使い方は、医療用の電極パッドの即時加温を目的とする使い方である。具体的には、医療用の電極パッドの保管時には熱源を用いず、低温保管状態から持ち出して電極パッドを使用する際に、電極パッドを即時加温する目的のために、潜熱蓄熱材を使用する。この場合、低温保管状態において潜熱蓄熱材は、過冷却状態(液相)にあって、潜熱が予め保存されている必要がある。また、即時加温をする際に、潜熱蓄熱材を液相から固相へ相変化するように促す(すなわち、発核させる)必要がある。
この使い方は、前述したように、電極パッドの動作保証温度範囲より保管温度の条件が広い場合に有利である。具体的には、常時の電源接続又はエネルギー消費を伴わずに電極パッドが保管でき、かつ、保管状態からの持ち出し時に潜熱蓄熱材の過冷却状態からの発核動作を用いて、動作保証範囲内まで即時加温できる。このため、従来にない格別の効果を発揮する。
なお、この場合、電極パッドの保管状態から使用可能にするまで、潜熱蓄熱材の他に熱源を用いずに即時加温する機能を発揮するには、医療用電極の保管状態において潜熱蓄熱材は、過冷却状態(液相の状態)を保っていることが望ましい。また、この場合、発核動作を行うことによる即時加温に使用された潜熱蓄熱材は、使用後に完全に凝固(固化)してしまう。このため、再度利用するためには、再生処理(再度液相になるまで溶解させ潜熱を蓄熱)する必要がある。
これに対して、電極パッドは、一度救命現場で使用されると再利用はせずに廃棄し、新しい電極パッドと交換するのが一般的である。したがって、新しい電極パッドと交換する際に、少なくとも潜熱蓄熱材も同時に交換してもよい。つまり、過冷却状態に再生された潜熱蓄熱材を含む容器に新しい電極パッドを同梱した状態で交換すればよい。すなわち、本実施の形態に係る医療用電極ユニットを新しい医療用電極ユニットに交換すればよい。これにより、ユーザの利便性を妨げることなく、医療用電極ユニットを提供することが可能になる。
なお、この場合、一度使用した潜熱蓄熱材は、再利用することができる。例えば、医療用電極ユニットの製造メーカ又はメンテナンス業者側で、潜熱蓄熱材を再生することで、資源の無駄遣いとはならず、潜熱蓄熱材を繰返し使用することが可能になる。
過冷却状態が利用可能な潜熱蓄熱材としては、酢酸ナトリウム3水和物、硫酸ナトリウム10水和物、リン酸水素2ナトリウム12水和物、チオ硫酸ナトリウムなどの水和塩を主成分とする材料を用いることができる。これらの水和物は、いずれも融点を下回っても液相の状態で凝固せずに潜熱を保存する良好な過冷却特性を有する。
潜熱蓄熱材は、例えば、融点が電極パッドの使用下限温度以上、使用上限温度以下の温度になるように調整されている。例えば、酢酸ナトリウム3水和物を主成分とする潜熱蓄熱材は、濃度を調整することで融点が約40℃になるように設定している。酢酸ナトリウム3水和物は、融点以上に加温して完全に液相にしたのち、融点を大きく下回るまで冷却しても液相を保つ特性を持っている。これを過冷却状態と呼び、過冷却状態にある材料の過冷却液相と称する。例えば、融点を50度ほど下回る雰囲気温度−10℃まで冷却しても、酢酸ナトリウム3水和物を主成分とする潜熱蓄熱材は、過冷却液相の状態を保っている。このような材料物性を積極的に活用することで、熱の長期保存を可能にする。
[潜熱蓄熱材の状態変化]
ここで、図1A〜図1Cを用いて、潜熱蓄熱材の状態変化について説明する。
図1Aは、本実施の形態に係る過冷却状態になりにくい潜熱蓄熱材の温度と蓄熱量との関係を示すグラフである。なお、図1Aは、例えば流動パラフィンのように、過冷却状態になりにくい潜熱蓄熱材を加熱又は冷却したときの温度と蓄熱量との関係を示している。
常温(室温)で固体となる潜熱蓄熱材を加熱すると、潜熱蓄熱材の比熱に応じた顕熱を吸熱することで、潜熱蓄熱材の温度が上昇する。さらに、融点まで加熱すると潜熱蓄熱材の融解が始まり、融解に伴って潜熱を吸熱する。潜熱蓄熱材が完全に融解するまで、潜熱蓄熱材は、固体と液体とが混じった状態で、融点付近の温度を保持する。さらに加熱を続けて、潜熱蓄熱材が完全に液体になると、潜熱の吸熱は止まり、液体の比熱に応じた顕熱を吸熱することで、潜熱蓄熱材の温度は上昇する。
一方、融点を上回る液体の状態から、融点まで潜熱蓄熱材を冷却すると、やがて凝固が始まる。凝固の進行に伴って、潜熱蓄熱材は、潜熱を外部に徐々に放熱する。潜熱蓄熱材は、凝固反応が完了するまで、固体と液体とが混じった状態で、凝固点付近の温度を保持する。さらに冷却を続けて、潜熱蓄熱材が完全に固化すると、潜熱の放熱は止まり、固体の比熱に応じた比率で顕熱を外部へ放熱することで、材料の温度は降下する。
以上説明したように、潜熱蓄熱材は、融解に伴って顕熱のみならず潜熱を吸熱することで蓄熱する。さらに、潜熱蓄熱材は、凝固に伴って蓄えた潜熱を放出する。上述したようなよく知られた潜熱蓄熱材の蓄熱量(単位重量あたりの吸熱量又は放熱量)は、基本的に相変化を伴わない顕熱蓄熱材の2倍から数倍に上る。
一例を示すため、20℃から50℃まで材料を加熱した場合に、水1kg(上記温度帯で相変化を伴わない顕熱蓄熱材、比熱4.2kJ/kg・K)と、ノルマルエイコサンを主成分とする潜熱蓄熱材1kg(融点35℃、比熱2.0kJ/kg・K、潜熱密度200kJ/kg)とで、材料が蓄える熱量を比較する。この場合、20℃から50℃までの30℃の加温で得られる蓄熱量は、水(顕熱蓄熱材)が126kJであるに対し、ノルマルエイコサンを主成分とする潜熱蓄熱材は260kJと、水の2倍以上となる。
潜熱蓄熱材は、この大きな蓄熱量を利用することで、潜熱蓄熱材に接する対象物を加熱することが可能であるのみならず、融解時の吸熱反応と温度保持特性とを利用することで、対象物の温度上昇を防ぐことが可能となる。
以上のように、過冷却状態になりにくい潜熱蓄熱材は、凝固点又は融点付近の温度を一定期間保つことができる。すなわち、当該潜熱蓄熱材を利用することで、一定期間、電極パッドの温度を凝固点又は融点付近の温度に保つことができる。すなわち、過冷却状態になりにくい潜熱蓄熱材は、上述した第1の使い方に利用することができる。
次に、図1Bを用いて、本実施の形態に係る潜熱蓄熱材の過冷却と熱保存状態との関係について説明する。図1Bは、本実施の形態に係る過冷却状態になりうる潜熱蓄熱材の温度と蓄熱量との関係を示すグラフである。なお、図1Bは、例えば酢酸ナトリウム3水和物のように、過冷却状態になりやすい材料である潜熱蓄熱材を加熱又は冷却したときの温度と蓄熱量との関係を示している。融解時の動作、すなわち、潜熱蓄熱材を加熱したときの変化は、図1Aに示した例と同等であるため、説明を省略する。
融点を上回る液体の状態から融点以下に冷却しても、潜熱蓄熱材は、凝固が始まらず過冷却状態となる(過冷却液相)。潜熱蓄熱材は、冷却に伴って、液相の比熱に相当する比率で外部へ放熱するため、高温の状態に比べると蓄熱量は低下する。しかしながら、凝固は起きていないため、潜熱は完全に保存されている(熱保存状態)。
次に、図1Cを用いて、本実施の形態に係る潜熱蓄熱材の発核によって取り出せる熱量について説明する。図1Cは、本実施の形態に係る過冷却状態になりうる潜熱蓄熱材の発核によって取り出せる熱量を示すグラフである。ここでは、図1Bで示した熱保存状態からの動作として説明する。
過冷却状態から、何らかの物理的刺激を潜熱蓄熱材に加えると、凝固反応を開始させることができる。これを発核と呼ぶ。発核により凝固反応が開始されると、潜熱蓄熱材の温度は融点付近まで上昇し、凝固反応の進行に伴って潜熱を外部に放出する。潜熱蓄熱材が完全に固体になった後も、固相の比熱に相当する比率で外部へ放熱し、やがて元の温度まで低下する。
以上のように、過冷却状態になりやすい潜熱蓄熱材は、図1Bに示す熱保存状態から、図1Cに示す発核及び凝固に伴い、保存されていた潜熱が外部へ放熱される。この放熱を利用することで、潜熱蓄熱材に近接した対象物の加温及び保温を行うことが可能となる。つまり、過冷却状態になりやすい潜熱蓄熱材は、上述した第2の使い方に利用することができる。
[医療用電極ユニットの基本構成]
続いて、本実施の形態に係る医療用電極ユニットの一例を、図2及び図3を用いて説明する。
図2は、本実施の形態の医療用電極ユニット100の斜視図である。図3は、本実施の形態に係る医療用電極ユニット100の断面図及び平面図である。具体的には、図3は、医療用電極ユニット100を模式的に示しており、(a)が医療用電極ユニット100の断面図であり、(b)が平面図である。
