JP2017097483A - 制御装置、制御方法、情報処理プログラム、および記録媒体 - Google Patents

制御装置、制御方法、情報処理プログラム、および記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】ユーザが伝達特性を把握しやすく、かつ、ユーザがサーボモータの最大トルクを意識せずにサーボモータに所望の動作を実行させることのできる制御装置を提供する。【解決手段】制御装置(10)は、スライディングモード制御と、PID制御とのいずれによりサーボモータ(20)を制御するかを、位置偏差および速度偏差の少なくともいずれか一方に基づいて選択する。【選択図】図1

Description

本発明は、サーボモータなどのモータの駆動を制御する制御装置に関する。
従来、サーボモータの制御方法として、サーボモータの位置、速度が、外部から入力された位置指令値および速度指令値に追従するように制御するPID制御が知られている。また、モータの制御方法として、スライディングモード制御も、PID制御と同様に知られている。例えば、下掲載の特許文献1には、オリエンテーション制御に用いる物理変数を用いて定めたスライディングカーブに沿って回転子の位置及び速度を制御することにより、回転子を目標位置に停止させるスライディングモード制御を行う、モータの制御装置が開示されている。
特開2011−176906号公報(2011年9月8日公開)
しかしながら、PID制御を用いた場合、ユーザはその伝達特性を把握しやすいが、出力するべきトルクが制限される場合に、オーバーシュートおよびハンチング等を生じるという問題がある。一方で、スライディングモード制御を用いた場合、オーバーシュートおよびハンチングを生じない制御が可能であるが、スライディングモード制御器の伝達特性は非線形であるために、ユーザが把握しにくいという問題がある。
本発明は、前記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ユーザがその伝達特性を把握しやすく、かつ、ユーザがサーボモータの最大トルクを意識せずともサーボモータに所望の動作を実行させることのできる制御装置、制御方法、およびプログラムを提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る制御装置は、サーボモータ、または、サーボモータについてモデル追従制御を行うための規範モデルとしてのサーボモータを制御する制御装置であって、外部から入力された位置指令値および速度指令値と、前記サーボモータの位置および速度との偏差をそれぞれ示す位置偏差および速度偏差が、前記サーボモータの出力可能な所定のトルクと、前記サーボモータにより駆動される負荷機械の運動特性とにより決定される切替線上に収束するように、前記サーボモータに出力するトルクを決定するスライディングモード制御を行うスライディングモード制御部と、前記サーボモータの位置、速度が、前記位置指令値および速度指令値に追従するようPID制御を行うPID制御部と、前記スライディングモード制御部により制御するか、前記PID制御部により制御するかを、前記位置偏差および前記速度偏差の少なくともいずれか一方に基づいて選択する選択部と、を備えている。
前記の構成によれば、前記制御装置は、前記スライディングモード制御と前記PID制御とを選択的に実行する。ここで、前記スライディングモード制御によりユーザは、前記サーボモータの出力可能な最大トルクを意識せずとも、前記サーボモータまたは前記規範モデルの位置に係る指令(位置指令値)のみを与えることによって、前記サーボモータに所望の動作を実行させることができる。また、前記PID制御は、ユーザがその伝達特性を把握しやすい。したがって、前記制御装置は、前記スライディングモード制御と前記PID制御とを選択的に実行することにより、ユーザがその伝達特性を把握しやすく、かつ、ユーザが前記サーボモータの出力可能な最大トルクを意識せずとも、前記サーボモータに所望の動作を実行させることができるという効果を奏する。
また、前記の構成によれば、前記制御装置は、前記位置偏差および前記速度偏差の少なくともいずれか一方に基づいて、前記スライディングモード制御部により制御するか、前記PID制御部により制御するかを選択する。よって、前記制御装置は、制御量の大きさに応じてより適切な制御方法(前記スライディングモード制御または前記PID制御)を選択することが可能となるという効果を奏する。
好ましくは、前記制御装置において、前記スライディングモード制御部および前記PID制御部は、前記規範モデルとしてのサーボモータを制御するものであるとともに、前記選択部により選択された前記スライディングモード制御部または前記PID制御部により制御される前記規範モデルとしてのサーボモータの位置、速度に追従するよう、実際のサーボモータの位置、速度についてPID制御を行うフィードバック制御部をさらに含む。
前記の構成によれば、前記制御装置は、ユーザがその伝達特性を把握しやすく、かつ、ユーザが前記サーボモータの出力可能な最大トルクを意識せずとも、前記サーボモータに所望の動作を実行させることができる前記規範モデルを用いて、前記サーボモータについてPID制御を行うことができるという効果を奏する。
好ましくは、前記制御装置において、前記選択部は、前記PID制御部の制御するトルクが第一所定値以下である場合、および、前記速度偏差が第二所定値以下である場合のいずれか一方において、前記PID制御部を選択し、前記PID制御部の制御するトルクが前記第一所定値を超える場合、または、前記速度偏差が前記第二所定値を超える場合、前記スライディングモード制御部を選択する。
前記の構成によれば、前記制御装置は、前記PID制御部の制御するトルクが第一所定値以下である場合、および、前記速度偏差が第二所定値以下である場合のいずれか一方において、前記PID制御部を選択し、前記PID制御部の制御するトルクが前記第一所定値を超える場合、または、前記速度偏差が前記第二所定値を超える場合、前記スライディングモード制御部を選択する。したがって、前記制御装置は、前記第一所定値および前記第二所定値を用いて前記スライディングモード制御と前記PID制御とを選択的に実行することにより、ユーザがその伝達特性を把握しやすく、かつ、ユーザが前記サーボモータの出力可能な最大トルクを意識せずとも、前記サーボモータに所望の動作を実行させることができるという効果を奏する。
好ましくは、前記制御装置において、前記第一所定値は前記サーボモータが出力する最大トルクであり、前記選択部は、前記PID制御部が出力するトルクが前記サーボモータの前記最大トルク以下である場合、前記PID制御部を選択し、前記PID制御部が出力するトルクが前記最大トルクを超える場合、前記スライディングモード制御部を選択する。
前記の構成によれば、前記制御装置は、前記PID制御部の制御するトルクが前記最大トルク以下である場合、前記PID制御部により、前記サーボモータのトルクを制御することができ、かつ、前記スライディングモード制御により、前記サーボモータについて、オーバーシュートおよびハンチングの発生を抑制することができるという効果を奏する。
好ましくは、前記制御装置において、前記選択部は、前記位置偏差を縦軸、前記速度偏差を横軸にとる位相平面において、前記PID制御部の制御するトルクが前記最大トルクである場合に当該位相平面に描かれる直線に前記切替線が接するように前記切替線を平行移動させ、当該平行移動させた切替線に前記位置偏差および前記速度偏差が収束するよう前記スライディングモード制御部にスライディングモード制御を実行させる。
前記の構成によれば、前記制御装置は、前記PID制御部の制御するトルクが前記最大トルク以下である場合、前記PID制御部により、前記サーボモータのトルクを制御することができ、かつ、平行移動させた切替線に前記位置偏差および前記速度偏差が収束するよう前記スライディングモード制御部にスライディングモード制御を実行させることができるという効果を奏する。
好ましくは、前記制御装置において、前記選択部は、前記PID制御部の制御する速度偏差が前記第二所定値以下である場合、前記PID制御部を選択し、前記PID制御部の制御する速度偏差が前記第二所定値を超える場合、前記位置偏差を縦軸、前記速度偏差を横軸にとる位相平面において、前記切替線が、前記PID制御部の制御するトルクが0である時に当該位相平面に描かれる直線に、前記速度偏差が前記第二所定値であるところで接するように前記切替線を平行移動させ、当該平行移動させた切替線に前記位置偏差および前記速度偏差が収束するよう前記スライディングモード制御部にスライディングモード制御を実行させる。
前記の構成によれば、前記制御装置は、前記サーボモータのトルクを、前記スライディングモード制御部による制御から前記PID制御部による制御へと滑らかに変更することができるため、前記サーボモータのトルクの変化も滑らかにすることができ、かつ、前記スライディングモード制御により、前記サーボモータまたは前記規範モデルについて、オーバーシュートおよびハンチングの発生を抑制することができるという効果を奏する。
好ましくは、前記制御装置は、前記位相平面において、前記PID制御部の制御するトルクが前記サーボモータの出力する最小トルクである時に当該位相平面に描かれる直線である最小トルク直線、および、前記PID制御部の制御するトルクが前記サーボモータの出力する最大トルクである時に当該位相平面に描かれる直線である最大トルク直線の各々に、前記速度偏差が前記第二所定値であるところで、前記切替線が接するように、前記切替線を平行移動させた、最小平行移動切替線および最大平行移動切替線によって挟まれた領域を緩衝領域とする。
前記の構成によれば、前記制御装置は、前記最小平行移動切替線および前記最大平行移動切替線によって挟まれた領域を緩衝領域することができるという効果を奏する。
好ましくは、前記制御装置において、前記選択部は、前記PID制御部の制御する速度偏差が前記第二所定値以下である場合、前記PID制御部を選択し、前記PID制御部の制御する速度偏差が前記第二所定値を超える場合、前記スライディングモード制御部を選択する。
前記の構成によれば、前記制御装置は、前記PID制御部の制御する速度偏差が前記第二所定値を超える場合、前記スライディングモード制御部により、前記サーボモータのトルクを制御することができるため、前記サーボモータの位置および速度を前記位置指令値および前記速度指令値に一致させるのに要する時間が短く、かつ、前記スライディングモード制御により、前記サーボモータまたは前記規範モデルについて、オーバーシュートおよびハンチングの発生を抑制することができる。
