JP2017098025A - 燃料電池の積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】積層部材の誤組み付けを防止できる燃料電池の積層体が提供される。
【解決手段】第1の積層部材50Aは第1の位置決め部51Aを有している。従って、一の第1の積層部材50Aの第1の位置決め部51Aと他の第1の積層部材50Aの第1の位置決め部51Aとの間で位置決めを行うことで、一の第1の積層部材50Aと他の第1の積層部材50Aとの間の位置決めを行うことができる。また、第1の積層部材50Aは、第1の位置決め部51Aを有することで非対称な形状に構成されている。従って、一の第1の積層部材50Aの第1の位置決め部51Aと他の第1の積層部材50Aの第1の位置決め部51Aと対応するときの第1の積層部材50Aの姿勢が、正しい姿勢に一義的に決められる。
【選択図】図6

Description

本発明は、燃料電池の積層体に関する。
従来の燃料電池としては、例えば特許文献1に記載されている技術が知られている。特許文献1に記載の燃料電池は、空気極、固体電解質体及び燃料極を積層して構成されたセル本体と、このセル本体を挟むように配置されたインターコネクタと、を備えている。このように、燃料電池は、複数の積層部材を積層することによって構成された積層体を備えている。
特開2010−186645号公報
上記従来技術においては、各積層部材の姿勢を正しい向きに揃えて積層する必要がある。しかしながら、作業時に積層部材を誤った姿勢で積層する可能性があった。従って、積層部材の誤組み付けを防止することが求められていた。
本発明の目的は、積層部材の誤組み付けを防止できる燃料電池の積層体を提供することである。
本発明の一態様の燃料電池の積層体は、複数の積層部材を積層することによって構成された燃料電池の積層体であって、第1の位置決め部を有する第1の積層部材を備え、第1の積層部材は、第1の位置決め部を有することで非対称な形状に構成される。
以上のような燃料電池の積層体において、第1の積層部材は第1の位置決め部を有している。従って、一の第1の積層部材の第1の位置決め部と他の第1の積層部材の第1の位置決め部との間で位置決めを行うことで、第1の積層部材と他の第1の積層部材との間の位置決めを行うことができる。また、第1の積層部材は、第1の位置決め部を有することで非対称な形状に構成されている。従って、一の第1の積層部材の第1の位置決め部と他の第1の積層部材の第1の位置決め部と対応するときの第1の積層部材の姿勢が、正しい姿勢に一義的に決められる。以上より、積層部材の誤組み付けを防止できる。
第1の積層部材は、燃料と空気とを発電反応させるセル本体の燃料極と対向する燃料流路形成部、及びセル本体の空気極と対向する空気流路形成部を有するインターコネクタである。インターコネクタは、積層時において、燃料極と空気極の表裏、及び燃料と空気の流れる方向が一義的に決められる積層部材であるため、誤組み付けが生じやすい積層部材である。従って、本発明を適用することによる効果が顕著となる。
インターコネクタは、第1の位置決め部が形成された三枚の部材を積層方向に互いに接合することによって構成されていてよい。この場合には、三枚の部材を積層方向に接合することでインターコネクタに形成される第1の位置決め部を形成することができる。
第2の位置決め部を複数有する第2の積層部材を更に備え、複数の第2の位置決め部は、第2の積層部材が複数の姿勢にある時に、積層方向から見て、第1の積層部材の第1の位置決め部に対応する位置にそれぞれ形成されていてよい。これにより、第2の積層部材の姿勢によらず、第1の位置決め部と第2の位置決め部とを対応させた位置に配置できる。
第1の位置決め部は、第1の積層部材の外周縁部に形成された切欠きによって構成されていてよい。これにより、第1の位置決め部の位置を外部から確認できる。
第2の位置決め部は、第2の積層部材の外周縁部に形成された切欠きによって構成され、第1の位置決め部と第2の位置決め部とでは、切欠き深さが異なってよい。これにより、第1の積層部材及び第2の積層部材が配置されていることを、第1の位置決め部及び第2位置決め部の切欠き深さを観察することで判断可能となる。
本発明によれば、積層部材の誤組み付けを防止できる燃料電池の積層体が提供される。