容器103の厚み方向をz軸方向とし、当該厚み方向に直交し、かつ、互いに直交する2つの方向をx軸方向及びy軸方向とする。なお、図2及び図3に示すように、x軸方向及びy軸方向はそれぞれ、平面視における容器103の2辺に沿った方向である。図3の(a)は、図2のIII−III線における断面(yz断面)を示し、(b)は、図2のz軸方向から見たときのxy平面を示している。
医療用電極ユニット100は、電極パッド101を収納し、電極パッド101の温度を管理する装置である。図2及び図3に示すように、医療用電極ユニット100は、電極パッド101と、潜熱蓄熱材102と、容器103と、発核装置104と、開封部105とを備える。
本実施の形態では、医療用電極ユニット100は、医療用の電極パッド101を収納可能で、開封部105から電極パッド101を取り出し可能に構成されている。医療用電極ユニット100は、例えば、AEDに使用される。なお、AEDの一例については、実施の形態6で説明する。
図3に示すように、医療用電極ユニット100の容器103の空間134には、潜熱蓄熱材102が配置されている。発核装置104を作動させることで、潜熱蓄熱材102を液相から固相へ相変化を起こし、潜熱を発生させることができる。
図3に示すように、容器103内の空間135に、電極パッド101が収納される。この場合に、発核装置104を作動して潜熱蓄熱材102を発熱させることで、潜熱蓄熱材102より発せられた熱が、電極パッド101に略直接的に伝わるため、電極パッド101を効果的に加温することができる。
例えば、上述したような救急救命などの医療行為を行うに際し、電極パッド101が動作温度範囲内にある必要がある。低温環境下に電極パッド101が曝されていたとしても、AEDを動作させる前に発核装置104を作動し電極パッド101を動作温度範囲内まで加温することができる。加熱後に、開封部105を開けて電極パッド101を取り出すことにより、上記目的が達せられる。
以下では、医療用電極ユニット100が備える各構成要素について、詳細に説明する。
[電極パッド(電極部)]
電極パッド101は、導電性ゲル材111を含む医療用の電極部の一例である。図3に示すように、電極パッド101は、本体が層状の構成になっており、電極基材110、導電性ゲル材111、導電性ゲル材111を保護する保護フィルム材112が順に積層されている。電極パッド101は、さらに、導線113を備える。
電極基材110は、扁平な基材であり、主面に導電性ゲル材111が設けられている。電極基材110は、具体的には、比較的硬質の樹脂製基板であり、主面に金属質の電極パターン(図示せず)が形成されている。電極パターンは、導電性ゲル材111に覆われており、電気的に導通している。さらに、電極パターンには、金属性の導線113が電気的に接続されている。
導電性ゲル材111は、親水性ゲル材を主成分としたゲル状の層であり、導電性材料を含んでいる。導電性ゲル材111は、電極基材110に形成された電極パターンと低電気抵抗で密着している。また、導電性ゲル材111は、親水性であるため皮膚に付着しやすく、治療時に皮膚と電極パターンとの間の電気抵抗を減らすことにより、良好な導電性を確保できるようになっている。
導電性ゲル材111は、例えば塩化カリウムのような水溶性の電解質を含む導電性の粘着ゲルである。導電性ゲル材111は、AED本体の高圧パルス発生回路と、人間の皮膚との間に介在して電気エネルギーを伝達する良導体となっている。
保護フィルム材112は、導電性ゲル材111を覆うように貼り付けられている。保護フィルム材112は、導電性ゲル材111が水分蒸発などにより劣化しないように保護する。治療時には、保護フィルム材112を導電性ゲル材111から剥がして、電極パッド101を使用する。
導線113は、一方の端部が電極基材110の電極パターンに接続され、他方の端部にはコネクタが接続されている。コネクタをAED本体(図示せず)に接続することで、AED本体からの電力を電極基材110に供給することができる。
図3に示すように、一対の電極パッド101が容器103内に収納されている。一対の電極パッド101の各々は、陰極と正極との役割を果たす。使用する際には、導電性ゲル材111を患者の胸部の皮膚に付着させ、AED本体の高圧パルス発生回路と一対の電極パッド101とを接続することで、心臓に近い胸部に電気回路ループを形成する。これにより、心室細動又は心拍停止を起こした患者へ電気ショックを加えることを可能とする。
[潜熱蓄熱材]
潜熱蓄熱材102は、電極パッド101の使用下限温度以上の融点を有し、電極パッド101を加熱する。本実施の形態では、潜熱蓄熱材102は、電極パッド101の使用上限温度以下の融点を有する。つまり、潜熱蓄熱材102の融点は、電極パッド101の動作温度範囲内にある。例えば、電極パッド101の使用下限温度は、5℃であり、使用上限温度は、50℃である。
潜熱蓄熱材102は、例えば、酢酸ナトリウム3水和物を主成分とする材料である。本実施の形態では、潜熱蓄熱材102の融点は、酢酸ナトリウム3水和物の濃度を調整することで、約40℃に設定されている。
潜熱蓄熱材102は、過冷却状態になりやすい材料である。具体的には、酢酸ナトリウム3水和物は、融点以上に加温して完全に液相にしたのち、融点を大きく下回るまで冷却しても液相(過冷却液相)を保つ特性を持っている。例えば、融点を50度ほど下回る雰囲気温度−10℃まで冷却しても、酢酸ナトリウム3水和物を主成分とする潜熱蓄熱材102は、過冷却液相の状態を保っている。このような材料物性を積極的に活用することで、熱の長期保存を可能にする。
[容器]
容器103は、図3に示すように、電極パッド101と、潜熱蓄熱材102とを内包する容器である。図2に外観を示すように、容器103は、平面視矩形の扁平な袋状の容器である。
本実施の形態では、図3の(a)に示すように、容器103には、互いに隣り合う空間134及び空間135が設けられている。空間134は、潜熱蓄熱材102が配置される第2の空間である。空間135は、電極パッド101が配置される第1の空間である。空間134と空間135とは、積層フィルムを介して隣り合っている。
空間134及び空間135はそれぞれ、平面視矩形の扁平な空間である。空間135の厚み方向(z軸方向)の両側に空間134が設けられている。すなわち、電極パッド101が配置される空間135を挟むように、潜熱蓄熱材102が配置されている。
本実施の形態では、容器103は、熱可塑性樹脂を含んでいる。具体的には、容器103は、熱可塑性樹脂を含む積層フィルムで構成されている。より具体的には、容器103は、2つの蓄熱ユニット130(図5参照)が貼り合わされて形成された袋状の容器である。蓄熱ユニット130の詳細な構成については、後で説明する。
[発核装置]
発核装置104は、潜熱蓄熱材102の液相から固相への相変化を促す発核促進部の一例である。発核装置104は、図4に示すように、リング状保持部140と、金属片141と、押圧部142とを備える。
リング状保持部140は、金属片141を保持するリング状の部材である。リング状保持部140の内径には、溝が形成されている。リング状保持部140の少なくとも一部は、樹脂材料で構成されている。リング状保持部140は、金属片141を保持した状態で、積層フィルム131の下面に、接着又は熱溶着により一体化されている。
金属片141は、十字状の切込みが入れられた円盤状の金属片である。金属片141の外径は、リング状保持部140の溝の周囲径及びリング状保持部140の内径より少し大きい。金属片141は、外周部分がリング状保持部140の溝部に完全に収めて保持することが可能な寸法になっている。金属片141及びリング状保持部140は、潜熱蓄熱材102に接触するように空間134に配置されている。
押圧部142は、発核装置104の起動部分であり、外部から押圧可能なように容器103の外側面に設けられている。押圧部142の少なくとも一部は、樹脂材料で構成されている。また、容器103の積層フィルム131の上面と押圧部142の下面とは、接着又は熱溶着により一体化されている。押圧部142の平面視形状は、例えば、円形であるが、これに限定されない。
押圧部142とリング状保持部140との中心位置は、略一致する位置関係にある。押圧部142とリング状保持部140とが積層フィルム131の上下面に一体化されているので、押圧部142を指などで上から押さえることで、押さえた圧力が金属片141に伝わる。これにより、金属片141の切込みが、潜熱蓄熱材102に機械的刺激を与える。このように構成することで、液相状態で内包された潜熱蓄熱材102に、押圧部142を介して機械的刺激が伝えられることで、過冷却液相の潜熱蓄熱材102を固相状態に相変化するように促すことが可能となる。
[開封部]