好ましくは、前記制御装置において、前記速度指令値は0である。
前記の構成によれば、前記制御装置は、前記速度指令値が0であるため、前記位置指令値において指令されている目標位置に到達した時点で、前記サーボモータの速度も0とすることができるため、前記サーボモータの位置がオーバーシュートしないという効果を奏する。
好ましくは、前記制御装置において、前記スライディングモード制御部または前記PID制御部により制御される前記サーボモータの速度は、前記サーボモータの最大出力速度未満である。
前記の構成によれば、前記制御装置において、前記スライディングモード制御部または前記PID制御部により制御される前記サーボモータの速度は、前記サーボモータの最大出力速度未満である。
ここで、前記サーボモータの最大出力速度よりも大きな速度を、前記スライディングモード制御部または前記PID制御部により制御される前記サーボモータの速度として設定してしまうと、前記サーボモータは追従することができない。
前記制御装置において、前記スライディングモード制御部または前記PID制御部により制御される前記サーボモータの速度は、前記サーボモータの最大出力速度未満であるため、前記制御装置は、前記サーボモータが追従可能な、前記制御された速度を用いて、前記サーボモータを制御することができるという効果を奏する。
また、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る制御方法は、サーボモータ、または、当該サーボモータについてモデル追従制御を行うための規範モデルとしてのサーボモータを制御する制御方法であって、外部から入力された位置指令値および速度指令値と、前記サーボモータの位置および速度との偏差をそれぞれ示す位置偏差および速度偏差が、前記サーボモータの出力可能な所定のトルクと、前記サーボモータにより駆動される負荷機械の運動特性とにより決定される切替線上に収束するように、前記サーボモータに出力するトルクを決定するスライディングモード制御を行うスライディングモード制御ステップと、前記サーボモータの位置、速度が、前記位置指令値および速度指令値に追従するようPID制御を行うPID制御ステップと、前記サーボモータのトルクについて、前記スライディングモード制御ステップにて制御するか、前記PID制御ステップにて制御するかを、前記サーボモータの前記位置偏差および前記速度偏差によって選択する選択ステップと、を含む。
前記の構成によれば、前記制御方法は、前記スライディングモード制御と前記PID制御とを選択的に実行する。ここで、前記スライディングモード制御によりユーザは、前記サーボモータの出力可能な最大トルクを意識せずとも、前記サーボモータまたは前記規範モデルの位置に係る指令(位置指令値)のみを与えることによって、前記サーボモータに所望の動作を実行させることができる。また、前記PID制御は、ユーザがその伝達特性を把握しやすい。したがって、前記制御方法は、前記スライディングモード制御と前記PID制御とを選択的に実行することにより、ユーザがその伝達特性を把握しやすく、かつ、ユーザが前記サーボモータの出力可能な最大トルクを意識せずとも、前記サーボモータに所望の動作を実行させることができるという効果を奏する。
また、前記の構成によれば、前記制御方法は、前記位置偏差および前記速度偏差の少なくともいずれか一方に基づいて、前記スライディングモード制御により制御するか、前記PID制御により制御するかを選択する。よって、前記制御方法は、制御量の大きさに応じてより適切な制御(前記スライディングモード制御または前記PID制御)を選択することが可能となるという効果を奏する。
本発明の一態様によれば、サーボモータの制御装置等について、ユーザがその伝達特性を把握しやすく、かつ、ユーザが当該サーボモータの出力可能な最大トルクを意識せずとも、当該サーボモータに所望の動作を実行させることができるという効果を奏する。
本発明の実施形態1に係る制御装置の要部構成を示すブロック図である。 操作量不飽和時の、制御された速度の軌跡を示す図であって、PID制御のみによる場合と、スライディングモード制御のみによる場合と、図1の制御装置の実行する制御による場合とを対比して示すグラフである。 操作量飽和時の、制御された速度の軌跡を示す図であって、PID制御のみによる場合と、スライディングモード制御のみによる場合と、図1の制御装置の実行する制御による場合とを対比して示すグラフである。 図1の制御装置において実行されるスライディングモード制御を説明する図である。 図1の制御装置をフィードフォワード制御部として含む、モデル追従制御を行うサーボモータの制御装置の要部構成を示すブロック図である。 図1の制御装置において実行されるスライディングモード制御について、速度指令を位置指令の微分とした場合のモデル出力位置の軌跡を示す図である。 図1の制御装置において実行されるスライディングモード制御について、速度指令を「0」とした場合のモデル出力位置の軌跡を示す図である。 図1の制御装置について、提案手法1に係る切替線について説明するための図である。 操作量不飽和時の、制御された速度およびトルクの軌跡を示す図であって、PID制御のみによる場合と、スライディングモード制御のみによる場合と、図1の制御装置が提案手法1に係る切替線を利用して実行する制御による場合とを対比して示すグラフである。 操作量飽和時の、制御された速度およびトルクの軌跡を示す図であって、PID制御のみによる場合と、スライディングモード制御のみによる場合と、図1の制御装置が提案手法1に係る切替線を利用して実行する制御による場合とを対比して示すグラフである。 PID制御のみによる場合と、スライディングモード制御のみによる場合と、図1の制御装置が提案手法1に係る切替線を利用して実行する制御による場合とを、横軸に速度偏差、縦軸に位置偏差をとる位相平面上で対比して示すグラフである。 図1の制御装置について、提案手法2に係る切替線について説明するための図である。 操作量不飽和時の、制御された速度およびトルクの軌跡を示す図であって、PID制御のみによる場合と、スライディングモード制御のみによる場合と、図1の制御装置が提案手法2に係る切替線を利用して実行する制御による場合とを対比して示すグラフである。 操作量飽和時の、制御された速度およびトルクの軌跡を示す図であって、PID制御のみによる場合と、スライディングモード制御のみによる場合と、図1の制御装置が提案手法2に係る切替線を利用して実行する制御による場合とを対比して示すグラフである。 PID制御のみによる場合と、スライディングモード制御のみによる場合と、図1の制御装置が提案手法2に係る切替線を利用して実行する制御による場合とを、横軸に速度偏差、縦軸に位置偏差をとる位相平面上で対比して示すグラフである。 図1の制御装置について、提案手法3に係る切替線について説明するための図である。 操作量不飽和時の、制御された速度およびトルクの軌跡を示す図であって、PID制御のみによる場合と、スライディングモード制御のみによる場合と、図1の制御装置が提案手法3に係る切替線を利用して実行する制御による場合とを対比して示すグラフである。 操作量飽和時の、制御された速度およびトルクの軌跡を示す図であって、PID制御のみによる場合と、スライディングモード制御のみによる場合と、図1の制御装置が提案手法3に係る切替線を利用して実行する制御による場合とを対比して示すグラフである。 PID制御のみによる場合と、スライディングモード制御のみによる場合と、図1の制御装置が提案手法3に係る切替線を利用して実行する制御による場合とを、横軸に速度偏差、縦軸に位置偏差をとる位相平面上で対比して示すグラフである。 操作量不飽和時の、制御された速度およびトルクの軌跡を示す図であって、図1の制御装置が実行する制御の利用する切替線が、提案手法1、提案手法2、提案手法3に係る切替線である場合の各々を対比して示すグラフである。 操作量飽和時の、制御された速度およびトルクの軌跡を示す図であって、図1の制御装置が実行する制御の利用する切替線が、提案手法1、提案手法2、提案手法3に係る切替線である場合の各々を対比して示すグラフである。 図1の制御装置が実行する制御の利用する切替線が、提案手法1、提案手法2、提案手法3に係る切替線である場合の各々を、横軸に速度偏差、縦軸に位置偏差をとる位相平面上で対比して示すグラフである。 vaを「速度制限を始めるしきい値」、vbを「速度制限値」として、モデル出力速度に応じて、スライディングモード制御によるモデル出力トルクを制限することを示す図である。 従来の制御装置の概要を示す図である。
〔実施形態1〕
以下、本発明の実施形態1について、図1から図23に基づいて詳細に説明する。図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。なお、詳細は図5を用いて後述するが、制御装置10は、実際のサーボモータである実サーボモータ20R(サーボモータ)を制御する制御装置として利用可能であるだけでなく、実サーボモータ20Rについてモデル追従制御を行うための規範モデルとしてのモデルサーボモータ20Mを制御する制御装置としても利用可能である。図5では、制御装置10を、実サーボモータ20Rについてモデル追従制御を行うための規範モデルとしてのモデルサーボモータ20Mを制御する制御装置として、つまり、フィードフォワード制御装置として利用する例について説明する。ただし、制御装置10は実サーボモータ20Rを直接制御する制御装置としても利用可能である。
以下の説明において、実サーボモータ20Rとモデルサーボモータ20Mとを特に区別しない場合、両者を併せて「サーボモータ20」と称する。同様に、実負荷機械40Rと、実負荷機械40Rの規範モデルであるモデル負荷機械40Mとを特に区別しない場合、両者を併せて「負荷機械40」と称する。
本発明の一態様に係る制御装置10についての理解を容易にするため、先ず、従来のスライディングモード制御装置90について、図24に基づいて説明しておく。
(従来の制御装置の概要)
図24は、従来の制御装置の一例である従来のスライディングモード制御装置90の概要を示す図である。また、図24には、従来のスライディングモード制御装置90によって制御されるサーボモータ20と、サーボモータ20の位置を検出するエンコーダ30と、サーボモータ20によって駆動される負荷機械40と、が描かれている。
