JP2017095329A - 中空体、その製造方法、それを用いたアノード電極材料、および、それを用いたリチウムイオン二次電池 - Google Patents

中空体、その製造方法、それを用いたアノード電極材料、および、それを用いたリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】 高い導電性を有し、体積変化を抑制する中空体、その製造方法、それを用いたアノード電極材料、および、それを用いたリチウムイオン二次電池を提供すること。
【解決手段】 本発明による中空体は、グラフェンが集積し、中空構造を有し、集積したグラフェン間およびグラフェンの表面に遷移金属酸化物粒子が位置し、互いに連結している。
【選択図】 図1

Description

本発明は、中空体、その製造方法、それを用いたアノード電極材料、および、それを用いたリチウムイオン二次電池に関する。詳細には、本発明は、グラフェンおよび遷移金属酸化物粒子を用いた中空体、その製造方法、それを用いたアノード電極材料、および、それを用いたリチウムイオン二次電池に関する。
近年、携帯型電子機器、電気自動車などの電源としてリチウムイオン二次電池の研究が盛んである。カソード電極としてリチウム含有金属酸化物、アノード電極としてグラファイト、および、電解液としてリチウム塩を用いたリチウムイオン二次電池が知られているが、さらなるエネルギー密度の向上が求められている。
エネルギー密度の向上のため、アノード電極に、グラファイトの理論容量(372mAhg−1)よりもより大きな理論容量を有する材料を用いることが提案されている。このような大きな理論容量を有する材料として、TiO、Fe、SnO、Co、MoO、NiO等が知られている。中でも、SnOは、782mAhg−1の大きな理論容量を有するため、注目されている。しかしながら、SnOは、Liイオンの吸蔵・放出に伴い、200%を超える体積変化をするため、物理的に粉々になり、結果電極として使用できなくなる。
このような問題を解決するため、SnOとグラフェンシートとを組み合わせた材料が開発されている(例えば、非特許文献1〜6を参照)。非特許文献1〜6によれば、いずれも、SnOとグラフェンシートとの複合体(例えば、グラフェンシートにSnOが付与されて複合体)に関するが、グラフェンシートが強いπ−π相互作用あるいはファンデルワールス力により凝集しやすいため、大きな比表面積、高い導電性を損ない、大きな容量が得られない場合がある。
また、別の材料として、Coとグラフェンシートとを組み合わせた材料も開発されている(例えば、非特許文献7を参照)。非特許文献7は、表面にCoが形成された中空を有するグラフェン球体に関するが、導電性を向上させることができるものの、Coの体積変化を抑制できない。
一方、スーパーキャパシタ用の電極としてグラフェンを用いた中空体が知られている(例えば、特許文献1を参照)。このような中空体を改良し、さらなる用途への適用が求められている。
特開2014−240330
Seung−Min Paekら,Nano Letters,2009,Vol.9,No.1,72−75 Jane Yaoら,Electrochemistry Communications,11,2009,1849−1852 Zhifeng Duら,Materials Letters,64,2010,2076−2079 Zhiyoung Wangら,Nano Res.,2010,3(10),748−756 Hajiao Zhangら,J.Mater.Res.,Vol.29,No.5,2014,617−624 Jinzuan Wangら,RSC Adv.,2014,4,57869−57874 Bong Gill Choiら,Nanoscale,2012,4,5924
以上より、本発明の課題は、高い導電性を有し、体積変化を抑制する中空体、その製造方法、それを用いたアノード電極材料、および、それを用いたリチウムイオン二次電池を提供することである。
本発明によるグラフェンが集積し、中空構造を有する中空体は、前記集積したグラフェン間および前記グラフェンの表面に遷移金属酸化物粒子が位置し、互いに連結しており、これにより上記課題を解決する。
前記グラフェンに対する前記遷移金属酸化物粒子の質量比は、0.5以上6未満の範囲であってもよい。
前記グラフェンに対する前記遷移金属酸化物粒子の質量比は、0.75以上3以下の範囲であってもよい。
前記グラフェンのそれぞれは、厚さ3nm以上8nm以下の範囲であり、前記グラフェンは、5層以上15層以下で集積されていてもよい。
前記遷移金属酸化物粒子は、TiO、Fe、SnO、Co、MoO、NiO、および、これらの複合酸化物からなる群から選択されてもよい。
前記中空体のBET比表面積は、220m/g以上500m/g以下の範囲であってもよい。
前記中構造の形状は、球状であり、前記中空体は、連結した球体からなり、前記中空構造の直径は、250nm以上350nm以下の範囲であり、前記球体の直径は、300nm以上400nm以下の範囲であってもよい。
前記遷移金属酸化物粒子の粒径は、3nm以上8nm以下の範囲であってもよい。
本発明によるグラフェンが集積し、中空構造を有し、前記集積したグラフェン間および前記グラフェンの表面に遷移金属酸化物粒子が位置し、互いに連結している中空体を製造する方法は、酸化グラフェンと遷移金属塩とを溶媒に分散させ、撹拌することによって、前記遷移金属塩から遷移金属酸化物粒子を得るとともに、前記酸化グラフェンの表面に前記遷移金属酸化物粒子を位置させるステップと、高分子コアが分散した水溶液に、表面に前記遷移金属酸化物粒子が位置する前記酸化グラフェンが分散した溶媒を添加し、撹拌することによって、前記高分子コアを前記表面に遷移金属酸化物粒子が位置する酸化グラフェンが集積し、被覆した、コア・シェル構造体を形成するステップと、前記コア・シェル構造体を加熱し、前記高分子コアを除去するステップとを包含し、これにより上記課題を解決する。
前記位置させるステップにおいて、前記遷移金属塩は、Ti、Fe、Sn、Co、Mo、Ni、および、これらの組み合わせからなる群から選択される塩またはその水和物であってもよい。
前記遷移金属塩は、SnClまたはその水和物であってもよい。
前記位置させるステップにおいて、前記酸化グラフェンに対する前記遷移金属塩の質量比は、0.5以上8未満の範囲であってもよい。
前記位置させるステップにおいて、前記酸化グラフェンに対する前記遷移金属塩の質量比は、1以上4以下の範囲であってもよい。
前記位置させるステップおよび前記コア・シェル構造体を形成するステップは、25℃以上60℃以下の温度で、0.5時間以上12時間以下の時間、撹拌してもよい。
前記形成するステップにおいて、前記高分子コアは、ポリスチレン(PS)またはポリメタクリル酸メチル(PMMA)であってもよい。
前記形成するステップにおいて、前記酸化グラフェンに対する前記高分子コアの質量比は、0.5以上1.5以下の範囲であってもよい。
前記除去するステップは、前記コア・シェル構造体を320℃以上420℃以下の温度で加熱してもよい。