開封部105は、開閉自在な開封部であり、開けられた場合に、容器103内の空間135と外部空間とを連通する。開封部105は、電極パッド101の出し入れを行う際に開けられる。開封部105は、開けられた場合に、少なくとも電極パッド101が出し入れ可能な大きさの開口を形成する。
本実施の形態では、開封部105は、ライン状に設けられた溝と、当該溝に嵌合するライン状の凸条とを有する。具体的には、開封部105は、いわゆるチャック(ジッパー)である。
開封部105は、凸条が溝に嵌め合わされることで、開封部105は閉じられて、空間135が密封封止される。これにより、空間135に配置される電極パッド101を適切に保管することができる。また、凸条を溝から外すことで、開封部105は開けられて、空間135に配置された電極パッド101を外部に取り出すことができる。
以下、図4〜図10を用いて、本実施の形態に係る医療用電極ユニット100が備える容器103について説明する。
[蓄熱ユニット]
まず、容器103が備える蓄熱ユニット130について、図4及び図5を用いて説明する。図4及び図5は、本実施の形態に係る医療用電極ユニット100が備える蓄熱ユニット130の分解斜視図及び斜視図である。
図4に示すように、蓄熱ユニット130は、容器103の一部を構成する2つの積層フィルム131及び132と、潜熱蓄熱材102と、発核装置104とを備える。蓄熱ユニット130には、図5に示すように、溶着部133が設けられている。
溶着部133は、積層フィルム131と積層フィルム132とが溶着された部分である。溶着部133は、積層フィルム131及び132の平面視形状に沿って環状に設けられている。具体的には、溶着部133は、矩形の環状に設けられている。
図4及び図5を合わせて見れば判るように、潜熱蓄熱材102は、積層フィルム131及び132に挟まれ、4辺を熱溶着することで密閉状態に封止されている。蓄熱ユニット130は、内部に潜熱蓄熱材102が密封封止されていることで、近接する対象物(例えば、電極パッド101)を加熱又は保温することができる。
ここで、積層フィルム131及び132について、図6を用いて説明する。図6は、本実施の形態に係る医療用電極ユニット100が備える積層フィルム131(又は132)の断面図である。
図6に示すように、積層フィルム131は、3層の薄膜から構成されている。具体的には、積層フィルム131は、順に積層された第1の樹脂層131b、ガスバリア層131a、第2の樹脂層131cからなる。
なお、積層フィルム132は、積層フィルム131と同じ構成を有する。具体的には、積層フィルム132は、順に積層された第1の樹脂層132b、ガスバリア層132a及び第2の樹脂層132cを備える。第1の樹脂層132b、ガスバリア層132a及び第2の樹脂層132cはそれぞれ、積層フィルム131の第1の樹脂層131b、ガスバリア層131a及び第2の樹脂層131cに対応する。
ガスバリア層131aは、例えば10μm厚のアルミニウム箔で、水蒸気や酸素の透過を防ぐガスバリア性を有する。ガスバリア性により、積層フィルム131に内包された潜熱蓄熱材が融解した状態でも、水分の蒸発を防ぐことが可能になる。また、内部へのガスの侵入による酸化など材料の経年劣化につながる状況を回避することができる。なお、ガスバリア層131aは、アルミニウム箔には限定されず、その他の金属材料、又は、ガスバリア性の高い樹脂材料から形成されてもよい。
第1の樹脂層131bは、熱可塑性を有する樹脂材料(熱可塑性樹脂)を含む層であり、例えば20μm厚のポリエチレンフィルムで構成されている。第1の樹脂層131bは、樹脂材料が溶解する120℃以上の温度まで加熱することで、成型したり、他のフィルム材と溶着させたりすることが可能である。
第2の樹脂層131cは、熱可塑性を有する樹脂材料を含む層であり、例えば40μm厚のポリプロピレンフィルムで構成されている。
図7は、本実施の形態に係る医療用電極ユニット100が備える蓄熱ユニット130の内部構造を示す断面図である。具体的には、図7は、図5のVII−VII線における断面を示している。
図7に示すように、2枚の積層フィルム131及び132の各々の端部が溶着されており、積層フィルム131と積層フィルム132との間に空間134が形成されている。潜熱蓄熱材102は、空間134に配置されて封止されている。
具体的には、積層フィルム131と積層フィルム132とは、図7に示すように、第1の樹脂層131bと第1の樹脂層132bとが向かい合うように重ねられている。重ねた2枚の積層フィルム131及び132の4辺を熱溶着することで、第1の樹脂層131bと第1の樹脂層132bを一体化することができ、第1の樹脂層131bと第1の樹脂層132bとの間に密封された空間134が形成される。したがって、潜熱蓄熱材102を空間134に配置しておくことで、完全に密閉状態で封止することが可能となる。
[容器の詳細な構成及び製造方法]
次に、図8〜図10を用いて、本実施の形態に係る袋状の容器103の詳細な構成及び製造方法を説明する。
図8は、本実施の形態に係る医療用電極ユニット100が備える容器103の構造を示す分解斜視図である。図9は、本実施の形態に係る医療用電極ユニット100が備える容器103の斜視図である。図10は、本実施の形態に係る医療用電極ユニット100が備える容器103の開封部105を示す斜視図である。
図8に示すように、容器103は、2枚の蓄熱ユニット130aと蓄熱ユニット130bとを重ね合わせ、3辺を熱溶着することにより、袋形状に形成されている。なお、蓄熱ユニット130a及び130bは、図5に示した蓄熱ユニット130と同じ構成を有する。図8に示すように、蓄熱ユニット130aと蓄熱ユニット130bとは、蓄熱ユニット130aの発核装置104aが設けられていない面と、蓄熱ユニット130bの発核装置104bが設けられていない面とが向かい合うように重ねられている。
例えば、縦300mm、横200mmの長方形状の積層フィルム131及び132を用いて作成した2枚の蓄熱ユニット130a及び130bを貼り合わせる。なお、積層フィルム131及び132を用いて形成した蓄熱ユニット130を利用する場合は、蓄熱ユニット130の表面層は、第2の樹脂層131c及び132cである。第2の樹脂層131c及び132cがポリプロピレンから形成されている場合、ポリプロピレンが溶融する150℃程度まで加熱することで、蓄熱ユニット130を熱溶着することができる。これにより、蓄熱ユニット130aと蓄熱ユニット130bとは、熱溶着によって一体化されるため、袋状の容器103を形成できる。
本実施の形態では、図9に示すように、容器103の平面視における3辺に溶着部106が設けられている。溶着部106は、蓄熱ユニット130aと蓄熱ユニット130bとが溶着された部分である。溶着部106は、蓄熱ユニット130a及び130bの平面視形状に沿って、一部が解放された環状に設けられている。具体的には、溶着部106は、蓄熱ユニット130a及び130bの3辺に沿って略C字状に設けられている。
図9及び図10に示すように、溶着されていない残りの1辺には、開封部105が設けられている。これにより、容器103の中(具体的には、空間135)に電極パッド101を出し入れすることが可能になる。
[変形例]
ここで、図11から図14を用いて、本実施の形態に係る医療用電極ユニットの変形例を説明する。
図11及び図12はそれぞれ、本変形例に係る医療用電極ユニットが備える蓄熱ユニット130cの斜視図及び断面図である。具体的には、図12は、図11に示すXII−XII線における断面を示している。図13及び図14はそれぞれ、本変形例に係る医療用電極ユニットが備える容器103cの断面図及び斜視図である。
本変形例では、2つの蓄熱ユニット130を貼り合わせて容器を形成するのではなく、1つのみの蓄熱ユニット130cを折り曲げて袋状の容器を形成する。
図11に示す蓄熱ユニット130cは、図7に示した蓄熱ユニット130と同様の要領で作成した蓄熱ユニットである。蓄熱ユニット130cは、蓄熱ユニット130と比較して、長手方向(x軸方向)の寸法が例えば2倍である点が異なっている。具体的には、蓄熱ユニット130cは、例えば、縦600mm×横200mmの長方形状の積層フィルム131及び132を用いて作成された蓄熱ユニットである。
図12に示すように、蓄熱ユニット130cを長手方向(x軸方向)の中央を境目にして、半分に折り畳むように変形させる。例えば、第2の樹脂層132cが内側になり、第2の樹脂層131cが外側になるように蓄熱ユニット130cを折り畳む。これにより、図13に示すように、第2の樹脂層132cによって空間135が形成される。