サーボモータ20は、従来のスライディングモード制御装置90によって制御され、負荷機械40を駆動する。エンコーダ30は、サーボモータ20の位置を検出し、例えば、サーボモータ20の回転角度を検出する。エンコーダ30は、検出した位置を従来のスライディングモード制御装置90に送信する。なお、エンコーダ30は、サーボモータ20の速度を検出してもよく、検出した速度を従来のスライディングモード制御装置90に送信してもよい。その場合、従来のスライディングモード制御装置90は、エンコーダ30によって検出されたサーボモータ20の位置(フィードバック位置θfb)からサーボモータ20の速度を算出する速度検出部92を備えなくてもよい。
従来のスライディングモード制御装置90は、速度指令生成部91、速度検出部92、およびスライディングモード制御部93を備えている。速度指令生成部91は、外部から(例えば、ユーザから)与えられる位置指令値θを受け付け、前記位置指令値θから速度指令値vを生成する。速度指令生成部91は、生成した前記速度指令値vを出力する。速度検出部92は、エンコーダ30からのフィードバック位置θfbに基づいてフィードバック速度vfbを算出し、算出したフィードバック速度vfbを出力する。
スライディングモード制御部93は、前記位置指令値θと、前記位置指令値θから速度指令生成部91により生成された前記速度指令値vと、エンコーダ30により検出されたフィードバック位置θfbと、フィードバック位置θfbに基づいて速度検出部92により算出されたフィードバック速度vfbと、を受け付ける。より正確には、スライディングモード制御部93は、前記位置指令値θと前記フィードバック位置θfbとの偏差である位置偏差θerr、および、前記速度指令値vと前記フィードバック速度vfbとの偏差である速度偏差verrを受け付ける。そして、スライディングモード制御部93は、前記位置偏差θerrと、前記速度偏差verrとを切替線として、サーボモータ20についてスライディングモード制御を行なう。
ここで、一般にスライディングモード制御には、オーバーシュートおよびハンチング等の問題を発生させない制御が可能であるという特徴がある一方、スライディングモード制御器の伝達特性は非線形であるために、ユーザが把握しにくいという特徴がある。また、ユーザがその伝達特性を把握しやすいPID制御には、出力するべきトルクが制限される場合に、オーバーシュートおよびハンチング等の問題が生じ得るという問題がある。
そこで、本発明の一態様に係る制御装置10は、PID制御とスライディングモード制御とを特定の領域で切り換える。したがって、制御装置10は、ユーザが特性を把握しやすく、ユーザが希望する軌道を描かせやすいというPID制御の特性と、設定されたトルク制限値を超えるような指令を与えられた時に、設定されたトルク制限値を最大限に利用した軌道を自動的に描くことができるというスライディングモード制御の特性とを両立させるものである。
スライディングモード制御のみを実行する従来のスライディングモード制御装置90と以上に説明した点で異なる制御装置10について、その概要は以下のように表現することができる。すなわち、制御装置10は、外部から入力された位置指令値θおよび速度指令値vと、サーボモータ20の位置および速度との偏差をそれぞれ示す位置偏差θerrおよび速度偏差verrが、サーボモータ20の出力可能な所定のトルク(例えば、サーボモータ20の出力可能な最大トルクτmax(τmin))と、サーボモータ20により駆動される負荷機械40の運動特性とにより決定される切替線SL上に収束するように、サーボモータ20に出力するトルクを決定するスライディングモード制御を行うスライディングモード制御部104と、サーボモータ20の位置、速度が、前記位置指令値θおよび速度指令値vに追従するようPID制御を行う位置制御部101および速度制御部103(PID制御部)と、スライディングモード制御部104により制御するか、位置制御部101および速度制御部103により制御するかを、前記位置偏差θerrおよび前記速度偏差verrの少なくともいずれか一方に基づいて選択する切替部105(選択部)と、を備えている。
なお、以下の説明においては、位置制御部101と速度制御部103とを併せて、「PID制御部」と呼ぶものとする。また、前述の通り、制御装置10は、実サーボモータ20R(サーボモータ)、または、実サーボモータ20Rについてモデル追従制御を行うための規範モデルとしてのモデルサーボモータ20Mを制御する制御装置である。したがって、前述の「サーボモータ20」は、実サーボモータ20Rまたはモデルサーボモータ20Mを意味しており、同様に、「負荷機械40」は、実負荷機械40Rまたはモデル負荷機械40Mを意味している。
前記の構成によれば、制御装置10は、スライディングモード制御部104の実行する前記スライディングモード制御と、PID制御部(位置制御部101および速度制御部103)の実行する前記PID制御と、を選択的に実行する。ここで、前記スライディングモード制御によりユーザは、サーボモータ20の出力可能な最大トルクτmaxを意識せずとも、サーボモータ20または前記規範モデルの位置に係る指令(位置指令値θ)のみを与えることによって、サーボモータ20に所望の動作を実行させることができる。また、前記PID制御は、ユーザがその伝達特性を把握しやすい。したがって、制御装置10は、前記スライディングモード制御と前記PID制御とを選択的に実行することにより、ユーザがその伝達特性を把握しやすく、かつ、ユーザがサーボモータ20の出力可能な最大トルクτmaxを意識せずとも、サーボモータ20に所望の動作を実行させることができるという効果を奏する。
また、前記の構成によれば、制御装置10は、前記位置偏差θerrおよび前記速度偏差verrの少なくともいずれか一方に基づいて、スライディングモード制御部104により制御するか、前記PID制御部(すなわち、位置制御部101および速度制御部103)により制御するかを選択する。よって、制御装置10は、制御量の大きさに応じてより適切な制御方法(前記スライディングモード制御または前記PID制御)を選択することが可能となるという効果を奏する。
好ましくは、制御装置10において、切替部105は、前記PID制御部(すなわち、位置制御部101および速度制御部103)の制御するトルクが第一所定値(例えば、サーボモータ20の出力可能な最大トルクτmax以下で、負の最大トルク、つまり最小トルクτmin以上である値)である場合、および、前記速度偏差verrの絶対値が第二所定値以下である場合のいずれか一方において、前記PID制御部を選択し、前記PID制御部の制御するトルクが前記第一所定値を超える場合、または、前記速度偏差verrが前記第二所定値を超える場合、スライディングモード制御部104を選択する。なお、以下では、モータの動作方向が正の場合について述べるが、動作方向が負となる場合も、同様の動作が行われる。
前記の構成によれば、制御装置10は、前記PID制御部の制御するトルクが第一所定値以下である場合、および、前記速度偏差verrが第二所定値以下である場合のいずれか一方において、前記PID制御部を選択し、前記PID制御部の制御するトルクが前記第一所定値を超える場合、または、前記速度偏差verrが前記第二所定値を超える場合、スライディングモード制御部104を選択する。したがって、制御装置10は、前記第一所定値および前記第二所定値を用いて前記スライディングモード制御と前記PID制御とを選択的に実行することにより、ユーザがその伝達特性を把握しやすく、かつ、ユーザがサーボモータ20の出力可能な最大トルクτmaxを意識せずとも、サーボモータ20に所望の動作を実行させることができるという効果を奏する。
なお、先行技術として挙げた前述の特開2011−176906号公報に記載のスライディングモード制御を行う制御装置は、モータの回転子の回転速度がオリエンテーション速度になると、回転子を目標位置に停止させるスライディングモード制御を行うものである。これに対し、制御装置10は、サーボモータ20の位置、速度について、前記PID制御により制御するか前記スライディングモード制御により制御するかを、前記位置偏差θerrおよび前記速度偏差verrの少なくともいずれか一方に基づいて選択する。また、前述の特開2011−176906号公報に記載のスライディングモード制御を行う制御装置は、制御対象物を位置決めする位置制御モードの期間中の全てでスライディングモード制御を行う。一方、制御装置10は、位置制御モードの期間中で、所定の条件に従ってスライディングモード制御からPID制御へと切り替えて、PID制御の状態で位置決めを行う。
また、前記第一所定値が、サーボモータ20の出力可能な最大トルクτmax(または、負の最大トルク、つまり最小トルクτmin)であることは必須ではない。前記第一所定値は、サーボモータ20の出力可能な所定のトルクであればよく、その他の制限は特にない。以上に概要を説明した制御装置10について、次に、図1を用いて、その詳細を説明していく。
(本発明の一態様に係る制御装置の詳細)
図1は、制御装置10の要部構成を示すブロック図である。制御装置10は、サーボモータ20を制御する制御装置であり、位置制御部101、速度指令生成部102、速度制御部103、スライディングモード制御部104、切替部105、トルクリミッタ106、および速度検出部107を備えている。
速度指令生成部102は、外部から(例えば、ユーザから)与えられる位置指令値θを受け付け、当該位置指令値θから速度指令値vを生成する。速度指令生成部102は、生成した前記速度指令値vを、速度制御部103およびスライディングモード制御部104へと出力する。
速度検出部107は、エンコーダ30によって検出されたサーボモータ20の位置(フィードバック位置θfb)からサーボモータ20の速度(フィードバック速度vfb)を算出する。速度検出部107は、算出したフィードバック速度vfbを速度制御部103およびスライディングモード制御部104へと出力する。
位置制御部101および速度制御部103は、サーボモータ20にPID制御を行う。すなわち、位置制御部101は、前記位置指令値θと、エンコーダ30によって検出されたサーボモータ20の位置(フィードバック位置θfb)と、を受け付け、フィードバック位置θfbが前記位置指令値θに追従するように制御する(PID制御)。位置制御部101は、前記位置指令値θと前記フィードバック位置θfbとの偏差である位置偏差θerrを受け付け、当該位置偏差θerrに基づいてサーボモータ20の速度を制御する信号(速度制御信号)を生成してもよい。