前記除去するステップの前に、前記コア・シェル構造体を含有する水溶液に還元剤を添加し、150℃以上320℃未満の温度で加熱し、前記コア・シェル構造体中の前記酸化グラフェンを還元するステップをさらに包含してもよい。
本発明によるリチウムイオン二次電池用の負極活物質を含有するアノード電極材料は、前記負極活物質は、上述の中空体からなり、これにより上記課題を解決する。
本発明によるアノード電極と、カソード電極と、電解質とを備えたリチウムイオン二次電池は、前記アノード電極は、上述のアノード電極材料からなり、これにより上記課題を解決する。
本発明による中空体は、グラフェンを備えるため、導電性に優れる。さらに、グラフェン表面のみならずグラフェン間に遷移金属酸化物粒子が位置するので、三次元空間を利用したLiイオンの移動を促進し、速い電子移動を可能にする。加えて、集積したグラフェンは、その間に位置する遷移金属酸化物粒子によるリチウムイオンの吸蔵・放出に伴う体積変化を抑制できるので、中空体が壊れることなく長寿命を可能にする。本発明の中空体は、互いに連結しているので、このような中空体をリチウムイオン二次電池のアノード電極に用いれば、バインダを用いることなく、高い結着性能を有する。
本発明による中空体の製造方法は、酸化グラフェンと遷移金属塩とを溶媒に分散させ、撹拌することによって、遷移金属塩から遷移金属酸化物を得るとともに、酸化グラフェンの表面に遷移金属酸化物を位置させるステップと、高分子コアが分散した水溶液に、表面に遷移金属酸化物が位置する酸化グラフェンが分散した溶媒を添加し、撹拌することによって、高分子コアを表面に遷移金属酸化物が位置する酸化グラフェンが集積し、被覆した、コア・シェル構造体を形成するステップとを包含する。これらのステップでは、静電相互作用に基づいて自己組織的にコア・シェル構造体を得ることができる。本発明による製造方法は、コア・シェル構造体を加熱し、高分子コアを除去するステップを包含する。比較的マイルドな温度で単に加熱するだけで、高分子コアを除去できるので、特殊な装置は不要である。このように本発明による中空体の製造方法は、既存の装置を用い、熟練の技術を必要としないので、汎用性が高い。
本発明の中空体の模式図 本発明の中空体の製造工程を示すフローチャート 本発明の中空体の製造工程を示す模式図 本発明の中空体を備えたリチウムイオン二次電池の模式図 製造されたPS粒子のSEM像を示す図 形成されたコア・シェル構造体のSEM像(a)、(b)およびTEM像(c)、(d)を示す図 コア・シェル構造体の熱重量(TGA)曲線を示す図 実施例1の試料のSEM像を示す図 実施例1の試料のTEM像および制限視野電子回折(SAED)パターンを示す図 実施例2、実施例3および比較例4の試料のTEM像を示す図 実施例1の試料のXRDパターン(a)、ラマンスペクトル(b)およびTGA曲線(c)を示す図 実施例1の試料のXPSスペクトル(a)〜(c)および酸化グラフェンのXPSスペクトル(d)を示す図 実施例1の試料の窒素吸脱着等温線を示す図 実施例1の試料をPTFEメンブレンにフィルタリングした様子を示す図 実施例1で製造した電池セルの電気化学特性を示す図 実施例2、3および比較例4で製造した電池セルの充放電曲線を示す図
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。なお、同様の要素には同様の番号を付し、その説明を省略する。
(実施の形態1)
実施の形態1では、本発明の中空体およびその製造方法について説明する。
図1は、本発明の中空体の模式図である。
本発明の中空体100は、図1(A)および(B)に示すように、グラフェン110が集積し、その内部に中空構造120を有する。さらに、本発明の中空体100は、集積したグラフェン110間およびグラフェン110の表面に遷移金属酸化物粒子130が位置している。また、本発明の中空体110は、図1(C)に示すように、互いに連結している。連結140は、遷移金属酸化物粒子130が位置した集積したグラフェン110によってなされている。
本発明の中空体100は、上述したようにグラフェン110を備えるため、導電性に優れている。本発明の中空体100は、グラフェン110表面のみならずグラフェン110間に遷移金属酸化物粒子130が位置するので、三次元空間を利用したリチウムイオンの移動を促進し、レート特性および優れた充放電特性を可能にする。さらに、グラフェン110が集積しているので、この間に位置する遷移金属酸化物粒子130によるリチウムイオンの吸蔵・放出に伴う体積変化を抑制できるので、中空体100が壊れることなく長寿命を可能にする。さらに、図1(C)に示すように、中空体100は互いに連結しているので、このような中空体をリチウムイオン二次電池のアノード電極に用いれば、バインダを用いることなく、高い結着性能を有する。
図1では、中空構造120が球状に、中空体100は球体に示されているが、これに限らない。中空構造120は、球状、角柱状、円柱状および錐体状からなる群から選択される形状を有してもよい。したがって、中空体100は、例えば、中空構造120が角柱状であれば、それを覆うように角柱であってもよいし、中空構造120が円柱状であれば、それを覆うように円柱であってもよいし、中空構造120が錐体状であれば、それを覆うように錐体であってもよい。いずれのような形状であっても、上述の効果を奏することに変わりはない。
中空体100において、グラフェン110に対する遷移金属酸化物粒子130の質量比は、好ましくは、0.5以上6未満の範囲である。質量比が0.5未満である場合、中空体100内に位置する遷移金属酸化物粒子130が少ないため、リチウムイオン二次電池のアノード電極に用いるには、十分な容量が得られない場合がある。質量比が6以上である場合、中空体100内に位置する遷移金属酸化物粒子130が多すぎるため、中空体100が得られない場合がある。
中空体100において、グラフェン110に対する遷移金属酸化物粒子130の質量比は、より好ましくは、0.75以上3以下の範囲である。質量比がこの範囲であれば、上述した中空体100が得られ、特に、リチウムイオン二次電池のアノード電極に用いるに十分な特性が得られる。質量比は、さらに好ましくは、0.75以上2以下の範囲である。質量比がこの範囲であれば、とりわけ高い可逆容量が得られるので、アノード電極に好適である。
中空体100において、グラフェン110のそれぞれは、好ましくは、3nm以上8nm以下の範囲の厚さを有し、長手方向に1μm以上10μm以下の長さを有する、シート状の形態を有する。このような厚さを有するシート状の形態であれば、集積した際に中空体100の比表面積を大きくできるので、リチウムイオンが速く移動でき、レート特性の向上が期待できる。好ましくは、上述の大きさを有するグラフェン100は、5層以上15層以下の範囲で集積されている。これにより、その間に位置する遷移金属酸化物粒子130によるリチウムイオンの吸蔵・放出に伴う体積変化を効果的に抑制できる。