さらに、長手方向の2辺を重ね合わせ、内側になる第2の樹脂層132cを熱溶着することで、袋状にすることが可能となる。具体的には、図14に示すように、容器103cの平面視における2辺には、溶着部106cが設けられている。溶着部106cは、蓄熱ユニット130cの長手方向の2辺に沿って、2本の平行な直線状に設けられている。
図13及び図14に示すように、重ね合わせた短辺部分は、溶着されておらず、開封部105が設けられている。これにより、容器103cの中に電極パッド101を出し入れすることが可能になる。
なお、本変形例によれば、1枚のみの蓄熱ユニット130cを用いて袋状の容器103cを形成するので、図9に示した容器103と比較して、部品点数を半分に減らすことができる。また、加工部分(溶着部)も減らすことができるため、より低コストな医療用電極ユニットを提供することができる。また、発核装置104も、容器103の両面に別々に設ける必要はなく、片側のみに配置されている。このため、より簡便な操作で電極パッドの加温を開始することができる。
[効果など]
以上説明したように、本実施の形態及び変形例に係る医療用電極ユニットは、内部の空間135に電極パッド101が収納されている。このため、低温環境下に電極パッド101が曝されていても、AEDを動作させる前に発核装置104を作動させることで、電極パッド101を動作温度範囲内まで加温することができる。これにより、潜熱蓄熱材102より発せられた熱が、電極パッド101に略直接的に伝わるため、電極パッド101を効果的に加温することができる。電極パッド101を加温したのち、開封部105を開けて電極パッド101を取り出すことにより、低温環境下でもAEDを安全に動作させることが可能となる。
(実施の形態2)
続いて、実施の形態2に係る医療用電極ユニットについて、図15及び図16を用いて説明する。なお、以下では、実施の形態1と同じ構成については、説明を省略又は簡略化する場合がある。
[構成]
図15及び図16はそれぞれ、本実施の形態に係る医療用電極ユニット200の斜視図及び断面図である。図16は、図15に示すXVI−XVI線における断面を示している。
図15に示すように、本実施の形態に係る医療用電極ユニット200は、実施の形態1に係る医療用電極ユニット100と比較して、容器103の代わりに、容器203を備える。具体的には、医療用電極ユニット200は、実施の形態1に係る医療用電極ユニット100のように袋状の容器103の両側に潜熱蓄熱材102を配置するのではなく、導電性ゲル材111に近い片側にのみ潜熱蓄熱材102を配置している。
図15では、詳細を図示しないので判りづらいが、潜熱蓄熱材102は、容器203の上部にのみ配置され、電極パッド101は、その下側にもぐり込ませる形に収納している。
図16に示すように、本実施の形態に係る容器203は、3枚の積層フィルム131、132及び231を重ね合わせて形成されている。具体的には、容器203は、2枚の積層フィルム132及び231を備える蓄熱ユニット130と、積層フィルム231とを備える。すなわち、潜熱蓄熱材102は、蓄熱ユニット130の積層フィルム131と積層フィルム132との間の空間134に配置されている。なお、蓄熱ユニット130の構成は、実施の形態1と同様である。
本実施の形態では、蓄熱ユニット130と3枚目の積層フィルム231とを重ね合わせて熱溶着することで、電極パッド101が配置される空間235を形成している。なお、積層フィルム231の構造は、実施の形態1に係る積層フィルム131と同じである。また、蓄熱ユニット130と積層フィルム231との熱溶着についても実施の形態1と同じである。このように、容器203では、一方の面(図16における上面)は、潜熱蓄熱材102が封止された2枚の積層フィルム131及び132から形成され、他方の面(下面)は、潜熱蓄熱材が配置されず1枚の積層フィルム231のみから形成されている。
電極パッド101は、図16に示すように、導電性ゲル材111が電極基材110よりも潜熱蓄熱材102に近い位置に配置される向きで収納される。言い換えると、潜熱蓄熱材102は、電極パッド101の電極基材110より導電性ゲル材111に近い位置に配置されている。
[効果など]
以上のように、本実施の形態に係る医療用電極ユニット200によれば、潜熱蓄熱材102が導電性ゲル材111に近い位置に配置されているので、動作時の温度条件が最も厳しい導電性ゲル材111を効果的に加温することができる。
また、容器203の一方の面(下面)には、潜熱蓄熱材102が配置されていないため、実施の形態1に係る医療用電極ユニット100と比較して、潜熱蓄熱材102の使用量を減らすことが可能となる。したがって、より低コストに医療用電極ユニット200を提供することが可能である。
[変形例]
ここで、図17を用いて、本実施の形態に係る医療用電極ユニットの変形例を説明する。図17は、本変形例に係る医療用電極ユニット200aの断面図である。
図17に示す医療用電極ユニット200aは、図16に示す医療用電極ユニット200と比較して、さらに、容器203に内包された高熱伝導材202aを備える点が異なっている。
高熱伝導材202aは、潜熱蓄熱材102が封止される蓄熱ユニット130の内部、すなわち、空間134に配置されている。高熱伝導材202aは、潜熱蓄熱材102より熱伝導率が高い材料である。高熱伝導材202aは、例えば、波型に成型又はノコギリ状に折り曲げ加工された金属製の箔又は板である。例えば、図17に示すように、高熱伝導材202aの一部を積層フィルム132の空間235側の面に接着又は近接させる。
これにより、潜熱蓄熱材102を発核させてから発せられる熱が、積層フィルム132を経由して電極パッド101に伝わる速度を速めることが可能となる。よって、高熱伝導材202aを備えない構成に比べて、より効率的かつ急速に電極パッド101を加温することができる。
例えば、潜熱蓄熱材102として酢酸ナトリウム3水和物を主成分とする材料(熱伝導率が0.3W/m・K)を用いた場合を想定する。このとき、高熱伝導材202aとして波板状に加工した50μm厚のアルミニウム箔(熱伝導率が200W/m・K)を積層フィルム132に接着した場合、発核動作から電極パッド101を動作可能温度範囲まで加温するのにかかる時間を、高熱伝導材202aを用いない場合と比べて、半分以下に短縮することができた。
(実施の形態3)
以下、実施の形態3に係る医療用電極ユニットについて、図18を用いて説明する。本実施の形態に係る医療用電極ユニットは、電源に接続可能であり、発核装置の作動を電動化することで、より簡便な操作で電極パッド101の加温を可能にする。
図18は、本実施の形態に係る医療用電極ユニット300の斜視図である。
図18に示すように、医療用電極ユニット300は、図2に示す実施の形態1に係る医療用電極ユニット100と比較して、発核装置104の代わりに発核装置304を備える。さらに、医療用電極ユニット300は、電気コネクタ307と、電気配線308とを備える。
電気コネクタ307は、電源との接続部である。電源は図示していないが、商用電源でもよく、あるいは、電池でもよい。図示しないが、電気コネクタ307は、AC−DC変換又は電圧変換回路などのアダプタを兼ねていてもよい。電気配線308の両端にはそれぞれ、電気コネクタ307と発核装置304とが接続され、電気コネクタ307及び電気配線308を経由して、発核装置304に電力を供給する。
発核装置304は、例えば、過冷却状態にある潜熱蓄熱材102に物理的刺激を加えることで相変化を促す発核手段と、手動に代わる押圧を加えるための電動アクチュエータ(図示せず)とを備える。
発核手段は、例えば、図4に示す金属片141である。金属片141は、実施の形態1と同様に、潜熱蓄熱材102に接触するように容器103内に配置されている。金属片141は、押圧部142の代わりに、電動アクチュエータからの押圧を受ける。
電動アクチュエータは、例えば、電力によってソレノイドを駆動し、発核手段(金属片141)に対して押圧を加える、又は、加えないを制御する。あるいは、電動アクチュエータは、ソレノイドの代わりにステッピングモータを用いてもよい。
なお、発核装置304は、押圧による物理的刺激の代わりに、潜熱蓄熱材102に電界を印加する電気回路であってもよい。電力が供給された場合に、電界を印加することで刺激となって、過冷却状態にある潜熱蓄熱材102の相変化を促すことができる。また、発核装置304は、押圧又は電界印加の代わりに、潜熱蓄熱材102を冷却する冷却回路であってもよい。急速な冷却が刺激となって過冷却状態にある潜熱蓄熱材102の相変化を促すことも可能である。