速度制御部103は、位置制御部101が前記位置偏差θerrに基づいて生成した前記速度制御信号と、速度指令生成部102により生成された速度指令値vと、速度検出部107により算出されたフィードバック速度vfbとを受け付ける。速度制御部103は、前記速度制御信号および速度指令値vと、フィードバック速度vfbとの偏差である速度偏差verrに基づいてサーボモータ20のトルクを制御する信号を生成する。すなわち、速度制御部103は、前記フィードバック速度vfbが、前記速度制御信号および速度指令値vに追従するように、サーボモータ20のトルクを制御する信号を生成する(PID制御)。
スライディングモード制御部104は、前記位置指令値θと、エンコーダ30によって検出された前記フィードバック位置θfbと、を受け付け、特に、前記位置指令値θと前記フィードバック位置θfbとの偏差である位置偏差θerrを受け付ける。また、スライディングモード制御部104は、位置制御部101が前記位置偏差θerrに基づいて生成した前記速度制御信号と、速度指令生成部102により生成された速度指令値vと、速度検出部107により算出されたフィードバック速度vfbとを受け付け、特に、前記速度制御信号および速度指令値vと、フィードバック速度vfbとの偏差である速度偏差verrを受け付ける。そして、スライディングモード制御部104は、前記位置偏差θerrと、前記速度偏差verrとが、切替線SL(切替面)上に収束するように、サーボモータ20のトルクを制御する信号を生成する。ここで、前記切替線SLは、サーボモータ20が出力可能な所定のトルク(例えば、サーボモータ20の出力可能な最大トルクτmax)と、サーボモータ20により駆動される負荷機械40の運動特性とにより決定される。前記切替線SLについての詳細は、後に図4等を用いて説明する。
切替部105は、サーボモータ20を、スライディングモード制御部104により制御するか、PID制御部(すなわち、位置制御部101および速度制御部103)により制御するかを、前記位置偏差θerrおよび前記速度偏差verrの少なくともいずれか一方に基づいて選択する。なお、PID制御部は、P制御、PI制御、PD制御、PID制御のいずれかを行うものである。切替部105による切替手法について詳細は、後に図8から図22を用いて説明する。
トルクリミッタ106は、PID制御部(すなわち、位置制御部101および速度制御部103)またはスライディングモード制御部104により生成された信号(サーボモータ20のトルクを制御する信号)に基づいて、サーボモータ20のトルクを制御する。
以上に構成の詳細を説明した制御装置10について、制御装置10が実行するサーボモータ20の制御方法は以下のように整理することができる。すなわち、制御装置10が実行する制御方法は、実際のサーボモータである実サーボモータ20R、または、実サーボモータ20Rについてモデル追従制御を行うための規範モデルとしてのモデルサーボモータ20Mを制御する制御方法である。制御装置10が実行する制御方法は、外部から入力された位置指令値θおよび速度指令値vと、サーボモータ20の位置および速度との偏差をそれぞれ示す位置偏差θerrおよび速度偏差verrが、サーボモータ20の出力可能な所定のトルク(例えば、サーボモータ20の出力可能な最大トルクτmax(τmin))と、サーボモータ20により駆動される負荷機械40の運動特性とにより決定される切替線SL上に収束するように、サーボモータ20に出力するトルクを決定するスライディングモード制御を行うスライディングモード制御ステップと、サーボモータ20の位置、速度が、前記位置指令値θおよび速度指令値vに追従するようPID制御を行うPID制御ステップと、サーボモータ20のトルクについて、前記スライディングモード制御ステップにて制御するか、前記PID制御ステップにて制御するかを、サーボモータ20の前記位置偏差θerrおよび前記速度偏差verrによって選択する選択ステップと、を含む。
なお、PID制御ステップは、前記PID制御部によって実行される処理であり、つまり、位置制御部101および速度制御部103によって実行される処理である。また、スライディングモード制御ステップは、スライディングモード制御部104によって実行される処理である。
前記の構成によれば、前記制御方法は、前記スライディングモード制御と前記PID制御とを選択的に実行する。ここで、前記スライディングモード制御によりユーザは、サーボモータ20の出力可能な最大トルクτmaxを意識せずとも、サーボモータ20または前記規範モデルの位置に係る指令(位置指令値θ)のみを与えることによって、サーボモータ20に所望の動作を実行させることができる。また、前記PID制御は、ユーザがその伝達特性を把握しやすい。したがって、前記制御方法は、前記スライディングモード制御と前記PID制御とを選択的に実行することにより、ユーザがその伝達特性を把握しやすく、かつ、ユーザがサーボモータ20の出力可能な最大トルクτmaxを意識せずとも、サーボモータ20に所望の動作を実行させることができるという効果を奏する。
また、前記の構成によれば、前記制御方法は、前記位置偏差θerrおよび前記速度偏差verrの少なくともいずれか一方に基づいて、前記スライディングモード制御により制御するか、前記PID制御により制御するかを選択する。よって、前記制御方法は、制御量の大きさに応じてより適切な制御(前記スライディングモード制御または前記PID制御)を選択することが可能となるという効果を奏する。
(本発明の一態様に係る制御装置による制御の効果)
次に、これまでに構成の詳細を説明してきた制御装置10について、実際に制御装置10がサーボモータ20を制御した場合の制御結果を、PID制御のみによってサーボモータ20を制御した場合、およびスライディングモード制御のみによってサーボモータ20を制御した場合と比較して説明していく。
図2は、操作量不飽和時の、制御された速度(サーボモータ20のモデル速度)の軌跡を示す図であって、PID制御のみによる場合(PID制御器)と、スライディングモード制御のみによる場合(スライディングモード制御器)と、制御装置10の実行する制御による場合(提案方式)とを対比して示すグラフである。
図3は、操作量飽和時の、制御された速度の軌跡を示す図であって、PID制御のみによる場合(PID制御器)と、スライディングモード制御のみによる場合(スライディングモード制御器)と、制御装置10の実行する制御による場合(提案方式)とを対比して示すグラフである。
すなわち、図2および図3は、各々、操作量が、つまり、制御器(PID制御器、スライディングモード制御器、および制御装置10)の出力トルク(各制御器によって制御されたサーボモータ20のモデルトルク)が、飽和しなかった場合と、飽和した場合とにおける、各制御器によるモデル速度の制御結果(軌跡)を示している。
図2に示した通り、操作量が飽和していない時は、制御装置10の実行する制御(提案方式)が示すモデル速度の制御結果(軌跡)は、PID制御のみによるモデル速度の制御結果と同一の軌道をたどる。
また、図3において、操作量が飽和した時、PID制御のみによる制御はオーバーシュートを発生させてしまうことが示されている。しかしながら、制御装置10の実行する制御(提案方式)は、操作量が飽和した時にも、オーバーシュートすることなく位置決めを実行することができている。
なお、図2および図3は、モデル追従制御におけるモデル速度についての軌跡(制御結果)を示したものだが、モデルを用いない制御の場合でも、制御結果は同様である。
(スライディングモード制御について)
図4は、制御装置10のスライディングモード制御部104が実行するスライディングモード制御を説明する図である。図4に示すように、スライディングモード制御部104は、速度偏差verrと位置偏差θerrを入力とし、入力された速度偏差verrおよび位置偏差θerrにより決まる点が、図4に示した切替線SL(切替面)のどちら側にいるかで、サーボモータ20のトルクを決定する。
切替線SLは、サーボモータ20が出力可能な正の所定のトルク、または負の所定のトルク(例えば、サーボモータ20が出力可能な正の最大トルクτmax、または負の最大トルク、つまり最小トルクτmin)を出力した時に、原点(すなわち位置偏差θerrおよび速度偏差verrがともに「0」になる位置)へ至る軌道として設計されている。
図4に示すように、横軸に速度偏差verr、縦軸に位置偏差θerrをとる位相平面PPを考え、位相平面PP上に、速度偏差verrと位置偏差θerrとの式で表される切替線SL(切替面)を描く。与えられた入力(スライディングモード制御部104が受け付けた速度偏差verrおよび位置偏差θerr)を位相平面PPにプロットした時、当該入力を示す点が、切替線SLの紙面右上側にいる場合、スライディングモード制御部104は、サーボモータ20が出力可能な正の所定のトルク(例えば、サーボモータ20が出力可能な最大トルクτmax)を出力する。前記入力を示す点が、位相平面PPにおいて切替線SLの紙面左下側にいる場合、スライディングモード制御部104は、サーボモータ20が出力可能な負の所定のトルク(例えば、サーボモータ20が出力可能な最小トルク、すなわち負の最大トルクτmin)を出力する。また、切替線上にいる場合、第2象限では負の最大トルクを、第4象限では正の最大トルクを出力する。これにより、位置偏差、速度偏差の双方が原点に向かって収束する。
(本発明の一態様に係る制御装置による制御の効果)
前述の通り、制御装置10は、実際のサーボモータである実サーボモータ20Rを制御する制御装置として利用可能であるだけでなく、実サーボモータ20Rについてモデル追従制御を行うための規範モデルとしてのモデルサーボモータ20Mを制御する制御装置としても利用可能である。制御装置10を、モデルサーボモータ20Mを制御する制御装置として、つまり、フィードフォワード制御装置として利用する例について、図5を用いて説明する。