本発明の一実施形態に係る燃料電池の外観を示す斜視図である。 図1のA2−A2線断面図及びB2−B2線断面図である。 図2に示されたインターコネクタの分解斜視図である。 図2に示されたインターコネクタの分解断面図である。 図3及び図4に示された第1枠状部材の裏面図及び第2枠状部材の平面図である。 本発明の一実施形態に係る燃料電池の積層体の積層部材を示す概念図である。 積層部材の位置決め部の構成を示す拡大図である。 変形例に係る積層部材の位置決め部の構成を示す拡大図である。 切欠き深さの異なる位置決め部を示す拡大図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一または同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係る燃料電池の外観を示す斜視図である。図1において、本実施形態の燃料電池1は、固体酸化物型燃料電池(SOFC)であり、燃料中の水素と空気中の酸素とを化学反応させて発電を行う。
燃料電池1は、スタック(積層体)2と、このスタック2を上下方向に挟むように配置されたエンドプレート3A,3Bとを備えている。スタック2とエンドプレート3A,3Bとの間には、絶縁プレート4が配置されている。エンドプレート3A,3B及び絶縁プレート4は、平面視正方形状を呈している。スタック2とエンドプレート3A,3Bとは、4つのボルト5により固定されている。
上側のエンドプレート3Aには、スタック2内に燃料を導入するための燃料導入管6と、スタック2内から燃料を導出するための燃料導出管7と、スタック2内に空気を導入するための空気導入管8と、スタック2内から空気を導出するための空気導出管9とが取り付けられている。燃料導入管6及び燃料導出管7は、エンドプレート3Aにおける一方の対向する2つの縁部近傍の中央部に取り付けられている。空気導入管8及び空気導出管9は、エンドプレート3Aにおける他方の対向する2つの縁部近傍の中央部に取り付けられている。
図2(a)は、図1のA2−A2線断面図であり、図2(b)は、図1のB2−B2線断面図である。なお、図2(a)及び図2(b)では、エンドプレート3A,3B及び絶縁プレート4は省略している。
図2において、スタック2は、セル本体10とインターコネクタ11とが複数ずつ交互に積層された構造を有している。スタック2の最上層及び最下層は、インターコネクタ11である。
セル本体10は、積層方向に隣り合う2つのインターコネクタ11間に配置されている。セル本体10は、電解質12と、この電解質12の下面側(一面側)に配置された燃料極(アノード)13と、電解質12の上面側(他面側)に配置された空気極(カソード)14とを有している。セル本体10は、燃料と空気とを発電反応させる。
インターコネクタ11は、セル本体10を燃料極13側及び空気極14側から挟むように配置されている。インターコネクタ11は、燃料極13と対向する燃料流路形成部15と、空気極14と対向する空気流路形成部16とを有している。燃料流路形成部15は、燃料極13に燃料を供給する流路を形成する。空気流路形成部16は、空気極14に空気を供給する流路を形成する。
燃料流路形成部15及び空気流路形成部16は、例えば複数の柱状または壁状の突起が設けられた構造を有している。突起は、プレス加工等により一体成形されていてもよいし、流路を形作る部材を介入させて形成されていてもよい。このとき、各突起間の空間が燃料及び空気の流路となる。なお、突起の代わりに金属メッシュ等を介入させてもよい。
インターコネクタ11は、燃料導入管6から燃料を導入する燃料導入通路17と、燃料導出管7に燃料を導出する燃料導出通路18と、空気導入管8から空気を導入する空気導入通路19と、空気導出管9に空気を導出する空気導出通路20とを有している。燃料導入通路17、燃料導出通路18、空気導入通路19及び空気導出通路20は、何れも断面長穴形状を呈している(図3参照)。燃料導入通路17と燃料導出通路18とは、燃料流路形成部15及び空気流路形成部16を挟んで対向配置されている。空気導入通路19と空気導出通路20とは、燃料流路形成部15及び空気流路形成部16を挟んで燃料導入通路17と燃料導出通路18との対向方向に対して垂直な方向に対向配置されている。