以上説明したように、本実施の形態に係る医療用電極ユニット300は、電源に接続可能であり、手動による押圧の代わりに、電動による押圧、電界印加又は冷却などで潜熱蓄熱材102に対する発核を行うことができる。すなわち、医療用電極ユニット300では、発核を自動化することができ、より簡便な操作で電極パッド101を加温することができる。
なお、本実施の形態では、外部から電気コネクタ307に接続することにより、発核装置304に電力を供給する例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、医療用電極ユニット300内に、電池のようなポータブル電源を備えてもよい。
(実施の形態4)
続いて、実施の形態4に係る医療用電極ユニットについて、図19を用いて説明する。本実施の形態に係る医療用電極ユニット400は、潜熱蓄熱材102を加熱し、蓄熱させることで、より簡便な操作で電極パッド101の加温及び保温を可能にする。具体的には、医療用電極ユニット400は、電気ヒータを備えることで、一度電極パッド101の加温又は保温に用いた潜熱蓄熱材102を、電気ヒータによって加熱することで再生することができる。
図19は、本実施の形態に係る医療用電極ユニット400の斜視図である。
図19に示すように、医療用電極ユニット400は、図18に示す実施の形態3に係る医療用電極ユニット300と比較して、発核装置304の代わりに、制御回路404と、シート状ヒータ409とを備える。
制御回路404は、シート状ヒータ409への電力供給を制御する機能を有する。具体的には、制御回路404は、所定の条件に基づいて、シート状ヒータ409への電力の供給のオン及びオフを制御する。これにより、制御回路404は、袋状の容器103の外側から、潜熱蓄熱材102を適切な温度まで加温することができる。
なお、本実施の形態において、制御回路404は、実施の形態3と同様に、発核装置の電動化機能を兼ねてもよい。
シート状ヒータ409は、例えば、電力が供給された場合に発熱する金属発熱体と、当該金属発熱体を覆うシリコンゴム製のカバー材とを備える。例えば、シート状ヒータ409は、薄型で柔軟性を有する。これにより、表面に熱を伝えやすくすることができる。
金属発熱体としては、例えば、ニクロム(ニッケル−クロム合金)、又は、カンタル(鉄−クロム−アルミニウム合金)などの電気抵抗が大きく、かつ、温度係数が比較的小さい素材を用いることができる。これにより、温度によらず一定電圧で発熱量を制御することができる。
以上のように、本実施の形態に係る医療用電極ユニット400は、2種類の熱源(具体的には、潜熱蓄熱材102及びシート状ヒータ409)を備える。これにより、医療用電極ユニット400は、電極パッド101をより長期間加温又は保温できるのみならず、加温に用いて固化した潜熱蓄熱材102を容器103に内包した状態のままで再生(再融解して蓄熱)することが可能となる。したがって、潜熱蓄熱材102を交換することなく繰返し熱源として使えるため、医療用電極ユニット400の有用性をさらに高めることができる。
(実施の形態5)
続いて、実施の形態5に係る医療用電極ユニットについて、図20及び図21を用いて説明する。
図20及び図21はそれぞれ、本実施の形態に係る医療用電極ユニット500の斜視図及び断面図である。図21は、図20のXXI−XXI線における断面(xz断面)を示している。
本実施の形態に係る医療用電極ユニット500は、図19で示した実施の形態4に係る医療用電極ユニット400に加えて、さらに、断熱材501を備える点が異なっている。これにより、医療用電極ユニット500の保温性を向上させることができる。
図20に示すように、断熱材501は、潜熱蓄熱材102を内包した袋状の容器103及びシート状ヒータ409の全体を覆う。これにより、外部へ逃げる熱量を減らすことができるので、断熱性能を向上し、医療用電極ユニット500の保温性能を格段に向上させることができる。
断熱材501としては、例えば発泡ウレタンのように、発泡機能により熱伝導性が低くなるように加工した樹脂材料を用いることができる。また、断熱材501としては、より断熱性の高い真空断熱材を用いてもよい。あるいは、発泡ウレタンなどの樹脂材料と真空断熱材とを併用してもよい。これにより、より一層、医療用電極ユニット500の保温性能を高めることが可能である。
また、図20に示すように、少なくとも電気コネクタ307は、断熱材501の外に出しておいてもよい。その際、断熱性能を極力損なわないように、電気配線308の途中から断熱材501の外側へ露出し、断熱材501における電気配線308の出口を、発泡ゴム素材などを用いて、極力断熱素材の隙間が開かないように塞いでもよい。これにより、外部電源との接続を阻害せずに、医療用電極ユニット500の保温性能を高めることが可能になる。なお、前述したように、電池など電源をユニット内に含める場合には、この構成をとる必要はない。
(実施の形態6)
続いて、実施の形態6に係る医療用電極ユニットについて、図22〜図24を用いて説明する。
図22は、本実施の形態に係る医療用電極ユニット600の断面図である。
本実施の形態に係る医療用電極ユニット600は、図21に示す実施の形態5に係る医療用電極ユニット500と比較して、断熱材501の代わりに、断熱材601を備える点が異なっている。具体的には、断熱材601は、シート状ヒータ409が露出するように、その一部が開放されている。
これにより、シート状ヒータ409は、医療用電極ユニット600の外側に位置する対象物も加熱することができる。例えば、図22に示すように、医療用電極ユニット600は、AEDの筐体704に取り付けられた液晶表示部702に、シート状ヒータ409の少なくとも一部が接するように配置することで、液晶表示部702を加熱することができるようにしている。
なお、図22には、第1の温度センサ602及び第2の温度センサ603を模式的に示している。第1の温度センサ602は、容器103の空間235内に配置されており、電極パッド101又は容器103内の温度を測定する。第2の温度センサ603は、容器103の空間134内に配置されており、潜熱蓄熱材102の温度を測定する。第1の温度センサ602及び第2の温度センサ603はそれぞれ、制御回路404に接続されており、測定結果を制御回路404に出力する。
制御回路404は、電極パッド101又は袋状の容器103内の温度を測定する第1の温度センサ602と、潜熱蓄熱材102の温度を測定する第2の温度センサ603との測定結果を用いて、シート状ヒータ409の電力供給を適切に制御してもよい。これにより、制御回路404は、導電性ゲル材111を含む電極パッド101の温度が所定以下にならないように加温したり、固化した潜熱蓄熱材102が完全に液相になるまで加温して確実に再生されるようにしたりすることが可能になる。なお、シート状ヒータ409の制御方法については、後述する実施の形態8及び9にて、具体的に説明する。
図23及び図24はそれぞれ、本実施の形態に係るAED700を示す斜視図である。具体的には、図23は、AED700の蓋部703を開放した状態を示している。図24は、AED700の蓋部703を閉じた状態を示している。
AED700は、図23に示すように、医療用電極ユニット600と、AED本体701と、液晶表示部702とを備える。AED本体701は、蓋部703と、筐体704とを備える。
液晶表示部702は、電極パッド101の人体への取り付け方法などのAED700の操作方法を表示するディスプレイである。本実施の形態では、筐体704の略中央に設けられている。
蓋部703は、筐体704に対して開閉自在に取り付けられている。具体的には、蓋部703は、閉じられた場合に、液晶表示部702を覆う。
筐体704は、電源及び制御回路(図示せず)などを収容する筐体である。例えば、液晶表示部702及び電極パッド101に電力を供給するための電源などが筐体704内に収納されている。筐体704には、コネクタ(図示せず)などが設けられており、電極パッド101の導線113が当該コネクタに接続される。これにより、一対の電極パッド101間に所定の電力を供給することができる。
本実施の形態では、蓋部703の裏側に、医療用電極ユニット600が取り付けられている。具体的には、図23に示されているように、蓋部703の裏側に取り付けられた医療用電極ユニット600のうち、断熱材601の開放された部分から露出したシート状ヒータ409が、蓋部703を閉じた状態でちょうど液晶表示部702に密着する。
これにより、シート状ヒータ409は、医療用電極ユニット600が備える潜熱蓄熱材102及び電極パッド101を加温できるだけでなく、AED本体701に取り付けられた液晶表示部702も加温することができる。