図5は、制御装置10をフィードフォワード制御部60として含む、モデル追従制御を行うサーボモータの制御装置80の要部構成を示すブロック図である。図5に示すように、制御装置10において、スライディングモード制御部104と、前記PID制御部(すなわち、位置制御部101および速度制御部103)とは、実サーボモータ20Rの規範モデルとしてのモデルサーボモータ20Mを制御するものであるとともに、切替部105により選択されたスライディングモード制御部104または前記PID制御部により制御されるモデルサーボモータ20Mの位置、速度に追従するよう、実サーボモータ20Rの位置、速度についてPID制御を行うフィードバック制御部70をさらに含む。
前記の構成によれば、制御装置10は、ユーザがその伝達特性を把握しやすく、かつ、ユーザがサーボモータ20の出力可能な最大トルクτmaxを意識せずとも、サーボモータ20に所望の動作を実行させることができる前記規範モデルを用いて、サーボモータ20についてPID制御を行うことができるという効果を奏する。
図5に示すように、制御装置10を、実サーボモータ20Rについてモデル追従制御を行う制御装置80のフィードフォワード制御部60に利用する場合、制御装置10は、実サーボモータ20Rのモデル(規範モデル)であるモデルサーボモータ20Mを制御する。具体的には、制御装置10を含むフィードフォワード制御部60が、実サーボモータ20Rの位置、速度、トルクの目標値である、モデルサーボモータ20Mのモデル位置、モデル速度、モデルトルクを制御する。
制御装置10の速度指令生成部102は、外部から(例えば、ユーザから)与えられる位置指令値θを受け付け、当該位置指令値θからモデル速度指令値を生成する。速度指令生成部102は、生成した前記モデル速度指令値を、速度制御部103およびスライディングモード制御部104へと出力する。
速度検出部107は、制御対象モデル検出部50から、制御対象モデル検出部50によって検出されたモデルサーボモータ20Mの速度(モデル速度)を取得する。速度検出部107は、制御対象モデル検出部50から取得した前記モデル速度を、速度制御部103およびスライディングモード制御部104へと出力する。
位置制御部101および速度制御部103は、モデルサーボモータ20MにPID制御を行う。すなわち、位置制御部101は、前記位置指令値θと、制御対象モデル検出部50によって検出されたモデルサーボモータ20Mの位置(モデル位置)と、を受け付け、モデル位置が前記位置指令値θに追従するように制御する(PID制御)。位置制御部101は、前記位置指令値θと前記モデル位置との偏差であるモデル位置偏差を受け付け、当該モデル位置偏差に基づいてサーボモータ20の速度を制御する信号(速度制御信号)を生成してもよい。
速度制御部103は、位置制御部101が前記モデル位置偏差に基づいて生成した前記速度制御信号と、速度指令生成部102により生成されたモデル速度指令値と、速度検出部107からのモデル速度とを受け付ける。速度制御部103は、前記速度制御信号およびモデル速度指令値と、モデル速度との偏差であるモデル速度偏差に基づいてモデルサーボモータ20Mのモデルトルクを制御する信号を生成する。すなわち、速度制御部103は、前記モデル速度が、前記速度制御信号およびモデル速度指令値に追従するように、モデルサーボモータ20Mのモデルトルクを制御する信号を生成する(PID制御)。
スライディングモード制御部104は、前記位置指令値θと、制御対象モデル検出部50によって検出された前記モデル位置と、を受け付け、特に、前記位置指令値θと前記モデル位置との偏差であるモデル位置偏差を受け付ける。また、スライディングモード制御部104は、位置制御部101が前記モデル位置偏差に基づいて生成した前記速度制御信号と、速度指令生成部102により生成されたモデル速度指令値と、速度検出部107からのモデル速度とを受け付け、特に、前記速度制御信号および前記モデル速度指令値と、モデル速度との偏差であるモデル速度偏差を受け付ける。そして、スライディングモード制御部104は、前記モデル位置偏差と、前記モデル速度偏差とが、切替線SL(切替面)上に収束するように、モデルサーボモータ20Mのモデルトルクを制御する信号を生成する。ここで、前記切替線SLは、実サーボモータ20Rが出力可能な所定のトルク(例えば、実サーボモータ20Rの出力可能な最大トルクτmax)と、実サーボモータ20Rにより駆動される実負荷機械40Rの運動特性とにより決定される。前記切替線SLについての詳細は、後に図4等を用いて説明する。
切替部105は、モデルサーボモータ20Mを、スライディングモード制御部104により制御するか、PID制御部(すなわち、位置制御部101および速度制御部103)により制御するかを、前記モデル位置偏差および前記モデル速度偏差の少なくともいずれか一方に基づいて選択する。切替部105による切替手法について詳細は、後に図8から図22を用いて説明する。
トルクリミッタ106は、PID制御部(すなわち、位置制御部101および速度制御部103)またはスライディングモード制御部104により生成された信号(モデルサーボモータ20Mのモデルトルクを制御する信号)に基づいて、モデルサーボモータ20Mのトルクを制御する。
制御対象モデル検出部50は、トルクリミッタ106から出力されたモデルトルクに基づいてモデルサーボモータ20Mのモデル位置およびモデル速度を算出する。制御対象モデル検出部50は、算出した前記モデル位置および前記モデル速度を、位置制御部101、速度指令生成部102、速度制御部103、速度検出部107、および、フィードバック制御部70に通知する。
フィードバック制御部70は、フィードフォワード制御部60(制御装置10)により制御されたモデルサーボモータ20Mに追従するよう、実サーボモータ20RについてPID制御を行う。すなわち、フィードバック制御部70は、制御装置10を含むフィードフォワード制御部60により制御されたモデルサーボモータ20Mのモデル位置、モデル速度、および、モデルトルクに追従するよう、実サーボモータ20Rの位置、速度、およびトルクについてPID制御を行う。フィードバック制御部70は、位置制御部71、速度制御部72、実トルクリミッタ73、速度検出部74を備えている。
位置制御部71は、エンコーダ30により検出された実サーボモータ20Rの位置と、制御対象モデル検出部50により生成されたモデルサーボモータ20Mのモデル位置とを受け付ける。位置制御部71は、実サーボモータ20Rの位置が前記モデル位置に追従するように制御する速度制御指令を生成し、生成した速度制御指令を速度制御部72へと出力する。
速度検出部74は、エンコーダ30により検出された実サーボモータ20Rの位置から実サーボモータ20Rの速度を算出し、算出した実サーボモータ20Rの速度を速度制御部72へと出力する。
速度制御部72は、位置制御部71により生成された速度制御指令、制御対象モデル検出部50により生成されたモデルサーボモータ20Mのモデル速度、および、速度検出部74により算出された速度(実サーボモータ20Rの速度)を受け付ける。そして、速度検出部74により算出された実サーボモータ20Rの速度が、前期速度制御指令および前期モデル速度に追従するように制御するトルク制御指令を生成し、生成したトルク制御指令を実トルクリミッタ73へと出力する。
実トルクリミッタ73は、速度制御部72により生成されたトルク制御指令と、制御対象モデル検出部50により生成されたモデルサーボモータ20Mのモデルトルクとに基づいて、実サーボモータ20Rを制御する。
(スライディングモード制御部の受け付ける速度指令について)
制御装置10のスライディングモード制御部104が受け付ける速度偏差verrは、外部から(例えば、ユーザから)与えられる位置指令値θに基づいて速度指令生成部102が生成する速度指令値vと、エンコーダ30によって検出されたサーボモータ20の位置(フィードバック位置θfb)から速度検出部107により算出されたフィードバック速度vfbとの偏差である。
以下、スライディングモード制御部104の受け付ける速度指令値v、つまり、速度指令生成部102の生成する速度指令値vにより、スライディングモード制御部104の制御するモデルの挙動がどのように変化するかを、図6および図7を用いて説明する。具体的には、スライディングモード制御部104の受け付ける速度指令値vを、「位置指令値θの微分」とした場合と、「0」とした場合とについて説明する。制御装置10において、スライディングモード制御部104の受け付ける速度指令値vを「位置指令の微分」とすることができる。すなわち、速度指令生成部102は、「位置指令の微分」である速度指令値vを、スライディングモード制御部104に出力してもよい。
図6は、制御装置10において実行されるスライディングモード制御について、速度指令を位置指令の微分とした場合のモデル出力位置の軌跡を示す図であり、つまり、スライディングモード制御部104の受け付ける速度指令値vを「位置指令値θの微分」とした場合の、スライディングモード制御部104の制御するモデルの挙動を示す図である。図6に示すように、スライディングモード制御部104の受け付ける速度指令値vを「位置指令値θの微分」とした場合、当該位置指令値θに対する指令追従性が高い一方、モデル出力位置のオーバーシュートが起き得る。
制御装置10において、スライディングモード制御部104の受け付ける速度指令値vを「0」とすることができる。すなわち、速度指令生成部102は、「0」である速度指令値vを、スライディングモード制御部104に出力してもよい。
前記の構成によれば、制御装置10は、前記速度指令値vが0であるため、前記位置指令値θにおいて指令されている目標位置に到達した時点で、サーボモータ20の速度も0とすることができるため、サーボモータ20の位置がオーバーシュートしないという効果を奏する。
図7は、制御装置10において実行されるスライディングモード制御について、速度指令を「0」とした場合のモデル出力位置の軌跡を示す図であり、つまり、スライディングモード制御部104の受け付ける速度指令値vを「0」とした場合の、スライディングモード制御部104の制御するモデルの挙動を示す図である。図7に示すように、スライディングモード制御部104の受け付ける速度指令値vを「0」とした場合、モデル出力位置がオーバーシュートすることがない一方、位置指令値θに対して遅延が生じ、指令追従性が低下する。
(PID制御とスライディングモード制御との切り換え方法)
制御装置10は、PID制御とスライディングモード制御とを、状態(位置偏差θerrおよび速度偏差verr)によって切り換えることにより、以下の効果を奏する。すなわち、制御装置10は、PID制御の「ユーザが特性を把握しやすい」という利点と、スライディングモード制御の「トルクが制限される場合でもオーバーシュートおよびハンチング等の問題が発生しない軌道を生成できる」という利点を併せ持つ。