また、インターコネクタ11は、燃料導入通路17と燃料流路形成部15との間に配置されると共に、壁部11aによりセル本体10に対して露出しないように形成された燃料用中空流路21と、燃料導出通路18と燃料流路形成部15との間に配置されると共に、壁部11bによりセル本体10に対して露出しないように形成された燃料用中空流路22と、空気導入通路19と空気流路形成部16との間に配置されると共に、壁部11cによりセル本体10に対して露出しないように形成された空気用中空流路23と、空気導出通路20と空気流路形成部16との間に配置されると共に、壁部11dによりセル本体10に対して露出しないように形成された空気用中空流路24とを有している。
燃料用中空流路21は、燃料導入通路17及び燃料流路形成部15と連通されている。燃料用中空流路22は、燃料導出通路18及び燃料流路形成部15と連通されている。燃料用中空流路21,22は、燃料導入通路17から燃料導出通路18に燃料を流すための流路である。空気用中空流路23は、空気導入通路19及び空気流路形成部16と連通されている。空気用中空流路24は、空気導出通路20及び空気流路形成部16と連通されている。空気用中空流路23,24は、空気導入通路19から空気導出通路20に空気を流すための流路である。
このようなインターコネクタ11において、燃料導入通路17から燃料導出通路18に燃料が流れる方向と空気導入通路19から空気導出通路20に空気が流れる方向とは、垂直に交差している。
燃料導入管6から燃料導入通路17に導入された燃料は、燃料用中空流路21及び燃料流路形成部15を通ってセル本体10の燃料極13に供給されると共に、燃料用中空流路22及び燃料導出通路18を通って燃料導出管7に導出される。空気導入管8から空気導入通路19に導入された空気は、空気用中空流路23及び空気流路形成部16を通ってセル本体10の空気極14に供給されると共に、空気用中空流路24及び空気導出通路20を通って空気導出管9に導出される。
インターコネクタ11は、図3及び図4に示されるように、枠状部材(第1枠状部材)25、枠状部材(第2枠状部材)26及び中間部材27を備えている。中間部材27は、枠状部材25,26間に配置されている。枠状部材25,26及び中間部材27は、薄板で構成されている。枠状部材25,26及び中間部材27の外形は、平面視略正方形状を呈している。中間部材27の一面側には燃料流路形成部15が設けられ、中間部材27の他面側には空気流路形成部16が設けられている。
枠状部材25は、図5(a)にも示されるように、燃料用中空流路21,22をそれぞれ画成する1対の凹状部(第1凹状部)28を有している。なお、図5(a)は、枠状部材25の裏面図である。凹状部28は、中間部材27側に開口している。
枠状部材25は、燃料導入通路17及び燃料導出通路18の一部をそれぞれ構成する1対の平面視長円形状の燃料用貫通孔(第1燃料用貫通孔)29と、空気導入通路19及び空気導出通路20の一部をそれぞれ構成する1対の平面視長円形状の空気用貫通孔(第1空気用貫通孔)30とを有している。空気用貫通孔30の長手方向と燃料用貫通孔29の長手方向とは直交している。枠状部材25の内側領域F1には、中間部材27の燃料流路形成部15が貫入される。
枠状部材26は、図5(b)にも示されるように、空気用中空流路23,24をそれぞれ画成する1対の凹状部(第2凹状部)31を有している。なお、図5(b)は、枠状部材26の平面図である。凹状部31は、中間部材27側に開口している。
枠状部材26は、燃料導入通路17及び燃料導出通路18の一部をそれぞれ構成する1対の平面視長円形状の燃料用貫通孔(第2燃料用貫通孔)32と、空気導入通路19及び空気導出通路20の一部をそれぞれ構成する1対の平面視長円形状の空気用貫通孔(第2空気用貫通孔)33とを有している。空気用貫通孔33の長手方向と燃料用貫通孔32の長手方向とは直交している。枠状部材26の内側領域F2には、中間部材27の空気流路形成部16が貫入される。
中間部材27は、燃料導入通路17及び燃料導出通路18の一部をそれぞれ構成する1対の平面視長円形状の燃料用貫通孔(第3燃料用貫通孔)34と、空気導入通路19及び空気導出通路20の一部をそれぞれ構成する1対の平面視長円形状の空気用貫通孔(第3空気用貫通孔)35とを有している。空気用貫通孔35の長手方向と燃料用貫通孔34の長手方向とは直交している。
インターコネクタ11の構成部品である枠状部材25,26及び中間部材27は、金属材料から構成されている。金属材料としては、例えば耐熱ステンレス鋼であるFe−Crフェライト系合金、Cr基合金またはNi基合金等が用いられる。