したがって、低温で液晶表示部702の表示に不具合が生じることで、AED700の操作に支障をきたすことを抑制することができ、低温時のAED動作の安全性をさらに高める格別の効果を発揮する。
なお、図示はしないが、シート状ヒータ409によって温める箇所は、液晶表示部702に限らない。AED700を動作させるバッテリを加温してもよく、電子回路基板を加温してもよい。これにより、低温動作時の安全性をさらに高めることに寄与する。
また、本実施の形態によれば、AED700全体を筐体外部から加温する場合と比較して、必要最小限の潜熱蓄熱材の量で、最大の加温効果を発揮することができる。発明者らの調べたところでは、AED700全体の重量は、メーカにより異なるが、概ね2キログラムから4キログラムの範囲である。その一方で、電極パッド101の重量は、概ね300グラム以下で、AED700全体重量の概ね15パーセント未満であった。
AED700の平均的な比熱容量と、電極パッド101の比熱容量とが同等であると仮定した場合、AED700全体を加温する場合と比較して、電極パッド101のみ加温する場合に必要となる熱量が15%未満で済むことを意味する。これは、加温に必要な潜熱蓄熱材102の量を減らすことにつながり、医療用電極ユニット600のコンパクト化及び低コスト化に寄与する。逆に、同じ量の潜熱蓄熱材102により得られる保温持続時間は、少なくとも6.6倍以上得られることになる。
なお、図23には、加速度センサ705を模式的に示している。加速度センサ705は、AED700の持ち出しを検知する検知部の一例である。加速度センサ705は、例えば、制御回路404に接続されている。なお、図23では、加速度センサ705は、制御回路404の近傍に配置されているが、これに限定されず、AED700の蓋部703又は筐体704に固定されていてもよい。これにより、加速度センサ705は、AED700の移動を検出することができる。
制御回路404は、AED700が移動していることを加速度センサ705によって検知された場合に、AED700が持ち出されたと判定する。制御回路404は、発核制御部の一例であり、AED700の持ち出しを検知した場合に、発核装置を作動させる。
これにより、AED700が設置場所から移動された場合に、自動で発核装置を作動させ、電極パッド101の加温を自動で行うことができる。
(実施の形態7)
続いて、実施の形態7に係るAED保温装置について、図25を用いて説明する。
図25は、本実施の形態に係るAED保温装置800の概念的に示す模式図である。図25に示すように、AED保温装置800は、収納ボックス801を備える。
収納ボックス801は、AED700を収納するための箱体である。収納ボックス801には、例えば、図24に示すAED700が収納される。収納ボックス801は、開閉可能な扉802を備え、AED700を収納しているときは、扉802を閉じることにより、屋外設置時の安全性及び耐候性を高めている。
また、収納ボックス801は、内部にコンセント803が設けられている。コンセント803には、医療用電極ユニット600が備える電気コネクタ307が接続可能である。コンセント803は、収納ボックス801の外部に延設された電源コード804に接続されている。電源コード804は、商用電源805との接続可能な電源プラグ(図示せず)を備える。
このように、本実施の形態に係るAED保温装置800は、AED700を収納可能で、かつ、商用電源805などの電源に接続可能な収納ボックス801を備える。これにより、AED700が収納ボックス801に保管されている時には、外部から電力が供給されることにより、潜熱蓄熱材102の再生、又は、シート状ヒータ409を用いた常時保温が可能となり、有用性をさらに高めることが可能になる。
また、扉802が開かれたことを検知するセンサ(図示せず)を設けてもよい。具体的には、当該センサが、扉802が開かれたことを検知することで、AED700の動作準備を開始すると判断し、低温時には発核装置を作動させてもよい。これにより、潜熱蓄熱材102を用いた加温動作を自動で行うことができる。
(実施の形態8)
以下では、図26A及び図26Bを用いて、実施の形態4で説明した医療用電極ユニット400のシート状ヒータ409の制御方法を詳細に説明する。なお、本実施の形態における潜熱蓄熱材102の融点は40℃とし、図1Aで示したように過冷却状態を伴わない特性の材料(例えば流動パラフィン)を用いた場合を想定している。
図26A及び図26Bは、本実施の形態に係る医療用電極ユニットの動作を示すタイムチャートである。具体的には、図26A及び図26Bでは、横軸を時間とし、縦軸を温度として、2本のグラフを示している。1本のグラフは、電極パッド101又は袋状の容器103内の温度を測定する第1の温度センサによる測定温度Ts1を示す。もう1本のグラフは、潜熱蓄熱材102の温度を測定する第2の温度センサの測定温度Ts2を示す。なお、図26Bは、図26Aの終点(右端)の状態を開始点としており、図26Aに示す温度変化の続きを示している。
図26Aでは、外気温が5℃を下回っており、それに応じて電極パッド101の温度も5℃以下に低下しようとしている状態を初期状態(時刻t=0)としている。初期状態においては、シート状ヒータ409の制御状態はオフ、潜熱蓄熱材102は固化した状態を開始点としている。
電気コネクタ307をプラグインして、制御回路404に電源が接続されると、制御回路404は、第1の温度センサによって測定された測定温度Ts1により電極パッド101の温度が所定温度10℃を下回っていると判定する。したがって、制御回路404は、シート状ヒータ409の電源をオンにする(時刻t1)。
シート状ヒータ409による加熱に伴い、電極パッド101及び潜熱蓄熱材102の温度がそれぞれ上昇する。やがて潜熱蓄熱材102は、測定温度Ts2に示されているように、融点である40℃に到達して、融解し始める(時刻t2)。
さらに、シート状ヒータ409による加熱は継続するが、潜熱蓄熱材102が完全に融解するまでの時間は、潜熱蓄熱材102の温度は、融点付近の約40℃で維持される。この期間、潜熱蓄熱材102は、固相と液相とが混在した状態にある。
一方、電極パッド101の温度は、測定温度Ts1に示されているように、潜熱蓄熱材102の温度よりも若干下回った温度で推移する。つまり、電極パッド101の温度は、潜熱蓄熱材102の温度変化を追随する。これは、潜熱蓄熱材102が発する熱は、積層フィルム132を経由する分、若干のロス及び時間遅延を持って伝達していくためである。
潜熱蓄熱材102が完全に融解し液相になると、潜熱蓄熱材102は、融点40℃を上回って上昇し始める(時刻t3)。
さらに、シート状ヒータ409による加熱を継続し、潜熱蓄熱材102の温度が電極パッド101の使用上限温度である50℃に到達したことを第2の温度センサが検知すると、制御回路404は、シート状ヒータ409をオフにする(時刻t4)。
シート状ヒータ409をオフした後は、潜熱蓄熱材102の温度は、なだらかに低下していき、やがて融点40℃に到達する(時刻t5)。潜熱蓄熱材102は、融点に達した後、凝固を始め、完全に固化するまでの期間、融点40℃付近を維持するようになる。
潜熱蓄熱材102が完全に固化すると(時刻t6)、潜熱蓄熱材102の温度は、融点40℃を下回り、再びなだらかに低下していく。
制御回路404は、電極パッド101の測定温度Ts1が所定温度10℃を下回ったことを検知すると、再びシート状ヒータ409をオンにする(時刻t7)。このとき、潜熱蓄熱材102は固相の状態であり、シート状ヒータ409による加熱に伴い、徐々に温度が上昇していく。
さらに、制御回路404がシート状ヒータ409による加熱を継続すると、測定温度Ts2に示されているように、潜熱蓄熱材102の温度は、融点である40℃に到達し、潜熱蓄熱材102は融解し始める(時刻t8)。潜熱蓄熱材102が完全に融解すると、40℃を超えて再び温度上昇を始める(時刻t9)。
さらに、制御回路404がシート状ヒータ409による加熱を継続し、潜熱蓄熱材102の温度が電極パッド101の使用上限温度である50℃に到達したことを第2の温度センサが検知すると、制御回路404は、シート状ヒータ409をオフにする(時刻t10)。
以降の時刻t10〜時刻t15は、前述した時刻t4〜時刻t8と同様であり、説明は省略する。