中空体100において、遷移金属酸化物粒子130は、TiO、Fe、SnO、Co、MoO、NiO、および、これらの複合酸化物からなる群から選択される。これらの遷移金属酸化物は、いずれも、大きな理論容量を有しており、リチウムイオン二次電池のアノード電極に有効である。中でも、SnOは、理論容量が大きいことに加えて、中空体100を製造しやすいので有利である。
遷移金属酸化物粒子130は、好ましくは、3nm以上8nm以下の範囲の粒径を有する。これにより、グラフェン110の表面および集積したグラフェン110間に遷移金属酸化物130が位置するだけでなく、リチウムイオンの速い移動が可能であるので、速い電子移動が実現できる。
中空体100は、好ましくは、220m/g以上500m/g以下の範囲のBET比表面積を有する。この範囲の比表面積を有すれば、リチウムイオンの速い移動を可能にし、充放電特性の向上に有利である。中空体100は、好ましくは、1cc/g以上1.5cc/g以下の範囲の細孔容積を有する。この範囲の細孔容積を有すれば、エネルギー密度のさらなる向上に有利である。さらに、中空体100は、好ましくは、2nm以上6nm以下の直径を有するメソ細孔を有する。これにより、エネルギー密度の向上とともに、リチウムイオンの移動をさらに促進し得る。
本発明の中空体100は、好ましくは、直径300nm以上400nm以下の範囲を満たす球体が連結されており、その球体内部の中空構造120が、直径250nm以上350nm以下の範囲を満たす球状である場合、速い電子移動、高いエネルギー密度、体積変化の抑制を確実にし得る。
次に、本発明の中空体100(図1)の製造方法を図2および図3を参照し、説明する。
図2は、本発明の中空体の製造工程を示すフローチャートである。
図3は、本発明の中空体の製造工程を示す模式図である。
ステップS210:酸化グラフェン310と遷移金属塩とを溶媒に分散させ、撹拌することによって、遷移金属塩から遷移金属酸化物130を得るとともに、酸化グラフェン310の表面に遷移金属酸化物130に位置させる。詳細には、ステップ210では、酸化グラフェン310が負に帯電しており、遷移金属塩は溶媒中でイオン化され正に帯電しているので、静電相互作用に基づいて自己組織的に酸化グラフェン310の表面に遷移金属イオンが位置し得る。次いで、酸化グラフェン310の表面に位置した遷移金属イオンが酸化反応によって遷移金属酸化物粒子となる。
酸化グラフェンは、購入してもよいし、グラファイトからBrodie法、Staudenmaier法、Hummer法、改良Hummers法等により製造してもよい。酸化グラフェンは、好ましくは、3nm以上8nm以下の厚さを有し、長手方向に1μm以上10μm以下の長さを有する、シート状の形態を有する。このようなシート状の形態であれば、比表面積が大きくなり、レート特性の向上が期待できる。
遷移金属塩は、Ti、Fe、Sn、Co、Mo、Ni、および、これらの組み合わせからなる群から選択される塩またはその水和物である。代表的な塩は、これら遷移金属を含有するハロゲン化物またはその水和物である。ハロゲン化物またはその水和物であれば、反応により遷移金属酸化物粒子が得られる。さらに好ましくは、ハロゲン化物またはその水和物は、反応の容易性から、塩化物またはその水和物である。具体的には、遷移金属塩は、SnClまたはその水和物(SnCl・2HOなど)、FeClまたはその水和物(FeCl・6HOなど)、NiClまたはその水和物(NiCl・6HOなど)、CoClまたはその水和物(CoCl・6HOなど)などが挙げられる。
溶媒は、水、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルスルホアミド(DMF)およびエタノールからなる群から選択される。これらはいずれも極性溶媒であり、酸化グラフェン310が良好に分散し得る。取扱いの簡便さから、溶媒は水が好ましく、なかでも脱イオン水がよい。
好ましくは、溶媒に分散される酸化グラフェン310と遷移金属塩とは、酸化グラフェン310に対する遷移金属塩との質量比が0.5以上8未満の範囲を満たすよう調整される。これにより、最終的に得られる中空体100におけるグラフェン110に対する遷移金属酸化物粒子130の質量比が、0.5以上6未満の範囲を満たし得る。
より好ましくは、溶媒に分散される酸化グラフェン310と遷移金属塩とは、酸化グラフェン310に対する遷移金属塩との質量比が1以上4以下の範囲を満たすよう調整される。これにより、最終的に得られる中空体100におけるグラフェン110に対する遷移金属酸化物粒子130の質量比が、0.75以上3以下の範囲を満たし得る。
さらに好ましくは、溶媒に分散される酸化グラフェン310と遷移金属塩とは、酸化グラフェン310に対する遷移金属塩との質量比が1以上2.5以下の範囲を満たすよう調整される。これにより、最終的に得られる中空体100におけるグラフェン110に対する遷移金属酸化物粒子130の質量比が、0.75以上2以下の範囲を満たし得る。
好ましくは、25℃以上60℃以下の温度範囲で、0.5時間以上12時間以下の時間、溶媒中で酸化グラフェン310と遷移金属塩とを撹拌することにより、酸化グラフェン310の表面全体に遷移金属イオンを確実に位置させ、かつ、遷移金属イオンを遷移金属酸化物粒子へと酸化させることができる。より好ましくは、撹拌は、35℃以上45℃以下の温度範囲で、3時間以上5時間以下の時間行われる。これにより、遷移金属イオンの遷移金属酸化物粒子への酸化がより促進される。
遷移金属イオンは、同時に、酸化反応によって遷移金属酸化物粒子となる。好ましくは、反応を確実にするために、溶媒に酸化剤を添加してもよい。酸化剤としては、塩酸、硝酸、硫酸などの酸であれば特に制限はない。
例えば、遷移金属塩としてSnClまたはその水和物を用い、酸として塩酸を用いた場合、例えば、上述の温度範囲で所定時間撹拌すれば、以下のようにして反応が進む。他の遷移金属塩であっても同様に反応が進む。
SnCl+2HO→Sn(OH)+2HCl
2Sn(OH)+O→2SnO+2H
ステップS220:高分子コア320が分散した水溶液に、ステップS210で得られた表面に遷移金属酸化物粒子130が位置する酸化グラフェン310が分散した溶媒を添加し、撹拌することによって、表面に遷移金属酸化物粒子130が位置する酸化グラフェン310が集積し、高分子コア320を被覆した、コア・シェル構造体330を形成する。詳細には、ステップ220では、表面に遷移金属酸化物粒子130が位置する酸化グラフェン310が全体で負に帯電しており、高分子コア320は正に帯電しているので、静電相互作用に基づいて高分子コア320を、遷移金属酸化物粒子130が位置する酸化グラフェン310が集積して被覆し、自己組織的にコア・シェル構造体330が形成される。コア・シェル構造体330もまた、自己組織的に互いに結合している。
高分子コア320は、ポリスチレン(PS)またはポリメタクリル酸メチル(PMMA)である。これらの材料は、後述するステップS230で容易に除去される。
高分子コア320は、上述した中空体100の中空構造120となるので、高分子コア320の形状が、球状、角柱状、円柱状または錐体状であれば、中空構造120の形状もまた、球状、角柱状、円柱状または錐体状となる。例えば、高分子コア320が球状粒子である場合、その粒径は、250nm以上350nm以下の範囲が好ましい。この範囲であれば、確実に連結したコア・シェル構造体330を得ることができる。