また、枠状部材25,26と中間部材27とは、図3に示されるように、ロウ材36,37を用いたロウ付けにより接合されている。ロウ材36,37としては、銀ロウまたはニッケルロウ等が用いられる。
ロウ材36,37は、枠体形状を呈している。ロウ材36には、枠状部材25の空気用貫通孔30に対応する開口部38が設けられているが、枠状部材25の凹状部28に隣接する燃料用貫通孔29に対応する開口部は設けられていない。ロウ材37には、枠状部材26の燃料用貫通孔32に対応する開口部39が設けられているが、枠状部材26の凹状部31に隣接する空気用貫通孔33に対応する開口部は設けられていない。
図2に戻り、積層方向に隣り合う2つのインターコネクタ11間におけるセル本体10の周囲には、1対の柱状部材40及び1対の柱状部材41がセル本体10を取り囲むように配置されている。各柱状部材40は、セル本体10を挟んで対向配置されている。各柱状部材41は、セル本体10を挟んで各柱状部材40の対向方向に対して垂直な方向に対向配置されている。
柱状部材40,41は、何れも環状を呈している。柱状部材40,41は、燃料と空気とが混合しないように隣り合う2つのインターコネクタ11同士を繋ぐと共に、隣り合う2つのインターコネクタ11同士を電気的に絶縁する部材である。柱状部材40,41は、電気絶縁性を有する材料から構成されている。柱状部材40の内側領域S1は、燃料が通る通路となっている。柱状部材41の内側領域S2は、空気が通る通路となっている。また、柱状部材40,41とインターコネクタ11とが接触する面には、図示しない接着剤等が設けられている。
次に、図6を参照して、本実施形態のスタック(積層体)2の構成について説明する。図6は、スタック2が備える積層部材の構造の一例を示す概略図である。図6に示すように、スタック2は、複数の積層部材を積層することによって構成されており、第1の積層部材50Aと、第2の積層部材50B,50Cと、を備えている。なお、「第1の積層部材」はインターコネクタ11を示し、「第2の積層部材」は、インターコネクタ以外の部材を示すものとする。
第1の積層部材50Aは、スタック2が備える複数の積層部材のうち、積層時における姿勢(向き、及び表裏)が一義的に定められる、いずれか一枚の積層部材であってよい。本実施形態では、インターコネクタ11が第1の積層部材50Aに該当する。第1の積層部材50Aは、第1の位置決め部51Aを有している。第1の位置決め部51Aは、積層時において、第1の積層部材50Aの姿勢(向き、及び表裏)を予め定めたものに合わせるための部分である。第1の位置決め部51Aは、第1の積層部材50Aの一部の形状を変形させることによって構成される。従って、色等によってマーキングされた部分は、本発明における「位置決め部」には該当しない。本実施形態では、第1の位置決め部51Aは、第1の積層部材50Aの外周縁部52Aに形成された切欠きによって構成されている。第1の位置決め部51Aは、第1の積層部材50Aの内側へ向かって平行に延びる一対の辺部51aと、一対の辺部51aの先端部において湾曲する湾曲部51bと、を有している(図7(a)参照)。
第1の積層部材50Aは、第1の位置決め部51Aを有することで非対称な形状に構成される。すなわち、第1の位置決め部51Aは、第1の積層部材50Aが非対称な形状となるような位置に形成される。ここで、「非対称な形状」とは、第1の積層部材50Aが、所定の基準点周りに点対称ではなく、且つ、所定の基準線に対して線対称ではない状態を示す。なお、第1の積層部材50Aのベース形状は、対称な形状となってよい。「対称な形状」とは、第1の積層部材50Aが、所定の基準点周りに点対称である状態、及び所定の基準線に対して線対称である状態の少なくとも一方に該当する状態である。本実施形態では、第1の積層部材50Aのベース形状が正方形である。従って、第1の積層部材50Aに対しては中央位置に基準点CPが設定される。また、第1の積層部材50Aに対しては、各外周縁部52Aの中央部に設定される基準線CL1,CL2及び斜め方向に対向する角部に設定される基準線CL3,CL4が設定される。