ここで、制御装置10の切替部105は、PID制御(位置制御部101および速度制御部103により制御されるサーボモータ20のトルク)とスライディングモード制御(スライディングモード制御部104により制御されるサーボモータ20のトルク)とを、以下に示す3種類の方法(提案手法1〜3)によって切り換える。なお、提案手法1〜3のいずれも、操作量の飽和が起きた場合であっても、つまり、制御装置10の出力トルク(制御装置10によって制御されたサーボモータ20のモデルトルク)が飽和した場合であっても、オーバーシュートおよびハンチング等の発生を抑制することができる。
(提案手法1)
図8は、制御装置10について、提案手法1に係る切替線SLについて説明するための図である。図8に示す提案手法1は、切替部105が、「操作量飽和が起きない限りはPID制御を維持する」という方針の下でPID制御とスライディングモード制御とを切り替えるものである。
すなわち、提案手法1を採用する切替部105は、前記PID制御部(すなわち、位置制御部101および速度制御部103)の制御するトルクがサーボモータ20の出力可能な最大トルクτmax(または、負の最大トルク、つまり最小トルクτmin)(第一所定値)以下である場合、前記PID制御部によるサーボモータ20の制御を選択し、前記PID制御部の制御するトルクがサーボモータ20の出力可能な最大トルクτmaxを超える場合、スライディングモード制御部104によるサーボモータ20の制御を選択する。
前記の構成によれば、制御装置10は、前記PID制御部の制御するトルクが前記最大トルクτmax以下である場合、前記PID制御部により、サーボモータ20のトルクを制御することができ、かつ、前記スライディングモード制御により、サーボモータ20について、オーバーシュートおよびハンチングの発生を抑制することができるという効果を奏する。
また、提案手法1を採用する切替部105は、前記位置偏差θerrを縦軸、前記速度偏差verrを横軸にとる位相平面PP(図8に例示する位相平面PP)において、前記PID制御部(すなわち、位置制御部101および速度制御部103)の制御するトルクが前記最大トルクτmaxである場合に当該位相平面PPに描かれる直線に前記切替線SLが接するように前記切替線SLを平行移動させ、当該平行移動させた切替線SLに前記位置偏差θerrおよび前記速度偏差verrが収束するようスライディングモード制御部104にスライディングモード制御を実行させる。
前記の構成によれば、制御装置10は、前記PID制御部の制御するトルクが前記最大トルクτmax以下である場合、前記PID制御部により、サーボモータ20のトルクを制御することができ、かつ、平行移動させた切替線SLに前記位置偏差θerrおよび前記速度偏差verrが収束するようスライディングモード制御部104にスライディングモード制御を実行させることができるという効果を奏する。
図8の位相平面PP(横軸に速度偏差verr、縦軸に位置偏差θerrをとる位相平面PP)において、提案方式切替線SLは、本来のスライディングモードの切替線SL(切替面)を位置偏差θerr方向に平行移動し、PID制御を実行する領域のτmaxのラインに接するように配置した切替線SLである。ここで、本来のスライディングモードの切替線SLとは、サーボモータ20が出力可能な正の所定のトルク、または負の所定のトルク(例えば、サーボモータ20が出力可能な正の最大トルクτmax、または負の最大トルク、つまり最小トルクτmin)を出力した時に、原点(すなわち位置偏差θerrおよび速度偏差verrがともに「0」になる位置)へ至る軌道として設計された切替線SLである。
図8には、本来のスライディングモードの切替線SL(切替面)を位置偏差θerr方向に平行移動した切替線SL(提案方式切替線SL)と、PID制御を実行する領域のτmaxのライン(すなわち、(PID、τmax)の点線)とが、「速度偏差verr=−300」において接している。図8において、前記PID制御部(すなわち、位置制御部101および速度制御部103)の制御するトルクがサーボモータ20の出力可能な最大トルクを超える場合とは、速度偏差verrが「速度偏差verr=−300」未満であって、かつ、位置偏差θerrが(PID、τmax)の点線よりも大きい場合である。すなわち、図8において、スライディングモード制御領域として斜線で示した領域において、切替部105は、スライディングモード制御部104によるサーボモータ20の制御を選択する。
図9は、操作量不飽和時の、制御された速度およびトルクの軌跡を示す図であって、PID制御のみによる場合と、スライディングモード制御のみによる場合と、制御装置10が提案手法1に係る切替線SLを利用して実行する制御による場合とを対比して示すグラフである。図9に示すように、操作量が飽和しない場合、提案手法1を採用する制御装置10によって制御された速度およびトルクの軌跡は、PID制御のみによって制御された速度およびトルクの軌跡と完全に一致している。
図10は、操作量飽和時の、制御された速度およびトルクの軌跡を示す図であって、PID制御のみによる場合と、スライディングモード制御のみによる場合と、制御装置10が提案手法1に係る切替線SLを利用して実行する制御による場合とを対比して示すグラフである。
図11は、PID制御のみによる場合と、スライディングモード制御のみによる場合と、制御装置10が提案手法1に係る切替線SLを利用して実行する制御による場合とを、横軸に速度偏差verr、縦軸に位置偏差θerrをとる位相平面PP上で対比して示すグラフである。図11に示すように、操作量が飽和しない場合、提案手法1を採用する制御装置10によって制御された位置偏差θerrおよび速度偏差verrの軌跡は、PID制御のみによって制御された位置偏差θerrおよび速度偏差verrの軌跡と完全に一致している。
図9から図11に示した通り、提案手法1を採用した場合、制御装置10による制御は、操作量の飽和が起きない限りは、つまり、制御装置10のみによって制御されたサーボモータ20のトルクが飽和しない限りは、PID制御のみによってサーボモータ20のトルクを制御する場合と同等の特性を示す。ただし、提案手法1を採用した制御装置10は、スライディングモード制御を実行する領域からPID制御を実行する領域へと移行するところが不連続であるため、操作量が連続にならない。また、提案手法1を採用した制御装置10は、操作量が飽和した場合の軌道が、後述する提案手法2および提案手法3に比べて遅い。
(提案手法2)
図12は、制御装置10について、提案手法2に係る切替線SLについて説明するための図である。図12に示す提案手法2は、切替部105が、「滑らかにPID領域とスライディングモード領域とを切り換える」という方針の下でPID制御とスライディングモード制御とを切り替えるものである。
すなわち、提案手法2を採用する切替部105は、前記PID制御部(すなわち、位置制御部101および速度制御部103)の制御する速度偏差verrが前記第二所定値以下である場合、前記PID制御部を選択し、前記PID制御部の制御する速度偏差verrが前記第二所定値を超える場合、前記位置偏差θerrを縦軸、前記速度偏差verrを横軸にとる位相平面PPにおいて、前記切替線SLが、前記PID制御部の制御するトルクが0である時に当該位相平面PPに描かれる直線に、前記速度偏差verrが前記第二所定値であるところで接するように前記切替線SLを平行移動させ、当該平行移動させた切替線SLに前記位置偏差θerrおよび前記速度偏差verrが収束するようスライディングモード制御部104にスライディングモード制御を実行させる。
前記の構成によれば、制御装置10は、サーボモータ20のトルクを、スライディングモード制御部104による制御から前記PID制御部による制御へと滑らかに変更することができるため、サーボモータ20のトルクの変化も滑らかにすることができ、かつ、前記スライディングモード制御により、サーボモータ20または前記規範モデルについて、オーバーシュートおよびハンチングの発生を抑制することができるという効果を奏する。
提案手法2を採用する制御装置10は、前記位相平面PPにおいて、前記PID制御部(すなわち、位置制御部101および速度制御部103)の制御するトルクがサーボモータ20の出力する最小トルクである時に当該位相平面PPに描かれる直線である最小トルク直線、および、前記PID制御部の制御するトルクがサーボモータ20の出力する最大トルクである時に当該位相平面PPに描かれる直線である最大トルク直線の各々に、前記速度偏差verrが前記第二所定値であるところで、前記切替線SLが接するように、前記切替線SLを平行移動させた、最小平行移動切替線SLおよび最大平行移動切替線SLによって挟まれた領域を緩衝領域とする。
前記の構成によれば、制御装置10は、前記最小平行移動切替線SLおよび前記最大平行移動切替線SLによって挟まれた領域を緩衝領域することができるという効果を奏する。
図12の位相平面PP(横軸に速度偏差verr、縦軸に位置偏差θerrをとる位相平面PP)において、(スライディングモード、τ=0)の曲線(提案手法2に係る切替線SL)は、本来のスライディングモードの切替線SL(切替面)を位置偏差θerr方向に平行移動し、PID制御を実行する領域のτ=0のライン(すなわち、(PID、τ=0)の直線)に接続するように配置した切替線SLである。ここで、本来のスライディングモードの切替線SLとは、サーボモータ20が出力可能な正の所定のトルク、または負の所定のトルク(例えば、サーボモータ20が出力可能な正の最大トルクτmax、または負の最大トルク、つまり最小トルクτmin)を出力した時に、原点(すなわち位置偏差θerrおよび速度偏差verrがともに「0」になる位置)へ至る軌道として設計された切替線SLである。
図12において、前記平行移動後の切替線SL(つまり、(スライディングモード、τ=0)の曲線)は、PID制御を実行する領域のτ=0のライン(すなわち、(PID、τ=0)の直線)に、「速度偏差verr=−300(第二所定値)」である点において接している。したがって、図12において提案手法2を採用する切替部105は、前記PID制御部の制御する速度偏差verrが前記第二所定値(−300)以下である場合、前記PID制御部を選択し、前記PID制御部の制御する速度偏差verrが前記第二所定値(−300)を超える場合、前記平行移動後の切替線SL(つまり、(スライディングモード、τ=0)の曲線)に前記位置偏差θerrおよび前記速度偏差verrが収束するようスライディングモード制御部104にスライディングモード制御を実行させる。