好ましくは、25℃以上60℃以下の温度範囲で、0.5時間以上12時間以下の時間、溶媒中で高分子コア320と表面に遷移金属酸化物粒子130が位置する酸化グラフェン310とを撹拌することにより、連結したコア・シェル構造体330を得ることができる。より好ましくは、撹拌は、35℃以上45℃以下の温度範囲で、3時間以上5時間以下の時間行われる。これにより、連結したコア・シェル構造体330の生成が促進される。
好ましくは、酸化グラフェン310に対する高分子コア320の質量比は、0.5以上1.5以下の範囲を満たす。この範囲であれば、高分子コア320を酸化グラフェン310が5層以上15層以下で被覆したコア・シェル構造体330を得ることができる。
ステップS230:コア・シェル構造体330を加熱し、高分子コア320を除去する。これにより、中空体100が得られる。
好ましくは、加熱は、320℃以上420℃以下の温度範囲で行う。これにより、高分子コア320のみが燃焼により焼失し、除去され得る。加熱雰囲気に特に制限はないが、大気中でよい。加熱時間は、例えば、0.5時間以上12時間以下の範囲である。なお、この加熱により、酸化グラフェン310は、グラフェン110に還元される。このようにして、上述の中空体100が得られる。このように比較的マイルドな温度で単に加熱するだけで、高分子コアを除去できるので、特殊な装置は不要である。
なお、ステップS230に先立って、コア・シェル構造体330を含有する水溶液に還元剤を添加し、150℃以上320℃未満の温度で加熱し、コア・シェル構造体330中の酸化グラフェン310をグラフェン110に還元してもよい。ステップS230の高分子コア320の燃焼と同時に酸化グラフェン310の還元を行う場合に比べて、良質な中空体が得られる。加熱時間は、例えば、0.5時間以上12時間以下の範囲である。
還元剤は、ヒドラジン、ジメチルヒドラジン、アスコルビン酸、ヒドロキノン、水素化硼素ナトリウム(NaBH)、テトラブチルアンモニウムブロマイド(TBAB)、LiAlH、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、および、N,N−ジエチルヒドロキシルアミンからなる群から少なくとも1つ選択される物質であれば、還元が促進される。
以上説明したように、本発明の中空体100の製造方法は、既存の装置を用い、熟練の技術を必要としないので、汎用性が高い。
(実施の形態2)
実施の形態2では、実施の形態1で説明した本発明の中空体を含む電極材料を用いた用途について説明する。
図4は、本発明の中空体を備えたリチウムイオン二次電池の模式図である。
本発明のリチウムイオン二次電池400は、少なくとも、カソード電極410とアノード電極420と電解質430とを備えるが、図4では、カソード電極410およびアノード電極420が電解質430に浸漬している様子を示す。
カソード電極410は、代表的にはLiMO(Mは、Ni、Co、Mn、Fe、Ti、Zr、Al、Mg、CrおよびVからなる群から少なくとも1つ選択される元素である)で表されるLi金属酸化物が知られているが、既存のリチウムイオン二次電池に適用されるカソード電極用の材料が適用される。
アノード電極420は、実施の形態1で説明した本発明の中空体100(図1)を負極活物質として含有するアノード電極材料からなる。本発明の中空体100を用いるので、グラフェンによる導電性に優れるだけでなく、三次元空間を利用した遷移金属酸化物粒子によるLiイオンの移動を促進し、速い電子移動が達成される。さらに、グラフェンが集積しているので、その間に位置する遷移金属酸化物粒子によるリチウムイオンの吸蔵・放出に伴う体積変化が抑制され、中空体100が壊れることがないので、アノード電極420の長寿命を可能にする。また、本発明の中空体100は、互いに連結しているので、アノード電極420を、バインダなどの結合剤を用いることなく構成できる。その結果、不要な成分を含まないので、リチウムイオン二次電池の性能を向上させる。
電解質430は、リチウムイオン二次電池に使用される既存の電解質であれば特に制限はないが、例示的には、LiClO、LiPF、LiBF、LiPOF、LiAsF、LiCFSO、LiCFCFSO、LiC(CFSO、LiN(CFSO、LiN(CFCFSO、LiN(CFSO)(CSO)およびLiN(CFCFCO)からなる群から1以上の選択される物質を含有する。中でも、LiPFは、導電性が高いため、好ましい。
リチウムイオン二次電池400は、さらに、カソード電極410とアノード電極420との間にセパレータ440を有し、これらカソード電極410およびアノード電極420を隔離している。
セパレータ440の材料は、例えば、フッ素系ポリマー、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリメタクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリブタジエン、ポリスチレン、ポリイソプレン、ポリウレタン系高分子およびこれらの誘導体、セルロース、紙、および、不織布から選ばれる材料である。
リチウムイオン二次電池400では、上述のカソード電極410、アノード電極420、電解質430およびセパレータ440がセル450に収容されている。また、カソード電極410およびアノード電極420は、それぞれ、既存の集電体を有していてもよい。
このようなリチウムイオン二次電池400は、チップ型、コイン型、ボタン型、モールド型、パウチ型、ラミネート型、円筒型、角型等のキャパシタであってもよく、さらに、これらを複数接続したモジュールで使用されてもよい。
次に、図4のリチウムイオン二次電池400の動作を説明する。
リチウムイオン二次電池400に電圧を印加すると、カソード電極410からLiがイオン化し、アノード電極420に吸着し、蓄積する。例えば、カソード電極410として、LiCoOを用いた場合、充電時には以下の反応が起きる。
<カソード電極410側>
LiCoO→Li1−xCoO+xLi+xe
<アノード電極420側>
SnO+4Li+4e→Sn+2Li
Sn+xLi+xe→LiSn(0≦x≦4.4)
xLi+yC→Li
ここで、アノード電極420は、本発明の中空体を負極活物質に備えたアノード電極材料からなるので、Liイオンの拡散が促進されるだけでなく、大きな比表面積および細孔容積により高いエネルギー密度を達成でき、リチウムイオンの吸蔵(LiSnの合成)に伴う体積変化によっても、アノード電極420が破壊することはない。このようにして、リチウムイオン二次電池が充電される。
一方、リチウムイオン二次電池400を抵抗等の回路に接続すると、アノード電極420に蓄積・吸着したLiイオンが、カソード電極410側に移動し、カソード電極410に戻る。例えば、カソード電極410として、LiCoOを用いた場合、放電時には以下の反応が起きる。
<カソード電極410側>
Li1−xCoO+xLi+xe→LiCoO