第1の積層部材50Aのベース形状は、基準点CPに対して点対称な形状であって、且つ、各基準線CL1,CL2,CL3,CL4に対して線対称な形状となる。そのようなベース形状に対し、第1の位置決め部51Aは、外周縁部52Aaにおける、基準線CL1よりも一方の外周縁部52Ab寄りの位置に形成されている。これによって、第1の積層部材50Aは、基準点CPに対して点対称な形状ではなく、且つ、各基準線CL1,CL2,CL3,CL4に対して線対称な形状ではなくなる。例えば、図6の左側に示すように、第1の積層部材50Aが基準線CL1に対して裏返された場合、第1の位置決め部51Aの位置が、正しい姿勢(中央に示した第1の積層部材50Aの姿勢)と異なる位置に配置される。また、図6の右側に示すように、第1の積層部材50Aが基準点CP周りに反時計回りに90°回転した場合、第1の位置決め部51Aの位置が、正しい姿勢(中央に示した第1の積層部材50Aの姿勢)と異なる位置に配置される。
第2の積層部材50B,50Cは、スタック2が備える複数の積層部材のうち、第1の積層部材50A以外の積層部材を示す。本実施形態では、インターコネクタ11以外の積層部材が第2の積層部材50B,50Cに該当する。このうち、第2の積層部材50Bは、スタック2が備えるインターコネクタ11以外の複数の積層部材のうち、積層時における姿勢(向き、及び表裏)が一義的に定められる積層部材であってよく、積層時における姿勢が特に限定されない積層部材であってもよい。第2の積層部材50Bのベース形状及び大きさは、第1の積層部材50Aと積層方向から見て同一であってよい。また、第2の位置決め部51Bは、第1の位置決め部51Aと対応する位置に形成される。すなわち、第2の位置決め部51Bは、第2の積層部材50Bの外周縁部52Bに形成された切欠きによって構成されている。これにより、第1の位置決め部51Aは、積層方向から見た時に、第2の位置決め部51Bに対応する位置に形成される。「対応する位置」とは、第1の位置決め部51A及び第2の位置決め部51Bが積層方向から見て一部又は全部が重なり合うことにより、同一の位置合わせ用の治具(詳細は後述)によって、互いに位置合わせ可能な位置に配置されていることである。従って、第1の位置決め部51A及び第2の位置決め部51Bは、同一な形状であって、積層時に同一の位置に配置される。ただし、第1の位置決め部51A及び第2の位置決め部51Bは、完全に同一な形状であって、同一の位置に配置されなくともよく、誤差等の範囲で異なっていてもよい。なお、第2の積層部材50Bのベース形状及び大きさは、第1の積層部材50Aと積層方向から見て完全に同一でなくともよく、異なっていてよい。ただし、異なっている場合であっても、第1の積層部材50Aと第2の積層部材50Bとを積層させた場合に、第1の位置決め部51Aと第2の位置決め部51Bとが対応する位置に配置される必要がある。
また、第2の積層部材50Cは、スタック2が備えるインターコネクタ11以外の複数の積層部材のうち、積層時における姿勢が特に限定されない積層部材である。第2の積層部材50Cのベース形状及び大きさは、第1の積層部材50Aと積層方向から見て同一であってよい。第2の積層部材50Cは、第2の位置決め部51Cを複数有する。複数の第2の位置決め部51Cは、第2の積層部材50Cが複数の姿勢にある時に、積層方向から見て、第1の積層部材50Aの第1の位置決め部51Aに対応する位置に形成されている。すなわち、正しい姿勢にある第1の積層部材50Aに対し、第2の積層部材50Cの姿勢を様々に変化させたとしても、複数の第2の位置決め部51Cの何れかが、第1の位置決め部51Aと対応する。複数の第2の位置決め部51Cは、第2の積層部材50Cの外周縁部52Cに形成された切欠きによって構成されている。具体的には、第2の積層部材50Cは、外周縁部52Caに互いに線対称に配置される第2の位置決め部51C,51Cを有する。第2の積層部材50Cは、外周縁部52Cbに互いに線対称に配置される第2の位置決め部51C,51Cを有する。第2の積層部材50Cは、外周縁部52Ccに互いに線対称に配置される第2の位置決め部51C,51Cを有する。第2の積層部材50Cは、外周縁部52Cdに互いに線対称に配置される第2の位置決め部51C,51Cを有する。このような構成によれば、第2の積層部材50Cがどのような姿勢になったとしても複数の第2の位置決め部51C,51C,51C,51C,C,51C,51C,51Cの何れかが、第1の位置決め部51Aと対応する位置に配置された状態となる。なお、第2の積層部材50Cは、8つすべての第2の位置決め部51Cを有していなくともよく、少なくとも2つ以上有していてもよい。