以上説明したように、本実施の形態に係る医療用電極ユニット400では、第1の温度センサで測定した電極パッド101又は容器103内の空間135の測定温度Ts1が所定値(本例では10℃)以下になったことを検知した場合に、制御回路404は、シート状ヒータ409をオンにすることで、潜熱蓄熱材102及び電極パッド101の加熱を行う。さらに、第2の温度センサで測定した潜熱蓄熱材102の測定温度Ts2が融点(本例では40℃)を所定値(本例では10度)以上越えたことを検知(本例では50℃を越えたことを検知)した場合に、制御回路404は、シート状ヒータ409をオフすることで、潜熱蓄熱材102及び電極パッド101の加熱を停止する。
これにより、電極パッド101の温度を動作温度範囲(5℃から50℃)内に保温できるとともに、潜熱蓄熱材102の再生(融解による蓄熱)を同時に行うことができる。
また、本実施の形態においては、流動パラフィンなどの過冷却状態になりにくい材料を潜熱蓄熱材102として用い、融点まで冷えると自然に凝固を始め、完全に固化するまでの期間、融点付近の温度を維持する特性を活用した。これは、動作状態のみならず保管状態においても、常に電極パッド101の温度を所定範囲内に保持しなければならない場合に、好適である。
ここで、図26Cを用いて、潜熱蓄熱材を備えない従来のAED保温装置の動作を、比較例として説明する。図26Cは、比較例に係るAED保温装置の動作を示すタイムチャートである。具体的には、図26Cは、横軸を時間とし、縦軸を温度として、電極パッド101の測定温度Ts0の時間変化を示している。
図26Cに示すように、ヒータのオンオフを制御することで、電極パッド101の動作温度範囲を維持するように保温することは可能である。しかしながら、潜熱蓄熱材を用いてないので、保温の持続性が得られない。このため、図26Cに示すように、ヒータのオフの期間が短くなり、相対的にヒータに電力を供給している時間割合が長くなる。これにより、保温の持続性が得られないだけでなく、ヒータの消費電力を増やす結果となる。
以上のことから、本実施の形態に係る医療用電極ユニット400によれば、潜熱蓄熱材102を備えることで、保温の持続性が増すので、より長期間、電極パッド101を動作温度範囲で維持することができる。さらに、医療用電極ユニット400の消費電力を抑えることが可能となる。このため、電力のピークシフト対策、一時的な停電に対する装置の耐性を向上させることもできる。
なお、図26A及び図26Bでは、寒冷地などの外気温が低い場合の保温及び加温について説明したが、本実施の形態に係る医療用電極ユニット400は、電極パッド101の温度上昇を抑制することもできる。なお、ここでは、潜熱蓄熱材102としては、過冷却状態に入らない特性を有する材料を用い、その融点は、例えば30℃とする。
図27は、本実施の形態に係る医療用電極ユニット400の動作を示すタイムチャートである。
ここでは、収納ボックス801の庫内温度をTs0とし、電極パッド101の温度をTs1、潜熱蓄熱材102の温度をTs2として示している。真夏の炎天下に置かれた医療用電極ユニット400は、庫内温度Ts0が使用上限温度50℃を超えても、潜熱蓄熱材102が融解する過程で、周辺の熱を奪い周辺の温度が融点30℃を上回らないように維持するので、特に制御をすることなく、温度上昇を防ぐ効果がえられる。
(実施の形態9)
続いて、図28A及び図28Bを用いて、実施の形態4で説明した医療用電極ユニット400のシート状ヒータ409の制御方法の別の例を詳細に説明する。なお、本実施の形態における潜熱蓄熱材102の融点は40℃とし、図1B及び図1Cで示したように過冷却状態になりうる特性の材料(例えば酢酸ナトリウム3水和物)を用いた場合を想定している。
図28A及び図28Bは、本実施の形態に係る医療用電極ユニットの動作を示すタイムチャートである。図28A及び図28Bに示す測定温度Ts1及びTs2は、実施の形態8と同じである。
図28Aでは、外気温が5℃を下回っており、それに応じて電極パッド101の温度も5℃以下に低下しようとしている状態を初期状態(時刻t=0)としている。初期状態においては、シート状ヒータ409の制御状態はオフ、潜熱蓄熱材102は固化した状態を開始点としている。
電気コネクタ307をプラグインして、制御回路404に電源が接続されると、制御回路404は、第1の温度センサによって測定された測定温度Ts1により電極パッド101の温度が所定温度10℃を下回っていると判定する。したがって、制御回路404は、シート状ヒータ409の電源をオンにする(時刻t21)。
シート状ヒータ409による加熱に伴い、電極パッド101及び潜熱蓄熱材102の温度がそれぞれ上昇する。やがて潜熱蓄熱材102は、測定温度Ts2に示されているように、融点である40℃に到達して、融解し始める(時刻t22)。
さらに、シート状ヒータ409による加熱は継続するが、潜熱蓄熱材102が完全に融解するまでの時間は、潜熱蓄熱材102の温度は、融点付近の約40℃で維持される。この期間、潜熱蓄熱材102は、固相と液相とが混在した状態にある。
一方、電極パッド101の温度は、測定温度Ts1に示されているように、潜熱蓄熱材102の温度よりも若干下回った温度で推移する。つまり、電極パッド101の温度は、潜熱蓄熱材102の温度変化を追随する。これは、潜熱蓄熱材102が発する熱は、積層フィルム132を経由する分、若干のロス及び時間遅延を持って伝達していくためである。
潜熱蓄熱材102が完全に融解し液相になると、潜熱蓄熱材102は、融点40℃を上回って上昇し始める(時刻t23)。
さらに、シート状ヒータ409による加熱を継続し、潜熱蓄熱材102の温度が電極パッド101の使用上限温度である50℃に到達したことを第2の温度センサが検知すると、制御回路404は、シート状ヒータ409をオフにする(時刻t24)。
シート状ヒータ409をオフした後は、潜熱蓄熱材102の温度は、なだらかに温度が低下していき、やがて融点40℃に到達する(時刻t25)。本実施の形態では、潜熱蓄熱材102は過冷却状態に入る為、40℃を下回っても凝固は始まらず、過冷却液相の状態を維持する。これに伴い、潜熱蓄熱材102の温度は、なだらかに低下していく。
続いて、図28Bを用いて、発核を行う手順を説明する。図28Bは、例えば、図28Aに示した動作が行われた後の温度変化を示している。つまり、図28Bにおける初期状態では、潜熱蓄熱材102は過冷却液相の状態にある。
例えば、AED700を保管する収納ボックス801の扉802が開かれたことを検知すると、制御回路404は、AED700の動作準備を開始する。
このとき、外気温度が5℃を下回っていると、電極パッド101又は容器103内の測定温度Ts1が5℃以下になっていることが第1の温度センサによって検知される。この場合、制御回路404は、すぐさま発核装置を作動させ、潜熱蓄熱材102による電極パッド101の加熱を開始する(時刻t31)。発核装置が正常に作動すると、潜熱蓄熱材102はすぐに融点40℃に達する。
潜熱蓄熱材102が発熱を始めると、電極パッド101も加熱されるので、電極パッド101の測定温度Ts1が動作温度範囲内まで上昇し、十分に動作が可能と判断できる(時刻t32)。
制御回路404は、第1の温度センサによる測定温度Ts1に基づいて、電極パッド101の温度が動作温度範囲内に十分に入ったと判断すると、音声又はディスプレイ表示などによりユーザに通知してもよい。音声又は表示によるユーザへの通知機能は、収納ボックス801が備えてもよいが、AED700が備えてもよい。これにより、AED700を収納ボックス801から取り出して持ち出してから、収納ボックス801から離れた位置でも、AED700を持っているユーザが通知を確認することができる。これにより、AED700の動作が可能とユーザが判断し、加温された電極パッド101を含むAED700を安全に操作することができる。
なお、図28Bには、比較例として、潜熱蓄熱材102を備えない従来のAED保温装置における電極パッド101の測定温度Ts0の時間変化も示している。潜熱蓄熱材102を備えない場合は、潜熱蓄熱材102が過冷却液相から固相に相変化する際の急速な発熱を利用することができないため、電極パッド101の温度上昇率が低くなる。このため、電極パッド101の温度が動作保証範囲内に至るまでの要する時間が長くなる。
これに対し、本実施の形態に係る医療用電極ユニット400によれば、電極パッド101を急速に加温することができ、電極パッド101の温度を、短期間で動作保証範囲内に至らせることができる。
以上のように、持出し検知→発核動作→救命現場へAED700を移動→AED700の操作(救命)の手順で行うことで、収納ボックス801からAED700を持ち出して救命現場まで移動するのにかかる時間内で、並行して電極パッド101を加熱することが可能となる。このため、実質的に電極パッド101の加温にかかる時間をゼロまで相殺することができる。
(他の実施の形態)