図12の位相平面PPにおいて、(スライディングモード、τ=τmax)の曲線(最大平行移動切替線SL)は、前記本来のスライディングモードの切替線SLを位置偏差θerr方向に平行移動し、PID制御を実行する領域のτ=maxのライン(すなわち、(PID、τ=τmax)の直線)に接続するように配置した切替線SLである。そして、(スライディングモード、τ=τmax)の曲線と、PID制御を実行する領域のτ=maxのライン(すなわち、(PID、τ=τmax)の直線)とは、「速度偏差verr=−300(第二所定値)」である点において接している。
また、図12の位相平面PPにおいて、(スライディングモード、τ=τmin)の曲線(最小平行移動切替線SL)は、前記本来のスライディングモードの切替線SLを位置偏差θerr方向に平行移動し、PID制御を実行する領域のτ=minのライン(すなわち、(PID、τ=min)の直線)に接続するように配置した切替線SLである。そして、(スライディングモード、τ=τmin)の曲線と、PID制御を実行する領域のτ=minのライン(すなわち、(PID、τ=min)の直線)とは、「速度偏差verr=−300(第二所定値)」である点において接している。
図12の位相平面PPにおいて、提案手法2を採用する制御装置10は、(スライディングモード、τ=τmax)の曲線と、(スライディングモード、τ=τmin)の曲線とによって挟まれた領域を緩衝領域として利用する。緩衝領域では、τmaxの曲線からτminの曲線に向かって、スライディングモード制御部104が出力するトルクが滑らかに変化する(徐々に小さくなる)ように設定される。
図13は、操作量不飽和時の、制御された速度およびトルクの軌跡を示す図であって、PID制御のみによる場合と、スライディングモード制御のみによる場合と、制御装置10が提案手法2に係る切替線SLを利用して実行する制御による場合とを対比して示すグラフである。
図14は、操作量飽和時の、制御された速度およびトルクの軌跡を示す図であって、PID制御のみによる場合と、スライディングモード制御のみによる場合と、制御装置10が提案手法2に係る切替線SLを利用して実行する制御による場合とを対比して示すグラフである。
図15は、PID制御のみによる場合と、スライディングモード制御のみによる場合と、制御装置10が提案手法2に係る切替線SLを利用して実行する制御による場合とを、横軸に速度偏差verr、縦軸に位置偏差θerrをとる位相平面PP上で対比して示すグラフである。
図13から図15に示した通り、提案手法2を採用した場合、制御装置10による制御は、PID制御を行う領域(切替部105が、前記PID制御部(すなわち、位置制御部101および速度制御部103)による制御を選択する領域)とスライディングモード制御を行う領域(切替部105が、スライディングモード制御部104による制御を選択する領域)とが連続するためので、操作量も連続となり、なめらかな軌道となる。ただし、提案手法2を採用した制御装置10による制御は、PID制御を行う領域が限られている。
(提案手法3)
図16は、制御装置10について、提案手法3に係る切替線SLについて説明するための図である。図16に示す提案手法3は、切替部105が、「操作量が飽和した時の挙動が最速の軌道となるようにする」という方針の下でPID制御とスライディングモード制御とを切り替えるものである。
すなわち、提案手法3を採用する切替部105は、前記PID制御部(すなわち、位置制御部101および速度制御部103)の制御する速度偏差verrが前記第二所定値以下である場合、前記PID制御部を選択し、前記PID制御部の制御する速度偏差verrが前記第二所定値を超える場合、スライディングモード制御部104を選択する。
前記の構成によれば、制御装置10は、前記PID制御部の制御する速度偏差verrが前記第二所定値を超える場合、スライディングモード制御部104により、サーボモータ20のトルクを制御することができるため、サーボモータ20の位置および速度を前記位置指令値θおよび前記速度指令値vに一致させるのに要する時間が短く、かつ、前記スライディングモード制御により、サーボモータ20または前記規範モデルについて、オーバーシュートおよびハンチングの発生を抑制することができる。
図16の位相平面PP(横軸に速度偏差verr、縦軸に位置偏差θerrをとる位相平面PP)において、切替部105は、前記PID制御部(すなわち、位置制御部101および速度制御部103)の制御する速度偏差verrが「速度偏差verr=−520(第二所定値)」を超えると、スライディングモード制御部104を選択する。ここで、サーボモータ20が出力可能な正の所定のトルク、または負の所定のトルク(例えば、サーボモータ20が出力可能な正の最大トルクτmax、または負の最大トルク、つまり最小トルクτmin)を出力した時に、原点(すなわち位置偏差θerrおよび速度偏差verrがともに「0」になる位置)へ至る軌道として設計された切替線SL(図16において「スライディングモード切替線」として描かれている曲線、前記本来のスライディングモードの切替線SL)と、PID制御を実行する領域のτminのライン(すなわち、(PID、τ=min)の直線)とは、「速度偏差verr=−520(第二所定値)」である点において接続している。
つまり、図16の位相平面PPにおいて、切替部105は、前記本来のスライディングモードの切替線SL(切替面)をそのまま用いて、PID制御を行う領域(切替部105が、前記PID制御部(すなわち、位置制御部101および速度制御部103)による制御を選択する領域)と前記本来のスライディングモードの切替線SLとが交わる速度偏差verr(図16において、「速度偏差verr=−520(第二所定値)」である直線)において、PID制御とスライディングモード制御とを切替える。
図17は、操作量不飽和時の、制御された速度およびトルクの軌跡を示す図であって、PID制御のみによる場合と、スライディングモード制御のみによる場合と、制御装置10が提案手法3に係る切替線SL(前記本来のスライディングモードの切替線SL)を利用して実行する制御による場合とを対比して示すグラフである。
図18は、操作量飽和時の、制御された速度およびトルクの軌跡を示す図であって、PID制御のみによる場合と、スライディングモード制御のみによる場合と、制御装置10が提案手法3に係る切替線SL(前記本来のスライディングモードの切替線SL)を利用して実行する制御による場合とを対比して示すグラフである。
図19は、PID制御のみによる場合と、スライディングモード制御のみによる場合と、制御装置10が提案手法3に係る切替線SL(前記本来のスライディングモードの切替線SL)を利用して実行する制御による場合とを、横軸に速度偏差verr、縦軸に位置偏差θerrをとる位相平面PP上で対比して示すグラフである。
図17から図19に示した通り、提案手法3を採用した場合、制御装置10による制御は、操作量が飽和した時の軌道が、スライディングモード制御のみによって制御した場合の軌道と一致し、つまり軌道が最速(最短)である。ただし、提案手法3を採用した制御装置10による制御は、PID制御によって制御を行う領域が限られている。また、提案手法3を採用した制御装置10による制御は、スライディングモード制御を行う領域からPID制御を行う領域に移行するところが不連続なので、操作量が連続にならない。
(提案手法1〜3の比較)
図20は、操作量不飽和時の、制御された速度およびトルクの軌跡を示す図であって、制御装置10が実行する制御の利用する切替線SLが、提案手法1、提案手法2、提案手法3に係る切替線SLである場合の各々を対比して示すグラフである。
図21は、操作量飽和時の、制御された速度およびトルクの軌跡を示す図であって、制御装置10が実行する制御の利用する切替線SLが、提案手法1、提案手法2、提案手法3に係る切替線SLである場合の各々を対比して示すグラフである。
図22は、制御装置10が実行する制御の利用する切替線SLが、提案手法1、提案手法2、提案手法3に係る切替線SLである場合の各々を、横軸に速度偏差verr、縦軸に位置偏差θerrをとる位相平面PP上で対比して示すグラフである。
図20から図22に示した通り、提案手法1〜3のいずれも、操作量の飽和が起きた場合であっても、つまり、制御装置10の出力トルク(制御装置10によって制御されたサーボモータ20のモデルトルク)が飽和した場合であっても、オーバーシュートおよびハンチング等の発生を抑制することができる。
(モデル出力速度に応じた、モデル出力トルクの制限について)
サーボモータ20の(つまり、実サーボモータ20Rの)最大出力速度は決まっているため、スライディングモード制御部104、または前記PID制御部(すなわち、位置制御部101および速度制御部103)の制御するサーボモータ20の速度が、当該最大出力速度よりも大きくなることは望ましくない。すなわち、制御装置10において、スライディングモード制御部104または前記PID制御部により制御されるサーボモータ20の速度は、サーボモータ20(つまり、実サーボモータ20Rの)の最大出力速度未満である。
前記の構成によれば、制御装置10において、スライディングモード制御部104または前記PID制御(位置制御部101および速度制御部103)部により制御されるサーボモータ20の速度は、サーボモータ20の最大出力速度未満である。
ここで、サーボモータ20の最大出力速度よりも大きな速度を、スライディングモード制御部104または前記PID制御部により制御されるサーボモータ20の速度として設定してしまうと、サーボモータ20は追従することができない。
制御装置10において、スライディングモード制御部104または前記PID制御部により制御されるサーボモータ20の速度は、サーボモータ20の最大出力速度未満であるため、制御装置10は、サーボモータ20が追従可能な、前記制御された速度を用いて、サーボモータ20を制御することができるという効果を奏する。