なお、「対応する位置」とは、第1の位置決め部51A及び第2の位置決め部51Cが積層方向から見て一部又は全部が重なり合うことにより、同一の位置合わせ用の治具(詳細は後述)によって、互いに位置合わせ可能な位置に配置されていることである。従って、第1の位置決め部51A、及びそれに第2の位置決め部51Cは、同一な形状であって、積層時に同一の位置に配置される。ただし、第1の位置決め部51A及び第2の位置決め部51Cは、完全に同一な形状であって、同一の位置に配置されなくともよく、誤差等の範囲で異なっていてもよい。なお、第2の積層部材50Cのベース形状及び大きさは、第1の積層部材50Aと積層方向から見て完全に同一でなくともよく、異なっていてよい。ただし、異なっている場合であっても、第1の積層部材50Aと第2の積層部材50Cとを積層させた場合に、第1の位置決め部51Aと第2の位置決め部51Cとが対応する位置に配置される必要がある。
上述のような構成を有する第1の積層部材50Aは、インターコネクタ11であってよい。インターコネクタ11は、燃料及び空気が流れる位置及び方向が予め一義的に決まるため、積層時における姿勢が一義的に決まるものである。具体的には、図3及び図5に示すように、インターコネクタ11の外周縁部に第1の位置決め部51Aが形成される。第1の位置決め部51Aは、インターコネクタ11の角部であって、燃料導入通路17、燃料導出通路18、空気導入通路19、及び空気導出通路20が形成されていない部分に形成されている。ここでは、第1の位置決め部51Aは、燃料導出通路18と空気導出通路20との間に形成されている。また、本実施形態では、インターコネクタ11は、枠状部材25,26及び中間部材27の三枚の部材によって構成されている。これらの部材には、互いに積層することでインターコネクタ11を構成する前段階において、第1の位置決め部51Aが形成されていてよい。従って、インターコネクタ11は、第1の位置決め部51Aが形成された三枚の部材を積層方向に互いに接合することによって構成されている。ただし、三枚の部材を積層方向に互いに接合した後で、第1の位置決め部51Aを形成してもよい。
第2の積層部材50Bは、柱状部材40,41(例えば、スペーサやシール材)であってよい。第2の積層部材50Cは、積層時における姿勢が特に限定されない積層部材であり、柱状部材40,41(例えば、スペーサやシール材)であってよい。
上述のように構成された積層部材50A,50B,50Cを積層することによって、図1に示すように、積層方向に沿って複数の位置決め部51A,51B,51Cが積層されることにより、スタック2の側面には積層方向に沿って延びる溝部が形成される。図7(a)に示すように、積層部材50A,50B,50Cを積層する際は、治具60が用いられる。治具60は、位置決め部51A,51B,51C内に挿入されるように構成された突出部による位置決め部61を有する。これにより、スタック2の積層時においては、各積層部材50A,50B,50Cを積層する際に、位置決め部51A,51B,51Cを治具60の位置決め部61に沿わせながら積層する。これによって、各積層部材50A,50B,50Cを正しい姿勢(ただし、第2の積層部材50Cの姿勢は問われない)に位置合わせした状態で積層することができる。
次に、本実施形態に係る燃料電池のスタック2の作用・効果について説明する。
従来の燃料電池においては、各積層部材の姿勢を正しい向きに揃えて積層する必要がある一方で、作業時に積層部材を誤った姿勢(表裏を逆にして積層する場合や、正しい姿勢から所定角度回転させた状態で積層する場合がある)で積層する可能性があった。これに対し、本実施形態に係る燃料電池1のスタック2において、第1の積層部材50Aは第1の位置決め部51Aを有している。従って、一の第1の積層部材50Aの第1の位置決め部51Aと他の第1の積層部材50Aの第1の位置決め部51Aとの間で位置決めを行うことで、一の第1の積層部材50Aと他の第1の積層部材50Aとの間の位置決めを行うことができる。また、第1の積層部材50Aは、第1の位置決め部51Aを有することで非対称な形状に構成されている。従って、一の第1の積層部材50Aの第1の位置決め部51Aと他の第1の積層部材50Aの第1の位置決め部51Aと対応するときの第1の積層部材50Aの姿勢が、正しい姿勢に一義的に決められる。以上より、積層部材の誤組み付けを防止できる。