<アノード電極420側>
LiSn(0≦x≦4.4)→Sn+xLi+xe
Li→xLi+yC
ここでもやはり、アノード電極410は、実施の形態1で説明した本発明の中空体を負極活物質に備えたアノード電極材料からなるので、リチウムイオンの脱着・拡散が容易となり、高いレート特性を達成できる。また、導電性に優れるので、脱着・拡散の容易性に伴い、出力密度も向上し得る。さらに、リチウムイオンの放出に伴う体積変化によっても、アノード電極420が破壊することはない。このようにして、リチウムイオン二次電池が放電される。
このように本発明のリチウムイオン二次電池は、本発明の中空体をアノード電極材料に用いるので、速い電子移動により素早い充電および高いレート特性を可能にし、高いエネルギー密度および高い出力密度を有し、リチウムイオンの吸蔵・放出による体積変化によっても破壊されない。本発明のリチウムイオン二次電池は、ノートパソコン、携帯電話等のポータブル電子機器等に利用され得る。
次に具体的な実施例を用いて本発明を詳述するが、本発明がこれら実施例に限定されないことに留意されたい。
[実施例1]
実施例1は、SnOである遷移金属酸化物粒子が表面に位置したグラフェンが集積した中空構造を有し、グラフェンに対する遷移金属酸化物粒子の質量比が、1.6である中空体を製造した。
中空体の製造に先立って、原料に用いる酸化グラフェンおよび高分子コアとしてポリスチレン粒子を製造した。
まず、改良Hummers法を用いて天然グラファイト粉末から酸化グラフェンを製造した。氷浴中でグラファイト粉末(3.0g)および硝酸ナトリウム(1.5g)を98wt%の硫酸(70mL)と混合した。これらの混合物を5分撹拌した後、温度が20℃を超えないよう、過マンガン酸ナトリウム(9.0g)をゆっくりと添加した。これらの混合物を35℃の湯浴中で1時間反応させた。これにより、混合物はペースト状になった。
このペースト状の混合物に脱イオン水(140mL)をゆっくりと添加し、さらに1時間撹拌した。次いで、この混合物を水(500mL)で希釈し、30%過酸化水素(20mL)をゆっくりと添加した。これにより、濃い茶色の混合物が、黄色の懸濁液となった。
黄色の懸濁液を遠心分離機にかけ、得られた固体を10%の塩酸溶液および脱イオン水で数回洗浄し、金属イオンおよび酸を除去し、真空中で乾燥させた。このようにして負に帯電した酸化グラフェン(GO)を得た。
ポリスチレン(PS)粒子は、モノマーとしてスチレン、および、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)2塩酸塩(AIBA)を用いて製造された。詳細には、ポリビニルピロリドン(PVP)(0.5g)とスチレン(20mL)とを、脱イオン水(100mL)を含む250mLフラスコ中で混合し、70℃まで加熱した。その後、30分撹拌した後、脱イオン水(20mL)に溶解したAIBA(0.2g)を添加し、24時間反応させた。得られた生成物を遠心分離機にかけ、脱イオン水で数回洗浄し、オーブンで一晩乾燥させた。このようにして正に帯電したPS粒子を得た。PS粒子を電界放射型走査電子顕微鏡(FESEM、JEOL、JSM−7001F)により観察した。結果を図5に示す。
図5は、製造されたPS粒子のSEM像を示す図である。
図5には異なる倍率のPS粒子のSEM像を示す。図5(a)によれば、製造されたPS粒子は均一な球体であることが分かった。図5(b)によれば、PS粒子の表面は滑らかであり、その直径は250nm以上350nm以下の範囲であることが分かった。
GOと遷移金属塩としてSnCl・2HOとを脱イオン水に分散させ、撹拌した(図2のステップS210)。詳細には、GO(20mg)、SnCl・2HO(40mg)および酸化剤としてHCl(1mL)を脱イオン水(50)mLに分散させた。撹拌は、40℃で4時間行った。ここで、GOに対するSnCl・2HOの質量比は2であった。このようにして、GOの表面にSnイオンを位置させ、酸化反応によってSnO粒子が位置したGOを得た。
次に、PS粒子(20mg)が分散した脱イオン水(50mL)に、上述の分散液を撹拌しながら添加した(図2のステップS220)。この混合溶液を、40℃で4時間撹拌した。ここで、GOに対するPS粒子の質量比は1であった。得られた生成物を遠心分離機にかけ、脱イオン水で数回洗浄した後、真空下で乾燥させた。生成物をFESEMおよび透過型電子顕微鏡(TEM、JEOL、JEM−2100)により観察した。結果を図6に示す。このようにして、SnO粒子が表面に位置したGOが集積し、PS粒子を被覆したコア・シェル構造体を形成した。
図6は、形成されたコア・シェル構造体のSEM像(a)、(b)およびTEM像(c)、(d)を示す図である。
図6(b)によれば、PS粒子の表面が、GOによって被覆されたことによって滑らかさが失われたことが分かる。図6(c)および(d)によれば、コントラストが濃く示される斑点はSnO粒子を示しており、SnO粒子が表面に位置したGOが集積し、PS粒子を被覆していることが示された。さらに、図6(a)によれば、被覆されたPS粒子は、互いに連結していることが分かった。以上から、ステップS220により連結したコア・シェル構造体が得られることを確認した。
次いで、コア・シェル構造体を加熱した(図2のステップS230)。なお、ここでは、加熱条件を最適化するため、大気中、昇温速度10℃/分で室温から700℃まで昇温し、その際の熱重量分析(TGA)を測定した。TGA測定は、SDTA851e分析器により行った。結果を図7に示す。
図7は、コア・シェル構造体の熱重量(TGA)曲線を示す図である。
図7に示されるように、TGA曲線は、多段階の質量損失プロセスを示した。図7の領域(A)に示される室温以上100℃以下の温度領域は、吸着した水分の損失を示す。図7の領域(B)に示される150℃以上320℃未満の温度領域は、GOのグラフェン(G)への還元を示す。図7の領域(C)に示される320℃以上420℃以下の温度領域は、PS粒子の焼失を示す。図7の領域(D)に示される420℃を超えて550℃以下の温度領域は、グラフェンの焼失を示す。図7の領域(E)は、残ったSnO粒子の質量を示す。
図7より、コア・シェル構造体の加熱により高分子コアのみを除去するには、320℃以上420℃以下の温度で加熱することが好ましいことが分かった。また、図7から、コア・シェル構造体の高分子コアを除去する目的の加熱を行えば、高分子コアの燃焼とともに酸化グラフェン(GO)はグラフェンに還元されることが確認された。以降では、コア・シェル構造体の加熱は、大気中400℃で2時間行った試料について調べた。
図7に基づいて、PS粒子のみが除去され、グラフェンおよびSnO粒子のみとなった試料について、グラフェン(G)に対する遷移金属酸化物粒子(SnO)の質量比を算出した。領域(D)および領域(E)の質量(%)から、SnO/G=31.1/20≒1.6であることが分かった。