以上、1つ又は複数の態様に係る医療用電極ユニット及びAEDについて、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本開示の主旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したもの、及び、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の範囲内に含まれる。
例えば、上記の実施の形態1では、容器103が熱可塑性樹脂を含む積層フィルム131及び132で構成されている例について説明したが、これに限らない。容器103の材料は、熱可塑性樹脂に限定されず、例えば、アルミニウム箔などの金属材料などから形成されてもよい。
また、例えば、上記の実施の形態1では、電極パッド101と潜熱蓄熱材102とを異なる空間に配置したが、これに限らない。例えば、容器103には空間135のみが設けられており、電極パッド101と潜熱蓄熱材102との両方が空間135に配置されていてもよい。
また、例えば、上記の実施の形態1では、医療用電極ユニット100が開閉自在の開封部105を有する例について示したが、これに限らない。例えば、電極パッド101が配置される空間135は、潜熱蓄熱材102が配置される空間134と同様に、密封封止されていてもよい。この場合、容器103の一部を切り外すことで、電極パッド101を取り出すことができる。
また、例えば、上記の実施の形態1では、医療用電極ユニット100が発核装置104を備える例について示したが、これに限らない。例えば、潜熱蓄熱材102として過冷却状態になりにくい材料を用いる場合、発核を行う必要がないので、医療用電極ユニット100は、発核装置104を備えなくてもよい。また、潜熱蓄熱材102として過冷却状態になりやすい材料を用いた場合であっても、潜熱蓄熱材102が容易に過冷却液相から固相に相変化を起こしやすいときには、容器103を変形させることで発核を促してもよい。
また、例えば、上記の実施の形態1では、電極パッド101は、導電性ゲル材111が水分蒸発などにより劣化しないように保護する役割を持つ保護フィルム材112を備える例について説明したが、これに限定されない。たとえば、導電性ゲル材111に最も近い積層フィルム132が保護フィルムの役割を兼ねてもよい。この場合、容器103の空間135が、電極パッド101を収納保管する長期間に渡って、導電性ゲル材111の水分蒸発を防止するのに十分な密閉性を保っていればよい。
また、上記の各実施の形態は、特許請求の範囲又はその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
本開示に係る医療用電極ユニットは、潜熱蓄熱材を熱源にして導電性ゲルを加温できるため、寒冷地又は屋外で使用される医療用の電極パッドを用いたAEDなどの医療機器に幅広く応用できる。特に、潜熱蓄熱材の熱特性を活かして加温性能及び保温性を高められるため、AEDの設置場所又は持ち運びの自由度を向上でき、寒冷地又は酷暑地でのAEDの普及拡大に貢献が期待できる。
100、200、200a、300、400、500、600 医療用電極ユニット
101 電極パッド(電極部)
102 潜熱蓄熱材
103、103c、203 容器
104、104a、104b、304 発核装置
105 開封部
106、106c 溶着部
110 電極基材
111 導電性ゲル材
112 保護フィルム材
113 導線
130、130a、130b、130c 蓄熱ユニット
131、132、231 積層フィルム
131a、132a ガスバリア層
131b、132b 第1の樹脂層
131c、132c 第2の樹脂層
133 溶着部
134 空間(第2の空間)
135、235 空間(第1の空間)
140 リング状保持部
141 金属片
142 押圧部
202a 高熱伝導材
307 電気コネクタ
308 電気配線
404 制御回路
409 シート状ヒータ
501、601 断熱材
602 第1の温度センサ
603 第2の温度センサ
700 AED
701 AED本体
702 液晶表示部
703 蓋部
704 筐体
705 加速度センサ(検知部)
800 AED保温装置
801 収納ボックス
802 扉
803 コンセント
804 電源コード
805 商用電源

Claims (16)

  1. 導電性ゲル材を含む医療用の電極部と、
    前記電極部の使用下限温度以上の融点を有し、前記電極部を加熱する潜熱蓄熱材と、
    前記電極部、及び、前記潜熱蓄熱材を内包する容器と、
    を備える、
    医療用電極ユニット。
  2. 前記容器は、熱可塑性樹脂を含む、
    請求項1に記載の医療用電極ユニット。
  3. 前記容器は、熱可塑性樹脂を含む積層フィルムで構成されている、
    請求項2に記載の医療用電極ユニット。
  4. 前記容器には、互いに隣り合う第1の空間及び第2の空間が設けられ、
    前記電極部は、前記第1の空間に配置され、
    前記潜熱蓄熱材は、前記第2の空間に配置されている、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の医療用電極ユニット。
  5. 前記容器は、開閉自在な開封部であって、開けられた場合に前記第1の空間と外部空間とを連通する開封部を有する、
    請求項4に記載の医療用電極ユニット。
  6. 前記潜熱蓄熱材は、融点以下の温度で過冷却状態になりうる材料である、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の医療用電極ユニット。
  7. 前記潜熱蓄熱材は、酢酸ナトリウム3水和物、硫酸ナトリウム10水和物、リン酸水素2ナトリウム12水和物、及び、チオ硫酸ナトリウムの水和物からなる群から選択した1の材料又はその組み合わせである、
    請求項6に記載の医療用電極ユニット。
  8. さらに、前記潜熱蓄熱材の液相から固相への相変化を促す発核促進部を備える、
    請求項6又は7に記載の医療用電極ユニット。
  9. 前記電極部は、さらに、前記導電性ゲル材が主面に設けられた電極基材を備え、
    前記潜熱蓄熱材は、前記電極部の、前記電極基材より前記導電性ゲル材に近い位置に配置されている、
    請求項1〜8のいずれか1項に記載の医療用電極ユニット。
  10. さらに、前記容器に内包された前記潜熱蓄熱材より熱伝導率が高い高熱伝導材を備える、
    請求項1〜9のいずれか1項に記載の医療用電極ユニット。
  11. さらに、前記容器の外側に近接して配置されたシート状ヒータを備える、
    請求項1〜10のいずれか1項に記載の医療用電極ユニット。
  12. 前記導電性ゲル材又は前記容器内の温度を測定する第1の温度センサと、
    前記潜熱蓄熱材の温度を測定する第2の温度センサと、
    前記シート状ヒータを制御するヒータ制御部とを備え、
    前記ヒータ制御部は、
    前記第1の温度センサで測定した温度が所定値以下になったことを検知した場合に、前記シート状ヒータをオンし、
    前記第2の温度センサで測定した温度が前記潜熱蓄熱材の融点を所定値以上越えたことを検知した場合に、前記シート状ヒータをオフする、
    請求項11に記載の医療用電極ユニット。
  13. さらに、前記容器の少なくとも一部を覆う断熱材を備える、
    請求項1〜12のいずれか1項に記載の医療用電極ユニット。
  14. 前記潜熱蓄熱材の融点は、前記電極部の使用上限温度以下である、
    請求項1〜13のいずれか1項に記載の医療用電極ユニット。
  15. 請求項1〜14のいずれか1項に記載の医療用電極ユニットを備えるAED(Automated External Defibrillator)であって、
    液晶表示部を備え、
    前記潜熱蓄熱材は、さらに、前記液晶表示部を加熱する、
    AED。
  16. 請求項8に記載の医療用電極ユニットを備えるAEDであって、
    前記AEDの持ち出しを検知する検知部と、
    前記検知部が前記AEDの持ち出しを検知した場合に、前記発核促進部を作動させる発核制御部とを備える、
    AED。
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JP2022093485A (ja) * 2019-10-18 2022-06-23 飯田電子設計株式会社 Aed収容装置およびこれを用いたaed収容装置管理システム

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