また、スタック2が、第1の積層部材50A及び第2の積層部材50B,50C(50Bと50Cの一方でもよい)を備える場合について説明する。第1の積層部材50Aの第1の位置決め部51Aは、積層方向から見た時に、第2の積層部材50B,50Cの第2の位置決め部51B,51Cに対応する位置に形成されている。従って、第1の位置決め部51Aと第2の位置決め部51B,51Cとの間で位置決めを行うことで、第1の積層部材50Aと第2の積層部材50B,50Cとの間の位置決めを行うことができる。また、第1の積層部材50Aは、第1の位置決め部51Aを有することで非対称な形状に構成されている。従って、第1の位置決め部51Aが第2の位置決め部51B,51Cと対応するときの第1の積層部材の姿勢が、正しい姿勢に一義的に決められる。以上より、積層部材の誤組み付けを防止できる。
また、本実施形態に係る位置決め部51A,51B,51Cは、積層部材50A,50B,50Cの形状自体を変形することによって構成されたものである。従って、位置決め部51A,51B,51Cの形状に対応する位置決め部61を有する治具60を用いることで、簡便に、且つ正確に誤組み付けを防止しながら積層部材50A,50B,50Cを積層することができる。また、位置決め部51A,51Bを視覚的に確認することで、積層部材50A,50Bの姿勢が正しくないことを、作動検査によらず目視によって容易に確認することができる。
第1の積層部材50Aは、燃料と空気とを発電反応させるセル本体10の燃料極13と対向する燃料流路形成部15とセル本体10の空気極14と対向する空気流路形成部16とを有するインターコネクタ11である。インターコネクタ11は、積層時において、燃料極13と空気極14の表裏、及び燃料と空気の流れる方向が一義的に決められる積層部材であるため、誤組み付けが生じやすい積層部材である。従って、本発明を適用することによる効果が顕著となる。
インターコネクタ11は、第1の位置決め部51Aが形成された三枚の部材を積層方向に互いに接合することによって構成されていている。この場合には、三枚の部材を積層方向に接合することでインターコネクタ11に形成される第1の位置決め部51Aを形成することができる。また、三枚の部材、すなわちインターコネクタ11を構成する枠状部材25,26及び中間部材27は互いの組付け時の表裏を合わせなくてはならないものである。従って、三枚の部材を積層する際は、それぞれに形成された第1の位置決め部51を用いて位置決めを行うことで、三枚の部材間の誤組み付けを防止することができる。
第2の積層部材50Cは、第2の位置決め部51Cを複数有し、複数の第2の位置決め部51Cは、積層方向から見て、複数の相対的な姿勢に係る第1の積層部材50Aの第1の位置決め部51Aに対応する位置に形成されている。これにより、第2の積層部材50Cの姿勢によらず、第1の位置決め部51Aと第2の位置決め部51Cとを対応させた位置に配置できる。
第1の位置決め部51Aは、第1の積層部材50Aの外周縁部52Aに形成された切欠きによって構成されていている。これにより、第1の位置決め部51Aの位置を外部から確認できる。
なお、本発明は、上記実施形態には限定されない。例えば、図7(b)に示すように、位置決め部51A,51B,51Cは、外周縁部から突出する突出部によって構成されてもよい。位置決め部51A,51B,51Cは、外周縁部から外側へ向かって平行に延びる一対の辺部51dと、外周側の先端部において湾曲する湾曲部51eと、を有している。この場合、治具60は、突出部を受容するための溝部によって構成される位置決め部61を有する。
また、位置決め部51A,51B,51Cは、図8に示すような形状としてもよい。例えば、図8(a)に示す例では、位置決め部51A,51B,51Cは矩形状に構成され、平行な辺部51aの先端部には、辺部51aと垂直な辺部51cが形成されている。図8(b)に示す例では、位置決め部51A,51B,51Cは三角形状に構成され、傾斜する一対の辺部51fを有している。図8(c)に示す例では、位置決め部51A,51B,51Cは、貫通孔51gによって構成されている。この場合、治具として貫通孔51gを貫通する棒状部材を用いてよい。ただし、図8(c)の場合は、積層時には位置決め部51A,51B,51Cを外部から観察可能であるが、積層後は、外部から観察できない。