コア・シェル構造体を、大気中400℃で2時間加熱した試料をFESEMおよびTEMにより観察した。結果を図8および図9に示す。試料のX線回折パターンをRigaku RINT 2500により測定した。試料のラマンスペクトルをRAMAN−11(Nanophoton)により測定した。測定に用いた光源の波長は532nmであった。さらに、試料のTGA曲線を測定した。これらの結果を図11に示す。
試料の元素分析および化学結合状態を確認するため、X線光電分光法(XPS)を、PHI Quantera SXM(Ultravac−PHI)により行った。結果を図12に示す。
試料のBrunauer−Emmett−Teller(BET)表面積および細孔容積を77KにおいてAUTOSORB iQ−MPにより測定した。結果を図13および表2に示す。
次に、試料をアノード電極材料に用いCR2032コイン型電池セルを製造し、電気化学特性を評価した。具体的には、エタノールに分散させた試料を、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)メンブレンにフィルタリングした。ここで、バインダなどの結合剤は用いなかった。図14にフィルタリング後の様子を示す。これを直径15mmの円形にカットし、真空中、80℃で12時間乾燥させた。これをアノード電極(作用電極)とした。このアノード電極の片面にはCu箔からなる集電体を配置した。カソード電極(カウンタ電極)としてLi箔を用いた。
ステンレス製のセル(図4の450)内に多孔性のセパレータ(図4の440)としてポリプロピレン(PP)メンブレン(Celgard2400)をこれら電極(図4の410、420)間に配置し、電解質としてエチレンと炭酸ジエチルとの混合物(1:1、v/v)中に1MLiPF(図4の430)を充填し、コイン型電池セル(図4の400)を製造した。なお、電池セルの組み立ては、Arガスで充填されたグローブボックス内で行った。
電池セルの電気化学測定を、VMP3電気化学ステーション(Biologic)を用いて行った。サイクリックボルタンメトリ測定、および、ガルバノスタット充放電測定を、室温において、0.005V〜2.5Vの電位範囲で行った。結果を図15、図16、表3および表4に示す。
[実施例2]
実施例2は、SnOである遷移金属酸化物粒子が表面に位置したグラフェンが集積した中空構造を有し、グラフェンに対する遷移金属酸化物粒子の質量比が、0.75である中空体を製造した。
実施例2は、実施例1における、GOと遷移金属塩としてSnCl・2HOとを脱イオン水に分散させ、撹拌する(図2のステップS210)際に、SnCl・2HO(20mg)とした以外は実施例1と同様の製造条件であった。実施例2では、GOに対するSnCl・2HOの質量比は1であった。
得られた試料をTEMにより観察した。結果を図10(a)に示す。実施例1と同様に、TGA曲線を測定し、質量比を算出するとともに、BET比表面積および細孔容積を測定した。結果を表2に示す。実施例1と同様にコイン型電池セルを製造し、電気化学特性を評価した。結果を図16および表3に示す。
[実施例3]
実施例3は、SnOである遷移金属酸化物粒子が表面に位置したグラフェンが集積した中空構造を有し、グラフェンに対する遷移金属酸化物粒子の質量比が、3である中空体を製造した。
実施例3は、実施例1における、GOと遷移金属塩としてSnCl・2HOとを脱イオン水に分散させ、撹拌する(図2のステップS210)際に、SnCl・2HO(80mg)とした以外は実施例1と同様の製造条件であった。実施例3では、GOに対するSnCl・2HOの質量比は4であった。
得られた試料をTEMにより観察した。結果を図10(a)に示す。実施例1と同様に、TGA曲線を測定し、質量比を算出するとともに、BET比表面積および細孔容積を測定した。結果を表2に示す。実施例1と同様にコイン型電池セルを製造し、電気化学特性を評価した。結果を図16および表3に示す。
[比較例4]
比較例4は、SnOである遷移金属酸化物粒子が表面に位置したグラフェンが集積した中空構造を有し、グラフェンに対する遷移金属酸化物粒子の質量比が、6である中空体を製造した。
比較例4は、実施例1における、GOと遷移金属塩としてSnCl・2HOとを脱イオン水に分散させ、撹拌する(図2のステップS210)際に、SnCl・2HO(160mg)とした以外は実施例1と同様の製造条件であった。比較例4では、GOに対するSnCl・2HOの質量比は8であった。
得られた試料をTEMにより観察した。結果を図10(a)に示す。実施例1と同様に、TGA曲線を測定し、質量比を算出するとともに、BET比表面積および細孔容積を測定した。結果を表2に示す。実施例1と同様にコイン型電池セルを製造し、電気化学特性を評価した。結果を図16および表3に示す。
以上の実施例1〜3および比較例4の実験条件の一覧を簡単のため表1に示す。
図8は、実施例1の試料のSEM像を示す図である。
図8は、種々の倍率で観察した実施例1の試料(PS粒子を焼成・除去後の試料)を示す。図8(a)によれば、実施例1の試料は、ステップS230(図2)の焼成後も、焼成前の球状の形状を良好に維持しており、均一であることが分かった。図8(b)および(c)によれば、実施例1の試料は、ステップS230(図2)の焼成後も、矢印で示されるように、球体が互いに結合していることを確認した。
図9は、実施例1の試料のTEM像および制限視野電子回折(SAED)パターンを示す図である。
図9(a)〜(c)により、実施例1の試料は、グラフェンが集積し、中空構造を有する中空体であることが分かった。このことから、ステップS230(図2)によって、高分子コアであるPS粒子が除去されることが確認された。中空構造の形状は、用いた高分子コアであるPS粒子の形状を反映し、250nm以上350nm以下の直径を有する球状であった。中空体も、PS粒子の形状を反映し、300nm以上400nm以下の直径を有する球体であった。この結果は、図8で示すSEM像の結果に良好に整合する。
図9(d)によれば、矢印で示されるように粒子が、グラフェンの表面および集積したグラフェン間に均一に位置していることが分かった。また、粒子の粒径は、3nm以上8nm以下の直径を有し、ここでは平均5nmであった。図9(e)および(f)の高分解能TEMおよびSAEDパターンは、SnOの回折パターンに整合しており、図9(d)で示される粒子は、SnO粒子であることを確認した。
図9(d)によれば、グラフェンのそれぞれの厚さは、3nm以上8nm以下の範囲であり、このようなグラフェンが、5層以上15層以下で集積されていることが分かった。
図10は、実施例2、実施例3および比較例4の試料のTEM像を示す図である。
図10(a)〜(c)は、それぞれ、実施例2、実施例3および比較例4の試料のTEM像である。図10(a)および(b)によれば、実施例2および実施例3の試料は、グラフェンが集積し、中空構造を有する中空体であることが分かった。一方、比較例4の試料は、中空構造が崩壊し、中空体ではなかった。このことから、中空体を確実に得るには、ステップS210(図2)において、酸化グラフェンに対する遷移金属塩の質量比は0.5以上8未満がよいことを確認した。
図11は、実施例1の試料のXRDパターン(a)、ラマンスペクトル(b)およびTGA曲線(c)を示す図である。