具体的には、スライディングモード制御部104、または前記PID制御部(すなわち、位置制御部101および速度制御部103)は、vaを「速度制限を始めるしきい値」、vbを「速度制限値」(例えば、サーボモータ20の(つまり、実サーボモータ20Rの)最大出力速度)として、下記のモデル出力トルク算出方法に示すように、スライディングモード制御部104、または前記PID制御部(すなわち、位置制御部101および速度制御部103)の制御するサーボモータ20の速度に応じて、出力を、つまり、スライディングモード制御部104、または前記PID制御部(すなわち、位置制御部101および速度制御部103)の制御するサーボモータ20のトルクを、制限する。なお、下記のモデル出力トルク算出方法において、「モデル出力速度vmodel」は、「スライディングモード制御部104、または前記PID制御部(すなわち、位置制御部101および速度制御部103)の制御するサーボモータ20の速度」を示している。また、「モデル出力トルクτmodel」は、「スライディングモード制御部104、または前記PID制御部(すなわち、位置制御部101および速度制御部103)の制御するサーボモータ20のトルク」を示している。
Figure 2017097483
図23は、vaを「速度制限を始めるしきい値」、vbを「速度制限値」として、モデル出力速度vmodelに応じて、モデル出力トルクτmodelを制限することを示す図である。図23に示すように、スライディングモード制御部104、または前記PID制御部(すなわち、位置制御部101および速度制御部103)の制御するサーボモータ20の速度(モデル出力速度vmodel)が、サーボモータ20の最大出力速度を示す速度制限値vbよりも大きくならないよう、スライディングモード制御部104、または前記PID制御部(すなわち、位置制御部101および速度制御部103)は、以下の制御を実行する。すなわち、スライディングモード制御部104、または前記PID制御部(すなわち、位置制御部101および速度制御部103)は、モデル出力速度vmodelが「速度制限を始めるしきい値va」に達すると、出力(モデル出力トルクτmodel)を制限して、モデル出力速度vmodelを速度制限値vb以下にする。なお、モデル出力速度vmodelに応じて、切替部105またはトルクリミッタ106が、モデル出力トルクτmodelを制限するとしてもよい。
〔ソフトウェアによる実現例〕
制御装置10の制御ブロック(特に、位置制御部101、速度指令生成部102、速度制御部103、スライディングモード制御部104、切替部105、トルクリミッタ106、および速度検出部107)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
後者の場合、制御装置10は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムおよび各種データがコンピュータ(またはCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)または記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータ(またはCPU)が上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
10 制御装置
20 サーボモータ
20M モデルサーボモータ(規範モデルとしてのサーボモータ)
20R 実サーボモータ(サーボモータ)
30 エンコーダ
40 負荷機械
70 フィードバック制御部
101 位置制御部(PID制御部)
103 速度制御部(PID制御部)
104 スライディングモード制御部
105 切替部(選択部)
PP 位相平面
SL 切替線
速度制限値(サーボモータの最大出力速度)
err 速度偏差
速度指令値
θerr 位置偏差
θ 位置指令値
τmax 最大トルク
τmin 負の最大トルク(最小トルク)

Claims (13)

  1. サーボモータ、または、サーボモータについてモデル追従制御を行うための規範モデルとしてのサーボモータを制御する制御装置であって、
    外部から入力された位置指令値および速度指令値と、前記サーボモータの位置および速度との偏差をそれぞれ示す位置偏差および速度偏差が、前記サーボモータの出力可能な所定のトルクと、前記サーボモータにより駆動される負荷機械の運動特性とにより決定される切替線上に収束するように、前記サーボモータに出力するトルクを決定するスライディングモード制御を行うスライディングモード制御部と、
    前記サーボモータの位置、速度が、前記位置指令値および速度指令値に追従するようPID制御を行うPID制御部と、
    前記スライディングモード制御部により制御するか、前記PID制御部により制御するかを、前記位置偏差および前記速度偏差の少なくともいずれか一方に基づいて選択する選択部と、を備える
    ことを特徴とする制御装置。
  2. 前記スライディングモード制御部および前記PID制御部は、前記規範モデルとしてのサーボモータを制御するものであるとともに、
    前記選択部により選択された前記スライディングモード制御部または前記PID制御部により制御される前記規範モデルとしてのサーボモータの位置、速度に追従するよう、実際のサーボモータの位置、速度についてPID制御を行うフィードバック制御部をさらに含む
    ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
  3. 前記選択部は、
    前記PID制御部の制御するトルクが第一所定値以下である場合、および、前記速度偏差が第二所定値以下である場合のいずれか一方において、前記PID制御部を選択し、
    前記PID制御部の制御するトルクが前記第一所定値を超える場合、または、前記速度偏差が前記第二所定値を超える場合、前記スライディングモード制御部を選択する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の制御装置。
  4. 前記第一所定値は前記サーボモータが出力する最大トルクであり、
    前記選択部は、
    前記PID制御部が出力するトルクが前記サーボモータの前記最大トルク以下である場合、前記PID制御部を選択し、
    前記PID制御部が出力するトルクが前記最大トルクを超える場合、前記スライディングモード制御部を選択する
    ことを特徴とする請求項3に記載の制御装置。
  5. 前記選択部は、
    前記位置偏差を縦軸、前記速度偏差を横軸にとる位相平面において、前記PID制御部の制御するトルクが前記最大トルクである場合に当該位相平面に描かれる直線に前記切替線が接するように前記切替線を平行移動させ、当該平行移動させた切替線に前記位置偏差および前記速度偏差が収束するよう前記スライディングモード制御部にスライディングモード制御を実行させることを特徴とする請求項4に記載の制御装置。
  6. 前記選択部は、
    前記PID制御部の制御する速度偏差が前記第二所定値以下である場合、前記PID制御部を選択し、
    前記PID制御部の制御する速度偏差が前記第二所定値を超える場合、
    前記位置偏差を縦軸、前記速度偏差を横軸にとる位相平面において、前記切替線が、前記PID制御部の制御するトルクが0である時に当該位相平面に描かれる直線に、前記速度偏差が前記第二所定値であるところで接するように前記切替線を平行移動させ、当該平行移動させた切替線に前記位置偏差および前記速度偏差が収束するよう前記スライディングモード制御部にスライディングモード制御を実行させる
    ことを特徴とする請求項3に記載の制御装置。
  7. 前記位相平面において、前記PID制御部の制御するトルクが前記サーボモータの出力する最小トルクである時に当該位相平面に描かれる直線である最小トルク直線、および、前記PID制御部の制御するトルクが前記サーボモータの出力する最大トルクである時に当該位相平面に描かれる直線である最大トルク直線の各々に、前記速度偏差が前記第二所定値であるところで、前記切替線が接するように、前記切替線を平行移動させた、最小平行移動切替線および最大平行移動切替線によって挟まれた領域を緩衝領域とする
    ことを特徴とする請求項6に記載の制御装置。
  8. 前記選択部は、
    前記PID制御部の制御する速度偏差が前記第二所定値以下である場合、前記PID制御部を選択し、
    前記PID制御部の制御する速度偏差が前記第二所定値を超える場合、前記スライディングモード制御部を選択する
    ことを特徴とする請求項3に記載の制御装置。
  9. 前記速度指令値は0である
    ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の制御装置。
  10. 前記スライディングモード制御部または前記PID制御部により制御される前記サーボモータの速度は、前記サーボモータの最大出力速度未満である
    ことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の制御装置。
  11. サーボモータ、または、当該サーボモータについてモデル追従制御を行うための規範モデルとしてのサーボモータを制御する制御方法であって、
    外部から入力された位置指令値および速度指令値と、前記サーボモータの位置および速度との偏差をそれぞれ示す位置偏差および速度偏差が、前記サーボモータの出力可能な所定のトルクと、前記サーボモータにより駆動される負荷機械の運動特性とにより決定される切替線上に収束するように、前記サーボモータに出力するトルクを決定するスライディングモード制御を行うスライディングモード制御ステップと、
    前記サーボモータの位置、速度が、前記位置指令値および速度指令値に追従するようPID制御を行うPID制御ステップと、
    前記サーボモータのトルクについて、前記スライディングモード制御ステップにて制御するか、前記PID制御ステップにて制御するかを、前記サーボモータの前記位置偏差および前記速度偏差によって選択する選択ステップと、を含む
    ことを特徴とする制御方法。
  12. 請求項1から10のいずれか一項に記載の制御装置としてコンピュータを機能させるための情報処理プログラムであって、前記各部としてコンピュータを機能させるための情報処理プログラム。
  13. 請求項12に記載の情報処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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