また、第1の位置決め部51Aと第2の位置決め部51B,51Cとでは、切欠き深さが異なってよい。これにより、第1の積層部材50A及び第2の積層部材50B,50Cが配置されていることを、第1の位置決め部51A及び第2位置決め部51B,51Cの切欠き深さを観察することで判断可能となる。例えば、スタック2の積層部材のうち、インターコネクタ11の切欠き深さを図9の紙面左側に示すように切欠き深さを深くし、スペーサ等の他の種類の積層部材の切欠き深さを図9の紙面右側に示すように切欠き深さを浅くする(差はtで示される)。この場合、積層時の様子をカメラ等で監視する際、インターコネクタ11と他の積層部材が交互に配置されていることが、深い切欠き部と浅い切欠き部が交互に配置されていることに基づいて判断できる。例えば、深い切欠き部が連続したときは、他の積層部材が抜けていることを判断できる。
また、上述の積層部材の形状は略正方形であったが、形状は特に限定されず、例えば、長方形、円形、長円形、多角形等の形状であってよい。
また、スタック2は、複数の第2の位置決め部51Cを有する第2の積層部材50Cを有していなくてもよい。
また、上記実施形態では、枠状部材25,26と中間部材27とがロウ付けにより接合されているが、枠状部材25,26と中間部材27との接合手段としては、特にロウ付けには限られず、溶接または拡散接合等を用いてもよい。接合手段として溶接を用いる場合には、枠状部材25,26と中間部材27との接合を安価に行うことができる。
また、上記実施形態では、枠状部材25,26及び中間部材27という3つの部材でインターコネクタ11を構成しているが、インターコネクタ11を構成する部品の数としては、特に3つには限られず、複数あればよいし、或いは燃料用中空流路21,22及び空気用中空流路23,24を有するインターコネクタ11を作ることが可能であれば、1つであってもよい。
さらに、上記実施形態では、インターコネクタ11は金属材料から構成されているが、インターコネクタ11の材料としては、特に金属には限られず、導電性セラミックであってもよい。導電性セラミックとしては、例えばLaCrO基の酸化物固溶体(ランタンクロマイト)等が用いられる。導電性セラミック製のインターコネクタ11は、複数枚の板を共焼結して作ってもよいし、或いは消失法を用いて作ってもよい。
また、上記実施形態の燃料電池1は、セル本体10とインターコネクタ11とが複数ずつ交互に積層されてなるスタック2を有しているが、本発明は、1つのセル本体10と、このセル本体10を燃料極13側及び空気極14側から挟むように配置された2つのインターコネクタ11とを備えた単セル構造の燃料電池にも適用可能である。
1…燃料電池、10…セル本体、11…インターコネクタ、12…電解質、13…燃料極、14…空気極、15…燃料流路形成部、16…空気流路形成部、50A…第1の積層部材、50B,50C…第2の積層部材、51A…第1の位置決め部、51B,51C…第2の位置決め部、52A,52B,52C…外周縁部。

Claims (6)

  1. 複数の積層部材を積層することによって構成された燃料電池の積層体であって、
    第1の位置決め部を有する第1の積層部材を備え、
    前記第1の積層部材は、前記第1の位置決め部を有することで非対称な形状に構成される、燃料電池の積層体。
  2. 前記第1の積層部材は、燃料と空気とを発電反応させるセル本体の燃料極と対向する燃料流路形成部、及び前記セル本体の空気極と対向する空気流路形成部を有するインターコネクタである、請求項1に記載の燃料電池の積層体。
  3. 前記インターコネクタは、前記第1の位置決め部が形成された三枚の部材を積層方向に互いに接合することによって構成されている、請求項2に記載の燃料電池の積層体。
  4. 第2の位置決め部を複数有する第2の積層部材を更に備え、
    複数の前記第2の位置決め部は、前記第2の積層部材が複数の姿勢にある時に、積層方向から見て、前記第1の積層部材の前記第1の位置決め部に対応する位置にそれぞれ形成されている、請求項1〜3の何れか一項に記載の燃料電池の積層体。
  5. 前記第1の位置決め部は、前記第1の積層部材の外周縁部に形成された切欠きによって構成されている、請求項1〜4の何れか一項に記載の燃料電池の積層体。
  6. 前記第2の位置決め部は、前記第2の積層部材の外周縁部に形成された切欠きによって構成され、
    前記第1の位置決め部と前記第2の位置決め部とでは、切欠き深さが異なる、請求項4に記載の燃料電池の積層体。
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