図11(a)のXRDパターンは、正方晶のSnOの回折パターン(JCPDS:41−1445)に良好に一致した。ここでも、高分解能TEMおよびSAEDパターンの結果と同様に、SnO粒子が位置することが示された。なお、グラフェンのメインピークである(002)回折ピークは、SnOの(110)回折ピークと重なっているため、XRDパターンからの判別は困難であった。
図11(b)のラマンスペクトルは、特徴的なDバンドおよびGバンドを示し、ステップS230(図2)の加熱により、酸化グラフェンの還元によりグラフェンが形成したことを確認した。
図11(c)のTGA曲線によれば、420℃を超え550℃の温度の加熱により、グラフェンの分解が生じていることが分かった。このことからも、ステップS230(図2)の加熱温度の上限は420℃であることが示される。残留したSnO粒子の質量(%)と、分解燃焼したグラフェンの質量(%)とから、グラフェンに対するSnO粒子の質量比(SnO/G)は、61.8/37.4=1.65であった。この値は、図7を参照して説明したSnO/Gと良好に一致する。
図示しないが、実施例2および実施例3も同様のXRDパターンおよびラマンスペクトルを示すことを確認した。また、実施例2および実施例3のTGA曲線によれば、実施例2および実施例3のSnO/Gは、それぞれ、0.75および3であった。
図12は、実施例1の試料のXPSスペクトル(a)〜(c)および酸化グラフェンのXPSスペクトル(d)を示す図である。
図12(a)は、実施例1の試料の定性分析の結果であり、Sn、OおよびCのみを検出し、それ以外の元素は検出されなかった。このことから、実施例1の試料は、Sn、OおよびCのみからなることを確認した。
図12(b)は、実施例1の試料のSn3dのXPSスペクトルであり、495.5eVおよび487.1eVに2つのピークを有した。これらは、それぞれ、Sn3d 3/2およびSn3d 5/2に起因する。このことは、酸化スズは、スズがIV価であるSnOであることを示唆する。
図12(c)は、実施例1の試料のC1sのXPSスペクトルである。一方、図12(d)は、原料に用いた酸化グラフェンのC1sのXPSスペクトルである。いずれのXPSスペクトルも、284.6eV、286.7eV、287.8eVおよび289.1eVにピークを有した。これらは、それぞれ、C−C(sp)、C−O基、C=O基およびO−C=O基に起因する。図12(c)の含酸素官能基(C−O、C=OおよびO−C=O)のピーク強度は、図12(d)のそれよりも顕著に低かった。このことは、ステップS230(図2)の加熱によって、酸化グラフェンがグラフェンに還元されたことを示唆する。
図示しないが、実施例2および実施例3の試料も同様のXPSスペクトルを示すことを確認した。
図13は、実施例1の試料の窒素吸脱着等温線を示す図である。
図13によれば、吸脱着等温線は、IUPACのIV型を示した。このことは、実施例1の試料は、多数のメソポアを有することを示す。吸脱着等温線から、実施例1の試料の比表面積および細孔容積は、315m/gおよび1.15cc/gと算出された。この値は、報告されているSnOあるいは非特許文献1〜6に記載のSnOとグラフェンシートとの複合体のそれに比べてはるかに大きかった。
図13には、吸脱着等温線からも求めた細孔分布(挿入図)を併せて示す。細孔分布によれば、2nm以上6nm以下を中心とするメソポアを有することを示した。このようなメソポアは、Liイオンの拡散に有利であり、アノード電極内への速い電子移動が可能となり、優れたレート特性が期待される。
図示しないが、実施例2および実施例3の試料も同様の吸脱着等温線を示した。吸脱着等温線から求めた比表面積および細孔容積を表2に示す。
以上から、図2に示す製造方法により、グラフェンが集積し、中空構造を有する中空体であって、集積したグラフェン間およびグラフェンの表面に遷移金属酸化物粒子(実施例ではSnO粒子)が位置し、互いに連結している中空体が得られることを確認した。
図14は、実施例1の試料をPTFEメンブレンにフィルタリングした様子を示す図である。
図14によれば、実施例1の試料は、バインダなどの結合剤を用いることなく、PTFEメンブレン上に良好にフィルタリングされることを確認した。これは、図8を参照して上述したように、本発明の中空体が互いに連結しているためである。図14の挿入図に示されるように、PTFEメンブレンを曲げても、実施例1の試料にクラックが発生せず、破損しなかった。これにより、本発明の中空体が機械的柔軟性に富んでいることが分かった。このように、本発明の中空体をアノード電極材料に用いれば、導電性を下げ、全体の質量を増加させるバインダを不要にするので、リチウムイオン二次電池の特性を向上させることができる。
図15は、実施例1で製造した電池セルの電気化学特性を示す図である。
図15(a)は、電池セルの最初の3サイクルのCV曲線を示す図である。CV曲線は、0.005V〜2.5Vの電位において0.1mV/sの掃引速度で測定された。1回目のサイクルのCV曲線によれば、0.7Vにカソードピークを示した。これは、固体電解質界面(SEI)層の形成、および、次式で示すSnOからSnへの還元に起因する。なお、2回目および3回目のサイクルのCV曲線は、0.7Vのカソードピークを示さなかったことから、SEI層は安定したと言える。
SnO+4Li+4e→2LiO+Sn
CV曲線は、0.1Vにシャープなカソードピークを示した。これは、次式で示す、Li−Sn合金の形成およびリチウムとグラフェンとの間の反応に起因する。
Sn+xLi+xe⇔LiSn(0≦x≦4.4)
xLi+yC⇔Li
CV曲線は、0.51Vおよび1.25Vにアノードピークを示した。これらは、それぞれ、Li−Sn合金の脱合金およびSnのSnOへの部分的な可逆反応に起因する。このような可逆性は、高い導電性およびSnOとグラフェンとの間の優れたコンタクトといった本発明の中空体の構造に起因する利点といえる。
図15(b)は、電流密度100mA/gにおける電池セルの最初の3サイクルの充放電曲線を示す図である。1回目のサイクルの放電曲線は、SnOからSnへの還元に起因する約0.78Vに電位の安定状態を示した。放電曲線は、0.5Vから0.005Vまで長い平坦なカーブを示した。これは、SnとLiとの反応に起因する。1回目のサイクルの放電曲線から得られる放電容量(1980mAh/g)は、充電曲線から得られる充電容量(1032mAh/g)よりも顕著に大きいが、これは、不可逆なLiOの形成に起因しており、図15(a)の結果に一致する。2回目のサイクルによる可逆容量は、1001mAh/gであり、非特許文献1〜6に代表されるSnOを用いたアノード電極の中でも大きな値が得られた。
図15(c)は、サイクリング特性を示す図である。電流密度100mA/gで100回充放電サイクルを繰り返した後であっても、初期容量の85%を維持し、クーロン効率はほぼ100%を維持した。このことは、実施例1の試料の高いサイクリング安定性を示す。
図15(d)は、充放電レート特性(サイクル特性)を示す図である。可逆容量は、1001mAh/g(@100mA/g)、777mAh/g(@200mA/g)、652mAh/g(@500mA/g)および492mAh/g(@1000mA/g)であった。実施例1の試料は、1000mA/gといった高い電流密度においても、グラファイトの理論容量(372mA/h)より高い可逆容量(492mAh/g)を示した。また、電流密度が1000mA/gから100mA/gに戻ると、可逆容量は約800mAh/gまで回復した。また、50回繰り返した後であっても、アノード電極に破損は見られず、本発明の中空体を負極活物質として用いたアノード電極材料は、体積変化によっても耐久性に優れていることを確認した
図16は、実施例2、3および比較例4で製造した電池セルの充放電曲線を示す図である。
参考のため、図16には、図15(b)で示した実施例1で製造した電池セルの2回目のサイクルの充放電曲線を併せて示す。実施例2、3および比較例4の電池セルの可逆容量(100mA/g)は、それぞれ、801mAh/g、667mAh/gおよび513mAh/gであった。

以上から、図2に示す製造方法により、グラフェンが集積し、中空構造を有する中空体であって、集積したグラフェン間およびグラフェンの表面に遷移金属酸化物粒子(実施例ではSnO粒子)が位置し、互いに連結している中空体が得られ、リチウムイオン二次電池のアノード電極材料として好ましいことを確認した。特に、グラフェンに対するSnO粒子の質量が0.75以上3以下の中空体をアノード電極材料に用いた場合、レート特性に優れ、高い可逆容量を有し、サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池が得られることが分かった。
本発明の中空体を、リチウムイオン二次電池のアノード電極材料に用いれば、レート特性が向上し、高い出力密度および高いエネルギー密度を達成しつつ素早い充放電を可能にする。さらに、リチウムイオンの吸蔵・放出に伴う体積変化を集積したグラフェンが抑制できるので、長寿命である。また、バインダを用いることなく高い結着性能を有するので、リチウムイオン二次電池の性能の向上に寄与する。このような中空体を負極活物質として適用したリチウムイオン二次電池であれば、ノートパソコン、携帯電話等のポータブル電子機器等に有利である。
100 中空体
110 グラフェン
120 中空構造
130 遷移金属酸化物粒子
140 連結
310 酸化グラフェン
320 高分子コア
330 コア・シェル構造体
400 リチウムイオン二次電池
410 カソード電極
420 アノード電極
430 電解質
440 セパレータ
450 セル

Claims (20)

  1. グラフェンが集積し、中空構造を有する中空体であって、
    前記集積したグラフェン間および前記グラフェンの表面に遷移金属酸化物粒子が位置し、
    前記中空体が互いに連結している、中空体。
  2. 前記グラフェンに対する前記遷移金属酸化物粒子の質量比は、0.5以上6未満の範囲である、請求項1に記載の中空体。
  3. 前記グラフェンに対する前記遷移金属酸化物粒子の質量比は、0.75以上3以下の範囲である、請求項2に記載の中空体。
  4. 前記グラフェンのそれぞれは、厚さ3nm以上8nm以下の範囲であり、
    前記グラフェンは、5層以上15層以下で集積されている、請求項1に記載の中空体。
  5. 前記遷移金属酸化物粒子は、TiO、Fe、SnO、Co、MoO、NiO、および、これらの複合酸化物からなる群から選択される、請求項1に記載の中空体。
  6. 前記中空体のBET比表面積は、220m/g以上500m/g以下の範囲である、請求項1に記載の中空体。
  7. 前記中構造の形状は、球状であり、
    前記中空体は、連結した球体からなり、
    前記中空構造の直径は、250nm以上350nm以下の範囲であり、
    前記球体の直径は、300nm以上400nm以下の範囲である、請求項1に記載の中空体。
  8. 前記遷移金属酸化物粒子の粒径は、3nm以上8nm以下の範囲である、請求項1に記載の中空体。
  9. グラフェンが集積し、中空構造を有し、前記集積したグラフェン間および前記グラフェンの表面に遷移金属酸化物粒子が位置し、互いに連結している中空体を製造する方法であって、
    酸化グラフェンと遷移金属塩とを溶媒に分散させ、撹拌することによって、前記遷移金属塩から遷移金属酸化物粒子を得るとともに、前記酸化グラフェンの表面に前記遷移金属酸化物粒子を位置させるステップと、
    高分子コアが分散した水溶液に、表面に前記遷移金属酸化物粒子が位置する前記酸化グラフェンが分散した溶媒を添加し、撹拌することによって、前記高分子コアを前記表面に遷移金属酸化物粒子が位置する酸化グラフェンが集積し、被覆した、コア・シェル構造体を形成するステップと、
    前記コア・シェル構造体を加熱し、前記高分子コアを除去するステップと
    を包含する、方法。
  10. 前記位置させるステップにおいて、前記遷移金属塩は、Ti、Fe、Sn、Co、Mo、Ni、および、これらの組み合わせからなる群から選択される塩またはその水和物である、請求項9に記載の方法。
  11. 前記遷移金属塩は、SnClまたはその水和物である、請求項10に記載の方法。
  12. 前記位置させるステップにおいて、前記酸化グラフェンに対する前記遷移金属塩の質量比は、0.5以上8未満の範囲である、請求項9に記載の方法。
  13. 前記位置させるステップにおいて、前記酸化グラフェンに対する前記遷移金属塩の質量比は、1以上4以下の範囲である、請求項12に記載の方法。
  14. 前記位置させるステップおよび前記コア・シェル構造体を形成するステップは、25℃以上60℃以下の温度で、0.5時間以上12時間以下の時間、撹拌する、請求項9に記載の方法。
  15. 前記形成するステップにおいて、前記高分子コアは、ポリスチレン(PS)またはポリメタクリル酸メチル(PMMA)である、請求項9に記載の方法。
  16. 前記形成するステップにおいて、前記酸化グラフェンに対する前記高分子コアの質量比は、0.5以上1.5以下の範囲である、請求項9に記載の方法。
  17. 前記除去するステップは、前記コア・シェル構造体を320℃以上420℃以下の温度で加熱する、請求項9に記載の方法。
  18. 前記除去するステップの前に、前記コア・シェル構造体を含有する水溶液に還元剤を添加し、150℃以上320℃未満の温度で加熱し、前記コア・シェル構造体中の前記酸化グラフェンを還元するステップをさらに包含する、請求項9に記載の方法。
  19. リチウムイオン二次電池用の負極活物質を含有するアノード電極材料であって、
    前記負極活物質は、請求項1〜8のいずれかに記載の中空体からなる、アノード電極材料。
  20. アノード電極と、カソード電極と、電解質とを備えたリチウムイオン二次電池であって、
    前記アノード電極は、請求項19に記載のアノード電極材料からなる、リチウムイオン二次電池。
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